JP6815752B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6815752B2
JP6815752B2 JP2016102816A JP2016102816A JP6815752B2 JP 6815752 B2 JP6815752 B2 JP 6815752B2 JP 2016102816 A JP2016102816 A JP 2016102816A JP 2016102816 A JP2016102816 A JP 2016102816A JP 6815752 B2 JP6815752 B2 JP 6815752B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
water
less
pigment
mpa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016102816A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017001392A5 (ja
JP2017001392A (ja
Inventor
将史 山本
将史 山本
知洋 山下
知洋 山下
荘一 永井
荘一 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2017001392A publication Critical patent/JP2017001392A/ja
Publication of JP2017001392A5 publication Critical patent/JP2017001392A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6815752B2 publication Critical patent/JP6815752B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17513Inner structure
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/02Printing inks
    • C09D11/03Printing inks characterised by features other than the chemical nature of the binder
    • C09D11/037Printing inks characterised by features other than the chemical nature of the binder characterised by the pigment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/322Pigment inks
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/38Inkjet printing inks characterised by non-macromolecular additives other than solvents, pigments or dyes

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法では様々な記録媒体への記録が可能である。そして、より良好な画像を得るため、例えば、光沢紙などに写真画質の画像を記録するのに適したインクや、普通紙などに文書を記録するのに適したインクなど、その用途に応じて種々のインクについての提案がなされている。
近年では、記録媒体として普通紙などを用い、文字や図表などを含むビジネス文章などの記録にもインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への使用頻度が格段に高まってきている。インクジェット記録方法の発展に伴い、長期間に渡る使用に耐え得るべく耐久性や信頼性を高めるとともに、記録可能枚数を多くすることで高い生産性を実現することが要求されるようになっている。かかる要求に対し、特定の水溶性有機溶剤を添加することで、様々な温度及び湿度の環境における間欠吐出安定性を高めようとする提案がある(特許文献1参照)。
特開2009−256599号公報
本発明者らは、生産性を高めるべく、インクジェット記録装置に主インク収容部でありメインタンクと、サブタンクとを設け、メインタンクの容量を拡大する検討を行った。その際、特許文献1に記載された特定の水溶性有機溶剤をインクに含有させることで、間欠吐出安定性が改善され、信頼性は高まる傾向にあることが確認された。しかし、メインタンクを拡大した記録装置を用い、長期間に渡って顔料を含有するインクを吐出させて記録を行うと、画像の乱れが徐々に生じやすくなるという課題が生じた。そして、この課題は、特許文献1に記載されたインクによっても解決できないことがわかった。
したがって、本発明の目的は、メインタンクと、サブタンクとのインク収容量の比率が特定の関係にある記録装置を長期間に渡って使用した場合でも良好な間欠吐出安定性が維持されるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法に好適に用いられるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクジェット記録方法は、第1インク収容部、第2インク収容部、及び記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用し、水性インクを前記記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記第1インク収容部のインク最大収容量V(mL)が、前記第2インク収容部のインク最大収容量V(mL)に対する容量比率で、3.0倍以上50.0倍以下であり、前記第1インク収容部のインク最大収容量V (mL)が60.0mL以上200.0mL以下であるとともに、前記第2インク収容部のインク最大収容量V (mL)が1.0mL以上35.0mL以下であり、前記水性インクが、顔料、及び、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有するとともに、前記第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)が、前記顔料の含有量P(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上10.0倍以下であり、前記水性インクの温度25℃での粘度η (mPa・s)が1.5mPa・s以上6.0mPa・s以下であり、かつ、前記記録ヘッド内における前記水性インクの粘度η (mPa・s)が0.8mPa・s以上4.5mPa・s以下であり、前記記録ヘッド内における前記水性インクの粘度η(mPa・s)が、前記温度25℃での粘度η(mPa・s)に対する粘度比率で、0.8倍以下となる温度T(℃)(ただし、T>25℃)に、前記水性インクの温度を調整して吐出する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、メインタンクと、サブタンクとのインク収容量の比率が特定の関係にある記録装置を長期間に渡って使用した場合でも良好な間欠吐出安定性が維持されるインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記インクジェット記録方法に好適に用いられるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 インク供給系の一例を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、以下、インクジェット用の水性インクのことを「インク」、第1インク収容部のことを「メインタンク」、第2インク収容部のことを「サブタンク」と記載することがある。また、粘度以外の物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
本発明者らは、メインタンクの容量を拡大したインクジェット記録装置を長期間に渡って使用した場合に生じる、画像の乱れの原因について検討を行った。その結果、記録ヘッドの吐出口からインク中の水分が蒸発することによって、その他の成分が濃縮されるため、吐出口近傍に存在するインク中の顔料濃度が蒸発前と比して高くなる。すると、顔料の分散状態が不安定化して凝集が生じ、インクの正常な吐出が妨げられ、画像が乱れるようになることがわかった。この課題は、間欠吐出安定性と呼ばれ、特許文献1にも記載がある。間欠吐出安定性の低下は、色材の分散状態を不安定にさせやすい水溶性有機溶剤をインクに含有させて、水分の蒸発が生じた際にこの水溶性有機溶剤により色材を吐出口近傍からノズル奥へと拡散させることによって緩和し得ることが知られている。
そこで、本発明者らは、メインタンクの容量を拡大したインクジェット記録装置により、顔料、及び顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤を含有するインクを記録ヘッドから吐出させた後の吐出口の状態を経時的に観察した。その結果、記録装置の使用期間が短く、累積の吐出数が少ない時点では、前記水溶性有機溶剤により顔料がノズル奥へと拡散していった。
