JP7288753B2 - 活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物、及びそれを用いた印刷物の製造方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物、及びそれを用いた印刷物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物、及びそれを用いた印刷物の製造方法に関する。
オフセット印刷は、油性であるオフセット印刷用インキ組成物(以下、「インキ組成物」又は「インキ」と適宜省略する。)が水に反発する性質を利用した印刷方式であり、凹凸を備えた印刷版を用いる凸版印刷方式とは異なり、親油性の画像部と親水性の非画像部とを備えた、凹凸のない印刷版を用いることを特徴とする。この印刷版を用いて印刷を行う場合、まず、湿し水を印刷版に接触させて非画像部の表面に水膜を形成させた後に、インキ組成物を印刷版に供給する。すると、供給されたインキ組成物は、水膜の形成された非画像部には反発して付着せず、親油性の画像部のみに付着する。こうして、印刷版の表面にインキ組成物による画像が形成され、次いでそれがブランケット及び紙に順次転移することにより印刷が行われる。
また、上記のように湿し水を用いたオフセット印刷の他に、シリコーン樹脂により非画像部が形成された印刷版を用いた水無しオフセット印刷方式も実用化されている。この印刷方式では、湿し水がインキ組成物と反発して非画像部を形成するのではなく、シリコーン樹脂がインキ組成物と反発して非画像部となる。こうした点を除けば、水無しオフセット印刷もまた、湿し水を用いたオフセット印刷と共通の印刷方式である。そこで、本明細書では、湿し水を用いた印刷方式のみならず、水無し印刷方式をも含めた概念として「オフセット印刷」という用語を用いる。
オフセット印刷により得られた印刷物は、その表面に付着しているインキ組成物が十分に乾燥した状態とならなければ、印刷物を重ねた際に裏移りを生じたり、指で印刷物に触れた際にインキが付着したりするので、後工程に回したり、商品として流通させたりすることができない。したがって、オフセット印刷を行った後に、印刷物の表面に付着したインキ組成物を乾燥させる工程が必要となる。こうした工程を短時間で行うために、近年では活性エネルギー線硬化型のインキ組成物を用いた印刷が盛んに行われるようになっている。このタイプのインキ組成物には、モノマーやオリゴマー等といった重合性化合物と、紫外線や電子線等の活性エネルギー線が照射された際に当該重合性化合物を重合させる重合開始剤と、が含まれる。そのため、このインキ組成物を用いて印刷された未乾燥状態の印刷物の表面に活性エネルギー線が照射されると、そこに含まれる重合性化合物が互いに重合して高分子量化する。その結果、印刷物の表面に存在するインキ組成物は瞬時にべとつきのない(すなわち乾燥した)皮膜に変化する。このような乾燥方式を採用するインキ組成物は、各種のものが提案されている(例えば、特許文献1、2等を参照)。なお、この工程で用いられる活性エネルギー線としては紫外線や電子線が挙げられるが、装置のコストや扱いやすさなどに鑑みて紫外線が選択されることが多い。
ところで近年、様々な業界や業種で環境負荷低減活動が展開されているが、最終的な目標は地球環境保全で共通している。印刷インキ業界においてもこれまで各種の観点から環境負荷低減を促す活動が行われ、そのような活動の趣旨に適合した製品には各種の認証マークが付されることになっている。このような認証マークとしては、NL規制マーク、ベジタブルマーク、GPマーク、クリオネマーク等が存在する。このような中にあって、最近、印刷インキ工業連合会によって新たにインキグリーンマーク(以下、IGマークと呼ぶ。)制度が制定された。IGマークは、主にインキ組成物を構成する各成分のうちのバイオマスに由来する成分の比率を指標とし、その程度に応じてインキ組成物の環境対応レベルを3段階にランク付けする制度である。つまりこの制度は、環境負荷の低減を目的として、化石資源由来の原材料をバイオマス由来の原材料に代替することを促すことを特徴とするものといえる。
上述の活性エネルギー線硬化型のインキ組成物においても、より少ない紫外線の照射で乾燥できる製品や、消費電力の少ない発光ダイオード(LED)の光で乾燥できる省エネ対応の製品が販売されており、環境負荷低減を目指した動きが広がっているのは他のインキ組成物と同様である。しかしながら、UVインキでは、その成分としてモノマーやオリゴマーを多量に用いなければならないことからバイオマスを由来とする成分を多用することが困難であるとされ、それ故上記IGマークの認定基準には、バイオマス由来の成分比率が含まれておらず、これに代えてリサイクル適性や省エネ対応といった環境対応特性が指標として用いられているのが現状である。
特開2012-102217号公報 特許第4649952号公報
以上のような背景において、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物においてもバイオマス由来の成分比率を高めることは社会的に有用であり、その意義は極めて大きいといえる。しかしながら、活性エネルギー線硬化型のオフセット印刷用インキ組成物で用いられるモノマーやオリゴマーは、一般のオフセット印刷用インキ組成物で用いられるバイオマス由来の材料との相溶性が悪く、従来の材料を適用するのが難しいのが現状である。さらに、一口にバイオマス由来の原料を用いるといっても、それは再生可能原料を用いるという観点では資源保護のために有意義であるが、そのバイオマス由来の原料が動植物油を初めとした可食性のものであれば、新たな飢餓問題を生じ得るともいえる。自動車燃料における再生可能エネルギーとしてバイオエタノールを用いることが話題となったが、そのバイオエタノールを製造するために穀物であるトウモロコシを大量に消費してしまい、飢餓問題の観点からは議論の余地が多かったことは記憶に新しい。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、バイオマス由来の原料比率を高めながらも、相溶性等といったインキ組成物の基本的な適性を維持でき、かつ、飢餓問題につながることを抑制することのできる活性エネルギー線硬化型オフセットインキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン性不飽和結合を備えた化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物において、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gであるロジン変性アルキッド樹脂と、エチレン性不飽和結合を持たず、sp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の動植物由来の油脂又はその変性物からなる特定液体成分とを組み合わせて用いることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本発明においても特定液体成分として動植物由来の油脂を用いることになるが、この油脂はsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、このような高sp値の油脂は殆ど非可食性なので、こうした油脂を用いたとしても飢餓問題につながる可能性は低い。本発明は、以上の知見をもとに完成されたものであり、以下のようなものを提供する。
本発明は、エチレン性不飽和結合を備えた化合物、ロジン変性アルキッド樹脂、特定液体成分、及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物であって、上記ロジン変性アルキッド樹脂が、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gであり、上記特定液体成分が、0~50℃の全範囲で液体であり、エチレン性不飽和結合を持たず、sp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の動植物由来の油脂又はその変性物であり、その含有量が組成物全体に対して1質量%以上80質量%以下である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物である。
上記特定液体成分の含有量は、組成物全体に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
上記特定液体成分は、非可食油脂又はその変性物であることが好ましい。
上記非可食油脂又はその変性物が、ヒマシ油、カシューナッツシェルオイル及びトール油並びにそれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
上記ロジン変性アルキッド樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長が、30~85であることが好ましい。
上記ロジン変性アルキッド樹脂における脂肪酸として炭素数8~16の脂肪酸を含むことが好ましい。
上記ロジン変性アルキッド樹脂における脂肪酸としてヤシ油又はパーム核油の脂肪酸を含むことが好ましい。
上記ロジン変性アルキッドの重量平均分子量が、1000~70000であることが好ましい。
また本発明は、上記活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行う工程を含むことを特徴とする印刷物の製造方法でもある。
