JP2017081057A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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正典 吉田
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Abstract

【課題】インク収容部を形成する筺体にタンタルを含む保護層が設けられた記録ヘッドを直接貼り合わせた構成を有するインクジェット記録装置を使用した場合であっても、吐出よれが発生しにくく、ブリーディングが抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】ブランクインク及びカラーインクを含む複数の水性インクと、インク収容部108及び109と、記録ヘッド203とを備えたインクジェット記録装置を使用して画像を記録するインクジェット記録方法である。ブラックインクが、カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料を含有するとともに、カーボンブラックの粒子表面に結合した前記ヒドロキシ基の量が、0.05mmol/g以上0.20mmol/g以下であり、カラーインクが、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有する。【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法によれば、様々な記録媒体へ画像を記録することができる。そして、より良好な画像を得るため、例えば、光沢紙などに写真画質の画像を記録するのに適したインクや、普通紙などに文書を記録するのに適したインクなど、目的に応じた種々のインクが提案されている。
近年では、記録媒体として普通紙などを用い、文字や図表などを含むビジネス文書などの記録にもインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への使用頻度が格段に高まってきている。また、インクジェット記録方法の技術の発展に伴い、長期間の使用に対するインクジェット記録装置の耐久性や信頼性を高めて高い生産性を実現することが要求されるようになっている。このような要求に対し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する方式の記録ヘッドについて、累積吐出数が増大してもダメージが軽減されるような工夫がなされている。例えば、発熱部(ヒータ)のインクが接触する面にタンタルを含む保護層を設けた記録ヘッドが提案されている(特許文献1)。
特開2003−266701号公報
本発明者らは、累積の記録可能枚数を増加させるべく、タンタルを含む保護層が設けられた記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置を用いて検討を行った。その結果、タンタルを含む保護層が設けられていない記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置と比べて、記録可能枚数を飛躍的に増加させることが可能であることを確認した。しかし、放熱板などの他の部材を介在させることなく、インク収容部を形成する筺体に記録ヘッドを直接貼り合わせた形態とした場合、ブラックインクとカラーインクで記録した画像にブリーディングが発生しやすくなることが判明した。さらに、上記の構成を有するインクジェット記録装置を使用して連続記録した場合、吐出よれが生ずることがわかった。
したがって、本発明の目的は、インク収容部を形成する筺体にタンタルを含む保護層が設けられた記録ヘッドを直接貼り合わせた構成を有するインクジェット記録装置を使用し、画像を連続して記録した場合に生ずる課題を解決することにある。すなわち、上記のインクジェット記録装置を使用した場合であっても、吐出よれが発生しにくく、ブリーディングが抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、ブラックインク及びカラーインクを含む複数の水性インクと、前記水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、熱エネルギーを発生する発熱部を有する、前記熱エネルギーの作用により前記水性インクを吐出する記録ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置を使用し、前記水性インクを前記記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インク収容部が、熱可塑性樹脂で形成された筐体であるとともに、他の部材を介在させることなく前記記録ヘッドが直接貼り合わされており、前記発熱部の前記水性インクと接する面に、タンタル及びタンタル酸化物の少なくともいずれかを含む保護層が形成されており、前記ブラックインクが、カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料を含有するとともに、前記カーボンブラックの粒子表面に結合した前記ヒドロキシ基の量が、0.05mmol/g以上0.20mmol/g以下であり、前記カラーインクが、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、インク収容部を形成する筺体にタンタルを含む保護層が設けられた記録ヘッドを直接貼り合わせた構成を有するインクジェット記録装置を使用し、画像を連続して記録した場合に生ずる課題を解決することができる。