JP7290798B2 - 印刷済樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、印刷済樹脂シートに関する。
プラスチックからなる成形品、例えば樹脂シート等に防炎性又は難燃性を付与することが望まれている。特に、建材として用いられる難燃壁紙、店舗に用いられる防炎ポスター、店舗ステッカー、家電品に用いられるシート部材、自動車に用いられるタグラベル、鉄道車両に用いられるガラスステッカー等には、高い難燃レベル(例えばDIN4102、FMVSS-302等)が要求される。
難燃性の高い樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂等が知られている。これらの樹脂は、着火すると樹脂自身が炭化するため、火が燃え広がりにくい。
しかし、成形性及びコストの点で、樹脂シートの原料としてはプロピレン系樹脂が広く使用されている。従来は、プロピレン系樹脂を用いた樹脂シートに高い難燃性を付与するには、ハロゲン系難燃剤を配合するか、比較的多量の無機系難燃剤を配合する必要があった。
これに対し、ハロゲン系難燃剤又は無機系難燃剤を配合することなく、難燃性を有するシートとして、プロピレン系樹脂に特定のNOR型HALS化合物(NOR型ヒンダードアミン系光安定剤)と特定のリン系化合物とを配合したシートが提案されている(特許文献1及び2参照。)。
特表2015-510023号公報 特開2017-066299号公報
難燃性が付与されたプロピレン系樹脂の樹脂シートに引火すると、引火した樹脂部分が溶融して落下する。火種が切り離されるため、それ以上燃え広がりにくい難燃性が得られる。
しかし、樹脂シート自体の難燃性が高くても、印刷により樹脂シート上に印刷層が積層されると、十分な難燃性が得られないことがある。
本発明は、難燃性に優れた印刷済樹脂シートを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、難燃性の高い樹脂シート上に特定の印刷層を積層することによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
(1)樹脂シートと、前記樹脂シートの少なくとも一方の面上に印刷層と、を有する印刷済樹脂シートであって、
前記樹脂シートが、NOR型光安定剤を含有する熱可塑性樹脂シートであり、前記熱可塑性樹脂シートに用いられる熱可塑性樹脂の燃焼試験後の残渣率が5%以下であり、
前記印刷層の破断温度が、250℃以下である
印刷済樹脂シート。
(2)前記熱可塑性樹脂が、主成分としてオレフィン系樹脂を含む
前記(1)に記載の印刷済樹脂シート。
(3)前記オレフィン系樹脂が、主成分としてプロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂の少なくとも1種を含む
前記(2)に記載の印刷済樹脂シート。
(4)前記NOR型光安定剤が、下記式(1)又は下記式(2)で表される化合物である
前記(1)~(3)のいずれかに記載の印刷済樹脂シート。
Figure 0007290798000001
Figure 0007290798000002
〔式(2)中、Rは下記式(2-1)で表される置換基である。〕
Figure 0007290798000003
(5)前記印刷層が、色材及びバインダー樹脂を含有する
前記(1)~(4)のいずれかに記載の印刷済樹脂シート。
(6)前記バインダー樹脂が、アミド系樹脂、塩素化プロピレン系樹脂及び塩化ビニル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む
前記(5)に記載の印刷済樹脂シート。
(7)前記印刷層が、乾燥状態にあるインク組成物の膜であり、
前記インク組成物が、前記色材、前記バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有する
前記(5)又は(6)に記載の印刷済樹脂シート。
(8)前記インク組成物が、グラビア印刷用インク組成物である
前記(7)に記載の印刷済樹脂シート。
(9)前記樹脂シートが、リン系化合物を含有する
前記(1)~(8)のいずれかに記載の印刷済樹脂シート。
(10)前記リン系化合物が、270℃以上の引火点を有するか、引火点を有しない
前記(9)に記載の印刷済樹脂シート。
本発明によれば、難燃性に優れた印刷済樹脂シートを提供することができる。
以下、本発明の印刷済樹脂シートについて詳細に説明する。以下の説明は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
(印刷済樹脂シート)
本発明の印刷済樹脂シートは、樹脂シートと、当該樹脂シートの少なくとも一方の面上に印刷層とを有する。なお本発明における印刷層とは、後述するように、インク組成物の膜を乾燥し、溶媒を除去することにより形成される層である。また本発明における樹脂シートは、NOR型光安定剤を含有する熱可塑性樹脂シートである。この熱可塑性樹脂シートに用いられる熱可塑性樹脂の燃焼試験後の残渣率は5%以下である。
本発明の印刷済樹脂シートにおける、NOR型光安定剤を含む樹脂シートは、燃焼反応が進行しにくい。また当該樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の燃焼試験後の残渣率が5%以下と少ないため、樹脂シートに着火しても着火部分が溶融して落下しやすい。火種が未着火部分から切り離されるため、延焼を抑えることができる点でも、当該樹脂シートは難燃性に優れる。また当該樹脂シートは、高温条件下に所定期間保管しても色相の変化及び成形時の樹脂の流動性変化が少なく、耐熱性にも優れる。
また、本発明の印刷済樹脂シートにおいて、印刷層の破断温度は250℃以下である。 印刷済樹脂シートに着火すると、樹脂シート自体は上記のように難燃性が高くても、印刷層によって、樹脂シート部分が溶融せずに又は溶融しても落下せずにホールドされ、未着火部分から切り離されにくくなる場合がある。すなわち樹脂シート自体の難燃性が高くても、印刷済樹脂シートの難燃性が十分でない場合がある。しかし、破断温度が250℃以下の印刷層は、着火により破断し、溶融した樹脂シート部分とともに落下する。このような印刷層は、着火した印刷済樹脂シートにおける火種の切り離しを阻害することがないため、樹脂シート自体の高い難燃性を維持することができる。
以下、本発明の印刷済樹脂シートの構成について説明する。
<樹脂シート>
樹脂シートは、熱可塑性樹脂にNOR型光安定剤を配合した樹脂組成物をシート状に成形することにより得ることができる。
<<熱可塑性樹脂>>
本発明においては、熱可塑性樹脂として、燃焼試験後の残渣率が5%以下、好ましくは1%以下(0%であってもよい)のものを用いることを前提としている。残渣率が低いと、着火時に固化せず、溶融による火種の切り離しが妨げられにくいため、印刷済樹脂シートの延焼を抑えやすい。一般にオレフィン系樹脂の残渣率は低く、ポリプロピレン(PP)の残渣率は0%程度、ポリエチレン(PE)の残差率も0%程度である。なお、ポリエチレンテレフタレート(PET)の残渣率は10%程度、ポリカーボネート(PC)の残渣率は21%程度である。
<残渣率の算出方法>
