JP2006241324A - インクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクタンク - Google Patents

インクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクタンク Download PDF

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Abstract

【課題】従来の2液印字方式と同様に、高解像度、高画像濃度で、滲みが少なく、速乾性を有すると共に、更に耐目詰まり性および吐出安定性に優れたインクジェット記録用インクセットを提供すること。
【解決手段】顔料および界面活性剤を含むインクと、水溶性高分子を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットであって、前記顔料、前記界面活性剤および前記水溶性高分子がアニオン性物質であるインクジェット記録用インクセットである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録に用いられるインクおよび処理液からなるインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクタンクに関するものである。
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行う、いわゆるインクジェット方式の記録装置は、小型で安価、静寂性等種々の利点があり、最近ではレポート用紙、コピー用紙等のいわゆる普通紙上に良好な印字品質が得られる黒色の単色プリンターだけではなく、フルカラー記録が行える製品が数多く市販されており、記録装置の分野で大きな位置を占めるようになった。中でも、圧電素子を用いたいわゆるピエゾインクジェット方式、あるいは、熱エネルギーを作用させて液滴を形成し、記録を行う、いわゆる熱インクジェット方式は、高速印字、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
インクジェット記録装置で用いられるインクは、主に溶媒、色材、添加剤から構成される。かかるインクに対しては、紙上で滲みのない、高解像度、高濃度で均一な画像が得られること、紙上においてインクの速乾性が良いこと、画像の堅ろう性が良いこと、長期保存安定性が良いこと、などの要求特性がある。また、近年上市されてきたオフィス向けインクジェットプリンターにおいては、高画質であることだけでなく、高速印刷が可能であることが求められている。
高解像度、高濃度で、滲みのない画像を得るためには、用紙内への浸透や用紙上での広がりを抑えたインクを用いる手法が有効である。しかし、一方で乾燥速度が遅ために高速印刷を行うインクジェットプリンターで使用した場合、印刷後、用紙がトレイ上で重なった際に、未乾燥のインクが重なった用紙にオフセットするトラブルが発生しやすい。また両面印刷を行う際に、未乾燥のインクが搬送ローラーなどのプリンター内部を汚染することがある。
高い画質と速乾性を両立させる手法として、インクの他に、インク中の色材等の凝集を促進する成分を含む液体(以下、「処理液」と称す場合がある)も用紙上に付与して、用紙上で色材を凝集させ、用紙内部への色材の浸透を抑制する、いわゆる2液印字方式が挙げられる。
たとえば、アニオン性物質を含有したインクとシリコーン化合物とカチオン性物質を含有した処理液との接触による凝集反応を用いた2液印字方法が提案されている(特許文献1参照)。また、カチオン性物質とノニオン性高分子物質を含む液体組成物(処理液)とアニオン性物化合物を含むインクを組み合わせる方法が提案されている(特許文献2〜4等参照)。
他の2液印字方式としては、異なるpHを持つ複数のインクを接触させることにより、色材を凝集させる方法が挙げられる(特許文献5参照)。また、多価金属塩を含む処理液を作用させることで色材を凝集させる方法も挙げられる(特許文献6参照)。
さらに、2液印字方式における画質の向上や吐出安定性の向上等の試みとして、インクと処理液とを混合した記録材料中の粒子数が一定値以上となるインクおよび処理液を組み合わせて用いる方法も提案されている(特許文献7参照)。
このような2液印字方式は、従来のインクのみを用いた印字方式と比べて一般的に、高解像度、高画像濃度で、滲みが少ない画像が得られる上に、印字後の乾燥が早いという特徴を有する。
特開平8−142500号公報 特開平8−193175号公報 特開平8−197840号公報 特開平9−286940号公報 特開2001−199150号公報 特開平9−28694号公報 特開平11−343435号公報
しかしながら、印字に際しては、記録ヘッドからインクおよび処理液が吐出されるため、従来の2液印字方式では、記録ヘッドのノズル近傍でインクと処理液とが接触した場合にノズルの目詰まりや、吐出不良が発生し易かった。
特に高速印刷を行うインクジェットプリンターでは、記録ヘッドと記録媒体との間の空間で、インクおよび処理液が霧状に舞い、ミストとして滞留する現象が発生しやすい。さらに記録ヘッドと記録媒体との相対速度が速いために、気流の乱れが生じてミストがノズルに付着しやすい状態にあるため、更にノズルの目詰まりや、吐出不良が発生し易かった。
更に、記録媒体の搬送方向と直交する方向に対して、記録媒体の幅とほぼ等しい幅を有する固定された記録ヘッドを備え、記録媒体を搬送するだけで印刷を行うプリンターが、近年、上市されつつある。このようなプリンターでは、ノズルが、記録媒体の紙幅方向に高密度で配列しているだけでなく、紙送り方向にも複数列に渡って配置されている。それゆえ、記録ヘッドと記録媒体との間の空間の気流が乱れ易く、ミストが発生し易い状態にあるため、ノズルの目詰まりや、吐出不良が発生しやすい傾向にあると考えられる。
本発明は、上記問題を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、従来の2液印字方式と同様に、高解像度、高画像濃度で、滲みが少なく、速乾性を有すると共に、更に耐目詰まり性および吐出安定性に優れたインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクタンクを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を達成するために、従来の2液印字方式において、ノズルの目詰まりや、吐出不良が発生する原因について鋭意検討した。
そのため、まず、インクと処理液との反応について検討した。従来の2液印字方式では、インクと処理液との反応を利用して、直接的、あるいは、間接的に色材の凝集を促進させる。この反応メカニズムとしては、大別すると、インクあるいは処理液のいずれか一方の印字用液体に含まれるカチオン性物質と、他方の印字用液体に含まれるアニオン性物質とのカチオン−アニオン反応や、一方の印字用液体のpHと他方の印字用液体のpHとに差を設け、両者を混合した際の中和反応が挙げられる。
いずれの反応も、高画像濃度等の2液印字方式本来のメリットを得るために、反応が強く起こるようにインクの設計を行っている。
実際に印字する際、ノズル吐出口付近ではインク及び処理液が微小滴となって飛び散る所謂ミストが発生する。このミスト化したインクが、処理液ヘッドの吐出口付近に付着する、又は、逆に、ミスト化した処理液がインクヘッドの吐出口付近に付着すると、ノズル先端で上述したインクと処理液間の凝集反応が起こり、ノズル閉塞を閉塞させてしまう。
しかしながら、記録媒体表面におけるインクと処理液と間の反応においては、十分な量のインクと処理液とが混じり合って起こるのに対し、ノズルの目詰まりや吐出不良の発生の原因となる記録ヘッドのノズル近傍でのインクと処理液との間の反応では、極めて微量のインクのミストが、処理液を吐出するノズル近傍で処理液と混じり合って起こる(あるいは、極めて微量の処理液のミストが、インクを吐出するノズル近傍でインクと混じり合って起こる)。
すなわち、前者は、実質的にインクに対して混合される処理液の比率は1前後であるのに対し、後者では、少なく見積もっても10-1オーダー以下、あるいは、101オーダー以上になるものと推測される。
本発明者は、この違いに着目して、インクと処理液との混合比率が1前後であるような記録媒体表面でインクと処理液とが混じり合う場合にのみ色材の凝集が促進され、インクと処理液との混合比率が偏っている場合には色材の凝集が促進されないインクと処理液とを組み合わせることで、2液印字方式本来のメリットを享受しつつ、デメリットである目詰まりや吐出不良も抑制できるものと考え、以下の本発明を見出した。
すなわち、本発明は、
<1>
顔料および界面活性剤を含むインクと、水溶性高分子を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットであって、
前記顔料、前記界面活性剤および前記水溶性高分子がアニオン性物質であるインクジェット記録用インクセットである。
<2>
前記インクの実効量σ(i)×η(i)が、下式(1)を満たす<1>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
・式(1) 0.3≦σ(i)×η(i)≦4.0
〔但し、式(1)中、σ(i)は、前記インクの導電率(S/m)を表し、η(i)は、前記インクの粘度(mPa・s)を表す。〕
<3>
前記インクが電解質を含有し、且つ、前記実効量σ(i)×η(i)が、0.3〜3.0の範囲内である<1>または<2>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<4>
顔料および水溶性高分子を含むインクと、界面活性剤を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットにおいて、
前記顔料、前記水溶性高分子および前記界面活性剤がアニオン性物質であり、且つ、前記処理液の実効量σ(t)×η(t)が、下式(2)を満たすインクジェット記録用インクセットである。
