JP6766781B2 - インクジェット記録ヘッド用クリーニング液 - Google Patents

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Description

本発明は、用紙のような記録媒体に水性インクを吐出するインクジェット記録ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング液に関するものである。
ファクシミリ、複写機、プリンターのような記録装置として、インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置が、高精細な画像を形成できることから広く用いられている。
このようなインクジェット記録装置では、特に水性インクを用いる場合、インクを低粘度化し、速乾性および着色成分の紙への浸透抑制を実現するため、紙面に着弾したときにインク中から水分を迅速に離脱させる方法が検討されている。例えば、顔料濃度を可能な限り高くしつつインクの低粘度を維持するように、バインダー樹脂として長鎖アルキル基や芳香環等の疎水性の高い官能基を分子内に導入し、低酸価に設計したアルカリ可溶性樹脂をできる限り少量で使用する技術はその一つである。しかしながら、この方法ではインクが乾燥して固化したときに再溶解し難くなる。
そして、長時間インクが吐出されないまま放置されていたインクジェット記録装置では、画像記録のためのインク滴と共に吐出される微小なインク滴(以下、ミストと称する)や、インク滴が記録媒体に付着した際に発生する跳ね返りミストが、記録ヘッドのインク吐出面に付着して固化する。インク吐出面のミストが徐々に増加しインク吐出ノズルに重なると、インクの直進性の悪化(飛翔曲がり)や不吐出等が発生して記録ヘッドの印字性能が低下する。
一方、インク吐出面には、インクの付着性を低下させるために撥水膜が形成されている場合が多い。しかし、水系の顔料インクを使用する場合、ゴム製のワイパーによるワイピング動作を繰り返すと顔料粒子が研磨材として作用し、徐々に撥水膜が削れていく。そのため、インク吐出面にミストが付着し易くなりインク吐出面を清潔に保てなくなる。
そこで、インク吐出面に付着したミストをクリーニングするクリーニング液が種々考案されており、例えば特許文献1には、異なる界面活性剤を含む2種の洗浄水からなる2液型インクジェットヘッド洗浄液が開示されている。また、特許文献2には、界面活性剤、塩基性化合物、水を含有し、かつ洗浄液のpHが9以上であるインクジェット記録ヘッド用ノズル洗浄液が開示されている。特許文献3には、アルカリ剤、アルキルアミンオキシドおよび特定の有機溶剤を含有する水系洗浄剤を用いて硬質表面を洗浄する方法が開示されている。
一方、特許文献4には、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインおよび2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインから選ばれる両性界面活性剤と、塩基性化合物と、水とを含み、両性界面活性剤の含有量が0.1〜3質量%である洗浄液および洗浄方法が開示されている。
特開2009−155424号公報 特開2000−127419号公報 特開2012−67152号公報 特開2016−60156号公報
しかし、特許文献1、2に記載の洗浄液では、顔料濃度が高く、バインダー樹脂として再溶解性の乏しいアルカリ可溶性樹脂を使用したインクや、ヘッドやノズル中でインク皮膜が固化したとき等の洗浄が厳しい条件では充分な洗浄効果が得られなかった。また、特許文献3に記載の水系洗浄剤は、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素化合物や、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系化合物等の有機溶剤を含むため、ポリマー部材を多く使用するインクジェット記録装置に適用する場合に、洗浄液に接触する部分が有機溶剤に侵されるという問題点があった。
また、特許文献4のクリーニング液は、ヘッドやノズル面の短期的な洗浄能力を有しているが、液の安定性や、ヘッド面にクリーニング液が付着した状態で長期放置された場合、クリーニング液自体がヘッドやノズル面に固化、付着してしまうという新たな問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑み、記録ヘッドのノズル面に付着した水性インクの乾燥皮膜を剥離、溶解してインクの吐出不良を改善するとともに、ノズル面に形成される撥水膜の長期安定性にも優れたインクジェット記録ヘッド用クリーニング液を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液である。クリーニング液は、ベタイン構造を有する両性界面活性剤と、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンと、塩基性化合物と、1種以上の多価アルコールと、水とを含有する。
本発明の第1の構成によれば、記録ヘッドのインク吐出面にクリーニング液を供給し、パージインクと共にワイパーで拭き取る際に、インク吐出面に付着して固化したインクをクリーニング液に容易に溶解することができる。従って、インク吐出面を容易に且つ確実にクリーニングすることができ、長期間に亘ってインクの直進性の悪化や不吐出等の発生を抑制して画像品質を維持することができる。また、クリーニング液によってインク吐出面とワイパーとの間の潤滑性が向上するため、ワイパーとの摩擦によるインク吐出面の撥水膜の剥がれも効果的に抑制することができる。
