JP7287144B2 - 回転体装置の製造方法、製造装置及び回転体装置 - Google Patents
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Description
よって、かしめ処理にてスリーブ及びフランジの固着を行うため、接着剤は不要で低コストであり、固着処理に要する時間も短い。また、振れ精度が悪い、スリーブに変形(膨れ)が生じ易いというかしめ処理の課題を解消する。即ち、かしめ時のスリーブへの負荷は小さく、スリーブの振れ及びスリーブの変形(膨れ)も少ない。更に、ローラを回転させながら回転体装置の軸方向に移動させるという動作で、スリーブへの負荷を少なくして、回転体装置を製造することができる。
更に、電気的フィードバック制御によって、中心軸方向におけるスリーブに加わる荷重を増加させるため、かしめ時のスリーブへの負荷をより正確に制御でき、スリーブの振れ及びスリーブの変形(膨れ)をより低減させることができる。
図1は、マグネットロール1の構成を示しており、図1Aはその縦断面図、図1Bは図1AのA-A線における横断面図である。マグネットロール(回転体装置)1は、非磁性体からなる円筒状のスリーブ2と、スリーブ2の内部に配置されたマグネット部材3と、スリーブ2の長手方向の両端部の内側に固着されたフランジ4a,4bとを有する。後述するように、各フランジ4a,4bの構成は異なるが、かしめ処理の対象としては同様の部材であるため、区別無くフランジ4a,4bについて言及するときはフランジ4,4と表記して説明する。
まず、マグネット部材3を作製する。例えば、周方向に配列された複数の磁極を備えた円筒状のマグネット5の中心孔に、接着剤を用いてシャフト6を一体化させて、マグネット部材3を作製しても良い。また、シャフト6となる丸棒を圧縮成形装置の金型内に配設し、丸棒の周囲に磁性粉末及び樹脂を混合させた磁性組成物を供給し、加圧成形して、一体化させた後、マグネット5の周方向に複数の磁極を着磁させて、マグネット部材3を作製しても良い。
フランジ4aはフランジ4aと一体であるフランジ軸部41を有しており、フランジ4aとシャフト6は軸受け7を介して回転自在に接合される。
フランジ4bはシャフト6の軸部6aを貫通させる貫通孔を有し、シャフト6と回転自在に接合される。
このような構造により、スリーブ2とマグネット部材3はそれぞれ、左端の軸部6a及び右端のフランジ軸部41を把持し回転させることで別々に回転可能となっている。
言い換えるとフランジ軸部41を把持し軸部6aを回転させると、スリーブ2を固定したままマグネット部材3を回転させることができ、軸部6aを把持したままフランジ軸部41を回転させるとスリーブ2を回転させることができる。シャフト軸部6aはシャフト6と一体であり、以下シャフト軸部6aをシャフト6の一部として説明する。
なお、上記段差部2bはスリーブ2の内周面に形成された環状の凹部によって形成されている。より詳細には、スリーブ2の両端部を除く部位の内径はフランジ4,4の外径より小さく、当該両端部の内径はフランジ4,4の外径より大きく(スリーブ2の両端部は肉厚が薄く形成されている)、がたつき無くフランジ4,4が嵌まる程度の寸法を有するように形成されており、かかる内径の差によって段差部2bが構成されている。
図3は、第1実施形態に係る製造装置の構成を示す図である。第1実施形態に係る製造装置は、かしめ処理によりマグネットロール1を製造する装置である。図3において、10はベースであり、11は被かしめ材である。被かしめ材11は、スリーブ2の内部にマグネット部材3を挿通させ、スリーブ2の両端部にフランジ4,4を嵌め込んでなるかしめ対象である。
なお、支持台12はガイドレール10aの中央部に固定されていても良い。
なお、駆動部18の機構は特に限定されるものではなく、リニアモータ、シャフトモータ等、電気的フィードバック制御により、かしめ機14の水平移動を制御できるものであれば良い。
具体的には、かしめ処理の開始指示が入力されると、シーケンサ20は、駆動制御部18aへ制御信号を出力することによって、一方のかしめ機取付け台16(右側のかしめ機取付け台16)を支持台12の方向へ移動させる。そして、シーケンサ20は、中心軸方向における被かしめ材11に加わる荷重を検出し、図6に示すように被かしめ材11にかしめ機14が当接すると同時に、2つのかしめ機14,14のローラ15,15,15を回転させる。また、シーケンサ20は、被かしめ材11に加わる荷重に応じて、上記一方のかしめ機取付け台16の水平移動を制御することによって、被かしめ材11の両端部に加わる荷重を制御する。かしめ処理を終了すると、シーケンサ20は、かしめ機14,14のローラ15,15,15の回転を停止させ、上記一方のかしめ機取付け台16及びかしめ機14を図6中右方向へ移動させて制御装置を停止させる。
なお、第1実施形態に係る製造装置の場合、2つのかしめ機14,14はガイドレール10aに沿って移動可能であるため、かしめ機14,14のローラ15,15,15が被かしめ材11に当接する位置及びタイミングを予め正確に知ることができない。このため、シーケンサ20は、荷重センサ19から出力される信号に基づいて、かしめ機14,14のローラ15,15,15が被かしめ材11の先端部に当接したかどうかを検知し、被かしめ材11にローラ15,15,15が当接した時点でローラ15,15,15が回転していない場合、大きな荷重が被かしめ材11に加わる前にローラ15,15,15の回転を開始させると良い。