・式(2) 0.3≦σ(t)×η(t)≦6.5
〔但し、式(2)中、σ(t)は、前記処理液の導電率(S/m)を表し、η(t)は、前記処理液の粘度(mPa・s)を表す。〕
<5>
前記処理液が電解質を含む<4>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<6>
前記水溶性高分子が、(メタ)アクリル酸を含む共重合体を含み、
前記共重合体中の前記(メタ)アクリル酸の含有割合が重量比で10重量%〜25重量%の範囲内である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<7>
前記水溶性高分子が、酸性基を有し、酸価が70〜150mgKOH/gの範囲内であり、重量平均分子量が2000〜50000の範囲内であり、且つ、前記酸性基の全てが中和された状態で前記インクおよび/または前記処理液中に溶解または分散されている<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<8>
前記水溶性高分子が、酸性基を有し、酸価が150〜450mgKOH/gの範囲内であり、重量平均分子量が2000〜50000の範囲内であり、且つ、前記酸性基の全てのうちの一部が中和された状態で前記インクおよび/または前記処理液中に溶解または分散されている<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<9>
前記インク中に含まれる前記顔料の固形分含有濃度が、5〜15重量%の範囲内である<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<10>
前記インクのゼータ電位の絶対値が5〜30mVの範囲内である<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<11>
前記インクのpHと前記処理液のpHとの差の絶対値が2未満である<1>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<12>
インクと処理液とを含むインクジェット記録用インクセットを用い、記録媒体表面に、前記インク及び前記処理液を互いに接触するように付与することにより、記録媒体表面に画像を形成するインクジェット記録方法において、
前記インクジェット記録用インクセットが、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットであるインクジェット記録方法である。
<13>
前記記録媒体表面に付与される単位面積当たりの前記インクの付与量と前記処理液の付与量との比率(インク付与量:処理液付与量)が、重量比で1.2:1〜20:1の範囲内である<12>に記載のインクジェット記録方法である。
<14>
インクと処理液とを含むインクジェット記録用インクセットを用い、前記インクおよび前記処理液を記録媒体表面に吐出する記録ヘッドを備え、前記記録媒体表面に、前記インク及び前記処理液を互いに接触するように前記記録ヘッドから吐出することにより、画像を形成するインクジェット記録装置において、
前記インクジェット記録用インクセットが、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットであるインクジェット記録装置である。
<15>
前記記録ヘッドに、インクおよび処理液を供給するインクジェット記録用インクタンクを備え、前記インクジェット記録用インクタンクに<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットが収納され、且つ、前記インクジェット記録用インクタンクが、インクジェット記録装置本体に対して脱着可能である<14>に記載のインクジェット記録装置である。
<16>
前記記録媒体表面に付与される単位面積当たりの前記インクの付与量と前記処理液の付与量との比率(インク付与量:処理液付与量)が、1.2:1〜20:1の範囲内である<14>または<15>に記載のインクジェット記録装置である。
<17>
記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、前記インクジェット記録装置に装着した状態で、前記記録ヘッドにインクおよび処理液を供給するインクジェット記録用インクタンクにおいて、
前記インクジェット記録用インクタンクに、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットが収納されたインクジェット記録用インクタンクである。
以上に説明したように本発明によれば、従来の2液印字方式と同様に、高解像度、高画像濃度で、滲みが少なく、速乾性を有すると共に、更に耐目詰まり性および吐出安定性に優れたインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクタンクを提供することができる。
<インクジェット記録用インクセット>
−第1の発明−
第1の本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、「インクセット」と略す場合がある)は、顔料および界面活性剤を含むインクと、水溶性高分子を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットであって、前記顔料、前記界面活性剤および前記水溶性高分子がアニオン性物質であることを特徴とする。
第1の本発明のインクセットを用いてインクジェット記録を行った場合、インクと処理液とが記録媒体表面で混合すると、水溶性高分子が顔料を取り込みつつ析出するために、解像度および画像濃度が高く、滲みが少ない画像を得ることができる上に、印字後の乾燥乾も早い。
なお、第1の本発明のインクセットを用いたインクジェット記録は、従来の2液印字方式のようにアニオン−カチオン反応や、中和反応を利用したものではなく、析出(いわゆる塩析)を利用したものであると推定される。以下、このような推測に至った理由について詳述する。
まず、第1の本発明のインクセットを用いたインクジェット記録において、色材が凝集する要因としては、インク中に含まれるアニオン性界面活性剤が電解質として作用するためであると考えられる。
すなわち、アニオン性界面活性剤を含有するインクと、アニオン性水溶性高分子を含有する処理液とが、記録媒体表面で接触・混合するとき、水分の蒸発および浸透によって混合溶液中のイオン濃度が上昇する。この際、双方のアニオン性物質のうち、相対的に溶解性の低いアニオン性物質が析出すると考えられる。
それゆえ、アニオン性水溶性高分子の酸価が比較的低い場合には、アニオン性水溶性高分子が析出し、この析出の際に顔料を取り込みつつ凝集するものと考えられる。
さらに、通常の電解質は、溶液中に均一に存在するのに対し、アニオン性界面活性剤は印字に際して記録ヘッドから吐出されたインクの液滴の表面に配向する。このため、インクと処理液とが接触した際に、アニオン性界面活性剤は、アニオン性水溶性高分子を含む処理液と素早く混合することができ、アニオン性水溶性高分子の析出およびこれに伴う顔料の凝集を迅速且つ効果的に発生させる作用もあると考えられる。
また、アニオン性界面活性剤は電解質としての作用も持つことから、インク中に含まれる顔料の静電的反発力を弱める効果があり、顔料の凝集をより促進することができると考えられる。
すなわち、顔料の凝集は、インクと処理液との混合によるアニオン性水溶性高分子の析出に伴い発生すると共に、アニオン性界面活性剤が、析出に伴う凝集を促進する作用を有する。このため、第1の本発明のインクセットを用いたインクジェット記録では、従来の2液印字方式のようにアニオン−カチオン反応や、中和反応を利用した顔料の凝集と同様に、解像度および画像濃度が高く、滲みが少ない画像を得ることができるものと考えられる。
このように、第1の本発明のインクセットを用いたインクジェット記録においては、析出が、顔料を凝集させる引き金となっている。しかし、このような析出は、記録ヘッドのノズル近傍で、インクおよび処理液のうち、一方がミストとして他方と混合するような状態、つまり、インクと処理液との混合比率が1から大幅にずれてしまう状況では発生しなくなる。これは、反応系において、析出するために必要な2種類のアニオン性物質のうち、一方のアニオン性物質の量が相対的に非常に少なくなり、析出に必要な溶解度の過飽和状態が発生しないためである。
このため、高速印刷時に発生したミスト状のインクおよび処理液のコンタミネーションが発生した場合でも凝集反応が抑制され、結果として目詰まりや、吐出不良も抑制される。
さらに、インク中に含まれる顔料と界面活性剤とは、共にアニオン性で、極性が同一であるため、インクの保存安定性も確保できるというメリットもある。
なお、第1の本発明のインクセットを用いたインクジェット記録においては、処理液中に含まれる水溶性高分子の析出が、顔料を凝集させる引き金となる。また、析出およびこれに伴う顔料の凝集には、上述したようにインク中に含まれる界面活性剤の絶対量のみならず電解質としての作用も重要である。
すなわち、インク中に含まれる界面活性剤が電解質として作用可能な実効量が少な過ぎる場合には、析出自体が起こり難いために、高い解像度等、従来の2液印字方式と同様の効果が得られなくなる場合があり、実効量が大き過ぎる場合には、ミスト状のインクと処理液とが混合した程度でも析出が容易に起こり得るため、目詰まりや吐出不良を招いしまう場合がある。
このような観点からは、インクの電解質としての作用も考慮した実効量を示す値であるσ(i)×η(i)は、下式(1)を満たすことが特に好ましい。
・式(1) 0.3≦σ(i)×η(i)≦4.0
但し、式(1)中、σ(i)は、インクの導電率(S/m)を表し、η(i)は、インクの粘度(mPa・s)を表す。なお、インクの導電率と粘度との積を実効量とした理由は、溶液の導電率は粘度の影響を受けるためであり、これは後述する式(2)においても同様である。
