JP7286035B1 - 水処理制御システムおよび水処理装置の制御方法 - Google Patents

水処理制御システムおよび水処理装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置を制御する水処理制御システムであって、状態観測部と、前処理部と、水質推定部と、を備える。状態観測部は、水処理装置に流入する排水が処理水となるまでの処理経路内の地点における排水の状態または排水が受ける処理の状態を計測する計測器で計測された計測値を収集し、複数の時刻における計測値を時系列データとして蓄積する。前処理部は、時系列データに対して定められた処理を行い、処理データを作成する。水質推定部は、処理水中の全窒素濃度を推論するための推定モデルを用いて、前処理部で処理された処理データから処理水中の全窒素濃度の推定値である処理水全窒素濃度推定値を推定する。前処理部は、時系列データの内、水質推定部での全窒素濃度の推定対象となる処理水の処理経路における滞留時間を考慮して、推定対象となる処理水について計測された計測値を抽出して処理データを作成する。

Description

本開示は、下水などの排水を浄化する水処理制御システムおよび水処理装置の制御方法に関する。
下水中の窒素は活性汚泥法により処理されている。窒素除去は下水中のアンモニア態窒素(NH4-N)の硝化と、硝化により生成した硝酸態窒素(NO3-N)の脱窒と、によってなされる。硝化反応は好気的な条件で進行するので、活性汚泥に空気を供給する、すなわち曝気する必要がある。窒素除去を良好に維持するためには、生物反応槽末端の全窒素(Total Nitrogen:TN)濃度を計測器により逐次計測して窒素除去の現状を把握すること、およびこれに基づいた曝気量の制御を行うことが重要である。特許文献1では、脱窒タンクおよび後段の好気タンクに全窒素濃度計を設置して、生物処理状況を把握し、曝気量を調整している。また、特許文献1では、全窒素濃度を直接計測することに代えて、酸化還元電位(Oxidation-Reduction Potential:ORP)、溶存酸素(Dissolved Oxygen:DO)、水素イオン指数(pH)、紫外線(UltraViolet:UV)、汚泥混合液の浮遊物質(Mixed Liquor Suspended Solids:MLSS)の内1つ以上の計測値から全窒素濃度の値を推定する方法を開示している。
特開2004-275826号公報
ところで、全窒素濃度計は高価であるので、特許文献1に記載の技術のように他の安価なセンサを利用する方法の積極的な活用が望まれる。しかし、生物反応槽末端の全窒素濃度は、流入水質または硝化工程における曝気量に強く影響を受けるので、特許文献1に記載の技術のように生物反応槽内の酸化還元電位、溶存酸素、水素イオン指数、紫外線および汚泥混合液の浮遊物質の内1つ以上の計測値を説明変数としても、全窒素濃度を精度よく推定することは困難である。このため、生物反応槽に全窒素濃度計を恒久的に設置することなく、処理水に含まれる全窒素濃度を従来に比して高い精度で推定することができる技術が望まれていた。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、生物反応槽に全窒素濃度計を恒久的に設置することなく、処理水に含まれる全窒素濃度を従来に比して高い精度で推定することができる水処理制御システムを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る水処理制御システムは、排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置を制御する水処理制御システムであって、複数の計測器と、状態観測部と、前処理部と、推定モデル生成部と、水質推定部と、を備える。複数の計測器は、水処理装置に流入する排水中または水処理装置の無酸素槽内のアンモニウムイオン濃度値である第1アンモニウムイオン濃度値を計測する第1アンモニウムイオン濃度計と、排水の水量である流入水量を計測する流入水量計と、水処理装置の無酸素槽よりも下流側に設置される好気槽内のアンモニウムイオン濃度値である第2アンモニウムイオン濃度値を計測する第2アンモニウムイオン濃度計と、好気槽内の溶存酸素濃度値を計測する溶存酸素濃度計と、好気槽への空気の供給量である曝気量を計測する曝気量計と、を含む。状態観測部は、計測器で計測された計測値を収集し、複数の時刻における計測値を時系列データとして蓄積する。前処理部は、排水が流入してから処理水となるまでの処理経路内の各地点での滞留時間を用いて、複数の計測器のそれぞれで計測された計測値が同じ時期に流入した排水についての計測値となるように組み合わせ、計測値の組み合わせを1つのデータセットとする処理を行い、処理データを作成する。推定モデル生成部は、前処理部が作成した処理データと機械学習とを用い、処理水中の全窒素濃度を推論するための推定モデルを生成する。水質推定部は、推定モデル生成部が生成した推定モデルを用いて処理水中の全窒素濃度の推定値である処理水全窒素濃度推定値を推定する。推定モデル生成部は、非恒久的に設置した全窒素濃度計で測定した処理水中の全窒素濃度または水質分析によって取得した処理水中の全窒素濃度を正解データとして、処理データとの組み合わせに基づいて機械学習を行う。水質推定部は、推定モデル生成部が生成した推定モデルに、前処理部から出力される処理データのうち最も新しい処理データを入力して処理水全窒素濃度推定値を推定する。
本開示に係る水処理制御システムは、生物反応槽に全窒素濃度計を恒久的に設置することなく、処理水に含まれる全窒素濃度を従来に比して高い精度で推定することができるという効果を奏する。
実施の形態1に係る水処理システムの構成の一例を模式的に示す図 実施の形態1に係る水処理システムの水処理装置の構成の一例を示す図 推定モデル生成部が使用するニューラルネットワークの一例を模式的に示す図 好気槽アンモニウムイオン濃度と窒素除去量との関係の一例を示す図 推定モデルの生成方法の手順の一例を示すフローチャート 処理水全窒素濃度推定値の推定方法の手順の一例を示すフローチャート 制御目標値の算出方法の手順の一例を示すフローチャート 実施の形態2に係る水処理システムの構成の一例を模式的に示す図 実施の形態1,2に係る水処理制御システムを実現するコンピュータシステムの構成の一例を示す図
以下に、本開示の実施の形態に係る水処理制御システムおよび水処理装置の制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る水処理システムの構成の一例を模式的に示す図である。水処理システム100は、下水などの排水を活性汚泥による生物学的浄化技術によって浄化するシステムである。水処理システム100は、排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置110と、水処理装置110を制御する水処理制御システム120と、を備える。
水処理装置110は、生物反応槽の一例である、無酸素槽2と、好気槽3と、最終沈殿池4と、を備える。無酸素槽2は、処理の対象となる排水を受け入れる水槽である。好気槽3は、無酸素槽2から流出した処理液である無酸素槽処理液を受け入れる水槽である。最終沈殿池4は、好気槽3から流出した処理液である好気槽処理液を受入れ、好気槽処理液に含まれる活性汚泥を固液分離により分離して処理水を得る水槽である。また、水処理装置110は、硝化液循環ポンプ5と、汚泥引抜ポンプ9と、を備える。硝化液循環ポンプ5は、好気槽3に滞留している活性汚泥を無酸素槽2に送る。汚泥引抜ポンプ9は、最終沈殿池4の底部に堆積した活性汚泥を引き抜く。
無酸素槽2には、流入水配管1が接続され、流入水配管1を介して排水が無酸素槽2に流入する。無酸素槽2は、水中撹拌機8を有する。水中撹拌機8は、無酸素槽2に滞留している活性汚泥と排水とを混合する。つまり、排水は、無酸素環境下、すなわち分子状酸素濃度が極端に低い状態で、活性汚泥によって処理される。具体的には、硝化液循環ポンプ5によって返送されてきた硝化液に含まれる硝酸イオン(NO3 -)を微生物の作用によって還元し、窒素ガスに変換して水中から除去する脱窒が、無酸素槽2で行われる。硝化液は、好気槽3に滞留していた活性汚泥混合液である。無酸素槽2から流出した活性汚泥混合液は好気槽3に流入する。
好気槽3は、底部に設けられ、好気槽3内に滞留する活性汚泥混合液への酸素供給を行う散気装置6と、配管を介して散気装置6に空気等の酸素含有ガスを圧送するブロア7と、を備える。好気槽3では、好気的条件で排水が処理される。具体的には、無酸素槽2から流出した活性汚泥混合液中に含まれるアンモニウムイオン(NH4 +)を微生物の作用により酸化し、硝酸イオンに変換する硝化が、好気槽3で行われる。上記したように、好気槽3には硝化液循環ポンプ5が接続されている。硝化液循環ポンプ5は、好気槽3内に滞留する活性汚泥混合液である硝化液の一部を引き抜き、無酸素槽2に返送する。好気槽3から流出した活性汚泥混合液は最終沈殿池4に流入する。
最終沈殿池4は、好気槽3からの活性汚泥混合液を固液分離する。具体的には、流入した活性汚泥混合液の内、活性汚泥は重力沈降によって、最終沈殿池4下方へ沈降分離され、上澄水は最終沈殿池4の上部から流出し、処理水として、塩素消毒等の後段の処理に送られる。最終沈殿池4には汚泥引抜ポンプ9が接続されている。汚泥引抜ポンプ9は、最終沈殿池4の底部に堆積した活性汚泥の一部を引き抜いて無酸素槽2に返送するか、あるいは濃縮装置または脱水機などの汚泥処理プロセスに排出する。以下では、最終沈殿池4における上澄水は、好気槽3から流入した直後の活性汚泥混合液を意味するものとする。また、最終沈殿池4から流出した流出水は、最終沈殿池4で固液分離された液体を意味するものとする。さらに、以下の説明では、処理水は最終沈殿池4からの流出水であるものとするが、最終沈殿池4における上澄水としてもよい。
