JP7301605B2 - 色材組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、色材組成物及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、印刷コストが低く、電子写真方式の記録装置と比較しても使用電力の観点などで有利であることから、広く使用されるようになっている。また、近年、文字や図表を含むビジネス文章を普通紙などの記録媒体に記録する際にもインクジェット記録方法が利用されている。
このような用途でインクジェット記録装置を使用する場合には、記録可能枚数を多く設定できることが要求される。このような要求を満たすべく、大容量のインクタンクを装着し、チューブを通じてインクタンク内のインクを記録ヘッドへと供給するインク供給系を備えたインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1)。このように、インク収容部を大容量化すると、インクジェット記録装置の梱包物の重量が増加する傾向にある。
また、染料インクと希釈液を吐出の直前に記録ヘッド内で任意の割合で混合するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献2)。
特開2017-001391号公報 特開平9-132741号公報
インクジェット記録装置の梱包物の軽量化、及びインク注入時のこぼれなどの抑制を図るべく、色材などの固形分を通常のインクに比して高濃度に含有する、濃縮インク、高濃度インク、及びインクや色材の乾燥物などの色材組成物を用いることが考えられる。しかし、特許文献2で提案されたような希釈液を吐出の直前に混合するシステムとする場合、色材組成物の使用量に対応する量の希釈液を同梱しておく必要があり、インクジェット記録装置の梱包物の軽量化を図ることは困難である。
そこで、色材組成物に使用者が希釈液を添加してインクを調製するシステムとすることで、インクジェット記録装置の梱包物を軽量化することができる。また、少量の色材組成物をインク収容部に注入した上で、希釈液で色材組成物を希釈すればよいので、インクのこぼれによる弊害を軽減することができる。
しかし、本発明者らが検討した結果、色材組成物を希釈液と混合して希釈した場合であっても、色材組成物が希釈されにくく、溶け残りが生ずる場合があることがわかった。このような溶け残りが生じたままのインクを用いると、記録される画像に色ムラが生ずるといった課題が生じやすくなる。
したがって、本発明の目的は、希釈液で希釈して水性インクを調製しても溶け残りが生じにくく、希釈性に優れた色材組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、上記色材組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1インク収容部、記録ヘッドを有する第2インク収容部、及び前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと水性インクを供給するチューブを備えたインクジェット記録装置(但し、静電濃縮型インクジェット記録装置を除く)の前記第1インク収容部内において希釈液で希釈して前記インクジェット記録装置に用いる前記水性インクを調製するために用いられる、色材を含有する色材組成物であって、前記色材が、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散顔料であることを特徴とする色材組成物が提供される。また、本発明によれば、インクジェット記録装置のインク収容部内において希釈液で希釈して前記インクジェット記録装置に用いる水性インクを調製するために用いられる、色材を含有する色材組成物であって、固体状の組成物であり、前記色材が、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散顔料であることを特徴とする色材組成物が提供される。
本発明によれば、希釈液で希釈して水性インクを調製しても溶け残りが生じにくく、希釈性に優れた色材組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記色材組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
インクジェット記録装置の一例を概略的に示す斜視図である。 インク供給系の一例を概略的に示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値や色材組成物の状態は、特に断りのない限り、常温(25℃)におけるものである。
濃縮インク、高濃度インク、及びインクや色材の乾燥物などの、色材を高濃度に含有する色材組成物をインクジェット記録装置のインク収容部内において希釈液で希釈してインクを調製するシステムを採用すると、以下のような利点がある。すなわち、インクジェット記録装置の梱包物を軽量化することが可能であるとともに、メインタンクなどのインク収容部に使用者がインクを注入する際のこぼれなどによる汚染を生じにくくすることができる。希釈液と混合した際に、色材組成物が希釈されやすく、溶け残りが生じにくければ、記録される画像に色ムラが生ずるといった課題の発生を低減することができる。
さらなる検討の結果、本発明者らは、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散顔料を色材として含有させることで、希釈しても溶け残りにくく、希釈性に優れた色材組成物が得られることを見出した。自己分散顔料を色材とすることで希釈性が向上する理由について、本発明者らは以下のように推測している。
