JP7298232B2 - クリーニングブレード、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかし、一方でクリーニングブレードには、端部(つまり被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向の両端)において、一部が大きく撓みめくれる現象(所謂ブレードめくれ)が発生することがあり、このブレードめくれの発生を抑制することも求められる。
また本発明の課題は、第2に、端部領域での平均インデンテーション硬さHxと、中央部領域での平均インデンテーション硬さHyと、が[Hx=Hy]の関係を満たす場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードを提供することにある。
<1>
駆動する被クリーニング部材に接触して表面をクリーニングするクリーニングブレードであって、
前記被クリーニング部材に接触する表面の、前記被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向の全域に、sp3結合を有する炭素を含み、且つ前記直交方向の両端における各2%の端部領域での前記sp3結合を有する炭素の平均含有率X3と、前記直交方向の中央における70%の中央部領域での前記sp3結合を有する炭素の平均含有率Y3と、が[X3>Y3]の関係を満たす炭素含有層を備えるクリーニングブレード。
<2>
前記端部領域での前記平均含有率X3と、前記中央部領域での前記平均含有率Y3と、が[1.1Y3≦X3≦3.0Y3]の関係を満たす<1>に記載のクリーニングブレード。
<3>
前記端部領域での前記平均含有率X3が50%以上80%以下であり、前記中央部領域での前記平均含有率Y3が20%以上45%以下である<1>又は<2>に記載のクリーニングブレード。
<4>
前記炭素含有層がsp2結合を有する炭素を含み、
前記端部領域での、前記sp3結合を有する炭素の平均含有率X3及び前記sp2結合を有する炭素の平均含有率X2の比率と、前記中央部領域での、前記sp3結合を有する炭素の平均含有率Y3及び前記sp2結合を有する炭素の平均含有率Y2の比率と、が[(X3/X2)>(Y3/Y2)]の関係を満たす<1>~<3>のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
<5>
前記端部領域での前記平均含有率X3及び前記平均含有率X2の比率と、前記中央部領域での前記平均含有率Y3及び前記平均含有率Y2の比率と、が[1.2(Y3/Y2)≦(X3/X2)≦10(Y3/Y2)]の関係を満たす<4>に記載のクリーニングブレード。
<6>
駆動する被クリーニング部材に接触して表面をクリーニングするクリーニングブレードであって、
前記被クリーニング部材に接触する表面の、前記被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向の全域に、sp3結合を有する炭素を含み、且つ前記直交方向の両端における各2%の端部領域での平均インデンテーション硬さHxと、前記直交方向の中央における70%の中央部領域での平均インデンテーション硬さHyと、が[Hx>Hy]の関係を満たす炭素含有層を備えるクリーニングブレード。
<7>
前記端部領域での前記平均インデンテーション硬さHxと、前記中央部領域での前記平均インデンテーション硬さHyと、が[1.1Hy≦Hx≦3.0Hy]の関係を満たす<6>に記載のクリーニングブレード。
<8>
前記端部領域での前記平均インデンテーション硬さHxが22以上35以下であり、前記中央部領域での前記平均インデンテーション硬さHyが10以上20以下である<6>又は<7>に記載のクリーニングブレード。
<9>
<1>~<8>のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
<10>
<9>に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して着脱されるプロセスカートリッジ。
<11>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面をクリーニングする、<9>に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
<2>に係る発明によれば、端部領域での平均含有率X3と、中央部領域での平均含有率Y3と、が[1.1Y3>X3]又は[X3>3.0Y3]の関係を満たす場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードが提供される。
<3>に係る発明によれば、端部領域での平均含有率X3が50%未満である場合、又は中央部領域での平均含有率Y3が45%超である場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードが提供される。