上記熱可塑性樹脂の燃焼試験後の残渣率(%)は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA:ThermoGravimeter-Differential Thermal Analyzer)により樹脂のサンプルを600℃まで10℃/分で昇温し、昇温前のサンプルの質量(G1)に対する昇温後のサンプルの質量(G2)の割合(G2/G1×100)として算出される。複数樹脂の混合物の残渣率(%)は、混合物中の各樹脂の含有量に各樹脂の残渣率を乗算した和として算出することができる。
なお、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートのように残渣率が5%を超える熱可塑性樹脂は、着火すると樹脂自身が炭化して燃えにくいが、残渣率が5%以下の熱可塑性樹脂に比べてコストが高く、成形性に多少劣る。
樹脂シートに使用できる熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、シクロオレフィンコポリマー(ポリ(4-メチルペンタ-1-エン)、エチレン-環状オレフィン共重合体等)等のオレフィン系樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等のスチレン系樹脂等の延伸成形が可能な熱可塑性樹脂等が挙げられる。なかでも成形性、加工容易性、及びコスト等の観点から、熱可塑性樹脂の主成分として、オレフィン系樹脂を含むことが好ましく、プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂の少なくとも1種を含むことがより好ましく、プロピレン系樹脂を含むことがさらに好ましく、ポリプロピレンを含むことが特に好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、熱可塑性樹脂における「主成分」とは、熱可塑性樹脂全体の60質量%以上を占める樹脂を意味する。主成分の樹脂は、熱可塑性樹脂全体の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
プロピレン系樹脂としては、主なモノマーにプロピレンが用いられるのであれば特に限定されない。ここで「主なモノマー」とは、そのポリマーの原料モノマーのうち、最も含有割合の多いものを意味する。プロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンを単独重合させたアイソタクティック重合体又はシンジオタクティック重合体等のプロピレン単独重合体(すなわちポリプロピレン)が挙げられる。また、主なモノマーであるプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を使用することもできる。共重合体は、モノマー成分が2元系でも3元系以上の多元系でもよく、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とを併用してもよい。これらのなかでも、プロピレン単独重合体が樹脂シートの主成分として取扱いやすく、好ましい。
プロピレン系樹脂のMFR(Melt Flow Rate:メルトフローレート)は、通常0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、通常30g/10分以下、好ましくは20g/10分以下である。
エチレン系樹脂としては、例えば密度が0.940~0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920g/cm以上0.940g/cm未満の中密度ポリエチレン、密度が0.900g/cm以上0.920g/cm未満の低密度ポリエチレン等のポリエチレン等が挙げられる。また、主なモノマーとなるエチレンと、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体である、エチレン-α-オレフィン共重合体を使用することもできる。またエチレン系樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-環状オレフィン共重合体等を使用することもできる。これらの中でも、ポリエチレンが好ましい。
上記熱可塑性樹脂の主成分としてオレフィン系樹脂を使用する場合、発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を併用してもよい。その他の樹脂の含有量は、樹脂の種類によるが、例えばオレフィン系樹脂100質量部に対して20質量部以下程度である。その他の樹脂を併用する場合、熱可塑性樹脂全体の残渣率が、上述した規定値、すなわち5%以下を満足する必要がある。
<<NOR型HALS化合物>>
NOR型HALS化合物は、紫外線等による熱可塑性樹脂の劣化を抑制し、優れた耐候性を付与することができる。また、高温環境下における熱可塑性樹脂の劣化が抑制され、耐熱性に優れた印刷済樹脂シートを得ることができる。
NOR型HALS化合物としては、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有する化合物であれば特に限定されない。NOR型HALS化合物としては、例えば特表2002-507238号、国際公開第2005/082852号、国際公開第2008/003605号等の各公報に記載されているNOR型HALS化合物等が挙げられる。なかでも、下記式(1)又は下記式(2)で表されるNOR型HALS化合物が好ましい。式(1)又は式(2)で表されるNOR型HALS化合物は、単独で用いても2種を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0007290798000004
Figure 0007290798000005
〔式(2)中、Rは下記式(2-1)で表される基である。〕
Figure 0007290798000006
式(1)又は式(2)で表されるNOR型HALS化合物は、これを含む樹脂シートの燃焼時に優れたラジカル捕捉剤として機能し、燃焼反応を停止させる働きを示す。つまり、樹脂シートに優れた難燃性を付与することができる。
特に式(1)で表されるNOR型HALS化合物は、他のNOR型HALS化合物に比べて化合物自体が安定であるため、樹脂シートの着色をよく防止できる。
また、式(1)で表されるNOR型HALS化合物は常温で液体である。液体のNOR型HALS化合物は、熱可塑性樹脂との溶融混練時に樹脂組成物中に均一に微分散され、優れた耐熱性及び難燃性を発揮しやすいため、好ましく用いることができる。
樹脂シート中の式(1)又は式(2)で表されるNOR型HALS化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.22質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは0.6質量部以上、さらに特に好ましくは0.7質量部以上である。また同含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以下であり、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。上記含有量が上記範囲内にあると、樹脂シートの耐熱性とともに難燃性が向上する傾向がある。
<<リン系化合物>>
