JP7299807B2 - 硬質表面用液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
また特許文献3、4に記載の組成物は、分岐鎖脂肪酸を用いることで、食品加工設備や自動化洗浄設備などにおいて析出物として付着する脂肪酸のカルシウム塩の析出を抑制することができるが、更なる改善が求められる。また本発明者らは、特許文献3、4に記載の組成物は、発泡連続性に課題があることを見出した。
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物が、本願効果を発現する理由は必ずしも定かではないが、以下の様に推定される。
イソステアリン酸等の脂肪酸は鎖式分岐炭化水素基を有し、融点が低く、常温で液体である。そのため、常温で固体の直鎖の脂肪酸と比べて、硬質表面の洗浄時のすすぎ乾燥後に凝集しにくい。またその分子構造は、かさ高い構造であり結晶構造をとりづらいことから、洗浄使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に洗浄設備に付着する析出物の発生(白化現象)が起こりづらい。一方、鎖式分岐炭化水素基を有する脂肪酸は、かさ高い構造を有するために、泡膜形成時に他の界面活性剤も含めて分子集合するとき、気液界面での分子配列が乱れパッキング性を低下させることから、排液が促進するため気泡の安定性が損なわれる。その結果、液体洗浄剤組成物に圧力をかけて発泡する際に泡形成量が不足し発泡連続性が発現しない。そこで、本発明においては、鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸と水溶性高分子化合物を併用する。水溶性高分子化合物は水中に分散しているとき水和しており、気泡間の液膜中において多量の水分子を捕捉することができる。これにより、気液界面での界面活性剤が構成する膜構造のパッキングが疎であっても排液が起こりにくく、安定な気泡が形成され発泡連続性が発現されるものと考えられる。また、水溶性高分子化合物は、すすぎ水中の硬度成分(金属イオン)を捕捉するキレート能を有することが予測され、鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸の塩形成を阻害することにより白化抑制性にも寄与していると考えられる。
尚、本発明の効果は上記作用機構に制限されるものではない。
本発明の(A)成分は、アミンオキサイドである。
アミンオキサイドとしては、炭素数8以上22以下の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を有するアミンオキサイドが好ましく、中でも一般式(a1)で表される化合物がより好ましい。
(1)ココアルキルジメチルアミンオキサイド、カプリルジメチルアミンオキサイド、カプリンジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド等のアルキル(炭素数8以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド、
(2)ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等の脂肪酸(炭素数8以上22以下)アミドプロピルジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド
が挙げられ、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、(1)アルキル(炭素数8以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイドがより好ましい。
本発明の(B)成分は、総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩である。(B)成分のカルボン酸は、白化抑制性の観点から、モノカルボン酸が好ましい。
総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩等の無機塩、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等の有機塩が挙げられる。
鎖式分岐炭化水素基は、析出物の抑制の観点から、カルボン酸に結合している炭素原子が第2級炭素原子であることが好ましい。
鎖式分岐炭化水素基のうち、カルボン酸に結合している炭素原子から数えて炭素数が最も大きい炭化水素鎖を主鎖とし、主鎖から分岐して結合している炭化水素鎖を側鎖とする。
1.最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の炭素原子数が大きい方を主鎖とする。
2.次に、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の炭素原子数が同じである場合は、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の数が多い方を主鎖とする。
3.次に、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の数が同じである場合は、カルボン酸の酸素原子に結合している炭素原子から数えて、カルボン酸の酸素原子により近い炭素原子に側鎖を有する方を主鎖とする。
4.次に、カルボン酸の酸素原子に最も近い、側鎖を有する炭素原子の位置が同じ場合は、カルボン酸の酸素原子に最も近い側鎖の炭素原子数が多い方を主鎖とする。
なお、2つ以上の最長炭化水素鎖が、同一の対称構造を有する場合は、どちらを主鎖としてもよい。
本発明において、側鎖を構成する炭素数の合計とは、主鎖以外の全側鎖の炭素数を合計したものであり、側鎖が複数ある場合は、それら全側鎖の炭素数の合計である。
本発明において、側鎖の数とは、主鎖から分岐する側鎖の数であり、側鎖が、更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していても側鎖の数としては変わらない。
本発明において、分岐炭素の数とは、鎖式分岐炭化水素基中の第3級炭素原子と第4級炭素原子の数の合計である。
本発明の(C)成分は、水溶性高分子化合物である。本発明の(C)成分にについて水溶性とは、25℃の水90gに10g以上溶解するものをいう。