<4>に係る発明によれば、端部領域での、sp3結合を有する炭素の平均含有率X3及びsp2結合を有する炭素の平均含有率X2の比率と、中央部領域での、sp3結合を有する炭素の平均含有率Y3及びsp2結合を有する炭素の平均含有率Y2の比率と、が[(X3/X2)=(Y3/Y2)]の関係を満たす場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードが提供される。
<5>に係る発明によれば、端部領域での平均含有率X3及び平均含有率X2の比率と、中央部領域での平均含有率Y3及び平均含有率Y2の比率と、が[1.2(Y3/Y2)>(X3/X2)]又は[(X3/X2)>10(Y3/Y2)]の関係を満たす場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードが提供される。
<7>に係る発明によれば、端部領域での平均インデンテーション硬さHxと、中央部領域での平均インデンテーション硬さHyと、が[1.1Hy>Hx]又は[Hx>3.0Hy]の関係を満たす場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードが提供される。
<8>に係る発明によれば、端部領域での平均インデンテーション硬さHxが22未満である場合、又は中央部領域での平均インデンテーション硬さHyが20超である場合に比べ、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されるクリーニングブレードが提供される。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、駆動する被クリーニング部材(例えば画像形成装置における像保持体)に接触して表面をクリーニングするクリーニングブレードである。このクリーニングブレードは、被クリーニング部材に接触する表面(以下単に「接触面」とも称す)の、被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向の全域に、sp3結合を有する炭素を含む炭素含有層を備える。
本実施形態に係るクリーニングブレードが画像形成装置における像保持体の表面をクリーニングする部材である場合、前記端部領域は一般的に非画像部(つまりトナー画像が形成されない領域)をクリーニングする領域に相当し、一方前記中央部領域は一般的に画像部(つまりトナー画像が形成される領域)をクリーニングする領域に相当する。
その理由は以下のように推察される。
これに対し、端部でのブレードめくれを抑制する目的で、クリーニングブレードの被クリーニング部材との接触面を高硬度化する(例えば高硬度な層を設ける)などの検討がなされている。しかし、クリーニングブレードの接触面を高硬度化した場合、クリーニングブレードが有する本来の柔軟性が低減され、クリーニング性つまり被クリーニング部材の表面からのトナー等の除去物の除去性が低下することがある。これは、クリーニングブレードの柔軟性が低減することで、クリーニングブレードの先端での変形量が小さくなり、トナーをせき止める力が弱くなったものと考えられる。
一方で、一般的に画像部をクリーニングする領域に相当する中央部領域では、sp3炭素の含有率を端部領域よりも低減して柔軟性を確保する。これにより、クリーニングブレードの先端での変形量を確保し、トナーをせき止める力を高めて、良好なクリーニング性つまり被クリーニング部材の表面からのトナー等の除去物の除去性が高められる。また、中央部領域にもsp3結合を有する炭素を含む炭素含有層を設けることで、中央部領域に該炭素含有層を有さないクリーニングブレードに比べて、接触面での耐磨耗性が向上し、長期に渡って摩耗や欠けの発生が抑制されることからも、良好なクリーニング性が達成される。
一方で、一般的に画像部をクリーニングする領域に相当する中央部領域では、インデンテーション硬さを端部領域よりも低くして柔軟性を確保する。これにより、クリーニングブレードの先端での変形量を確保し、トナーをせき止める力を高めて、良好なクリーニング性つまり被クリーニング部材の表面からのトナー等の除去物の除去性が高められる。また、中央部領域にもsp3結合を有する炭素を含む炭素含有層を設けることで、中央部領域に該炭素含有層を有さないクリーニングブレードに比べて、接触面での耐磨耗性が向上し、長期に渡って摩耗や欠けの発生が抑制されることからも、良好なクリーニング性が達成される。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、被クリーニング部材への接触面に、被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向(以下単に「ブレード幅方向」とも称す)の全域に、sp3結合を有する炭素を含む炭素含有層を備える。
図1は、クリーニングブレード10が被クリーニング部材20の表面に接触するよう配置された状態の一例を示す概略図である。図1において、クリーニングブレード10を被クリーニング部材20に接触させることにより除去物Tが除去される。矢印Gは被クリーニング部材20の駆動方向を示しており、被クリーニング部材20と、クリーニングブレード10とは接触面12において接触している。図1中、被クリーニング部材20は円筒状の被クリーニング部材の一部として記載されており、クリーニングブレード10は板状の部材である。
