JP7301364B2 - シート成形装置及びクランプ方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、フィルムの周縁端部を保持枠で固定し、保持枠を傾斜手段としての油圧シリンダで傾斜させることにより、真空成形型の傾斜されたエアシール面の傾斜方向と略同方向にフィルムを傾斜せしめ、次いで真空成形型又はフィルムを上下方向に移動することによりフィルムの周縁部を真空成形型のエアシール面に密着させてから真空成形すること、そして、これによりフィルムのうち成形後に切り取る不要部が少なくなり、材料歩留まりが向上することが記載されている。
特許文献4には、シートを挟持するクランプ枠を成形型の成形面形状に沿って屈折可能とすること、成形型を上昇させてクランプ枠を屈折させることにより、シートを成形面に沿わせ変形させてから真空成形すること、そして、これにより成形品の厚さを均一化でき、延伸量を少なく留めることが記載されている。
特許文献5には、成形型の周縁と平行する方向と直行する方向との2方向に移動可能な分割されたクランパーを移動させ、成形後のシートが厚くなる傾向の部分を引き伸ばし、成形後のシートが薄くなる傾向の部分を引き寄せ、次いで成形型を上昇させるかあるいはクランパー群を降下させることによりシートを成形型に当接させてから真空成形すること、そして、これにより成形品全体に適正なシート厚さを与えることが記載されている。
三次元形状の成形面を有する成形型と、熱可塑性樹脂製のシートを加熱して軟化させる加熱装置と、前記シートの周縁部をクランプして該シートを成形型に当接させるクランプ装置とを備えるシート成形装置において、
成形型は、周縁部である見切り面に部位間で高低差があるものであり、
クランプ装置は、成形型の周囲に分散配置された複数の部分クランプ装置から構成され、
各部分クランプ装置は、シートの周縁部の一部分をクランプするクランパーと、該クランパーをシート面交差方向に任意量変位させ、かつ、前記見切り面の高低差に応じて各クランパーの変位量を任意に変え、各クランパーをその任意変位量の位置で止める交差変位装置とを備えることを特徴とする。
熱可塑性樹脂製のシートを三次元形状に成形するシート成形装置に備えられるクランプ装置において、
クランプ装置は、成形型の周囲に分散配置された複数の部分クランプ装置から構成され、
各部分クランプ装置は、シートの周縁部の一部分をクランプするクランパーと、該クランパーをシート面交差方向に任意量変位させる交差変位装置とを備えることを特徴とする。
熱可塑性樹脂製のシートの周縁部をクランプして該シートを成形型に当接させるクランプ方法において、
成形型は、周縁部である見切り面に部位間で高低差があるものであり、
シートの周縁部の複数の箇所を複数のクランパーによりクランプし、各クランパーをシート面交差方向に任意量変位させ、かつ、前記見切り面の高低差に応じて各クランパーの変位量を任意に変え、各クランパーをその任意変位量の位置で止めることを特徴とする。
(ア)クランプ装置は、分散配置された複数の部分クランプ装置のクランパーで、シートの周縁部の複数の部分をクランプし、各交差変位装置で各クランパーをシート面交差方向に任意量変位させることにより、シートの周縁部を成形型の高低差のある見切り面に合わせたり、シートのたるみを三次元形状の成形面に合わせて生じさせたりすることができる。これにより、成形型の周縁部である見切り面に高低差があるものや、三次元形状の成形面の高低差が大きいものであり、かつ、それらの高低差が複雑に変化するものである場合であっても、シートを見切り面と成形面に沿わすことができるため、シートが局部的に過剰に伸ばされて薄くなりすぎたり破れたりする不具合が起こりにくくなり、もってシートを余分に厚く設定したりサイズ増加させたりする必要がなくなる。また、成形品の品質向上・歩留まり向上になる。
熱可塑性樹脂製のシートは、特定の熱可塑性樹脂、層構成、厚さ等に限定されず、熱可塑性樹脂については例えばエラストマーも含み、層構成については単層も複数層も含み、厚さについては例えばフィルムと称されるものも含む。
