JP2019073732A - 食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法 - Google Patents

食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法 Download PDF

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隆夫 土屋
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Abstract

【課題】使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に、析出物の発生を抑制するとともに、泡安定性、濯ぎ性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びこれを用いた食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法の提供。【解決手段】下記工程1を含む食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法。工程1:下記硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2〜200倍の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、ハンドスプレーヤーを用いて泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程[硬質表面用液体洗浄剤組成物](A)アミンオキサイド(以下、(A)成分という)、(B)総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩(以下、(B)成分という)、及び水を含有する、硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、0.4以上55以下である、硬質表面用液体洗浄剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びそれを用いた洗浄方法に関する。
食品加工工場では、生産スケジュールの中断時に、定期的に、食品の加工及び/又は調理に用いる機器及び設備を洗浄し、衛生状態を確保している。洗浄対象となる機器としては、例えば、ネットコンベアやフリーザー、スライサー、精米機などが挙げられ、設備としては、例えば、床、壁、作業台などが挙げられる。これらの洗浄対象は規模が大きかったり、パーツが入り組み複雑化したりしているため、これらを効率的に洗浄する方法として、通常、洗浄剤を発泡させ泡状にして洗浄対象に適用する発泡洗浄が採用される。
発泡洗浄では、洗浄剤を泡状に塗布することで、洗浄対象における滞留時間が長くなり、洗浄・殺菌効果が向上する。また、泡による接触洗浄では、洗浄剤の散布状況が目視にて確認できるので、処理箇所が容易に判別でき、洗浄剤の不必要な飛散を抑制できるという利点がある。
特許文献1では、希釈して発泡洗浄に用いる際に、優れた起泡性/泡安定性を呈すると共に、濯ぎ時には優れた泡切れ性を呈することを課題として、(a)酸化性ハロゲン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を0.5〜10質量%、(b)炭素数8〜14の炭化水素基を1つ有するアミンオキサイド型界面活性剤を0.5〜18質量%、(c)炭素数12〜16の脂肪酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を0.5〜10質量%、並びに、(d)水を含有し、(b)成分/(c)成分の質量比が1/10〜10/1、且つ、(b)成分と(c)成分の合計含有量が4〜20質量%である、食品加工設備及び/又は調理設備用液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、洗浄性と油水分離性に優れることを課題として、アルカリ剤(A)、特定構造の分岐カルボン酸(B−1)、及び特定構造の分岐アルコール(B−2)、及び水を含有し、前記カルボン酸(B−1)と、前記アルコール(B−2)との重量比{(B−1)/(B−2)}が、97/3〜25/75である、アルカリ洗浄剤組成物が開示されている。
特開2012−149226号公報 特開2012−201752号公報
特許文献1に記載の組成物は、優れた泡特性を有するが、直鎖脂肪酸を用いているため、脂肪酸のカルシウム塩が析出し、使用状況に応じて、洗浄ラインに析出物が付着する課題がある。
本発明は、使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に、析出物の発生を抑制するとともに、泡安定性、濯ぎ性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びこれを用いた硬質表面の洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明は、下記工程1を含む食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法に関する。
工程1:下記硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2〜200倍の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、ハンドスプレーヤーを用いて泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
[硬質表面用液体洗浄剤組成物]