すなわち、上記のインクジェット記録装置を使用した場合であっても、吐出よれが発生しにくく、ブリーディングが抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 インク供給系の一例を示す模式図である。 記録素子基板の一例を示す模式図であり、(a)は吐出口側から見た正面図、(b)は(a)のX−Y断面図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、以下、インクジェット用の水性インクのことを「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
本発明者らは、インク収容部を形成する筺体にタンタルを含む保護層が設けられた記録ヘッドを直接貼り合わせた構成を有するインクジェット記録装置を使用し、連続記録時に生ずる吐出よれ、及びブリーディングを抑制するための構成について検討した。その結果、以下に示すブラックインク及びカラーインクを含む複数の水性インクを用いることで、上記の構成を有するインクジェット記録装置を使用して連続記録した場合であっても、吐出よれやブリーディングを抑制可能となることを見出した。その理由について、本発明者らは以下のように推測している。
ブラックインク:カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料を含有するとともに、カーボンブラックの粒子表面に結合したヒドロキシ基の量が、0.05mmol/g以上0.20mmol/g以下である。
カラーインク:主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有する。
上記のブラックインクに色材として含有される自己分散顔料(カーボンブラック)は、粒子表面に親水性のカルボン酸基及びヒドロキシ基が結合しているため、分散安定性が高く、カラーインクや記録媒体のセルロースとの親和性も高い。したがって、このブラックインクとカラーインクを併用して記録した2次色画像においては、ブリーディングが発生しやすい。これに対して、本発明者らの検討の結果、水素結合性を有する水溶性有機溶剤であるアルコール類、アルカンジオール類、又は尿素類を含有するカラーインクを用いることで、ブリーディングをある程度は抑制しうることがわかった。ブラックインクとカラーインクが記録媒体上で接触する際、カラーインク中の水溶性有機溶剤がブラックインク中の自己分散顔料の水和水を奪い、自己分散顔料の分散安定性が低下する。その結果、ブラックインクがカラーインクに対して滲みにくくなり、ブリーディングが抑制されると考えられる。
ブリーディングを抑制するには、カーボンブラックの粒子表面に結合したヒドロキシ基の量(ヒドロキシ基量)が0.20mmol/g以下であることを要する。自己分散顔料のヒドロキシ基量が0.20mmol/g超であると、記録媒体を構成するセルロースと自己分散顔料との親和性が高くなりすぎてしまい、ブラックインクが記録媒体に濡れ広がることでブリーディングが生じやすくなる。
インクジェット記録方法では、記録ヘッドからインクを吐出する際などに微小なインク滴(ミスト)が生じる。従来のインクジェット記録装置の場合、記録ヘッドの吐出口面に付着したインクのミストはワイピング処理によって容易に除去されるので、吐出よれは生じていなかった。一方、インク収容部に放熱板を介在させることなく記録ヘッドが直接貼り合わされ、かつ、タンタルなどの保護層が発熱部のインクとの接触面に形成されたインクジェット記録装置の場合、従来のインクジェット記録装置に比して、吐出口面の温度上昇が大きい。このため、吐出口面に付着したブラックインクのミストからの水分蒸発が促進されてしまい、カーボンブラックの凝集物が析出しやすくなる。したがって、ワイピング処理によっても凝集物が除去しきれなくなることが判明した。そして、ワイピング処理によっても除去しきれない凝集物により、インクの吐出方向がずれて、吐出よれが発生すると考えられる。
これに対し、上述の自己分散顔料を含有するブラックインクを用いると、自己分散顔料のヒドロキシ基により、水分を失って固化した状態の凝集物の表面が親水性になるため、凝集物が吐出口面に固着しにくくなる。なお、カルボン酸基が他の置換基を介してカーボンブラックの粒子表面に結合した自己分散顔料を含有するブラックインクを用いると、凝集物の表面に露出するヒドロキシ基の比率が減少するため、吐出よれを抑制する効果が発現しない。
以上の通り、特定の自己分散顔料を含有するブラックインクを用いることで、吐出口面への凝集物の強固な付着を抑制できることがわかった。但し、このブラックインクを用いるだけでは、吐出よれを抑制するレベルが未だ不十分であることも判明した。そこで、本発明者らは、カラーインクに含有させる水溶性有機溶剤の種類についてさらに検討した。その結果、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有するカラーインクを用いることで、吐出口面への凝集物の固着を抑制する効果がさらに向上し、吐出よれを高いレベルで抑制できることがわかった。上記の分岐アルカンジオールのアルキル部位は、吐出口面で固着した凝集物に対して疎水性相互作用し、凝集物の表面及び内部に吸着する。この際、分岐アルカンジオールのヒドロキシ基が凝集物の表面に向くため、吐出口面への凝集物の固着力が低下すると推測される。また、分岐アルカンジオールは、直鎖アルカンジオールに比して凝集物内部への浸透力が小さいため、凝集物表面への吸着が優位となる。さらに、分岐鎖が立体障害となって主鎖が立体的に変形しにくいことに加えて、分岐アルカンジオール同士の相互作用を適度に抑制するため、末端のヒドロキシ基が凝集物の表面により出やすくなる。このため、吐出口面に対する凝集物の固着力が低下すると考えられる。