インクタンクなどのインク収容部に投入した色材組成物を希釈液で希釈する場合、色材組成物は、緩く凝集した状態(いわゆる軟凝集状態)であることが好ましい。一方、インクに用いる顔料を分散方法で分類すると、自己分散顔料と、樹脂を用いて顔料を分散させる樹脂分散顔料とに大別することができる。そして、樹脂分散顔料を色材として用いた場合には、色材組成物を上記のような軟凝集状態とすることが困難であることがわかった。
酸価が低い樹脂を分散剤として用いた樹脂分散顔料は、色材組成物中で強く凝集した状態(いわゆる過凝集状態)となりやすい。また、酸価が高い樹脂を分散剤として用いた樹脂分散顔料であっても、色材組成物の表面に膜が張られたような状態となり、希釈性を向上させることができない。
<色材組成物>
本発明の色材組成物は、色材をはじめとする成分を高濃度に含有する液状の組成物、又は、水などの揮発成分を実質的に含有しない固体状の組成物の形態をとる。この組成物は、インクジェット記録装置のインク収容部内において、インクジェット記録装置に用いる水性インクを希釈液で希釈して調製するために用いられる。以下、本発明の色材組成物の詳細について説明する。
(色材)
色材としては、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散顔料を用いる。色材組成物中の自己分散顔料の含有量は、希釈液で希釈することによって調製する水性インクにおいて必要とされる自己分散顔料の含有量、希釈倍率などから決定することができる。例えば、色材組成物が液状である場合、色材組成物中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、色材組成物が固体状である場合、色材組成物中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、90.0質量%以上100.0質量%以下であることが好ましく、95.0質量%以上100.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックのBET比表面積は、300m/g以下であることが好ましい。カーボンブラックのBET比表面積が300m/g超であると、顔料が過凝集しやすくなることがあり、希釈性が低くなる場合がある。また、カーボンブラックのBET比表面積は、100m/g以上であることが好ましい。
カーボンブラックのDBP吸油量は、80mL/100g以上であることが好ましい。DBP吸油量は、カーボンブラックのストラクチャーを表す物性値である。DBP吸油量が80mL/100g以上のカーボンブラックを用いると、顔料の凝集体内に適度な空間が形成される。このため、添加した希釈液が顔料の凝集体に浸透しやすくなり、希釈性をさらに向上させることができる。一方、DBP吸油量が80mL/100g未満であると、自己分散顔料の凝集体が密に集まりやすくなる。このため、希釈液を添加しても浸透しにくく、希釈性が低くなる場合がある。カーボンブラックのDBP吸油量は、400mL/100g以下であることが好ましく、200mL/100g以下であることがさらに好ましい。
自己分散顔料は、アニオン性基が顔料の粒子表面に直接に結合したものであることが好ましい。アニオン性基が顔料の粒子表面に他の原子団を介して結合した自己分散顔料は、他の原子団(例えば、芳香環など)の立体障害により過凝集しやすく、これにより希釈性が低下する場合がある。これに対して、アニオン性基が顔料の粒子表面に直接結合した自己分散顔料は立体障害が小さいために軟凝集しやすく、希釈性がさらに向上すると考えられる。
顔料の粒子表面に結合させるアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などを挙げることができる。カルボン酸基が顔料の粒子表面に直接結合した自己分散顔料を用いる場合、この自己分散顔料は、カーボンブラックなどの顔料をオゾンガスや酸化剤で酸化処理して製造されたものであることが好ましい。特に、顔料をオゾンガスで酸化処理して製造された自己分散顔料を用いることで、希釈性をさらに向上させることができる。一方、顔料を酸化剤で酸化処理して製造された自己分散顔料は、製造過程で生ずる副生成物や酸化剤の残留物の影響により希釈性が低下する場合がある。
(水性媒体)
色材組成物が液状である場合、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。なお、色材組成物が固体状である場合、通常、水性媒体を含有させる必要はない。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。色材組成物中の水の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、60.0質量%以下であることが好ましい。色材組成物は水を含有しなくてもよい。したがって、色材組成物中の水の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、0.0質量%であってもよく、5.0質量%以上であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、その他の含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。色材組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、90.0質量%以下であることが好ましい。色材組成物は水溶性有機溶剤を含有しなくてもよい。したがって、色材組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、0.0質量%であってもよく、5.0質量%以上であることが好ましい。また、色材組成物には、希釈液で希釈することによって調製する水性インクにおいて必要とされる水溶性有機溶剤を予め含有させておくこともできる。この場合、色材組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、40.0質量%以上であることが好ましい。