インクジェット記録装置の記録部を上方から見た平面図 記録部のラインヘッドを構成する記録ヘッドの側面図 記録ヘッドをインク吐出面側から見た平面図 記録ヘッド周辺を斜め下方から見た斜視図 記録ヘッド周辺を斜め上方から見た斜視図
本発明のインクジェット記録ヘッド用クリーニング液は、ベタイン構造を有する両性界面活性剤と、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンと、塩基性化合物と、多価アルコールと、水とを含有する。以下、本発明のクリーニング液について詳細に説明する。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤は、記録ヘッドのノズル面(インク吐出面)に付着して固化したインクを溶解する機能を有する。本発明のクリーニング液にはベタイン構造を有する両性界面活性剤が配合される。ベタイン構造を有する両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン構造、オクタン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン構造を有するものが挙げられる。特に、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤は、潤滑効果が高くノズル面に形成される撥水膜の削れを抑制して撥水性を長期間維持できるため好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤の中でも、アルキル鎖長が長く潤滑性の高いヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。
両性界面活性剤の配合量を0.1質量%未満とすると、クリーニング効果および撥水膜に対する潤滑性が十分に発揮されない。また、両性界面活性剤の配合量が10質量%を超えると、潤滑性の向上がみられない上に両性界面活性剤がクリーニング液に溶解しきれずに分離する可能性がある。そのため、両性界面活性剤の配合量はクリーニング液全体に対して0.1質量以上10質量%以下とすることが好ましい。
(潮解性付与剤)
潮解性とは、物質が空気中の水分を吸収して溶解する性質をいう。本明細書中における潮解性付与剤は、記録ヘッドのノズル面に付着したクリーニング液とインクの混合物に潮解性を付与して乾燥を防止する機能を有するものである。本発明のクリーニング液には潮解性付与剤として、下記の化学式(1)で表される1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンが配合される。
潮解性付与剤の配合量が30質量%よりも多くなると、クリーニング液の粘度が高くなりすぎるため、クリーニング液をノズル面に均一に塗布できなくなる。また、潮解性付与剤の配合量が0.5質量%未満であると、クリーニング液とインクの混合物の乾燥を防止するために必要な量に足りず、クリーニング性能や撥水膜の長期安定性が得られない。そのため、潮解性付与剤である1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンの配合量はクリーニング液全体に対して0.5質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。
(塩基性化合物)
水性インクに配合されるバインダー樹脂としては、分子内に酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が多く用いられる。そのため、インクはアルカリ性に維持しておく必要があり、クリーニング液もインクと同様にアルカリ性のものを使用する必要がある。塩基性化合物は、クリーニング液のpHをアルカリ性に維持する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される塩基性化合物としては特に限定されず、無機または有機の塩基性化合物が配合される。無機塩基性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。有機塩基性化合物としては、低分子量の1級〜3級アミン化合物が挙げられる。これらの中でも、強アルカリであって微量でpHを調整可能な水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
本発明のクリーニング液のpHは、塩基性化合物によって7.5〜8.5に調整することが好ましい。クリーニング液のpHをこの範囲にすることで、皮膚に対する安全性やクリーニング液の付着する部材や撥水膜の浸食を抑制することができる。塩基性化合物の配合量は、塩基性化合物自体の塩基性の強さや他の成分の塩基性や酸性に応じて変動するが、クリーニング液のpHを前述の範囲に調整するために必要な量であればよい。
(多価アルコール)
多価アルコールは、2以上の水酸基を有する化合物であり、クリーニング液の保湿性性を高めてノズル面の乾燥を抑制する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類やグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(水)
