JP2020199472A - 膜処理制御システム及び膜処理制御方法 - Google Patents

膜処理制御システム及び膜処理制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜処理プロセスに要する電力コストを低減することができる膜処理制御システム及び膜処理制御方法を提供する。【解決手段】実施形態の膜処理制御システムは、パラメータ設定部及び限界到達時間推定部310を持つ。パラメータ設定部は、膜処理プロセスにおいて被処理水の曝気及び濾過膜の洗浄のために供給される空気の量である洗浄風量の計測値と、濾過膜の処理量の計測値とに基づいて、膜差圧予測モデルに膜処理プロセスの特性に応じたパラメータを設定する。限界到達時間推定部310は、前記洗浄風量を最大風量とした場合における膜差圧の変化を膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最大到達時間を推定するとともに、前記洗浄風量を最小風量とした場合における膜差圧の変化を膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最小到達時間を推定する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、膜処理制御システム及び膜処理制御方法に関する。
近年、新興国を中心に下水処理へのMBR(Membrane Bio Reactor:膜分離活性汚泥法)プロセスの導入が進んでいる。MBRプロセスとは、微生物の働きを利用して汚水を浄化する活性汚泥法の一種であり、処理された水(以下「処理水」という。)と活性汚泥との分離を、従来の沈殿池に代えてMF膜(Microfiltration Membrane:精密濾過膜)又はUF膜(Ultrafiltration Membrane:限外濾過膜)を用いて行う方法である。このようなMBRプロセスは、下水処理のほか、水資源が不足している地域を中心に導入が進んでいる海水淡水化プラントの前処理にも用いられている。このような膜処理プロセスは、沈殿池を必要としないため、水処理施設の設備規模を小さくするとともに、設備導入に係るイニシャルコストを抑制することができる。
一方で、ランニングコストが高いことが、膜処理プロセスの導入を妨げる最大の要因となっている。これは、膜処理プロセスが、他の水処理プロセスと比べて多くの電力コストを必要とするためである。例えば、MBRプロセスでは、高濃度で微生物を維持するため、通常の下水処理プロセスの数倍以上の曝気(空気供給)が必要になり、それに伴って電力コストも高くなる。また、膜処理プロセスでは、膜の目詰まり(一般にファウリングと呼ばれる)を抑制するために、水処理に必要な空気供給だけでなく、膜面を洗浄するための空気供給が必要になり、この分の電力コストもランニングコストを高める要因となっている。
なお、空気供給による膜の洗浄は、必ずしもファウリングの発生を完全に抑止できるものではなく、洗浄のための空気供給を行っていてもファウリングは徐々に進行する。このため、従来、空気供給による洗浄方法と、薬品によってファウリングを完全に解消する洗浄方法と、を組み合わせて濾過膜をメンテナンスする方法がいくつか考案されている。しかしながら、従来の方法では、薬品洗浄が必要となるタイミングを必ずしも適切に判断することができず、その結果、十分なコスト削減を実現できない可能性があった。
特開2007−14948号公報 国際公開第2017/006988号 特開2014−136210号公報
本発明が解決しようとする課題は、膜処理プロセスに要する電力コストを低減することができる膜処理制御システム及び膜処理制御方法を提供することである。
実施形態の膜処理制御システムは、パラメータ設定部及び限界到達時間推定部を持つ。パラメータ設定部は、膜処理プロセスにおいて被処理水の曝気及び濾過膜の洗浄のために供給される空気の量である洗浄風量の計測値と、前記濾過膜の処理量の計測値とに基づいて、膜差圧予測モデルに前記膜処理プロセスの特性に応じたパラメータを設定する。限界到達時間推定部は、前記洗浄風量を最大風量とした場合における膜差圧の変化を前記膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最大到達時間を推定するとともに、前記洗浄風量を最小風量とした場合における膜差圧の変化を前記膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最小到達時間を推定する。