このように、特定の自己分散顔料を含有するブラックインクと、分岐アルカンジオールを含有するカラーインクとを組み合わせて用いることで、連続記録時に生ずる吐出よれ、及びブリーディングを抑制することができる。なお、従来、ブリーディングの抑制に有効とされていた、水素結合性を有する水溶性有機溶剤としては、2−メチル−1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1、5−ペンタンジオールなどのアルコール類、エチレン尿素などの含窒素化合物類がある。しかし、これらの水溶性有機溶剤は凝集物の吐出口面への固着力を低下させる能力が不足しているため、これらの水溶性有機溶剤を上記の分岐アルカンジオールに代えて使用しても、吐出よれの抑制効果を得ることはできない。
以下、本発明のインクジェット記録方法、このインクジェット記録方法で好適に用いることができるインクジェット記録装置、記録ヘッド、及び水性インクなどについてそれぞれ説明する。
<インクジェット記録装置の概略構成>
本発明のインクジェット記録方法は、複数の水性インク、水性インクをそれぞれ収容するインク収容部、及び熱エネルギーの作用により水性インクを吐出する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用する記録方法である。水性インクは、ブラックインク及びカラーインクを含む。また、記録ヘッドは、熱エネルギーを発生する発熱部を有する。以下、本発明のインクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録装置の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図1に示す実施形態のインクジェット記録装置は、X方向(主走査方向)に記録ヘッドを往復走査させて記録動作を行う、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録装置である。記録媒体101は、搬送ローラ107によってY方向(副走査方向)へと間欠的に搬送される。キャリッジ103に搭載された記録ユニット102は、記録媒体101の搬送方向であるY方向と直交するX方向(主走査方向)に往復走査される。そして、記録媒体101のY方向への搬送と、記録ユニット102のX方向への往復走査によって、記録動作が行われる。
図2は、インク供給系の一例を示す模式図である。図2に示すように、記録ユニット102は、供給されるインクを複数の吐出口から吐出するインクジェット方式の記録ヘッド203と、第2インク収容部としてのサブタンク202とで構成されている。この記録ユニット102は、図1に示すようにキャリッジ103に搭載されている。キャリッジ103は、X方向に沿って配置されたガイドレール105に沿って移動可能に支持されており、ガイドレール105と並行に移動する無端ベルト106に固定されている。無端ベルト106は、モータの駆動力によって往復運動する。無端ベルト106の往復運動によって、キャリッジ103がX方向に往復走査される。
メインタンク収容部108及び109の内部には、第1インク収容部としてのメインタンク201(図2)がそれぞれ収納される。メインタンク収容部108及び109に収納されたメインタンク201と、記録ユニット102のサブタンク202とは、インク供給チューブ104によって接続される。インクは、メインタンク201からインク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203の吐出口から吐出されるが、これらの部材はいずれもインクの種類に対応した数で設けられる。そして、図1に示すように、メインタンク収容部108内のメインタンクと、記録ユニット102を構成するサブタンクとは、カラーインク用チューブ111によって接続されている。また、メインタンク収容部109内のメインタンクと、記録ユニット102を構成するサブタンクとは、ブラックインク用チューブ112によって接続されている。
メインタンク201内に収容されたインク(ハッチングで示す)は、インク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203へと供給される。メインタンク201には、大気連通部としての気体導入チューブ204が接続されている。画像記録によってインクが消費されると、メインタンク201からサブタンク202へとインクが供給され、メインタンク201内のインクが減少する。そして、メインタンク201内のインクの減少に伴い、その一端が大気に開放されている気体導入チューブ204からメインタンク201内に空気が導入されることにより、インク供給系においてインクを保持するための内部負圧が略一定に保たれる。