(A)アミンオキサイド(以下、(A)成分という)、(B)総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩(以下、(B)成分という)、及び水を含有する、硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、0.4以上55以下である。
本発明によれば、使用時(希釈時、又は被洗浄物の水での濯ぎ時)に、析出物の発生を抑制するとともに、泡安定性、濯ぎ性に優れる硬質表面用液体洗浄剤組成物、及びこれを用いた硬質表面の洗浄方法を提供することができる。
<硬質表面用液体洗浄剤組成物>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(A)成分であるアミンオキサイドと、(B)成分である総炭素数11〜21の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩とを特定量比含有することにより、濯ぎ性、泡の安定性に優れるだけでなく、濯ぎ時にカルシウム塩が析出して機器に付着することを抑制することができる。この沈殿物が生じない理由は必ずしも定かではないが、(B)成分のカルボン酸がカルシウム塩となった場合でも、(A)成分のアミンオキサイドにより、微分散されて、沈殿が生じないためであると推定される。
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、アミンオキサイドである。
アミンオキサイドとしては、炭素数8以上22以下の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を有するアミンオキサイドが好ましく、中でも一般式(a1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2019073732
〔式中、R1aは炭素数8以上22以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を示し、R2a及びR3aは、同一又は異なって、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは−NHC(=O)−基又は−C(=O)NH−基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。m及びpは、m=0かつp=0又はm=1かつp=1を示す。〕
上記一般式(a1)において、R1aは、洗浄力の観点から、好ましくは炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは炭素数10以上18以下のアルキル基である。またR1aは、泡安定性の観点から、ヤシ油などの天然油脂由来の炭化水素基構造であってもよい。R2a、R3aは、泡安定性の観点から、好ましくは炭素数1のメチル基である。Eは、泡安定性の観点から、炭素数2又は3が好ましい。
アミンオキサイドの好ましい具体例としては、
(1)ココアルキルアミンオキサイド、カプリルジメチルアミンオキサイド、カプリンジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド等のアルキル(炭素数8以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド、
(2)ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等の脂肪酸(炭素数8以上22以下)アミドプロピルジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイドが挙げられ、洗浄力の観点から(1)アルキル(炭素数8以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイドがより好ましい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(A)成分を、析出物の抑制の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、泡安定性及びすすぎ性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下含有する。
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸である。
(B)成分のカルボン酸は、析出物の抑制の観点から、モノカルボン酸が好ましい。
本発明において、鎖式分岐炭化水素基とは、主鎖と側鎖を有する炭化水素基であり、後述する分岐炭素原子を1以上有するものをいう。
鎖式分岐炭化水素基は、析出物の抑制の観点から、カルボン酸に結合している炭素原子が第2級炭素原子であることが好ましい。
鎖式分岐炭化水素基のうち、カルボン酸に結合している炭素原子から数えて炭素数が最も大きい炭化水素鎖を主鎖とし、主鎖から分岐して結合している炭化水素鎖を側鎖とする。
主鎖が2つ以上考えられる場合、即ち炭素数が最も大きい炭化水素鎖(以下、最長炭化水素鎖ともいう)が2つ以上ある場合、下記の順序で主鎖を決める。
1.最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の炭素原子数が大きい方を主鎖とする。
2.次に、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の炭素原子数が同じである場合は、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の数が多い方を主鎖とする。
3.次に、最長炭化水素鎖から分岐する側鎖の数が同じである場合は、カルボン酸の酸素原子に結合している炭素原子から数えて、カルボン酸の酸素原子により近い炭素原子に側鎖を有する方を主鎖とする。
4.次に、カルボン酸の酸素原子に最も近い、側鎖を有する炭素原子の位置が同じ場合は、カルボン酸の酸素原子に最も近い側鎖の炭素原子数が多い方を主鎖とする。