第1の実施形態における下水処理プラント1の構成の具体例を示す図。 第1の実施形態における制御システム3の機能構成の具体例を示すブロック図。 第1の実施形態における過去の運用条件と予測モデルパラメータとの対応づけの具体例を示す図。 第1の実施形態において膜差圧が薬品洗浄によって低下する様子を示す概略図。 第1の実施形態における制御システム3の動作例を示すフローチャート。 第1の実施形態における制御システム3によって推定された膜差圧TMPの変化の具体例を示す図。 第2の実施形態における制御システム3aの機能構成の具体例を示す図。 第2の実施形態における制御システム3aの動作例を示すフローチャート。 第2の実施形態において目標値設定部312が膜差圧の制御目標曲線を決定する処理の概念を示す図。 第2の実施形態において風量制御部313が運用時の洗浄風量の操作量を適応的に更新していく処理の概念を示す図。 第3の実施形態における制御システム3bの機能構成の具体例を示す図。 第3の実施形態における運用モードの具体例を示す図。 第3の実施形態における制御目標値TMPrefと膜閉塞パラメータkとの関係性を示す図。 第3の実施形態において膜閉塞パラメータkとkとを異なる値に設定した場合における洗浄風量の制御例を示す図。
以下、実施形態の膜処理制御システム及び膜処理制御方法を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における下水処理プラント1の構成の具体例を示す図である。下水処理プラント1は、膜処理によって下水を浄化する膜処理プロセスを実現する各種の設備群2と、膜処理プロセスを制御する制御システム3と、を備える。例えば、設備群2は、無酸素槽21、好気槽22、膜ユニット23、膜濾過ポンプ24及び各種センサ群25を備え、MBR(Membrane Bio Reactor:膜分離活性汚泥法)プロセスを実現する。
無酸素槽21は処理対象の下水(以下「被処理水」という。)が流入する水槽であって無酸素状態に保たれる。一方で、無酸素槽21には好気槽22から一部の汚泥(以下「返送汚泥」という。)が戻される。無酸素槽21は、槽内の被処理水を攪拌する撹拌機211を備え、撹拌機211を回転させることにより、返送汚泥と被処理水とを混合する。この返送汚泥により、微生物が無酸素槽21に供給される。無酸素槽21では、この微生物の働きにより、被処理水中の硝酸が窒素に分解される。この分解反応は一般に脱窒と呼ばれ、脱窒によって分解された窒素が大気中に放出されることで被処理水から窒素成分が除去される。無酸素槽21において窒素成分が除去された被処理水は後段の好気槽22に送られる。
好気槽22は無酸素槽21から送られてきた被処理水に対して曝気を行うための水槽である。この曝気により活性化した微生物が被処理水中のリンを吸収することにより被処理水からリンが除去される。また、好気槽22では被処理水に空気が供給されることによりアンモニアが硝酸に分解される。この分解反応は一般に硝化と呼ばれ、硝化によって被処理水からアンモニアが除去される。リン及びアンモニアが除去された被処理水は、膜濾過ポンプ24によって膜ユニット23に通水されることで処理水と不要物とに分離される。
膜ユニット23によって被処理水から分離された汚泥は余剰汚泥引き抜きポンプ221によって好気槽22から引き抜かれ、基本的には汚泥処理工程に送られて処理されるが、その一部は返送汚泥として返送汚泥ポンプ222によって無酸素槽21に返送される。なお、図1は2基の膜ユニット23を備えた好気槽22の例を示しているが、好気槽22に備えられる膜ユニット23は1基であってもよいし3基以上であってもよい。
また、好気槽22は膜ユニット23の洗浄と被処理水の曝気とを兼ねて槽内に空気を送り出す洗浄曝気ブロワ223及び散気板224を備え、その補助設備として補助散気ブロワ225及び補助散気板226を備える。また、好気槽22と膜濾過ポンプ24との間の流路には膜ユニット23の洗浄用薬液を注入する薬液注入弁241が設けられ、薬液タンク242に貯えられている洗浄用薬液が薬液注入弁241を介して膜ユニット23に送られる。
センサ群25は膜処理プロセスの状態を示すデータ(以下「プロセスデータ」という。)を取得する一以上のセンサによって構成される。具体的には、センサ群25には、無酸素槽21に流入する下水の流量を計測する流入流量計251と、無酸素槽21内の被処理水の温度を計測する水温計252と、好気槽22内のMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:活性汚泥浮遊物質)を計測するMLSS計253と、好気槽22内のDO(Dissolved Oxygen:溶存酸素量)を計測するDO計254と、膜濾過ポンプ24によって引き抜かれる処理水の流量(以下「濾過流量」という。)を計測する濾過流量計255と、が含まれる。センサ群25は、取得したプロセスデータを制御システム3に送信する。
