JP7287286B2 - ゲート駆動回路 - Google Patents

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Description

本発明は、ゲート駆動回路に関する。
モータ駆動用のインバータ回路などで用いられるゲート駆動型の半導体素子は、適正な状態でゲート駆動をするために、アクティブゲート制御と呼ばれる制御方法を用いることがある。このアクティブゲート制御では、対象となるMOSトランジスタなどの半導体素子に対して、駆動時にゲート電流を切り換えことにより駆動能力を切り換えている。
この場合、駆動能力の切り換えを行うためには、第1に駆動能力切り換えを行い、第2にバイアス状態が変動してから安定するのを待ち、第3に所望の出力状態を得るという3段階を経て行っていた。このため、各段階において制御動作に応じた必要時間が切り換え時間として発生する。このため、特に第2のバイアス状態の変動は必要精度に応じた安定待ち時間が発生するため高速化を妨げる要因となっていた。
特開2016-136669号公報
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、アクティブゲート制御において、高い時間分解能でゲート制御状態を切り換えることができるようにしたゲート駆動回路を提供することにある。
請求項1に記載のゲート駆動回路は、制御対象となるゲート駆動形の半導体スイッチング素子に対して、アクティブゲート制御により制御信号を受けてゲート電流の駆動能力を切り換えて駆動するゲート駆動回路であって、前記半導体スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流のレベルを前記制御信号に応じて変更設定可能な複数の電流設定回路(20、20a、20b、30、30a、30b、40)と、前記複数の電流設定回路に対して、前記制御信号に応じて、前記ゲート電流のレベルが変更設定された状態のものを前記半導体スイッチング素子のゲートに順次接続してゲート電流を通電する出力状態とし、前記ゲート電流のレベルを変更設定する準備状態のものを待機させるようにした切換制御回路(50、50a、50b、50c、50d)とを備えている。
前記複数の電流設定回路のそれぞれは、前記半導体スイッチング素子のゲート電流を設定する複数個の低耐圧系の半導体素子を備え、前記切換制御回路は、前記複数の電流設定回路に対応した複数の高耐圧系の半導体素子を備える。前記複数の電流設定回路のゲート電流を設定する低耐圧系の半導体素子と前記切換制御回路を構成する高耐圧系の半導体素子との共通接続点は、前記高耐圧系の半導体素子がオフ状態のときに前記低耐圧系の半導体素子の端子間が一定電圧以下となるように保持する電位安定回路が接続される。
上記構成を採用することにより、制御対象となるゲート駆動形の半導体スイッチング素子に対して、駆動能力を設定して準備状態が完了した電流設定回路に切り換えてゲート電流を供給し、この間にゲート電流を供給していない他の電流設定回路を次の駆動能力のゲート電流に対応して準備状態に設定する。これにより、駆動能力の切り換え時に発生する切り換え安定時間を要すること無く、迅速にゲート電流の駆動能力を次々に切り換え設定して所望のアクティブゲート制御を実施することができる。
第1実施形態を示す電気的構成図 使用形態を示す構成図 タイミングチャートその1 タイミングチャートその2 損失およびサージ電圧と切り換え誤差との関係を示す図 切り換え誤差に対応する波形図 第2実施形態を示すブロック構成図 タイミングチャート 第3実施形態を示す電気的構成図 第4実施形態を示す電気的構成図その1 第4実施形態を示す電気的構成図その2 第5実施形態を示す電気的構成図その1 第5実施形態を示す電気的構成図その2
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1~図6を参照して説明する。
本実施形態のゲート駆動回路10は、後述するように、図2に示すようなアクティブゲート制御装置100に設けられるものである。はじめにゲート駆動回路10の構成について説明する。図1に示すように、ゲート駆動回路10は、基準電流設定用のPチャンネル型のMOSトランジスタ11、第1電流設定回路20、第2電流設定回路30および切換制御回路50を備えている。2個の第1電流設定回路20および第2電流設定回路30は、複数の電流設定回路として2個設けた場合に相当している。