好気槽3における酸素供給、すなわち曝気にはブロア7を動作させる動力を要するので、この消費電力量を最小限に抑えるように必要十分な曝気量を見極めて曝気を実施することが求められている。好気槽3は硝化を目的に設置され、曝気量を増やすほど硝化促進が可能になる。しかしながら、やみくもに曝気量を増やすとブロア7の消費電力量が大きくなり、また硝化液に含まれる溶存酸素濃度が高くなり、硝化液循環ポンプ5で無酸素槽2に返送される硝化液の無酸素槽2での脱窒が阻害される。このように、硝化プロセスのみを考慮した曝気制御は必ずしも水処理システム100全体として最適とは言えず、脱窒プロセスまで考慮した水処理システム100全体としての窒素除去性能に注意を払った制御が必要である。つまり、処理水のアンモニウムイオン濃度ではなく、硝酸イオン濃度まで含めて評価可能な全窒素濃度に着目して曝気量を調整することが望ましい。実施の形態1に係る水処理システム100の水処理制御システム120では、水処理装置110内に設置されたいくつかの計測器から得られた情報から機械学習等の人工知能(Artificial Intelligence:AI)を用いて処理水の全窒素濃度を推定し、曝気量制御を行う。
水処理装置110は、水処理装置110に流入する排水が処理水となるまでの処理経路内の地点における排水の状態または排水が受ける処理の状態を計測する計測器を備える。一例では、水処理装置110は、計測器である、流入水量計10と、流入水アンモニウムイオン濃度計11と、好気槽アンモニウムイオン濃度計12と、好気槽溶存酸素濃度計13と、曝気量計14と、を備える。流入水量計10は、流入水配管1に設けられ、流入水の水量である流入水量を計測する。流入水アンモニウムイオン濃度計11は、流入水配管1に設けられ、流入水のアンモニウム濃度である流入水アンモニウムイオン濃度を計測する。好気槽アンモニウムイオン濃度計12は、好気槽3に設けられ、好気槽3内のアンモニウムイオン濃度である好気槽アンモニウムイオン濃度を計測する。好気槽溶存酸素濃度計13は、好気槽3に設けられ、好気槽3内の溶存酸素濃度である好気槽溶存酸素濃度を計測する。曝気量計14は、好気槽3への空気の供給量である曝気量を計測する。一例では、曝気量計14は、ブロア7から好気槽3に空気を送風する配管に設けられ、ブロア7から好気槽3への曝気量を計測する。排水の状態の一例は、流入水量、流入水アンモニウムイオン濃度、好気槽アンモニウムイオン濃度、および好気槽溶存酸素濃度である。排水が受ける処理の状態の一例は、排水が受ける曝気処理の状態であり、曝気処理の状態を示すものが曝気量である。流入水アンモニウムイオン濃度計11は、第1アンモニウムイオン濃度計に対応し、好気槽アンモニウムイオン濃度計12は、第2アンモニウムイオン濃度計に対応し、好気槽溶存酸素濃度計13は、溶存酸素濃度計に対応する。
これらの計測器は、一例では数秒置きから数10分置きに計測値を水処理制御システム120の状態観測部21に伝送する。伝送頻度の間隔が空きすぎると、処理水の全窒素濃度の推定の頻度が低下し、場合によっては処理水の全窒素濃度の推定値を根拠とした曝気量の制御が、排水の流入量または窒素などの汚濁物質濃度の変動である負荷変動に追従できなくなる可能性が生じる。このため、通常、計測値を伝送する周期は、1分以上10分程度以下に設定される。ただし、水処理システム100に流入する排水の負荷特性などによって調整が可能であり、この範囲に限定されるというわけではない。以下では、処理水の全窒素濃度は、処理水全窒素濃度と称され、処理水の全窒素濃度の推定値は、処理水全窒素濃度推定値と称される。
また、流入水アンモニウムイオン濃度計11は、必ずしも無酸素槽2よりも上流側に設置される必要はなく、無酸素槽2内に設置されてもよい。無酸素槽2では脱窒のみが発生してアンモニウムイオンの硝化、つまりアンモニウムイオンの分解は生じない。従って、無酸素槽2内のアンモニウムイオン濃度の計測は、活性汚泥による希釈のために、流入水アンモニウムイオン濃度と必ずしも同じにはならない。しかし、水処理装置110に供給されるアンモニウムイオンの負荷を把握する意味では流入水アンモニウムイオン濃度の計測と同じ意味を持っており、後の多変量処理に使用することができる。
水処理システム100は、無酸素槽2での脱窒プロセスまでを考慮した水処理システム100全体の窒素除去性能に基づいて、好気槽3への曝気量を制御する水処理制御システム120を備える。水処理制御システム120は、状態観測部21と、プラント情報記憶部22と、前処理部23と、推定モデル生成部24と、水質推定部25と、制御目標値算出部26と、曝気量制御部27と、を備える。
状態観測部21は、各計測器から伝送されてきた計測器の値である計測値を収集し、複数の時刻における計測値を時系列データにして蓄積する。時系列データは、状態観測部21によって時系列順に蓄積された計測値である。多くの場合、計測器は、1V以上5V以下の電圧値、または4mA以上20mA以下の電流値によって濃度または流量の大小を表現するアナログ出力方式が採用される。状態観測部21は、このような信号を受信し、濃度または流量に換算できる装置である。一例では、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)またはアナログ信号の入出力機能を付加した汎用のパーソナルコンピュータが状態観測部21に使用される。ただし、計測器での計測値を受信して記録できればよいので、計測器は、アナログ出力仕様に限定されるわけではないし、状態観測部21も計測器の仕様と状態観測部21の目的を勘案して仕様が決められればよい。状態観測部21に蓄積する各計測器のデータ量に特に制限はない。状態観測部21は、受信した計測値のデータの一部、または全部を前処理部23に提供する。また、推定モデルを生成する場合には、状態観測部21は、受信した計測値のデータの一部、または全部を推定モデル生成部24に提供する。
プラント情報記憶部22は、主に水処理装置110の構成および構造に関する情報であるプラント情報を記憶する。プラント情報は、水処理装置110を構成する水槽、図1の例では、無酸素槽2、好気槽3および最終沈殿池4の有効容積を含む。有効容積は、各水槽におけるヘッドスペースを除く、正味の液体貯留可能量である。
前処理部23は、続く水質推定部25でのデータ処理に備え、状態観測部21から受けとった時系列データに対して定められた処理を行い、処理データを作成する。処理データは、前処理部23によって処理が行われた計測値である。一例では、前処理部23は、主に、(A)データ調整処理および(B)遅れ時間補正処理を実施する。以下に、(A)データ調整処理および(B)遅れ時間補正処理について順に説明する。
(A)データ調整処理
データ調整処理では、前処理部23は、各計測器から得られたデータの異常値または外れ値の除去、あるいは欠損値の補間等を行う。各計測器によって、状態観測部21へのデータ伝送頻度が異なる場合には、それぞれの計測器で見かけ上、データ伝送頻度が等しくなるように不要なデータの除去または補間を行って調整することもデータ調整処理に含まれる。必要なデータ頻度は、後の推定モデル生成部24において構築する処理水全窒素濃度の推定モデルの要求仕様を考慮して運転管理者が決めるのが望ましい。一例では、5分間隔で推定値を出力するモデルを構築、運用する場合には、各計測器データのデータ伝送頻度も5分間隔となるように調整するのが望ましい。
欠損値の補間方法として、例えば前後の正常値を両端とした線形補間、スプライン補間等の手法を使用することができる。異常値または外れ値の除去には、四分位範囲を参考に、次式(1),(2)のように外れ値を定義することによって除去してもよい。なお、四分位数は、データを小さい順に並べたときに、データの数で4等分した区切り値を指す数であり、第1四分位数は、小さい方から25%の区切り値であり、第3四分位数は、小さい方から75%の区切り値である。また、四分位範囲は、第1四分位数から第3四分位数までの範囲である。
外れ値<第1四分位数-(1.5×四分位範囲) ・・・(1)
外れ値>第3四分位数+(1.5×四分位範囲) ・・・(2)
また、プラントの運転管理者等が予め異常値または外れ値を判定する閾値を計測器毎に設定しておいて、前処理部23が、データと閾値との比較による判定によって除去を行うものであってもよい。この場合、閾値を予め前処理部23に読み込ませておく必要があり、前処理部23が閾値入力部を有する構成とするか、あるいはプラント情報記憶部22に計測機毎の閾値を示す閾値情報を記憶しておき、プラント情報記憶部22から前処理部23に閾値情報を提供する構成にしてもよい。
閾値に、一例では流量または濃度の絶対値が設定されてもよいし、これらのデータの時間変化量が設定されてもよい。データの時間変化量が閾値に設定される場合には、前処理部23は、各変数の時間変化量を算出した上で、閾値と比較する。つまり、計測値は常に変動するが、時間当たりの増減幅には適正な範囲が存在する。これから逸脱する速度で変化した場合には、計測環境が何らかの理由で正常な状態でなくなったか、計測器自身にエラーが起きた場合などが考えられる。このため、計測値の時間変化量による異常値または外れ値の判断は合理的であると言える。
また、前処理部23は、計測値の移動平均を算出して異常値または外れ値の影響を緩和してもよい。この場合には、当然、異常値または外れ値を除去した後の計測値で移動平均を算出してもよい。