なお、プロセスデータは膜処理プロセスの状態を示すデータであれば上記のセンサ群25のほか、どのような手段で取得されてもよい。例えば、本実施形態において、洗浄曝気ブロワ223及び補助散気ブロワ225のそれぞれは、送出する風量(散気風量及び補助散気風量)を計測する機能を有し、計測データをプロセスデータの一部として制御システム3に送信する。
制御システム3は、設備群2から送信されるプロセスデータに基づいて設備群2に対する制御指示を示す情報(以下「制御情報」という。)を生成し、生成した制御情報を設備群2に送信する。下水処理プラント1においては設備群2が制御情報の示す指示に基づいて動作することにより、膜処理プロセスが制御システム3によって制御される。
図2は、第1の実施形態における制御システム3の機能構成の具体例を示すブロック図である。制御システム3は、記憶部301、プロセスデータ取得部302、パラメータ同定部303、運用条件設定部304、類似パラメータ抽出部305、パラメータ調整部306、膜差圧予測部307、限界膜差圧入力部308、限界風量入力部309及び限界到達時間推定部310を備える。
記憶部301は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部301は制御システム3の動作に必要な各種の情報を記憶する。
プロセスデータ取得部302は、通信インタフェースを介して設備群2と通信することにより、設備群2から膜処理プロセスに関するプロセスデータを取得する。例えば、プロセスデータは、膜処理プロセスに関する各種物理量が所定の周期(例えば1分間隔)ごとに計測された値を示すデータとして取得される。プロセスデータ取得部302は取得したプロセスデータを記憶部301に記憶させる。
パラメータ同定部303は、後述する膜差圧予測モデルにおいて膜差圧の変化速度に寄与するパラメータA(以下「速度パラメータ」という。)と、膜差圧曲線の形状に寄与するパラメータkと、をプロセスデータに基づいて同定する機能を有する。なお、膜差圧がファウリング(膜閉塞ともいう)の進行度合いを表すことから、以下ではこのパラメータkを「膜閉塞パラメータ」という場合がある。パラメータ同定部303は、同定した速度パラメータA及び膜閉塞パラメータkの値を記憶部301に記憶させる。
運用条件設定部304は、膜処理プロセスの運用条件を設定する機能を有する。ここでいう運用条件とは、膜処理プロセスを運用する条件のことであり、運用上の制約や目標等に関する条件である。例えば、運用条件は、各種センサによって計測される物理量の目標値であってもよいし、各種設備群2の運転条件であってもよい。運用条件設定部304は、あるタイミングで薬品洗浄が行われてから次の薬品洗浄が行われるまでの運用条件を取得し、取得した運用条件を記憶部301に記憶させる。運用条件設定部304が運用条件を記憶部301に記憶させることで、膜処理プロセスの運用条件が制御システム3に設定される。なお、運用条件設定部304が設定した運用条件は、後述する膜差圧予測モデルに対する入力変数の基準値となる。
類似パラメータ抽出部305は、運用条件設定部304による運用条件の設定に応じて、設定された運用条件と最も類似性の高い運用条件を過去に設定された運用条件の中から抽出する。ここで、過去に設定された運用条件は、その運用条件下で用いられた予測モデルパラメータに対応づけられて予め記憶部301に蓄積されているものとする。図3は、第1の実施形態における過去の運用条件と予測モデルパラメータとの対応づけの具体例を示す図である。図3において、洗浄期間はあるタイミングで薬品洗浄が行われてから次の薬品洗浄が行われるまでの期間を表し、洗浄期間ごとに予測モデルパラメータと運用条件とが対応づけて記憶される。類似パラメータ抽出部305は、このような蓄積データを参照して類似性の高い洗浄期間を特定し、特定した洗浄期間の運用条件に対応づけられた予測モデルパラメータの値を取得する。以下、このように取得された予測モデルパラメータを類似パラメータという。
パラメータ調整部306は、類似パラメータ抽出部305によって取得された類似パラメータに基づいて、次の洗浄期間における膜処理プロセスの制御に用いる膜差圧予測モデルを調整する。膜差圧予測モデルの調整とは、すなわち膜差圧予測モデルのパラメータを調整することであり、パラメータ調整部306は、過去の類似パラメータと、過去のプロセスデータに基づいて同定された予測モデルパラメータとに基づいて、将来の膜処理プロセスの制御に用いる予測モデルパラメータを調整する。
膜差圧予測部307は、パラメータ調整部306によって調整された膜差圧予測モデルを用いて次の洗浄期間における膜差圧を予測する。