MOSトランジスタ11は、第1電流設定回路20および第2電流設定回路30に電流を流すためのカレントミラー回路を構成するものである。MOSトランジスタ11は、ソースが直流電源VDに接続され、ゲートはドレインに接続され、ソース・ドレイン間に直流電源VDが印加された状態では常時オン状態となる。
第1電流設定回路20および第2電流設定回路30は、それぞれゲート電流を設定するためのMOSトランジスタ21~23、31~33を並列に備え、MOSトランジスタ11とカレントミラー回路を構成している。各MOSトランジスタ21~23には、オンスイッチ21a~23aが接続されるとともに、オフスイッチ21b~23bが接続されている。電流を流さない状態では、オフスイッチ21b~23bがオンされMOSトランジスタ21~23はオフ状態に保持されている。
オフスイッチ21b~23bがオフ動作され、この後オンスイッチ21a~23aがオン動作されると、各MOSトランジスタ21~23のゲートがMOSトランジスタ11のゲートに接続され、MOSトランジスタ21~23がそれぞれMOSトランジスタ11に流れる電流に相当する電流を流す状態になる。
オンスイッチ21a~23aがオフ動作され、この後オフスイッチ21b~23bがオン動作されると、各MOSトランジスタ21~23のゲートがソースに接続された状態となり、MOSトランジスタ21~23はオフ状態になる。
第2電流設定回路30の各MOSトランジスタ31~33には、オンスイッチ31a~33aが接続されるとともに、オフスイッチ31b~33bが接続され、第1電流設定回路20と同等の接続状態とされる。第1電流設定回路20および第2電流設定回路30は、各スイッチ21a~23a、21b~23b、31a~33a、31b~33bは、電流駆動能力を設定するために、制御回路60からオンオフの駆動制御がなされる。
なお、第1電流設定回路20、第2電流設定回路30は、一例として、それぞれ3個のMOSトランジスタを設ける構成としているが、4個以上を設ける構成としても良い。また、第1電流設定回路20、第2電流設定回路30は、互いに同じ構成のものとして設けても良いし、設定電流値が互いに異なるような仕様で異なる構成とすることもできる。
切換制御回路50は、2個のスイッチ51および52を備える。スイッチ51は、オン動作によって第1電流設定回路20の電流を出力端子Ioutに流し、スイッチ52はオン動作によって第2電流設定回路30の電流を出力端子Ioutに流すように構成されている。
次に、図2において、アクティブゲート制御装置100は、上記したゲート駆動回路10、制御回路60および波形検出回路70を備えている。アクティブゲート制御装置100は、例えば三相インバータ回路200に設けられる6個のMOSトランジスタ201~206のそれぞれに対応して6個が設けられている。6個のMOSトランジスタ201~206は、アクティブゲート制御の対象となるもので、半導体スイッチング素子として設けられるものである。
三相インバータ回路200は、Nチャンネル型のMOSトランジスタ201および202、203および204、205および206がそれぞれ直列に接続した状態で各相のアームを構成しており、直流電源VCとグランドとの間に接続されている。なお、グランド側には、電流検出用の抵抗207が直列に接続されている。
アクティブゲート制御装置100は、駆動対象となるMOSトランジスタ201~206のそれぞれに対応して設けられ、波形検出回路70によりドレイン電圧の波形を検出し、その電圧レベルに応じて制御回路60によりゲート駆動回路10を駆動制御してゲート電流の駆動能力を細かく変更設定することで迅速にオンオフ制御を行う構成である。
次に、上記構成の作用について、図3から図6も参照して説明する。
まず、ゲート駆動回路10の基本的な動作について説明する。ゲート駆動回路10においては、制御回路60から指示される駆動能力に対応して第1電流設定回路20および第2電流設定回路30のそれぞれに順次電流を設定して切換制御回路50により切換接続することで出力端子Ioutに出力する。
このため、まず、第1電流設定回路20においては、通電前に設定すべき駆動能力となるようにMOSトランジスタ21~23のうち駆動能力に対応したゲート電流となるように例えばオフスイッチ21b~23bをオフ動作させ、この後オンスイッチ21a~23aをオン動作させる。これにより、MOSトランジスタ21~23のうちの対応するものがオン状態に移行することで駆動能力が設定される。
これにより、3個のMOSトランジスタ21~23のうちのオン駆動されたものがオン状態に移行するまでの期間が準備状態の期間となる。この後、通電タイミングになると、制御回路60からの指示に応じて切換制御回路50のスイッチ51がオン駆動され、出力端子Ioutから駆動能力として設定されたゲート電流がMOSトランジスタ201のゲートに通電する出力状態となる。
