JP7287851B2 - 射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品 - Google Patents

射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP7287851B2
JP7287851B2 JP2019125350A JP2019125350A JP7287851B2 JP 7287851 B2 JP7287851 B2 JP 7287851B2 JP 2019125350 A JP2019125350 A JP 2019125350A JP 2019125350 A JP2019125350 A JP 2019125350A JP 7287851 B2 JP7287851 B2 JP 7287851B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
injection blow
blow molding
mass
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019125350A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021011521A (ja
Inventor
剛弘 山本
義嗣 平塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PS Japan Corp
Original Assignee
PS Japan Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PS Japan Corp filed Critical PS Japan Corp
Priority to JP2019125350A priority Critical patent/JP7287851B2/ja
Publication of JP2021011521A publication Critical patent/JP2021011521A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7287851B2 publication Critical patent/JP7287851B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Description

本発明は、射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品に関する。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物は工業的にはラジカル重合法を用いて、ゴム状重合体の存在下で、連続塊状重合法、懸濁重合法、あるいは乳化重合法により製造されている。これらの重合法において製造されたゴム変性スチレン系樹脂組成物は、種々の加工法により成形され、製品として使用されている。当該ゴム変性スチレン系樹脂組成物の成形品としては、容器(トレー、カップ等)、包装用フィルム、シート等の食品用の成形品が挙げられるが、これら成形品、特に、例えば乳酸飲料等に用いることができるカップ容器等は、種々の加工法のなかでも、当該容器等を多量に製造することを要することから、成形時間が非常に短く、効率良く成形品が得られる射出ブロー成形が用いられることがある(例えば特許文献1)。
特開2003-206387号公報
ところで、近年、石油資源枯渇の問題や炭酸ガス排出増加に伴う地球温暖化といった環境問題の観点から、上記のような成形品を射出ブロー成形を用いて成形する際においても、例えば省エネルギー化等によって環境負荷を低減することが求められている。
また、一方で、上記のような射出ブロー成形により得られた成形品においては、内容物の保護の観点や、当該成形品より製造された製品の意匠性の観点から、当該成形品に遮光性が求められることがある。
そこで、本発明は、射出ブロー成形において環境負荷を低減することが可能であり、且つ、遮光性を有する成形品を得ることが可能である射出ブロー成形用樹脂組成物、及び成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゴム変性スチレン系樹脂と、ポリ乳酸を含有する樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕ゴム変性ポリスチレン(A)50~99質量%及びポリ乳酸(B)1~50質量%を含むことを特徴とする、射出ブロー成形用樹脂組成物。
〔2〕厚さ2mmでの全光線透過率が40%未満である、上記〔1〕の射出ブロー成形用樹脂組成物。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕の射出ブロー成形用樹脂組成物からなることを特徴とする、射出ブロー成形品。
本発明によれば、射出ブロー成形において環境負荷を低減することが可能であり、且つ、遮光性を有する成形品を得ることが可能である射出ブロー成形用樹脂組成物、及び成形品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔射出ブロー成形用樹脂組成物〕
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物は、ゴム変性ポリスチレン(A)50~99質量%及びポリ乳酸(B)1~50質量%を含む。本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物によれば、射出ブロー成形において環境負荷を低減することが可能であり、且つ、遮光性を有する成形品を得ることが可能である。
-ゴム変性ポリスチレン(A)-
本実施形態のゴム変性ポリスチレン(A)は、マトリックスを形成するスチレン系重合体及び該マトリックス中に島状に分散しているゴム状重合体粒子を含み、ゴム状重合体の存在下でスチレン系単量体を重合させることにより製造することができる。