本発明によれば、バイオマス由来の原料比率を高めながらも、相溶性等といったインキ組成物の基本的な適性を維持でき、かつ、飢餓問題につながることを抑制することのできる活性エネルギー線硬化型オフセットインキ組成物が提供される。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物の一実施形態、及び本発明の印刷物の製造方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態又は実施態様に限定されるものでなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物(以下、単にインキ組成物とも呼ぶ。)は、オフセット平版印刷に適用されるインキ組成物であり、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射を受けて硬化する能力を備える。後述するように、本発明のインキ組成物は、エチレン性不飽和結合を備えた化合物(モノマーやオリゴマー等)と光重合開始剤とを含有し、活性エネルギー線の照射を受けた際に光重合開始剤から生じたラジカルがエチレン性不飽和結合を備えた化合物を高分子量化させることで硬化する。そのため、印刷直後に印刷物の表面でべたついているインキ組成物に活性エネルギー線が照射されると、瞬時にこのインキ組成物が硬化して皮膜となり、乾燥(タックフリー)状態となる。
本発明のインキ組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線は、後述する光重合開始剤における化学結合を開裂させてラジカルを生じさせるものであればよい。このような活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が例示される。これらの中でも、装置のコストや扱いやすさという観点からは、活性エネルギー線として紫外線が好ましく例示される。活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、その波長としては、用いる光重合開始剤の吸収波長に合わせて適宜決定されればよいが、400nm以下を挙げることができる。このような紫外線を発生させる紫外線照射装置としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、希ガスを封入したエキシマランプ、紫外線発光ダイオード(LED)等を挙げることができる。
本発明のインキ組成物は、エチレン性不飽和結合を備えた化合物及び光重合開始剤を含み、さらに、特定のロジン変性アルキッド樹脂及び液体成分を含む。なお、本発明では、この特定の液体成分のことを「特定液体成分」と呼ぶ。これら特定のロジン変性アルキッド樹脂及び特定液体成分が本発明のポイントとなる。これらのうち、ロジン変性アルキッド樹脂としては、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gであるものを用いる。アルキッド樹脂は、活性硬化線硬化型でない通常のオフセット印刷用インキ組成物にて成分の一つとして用いられ、脂肪酸を原料とするため組成物中のバイオマスカウント(バイオマス成分含有量)を獲得するのに有用である。しかしながら、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物では相溶性の関係で用いるのが難しい。この点、本発明では、特定のsp値を備え、かつロジン変性のアルキッド樹脂を用いることで相溶性の問題を解決する。また、特定液体成分は、エチレン性不飽和結合を持たず、sp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の動植物由来の油脂又はその変性物である。このようなsp値を有する油脂は、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物における相溶性の問題を解決できるばかりか、その多くが非可食であり、飢餓問題を生じることなくバイオマスカウントを獲得できるので有用である。
なお、本発明のインキ組成物は、着色成分(本発明において、インキ組成物に白色や金属色を付与する成分も着色成分に含めるものとする。)を含んでもよい。本発明のインキ組成物が着色成分を含む場合には、そのインキ組成物は例えば画像や文字等の印刷用途に用いることができるし、本発明のインキ組成物が着色成分を含まない場合には、そのインキ組成物は例えばコーティング等の用途に用いることができる。本発明のインキ組成物は、情報を伝達したり鑑賞の対象となったりすること等を目的とした通常の印刷物のみならず、パッケージ印刷等、オフセット印刷によりもたらされる各種の印刷用途に対応する。以下、各成分について説明する。
[エチレン性不飽和結合を備えた化合物]
エチレン性不飽和結合を備えた化合物は、後述する光重合開始剤より生じたラジカルによって重合して高分子量化する成分であり、モノマーやオリゴマー等と呼ばれる成分である。また、オリゴマーよりもさらに高分子量であるポリマーについてもエチレン性不飽和結合を備えたものが各種市販されている。このようなポリマーも上記モノマーやオリゴマーによって、又は当該ポリマー同士によって架橋されて高分子量化することができる。そこで、こうしたポリマーを、上記モノマーやオリゴマーとともにエチレン性不飽和結合を備えた化合物として用いてもよい。
モノマーは、エチレン性不飽和結合を有し、上記のように重合して高分子量化する成分であるが、重合する前の状態では比較的低分子量の液体成分であることが多く、樹脂成分を溶解させてワニスとする際の溶媒とされたり、インキ組成物の粘度を調節したりする目的にも用いられる。モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ備える単官能モノマーや、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上備える2官能以上のモノマーが挙げられる。2官能以上のモノマーは、インキ組成物が硬化するのに際して分子と分子とを架橋することができるので、硬化速度を速めたり、強固な皮膜を形成させたりするのに寄与する。単官能のモノマーは、上記のような架橋能力を持たない反面、架橋に伴う硬化収縮を低減させるのに寄与する。これらのモノマーは、必要に応じて各種のものを組み合わせて用いることができる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキルアクリレート、(メタ)アクリル酸、エチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、アクリオロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等を挙げることができる。これらの単官能モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
2官能以上のモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー;トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマー;等を挙げることができる。これらの2官能以上のモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、モノマーの一種として、エポキシ化植物油をアクリル変性することにより得られるエポキシ化植物油アクリレートがある。これは、不飽和植物油の二重結合に過酢酸、過安息香酸等の酸化剤でエポキシ化したエポキシ化植物油のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸を開環付加重合させた化合物である。不飽和植物油とは、少なくとも1つの脂肪酸が炭素-炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するトリグリセリドのことであり、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油等が例示される。この種のモノマーは、植物油を由来とするものなので、インキ組成物におけるバイオマス成分量を増加させるのに役立つ。エポキシ化植物油アクリレートは、各種のものが市販されているのでそれを用いてもよい。
オリゴマーは、上記のように重合して高分子量化する成分であるが、もともとが比較的高分子量の成分であるので、インキ組成物に適度な粘性や弾性を付与する目的にも用いられる。オリゴマーとしては、エポキシ樹脂等といったエポキシ化合物に含まれるエポキシ基を酸や塩基で開環させた後に生じる水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるエポキシ変性(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシアクリレート、二塩基酸とジオールとの縮重合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるポリエステル変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル化合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるポリエーテル変性(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との縮合物における末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるウレタン変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。このようなオリゴマーは市販されており、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製のエベクリルシリーズ、サートマー社製のCN、SRシリーズ、東亜合成株式会社製のアロニックスM-6000シリーズ、7000シリーズ、8000シリーズ、アロニックスM-1100、アロニックスM-1200、アロニックスM-1600、新中村化学工業株式会社製のNKオリゴ等の商品名で入手することができる。これらのオリゴマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和結合を備えたポリマーは、上述のモノマーやオリゴマーとともに高分子量化する成分であり、活性エネルギー線が照射される前から大きな分子量を備えているので、インキ組成物の粘弾性の向上に役立つ成分である。このようなポリマーは、例えば、低粘度の液体であるモノマー中に溶解又は分散された状態で用いられる。エチレン性不飽和結合を備えたポリマーとしては、ポリジアリルフタレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル樹脂、アクリル変性フェノール樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、ポリジアリルフタレートは、上記モノマーやオリゴマーとの相溶性が特に優れているので好ましく用いることができる。
