JP2020203400A - インクジェット記録装置および画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録装置を用いて形成された画像を簡易な方法で保護することができるインクジェット記録装置および画像記録方法を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置は、搬送部と、記録部と、予備加熱部と、塗布部と、を備える。搬送部は、記録媒体を搬送する。記録部は、搬送部により搬送される記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有する。予備加熱部は、記録部により画像が記録された記録媒体を予備加熱する。塗布部は、加熱部により予備加熱された記録媒体に、水溶性ポリマーと、水溶性有機溶媒と、水とを含有する後処理液を塗布する。予備加熱部は、水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度で記録媒体を予備加熱する。【選択図】図1
Description
本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置およびインクジェット記録装置を用いた画像記録方法に関するものである。
ファクシミリ、複写機、プリンターのような記録装置として、インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が、高精細な画像を形成できることから広く用いられている。
このようなインクジェット記録装置では、色材として耐候性に優れた顔料を用いた顔料インクが主流となってきている。顔料インクを用いた印刷物は、顔料が記録媒体の表面に付着しているため剥がれ落ちやすく、染料インクに比べて画像の耐摩擦性に劣るという問題点があった。
そこで、インクジェット記録装置により画像が形成された印刷物の表面を保護する方法が種々提案されており、例えば、特許文献1には、透明樹脂をインクジェットで画像形成材料に付着させて画像を保護する画像保護方法が開示されている。
特許文献2には、インクジェット方式により塗布されるオーバーコート液であって、シランカップリング剤、有機溶媒および水を含有し、シランカップリング剤の重縮合反応により記録媒体上に被膜を形成するオーバーコート液およびこれを用いた画像記録方法が開示されている。特許文献3には、水性インクの着色剤用凝集剤、水溶性有機溶媒、ポリマー粒子および水を含有し、ポリマー粒子がコアシェル構造を有し、コア部にワックスを含有し、ポリマー粒子のシェル部が30℃以上の下限臨界溶解温度を有する画像形成用処理液が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の画像保護方法では、ソリッドジェットと呼ばれる固形の透明樹脂を加熱溶融して印字部に吐出した後、加熱ローラーで薄く延ばすものであり、画像を保護する工程に時間を要するという問題点があった。また、特許文献2のオーバーコート液では、シランカップリング剤の重縮合反応を開始させた後、乾燥させるために40〜150℃の加熱が必要であった。
また、特許文献3の画像形成用処理液は、インクジェット法により画像を形成する前に記録媒体に処理される前処理液であり、記録媒体上での顔料の凝集、顔料と記録媒体との結着を主目的とするものである。そのため、形成された画像の表面を保護して耐摩擦性を向上させるものではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、インクジェット記録装置を用いて形成された画像を簡易な方法で保護することができるインクジェット記録装置および画像記録方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、搬送部と、記録部と、予備加熱部と、塗布部と、を備えたインクジェット記録装置である。搬送部は、記録媒体を搬送する。記録部は、搬送部により搬送される記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有する。予備加熱部は、記録部により画像が記録された記録媒体を予備加熱する。塗布部は、予備加熱部により予備加熱された記録媒体に、水溶性ポリマーと、水溶性有機溶媒と、水とを含有する後処理液を塗布する。予備加熱部は、水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度で記録媒体を予備加熱する。
本発明の第1の構成によれば、インクジェット方式により画像が記録された記録媒体を水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度で予備加熱した後、水溶性ポリマーを含む後処理液を塗布することで、画像の表面に水溶性ポリマーが疎水化された保護膜が形成される。これにより、顔料を含む水性インクにより形成された画像の耐摩擦性を向上させることができる。
本発明のインクジェット記録装置に用いられる後処理液は、顔料と樹脂とを含む顔料分散体、有機溶媒、および水を含有するインクを用いてインクジェット記録装置により形成された画像を保護する保護層を形成するものであって、水溶性有機溶媒、水溶性ポリマーおよび水を含有する。以下、本発明のインクジェット記録装置に用いられる後処理液について詳細に説明する。
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒は後処理液中の水分を保持する目的で添加する。これにより、後処理液用のノズルや塗布装置の中で後処理液中の水分が蒸発した場合でも、後処理液の粘度の増加が抑えられ、後処理液をインクジェット法で塗布する場合でもノズル抜け、吐出曲がり等の発生が抑制されるので吐出安定性を維持できる。