水は、両性界面活性剤や潮解性付与剤である1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、塩基性化合物を溶解する溶媒としての機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される水としては、精製水やイオン交換水が挙げられる。
その他、本発明のクリーニング液には、必要に応じて他の界面活性剤、有機溶剤、消泡剤、防腐剤等をさらに配合してもよい。本発明のクリーニング液に配合される有機溶剤としては、フェノキシエタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン等が挙げられる。
次に、本発明のクリーニング液を使用するインクジェット記録装置の記録ヘッドについて説明する。図1は、インクジェット記録装置の記録部9を上方から見た図である。記録部9は、ヘッドハウジング10と、ヘッドハウジング10に保持されたラインヘッド11C、11M、11Y、および11Kを備えている。これらのラインヘッド11C〜11Kは、ベルト搬送部5を構成する搬送ベルト8の搬送面に対して所定の間隔(例えば1mm)が形成されるような高さに支持され、図1に示すように、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(図1の上下方向)に沿って複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a〜17cが千鳥状に配列されている。
図2は、記録部9のラインヘッド11C〜11Kを構成する記録ヘッド17a〜17cの側面図、図3は、記録ヘッド17a〜17cをインク吐出面F1側から見た平面図、図4は、記録ヘッド17a周辺を斜め下方から見た斜視図、図5は、記録ヘッド17a周辺を斜め上方から見た斜視図である。なお、記録ヘッド17a〜17cは同一の形状および構成であるため、図2および図3では記録ヘッド17a〜17cを一つの図で示している。図2および図3に示すように、記録ヘッド17a〜17cのヘッド部18のインク吐出面F1には、インク吐出ノズル18a(図1参照)が多数配列された複数(ここでは4ブロック)のノズル領域R1〜R4が設けられている。ヘッド部18の少なくともインク吐出面F1は、例えばSUS(ステンレス鋼)によって形成されている。
各ラインヘッド11C〜11Kを構成する記録ヘッド17a〜17cには、それぞれインクタンク(図示せず)に貯留されている4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)のインクがラインヘッド11C〜11Kの色毎に供給される。
各記録ヘッド17a〜17cは、制御部(図示せず)からの制御信号により外部コンピューターから受信した画像データに応じて、搬送ベルト8の搬送面に吸着保持されて搬送される用紙に向かってインク吐出ノズル18aからインクを吐出する。これにより、搬送ベルト8上の用紙にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが重ね合わされたカラー画像が形成される。また、記録ヘッド17a〜17cには、クリーニング液を供給するクリーニング液供給部材60が設けられている。
図4および図5に示すように、クリーニング液供給部材60には、クリーニング液が通過するチューブからなる供給路70の下流端が接続されている。供給路70の上流端は、クリーニング液供給機構(図示せず)に接続されている。クリーニング液供給機構は、クリーニング液を収容するタンク(図示せず)と、タンクから供給路70にクリーニング液を汲み上げるポンプ(図示せず)と、によって構成されている。
供給路70は、上流端では1本の経路によって構成されているが、下流側に向かって分岐を繰り返し、12本の経路に分岐している。12本の経路は、記録ヘッド17a〜17cのクリーニング液供給部材60にそれぞれ接続されている。
インクジェット記録装置では、記録ヘッド17a〜17cのインク吐出面F1を清浄にするために、長期間停止後の印字開始時および印字動作の合間には、全ての記録ヘッド17a〜17cのクリーニング液供給口60aからクリーニング液をクリーニング供給面F2に供給し、ワイパー(図示せず)によりインク吐出面F1を拭き取る記録ヘッド17a〜17cの回復動作を実行し、次の印字動作に備える。
本実施形態の構成によれば、ベタイン構造を有する両性界面活性剤と、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンと、塩基性化合物と、1種以上の多価アルコールと、水とを含有するクリーニング液を記録ヘッド17a〜17cのインク吐出面F1に供給することにより、インク吐出面F1に付着して固化したインク滴をクリーニング液に溶解することができる。
そして、クリーニング液をパージインクと共にワイパーで拭き取ることで、インク吐出面F1を容易に且つ確実にクリーニングすることができ、長期間に亘ってインクの直進性の悪化(飛翔曲がり)や不吐出等の発生を抑制して画像品質を維持することができる。また、クリーニング液によってインク吐出面F1とワイパーとの間の潤滑性が向上するため、ワイパーとの摩擦によるインク吐出面F1の撥水膜の剥がれも効果的に抑制することができる。
その他本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