インクの実効量σ(i)×η(i)が0.3未満である場合には水溶性高分子の塩出が発生し難しい場合があり、4.0より大きいときは初期噴射性や吐出不良が悪化する場合がある。インクの噴射性や吐出性が悪化すると、印字初期のカスレ、スプラッシュ、白スジ、白抜け、文字のぼやけなどの発生を招く。また処理液の噴射性や吐出性が悪化すると、処理液が正常に吐出された部分と、処理液が正常に吐出されず、カスレや抜けが発生した部分とで画像濃度にムラが発生する場合がある。加えて、水溶性高分子の析出が十分に発生しないために画像濃度の低下や、フェザリングなどのを招く場合もある。
なお、σ(i)×η(i)は0.5〜3.0S/m・mPa・sの範囲内がより好ましく、0.6〜2.3S/m・mPa・sの範囲内が更に好ましい。
なお、析出は、インクと処理液との混合によって起こるものであるため、界面活性剤によって析出させられる水溶性高分子の電解質として作用する実効量、すなわち、処理液の実効量σ(t)×η(t)も重要である〔但し、σ(t)は処理液の導電率(S/m)表し、η(t)は処理液の粘度(mPa・s)を表す〕。
このような観点からは、インクの実効量と処理液の実効量との総和〔σ(i)×η(i)+σ(t)×η(t)〕は、0.4〜5.0S/m・mPa・sであることが望ましく、より好ましい範囲は0.5〜4.0S/m・mPa・s、さらには0.6〜3.0S/m・mPa・sであることが望ましい。実効量の総和が0.4S/m・mPa・s未満である場合には顔料の凝集作用が弱く、画像濃度が低下する場合があり、5.0S/m・mPa・sを超えると、記録ヘッド近傍で、ミスト状の微量のインク(あるいは処理液)が、これに対して数倍以上の量でノズル近傍に存在する処理液(あるいはインク)と混合したとしても、析出が発生して、結果的に吐出安定性が低下することがある。
なお、インク中に界面活性剤以外の他の電解質(以下、「第2の電解質」と称す場合がある)が含まれる場合には、インクの実効量σ(i)×η(i)は、0.3〜3.0S/m・mPa・sの範囲内であることが好ましく、0.5〜2.5S/m・mPa・sの範囲内であることがより好ましく、0.6〜2.0S/m・mPa・sの範囲内であることが更に好ましい。
第2の電解質は水溶性高分子を析出させるための助剤として有効に作用するが、インク中に含有される顔料の分散安定性を低下させる作用もある。このため、インクの実効量σ(i)×η(i)が3.0より大きくなるとインク中の顔料が凝集してしまい、保存安定性が低下する場合がある。一方、インクの実効量σ(i)×η(i)が0.3未満であるときは水溶性高分子の析出が起こり難くなる場合がある。
−第2の発明−
第2の本発明のインクジェット記録用インクセットは、顔料および水溶性高分子を含むインクと、界面活性剤を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットにおいて、前記顔料、前記水溶性高分子および前記界面活性剤がアニオン性物質であり、且つ、前記処理液の実効量σ(t)×η(t)が、下式(2)を満たすことを特徴とする。
・式(2) 0.3≦σ(t)×η(t)≦6.5
但し、式(2)中、σ(t)は、前記処理液の導電率(S/m)を表し、η(t)は、前記処理液の粘度(mPa・s)を表す。
第2の本発明のインクセットは、基本的に第1の本発明のインクセットにおいて、インクに含まれる界面活性剤と、処理液に含まれる水溶性高分子とを入れ替えた構成を有するものであり、水溶性高分子の析出に伴う顔料の凝集が発生して、高い解像度等が得られる効果や、記録ヘッドのノズル近傍において、ミスト状の微量のインク(あるいは処理液)が、処理液(あるいはインク)と混合した場合には析出が抑制され目詰まり等が抑制できる効果については第1の本発明のインクセットと同様である。
なお、第2の本発明のインクセットを用いたインクジェット記録においては、インク中に含まれる水溶性高分子の析出が、顔料を凝集させる引き金となる。また、析出およびこれに伴う顔料の凝集には、処理液中に含まれる界面活性剤の絶対量のみならず電解質としての作用も重要である。
すなわち、処理液中に含まれる界面活性剤が電解質として作用可能な実効量が少な過ぎる場合には、析出自体が起こり難いために、高い解像度等、従来の2液印字方式と同様の効果が得られなくなる場合があり、実効量が大き過ぎる場合には、ミスト状のインクと処理液とが混合した程度でも析出が容易に起こり得るため、目詰まりや吐出不良を招いしまう場合がある。
このような観点からは、処理液の電解質としての作用も考慮した実効量を示す値であるσ(t)×η(t)は、上述した式(2)を満たすことも必要である。
処理液の実効量σ(t)×η(t)が0.3未満である場合には水溶性高分子の塩出が発生し難しい場合があり、6.5より大きいときは初期噴射性や吐出不良が悪化する場合がある。インクの噴射性や吐出性が悪化すると、印字初期のカスレ、スプラッシュ、白スジ、白抜け、文字のぼやけなどの発生を招く。また処理液の噴射性や吐出性が悪化すると、処理液が正常に吐出された部分と、処理液が正常に吐出されず、カスレや抜けが発生した部分とで画像濃度にムラが発生する場合がある。加えて、水溶性高分子の析出が十分に発生しないために画像濃度の低下や、フェザリングなどのを招く場合もある。
なお、σ(t)×η(t)は0.5〜5.5S/m・mPa・sの範囲内が好ましく、0.6〜4.5S/m・mPa・sの範囲内がより好ましい。
また、処理液中には、第1の本発明のインクセットのインクと同様に、界面活性剤以外の他の電解質(第2の電解質)が含まれていてもよい。なお、処理液中に第2の電解質が含まれない場合には、処理液の実効量σ(t)×η(t)の上限値は、4.0S/m・mPa・s以下であることが好ましく、3.0S/m・mPa・s以下であることがより好ましく、2.5S/m・mPa・s以下であることが更に好ましく、2.0S/m・mPa・s以下であることが特に好ましい。
さらに、析出は、インクと処理液との混合によって起こるものであるため、第1の本発明のインクセットと同様に、インクの実効量と処理液の実効量との総和〔σ(i)×η(i)+σ(t)×η(t)〕は、0.4〜5.0S/m・mPa・sであることが望ましく、より好ましい範囲は0.5〜4.0S/m・mPa・s、さらには0.6〜3.0S/m・mPa・sであることが望ましい。実効量の総和が0.4S/m・mPa・s未満である場合には顔料の凝集作用が弱く、画像濃度が低下する場合があり、5.0S/m・mPa・sを超えると、記録ヘッド近傍で、ミスト状の微量のインク(あるいは処理液)が、これに対して数倍以上の量でノズル近傍に存在する処理液(あるいはインク)と混合したとしても、析出が発生して、結果的に吐出安定性が低下することがある。
なお、特許文献7には、アニオン性顔料およびアニオン性水溶性高分子が含まれたインクと、アニオン性界面活性剤が含まれた処理液との組み合わせからなるインクセットが示されている。しかしながら、この技術で利用されるアニオン性界面活性剤は、水溶性高分子を析出させるための凝集剤として利用されるものではなく、浸透剤として利用されるものであるため、その実効量は少なくてよく、この点で、第2の本発明と異なっている。
なお、第1の本発明および第2の本発明におけるインク及び処理液は、インクと処理液との重量比が1:1の混合液中における粒径が1μm以上の粒子数が10,000個/μL以上であり、且つ、インクと処理液との重量比が10:1の混合液中における粒径が1μm以上の粒子数が10,000個/μL以下であることが好ましい。より好ましくは、インクと処理液との重量比が1:1の混合液中における粒径が1μm以上の粒子数が9,000個/μL以上であり、且つ、インクと処理液との重量比が10:1の混合液中における1μm以上の粒子数が30,000個/μL以下であり、更に好ましくは、インクと処理液との重量比が1:1の混合液中における粒径が1μm以上の粒子数が8,000個/μL以上であり、且つ、インクと処理液との重量比が10:1の混合液中における粒径が1μm以上の粒子数が20,000個/μL以下である。
−インクおよび処理液−
次に、第1の本発明のインクセットおよび第2の本発明のインクセットに用いられるインクおよび処理液の詳細について説明する。なお、特に説明の無い限り、以下の説明は全て、第1の本発明のインクセットおよび第2の本発明のインクセットの双方に共通する説明である。
−界面活性剤−
アニオン性界面活性剤が主成分として含まれる印字用液体(すなわち、第1の発明のインクセットに用いられるインク、および、第2の発明のインクセットに用いられる処理液)に用いられるアニオン性界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤が利用できる。例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩等が使用でき、その具体的な例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、ブチルナフタレンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤は、カルボキシル基を持つものであることが好ましい。スルホン酸塩系界面活性剤とカルボン酸塩系界面活性剤の比較を行ったところ、カルボン酸塩系界面活性剤がより強い析出作用がみられた。一方、スルホン酸塩系界面活性剤の中でも芳香族基をもつ化合物に、より強い析出作用がみられた。このような作用が発生する原因は不明であるが、スルホン酸塩系界面活性剤よりも、カルボン酸塩系界面活性剤の溶解性がより低いため、水溶性高分子の溶解性をより低下させ、析出を促進せしめたものと考えられる。
アニオン性界面活性剤が主成分として含まれる印字用液体中のアニオン性界面活性剤の添加量は、0.3重量%以上5.0重量%以下であることが望ましく、0.5重量%以上3.0重量%以下であることがより好ましく、さらには1.0重量%以上2.0重量%以下であることが望ましい。添加量が0.3重量%であると、十分な画質改善効果が得られない場合があり、5.0重量%より多いと吐出安定性が低下する場合がある。