(B)遅れ時間補正処理
前述のように水処理制御システム120は、処理水中に含まれる全窒素濃度を、他の計測器のデータを使用して推定する。実施の形態1の水処理制御システム120は、流入水アンモニウムイオン濃度計11、好気槽アンモニウムイオン濃度計12、好気槽溶存酸素濃度計13および曝気量計14の計測値を前述の前処理を行った上で使用する。
ここで、ある時刻の処理水全窒素濃度は、ある時刻よりも無酸素槽2、好気槽3および最終沈殿池4における排水の合計滞留時間以前に流入した排水が、これらの各水槽で定められた処理を受けた結果によって決定されるものである。このため、ある時刻の処理水全窒素濃度と、同じある時刻の他の計測器のデータと、の間に強い関係が存在しない可能性もある。つまり、ある時刻Tの処理水全窒素濃度を上流側に設置された他の計測器で得られたデータから推定する場合には、それぞれの計測器が設置されている場所から、最終沈殿池4から流出する地点までの排水の流下時間すなわち滞留時間を考慮することがより正確な推定に必要であると考えられる。そこで、実施の形態1では、ある時刻Tから定められた滞留時間t分だけ遡った時刻の各計測器のデータが、処理水窒素濃度を推定するための説明変数に使用される。
遅れ時間補正処理では、前処理部23は、同じ時期に流入した排水について計測された各計測項目を横並びに比較できるように、各計測器で収集した時系列データを同列に並べる処理を行う。つまり、前処理部23は、プラント情報記憶部22に記憶されるプラント情報に基づいて最終沈殿池4の出口までの流下時間を算出し、算出した流下時間を用いて、各計測器で収集した時系列データを同列に並べる処理を行う。
具体的には、前処理部23は、状態観測部21から時系列データを受け取り、プラント情報記憶部22に記憶されるプラント情報に基づいて、計測器の地点から処理水となる地点までの処理経路を排水が滞留する時間である滞留時間を算出する。そして、前処理部23は、計測器による計測値が同じ時期に流入した排水について測定されたものとなるように、時系列データを受け取った時刻から、測定器の地点までの滞留時間を遡った時刻の計測値である滞留時間を考慮した計測値を抽出し、処理データを作成する。各計測器について滞留時間を考慮した計測値を抽出したものが1つのデータセットとなる。
滞留時間は、流入水量Qと、各計測器による計測地点から推定対象となる地点までに通過する水槽の有効容積Vで求めることができる。一例では、過去24時間の流入水量から1時間当たりの流入水量である平均流入水量を算出したものをQとし、Q/Vで求まる値を滞留時間tとすることができる。なお、各水槽の有効容積は、プラント情報記憶部22のプラント情報を参照して得ることができる。図1で最終沈殿池4から排出される流出水を処理水として処理水全窒素濃度推定値を求めたい場合には、流入水配管1から最終沈殿池4までの滞留時間が算出される。また、図1で上澄水を処理水として処理水全窒素濃度推定値を求めたい場合には、流入水配管1から最終沈殿池4の直前の好気槽3までの滞留時間が算出される。
また、硝化液または最終沈殿池4からの返送汚泥が滞留時間に影響を与えると判断される場合には、これらの流量あるいはこれらの流入地点によってはいずれか一方を流入水量と合算してQとし、滞留時間tを求めてもよい。
図2は、実施の形態1に係る水処理システムの水処理装置の構成の一例を示す図である。図2では、窒素とリンの同時除去を目的とする嫌気無酸素好気法(Anaerobic-Anoxic-Oxic法:A2O法)で水処理を行う場合の水処理装置110の構成の一例を示している。図2の水処理装置110は、図1の場合に比して、無酸素槽2の前段に嫌気槽15をさらに備える。嫌気槽15は、処理対象となる排水を受け入れる水槽である。嫌気槽15では空気を送らない状態で排水を撹拌し、リン蓄積細菌からリンを放出させる。無酸素槽2は、嫌気槽15から流出した処理液である嫌気槽処理液を受け入れる水槽となる。
図2の場合には、好気槽3に滞留している活性汚泥が硝化液循環ポンプ5によって無酸素槽2に返送される。また、最終沈殿池4の底部に堆積した活性汚泥が汚泥引抜ポンプ9によって嫌気槽15に返送される。つまり、返送汚泥と硝化液との流入地点が異なっている。このような場合には、流入水配管1からの排水の流入量をQ1とし、最終沈殿池4からの返送汚泥の流入量をQ2とし、好気槽3からの硝化液の流入量をQ3とし、嫌気槽15の有効容積をV1とし、無酸素槽2の有効容積をV2すると、嫌気槽15での滞留時間T1と、無酸素槽2での滞留時間T2とは、それぞれ次式(3),(4)によって算出される。
T1=(Q1+Q2)/V1 ・・・(3)
T2=(Q1+Q2+Q3)/V2 ・・・(4)
これらのように硝化液または返送汚泥が滞留時間に影響を与えると判断される場合、硝化液循環ポンプ5の二次側、および汚泥引抜ポンプ9の二次側で、かつ硝化液および返送汚泥が流れる配管上に、それぞれ流量計16,17が設置される。そして、それぞれの流量計16,17での計測値は、状態観測部21を経由して前処理部23に入力できるようされることが望ましい。これらの流量についても、流入水量と同じく、一例では、過去24時間の平均流量を算出して使用される。なお、実施の形態1では、処理水を最終沈殿池4の流出水であると定義したが、一例では最終沈殿池4内の上澄水にしてもよく、水処理装置110におけるいずれの点を処理水と定義するかは、水処理システム100の運転管理者が適宜設定することができる。要は各計測器が設置されている地点から全窒素濃度を推定したい処理水の地点までの滞留時間を算出することができる位置が定められていればよい。
図1に戻り、前処理部23は、(A)データ調整処理を行った上で、(B)遅れ時間補正処理を実施し、計測値を調整し、補正する。具体的には、前処理部23は、排水が流入してから処理水として排出されるまでの間の各水槽での滞留時間を考慮して、各計測器間の時系列データにおける計測値を調整および補正して、同じ時期に流入した排水について各計測器で計測された計測値の組み合わせを1つのデータセットとする。つまり、前処理部23は、処理水として処理された排水が処理経路を通過したときに各計測器で計測された計測値を組み合わせたものを1つのデータセットとする。このため、同じ時刻における各計測器の計測値を1つのデータセットとするのではなく、処理経路における処理水全窒素濃度を推定したい地点から計測器が設置されている地点までの滞留時間を考慮して遡った時間の各計測器の計測値を1つのデータセットとする。このように調整、補正されたデータセットは、以下では遅れ時間補正後のデータセットと称され、処理データに対応する。前処理部23は、遅れ時間補正後のデータセットを水質推定部25に出力する。
推定モデル生成部24は、前処理部23で遅れ時間補正後のデータセットを使用して、処理水全窒素濃度推定値を推定する推定モデルを構築する。
推定モデル生成部24は、水質推定部25が処理水全窒素濃度の推定モデルを保持していない場合に、推定モデルの生成処理を実行する。処理水全窒素濃度は、流入水質および好気槽3での処理状態に強く依存し、特に、流入水アンモニウムイオン濃度、好気槽アンモニウムイオン濃度、好気槽溶存酸素濃度、および好気槽3への曝気量との関係が強いことが検討の結果明らかとなった。つまり、これらの値を使用することで、処理水全窒素濃度を定量的に精度よく推定可能となる。すなわち、推定モデル生成部24は、遅れ時間補正後のデータセットを使用し、流入水アンモニウムイオン濃度値、好気槽アンモニウムイオン濃度値、好気槽溶存酸素濃度値、および好気槽3への曝気量を説明変数とし、処理水全窒素濃度値を目的変数として機械学習などの多変量処理を行うことで処理水全窒素濃度の推定モデルを構築する。多変量処理には、一例では重回帰、主成分回帰、部分的最小二乗法(Partial Least Squares Regression:PLS)、サポートベクタ回帰(Support Vector Regression:SVR)、ニューラルネットワークによる深層学習等を使用することができる。
推定モデルを構築する場合には、正解データを使用した学習が実施される。つまり、推定モデル生成部24は、正解データである処理水全窒素濃度の真値を、正解データの取得時刻に対応する遅れ時間補正後のデータセットと併せて保持し、これらのデータを用いて解析を行うことで、より高精度なモデルを得ることができる。処理水全窒素濃度の真値は、一例では、処理水の全窒素濃度を計測する処理水全窒素濃度計を最終沈殿池4に学習期間のみ仮設置することで得られる。前処理部23では、上記したように、処理水全窒素濃度の計測対象となる処理水が、流入水配管1から処理水が流出する地点までの処理経路を通過するときに、各計測器で計測された計測値を1つのデータセットとする。
この場合、処理水全窒素濃度計は、処理水全窒素濃度の計測値を状態観測部21に出力し、前処理部23は、定められた前処理を行って、推定モデル生成部24に出力するようにしてもよい。この場合、処理水全窒素濃度計を恒常的に水処理装置110に設置する必要がない。また、通常、水処理システム100においては、複数の水処理装置110が並列して設けられることが多いので、処理水全窒素濃度計を複数の水処理装置110で使い回すことができる。
あるいは、処理水全窒素濃度の真値は、他の例では、運転管理者が、任意の間隔で水質分析を行った結果にしてもよい。この場合、運転管理者は、水質分析の結果を状態観測部21に入力してもよいし、推定モデル生成部24に直接入力してもよい。学習に必要な期間およびデータ数は、構築する推定モデルによって調整可能である。一例では、数分置きに推定値を出力する推定モデルを想定する場合には、推定値の出力頻度と同様な頻度で少なくとも24時間以上のデータを取得し、学習用データとするのがよい。