水溶性有機溶媒は後処理液中の水分を保持する目的で添加する。これにより、後処理液用のノズルや塗布装置の中で後処理液中の水分が蒸発した場合でも、後処理液の粘度の増加が抑えられ、後処理液をインクジェット法で塗布する場合でもノズル抜け、吐出曲がり等の発生が抑制されるので吐出安定性を維持できる。
水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。これらの中でも平衡水分量が30質量%以上のものが好ましく、40質量%以上のものがより好ましい。特に多価アルコール類が好ましく、その例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール等が挙げられる。中でもグリセリンと1,3−ブタンジオールは、水分を含んだときの粘度が低く、水溶性ポリマーを凝集させずに安定に保持できるので特に好ましい。
多価アルコールアルキルエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。多価アルコールアリールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。含窒素複素環化合物の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
水溶性有機溶媒の添加量は特に限定されないが、後処理液全体の5〜80質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。添加量が5〜80質量%であれば後処理液中の水分を十分に保持でき、更に粘度も高すぎないため効果的に記録媒体に塗布できる。
(水溶性ポリマー)
水溶性ポリマーは、水性エマルジョンの形態で水に分散し得るものが好ましく、ポリマーエマルジョンの形態で処理液に添加することが好ましい。ポリマーエマルジョンには、一般にエマルジョン、ディスパージョン、ラテックス、サスペンジョンと呼ばれるものを含む。ポリマー粒子の体積平均粒径は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜200nmが好ましく、80〜150nmがより好ましい。50〜200nmの範囲であれば、ポリマーエマルジョンの粘度が高くなりすぎず、処理液としての調整が容易となる。体積平均粒径は、例えば、日機装社製のマイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定することができる。ポリマー粒子の処理液中の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。1〜10質量%であれば、画像の耐摩擦性向上に十分寄与し、また処理液の粘度が高くなりすぎないので記録媒体への塗布が容易となる。
水溶性ポリマーは、水性エマルジョンの形態で水に分散し得るものが好ましく、ポリマーエマルジョンの形態で処理液に添加することが好ましい。ポリマーエマルジョンには、一般にエマルジョン、ディスパージョン、ラテックス、サスペンジョンと呼ばれるものを含む。ポリマー粒子の体積平均粒径は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜200nmが好ましく、80〜150nmがより好ましい。50〜200nmの範囲であれば、ポリマーエマルジョンの粘度が高くなりすぎず、処理液としての調整が容易となる。体積平均粒径は、例えば、日機装社製のマイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定することができる。ポリマー粒子の処理液中の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。1〜10質量%であれば、画像の耐摩擦性向上に十分寄与し、また処理液の粘度が高くなりすぎないので記録媒体への塗布が容易となる。
水溶性ポリマーは30℃以上の下限臨界溶解温度を有する必要がある。そのため30℃以上の下限臨界溶解温度を有するポリマーを用いて形成するが、下限臨界溶解温度に影響を与えない範囲で、必要に応じてその他の成分を含有させてもよい。下限臨界溶解温度が30℃未満では、室温(23℃)で水溶性ポリマーが相転移し、後処理液の増粘や保存性の低下、インクジェット方式やスプレー方式により後処理液を吐出する場合はノズルの詰まりが生じることがある。後処理液の増粘や保存性の低下の改善の点からは、下限臨界溶解温度は40℃以上であることが好ましい。但し、下限臨界溶解温度が80℃を超えると、予備加熱工程の加熱温度を上げる必要があり消費電力の観点から好ましくない。また、インクジェット方式により後処理液を吐出する場合に吐出ノズル内の後処理液の乾燥が促進され、不吐出が発生するおそれもある。そのため、加熱温度を上げることなく吐出後に効率よく乾燥させて記録画像の耐摩擦性を向上させるためには、下限臨界溶解温度は80℃以下であることが好ましい。
なお、水溶性ポリマーが水に溶解しているときはポリマー鎖付近に水分子が吸着しているが、温度が上昇すると水素結合が切断されポリマーが水と相分離して疎水性を示すようになる。本発明でいう下限臨界溶解温度とは、この相分離(相転移)を起こす温度のことである。
下限臨界溶解温度は、以下のようにして測定することができる。即ち、ポリマー粒子10gを蒸留水50mLに溶解したサンプル20mLを試験管に入れて蓋をし、10℃の恒温水槽内に固定して10分間放置する。放置後に白濁が見られない場合は、恒温水槽の温度を2℃ずつ上げていき、同様の観察を行う。そして、サンプルが白濁した時の温度を下限臨界溶解温度とする。
30℃以上の下限臨界溶解温度を有するポリマーには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(メタ)アクリルアミド誘導体由来の構造単位を含み、更に必要に応じて他のモノマーを含むものが好ましい。