また、インクや処理液には、ノニオン性界面活性剤を添加することもでき、さらにこれらの印字用液体に含まれるアニオン性物質とアニオン−カチオン反応を引き起こしたり、アニオン性物質(特にアニオン性顔料)の分散安定性を阻害しない範囲で、カチオン性界面活性剤を添加してもよい。
カチオン性界面活性剤としては、例えばテトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルピリジウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド等が挙げられる。
なお、カチオン性界面活性剤は臭気を持つものが多いため、特に必要がなければ用いないことが好ましい。
また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
印字用液体中のカチオン性界面活性剤(あるいはノニオン性界面活性剤)の添加量は0.3重量%以上5.0重量%以下であることが望ましく、0.5重量%以上3.0重量%以下であることがより好ましく、さらには1.0重量%以上2.0重量%以下であることが望ましい。添加量が0.3重量%であると、十分な画質改善効果が得られず、5.0重量%より多いと吐出安定性が低下する傾向にある。
−電解質(第2の電解質)−
アニオン性界面活性剤が主成分として含まれる印字用液体には、既述したように電解質(第2の電解質)を添加することができ、必要であれば、アニオン性水溶性高分子を主成分として含む印字用液体にも適量添加することもできる。
電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、安息香酸塩、2−ジエチルアミノスルホン酸塩、N、N’―ビス(2―ヒドロキシメチル)―2―アミノエタンスルホン酸塩、N、N’―ビス(2―ヒドロキシエチル)―2―アミノエタンスルホン酸塩、N、N’―ビス(2―ヒドロキシメチル)―2―アミノプロパンスルホン酸塩、N、N’―ビス(2―ヒドロキシエチル)―2―アミノプロパンスルホン酸塩、N、N’―ビス(2―ヒドロキシメチル)―2―アミノブタンスルホン酸塩、N、N’―ビス(2―ヒドロキシエチル)―2―アミノブタンスルホン酸塩、およびこれらの誘導体塩などの有機塩が挙げられる。
これらの化合物のカウンターカチオンには、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンを選択することが望ましい
アニオン性界面活性剤が主成分として含まれる印字用液体に電解質を添加する場合の添加量としては、0.01重量%以上15重量%以下が好ましく、0.05重量%以上12重量%以下がより好ましい。0.01重量%未満の場合には十分な乾燥性が得られない場合があり、一方、15重量%を超える場合には、アニオン性界面活性剤を主成分として含む印字用液体がインクである場合には、顔料が凝集し保存安定性が悪化したり、初期噴射性や吐出不良が悪化する場合がある。また、アニオン性界面活性剤を主成分として含む印字用液体が処理液である場合には、初期噴射性や吐出不良が悪化する場合がある。
−水溶性高分子−
アニオン性水溶性高分子が主成分として含まれる印字用液体(すなわち、第1の発明のインクセットに用いられる処理液、および、第2の発明のインクセットに用いられるインク)に用いられるアニオン性高分子としては、公知のアニオン性水溶性高分子を用いることができる。例えば、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、アルギン酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等およびこれらの共重合体の塩および誘導体が挙げられる。
中でも、アニオン性水溶性高分子は(メタ)アクリル酸を含む共重合体であることが好ましい。この場合、共重合体中の(メタ)アクリル酸の含有割合(共重合体の構成単位として占める割合)がモル比で10〜25モル%の範囲であることが好ましく、12〜22モル%の範囲であることがより好ましく、15〜20モル%の範囲であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸はカルボキシル基を有しているため、インクと処理液とが記録媒体表面で混合された際に、アニオン性界面活性剤や、必要に応じて利用される第2の電解質の作用によってアニオン性水溶性高分子の析出を引き起こし易くする要因の一つであると考えられる。
アニオン性水溶性高分子中の(メタ)アクリル酸の含有割合が10重量%未満である場合は、アニオン性水溶性高分子の溶解性が低くなるため、インクあるいは処理液中に十分に溶解させること自体が困難となる場合がある。一方、25重量%より多い場合は、アニオン性水溶性高分子の溶解性が高く成り過ぎるために、インクと処理液とが記録媒体表面で混合しても析出が起こりにくくなるため、高い解像度等の十分な画質が得られなくなる。
アニオン性水溶性高分子が主成分として含まれる印字用液体に含まれるアニオン性水溶性高分子の添加量は、0.1重量%以上5.0重量%以下であることが望ましく、0.3重量%以上3.0重量%以下であることがより好ましく、さらには0.5重量%以上2.0重量%以下であることが望ましい。添加量が0.1重量%未満であると、十分な画質改善効果が得られず、5.0重量%より多いと吐出安定性が低下する場合がある。
また、アニオン性水溶性高分子が主成分として含まれる印字用液体に含まれるアニオン性水溶性高分子は、以下の(1)および/または(2)に示される条件を満たす高分子であることが好ましい。
すなわち、(1)アニオン性水溶性高分子は、酸性基を有し、酸価が70〜150mgKOH/gの範囲内であり、重量平均分子量が2000〜50000の範囲内であり、且つ、(分子中の)酸性基の全てが中和された状態でインクおよび/または処理液中に溶解または分散されていることが好ましい。
なお、酸価は80〜140mgKOH/gであることがより好ましく、さらには90〜125mgKOH/gであることが望ましく、重量平均分子量は3000〜30000であることがより好ましく、さらには4000〜15000であることが望ましい。
なお、酸性基とは、中和されない状態で、水系媒体中にてプロトンを放出して酸性を示す能力を有する水溶性高分子中に含まれる官能基を意味し、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。
酸価は水溶性高分子の析出のしやすさの指標と考えられる数値であり、酸価が70mgKOH/g未満であると析出しやすい反面、印字用液体内での安定性が低く目詰まり、吐出不良などのトラブルが発生し易くなる場合がある。また150mgKOH/gを超えると、印字時のアニオン性水溶性高分子の析出が不十分となる場合がある。
一方、分子量も画質および印字用液体内での安定性への影響があり、分子量が2000未満であると安定性が良好であるが、印字時にアニオン性水溶性高分子が顔料を取り込みつつ十分に析出することができないため、良好な画質を得ることができない。また、分子量が50000を超えると、記録ヘッドから印字用液体を吐出する際に吐出不良を招く場合がある。
また、(2)アニオン性水溶性高分子は、酸性基を有し、酸価が150〜450mgKOH/gの範囲内であり、重量平均分子量が2000〜50000の範囲内であり、且つ、(分子中の)酸性基の全てのうちの一部が中和された状態でインクおよび/または処理液中に溶解または分散されていることが好ましい。
この場合、酸価は150〜300mgKOH/gであることがより好ましく、さらには150〜250mgKOH/gであることが望ましい。重量平均分子量は3000〜30000であることがより好ましく、さらには4000〜15000であることが望ましい。
前述のとおり、酸価が150mgKOH/g以上であると溶解性が大き過ぎるために、印字時のアニオン性水溶性高分子の析出が不十分となる。しかし、分子中の全ての酸性基を中和せずに一部を未中和とすることで、酸価が150mgKOH/g以上であっても酸価が150mgKOH/g未満のアニオン性水溶性高分子と同様の作用を付与することができる。
たとえば、酸価200mgKOH/gのアニオン性水溶性高分子に存在する酸性基のうち、50%を中和できる量の塩基を添加して印字用液体を調整した場合、酸価が100mgKOH/gのアニオン性水溶性高分子と同等の作用を得ることができる。
一方、分子量は前述したように、分子量が2000未満であると安定性が良好であるが、印字時にアニオン性水溶性高分子が顔料を取り込みつつ十分に析出することができないため、良好な画質を得ることができない。また、分子量が50000を超えると、記録ヘッドから印字用液体を吐出する際に吐出不良を招く場合がある。
なお、アニオン性水溶性高分子が主成分として含まれる印字用液体以外の印字用液体にも、必要に応じて、印字用液体の保存安定性が保たれる範囲で、アニオン性高分子を添加することができる。
−顔料−
本発明に用いられる顔料は、少なくともアニオン性顔料が主成分として用いられるのであれば特に限定されず、公知の顔料が利用でき、分散染料や、着色樹脂微粒子なども必要に応じて併用できる。
顔料は無機顔料でも有機顔料でもよく、分散方法は自己分散顔料、樹脂分散顔料、ポリマーグラフト顔料、マイクロカプセル化顔料などとくに制限無く使用できる。黒色顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料が好ましく、例えばRaven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000ULTRAII、Raven3500、Raven2500ULTRA、Raven2000、Raven1500、Raven1255、Raven1250、Raven1200、Raven1190ULTRAII、Raven1170、Raven1080ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven790ULTRA、Raven780ULTRA、Raven760ULTRA(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Black Pearls L、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color BlackS150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等を使用することができる。