一方、第2電流設定回路30においては、第1電流設定回路20による通電がなされている期間中に、次に設定すべき駆動能力となるようにMOSトランジスタ31~33のうち駆動能力に対応したゲート電流となるように例えばMOSトランジスタ31をオン動作させるため、オフスイッチ31bをオフ動作させ、この後オンスイッチ31aをオン動作させる。これにより、MOSトランジスタ31がオン状態に移行するまでの期間が準備状態の期間となる。
この後、切り換えタイミングになると、制御回路60からの指示に応じて切換制御回路50のスイッチ51がオフ駆動され、第1電流設定回路20によるゲート電流を停止させ、続いてスイッチ52をオン駆動して出力端子Ioutから第2電流設定回路30により設定された駆動能力のゲート電流がMOSトランジスタ201のゲートに通電する出力状態となる。
上記と同様にして、第2電流設定回路30によりゲート電流を供給している状態になると、制御回路60は、第1電流設定回路20に、次のゲート電流を設定するようにスイッチ21a~23aを駆動制御して準備状態となる。
このようにして、第1電流設定回路20および第2電流設定回路30により準備状態と出力状態とを交互に実行することで、準備状態でMOSトランジスタ201に通電することがなくなり、確実に設定したゲート電流を出力するように切り換えることができる。
図3および図4は、このようにしてゲート駆動回路10が、制御回路60により駆動能力を切り換えながらMOSトランジスタ201をオフ動作させる場合における駆動能力の切り換えパターンを示している。ここでは、オン状態のMOSトランジスタ201のゲートから電荷を放電させるために、ゲート電流を流すときのパターンとして示している。
まず、時刻t1以前においては、MOSトランジスタ201のゲート電圧Vgは、所定電圧VGが印加された状態に保持されている。時刻t1になると、制御回路60は、MOSトランジスタ201をオフ動作させるために、5段階のステージ1~5を経て駆動能力を切り換えながらゲート電流を流してゲート電圧Vgを低下させる。
5段階の各ステージでは、次のような意図に基づいてゲート駆動能力に対応したゲート電流Igが設定される。
・ステージ1は、遷移開始までの遅延を短縮するため、駆動能力を最大に設定する。
・ステージ2は、モータ端子電圧の変動が始まるため、ステージ1の駆動能力最大状態からECM要求の許容する範囲内まで駆動能力を低下させる。同時にスイッチング損失を抑制するため、駆動能力をその範囲内で最大値に設定する。
・ステージ3は、損失影響の小さい領域ではEMCノイズを抑えるため、駆動能力をステージ1よりもさらに抑える。
・ステージ4は、モータ端子電圧のサージを耐圧内に収める駆動能力値に設定する。
・ステージ5は、セルフターンオン防止のため、駆動能力を最大に設定する。
以上の各ステージの意図を考慮して、ゲート駆動能力に対応するゲート電流Igは、例えば、図3に示すように、ステージ1では最も大きいゲート駆動能力Ig4に設定され、ステージ2では少し小さいゲート駆動能力Ig3、ステージ3ではさらに少し小さいゲート駆動能力Ig2、ステージ4では最も小さいゲート駆動能力Ig1に設定される。そして、最後のステージ5では、ゲート電流Igは再びゲート駆動能力Ig4に設定される。
次に、上記のゲート電流Igの設定レベルに対応して、制御回路60は、図4に示すように、第1電流設定回路20に対して、ステージ1、3、5においてゲート電流を通電し、第2電流設定回路30に対してステージ2、4においてゲート電流を通電するように制御し、切換制御回路50により選択的に通電する。
第1電流設定回路20は、ステージ1、3、5に対応してゲート電流Igの駆動能力をそれぞれIg4、Ig2、Ig4に設定するようにMOSトランジスタ21~23の導通が制御される。また、第2電流設定回路30は、ステージ2、4に対応してゲート電流Igの駆動能力をそれぞれIg3、Ig1に設定するようにMOSトランジスタ31~33の導通が制御される。
このため、第1電流設定回路20においては、各ステージ1、3、5の前の期間においてステージ1、3、5のための準備状態となるように制御回路60によりMOSトランジスタ21~23が選択的に動作制御される。同様に、第2電流設定回路30においては、各ステージ2、4の前の期間においてステージ2、4のための準備状態となるように制御回路60によりMOSトランジスタ31~33が選択的に動作制御される。