なお、2つ以上の最長炭化水素鎖が、同一の対称構造を有する場合は、どちらを主鎖としてもよい。
鎖式分岐炭化水素基の総炭素数は、析出物の抑制の観点から、11以上、好ましくは13以上、より好ましくは15以上、そして、すすぎ性及び泡安定性の観点から、21以下、好ましくは19以下である。
鎖式分岐炭化水素基において、主鎖の炭素数は、泡安定性、濯ぎ性及び析出物の抑制の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは19以下、より好ましくは17以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは11以下である。なお、主鎖の炭素数に、側鎖の炭素数は含まれない。
鎖式分岐炭化水素基において、側鎖を構成する炭素数の合計は、泡安定性、濯ぎ性及び析出物の抑制の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、そして、同様の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは11以下、より更に好ましくは10以下である。
本発明において、側鎖を構成する炭素数の合計とは、主鎖以外の全側鎖の炭素数を合計したものであり、側鎖が複数ある場合は、それら全側鎖の炭素数の合計である。
鎖式分岐炭化水素基において、側鎖の数は、泡安定性、濯ぎ性及び析出物の抑制の観点から、1以上、好ましくは2以上、そして、同様の観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下である。
本発明において、側鎖の数とは、主鎖から分岐する側鎖の数であり、側鎖が、更に当該側鎖から分岐する側鎖を有していても側鎖の数としては変わらない。
鎖式分岐炭化水素基中の分岐炭素の数は、泡安定性、濯ぎ性及び析出物の抑制の観点から、好ましくは1以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5以下である。
本発明において、分岐炭素の数とは、鎖式分岐炭化水素基中の第3級炭素原子と第4級炭素原子の数の合計である。
(B)成分は、具体的には、下記一般式(b1)で表されるイソステアリン酸、下記一般式(b2−1)で表されるイソステアリン酸、下記一般式(b2−2)で表されるイソステアリン酸、下記一般式(b3)で表されるイソステアリン酸、下記一般式(b4)で表されるイソパルミチン酸、及び下記一般式(b5)で表されるイソアラキン酸(いずれも日産化学工業(株)製)等から選ばれる1種以上の脂肪酸が挙げられる。これらの中で、(B)成分は、泡安定性、濯ぎ性及び析出物の抑制の観点から、一般式(b1)で表されるイソステアリン酸、一般式(b2−1)で表されるイソステアリン酸、一般式(b2−2)で表されるイソステアリン酸、一般式(b3)で表されるイソステアリン酸、及び一般式(b4)で表されるイソパルミチン酸から選ばれる1種以上が好ましく、一般式(b1)で表されるイソステアリン酸がより好ましい。
Figure 2019073732
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(B)成分を、泡安定性及びすすぎ性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、そして、析出物の抑制の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下含有する。なお(B)成分の含有量は酸換算した値の量に基づく含有量である。以下、(B)成分の含有量について記載する場合も同じである。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物において、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比(A)/(B)は、析出物の抑制及び泡安定性の観点から、0.4以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、更に洗浄力の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上、そして、すすぎ性の観点から、55以下、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは5以下である。
<(C)成分>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(C)成分として、酸化性ハロゲン酸又はその塩を含有することができる。
(C)成分の酸化性ハロゲン酸としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、亜塩素酸が挙げられ、殺菌効果の観点から、次亜塩素酸が好ましい。また、酸化性ハロゲン酸の塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、亜塩素酸のアルカリ金属塩が挙げられ、泡安定性の観点から、次亜塩素酸のアルカリ金属塩が好ましく、中でも次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(C)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、そして、使用感の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下含有する。なお(C)成分の含有量は、ナトリウム塩として換算した値の量に基づく含有量である。