本発明の樹脂シートは、NOR型HALS化合物と共に、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよく、例えば、リン系化合物を含有することが好ましい。
リン系化合物は、熱可塑性樹脂の燃焼時にその燃焼成分を炭化(チャー化)させ、固化させて、空気を遮断する被膜を形成することで、燃焼反応を停止させる難燃剤としての役割を有し、樹脂シートの難燃性をより高めやすい。また、リン系化合物は、NOR型HALS化合物と同様のラジカル捕捉剤としての働きと、リン系化合物の分解時に発生するホスフィンガスによる酸素濃度希釈の働きも有する。上記リン系化合物を、NOR型HALS化合物と併用することにより、樹脂シートにより優れた難燃性を付与することができる。
リン系化合物としては、例えば、亜リン酸化合物、リン酸化合物、亜リン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、環状ホスファゼン化合物等を用いることができる。これらのなかでも亜リン酸エステル化合物又はリン酸エステル化合物が好ましく、ブリードアウトを抑制する効果に優れるという観点からは亜リン酸エステル化合物がより好ましい。
亜リン酸エステル化合物としては、一般式P(OR又は後述する式(3)で表される亜リン酸エステル化合物が好ましい。
一般式P(ORにおいて、Rは置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC3~30シクロアルキル基、あるいは置換又は無置換のC6~30アリール基を示す。複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。これらのなかでも、Rの少なくとも1つが、置換又は無置換のC6~30アリール基であることが好ましく、置換又は無置換のC6~15アリール基であることがより好ましく、置換基を有するC6~15アリール基であることが特に好ましい。アリール基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、tert-ブチル基等のC1~10アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のC1~10アルコキシ基等が挙げられ、好ましくはC1~5アルキル基である。置換基の数は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上である一方、通常5以下、好ましくは3以下である。
上述した一般式P(ORで表される亜リン酸エステル化合物のなかでも、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS No.31570-04-4、)が好ましく、当該化合物の市販品としては、例えば「イルガフォス-168」(商品名、BASFジャパン社製)などがある。
下記式(3)において、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC3~30シクロアルキル基、あるいは置換又は無置換のC6~30アリール基を示す。
Figure 0007290798000007
これらのなかでも、R及びRは、各々独立に置換又は無置換のC6~30アリール基であることが好ましく、置換又は無置換のC6~15アリール基であることがより好ましく、置換基を有するC6~15アリール基であることが特に好ましい。
及びRが置換基を有するC6~15アリール基の場合、式(3)で表される亜リン酸エステル化合物は、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007290798000008
〔式(4)中、R、R、R、R10、R12、R13、R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子又はC1~5アルキル基を示す。R、R11、R14及びR17は、それぞれ独立にC1~5アルキル基、C6~15アリール基又はアラルキル基を示す。アラルキル基は、C1~5アルキル基の水素原子の1つがC6~15アリール基で置換された置換基である。また、b1~b4は、それぞれ独立に0~3の整数を示す。〕
式(4)において、R、R、R、R10、R12、R13、R15及びR16は、メチル基が好ましく、b1~b4は0が好ましい。
式(3)又は式(4)で表される亜リン酸エステル化合物の具体例としては、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
リン酸エステル化合物の具体例としては、主骨格にペンタエリスリトールと2つのリン酸とのエステル構造を有する化合物;ジエチルアルミニウムホスフィネート;フェノール、4,4'-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノール及びトリクロロホスフィンオキシドの反応生成物;芳香族ホスホン酸エステル;レゾルシノール-ビス-ジフェニルホスフェート;メチル-エチル-アルミニウムホスフィネート等が挙げられる。
これらのなかでも、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(CAS No.154862-43-8)が特に好ましく、当該化合物の市販品としては、例えば「ドーバーフォス S-9228」(商品名、Dover Chemical社製)などがある。
なお、上述したリン系化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系化合物は、上述したものの中でも高引火点であるものがさらに好ましい。具体的には、リン系化合物は、270℃以上の引火点を有するか、又は引火点を有しないことが好ましい。引火点を有する場合は、引火点が320℃以上であることがより好ましく、引火点が360℃以上であることが更に好ましく、引火点が400℃以上であることがより更に好ましく、引火点が440℃以上であることが特に好ましい。リン系化合物の引火点が270℃以上であれば、樹脂シートにより高い難燃性を付与することができる。
プロピレン系樹脂は一般的に引火点が300~450℃といわれている。しかし、その熱分解は250℃付近から始まると考えられ、熱分解によって生じる分解生成物が引火の原因となり得る。このことから、例えば本発明における樹脂シートが、主成分としてプロピレン系樹脂を含有し、このプロピレン系樹脂の熱分解開始温度と同程度以下の引火点を持つリン系化合物を使用した場合は、シート成形時にヤケが発生する場合がある。また、燃焼抑制効果を奏する前にリン系化合物自身が燃焼してしまい、樹脂シートの難燃性が十分に向上しない可能性もあると推察される。以上のことから、特に本発明における樹脂シートが、主成分としてプロピレン系樹脂を含有する場合には、引火点がプロピレン系樹脂の熱分解開始温度よりも高いもの、具体的には引火点が270℃以上のリン系化合物を難燃剤として用いることで、より良好な難燃性を付与できると考える。
リン系化合物の加水分解度は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下である。リン系化合物の加水分解度が5質量%以下であれば、難燃効果の低下、ブリードアウトによる成形性及び印刷適性の低下を抑制しやすい。