図2中、点線で示された領域が、クリーニングブレード10における被クリーニング部材と接触する接触面12であり、図1中の接触面12に相当する。
図2において、本実施形態に係るクリーニングブレードは、接触面12におけるクリーニングブレードのブレード幅方向の全域に、炭素含有層14を有する。
第1実施形態に係るクリーニングブレードでは、端部領域16でのsp3炭素の平均含有率X3と、中央部領域18でのsp3炭素の平均含有率Y3と、が下記式1の関係を満たす。
式1:X3>Y3
式1-1:1.1Y3≦X3≦3.0Y3
式1-2:1.2Y3≦X3≦2.5Y3
式1-3:1.3Y3≦X3≦2.0Y3
端部領域16での平均含有率X3が50%以上であることで、ブレードめくれを抑制し易くなる。一方、平均含有率X3が80atom%以下であることで、端部領域が硬くなり過ぎずクリーニングブレード全体としてのクリーニング性が向上する。
中央部領域18での平均含有率Y3が20%以上であることで、接触面での耐磨耗性が向上し、クリーニング性が向上する。一方、平均含有率Y3が45%以下であることで、柔軟性が確保されてクリーニング性が向上する。
そして、第1実施形態に係るクリーニングブレードでは、ブレードめくれを抑制し易し且つクリーニング性を向上させる観点から、端部領域16でのsp3炭素の平均含有率X3及びsp2炭素の平均含有率X2の比率と、中央部領域18でのsp3炭素の平均含有率Y3及びsp2炭素の平均含有率Y2の比率と、が下記式2の関係を満たすことが好ましい。
式2:(X3/X2)>(Y3/Y2)
式2-1:1.2(Y3/Y2)≦(X3/X2)≦10(Y3/Y2)
式2-2:1.2(Y3/Y2)≦(X3/X2)≦8(Y3/Y2)
式2-3:1.2(Y3/Y2)≦(X3/X2)≦6(Y3/Y2)
sp3炭素及びsp2炭素の含有率の測定においては、まずXPS(X線光電子分光)測定により、284eVから286eVの間に検出されるピークに対してピーク分離を行い、強度の高い2つのピークを抽出する。この2つのピークのうち、低エネルギー側をsp2炭素、高エネルギー側をsp3炭素に起因するピークと帰属して、その積分値によりsp3炭素及びsp2炭素の含有率を算出する。
また、端部領域での平均含有率は、端部領域におけるブレード幅方向の中央側の端1点及びその端1点とブレードの端との中間点1点の計2点を、それぞれの端部領域について測定し、その計4点での含有率の算術平均を平均含有率とする。
第2実施形態に係るクリーニングブレードでは、端部領域16での平均インデンテーション硬さHxと、中央部領域18での平均インデンテーション硬さHyと、が下記式3の関係を満たす。
式3:Hx>Hy
式3-1:1.1Hy≦Hx≦3.0Hy
式3-2:1.3Hy≦Hx≦2.8Hy
端部領域16での平均インデンテーション硬さHxが22以上であることで、ブレードめくれを抑制し易くなる。一方、平均インデンテーション硬さHxが35以下であることで、端部領域が硬くなり過ぎずクリーニングブレード全体としてのクリーニング性が向上する。
中央部領域18での平均インデンテーション硬さHyが10以上であることで、接触面での耐磨耗性が向上し、クリーニング性が向上する。一方、平均インデンテーション硬さHyが20以下であることで、柔軟性が確保されてクリーニング性が向上する。
ピコデンターHM500(フィッシャー社製)を用いて、ベルコビッチ圧子を3μm/3sの早さで押し込んだ際に求められるインデンテーション硬さを測定する。
なお、中央部領域での平均インデンテーション硬さは、中央部領域におけるブレード幅方向の両端2点及びその間を等間隔に3点測定し、その計5点でのインデンテーション硬さの算術平均を平均インデンテーション硬さとする。
また、端部領域での平均インデンテーション硬さは、端部領域におけるブレード幅方向の中央側の端1点及びその端1点とブレードの端との中間点1点の計2点を、それぞれの端部領域について測定し、その計4点でのインデンテーション硬さの算術平均を平均インデンテーション硬さとする。
図2中、Vは、被クリーニング部材と接触する接触面12を含む面における、ブレード幅方向と直交する方向(つまりブレード厚み方向)の接触面12の長さを示している。また、H1は、クリーニングブレード10の接触面12を含む面における、ブレード幅方向と直交する方向(つまりブレード厚み方向)の炭素含有層14の長さを示している。
H1はVよりも短くてもよいが、Vと同じ長さであるか、又はVよりも長いことが好ましい。
また、上記H1は、クリーニングブレード10の接触面12を含む面における、ブレード厚み方向の接触面の長さ(H1+H2)に対し、5%以上100%以下であることが好ましく、10%以上50%以下であることがより好ましく、20%以上30%以下であることが更に好ましい。
クリーニングブレード10の接触面12を含む面以外の面に炭素含有層14を有することにより、クリーニングブレード10の端部領域における弾性係数が上昇し、めくれの発生が抑制され易くなると考えられる。
図3は、クリーニングブレードの側面19a、及び被クリーニング部材の駆動方向の下流側において該被クリーニング部材と対向する面19bにも、炭素含有層14を有するクリーニングブレード10Bの一例を示す概略図である。