[クリーニング液の調製]
界面活性剤として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(アモーゲンS−H、第一工業製薬社製)、オクタン酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンHB−C、第一工業製薬社製)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCB−H、第一工業製薬社製)、アセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物(サーフィノール485、日信化学工業社製)、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン(Dantocol(R)DHE、ロンザジャパン社製)、多価アルコールとして1,3−プロピレングリコール、塩基性化合物として水酸化ナトリウム、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表1、表2に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明1〜5、比較例1〜6)を得た。
[記録ヘッドのノズル面に対するインク付着性評価]
1ヘッド当たりのノズル数が512個、解像度(2.54cm当たりのドット数)360dpi、インク吐出量14pL、駆動周波数12.8kHzのピエゾ型インクジェット記録ヘッド(コニカミノルタ社製)を、ベルト搬送部の上方にノズルの並びが進行方向と直角になるように、且つ、隣り合うヘッドのノズル同士の間隔が20mmになるように4個配列した。そして、記録紙(上質紙、XeroxP)を搬送ベルト上に載置して350mm/secで搬送し、4個の記録ヘッドを用いて4色印字を行った。
5000枚連続印字後、ノズルからインクをパージし、パージと同時にクリーニング液供給口から本発明、比較例のクリーニング液を供給し、ワイパーでクリーニング液をパージインクと共に拭き取った。ノズル面へのインク付着の有無を顕微鏡で観察した。
評価基準としては、ノズル面にインク付着が全く見られない場合を◎、ノズル面にインク付着がほぼ見られない場合を○、ノズル面にインク付着が見られる場合を×とした。
[インク着弾精度の評価]
インク付着評価において5000枚連続印字後の記録ヘッドの全ノズルを用いてスタンプ印字(搬送ベルトを駆動させずに紙を停止した状態での印字)を行った。次に、ノズル面にクリーニング液を供給してワイパーで拭き取るクリーニング動作を行った後、再びスタンプ印字を行った。ノズル位置の全てのドット(2656個)に対してインク着弾位置のズレ量を、画像解析装置(DA6000、王子計測機器社製)を用いて1ドットごとに測定した。
具体的には、記録ヘッドの各ブロック(図3のノズル領域R1〜R4)毎に各ノズルの主走査方向および副走査方向のズレ量Δx、Δy(μm)の平均値を算出し、平均値から3σx、3σyを算出した。さらに、ズレ量の3σ値として√{(3σx)+(3σy)}=3√(σx+σy)を算出した。評価基準としては、初期(クリーニング動作前)の着弾精度の3σ値に対するクリーニング動作後の3σ値の変化が3未満の場合を○、3以上の場合を×とした。また、クリーニング動作を行った後、3日間放置した状態で同様にインク着弾精度を測定し、同様の基準で評価した。
[撥水膜削れの評価]
インク付着、インク着弾精度の評価で用いたインクジェット記録ヘッドのノズルからインクをパージし、パージと同時にクリーニング液供給口から本発明、比較例のクリーニング液を供給し、ワイパーでクリーニング液をパージインクと共に拭き取る動作を1回とカウントし、拭き取り回数に対するノズル面の撥水性を評価した。
評価方法は、ノズル面に対するイオン交換水の接触角を測定し、使用初期の接触角と拭き取り後の接触角の差が10°以内を撥水良、接触角の差が10°以上となったとき撥水不良と判断した。評価基準としては、撥水性が良から不良になるときの拭き取り回数が3000回以下の場合を×、4000〜10000回の場合を△、11000〜20000回の場合を○、21000〜35000回の場合を◎とした。インク付着、着弾精度、撥水膜削れの評価結果をクリーニング液の配合と併せて表1、表2に示す。
表1に示すように、両性界面活性剤として0.2〜10質量%のヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクタン酸アミドプロピルベタインを配合し、潮解性付与剤として0.5〜30質量%の1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを配合し、塩基性化合物として0.01〜0.3質量%の水酸化ナトリウムを配合した本発明1〜7では、いずれも5000枚連続印字後におけるノズル面へのインク付着は見られなかった。特に、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと共に2質量%以上の1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを配合した本発明1、3〜5では、ノズル面へのインク付着が全く見られなかった。
また、本発明1〜7では、ノズル面にクリーニング液を供給し、ワイパーでノズル面を拭き取った直後のインク着弾精度、および3日間放置後のインク着弾精度はいずれも初期着弾精度3σ値からの変化が3未満となり、着弾精度の低下も認められなかった。