限界膜差圧入力部308は、次の洗浄期間における膜差圧限界値の入力を受け付ける。膜差圧限界値は、薬品洗浄が必要となる膜差圧の限界値である。限界膜差圧入力部308は、入力された膜差圧限界値を限界風量入力部309と限界到達時間推定部310とに出力する。
限界風量入力部309は、次の洗浄期間における洗浄風量(又は、その空気倍率)の最大値及び最小値の入力を受け付ける。洗浄風量は、膜差圧予測モデルの入力変数の1つである。限界風量入力部309は、入力された洗浄風量の最大値(以下「最大風量」という。)及び最小値(以下「最小風量」という。)を限界到達時間推定部310に出力する。
限界到達時間推定部310は、膜差圧予測部307によって予測された次の洗浄期間における膜差圧と、限界膜差圧入力部308から出力される膜差圧限界値と、限界風量入力部309から出力される洗浄風量の最大値及び最小値と、に基づき、次の洗浄期間において膜差圧が膜差圧限界値に到達する最大時間(以下「最大到達時間」という。)Lmax及び最小時間(以下「最小到達時間」という。)Lminの値を推定する。最大到達時間は洗浄風量が最大風量である場合の到達時間であり、最小到達時間は洗浄風量が最小風量である場合の到達時間である。この推定では膜差圧の現在値が初期値として用いられる。
図4は、第1の実施形態において膜差圧TMP(Trans Membrane Pressure)が薬品洗浄によって低下する様子を示す概略図である。一般に、MBRプロセスではTMPを監視することによってファウリングの進行度合いを判断し、TMPが所定の閾値(典型的には10〜30kPa程度)を超過した場合に薬品洗浄が行われることが多い。濾過膜の薬品洗浄には次亜塩素酸ソーダが用いられることが多く、次亜塩素酸ソーダによる洗浄で膜閉塞の状況が十分に改善しない場合にはシュウ酸などの強酸が用いられる場合もある。このような薬品洗浄は、膜差圧を0〜2kPa程度(図中の初期値)にまで回復することができる。このような薬品洗浄を行うことにより、膜処理プロセスの運用中の膜差圧は、図薬品洗浄の実施時点を境界にノコギリ歯状に変動することになる。洗浄期間は、直近の薬品洗浄が終了したタイミングから、膜差圧TMPが次の薬品洗浄が必要になる閾値に到達するまでの期間である。以下、薬品洗浄を洗浄期間ごとに周期的に実行する場合には洗浄期間を洗浄周期と呼ぶ場合もある。
図5は、第1の実施形態における制御システム3の動作例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、ある洗浄期間が開始した時点で開始され、その洗浄期間において取得されたプロセスデータに基づいて限界到達時間を推定する処理の流れを示す。まず、プロセスデータ取得部302がプロセスデータの取得を開始する(ステップS101)。以後、プロセスデータ取得部302は、所定の計測周期(例えば1分)ごとにプロセスデータを取得し、取得したプロセスデータを時系列データとして蓄積していく。なお、この時系列データを記憶する記憶部301は、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)と呼ばれる監視制御システムに備えられてもよい。
続いて、パラメータ同定部303が、洗浄期間が終了したタイミングで、それまでに蓄積された時系列データから膜差圧TMPの時系列データを取得し、取得したTMPの時系列データに基づいて膜差圧予測モデルの主要パラメータである速度パラメータA及び膜閉塞パラメータkを同定する(ステップS102)。具体的には、パラメータ同定部303は、濾過流量の時系列データに基づいて膜差圧TMPの時系列データを取得し、取得したTMPの時系列データが次の式(1)によって表される膜差圧予測モデルに当てはまるようにパラメータA及びkを同定する。
Figure 2020199472
式(1)においてTMPは膜差圧、又は膜差圧の次元で表した膜濾過抵抗を表す。XはTMPの変化に影響する要因変数となるベクトルを表し、θはXと膜差圧の変化速度との関係性を表すパラメータである。式(1)に示すように、速度パラメータAは要因変数X及びパラメータθの関数として表される。
パラメータ同定部303は、要因変数XとしてTMPの変化に大きく寄与する変数をプロセスデータから抽出し、抽出したプロセスデータに基づいて速度パラメータAを同定する。一般に、要因変数Xとなる物理量は対象とする膜処理プロセスの性質や特性等によって異なるが、ここでは要因変数Xには少なくとも洗浄風量(又は、その空気倍率)とフラックス(又は、濾過流量)とが含まれるものとする。例えば、要因変数Xに空気倍率及びフラックスを含める場合、次の関係式によってその値を取得することができる。
空気倍率=洗浄風量÷濾過流量
フラックス=濾過流量÷膜面積