これに対し、記録装置を長期間に渡って使用し、累積の吐出数が多くなると、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤が存在しているのにもかかわらず、顔料がノズル奥へと拡散する現象が生じていないことが判明した。さらに確認を進めたところ、長期間に渡って使用した後では、ノズル内のインク中の顔料濃度が、水分蒸発による濃縮によって到達するレベルを上回る程度にまで高くなっていることがわかった。本発明者らはこの原因の調査を行った結果、以下の事実が判明した。メインタンクの容量を拡大することによって、インクタンクを交換することなく記録装置を使用可能な期間が従来よりも長くなっている。これにより、メインタンクに収容されたインク中の顔料が徐々に沈降していくため、沈降前と比して顔料濃度が高くなったインクが記録ヘッドに供給されていることが原因となっているということを突き止めた。
この原因を踏まえると、メインタンクから、サブタンクや記録ヘッドなどの下流側に供給されるインクについて、顔料濃度の上昇を抑制すれば、記録装置を長期間に渡って使用した後の間欠吐出安定性の低下をある程度までは抑制することができると考えられる。そこで、本発明者らが検討を行った結果、メインタンクのインク最大収容量V(mL)を、サブタンクのインク最大収容量V(mL)に対する容量比率で、3.0倍以上50.0倍以下とするという構成を導き出した。
インクは、メインタンクからサブタンクを経て記録ヘッドへと供給されていくため、サブタンクの内部は、メインタンクからのインクの流れと、記録ヘッドへのインクの流れと、の両方が生じる環境である。したがって、メインタンクと比して、サブタンクに収容されたインクはより撹拌されやすい状態にあり、顔料が沈降しづらい。つまり、本発明では、容量比率にある程度の差を設けることで、サブタンクに収容されたインクの撹拌を引き起こし、沈降による顔料濃度の上昇を抑制する。これにより、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤により顔料をノズル奥へと拡散させる作用を生じさせて、間欠吐出安定性の低下をある程度までは抑制することができる。
容量比率が3.0倍未満であると、サブタンクのインク最大収容量が大きすぎるため、インク撹拌の効率が低下し、間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。一方、容量比率が50.0倍超であると、サブタンクのインク最大収容量が小さすぎて、インク撹拌が進まないまま記録ヘッドにインクが供給されしまうため、間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。
さらなる検討の結果、本発明者らは、各タンクの容量比率が上記のように異なる場合に、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤として、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を用いるのが有用であることを見出した。水性インク中の顔料は、イオン性基による静電反発やノニオン性基による水への親和などの作用によって分散している。したがって、水溶性有機溶剤と顔料との親和性が低いことを示す指標として、比誘電率を利用することができる。比誘電率が低い水溶性有機溶剤は顔料の分散状態を不安定にさせる性質を持ち、これにより、ノズル奥への拡散作用を生じさせる。逆に、比誘電率が高い水溶性有機溶剤は顔料の分散状態を安定に保つ性質を持ち、拡散作用を生じさせにくい。
比誘電率が10.0未満である水溶性有機溶剤は、顔料の分散状態を不安定にさせる性質が強すぎる。このため、インクを加熱して粘度を下げたときに、この水溶性有機溶剤の作用によって顔料が凝集しやすくなり、ノズル奥への拡散させる作用が生じず、間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。また、比誘電率が30.0以下の水溶性有機溶剤は、顔料の分散状態をちょうどよい程度に不安定にさせる性質を持ち、インクを加熱して粘度が下がったときに顔料をノズル奥へと拡散させることができる。一方、比誘電率が30.0を超える水溶性有機溶剤は、顔料の分散状態を不安定にさせることができず、顔料をノズル奥へと拡散させることができないため、間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。
上記に加えて、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤は、水分の蒸発が生じてその他の成分が濃縮された後に、拡散を生じさせる対象である顔料に対してある程度の割合で存在する必要がある。このため、第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)が、顔料の含有量P(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上10.0倍以下であることを要する。前記質量比率が2.0倍以上であれば、インクを加熱して粘度を下げたときに、顔料をノズル奥へと拡散させることができる。一方、前記質量比率が2.0倍未満であると、顔料に対して第1水溶性有機溶剤が少なく、顔料をノズル奥へと拡散させることができないため、間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。また、前記質量比率が10.0倍超であると、顔料に対して第1水溶性有機溶剤が多く、吐出口から水分が蒸発した際に、顔料が凝集しやすくなり、顔料をノズル奥へ拡散させる作用が生じず、間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。
上述の通り、本発明では、容量比率を3.0倍以上50.0倍以下とするとともに、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を用いる。これにより、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤により顔料をノズル奥へと拡散させる作用を生じさせることができ、間欠吐出安定性の低下をある程度までは抑制することができる。しかし、沈降により顔料濃度が高まり、顔料の凝集が進んでいた場合には、間欠吐出安定性の低下を抑制する効果が不十分であることがわかった。つまり、容量比率を上記の範囲に設定するとともに、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を用いるという構成のみでは、所望の効果を得ることができない。
沈降により顔料濃度が高まったインク中においては、疎水性相互作用により顔料粒子どうしが接近し、顔料の凝集が進みやすい。このような場合は、顔料粒子どうしの結着力が高まっているため、顔料粒子の移動に制限がある。したがって、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤が存在していても、顔料がノズル奥へと拡散しづらいため、吐出口近傍に留まると考えられる。そこで、沈降により顔料濃度が高まったインク中においても、顔料の凝集を抑制するのが有効であると考え、その手法について検討を行った。具体的には、インクの粘度を下げ、顔料粒子が移動しやすい状態とするとともに、顔料粒子どうしの見かけ上の相互作用を弱める手法についての検討を行った。
その結果、容量比率を上記の範囲に設定するとともに、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤をある程度インクに含有させたうえで、加熱によりインクの粘度を下げることによって、顔料粒子のブラウン運動を激しくさせれば良いという結論に至った。このため、本発明では、記録ヘッド内におけるインクの粘度η(mPa・s)が、温度25℃での粘度η(mPa・s)に対する粘度比率で、0.8倍以下となる温度T(℃)(ただし、T>25℃)にインクの温度を調整する。η/ηが0.8倍以下であると、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤による顔料のノズル奥への拡散が有効に生じることを見出した。
このように、本発明では、メインタンク及びサブタンクの容量比率を大きく異ならせるともに、顔料との親和性が低い水溶性有機溶剤をある程度インクに含有させたうえで、加熱によりインクの粘度を下げる。これらの要件を全て同時に満足することによって、顔料の沈降により特に生じやすくなる間欠吐出安定性の低下を、顕著に改善することができると考えられる。
以下、本発明のインクジェット記録方法、並びに本発明のインクジェット記録方法で好適に用いることができるインクジェット記録装置、記録ヘッド、及び水性インクなどについてそれぞれ説明する。
<インクジェット記録装置の概略構成>