(メタ)アクリルアミド誘導体には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが好ましい。N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチル−N−メチルメタクリルアミド、N−エチル−N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン,N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、30℃以上80℃以下の下限臨界溶解温度を有する点から、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチル−N−メチルメタクリルアミド、N−エチル−N−エチルメタクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミドが特に好ましい。
他のモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート等のアルキル基の側鎖が炭素数1〜5のアルキルアクリレート;エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキル基の側鎖が炭素数1〜5のアルキルメタクリレート;ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アコニット酸、フマル酸、クロトン酸等の分子内に1個又は2個以上のカルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボン酸;エチレンスルホン酸のようなα,β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチルエステル等の水酸基含有ビニルモノマー;アクリルアミド類、アクリロニトリル類;アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル類、などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを構成する全モノマー中の、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドの割合は、30〜99モル%が好ましく、40〜95モル%がより好ましい。30〜99モル%であれば、粒子形成が容易となる。
(水)
本発明において用いる後処理液は水性であり、水を必須成分として含む。後処理液に含まれる水は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、精製水、イオン交換水等の所望の純度の水を適宜選択して使用できる。後処理液中の水の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、後述する他の成分の使用量に応じて適宜変更される。後処理液中の水の含有量としては、後処理液の全質量に対して70〜90質量%が好ましい。
本発明において用いる後処理液は水性であり、水を必須成分として含む。後処理液に含まれる水は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、精製水、イオン交換水等の所望の純度の水を適宜選択して使用できる。後処理液中の水の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、後述する他の成分の使用量に応じて適宜変更される。後処理液中の水の含有量としては、後処理液の全質量に対して70〜90質量%が好ましい。
また、本発明の処理液には、必要に応じて界面活性剤、浸透剤、抑泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等の、公知の処理液に用いられる材料を含有してもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、後処理液の記録媒体に対する濡れ性を良くするために添加する。界面活性剤の添加量は、処理液全体の0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、界面活性剤の添加効果が得られる。一方、5質量%を超えて添加しても効果の上積みは期待できない。
界面活性剤は、後処理液の記録媒体に対する濡れ性を良くするために添加する。界面活性剤の添加量は、処理液全体の0.001〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、界面活性剤の添加効果が得られる。一方、5質量%を超えて添加しても効果の上積みは期待できない。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等があるが、フッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。フッ素系界面活性剤としては、フッ素で置換された炭素の数が2〜16のものが好ましく、4〜16のものがより好ましい。炭素の数が2以上であれば、フッ素系界面活性剤を用いる効果が得られ、16以下であれば保存性等の問題も生じない。
(浸透剤)
浸透剤は、記録媒体への後処理液の浸透性を良くするために添加する。浸透剤の添加量は0.1〜5.0質量%が好ましい。0.1質量%以上であれば処理液を浸透させる効果が得られる。また、5.0質量%以下であれば、浸透剤が溶媒から分離して浸透性の向上効果が飽和してしまうようなことはない。浸透剤としては炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物が好ましく、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