各ステージ1~5の開始時点t1~t5において、制御回路60は、切換制御回路50に対して準備状態となっている第1電流設定回路20あるいは第2電流設定回路30のいずれかをスイッチ51、52を選択的にオンさせて出力端子Ioutからゲート電流Igを流すように制御する。
これにより、電流設定のための切換動作を行う時間や切換に必要な時間を含めた準備時間を経ることなく、迅速にゲート駆動能力を切り換えてゲート電流を供給することができるようになる。上記の説明ではオフ動作におけるゲート電流Igの駆動能力設定について説明しているが、オン動作においても同様に行うことができる。
次に、上記のように迅速な駆動能力の切り換え制御によるアクティブゲート制御の効果について、図5および図6を参照して説明する。本実施形態においては、例えば、駆動能力を切り換えるのに要する時間が10ns以内に短くすることができる。これによって、的確なタイミングで迅速に駆動能力を切り換えてアクティブゲート制御を実施することができる。
駆動能力の切り換えに要する時間がずれると、例えば、図5の上の図に示すように、タイミング良く切り換えた場合に比べて、切り換え誤差(ns)がマイナス側つまり遅れる場合には、スイッチング素子の損失低減効果(%)が低下することになる。損失低減効果を20%以上とするには、切り換え誤差を10ns以内とする必要がある。
また、駆動能力の切り換えに要する時間がプラス側にずれる場合には、図5の下の図に示すように、タイミング良く切り換えた場合に比べて、サージ電圧増加割合(%)が増加することになる。サージ電圧増加割合を5%以下にするには、切り換え誤差を15ns以内程度にする必要がある。
図6には、駆動能力の切り換えに要する時間のずれについて、3つのケースについて損失低減効果とサージ電圧増加割合を計測した例を示している。第1のケース(1)では、切り換え誤差が-40nsの場合を示しており、この場合には、損失が83μJで、サージ電圧が7.0Vであり、サージ電圧は許容目標を満たすものの、損失低減効果では図5に示しているように、10%以下程度となり、損失低減目標を満たしていない。
第2のケース(2)では、駆動能力の切り換え時間のずれがない理想の状態を示している。この場合には、損失が69μJで、サージ電圧が7.0Vとなっており、損失低減効果は目標の20%以上である24%程度となっており、サージ電圧増加割合についても0%となっていて、許容値目標の上限値5%をクリアしている。
第3のケース(3)では、切り換え誤差が+40nsの場合を示しており、この場合には、損失が62μJで、サージ電圧が9.7Vであり、損失低減効果は目標を満たす条件となっているが、サージ電圧増加割合が30%を超える値となっていて許容値目標である5%を大幅に超えていて満たしていない。
上記したように、駆動能力の切り換え誤差を±10nsの範囲に収まるようにした本実施形態の構成を採用することにより、確実に第2のケースに近い状態でアクティブゲート制御を実施することができるようになる。
このような本実施形態によれば、第1電流設定回路20および第2電流設定回路30を設けて、それぞれに予めゲート電流として設定する駆動能力に切り換えた準備状態のものを切換制御回路50により切り換えて出力させるようにしたので、駆動能力を切り換え設定したときの切り換え安定化の時間をなくして迅速に駆動能力を切り換えることができ、アクティブゲート制御を確実に実施することができる。
(第2実施形態)
図7および図8は第2実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、ゲート駆動回路10aにおいて、第1実施形態のゲート駆動回路10の構成に第3電流設定回路40を設ける構成としている。第3電流設定回路40は、内部構成を示していないが、第1電流設定回路20、第2電流設定回路30と同様の構成である。また、切換制御回路50aは、制御回路60の制御により、3つの電流設定回路20、30、40の出力を選択的に切り換えるように構成される。
この実施形態では、第1実施形態の構成では、短い区間のステージで準備状態が完了しない場合に対応するものである。すなわち、図8に示すように、3つの電流設定回路20、30、40を順次切り換えることにより、準備状態に要する時間を2ステージ分で行えるようにしている。
例えば、図8に示す場合では、制御回路60により、次のように駆動制御される。制御回路60は、ステージ1の開始時刻t1より前の時点で、第1電流設定回路20に対してステージ1の駆動能力Ig4に対応するように制御して準備状態とし、さらに第2電流設定回路30に対してステージ2の駆動能力Ig3に対応するように制御して準備状態とする。