本発明のインクジェット記録方法は、第1インク収容部、第2インク収容部、及び記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用し、水性インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。そして、第1インク収容部のインク最大収容量V(mL)は、第2インク収容部のインク最大収容量V(mL)に対する容量比率で、3.0倍以上50.0倍以下である。水性インクは、顔料、及び、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有するとともに、第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)は、顔料の含有量P(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上10.0倍以下である。さらに、記録ヘッド内における水性インクの粘度η(mPa・s)は、温度25℃での粘度η(mPa・s)に対する粘度比率で、0.8倍以下となる温度T(℃)(ただし、T>25℃)に、水性インクの温度を調整する工程を有する。以下、本発明のインクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録装置の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図1に示す実施形態のインクジェット記録装置は、X方向(主走査方向)に記録ヘッドを往復走査させて記録動作を行う、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録装置である。記録媒体101は、搬送ローラ107によってY方向(副走査方向)へと間欠的に搬送される。記録媒体としては、普通紙などのコート層を有しない記録媒体;光沢紙やマット紙などのコート層を有する記録媒体などを用いることができる。キャリッジ103に搭載された記録ユニット102は、記録媒体101の搬送方向であるY方向と直交するX方向(主走査方向)に往復走査される。そして、記録媒体101のY方向への搬送と、記録ユニット102のX方向への往復走査と、によって記録動作が行われる。
図2は、インク供給系の一例を示す模式図である。図2に示すように、記録ユニット102は、供給されるインクを複数の吐出口から吐出するインクジェット方式の記録ヘッド203と、第2インク収容部としてのサブタンク202とで構成されている。この記録ユニット102は、図1に示すようにキャリッジ103に搭載されている。キャリッジ103は、X方向に沿って配置されたガイドレール105に沿って移動可能に支持されており、ガイドレール105と並行に移動する無端ベルト106に固定されている。無端ベルト106はモータの駆動力によって往復運動する。無端ベルト106の往復運動によって、キャリッジ103がX方向に往復走査される。
メインタンク収容部108の内部には、第1インク収容部としてのメインタンク201(図2)が収納される。メインタンク収容部108に収納されたメインタンク201と、記録ユニット102のサブタンク202とは、インク供給チューブ104によって接続される。インクが通過する部材の径の増減を低減して、気泡が形成されるポイントを少なくするため、メインタンク201及びサブタンク202の間はインク供給チューブ104で直接接続されている構成とすることが好ましい。インクは、メインタンク201からインク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203の吐出口から吐出されるが、これらの部材はいずれもインクの種類に対応した数で設けられる。
メインタンク201内に収容されたインク(ハッチングで示す)は、インク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203へと供給される。メインタンク201には、大気連通部としての気体導入チューブ204が接続されている。画像の記録によってインクが消費されると、メインタンク201からサブタンク202にインクが供給され、メインタンク201内のインクが減少する。そして、メインタンク201内のインクの減少に伴い、その一端が大気に開放されている気体導入チューブ204からメインタンク201内に空気が導入されることにより、インク供給系において、インクを保持するための内部負圧が略一定に保たれる。
本発明においては、メインタンク201のインク最大収容量V(mL)は、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)に対する比率で、3.0倍以上50.0倍以下であることを要する。前記比率は、5.0倍以上40.0倍以下であることが好ましい。
メインタンク201は、タンク交換の頻度を低減したり、記録可能枚数を多くすることで高い生産性を実現したりするためには、インク最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。具体的には、メインタンク201のインク最大収容量V(mL)は、60.0mL以上200.0mL以下であることが好ましく、60.0mL以上150.0mL以下であることがさらに好ましい。また、メインタンク201の初期のインク充填量は、インク最大収容量を基準として、95%程度までとすることが好ましい。
サブタンク202も、メインタンク201からのインク供給の頻度を低減したり、記録ヘッド203へのインク充填を安定に行ったりするためには、インク最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。但し、例えば、図1に示すようなシリアル方式として、キャリッジ103にサブタンク202を搭載する形態を想定すると、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)は多くし過ぎないことが好ましい。すなわち、あまりに多くのインクがサブタンク202に収容された場合、記録ユニット102の大型化を招き、キャリッジ103の移動速度が低下したり、キャリッジ103を移動させる無端ベルト106やモータの強度を高めたりする必要が生じる。したがって、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)は、1.0mL以上35.0mL以下であることが好ましく、2.0mL以上20.0mL以下であることがさらに好ましく、5.0mL以上15.0mL以下であることが特に好ましい。
第1インク収容部及び第2インク収容部(筺体)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテルなどの熱可塑性樹脂;熱可塑性樹脂の混合物や改質物などで形成することができる。筺体の内部には、インクを保持するための負圧を発生しうるインク吸収体を配設してもよい。インク吸収体としては、ポリプロピレンやウレタンなどの樹脂製の繊維を圧縮したものが好ましい。また、筺体の内部にインク吸収体を配設せず、筺体の内部にインクを直接収容としてもよい。
顔料の沈降により底部のインクにおける顔料濃度が高まるのを抑制するためには、メインタンク201の高さH(cm)の底面積S(cm)に対する比(H/S)が、4.0cm−1以下であることが好ましい。H/Sが4.0cm−1超であると、インクの加熱及び第1水溶性有機溶剤による顔料の拡散作用が生じづらく、記録装置を長期間に渡って使用した場合の間欠吐出安定性の低下が抑制される程度が低下する場合がある。H/Sは0.1cm−1以上であることが好ましい。底面の縦横比は、H/Sが0.1cm−1以上、4.0cm−1以下の範囲において、メインタンク収容部108のサイズや記録装置内部の設置箇所に合わせて決定することができる。メインタンク201の高さ及び底面積は、記録装置内に置かれた姿勢でのものであるとともに、筺体外側の寸法ではなく、インクが収容される部分、すなわち内容積についてのものである。また、メインタンク201の筺体の一部に切り欠きなどがある場合は、投影された高さや底面積で考えるものとする。
図2に示す実施形態の記録ユニット102は、記録ヘッド203とサブタンク202とで構成されている。サブタンクが装着され、かつ、記録ヘッドが組み込まれたヘッドカートリッジである記録ユニットがキャリッジに装着されていてもよい。また、サブタンクと記録ヘッドとが一体的に構成された記録ユニットがキャリッジに装着されていてもよい。本発明においては、図1及び2に示すように、第2インク収容部であるサブタンク202と記録ヘッド203とが一体的に構成されたカートリッジ形態の記録ユニットが、キャリッジ103に装着されていることが好ましい。なかでも、第2インク収容部であるサブタンクが熱可塑性樹脂で形成された筺体であるとともに、記録ヘッドを備えた記録素子基板が、放熱板などの他の部材を介在させることなくサブタンクに直接貼り合わされていることが好ましい。
記録ヘッドのインク吐出方式としては、ピエゾ素子などにより力学的エネルギーをインクに付与してインクを吐出する方式や、電気熱変換体などにより熱エネルギーをインクに付与してインクを吐出する方式などが挙げられる。本発明においては、熱エネルギーをインクに付与して吐出する方式を採用することが好ましい。
本発明においては、記録ヘッド内におけるインクの粘度η(mPa・s)が、温度25℃での粘度η(mPa・s)に対する粘度比率で、0.8倍以下となる温度T(℃)(ただし、T>25℃)にインクの温度を調整する。すなわち、25℃超である温度T(℃)での粘度をη(mPa・s)としたときに、常温である温度T=25℃における粘度がη(mPa・s)であるインクを、η/ηが0.8倍以下となる温度T(℃)に調整して吐出させる。温度の関係はT>T=25℃であるので、具体的には、ある程度の粘度低下が生じるまでインクを加熱して吐出させることになる。前記粘度比率、すなわちη/ηは、0.4倍以上であることが好ましい。前記粘度比率が0.4倍未満である、すなわち、加熱により粘度が顕著に低下すると、顔料への親和性が低い水溶性有機溶剤による顔料の拡散が過度に生じやすくなる傾向にある。その結果、ノズル先端部分には顔料が存在しなくなり、透明となってしまう。このような状態のインクが吐出されても、記録媒体が着色されないため、画像品位がやや低下する場合がある。