カラーインク用チューブ111及びブラックインク用チューブ112を含むインク供給チューブ104は、キャリッジ103に搭載された記録ユニットを構成するサブタンク202に接続している。このため、インク供給チューブ104は、キャリッジ103の往復走査に追従して装置内を引き回される。したがって、インク供給チューブ104を構成する材料としては、キャリッジ103の頻繁な往復走査に耐えうる柔軟性を有するものを選択して用いることが好ましい。このため、インク供給チューブ104は、樹脂材料で形成されていることが好ましい。
第1インク収容部及び第2インク収容部(筺体)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテルなどの熱可塑性樹脂;熱可塑性樹脂の混合物や改質物などで形成することができる。筺体の内部には、インクを保持するための負圧を発生しうるインク吸収体を配設してもよい。インク吸収体としては、ポリプロピレンやポリウレタンなどの樹脂製の繊維を圧縮したものが好ましい。また、筐体の内部にインク吸収体を配設せず、筺体の内部にインクを直接収容してもよい。
図2に示す実施形態の記録ユニット102は、記録ヘッド203とサブタンク202で構成されている。サブタンクが装着され、かつ、記録ヘッドが組み込まれたヘッドカートリッジである記録ユニットがキャリッジに装着されていてもよい。また、サブタンクと記録ヘッドが一体的に構成された記録ユニットがキャリッジに装着されていてもよい。本発明においては、図1及び2に示すように、第2インク収容部であるサブタンク202が熱可塑性樹脂で形成された筐体であるとともに、放熱板などの他の部材を介在させることなく記録ヘッド(記録素子基板)203が直接貼り合わされている。また、記録ヘッド203のインク吐出方式は、熱エネルギーをインクに付与して吐出する方式である。
図3は、記録素子基板の一例を示す模式図であり、(a)は吐出口側から見た正面図、(b)は(a)のX−Y断面図である。図3に示すように、記録ヘッド203は、シリコン基板301、蓄熱層302、層間層303、発熱抵抗層304、金属配線層305、保護層306、及び流路形成部材308が順次積層して構成されている。発熱抵抗層304におけるヒータなどの発熱部307から発生した熱エネルギーが、ノズル312の液室部分310内のインクに作用する。保護層306上に配置された流路形成部材308によって、インクを吐出するための吐出口309を備えた吐出素子が形成される。発熱部307は高温に曝されるだけでなく、インクの発泡及びその後の泡の収縮に伴うキャビテーションの衝撃や、インクによる化学的作用を受けている。このため、様々な作用から発熱部307を保護すべく、発熱部307のインクと接する面には、タンタル及びタンタル酸化物の少なくともいずれを含む保護層306が形成されている。インクは、液室部分310に隣接して配置された共通液室311より液室部分310内に供給される。そして、発熱部307から発生した熱エネルギーによって生じた泡によってインクが吐出口309から押し出され、インク滴として吐出される。
<水性インク>
本発明のインクジェット記録方法では、ブラックインク及びカラーインクを含む複数の水性インクを備えたインクジェット記録装置を使用する。そして、このインクジェット記録装置を使用し、水性インクを熱エネルギーの作用により記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する。以下、ブラックインク及びカラーインクを含む複数の水性インクの詳細について説明する。
(ブラックインクの色材)
ブラックインクは、カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料を色材として含有する。ブラックインク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。自己分散顔料の含有量が0.10質量%未満であると、画像の光学濃度がやや低下する場合がある。一方、自己分散顔料の含有量が15.00質量%超であると、固着回復性がやや低下する場合がある。
カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料は、種々の方法により製造される。生産性やコストの観点から、カーボンブラックを過酸化水素水や次亜塩素酸塩などの酸化剤で酸化処理する方法、オゾンガスにより酸化処理する方法などの、酸化処理方法により製造した自己分散顔料を用いることが好ましい。酸化処理方法では、顔料の粒子表面を酸化する過程で必然的にヒドロキシ基が生成する。つまり、基本的には、酸化処理の条件(処理時間や撹拌条件など)を厳しくすれば、カルボン酸基及びヒドロキシ基が増加する。したがって、カルボン酸基及びヒドロキシ基の量は、酸化処理の条件によりコントロールすることができる。
カーボンブラックの粒子表面に直接結合したカルボン酸基の量(カルボン酸基量)は、0.15mmol/g以上0.40mmol/g以下であることが好ましい。カルボン酸基量の単位は、自己分散顔料の固形分1g当たりのカルボン酸基のミリモル数である。カルボン酸基量が0.15mmol/g未満であると、自己分散顔料の分散安定性が低下し、吐出よれが生ずる場合がある。一方、カルボン酸基量が0.40mmol/g超であると、自己分散顔料の親水性が高くなりすぎて記録媒体に浸透しやすくなるため、画像の光学濃度が低下する場合がある。