本実施形態において、ゴム変性ポリスチレン(A)は、射出ブロー成形用樹脂組成物中に、ゴム変性ポリスチレン(A)およびポリ乳酸(B)の合計含有量100質量%に対して、50~99質量%であり、好ましくは55~97質量%であり、より好ましくは60~95質量%である。本実施形態において、ゴム変性ポリスチレン(A)の含有量を50質量%以上にすることにより、射出ブロー成形時における成形性を確保することができる。また、当該樹脂組成物より得た成形品の耐熱性、機械的物性を確保することができる。一方、ゴム変性ポリスチレン(A)の含有量を99質量%以下にすることにより、ポリ乳酸(B)の含有量を確保することができ、射出ブロー成形において環境負荷を低減し、且つ、遮光性を有する成形品を得ることができる。
ここで、本実施形態におけるゴム変性ポリスチレン(A)中のスチレン系重合体を形成するスチレン系単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等が挙げられ、これらを単独又は2種以上用いてもよい。中でも、スチレンが好ましい。
なお、必要に応じてスチレン系単量体に共重合可能なその他の単量体を本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。ここで用いることが可能なその他の共重合可能な単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物基含有単量体、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のジカルボン酸イミド含有単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
スチレン単量体に共重合可能なその他の単量体の量は、マトリックスを構成する単量体としては好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
本実施形態におけるゴム変性ポリスチレン(A)は、海島構造を有しており、スチレン系重合体がマトリックスを形成し、ゴム状重合体粒子が当該マトリックス中に島状に分散している。また、ゴム変性ポリスチレン(A)中のゴム状重合体粒子は、該ゴム状重合体粒子中にスチレン系重合体(粒子)を内包している。
本実施形態におけるゴム状重合体粒子を形成しているゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン-イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン-プロピレン共重合体などを挙げることができる。特に、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体が好ましい。このようなゴム変性ポリスチレンの例としては、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体)等が挙げられる。
ゴム変性ポリスチレン(A)の流動性は、JIS K 7210-1に従って、200℃、5kg荷重で測定したメルトマスフローレートが1.0~20g/10分の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.2~18g/10分であり、更に好ましくは1.5~16g/10分である。ゴム変性ポリスチレン(A)の流動性が上記範囲を下回ると、樹脂組成物による成形性、特に射出成形での金型充填性が低下して好ましくない。一方、ゴム変性ポリスチレン(A)の流動性が上記範囲を上回ると、樹脂組成物のブロー成形での厚み均一性が低下して好ましくない。
ゴム変性ポリスチレン(A)に含まれるゴム含有量は2.0~15質量%であることが好ましく、より好ましくは2.5~14質量%であり、さらに好ましく3.0~13質量%である。ゴム含有量を2.0質量%以上とすることにより、成形品の割れを防止することができる。一方、ゴム含有量を15質量%以下とすることにより、インジェクションブロー成形に適した流動性を有することができる。
なお本開示で、ゴム変性ポリスチレン(A)中に含まれるゴム成分の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフイーを用いて算出される値である。
ゴム状重合体粒子の平均粒子径は0.7~5.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.8~4.9μm、さらに好ましくは0.9~4.8μmである。ゴム状重合体粒子の平均粒子径を0.7μm以上とすることにより、本発明の他の構成と相まって、目的とする遮光性を発現することができる。一方、ゴム状重合体粒子の粒子径を5.0μm以下とすることにより、成形に適した流動性を有することができる。
本実施形態のゴム変性ポリスチレン(A)の製造方法の例を示す。
典型的な態様において、ゴム変性ポリスチレン(A)は、スチレン系単量体を、ゴム状重合体の存在下で重合させて、スチレン系重合体中にゴム状重合体が分散している海島構造を形成することを含む方法によって製造できる。スチレン系単量体の重合方法に関しては特に制約はなく、スチレン系単量体にゴムを溶かした溶液を用いて、通常の塊状重合、溶液重合、懸濁重合等を行うことができる。また、メルトフローレート調整のために、溶媒や連鎖移動剤を適宜選択して使用することが好ましい。溶媒としてはトルエン、エチルベンゼン、キシレン等を使用できる。溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、重合原料液の全量100質量%に対して、0~50質量%の範囲が好ましい。連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、α-メチルスチレンダイマー等が用いられ、α-メチルスチレンダイマーが好ましい。連鎖移動剤の使用量は、重合原料液の全量100質量%に対して好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.03~1質量%、さらに好ましくは0.05~0.2質量%の範囲である。重合反応温度は好ましくは80~200℃、さらに好ましくは90~180℃の範囲である。反応温度が80℃以上であれば生産性が良好で、工業的に適当であり、一方200℃以下であれば、低分子量重合体が多量に生成することを回避でき好ましい。スチレン系重合体の目標分子量が重合温度のみで調整できない場合は、開始剤量、溶媒量、連鎖移動剤量等で制御すればよい。反応時間は一般に0.5~20時間、好ましくは2~10時間である。反応時間が0.5時間以上であれば反応が良好に進行し、一方、20時間以下であれば、生産性が良好で工業的に適当である。