η/ηが0.8倍以下となるようにインクを加熱する手段としては、特に限定されない。例えば、記録ヘッド203の外部又は内部にヒーターなどの加熱ユニットを設け、記録ヘッド203の温度を高めることによってインクを加熱することができる。また、メインタンク201及びサブタンク202の少なくとも一方の内部又は外部、好ましくはサブタンク202の外部又は内部に、ヒーターなどの加熱ユニットを設け、収容されたインクを加熱することができる。この場合、インク供給チューブ104などを通じて記録ヘッド203にインクが供給される際の温度低下を抑制するために、これらの部材に温度を保つ性能を持たせることが好ましい。また、記録ヘッド201が具備する、インクを吐出するための電気熱変換体を利用してインクを加熱することができる。この場合、吐出が生じない程度の熱エネルギーをインクに与えることによってインクを加熱することもできる。また、吐出が生じる程度の熱エネルギーをインクに与えるとともに、この熱エネルギーを利用してサブタンク202に収容されたインクを加熱することもできる。
本発明においては、メインタンク201にはインク加熱ユニットを設けず、サブタンク202に収容されたインクを加熱することが好ましい。この場合、サブタンク202が、熱可塑性樹脂で形成された筺体に、電気熱変換体を具備する記録ヘッド203を備えた記録素子基板を、他の部材を介さずに直接貼り合わせた形態とする。さらに、電気熱変換体により、サブタンク202に収容されたインクに熱エネルギーを与えることによって、サブタンク202に収容されたインクを加熱することが特に好ましい。この場合、吐出が生じない程度の熱エネルギーをインクに与えることでインクを加熱するものであってもよい。また、吐出が生じる程度の熱エネルギーをインクに与えるとともに、この熱エネルギーを利用してサブタンク202に収容されたインクを加熱するものであってもよい。
加熱されたインクの温度、すなわち温度T(℃)は、η/ηが0.8倍以下となれば、特に限定されない。但し、インクや記録ヘッドの信頼性の観点から、30℃以上90℃以下であることが好ましく、35℃以上75℃以下であることが好ましく、40℃以上70℃以下であることが特に好ましい。なお、温度T(℃)は、使用するインクについて、温度と粘度のデータを予め測定しておき、η/ηが0.8倍以下となるように設定することができる。
<水性インク>
本発明のインクジェット記録方法では、水性インクを記録ヘッドの吐出口から吐出して記録媒体に画像を記録する。水性インクは、顔料、及び温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有する。以下、水性インクに含有させる成分について説明する。
(顔料)
色材としては、顔料を用いる。水性インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、界面活性剤により分散させた顔料、及び顔料の粒子表面の少なくとも一部を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を含む官能基を結合させた自己分散顔料や、顔料の粒子表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
なかでも、自己分散顔料を用いることが好ましい。例えば、樹脂分散顔料は、顔料の粒子表面のごく近傍に樹脂などが存在する。このため、顔料の沈降により底部のインクにおける顔料濃度が高まった際に、樹脂などによる増粘が生じて、インクの加熱及び第1水溶性有機溶剤による顔料の拡散作用が生じづらい場合がある。一方、自己分散顔料の場合は、上記のような増粘は生じづらいため、記録装置を長期間に渡って使用した場合の間欠吐出安定性の低下を効率よく抑制することができる。さらに、表面酸化処理により製造された自己分散顔料は、酸化処理によって顔料の粒子表面にアニオン性基の他にもノニオン性基が導入される。沈降により顔料濃度が高まっても、疎水性相互作用による顔料粒子どうしの接近がこのノニオン性基により抑制される。このため、インクの加熱及び第1水溶性有機溶剤による顔料の拡散作用がより生じやすくなるので、記録装置を長期間に渡って使用した場合の間欠吐出安定性の低下を特に効率よく抑制することができる。
顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料が挙げられる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
(温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤)
水性インクには、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有させる。
水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(例えば、商品名「BI−870」(BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)など)を用いて、周波数1kHzで測定することができる。なお、温度25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率は、50質量%水溶液の比誘電率を測定し、下記式(1)から算出した値とする。通常「水溶性有機溶剤」とは液体を指すものであるが、本発明においては、25℃(常温)で固体であるものも水溶性有機溶剤に含めることとする。
εsol=2ε50%−εwater ・・・(1)
εsol:25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率
ε50%:25℃で固体の水溶性有機溶剤の50質量%水溶液の比誘電率
εwater:水の比誘電率。
比誘電率が10.0以上30.0以下である水溶性有機溶剤の具体例としては、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,2−プロパンジオール(28.8)、1,2,6−ヘキサントリオール(28.5)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(28.3)、2−ピロリドン(28.0)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(24.0)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)、エチルアルコール(23.8)、1−(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(23.7)、トリエチレングリコール(22.7)、数平均分子量200のポリエチレングリコール(18.9)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(18.5)、イソプロピルアルコール(18.3)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(16.0)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、数平均分子量600のポリエチレングリコール(11.4)などが挙げられる(括弧内の数値は25℃における比誘電率を表す)。第1水溶性有機溶剤としては、温度25℃での蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
水性インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)は、顔料の含有量P(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上10.0倍以下であることを要する。前記質量比率が2.0倍未満、又は、10.0倍超であると、記録装置を長期間に渡って使用した場合の間欠吐出安定性の低下を抑制することができない。また、水性インク中の第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上35.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(樹脂)
水性インクには樹脂を含有させることができる。水性インク中における樹脂の状態は、水性媒体に溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。本発明において樹脂が水溶性であることとは、当該樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法などの測定方法により、粒径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。なかでも、酸価が40mgKOH/g以上の樹脂を用いることが好ましい。また、水溶性樹脂中のアニオン性基は、塩を形成していてもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオン;アンモニウムイオン(NH );ジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アンモニウムのカチオンなどが挙げられる。なお、樹脂の酸価は300mgKOH/g以下であることが好ましい。アクリル樹脂を用いる場合は、酸価が250mgKOH/g以下であることが好ましく、240mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。また、ウレタン樹脂を用いる場合は、酸価が200mgKOH/g以下であることが好ましく、160mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
