図1は実施例1に係る画像形成システム1Sの概略図である。画像形成システム1Sは、画像形成部80を有する画像形成装置1と、画像形成装置1に連結されたインサート装置(以下、インサータとする)3とによって構成される。
画像形成装置1はユーザインタフェース11を備え、ユーザはここからコピー等のプリント指示を行う。ユーザからプリント指示が行われると複数枚のシートを収容した給送部22から一枚ずつシートを給送する。記録媒体として用いられるシート(記録用シート)には、普通紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布等、サイズ及び材質の異なる多様なシート材が含まれる。
本実施例の第1給送部である給送部22は、収納庫220、ピックアップローラ221、給送ローラ対222を有する。シートは収納庫220に載置される。収納庫220は不図示のリフタモータによって昇降するリフト板およびシート面センサ226を有し、最上位のシートがピックアップローラ221に接するようにリフト板の位置が制御される。収納庫残量検知センサ224は収納庫に載置されたシートの残量が少なくなったことを検知するセンサであり、リフト板に積載されたシートに向けて光を照射する光学センサを用いることができる。この場合、センサ受光部がシートによって遮光されている場合はシート残量が多く、センサ受光部が光を検知している場合はシート残量が少ないと判断することができる。
ピックアップローラ221は、収納庫220における最上位シートを給送ローラ対222に送り込む。給送ローラ対222は上ローラ及び下ローラからなるローラ対であり、上ローラが送り方向に回転し、下ローラが戻し方向に回転することで、シートを一枚ずつ分離して給送する。
収納庫220から画像形成部80に向かうシートの搬送方向において給送ローラ対222の下流には給送センサ223が配置されている。画像形成装置1は、給送センサ223を用いて、所定のタイミングで最上位シートをピックアップできたか否かを確認する。ピックアップローラ221による最上位シートのピックアップが開始されてから所定時間以上経過しても給送センサ223がONにならない(センサがシートを検知しない)場合、シートのピックアップに失敗した状態と判断されて搬送動作は停止する。また、ピックアップ開始から所定時間以上経過してもシートの後端が給送センサ223を通過せず、センサの出力がOFFにならない場合も、シートが正常に搬送されずに滞留している状態(以降「滞留ジャム」と呼ぶ)と判断されて搬送動作は停止する。給送ローラ対222を経たシートは縦パス501へと搬送される。縦パスローラ101によりパスセンサ102を経たシートは、画像形成部80が配置された水平パス502に案内され、画像形成部80によって画像を形成される。
画像形成部80は、4つのドラム801、802、803、804と中間転写ベルト805とを備えた中間転写方式の電子写真ユニットである。各ドラム801~804はドラム状の感光体であり、画像形成部80が画像形成動作を行う際は電子写真プロセスによって各ドラム801~804の表面にトナー像が形成される。即ち、回転するドラムの表面が帯電装置によって一様に帯電させられた後、露光装置がビデオ信号として伝達される画像情報に基づいて光を照射することでドラム表面に静電潜像を書き込む。この静電潜像は、現像装置から供給されるトナーによって現像され、トナー像として可視化される。ドラム801~804に担持されたトナー像は、中間転写体としての中間転写ベルト805に一次転写された後、中間転写ベルト805と二次転写ローラ806との間に形成される二次転写部においてシートに二次転写される。
水平パス502には、プレレジストレーションセンサ103、プレレジストレーションローラ104、レジストレーションローラ105、レジストレーションセンサ106が設けられている。各センサ(103、106)がシートを検知したタイミングに基づいて、各ローラ(104、105)の駆動開始タイミング及び駆動速度等が調整される。これにより、二次転写部においてシートに二次転写される画像の、シートの先端(シート搬送方向の下流端)に対するシート搬送方向の位置合わせが行われる。このような転写画像とシートの先端位置合わせでは、画像形成に同期した信号(特に、露光装置による潜像の書き込み開始に同期した信号)に基づいてレジストレーションローラ105を駆動する構成が広く知られている。
シートに転写された画像は、定着部13を通過することで定着処理を受ける。定着部13は、シートを挟持する回転体対と、ハロゲンランプ等の発熱体とを有し、シートを搬送しながらシート上の画像を加圧及び加熱する。これによりトナー粒子が溶融し、その後固着することで、シートに定着した画像が得られる。
画像が定着したシートは排出ローラ151によってインサータ3へ向けて排出される。インサータ3への受け渡しが所定のタイミングで完了したか否かは排出センサ152で確認される。所定タイミングが経過しても排出センサ152がシートの通過を検知しない場合、シートが残留している滞留ジャムと判断されて搬送動作は停止する。
以上説明した画像形成部80はシートに画像を形成する画像形成手段の一例であり、感光体からシートに直接画像を転写する直接転写方式の電子写真ユニットや、インクジェット方式の画像形成ユニット等に置き換えてもよい。また、第1給送部として、上記収納庫220を含む複数の収納庫を画像形成装置1が有する構成としてもよく、収納庫に収納されたシートを画像形成装置1に給送するオプションフィーダを画像形成装置1に連結してもよい。
(インサータ)
インサータ3は、入口ローラ301、入口センサ311、水平パス340、排出ローラ302、排出センサ312、及び排出トレイ350を有する。水平パス340は画像形成装置1の水平パス502に接続され、インサータ3の内部を画像形成システム1Sの正面から見て(つまり図1の視点で)略水平方向に延びている。水平パス340は、画像形成部80によって画像形成されたシートを搬送する、本実施例のシート搬送路である。入口ローラ301及び入口センサ311は、水平パス340のシート搬送方向(図中右から左)において水平パス340の上流側の端部に配置され、排出ローラ302及び排出センサ312は、水平パス340の下流側の端部に配置されている。排出トレイ350は、水平方向に関して画像形成装置1とは反対側の側部に配置される。
画像形成装置1で画像を形成されたシートは排出ローラ151を経てインサータ3の水平パス340の開口部へ受け渡される。画像形成装置1から排出されたシートがインサータ3へ入ったことが入口センサ311によって検知されると入口ローラ301が駆動され水平パス340へ向けて搬送される。シートが排出ローラ302を通過するとそのまま排出トレイ350へ向け排出される。排出センサ312はシートが正常に排出トレイ350へ排出されたかどうかを検知するセンサである。
ここまでは画像形成装置1によって画像形成された記録用シートを搬送するための構成について説明したが、ここからはインサータ3がインサートシートを搬送するための構成について説明する。
インサートシートとは、画像形成システム1Sが成果物として排出トレイ350に積載するシート積載物において、画像形成装置1によって画像形成された記録用シート以外に、インサータ3によって挿入されるシートを指す。インサートシートには、記録用シートが一定枚数出力される度に枚数の目印として挿入される紙や記録用シートの画像の裏写りを防ぐために挿入されるシート(一般に合紙(あいし)と呼ばれる紙)が含まれる。また、インサートシートには、中扉や、画像形成装置1で画像形成したシートの間に挟むために別刷りで用意されたページ等、画像形成装置1で画像形成された記録用シートと共に最終成果物の一部となるシートが含まれる。
インサートシートの典型例は合紙であるため、以下の説明では、インサータ3から給送されるインサートシートを、使用目的を区別せずに「合紙」として説明する。なお、記録用シートと同様に、合紙は紙以外のシート材であっても構わない。また、画像形成装置1によって画像形成された記録用シートは、通常、画像形成システム1Sが出力する成果物の本体部分となるため、以下の説明では「本文」として合紙と区別する。
インサータ3は、給送トレイに載置された合紙を、画像形成装置1によって画像形成されたシートが搬送される水平パス340へ向けて給送する合紙給送部3Aを備えている。本実施例では複数の(図示した例では2つの)給送トレイが設けられている。画像形成装置1の給送部22を本実施例の第1給送部とするとき、合紙給送部3Aは本実施例の第2給送部である。
合紙給送部3Aは、第1給送トレイ320、第1給送ローラ303、第1分離ローラ304、第1搬送パス330、第1給送センサ、第1パスセンサ314及びレジストレーションローラ305を備えている。第1給送トレイ320は本実施例の第1積載部であり、第1給送ローラ303は本実施例の第1給送手段である。