上記の製造方法において、ゴム変性ポリスチレン(A)中のゴム状重合体の分散粒子の粒子径については、反応器内の撹拌機の回転数により制御が可能であり、トルエン不溶分の量については開始剤量による制御が可能であり、トルエン不溶分のトルエンに対する膨潤指数は回収系の押出機の温度により制御が可能である。
ゴム変性ポリスチレン(A)のゴム状重合体の量は、目標とする含有量になるように原材料中のゴム状重合体の含有量や重合率を調整することによって制御することができる。本実施形態において、ゴム変性ポリスチレン(A)は、前記製造法により製造できるが、別の方法として、前記の製造方法により得られたゴム変性ポリスチレン(A)に、ゴム状重合体を含有しないポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂を混合し希釈することによっても製造することができる。
重合開始剤として用いられる有機過酸化物としては、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などが挙げられる。
重合溶媒としては、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることが可能である。
本実施形態においてゴム変性ポリスチレン(A)を製造する際の回収工程の前後の任意の段階、又はゴム変性ポリスチレン(A)を押出加工、成型加工する段階において、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、ヒンダートフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、滑剤、流動パラフィンなどの可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、各種染料や顔料、蛍光増白剤、光拡散剤、選択波長吸収剤を添加してもよい。
-ポリ乳酸(B)-
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物は、ポリ乳酸(B)を含有する。当該樹脂組成物がポリ乳酸(B)を含有することにより、射出ブロー成形において環境負荷を低減することが可能であり、且つ、遮光性を有する成形品を得ることが可能である。
具体的には、本実施形態では、射出ブロー成形用樹脂組成物がゴム変性ポリスチレン(A)に加え、当該ゴム変性ポリスチレン(A)よりもガラス転移温度が低いポリ乳酸(B)を含有することにより、射出ブロー成形時の成形温度をより低温条件にすることができるので、省エネルギー化することができる。また、植物由来の材料であるポリ乳酸(B)を用いるので石油由来の材料を低減することができる。したがって、ポリ乳酸(B)を含有することにより環境負荷を低減することができる。さらに、ゴム変性ポリスチレン(A)にポリ乳酸(B)を含有させることにより、樹脂組成物の全光線透過率が低下し、遮光性を有する成形品を得ることができる。
本実施形態において、ポリ乳酸(B)は、射出ブロー成形用樹脂組成物中に、ゴム変性ポリスチレン(A)およびポリ乳酸(B)の合計含有量100質量%に対して、1~50質量%であり、好ましくは3~45質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。本実施形態において、ポリ乳酸(B)の含有量を1質量%以上にすることにより、射出ブロー成形において環境負荷を低減し、且つ、遮光性を有する成形品を得ることができる。一方、ポリ乳酸(B)の含有量を50質量%以下にすることにより、ゴム変性ポリスチレン(A)の含有量を確保することができる。
本実施形態に用いるポリ乳酸(B)は、特に限定されないが、二酸化炭素排出量削減という観点から、植物由来原料が好ましい。特に、食糧問題と競合しない非可食の植物由来原料が好ましい。
また、ポリ乳酸(B)を構成するL-乳酸およびD-乳酸の比率に関しては、特に限定されることなく用いることができる。しかし、ポリ乳酸を結晶化させることにより耐熱性を高めたり、成形性を向上させる観点からは、L-乳酸とD-乳酸の比率が100:0~90:10であることが好ましく、より好ましくはL-乳酸とD-乳酸の比率が100:0~95:5であるポリ乳酸を用いる。
更に、ポリ乳酸(B)には、主たる構成モノマーであるD-乳酸およびL-乳酸以外に他の成分が共重合されても良い。他の共重合成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。このような共重合成分は、全単量体成分中、通常0~30モル%の含有量とするのが好ましく、さらに0~10モル%であることがより好ましい。ポリ乳酸(B)の分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に限定されないが、重量平均分子量としては好ましくは1万以上40万以下、より好ましくは4万以上30万以下である。
JIS K 7210-1に従って、210℃、2.16kg荷重で測定したポリ乳酸(B)のメルトマスフローレートは、3~100g/10minが好ましく、より好ましくは、5~80g/10minである。