使用できる樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類などが挙げられる。なかでも、記録ヘッドからの吐出特性の観点から、アクリル樹脂及びウレタン樹脂が好ましい。但し、樹脂粒子などの樹脂成分は気泡を保持しやすい傾向にあるため、水性インクにはあまり多く含有させないことが好ましい。
(一般式(I)で表される化合物)
本発明者らは、沈降により顔料濃度が特に高まった場合であっても、顔料を凝集させにくくすることによって、間欠吐出安定性の低下をより有効に抑制するための手法について検討を行った。その結果、顔料の凝集を抑制するためには、水分子と顔料とが接近して存在するようにする必要があり、この状態は、顔料を、水性インクの主たる液媒体である水分子に近づきやすくすることによって達成されることがわかった。そして、これを達成するための材料について本発明者らが検討を行った結果、後述する一般式(I)で表される化合物が有効であることを見出した。
一般式(I)で表される化合物は、その構造中に、「−C(=O)−N(−R)−C(=O)−N(−R)−」、及び、「−C(−R−」を有する。前者の構造は水素結合性を有し、後者の構造は相対的に疎水性が高いため、一般式(I)で表される化合物は、インク中において以下に述べる複数の相互作用を生じさせていると考えられる。すなわち、一般式(I)で表される化合物の「−C(−R−」の部分と、顔料とが疎水性相互作用を生じる。これとともに、一般式(I)で表される化合物の「−C(=O)−N(−R)−C(=O)−N(−R)−」の部分が水分子と水素結合による相互作用を生じる。これらの相互作用により、インク中においては、一般式(I)で表される化合物を介して、水分子と顔料とが接近して存在する。このため、上述のような顔料の凝集が生じやすい状況であっても、顔料の凝集がより有効に抑制され、間欠吐出安定性の低下をより有効に抑制することができると考えられる。
水性インクには、下記一般式(I)で表される化合物を含有させることが好ましい。インク中の一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又はヒドロキシアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。)
及びRのヒドロキシアルキル基の炭素数は、1乃至5が好ましく、1乃至3がさらに好ましい。R及びRのヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシn−プロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシn−ブチル基、ヒドロキシイソブチル基、ヒドロキシペンチル基などが挙げられる。なかでも、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい。Rのアルキル基の炭素数は、1乃至3が好ましい。Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
一般式(I)で表される化合物の好適例としては、1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン、3−(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、3−(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントインなどが挙げられる。勿論、本発明においては、一般式(I)の構造及びその定義に包含されるものであれば、これらの化合物に限定されない。本発明においては、一般式(I)で表される化合物のなかでも、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントインが好ましい。この化合物は、比誘電率が10.0以上30.0以下の範囲内であるとともに、分子構造の点で顔料と水分子との相互作用が効率よく発揮されるため、間欠吐出安定性の低下を特に効率よく抑制することができる。
(水性媒体)
水性インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を少なくとも用いる。第1水溶性有機溶剤以外に、温度25℃での比誘電率が10.0未満、又は、30.0超の水溶性有機溶剤(便宜上、第2水溶性有機溶剤と呼ぶ)を併用することができる。第2水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに使用可能なものが挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。この含有量は、第1水溶性有機溶剤の含有量、及び必要に応じて使用し得る一般式(I)で表される化合物の含有量を含む値である。
水溶性有機溶剤の具体例としては、先に挙げた第1水溶性有機溶剤も含めると、以下に示すものなどが挙げられる(括弧内の数値は25℃における比誘電率を表す)。メチルアルコール(33.1)、エチルアルコール(23.8)、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(18.3)、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4の1価アルコール類。1,2−プロパンジオール(28.8)、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、1,6−ヘキサンジオール(7.1)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(28.3)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(24.0)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(18.5)などの2価アルコール類。1,2,6−ヘキサントリオール(28.5)、グリセリン(42.3)、トリメチロールプロパン(33.7)、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類。エチレングリコール(40.4)、ジエチレングリコール(31.7)、トリエチレングリコール(22.7)、テトラエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのアルキレングリコール類。ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)などのグリコールエーテル類。数平均分子量200のポリエチレングリコール(18.9)、同600のポリエチレングリコール(11.4)、同1,000のポリエチレングリコール(4.6)、ポリプロピレングリコールなどの数平均分子量200乃至1,000のポリアルキレングリコール類。2−ピロリドン(28.0)、N−メチル−2−ピロリドン(32.0)、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン(37.6)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン、尿素(110.3)、エチレン尿素(49.7)、トリエタノールアミン(31.9)、1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン(23.7)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(16.0)などの含窒素化合物類。ジメチルスルホキシド(48.9)、ビス(2−ヒドロキシエチルスルホン)などの含硫黄化合物類。γ−ブチロラクトン(41.9)などの環状エーテル類。第1水溶性有機溶剤以外にインクに含有させる水溶性有機溶剤としては、比誘電率が3.0以上であるものや、25℃での蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
(その他の成分)
必要に応じて所望の物性値を有する水性インクとするために、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(粘度)
メインタンクからサブタンク、また、サブタンクから記録ヘッドへのインクの供給性の観点から、温度25(T)℃でのインクの粘度η(mPa・s)は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.5mPa・s以上6.0mPa・s以下がさらに好ましい。なかでも、2.0mPa・s以上4.0mPa・s以下が特に好ましい。また、吐出される際の温度T(℃)でのインクの粘度η(mPa・s)は、η/ηが0.8倍以下となる粘度であればよく、例えば、0.5mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、0.8mPa・s以上4.5mPa・s以下がさらに好ましい。なかでも、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下が特に好ましい。