インキ組成物中における、エチレン性不飽和結合を備えた化合物の含有量は、30~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。エチレン性不飽和結合を備えた化合物の含有量が上記の範囲であることにより、良好な硬化性と良好な印刷適性とを両立できる。また、エチレン性不飽和結合を備えたポリマーの含有量としては、0~50質量%が好ましく、0~30質量%がより好ましく、0~20質量%がさらに好ましい。ポリマーの含有量が上記の範囲であることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与してミスチング等の発生を抑制できるとともに、インキ組成物の良好な硬化性を確保することができるので好ましい。
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射を受けてラジカルを発生させる成分であり、生じたラジカルが上記エチレン性不飽和結合を備えた化合物を重合させ、インキ組成物を硬化させる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線が照射された際にラジカルを生じさせるものであれば特に限定されない。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス-2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4,6-トリメチルベンジル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン等が挙げられる。このような光重合開始剤は市販されており、例えばBASF社からイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア184、イルガキュア379、イルガキュア819、TPO等の商品名で、Lamberti社からDETX等の商品名で入手することができる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
インキ組成物中における光重合開始剤の含有量としては、1~20質量%が好ましく挙げられ、2~15質量%がより好ましく挙げられ、2~13質量%がさらに好ましく挙げられる。インキ組成物中における光重合開始剤の含有量が上記の範囲であることにより、インキ組成物の十分な硬化性と、良好な内部硬化性やコストとを両立できるので好ましい。
[ロジン変性アルキッド樹脂]
ロジン変性アルキッド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gである。このようなロジン変性アルキッド樹脂を用いることにより、インキ組成物における良好な相溶性を得ながら、インキ組成物におけるバイオマス由来成分の含有量を高めることができる。また、ロジン変性アルキッド樹脂は、そのポリマー鎖又は側鎖に樹脂酸骨格を含むので顔料に対する親和性に優れ、良好な顔料分散性をもたらすほか、印刷されたインキ組成物の良好な光沢をもたらす。
本発明のインキ組成物には、上記の通りモノマーやオリゴマーが成分として含まれ、これらの成分は比較的高いsp値を有する。そのため、本発明のインキ組成物で用いるロジン変性アルキッド樹脂は、9.0~11.0(cal/cm1/2という、この種の材料としては高いsp値を有するものを用いる。これにより、本発明のインキ組成物は、良好な相溶性を備えるものとなる。ロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値は、9.3~10.0(cal/cm1/2がより好ましく、9.5~10.0(cal/cm1/2がさらに好ましい。
濁点滴定法による溶解性パラメータsp値の算出について説明する。これは、簡便な実測法である濁点滴定により測定することができ、下記のK.W.SUH,J.M.CORBETTの式に従い算出される値である。なお、この方法によるsp値の算出については、J.Appl.Polym.Sci.1968,12,2359を参考にすることができる。
式 sp値=(Vml 1/2・δH+Vmh 1/2・δD)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
濁点滴定では、試料0.5gを良溶媒であるトルエン10mL又はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)10mLに溶解させた中に低sp値貧溶媒であるn-ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(mL)を読み、同様にトルエン溶液中に高sp値貧溶媒であるエタノールを加えたときの濁点における滴定量D(mL)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、及びδDを算出し、上記式へ代入すればよい。
なお、上記の濁点滴定で用いた各溶剤の分子容やsp値は次の通りである。
良溶媒の分子容 φ0 トルエン:106.28mL/mol
TMPTA:279.55mL/mol
低sp値貧溶媒の分子容 φl n-ヘキサン:131.61mL/mol
高sp値貧溶媒の分子容 φh エタノール:58.39mL/mol
各溶剤のsp値 トルエン:9.14、TMPTA:9.88
n-ヘキサン:7.28、エタノール:12.58
ml=(φ0・φl)/{(1-VH)・φl+VH・φ0}
mh=(φ0・φh)/{(1-VD)・φh+VD・φ0}
VH=H/(M+H)
VD=D/(M+D)
δH=(δ0・M)/(M+H)+(δl・H)/(M+H)
δD=(δ0・M)/(M+D)+(δl・D)/(M+D)

δ0:良溶媒のsp値
δl:低sp値貧溶媒のsp値
δh:高sp値貧溶媒のsp値
H:低sp値貧溶媒の滴定量(mL)
D:高sp値貧溶媒の滴定量(mL)
M:良溶媒の量(mL)
VH:低sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
VD:高sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
ロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、1~50mgKOH/gである。酸価が50mgKOH以下であることにより、このロジン変性アルキッド樹脂を適用したオフセット印刷用インキ組成物における異常乳化等のトラブルの発生を抑制することができる。この酸価は、1~25mgKOHであることが好ましく、1~10mgKOHであることがより好ましい。
ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、1000~70000であることが好ましい。重量平均分子量が1000以上であることにより、顔料の分散性に優れ、インキ組成物に良好な粘弾性を付与することができるので好ましく、重量平均分子量が70000以下であることにより、溶解性が良好でハンドリングに優れるので好ましい。
上記のようにロジン変性アルキッド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体である。次に、これらの成分について説明する。
樹脂酸は、ロジン類に含まれるアビエチン酸及びその異性体、並びにそれらの誘導体を指す。ロジン類は、松科の植物から採集される松脂の不揮発性の成分であり、アビエチン酸及びその異性体を主成分とする。アビエチン酸及びその異性体としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等が挙げられ、これらはいずれもカルボキシル基を有し、後述する多価アルコールとエステルを形成することができる。ロジン変性アルキッド樹脂にこうした樹脂酸が導入されることにより、顔料に対する親和性を向上させることができるとともに、得られるロジン変性アルキッド樹脂におけるバイオマス由来の成分比率を高めることができる。
上記のアビエチン酸及びその異性体にはカルボキシル基が一つしか含まれないが、これを変性することにより複数のカルボキシル基を導入することができる。例えば、アビエチン酸はtrans-ジエン化合物であるが、これを加熱するとcis-ジエン化合物へ異性化させることができる。こうして得られたcis-ジエン化合物と、マレイン酸や1,2-シクロヘキセンジカルボン酸等のような複数のカルボキシル基を有するジエノフィル化合物とをディールスアルダー反応させることによって、アビエチン酸骨格に複数のカルボキシル基を導入することができる。また、複数分子のアビエチン酸又はその異性体を重合させることにより重合ロジンが合成されるが、こうした化合物も複数のカルボキシル基を有するものである。上記アビエチン酸及びその異性体の誘導体とはこうした化合物を指すものである。