また、かしめ機14,14を移動させると共にかしめ機14,14のローラ15,15,15の回転を開始させるように構成しても良い。
図10は、第1実施形態に係る製造方法の処理手順を示すフローチャート、図11は、第1実施形態に係る荷重制御の一例を示すグラフ、図12は、第1実施形態に係る荷重制御の他の例を示すグラフである。図11及び図12中、横軸は時間、縦軸は被かしめ材11に加わる中心軸方向の荷重を示している。
次に、マグネットロール1の中心軸に対してローラ15,15,15の中心軸を傾斜させている第2実施形態について説明する。図13は、第2実施形態に係るかしめ処理を行う装置の構成を示す図であり、図14は、第2実施形態に係るかしめ処理を行っている状態を示す図である。図13及び図14において、図3及び図7と同一部分には同一番号を付している。
具体的には、図11及び図12に示すようにスリーブ2に加わる荷重を漸増させることにより、より効果的にリーブの振れ及びスリーブ2の変形(膨れ)を低減させることができる。
第3実施形態のマグネットロール1に関する背景、課題、解決策について説明し、最後に具体的な実施形態を説明する。
[背景]
マグネットロール1はフランジ4,4をスリーブ2に挿入配置し、かつスリーブ2内部の段差部2bでフランジ4,4がスリーブ2内部へ一定以上入らないように止めている。スリーブ2の内周面側を研削加工することによって、第1実施形態で説明したようなスリーブ2の内周面全周にわたる環状の段差が形成されるが、加工に用いる刃(バイト)の形状により、段差部2bの形状は必然的にR形状となってしまう。
一方、段差部2bに当接するフランジ4,4は機械加工によって作られることから、加工後の端部は鋭利となるため、機械加工等によりC面取が行われている。
フランジ4,4をスリーブ2に挿入しフランジ4,4のC面取部とスリーブ2内面のR形状の段差部2bが当接した際にC面取部と当該段差部2bの当接箇所でフランジ4,4の位置が安定せず結果としてフランジ4,4の振れが発生していた。
そこで、スリーブ2の段差部2bに合わせて、当該段差部2bに当接するフランジ4,4の縁部分42をR面取とする。
第3実施形態に係る回転体装置は、円筒状のスリーブ2と、該スリーブ2の内部に設けられた円柱回転体と、前記スリーブ2の両端部に固着され、前記円柱回転体を回転可能に支持する円盤状のフランジ4,4とを備える回転体装置であって、前記スリーブ2は、挿入されたフランジ4,4が嵌り掛かる段差部2bを備え、前記段差部2bはR形状を有し、前記フランジ4,4が前記段差部2bに当接する縁部分42はR面取り加工が施されており、前記段差部2b及び前記縁部分42は略同形状である。
また、円盤状のフランジ4,4はスリーブ2の両端部にかしめ固定される構成が好ましい。フランジ4,4をスリーブ2の両端部にかしめ固定する方法は、第1実施形態又は第2実施形態に係るかしめ処理の方法を用いれば良い。また、第1実施形態又は第2実施形態に係る製造装置を用いれば良い。
更に、スリーブ2の両端部にかしめ固定されており、フランジ4,4が段差部2bに当接する縁部分42は当該R形状に倣う形状を有するとともに段差部2bと、フランジ4,4の縁部分42とが隙間無く面当接している構成が好ましい。
回転体装置は、例えばマグネットロール1である。
円柱回転体は、例えばその外周面に軸方向に延びる複数個の磁極を設けてなる永久磁石部材を有する。
スリーブ2は、塑性加工可能な非磁性部材からなり、段差部2bはスリーブ2の内周面全周にわたって形成された環状の段差である。段差部2bは中心軸を含む断面において円弧に倣った断面形状を有する。
フランジ4,4は、円柱回転体を回転可能に支持している。フランジ4,4は、前記スリーブ2の段差部2bに嵌着されると共に、前記スリーブ2の端部が折り曲げ固定されることによって、スリーブ2の両端部にフランジ4,4が固着され、マグネットロール1が構成されている。
当接箇所の形状を一致させることで、段差部2bに対するフランジ4,4のR面取部の位置決めが正確にでき、フランジ4,4の振れ精度が向上する。
特に、段差部2bと、フランジ4,4の縁部分42とが隙間無く面当接し、当該フランジ4,4をスリーブ2の両端部にかしめ固定することにより、フランジ4,4をがたつき無くスリーブ4,4の両端部に固定することができ、フランジ4,4の振れ精度が向上する。
従って、第3実施形態によれば、フランジ104,104の振れを効果的に抑えることができる。
2 スリーブ
2b 段差部
3 マグネット部材
4a(4) フランジ
4b(4) フランジ
5 マグネット
6シャフト
6a シャフト軸部
7 軸受
10 ベース
10a ガイドレール
10b センサ支持部
11 被かしめ材
12 支持台
12a スライダ
13 固定具
14 かしめ機
14a ローラ台座
14b 筒体
15 ローラ
15a 外周面(加工面)
15b 傾斜面
15c 内円弧面
15d 水平面
16 かしめ機取付け台
16a スライダ
17 回転モータ
17a モータ制御部
17b モータアンプ
18 駆動部
18a 駆動制御部