水溶性天然高分子化合物、水溶性変性天然高分子化合物及び水溶性合成高分子化合物の重量平均分子量は、白化抑制性及び発泡連続性の観点から、好ましくは1000以上、そして、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下である。
(C)成分の高分子化合物の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりアセトニトリルと水の混合溶液(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ポリエチレングリコールを標準として求めたものをいう。
ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩から選ばれる重合体、並びにアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸から選ばれる2種以上の共重合体又はその塩の重量平均分子量は、発泡連続性及び硬度成分捕捉能を考慮した白化抑制性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは2,000以上、より更に好ましくは3,000以上、そして、好ましくは400,000以下、より好ましくは200,000以下、更に好ましくは100,000
以下、より更に好ましくは10,000以下である。
本発明の(D)成分は、酸化性ハロゲン酸又はその塩である。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から、アルカリ性であることが好ましく、(E)成分として、アルカリ剤を配合することが好ましい。アルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物や、アルカリ金属の珪酸塩が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ金属の珪酸塩としては珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、具体的には、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、4号珪酸ナトリウム、1K珪酸カリウム、2K珪酸カリウムが挙げられる。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(E)成分を、(E)成分の種類にもよるが、洗浄性の観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する。(E)成分は、純分換算量である。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)成分~(E)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、EDTA,MGDA、クエン酸等のキレート剤;溶剤、ハイドロトロープ剤、分散剤、pH調整剤、増粘剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、漂白剤、漂白活性化剤などの他の成分を配合することができる。
本発明において、用語「食品加工設備及び/又は調理設備」とは、食品加工工場において、食品を加工する際及び/又は調理する際に用いられる機器及び設備を意味する。かかる機器としては、例えば、ネットコンベアやフリーザー、スライサー、精米機などが挙げられる。また、かかる設備としては、例えば、床、壁、作業台などが挙げられる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法である。
すなわち、本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を用いる。該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物と同じである。
工程1:前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2~200倍(好ましくは5~200倍)の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
ここで、希釈に使用される水としては、一般に、水道水のような、硬度成分を含有する水であることが想定される。希釈に使用される水の硬度は、発泡連続性の観点から、0.1~30°dHの範囲にあることが好ましく、0.1~20°dHの範囲にあることがより好ましく、0.1~15°dHの範囲にあることが更に好ましく、0.1~12°dHの範囲にあることがより更に好ましく、0.1~8°dHの範囲にあることがより更に好ましく、0.1~4°dHの範囲にあることがより更に好ましい。
花王(株)製)が好適に用いられる。まな板等の調理器具等、処理面積が小さい場合は、トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等の間欠的に泡を発生させることのできるハンドスプレーヤーが好適に用いられる。
表1の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、以下の方法により調製した。適量のイオン交換水に(A)成分と(C)成分を室温(25℃)で溶解させた水溶液に、あらかじめイオン交換水に(B)成分又は(B’)成分と必要に応じてその他成分(パラトルエンスルホン酸)を室温(25℃)で溶解させ(E)成分によりpHを約13に調整した水溶液および(D)成分を添加した後、(E)成分をおよびイオン交換水を添加して表1に示すpH(25℃)及び濃度に調整した。なお、表1中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。また(B)成分は酸換算としての量に基づく質量%であり、(D)成分はナトリウム塩としての量に基づく質量%を示している。
(A)成分
・ココアルキルアミンオキサイド:東邦化学工業(株)製、カチナールAOC(K)、一般式(a1)において、R1aは、炭素数8~18の炭化水素基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・C8アミンオキサイド:花王(株)製、アンヒトール08N、一般式(a1)において、R