また、黒色顔料として、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を用いてもよい。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red5、C.I.Pigment Red7、C.I.Pigment
Red12、C.I.PigmentRed48、C.I.Pigment Red48:1、C.I.PigmentRed57、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red122、C.I.Pigment Red123、C.I.Pigment Red146、C.I.Pigment Red168、C.I.Pigment Red184、C.I.Pigment Red202等が挙げられるが、これらに限定されない。
イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.PigmentYellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新たに合成した顔料を使用してもよい。
また、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等を使用することが出来るが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられるインクや処理液に含まれるアニオン性顔料の固形分含有濃度は5〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜12重量%、より望ましくは5〜10重量%である。
−水溶性有機溶媒−
本発明に用いられるインクや処理液には、水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。水溶性有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール等の低級アルコール類、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエステル類、あるいは、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルオキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース等の糖類及びその誘導体等や糖アルコール類等を用いることができる。
これらの水溶性有機溶媒は単独で用いても、2種以上を混合してもよい。水溶性有機溶媒の含有量は、インクあるいは処理液に対して、好ましくは1〜60重量%であり、より好ましくは、5〜40重量%である。
−水およびその他の成分−
インクおよび処理液に用いられる水は、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
インクおよび処理液には、必要に応じて、カール防止剤等の種々の添加剤を必要に応じて添加することができる。
例えば、カール・カックルを抑制するために、カール防止剤を利用することができ、例えば、アセチルエタノールアミンなどの液体溶媒の他、トリメチロールプロパン、グリシン、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)グリシン誘導体、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)−2−アミノエタンスルホン酸誘導体といった固体化合物等が利用できる。
−インクおよび処理液の諸物性−
本発明のインクセットにおいて、インクと処理液とのpHの差は絶対値が2未満であることが望ましい。pHの差が2以上であると、印字時にミスト状となったインク(あるいは処理液)が、記録ヘッド近傍で処理液(あるいはインク)と接触して溶液の安定性が低下し、目詰まりや、吐出不良を招く場合がある。また、pHの差が2未満であっても、インク(あるいは処理液)がアルカリ性で、処理液(あるいはインク)が酸性である場合も同様の問題が発生する場合がある。
また、本発明に用いられるインクのゼータ電位の絶対値は5〜30mVであることが望ましい。より好ましくは8〜25mVであり、さらに好ましくは10〜20mVである。ゼータ電位が5未満であると顔料の分散安定性が低くなる場合があり、ゼータ電位が30より大きいと、印字時にアニオン性水溶性高分子の析出が発生しても顔料が凝集しにくいために十分な画質が得られない場合がある。
また、インクや処理液の導電率σや粘度ηは、一般的なインクや処理液と同程度であればよく、具体的には、導電率は0.005〜0.5S/mであることが好ましく、0.01〜0.3S/mであることがより好ましく、粘度は、1.5〜50mPa・sであることが好ましく、2.5〜25mPa・sであることがより好ましい。
但し、第1の発明のインクセットに用いられるインク、および、第2の発明のインクセットに用いられる処理液は、式(1)や式(2)に示されるような実効量σ×ηが得られるように導電率および粘度が調整されることが好ましい。
(インクジェット記録方法、インクジェット記録装置およびインクジェット記録用インクタンク)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクセットを用い、記録媒体表面に、インク及び処理液を互いに接触するように付与することにより、記録媒体表面に画像を形成する方法である。
また、本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクセットを用い、インクおよび処理液を記録媒体表面に吐出する記録ヘッドを備え、記録媒体表面に、前記インク及び前記処理液を互いに接触するように記録ヘッドから吐出することにより、画像を形成する装置である。なお、本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドに、インクおよび処理液を供給することができ、且つ、インクジェット記録装置本体に対して脱着可能なインクジェット記録用インクタンク(以下、「インクタンク」と称す場合がある)を備えていてもよい。この場合、このインクジェット記録用インクタンクに本発明のインクセットが収納されていてもよい。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクセットを用いることが可能な2液印字方式の通常のインクジェット記録装置が利用でき、この他にも、必要に応じてインクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載していたり、中間体転写機構を搭載し、中間体にインク及び処理液を吐出(印字)した後、紙等の記録媒体に転写する機構を備えたものであってもよい。
また、本発明のインクジェット記録用インクタンクは、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、インクジェット記録装置に装着した状態で、記録ヘッドにインクおよび処理液を供給できる構成を有するものであれば、従来公知のインクタンクが利用できる。ここで、このインクタンクには、本発明のインクセットが収納される。
本発明のインクジェット記録方法(装置)においては、記録媒体表面に付与される単位面積当たりの前記インクの付与量と前記処理液の付与量との比率(インク付与量:処理液付与量)が、重量比で1.2:1〜20:1の範囲内であることが好ましい。
比率が、1.2:1から外れてインク付与量に対する処理液付与量が少ないほど、カール・カックルといった障害が発生しにくいが、あまりに少ない場合は処理液による効果が不十分となって、画像濃度や画像解像度が低下する場合がある。一方、比率が20:1から外れて処理液付与量が多いと、画像濃度や画像解像度は良好であるが、カール・カックルが発生し易くなる場合がある。なお、比率のさらに好ましい範囲は1:16〜1:2、より好ましくは1:10〜1:3の範囲である。
本発明のインクジェット記録方法(装置)において、インク及び処理液ともに、1ドロップ当たりの液体重量は25ng以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5ng以上20ng以下であり、更に好ましくは、2ng以上8ng以下である。1ドロップ当たりの液体重量が25ngを超える場合には、滲みが悪化する場合がある。これは、インク及び処理液の記録媒体に対する接触角がドロップ量に依存して変化するためであり、ドロップ量が増えるにつれてドロップが紙表面方向に広がりやすい傾向があるためと考えている。
但し、一つのノズルから複数の体積のドロップを噴射することが可能であるインクジェット装置において、上記ドロップ量とは、印字可能な最小ドロップのドロップ量を指すこととする。
また、インク及び処理液とは互いに接触するように、記録媒体上に付与されるが、接触していれば、互いに隣接するよう付与されても、覆い被さるように付与されても、どちらでもよい。
また、記録媒体への付与の順番は、特に限定されず、いずれを先に付与してもよく、略同時に付与してもよいが、処理液を付与した後にインクを付与することが好ましい。処理液を先に付与することで、インク中の色材を効果的に凝集させることが可能となるからである。処理液を付与した後であれば、いかなる時期にインクを付与してもかまわない。好ましくは、処理液を付与してから1秒以下であり、より好ましくは0.5秒以下である。