-離型剤-
本実施形態において、射出ブロー成形用樹脂組成物には容器成形時の離型のため離型剤を配合することが望ましく、該離型剤としては、高級脂肪酸と高級脂肪酸金属塩の混合物が挙げられ、その質量比率が1/3~3.5であり、また配合量は、樹脂組成物100質量部に対して0.1~2.0質量部であることが好ましい。配合量が0.1質量部未満の場合には、離型性に劣る傾向がある。一方配合量が2.0質量部を超える場合には、樹脂組成物の熱変色、熱劣化が起こりやすい。ここで高級脂肪酸とは、炭素数が12~22の飽和直鎖カルボン酸である。また、高級脂肪酸金属塩とは、上記高級脂肪酸の金属塩であって、金属の種類には特に制限はないが、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等が例として挙げられる。
-流動パラフィン-
本実施形態において、射出ブロー成形用樹脂組成物には成形性の観点から流動パラフィンを0.3~3.9質量%含有することが好ましい。より好ましくは、0.5~3.7質量%である。流動パラフィンの含有量が3.9質量%を超えると耐熱温度が低下し、容器が変形し易くなるとともに、射出ブロー成形時に糸曳きが発生し易くなり好ましくない。流動パラフィンが0.3質量%未満では、容器の口部強度(開口部での強度)が低下し好ましくない。流動パラフィンとしては種々のものが挙げられるが、数平均分子量375~425の範囲にあることが好ましい。このような流動パラフィンはASTMD1160(10mmHg)で測定する2.5質量%初留温度が230~290℃のものである。流動パラフィンの含有量はメタノール可溶分を液体クロマトグラフイーで分析することで求められる。
本実施形態において、射出ブロー成形用樹脂組成物には所望に応じて使用が一般的な各種添加剤を、公知の作用効果を達成するために添加することもできる。例えば、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、染料、顔料、帯電防止剤、防曇剤、各種充填剤等を、各々の目的に合った効果を達成するために添加することができる。
なお、射出ブロー成形用樹脂組成物中の上記各種添加剤は、樹脂組成物100質量%に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
<射出ブロー成形用樹脂組成物の性状>
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物のメルトフローレートは、1.0~70g/10分であることが好ましく、より好ましくは2.0~60g/10分であり、さらに好ましくは3.0~50g/10分である。メルトフローレートを上記範囲にすることにより、射出ブロー成形における成形性を向上させることができる。なお、メルトマスフローレートは、JIS K 7210に準拠して200℃、5kg荷重の条件で測定することができる。
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物のビカット軟化温度は、55~100℃であることが好ましく、より好ましくは60~97℃であり、さらに好ましくは60~95℃である。ビカット軟化温度が上記範囲であることにより、得られた成形品の耐熱性を良好にすることができる。なお、ビカット軟化温度は、JISK7206に準拠して、荷重50N、昇温速度50℃/hの条件で測定することができる。
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物において、厚さ2mmの全光線透過率は、40%未満であることが好ましく、より好ましくは35%未満であり、さらに好ましくは30%未満である。射出ブロー成形用樹脂組成物についての全光線透過率を上記範囲にすることにより、適切な遮光性を得ることができる。
<射出ブロー成形用樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物において、各成分を配合、溶融、混練、造粒する方法は特に限定されず、樹脂組成物の製造で常用されている方法を用いることができる。例えば、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー等で配合した上記成分をバンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー等を用いて溶融、混練し、ロータリーカッター、ファンカッター等で造粒することによって樹脂組成物を得ることができる。溶融、混練における樹脂温度は180~240℃が好ましい。目標とする樹脂温度にするためには、押出機等のシリンダー温度は樹脂温度よりも10~20℃低い温度に設定することが好ましい。樹脂温度が180℃未満ではポリスチレンあるいはゴム変性ポリスチレン(A)の流動性が不十分でポリ乳酸(B)との混合が不十分となり好ましくない。一方、樹脂温度が240℃を越えるとポリ乳酸(B)の熱分解が起こり好ましくない。
なお、射出ブロー成形用樹脂組成物中に上記の離型剤、流動パラフィン、各種添加剤等を含有させる場合には、任意の方法が採用され、例えば、各成分をゴム変性ポリスチレン(A)の重合時に添加させることや、ゴム変性ポリスチレン(A)およびポリ乳酸(B)を溶融混練する際に添加する方法が挙げられる。
<射出ブロー成形方法>
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物を用いた射出ブロー成形方法は、特に限定するものではなく公知の方法により成形することができる。具体的には、射出ブロー成形では、まず射出成形によって樹脂組成物から中間体(例えば有底のパリソン)を成形し、ついで、この中間体を、軟化状態でコア(射出成形の雄金型)に付けたままでブロー成形金型内に移行させ、そして、コアから圧気を送り込んでブロー成形金型内壁面まで膨らませることで、中空成形品(例えば容器)を成形することができる。