上記加水分解度(質量%)は、相対湿度95%、温度50℃の加湿加温条件下で、リン系化合物5gを400時間静置した際の、リン系化合物の質量増加割合である。この値は、リン系化合物の加水分解のしやすさの指標であり、値が大きいほど加水分解しやすいことを示す。
リン系化合物の加水分解による、難燃効果の低下、ブリードアウトによる成形性及び印
刷適性の低下を抑える観点から、リン系化合物の加水分解度の値は小さい方が好ましい。
樹脂シート中のリン系化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.25質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上、さらに特に好ましくは1.5質量部以上である。また、同含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、6質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である。
リン系化合物の含有量が上記下限以上であると、NOR型HALS化合物との併用により、樹脂シートの耐熱性及び難燃性をより向上させやすい。また、含有量が上記上限以下であると、樹脂シート中のリン系化合物のブリードアウトが抑制され、樹脂シートのベトツキを抑制しやすい。
つまり、リン系化合物の含有量を上記範囲とすることで、樹脂シートの耐熱性、難燃性及びリン系化合物のブリードアウト抑制効果の優れたバランスが得られやすい。
<NOR型HALS化合物とリン系化合物との含有量比>
樹脂シートにおいて、NOR型HALS化合物の含有量に対するリン系化合物の含有量の比[(リン系化合物の含有量)/(NOR型HALS化合物の含有量)]は、質量基準で、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは6以下、特に好ましくは4以下である。つまり、NOR型HALS化合物の含有量に対して、相対的にリン系化合物の含有量が大きい方が好ましい傾向にある。NOR型HALS化合物の含有量に対するリン系化合物の含有量の比が上記範囲内であると、難燃性が向上する傾向がある。NOR型HALS化合物の含有量に対するリン系化合物の含有量の比が上記下限以上であると、樹脂シートにより高い難燃性を付与しやすい。また、上記上限以下であると配合量に応じた効果が得られるため経済的であり、またリン系化合物のブリードアウトも抑制できるため好ましい。
<<無機フィラー>>
樹脂シートは、耐熱性及び難燃性等の効果を阻害しない範囲で、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーは、無機微細粉末とも呼ばれる。
無機フィラーは、樹脂シートの白色性又は不透明性を向上し得る。また、無機フィラーは、樹脂シートの延伸成形時に空孔核材として働き、樹脂シートを多孔化して白色性又は不透明性を高めやすい。したがって、無機フィラーを配合した樹脂組成物は、いわゆる合成紙の原料として有用である。
無機フィラーの配合により樹脂シートを延伸した際に細孔ができ、酸素との反応確率が上がることで、配合しない場合に比べて樹脂シートの燃焼反応が進む傾向がある。また、無機フィラーはその熱伝導率の高さから周囲の熱可塑性樹脂を溶融させ、さらにロウソクの芯のように燃焼を助長させる働きもすると考えられる。
本発明者らは、熱可塑性樹脂100質量部に対する無機フィラー(特に炭酸カルシウム)の含有量が30質量部程度までであれば、所望の耐熱性及び難燃性を維持しやすいことを見出した。
上記の観点から、本発明における樹脂シートが無機フィラーを含有する場合、その含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、樹脂シートを多孔化して白色性又は不透明性が向上しやすい。また、上記上限以下であると、難燃性の低下を抑制しやすい。
無機フィラーの具体例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、ゼオライト、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素等の微細粉末、又は中空ガラスビーズ等の無機粒子が挙げられる。これらのなかでも、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムは、多くの種類の市販品があり、所望の平均粒子径又は粒度分布が得られやすく、樹脂シートの白色性、不透明性等の光学特性を設計しやすいために好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。無機フィラーの平均粒子径が上記下限以上であると、樹脂シートを多孔化して白色性又は不透明性が向上しやすい。また、上記上限以下であると、粗大粒子の混入による延伸時における樹脂シートの破断を抑制しやすい。
無機フィラーの平均粒子径は、樹脂シートの厚み方向の切断面を電子顕微鏡により観察し、観察領域より無作為に抽出した100個の無機フィラーの粒子径を測定し、これに基づいて算出した平均値である。この場合の無機フィラーの粒子径は、粒子の輪郭上の2点間の距離の最大値(最大径)から決定する。
<<その他の添加剤>>
樹脂シートは、必要に応じて、分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、滑剤等の公知の添加剤を配合してもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、NOR型HALS化合物以外の光安定剤を配合してもよい。
分散剤は、例えば、樹脂組成物中に上記の無機フィラーを高分散させる目的で用いられる。分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、これらの塩等を例示することができる。
分散剤の含有量は特に限定されないが、無機フィラーの含有量に応じて、例えば、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~5質量部の範囲で配合することが好ましい。分散剤の含有量が0.01質量部以上であると、熱可塑性樹脂中に無機フィラーが均一に微分散されやすく、難燃性の低下を抑制しやすい傾向にある。また、分散剤の含有量が5質量部以下であると、余剰な分散剤によるベタツキ及び光透過性の阻害を防ぎやすい。
<層構造>
樹脂シートは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
樹脂シートが多層構造である場合、各層を構成する樹脂組成物は同一であっても、異なっていてもよい。例えば、最外層におけるリン系化合物の含有量が比較的大きければ、樹脂シートの難燃性が向上しやすく、また、いずれかの層の無機フィラーの含有量が比較的大きければ、合成紙として所望の白色性又は不透明性が得られやすい。
樹脂シートは、無延伸シートであってもよく、延伸シートであってもよい。延伸シートである場合は、その延伸軸数が一方向であっても二方向以上であってもよい。
<印刷層>
印刷層は、色材およびバインダー樹脂を含有する層である。印刷層は、インク組成物の膜を乾燥させて溶媒を除去して得られる。インク組成物は、例えば顔料、染料等の色材、バインダー樹脂、及び有機溶剤、水系媒体等の溶媒を含有する。以下、インク組成物を単にインクということがある。本発明では、上述した上記樹脂シートの少なくとも一方の面上にインク組成物の膜を形成後、乾燥して膜中の溶媒を除去することにより、印刷層が形成される。