本発明のインクジェット記録方法(装置)は、滲み及び色間滲みの改善効果という観点から熱インクジェット記録方式、又は、ピエゾインクジェット記録方式を採用することが好ましい。
この原因は明らかとはなっていないが、熱インクジェット記録方式の場合、吐出時にインクが加熱され、低粘度となっているが、記録媒体上でインクの温度が低下するため、粘度が急激に大きくなる。このため、滲み及び色間滲みに改善効果があると考えられる。
一方、ピエゾインクジェット方式の場合、高粘度の液体を吐出することが可能であり、高粘度の液体は記録媒体上での紙表面方向への広がりを抑制することが可能となるため、滲み、及び、色間滲みに改善効果があるものと推測している。
本発明のインクジェット記録方法(装置)において、インク及び処理液の記録ヘッドへの補給(供給)は、インク及び処理液の各液体が満たされたインクタンク(処理液タンクを含む)から行われることがよい。このインクタンクは、装置本体に脱着可能なカートリッジ方式であることがよく、このカートリッジ方式のインクタンクを交換することで、インク及び処理液の補給が簡易に行われる。
以下、図面を参照しながら本発明のインクジェット記録装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、実質的に同様の機能を有する部材については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は本発明のインクジェット記録装置の好適な一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。図2は、図1のインクジェット記録装置(以下、画像形成装置と称する)における内部の基本構成を示す斜視図である。
本実施形態の画像形成装置100は、前述の本発明のインクジェット記録方法に基づいて作動し画像を形成する構成を有している。すなわち、図1及び図2に示すように、画像形成装置100は、主として、外部カバー6と、普通紙などの記録媒体1を所定量載置可能なトレイ7と、記録媒体1を画像形成装置100内部に1枚毎に搬送するための搬送ローラ(搬送手段)2と、記録媒体1の面にインク及び処理液を吐出して画像を形成する画像形成部8(画像形成手段)と、画像形成部8のそれぞれのサブインクタンク5へインク及び処理液を補給するメインインクタンク4と、から構成されている。
搬送ローラ2は画像形成装置100内に回転可能に配設された一対のローラで構成された紙送り機構であり、トレイ7にセットされた記録媒体1を挟持するとともに、所定量の記録媒体1を所定のタイミングで1枚毎に画像形成装置100内部に搬送する。
画像形成部8は記録媒体1の面上にインクによる画像を形成する。画像形成部8は、主として記録ヘッド3と、サブインクタンク5と、給電信号ケーブル9と、キャリッジ10と、ガイドロッド11と、タイミングベルト12と、駆動プーリ13と、メンテナンスユニット14とから構成されている。
サブインクタンク5はそれぞれ異なる色のインク及び処理液が記録ヘッドから吐出可能に納められたサブインクタンク51、52、53、54、55を有している。これらには、例えば、第1の液体として、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)が、第2の液体として処理液がメインインクタンク4から補給され納められている。
サブインクタンク5には、それぞれ排気孔56と補給孔57とが設けられている。そして、記録ヘッド3が待機位置(もしくは補給位置)に移動したとき、排気孔56及び補給孔57に補給装置15の排気用ピン151及び補給用ピン152がそれぞれ挿入されることで、サブインクタンク5と補給装置15とが連結可能となっている。また、補給装置15はメインインクタンク4と補給管16を介して連結されており、補給装置15によりメインインクタンク4から補給孔57を通じてサブインクタンク5へとインク又は処理液を補給する。
ここで、メインインクタンク4も、それぞれ異なる色のインク及び処理液が納めされたメインインクタンク41、42、43、44、45を有している。そして、これらには、例えば、第1の液体として、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)が、第2の液体として処理液が満たされ、それぞれが画像形成装置100に脱着可能に格納されている。
さらに、記録ヘッド3には給電信号ケーブル9とサブインクタンク5が接続されており、給電信号ケーブル9から外部の画像記録情報が記録ヘッド3に入力されると、記録ヘッド3はこの画像記録情報に基づき各サブインクタンク5から所定量のインクを吸引して記録媒体の面上に吐出する。なお、給電信号ケーブル9は画像記録情報の他に記録ヘッド3を駆動するために必要な電力を記録ヘッド3に供給する役割も担っている。
また、この記録ヘッド3はキャリッジ10上に配置されて保持されており、キャリッジ10はガイドロッド11、駆動プーリ13に接続されたタイミングベルト12が接続されている。このような構成により、記録ヘッド3はガイドロッド11に沿うようにして、記録媒体1の面と平行でありかつ記録媒体1の搬送方向X(副走査方向)に対して垂直な方向Y(主走査方向)にも移動可能となる。
画像形成装置100には、画像記録情報に基づいて記録ヘッド3の駆動タイミングとキャリッジ10の駆動タイミングとを調製する制御手段(図示せず)が備えられている。これにより、搬送方向Xにそって、所定の速度で搬送される記録媒体1の面の所定領域に画像記録情報に基づく画像を連続的に形成することができる。
メンテナンスユニット14は、チューブを介して減圧装置(図示せず)に接続されている。更にこのメンテナンスユニット14は、記録ヘッド3のノズル部分に接続し、記録ヘッド3のノズル内を減圧状態にすることにより記録ヘッド3のノズルからインクを吸引する機能を有している。このメンテナンスユニット14を設けておくことにより、必要に応じて画像形成装置100が作動中にノズルに付着した余分なインクを除去したり、作動停止状態のときにノズルからのインクの蒸発を抑制することができる。
図3は本発明のインクジェット記録装置の好適な他の一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。図4は、図3のインクジェット記録装置(以下、画像形成装置と称する)における内部の基本構成を示す斜視図である。本実施形態の画像形成装置101は、前述の本発明のインクジェット記録方法に基づいて作動し画像を形成する構成を有している。
図3及び図4に示す画像形成装置101は、記録ヘッド3の幅が記録媒体1幅と同じ又はそれ以上であり、キャリッジ機構を持たず、副走査方向(記録媒体1の搬送方向:矢印X方向)の紙送り機構(本実施形態では搬送ローラ2を示しているが、例えばベルト式の紙送り機構でもよい)で構成されている。
また、図示しないが、サブインクタンク51〜55を副走査方向(記録媒体1の搬送方向:矢印X方向)に順次配列させるのと同様に、各色(処理液も含む)を吐出するノズル群も副走査方向に配列させている。これ以外の構成は、図1及び2に示す画像形成装置100と同様なので説明を省略する。なお、図中、記録ヘッド3は移動しないので、サブインクタンク5は補給装置15と常時連結した構成を示しているが、インク補給時に補給装置15と連結する構成でもよい。
図3及び図4に示す画像形成装置101では、記録媒体1の幅方向(主走査方向)の印字を記録ヘッド3により一括で行うため、キャリッジ機構を持つ方式に比べ、装置の構成が簡易であり、印字速度も速くなる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
≪顔料処理方法≫
顔料に次亜塩素酸ナトリウムで表面酸化処理を施した後、脱塩処理を行なった。得られた表面処理顔料を顔料濃度が20重量%となるようにイオン交換水中に加え、pHを7.5に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行なった。この分散液を遠心分離装置で、遠心分離処理(8000rpm×30分)を施し、残渣部分(全量に対して20%)を除去したものを顔料分散液とした。
≪インク組成物作製≫
下記のインク組成および処理液組成に従い、化合物を混合し、攪拌した後、目開き5μmのメンブレンフィルターを用いて濾過した。
<インク1>
・Cab−O−Jet 300(Cabot社製):6重量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):0.7重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・水:残量
<インク2>
・Cab−O−Jet 300(Cabot社製):6重量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量28モル%、酸価215mgKOH/g、重量平均分子量4900、水酸化カリウムで酸性基50%を中和):0.5重量%
・サーフィノール465(日信化社学製):1重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・水:残量
<インク3>
・Black Pearls L:6重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量28モル%、酸価215mgKOH/g、重量平均分子量4900、水酸化カリウムで完全中和):1重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:20重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・水:残量
<インク4>
・Cab−O−Jet 300(Cabot社製):3重量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):0.5重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:5重量%