1aは、炭素数8のアルキル基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・C12アミンオキサイド:花王(株)製、アンヒトール20N、一般式(a1)において、
R1aは、炭素数12のアルキル基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・C14アミンオキサイド:花王(株)製、アンヒトール40N、一般式(a1)において、
R1aは、炭素数14のアルキル基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
・イソステアリン酸:日産化学工業(株)製、「イソステアリン酸」、式(b1)で表される脂肪酸
・ラウリン酸:花王(株)製、ルナックL-98
・ミリスチン酸:花王(株)製、ルナックMY-98
・ジイソブチレン/マレイン酸共重合体:ローム・アンド・ハース社製 アキュゾール4
60ND、ジイソブチレン/マレイン酸=50/50(モル比)、重量平均分子量=12,000
・ポリアクリル酸ナトリウム(1):BASFジャパン(株)製、ソカランPA25CL
FR、アクリル酸ホモポリマーのナトリウム塩、重量平均分子量4,000
・ポリアクリル酸ナトリウム(2):花王(株)製、オリゴマーD、アクリル酸ホモポリマーのナトリウム塩、重量平均分子量8,000
・次亜塩素酸ナトリウム:東ソー(株)製
(E)成分
・1号ケイ酸カリウム:日本化学工業(株)製、SiO2/K2Oモル比=2.0~2.3〔日本化学工業(株)パンフレットより〕
・水酸化カリウム:東亜合成(株)製
・水酸化ナトリウム:東亜合成(株)製
その他の成分
・パラトルエンスルホン酸:明友産業(株)製
調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬度20°dHの硬度水で希釈して、硬質表面用液体洗浄剤組成物の濃度が1質量%の希釈液を作製した。この希釈液を、光路長1cmの石英セルに入れて、吸光光度計(株式会社日立製作所製、U-3300)にて、6
00nmの吸光度(abs)を測定(25℃)した。この評価では、吸光度が大きい程、硬度水中に含まれるカルシウムと組成物中に含まれる脂肪酸が結びついて脂肪酸カルシウム塩が生成され、白濁していることを意味しており、吸光度が小さい程、白化抑制性に優れていることが言える。結果を表1に示す。
発泡機(花王(株)製、KF-200)に、調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物300gを和歌山市水5700gで希釈した混合液を入れて、圧力0.4MPaの条件で連続発泡操作を行った。発泡連続性を下記の評価基準で判定した。結果を表1に示す。
〇:発泡機中の混合液が無くなるまで、発泡が途切れずに連続発泡することができた。
×:発泡機中の混合液の残量がある状態で、連続発泡操作中に発泡が途切れた。
Claims (9)
- (A)アミンオキサイド(以下、(A)成分という)を2質量%以上6質量%以下、(B)下記式(b1)で表されるイソステアリン酸、下記式(b2-1)で表されるイソステアリン酸、下記式(b2-2)で表されるイソステアリン酸、下記式(b3)で表されるイソステアリン酸、下記式(b4)で表されるイソパルミチン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上(以下、(B)成分という)を0.3質量%以上1質量%以下、(C)ポリアクリル酸又はその塩、及びマレイン酸と炭素数4以上8以下のオレフィンとの共重合体から選ばれる1種以上(以下、(C)成分という)を0.5質量%以上2.5質量%以下、(D)酸化性ハロゲン酸又はその塩(以下、(D)成分という)を2質量%以上6質量%以下、(E)アルカリ金属の水酸化物、及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる1種以上(以下、(E)成分という)を0.8質量%以上10質量%以下、ハイドロトロープ剤、及び水を含有し、25℃におけるpHが12以上14以下である、硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (C)成分が、ポリアクリル酸又はその塩、及びマレイン酸とジイソブチレンとの共重合体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (C)成分の含有量が、1質量%以上2.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (D)成分の含有量が3質量%以上5質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (A)成分の含有量が、2.5質量%以上4質量%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (B)成分の含有量と、(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)が、0.1以上5以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (A)成分と(B)成分の合計含有量と、(C)成分の含有量との質量比((A)+(B))/(C)が、1以上10以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 食品加工設備及び/又は調理設備用である、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 下記工程1~3を含む食品加工設備又は調理設備の洗浄方法。
工程1:請求項1~8の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2~200倍の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
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