ここで、機械学習によって推定モデルを生成する場合を例に挙げて、推定モデル生成部24の処理を説明する。推定モデル生成部24は、前処理部23から出力される遅れ時間補正後のデータセットと、処理水全窒素濃度の真値と、の組合せに基づいて作成される学習用データに基づいて、処理水全窒素濃度推定値を学習する。すなわち、水処理装置110の遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値から最適な処理水全窒素濃度推定値を推論する学習済モデルである推定モデルを生成する。ここで、学習用データは、遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値を互いに関連付けたデータである。遅れ時間補正後のデータセットは、処理水全窒素濃度の真値を測定した時刻である測定時刻から、それぞれの計測器の地点の排水の滞留時間まで遡った時刻における流入水アンモニウムイオン濃度値、好気槽アンモニウムイオン濃度値、好気槽溶存酸素濃度値および好気槽3への曝気量の組合せである。流入水アンモニウムイオン濃度値は、第1アンモニウムイオン濃度値に対応し、好気槽アンモニウムイオン濃度値は、第2アンモニウムイオン濃度値に対応し、好気槽溶存酸素濃度値は、溶存酸素濃度値に対応する。
なお、推定モデル生成部24は、水処理システム100から独立した学習装置によって構成されていてもよい。この学習装置は、水処理システム100の処理水全窒素濃度推定値を学習するために使用されるが、例えば、ネットワークを介して水処理システム100の水処理制御システム120に接続され、この水処理制御システム120とは別個の装置であってもよい。また、学習装置は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
推定モデル生成部24が用いる学習アルゴリズムは教師あり学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、ニューラルネットワークを適用した場合について説明する。
推定モデル生成部24は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、処理水全窒素濃度推定値を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果であるラベルとのデータの組を学習装置に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、隠れ層とも称され、1層でもよいし、2層以上でもよい。
図3は、推定モデル生成部が使用するニューラルネットワークの一例を模式的に示す図である。例えば、図3に示されるような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層X1から入力層X3に入力されると、その値にw11からw16で示される重みを掛けて中間層Y1から中間層Y2に入力される。重みw11からw16は、個々に区別しない場合には、重みw1と称される。また、中間層Y1から中間層Y2の結果にさらにw21からw26で示される重みを掛けて出力層Z1から出力層Z3から出力される。重みw21からw26は、個々に区別しない場合には、重みw2と称される。出力層Z1から出力層Z3の出力結果は、重みw1,w2の値によって変わる。
実施の形態1において、ニューラルネットワークは、状態観測部21によって取得され、前処理部23によって処理される遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、処理水全窒素濃度推定値を学習する。
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に遅れ時間補正後のデータセットを入力して出力層から出力された結果が、処理水全窒素濃度の真値に近づくように重みw1と重みw2とを調整することで学習する。
推定モデル生成部24は、以上のような学習を実行することで推定モデルを生成し、出力する。
以上の推定モデルの生成処理は、運転管理者等が予め推定モデルを構築し、水質推定部25に入力しておけば必ずしも必要ではなく、必要に応じて運転管理者等が実施の判断を行う。また、推定モデルが予め入力されている場合であっても、推定モデルの更新が必要と判断される場合には、処理水全窒素濃度の真値を上述の通り取得して、推定モデルの生成処理を実施し、推定モデルを更新してもよい。
図1に戻り、水質推定部25は、構築した推定モデル、あるいは予め入力されている推定モデルを用いて、前処理部23から入力される滞留時間を考慮した計測値から処理水全窒素濃度推定値を推定する。具体的には、水質推定部25は、前処理部23から出力された遅れ時間補正後のデータセットの内、各計測器の最も新しい遅れ時間補正後のデータセットを推定モデルに入力して、推定時刻における処理水全窒素濃度推定値を算出する。実施の形態1に係る水処理システム100は、逐次現時刻の処理水全窒素濃度推定値を出力するので、状態観測部21から前処理部23へのデータ提供頻度、および前処理部23から水質推定部25へのデータ提供頻度は、推定モデルによる推定頻度以上であることが望ましい。また、前処理部23から水質推定部25に受け渡すデータは、推定モデルを構築済みで推定のみを行う場合には、現時刻の処理水全窒素濃度推定値を算出する上で必要な時刻のデータのみあればよい。
なお、ここでは、水処理制御システム120の推定モデル生成部24で学習した推定モデルを用いて処理水全窒素濃度推定値を出力するものとして説明したが、他の水処理システム100等の外部から推定モデルを取得し、この推定モデルに基づいて処理水全窒素濃度推定値を出力するようにしてもよい。
制御目標値算出部26は、蓄積された、処理水全窒素濃度推定値から算出される水処理装置110での窒素除去量と流入水アンモニウムイオン濃度値との関係から窒素除去量が最大となる流入水アンモニウムイオン濃度値を制御目標値として取得する。
上述のとおり、排水の処理においては、硝化、脱窒を総合的にとらえた曝気量制御が理想的である。このため、実施の形態1に係る水処理制御システム120では、窒素除去量を指標にして好気槽3における曝気量を調整する。窒素除去量は、処理水全窒素濃度と流入水の全窒素濃度との差から求めることができる。一例では、都市下水などの生活排水が主に含まれる排水の場合には、流入水に含まれる窒素は、ほぼ全量がアンモニウムイオンであるので、窒素除去量は流入水のアンモニウムイオン濃度値と処理水全窒素濃度値との差で求めることができる。より厳密に窒素除去量を推定する場合には、あるいはアンモニウムイオン濃度のみでは流入水全窒素濃度を推定できないことが明らかな場合には、流入水の全窒素濃度を計測可能な全窒素濃度計が設置される。
実施の形態1に係る水処理制御システム120では、推定モデルによって算出した処理水全窒素濃度推定値と、推定時刻から流入水アンモニウムイオン濃度計11の設置位置まで滞留時間分遡った時刻における推定対象の処理水についての流入水アンモニウムイオン濃度と、の差を窒素除去量として扱う。検討の結果、窒素除去量と好気槽アンモニウムイオン濃度との間には強い相関があり、窒素除去量が最大となる好気槽アンモニウムイオン濃度が存在することが明らかとなった。図4は、好気槽アンモニウムイオン濃度と窒素除去量との関係の一例を示す図である。図4において、横軸は、好気槽アンモニウムイオン濃度を示し、縦軸は、窒素除去量を示している。図4に示されるように、好気槽アンモニウムイオン濃度に対する窒素除去量は、上に凸の関係にあることが分かる。
好気槽3におけるアンモニウムイオン濃度は硝化反応の進行具合、すなわち曝気量の大小に依存する。好気槽アンモニウムイオン濃度が低い状況は、曝気量が多く硝化が十分に進行している状況であるが、同時に硝化液に含まれる溶存酸素濃度も高くなっており、脱窒が進みにくくなり、窒素除去量でみれば改善の余地がある状況でもあると考えられる。一方、好気槽アンモニウムイオン濃度が高い状況は、硝化が不十分で処理水にアンモニウムイオンが流出している状態であり、やはり窒素除去量でみれば低く、改善の余地がある状況である。このようなメカニズムによって、図4に示されるような上に凸の関係が得られると考えられる。ただし、この関係性は常に一定でなく、季節または水温、流入水量、水質、特にアンモニウムイオン濃度等によって変化すると考えられる。
そこで、実施の形態1に係る水処理制御システム120では、制御目標値算出部26は、推定モデルにより逐次推定された処理水全窒素濃度推定値と、対応する流入水アンモニウムイオン濃度値と、の差分から窒素除去量を求め、蓄積する。さらに、制御目標値算出部26は、処理水全窒素濃度推定値を推定した時刻である推定時刻に、処理水全窒素濃度推定値の算出に使用した好気槽アンモニウムイオン濃度も同時に記録する。これらのデータを蓄積することで、図4に示されるような好気槽アンモニウムイオン濃度と窒素除去量との関係を得ることができる。そして、図4に示されるような関係について、上に凸の二次関数で近似を行う。この近似式から窒素除去量が最大となる好気槽アンモニウムイオン濃度値を算出し、この好気槽アンモニウムイオン濃度値を制御目標値に設定する。