上記の成形法において、中間体をブロー成形する段階において、金型温度は20~70℃であることが好ましく、25~65℃であることがより好ましく、30~60℃であることがさらに好ましい。
また、成形樹脂温度は、160~240℃であることが好ましく、170~220℃であることがより好ましい。さらに、コア温度は、100~150℃であることが好ましく、110~140℃であることがより好ましい。
中間体の体積に対する容器の体積の倍率(体積の延伸倍率)は、1.5~7倍であることが好ましく、2~5倍であることがより好ましい。
<射出ブロー成形品>
本実施形態の射出ブロー成形用樹脂組成物より成形された成形品としては、特に限定されないが例えば、乳酸菌飲料等の飲料や発酵乳等の食品などを収容する容器とすることができる。
当該成形品は、開口部にフランジ面を有し、開口部を上方に備える円筒竪型とすることができる。成形品は、高さ50~150mm、直径20~80mm、厚さ0.1~0.8mm、開口径15~60mmの大きさにすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の容器は、上記例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されると解されるべきでない。
まず、実施例、比較例を評価するために用いた評価方法について以下説明する。
(1)メルトマスフローレートの測定
ゴム変性ポリスチレン、および射出ブロー成形用樹脂組成物のメルトフローレートは、JIS K 7210-1に準拠して200℃、5kg荷重の条件で測定した。ポリ乳酸は、JIS K 7210-1に準拠して210℃、2.16kg荷重にて測定した
(2)ビカット軟化温度の測定
JIS K 7206に準拠して、荷重50N、昇温速度50℃/hの条件で測定した。
(3)全光線透過率の測定
射出ブロー成形用樹脂組成物より、鏡面処理をされた平板成形品用金型を用いて射出成型して、厚さ2mmの平板を作製し、当該平板を用いて、JIS K7361-1に準拠して全光線透過率(%)を測定した。
(4)低温成形性の評価
1サイクルで14個の成形品を得ることができる射出ブロー成形を射出温度200℃、コア温度130℃、金型温度50℃の条件で50サイクル実施した。得られた成形品について下記の基準に基づき評価を行った。評価が良いほど、低温でも成形することができ、環境負荷が低減されていることを示す。
○:欠け、変形のない成形品が得られた。
△:一部斑が見られるが使用可能な成形品が得られた。
×:射出コアに樹脂が残り成形がストップした。
(5)ゴム状重合体の含有量の測定
ゴム変性ポリスチレン中のゴム状重合体の含有量を熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
試料調整:ゴム変性スチレン系樹脂をクロロホルムに5質量%で溶解し、20μLをパイロホイルに塗布し、80℃で1日間真空乾燥した。
-測定条件-
・熱分解装置(Py-GC)
機器:日本分析工業社製 キュリーポイントインジェクター
パイロホイル温度:590℃
高周波照射時間:10秒
・ガスクロマトグラフィー(GC)
機器:アジレント・テクノロジー社製 HP-GC-6890
カラム:HP-5MS
30m、膜厚0.25mm、0.25mmφ
カラム温度:50℃-5分→10℃/分→100℃→70℃/分→
300℃-10分
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
スプリット比:1/20
キャリアガス:ヘリウム
検出器:MSD
(6)ゴム状重合体の分散粒子の粒子径
30μm径のアパーチャーチューブを装着したベックマンコールター株式会社製COULTER MULTISIZER III (商品名)にて、ゴム変性ポリスチレン0.05gをジメチルホルムアミド約5ml中に入れ約2~5分間放置した。次にジメチルホルムアミド溶解分を適度の粒子濃度として測定し、体積基準のメジアン径を求めた。
続いて、実施例、比較例で用いた樹脂を説明する。
・ゴム変性ポリスチレン(A)-1の製造
スチレン系単量体としてスチレン84.7質量部、ゴム状重合体としてポリブタジエンゴム(旭化成株式会社製ジエン55AE)3.2質量部、溶剤としてエチルベンゼン8.5質量部、重合開始剤として1,1‐ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.002質量部、連鎖移動剤としてα-メチルスチレンダイマー0.06質量部を混合溶解した重合液を、攪拌機を備えた層流型反応機に連続的にポンプで供給し、120℃から135℃まで段階的に温度を制御して加熱した。続いて、同様に層流型反応機-1と直列に接続された層流型反応機-2さらに直列して接続された層流型反応機-3に重合液を送り、それぞれ温度を140℃、145℃として、重合を進めた。反応機での滞留時間は、5.8時間であった。続いて層流型反応機-3から排出される重合液を220℃に調整した2段真空ベント付押し出し機に供給して未反応のモノマーや溶媒等を除去した後、ストランドカットにてペレットを得た。ゴム粒子径の制御は反応機の撹拌機の回転数にて行った。
得られたゴム変性ポリスチレン(A)-1の、メルトマスフローレートは3.6g/10分であった。また、ゴム変性ポリスチレン(A)-1中のゴム含有量は、3.7質量%、ゴム状重合体粒子の平均粒径は2.9μmであった。
・ポリ乳酸(B)
(B)-1:Total・Corbion社製Luminy「L105」を使用した。メルトフローレートは71g/10分であった。
・可塑剤
流動パラフィン(出光興産株式会社製CP-68N)を使用した。
・離型剤
ステアリン酸とステアリン酸カルシウムの3:1混合物を使用した。
次いで、実施例、比較例を説明する。
・実施例1~4、比較例1、2