印刷層の破断温度は、250℃以下であるが、170℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。破断温度が低いほど、印刷済樹脂シートに着火した場合に低温で印刷層が破断しやすく、着火部分の樹脂シートとともに切り離されやすくなるため、印刷済樹脂シートの難燃性が高まる傾向がある。例えば樹脂シートの主成分がプロピレン系樹脂である場合、プロピレン系樹脂は250℃程度から熱分解して可燃ガスを生成し引火しやすいが、250℃以下で印刷層が破断することにより、引火前に火種の切り離しが可能である。プロピレン系樹脂の融点は160~170℃程度であるので、170℃以下で印刷層を破断できれば、プロピレン系樹脂の熱分解に至る前に、早めに火種の切り離しが可能である。
印刷層の破断温度の下限は特に存在しないが、常温でのインク割れを防ぐために通常は50℃以上である。
<<破断温度の測定方法>>
印刷層の破断温度は以下のようにして測定される。
インク組成物をテフロン(登録商標)シート上に乾燥後の厚さが100μmとなるように塗工した後、乾燥させて溶媒を除去し、乾燥状態にあるインク組成物の膜である印刷層を得る。得られた印刷層を所定サイズ(長辺×短編×厚み=68mm×5mm×100μmの短冊状)にカットし、測定サンプルを作製する。このサンプルに一定の試験力を加えたまま10℃/分で昇温し、破断したときの温度を印刷層の破断温度とする。破断温度は固相動的粘弾性測定装置(DMA:Dynamic Mechanical Analyzer)により測定することができる。
印刷情報としては、例えば写真画像、絵柄、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、又は使用方法等が挙げられる。
インク組成物の膜の形成方法、すなわち印刷方法としては特に限定されず、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シール印刷、又はスクリーン印刷等が挙げられる。
インク組成物としては、破断温度が250℃以下の印刷層を形成できるものであれば特に制限はなく、印刷方法に合わせて、油性インク、紫外線(UV)硬化型インク、水性インク、液体トナーインク等のインク組成物を使用できる。なかでも、バインダー樹脂を含む溶剤インクが、破断温度の調整の容易性の観点から、好ましい。溶剤インクは、有機溶剤を使用するインク組成物であり、色材、バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有する。
溶剤インクのなかでも、色材が顔料である溶剤インクが好ましく、そのなかでも、グラビア印刷用インク組成物がより好ましい。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料が使用できる。無機顔料としては、例えば酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、又はタルク等の体質顔料等が挙げられる。有機顔料としては、例えば溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレート顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、又は縮合多環顔料等が挙げられる。これら顔料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。インク組成物中の顔料の含有量は、通常0.5~50質量%程度であり、印刷層中の顔料の含有量は1~65質量%程度である。
バインダー樹脂としては、例えばアミド系樹脂、塩素化プロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアマイド樹脂、又はセルロース系樹脂等が挙げられる。なかでも、破断温度の調整しやすさの面から、インク組成物は、アミド系樹脂、塩素化プロピレン系樹脂及び塩化ビニル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種以上を含有することが好ましい。インク組成物中のバインダー樹脂の含有量は、通常4~25質量%程度であり、印刷層中のバインダー樹脂の含有量は35~99質量%程度である。
印刷層の破断温度は、主に用いるバインダーの種類及び配合量等によって調整することができる。
上記バインダー樹脂として用いる樹脂に、上述以外の樹脂を多少(例えば、バインダー樹脂100質量部に対して20質量部以下)併用してもよいが、その場合、印刷層の破断温度は上述した規定値250℃以下を満足する必要がある。
本発明において、インク組成物が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、又は酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;n-ヘキサン、n-ヘプタン、又はn-オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、又はシクロオクタン等の脂環族炭化水素系溶剤;トルエン、又は(o,m,p-)キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は、バインダー樹脂の溶解性又は乾燥性等を考慮して選択することができる。インク組成物中の有機溶剤の含有量は、通常は20質量%以上である。この有機溶剤は印刷後の乾燥において揮発除去される。
なお、破断温度が250℃以下の印刷層が得られるのであれば、顔料を用いたインク組成物だけでなく、染料を用いたインク組成物を用いてもよい。
印刷層は、必要に応じて、ワックス、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、又は可塑剤等の通常使用される添加剤を含むことができる。
<インク受理層>
樹脂シートには直接印刷することが可能であるが、場合によりインク受理層を設けてもよい。インク受理層は、樹脂シートの印刷適性、特にインクの転移性及びインクの密着性を高める効果を奏する。
インク受理層は、必要に応じて、インク定着剤、帯電防止剤、架橋剤、アンチブロッキング剤、着色剤、消泡剤、防黴剤、及び滑剤等を含むことができる。
(印刷済樹脂シートの製造方法)
本発明の印刷済樹脂シートは、樹脂シート上にインク組成物を用いて印刷層を設けることにより製造することができる。
<樹脂シートの形成>
樹脂シートは、通常は樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物を成形することにより製造することができる。樹脂組成物は、樹脂シートの各成分をよく混合し、一軸又は二軸押出機で溶融混練し、調製する。または、各成分を予め混合することなく、あるいはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、樹脂組成物を調製することもできる。さらには、熱可塑性樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの熱可塑性樹脂及び他の成分を配合して溶融混練してもよい。また、樹脂シートが多層構造の場合には、各層に応じた各層形成用の樹脂組成物を調製すればよい。なお、溶融混練に際しての加熱温度は、押出機のシリンダー温度として通常180~300℃程度、特に圧縮ゾーンでのシリンダー温度として通常200~250℃程度であり、吐出される樹脂温度は通常200~250℃である。