浸透剤は、記録媒体への後処理液の浸透性を良くするために添加する。浸透剤の添加量は0.1〜5.0質量%が好ましい。0.1質量%以上であれば処理液を浸透させる効果が得られる。また、5.0質量%以下であれば、浸透剤が溶媒から分離して浸透性の向上効果が飽和してしまうようなことはない。浸透剤としては炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物が好ましく、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
(抑泡剤)
抑泡剤は、後処理液の発泡を抑えるために添加する。一般に、水のように表面張力が高い液体は、液体の表面積をできるだけ小さくしようとする力が作用するため発泡し難いが、表面張力が低く粘度が高い液体は発泡し易く、発生した泡が消泡し難い。本発明の後処理液は、水溶性ポリマー、水溶性有機溶媒、界面活性剤等を含有すると、表面張力が低下して粘度が上昇するため発泡し易くなるので抑泡剤を添加することが好ましい。抑泡剤の添加量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましい。0.01質量%以上であれば泡を抑える効果が十分に得られる。また、10質量%以下であれば、抑泡剤が後処理液に溶解しなくなることはない。
抑泡剤は、後処理液の発泡を抑えるために添加する。一般に、水のように表面張力が高い液体は、液体の表面積をできるだけ小さくしようとする力が作用するため発泡し難いが、表面張力が低く粘度が高い液体は発泡し易く、発生した泡が消泡し難い。本発明の後処理液は、水溶性ポリマー、水溶性有機溶媒、界面活性剤等を含有すると、表面張力が低下して粘度が上昇するため発泡し易くなるので抑泡剤を添加することが好ましい。抑泡剤の添加量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましい。0.01質量%以上であれば泡を抑える効果が十分に得られる。また、10質量%以下であれば、抑泡剤が後処理液に溶解しなくなることはない。
(pH調整剤)
pH調整剤は、後処理液に悪影響を及ぼさずにpHを6〜10に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。pHが6以上であれば、後処理液と接触する搬送ローラー等の搬送部材の腐食が発生しにくい。
pH調整剤は、後処理液に悪影響を及ぼさずにpHを6〜10に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。pHが6以上であれば、後処理液と接触する搬送ローラー等の搬送部材の腐食が発生しにくい。
好ましいpH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アンモニウム水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第四級アンモニウム水酸化物等が挙げられる。ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第四級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
(防腐防黴剤)
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンナトリウム等が好適に用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンナトリウム等が好適に用いられる。
(防錆剤)
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、1,2,3−ベンゾトリアゾール等が好適に用いられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、1,2,3−ベンゾトリアゾール等が好適に用いられる。
上記のようにして得られた本発明の後処理液を、インクジェット方式により水性インク(顔料インク)を用いて記録され、水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度に予備加熱された画像に塗布することで、画像の表面に疎水化された水溶性ポリマーの保護膜が形成される。これにより、画像の耐摩擦性を向上させることができる。
後処理液の載せ量(塗布量)については特に制限はないが、載せ量が6g/m2よりも少ない場合は水溶性ポリマーの保護膜が十分に形成されず、画像の耐摩擦性を向上する効果が不十分となる。一方、載せ量が13g/m2を超える場合は画像の耐摩擦性の更なる向上効果が認められない上に、保護膜が厚くなりすぎて記録媒体の柔軟性が損なわれるおそれがある。そのため、後処理液の載せ量は6g/m2以上13g/m2以下とすることが好ましい。
(画像記録方法)
次に、インクジェット記録装置を用いた画像記録方法について説明する。本発明の画像記録方法において用いるインクジェット記録装置は特に限定されず、シリアルヘッド方式やラインヘッド方式のインクジェット記録装置が用いられる。特に、顔料インクを用いるインクジェット記録装置では画像の剥がれが生じやすいが、本発明の画像記録方法によれば、これらの問題が生じにくい。