<(D)成分>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から、アルカリ性であることが好ましく、(D)成分として、アルカリ剤を配合することが好ましい。アルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物や、アルカリ金属の珪酸塩が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ金属の珪酸塩としては珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、具体的には、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、4号珪酸ナトリウム、1K珪酸カリウム、2K珪酸カリウムが挙げられる。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物中の(D)成分の含有量は、後述するpHが所定の範囲になるように適宜調整すればよい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(D)成分を、(D)成分の種類にもよるが、洗浄力向上の観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する。(D)成分は、純分換算量である。
<その他成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)成分〜(D)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、メタクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、及びジイソブチレン−マレイン酸共重合体又はその塩等の汚れの再付着防止剤;EDTA,MGDA、クエン酸等のキレート剤;溶剤、ハイドロトロープ剤、分散剤、pH調整剤、増粘剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、漂白剤、漂白活性化剤などの他の成分を配合することができる。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、水を含有する。すなわち、前記(A)〜(D)成分及び任意成分以外の残部が水である。本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、水を、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下含有する。水は、イオン交換水、滅菌イオン交換水等を使用することが好ましい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、洗浄力の観点から、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、より更に好ましくは13以上、そして、好ましくは14以下である。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上、そして、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下、より更に好ましくは7mPa・s以下、より更に好ましくは5mPa・s以下である。粘度は溶剤やハイドロトロープ剤などで調整することができる。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、硬質物品の硬質表面用、更に食品加工設備及び/又は調理設備用であることが好ましい。即ち、本発明は食品加工設備及び/又は調理設備用液体洗浄剤組成物であることが好適である。
本発明において、用語「食品加工設備及び/又は調理設備」とは、食品加工工場において、食品を加工する際及び/又は調理する際に用いられる機器及び設備を意味する。かかる機器としては、例えば、ネットコンベアやフリーザー、スライサー、精米機などが挙げられる。また、かかる設備としては、例えば、床、壁、作業台などが挙げられる。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を食品加工設備及び/又は調理設備用に用いる場合、上記「食品加工設備及び/又は調理設備」を発泡洗浄により洗浄することが好ましい。
<硬質表面の洗浄方法>
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法である。
すなわち、本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を用いる。該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物と同じである。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、下記工程1〜3を含む食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法に好適に用いられる。
工程1:前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2〜200倍(好ましくは5〜200倍)の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
工程2:泡を一定の時間保持する工程
工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程
工程1では、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、水により2〜200倍(好ましくは5〜200倍)の希釈倍率で予め希釈した後、泡状に噴射する。あるいは、硬質表面用液体洗浄剤組成物を専用容器に入れ、ホース等により水道と直結するなどして、希釈しながら混合して泡状に噴射する。上記の事前希釈と同時希釈とを組み合わせて、硬質表面用液体洗浄剤組成物の希釈溶液を泡状に噴射することもできる。工程1における希釈倍率は2〜200倍であり、好ましくは5〜200倍であり、より好ましくは20〜100倍である。