次いで、得られた樹脂組成物をシート状に溶融押出して、樹脂シートを成形することができる。その後、必要に応じて、得られた樹脂シートを少なくとも一方向に延伸する。また、必要によりアニーリング処理(熱処理)し、続いて耳部をスリットすることにより、樹脂シートを得てもよい。
樹脂シートの成形方法としては、従来公知の種々の方法が使用できる。例えば、樹脂シートが単層構造である場合は、上記成分を含有する樹脂組成物を溶融混練し単一のダイスから押し出して、必要に応じて延伸すればよい。また、多層構造の樹脂シートである場合は、フィードブロック又はマルチマニホールドを使用した多層ダイスを用いる共押出方式や、複数のダイスを使用する押出ラミネーション方式等により複数の樹脂シートが積層した多層樹脂シートを製造することができる。さらに多層ダイスによる共押出方式と押出ラミネーション方式を組み合わせる方法により樹脂シートを製造することもできる。
樹脂シートの延伸は、公知の種々の方法によって行うことができる。具体的には、ロール群の周速差を利用した縦延伸方法、テンターオーブンを使用した横延伸方法、上記縦延伸と横延伸とを正順又は逆順に行う逐次二軸延伸方法、圧延方法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸方法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸方法等を挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法であるチューブラー法による同時二軸延伸方法を挙げることができる。
延伸時の温度は、特に限定されず、樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂の延伸に好適な温度範囲内で実施することができる。具体的には、熱可塑性樹脂の場合はその融点より、2~15℃以上低い温度で行うことが好ましい。例えば、樹脂組成物が無機フィラーを含有する場合、当該樹脂組成物をプロピレン系樹脂の融点より低い温度で延伸することで、無機フィラー等を核とした空孔を内包した延伸樹脂シートが得られる。この場合、樹脂シートは、適度な不透明性及び軽量性を有するシートとなる。また延伸は、樹脂シートに用いる主要な(質量比で最も多く用いる)熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上であって、当該熱可塑性樹脂の結晶部の融点より1~70℃低い温度で行ってもよく、融点より1℃低い温度から2℃高い温度の範囲で行ってもよい。
樹脂シートの延伸倍率は、特に制限されず、得られる樹脂シートの特性等を考慮して、適宜決定すればよい。縦一軸延伸時の延伸倍率は、2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、4倍以上がさらに好ましい一方、8倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましく、6倍以下がさらに好ましい。また、横一軸延伸時の延伸倍率は、2倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、6倍以上がさらに好ましい一方、12倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましく、9倍以下がさらに好ましい。また、二軸方向に延伸する場合には、面積延伸倍率(縦倍率と横倍率の積)で、4倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、20倍以上がさらに好ましい一方、70倍以下が好ましく、60倍以下がより好ましく、50倍以下がさらに好ましい。
樹脂シートが多層構造である場合、各層の延伸軸数又は延伸倍率は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、単層構造の樹脂シートの好ましい製造方法について説明する。
まず、樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、単一のダイスに供給して、シート状に押し出し、熱可塑性樹脂の融点より低い温度、例えばプロピレン系樹脂の場合は40~85℃まで冷却することで、無延伸樹脂シートが得られる。次に、この無延伸樹脂シートを、熱可塑性樹脂の融点よりも2~15℃以上低い延伸温度で、縦方向に3~10倍延伸する。これにより、縦方向に配向した一軸延伸樹脂シートが得られる。続いて、この一軸延伸樹脂シートを、熱可塑性樹脂の融点よりも2℃~15℃以上低い延伸温度で、横方向に4~12倍延伸する。これにより、二軸延伸樹脂シートが得られる。
<熱処理>
延伸後の樹脂シートには、熱処理を行うことが好ましい。熱処理の温度は、熱可塑性樹脂の融点より、1~15℃以上高い温度で行うことが好ましい。熱処理を行うことにより、熱可塑性樹脂の非晶部分の結晶化が促進されて延伸方向への熱収縮率が低減し、樹脂シートの寸法変化が少なくなる。熱処理の方法はロール加熱又は熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組み合わせてもよい。
<表面処理>
延伸後の樹脂シートには、表面処理を行ってもよい。表面処理により、樹脂シートの二次加工適性を向上させることができる。表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、又はオゾン処理等の酸化処理等が挙げられる。また、延伸後の樹脂シートに対して酸化処理を行った後に、アンカー剤及び帯電防止剤を塗工してもよい。
<印刷層の形成>
印刷層は、インク組成物を用いて印刷し、その後乾燥等を行って形成されることが好ましい。
印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シール印刷、又はスクリーン印刷等が挙げられる。
上記樹脂シートの少なくとも一方の面に、上述した印刷方法により印刷を施し、インク組成物の膜を形成する。この膜を乾燥し、インク組成物中の溶媒を除去して印刷層を形成る。グラビア印刷では、例えばインク組成物の乾燥後の塗工量が0.1~20g/mである。
(樹脂シートの物性)
<厚み>
樹脂シートの厚みは、所望性能に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、30μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。また、同厚みは、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。樹脂シートの厚みが上記下限以上であると、十分な機械的強度が得られやすく、延伸成形又は使用の際の樹脂シートの破断を防止しやすい。また厚みが上記上限以下であると、樹脂シートが重くなりすぎず、取り扱いが容易になる傾向にある。