次に、インクジェット記録装置を用いた画像記録方法について説明する。本発明の画像記録方法において用いるインクジェット記録装置は特に限定されず、シリアルヘッド方式やラインヘッド方式のインクジェット記録装置が用いられる。特に、顔料インクを用いるインクジェット記録装置では画像の剥がれが生じやすいが、本発明の画像記録方法によれば、これらの問題が生じにくい。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置100の構造を示す概略図である。図1に示すように、インクジェット記録装置100の左側部には用紙S(記録媒体)を収容する給紙トレイ2が設けられており、この給紙トレイ2の一端部には収容された用紙Sを、最上位の用紙Sから順に一枚ずつ後述する第1搬送ユニット5へ搬送(給紙)するための給紙ローラー3と、給紙ローラー3に圧接されて従動回転する従動ローラー4とが設けられている。
用紙搬送方向(矢印X方向)に対し給紙ローラー3および従動ローラー4の下流側(図1の右側)には、第1搬送ユニット5および記録部9が配置されている。第1搬送ユニット5は、第1駆動ローラー6と、第1従動ローラー7と、第1駆動ローラー6および第1従動ローラー7に掛け渡された第1搬送ベルト8とを含む構成であり、インクジェット記録装置100の制御部110からの制御信号により第1駆動ローラー6が時計回り方向に回転駆動されることにより、第1搬送ベルト8に保持された用紙Sが矢印X方向に搬送される。
記録部9は、ヘッドハウジング10と、ヘッドハウジング10に保持されたラインヘッド11a、11b、11c、および11dを備えている。各ラインヘッド11a〜11dを構成する記録ヘッド17a〜17cには、それぞれインクタンク(図示せず)に貯留されている4色(イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラック)のインクがラインヘッド11a〜11dの色毎に供給される。
用紙搬送方向に対し第1搬送ユニット5の下流側(図1の右側)には第2搬送ユニット12が配置されている。第2搬送ユニット12は、第2駆動ローラー13と、第2従動ローラー14と、第2駆動ローラー13および第2従動ローラー14に掛け渡された第2搬送ベルト15とを含む構成であり、第2駆動ローラー13が時計回り方向に回転駆動されることにより、第2搬送ベルト15に保持された用紙Sが矢印X方向に搬送される。
第2搬送ユニット12の上方には後処理液吐出ヘッド20と予備加熱部21とが配置されている。後処理液吐出ヘッド20は、記録部9において画像が記録され、第2搬送ベルト15に吸着保持されて搬送される用紙Sに前述した後処理液を吐出する。予備加熱部21は、用紙Sの搬送方向(矢印X方向)に対し後処理液吐出ヘッド20の上流側に配置され、用紙Sの表面に吐出されたインクを乾燥するとともに、用紙Sを予備加熱する。予備加熱部21による用紙Sの予備加熱温度は、後処理液に含まれる水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上とする。
第2搬送ユニット12の下方にはメンテナンスユニット(図示せず)が配置されている。メンテナンスユニットは、ワイプブレード(図示せず)による拭き取り動作を実行する際に記録部9の下方に移動する。そして、記録ヘッド17a〜17cのクリーニング液供給口(図示せず)からクリーニング液を供給し、ワイパーを用いてクリーニング液を塗り広げながらインク吐出面を拭き取り、拭き取られたクリーニング液を回収する。
また、用紙搬送方向に対し第2搬送ユニット12の下流側には、画像が記録された用紙Sをインクジェット記録装置100の外部へ排出する排出ローラー対16が設けられている。排出ローラー対16の下流側には、インクジェット記録装置100の外部へ排出された用紙Sが積載される排出トレイ(図示せず)が設けられている。
図2は、インクジェット記録装置100の記録部9を上方から見た図である。記録部9は、ヘッドハウジング10と、ヘッドハウジング10に保持されたラインヘッド11a〜11dを備えている。ラインヘッド11a〜11dは、第1搬送ユニット5を構成する第1搬送ベルト8の搬送面に対して所定の間隔(例えば1mm)が形成されるような高さに支持され、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(図2の上下方向)に沿って複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a〜17cが千鳥状に配列されている。
各ラインヘッド11a〜11dを構成する記録ヘッド17a〜17cには、それぞれインクタンク(図示せず)に貯留されている4色(イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラック)のインクがラインヘッド11a〜11dの色毎に供給される。
各記録ヘッド17a〜17cは、外部コンピューターから受信した画像データに応じて、制御部110(図1参照)からの制御信号によって第1搬送ベルト8の搬送面に吸着保持されて搬送される用紙Sに向かって吐出ノズル18からインクを吐出する。これにより、第1搬送ベルト8上の用紙Sにはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが重ね合わされたカラー画像が形成される。
図3は、インクジェット記録装置100のラインヘッド11aと用紙S上に形成されたドット列の一部を示す拡大平面図である。ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置100を用いてドットを形成する方法を、図3を用いて具体的に説明する。なお、図3では図1および図2に示したラインヘッド11a〜11dのうち、ラインヘッド11aを例に挙げて説明するが、他のラインヘッド11b〜11dについても全く同様に説明される。また、後処理液を吐出する後処理液吐出ヘッド20の構成もラインヘッド11aと同様である。