カーボンブラックの粒子表面に直接結合したヒドロキシ基の量(ヒドロキシ基量)は、0.05mmol/g以上0.20mmol/g以下である。ヒドロキシ基量の単位は、自己分散顔料の固形分1g当たりのヒドロキシ基のミリモル数である。ヒドロキシ基量が0.05mmol/g未満であると、吐出口面に付着し固化した凝集物表面の親水化が不十分であり、吐出よれを抑制することができない。一方、ヒドロキシ基量が0.20mmol/g超であると、記録媒体を構成するセルロースとの親和性が高くなりすぎてしまい、耐ブリーディング性が不十分となる。
(ヒドロキシ基量及びカルボン酸基量の測定方法:選択的中和法)
従来、自己分散顔料の官能基量の測定方法としては、アニオン性基のカウンターイオンの濃度を測定し、アニオン性基の量に換算する方法や、滴定法により分散状態の顔料の粒子表面のアニオン性基の量を測定する方法が利用されてきた。しかし、これらの方法では、顔料の粒子表面に結合したノニオン性の親水性基であるヒドロキシ基の量を測定することはできない。
本発明においては、自己分散顔料のカルボン酸基量とヒドロキシ基量は、選択的中和法により求める。選択的中和法は、アニオン性の官能基やノニオン性の官能基の解離定数がそれぞれ異なることを利用し、強度が異なる塩基性物質によって中和滴定を行い、顔料の粒子表面に導入されている官能基を定量する方法である。
以下、顔料分散液を試料とし、選択的中和法によって官能基量を測定する方法について説明する。インクから適切な方法により分取した自己分散顔料を水に分散させたものを試料として官能基量を測定することも勿論可能である。
(1)顔料分散液に酸を加えてpHを2以下とし、常温(25℃)で24時間撹拌して顔料を沈殿させる。
(2)遠心分離により上澄みの液体を除去して、顔料(固形分)を採取する。
(3)採取した顔料を十分に乾燥させた後、メノウ乳鉢を用いてすり潰して試料を調製する。
(4)秤量した試料に濃度既知の塩基性化合物の水溶液を所定量添加して24時間撹拌し、測定対象である官能基を中和する(選択的中和)。
(5)遠心分離により上澄みの液体を採取して、中和に使用されなかった塩基性化合物を、濃度既知の酸を用いて中和滴定して定量する。
(6)上記(4)の選択的中和に用いたものと同量の濃度既知の塩基性化合物の水溶液(ブランク)を、濃度既知の酸を用いて中和滴定して定量する。
(7)上記(6)と(5)の定量値の差分を選択的中和で使用した塩基性化合物量(mmol)とし、顔料1gの値に換算して、測定対象である官能基の量(mmol/g)を求める。
顔料の選択的中和法においては、塩基性化合物として炭酸水素ナトリウムを用いるとカルボン酸基を定量することができる。また、塩基性化合物として炭酸ナトリウムを用いると、カルボン酸基及びラクトン基の合計量を定量することができる。さらに、塩基性化合物として水酸化ナトリウムを用いると、カルボン酸基、ラクトン基、及びヒドロキシ基の合計量を定量することができる。したがって、ヒドロキシ基の定量値は、水酸化ナトリウムによる定量値(カルボン酸基+ラクトン基+ヒドロキシ基)から、炭酸ナトリウムによる定量値(カルボン酸基+ラクトン基)を引いた値となる。
(カラーインクの色材)
カラーインクの色材としては、顔料や染料を用いることができる。カラーインク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
色材として顔料を用いる場合、顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、界面活性剤により分散させた顔料、及び顔料の粒子表面の少なくとも一部を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を含む官能基を結合させた自己分散顔料や、顔料の粒子表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、フタロシアニン、アザフタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどを挙げることができる。
染料を色材として用いる場合、染料としてはアゾ染料やフタロシアニン染料が好ましい。アゾ染料やフタロシアニン染料を用いると、普通紙などの記録媒体に記録した画像の発色性が向上するとともに、インクの信頼性も良好となる。アゾ染料としては、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132などが好ましい。また、フタロシアニン染料としては、C.I.ダイレクトブルー199などが好ましい。
(分岐アルカンジオール)
カラーインクは、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有する。カラーインク中の分岐アルカンジオールの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上15.00質量%以下であることが好ましい。分岐アルカンジオールの含有量が1.00質量%未満であると、吐出よれの抑制効果がやや低下する場合があるとともに、耐ブリーディング性もやや低下する場合がある。一方、分岐アルカンジオールの含有量が15.00質量%超であると、吐出よれがやや生じやすくなる場合がある。自己分散顔料の分散安定性が低下しない範囲で、上記の分岐アルカンジオールをブラックインクに含有させてもよい。