第1給送ローラ303は第1給送トレイ320に載置された合紙の最上位シートに当接して回転し、合紙を給送する。第1分離ローラ304はパッド状の分離部材に当接する搬送ローラであり、第1給送ローラ303から受け取った合紙を1枚ずつ分離した状態で第1搬送パス330に搬送する。第1給送トレイ320から合紙が給送されたことは第1給送ローラ303の付近に配置された第1給送センサによって検知される。第1搬送パス330は、シート搬送方向の下流端において、画像形成装置1から受け取った記録用シートが搬送される水平パス340に合流している。
第1搬送パス330に送り込まれた合紙は、第1搬送パス330に配置されたレジストレーションローラ305に突き当てられた状態で待機する(これを合流待機と呼ぶ)。停止状態のレジストレーションローラ305に先端が突き当てられて合紙が撓む(ループを形成する)ことで、第1給送トレイ320に合紙がセットされた際の傾きや、給送動作の途中で生じた合紙の斜行が補正される。なお、第1搬送パス330に配置された第1パスセンサ314によって合紙の先端が検知された後、合紙がレジストレーションローラ305に突き当たって所定の大きさのループを形成するように予め設定されたタイミングで分離ローラ304の駆動が停止される。その後、画像形成装置1からインサータ3が受け取るタイミング信号に基づいてレジストレーションローラ305及び分離ローラ304の駆動が開始されることで、合紙は第1搬送パス330と水平パス340の合流部を経て水平パス340に引き込まれる。そして、合紙は排出ローラ302によってインサータ3の外部に排出され、画像形成装置1によって画像形成されたシートと共に排出トレイ350に積載される。
また、合紙給送部3Aは、第2給送トレイ321、第2給送ローラ306、第2分離ローラ307、第2搬送パス331、第2給送センサ、及び第2パスセンサ316を備えている。第2給送トレイ321は本実施例の第2積載部であり、第2給送ローラ306は本実施例の第2給送手段である。
第2給送トレイ321は第1給送トレイ320の上方に設けられている。第2給送ローラ306は第2給送トレイ321に載置された合紙の最上位シートに当接して回転し、合紙を給送する。第2分離ローラ307はパッド状の分離部材に当接した搬送ローラであり、第2給送ローラ306から受け取った合紙を1枚ずつ分離された状態で第2搬送パス331に搬送する。第2給送トレイ321から合紙が給送されたことは、第2給送ローラ306の付近に配置された第2給送センサによって検知される。第2搬送パス331は、シート搬送方向の下流端において、第1搬送パス330に連通している。
第2給送トレイ321から給送されて第1搬送パス330に送りこまれた合紙の搬送動作は、第1給送トレイ320から給送される合紙の場合と同様である。即ち、合紙がレジストレーションローラ305に突き当てられて合流待機させられた後、画像形成装置1からインサータ3が受け取るタイミング信号に基づいて搬送が再開され、合紙は水平パス340に搬入される。
なお、本実施例では、画像形成システム1Sの最終成果物がインサータ3の排出トレイ350に積載されるものとして説明する。しかしながら、画像形成システム1Sは、インサータ3以外に、画像形成装置1によって画像形成されたシートに綴じ処理や製本処理等の処理を施すシート処理装置や、大量の成果物を積載可能なスタッカーを備えたものであってもよい。このような場合、インサータ3から排出されるシートがインサータ3以外のユニットに設けられた排出部に排出されることがある。また、画像形成装置1とインサータ3との間に中継ユニットが配置され、画像形成装置1によって画像形成されたシートを中継ユニットを介してインサータ3が受け取ることがあり得る。従って、本実施例は、インサータ3が画像形成装置1と直接連結されているか否かに関わらず適用可能である。
図2は本実施例に係る画像形成システム1S全体の制御をつかさどるコントローラの構成を表すブロック図である。本実施例に係る画像形成システム1Sのコントローラは、画像形成装置1に搭載されたプリンタ制御部900と、インサータ3に搭載されたインサータ制御部700とを有する。
プリンタ制御部900は、CPU(中央処理装置)901、ROM(読み取り専用メモリ)902、RAM(ランダムアクセスメモリ)903を内蔵している。プログラムの実行手段であるCPU901は、ROM902に格納されている制御プログラムを読み出して実行し、画像信号制御部907及び操作表示装置制御部906と協働して、画像形成装置1を総括的に制御する。
RAM903は制御データを一時的に保持したり、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。画像信号制御部907は、外部のコンピュータ905から外部I/F904を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換して画像形成部80に出力する。
操作表示装置制御部906は図1に記載のユーザインタフェース11を制御し、プリンタ制御部900との間で情報のやり取りを行う。ユーザインタフェース11は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー及びディスプレイのタッチパネル機能部等の入力装置、液晶ディスプレイなど設定状態を示す情報を表示するための表示装置などを有している。またユーザインタフェース11は、各キーの操作に対応するキー信号をプリンタ制御部900に出力するとともに、プリンタ制御部900からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
次に図1と図2を用いて画像形成装置1の主なシート搬送駆動系を説明する。給送部22から縦パス501までの駆動源として、ピックアップローラ221を駆動する給送モータ201、給送ローラ対222及び縦パスローラ101を駆動する縦パスモータ920が設けられている。水平パス502から二次転写部までの駆動源として、プレレジストレーションローラ104及びレジストレーションローラ105を駆動するレジストレーションモータ921が設けられている。二次転写部から排出部までの駆動源として、ドラムモータ922、定着モータ923、及び排出モータ924が設けられている。ドラムモータ922は、画像形成部80のドラム801~804、中間転写ベルト805、及び二次転写ローラ806を駆動する。定着モータ923は定着部13を駆動する。排出モータ924は、排出ローラ151を駆動する。
その他、画像形成装置1は、シートの搬送状態を検知するためのセンサとして、搬送パス上の各所に設けられたパスセンサ(102、103、106、134、152、223)を有している。このうち、定着前のパスセンサ134(図1参照)は、二次転写部と定着部13の間(特に、定着部の直前位置)でシートを検知するセンサである。プリンタ制御部900は、これらのセンサから入力信号を受け取ることにより、シートが予定されたスケジュール通りに搬送されているか否か(ジャムが発生していないか)を監視する。
次に、図3を用いてインサータ制御部700について説明する。インサータ制御部700は、CPU701、ROM702、RAM703を内蔵している。CPU701は、ROM702に格納されている制御プログラムを読み出して実行することによりインサータ3を制御する。RAM703は制御データを一時的に保持したり、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。また、インサータ制御部700はプリンタ制御部900と双方向に通信可能であり、プリンタ制御部900から動作指示を受け取ったり、インサータ3の動作状態に関する通知をプリンタ制御部900に送ったりすることができる。
互いに協働するインサータ制御部700及びプリンタ制御部900は、本実施例の画像形成システム1Sを制御する制御手段である。各制御部のCPU701、901が実行する制御プログラムが記録されたROM702、902は、画像形成システムを制御するための制御プログラムを記憶する非一過性の記憶媒体の例である。
次に図1と図3を用いてインサータ3の主なシート搬送駆動系について説明する。画像形成装置1から来るシートを受け取り排出トレイ350へ向け搬送する駆動源として、入口ローラ301及び排出ローラ302を駆動する水平パス搬送モータ711が設けられている。第1給送トレイ320から合紙の給送を行って第1搬送パス330上で斜行補正を行うまでの駆動源として、第1給送ローラ303と第1分離ローラ304を駆動する第1給送モータ713が設けられている。第1給送トレイ320に設けられた昇降板を昇降させて、トレイ上の合紙の最上位シートを第1給送ローラ303に当接させるための駆動源として、第1リフトモータ714が設けられている。