ここで、近似式を作成するためのデータの内古いデータは適宜削除するようにして、近似式を更新するのが望ましい。硝化または脱窒は水温に影響を受け、水温が大きく異なる時期の情報を混合して近似曲線を作成することは、好気槽アンモニウムイオン濃度の算出の不正確さの原因になる可能性もある。この点でも、古いデータを適宜更新することは有用である。従って、一例では、現時刻から直近3ヶ月前程度の範囲のデータを使用することが望ましい。以上のように、制御目標値算出部26は、処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から定められた期間内のデータを用いて近似式を算出することが望ましい。
図1に戻り、曝気量制御部27は、好気槽3の好気槽アンモニウムイオン濃度値が制御目標値となるように、曝気量を制御する。一例では、曝気量制御部27は、好気槽アンモニウムイオン濃度が制御目標値算出部26によって設定された制御目標値に近づくようブロア7を制御する。制御の一例は、P(Proportional)制御、PI(Proportional-Integral)制御、PD(Proportional-Differential)制御、PID(Proportional-Integral-Differential)制御等であり、好気槽3内のアンモニウムイオン濃度が制御目標値に近づくよう曝気量を調整することができるものであればよい。また、実施の形態1では、ブロア7の出力を直接操作するようにしたが、例えばブロア7の二次側配管に曝気量を調整するバルブを設けておき、このバルブの開度調整を行って曝気量を調整してもよい。
つぎに、このような構成を有する水処理制御システム120における推定モデルの生成方法と、処理水全窒素濃度推定値の推定方法および制御目標値の算出方法を含む水処理装置110の制御方法と、について説明する。
<推定モデルの生成方法>
水処理制御システム120で推定モデルを生成する処理を説明する。図5は、推定モデルの生成方法の手順の一例を示すフローチャートである。
状態観測部21は、流入水アンモニウムイオン濃度値、好気槽アンモニウムイオン濃度値、好気槽溶存酸素濃度値、好気槽3への曝気量および処理水全窒素濃度の真値を含む時系列データを取得する(ステップS11)。
ついで、前処理部23は、取得した流入水アンモニウムイオン濃度値、好気槽アンモニウムイオン濃度値、好気槽溶存酸素濃度値および好気槽3への曝気量の時系列データについて、データ調整および遅れ時間補正を行い、遅れ時間補正後のデータセットを生成する(ステップS12)。
また、前処理部23は、処理水全窒素濃度の真値と、遅れ時間補正後のデータセットと、を対応付けて学習用データを生成する(ステップS13)。一例では、処理水全窒素濃度の真値に対して、この処理水全窒素濃度の真値を取得した時刻から、滞留時間を考慮して各計測器の地点まで遡った時刻の遅れ時間補正後のデータセットを対応付ける。なお、遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値を同時に取得するものとしたが、遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値を関連づけて入力できればよく、遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値のデータをそれぞれ別のタイミングで取得してもよい。
ついで、推定モデル生成部24は、遅れ時間補正後のデータセットおよび処理水全窒素濃度の真値の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、処理水全窒素濃度推定値を学習し、学習済モデルである推定モデルを生成する(ステップS14)。
そして、推定モデル生成部24は、生成した推定モデルを水質推定部25に出力する(ステップS15)。これによって、水質推定部25は、推定モデルを取得する。以上で、推定モデル生成部24での推定モデルの学習処理が終了する。
<処理水全窒素濃度推定値の推定方法>
次に、水処理制御システム120で処理水全窒素濃度推定値を推定する処理を説明する。図6は、処理水全窒素濃度推定値の推定方法の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、状態観測部21は、流入水アンモニウムイオン濃度値、好気槽アンモニウムイオン濃度値、好気槽溶存酸素濃度値および好気槽3への曝気量を含む時系列データを取得する(ステップS31)。
ついで、前処理部23は、取得した流入水アンモニウムイオン濃度値、好気槽アンモニウムイオン濃度値、好気槽溶存酸素濃度値および好気槽3への曝気量について、データ調整および遅れ時間補正を行い、遅れ時間補正後のデータセットを生成する(ステップS32)。
その後、水質推定部25は、推定モデルに遅れ時間補正後のデータセットを入力し、処理水全窒素濃度推定値を得る(ステップS33)。
ついで、水質推定部25は、推定モデルにより得られた処理水全窒素濃度推定値を制御目標値算出部26に出力する(ステップS34)。
その後、制御目標値算出部26は、蓄積された、好気槽アンモニウムイオン濃度値と、処理水全窒素濃度推定値から算出される水処理装置110での窒素除去量と、の関係から窒素除去量が最大となる好気槽アンモニウムイオン濃度値を制御目標値として算出する(ステップS35)。制御目標値算出部26は、算出した制御目標値を曝気量制御部27に渡し、曝気量制御部27は、好気槽アンモニウムイオン濃度が制御目標値となるように、曝気量を制御する。これによって、好気槽3内では、窒素除去量が最大となるように曝気量が制御されるので、硝化、脱窒を総合的にとらえた曝気量制御を行うことが可能となる。
なお、実施の形態1では、推定モデル生成部24が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。
また、推定モデル生成部24は、複数の水処理システム100に対して作成される学習用データに従って、処理水全窒素濃度推定値を学習するようにしてもよい。なお、推定モデル生成部24は、同一のエリアで使用される複数の水処理システム100から学習用データを取得してもよいし、異なるエリアで独立して動作する複数の水処理システム100から収集される学習用データを利用して処理水全窒素濃度推定値を学習してもよい。また、学習用データを収集する水処理システム100を途中で対象に追加したり、対象から除去したりすることも可能である。さらに、ある水処理システム100に関して処理水全窒素濃度推定値を学習した学習装置である推定モデル生成部24を、これとは別の水処理システム100に適用し、当該別の水処理システム100に関して処理水全窒素濃度推定値を再学習して更新するようにしてもよい。
さらに、推定モデル生成部24に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
<制御目標値の算出方法>
次に、水処理制御システム120で制御目標値を算出する処理を説明する。図7は、制御目標値の算出方法の手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御目標値算出部26は、水質推定部25からの処理水全窒素濃度推定値と、処理水全窒素濃度推定値の推定対象の排水についての流入水アンモニウムイオン濃度値および好気槽アンモニウムイオン濃度値と、を取得する(ステップS51)。
ついで、制御目標値算出部26は、処理水全窒素濃度推定値と流入水アンモニウムイオン濃度値との差分から窒素除去量を算出する(ステップS52)。また、制御目標値算出部26は、算出した窒素除去量を好気槽アンモニウムイオン濃度値に対応付けて蓄積する(ステップS53)。すなわち、窒素除去量と好気槽アンモニウムイオン濃度値との組のデータを蓄積する。
その後、制御目標値算出部26は、蓄積された窒素除去量と好気槽アンモニウムイオン濃度値との組の複数のデータを用いて、好気槽アンモニウムイオン濃度値に対する窒素除去量の近似式を算出する(ステップS54)。また、制御目標値算出部26は、算出した近似式から窒素除去量が最大となる好気槽アンモニウムイオン濃度値を取得し、制御目標値とする(ステップS55)。制御目標値算出部26は、制御目標値を曝気量制御部27に出力する。以上で、処理が終了する。その後は、曝気量制御部27は、好気槽アンモニウムイオン濃度計12から得られる好気槽アンモニウムイオン濃度値が制御目標値となるように、曝気量を制御する。
従来では、処理水全窒素濃度推定値を推定する推定時刻における、酸化還元電位、溶存酸素、水素イオン指数、紫外線、汚泥混合液の浮遊物質の内1つ以上の計測値から算出した全窒素濃度の値を用いており、処理水全窒素濃度推定値の推定対象となる排水について得られる計測値を用いるものではないので、処理水全窒素濃度推定値の推定精度が低下してしまっていた。しかし、実施の形態1の水処理システム100では、前処理部23が、各計測器からのデータが同じ時期に流入した排水について計測されたものとなるように、データを受け取った時刻から、計測器の地点までの滞留時間を遡った時刻の計測値を抽出し、データセットを生成する。水質推定部25は、生成したデータセットを推定モデルに入力して、推定時刻における処理水全窒素濃度推定値を推定する。これによって、生物反応槽である最終沈殿池4に全窒素濃度計を恒久的に設置することなく、処理水に含まれる全窒素濃度を従来に比して高い精度で推定することができるという効果を有する。また、処理水に含まれる全窒素濃度の把握において、高価な全窒素濃度計の恒久的な設置が不要となるため、水処理システム100のコストを大幅に低減することができる。