ロジン類は樹脂酸を主成分とするものであるので、上記樹脂酸に代えてロジン類そのものを用いてもよい。ロジン類は、製造方法やその後の化学処理等の違いから複数の種類が知られているが、いずれのロジン類を用いてもよい。このようなロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン等が挙げられる。また、ロジン類に対して、上記のようなディールスアルダー反応により変性を行ってもよい。なお、保存安定性の観点からは、共役二重結合を化学的に有さないか少ないロジン類を用いることが好ましい。このようなロジン類としては不均化ロジン、水添ロジンを挙げることができる。もっとも、共役二重結合を有するロジン類も合成された樹脂の保存安定性の面でやや劣るものの、問題無く使用することが可能である。
脂肪酸は、植物油や動物油のような天然油脂を加水分解することにより得られるものであり、1個のカルボキシル基を有するので、後述する多価アルコールとエステルを形成することができる。ロジン変性アルキッド樹脂にこうした脂肪酸が導入されることにより、得られるロジン変性アルキッド樹脂におけるバイオマス由来の成分比率を高めることができる。このような観点から、樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長が30~85程度になるような量の脂肪酸を用いることが好ましく、50~85程度になるような量の脂肪酸を用いることがより好ましい。
既に述べたように、本発明のロジン変性アルキッド樹脂の製造方法では、調製されるロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法によるsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2になるように脂肪酸を選択することを特徴の一つとする。この数値はこの種の樹脂としては比較的高いものであり、調製されるロジン変性アルキッド樹脂がこうした高いsp値を備えることにより、同じく高いsp値を備えるモノマーやオリゴマー類と良好な相溶性を備えることができる。
脂肪酸としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸等を挙げることができる。ところで、脂肪酸はカルボキシル基を有し、比較的sp値の高い化合物ということができる。それら脂肪酸の中でも炭素数が少ないほどsp値が高くなる傾向があり、そのような観点から本発明では、炭素数が8~16である脂肪酸を好ましく用いることができ、炭素数が8~14である脂肪酸をより好ましく用いることができる。このような高いsp値を持つ脂肪酸を一種又は2種以上を組み合わせて用いることにより、調製されるロジン変性アルキッド樹脂のsp値も高くすることができる。このような観点からは、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸が好ましく例示される。これらの脂肪酸は、いずれもFeders sp値が9.18以上である。もっとも、これよりも低いsp値を有する脂肪酸が使えないということではなく、低いsp値の脂肪酸であっても、高いsp値の脂肪酸と組み合わせれば問題無く用いることができる。いずれにしても、調製されたロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2になるようにこれらを適宜組み合わせればよい。また、脂肪酸は、不飽和脂肪酸であっても飽和脂肪酸であってもよいが、変質による着色等を避ける観点からは、分子内に含まれる不飽和結合の数が1以下のものが好ましく用いられる。なお、オレイン酸、リノール酸、エレオステアリンサン酸等のような不飽和結合の数が2以上の脂肪酸については、酸化処理により二重結合部分がエポキシ化されて消去されたものを使用することが望ましい。このような変性脂肪酸も本発明における脂肪酸として用いることができる。これら脂肪酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のように炭素数の少ない脂肪酸であるほど好ましく、そのような観点からは、ヤシ油又はパーム核油の脂肪酸を用いることが好ましい。これらの脂肪酸は、炭素数12~14の脂肪酸が豊富に含まれるので、ロジン変性アルキッド樹脂のsp値が高くなるように調節するのに好ましく用いられる。もっとも、最終的にロジン変性アルキッド樹脂のsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2になればよいので、そのような範囲を実現することのできる範囲で他の油脂を由来とする脂肪酸を用いてもよい。
多塩基酸は、複数のカルボキシル基を有する化合物であり、後述する多価アルコールと縮重合して高分子量化させるための成分である。複数のカルボキシル基を有する化合物としては、アルキッド樹脂の合成に用いられてきたものを制限なく用いることができ、2又は3以上のカルボキシル基を備え、又はこれらの酸無水物であってもよい。
このような化合物としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキセンジカルボン酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5-ソディオスルホイソフタル酸、フマル酸、安息香酸、tert-ブチル安息香酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、セバシン酸、アゼライン酸、テトラブロム無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラクロロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールは、既に説明した、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分とエステルを形成させ、これらの成分を高分子量化するものである。多価アルコールとしては、これまでアルキッド樹脂の合成に用いられてきたものを制限なく用いることができ、2又は3以上の水酸基を備える化合物が挙げられる。
このような化合物としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール1,3、3-メチルペンタンジオール1,5、ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAのごとき二官能フェノールのエチレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのごとき二官能フェノールのプロピレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド共重合変性化合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合系ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、アダマンタンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ロジン変性アルキッド樹脂の分子量を調節するために、脂肪酸以外の一塩基酸を酸成分として加えてもよい。このような一塩基酸としては、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。
次に、これらを用いてロジン変性アルキッド樹脂を調製する方法について説明する。ロジン変性アルキッド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールとを反応させることで調製される。反応手順としては、これらの原料を仕込んだ反応釜に、窒素ガス等不活性ガスを流入させた状態でキシレン等の溶剤を少量加えて加熱を行い、縮合水と共沸させて水を除きながら縮重合させる方法を挙げることができる。反応温度としては170~250℃程度を挙げることができ、反応時間としては5~25時間程度を挙げることができるが特に限定されない。反応終了の判断は、反応時間の経過に応じて反応混合物の酸価をモニターすることで行うことができる。すなわち、縮重合に伴う反応混合物の酸価の低下が止まった時点で反応終了とすればよい。縮重合反応は、縮重合によって生じた水を系外に留出させるか反応触媒を用いることで、より短時間で行うことができる。反応触媒としては、テトラブチルジルコネート、モノブチルチンオキサイド(モノブチルすずオキサイド)、ジルコニウムナフテート、テトラブチルチタネート等を挙げることができる。
既に述べたように、ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、1000~70000程度であることが好ましい。ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、酸成分と多価アルコールとのバランスによって決定されるものなので、初回の合成は小スケールで行い、反応条件や原材料の種類などを決定してから大スケールの合成へ移行することが望ましい。
縮重合反応によって得られたロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2となるように原料となる脂肪酸の種類や量を選択することが必要である。そのため、先に述べた重量平均分子量の場合と同様に、初回の合成は小スケールで行い、反応条件や原材料の種類などを決定してから大スケールの合成へ移行することが望ましい。既に述べたように、ロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値は、9.3~10.0(cal/cm1/2がより好ましく、9.5~10.0(cal/cm1/2がさらに好ましい。