また、第2給送ローラ306及び第2分離ローラ307を駆動する駆動源として第2給送モータ715が設けられている。第2給送トレイ321に設けられた昇降板を昇降させて、トレイ上の合紙の最上位シートを第2給送ローラ306に当接させるための駆動源として、第2リフトモータ716が設けられている。第1給送トレイ320及び第2給送トレイ321から給送された合紙の斜行を取り除いた後、画像形成装置1からの合流部へ搬送するまでの駆動源として、レジストレーションローラ305を駆動するレジストレーションモータ712が設けられている。その他、インサータ制御部700は、インサータ3に設けられた上述のセンサ(311~316)に接続され、各センサの検知信号に基づいてインサータ3におけるシートの搬送状況を判断する。
また、インサータ3には、インサータが備える複数の積載部におけるシートの残量に関する情報を検知する検知手段として、第1残量検知部721及び第2残量検知部722が設けられている。第1残量検知部721は、第1給送トレイ320における合紙残量を取得する合紙残量取得部721aと、第1給送トレイ320のトレイ上にある合紙を検知する合紙検知センサ721bと、を含む。また、第2残量検知部722は、第2給送トレイ321における合紙残量の推定値を取得する合紙残量取得部722aと、第2給送トレイ321のトレイ上にある合紙を検知する合紙検知センサ722bと、を含む。合紙残量取得部721a、722aは本実施例の残量取得部(第1の残量取得部、第2の残量取得部)であり、合紙検知センサ721b、722bは本実施例の有無検知部(第1の有無検知部、第2の有無検知部)である。
合紙検知センサ721b、722bは、合紙の存在を光学的に検知するセンサを用いることができる。例えば、合紙検知センサ721b、722bとして、トレイの積載面の上方に向けて検知光を照射する発光部と、物体からの反射光を検知する受光部とを有し、トレイ上の合紙の有無によって受光部の出力が変化するフォトリフレクタを用いることができる。
また、合紙残量取得部721a、722aは、それぞれ、第1リフトモータ714及び第2リフトモータ716の駆動量から第1給送トレイ320及び第2給送トレイ321における合紙残量の推定値を取得することが可能である。例えば、第1給送トレイ320の昇降板が待機位置(最下位置)にいる状態から第1リフトモータ714が昇降板を上昇させるために回転した回転量の累積値から、現在の昇降板の高さを推定することができる。合紙検知センサ721b、722bによって少なくとも1枚の合紙が存在することが分かっているとき、第1給送ローラ303の高さと現在の昇降板の高さとの差は、合紙の積載高さに対応する。従って、合紙残量取得部721a、722aは、例えば第1リフトモータ714及び第2リフトモータ716に設けられたロータリーエンコーダの出力信号からモータの回転量の累積値を求めることで、現在のシート残量の推定値を算出することができる。このような合紙残量取得部721a、722aの機能は、CPU701が実行するプログラムの一部として実装可能である。
ここで例示した第1残量検知部721及び第2残量検知部722は検知手段の一例であり、他の検知手法で合紙の有無に関する情報を検知する検知手段を設けてもよい。例えば、給送トレイの上方に透過式の光学センサを配置し、昇降板に光学センサを遮光する遮光部を設けることで、合紙残量が少なくなって昇降板が所定高さまで上昇すると光学センサの検知信号が変化するようにしてもよい。
図4(a、b)は本実施例の画像形成システムにおける合紙に関する設定画面の例である。本設定画面は入力装置の一例であるユーザインタフェース11上に表示される。ユーザは、本設定画面に対して操作を行うことで、合紙の属性(サイズ、種類等)を表すシート情報を画像形成システムに入力可能である。なお、図4(a、b)では下段トレイである第1給送トレイ320にセットされた合紙の設定画面を図示しているが、上段トレイである第2給送トレイ321についても同様の設定画面を介して合紙の情報を入力可能である。
図4(a)に示す用紙種類の設定画面では、第1給送トレイ320から給送される合紙の種類を選択することができる。図示した画面では、選択リスト110の「普通紙 1(80~90g/m2)」が選択された状態となっている。この状態でユーザが「次へ」ボタン111を押すと、図4(b)に示す用紙サイズの設定画面に遷移する。用紙サイズの設定画面では、第1給送トレイ320から給送される合紙のサイズを選択することができる。図示した画面では、「A4」サイズを指定するボタン112が選択された状態となっている。この状態でユーザが「OK」ボタン115を押すと、第1給送トレイ320の合紙が「普通紙 1」及び「A4」であることが画像形成システムに設定され、必要な情報がプリンタ制御部900の記憶装置に記憶される。
また、用紙サイズの設定画面では、合紙の給送元となるトレイを自動で切り替えるインサータ自動切替機能(以下、単に自動切替と呼ぶ)のON/OFFをボタン113および114で選択することができる。インサータの自動切替をONにした場合、印刷ジョブの実行中に、合紙の給送元として当初に選択されたトレイとは別のトレイから合紙を給送することが許可された状態(第1の状態)となる。インサータの自動切替をOFFにした場合、このような給送元のトレイの切替が許可されない状態(第2の状態)となる。インサータによるトレイの自動切替については後述する。
図5は本実施例のプリンタ制御部900が実行する制御の内容を表すフローチャートである。本フローは、各工程の処理内容を記述した制御プログラムをCPU901が読み出して実行することで実施される。
プリンタ制御部900は、印刷ジョブを受信すると(S1)、印刷開始待ちのページがあるか、確認する(S2)。印刷ジョブ(又は画像形成ジョブ)とは、記録用のシートに対して画像形成部80によって画像を形成する一連のタスクである。印刷ジョブの受信とは、外部のコンピュータから印刷すべき画像の情報を及び印刷開始の指令をプリンタ制御部900が受信したことや、ユーザインタフェースを介してユーザが印刷開始を指示したことを表す。
印刷開始待ちのページがある場合、印刷時間間隔を不図示のタイマにて確認し、所定の印刷間隔になるまで待機し(S3)、各ページに対する印刷ページシーケンスを開始する(S4)。なお、印刷ページシーケンスの詳細は後述するが、本フローチャートと並行に処理される。つまり、あるページに対する印刷ページシーケンスと、他のページに対する印刷ページシーケンスとが並行して進められる。印刷開始待ちのページがある限り、S3~S4のステップを繰り返し、S2において印刷開始待ちページが無くなったら、全ての印刷ページのシーケンスが終了したか確認し(S5)、完了したならば印刷ジョブを終了する。
図6は本実施例の画像形成装置における印刷ページシーケンス(図5のS4)の内容を表すフローチャートである。印刷ページシーケンスでは、まず、本シーケンスの処理対象である印刷ページが本文か合紙かを判断し(S41)、本文であれば本文給送ブロックS4aに進み、合紙であれば合紙給送ブロックS4bに進む。
(本文給送ブロック)
本文給送ブロックS4aでは、まず、後述の本文給送判断を行う(S4a1)。本文給送判断において「給送可」と判断された場合(S4a2)、本文給送シーケンスを開始する(S4a3)。本文給送シーケンスが完了するのを待って(S4a4)、印刷ページシーケンスを終了する。S4a2において本文給送判断の結果が「給送不可」であった場合は、本文給送シーケンスを実行できないものとして印刷ページシーケンスを終了する(S4a5)。この場合、印刷ジョブを継続できないエラーの発生がCPU901に通知され、新たなページに対する印刷ページシーケンスの停止や印刷ジョブを中断したことをユーザインタフェース11に表示する等の処置がとられる。
図7(a)に示すフローチャートは、本実施例における記録用シートの給送処理である本文給送シーケンスの内容を示したものである。本フローは、印刷ページシーケンスと並行に処理される。本文給送シーケンスでは、まず、画像形成部80(図1参照)で画像形成動作を開始し(S4a31)、所定時間待った上で(S4a32)、給送部22からシートを給送するシート給送動作を開始し、二次転写部で画像をシートに転写する(S4a33)。この所定時間は、画像形成部80で形成された画像が二次転写部に到達するタイミングと、給送部22から搬送したシートが二次転写部に到達するタイミングとが略一致するように設定された時間である。
画像形成動作の開始とは、中間転写ベルト805の回転方向において最も上流側のドラム801に対する静電潜像の書き込みが開始されることを指す。一方、給送部22によるシート給送動作の開始とは、ピックアップローラ221によって収納庫220からシートの繰り出しが開始されたことを指す。なお、本実施例では画像形成動作の開始がシートの給送動作の開始より早く設定されているが、画像形成装置の構成によってはシート給送動作の開始が画像形成動作の開始より早い(S4a31とS4a33が入れ替わる)場合もある。例えば、直接転写方式の電子写真ユニットを画像形成部80として使用し、収納庫220から転写部までの搬送距離が本実施例よりも長い構成の場合が挙げられる。つまり、「給送処理の開始」とは、同一のシートに対する画像形成動作又はシート給送動作のいずれか早い方が開始されたことを指すものとする。