(界面活性剤)
色材組成物には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、炭化水素系、フッ素系、シリコーン系などの骨格を有するものを挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤などのいずれの界面活性剤であってもよい。色材組成物中の界面活性剤の含有量(質量%)は、組成物全質量を基準として、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
凝集を抑制する観点からは、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、炭化水素系のノニオン性界面活性剤を用いることがさらに好ましい。このような界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロック共重合体などを挙げることができる。
(その他の成分)
色材組成物には、上記成分の他に、尿素、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、必要に応じて、希釈液により希釈された後に所望の物性値や画像性能を有する水性インクを調製するために、その他の界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、塩などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(色材組成物の製造方法)
色材組成物が液状である場合は、例えば、加熱や減圧などの適当な方法により、原料となるインク(原料インク)から液体成分(水や水溶性有機溶剤などの水性媒体)の一部を除去することで製造することができる。原料インクとしては、通常のインクと同様の成分を用いることもできるし、色材を含有する液体(顔料分散液)などの、通常のインクの調製に用いる原材料をそのまま用いることもできる。また、色材などの固形分(不揮発成分)の含有量を相対的に多くするとともに、水性媒体などの揮発成分の含有量を相対的に少なくすること以外は、通常のインクと同様にして各成分を混合することでも、色材組成物を製造することができる。
色材組成物が固体である場合は、例えば、凍結乾燥、加熱乾燥、スプレードライなどの適当な方法により、原料となるインク(原料インク)から液体成分(水や水溶性有機溶剤などの水性媒体)を除去することで製造することができる。原料インクとしては、通常のインクと同様の成分を用いることもできるし、色材を含有する液体(顔料分散液)などの、通常のインクの調製に用いる原材料をそのまま用いることもできる。さらに、希釈液により希釈された際にその溶解や分散を補助するための成分を要しない色材(自己分散顔料)は、そのまま、固体の色材組成物として用いることもできる。固体の色材組成物は、必要に応じて、圧力を付与するなどして押し固めてもよい。液体成分の除去後に押し固める場合には、結合剤を添加してもよい。結合剤としては、通常の水性インクに使用される界面活性剤、水性媒体、樹脂、及びその他の成分などを用いることができる。
色材組成物が固体状である場合、その嵩密度を0.10g/mL以上0.50g/mL以下とすることが好ましい。固体状の色材組成物を希釈液で希釈した際の希釈性は、以下の二段階に分けて捉えることができる。第一段階は、色材組成物と希釈液を混合した直後に、色材組成物がほぐれるまでの分散性(第一の分散性)である。そして、第二段階は、色材組成物がほぐれた後、色材が通常のインク中での分散状態となるまでの分散性(第二の分散性)である。色材組成物を希釈液で希釈する場合、色材組成物が希釈液に濡れやすいことが好ましい。色材組成物の嵩密度が0.10g/mL未満であると、希釈液と混合しても色材組成物が希釈液に浮いた状態になりやすく、希釈性が低下する場合がある。一方、色材組成物の嵩密度が0.50g/mL超であると、色材組成物の表面は濡れるが、内部にまで希釈液が浸透しにくくなるので、希釈性が低下する場合がある。
本明細書における色材組成物(固体状の場合)の「嵩密度」は、測定対象の試料を、タップしない(ゆるみ)状態で容器に充填して測定する「ゆるみ嵩密度」である。密度の特定に「ゆるみ嵩密度」を利用するのは、タップしない(過度に押し固められていない)状態での密度を把握することで、実際に希釈する際の密度に近くなり、希釈液による希釈性を精度よく評価することができるからである。「ゆるみ嵩密度」は、日本薬局方3.01「かさ密度及びタップ密度測定法」の「第1法(メスシリンダーを用いる方法)」に基づいて、粉体を、ふるいを通して自然落下させてメスシリンダーなどの容器(容積100mL)に充填した際の密度として測定する。色材組成物の嵩密度は、例えば、原料となる組成物から液体成分を除去した後に押し固める際の圧力を調整することなどにより、所望とする範囲に制御することができる。
色材組成物が固体状である場合、その長さ平均粒子径が0.5mm以上5.0mm以下の粒状物であることが好ましい。色材組成物の長さ平均粒子径が5.0mm超であると、単位質量当たりの表面積が小さいために希釈性(特に、第一の分散性)がやや低下する場合がある。一方、色材組成物の長さ平均粒子径が0.5mm未満であると、インク収容部に入れる際に舞いやすくなるため、取り扱い性がやや低下する場合がある。色材組成物の長さ平均粒子径は、JIS Z 8815:1994に基づき測定することができる。具体的には、振動式ふるい分け装置などを利用して測定することができる。色材組成物の長さ平均粒子径は、例えば、嵩密度と同様に、原料となる組成物から液体成分を除去した後に押し固める際の圧力を調整したり、押し固めた後の固形物をすり潰したりすることなどにより、所望とする範囲に制御することができる。