また、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを配合した本発明1〜5では、ワイパーによる拭き取り回数が11000回を超えるまで使用初期の接触角と拭き取り後の接触角の差が10°以内であり、ノズル面の撥水膜削れが発生せず、撥水性が維持されていた。
これに対し、表2に示すように、両性界面活性剤に代えてアセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物を配合し、水酸化ナトリウムを配合しなかった比較例1では、5000枚連続印字後におけるノズル面へのインク付着が見られた。また、ワイパーでノズル面を拭き取った直後のインク着弾精度が低下し、ワイパーによる拭き取り回数が3000回以下で使用初期の接触角と拭き取り後の接触角の差が10°以上となり、撥水膜の削れによる撥水性の低下が認められた。
また、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを配合しなかった比較例2では、5000枚連続印字後におけるノズル面へのインク付着が見られた。また、ワイパーでノズル面を拭き取った直後、および3日間放置後のインク着弾精度が低下した。これは、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを配合しなかったためにクリーニング液やインクの乾燥が抑制されなかったためであると考えられる。
一方、40質量%の1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを配合した比較例3では、5000枚連続印字後におけるノズル面へのインク付着は見られなかったものの、ワイパーでノズル面を拭き取った直後、および3日間放置後のインク着弾精度が低下した。これは、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンの配合量が多すぎてクリーニング液の粘度が増大し、クリーニング液がノズル面に均一に塗布されなかったためであると考えられる。
さらに、1質量%の水酸化ナトリウムを配合した比較例4では、5000枚連続印字後におけるノズル面へのインク付着が見られた。また、ワイパーでノズル面を拭き取った直後、および3日間放置後のインク着弾精度も低下し、撥水膜の削れによる撥水性の低下も認められた。これは、強アルカリ性(pH9)のクリーニング液によってノズル面の撥水膜が浸食されたためであると考えられる。
表1、表2の結果から、0.2〜10質量%のベタイン構造を有する両性界面活性剤と、潮解性付与剤として0.5〜30質量%の1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンと、多価アルコールとして1,3−プロピレングリコールを配合し、塩基性化合物によりpHを7.5〜8.5に調整したクリーニング液を用いることで、ノズル面へのインク付着、クリーニング動作の直後および長時間放置後におけるインク着弾精度の低下、並びに撥水膜の削れを抑制する効果が得られることが確認された。
本発明は、記録媒体に水性インクを吐出するインク吐出ノズルを有するインクジェット記録ヘッドをクリーニングするクリーニング液に利用可能である。本発明の利用により、記録ヘッドのノズル面に付着して固化したインクを剥離、溶解してインクの吐出不良を改善するとともに、ノズル面に形成される撥水膜の長期安定性にも優れたインクジェット記録ヘッド用クリーニング液を提供することができる。
8 搬送ベルト
17a〜17c 記録ヘッド
18 ヘッド部
18a インク吐出ノズル
60 クリーニング液供給部材
60a クリーニング液供給口
70 供給路
F1 インク吐出面(ノズル面)
F2 クリーニング液供給面
R1〜R4 ノズル領域

Claims (5)

  1. 水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、前記ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液であって、
    ベタイン構造を有する両性界面活性剤と、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを0.5質量以上30質量%以下と、塩基性化合物と、1種以上の多価アルコールと、水とを含有し、pHが7.5〜8.5であるクリーニング液。
  2. 前記両性界面活性剤が、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング液。
  3. 前記両性界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインであることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング液。
  4. 前記両性界面活性剤の配合量が0.1質量以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリーニング液。
  5. 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のクリーニング液。
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