・グリセリン:10重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・水:残量
<インク5>
・Special Black 4A:6重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・ラウリル硫酸ナトリウム:2重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.2重量%
・ジエチレングリコール:25重量%
・水:残量
<インク6>
・Black Pearls L:6重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・ラウリル硫酸ナトリウム:1重量%
・安息香酸ナトリウム:0.5重量%
・2−エチルヘキシルポリオキシエチレンエーテル(ポリオキシエチレンエーテル基のエチレンオキサイドユニット数=4):0.2重量%
・ジエチレングリコール:20重量%
・水:残量
<インク7>
・C.I.Pigment Blue 15:3:5重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):0.7重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・イソプロピルアルコール:2重量%
・水:残量
<インク8>
・IJX266(Cabot社製):5重量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):0.7重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:10重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・プロピレングリコール:5重量%
・イソプロピルアルコール:2重量%
・水:残量
<インク9>
・C.I.Pigment Yellow 128:5重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):0.7重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・グリセリン:5重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・水:残量
<インク10>
・C.I.Pigment Blue 15:3 :5重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・ラウリル硫酸ナトリウム:3重量%
・安息香酸ナトリウム:1.5重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1.2重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・グリセリン:15重量%
・水:残量
<インク11>
・C.I.Pigment Blue 15:3 :5重量%
(上記顔料処理方法にて処理をおこなった顔料分散液を使用した)
・ラウリル硫酸ナトリウム:0.3重量%
・安息香酸ナトリウム:0.15重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・グリセリン:5重量%
・水:残量
<処理液1>
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:2重量%
・2−エチルヘキシルポリオキシエチレンエーテル(ポリオキシエチレンエーテル基のエチレンオキサイドユニット数=4):0.1重量%
・ジエチレングリコール:25重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・水:残量
<処理液2>
・ラウリル硫酸ナトリウム:1.5重量%
・安息香酸ナトリウム:2重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:20重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・水:残量
<処理液3>
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:0.5重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.8重量%
・ジエチレングリコール:5重量%
・グリセリン:10重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・水:残量
<処理液4>
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:3重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・ジエチレングリコール:10重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・硫酸ナトリウム:0.8重量%
・水:残量
<処理液5>
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):2重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1重量%
・水:残量
<処理液6>
・ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド:0.8重量%
・ジエチレングリコール:15重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・ブチルカルビトール:5重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5重量%
・水:残量
<処理液7>
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:1.2重量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1.2重量%
・ジエチレングリコール:10重量%
・グリセリン:10重量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量%
・水:残量
<比較インクA>
・Cab−O−Jet 300(Cabot社製):6重量%
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):1重量%
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:2重量%
・ジエチレングリコール:20重量%
・水:残量
上記の組成を混合したところ白色の沈殿物が生成し、インクとすることが不可能であった。
<比較処理液A>
・スチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量15モル%、酸価104mgKOH/g、重量平均分子量4600、水酸化カリウムで完全中和):1重量%
・ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム:2重量%
・ジエチレングリコール:20重量%
・水:残量
上記の組成を混合したところ白色の沈殿物が生成し、処理液とすることが不可能であった。
得られたインクおよび処理液の諸物性を表1に示す。
Figure 2006241324
なお、表1中の導電率、粘度、pH、表面張力、および、ゼータ電位の測定は以下に示す方法・条件にて行った。
<導電率>
23℃、55%RHの環境において、pH/Conductivity Meter MPC227(メトラートレド社製)を用いて、得られたインク及び処理液の導電率を測定した。
<粘度>
レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、得られたインク及び処理液の粘度を測定した。その測定は、インク組成物を測定容器に入れ、所定の方法で装置に装着し、測定温度は23℃、せん断速度は1400s-1の条件で行った。
<pH>
23℃、55%RHの環境において、pH/Conductivity Meter MPC227(メトラートレド社製)を用いて、得られたインク及び処理液のpHを測定した。
<表面張力>
23℃、55%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用いて、得られたインク及び処理液の表面張力を測定した。
<ゼータ電位>
ゼータ電位絶対値は、ESA法(Electrokinetic Sonic ゼータ電位絶対値は、ESA法(Electrokinetic Sonic ence社製 )を測定装置として用いて23℃、55%RHの環境において測定し、下式(3)に示す計算式を用いてゼータ電位(mV)を算出した。
・式(3) ゼータ電位=[ESA×η×G(α)-1]/[ε×c×△ρ×V]
ここで、ESAは単位電場当りの圧力を示しており、これは、測定により得られる値である。ηは、溶媒の粘度(mPa・s)、G(α)-1は慣性力による補正項、εは誘電率、cは溶媒中の音速(m/s)、△ρは溶媒と粒子の密度差(g/cm3)、Vは粒子の体積分率を示す。ゼータ電位算出時に使用するパラメータとしては、ηとしてインクの粘度、εとして水の誘電率、cとして水中の音速、△ρとして顔料と水の密度差、Vとして顔料の体積分率を用いた
≪印字評価≫
インクおよび処理液を、以下の表2および表3に示すように組み合わせて印字を行い、各種評価を実施した。
なお、印字評価は、ノズル密度が1200dpi×600dpiであるピエゾ方式の試作記録ヘッドを搭載した2液印字が可能がインクジェット記録装置を用い、記録媒体は富士ゼロックスオフィスサプライ社製C2紙を用いた。印字条件は、上記で調製した処理液を下打ちしたのち、上記で調製したインクを付与して印字した。単位面積あたりの吐出量は、重量比で処理液:インク=1:4とした。結果を表2及び表3に示す