(希釈液)
希釈液は、色材組成物を希釈してインクジェット用のインクを調製するために用いる。希釈液としては、例えば、色材や必要に応じて用いられる分散剤などの固形分(不揮発成分)を実質的に含有しなくてもよいこと以外は、インクを構成する成分と同様の成分を含有するものを用いることができる。また、他の成分を実質的に含有しない水を希釈液として用いることもできる。
色材組成物が液状である場合、色材組成物及び希釈液を以下のように構成することが好ましい。すなわち、希釈後の水性インクに含有させる色材以外の成分、具体的には、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を色材組成物に含有させるとともに、希釈液として水を用いることが好ましい。このようにすることで、希釈液をインクジェット記録装置に同梱せずとも、ユーザが希釈液としての水を準備すればよく、利便性が高まる。
色材組成物が固体状である場合、色材組成物及び希釈液を以下のように構成することが好ましい。すなわち、希釈後の水性インクに含有させる色材以外の成分、具体的には、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤を希釈液に含有させることが好ましい。水溶性有機溶剤や界面活性剤は先に述べたように結合剤としても作用し得るが、親水性が高く、吸湿しやすいので、色材組成物に含有させると変質しやすくなる場合がある。したがって、希釈液に含有させておけば、変質による課題を生じにくくさせることができる。
(水性インク)
本発明の色材組成物を希釈液で希釈することで、インクジェット記録装置で用いるインクジェット用のインクを得ることができる。色材組成物を希釈して得られるインク中の各成分の含有量は、一般的なインクジェット記録方法で用いるインクジェット用の水性インク中の各成分の含有量と同様である。
インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は以下の各工程を有する。すなわち、色材組成物を準備する工程と、インクジェット記録装置のインク収容部内において色材組成物を希釈液で希釈して水性インクを調製する工程と、水性インクをインクジェット記録装置の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する工程とを有する。インク収容部(メインタンク)内において色材組成物を希釈して得たインクを用いること以外、本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェット記録装置の構成は、従来のインクジェット記録装置の構成と実質的に同等である。
本発明のインクジェット記録方法で用いる色材組成物は希釈性に優れているため、希釈液で希釈しても溶け残りが生じにくい。したがって、色材組成物を希釈液で希釈するには、例えば、インクタンクなどのインク収容部に少量の色材組成物及び希釈液を入れればよい。溶け残りの発生をさらに抑制するため、インク収容部の内容物を撹拌する撹拌機構や、内容物を加温する加温機構などをインクタンクなどのインク収容部に設けることができる。また、インク収容部内においてユーザが撹拌棒などで撹拌してもよい。
本発明のインクジェット記録方法では、メインタンクなどのインクを収容するインク収容部を備えるインクジェット記録装置を使用するとともに、色材組成物をインク収容部に入れた後、さらに希釈液を入れて、インクを調製することが好ましい。すなわち、インク収容部内に、色材組成物及び希釈液をこの順に投入することが好ましい。色材組成物の後で希釈液をインク収容部にすることで、希釈性をより向上させることができる。希釈液の後で色材組成物をインク収容部に入れると、色材組成物と希釈液の組み合わせにもよるが、色材組成物が液面に浮かびやすくなり、希釈性が低下する場合がある。
(インクジェット記録装置)
以下、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクジェット記録装置の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、インクジェット記録装置の一例を概略的に示す斜視図である。図1に示すインクジェット記録装置は、X方向(主走査方向)に記録ヘッドを往復走査させて記録動作を行う、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録装置である。記録媒体101は、搬送ローラ107によってY方向(副走査方向)へと間欠的に搬送される。記録媒体としては、普通紙などのコート層を有しない記録媒体;光沢紙やマット紙などのコート層を有する記録媒体などを用いることができる。キャリッジ103に搭載された記録ユニット102は、記録媒体101の搬送方向であるY方向と直交するX方向(主走査方向)に往復走査される。そして、記録媒体101のY方向への搬送と、記録ユニット102のX方向への往復走査と、によって記録動作が行われる。
図2は、インク供給系の一例を概略的に示す模式図である。図2に示すように、記録ユニット102は、供給されるインクを複数の吐出口から吐出するインクジェット方式の記録ヘッド203と、第2インク収容部としてのサブタンク202とで構成されている。この記録ユニット102は、図1に示すようにキャリッジ103に搭載されている。キャリッジ103は、X方向に沿って配置されたガイドレール105に沿って移動可能に支持されており、ガイドレール105と並行に移動する無端ベルト106に固定されている。無端ベルト106はモータの駆動力によって往復運動する。無端ベルト106の往復運動によって、キャリッジ103がX方向に往復走査される。