炭素含有層は、sp3結合を有する炭素(つまりsp3混成軌道をもつ炭素)を含む層である。なお、炭素含有層はsp2結合を有する炭素を含んでもよい。
ここで、sp3結合を有する炭素及びsp2結合を有する炭素を含む層について説明する。図4は炭素の結合の違いによる関係を分かり易く示した概念図である。
炭素は混成軌道の違いにより結合できる原子の数が異なり、図4に示すように、その結晶構造によりsp2結合している炭素原子からなるグラファイトから、sp3結合している炭素原子からなる高硬度のダイヤモンドに分類できる。そして、本実施形態における炭素含有層は、sp3結合を有する炭素原子を含むアモルファス膜(即ち、図4において三角で囲われている領域)である。
なお、図4における「Ga-C」はグラファイト系(グラファイトに近い)のアモルファスカーボン(即ち、sp3結合を有する炭素が40%未満のアモルファスカーボン)を表し、「aCH」はamorphous Hydrogenated Carbonを表す。
厚みが0.05μm以上であることで、ブレードめくれの発生が抑制され易くなる。一方、厚みが1.0μm以下であることで、炭素含有層がクリーニングブレードの変形に追従しやすく、炭素含有層の剥がれが抑制され易くなる。
炭素含有層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、基材つまり炭素含有層が形成されていないクリーニングブレードの表面に、一般的な手法である各種蒸着法(例えば、物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)、フィルター・カソード・バキューム・アーク法(FCVA法))により形成する方法が挙げられる。
蒸着法としては、例えば、マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD法、高周波プラズマCVD法、有磁場プラズマCVD法、イオンビームスパッタ法、イオンビーム蒸着法、反応性プラズマスパッタ法、アンバランスドマグネトロンスパッタ法、フィルター・カソード・バキューム・アーク法(FCVA法)等が用いられる。
これらの蒸着法において用いられる原料ガスは、含炭素ガスであり、例えば、メタン、エタン、プロパン、エチレン、ベンゼン、アセチレン等の炭化水素ガス;塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン化炭素;メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン、ジフェニルケトン等のケトン類;一酸化炭素、二酸化炭素等のガス;これらのガスにN2、H2、O2、H2O、Ar等を混合したものが挙げられる。
例えば、レーザーアブレーション法が挙げられる。レーザーアブレーション法では、炭素含有層の形成時に照射するレーザー光の波長や照射エネルギーの違いにより、sp3炭素とsp2炭素との比率を変化させることができる。そのため、端部領域と中央部領域とで照射するレーザー光の波長を変え、端部領域により低波長なレーザー光を照射し一方中央部領域により高波長なレーザー光を照射する方法が挙げられる。一例として、中央部領域にはKrFエキシマレーザ(波長248nm)を、端部領域にはArFレーザー(波長193nm)を、それぞれ3.0J/cm2で照射する方法が挙げられる。
本実施形態に係るクリーニングブレードの炭素含有層以外の部分、つまり炭素含有層を形成する対象のクリーニングブレード本体を構成する材料としては、特に限定されず、公知のクリーニングブレードの材料が使用される。
クリーニングブレード本体は、ゴム弾性体を含むことが好ましく、ゴム弾性体を含むことが好ましい。ゴム弾性体としては、ウレタンゴム、ポリイミドゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、プロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。ただし、耐摩耗性、機械的強度、耐油性、及び耐オゾン性に優れるとの観点から、ウレタンゴムを含むことが好ましい。なお、ウレタンゴムとしては、例えば、特開2017-053909号公報の段落0037乃至0052に記載のポリウレタンゴムが挙げられる。
本実施形態に係るクリーニングブレードは、例えば、公知のクリーニングブレード本体(公知の方法により製造されたクリーニングブレード本体)に対し、被クリーニング部材との接触面におけるブレード幅方向の全域に、前述の方法により炭素含有層を形成することにより製造される。
例えば、ポリウレタンを含むクリーニングブレード本体を、プレポリマー法やワンショット法等の一般的な方法により製造し、次いで接触面におけるブレード幅方向の全域に炭素含有層を形成した後に、板状の支持材に接着する方法が挙げられる。