図3に示すように、ラインヘッド11aには複数個の吐出ノズル18からなるノズル列N1、N2が搬送方向(矢印X方向)に並設されている。つまり、搬送方向の各ドット列を形成する吐出ノズル18として、ノズル列N1、N2に各1個ずつ(例えばドット列L1では吐出ノズル18aおよび18a′)、合計2個の吐出ノズル18を備えている。なお、ここでは説明の便宜のため、ノズル列N1、N2を構成する吐出ノズル18のうち、ドット列L1〜L16に対応する18a〜18pおよび18a′〜18p′までの各16個の吐出ノズル18のみを記載しているが、実際にはさらに多数の吐出ノズル18が搬送方向と直交する方向に配列されているものとする。
そして、このノズル列N1、N2を順次用いて記録媒体上に画像を形成する。例えば、記録媒体を搬送方向に移動させながら、記録媒体の幅方向(図3の左右方向)1行分のドット列D1をノズル列N1からのインク吐出(図3の実線矢印)により形成した後、次の1行分のドット列D2をノズル列N2からのインク吐出(図3の破線矢印)により形成し、さらに次の1行分のドット列D3を再びノズル列N1からのインク吐出により形成する。以下、ドット列D4以降もノズル列N1、N2を交互に用いて同様に形成する。
記録部9のラインヘッド11a〜11dによりインクが吐出されて画像が記録された用紙Sは、予備加熱部21を通過する際にインクが乾燥される。その後、後処理液吐出ヘッド20を通過する際に画像上に後処理液が吐出される。このとき、用紙Sは予備加熱部21によって後処理液に含まれる水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度に予備加熱されている。そのため、用紙S上に吐出された後処理液中の水溶性ポリマーが速やかに疎水化され、画像の表面に疎水性の保護膜を形成する。
以上説明した画像記録方法によれば、インクジェット記録装置100を用いて顔料インクにより画像形成した後に用紙を予備加熱し、水溶性ポリマーを含む後処理液を塗布することで、画像の表面に保護層を形成する。これにより、画像の剥がれを抑制して耐摩擦性を向上させることができる。このため、本発明の画像記録方法は顔料インクを用いる種々のインクジェット記録装置において好適に利用することができる。
その他本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では所定の形状にカットされた用紙S(カット紙)にインクを吐出するインクジェット記録装置100について説明したが、本発明はロール状に巻かれた長尺の用紙を所定の速度で繰り出してインクを吐出するインクジェット記録装置にも同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、後処理液吐出ヘッド20によりインクジェット方式で後処理液を吐出する構成としたが、用紙Sの印字部(画像部)に後処理液を均一に塗布可能な構成であればインクジェット方式に限らず、例えばスプレー方式により塗布することもできる。
また、記録媒体の材質も紙に限定されるものではなく、天然繊維、合成繊維の織物、編物、または不織布等の布帛、合成樹脂製のフィルム等、種々の記録媒体を使用することができる。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
[顔料インクの調製]
黒色顔料分散体(CAB−O−JET400、顔料固形分15%;キャボットコーポレーション社製)50質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水39質量%を攪拌機にて攪拌し、孔径5μmのフィルターによりろ過して顔料インクを調製した。
黒色顔料分散体(CAB−O−JET400、顔料固形分15%;キャボットコーポレーション社製)50質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水39質量%を攪拌機にて攪拌し、孔径5μmのフィルターによりろ過して顔料インクを調製した。
[後処理液の調製]
N−イソプロピルアクリルアミド(下限臨界溶解温度30℃、SIGMA−ALDRICH社製)0.3質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水88.7質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液1を調製した。
N−イソプロピルアクリルアミド(下限臨界溶解温度30℃、SIGMA−ALDRICH社製)0.3質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水88.7質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液1を調製した。
N−エチル−N−エチルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度40℃、SIGMA−ALDRICH社製)0.3質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水88.7質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液2を調製した。
N−イソプロピルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度50℃、SIGMA−ALDRICH社製)0.3質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水88.7質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液3を調製した。