主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールの具体例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,4,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオール、1,2,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,6−ジメチル−1,8−オクタンジオールなどを挙げることができる。
主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールの炭素数は、4以上9以下であることが好ましい。炭素数には、アルカンの主鎖を構成する炭素原子と、分岐鎖を構成する炭素原子のいずれもが含まれる。分岐アルカンジオールの最小炭素数は4である。主鎖の両末端にヒドロキシ基を有するアルカンジオールの場合、炭素数が4未満であるものは分岐を有しない。直鎖構造のアルカンジオールは、分岐鎖を有しないために、主鎖が立体的に変形しやすく、凝集物の内部への浸透力が大きいため、凝集物表面に吸着しづらくなり、吐出よれを抑制することができない。分岐アルカンジオールの炭素数が9超であると、吐出よれがやや生じやすくなる場合がある。
主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールは、分子構造が対称となるように主鎖が分岐鎖(置換基)を有することが好ましい。例えば、主鎖を構成する炭素原子の数が奇数である場合には、主鎖の中央に位置する炭素が分岐鎖(置換基)を有することが好ましい。このような分岐アルカンジオールの具体例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどを挙げることができる。なかでも、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを用いると、吐出よれの抑制と、ブリーディングの抑制とを高いレベルで両立することができるために特に好ましい。
(水性媒体)
水性インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、前述のアルカンジオール以外のアルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、その他の含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を用いることができる。水性インク中の水溶性有機溶剤(分岐アルカンジオールを含む)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
水性インクには、所望の物性値とするために、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
水性インクの25℃での粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの25℃での静的表面張力は、25.0mN/m以上45.0mN/m以下であることが好ましく、30.0mN/m以上40.0mN/m以下であることがさらに好ましい。また、インクの25℃でのpHは、5以上9以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<ヒドロキシ基量及びカルボン酸基量の測定>
顔料分散液に1.0mol/L塩酸を加えてpHを2以下とし、25℃で24時間撹拌して顔料を沈殿させた。5,000rpmで30分間遠心分離した後、上澄み液を除去して顔料を採取した。採取した顔料を60℃のオーブンに入れて24時間乾燥させた後、メノウ乳鉢を用いてすり潰して試料を調製した。調製した試料(顔料)0.5gに0.1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液30.0gを添加して24時間撹拌し、カルボン酸基の選択的中和を行った。80,000rpmで60分間遠心分離した後、上澄み液を採取した。採取した上澄み液に含まれる炭酸水素ナトリウム(中和に使用されなかったもの)を、0.1mol/L塩酸を用いて中和滴定して定量した(Aモルとする)。ブランクとして0.1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液30.0gを用意し、このブランク中の炭酸水素ナトリウムを、0.1mol/Lの塩酸を用いて中和滴定して定量した(Bモルとする)。得られた上記の定量値A及びBの差分(A−B)を選択的中和で使用した炭酸水素ナトリウムの量とし、顔料1gの値に換算して、カルボン酸基量C(mmol/g)を求めた。
また、炭酸水素ナトリウムに代えて炭酸ナトリウムを用いたこと以外は、上記のカルボン酸基量の測定方法と同様の手順で、カルボン酸基及びラクトン基の合計の量C+L(mmol/g)を求めた。また、炭酸水素ナトリウムに代えて水酸化ナトリウムを用いたこと以外は、上記のカルボン酸基量の測定方法と同様の手順で、カルボン酸基、ラクトン基、及びヒドロキシ基の合計の量C+L+H(mmol/g)を求めた。この合計の量C+L+H(mmol/g)から、合計の量C+L(mmol/g)を引くことで、ヒドロキシ基量H(mmol/g)を求めた。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1〜9)