また、水性インクは、インクジェット方式に適用されるため、その物性値を適切に制御することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、25mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。また、25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.0以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
イオン交換水500g、及び顔料(カーボンブラック、商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)15.0gを混合し、回転数15,000rpmで30分間撹拌して、顔料を予備湿潤した。さらにイオン交換水4,485gを加えて、高圧ホモジナイザーで分散して分散液を得た。得られた分散液を高圧容器に移して、圧力3.0MPaで加圧しながら、オゾン濃度100ppmのオゾン水を高圧容器内に導入して、顔料を酸化処理した。高圧容器から混合物を取り出し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、液体のpHを10.0に調整した後、適量のイオン交換水を添加して、顔料の含有量を調整して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1には、カウンターイオンがナトリウムであるカルボン酸基が粒子表面に直接結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液2)
水5.5gに濃塩酸70.6mmolを溶かした溶液を温度5℃に冷却し、4−アミノフタル酸9.8mmolを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌し、溶液を常に10℃以下に保った状態とした。これに、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム24.9mmolを溶かした溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、顔料6.0gを撹拌下で加えた。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。その後、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させて自己分散顔料を得た。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液2を得た。顔料分散液2には、カウンターイオンがナトリウムであるフタル酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液3)
顔料7.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩14.0mmol、硝酸40.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた40.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することによって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液3を得た。顔料分散液3には、カウンターイオンがナトリウムである((ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液4)
顔料の種類をC.I.ピグメントレッド122に変更した以外は顔料分散液3と同様の手順で、顔料分散液4を得た。顔料分散液4には、カウンターイオンがナトリウムである((ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液5)
顔料の種類をC.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は顔料分散液3と同様の手順で、顔料分散液5を得た。顔料分散液5には、カウンターイオンがナトリウムである((ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液6)
顔料10.0部、樹脂分散剤の水溶液(樹脂(固形分)の含有量20.0%)20.0部、及びイオン交換水70.0部を混合して混合物を得た。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、水溶性樹脂であるスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量10,000、酸価200mgKOH/g)を、酸価に対して中和当量1となる水酸化ナトリウムを用いてイオン交換水に溶解させたものを用いた。得られた混合物を、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した後、ポアサイズが1.2μmであるミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過した。次いで、イオン交換水を加えて顔料の含有量を調整し、顔料分散液6を得た。顔料分散液6には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%、水溶性樹脂の含有量は4.0%であった。
(顔料分散液7)
顔料の種類をC.I.ピグメントブルー15:3に変更した以外は顔料分散液6と同様の手順で、顔料分散液7を得た。顔料分散液7には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%、水溶性樹脂の含有量は4.0%であった。
(顔料分散液8)
顔料の種類をC.I.ピグメントレッド122に変更した以外は顔料分散液6と同様の手順で、顔料分散液8を得た。顔料分散液8には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%、水溶性樹脂の含有量は4.0%であった。
(顔料分散液9)
顔料の種類をC.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は顔料分散液6と同様の手順で、顔料分散液9を得た。顔料分散液9には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%、水溶性樹脂の含有量は4.0%であった。
<インクの調製>
表1〜4の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。一般式(I)で表される化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントインを用いた。ポリエチレングリコールは数平均分子量600のものを用いた。ユニオックスG−1200(商品名)は、日油製のグリセリンのエチレンオキサイド付加物である。アセチレノールE100(商品名)は、川研ファインケミカル製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。サーフィノール465(商品名)は、日信化学工業製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。
括弧内に示す水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(商品名「BI−870」;BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)を用いて周波数1kHzで求めた値であり、温度25℃で固体の場合は上記の式(1)を利用して算出した値である。表1〜4の下段には、インク中の顔料の含有量P(%)、第1水溶性有機溶剤(「第1溶剤」と表記)の含有量S(%)、S/Pの値(倍)、及び温度25℃でのインクの粘度η(mPa・s)を示した。25℃でのインクの粘度η(mPa・s)は、E型粘度計(RE−85L;東機産業製)を用いて測定した。
<評価>
評価には、図1に示す主要部の構成を有するインクジェット記録装置に、図2に示す構成のメインタンク、サブタンク、及び記録ヘッドを組み込んだものを用いた。サブタンクは、熱可塑性樹脂で形成された筺体に、熱エネルギーを付与してインクを吐出する記録ヘッドを備えた記録素子基板を貼り合わせた形態とした。メインタンクのインク最大収容量(「メインタンクの収容量V」と表記)、及びサブタンクのインク最大収容量(「サブタンクの収容量V」と表記)は、それぞれ表5及び6に示す値とした。そして、調製した各インクを、インク最大収容量を基準として95%までメインタンクに充填した。
記録ヘッド内のインクの温度T(℃)は、サブタンクの筺体に貼り合わせた記録ヘッドにより発生させた熱エネルギーを利用して調整し、それぞれ表5及び6に示す値とした。また、温度T(℃)でのインクの粘度η(mPa・s)は、調製したインクを密閉容器に入れて温度T(℃)に加熱したものについて、上記と同様の粘度計で測定した値である。
本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が5ngであるインク滴を2滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義した。相対湿度10%の環境で、以下の評価を行った。A4サイズのPPC用紙(商品名「GF−500」、キヤノン製)の全面に、記録デューティが5%であるベタ画像を10枚分記録した後、90秒間記録を休止する、というサイクルを合計の記録枚数が5,000枚となるまで繰り返した。3,000枚目、及び5,000枚目のベタ画像を記録した後、5秒間記録を休止し、その後記録ヘッドの回復操作を行わずに、コート紙(商品名「HR−101」、キヤノン製)に縦罫線を記録した。