18b 駆動アンプ
18c 駆動機構
19 荷重センサ
19a センサアンプ
20 シーケンサ
21 溝
40 ローレット
41 フランジ軸部
42 縁部分
Claims (11)
- 円筒状のスリーブと、該スリーブの内部に設けられた円柱回転体と、前記スリーブの端部に固着され、前記円柱回転体を支持するフランジとを備える回転体装置を製造する方法であって、
前記スリーブの端部に前記フランジを固着させる際に、前記スリーブの端部に、回転体装置の中心軸に対して外周面を傾斜させて3個一組のローラを接触させ、
回転体装置の中心軸方向における前記スリーブに加わる荷重を検出し、
検出された荷重を用いた電気的フィードバック制御により、前記スリーブに加わる荷重が増加するように、前記ローラを回転体装置の中心軸回りに回転させながら該ローラを回転体装置の中心軸方向に移動させ、回転体装置の中心軸方向における前記スリーブに加わる荷重が所定値に達した場合、検出される荷重が所定時間、前記所定値で維持されるように前記ローラを回転体装置の中心軸方向へ移動させる力をフィードバック制御することにより、前記スリーブをかしめる
回転体装置の製造方法。 - 前記所定時間は、
前記スリーブの端部の縁に沿って前記ローラが、複数回回転するのに要する時間である
請求項1に記載の回転体装置の製造方法。 - 回転体装置の中心軸方向における前記スリーブに加わる荷重が検出された場合、前記ローラの回転を開始させる
請求項1又は請求項2に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記スリーブの両端部に前記フランジを固着させる際に、前記スリーブの一方の端部及び他方の端部それぞれに、回転体装置の中心軸に対して外周面を傾斜させて3個一組の前記ローラを接触させ、各3個一組の前記ローラそれぞれを回転体装置の中心軸回りに回転させながら該ローラを回転体装置の中心軸方向に移動させて、前記スリーブをかしめる
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記一方の端部に接触する前記ローラを回転体装置の中心軸方向に移動させ、前記他方の端部に接触する前記ローラに加わる荷重を検出することにより、回転体装置の中心軸方向における前記スリーブに加わる荷重を検出する
請求項4に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記スリーブの一方の端部に接触する3個一組の前記ローラの回転方向と、前記スリーブの他方の端部に接触する3個一組の前記ローラの回転方向とが逆である
請求項4又は請求項5に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記ローラの外周面は、先端面から後端面に向かって広がる傾斜面と、該傾斜面の後端面側に配された内円弧面とを有する
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記ローラを回転体装置の中心軸方向に移動させる最後に、前記ローラの前記内円弧面を前記スリーブの端部に接触させる
請求項7に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記ローラの中心軸を回転体装置の中心軸に対して傾斜させた
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の回転体装置の製造方法。 - 前記ローラの外周面は、前記ローラの中心軸に対して傾斜していない面と、該ローラの中心軸に対して傾斜していない面の後端面側に配された内円弧面とを有しており、前記ローラの中心軸を回転体装置の中心軸に対して傾斜させた
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の回転体装置の製造方法。 - 円筒状のスリーブと、該スリーブの内部に設けられた円柱回転体と、前記スリーブの端部に固着され、前記円柱回転体を支持するフランジとを備える回転体装置を製造する装置であって、
前記スリーブの端部に接触する3個のローラを有するかしめ機と、
該かしめ機を、回転体装置の中心軸回りに回転させる回転モータと、
前記かしめ機を回転体装置の中心軸方向に移動させる駆動部と、
前記スリーブの中心軸方向に加わる荷重を検出する荷重センサと、
該荷重センサにて検出された荷重を用いた電気的フィードバック制御により、前記ローラを回転体装置の中心軸回りに回転させながら該ローラを回転体装置の中心軸方向に移動させるシーケンサと
を備え、
前記ローラは、その外周面を回転体装置の中心軸に対して傾斜させて配置してあり、
前記シーケンサは、
前記スリーブの中心軸方向に加わる荷重が増加するように、前記ローラを回転させながら該ローラを回転体装置の中心軸方向に移動させ、回転体装置の中心軸方向における前記スリーブに加わる荷重が所定値に達した場合、検出される荷重が所定時間、前記所定値で維持されるように前記ローラを回転体装置の中心軸方向へ移動させる力をフィードバック制御することにより前記スリーブをかしめて前記スリーブ及びフランジを固着させるように構成してある
回転体装置の製造装置。
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