本実施形態に係るクリーニングブレードによるクリーニングの対象となる被クリーニング部材としては、表面のクリーニングが要求される部材であれば特に限定されない。例えば、画像形成装置に用いられる場合であれば、像保持体(例えば電子写真感光体)、中間転写体、帯電ロール、転写ロール、被転写材搬送ベルト、用紙搬送ロール等が挙げられる。また、像保持体からトナーを除去するクリーニングブラシから更にトナーを除去するデトーニングロール等も挙げられる。本実施形態においては、像保持体であることが特に好ましい。
次に、本実施形態に係るクリーニングブレードを用いたクリーニング装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置について説明する。
本実施形態のクリーニング装置は、被クリーニング部材表面に接触し、被クリーニング部材表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、本実施形態のクリーニングブレードを備えたものであれば特に限定されない。例えば、クリーニング装置の構成例としては、被クリーニング部材側に開口部を有するクリーニングケース内に、エッジ先端(つまり接触面)が開口部側となるようクリーニングブレードを固定すると共に、クリーニングブレードにより被クリーニング部材表面から回収された廃トナー等の除去物を除去物回収容器に導く搬送部材を備えた構成などが挙げられる。また、本実施形態のクリーニング装置には、本実施形態のクリーニングブレードが2つ以上用いられていてもよい。
・式:N=dEt3/4L3
式中、dは図7に示されるクリーニングブレード342の食い込み量dを、Eはクリーニングブレード342のヤング率を、tは図7に示されるクリーニングブレード342の厚みtを、Lは図7に示されるクリーニングブレード342の自由長(つまり支持材346によって固定されていない領域の長さ)を表す。
また、図7に示されるクリーニングブレード342と像保持体31との接触部分における角度α(W/A、Working Angle)は8°以上14°以下の範囲であることが好ましく、10°以上12°以下の範囲であることがより好ましい。
図5は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略模式図であり、いわゆるタンデム型の画像形成装置について示したものである。
図5中、21は本体ハウジング、22、22a乃至22dは作像ユニット、23はベルトモジュール、24は記録媒体供給カセット、25は記録媒体搬送路、30は各感光体ユニット、31は被クリーニング部材としての感光体ドラム(像保持体の一例)、33は各現像ユニット(現像手段の一例)、34はクリーニング装置、35、35a乃至35dはトナーカートリッジ、40は露光ユニット(静電潜像形成手段の一例)、41はユニットケース、42はポリゴンミラー、51は一次転写装置、52は二次転写装置、53はベルトクリーニング装置、61は送出しロール、62は搬送ロール、63は位置合わせロール、66は定着装置、67は排出ロール、68は排紙部、71は手差し供給装置、72は送出しロール、73は両面記録用ユニット、74は案内ロール、76は搬送路、77は搬送ロール、230は中間転写ベルト、231、232は支持ロール、521は二次転写ロール、531はクリーニングブレードを表す。
ここで、感光体ユニット30は、例えば感光体ドラム31と、この感光体ドラム31を予め帯電する帯電ロール32(帯電手段の一例)と、感光体ドラム31上の残留トナーを除去するクリーニング装置34とを一体的にサブカートリッジ化したものである。
なお、感光体ユニット30を現像ユニット33から切り離して単独のプロセスカートリッジとしてもよいことは勿論である。また、図5中、符号35(35a乃至35d)は各現像ユニット33に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである(トナー補給経路は図示せず)。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流作像ユニット22aの上流側にはベルトクリーニング装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去する。
更にまた、本体ハウジング21には両面記録用ユニット73が付設されており、この両面記録用ユニット73は、記録媒体の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、片面記録済みの記録媒体を排出ロール67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて内部に取り込み、搬送ロール77にて内部の記録媒体戻し搬送路76に沿って記録媒体を搬送し、再度位置合わせロール63側へと供給するものである。
図6は、本実施形態のクリーニング装置の一例を示す模式断面図であり、図5中に示すクリーニング装置34と共にサブカートリッジ化された感光体ドラム31、帯電ロール32や、現像ユニット33も示した図である。
図6中、32は帯電ロール(帯電装置)、331はユニットケース、332は現像ロール、333はトナー搬送部材、334は搬送パドル、335はトリミング部材、341はクリーニングケース、342はクリーニングブレード、344はフィルムシール、345は搬送部材を表す。