これも既に述べたように、縮重合反応によって得られたロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、1~50mgKOHである。酸価が50mgKOH以下であることにより、このロジン変性アルキッド樹脂を適用したオフセット印刷用インキ組成物における異常乳化等のトラブルの発生を抑制することができる。この酸価は、1~25mgKOHであることが好ましく、1~10mgKOHであることがより好ましい。なお、反応終了時点でのロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、酸成分と多価アルコールとの量のバランスによって決定されるものなので、先に述べた重量平均分子量の場合と同様に、初回の合成は小スケールで行い、反応条件や原材料の種類などを決定してから大スケールの合成へ移行することが望ましい。
なお、上記の製造方法では樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールとを反応させるものだが、これ以外の方法でロジン変性アルキッド樹脂が調製されてもよい。このような方法としては、植物油及び/又はその脂肪酸エステルと多価アルコールとをエステル交換反応させて反応中間体を調製し、次いで、この反応中間体を下記(1)~(3)のいずれかの存在下で縮重合させる方法や、植物油及び/又はその脂肪酸エステルと下記(1)~(3)のいずれかとをエステル交換反応させて反応中間体を調製し、次いで、この反応中間体を多価アルコールの存在下で縮重合させる方法を挙げることができる。
(1)樹脂酸及び多塩基酸
(2)複数のカルボキシル基を備えた樹脂酸誘導体
(3)複数のカルボキシル基を備えた樹脂酸誘導体、及び多塩基酸
[特定液体成分]
特定液体成分は、エチレン性不飽和結合を持たず、sp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の動植物由来の油脂又はその変性物である。このようなsp値を有する油脂は、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物における相溶性の問題を解決できるばかりか、その多くが非可食であり、飢餓問題を生じることなくバイオマスカウントを獲得できるので有用である。本発明は、特定液体成分がこれら二つの課題(相溶性が良好なこと、及び飢餓問題を生じずにバイオマスカウントを得ること)を一挙に解決できる点に注目しており、特定液体成分を用いることは、上記ロジン変性アルキッド樹脂を用いることと併せて本発明のポイントとなる。
すなわち、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物で用いられる重合成分、すなわちエチレン性不飽和結合を有する化合物は、その他の乾燥方式を用いるインキ組成物で用いられる油脂等の成分よりも極性が高いのが一般的である。このため、sp値が9.0(cal/cm1/2未満の成分は、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物で用いられる重合成分と相溶性が悪く、バイオマスカウントを得るという観点からは好ましくない。その一方で、sp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の成分については、これらモノマー等の成分との相溶性が良好なのでこうした問題を生じない。また、大豆油や亜麻仁油などといった可食性油の殆どはsp値が9.0(cal/cm1/2未満であり、本発明で用いるsp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の油脂又はその変性物は、その多くが非可食油である。このため、飢餓問題を生じさせずにインキ組成物へ高いバイオマスカウントをもたらす。なお、ここでいうsp値は、濁点滴定法による溶解性パラメータであり、上記ロジン変性アルキッド樹脂の説明で述べたものと同じである。
さらに、上記のように特定液体成分は、エチレン性不飽和結合を持たず、ラジカルの存在下において急速に重合する性質のものではない。このため、印刷後のインキ組成物内においてモノマー等の成分がラジカルの存在により重合する間も、上記物質群がインキ組成物の流動性を維持し、レベリングの向上に寄与するものと考えられる。したがって、特定液体成分を含有する本発明のインキ組成物を用いて印刷を行うと、良好な光沢を備えた印刷靴が得られる。
上記のように、特定液体成分は重合成分との相溶性が良好なので、相溶性という観点からはインキ組成物に対するその添加量に上限はないが、硬化性などの特性を維持するとの観点から、本発明ではインキ組成物への特定液体成分の添加量として80質量%を上限とする。この上限は、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。また、特定液体成分のインキ組成物中への添加量は1質量%を下限とする。この下限は、3質量%であることが好ましい。なお、特定液体成分は常温で液状を呈することが好ましい。常温で液状とは、インキ組成物の保存環境や印刷環境における温度にて液体であるとの意味である。このような常温としては、0~50℃程度が挙げられる。
なお、動植物由来の油脂という用語は、通常であれば動植物油といったトリグリセリドを意味することが多いが、本発明では広く動植物を由来とする油状の物質を意味する。動植物由来の油脂の変性物としては、sp値が上記の範囲であるか否かを問わない動植物由来の油脂に対して化学修飾を加えた結果、sp値が上記の範囲となるものを挙げることができる。このような変性物としては、ヒマシ油、トール油等といった高sp値を有するトリグリセリドの脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、重合ヒマシ油、不飽和動植物油又はそれらの脂肪酸のエポキシ化物、カシューナッツシェルリキッドの重合物、カシューナッツシェルリキッド変性誘導体等を挙げることができる。なお、エチレン性不飽和結合を持たないとは、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等のような、ラジカルの存在下において急速に重合する性質の置換基を持たないという意味である。
不飽和動植物油又はそれらの脂肪酸のエポキシ化物(以下、「エポキシ化油脂」と適宜省略する。)は、少なくとも1つのエポキシ基を有する脂肪酸とアルコールとのエステルである。このようなエポキシ化油脂としては、エポキシ基を有するトリグリセリドのみならず、エポキシ基を有する脂肪酸とアルコール(モノアルコール又はポリアルコールであることを問わない。)とのエステルを挙げることができる。このようなアルコールとしては、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2-エチルヘキサノール等の炭素数1~14のアルコールが例示されるが特に限定されない。グリセリン等のような多価アルコールの場合、当該多価アルコールには、少なくとも1つのエポキシ基を有する脂肪酸が少なくとも1つ縮合(すなわちエステル結合を形成)していればよく、少なくとも1つのエポキシ基を有する脂肪酸が複数個縮合していてもよい。この場合、それぞれの脂肪酸は互いに独立に選択されてもよい。エポキシ化油脂は、分子中にエポキシ基が存在することにより高いsp値を示すので、もともと低いsp値の各種動植物油やその脂肪酸エステル等を原料としてこれをエポキシ化したものであってもよい。
エポキシ基は、酸素原子が、既に互いに結合している2個の炭素原子のそれぞれに結合している、3員環状エーテル(オキシラン又はアルキレンオキシドとも呼ばれる)である。エポキシ化油脂としては、エポキシ化大豆油(ESO)、エポキシ化トウモロコシ油、エポキシ化ヒマワリ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化カノーラ油、エポキシ化菜種油、エポキシ化ベニバナ油、エポキシ化トール油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化2-エチルヘキシルステアレート、エポキシ化ステアリン酸ステアリル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートエポキシ化大豆油、エポキシ化プロピレングリコールジオレエート、エポキシ化パーム油、エポキシ化脂肪酸メチルエステル等が例示される。これらの中でもエポキシ化トール油が好ましく例示される。
エポキシ化油脂は、多様な方法で調製することができる。例えば、トリグリセリドを母骨格とするエポキシ化油脂は、脂肪酸部分に不飽和結合を備えた植物油又は動物油を適切な酸化剤や過酸化物により酸化することで得られる。また、トリグリセリドでない脂肪酸エステルを母骨格とするエポキシ化油脂は、不飽和結合を備えた、動植物油由来の脂肪酸をアルコール(モノオール又はポリオールであることを問わない。)と反応させてエステル化、エステル交換又はエステル置換反応をさせることにより脂肪酸エステルを得て、さらにこれらの脂肪酸エステルを適切な酸化剤や過酸化物により酸化することで得られる。なお、これらの調製方法は一例であり、その他の調製方法を採用することもできるし、市販のエポキシ化油脂を購入して用いてもよい。