成形型は、シートを三次元形状に成形することを含む成形に用いる型であれば特に限定されない。真空成形型、圧空成形型、真空圧空成形型、シートの成形を伴うインサート射出成形型等を例示できる。
成形型の成形面の向きは、特に限定されず、単一の成形型の場合、上向き、下向き、横向きのいずれでもよく、型締めする一対の成形型の場合、上下対向、左右対向のいずれでもよい。
部分クランプ装置が成形型の周囲に分散配置される数は、特に限定されないが、6台以上であることが好ましい。
前述した従来の連続線状にクランプする枠状のものに対して、分散配置された複数のクランパーによりシートの周縁部の複数の部分をクランプするということは、分割した点状のクランプになることから、各クランプの自由な配置が可能になるととともに、各クランプを個別に変位させることが可能になる。
クランパーの構造としては、特に限定されないが、シートを突き刺してクランプする針によるもの、シートをつかんでクランプするフィンガー、ブロック、プレート等による挟持機構等を例示できる。
交差変位装置の構造としては、特に限定されないが、レージートング伸縮機構、ボールネジ、油圧シリンダー、エアシリンダー、電動シリンダー、ジップチェーン、チェーン機構、ベルト機構等による装置を例示できる。
平行変位装置の構造としては、特に限定されないが、ボールネジ、油圧シリンダー、エアシリンダー、電動シリンダー、スライダ、ラック&ピニオン機構、ベルト機構等による装置を例示できる。
加熱装置の熱源による種類としては、特に限定されないが、電熱ヒーター、マイクロ波誘電加熱、加熱ガス等による加熱装置を例示できる。
加熱用クランプ枠の構造は、特に限定されないが、加熱装置の加熱空間を過大にしないようコンパクトなものが好ましく、シートの周縁部を連続周状にクランプする枠状のもの等を例示できる。
搬送装置の構造は、特に限定されないが、加熱用クランプ枠を、レール上でスライドさせたり、吊って移動させたりするもの等を例示できる。
図1~図9に示す実施例1のシート成形装置は、三次元形状の成形面を有する成形型1,2と、熱可塑性樹脂製のシート5を加熱して軟化させる加熱装置6と、シート5の周縁部をクランプして該シート5を成形型1に当接させるクランプ装置10とを備える。シート成形装置は、さらに、シート5をクランプして加熱装置6にかけるための、前記クランプ装置10とは別の加熱用クランプ枠7と、加熱用クランプ枠7を加熱装置6から前記クランプ装置10まで搬送する搬送装置8とを備え、シート5を加熱用クランプ枠7からクランプ装置10のクランパー12に受け渡すようにしている。
加熱用クランプ枠7は、例えばシート5の周縁部を連続周状にクランプする枠状のものである。
搬送装置8は、例えば加熱用クランプ枠7をレール(図示略)上でスライドさせるものである。
(1)図1に示すように、シート5を、加熱用クランプ枠7でクランプし、加熱用クランプ枠7ごと加熱装置6にかけて加熱し、軟化させる。
(ア)クランプ装置10は、分散配置された複数の部分クランプ装置11のクランパー12で、シート5の周縁部の複数の部分をクランプし、各交差変位装置16で各クランパー12をシート5面交差方向に任意量変位させることにより、シート5の周縁部を第1型1の高低差のある見切り面3に合わせたり、シート5のたるみを三次元形状の成形面4に合わせて生じさせたりすることができる。これにより、第1型1の周縁部である見切り面3に高低差があるものや、三次元形状の成形面4の高低差が大きいものであり、かつ、それらの高低差が複雑に変化するものである場合であっても、シート5を見切り面3と成形面4に沿わすことができるため、シート5が局部的に過剰に伸ばされて薄くなりすぎたり破れたりする不具合が起こりにくくなり、もってシート5を余分に厚く設定したりサイズ増加させたりする必要がなくなり、原価を低減できる。また、成形品の品質向上・歩留まり向上になる。
次に、図10に示す実施例2のシート成形装置は、三次元形状の成形面4を有する成形型31,32と、熱可塑性樹脂製のシート5を加熱して軟化させる加熱装置6と、シート5の周縁部をクランプして該シート5を成形型に当接させるクランプ装置40とを備えるものであるが、成形型31,32とクランプ装置40の内容において実施例1と相違し、また、加熱装置6は成形型31の正面と正面から退避した位置とに移動可能である。