また、制御目標値算出部26は、処理水全窒素濃度推定値と、処理水全窒素濃度推定値の推定対象である排水の流入水アンモニウムイオン濃度値と、の差から窒素除去量を算出する。また、制御目標値算出部26は、窒素除去量と好気槽アンモニウムイオン濃度値との組み合わせを蓄積したデータを用いて窒素除去量が最大となる好気槽アンモニウムイオン濃度の値を取得し、取得した好気槽アンモニウムイオン濃度の値を制御目標値とする。曝気量制御部27は、好気槽アンモニウムイオン濃度が制御目標値となるように曝気量を制御する。このように、実施の形態1では、処理水のアンモニウムイオン濃度だけではなく、処理水の硝酸イオン濃度まで含めて評価可能な全窒素濃度に着目して曝気量の制御を行うことで、水処理システム100における運転コストを抑制しながら、良好な処理水質を得ることができる。
なお、実施の形態1では、水処理装置110が無酸素槽2と好気槽3とを1槽ずつ具備する場合を示したが、水処理装置110の形態が限定されるものではない。水処理装置110は、一例では、図2に示されるような嫌気槽15、無酸素槽2および好気槽3が並ぶ嫌気無酸素好気法を適用した構成でもよいし、嫌気好気法(Anaerobic-Oxic法:AO法)を適用した構成でもよい。
また、各処理工程の水槽の数は1つに限らず、嫌気工程、無酸素工程および好気工程の各水槽を複数並べてもよい。いずれの場合にも、流入水アンモニウムイオン濃度および流入水量、必要な場合に硝化液循環量または返送汚泥流量を計測することができればよい。曝気量を説明変数にして取り入れる場合には、各好気槽3に供給された曝気量の合計量を把握し、説明変数に使用できるようにしてもよいし、あるいは各水槽に与えられた曝気量をそれぞれ計測器で把握し、説明変数に使用できるようにしてもよい。好気槽溶存酸素濃度値および好気槽アンモニウムイオン濃度値については、各好気槽3に好気槽アンモニウムイオン濃度計12および好気槽溶存酸素濃度計13を設置して、それぞれをすべて説明変数に使用できるようにしてもよい。あるいは、少なくとも最も下流に位置する好気槽3に好気槽アンモニウムイオン濃度計12および好気槽溶存酸素濃度計13を設置して説明変数に使用できるようにしてもよい。重要なのは、流入水アンモニウムイオン濃度値と、処理の過程で供給された曝気量と、末端の好気槽3での好気槽アンモニウムイオン濃度値および好気槽溶存酸素濃度値と、を把握でき、さらに各計測器から処理水全窒素濃度の推定点または計測点までの滞留時間を算出できるだけの情報を取得できることであり、これを実現できる構成であればよい。
水処理装置110には、流入水配管1が分岐して排水が水処理装置110の最上流部だけでなく、中流部にも流入するステップ流入する構造のものも存在する。このようなステップ流入する構造の場合には、流入水アンモニウムイオン濃度の計測地点は流入水配管1上でよいが、各流入地点への流入量を計測し、これを基に処理水全窒素濃度の推定点または計測点までの滞留時間を算出し、それぞれの地点から流入する排水のアンモニウムイオン濃度を説明変数にしてモデル構築に使用するのがよい。
また、実施の形態1において、処理水全窒素濃度推定値の推定に使用した説明変数は一例にすぎず、他の計測値の説明変数への組み込みまたは省略を否定するものではない。一例では、いずれかの水槽の汚泥混合液の浮遊物質濃度、水温、無酸素槽2の酸化還元電位等を計測し、状態観測部21に送信し、前処理部23で上記した前処理を行って、水質推定部25での説明変数に使用してもよい。
水処理制御システム120に示した状態観測部21、前処理部23、プラント情報記憶部22、推定モデル生成部24、水質推定部25、制御目標値算出部26および曝気量制御部27は、それぞれ独立した計算機としてデータ連携ができるように構成してもよいし、それぞれを一つの計算機の中でプログラムとして構成して、プログラム間でデータ連携を行うようにしてもよい。いずれにしても各計測器からのデータ受信が可能で、曝気量制御目標値をブロア7もしくはこれに付帯するインバータまたは曝気量調整バルブに出力できるインタフェースを持った装置として構成されればよい。
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る水処理システムの構成の一例を模式的に示す図である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明する。
実施の形態2の水処理システム100では、水処理制御システム120が、運転情報記録部28をさらに備える。運転情報記録部28は、水処理装置110の運転条件または水処理装置110の運転時の運転環境を含む運転情報を取得する。運転条件の一例は、好気槽3における曝気量の制御方式である。運転環境の一例は、天候、水温、降雨量、日付、曜日、季節である。
推定モデル生成部24は、処理水全窒素濃度推定値を推定するモデルの構築に、実施の形態1で説明したように各種の計測器のデータを使用する。しかし、推定モデル内での計測器のデータの取り扱い、つまり推定モデル内の各計測器のデータにかかる係数が、運転条件または水温、天候等の運転環境によって変化することがある。よって、状況に応じて適した推定モデルを構築し、使い分けることで、処理水全窒素濃度推定値の推定精度を高く維持することができる。
そこで、実施の形態2の水処理システム100では、運転情報記録部28が、運転当日の天候、水温、降雨量、日付、曜日、季節、曝気量の制御方式等の運転情報を記録し、前処理部23に提供する。
曝気量制御方式は、好気槽3における曝気量の制御方式を示す情報である。曝気量制御方式は、一例では、好気槽溶存酸素濃度に目標値を定めて、好気槽溶存酸素濃度が目標値近傍で推移するよう曝気量を自動調整するモードである溶存酸素制御モード、実施の形態1で示したように好気槽アンモニウムイオン濃度に目標値を定めて曝気量を制御するモードであるアンモニウムイオン制御モード、流入水量と比例するように曝気量を制御するモードである流量比例制御モード等の複数のモードを含む。
実施の形態1に示したアンモニウムイオン制御モードでは、推定した処理水全窒素濃度推定値は、曝気量の制御に利用されていた。一方、溶存酸素制御モードおよび流量比例制御モードでは、処理水全窒素濃度推定値は、曝気量の制御には使用されないが、処理水の全窒素濃度を逐次把握するために用いられる。すなわち、処理状況の確認に処理水全窒素濃度推定値が用いられることもある。一例では、制御目標値算出部26からの制御目標値を使用したアンモニウムイオン制御モードをオフにして、溶存酸素制御モードに移行し、処理水全窒素濃度推定値は処理状態の逐次把握のみを目的に行う場合もある。このような場合に、運転情報記録部28は、曝気量制御方式が変更になったことを記録し、変更後のモードを現在の制御方式として記録する。
前処理部23は、運転情報を基に状態観測部21で収集された時系列データをカテゴリに分類し、データの振り分けを行う。曝気量制御方式で振り分けを行う場合には、前処理部23は、溶存酸素制御モード、アンモニウムイオン制御モードおよび流量比例制御モードでカテゴリ分類を行って、計測器からのデータをカテゴリごとに集約し、それぞれのカテゴリに対して定められた前処理を行ってデータセットを作成する。あるいは、天候で振り分けを行う場合には、晴天時または雨天時でカテゴリ分類を行って、同様に前処理を行ってデータセットを作成する。あるいは、曜日で振り分けを行う場合には、月曜日から日曜日までの各曜日でカテゴリ分類して、同様に前処理を行ってデータセットを作成する。あるいは、日付で振り分けを行う場合には、定められた日付の範囲でカテゴリ分類して、同様に前処理を行ってデータセットを作成する。
カテゴリ分類は、分類を行う基準となる閾値を運転管理者が任意に定めて、自動的に分類されるようにしておけばよい。あるいは統計解析を行って、多角的な視点からカテゴリを定義してクラスタリングを行ってもよい。また、分類に使用する運転情報も上記で挙げたものに限らず、必要と判断されたデータを運転情報として運転情報記録部28に記録できるようにしておき、閾値を設けてこのデータをカテゴリ分類に使用してもよい。
推定モデル生成部24は、カテゴリごとの時系列データを用いて推定モデルを生成する。すなわち、推定モデル生成部24は、前処理部23で各カテゴリのデータセットを受け取り、それぞれに対して推定モデルを生成する。生成された推定モデルは、カテゴリに対応付けられる。また、水質推定部25は、処理水全窒素濃度推定値の推定時における運転情報に対応するカテゴリの推定モデルを用いて処理水全窒素濃度推定値を推定する。つまり、水質推定部25は、現在の水処理システム100の運転情報の状態に該当するカテゴリを選択し、選択したカテゴリの推定モデルを使用して処理水全窒素濃度推定値の推定を行う。
なお、運転情報記録部28への運転情報の入力は、一例では運転管理者によって適宜入力されるようにしてもよいし、あるいは各運転情報を取得し、管理している監視制御システム等の他のシステムから逐次転送されるようにしてもよい。
実施の形態2では、水処理制御システム120が、水処理装置110の運転時における運転条件または運転環境を含む運転情報を取得し、前処理部23に出力する運転情報記録部28を備える。前処理部23は、取得した運転情報を用いて、各計測器から取得したデータをカテゴリに分類し、推定モデル生成部24は、カテゴリごとに分類されたデータを用いて推定モデルを構築する。これによって、推定モデル内の各計測データにかかる係数が、運転条件または運転環境によって変化する場合に、運転条件または運転環境に応じて分類した推定モデルを構築することができる。また、このようなカテゴリに応じて作成した推定モデルを用いて処理水全窒素濃度推定値を推定することで、推定精度を向上させることが可能となる。
水処理制御システム120は、制御装置に対応し、水処理装置110ごとに設けられてもよい。水処理制御システム120は、コンピュータシステムによって実現されてもよい。図9は、実施の形態1,2に係る水処理制御システムを実現するコンピュータシステムの構成の一例を示す図である。図9に示すように、このコンピュータシステム80は、制御部81と入力部82と記憶部83と表示部84と通信部85と出力部86とを備え、これらはシステムバス87を介して接続されている。