時刻t1になると、制御回路60は、ステージ1に対応して、第1電流設定回路20を出力端子Ioutに接続するように切換制御回路50aに信号を与えて切り換える。これにより、出力端子Ioutは、駆動能力Ig4のゲート電流Igが出力される。また、時刻t1では、制御回路60は、第3電流設定回路40に対してステージ3の駆動能力Ig2に対応するように制御して準備状態とする。なお、時刻t1では、第2電流設定回路30の準備状態は継続される。
次に、ステージ1が終了して時刻t2になると、制御回路60は、ステージ2に対応して、第1電流設定回路20の出力を停止し、第2電流設定回路30を出力端子Ioutに接続するように切換制御回路50aに信号を与えて切り換える。これにより、出力端子Ioutは、駆動能力Ig3のゲート電流Igが出力される。また、時刻t2では、制御回路60は、第1電流設定回路20に対してステージ4の駆動能力Ig1に対応するように制御して準備状態とする。なお、時刻t2では、第3電流設定回路40の準備状態は継続される。
続いて、ステージ2が終了して時刻t3になると、制御回路60は、ステージ3に対応して、第2電流設定回路30の出力を停止し、第3電流設定回路40を出力端子Ioutに接続するように切換制御回路50aに信号を与えて切り換える。これにより、出力端子Ioutは、駆動能力Ig2のゲート電流Igが出力される。また、時刻t3では、制御回路60は、第2電流設定回路20に対してステージ5の駆動能力Ig4に対応するように制御して準備状態とする。なお、時刻t3では、第1電流設定回路20の準備状態は継続される。
次に、ステージ3が終了して時刻t4になると、制御回路60は、ステージ4に対応して、第3電流設定回路40の出力を停止し、第1電流設定回路20を出力端子Ioutに接続するように切換制御回路50aに信号を与えて切り換える。これにより、出力端子Ioutは、駆動能力Ig1のゲート電流Igが出力される。また、第2電流設定回路20の準備状態は継続される。なお、第3電流設定回路40は時刻t4で動作は終了する。
そして、ステージ4が終了して時刻t5になると、制御回路60は、ステージ5に対応して、第1電流設定回路20の出力を停止し、第2電流設定回路30を出力端子Ioutに接続するように切換制御回路50aに信号を与えて切り換える。これにより、出力端子Ioutは、駆動能力Ig4のゲート電流Igが出力される。なお、第1電流設定回路20は時刻t4で動作は終了する。
このようにして、3つの電流設定回路20、30、40はそれぞれ、出力するステージに対して2ステージ前に駆動能力を設定するように切り換えられて準備状態となるので、対応するステージに切り換えられるタイミングでは準備動作が終了していて、確実に切り換え動作を行うことができる。換言すれば、短いステージの期間でも確実に準備動作を完了させた状態で切り換えることができる。
このような第2実施形態によれば、3つの電流設定回路20、30、40を設けて、順次ステージに対応して準備状態および出力状態を切り換えるようにしたので、第1実施形態の構成に比べて、更に短いステージの期間でも確実に準備動作を完了させた状態で迅速な切り換え動作を行わせることができるようになる。換言すれば、アクティブゲート制御において、準備期間となる前のステージに対して電流設定回路の準備期間が長くなる場合でも、確実に対応することができるようになる。
(第3実施形態)
図9は第3実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、切換制御回路50bとして、スイッチ51、52を高耐圧のPチャネル型のMOSトランジスタ51a、52aとして設ける構成としている。なお、この構成において、第1電流設定回路20および第2電流設定回路30においては、電流設定用のMOSトランジスタ21~23およびMOSトランジスタ31~33は、低耐圧系のものが用いられている。
ここで、低耐圧系および高耐圧系のMOSトランジスタとは、相対的な耐圧関係を示すものであり、電源電圧が印加されたときに、主として高い電圧を担うものを高耐圧系のMOSトランジスタとし、電源電圧がかかると耐圧的に厳しいものを低耐圧系のMOSトランジスタとして設けている。
上記構成において、切換制御回路50bのMOSトランジスタ51aおよび52aに対して、ゲート電圧を低耐圧素子の耐圧内でハイレベルおよびローレベルを設定することで、切換スイッチとして用いることができる。