また、記録用シートの第1面に画像形成した後、シートを反転させて第2面に画像形成する両面印刷の機能を備えた画像形成装置の場合、本文給送シーケンスはそれぞれのシート面に対して行われる。即ち、第1面に対する本文給送判断の結果が「給送可」である場合に第1面に対する本文給送シーケンスが実行され、これとは別に、第2面に対する本文給送判断の結果が「給送可」である場合に第2面に対する本文給送シーケンスが実行される。このような両面印刷の機能を備えた画像形成装置の場合、反転された状態の記録用シートを画像形成部80が配置された水平パス502に送り込む両面搬送部(再給紙部とも呼ばれる)は、上述の収納庫220と共に第1給送部の一部である。
二次転写部で画像の転写が開始された後、さらに、シートが二次転写部から定着部13に到着するまで、所定時間待った上で(S4a34)、定着部13で定着処理を実行し、シートの先端が排出センサ152に到達するのを待つ(S4a35)。シートの先端が排出センサ152に到達すると、インサータ3に向けてシートの排出を開始するとともに、インサータ制御部700に本文排出の開始を通知する(S4a36)。インサータ3の排出トレイ350に本文の排出が完了したことをインサータ制御部700から排出完了通知として受け取ったら、合紙給送シーケンスを終了する(S4a37)。
(合紙給送ブロック)
次に、図6に示す印刷ページシーケンスの合紙給送ブロックS4bについて説明する。以下、合紙の給送元のトレイとして、インサータ3の第1給送トレイ320が既に選択されているものとして説明する。合紙の給送元として選択されたトレイとは、例えば、印刷ジョブを投入する際にユーザインタフェースを介してユーザが明示的に選択し、或いは本文として用いられるシートのサイズ等に基づいてインサータ制御部700が自動的に選択したものを指す。
合紙給送ブロックS4bでは、まず、選択中のトレイである第1給送トレイ320が、トレイ上に合紙が無い状態か否かを判断する(S4b1)。第1給送トレイ320に合紙が無いか否かは、後述するようにインサータ制御部700がプリンタ制御部900に対してこれまでに行った通知(図10のS63、S66、S610)に基づいて判断される。選択中のトレイが合紙無しの状態ではないと判断した場合、インサータ制御部700に選択中の給送トレイを合紙の給送元として指定して合紙給送準備を通知する(S4b2)。後述するように、合紙給送準備の通知を受け取ったインサータ制御部700は、合紙を挿入する準備として、レジストレーションローラ305まで合紙を給送して合流待機させるための処理を行う。合紙給送準備を通知した後、合紙給送シーケンスを開始し(S4b3)、合紙給送シーケンス完了を待って(S4b4)、印刷ページシーケンスを終了する。
S4b1において、選択中のトレイに合紙が無いと判断した場合、自動切替のブロックS4cの処理を実行する。まず、選択中のトレイ以外のトレイで合紙が積載されているものが有るか否か、及び、選択中のトレイに対してシート情報が所定の一致条件を満たす給送トレイがあるか否かを調べる(S4c1)。選択中のトレイ以外のトレイ(即ち、ここでは第2給送トレイ321)に合紙が有るか無いかは、第2残量検知部722の合紙検知センサ722bの検知結果に基づいて判断される。所定の一致条件とは、合紙「有」と判断された他のトレイの合紙が、選択中のトレイの合紙の代わりに使用可能か否かを判断するための条件であり、本実施例では、合紙の種類及びサイズの両方が一致することが一致条件である。これに代えて、例えばサイズの一致のみを一致条件としてもよい。
第2給送トレイ321に少なくとも1枚の合紙が有り、かつ、図4(a、b)に示す設定画面で設定された第2給送トレイのシートの種類及びサイズが第1給送トレイ320と一致するとき、第2給送トレイから合紙を給送可能と判断される(S4c2/Y)。即ち、第1積載部に積載されたシートに関する第1のシート情報と第2積載部に積載されたシートに関する第2のシート情報とが所定の一致条件を満たす場合のみ、第1積載部に代えて第2積載部をインサートシートの給送元として使用することが許可される。この場合、選択中のトレイを第2給送トレイ321に切り替える処理(S4c3)を行った後、切替先の給送トレイから合紙を給送させるために、インサータ制御部700に合紙給送準備を通知する(S4b5)。
一方、S4c2において選択中のトレイの代わりに使用可能な他のトレイが見つからなかった場合(S4c2/N)、合紙給送シーケンスをキャンセルし(S4b6)、給送不可で印刷ページシーケンスを終了する。この場合も、印刷ジョブを継続できないエラーの発生がCPU901に通知される。
また、以上の説明は図4(b)に示す設定画面において自動切替がONに設定されている場合のものであり、自動切替がOFFに設定されている場合は自動切替のブロックS4cが無効化される。即ち、自動切替がOFFの状態で選択中のトレイに合紙が無いと判定すると(S4b1/Y)、自動切替のブロックS4cをスキップしてS4b6に移行し、合紙給送シーケンスをキャンセルして(S4b6)、給送不可で印刷ページシーケンスを終了する。
図7(b)に示すフローチャートは合紙給送シーケンス(図6のS4b3)の内容を示したものである。本フローは、印刷ページシーケンスと並行に処理される。合紙給送シーケンスでは、まず、本文に対する給送シーケンスの開始から、画像形成装置から排出されるまでの所要時間に相当する時間の経過を待つ(S4b31)。この所要時間は、今回の合紙に代えて本文の給送を行うとした場合に、図7(a)の本文給送シーケンスにおいてS4a31で画像形成が開始されてからS4a35で排出センサ152にシート先端が到達するまでの時間に等しい。所要時間が経過すると、インサータ制御部700に合紙引き込み開始を通知する(S4b32)。すると、インサータ3のレジストレーションローラ305において合流待機していた合紙が、本文と本文との間の適切なタイミングで水平パス340に引き込まれる。インサータ3の排出トレイ350に合紙排出が完了したことをインサータ制御部700から排出完了通知として受け取ったら、本文給送シーケンスを終了する(S4b33)。
(本文給送判断)
図8は、印刷ページシーケンスの本文給送判断(図6のS4a1)の内容を示すフローチャートである。本文給送判断は、本文給送シーケンスを実行可能か否か(つまり、画像形成装置1において本文の給送処理を開始してよいか否か)を判断するための処理である。
本文給送判断では、まず、対象とする本文(以下、「今回の本文」とする)の直前紙が合紙か否かを判断する(S4a11)。「直前紙」とは、インサータ3の水平パス340を通過する順序において、今回の本文の直前に先行する本文又は合紙を指し、水平パス340において、直前紙に対して今回の本文が後続する位置関係となる。直前紙が合紙でなければ(つまり直前紙が本文のとき)、直前紙の基準タイミングから本文の連続印刷用の待ち時間(Tnorm)が経過するまで待つ(S4a12)。直前紙が本文である場合の基準タイミングとは、前回の本文に対する画像形成の開始時点(つまり、本文給送シーケンスの開始時点)を指す。また、連続印刷用の待ち時間とは、画像形成装置1が合紙の挿入を行わずに最小限の時間間隔で複数枚のシートに画像形成を行う場合における、前回の本文給送シーケンスの開始から次回の本文給送シーケンスの開始までの待ち時間である。連続印刷用の待ち時間が経過したとき、画像形成装置の収納庫220にシートが有るか否かを確認し(S4a13)、シートがあれば「給送可」と判断(S4a14)し、シートが無い場合は「給送不可」と判断する(S4a22)。
S4a11において、直前紙が合紙であれば、インサータ3において実行中の印刷ジョブで現在使用している給送トレイの合紙残量が多いか確認する(S4a15)。S4a15において合紙の残量が多い場合、前回の本文に対する画像形成動作の開始から所定の時間(Tnorm)が経過するまで待つ(S4a16)。所定の時間が経過すると本文の収納庫220に給送可能なシートが有るか否か確認し(S4a13)、シートが有るときは「給送可」と判断し(S4a14)、シートが無い場合は「給送不可」と判断する(S4a22)。所定の時間(Tnorm)については後述する。
「合紙の残量が多い場合」とは、合紙残量取得部721a、722aによって取得した合紙残量の推定値が、必要な合紙の枚数や推定誤差を考慮しても、今回の本文の直前紙となる合紙を給送する際に合紙の不足が生じないと信頼できる量であることを表す。例えば、今回の本文がインサータ3に到達するまでに3枚の合紙が必要であり、合紙残量の推定値に5枚程度の誤差が生じ得ることが分かっているとする。この場合、現在の合紙残量の推定値が例えば20枚であれば「合紙の残量が多い」と言えるが、現在の合紙残量の推定値が7枚であるときは合紙の残量が多いとは言えない。
