JP6766781B2 - インクジェット記録ヘッド用クリーニング液 - Google Patents
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Description
両性界面活性剤は、記録ヘッドのノズル面(インク吐出面)に付着して固化したインクを溶解する機能を有する。本発明のクリーニング液にはベタイン構造を有する両性界面活性剤が配合される。ベタイン構造を有する両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン構造、オクタン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン構造を有するものが挙げられる。特に、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤は、潤滑効果が高くノズル面に形成される撥水膜の削れを抑制して撥水性を長期間維持できるため好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する両性界面活性剤の中でも、アルキル鎖長が長く潤滑性の高いヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。
潮解性とは、物質が空気中の水分を吸収して溶解する性質をいう。本明細書中における潮解性付与剤は、記録ヘッドのノズル面に付着したクリーニング液とインクの混合物に潮解性を付与して乾燥を防止する機能を有するものである。本発明のクリーニング液には潮解性付与剤として、下記の化学式(1)で表される1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンが配合される。
水性インクに配合されるバインダー樹脂としては、分子内に酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が多く用いられる。そのため、インクはアルカリ性に維持しておく必要があり、クリーニング液もインクと同様にアルカリ性のものを使用する必要がある。塩基性化合物は、クリーニング液のpHをアルカリ性に維持する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される塩基性化合物としては特に限定されず、無機または有機の塩基性化合物が配合される。無機塩基性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。有機塩基性化合物としては、低分子量の1級〜3級アミン化合物が挙げられる。これらの中でも、強アルカリであって微量でpHを調整可能な水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
多価アルコールは、2以上の水酸基を有する化合物であり、クリーニング液の保湿性性を高めてノズル面の乾燥を抑制する機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類やグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
水は、両性界面活性剤や潮解性付与剤である1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン、塩基性化合物を溶解する溶媒としての機能を有する。本発明のクリーニング液に配合される水としては、精製水やイオン交換水が挙げられる。
界面活性剤として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(アモーゲンS−H、第一工業製薬社製)、オクタン酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンHB−C、第一工業製薬社製)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(アモーゲンCB−H、第一工業製薬社製)、アセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物(サーフィノール485、日信化学工業社製)、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオン(Dantocol(R)DHE、ロンザジャパン社製)、多価アルコールとして1,3−プロピレングリコール、塩基性化合物として水酸化ナトリウム、有機溶剤として2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール30、KHネオケム社製)を表1、表2に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100質量%としてクリーニング液(本発明1〜5、比較例1〜6)を得た。
1ヘッド当たりのノズル数が512個、解像度(2.54cm2当たりのドット数)360dpi、インク吐出量14pL、駆動周波数12.8kHzのピエゾ型インクジェット記録ヘッド(コニカミノルタ社製)を、ベルト搬送部の上方にノズルの並びが進行方向と直角になるように、且つ、隣り合うヘッドのノズル同士の間隔が20mmになるように4個配列した。そして、記録紙(上質紙、XeroxP)を搬送ベルト上に載置して350mm/secで搬送し、4個の記録ヘッドを用いて4色印字を行った。
インク付着評価において5000枚連続印字後の記録ヘッドの全ノズルを用いてスタンプ印字(搬送ベルトを駆動させずに紙を停止した状態での印字)を行った。次に、ノズル面にクリーニング液を供給してワイパーで拭き取るクリーニング動作を行った後、再びスタンプ印字を行った。ノズル位置の全てのドット(2656個)に対してインク着弾位置のズレ量を、画像解析装置(DA6000、王子計測機器社製)を用いて1ドットごとに測定した。
インク付着、インク着弾精度の評価で用いたインクジェット記録ヘッドのノズルからインクをパージし、パージと同時にクリーニング液供給口から本発明、比較例のクリーニング液を供給し、ワイパーでクリーニング液をパージインクと共に拭き取る動作を1回とカウントし、拭き取り回数に対するノズル面の撥水性を評価した。
17a〜17c 記録ヘッド
18 ヘッド部
18a インク吐出ノズル
60 クリーニング液供給部材
60a クリーニング液供給口
70 供給路
F1 インク吐出面(ノズル面)
F2 クリーニング液供給面
R1〜R4 ノズル領域
Claims (5)
- 水性インクを吐出するインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面に供給され、前記ノズル面をクリーニングするインクジェット記録ヘッド用クリーニング液であって、
ベタイン構造を有する両性界面活性剤と、潮解性付与剤として1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチル−2,4−イミダゾリジンジオンを0.5質量以上30質量%以下と、塩基性化合物と、1種以上の多価アルコールと、水とを含有し、pHが7.5〜8.5であるクリーニング液。 - 前記両性界面活性剤が、脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング液。
- 前記両性界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインであることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング液。
- 前記両性界面活性剤の配合量が0.1質量以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のクリーニング液。
- 前記塩基性化合物が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のクリーニング液。
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