このような構成を採用することで、第1電流設定回路20および第2電流設定回路30においては、ステージに対応する駆動能力を設定すべく低耐圧系のMOSトランジスタ21~23あるいは31~33のうちの対応するものがオンされると、準備状態となって駆動能力が設定される。この状態で、切換制御回路50bのMOSトランジスタ51aあるいは52aが選択的にオン駆動される。
このとき、電流設定回路20および30には高電圧が印加されず、MOSトランジスタ51a、52aのドレイン・ソース間に高電圧が印加された状態とすることができるので、少ない個数のMOSトランジスタ51a、52aを高耐圧のものにすることで対応することができる。
したがって、このような第3実施形態によれば、切換制御回路50bに高耐圧のMOSトランジスタ51a、52aを設け、電流設定回路20、30に高電圧が印加される状態を回避できる。これにより、高耐圧のMOSトランジスタの使用を少なくして、電流設定回路を複数設けることによる素子面積の増大を抑制することができる。
なお、上記した切換制御回路50bの高耐圧のMOSトランジスタ51a、52aは、通常はエンハンス型のもので構成するが、デプレッション型のものを使用することで、低耐圧素子の動作範囲を広げるように特性向上を図ることが可能となる。
(第4実施形態)
図10および図11は第4実施形態を示すもので、以下、第3実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、第3実施形態において、切換制御回路50bのMOSトランジスタ51aや52aがオフ状態にあるときに、ソース電位が不安定になって電流設定回路20や30の低耐圧系のMOSトランジスタ21~23あるいは31~33のドレイン・ソース間に高電圧が印加されるのを抑制する構成を採用している。
すなわち、図10に示す第1の例では、第1電流設定回路20aとして、ドレイン・ソース間を接続する抵抗24を設けた構成とし、第2電流設定回路30aとして、ドレイン・ソース間を接続する抵抗34を設けた構成としている。抵抗24、34は電位安定回路として機能するものである。
これにより、切換制御回路50bのMOSトランジスタ51aあるいは52aがオフ状態にあるときには、第1電流設定回路20aあるいは第2電流設定回路30aのドレイン側は抵抗24あるいは34により電源側にプルアップされるので、MOSトランジスタ21~23あるいは31~33に高電圧が印加されることを回避できるようになる。
また、同様にして、図11に示す第2の例では、第1電流設定回路20bとして、ドレイン・ソース間を接続するダイオード25を逆方向に接続して設けた構成とし、第2電流設定回路30bとして、ドレイン・ソース間を接続するダイオード35を逆方向に接続して設けた構成としている。ダイオード25、35は電位安定回路として機能するものである。
これにより、図10の場合と同様にして、切換制御回路50bのMOSトランジスタ51aあるいは52aがオフ状態にあるときには、第1電流設定回路20bあるいは第2電流設定回路30bのドレイン側はダイオード25あるいは35により電源側にプルアップされるので、MOSトランジスタ21~23あるいは31~33に高電圧が印加されることを回避できるようになる。
このような第4実施形態によれば、第3実施形態のように構成した場合でも、低耐圧素子を用いる電流設定回路20a、30aあるいは20b、30bに高電圧が印加されることを回避することができる。
(第5実施形態)
図12および図13は第5実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、第1実施形態において、切換制御回路50のスイッチ51あるいは52が切り換えられるときに、電流設定回路20や30側のノードN1やN2の電位が変動することがある場合に、これを抑制することができるようにしたものである。
すなわち、図12に示す第1の例では、切換制御回路50cのスイッチ51に並列にスイッチ53および定電流回路54の直列回路からなるバイアス回路をノードN1に接続する。同様に、スイッチ52に並列にスイッチ55および定電流回路56の直列回路からなるバイアス回路をノードN2に接続する。電流源54および56は、電流設定回路20および30で設定された電流を流すように設けられる。
この構成において、制御回路60により、切換制御回路50cのスイッチ53は、スイッチ51と相補的に動作するように制御され、同じくスイッチ55は、スイッチ52と相補的に動作するように制御される。
これにより、スイッチ51あるいは52が切り換えられた場合でも、ノードN1およびN2における電位が変化しないようにすることができ、この結果、出力電流の駆動能力を変更する場合において、遅延が発生するのを抑制して迅速な切り換え動作を行わせることができる。