現像に際しては、現像ロール332に現像剤を供給した後、例えばトリミング部材335にて現像剤を層厚規制した状態で、感光体ドラム31に対向する現像領域に搬送される。
本実施形態で用いられるトナーとしては、トナー粒子に対し、少なくとも外添剤として潤滑剤が外添されたトナーが好ましく用いられる。
また、本実施形態に用いられるトナーは、粉砕トナー等の乾式トナーであってもよいが、湿式トナーであることが好ましい。湿式トナーとしては、特に限定されず、公知の溶融懸濁法、乳化凝集合一法、溶解懸濁法等により得られたトナーであればよい。
湿式トナーは乾式トナーよりも粒径が小さい場合が多く、また、粒子の球形度が高い場合が多い。本実施形態に係るクリーニングブレードによれば、ブレードめくれの抑制と良好なクリーニング性との両立が達成されることにより、このような湿式トナーを用いた場合であっても、画像欠陥が抑制されやすい。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vと定義する。
一方、各作像ユニット22(22a乃至22d)において、感光体ドラム31上の残留トナーはクリーニング装置34にて清掃され、また、中間転写ベルト230上の残留トナーはベルトクリーニング装置53にて清掃される。
こうした作像過程において、夫々の残留トナーはクリーニング装置34(又はベルトクリーニング装置53)によって清掃される。
-クリーニングブレード本体の形成-
ポリカプロラクトンポリオール(株式会社ダイセル製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)と、ポリカプロラクトンポリオール(株式会社ダイセル製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)とを、ポリオール成分のソフトセグメント材料として用いた。また、2つ以上のヒドロキシ基を含むアクリル樹脂(綜研化学(株)製、アクトフローUMB-2005B)を、ハードセグメント材料として用いた。上記ソフトセグメント材料と上記ハードセグメント材料とを、8:2(質量比)の割合で混合した。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で70℃、3時間反応させて、プレポリマーを得た。なお、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部であった。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した。その後、プレポリマー100部に対して、1,4-ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14部加え、3分間気泡が入らないように充分に混合した。この混合物をクリーニングブレード金型に注入して、クリーニングブレード本体を得た。
得られたクリーニングブレード本体の接触面(被クリーニング部材との接触面)に対し、まず接着層として金属酸化物層(具体的には酸化チタン層)を、真空蒸着法の方法により形成した。
なお、中央部とはブレード幅方向の中央の80%の領域とし、一方端部とはブレード幅方向の両端の各5%の領域とした。
こうして、炭素含有層を形成した。
sp3結合を有する炭素の平均含有率(X3)及びsp2結合を有する炭素の平均含有率(Y3)を、前述の方法により算出した。結果を表1に示す。
実施例1におけるレーザーアブレーション法による炭素含有層の形成の際、照射するレーザーの条件を、ブレード幅方向の中央部にはKrFエキシマレーザー(波長248nm)を0.5J/cm2で照射し、一方端部にはKrFエキシマレーザー(波長248nm)を3.0J/cm2で照射する条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを得た。
実施例1におけるレーザーアブレーション法による炭素含有層の形成の際、照射するレーザーの条件を変更し、sp3結合を有する炭素の平均含有率(X3)及びsp2結合を有する炭素の平均含有率(Y3)を、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを得た。
実施例1において、炭素含有層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを得た。
実施例1におけるレーザーアブレーション法による炭素含有層の形成の際、照射するレーザーの条件を、ブレード幅方向の中央部及び端部のいずれにおいても、ArFレーザー(波長193nm)を3.0J/cm2で照射する条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを得た。
実施例1におけるレーザーアブレーション法による炭素含有層の形成の際、照射するレーザーの条件を、ブレード幅方向の中央部及び端部のいずれにおいても、ArFレーザー(波長193nm)を0.5J/cm2で照射する条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを得た。