(1)図10(a)に示すように、シート5を、全ての部分クランプ装置41のクランパー42でクランプし、シート5に接近させた加熱装置6により加熱し、軟化させる。このとき、全ての部分クランプ装置41のクランパー42は交差変位装置46により第1型31よりも右方に変位している。
また、このクランプしたシート5の一部にスリット50を形成してもよい(実施例1においても同じ)。
前記のようにシート5の一部にスリット50を形成した場合には、このときに又は次の真空成形時にスリット50が広がり、シート5の変形の自由度が大きくなる。
2 第2型
3 見切り面
4 成形面
5 シート
6 加熱装置
7 加熱用クランプ枠
8 搬送装置
9 樹脂基材
10 クランプ装置
11 部分クランプ装置
12 クランパー
13 針
14 上下用アクチュエータ
16 交差変位装置
19 レージートング伸縮機構
20 交差変位用アクチュエータ
23 平行変位装置
26 平行変位用アクチュエータ
31 第1型
32 第2型
33 見切り面
34 成形面
40 クランプ装置
41 部分クランプ装置
42 クランパー
46 交差変位装置
50 スリット
Claims (8)
- 三次元形状の成形面(4,34)を有する成形型(1,31)と、熱可塑性樹脂製のシート(5)を加熱して軟化させる加熱装置(6)と、前記シート(5)の周縁部をクランプして該シート(5)を成形型(1,31)に当接させるクランプ装置(10,40)とを備えるシート成形装置において、
成形型(1,31)は、周縁部である見切り面(3,33)に部位間で高低差があるものであり、
クランプ装置(10,40)は、成形型(1,31)の周囲に分散配置された複数の部分クランプ装置(11,41)から構成され、
各部分クランプ装置(11,41)は、シート(5)の周縁部の一部分をクランプするクランパー(12,42)と、該クランパー(12,42)をシート面交差方向に任意量変位させ、かつ、前記見切り面(3,33)の高低差に応じて各クランパー(12)の変位量を任意に変え、各クランパー(12)をその任意変位量の位置で止める交差変位装置(16,46)とを備えることを特徴とするシート成形装置。 - 各部分クランプ装置(11)は、クランパー(12)をシート面平行方向に任意量変位させる平行変位装置(23)を備える請求項1記載のシート成形装置。
- シート成形装置は、シート(5)をクランプして加熱装置(6)にかけるための、前記クランプ装置(10)とは別の加熱用クランプ枠(7)と、該加熱用クランプ枠(7)を加熱装置(6)からクランプ装置まで搬送する搬送装置(8)とを備え、シート(5)を加熱用クランプ枠(7)からクランプ装置(10)のクランパー(12)に受け渡すようにした請求項1又は2記載のシート成形装置。
- クランパー(12)は、加熱用クランプ枠(7)から受け渡されるシート(5)を下から突き刺してクランプする針(13)を含むものである請求項3記載のシート成形装置。
- 交差変位装置(16)は、平行クランク機構を複数上下に組み合わせてなるレージートング伸縮機構(19)を用いたものである請求項1~4のいずれか一項に記載のシート成形装置。
- 熱可塑性樹脂製のシート(5)の周縁部をクランプして該シート(5)を成形型(1,31)に当接させるクランプ方法において、
成形型(1,31)は、周縁部である見切り面(3,33)に部位間で高低差があるものであり、
シート(5)の周縁部の複数の箇所を複数のクランパー(12,42)によりクランプし、各クランパー(12,42)をシート面交差方向に任意量変位させ、かつ、前記見切り面(3,33)の高低差に応じて各クランパー(12,42)の変位量を任意に変え、各クランパー(12,42)をその任意変位量の位置で止めることを特徴とするクランプ方法。 - 各クランパー(12)をシート面平行方向に任意量変位させる請求項6記載のクランプ方法。
- クランプしたシート(5)の一部にスリット(50)を形成する請求項6又は7記載のクランプ方法。
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