特表2003−535949号公報の実施例3の記載を参考にし、オゾンガスを用いて顔料を表面酸化処理して自己分散顔料を調製した。具体的には、まず、顔料をイオン交換水に予備分散させた後、表1に示す時間のオゾン処理を行った。顔料としては、カーボンブラック(商品名「FW−18」、オリオンエンジニアドカーボン製、BET比表面積260m2/g、DBP吸油量140mL/100g)を用いた。次いで、水酸化カリウムを添加して混合物のpHを7程度に調整しながら、表1に示す時間、液−液衝突型の分散機を用いて循環混合した。その後、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、自己分散顔料の含有量が10.0%である顔料分散液1〜9を得た。
(顔料分散液10)
カーボンブラックの粒子表面に芳香族基を介してカルボン酸基が結合した自己分散顔料を含む、市販の顔料分散液(商品名「Cab−o−jet 300」、キャボット製)を用意した。この顔料分散液に適量のイオン交換水を添加して、顔料の含有量を10.0%に調整したものを顔料分散液10とした。なお、顔料分散液10に含まれる自己分散顔料は原料となるカーボンブラックを製造する過程で生成するヒドロキシ基が粒子表面に結合している。
顔料分散液1〜10中の自己分散顔料のヒドロキシ基量及びカルボン酸基量を表1に示す。
Figure 2017081057
<インクの調製>
表2、3−1、3−2、4−1、4−2、5−1、及び5−2の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表2、3−1、3−2、4−1、4−2、5−1、及び5−2中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)の商品名である。また、表3−1、3−2、4−1、4−2、5−1、及び5−2の下段には、各インク中の主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオール(「アルカンジオール」と表記)の含有量(%)を示す。
Figure 2017081057
Figure 2017081057
Figure 2017081057
Figure 2017081057
Figure 2017081057
Figure 2017081057
Figure 2017081057
<評価>
図1に示す主要部の構成を有するとともに、図2に示す構成のインク供給系を組み込んだインクジェット記録装置を用意した。そして、調製したインクを表6に示す組み合わせでインク収容部(メインタンク)に充填した。実施例、比較例、及び参考例で使用したサブタンク及び記録素子基板の吐出口列の構成を以下に示す。
〔サブタンクの構成〕
[実施例1〜14及び比較例1〜8]
熱可塑性樹脂で形成された筺体に、熱エネルギーを付与してインクを吐出する記録ヘッドを備えた記録素子基板を貼り合わせた形態とした。記録ヘッドにおける発熱部のインクと接する面には、タンタルを含む保護層(タンタル層)を設けた。
[参考例1、3、5]
熱可塑性樹脂で形成された筺体に、熱エネルギーを付与してインクを吐出する記録ヘッドを備えた記録素子基板を貼り合わせた形態とした。記録ヘッドにおける発熱部のインクと接する面には、保護層を設けなかった。
[参考例2、4、6]
熱可塑性樹脂で形成された筺体に、アルミナで形成された放熱板を介して、熱エネルギーを付与してインクを吐出する記録ヘッドを備えた記録素子基板を貼り合わせた形態とした。記録ヘッドにおける発熱部のインクと接する面には、保護層を設けなかった。
本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が5.5ngであるインク滴を2滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義した。本発明においては、以下に示す評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表6に示す。
(吐出よれ)
上記のインクジェット記録装置を用いて、各インクの記録デューティを15%として、1,000枚の記録媒体の全面にブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクを重ねるように吐出してベタ画像を記録した。記録媒体としては、商品名「Canon Office」(普通紙、キヤノン製、A4サイズ)を使用した。また、記録条件は、温度30℃、相対湿度10%とした。回復操作後のノズルチェックパターンを目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって吐出よれを評価した。以下の評価基準における「クリーニング操作」は、記録ヘッドの吐出口からインクを吸引した後に、吐出口面をワイピングする操作である。
AA:クリーニング操作0回で正常な記録ができた。
A:クリーニング操作0回では正常の記録ができなかったが、1回で正常な記録ができた。
B:クリーニング操作1回では正常な記録ができなかったが、3回で正常な記録ができた。
C:クリーニング操作を3回繰り返しても、安定した吐出ができず、正常な記録ができなかった。