ここで、S4a15で合紙の残量が多いと判断された場合であっても、今回の本文が画像形成装置において画像形成されてからインサータ3に受け渡され、水平パス340の合流部に到達するまでの間に、合紙の残量は変動する可能性がある。言い換えると、S4a15の時点では、合紙の中でも特に今回の本文の直前紙となる合紙の存在又は不存在が確認されたわけではない。このように、今回の本文の直前紙となる合紙の存在が確定するのを待たずに今回の本文の給送を許可することを、「紙有無見切り動作」とする。本実施例における第1モードとは、紙有無見切り動作によって本文給送シーケンスを開始する状態を指す。
S4a15において合紙の残量が多いと判断されなかった場合(つまり、選択中のトレイに対する残量検知部721又は722の検知結果が「少」又は「無」の場合)、自動切替のブロックS4c’の処理が実行される。自動切替のブロックS4c’では、印刷ページシーケンスの合紙給送ブロックS4bにおける自動切替のブロックS4c(図6)と同じ基準で、合紙の給送元として現在選択されているトレイの代わりに使用可能な他のトレイが有るか否かを判断する。即ち、選択中のトレイ以外のトレイで合紙が積載されているトレイが有るか否か、及び、選択中のトレイに対してシート情報が所定の一致条件を満たす給送トレイがあるか否かを調べる(S4c1)。2つの条件を共に満たす給送トレイがある場合、選択中のトレイの代わりに使用可能な他のトレイが有ると判断し(S4c2/Y)、2つの条件を共に満たす給送トレイが無い場合はそのような他のトレイは無いと判断する(S4c2/N)。
なお、本シーケンスはあくまで本文給送シーケンスの実行可否を判断するものであるため、自動切替のブロックS4c’で使用可能な他のトレイがあると判断した場合でも、直前紙である合紙で給送元のトレイが切替わるか否かは別の処理工程で決定される。具体的には、印刷ページシーケンス(図6)におけるS4c3、又は、後述の合紙給送準備処理(図10(a))におけるS69である。前者はプリンタ制御部900がトレイの切替を決定してインサータ制御部700に通知する場合であり、後者はインサータ制御部700がトレイの切替を決定する場合である。
S4c2において、選択中のトレイの代わりに使用可能な他のトレイが無いと判断した場合(S4c2/N)について先に説明する。この場合、S4a20へと進んで、直前紙である合紙の有無が確定するまで、今回の本文に対する給送可否の判断が保留される。
ここで、インサータの給送トレイにおける合紙有無の確定について説明する。インサータ3の各給送トレイにおける各時点の合紙残量は、上述の第1残量検知部721及び第2残量検知部722によって取得可能である。しかしながら、合紙残量取得部721a、722aによって取得される残量の精度には限界があり、残り枚数を1枚単位で検知することは難しい。そのため、本文給送判断を行う時点で、今回の本文の直前紙となる合紙が選択中のトレイに存在するか否かを正確に判断することは難しい。
加えて、第1残量検知部721及び第2残量検知部722の合紙検知センサ721b、722bは、トレイ上に静置されている合紙だけでなく、給送途中の合紙(特に、合流待機中の合紙)も検知してしまう。従って、給送トレイから前の合紙を給送した後に次の合紙を給送しようとしたとき、次の合紙がトレイ上に存在するか否かを確定するには、前の合紙が合流待機を解除されて水平パス340に引き込まれるのを待つ必要がある。
このように、選択中のトレイから前の合紙の給送が開始されてから引き込みが行われるまでは、このトレイにおける次の合紙の有無が確定しない合紙有無「不定」となる。前の合紙が水平パス340に引き込まれると、合紙検知センサ721b、722bの検知結果に応じて、次の合紙が有ることが確定した合紙「有」又は次の合紙が無いことが確定した合紙「無」の状態となる。以下、現時点でトレイ上に合紙が存在するか否かの状態とは区別して、今回の本文の直前紙となる合紙がトレイ上に存在するか否かを表す3つの状態を、合紙「有」、合紙「無」、合紙有無「不定」とする。
図8のフローチャートに戻って、S4a21においてインサータ制御部700からの通知によって合紙「有」が確定すると(S4a21/Y)、画像形成装置の収納庫220に給送可能なシートが有るか否かを確認する(S4a13)。収納庫220にシートが有るときは「給送可」と判断し(S4a14)、シートが無い場合は「給送不可」と判断する(S4a22)。
一方、S4a21において合紙「無」が確定したときは、今回の本文を「給送不可」と判断する。これは、仮に今回の本文を給送したとしても、今回の本文の直前に合紙を挿入することができないため、印刷ジョブが中断されて処理中の本文及び合紙が装置内に残留するためである。もし、合紙の挿入を行わずに強引に本文を排出したとしても、成果物のページ順がジョブの指定する順序と異なったものとなってしまう。
このように、直前紙である合紙の有無が確定した後に本文給送シーケンスの可否を判断することを、「紙有無確定動作」と呼ぶ。本実施例における第2モードとは、紙有無確定動作によって本文給送シーケンスを開始する状態を指す。紙有無確定動作では、直前紙が合紙である本文に対する本文給送シーケンスの開始が、直前紙の有無が確定するまで遅延するため、紙有無見切り動作に比べて生産性が劣る。その一方で、紙有無確定動作では直前紙となる合紙の存在を確認してから本文給送シーケンスが開始されるため、シーケンス開始後に給送トレイから合紙を抜き取ったりしない限りは、合紙の枯渇によって印刷ジョブが中断することがない。
ところで、本実施例のインサータ3は複数の給送トレイ(320、321)を備えており、合紙の給送元として現在選択されているトレイの合紙の残量が少ないか又は無い場合であっても、他のトレイには使用可能な合紙が存在している可能性がある。そこで、本実施例は、合紙の給送元として使用可能な他のトレイが見つかった場合に(S4c2/Y)、紙有無見切り動作で本文を給送しながら印刷ジョブを継続できるように構成されている。
具体的には、S4a17で切替先のトレイの合紙残量が多いと判断した場合、直前紙となる合紙の有無が確定するのを待つことなく、直前紙である合紙の基準タイミングから所定の時間が経過した時点で本文の給送可否を判断する。(S4a18、S4a16、S4a19)。直前紙が合紙である場合の基準タイミングとは、直前紙を本文に置き換えたとした場合に直前紙に対する画像形成が開始される時点を指す。直前紙のさらに直前紙が本文である場合、直前紙が合紙である場合の基準タイミングは、前回の本文の基準タイミングから連続印刷用の待ち時間(Tnorm)が経過した時点である。所定の時間(Tnorm、Tnorm+Tdiff)については後述する。
S4a17で切替先のトレイの合紙残量が多いと判断しなかった場合は、自動切替のブロックS4c’において可能な他のトレイが見つからなかった場合と同様に、紙有無確定動作に移行する。また、図4(b)の設定画面で自動切替がOFFに設定されている場合、S4a15において合紙の残量が少ないときは、自動切替のブロックS4c’をスキップしてS4a20に進み、紙有無確定動作に移行する。
このように、本実施例では、インサータ3から合紙を給送して本文の間に挿入する印刷ジョブを実行する際に、紙有無見切り動作を実行可能である。そして、合紙の給送元として選択されている給送トレイとは別の給送トレイにシートが有ることが分かっているとき、紙有無見切り動作を継続することが可能である。言い換えると、本実施例の画像形成システムは、ジョブを実行する際に、第1モードを実行可能に構成されている。第1モードでは、ある記録用シートの直前に挿入可能なインサートシートが、複数の積載部の中でインサートシートの給送元として選択された積載部に有るか否かを検知手段が検知する前に、当該記録用シートの給送処理を開始する。そして、複数の積載部の中で第1積載部がインサートシートの給送元として選択された場合において、第1積載部とは別の第2積載部にインサートシートが積載されていることを検知手段が検知した場合、第1モードで記録用シートの給送処理を開始する。
この構成によれば、インサートシートの給送元として選択された積載部のシート残量が少ない場合等、従来では第1モードの給送処理が行えなかった場合でも、第1モードで給送処理を実行することが可能となる。その際、インサートシートの給送元として選択された積載部とは別の積載部にインサートシートが有ることを確認することで、インサートシートの枯渇によるジョブの中断が発生する可能性が低減される。つまり、常に第1モードで給送処理を行い、給送処理の開始後に別の積載部にインサートシートが有るか否かを確認する構成では、別の積載部にシートが無かった場合にジョブが中断してしまう。本実施例の構成によれば、そのようなジョブの中断を回避しつつ、可能な限り第1モードで給送処理を実行することで画像形成システムの生産性を向上可能である。