メインタンク収容部108の内部には、第1インク収容部としてのメインタンク201(図2)が収納される。メインタンク収容部108に収納されたメインタンク201と、記録ユニット102のサブタンク202とは、インク供給チューブ104によって接続される。メインタンク201及びサブタンク202の間はインク供給チューブ104で直接接続されている構成とすることが好ましい。インクは、メインタンク201からインク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203の吐出口から吐出されるが、これらの部材はいずれもインクの種類に対応した数で設けられる。
メインタンク201内に収容されたインク(ハッチングで示す)は、インク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203へと供給される。メインタンク201には、大気連通部としての気体導入チューブ204が接続されている。画像の記録によってインクが消費されると、メインタンク201からサブタンク202にインクが供給され、メインタンク201内のインクが減少する。そして、メインタンク201内のインクの減少に伴い、その一端が大気に開放されている気体導入チューブ204からメインタンク201内に空気が導入されることにより、インク供給系においてインクを保持するための内部負圧が略一定に保たれる。
メインタンク201のインク最大収容量V(mL)は、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)に対する比率で、3.0倍以上50.0倍以下であることが好ましく、5.0倍以上40.0倍以下であることがさらに好ましい。
メインタンク201は、タンク交換の頻度を低減したり、記録可能枚数を多くすることで高い生産性を実現したりするためには、インク最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。具体的には、メインタンク201のインク最大収容量V(mL)は、60.0mL以上200.0mL以下であることが好ましく、60.0mL以上150.0mL以下であることがさらに好ましい。また、メインタンク201の最大インク充填量は、インク最大収容量を基準として、95%程度までとすることが好ましい。
サブタンク202も、メインタンク201からのインク供給の頻度を低減したり、記録ヘッド203へのインク充填を安定に行ったりするためには、インク最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。但し、例えば、図1に示すようなシリアル方式として、キャリッジ103にサブタンク202を搭載する形態を想定すると、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)は多くし過ぎないことが好ましい。すなわち、あまりに多くのインクがサブタンク202に収容された場合、記録ユニット102の大型化を招き、キャリッジ103の移動速度が低下したり、キャリッジ103を移動させる無端ベルト106やモータの強度を高めたりする必要が生じる。したがって、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)は、1.0mL以上35.0mL以下であることが好ましく、2.0mL以上20.0mL以下であることがさらに好ましく、5.0mL以上15.0mL以下であることが特に好ましい。
インク収容部(筺体)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテルなどの熱可塑性樹脂;熱可塑性樹脂の混合物や改質物などで形成することができる。筺体の内部には、インクを保持するための負圧を発生しうるインク吸収体を配設してもよい。インク吸収体としては、ポリプロピレンやウレタンなどの樹脂製の繊維を圧縮したものが好ましい。また、筺体の内部にインク吸収体を配設せず、筺体の内部にインクを直接収容してもよい。特に、色材組成物と希釈液を混合しやすくするため、メインタンクの内部にはインク吸収体を配設しないことが好ましい。
図2に示す記録ユニット102は、記録ヘッド203とサブタンク202とで構成されている。サブタンクが装着され、かつ、記録ヘッドが組み込まれたヘッドカートリッジである記録ユニットがキャリッジに装着されていてもよい。また、サブタンクと記録ヘッドとが一体的に構成された記録ユニットがキャリッジに装着されていてもよい。図1及び2に示すように、インク収容部であるサブタンク202と記録ヘッド203とが一体的に構成されたカートリッジ形態の記録ユニットが、キャリッジ103に装着されていることが好ましい。なかでも、インク収容部であるサブタンクが熱可塑性樹脂で形成された筺体であるとともに、記録ヘッドを備えた記録素子基板が、放熱板などの他の部材を介在させることなくサブタンクに直接貼り合わされていることが好ましい。
記録ヘッドのインク吐出方式としては、ピエゾ素子などにより力学的エネルギーをインクに付与してインクを吐出する方式や、電気熱変換体などにより熱エネルギーをインクに付与してインクを吐出する方式などを挙げることができる。なかでも、熱エネルギーをインクに付与して吐出する方式を採用することが好ましい。
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<自己分散顔料の準備>