N−エチル−N−メチルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度80℃、SIGMA−ALDRICH社製)0.3質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水88.7質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液4を調製した。
N−エチルアクリルアミド(下限臨界溶解温度90℃、SIGMA−ALDRICH社製)0.3質量%、グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水88.7質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液5を調製した。
[参考例]
[参考例]
グリセリン(花王社製)10質量%、界面活性剤(サーフィノール420、日信化学工業社製)1質量%、イオン交換水89質量%を攪拌機にて攪拌し、後処理液6を調製した。
[耐摩擦性、吐出性の評価]
調製された顔料インクおよび後処理液を用いて画像形成を行った場合の画像の耐摩擦性、後処理液の吐出性について評価した。評価に用いる試験機は、顔料インクと後処理液とを吐出するインクジェットヘッド(KJ4B−YH、京セラ社製)をそれぞれ1つずつ備え、各インクジェットヘッドの下部を通過する搬送盤を加熱することができる。
調製された顔料インクおよび後処理液を用いて画像形成を行った場合の画像の耐摩擦性、後処理液の吐出性について評価した。評価に用いる試験機は、顔料インクと後処理液とを吐出するインクジェットヘッド(KJ4B−YH、京セラ社製)をそれぞれ1つずつ備え、各インクジェットヘッドの下部を通過する搬送盤を加熱することができる。
<耐摩擦性の評価方法>
上記の試験機を用いて、顔料インクをインクジェット記録用紙(ColorCopy90、mondi社製)にインク載せ量が6.3g/m2、大きさが3cm×4cmのカラーパッチを印字し、搬送盤で一定の温度で予備加熱しながら搬送した。そして、記録用紙に印字されたカラーパッチに重なるように、カラーパッチと同様の印字パターン(3cm×4cm)で、載せ量(塗布量)が12.6g/m2となるように後処理液を吐出し、搬送盤で加熱を継続しながら搬送した。
上記の試験機を用いて、顔料インクをインクジェット記録用紙(ColorCopy90、mondi社製)にインク載せ量が6.3g/m2、大きさが3cm×4cmのカラーパッチを印字し、搬送盤で一定の温度で予備加熱しながら搬送した。そして、記録用紙に印字されたカラーパッチに重なるように、カラーパッチと同様の印字パターン(3cm×4cm)で、載せ量(塗布量)が12.6g/m2となるように後処理液を吐出し、搬送盤で加熱を継続しながら搬送した。
カラーパッチが印字され、後処理液が吐出された記録用紙を印字部が上向きになるように固定し、その上に印字していない記録用紙を重ねた。さらに、その上に底面積が3cm×4cmの1kgの重りを置き、荷重をかけた状態で印字していない記録用紙と重りを一体として水平に往復移動させた。5往復摺擦した後の印字していない記録用紙の印字部に接触していた部分を反射濃度計(FD−9、コニカミノルタ社製)で測色した。測色条件は、観察光源D50、照明条件M2、視野2°、濃度ステータスIとした。
耐摩擦性の評価基準は、摺擦前の記録用紙の基準濃度を測定し、印字面に重ねて摺擦した部分の濃度から基準濃度を引いた値(FD)=0.02未満は合格(A判定)、0.02以上は不合格(B判定)とした。
<吐出性の評価方法>
上記の試験機を用いて、各吐出ノズルが特定できる印字パターン(例えば1ノズル毎に1ライン印字)を載せ量が6.3g/m2となるように後処理液のみで印字し、印字したパターンを目視で確認した。
上記の試験機を用いて、各吐出ノズルが特定できる印字パターン(例えば1ノズル毎に1ライン印字)を載せ量が6.3g/m2となるように後処理液のみで印字し、印字したパターンを目視で確認した。
吐出性の評価基準は、ヌケやヨレの発生個所が10箇所以内で合格(A判定)、ヌケやヨレの発生個所が10箇所以上で不合格(B判定)とした。耐摩擦性、吐出性の評価結果を、使用した後処理液、予備加熱条件(搬送盤温度)と併せて表1に示す。
表1から明らかなように、カラーパッチを印字した後、搬送盤を後処理液1〜4に含有される水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上に予備加熱し、カラーパッチに重なるように後処理液1〜4を吐出した場合(本発明1〜4)は、いずれも耐摩擦性の評価においてFDが0.02未満であり、後処理液によって形成される保護膜によりカラーパッチが十分に保護されていた。また、いずれも吐出性の評価においてヌケやヨレの発生個所が10箇所以内であり、後処理液の吐出性も安定していた。
これに対し、カラーパッチに重なるように後処理液5を吐出した比較例1では、耐摩擦性の評価においてFDが0.02未満であり、カラーパッチが十分に保護されていたが、吐出性の評価においてヌケやヨレの発生個所が30箇所であり、後処理液の吐出性が不安定であった。この理由としては、後処理液5に含有される水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度が90℃と高いため、搬送盤を100℃程度に加熱する必要があり、後処理液を吐出するインクジェットヘッドの吐出ノズル内で後処理液の乾燥が進み不吐出が発生したためであると考えられる。
また、水溶性ポリマーを含有しない後処理液6を吐出した比較例2、後処理液を吐出せずにカラーパッチの印字のみを行った比較例3では、いずれも耐摩擦性の評価においてFDが0.02以上であり、カラーパッチの擦れによる色移りが発生した。