カシューナッツシェルリキッドは、食用として使用される天然のカシューナッツの実を採取する際、副生物として得られるカシューナッツの殻に含まれる油状の液体であり、アナカルド酸、カルドール、2-メチルカルドール、カルダノール等を含む。これらのうち、カルダノール及びカルドールは芳香環にヒドロキシル基及び直鎖状炭化水素が結合した化合物であり、2-メチルカルダノールはカルダノールの芳香環にメチル基が結合した化合物であり、カルダノール酸はカルダノールの芳香環にカルボキシル基が結合した化合物で、これらはいずれもアルケニル置換フェノール類ということができる。ここに含まれるアルケニル基は、炭素数が15~18の脂肪族炭化水素基であり、その鎖中に1~3個の不飽和結合を含む。なお、このアルケニル基に含まれる不飽和結合は、直鎖状の炭化水素基の途中に含まれるものであり、エチレン性不飽和結合とは異なる。カシューナッツシェルリキッドは、様々なグレードのものが各種市販されているので、そのような市販品を本発明に用いてもよい。このような製品は、カルダノールの純度、色、臭気等に応じていくつかのラインナップがある。このようなラインナップとしては、Cardolite社製のCardolite(登録商標)NX-2021、NX-2022、NX-2023D、NX-2023、UltraLITE2023、NX-2024、NX-2025、NX-2026等や、東北化工株式会社製のCNSL、LB-7000、LB-7250等が挙げられる。
カシューナッツシェルリキッドの変性誘導体としては、カシューナッツシェルリキッドに含まれるアルケニル置換フェノール類のフェノール性水酸基に各種の基を導入したものや、アルケニル基の不飽和結合に各種の置換基を導入したものや、アルケニル基の不飽和結合を酸化してエポキシ化したもの等が挙げられる。このような変性誘導体は各種のものが市販されているので、そのような市販品を本発明に用いてもよい。
このような変性誘導体の中でも、下記一般式(1)~(4)のいずれかで表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0007288753000001
上記一般式(1)中、Rは水素原子、グリシジル基、-(CHOH(mは1~3の整数である。)、-(CO)-H(pは1~15の整数である。)、-(CHCH(CH)O)-H(qは1~15の整数である。)であり、Rは不飽和結合を0~3個含む、炭素数15~18の脂肪族炭化水素基、又はその脂肪族炭化水素に含まれる不飽和結合の一部若しくは全部が酸化されてエポキシ環を形成した基であり、各Rはそれぞれ独立にOR、炭素数1~3のアルキル基又はカルボキシル基であり、nは0~4の整数である。
上記一般式(1)で表す化合物の市販品としては、例えば、Cardolite社製のCardolite(登録商標)LITE2020やCardolite(登録商標)NC-513、NC-510、GX-5166、GX-5167、GX-5170、GX-5248、GX-5190、GX-5191、GX-2551等が挙げられる。これらのうちLITE2020は、Rが-CHCHOHでRが炭素数15のアルケニル基でnが0のアルケニル置換フェニルエーテル化合物であり、NC-513は、Rがグリシジル基でRが炭素数15のアルケニル基でnが0のアルケニル置換フェニルグリシジルエーテルであり、NC-510は、Rが水素原子でRが炭素数15のアルケニル基でnが0のアルケニル置換フェノールであり、GX-5166、5167及び5170は、Rが-(CO)-Hで、Rが炭素数15のアルケニル基でnが0のアルケニル置換フェニルエチルオキシレートであって、GX-5166がp=7、GX-5167がp=9、GX-5170がp=12であり、GX-5243、5190及び5191は、Rが-(CHCH(CH)O)-Hで、Rが炭素数15のアルケニル基でnが0のアルケニル置換フェニルプロピルオキシレートであって、GX-5243がq=1、GX-5190がq=7、GX-5191がq=9である。GX-2551は、下記化学式(5-1)、(5-2)及び(5-3)で表す化合物の混合物であり、Rがグリシジル基で、Rが炭素数15のアルケニル基に含まれる不飽和結合の1又は複数が酸化されてエポキシ環となった基で、nが0のエポキシ化カルダノールである。
Figure 0007288753000002
上記一般式(2)中、Xは不飽和結合を0~3個含む、炭素数15-18の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基である。上記一般式(2)で表す化合物の市販品としては、Cardolite社製のCardolite(登録商標)NC-514が挙げられる。
上記一般式(3)中、R、R及びnは、上記一般式(1)におけるものと同じであり、rは、1~5の整数である。上記一般式(3)で表す化合物の市販品としては、Cardolite社製のCardolite(登録商標)GX-2520が挙げられる。
上記一般式(4)中、R、R及びnは、上記一般式(1)におけるものと同じであり、Rは、水素原子又は水酸基であり、Rは、水素原子又は-COHである。上記一般式(4)で表す化合物の市販品としては、Cardolite社製のCardolite(登録商標)GX-9301及びGX-9302が挙げられる。
カシューナッツシェルリキッドの重合体としては、カシューナッツシェルリキッド及び/又はその変性誘導体のホルムアルデヒドによる縮合物が好ましく例示される。このような縮合物の一例として、下記一般式(6)で表すものを挙げることができる。
Figure 0007288753000003
上記一般式(6)中、各Rはそれぞれ独立に水素原子、-(CHOH又はグリシジル基でmは1~3の整数であり、各Rはそれぞれ独立に不飽和結合を0~3個含む、炭素数15~18の脂肪族炭化水素基であり、nは1以上の整数である。
上記一般式(6)で表す市販品としては、例えば、Cardolite社製のCardolite(登録商標)NC-547及びNX-4000シリーズが挙げられる。NC-547は、下記一般式(7-1)で例示する構造を備えた、カルダノールとカルダノール変性誘導体とのホルムアルデヒドによる縮合物である。NX-4000シリーズは、下記一般式(7-2)で例示する構造を備えた、カルダノールのホルムアルデヒドによる縮合物である。
Figure 0007288753000004
上記一般式(7-1)及び(7-2)において、各Rはそれぞれ独立に不飽和結合を0~3個含む、炭素数15~18の脂肪族炭化水素基である。
特定液体成分は、非可食油脂又はその変性物であることが好ましい。ここでいう非可食油脂とは、食用でない油脂全般を指すものである。なお、sp値が9.0(cal/cm1/2未満の非可食油脂であっても、その油脂に対してエポキシ化等の化学変性を加えた結果、その変性物のsp値が9.0(cal/cm1/2以上となるならば、その変性物は本発明における特定液体成分として扱う。
これら特定液体成分の中でも、ヒマシ油、カシューナッツシェルオイル及びトール油並びにそれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1つが好ましく挙げられる。
[着色成分]
着色成分としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料、カーボンブラック等の黒色顔料、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウムペースト、ブロンズパウダー等の金属パウダー等が例示される。
着色成分の含有量としては、インキ組成物の全体に対して1~30質量%程度が例示されるが、特に限定されない。なお、着色されたインキ組成物を調製する場合、補色として他の色の着色成分を併用したり、他の色のインキ組成物を添加したりすることも可能である。
[その他の成分]
本発明のインキ組成物には、上記の各成分に加えて、必要に応じて他の成分を添加することができる。そのような成分としては、体質顔料、樹脂成分、重合禁止剤、分散剤、リン酸塩等の塩類、ポリエチレン系ワックス・オレフィン系ワックス・フィッシャートロプシュワックス等のワックス類、アルコール類等が挙げられる。
体質顔料は、インキ組成物に適度な印刷適性や粘弾性等の特性を付与するための成分であり、インキ組成物の調製において通常用いられる各種のものを用いることができる。このような体質顔料としては、クレー、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、ベントナイト、タルク、マイカ、酸化チタン等が例示される。こうした体質顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して0~33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
樹脂成分は、インキ組成物に適度な印刷適性や粘弾性等の特性を付与するのに寄与する成分である。このような樹脂成分としては、従来から印刷用のインキ組成物用途に用いられてきた各種の樹脂を挙げることができるが、上記モノマーやオリゴマーとの相溶性を有するものであることが好ましく、スチレン-アクリル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、植物油変性アルキド樹脂、石油樹脂等を挙げることができる。
インキ組成物中に樹脂成分を添加する場合、インキ組成物中におけるその含有量は、1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、1~15質量%がさらに好ましい。樹脂成分の含有量が上記の範囲であることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与してミスチング等の発生を抑制できるとともに、インキ組成物の良好な硬化性を確保することができるので好ましい。
重合禁止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール化合物や、酢酸トコフェロール、ニトロソアミン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン等を好ましく例示することができ、中でもブチルヒドロキシトルエンをより好ましく例示することができる。インキ組成物にこのような重合禁止剤が添加されることにより、保存時に重合反応が進行してインキ組成物が増粘するのを抑制できる。インキ組成物中の重合禁止剤の含有量としては、0.01~1質量%程度を例示することができる。