図13に示す第2の例では、電流源54および56に代えて抵抗57および58をバイ圧回路として設ける構成としている。このような構成によっても、図12の構成と同等の動作を行わせることができるようになる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
電流設定回路は、Pチャンネル型のMOSトランジスタ以外に、Nチャンネル型のMOSトランジスタや、他の半導体素子を用いて構成することもできる。
第2実施形態では、電流設定回路を3個設ける構成としたが、4個以上設けることもできる。これによって、順次準備状態および出力状態を設定することで、さらに短期間で確実に準備状態とすることもできる。
第4実施形態では、電位安定回路として抵抗やダイオードを設け、プルアップ機能をもたせる構成としているが、電流設定回路の構成をNチャンネル型のMOSトランジスタなどを用いる場合には、プルダウン機能を持たせる電位安定回路として構成とすることができる。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、10、10aはゲート駆動回路、11はMOSトランジスタ、20、20a、20bは第1電流設定回路、21~23、31~33はMOSトランジスタ(半導体素子)、21a~23a、31a~33aはオンスイッチ、21b~23b、31b~33bはオフスイッチ、30、30a、30bは第2電流設定回路、24、34は抵抗(電位安定回路)、25、35はダイオード(電位安定回路)、40は第3電流設定回路、50、50a~50dは切換制御回路、51、52、53、55はスイッチ、51a、52aはMOSトランジスタ、54、56は定電流回路(バイアス回路)、57、58は抵抗(バイアス回路)、60は制御回路、70は波形検出回路、100はアクティブゲート駆動装置、200は三相インバータ回路、201~206はMOSトランジスタ(半導体スイッチング素子)である。

Claims (7)

  1. 制御対象となるゲート駆動形の半導体スイッチング素子に対して、アクティブゲート制御により制御信号を受けてゲート電流の駆動能力を切り換えて駆動するゲート駆動回路であって、
    前記半導体スイッチング素子のゲートに供給するゲート電流のレベルを前記制御信号に応じて変更設定可能な複数の電流設定回路(20、20a、20b、30、30a、30b、40)と、
    前記複数の電流設定回路に対して、前記制御信号に応じて、前記ゲート電流のレベルが変更設定された状態のものを前記半導体スイッチング素子のゲートに順次接続してゲート電流を通電する出力状態とし、前記ゲート電流のレベルを変更設定する準備状態のものを待機させるようにした切換制御回路(50、50a、50b、50c、50d)とを備え、
    前記複数の電流設定回路のそれぞれは、前記半導体スイッチング素子のゲート電流を設定する複数個の低耐圧系の半導体素子を備え、
    前記切換制御回路は、前記複数の電流設定回路に対応した複数の高耐圧系の半導体素子を備え、
    前記複数の電流設定回路のゲート電流を設定する低耐圧系の半導体素子と前記切換制御回路を構成する高耐圧系の半導体素子との共通接続点は、前記高耐圧系の半導体素子がオフ状態のときに前記低耐圧系の半導体素子の端子間が一定電圧以下となるように保持する電位安定回路が接続されるゲート駆動回路。
  2. 前記電位安定回路は、前記共通接続点を電源電位に保持させる抵抗素子である請求項1に記載のゲート駆動回路。
  3. 前記電位安定回路は、前記共通接続点を電源電位に接続するダイオードである請求項1に記載のゲート駆動回路。
  4. 前記複数の電流設定回路のそれぞれに備えられる複数の半導体素子は低耐圧系のMOSトランジスタで構成され、前記切換制御回路の複数の半導体素子は高耐圧系のMOSトランジスタで構成される請求項1から3のいずれか一項に記載のゲート駆動回路。
  5. 前記切換制御回路は、前記複数の電流設定回路のうち準備状態にある前記ゲート電流のレベルを変更設定するものの電流を流すバイアス回路を有する請求項1から4のいずれか一項に記載のゲート駆動回路。
  6. 前記バイアス回路は、定電流回路である請求項5に記載のゲート駆動回路。
  7. 前記バイアス回路は、前記ゲート電流を流すための抵抗素子である請求項5に記載のゲート駆動回路。
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