カーボンブラックのBET比表面積は、比表面積測定装置(商品名「BERSORP-MAX-32-N-VP」、マイクロトラック・ベル製)を使用して測定した。カーボンブラックのDBP吸油量は、吸油量測定装置(商品名「S-500」、あさひ総研製)を使用して測定した。
(顔料分散液1~5、12~16)
表1に示す種類の顔料(カーボンブラック)300.0g及び純水2,000.0gをガラス製の簡易型オートクレーブ(商品名「TEM-U1000N」、耐圧工業製)に入れて撹拌した。オゾン発生器(商品名「KQS-120」、コトヒラ工業製)を使用して発生させたオゾンガスを表1に示す流量となるように調整してオートクレーブに導入して10時間撹拌し、顔料をオゾン酸化処理して分散液を得た。オゾンガスの流量は、カーボンブラックの単位表面積当たりの流量が同一となるよう調整した。得られた分散液に水酸化カリウムを添加してpHを8~9に調整した後、限外ろ過して、自己分散顔料の含有量が15.0%である顔料分散液1~5、12~16を得た。使用したカーボンブラックの詳細を以下に示す。
Figure 0007301605000001
(顔料分散液6~11)
以下に示す、自己分散顔料が水中に分散された状態の市販の顔料分散液(いずれも、キャボット製の顔料分散液の商品名)を用意し、これらを顔料分散液6~11とした。顔料分散液6~11中の自己分散顔料の顔料種は有機顔料であり、顔料の含有量はいずれも15.0%である。
・顔料分散液6:CAB-O-JET250C
・顔料分散液7:CAB-O-JET265M
・顔料分散液8:CAB-O-JET270Y
・顔料分散液9:CAB-O-JET450C
・顔料分散液10:CAB-O-JET465M
・顔料分散液11:CAB-O-JET470Y
(顔料分散液17)
500mLのビーカーに、アレンドロン酸ナトリウム((4-アミノ-1-ヒドロキシブタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩、Zentiva製)34g(104mmol)、及び純水150mLを入れた。濃水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11に調整し、アレンドロン酸ナトリウムを溶解させた。テトラヒドロフラン100mLに溶解させたニトロフェニルスルホニルクロライド25g(110mmol)を滴下した。滴下の際には、水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpHを10~11に保持した。滴下後、室温でさらに2時間撹拌した。減圧してテトラヒドロフランを留去した後、pHを4に調整して固体を析出させた。4℃で一晩冷却した後、析出した固体をろ過した。純水で洗浄した後、乾燥させて、(4-(4-アミノベンゼンスルホニルアミノ)-1-ヒドロキシブタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸ナトリウムを得た。
カーボンブラック20g、(4-(4-アミノベンゼンスルホニルアミノ)-1-ヒドロキシブタン-1,1-ジイル)ビスホスホン酸ナトリウム7mmol、硝酸20mmol、及び純水200mLを室温下、6,000rpmで30分混合して混合物を得た。カーボンブラックとしては、商品名「NIPex180IQ」(オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用いた。混合には、シルヴァーソン混合機を使用した。得られた混合物に少量の水に溶解させた亜硝酸ナトリウム20mmolをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムの添加によって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、20容量部の純水を加えて限外ろ過し、分散液を得た。イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、自己分散顔料の含有量が15.0%である顔料分散液17を得た。この自己分散顔料は、カーボンブラックの粒子表面に下記式(A)で表される基(*は結合位置を表す)が結合した自己分散顔料である。
Figure 0007301605000002
(顔料分散液18)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却し、p-アミノ安息香酸1.55gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて10℃以下に冷却し、5℃の水9.0gに亜硝酸カリウム2.2gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(商品名「NIPex180IQ」、オリオンエンジニアドカーボン製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。これにより、カーボンブラックの粒子表面に-C-COOK基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して自己分散顔料の含有量を調整し、自己分散顔料の含有量が15.0%である顔料分散液18を得た。
(顔料分散液19)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却し、スルファニル酸1.95gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて10℃以下に冷却し、5℃の水9.0gに亜硝酸カリウム2.2gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(商品名「NIPex180IQ」、オリオンエンジニアドカーボン製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。これにより、カーボンブラックの粒子表面に-C-SOK基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して自己分散顔料の含有量を調整し、自己分散顔料の含有量が15.0%である顔料分散液19を得た。