また、カラーパッチを印字した後、搬送盤で予備加熱せずに室温で搬送し、カラーパッチに重なるように後処理液1を吐出した比較例4、記録用紙に後処理液1を先に吐出し、乾燥させた後処理液1の上に顔料インクを吐出してカラーパッチを形成した比較例5では、いずれも耐摩擦性の評価においてFDが0.02以上であり、カラーパッチの擦れによる色移りが発生した。
本発明1〜4および比較例1〜5の結果から、画像が印字された記録媒体を水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上に予備加熱し、水溶性ポリマーを含有する後処理液を吐出することで、印字画像の耐摩擦性が向上することが確認された。また、下限臨界溶解温度が30℃〜80℃の水溶性ポリマーを用いることで、インクジェットヘッドを用いて後処理液を吐出する場合の吐出安定性にも優れることが確認された。
本発明は、記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置および画像記録方法に利用可能である。本発明の利用により、インクジェット方式により記録された画像を簡易な方法で保護することができるインクジェット記録装置および画像記録方法を提供することができる。
8 第1ベルト搬送部(搬送部)
9 記録部
11a〜11d ラインヘッド
12 第2ベルト搬送部(搬送部)
17a〜17c 記録ヘッド
18 吐出ノズル
20 後処理液吐出ヘッド(塗布部)
21 予備加熱部
100 インクジェット記録装置
S 用紙(記録媒体)
9 記録部
11a〜11d ラインヘッド
12 第2ベルト搬送部(搬送部)
17a〜17c 記録ヘッド
18 吐出ノズル
20 後処理液吐出ヘッド(塗布部)
21 予備加熱部
100 インクジェット記録装置
S 用紙(記録媒体)
Claims (11)
- 記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有する記録部と、
前記記録部により画像が記録された前記記録媒体を予備加熱する予備加熱部と、
前記加熱部により予備加熱された前記記録媒体に、水溶性ポリマーと、水溶性有機溶媒と、水とを含有する後処理液を塗布する塗布部と、
を備え、
前記予備加熱部は、前記水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度で前記記録媒体を予備加熱することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度が30℃以上80℃以下である前記後処理液を用いることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記水溶性ポリマーが、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記水溶性ポリマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチル−N−メチルメタクリルアミド、N−エチル−N−エチルメタクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミドから選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記塗布部における前記後処理液の塗布量が6g/m2以上13g/m2以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記塗布部は、インクジェット方式により前記後処理液を吐出する後処理液吐出ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 水性インクを吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程により画像が形成された前記記録媒体を予備加熱する予備加熱工程と、
前記予備加熱工程により加熱された前記記録媒体の少なくとも画像領域に、水溶性ポリマーと、水溶性有機溶媒と、水とを含有する後処理液を塗布する塗布工程と、
を含み、
前記予備加熱工程において、前記水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度以上の温度で前記記録媒体を予備加熱することを特徴とする画像記録方法。 - 前記水溶性ポリマーの下限臨界溶解温度が30℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像記録方法。
- 前記水溶性ポリマーが、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項8に記載の画像記録方法。
- 前記水溶性ポリマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチル−N−メチルメタクリルアミド、N−エチル−N−エチルメタクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミドから選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項9に記載の画像記録方法。
- 前記塗布工程における前記後処理液の塗布量が6g/m2以上13g/m2以下であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の画像記録方法。
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JP2019111493A JP2020203400A (ja) | 2019-06-14 | 2019-06-14 | インクジェット記録装置および画像記録方法 |
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