分散剤は、インキ組成物中に含まれる着色成分や体質顔料を良好な状態に分散させるために用いられる。このような分散剤は、各種のものが市販されており、例えばビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK(商品名)シリーズ等を挙げることができる。
上記の各成分を用いて本発明のインキ組成物を製造するには、従来公知の方法を適用できる。このような方法としては、上記の各成分を混合した後にビーズミルや三本ロールミル等で練肉して顔料(すなわち着色成分及び体質顔料)を分散させた後、必要に応じて添加剤(重合禁止剤、アルコール類、ワックス類等)を加え、さらに上記モノマー成分や油成分の添加により粘度調整することが例示される。インキ組成物における粘度としては、ラレー粘度計による25℃での値が10~70Pa・sであることを例示できるが、特に限定されない。
<印刷物の製造方法>
上記本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷物の製造方法も本発明の一つである。本発明の印刷物の製造方法は、本発明のインキ組成物を用いることを除いて、通常のオフセット平版印刷技術を用いて実施されるものである。このときに用いられるオフセット平版印刷は、湿し水を用いた水ありの印刷方式であってもよいし、専用の平版印刷版を用いることにより湿し水を用いずに印刷を行う水無しの印刷方式であってもよい。
オフセット平版印刷により作製された未乾燥状態の印刷物に対して活性エネルギー線の照射を行うことにより、未乾燥状態の印刷物は瞬時に乾燥状態となる。これは、印刷用紙の表面に存在するインキ組成物が、活性エネルギー線の照射により硬化することで実現される。活性エネルギー線としては、電子線や紫外線等公知のものを採用することができるが、設置コストや運用の容易さ等の面からは紫外線が好ましく用いられる。なお、本発明のインキ組成物は高い光沢を備えた美麗な印刷物を与えるので、このようにして得られた印刷物が、情報を伝達したり鑑賞の対象となったりすること等のみならず、パッケージ等の用途に用いることができることは言うまでもない。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は質量部を意味する。また、sp値の単位は、(cal/cm1/2である。
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例1の樹脂を得た。合成例1の樹脂の酸価は13mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[合成例2]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、デヒドロアビエチン酸160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例2の樹脂を得た。合成例2の樹脂の酸価は13mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.70であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール50部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、重合ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例3の樹脂を得た。合成例3の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は1.4万だった。
[合成例4]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール20部、グリセリン16部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例4の樹脂を得た。合成例4の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.9万だった。
[合成例5]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例5の樹脂を得た。合成例5の樹脂の酸価は10mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例6]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例6の樹脂を得た。合成例6の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例7]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例7の樹脂を得た。合成例7の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.6万だった。
[合成例8]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例8の樹脂を得た。合成例8の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.63であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例9]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸10部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例9の樹脂を得た。合成例9の樹脂の酸価は6mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は1.9万だった。
[合成例10]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、フマル酸50部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸10部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例10の樹脂を得た。合成例10の樹脂の酸価は5mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は2.1万だった。
[合成例11]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例11の樹脂を得た。合成例11の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.9万だった。
[合成例12]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで実施例12の樹脂を得た。合成例12の樹脂の酸価は10mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.45であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例13]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、不均化ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例13の樹脂を得た。合成例13の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.76であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例14]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例14の樹脂を得た。合成例14の樹脂の酸価は10mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.9万だった。
[合成例15]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例15の樹脂を得た。合成例15の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例16]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例16の樹脂を得た。合成例16の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.62であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[比較合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成例1の樹脂を得た。比較合成例1の樹脂の酸価は21mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.84であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.5万だった。