実施例1におけるレーザーアブレーション法による炭素含有層の形成の際、照射するレーザーの条件を、ブレード幅方向の中央部にはArFレーザー(波長193nm)を3.0J/cm2で照射し、一方端部にはKrFエキシマレーザー(波長248nm)を3.0J/cm2で照射する条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを得た。
各実施例及び比較例のクリーニングブレードを、富士ゼロックス社製:Apeosport-VI C7771に装着し、押し付け力NF(Normal Force)を2.5gf/mm、角度W/A(Working Angle)を10°に設定した。A4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製、P紙)を用い、Az環境(つまり温度28℃、湿度85%RHの環境)にて、テスト画像(K色、画像濃度5%のハーフトーン画像)の印刷を50万枚行った。
画像部でのクリーニング性つまり残留トナーの除去性の指標として、50万枚目の画像について、色スジの画質欠陥の発生状態を下記の基準で目視により評価した。
・評価基準
A(〇):50万枚目の画像に色スジが確認されない
B(△):50万枚目の画像に色スジが僅かに確認されるが許容範囲
C(×):50万枚目の画像に色スジが確認され、許容し得ない
ブレードめくれは下記評価基準により判定した。
評価結果はAが最もよく、Dが最も悪い。また、評価結果がAに近いほど、クリーニングブレードのめくれの発生が抑制されているといえる。評価結果は表2に記載した。
・評価基準
A(〇):50万枚を超えてもブレードめくれが観察されなかった。
B(△):30万枚以上50万枚以下でブレードめくれが観察された。
C(×):30万枚より前にブレードめくれが観察された。
Claims (10)
- 駆動する被クリーニング部材に接触して表面をクリーニングするクリーニングブレードであって、
前記被クリーニング部材に接触する表面の、前記被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向の全域に、sp3結合を有する炭素を含み、且つ
前記直交方向の両端における各2%の端部領域での前記sp3結合を有する炭素の平均含有率X3と、
前記直交方向の中央における70%の中央部領域での前記sp3結合を有する炭素の平均含有率Y3と、が
[X3>Y3]の関係を満たす炭素含有層を備えるクリーニングブレード。 - 前記端部領域での前記平均含有率X3と、前記中央部領域での前記平均含有率Y3と、が[1.1Y3≦X3≦3.0Y3]の関係を満たす請求項1に記載のクリーニングブレード。
- 前記端部領域での前記平均含有率X3が50%以上80%以下であり、前記中央部領域での前記平均含有率Y3が20%以上45%以下である請求項1又は請求項2に記載のクリーニングブレード。
- 前記炭素含有層がsp2結合を有する炭素を含み、
前記端部領域での、前記sp3結合を有する炭素の平均含有率X3及び前記sp2結合を有する炭素の平均含有率X2の比率と、前記中央部領域での、前記sp3結合を有する炭素の平均含有率Y3及び前記sp2結合を有する炭素の平均含有率Y2の比率と、が[(X3/X2)>(Y3/Y2)]の関係を満たす請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。 - 前記端部領域での前記平均含有率X3及び前記平均含有率X2の比率と、前記中央部領域での前記平均含有率Y3及び前記平均含有率Y2の比率と、が[1.2(Y3/Y2)≦(X3/X2)≦10(Y3/Y2)]の関係を満たす請求項4に記載のクリーニングブレード。
- 駆動する被クリーニング部材に接触して表面をクリーニングするクリーニングブレードであって、
前記被クリーニング部材に接触する表面の、前記被クリーニング部材の駆動方向に対する直交方向の全域に、sp3結合を有する炭素を含み、且つ前記直交方向の両端における各2%の端部領域での平均インデンテーション硬さHxと、前記直交方向の中央における70%の中央部領域での平均インデンテーション硬さHyと、が[Hx>Hy]の関係を満たす炭素含有層を備え、
前記端部領域での前記平均インデンテーション硬さHxが22以上35以下であり、前記中央部領域での前記平均インデンテーション硬さHyが10以上20以下である、クリーニングブレード。 - 前記端部領域での前記平均インデンテーション硬さHxと、前記中央部領域での前記平均インデンテーション硬さHyと、が[1.1Hy≦Hx≦3.0Hy]の関係を満たす請求項6に記載のクリーニングブレード。
- 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを備えたクリーニング装置。
- 請求項8に記載のクリーニング装置を備え、画像形成装置に対して着脱されるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面をクリーニングする、請求項8に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
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