表1に示す量の、ゴム変性ポリスチレン(A)、ポリ乳酸(B)、可塑剤、および離型剤を計量し、当該原料をドラムタンブラーで配合した。そして、当該混合物を、同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製TEM26SS)でシリンダー設定温度200℃、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、溶融ストランドとして抜き出した。溶融ストランドを水冷しロータリーカッターでストランドをカッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて、射出ブロー成形機(住友重機械工業株式会社製SG-125NP)により、成形品(容器寸法:高さ83mm、幅45mm、開口径28mm、厚さ0.3mm)を作製した。射出ブロー成形での各条件は次のとおりである。
・設定温度
射出温度:200℃
コア温度:130℃
金型温度:50℃
得られた樹脂組成物、成形品について上記の測定、評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0007287851000001
本発明によれば、射出ブロー成形において環境負荷を低減することが可能であり、且つ、遮光性を有する成形品を得ることが可能である射出ブロー成形用樹脂組成物、及び成形品を提供することができる。

Claims (3)

  1. スチレン系重合体から構成されるマトリックス及び該マトリックス中に島状に分散しているゴム状重合体粒子を含有するゴム変性ポリスチレン(A)50~99質量%と、ポリ乳酸(B)1~50質量%と、流動パラフィン0.3~3.9質量%と、離型剤とを含む射出ブロー成形用樹脂組成物であって、
    前記離型剤は、射出ブロー成形用樹脂組成物100質量部に対して0.1~2.0質量部を含有し、
    前記ゴム状重合体粒子の平均粒子径は、0.7~5.0μmであり、前記ゴム変性ポリスチレン(A)に含まれるゴム含有量は2.0~15質量%である、射出ブロー成形用樹脂組成物。
  2. 厚さ2mmでの全光線透過率が40%未満である、請求項1に記載の射出ブロー成形用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の射出ブロー成形用樹脂組成物からなることを特徴とする、射出ブロー成形品。
JP2019125350A 2019-07-04 2019-07-04 射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品 Active JP7287851B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019125350A JP7287851B2 (ja) 2019-07-04 2019-07-04 射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019125350A JP7287851B2 (ja) 2019-07-04 2019-07-04 射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021011521A JP2021011521A (ja) 2021-02-04
JP7287851B2 true JP7287851B2 (ja) 2023-06-06

Family

ID=74226810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019125350A Active JP7287851B2 (ja) 2019-07-04 2019-07-04 射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7287851B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007126516A (ja) 2005-11-01 2007-05-24 Fujitsu Ltd 植物性樹脂含有組成物及び植物性樹脂含有成形体
JP2008050426A (ja) 2006-08-23 2008-03-06 Ps Japan Corp スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP2011168756A (ja) 2010-02-22 2011-09-01 Panasonic Electric Works Co Ltd ポリ乳酸樹脂組成物、並びにこのポリ乳酸樹脂を成形して得られる成形品、電気製品用筐体、及び電気製品用内部部品
JP2011246558A (ja) 2010-05-25 2011-12-08 Panasonic Electric Works Co Ltd ポリ乳酸樹脂組成物、成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、携帯電話機の内部シャーシ部品、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品
JP2012144694A (ja) 2010-12-21 2012-08-02 Panasonic Corp ポリ乳酸樹脂組成物、射出成形品の製造方法、射出成形品、及び電子機器用ホルダー
JP2014194005A (ja) 2013-03-01 2014-10-09 Unitika Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形体
JP2018048248A (ja) 2016-09-21 2018-03-29 東洋スチレン株式会社 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、樹脂組成物から得られる成形体および成形体の製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007126516A (ja) 2005-11-01 2007-05-24 Fujitsu Ltd 植物性樹脂含有組成物及び植物性樹脂含有成形体