3,000枚目、及び5,000枚目のベタ画像を記録した後にそれぞれ記録した縦罫線を目視及び倍率10倍のルーペで確認して、以下に示す評価基準にしたがって吐出性を評価した。本発明においては、下記の評価基準で、「AAA」、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5及び6に示す。
本評価では、記録枚数を多くすることで評価開始からの経過時間を長く取っている。これは、メインタンク内にインクが収容されている時間を長く取ることで、メインタンクに収容されたインク中の顔料の沈降が生じやすい条件とするためである。そして、累積記録枚数が多くなっても縦罫線に乱れがなければ、本発明の構成によって、沈降した顔料に起因する間欠吐出安定性の低下が抑制されることが示される。一方、縦罫線に乱れがあった場合、インク中の顔料が沈降することによって、インクの正常な吐出が妨げられていることを意味する。
AAA:5,000枚目のベタ画像を記録した後に記録した縦罫線において、目視及びルーペのいずれでも乱れが確認されなかった
AA:5,000枚目のベタ画像を記録した後に記録した縦罫線において、目視では乱れが確認されなかったが、ルーペでは乱れが確認された
A:5,000枚目のベタ画像を記録した後に記録した縦罫線において、目視で乱れが確認されたが、3,000枚目のベタ画像を記録した後に記録した縦罫線において、縦罫線に目視及びルーペのいずれでも乱れが確認されなかった
B:3,000枚目のベタ画像を記録した後に記録した縦罫線において、目視では乱れが確認されなかったが、ルーペでは乱れが確認された
C:3,000枚目のベタ画像を記録した後に記録した縦罫線において、目視で乱れが確認された。
実施例22及び1を比較すると、実施例22のほうが相対的に優れていた。実施例49及び25を比較すると、実施例49のほうが相対的に優れていた。比較例21はサブタンクに収容されたインクが多く、記録ヘッドを移動させるキャリッジに負荷がかかり、所定枚数の画像記録を完結することができなかった。また、比較例22ではサブタンクに収容されたインクが少なく、メインタンクからサブタンクへのインク供給の頻度が増加したため、実用的ではない程度にまで記録速度が低下した。

Claims (15)

  1. 第1インク収容部、第2インク収容部、及び記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用し、水性インクを前記記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記第1インク収容部のインク最大収容量V(mL)が、前記第2インク収容部のインク最大収容量V(mL)に対する容量比率で、3.0倍以上50.0倍以下であり、
    前記第1インク収容部のインク最大収容量V (mL)が60.0mL以上200.0mL以下であるとともに、前記第2インク収容部のインク最大収容量V (mL)が1.0mL以上35.0mL以下であり、
    前記水性インクが、顔料、及び、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有するとともに、前記第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)が、前記顔料の含有量P(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上10.0倍以下であり、
    前記水性インクの温度25℃での粘度η (mPa・s)が1.5mPa・s以上6.0mPa・s以下であり、かつ、前記記録ヘッド内における前記水性インクの粘度η (mPa・s)が0.8mPa・s以上4.5mPa・s以下であり、
    前記記録ヘッド内における前記水性インクの粘度η(mPa・s)が、前記温度25℃での粘度η(mPa・s)に対する粘度比率で、0.8倍以下となる温度T(℃)(ただし、T>25℃)に、前記水性インクの温度を調整して吐出する工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記容量比率が、5.0倍以上40.0倍以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記粘度比率が、0.4倍以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記記録ヘッド内における前記水性インクの温度T(℃)が、30℃以上90℃以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録ヘッド内における前記水性インクの温度T(℃)が、35℃以上75℃以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1インク収容部及び前記第2インク収容部が、インク供給チューブで接続されている請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第2インク収容部が熱可塑性樹脂で形成された筺体であるとともに、前記記録ヘッドを備えた記録素子基板が前記筺体に直接貼り合わされている請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記第1インク収容部の高さH(cm)の底面積S(cm)に対する比が、4.0cm−1以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記第1インク収容部の高さH(cm)の底面積S(cm)に対する比が、0.1cm−1以下である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記第2インク収容部が熱可塑性樹脂で形成された筺体であるとともに、前記記録ヘッドを備えた記録素子基板が前記筺体に直接貼り合わされている請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記水性インク中の前記顔料の含有量P(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記顔料が、自己分散顔料である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記水性インク中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下である請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記水性インクがさらに、下記一般式(I)で表される化合物を含有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。

    (一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又はヒドロキシアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。)
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置であって、
    第1インク収容部、第2インク収容部、及び記録ヘッドを備え、
    前記第1インク収容部のインク最大収容量V(mL)が、前記第2インク収容部のインク最大収容量V(mL)に対する容量比率で、3.0倍以上50.0倍以下であり、
    前記第1インク収容部のインク最大収容量V (mL)が60.0mL以上200.0mL以下であるとともに、前記第2インク収容部のインク最大収容量V (mL)が1.0mL以上35.0mL以下であり、
    前記水性インクが、顔料、及び、温度25℃での比誘電率が10.0以上30.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有するとともに、前記第1水溶性有機溶剤の含有量S(質量%)が、前記顔料の含有量P(質量%)に対する質量比率で、2.0倍以上10.0倍以下であり、
    前記水性インクの温度25℃での粘度η (mPa・s)が1.5mPa・s以上6.0mPa・s以下であり、かつ、前記記録ヘッド内における前記水性インクの粘度η (mPa・s)が0.8mPa・s以上4.5mPa・s以下であり、
    前記記録ヘッド内における前記水性インクの粘度η(mPa・s)が、前記温度25℃での粘度η(mPa・s)に対する粘度比率で、0.8倍以下となる温度T(℃)(ただし、T>25℃)に、前記水性インクの温度を調整して吐出する手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2016102816A 2015-06-04 2016-05-23 インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Active JP6815752B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015114032 2015-06-04
JP2015114030 2015-06-04
JP2015114032 2015-06-04
JP2015114030 2015-06-04