樹脂シートの厚みは、JIS K7130:1999に準拠して測定した値である。樹脂シートが多層構造の場合には、複数の層全体として測定した値である。樹脂シートが多層構造の場合の各層の厚みは、電子顕微鏡を用いてその断面を観察し、外観より層間の界面を判断して厚み比率を求め、上記測定した樹脂シート全体の厚みと各層の厚み比率の積から算出する。
(印刷済樹脂シートの用途)
本発明の印刷済樹脂シートの用途は特に限定されないが、特に、印刷用紙、ラベル又はシール用紙、反射シート等の用途に好適に利用可能である。
印刷が施される用途としては、例えば建材として用いられる難燃壁紙、店舗等に用いられる防炎ポスター、電飾ポスター、又はポップ等が挙げられる。ラベル又はシールの用途としては、例えば店舗に用いられる店舗ステッカー、自動車等に用いられるタグラベルやハーネス、鉄道車両等に用いられるガラスステッカー等が挙げられる。光反射機能が求められる用途としては、例えば液晶ディスプレイ用の光反射シート、電飾看板用の光反射シート、室内照明用の光反射シート、農業用マルチシート、撮影用レフ板、又はコピー機の裏蓋等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(樹脂シートの製造)
次のようにして、樹脂シートを製造した。表1は樹脂シートの材料一覧を示す。
Figure 0007290798000009
<樹脂シート(1)>
プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY6、日本ポリプロ社製、MFR(230℃、2.16kg荷重):2.5g/10min)68.7質量%、プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP MA3U、日本ポリプロ社製、MFR(230℃、2.16kg荷重):11g/10min)25.0質量%、式(1)で表される化学構造を有するNOR型HALS化合物(ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、CAS No.705257-84-7、商品名:アデカスタブ LA-81、ADEKA社製)0.6質量%、引火点が440℃以上であるリン系化合物(ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(CAS No.154862-43-8、商品名:ドーバーフォス S-9228、Dover Chemical社製、加水分解度:0.7質量%)0.7質量%、及び無機フィラー(ルチル型二酸化チタン微細粉末、商品名:タイペーク CR-60、石原産業社製、平均粒子径:0.21μm)5質量%を、スーパーミキサーで混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を230℃に設定した二軸混練機にて溶融混練し、混練物をダイよりストランド状に押し出し、これを水槽中で冷却した後にペレタイザーでカットして、ペレットを得た。
得られたペレットを230℃に設定した押出機を用いて再び溶融混練し、混練物をTダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて60℃まで冷却して単層の無延伸樹脂シートを得た。この無延伸樹脂シートを143℃まで加熱した後、多数のロール群の周速差を利用したロール間延伸法にて樹脂シートの搬送方向(縦方向)に4.2倍の延伸倍率で一軸延伸した。その後60℃にて冷却して一軸延伸された樹脂シートを得た。
次いで、一軸延伸された樹脂シートを、テンターオーブンを用いて160℃まで再加熱し、テンター延伸機を用いたクリップ延伸法にて樹脂シートの幅方向(横方向)に8.5倍の延伸倍率で延伸した。クリップで保持したままさらにオーブンで、160℃で2秒間アニーリング処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして、逐次二軸延伸された単層の樹脂シート(1)を得た。同シートの搬送速度は120m/分に制御した。
<樹脂シート(2)>
樹脂シート(1)における樹脂組成物中のリン系化合物を、引火点が150~180℃のリン系化合物(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、CAS No.31570-04-4、商品名:イルガフォス-168、BASFジャパン社製、加水分解度:15質量%)0.7質量%に変更した以外は、上記樹脂シート(1)と同様の手順により樹脂シート(2)を得た。
樹脂シート(1)及び(2)の厚みを下記測定方法により測定したところ、いずれも100μmであった。
<厚み>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートの厚みは、定圧厚さ測定器(機器名:PG-01J、テクロック社製)を用い、JIS K7130:1999に従って求めた。
(印刷済樹脂シート)
<実施例1>
上記樹脂シート(1)の一方の面に、バーコーターを用いて、アミド系樹脂を含有するグラビア印刷用の溶剤インク(商品名:ポリSダイヤDX-60-N アイ800、サカタインクス社製、破断温度:90℃)を2g/m印刷した。その後、オーブンにて40℃で2分乾燥させて印刷層を形成し、実施例1の印刷済樹脂シートを得た。
<実施例2>
実施例1において、グラビア印刷用の溶剤インクとして、ポリSダイヤDX-60-N アイ800の代わりに塩化ビニル系樹脂を含有するインク(商品名:MFF39 藍、東洋インキ社製、破断温度:130℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の印刷済樹脂シートを得た。
<実施例3>
実施例1において、グラビア印刷用の溶剤インクとして、ポリSダイヤDX-60-N アイ800の代わりに塩素化プロピレン系樹脂を含有するインク(商品名:ラミングニューPPL-N アイ800 PR-30、サカタインクス社製、破断温度:105℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の印刷済樹脂シートを得た。
<実施例4>
実施例1において、樹脂シート(1)の代わりに樹脂シート(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4の印刷済樹脂シートを得た。
<実施例5>
実施例2において、樹脂シート(1)の代わりに樹脂シート(2)を用いた以外は、実施例2と同様にして実施例5の印刷済樹脂シートを得た。
<実施例6>
実施例3において、樹脂シート(1)の代わりに樹脂シート(2)を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例6の印刷済樹脂シートを得た。
<比較例1>
実施例1において、グラビア印刷用の溶剤インクとして、ポリSダイヤDX-60-Nアイ800の代わりにウレタン系樹脂を含有するインク(商品名:ラミスターR39 藍、東洋インキ社製、破断温度:250℃より大きい)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の印刷済樹脂シートを得た。
<比較例2>