(顔料分散液20)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却し、4-アミノフタル酸1.6gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて10℃以下に冷却し、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム2.2gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、カーボンブラック(商品名「NIPex180IQ」、オリオンエンジニアドカーボン製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。これにより、カーボンブラックの粒子表面に-C-(COONa)基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して自己分散顔料の含有量を調整し、自己分散顔料の含有量が15.0%である顔料分散液20を得た。
(顔料分散液21)
特開平8-003498号公報の「実施例1」の記載を参考にして、顔料分散液12を調製した。具体的には、まず、次亜塩素酸ソーダを用いてカーボンブラック(商品名「NIPex180IQ」、オリオンエンジニアドカーボン製)を酸化処理して分散液を得た。次いで、イオン交換法により分散液中のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換した後、限外ろ過して、自己分散顔料の含有量が15.0%である顔料分散液21を得た。
(顔料分散液22)
スチレン/アクリル酸共重合体を中和当量1となる水酸化ナトリウムを用いてイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。スチレン/アクリル酸共重合体は、その組成(モル比)がスチレン:アクリル酸=33:67で表される水溶性樹脂であり、重量平均分子量は10,000、酸価は200mgKOH/gである。カーボンブラック(商品名「NIPex180IQ」、オリオンエンジニアドカーボン製)15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、及び水55.0部の混合物をサンドグラインダーに入れ、1時間分散処理した。遠心分離処理して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した。適量の水を添加して、顔料の含有量が15.0%であり、樹脂の含有量が6.0%である顔料分散液22を得た。
<液状の色材組成物の調製>
表2-1及び2-2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌して液状の色材組成物I-1~I-22を調製した。表2-1及び2-2中、「サーフィノール465」は、エアープロダクツ製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の商品名であり、エチレンオキサイド基の付加モル数が10の界面活性剤である。
Figure 0007301605000003
Figure 0007301605000004
<評価(I)液状の色材組成物>
(希釈性)
図1に示す主要部の構成を有するとともに、図2に示す構成のインク供給系を組み込んだインクジェット記録装置を用意した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域(1ピクセル)にインク滴24ngを付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義した。インクジェット記録装置のメインタンクに、液状の色材組成物と、希釈液としての同量の純水とを、表3に示す順序で投入し、撹拌棒を用いて、泡立たない程度の力で15秒間撹拌した。メインタンク中のインクの分散状態を確認した後、普通紙(商品名「PB PAPER」、キヤノン製)に記録デューティが100%であるベタ画像(2cm×15cm/3ライン)を記録した。記録したベタ画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって希釈性を評価した。本発明においては、以下に示す評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
A:インクに溶け残りがなく、画像に色ムラがなかった。
B:インクに溶け残りがあり、画像に軽微な色ムラがあった。
C:インクに溶け残りがあり、記録が乱れる程度の色ムラがあった。
Figure 0007301605000005
<希釈液、及び固体状の色材組成物の調製>
(希釈液)
以下に示す各成分(合計97.0部)を混合し、十分に撹拌して希釈液を調製した。以下に示す成分のうち、「サーフィノール465」は、エアープロダクツ製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物の商品名であり、エチレンオキサイド基の付加モル数が10の界面活性剤である。
・グリセリン:15.0部
・トリエチレングリコール:10.0部
・サーフィノール465:0.5部
・純水:71.5部
(固体状の色材組成物)