ここで、希釈に使用される水としては、一般に、水道水のような、硬度成分を含有する水であることが想定される。希釈に使用される水の硬度は、発泡洗浄時における泡安定性の観点から、0.1〜30°dHの範囲にあることが好ましく、0.1〜20°dHの範囲にあることがより好ましく、0.1〜15°dHの範囲にあることが更に好ましく、0.1〜12°dHの範囲にあることがより更に好ましく、0.1〜8°dHの範囲にあることがより更に好ましく、0.1〜4°dHの範囲にあることがより更に好ましい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の希釈溶液を泡状に噴射させる態様としては、水で所定の倍率に希釈した希釈溶液を、専用の泡洗浄機に適量充填して、外部からの空気/圧縮空気を混合して泡状に噴射する態様が好適に挙げられる。希釈溶液(洗浄液)中の本発明の組成物の合計含有量は、好ましくは0.02〜4質量%、より好ましくは0.02〜1質量%である。食品加工工場内の製造ライン等、処理面積が大きい場合は、泡洗浄機(例えば、「SCU-HF」スプレーイング社製、「KF−100」、「KF−200」花王(株)製)が好適に用いられる。まな板等の調理器具等、処理面積が小さい場合は、トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等の間欠的に泡を発生させることのできるハンドスプレーヤーが好適に用いられる。
工程1では間欠することなく泡状に噴射することが好ましい。ここで、「間欠することなく」噴射するとは、泡洗浄機を用いて、レバーやスイッチ等により開栓している間は連続的に(例えば、5秒以上)洗浄剤が泡状に噴射し続けることを表し、これは、「間欠する」噴射、例えば、トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等のハンドスプレーヤーを用いて、レバーを引いた時に噴射され、瞬時に噴射が停止するような噴射の態様と区別される。
泡洗浄機を用いて間欠することなく泡状に噴射する態様は、洗浄対象である食品加工設備及び/又は調理設備の面積や規模が大きい場合により有効である。
泡洗浄機を用いる場合、発泡倍率(泡の体積(mL)/泡の重量(g)の比)が好ましくは3〜50倍、より好ましくは5〜40倍、更に好ましくは10〜40倍であることが好適である。また、噴射時の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.1〜1MPa、より好ましくは0.2〜0.8MPa、更に好ましくは0.2〜0.5MPaとすることが好適である。トリガースプレーヤーやフォーマースプレーヤー等のハンドスプレーヤーを用いる場合、発泡倍率は好ましくは2〜30倍、より好ましくは2〜20倍、更に好ましくは3〜10倍であることが好ましい。
工程1において本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物の希釈溶液を泡状に噴射し食品加工設備及び/又は調理設備に付着させてから一定時間泡を保持する(工程2)。工程2において泡を保持する時間は、各装置の機構および作業性の観点から、好ましくは1〜60分、より好ましくは1〜45分であることが好適である。更に、1〜30分であることが好ましく、1〜20分であることがより好ましく、1〜15分であることがより好ましく、1〜10分であることがより好ましく、1〜5分であることがより更に好ましい。また、工程2において泡を保持する時間は、洗浄性の観点から、10〜60分であることが好ましく、15〜45分であることがより好ましく、20〜30分であることが更に好ましい。
工程2において泡を保持する時間は、希釈溶液の希釈倍率や使用場面によって異なり、特に制限されるものではないが、例えば2〜50倍(好ましくは5〜50倍)の希釈倍率では、泡を保持する時間は1〜60分、また、50〜200倍の希釈倍率においては、1〜10分の間泡を安定に保持することが好ましい。
工程2において泡を保持している間は放置しておくことが好ましいが、僅かの水等を加えるようなことも可能である。
泡を一定時間保持した後、工程3において、食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ。濯ぎ水の温度は、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜70℃であることが好適である。濯ぎ水としては、水道水を用いることができ、上記の好ましい水温に調整すべく加熱して用いてもよい。一般的には、ホース等で人の手による濯ぎ作業が行われる。本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、かかる濯ぎ時の泡切れ性に優れ、従来の洗浄剤組成物に比し、必要となる濯ぎ水が少量でよく、経済的に有利であり、また作業負荷(作業時間や作業人員数)や環境負荷の軽減にも著しく寄与するものである。
下記配合成分を用いて、表1に示す硬質表面用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表1に示す。
表1の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、常法により調製した。即ち、適量のイオン交換水に(A)成分と、(B)成分又は(B’)成分と、(C)成分を添加し、室温(25℃)で溶解させた後、(D)成分を添加してpH(25℃)を調整した。なお、表1中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。また(B)成分は酸換算としての量に基づく質量%であり、(C)成分はナトリウム塩としての量に基づく質量%を示している。