上記樹脂シート(1)の一方の面に、RIテスターを用いて、UV硬化型樹脂を含有するオフセット印刷用のUV硬化型インク(商品名:ベストキュアUV161、T&K TOKA社製、破断温度:250℃より大きい)を2g/m印刷した。その後、UV照射機にて100mJ/cmで硬化させて印刷層を形成し、比較例2の印刷済樹脂シートを得た。
<比較例3>
比較例2において、樹脂シート(1)の代わりに樹脂シート(2)を用いた以外は、比較例2と同様にして比較例3の印刷済樹脂シートを得た。
表2は、印刷層の形成に用いたインク組成物の一覧を示す。
Figure 0007290798000010
<燃焼試験後の残渣率>
樹脂シート(1)及び(2)が含有する各熱可塑性樹脂の燃焼試験後の残渣率は、次のようにして測定した。2種以上の熱可塑性樹脂を含有する場合は、樹脂シート中の各熱可塑性樹脂の含有量とそれぞれの残渣率とを乗算した値の和を求めた。
樹脂10mgをアルミ製の容器に入れて熱重量示差熱分析装置Thermo plus Evo TG8120(リガク社製)内に設置し、10℃/minで600℃まで昇温した。昇温前と昇温完了後の質量をそれぞれ測定し、昇温前の質量に対する昇温後の質量の割合(質量%)を残渣率として算出した。
<破断温度>
印刷層の破断温度は、次のようにして測定した。
印刷層の形成に用いたインク(単品)を、テフロン(登録商標)シート上に、乾燥状態(ただし、UV効果型インクについては硬化後)の厚さが100μmとなるように塗工して乾燥させた。その後、長辺×短辺×厚みが68mm×5mm×100μm である短冊状の型枠によりカットした。テフロン(登録商標)シートを取り除くことで、印刷層のみのサンプルを得た。
得られたサンプルを固相動的粘弾性測定装置(DMA)(装置名:RSA3、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)にセットし、サンプルの長辺側の端部をDMAのクリップで固定した。クリップ間の間隔は20mmとした。温度23℃、相対湿度50%RH、及び大気圧下の条件で、引張張力3g及び振動数10Hzの試験力を加えた。その後、試験力は一定の状態で、昇温速度10℃/minで徐々に昇温させて、サンプルが破断した時の温度を破断温度として測定した。温度250℃まで昇温しても破断しないサンプルの破断温度は、250℃より大きいと評価した。
(評価)
上記の実施例及び比較例の印刷済樹脂シートについて、下記評価を行った。また、参考例1及び2としてそれぞれ印刷前の樹脂シート(1)及び(2)についても、下記評価を行った。
<シート成形時のヤケ>
ヤケとは、シート成形時に樹脂が流れにくい部分が長時間加熱され、添加剤、主にリン系化合物等の難燃剤が劣化又は黒色に変色することをいう。白色の樹脂シート中にヤケが混入すると、斑点のような汚れが生じることがある。
印刷済樹脂シートからランダムに100mm×100mmを切り取り、そのシート内に存在する黒色異物の個数と大きさをルーペと定規を用いて目視で測定した。黒色異物の直径が0.3mmより大きい場合は1個につき1ポイント、0.2mm以上0.3mm以下の場合は1個につき0.5ポイント、0.2mm未満の場合は0ポイントとして、その合計ポイント数によりヤケを下記のように評価した。
A:1ポイント未満
B:1ポイント以上、3ポイント未満
C:3ポイント以上
<難燃性(防炎試験45度コイル法)>
各実施例及び比較例で得られた樹脂シートについて、消防法施行規則第4条3に規定される「45度コイル法」にて、難燃性評価試験を実施した。具体的には45度コイル法で燃焼試験を行い、燃え尽きるまでの接炎回数を測定した。なお、難燃性は下記の基準で評価した。
A(良) :4回以上
B(可) :3回
C(不可):2回以下
表3は、評価結果を示す。表3中、「<a」はaより小さいことを示し、「b<」はbより大きいことを示す。
Figure 0007290798000011
印刷層の破断温度が250℃以下の実施例1~6の印刷済樹脂シートは、シート成形時のヤケが少なく、優れた難燃性が得られている。一方、印刷層の破断温度が250℃を超える比較例1~3の印刷済樹脂シートは、ヤケは同程度だが難燃性が低い。参考例1及び2によれば、樹脂シート(1)及び(2)自体の難燃性は高いことから、印刷層の破断温度が特定温度以下ではない比較例1~3の印刷済樹脂シートは、樹脂シートの優れた難燃性を維持できていないことが分かる。
本出願は、2020年3月27日に出願された日本特許出願である特願2020-057740号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願のすべての記載内容を援用する。

Claims (9)

  1. 樹脂シートと、前記樹脂シートの少なくとも一方の面上に印刷層と、を有する印刷済樹脂シートであって、
    前記樹脂シートが、NOR型光安定剤及びリン系化合物を含有する熱可塑性樹脂シートであり、前記熱可塑性樹脂シートに用いられる熱可塑性樹脂の燃焼試験後の残渣率が5%以下であり、
    前記印刷層の破断温度が、250℃以下であり、
    前記リン系化合物が、下記式(3)で表される亜リン酸エステル化合物である
    印刷済樹脂シート。
    Figure 0007290798000012

    (式中、R 及びR は同一であっても異なっていてもよく、置換又は無置換のC 1~30 アルキル基、置換又は無置換のC 3~30 シクロアルキル基、あるいは置換又は無置換のC 6~30 アリール基を示す。)
  2. 前記熱可塑性樹脂が、主成分としてオレフィン系樹脂を含む
    請求項1に記載の印刷済樹脂シート。
  3. 前記オレフィン系樹脂が、主成分としてプロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂の少なくとも1種を含む
    請求項2に記載の印刷済樹脂シート。
  4. 前記NOR型光安定剤が、下記式(1)又は下記式(2)で表される化合物である
    請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷済樹脂シート。
    Figure 0007290798000013

    Figure 0007290798000014

    〔式(2)中、Rは下記式(2-1)で表される置換基である。〕
    Figure 0007290798000015
  5. 前記印刷層が、色材及びバインダー樹脂を含有する
    請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷済樹脂シート。
  6. 前記バインダー樹脂が、アミド系樹脂、塩素化プロピレン系樹脂及び塩化ビニル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む
    請求項5に記載の印刷済樹脂シート。
  7. 前記印刷層が、乾燥状態にあるインク組成物の膜であり、
    前記インク組成物が、前記色材、前記バインダー樹脂、及び有機溶剤を含有する
    請求項5又は6に記載の印刷済樹脂シート。
  8. 前記インク組成物が、グラビア印刷用インク組成物である
    請求項7に記載の印刷済樹脂シート。
  9. 前記リン系化合物が、270℃以上の引火点を有するか、引火点を有しない
    請求項1又は2に記載の印刷済樹脂シート。
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