表4に示す顔料分散液をそれぞれ凍結乾燥した後、圧縮して、色材組成物II-1~II-30を得た。得られた色材組成物の嵩密度及び長さ平均粒子径の測定結果を表4に示す。色材組成物の嵩密度は、ふるいを通して自然落下させてメスシリンダーに充填した際の密度として測定した。また、色材組成物の長さ平均粒子径は、振動式ふるい分け方法により測定した。
Figure 0007301605000006
<評価(II)固体状の色材組成物>
(希釈性)
上記評価(I)と同様のインクジェット記録装置のメインタンクに表5に示す種類の固体の色材組成物3.00部と、上記で調製した希釈液97.00部とを、表5に示す投入順序で投入し、撹拌棒を用いて、泡立たない程度の力で30秒間撹拌した。それ以降、上記評価(I)と同様にして色材組成物の希釈性を評価した。本発明においては、以下に示す評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
A:色材組成物の溶け残りがなく、画像に色ムラがなかった。
B:色材組成物の溶け残りがあり、画像に軽微な色ムラがあった。
C:色材組成物の溶け残りがあり、記録が乱れる程度の色ムラがあった。
Figure 0007301605000007

Claims (17)

  1. 第1インク収容部、記録ヘッドを有する第2インク収容部、及び前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと水性インクを供給するチューブを備えたインクジェット記録装置(但し、静電濃縮型インクジェット記録装置を除く)前記第1インク収容部内において希釈液で希釈して前記インクジェット記録装置に用いる前記水性インクを調製するために用いられる、色材を含有する色材組成物であって、
    前記色材が、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散顔料であることを特徴とする色材組成物。
  2. 液状の組成物である請求項1に記載の色材組成物。
  3. さらに、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を含有する請求項に記載の色材組成物。
  4. 前記希釈液が、水である請求項又はに記載の色材組成物。
  5. 固体状の組成物である請求項1に記載の色材組成物。
  6. インクジェット記録装置のインク収容部内において希釈液で希釈して前記インクジェット記録装置に用いる水性インクを調製するために用いられる、色材を含有する色材組成物であって、
    固体状の組成物であり、
    前記色材が、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合した自己分散顔料であることを特徴とする色材組成物。
  7. その嵩密度が、0.10g/mL以上0.50g/mL以下である請求項5又は6に記載の色材組成物。
  8. その長さ平均粒子径が0.5mm以上5.0mm以下の粒状物である請求項5乃至7のいずれか1項に記載の色材組成物。
  9. 前記希釈液が、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を含有する請求項乃至のいずれか1項に記載の色材組成物。
  10. 前記顔料が、カーボンブラックである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の色材組成物。
  11. 前記カーボンブラックのBET比表面積が、300m/g以下である請求項10に記載の色材組成物。
  12. 前記カーボンブラックのDBP吸油量が、80mL/100g以上である請求項10又は11に記載の色材組成物。
  13. 前記自己分散顔料が、前記顔料の粒子表面に前記アニオン性基が直接に結合したものである請求項1乃至12のいずれか1項に記載の色材組成物。
  14. 色材を含有する色材組成物を準備する工程と、
    第1インク収容部、記録ヘッドを有する第2インク収容部、及び前記第1インク収容部から前記第2インク収容部へと水性インクを供給するチューブを備えたインクジェット記録装置(但し、静電濃縮型インクジェット記録装置を除く)前記第1インク収容部内において前記色材組成物を希釈液で希釈して前記水性インクを調製する工程と、
    前記水性インクを前記インクジェット記録装置の前記記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する工程と、を有し、
    前記色材組成物が、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の色材組成物であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  15. 前記インク収容部内に、前記色材組成物及び前記希釈液をこの順に投入する請求項14に記載のインクジェット記録方法。
  16. 色材を含有する色材組成物を準備する工程と、
    インクジェット記録装置のインク収容部内において前記色材組成物を希釈液で希釈して水性インクを調製する工程と、
    前記水性インクを前記インクジェット記録装置の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する工程と、を有し、
    前記色材組成物が、請求項6乃至13のいずれか1項に記載の色材組成物であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  17. 前記インク収容部内に、前記色材組成物及び前記希釈液をこの順に投入する請求項16に記載のインクジェット記録方法。
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