Figure 2006241324
Figure 2006241324
なお、表2及び表3中に示す画像濃度、フェザリング、耐目詰まり性、吐出安定性、および、乾燥性の評価方法および評価基準は以下の通りである。
<画像濃度>
得られたベタ画像部の濃度を光学濃度測定器X―Rite MODEL404(X−Rite製)で測定し、下記の基準で評価した。
−評価基準−
(ブラックインク)
◎…1.40以上
○…1.30以上1.40未満
△…1.20以上1.30未満
×…1.20未満
(カラーインク)
◎…1.20以上
○…1.10以上1.20未満
△…1.00以上1.10未満
×…1.00未満
<フェザリング>
1ドットの幅の直線画像を印字し、滲みを観察した。
−評価基準−
◎…ヒゲ状の滲み出しはない。
○…拡大するとヒゲ状の滲み出しがわずかにみられるが、目視では問題ない。
△…ヒゲ状の滲み出しがみられる。
×…ヒゲ状の滲み出しが多く見られ、直線画像の両端に凹凸が目立つ。
<耐目詰まり性>
ベタ画像、直線画像、文字が混在し、印字面積約10%のA4サイズの評価チャートを30枚連続印刷した後にノズルチェックパターンを印刷し、ノズルの詰まりの発生を評価した。なお、記録ヘッドのメンテナンス動作は、30枚連続印刷前に一度実施した後、ノズルチェックパターンの印刷が終了するまでは実施しないように設定して耐目詰まり性の評価を実施した。
−評価基準−
◎…ノズル詰まりなし。
○…ノズル詰まりは全体の1%未満で、メンテナンスで回復可能
△…ノズル詰まりは全体の3%未満で、メンテナンスで回復可能
×…ノズル詰まりは全体の3%以上。またはメンテナンスでも詰まりが回復しない。
<吐出安定性>
ベタ画像、直線画像、文字が混在し、印字面積約10%のA4サイズの評価チャートを30枚連続印刷し、ベタ画像部のカスレおよびスジ状のムラ、および直線と文字部の乱れを観察した。
−評価基準−
◎…カスレ、ムラ、乱れは発生しない。
○…直線と文字部の乱れがやや発生するが、カスレ、ムラは発生しない。
△…直線と文字部の乱れが発生し、カスレ、ムラが発生する。
×…直線と文字部の乱れ、カスレ、ムラが目立ち、白抜けが発生する。
<乾燥性>
ベタ画像、直線画像、文字が混在し、印字面積約10%のA4サイズの評価チャートを30枚連続印刷し、各チャートを排紙トレイ上で重ね、100グラム重/cm2の圧力をかけ、チャートの非印字面に転写汚れが発生しているか観察した。
−評価基準−
◎…加圧しても非印字面に転写汚れなし。
○…加圧により非印字面に転写汚れがわずかに発生するが、加圧しない場合は転写汚れが発生しない。
△…加圧しない場合もわずかに非印字面転写汚れが発生する。
×…加圧しない場合も転写汚れが発生し、転写によって印字面のベタ部分の画像濃度が低下する。
本発明のインクジェット記録装置の好適な一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。 図1のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図である。 本発明のインクジェット記録装置の好適な他の一実施形態の外観構成を示す斜視図である。 図3のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図である。
符号の説明
100、101 画像形成装置
1 記録媒体
2 搬送ローラ
3 記録ヘッド
4 メインインクタンク
5 サブインクタンク
6 外部カバー
7 トレイ
8 画像形成部
9 給電信号ケーブル
10 キャリッジ
11 ガイドロッド
12 タイミングベルト
13 駆動プーリ
14 メンテナンスユニット
15 補給装置

Claims (17)

  1. 顔料および界面活性剤を含むインクと、水溶性高分子を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットであって、
    前記顔料、前記界面活性剤および前記水溶性高分子がアニオン性物質であるインクジェット記録用インクセット。
  2. 前記インクの実効量σ(i)×η(i)が、下式(1)を満たす請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
    ・式(1) 0.3≦σ(i)×η(i)≦4.0
    〔但し、式(1)中、σ(i)は、前記インクの導電率(S/m)を表し、η(i)は、前記インクの粘度(mPa・s)を表す。〕
  3. 前記インクが電解質を含有し、且つ、前記実効量σ(i)×η(i)が、0.3〜3.0の範囲内である請求項1または2に記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 顔料および水溶性高分子を含むインクと、界面活性剤を含む処理液とを少なくとも含むインクジェット記録用インクセットにおいて、
    前記顔料、前記水溶性高分子および前記界面活性剤がアニオン性物質であり、且つ、前記処理液の実効量σ(t)×η(t)が、下式(2)を満たすインクジェット記録用インクセット。
    ・式(2) 0.3≦σ(t)×η(t)≦6.5
    〔但し、式(2)中、σ(t)は、前記処理液の導電率(S/m)を表し、η(t)は、前記処理液の粘度(mPa・s)を表す。〕
  5. 前記処理液が電解質を含む請求項4に記載のインクジェット記録用インクセット。
  6. 前記水溶性高分子が、(メタ)アクリル酸を含む共重合体を含み、
    前記共重合体中の前記(メタ)アクリル酸の含有割合が重量比で10重量%〜25重量%の範囲内である請求項1〜5のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット。
  7. 前記水溶性高分子が、酸性基を有し、酸価が70〜150mgKOH/gの範囲内であり、重量平均分子量が2000〜50000の範囲内であり、且つ、前記酸性基の全てが中和された状態で前記インクおよび/または前記処理液中に溶解または分散されている請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット。
  8. 前記水溶性高分子が、酸性基を有し、酸価が150〜450mgKOH/gの範囲内であり、重量平均分子量が2000〜50000の範囲内であり、且つ、前記酸性基の全てのうちの一部が中和された状態で前記インクおよび/または前記処理液中に溶解または分散されている請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット。
  9. 前記インク中に含まれる前記顔料の固形分含有濃度が、5〜15重量%の範囲内である請求項1〜8のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット。
  10. 前記インクのゼータ電位の絶対値が5〜30mVの範囲内である請求項1〜9のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット。
  11. 前記インクのpHと前記処理液のpHとの差の絶対値が2未満である請求項1〜10のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット。
  12. インクと処理液とを含むインクジェット記録用インクセットを用い、記録媒体表面に、前記インク及び前記処理液を互いに接触するように付与することにより、記録媒体表面に画像を形成するインクジェット記録方法において、
    前記インクジェット記録用インクセットが、請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットであるインクジェット記録方法。
  13. 前記記録媒体表面に付与される単位面積当たりの前記インクの付与量と前記処理液の付与量との比率(インク付与量:処理液付与量)が、重量比で1.2:1〜20:1の範囲内である請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. インクと処理液とを含むインクジェット記録用インクセットを用い、前記インクおよび前記処理液を記録媒体表面に吐出する記録ヘッドを備え、前記記録媒体表面に、前記インク及び前記処理液を互いに接触するように前記記録ヘッドから吐出することにより、画像を形成するインクジェット記録装置において、
    前記インクジェット記録用インクセットが、請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットであるインクジェット記録装置。
  15. 前記記録ヘッドに、インクおよび処理液を供給するインクジェット記録用インクタンクを備え、前記インクジェット記録用インクタンクに請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットが収納され、且つ、前記インクジェット記録用インクタンクが、インクジェット記録装置本体に対して脱着可能である請求項14に記載のインクジェット記録装置。
  16. 前記記録媒体表面に付与される単位面積当たりの前記インクの付与量と前記処理液の付与量との比率(インク付与量:処理液付与量)が、1.2:1〜20:1の範囲内である請求項14または15に記載のインクジェット記録装置。
  17. 記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、前記インクジェット記録装置に装着した状態で、前記記録ヘッドにインクおよび処理液を供給するインクジェット記録用インクタンクにおいて、
    前記インクジェット記録用インクタンクに、請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットが収納されたインクジェット記録用インクタンク。
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