図9において、制御部81は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部81は、水処理制御システム120が実施する各処理が記述されたプログラムを実行する。入力部82は、たとえばタッチセンサ、キーボード、マウス等で構成され、コンピュータシステム80のユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。上記の実施の形態において、運転管理者の入力を受け付ける場合、運転管理者の入力は入力部82を用いて行うことができる。記憶部83は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等の各種メモリおよびハードディスク等のストレージデバイスを含み、上記制御部81が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ等を記憶する。また、記憶部83は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部84は、液晶表示パネル(Liquid Crystal Display:LCD)等で構成され、コンピュータシステム80のユーザに対して各種画面を表示する。通信部85は、通信処理を実施する通信回路等である。通信部85は、複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信回路で構成されていてもよい。出力部86は、プリンタ、外部記憶装置等の外部の装置へデータを出力する出力インタフェースである。
なお、図9は、一例であり、コンピュータシステム80の構成は図9の例に限定されない。例えば、コンピュータシステム80は出力部86を備えていなくてもよい。また、水処理制御システム120が複数のコンピュータシステム80により実現される場合、これらの全てのコンピュータシステム80が図9に示したコンピュータシステム80でなくてもよい。例えば、一部のコンピュータシステム80は図9に示した表示部84、出力部86および入力部82の内少なくとも1つを備えていなくてもよい。
ここで、水処理制御システム120が実行する推定モデルの生成方法、処理水全窒素濃度の推定方法または制御目標値の算出方法が記述されたプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステム80の動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステム80には、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、水処理制御システム120の推定モデルの生成方法、処理水全窒素濃度の推定方法または制御目標値の算出方法の動作が記述されたプログラムが記憶部83にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部83から読み出されたプログラムが記憶部83の主記憶装置となる領域に格納される。この状態で、制御部81は、記憶部83に格納されたプログラムに従って、水処理制御システム120の処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、水処理制御システム120における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステム80の構成、提供するプログラムの容量等に応じて、たとえば、通信部85を経由してインターネット等の伝送媒体により提供されたプログラムを用いることにしてもよい。
推定モデルの生成処理は、コンピュータに、図5に示される手順が記述されたプログラムを実行させることで行われる。処理水全窒素濃度の推定処理は、コンピュータに、図6に示される手順が記述されたプログラムを実行させることで行われる。制御目標値の算出処理は、コンピュータに、図7に示される手順が記述されたプログラムを実行させることで行われる。
図1および図8に示されるプラント情報記憶部22は、図9に示した記憶部83の一部である。図1および図8に示される状態観測部21、前処理部23、推定モデル生成部24、水質推定部25、制御目標値算出部26、曝気量制御部27および運転情報記録部28のそれぞれは、制御部81と、入力部82と、記憶部83と、表示部84とを用いて実現される。
なお、図1および図8に示される水処理制御システム120における機能の切り分けは一例であり、水処理制御システム120が上述した動作を行うことができれば、各機能部の分け方は図1および図8に示される例に限定されない。また、図1および図8では水処理制御システム120が全ての動作を行うこととしたが、複数の装置を用いて、同様の機能を実現してもよい。一例では、個々の処理部が1つの装置で構成されるようにしてもよいし、一部の処理具が1つの装置で構成されるようにしてもよい。
また、水処理制御システム120は、クラウド環境に構築されるものであってもよい。クラウド環境は、クラウドサービスプラットフォームにおいて提供されるコンピュータ資源を含む。クラウドサービスプラットフォームは、クラウドサービスプロバイダによって提供され、例えば、PaaS(Platform as a Service)などを含む。水処理制御システム120は、クラウド環境に構築されるため、クラウドサーバとも呼ばれることがある。なお、水処理制御システム120は、クラウド環境以外の環境に構築されてもよく、クラウドサーバに限定されない。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 流入水配管、2 無酸素槽、3 好気槽、4 最終沈殿池、5 硝化液循環ポンプ、6 散気装置、7 ブロア、8 水中撹拌機、9 汚泥引抜ポンプ、10 流入水量計、11 流入水アンモニウムイオン濃度計、12 好気槽アンモニウムイオン濃度計、13 好気槽溶存酸素濃度計、14 曝気量計、15 嫌気槽、16,17 流量計、21 状態観測部、22 プラント情報記憶部、23 前処理部、24 推定モデル生成部、25 水質推定部、26 制御目標値算出部、27 曝気量制御部、28 運転情報記録部、80 コンピュータシステム、81 制御部、82 入力部、83 記憶部、84 表示部、85 通信部、86 出力部、87 システムバス、100 水処理システム、110 水処理装置、120 水処理制御システム。

Claims (10)

  1. 排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置を制御する水処理制御システムであって、
    前記水処理装置に流入する前記排水中または前記水処理装置の無酸素槽内のアンモニウムイオン濃度値である第1アンモニウムイオン濃度値を計測する第1アンモニウムイオン濃度計と、前記排水の水量である流入水量を計測する流入水量計と、前記水処理装置の前記無酸素槽よりも下流側に設置される好気槽内のアンモニウムイオン濃度値である第2アンモニウムイオン濃度値を計測する第2アンモニウムイオン濃度計と、前記好気槽内の溶存酸素濃度値を計測する溶存酸素濃度計と、前記好気槽への空気の供給量である曝気量を計測する曝気量計と、を含む複数の計測器と、
    前記計測器で計測された計測値を収集し、複数の時刻における前記計測値を時系列データとして蓄積する状態観測部と、
    前記排水が流入してから前記処理水となるまでの処理経路内の各地点での滞留時間を用いて、前記複数の計測器のそれぞれで計測された前記計測値が同じ時期に流入した前記排水についての前記計測値となるように組み合わせ、前記計測値の組み合わせを1つのデータセットとする処理を行い、処理データを作成する前処理部と、
    前記前処理部が作成した前記処理データと機械学習とを用い、前記処理水中の全窒素濃度を推論するための推定モデルを生成する推定モデル生成部と、
    前記推定モデル生成部が生成した前記推定モデルを用いて前記処理水中の全窒素濃度の推定値である処理水全窒素濃度推定値を推定する水質推定部と、
    を備え
    記推定モデル生成部は、非恒久的に設置した全窒素濃度計で測定した前記処理水中の全窒素濃度または水質分析によって取得した前記処理水中の前記全窒素濃度を正解データとして、前記処理データとの組み合わせに基づいて前記機械学習を行い、
    前記水質推定部は、前記推定モデル生成部が生成した前記推定モデルに、前記前処理部から出力される前記処理データのうち最も新しい処理データを入力して前記処理水全窒素濃度推定値を推定することを特徴とする水処理制御システム。
  2. 前記前処理部は、前記複数の計測器のそれぞれから得られた前記計測値の異常値または外れ値の除去、あるいは欠損値の補間を行うデータ調整処理と、前記時系列データを受け取った時刻から、前記複数の計測器のそれぞれの地点までの前記滞留時間を遡った時刻の前記計測値を抽出して、前記複数の計測器によるそれぞれの前記計測値が同じ時期に流入した排水について測定されたものとなる前記処理データを作成する遅れ時間補正処理と、を実施することを特徴とする請求項1に記載の水処理制御システム。
  3. 記第2アンモニウムイオン濃度値と、前記第1アンモニウムイオン濃度値と前記処理水全窒素濃度推定値との差から算出される前記水処理装置での窒素除去量と、の組からなる複数のデータを用いて、前記第2アンモニウムイオン濃度値に対する前記窒素除去量の関係を示す近似式を算出し、前記近似式において前記窒素除去量が最大となる前記第2アンモニウムイオン濃度値を制御目標値として取得する制御目標値算出部と、