JP2008050426A (ja) 2006-08-23 2008-03-06 Ps Japan Corp スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP2011168756A (ja) 2010-02-22 2011-09-01 Panasonic Electric Works Co Ltd ポリ乳酸樹脂組成物、並びにこのポリ乳酸樹脂を成形して得られる成形品、電気製品用筐体、及び電気製品用内部部品
JP2011246558A (ja) 2010-05-25 2011-12-08 Panasonic Electric Works Co Ltd ポリ乳酸樹脂組成物、成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、携帯電話機の内部シャーシ部品、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品
JP2012144694A (ja) 2010-12-21 2012-08-02 Panasonic Corp ポリ乳酸樹脂組成物、射出成形品の製造方法、射出成形品、及び電子機器用ホルダー
JP2014194005A (ja) 2013-03-01 2014-10-09 Unitika Ltd 熱可塑性樹脂組成物及び成形体
JP2018048248A (ja) 2016-09-21 2018-03-29 東洋スチレン株式会社 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、樹脂組成物から得られる成形体および成形体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021011521A (ja) 2021-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2397992C2 (ru) Улучшенные модифицированные каучуком моновинилиденароматические полимеры и изготовленные из них изделия
JP6188307B2 (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP6104677B2 (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
US9212278B2 (en) Method for making a high impact polystyrene with high gloss and high impact strength
JP5717451B2 (ja) 耐熱樹脂組成物および発泡成形体
MX2007009217A (es) Hoja de espuma que contiene un copolimero estirenico.
CN101039971A (zh) 改进的橡胶改性单亚乙烯基芳族聚合物和由其制成的制品
JP7287851B2 (ja) 射出ブロー成形用樹脂組成物および射出ブロー成形品
TWI812829B (zh) 苯乙烯聚合物及減少其中揮發性有機化合物之量的方法與其製備方法、母料及其製備方法、及製成苯乙烯聚合物模製零件之方法
CN100393756C (zh) 苯乙烯类树脂组合物及由其生产的制品
JP6584312B2 (ja) スチレン系樹脂組成物及びその成形品
JP7333218B2 (ja) 樹脂組成物および成形体
JP2017133040A (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP2018090753A (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート、成形品
JP2005225960A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物、および、それを用いた成形品
US20080063826A1 (en) Rubber modified styrenic copolymer composition comprising high molecular weight elastomers
JP7390854B2 (ja) 樹脂組成物、および、成形体
JP5848061B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP4942426B2 (ja) スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP2004075865A (ja) ブロー成形用ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその成形品
JPH09221522A (ja) 熱可塑性共重合体及びそれを用いた熱可塑性樹脂組成物
JP2022068044A (ja) 樹脂組成物、マスターバッチ及びシート
JPH09227738A (ja) 芳香族ビニル系樹脂組成物
JP2011168778A (ja) 異形押出成形用樹脂組成物及び異形押出樹脂成形品
EP2147050B1 (en) Controlled gloss blends of monovinylidene aromatic and ethylene polymers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230523

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230525

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7287851

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150