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017001392A JP2017001392A (ja) 2017-01-05
JP2017001392A5 JP2017001392A5 (ja) 2019-06-27
JP6815752B2 true JP6815752B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=57451991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016102816A Active JP6815752B2 (ja) 2015-06-04 2016-05-23 インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9789694B2 (ja)
JP (1) JP6815752B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017170851A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 富士ゼロックス株式会社 記録装置、及び記録方法
JPWO2018012563A1 (ja) * 2016-07-13 2019-05-09 シャープ株式会社 筆記入力装置
JP6766781B2 (ja) * 2017-08-28 2020-10-14 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録ヘッド用クリーニング液
JP6766784B2 (ja) * 2017-09-01 2020-10-14 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録ヘッド用クリーニング液
US11827034B2 (en) * 2020-12-10 2023-11-28 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
CN117222716A (zh) * 2021-04-19 2023-12-12 日本化药株式会社 喷墨用油墨、喷墨记录方法、油墨组、油墨介质组及印刷介质

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3684022B2 (ja) * 1996-04-25 2005-08-17 キヤノン株式会社 液体補充方法、液体吐出記録装置および該液体吐出記録装置のメインタンクとして用いられるインクタンク
US5938827A (en) * 1998-02-02 1999-08-17 Xerox Corporation Ink compositions
JP2004083621A (ja) 2002-08-22 2004-03-18 Brother Ind Ltd インクジェット記録用水性インク
JP5383238B2 (ja) 2008-03-19 2014-01-08 キヤノン株式会社 インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
JP5522669B2 (ja) * 2010-02-05 2014-06-18 シャープ株式会社 アセトン分析装置
US8939568B2 (en) * 2010-04-14 2015-01-27 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Ink composition containing polyurethane vinyl hybrid latexes
US8403461B2 (en) * 2010-05-04 2013-03-26 Kabushiki Kaisha Toshiba Aqueous inkjet ink
JP5713734B2 (ja) * 2011-03-10 2015-05-07 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP5857469B2 (ja) * 2011-06-23 2016-02-10 セイコーエプソン株式会社 インクジェット捺染方法、インクジェット捺染装置
US9090788B2 (en) * 2011-12-30 2015-07-28 E I Du Pont De Nemours And Company Aqueous inkjet inks containing polymeric binders with components to interact with cellulose
JP6263480B2 (ja) * 2012-03-06 2018-01-17 オセ−テクノロジーズ ビーブイ インク組成物
DE112014001173T5 (de) * 2013-03-05 2015-11-12 Cabot Corporation Wässrige Pigmentdispersionen
CN104558377B (zh) * 2015-01-20 2017-03-29 中钞油墨有限公司 水性油墨用树脂及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
US9789694B2 (en) 2017-10-17
US20160355020A1 (en) 2016-12-08
JP2017001392A (ja) 2017-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6815752B2 (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
US9493665B2 (en) Ink set for inkjet and inkjet recording method
JP6812138B2 (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP2006188664A (ja) インクジェット記録用インク、記録方法及び記録装置
JP2017081150A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6512443B2 (ja) キナクリドン混合物、それを含むインク、インク収容容器、インクジェット記録物の製造方法、インクジェット記録装置、および記録物
JP6044375B2 (ja) インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成物
JP7144742B2 (ja) インク組成物、インクジェット記録セット
JP7455502B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2014173069A (ja) インクセット及びインクジェット記録方法
JP2020059267A (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP2010222424A (ja) インクジェット記録用インク、記録方法及び記録装置
JP2009001741A (ja) 記録用インク及びその製造方法、並びにインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2012241015A (ja) インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法と記録装置
JP6611758B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP7023615B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6873684B2 (ja) インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2017081058A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2021053956A (ja) インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク組成物
JP2018002909A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6018000B2 (ja) インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インク記録物
CN114619762B (zh) 喷墨记录方法和喷墨记录设备
JP7459219B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2022022108A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2010053308A (ja) 顔料インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190516

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201223

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6815752

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151