(トレイの切替を考慮した紙間制御)
次に、インサータ3において給送トレイの自動切替が行われる際の本文及び合紙の搬送間隔(以下、「紙間」とする)の制御について説明する。以下の説明における紙間とは、具体的には、本文の搬送経路と合紙の搬送経路が合流する水平パス340の合流部P1(図1)をシートの先端が通過する時間間隔を指す。合流部P1は本実施例の所定位置である。
図9(a、b)は、合流部における本文及び合紙の紙間を表す概念図である。図9(a)は参考例の紙間を表し、図9(b)は本実施例の紙間を表している。ここでは、例として合紙p1、本文p2、合紙p3、本文p4を順に搬送する場合を示しており、合紙p1、p3は第1給送トレイ320から給送されるものとする。また、本文p2の本文給送判断が行われた時点では第1給送トレイ320の合紙残量が多いと判断される状態であり、合紙p1が水平パス340に引き込まれると、合紙残量が少ないと判断される状態となるものとする。
本文p2の給送を開始する際は合紙の残量がまだ多いことから、本文p2は紙有無見切り動作で給送される(図8:S4a15/Y)。紙有無見切り動作において通常用いられる紙間を通常の紙間Tnormとする。通常の紙間Tnormの値は、インサータ3において給送トレイの自動切替が行われないことが分かっている場合に、合流部において合紙及び本文が衝突することなく、かつ、可能な限り高い生産性を達成できるように設定される。つまり、本文p2の本文給送シーケンスを開始する時点では合紙の残量が多く、インサータ3におけるトレイの自動切替が発生しないことは明確なので、生産性を優先する通常の紙間Tnormが使用される。
なお、本実施例における通常の紙間Tnormは、本文同士の連続印刷用の待ち時間(図8:S4a12)と同じである。言い換えると、合紙の給送元として選択中のトレイに合紙が十分にあるとき、合紙及び本文が通過する順序とは無関係に、水平パス340の合流部P1を一定間隔でシートが通過する。
一方、合紙p1が給送されると、第1給送トレイ320の合紙残量が少ない状態となり、インサータ3においてトレイの自動切替が行われる可能性が生じる。つまり、図9(a)に示す例において本文p4の給送判断を行う時点では、合紙p1と合紙p3の間でトレイの切替が行われる可能性が残っている。給送トレイの切替を行わない場合の合紙p1と合紙p3との紙間をTintvlとするとき、合紙p1と合紙p3の間で切替が行われると、Tintvlより長い時間Tchgが必要となる場合がある。Tintvlは、トレイの切替が行われない場合における合紙同士の紙間であり、印刷ジョブで指定される合紙の挿入順序(つまり、間に入る本文の枚数)に依存する。
もし、合紙p1と合紙p3の間でトレイの切替が起こらなければ、比較例のように通常の紙間Tnormで本文p4の紙有無見切り動作を行っても問題は生じない。しかし、本文p4の給送シーケンスを開始した後に、合紙p1と合紙p3の間でトレイの切替が行われると、本文p4がインサータに到達するまでに合紙p3の給送が間に合わない(つまり、合紙p3に対して本文p4が早着した状態となる)可能性がある。このような場合、シート同士の干渉(衝突や重送)による不都合を避けるために、ジャムが発生したとして印刷ジョブを中断することになる。従って、選択中のトレイの合紙残量が少なく、今回給送しようとする本文がインサータ3に到達するまでに給送トレイの切替が行われる可能性があるときは、切替に必要な時間Tchgを確保しつつ本文の給送シーケンスを開始する必要がある。
ここで、本実施例の本文給送判断では、図8に示すように、選択中のトレイから切替可能な他のトレイがあることに基づいて紙有無見切り動作を行うとき(S4a17/Y)、TchgとTintvlとの比較を行う(S4a18)。TchgがTintvlより大きいとき(S4a18/Y)、トレイの切替に必要な紙間を確保する処理が行われる。つまり、ジョブが指定するページ順に基づいて取得される合紙同士の搬送間隔(Tintvl)が、所定長さ(Tchg)未満である場合に、トレイの切替に必要な紙間を確保する処理が行われる。
具体的には、TchgからTintvlを減算した時間Tdiffを、紙有無見切り動作における通常の紙間Tnormに加算する(図8のS4a19)。図9(b)に示すように、合紙p3に対する本文p4の紙間は、Tnorm+(Tchg-Tintvl)で算出される。言い換えると、合紙の給送元となるトレイの切替が行われる可能性があるとき、今回の本文に対する給送シーケンスの開始を、トレイの切替が行われないことが分かっている場合に比べてTdiffだけ遅らせる。これにより、合紙p1と合紙p3の間でトレイの切替が行われたとしても、合紙p3と本文p4が干渉してジャムが発生することが防がれる。
図9(c)に示すように、今回の本文p4の前に複数枚の合紙が連続して挿入されるページ順序も考えられる。この場合、本文p4の直前の合紙p3と、その前の合紙p2との紙間Tintvlが短くなる結果、TintvlとTchgとの差であるTdiffは大きくなる。従って、この場合には、図9(b)に示す例よりさらに本文p4の給送シーケンスの開始を遅らせる。
一方、S4a18においてTchgがTintvl以下のとき(つまり、合紙同士の紙間が所定長さ以上のとき)、今回の本文の直前紙となる合紙について給送トレイの自動切替が行われたとしてもジャムは発生しない。例えば、図9(d)に示すように合紙同士の間に複数枚の本文が入るページ順序のとき、Tintvl≧Tchgの関係となりやすい。この場合、本文p5を合紙p4に対して通常の紙間Tnormで給送し、合紙p1と合紙p4の間で給送トレイの自動切替が行われたとしても、合紙p4の給送が間に合う。従って、Tintvl≧Tchgの関係が成り立つ場合は今回の本文の給送シーケンスの開始を遅らせる必要はなく、直前紙となる合紙に対して紙有無見切り動作における通常の紙間Tnormを適用する(S4a16)。
給送トレイの切替が行われる場合に必要な時間Tchgが、切替を行わない場合の紙間Tintvlより長くなる理由としては次のものが挙げられる。まず、現在使用されていない給送トレイから合紙を給送するためには、準備動作の期間が必要である。準備動作には、例えばリフトモータ714、716(図3)によって給送トレイの昇降板を上昇させて最上位の合紙を給送ローラ303、306に当接させる動作が含まれる。現在選択中のトレイが紙無であることが確定した後に切替先の給送トレイの準備動作を開始すると、準備動作が完了するまでは合紙の給送を開始できないため、Tchgは長くなる。切替先の給送トレイから水平パス340の合流部までの合紙の搬送経路長が、選択中のトレイから合流部までの搬送経路長よりも長い場合、Tchgはさらに長くなる。
また、本実施例では各給送トレイの給送ローラ(303、306)をそれぞれ駆動する2つの駆動源(給送モータ713、715)が設けられているものとして説明したが、複数の給送ローラの駆動源を共通化することが可能である。例えば、第2給送ローラ306を第1給送モータ713に駆動連結して第2給送モータ715を省略すると共に、第1給送モータ713から各給送ローラ303、306までの駆動伝達経路にクラッチ機構を配置して任意の給送ローラを駆動可能とする。このような構成において、一方の給送ローラが駆動源に連結されている状態から、他方の給送ローラが駆動源に連結されている状態に切替えるための待ち時間が発生し、Tchgは長くなる。
このように、本実施例では、合紙の給送元のトレイを切替可能な構成において、給送元トレイの合紙残量に応じて、今回の本文に対する給送シーケンスの開始を遅らせている。つまり、トレイ上に第1の量の合紙が積載された状態では所定のタイミングで今回の本文の給送シーケンスを開始し、トレイ上に第1の量より少ない第2の量の合紙が積載された状態では今回の本文の給送シーケンスの開始を所定のタイミングより遅らせる。「所定のタイミング」とは、トレイの切替を行わずに生産性を優先して本文の給送処理を実行するためのタイミングであり、本実施例の場合、合流部P1を合紙及び本文が一定間隔(Tnorm)で通過するように定められている。
今回の本文に対する給送シーケンスの開始を遅らせることで、今回の本文の直前紙である合紙のさらに前の合紙と今回の本文との紙間(つまり、図9(b)の合紙p1~本文p4、図9(c)の合紙p2~本文p4)を確保している。言い換えると、今回の記録用シートに先行するインサートシートの前に第2給送部から給送されるインサートシートがシート搬送路の所定位置を通過してから、今回の記録用シートが所定位置を通過するまでの間隔を確保する。これにより、今回の本文に対する給送シーケンスの開始後に合紙の給送元のトレイが切替わることで直前紙である合紙の給送が遅れたとしても、今回の本文の搬送を停止することなく、印刷ジョブを続行することが可能となる。