<配合成分>
(A)成分
・ココアルキルアミンオキシド:東邦化学工業(株)製、一般式(a1)において、R1aは、炭素数8〜18の炭化水素基、R2a及びR3aはメチル基、m=0かつp=0の化合物
(B)成分
・イソステアリン酸:製品名「イソステアリン酸」、日産化学工業(株)製、下記一般式(b1)で表される脂肪酸
・イソステアリン酸T:製品名「イソステアリン酸T」、日産化学工業(株)製、下記一般式(b2−1)で表される脂肪酸と下記一般式(b2−2)で表される脂肪酸の混合物・イソステアリン酸N:製品名「イソステアリン酸N」、日産化学工業(株)製、下記一般式(b3)で表される脂肪酸
・イソパルミチン酸:製品名「イソパルミチン酸」、日産化学工業(株)製、下記一般式(b4)で表される脂肪酸
・イソアラキン酸:製品名「イソアラキン酸」、日産化学工業(株)製、下記一般式(b5)で表される脂肪酸
Figure 2019073732
(B’)成分((B)成分の比較成分)
・ラウリン酸:花王(株)製
・ミリスチン酸:花王(株)製
・ステアリン酸:花王(株)製
・LAS:アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製・DDAC:ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、花王(株)製
(C)成分
・次亜塩素酸ナトリウム:東ソー(株)製
(D)成分
・水酸化ナトリウム:東亜合成(株)製
(1)希釈時の析出物量評価
調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬度10°dHの水で希釈して、2質量%の水溶液を作製した。
希釈して、5分間静置した本溶液(50g)を、あらかじめ質量を測定したメンブレンフィルター(5μOmniporeTM)で減圧濾過をし、メンブレンフィルターを1昼夜放置することで乾燥させ、再び質量を測定し、下記式より析出物量(mg)を算出した。
析出物量=(フィルター乾燥後の質量)−(フィルターの初期質量)
(2)泡安定性評価
調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬度4°dHの水で希釈して、5質量%の水溶液を作製した。
希釈した本溶液をハンドフォーマー容器(吉野製作所(株)製)に投入した。ハンドフォーマーで、メスシリンダーの底に3gの泡を投下し、直ぐに泡体積を測定した。30分間放置し、30分後再び泡体積を測定した。下記式より、泡体積の変化割合を求め、泡安定性(%)の評価結果とした。値が大きいほど泡安定性に優れていることが言える。なお本評価は溶液温度が室温(25℃)で行った。
泡安定性(%)=30分後の泡量(ml)×100/初期の泡量(ml)
(3)すすぎ性評価
調製した各硬質表面用液体洗浄剤組成物を、硬度4°dHの水で希釈して、5質量%の水溶液を作製した。
希釈した本溶液を前記ハンドフォーマー容器に投入した。ハンドフォーマーで、メスシリンダーの底に3gの泡を投下し、直ぐに泡体積(初期の泡体積)(mL)を測定した。測定30秒後、硬度4°dHの水100mLをシャワー状にして水面に投下(2秒)し、引き続き繰り返して、合計で200mL投下した時の泡体積(終了時の泡体積)(mL)を測定し、下記式より、すすぎ率(%)を求めた。すすぎ率の値が高いほど、すすぎ性に優れていることが言える。なおすすぎ率の値が負である場合、水の投下により増泡していることを意味する。
すすぎ率(%)=[1−〔200mL投下した時(終了時)の泡体積(mL)/初期の泡体積(mL)〕]×100
Figure 2019073732
※1:一般式(b2−1)ので表される脂肪酸の主鎖の炭素数が9、一般式(b2−2)ので表される脂肪酸の主鎖の炭素数が11であることを示す。
※2:一般式(b2−1)ので表される脂肪酸の側鎖の合計炭素数が8、一般式(b2−2)ので表される脂肪酸の側鎖の合計炭素数が6であることを示す。
※3:「濁り有り」は、希釈時に、濁りが大きく生じ、他の実施例、比較例と比べて明らかに析出が多いと判断した為、析出物の測定を行わなかった。

Claims (4)

  1. 下記工程1を含む食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法。
    工程1:下記硬質表面用液体洗浄剤組成物を水により2〜200倍の希釈倍率で、予め希釈し、及び/又は、希釈しながら、ハンドスプレーヤーを用いて泡状に噴射し、食品加工設備及び/又は調理設備に付着させる工程
    [硬質表面用液体洗浄剤組成物]
    (A)アミンオキサイド(以下、(A)成分という)、(B)総炭素数11以上21以下の鎖式分岐炭化水素基を有するカルボン酸又はその塩(以下、(B)成分という)、及び水を含有する、硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、0.4以上55以下である、硬質表面用液体洗浄剤組成物。
  2. ハンドスプレーヤーがトリガースプレーヤー又はフォーマースプレーヤーである、請求項1記載の食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法。
  3. 工程1における発泡倍率(泡の体積(mL)/泡の重量(g)の比)が2〜30倍である、請求項1又は2に記載の食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法。
  4. 更に工程2及び工程3を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品加工設備及び/又は調理設備の洗浄方法。
    工程2:泡を一定の時間保持する工程
    工程3:食品加工設備及び/又は調理設備を水で濯ぐ工程

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