(耐ブリーディング性)
上記のインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境下、ブラックインクのベタ画像とカラーインクのベタ画像が隣接した画像を記録媒体(商品名「キヤノンオフィスペーパー」、キヤノン製)に記録した。記録した画像は、正方形(10cm×10cm)を5×5のマス目(1マスのサイズ:2cm×2cm)に区画し、ブラックインクのベタ画像とカラーインクのベタ画像を交互に並べたものとした。記録デューティはいずれのベタ画像も100%とした。ブラックインクのベタ画像とカラーインクのベタ画像との境界を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブリーディング性を評価した。
A:ブリーディングが生じていなかった。
B:ブリーディングが生じていたが、境界は判別できた。
C:境界が判別できないほどブリーディングが生じていた。
(吐出性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、A4サイズの記録媒体(普通紙、商品名「Canon Office」、キヤノン製)の全面に、各インクの記録デューティをそれぞれ10%として重ね合わせたベタ画像を3,000枚分記録した。その後、同様の記録媒体に各インクを用いて、縦罫線を記録した。記録した縦罫線を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって吐出性を評価した。
A:いずれのインクも正常に吐出されていた。
C:少なくともいずれかのインクに吐出のよれ又は不吐出があった。
Figure 2017081057

Claims (6)

  1. ブラックインク及びカラーインクを含む複数の水性インクと、前記水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、熱エネルギーを発生する発熱部を有する、前記熱エネルギーの作用により前記水性インクを吐出する記録ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置を使用し、前記水性インクを前記記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インク収容部が、熱可塑性樹脂で形成された筐体であるとともに、他の部材を介在させることなく前記記録ヘッドが直接貼り合わされており、
    前記発熱部の前記水性インクと接する面に、タンタル及びタンタル酸化物の少なくともいずれかを含む保護層が形成されており、
    前記ブラックインクが、カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料を含有するとともに、前記カーボンブラックの粒子表面に結合した前記ヒドロキシ基の量が、0.05mmol/g以上0.20mmol/g以下であり、
    前記カラーインクが、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記分岐アルカンジオールの炭素数が、4以上9以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記カラーインク中の前記分岐アルカンジオールの含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.00質量%以上15.00質量%以下である請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記分岐アルカンジオールが、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記カーボンブラックの粒子表面に結合した前記カルボン酸基の量が、0.15mmol/g以上0.40mmol/g以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置であって、
    ブラックインク及びカラーインクを含む複数の水性インクと、前記水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、熱エネルギーを発生する発熱部を有する、前記熱エネルギーの作用により前記水性インクを吐出する記録ヘッドと、を備え、
    前記インク収容部が、熱可塑性樹脂で形成された筐体であるとともに、他の部材を介在させることなく前記記録ヘッドが直接貼り合わされており、
    前記発熱部の前記水性インクと接する面に、タンタル及びタンタル酸化物の少なくともいずれかを含む保護層が形成されており、
    前記ブラックインクが、カーボンブラックの粒子表面にカルボン酸基及びヒドロキシ基がそれぞれ直接結合した自己分散顔料を含有するとともに、前記カーボンブラックの粒子表面に結合した前記ヒドロキシ基の量が、0.05mmol/g以上0.20mmol/g以下であり、
    前記カラーインクが、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有する分岐アルカンジオールを含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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