なお、今回の本文の直前紙である合紙のさらに前の合紙と、今回の本文との搬送間隔が確保されていれば、選択中のトレイの合紙残量が少なくなってからトレイの切替が行われるまでの期間中において、直前紙である合紙の搬送タイミングは変更可能である。即ち、図9(b、c)に示すように本文p4の給送シーケンスの開始を遅らせた状態において、合紙p3とその前の合紙との間でトレイの切替を行うか否かに関わらず、合紙p3を破線で示すタイミングで搬送するようにしてもよい。その場合、例えば、合紙給送ブロック(図6)において、選択中のトレイの合紙残量が少ないときは合紙給送準備の通知(S4b2)を行う前に上述のTdiffの時間待機する処理を挿入することが考えられる。
(インサータの制御)
図10(a、b)はインサータ制御部700が実行する制御の内容を表すフローチャートである。本フローは、各工程の処理内容を記述した制御プログラムをCPU701が読み出して実行することで実施される。
図10(a)は、プリンタ制御部900から合紙給送準備を通知された際にインサータ制御部700が実行する制御の内容を表すフローである。合紙給送準備を受け取ると、インサータ制御部700はプリンタ制御部900からの通知によって指定されたトレイの合紙の有無を確認するための処理(S61、S62、S610、S611)を行う。
まず、直前の合紙が無いか(つまり、実行中の印刷ジョブにおいて初めて給送準備通知を受け取ったか)、もしくはすでに直前の合紙が水平パスに引き込まれて合紙の後端が合紙検知センサによって検知されない位置まで搬送されているか確認する(S61)。S61が偽の場合、指定された給送トレイが合紙有無「不定」であることをプリンタ制御部900に通知し(S610)、合紙の有無を確定できる状態となるまで(つまり、直前の合紙の後端が合紙検知センサの検知位置を通過するまで)待つ(S611)。S61が真の場合は残量検知部の合紙検知センサ721b、722bの検知結果によって合紙の有無を確定できるため、指定されたトレイにおける合紙の有無を判断する(S62)。合紙の存在が検知されたとき、指定された給送トレイの状態は合紙「有」確定であることをプリンタ制御部900に通知する(S63)。そして、指定された給送トレイから合紙を給送し、合紙給送完了通知をプリンタ制御部900に通知する(S64)。さらに、この合紙を合流待機させた状態で、プリンタ制御部900からの合紙引き込み開始通知を待つ(S65)。
S62において、残量検知部が合紙を検知しなかったとき、指定された給送トレイの状態は合紙「無」確定であることをプリンタ制御部900に通知する(S66)。そして、第1残量検知部721及び第2残量検知部722の検知結果から、指定された給送トレイ以外で合紙の給送元として使用可能な他のトレイがあるか否かを確認する(S67)。「合紙の給送元として使用可能な他のトレイ」の基準は、上述の自動切替のブロックS4c、S4c’(図6、図8)と同じく、少なくとも1枚の合紙が積載されており、かつ、シート情報が指定されたトレイのシート情報と所定の一致条件を満たすことである。
使用可能な他のトレイが無い場合は(S67/N)、今回の合紙の給送は行えないため、給送キャンセル要求をプリンタ制御部900に通知して(S68)処理を終了する。給送キャンセル要求を受信したプリンタ制御部900は、当該合紙以降の印刷ページシーケンスを停止して印刷ジョブを中断する。
S67において合紙の給送元として使用可能な他のトレイが見つかった場合(S67/Y)、合紙の給送元を当該給送トレイに変更(S69)してS64に進み、合紙の給送動作を行う。このように、プリンタ制御部900が指定した給送トレイに合紙が無い場合であっても、インサータ制御部700が合紙の給送元のトレイを切り替えることにより、合紙の給送をキャンセルすることなく印刷ジョブの実行を継続することが可能になる。例えば、図6に示す印刷ページシーケンスにおいて選択中のトレイが紙無か否かを判断する時点(S4b1)で、合紙有無「不定」のとき、プリンタ制御部900は選択中のトレイを指定して合紙給送準備の通知を発行する(S4b2)。この場合、合紙給送準備の通知後に選択中のトレイが合紙有無「不定」から合紙「無」確定に変化したとしても、インサータ制御部700は自律的に代替可能なトレイを探して合紙の給送を遂行する。
図10(b)は、プリンタ制御部900から図7(b)のS4b33等で示した合紙引き込み開始を通知された際にインサータ制御部700が実行する制御の内容を表すフローチャートである。
合紙引き込み開始の通知を受けると、合流待機させている合紙の搬送を再開し(S71)、合紙を水平パス340に引き込み、さらに排出ローラ302によって合紙を排出トレイ350に排出する。その後、排出センサ312によって合紙が排出トレイ350に排出されたことを確認したら、プリンタ制御部900に排出完了を通知する(S72)。
(動作例)
図11は本実施例による画像形成システムにおける印刷ジョブの動作例を表すタイミングチャートである。ここでは合紙及び本文を交互に合紙/本文/合紙/本文/合紙/本文の順で搬送するジョブ(ページ番号をp1~p6とした)を例にとって説明する。以下、図5、6、7、10のフローチャートと照らし合わせながら、本実施例による画像形成システムの動作について説明する。なお、図中に示すカッコ中の数字は、この動作例におけるイベントの発生順を表している。
(a)ジョブ状態は、図5のフローにおける印刷待ちページがあるか否かの状態を示している。ジョブ状態は、印刷ジョブの開始と同時に「ページあり」となり、最終ページであるp6の本文給送シーケンスの終了(17)と共に、「ページなし」となって印刷ジョブが終了する(図5:S5)。印刷ジョブを受信すると、所定時間間隔で印刷ページシーケンスを開始するため(図5:S1、S2、S3、S4)、ここではp1~p6の印刷ページシーケンスの開始間隔をt1~t5としている。
(b)は第1給送トレイ320の合紙残量を示している。この例では、印刷ジョブ開始時は残量が多い状態であり、合紙p1を給送すると(2)残量が少ないとなり、合紙p3を給送すると(10)残量無しの状態に遷移するものとする。(c)は第2給送トレイ321の合紙残量を示している。この例では印刷ジョブの開始から終了まで残量が多い状態であり、第1給送トレイ320と同一の種類及びサイズの合紙が積載されているものとする。また、収納庫220には十分なシートが有るものとする。
(d)~(m)は合紙p1、p3、p5の給送シーケンスの状態、及び合紙有無確定状態、インサータ給送シーケンスの状態を示している。また、(n)~(p)は本文p2、p4、p6の本文給送シーケンス(図7(a))の状態を示している。この内、インサータ給送シーケンスはインサータ制御部700によって実行され(図10(a、b))、合紙給送シーケンス及び本文給送シーケンスはプリンタ制御部900によって実行される(図7(a、b))。合紙有無確定状態とは、当該合紙として給送可能なシートがトレイ上に有ることが確定した合紙「有」、トレイ上に無いことが確定した合紙「無」、有るか無いかが不定である合紙有無「不定」のいずれの状態であるかを表す。
(d)合紙p1の給送シーケンス
まず、合紙p1の印刷ページシーケンスが開始すると、インサータ制御部700に第1給送トレイ320を指定して(1)合紙給送準備が通知され、(d)合紙給送シーケンス及び(f)インサータ給送シーケンスがスタートする(図6:S4b1/N、S4b2、S4b3)。合紙p1に対して先行する合紙はなく、(e)合紙p1の合紙有無確定状態はすぐ「紙有」で確定する。そのため、合紙p1の合紙給送準備が通知されたインサータ制御部700は、合紙p1を給送し、(2)合流待機させる(図10(a):S61、S62、S63、S64、S65)。
プリンタ制御部900は、合紙給送シーケンスによって、本文の画像形成開始から排出センサ152到達までの所要時間に相当する時間を待った上で、インサータ制御部700に(5)合紙引き込み開始を通知する(図7(b):S4b31、S4b32)。すると、インサータ制御部700は、合流待機させた合紙p1の搬送を再開し、合紙p1の排出完了通知をプリンタ制御部900に通知する(図10(b):S71、S72)。プリンタ制御部900は、インサータ制御部700からの排出完了通知(8)を受け、合紙p1の合紙給送シーケンスは終了する(図7(b):S4b33)。
(n)本文p2の給送シーケンス
合紙p1のシーケンス開始のt1後に本文p2の印刷ページシーケンスが開始する。本文給送判断(図6:S4a1、図8)において、選択中のトレイである第1給送トレイ320の合紙残量は多いと判断される(図8:S4a15/Y)。そのため、本文給送判断の結果は「給送可」となり(図8:S4a14)、すぐに本文給送シーケンスが開始される(図6:S4a3)。