[比較合成例2]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成例2の樹脂を得た。比較合成例2の樹脂の酸価は18mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.89であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[比較合成例3]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ロジン160部、ペンタエリスリトール36部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成例3の樹脂を得た。比較合成例3の樹脂の酸価は17mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.91であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[比較合成例4]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部、ロジン160部、ペンタエリスリトール36部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成合成合成例4の樹脂を得た。比較合成例4の樹脂の酸価は18mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.85であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[ワニスの調製]
合成例1~16の樹脂のそれぞれについて、樹脂80部、DI-TMPTA19部、及びBHT1部を冷却管付き反応釜に仕込み、100℃で1時間加熱及び撹拌することによりワニス1~16をそれぞれ調製した。いずれのワニスも透明であり、相溶性は良好だった。各ワニスの粘度は概ね1.9~5.4Pa・sの範囲だった。なお、比較合成例1~4の樹脂については、相溶性が悪く、ワニスを調製することはできなかった。
[活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物の調製]
上記の手順で調製したワニス1~16のそれぞれを用いて、インキ1A~16A、1B~16B、1C~16C、1D~16D、及び1E~16Eをそれぞれ調製した。これらインキ番号のアルファベットを除いた部分(1~16の数字)は、インキ組成物の調製に用いたワニスの番号に対応する。調製の手順は、ワニス50部、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、製品名#60)15部、イルガキュア907(BASF社製)7部、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)3部、液体成分20部を混合し、ロール温度40℃の3本ロールミルを用いて粒度が5.0μm以下になるまで練肉し、必要に応じてTMPTA5部を添加して粘度が40Pa・s付近となるように調節してインキ組成物とした。なお、液体成分は、(A)ヒマシ油(sp値:9.7)、(B)CNSL(sp値:10.1)、(C)LITE2020(sp値:9.72)、(D)UL-513(sp値:9.31)及び(E)大豆油(sp値:9.0未満)である。これらのうち、CNSL、LITE2020、UL-513は、Cardolite社のCardolite(登録商標)シリーズであり、いずれもカシューナッツシェルオイル、又はその変性物である。また、上記インキ番号のアルファベット(A~E)は、上記液体成分の(A)~(E)に対応する。例えば、「インキ2C」であれば、ワニス2、及び液体成分(C)LITE2020を用いて調製したインキ組成物となる。なお、大豆油を液体成分として用いたインキ1E~16Eは、相溶性が悪く、成分分離によりインキ組成物として用いることができなかったため、下記の評価を行うことができなかった。
[性状測定]
インキ1A~16A、1B~16B、1C~16C、及び1D~16Dのそれぞれについて、ラレー粘度計を用いて測定した25℃における粘度、及びJIS K5101に従って25℃で測定したスロープを表1~8の「粘度」及び「スロープ」欄にそれぞれ記載した。
[乳化性評価]
インキ1A~16A、1B~16B、1C~16C、及び1D~16Dのそれぞれについて、卓上乳化機(太陽機械製作所製)を使用して、湿し水(KG-502(株式会社小森コーポレーション製)1.5%)の存在下でインキ組成物(1g)を回転ローラーで練り、0.5分間経過時点での当該インキ組成物の乳化率(%)を測定した。その結果を表1~8の「乳化率」欄に記載した。
[硬化性の評価]
インキ1A~16A、1B~16B、1C~16C、及び1D~16Dのそれぞれについて、RI-2型展色機2分割ロール(明製作所製)により、印刷インキ組成物量0.1mL/204cmをアート紙(三菱特アート110K)に展色したものを試験片とし、その後、160W/cmのメタルハライドランプ(焦点距離13cm、集光型、1灯;ヘレウス社製)を使用して試験片に紫外線を照射した。その際、指触によりタックフリーになる硬化速度で評価した。評価基準は下記の3段階とし、その結果を表1~8の「硬化性」欄に記載した。
(評価基準)
○ :硬化速度が100m/min以上である
△ :硬化速度が60m/min以上、100m/min未満である
× :硬化速度が60m/min未満である
[光沢の評価]
上記硬化性の評価によりタックフリーとなった試験片を用いて、光沢値の測定を行った。測定に際しては、村上式デジタル光沢計(村上色彩研究所製)を用いて、60°反射光沢を求めた。その結果を表1~8の「光沢」欄に記載した。
[印刷紙面汚れ評価]
インキ1A~16A、1B~16B、1C~16C、及び1D~16Dのそれぞれについて印刷機を使用した実印刷を行い、その際の印刷紙面汚れを評価した。印刷に際しては、印刷機をLITHRONE LS426、湿し水をKG-502(1.5%;株式会社小森コーポレーション製)、印刷用紙を三菱特アート紙(菊版)として、標準水量から水ダイヤルを5ポイント下げた場合の印刷紙面における汚れ度合いを評価した。評価基準は下記の通りであり、その結果を表1~8の「印刷紙面汚れ」欄に示す。
○:印刷紙面の汚れが認められなかった
×:印刷紙面の汚れが認められた
Figure 0007288753000005
Figure 0007288753000006
Figure 0007288753000007
Figure 0007288753000008
Figure 0007288753000009
Figure 0007288753000010
Figure 0007288753000011
Figure 0007288753000012
表1~8から理解されるように、所定のsp値を有するロジン変性アルキッド樹脂及び液体成分を含む本発明のインキ組成物は、実用的な性状、乳化性、硬化速度及び光沢を示した他、実印刷においても汚れの発生がなく良好だった。その一方で、所定のsp値よりも低いロジン変性アルキッド樹脂(比較合成例1~4)を用いたり、所定のsp値よりも低い液体成分(インキ1E~16E)を用いたりした場合には、相溶性の不足により成分が分離する等の問題を生じ、インキ組成物として用いることができなかった。

Claims (9)

  1. エチレン性不飽和結合を備えた化合物、ロジン変性アルキッド樹脂、特定液体成分、及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物であって、
    前記ロジン変性アルキッド樹脂が、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gであり、
    前記特定液体成分が、0~50℃の全範囲で液体であり、エチレン性不飽和結合を持たず、sp値が9.0(cal/cm1/2以上11.0(cal/cm1/2未満の動植物由来の油脂又はその変性物であり、その含有量が組成物全体に対して1質量%以上80質量%以下である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  2. 前記特定液体成分の含有量が、組成物全体に対して1質量%以上30質量%以下である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  3. 前記特定液体成分が、非可食油脂又はその変性物である請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  4. 前記非可食油脂又はその変性物が、ヒマシ油、カシューナッツシェルオイル及びトール油並びにそれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1つである請求項3記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  5. 前記ロジン変性アルキッド樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長が、30~85である請求項1~4のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  6. 前記ロジン変性アルキッド樹脂における脂肪酸として炭素数8~16の脂肪酸を含む請求項1~5のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  7. 前記ロジン変性アルキッド樹脂における脂肪酸としてヤシ油又はパーム核油の脂肪酸を含む請求項1~6のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  8. 前記ロジン変性アルキッドの重量平均分子量が、1000~70000である請求項1~7のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行う工程を含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
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