    前記好気槽の前記第2アンモニウムイオン濃度値が前記制御目標値となるように、前記曝気量を制御する曝気量制御部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の水処理制御システム。
  4. 前記制御目標値算出部は
    記処理水全窒素濃度推定値と、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から前記第1アンモニウムイオン濃度計の地点までの滞留時間分遡った時刻における前記第1アンモニウムイオン濃度値と、の差から前記窒素除去量を算出し
    第2アンモニウムイオン濃度値は、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から前記第2アンモニウムイオン濃度計までの滞留時間分遡った時刻における計測値であることを特徴とする請求項に記載の水処理制御システム。
  5. 前記制御目標値算出部は、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から定められた期間内の前記データを用いて前記近似式を算出することを特徴とする請求項に記載の水処理制御システム。
  6. 天候、水温、降雨量、日付、曜日、季節または曝気量の制御方式を運転情報として取得する運転情報記録部をさらに備え、
    前記前処理部は、前記運転情報を基に前記状態観測部で収集された前記時系列データをカテゴリに分類し、
    前記推定モデル生成部は、前記カテゴリごとの前記時系列データを用いて前記推定モデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の水処理制御システム。
  7. 前記水質推定部は、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時における前記運転情報が示すデータに対応するカテゴリの前記時系列データを用いて生成された前記推定モデルに、前記処理データを入力して前記処理水全窒素濃度推定値を推定することを特徴とする請求項に記載の水処理制御システム。
  8. 排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置を制御装置が制御する水処理装置の制御方法であって、
    複数の計測器が、前記水処理装置に流入する排水中または前記水処理装置の無酸素槽内のアンモニウムイオン濃度値である第1アンモニウムイオン濃度値と、前記排水の水量である流入水量と、前記水処理装置の前記無酸素槽よりも下流側に設置される好気槽内のアンモニウムイオン濃度値である第2アンモニウムイオン濃度値と、前記好気槽内の溶存酸素濃度値と、前記好気槽への空気の供給量である曝気量と、を含む計測値を計測する計測工程と、
    前記制御装置が、前記計測工程で計測された前記計測値を収集し、複数の時刻における前記計測値を時系列データとして蓄積する状態観測工程と、
    前記制御装置が、前記排水が流入してから前記処理水となるまでの処理経路内の各地点での滞留時間を用いて、それぞれの前記時系列データの前記計測値が同じ時期に流入した前記排水についての前記計測値となるように組み合わせ、前記計測値の組み合わせを1つのデータセットとする処理を行い、処理データを作成する前処理工程と、
    前記制御装置が、前記前処理工程で作成された前記処理データと機械学習とを用い、前記処理水中の全窒素濃度を推論するための推定モデルを生成する推定モデル生成工程と、
    前記制御装置が、前記推定モデル生成工程で生成された前記推定モデルを用いて前記処理水中の全窒素濃度の推定値である処理水全窒素濃度推定値を推定する水質推定工程と、
    を含み
    記推定モデル生成工程では、前記制御装置が、非恒久的に設置した全窒素濃度計で測定した前記処理水中の全窒素濃度または水質分析によって取得した前記処理水中の前記全窒素濃度を正解データとして、前記処理データとの組み合わせに基づいて前記機械学習を行い、
    前記水質推定工程では、前記制御装置が、前記推定モデル生成工程で生成された前記推定モデルに、前記前処理工程で出力される前記処理データのうち最も新しい処理データを入力して前記処理水全窒素濃度推定値を推定することを特徴とする水処理装置の制御方法。
  9. 排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置を制御する水処理制御システムであって、
    1アンモニウムイオン濃度計によって計測される前記水処理装置に流入する流入水中のアンモニウムイオン濃度値である第1アンモニウムイオン濃度値と、流入水量計によって計測される前記流入水の水量である流入水量と、第2アンモニウムイオン濃度計によって計測される前記水処理装置の好気槽内のアンモニウムイオン濃度値である第2アンモニウムイオン濃度値と、溶存酸素濃度計によって計測される前記好気槽内の溶存酸素濃度値と、曝気量計によって計測される前記好気槽への空気の供給量である曝気量と、を計測値として収集し、複数の時刻における前記計測値を時系列データとして蓄積する状態観測部と、
    前記排水が流入してから前記処理水となるまでの処理経路内の各地点での滞留時間を用いて、それぞれの前記時系列データの前記計測値が同じ時期に流入した前記排水についての前記計測値となるように組み合わせ、前記計測値の組み合わせを1つのデータセットとする処理を行い、処理データを作成する前処理部と、
    前記前処理部が作成した前記処理データと機械学習とを用いて生成された前記処理水中の全窒素濃度を推論するための推定モデル、前記前処理部で処理された前記処理データを入力して前記処理水中の全窒素濃度の推定値である処理水全窒素濃度推定値を推定する水質推定部と、
    前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から前記第2アンモニウムイオン濃度計までの滞留時間分遡った時刻における前記第2アンモニウムイオン濃度値と、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から前記第1アンモニウムイオン濃度計の地点までの滞留時間分遡った時刻における前記第1アンモニウムイオン濃度値と前記処理水全窒素濃度推定値との差から算出される前記水処理装置での窒素除去量と、の組からなる複数のデータを用いて、前記第2アンモニウムイオン濃度値に対する前記窒素除去量の関係を示す近似式を算出し、前記近似式において前記窒素除去量が最大となる前記第2アンモニウムイオン濃度値を制御目標値として取得する制御目標値算出部と、
    前記好気槽の前記第2アンモニウムイオン濃度値が前記制御目標値となるように、前記曝気量を制御する曝気量制御部と、
    を備えることを特徴とする水処理制御システム。
  10. 排水を活性汚泥と混合し、浄化させた処理水を得る水処理装置を制御装置が制御する水処理装置の制御方法であって、
    前記制御装置が、第1アンモニウムイオン濃度計によって計測される前記水処理装置に流入する流入水中のアンモニウムイオン濃度値である第1アンモニウムイオン濃度値と、流入水量計によって計測される前記流入水の水量である流入水量と、第2アンモニウムイオン濃度計によって計測される前記水処理装置の好気槽内のアンモニウムイオン濃度値である第2アンモニウムイオン濃度値と、溶存酸素濃度計によって計測される前記好気槽内の溶存酸素濃度値と、曝気量計によって計測される前記好気槽への空気の供給量である曝気量と、を計測値として収集し、複数の時刻における前記計測値を時系列データとして蓄積する状態観測工程と、
    前記制御装置が、前記排水が流入してから前記処理水となるまでの処理経路内の各地点での滞留時間を用いて、それぞれの前記時系列データの前記計測値が同じ時期に流入した前記排水についての前記計測値となるように組み合わせ、前記計測値の組み合わせを1つのデータセットとする処理を行い、処理データを作成する前処理工程と、
    前記制御装置が、前記前処理工程で作成された前記処理データと機械学習とを用いて生成された前記処理水中の全窒素濃度を推論するための推定モデル、前記前処理工程で処理された前記処理データを入力して前記処理水中の全窒素濃度の推定値である処理水全窒素濃度推定値を推定する水質推定工程と、
    前記制御装置が、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から前記第2アンモニウムイオン濃度計までの滞留時間分遡った時刻における前記第2アンモニウムイオン濃度値と、前記処理水全窒素濃度推定値の推定時刻から前記第1アンモニウムイオン濃度計の地点までの滞留時間分遡った時刻における前記第1アンモニウムイオン濃度値と前記処理水全窒素濃度推定値との差から算出される前記水処理装置での窒素除去量と、の組からなる複数のデータを用いて、前記第2アンモニウムイオン濃度値に対する前記窒素除去量の関係を示す近似式を算出し、前記近似式において前記窒素除去量が最大となる前記第2アンモニウムイオン濃度値を制御目標値として取得する制御目標値算出工程と、
    前記制御装置が、前記好気槽の前記第2アンモニウムイオン濃度値が前記制御目標値となるように、前記曝気量を制御する曝気量制御工程と、
    を含ことを特徴とする水処理装置の制御方法。
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