本文給送シーケンスでは、まず、本文p2に転写するための画像の形成が始まり(図7:S4a31)、シートの給送開始まで所定時間待機する「給送待ち」の状態(図7:S4a32)となる。次に、収納庫220から本文p2となるシートが給送されると(図7:S4a33)、定着処理の開始まで所定時間待機する「定着待ち」の状態(図7:S4a34)となる。その後、定着処理が開始されると、本文p2の先端が画像形成装置1の排出センサ152に到達するまで待機する「本体排出待ち」の状態(図7:S4a35)の状態となる。そして、画像形成装置1からインサータ3に本文p2が受け渡されると、インサータ3からの排出完了通知を待機する「排出完了待ち」の状態(図7:S4a37)となり、排出完了通知の受領によって本文p2の給送シーケンスが終了する。
(g)合紙p3の給送シーケンス
本文p2のシーケンス開始のt2後に合紙p3の印刷ページシーケンスが開始する。この時点では第1給送トレイ320は合紙「無」の状態ではないため(図6:S4b1/N)、合紙p1の印刷ページシーケンスと同様に、インサータ制御部700に第1給送トレイ320を指定して(3)合紙給送準備が通知される。また、(g)合紙給送シーケンス及び(i)インサータ給送シーケンスがスタートする(図6:S4b2、S4b3)。このとき、先行する合紙p1が第1搬送パス上に存在し、第1残量検知部721の検知結果からは合紙p3の有無が確定しないため、(h)合紙p3の合紙有無確定状態は「不定」となる(図10(a):S61、S610)。
合紙p3に先行する合紙p1が(5)合紙引き込み開始によって合流待機が解除され搬送が再開されると、合紙p3の有無を確定できるようになる。即ち、合紙p1の後端が第1残量検知部721の合紙検知センサの検知位置を通過すると、(6)合紙p3について第1給送トレイ320の合紙「有」が確定する(図10(a):S611、S62)。すると、インサータ制御部700は、(7)合紙p3の給送を開始して合流待機させる(図10(a):S63、S64、S65)。
プリンタ制御部900は、合紙給送シーケンスによって、本文の画像形成開始から排出センサ152到達までの所要時間に相当する時間を待った上で、(9)インサータ制御部700に合紙引き込み開始を通知する(図7(b):S4b31、S4b32)。インサータ制御部700は、合流待機させた合紙p3の搬送を再開し、合紙p3の排出完了通知をプリンタ制御部900に通知する(図10:S71、S72)。プリンタ制御部900は、(14)インサータ制御部700からの排出完了通知を受け、合紙p3の合紙給送シーケンスは終了する(図7(b):S4b33)。
(o)本文p4の給送シーケンス
合紙p3のシーケンス開始のt3後に本文p4の印刷ページシーケンスが開始する。このとき、本文給送判断(図6:S4a1)において、選択中のトレイである第1給送トレイ320の合紙残量は少なくなっている(図8:S4a15/N)ため、合紙の給送元として使用可能な他のトレイを探す(図8:S4c1)。この例では選択中のトレイに代えて使用可能な第2給送トレイ321が見つかり、かつ、第2給送トレイ321の合紙残量が多いため、本文p4は「給送可」となる(図8:S4a17/Y、S4a14)。この時点では直前の合紙p3が第1給送トレイ320に有るか否かは不定であり、紙有無見切り動作で本文p4の本文給送シーケンスが開始されることになる。
このとき、合紙p1と合紙p3の間でトレイの切替が発生する可能性があることから、本文p4の本文給送シーケンスの開始を遅らせる処理が行われる。この例では合紙p1とp3の紙間Tintvlはトレイ切り替えに必要な時間Tchgに満たないため、直前の画像形成から紙有無見切り動作に必要な紙間に加えてさらにTdiffだけ待つ(図8:S4a18/Y、S4a19)。その後、本文p4が「給送可」と判断されると(図8:S4a14)、すぐに本文給送シーケンスが開始される(図6:S4a3)。
つまり、図11の本文p4の給送シーケンスにおける「給送待ち」には、本文給送判断において給送シーケンスの開始を遅らせるための待ち時間(Tdiff)が含まれている点が、本文p2の給送シーケンスとは異なっている。本文給送判断において「給送可」と判断された後の本文給送シーケンスの進行は、本文p2と同様である。
(k)合紙p5の給送シーケンス
本文p4のシーケンス開始のt4後に合紙p5の印刷ページシーケンスが開始する。合紙p3の印刷ページシーケンスと同様に、この時点では第1給送トレイ320は合紙「無」が確定していない。そのため(図6:S4b1/N)、プリンタ制御部900はインサータ制御部700に第1給送トレイ320を指定して(4)合紙給送準備を通知し、(k)合紙給送シーケンス及び(m)インサータ給送シーケンスがスタートする(図6:S4b2、S4b3)。
インサータ制御部700が合紙給送準備の通知を受けた時点では先行する合紙p3が第1搬送パス上に存在するため、(l)合紙p5の合紙有無確定状態は「不定」である(図10:S61/N、S610)。(9)合紙引き込み開始の通知によって合紙p3の合流待機が解除され搬送が再開されると、(10)合紙p3の後端が合紙検知センサ721bを通過すると、第1給送トレイ320の上には1枚も合紙が無い状態となる。すると、合紙検知センサ721bが出力する信号の変化に基づいて、(11)合紙p5について第1給送トレイ320の合紙「無」が確定する(図10(a):S611、S62、S66)。
インサータ制御部700は第1給送トレイ320に代えて使用可能なトレイとして第2給送トレイ321を探し出す。そして、合紙の給送元を第2給送トレイ321に切り替えた上で(13)合紙p5を給送し、合流待機させる(図10(a):S69、S64、S65)。プリンタ制御部900は合紙給送シーケンスを継続しており、本文の画像形成開始から排出センサ152到達までの所要時間に相当する時間を待った上で、インサータ制御部700に(15)合紙引き込み開始を通知する(図7(b):S4b31、S4b32)。インサータ制御部700は、合流待機させている合紙p5の搬送を再開し、合紙p5の引き込み及び排出が完了すると合紙p5の排出完了通知をプリンタ制御部900に通知する(図10(b):S71、S72)。プリンタ制御部900は、(16)インサータ制御部700からの排出完了通知を受け、合紙p5合紙給送シーケンスは終了する(図7(b):S4b33)。
(p)本文p6の給送シーケンス
合紙p5のシーケンス開始のt5後に本文p6の印刷ページシーケンスが開始する。本文p6の給送シーケンスにおける「給送待ち」にも、本文p4と同じく、本文給送判断において給送シーケンスの開始を遅らせるための待ち時間(Tdiff)が含まれている。本文給送判断において「給送可」と判断された後の本文給送シーケンスの進行は、本文p2、p4と同様である。
このように、インサータ3において合紙の給送元として選択されているトレイの合紙残量が少なくなっても、代わりに使用可能な他のトレイが有る場合には、紙有無見切り動作で本文給送シーケンスが行われている。もし、本文p4に対して紙有無確定動作を行ったとすると、図11に示すように、本文p4の本文給送シーケンスの開始タイミングは直前紙である合紙p3の有無が確定する時刻まで遅れる。一方、本実施例によれば本文p4をより早いタイミングで給送することが可能となり、画像形成システムの生産性を向上させることができる。
また合紙p3と本文p4の排出間隔t3’を見ると、合紙p3と本文p4の印刷ページシーケンスの開始間隔t3よりも長くなっていることが見て取れる。これは、第1給送トレイ320の合紙残量が少なくなったことに応じて、インサータ3におけるトレイの切替に必要な時間(Tdiff)を確保するように本文p4の本文給送シーケンスの開始を遅らせているためである。この広がった間隔を利用して、本文p6の搬送動作を停止することなく、合紙p3と合紙p5の間で合紙の給送元を第1給送トレイ320から第2給送トレイ321に切り替えることが可能になっている。
(変形例)
なお、紙有無見切り動作から紙有無確定動作への移行条件は、本実施例の本文給送判断で説明したもの(図8:S4c2、S4a17)に限らない。例えば、S4a17を省略して、合紙の給送元として選択中のトレイから切替可能な他のトレイがあるときは、切替先の合紙残量に関わらず紙有無見切り動作を継続するようにしてもよい。例えば、合紙残量の検知精度が高い場合や合紙の挿入頻度が少ないジョブを実行する場合など、トレイの切替後も紙有無見切り動作を継続しても合紙の不足によるジョブの停止リスクが小さい場合にこのような移行条件を適用することができる。
また、本実施例ではインサータ3が2つの積載部(320、321)を有する場合について説明したが、3つ以上の積載部を備えた構成で合紙の給送元となる積載部を切り替えるように構成してもよい。この場合において、選択中の積載部の代わりに使用可能な積載部が複数存在する場合、予め定められた優先度で積載部を選択するようにする。例えば、本実施例において第1給送トレイ320及び第2給送トレイ321とは別に第3給送トレイを設けて、第3給送トレイから他のトレイに合紙の給送元を切り替える場合、第1給送トレイ320が第2給送トレイ321に優先する。