ここでA(X,θ)はXの値に応じて変化するが、MBRプロセスなどの膜処理プロセスにおいては、ある洗浄期間中のXの値はそれほど大きく変化しないことが多い。また、大きく変化する場合であっても、Xの値がTMPの変化速度に与える影響は、洗浄期間におけるXの代表値(例えば平均値や中央値など)と考えて差し支えない。そのため、個々の洗浄期間において速度パラメータAの値は近似的には一定であるとみなすことができる。そこで、個々の洗浄期間おけるパラメータA及びkを一定値とすると、式(1)を次の式(2)のように表すことができる。
Figure 2020199472
このような近似により、膜差圧予測モデルはパラメータA及びkを含む膜差圧TMPに関する微分方程式となるため、TMPの時系列データを取得することができればパラメータA及びkを同定することが可能となる。パラメータA及びkの同定法には様々な方法が考えられるが、例えば、以下のような方法で同定することができる。
Figure 2020199472
式(3)は式(2)の両辺の対数をとることによって得られる式である。さらに式(3)は次の式(4)〜(6)による置き換えにより、式(7)のように表される。
Figure 2020199472
Figure 2020199472
Figure 2020199472
Figure 2020199472
式(6)及び(7)におけるTは行列の転置を表す。このように表すと、式(7)は以下のような線形回帰式となるので、u及びyを膜差圧TMPの値から算出しておくことによって、例えば、最小二乗法などの同定法でφを求めることができる。φが求まれば、A=exp(logA)の関係からAを算出することができるので、パラメータA及びkの値を同定することができる。
また、別の同定方法として、以下のような方法が用いられてもよい。一般に、膜閉塞パラメータkは、通常0〜2程度の値を取ることが知られている。そのため、例えば、kの値を0.1刻みで変化させてAの値を同定し、Aの同定誤差が最も小さくなる値でkを同定することも可能である。この場合の具体的な手順は例えば以下のようになる。
Figure 2020199472
式(8)は式(2)を変形したものである。式(8)において、右辺のdTMP/dt及びTMPは計測値から求まるのでkの値が定まればAの値が求まる。ここで、kの値を例えば0.1刻みで0から変更していくと、各kの値に応じたAの値が得られる。このようにして得られたAとkの値を用いて式(2)式の微分方程式を解くことで、膜差圧TMPの推定値の時系列データ(以下「推定時系列データ」という。)を得る。そして、推定時系列データと計測によって得られた時系列データとの誤差(例えば平均平方二乗誤差(RMSE:Root Mean Square Error)など)を求め、誤差が最小となるA及びkの値の組み合わせを同定結果とする。
なお、各kの値に応じたAの値は、以下のような方法で求められてもよい。まず、式(2)の解析解は次の式(9)のように表される。
Figure 2020199472
ここで、膜差圧TMPの初期値をTMP(0)、時刻tにおける膜差圧TMPの値をTMP(t)としてkを固定すると、式(9)からAの値を求めることができる。具体的には、ある洗浄期間について取得された時系列データの初期値及び最終値をそれぞれTMP(0)及びTMP(t)に代入し、上述の同定方法と同様に、kの値を0.1刻みで0から変更していくと、各kの値に応じたAの値が得られる。
以上、パラメータ同定部303が各パラメータを同定する方法の例をいくつか示したが、各パラメータの同定方法はこれらの方法に限定されない。予測モデルパラメータは、膜差圧TMPの計測値(プロセスデータに基づく計算値も含む)を用いて同定する方法であれば上記以外のどのような方法で同定されてもよい。パラメータ同定部303は、このように同定したパラメータA及びkを、各洗浄期間の運用条件と対応づけて記憶部301に記憶させる。具体的には、パラメータ同定部303は、運用条件となる各物理量について対象の洗浄期間における代表値を取得し、取得した各代表値を同定した予測モデルパラメータに対応づけて記憶させる。この代表値は、洗浄期間における代表的な値を示すものであればどのような統計値であってもよい。例えば、代表値には、平均値や中間値、中央値、トリム平均値、最頻値、最大値、最小値などが用いられてもよい。
続いて、運用条件設定部304が、薬品洗浄の終了後に次の洗浄期間の運用条件を設定する(ステップS103)。なお、事前に適切な値を設定することが困難な項目については、適宜外挿や補間等の処理を行った上で運用条件が設定されてもよい。例えば、CODは流入する下水の状況に依存するため、事前に適切な値を設定することが難しい。このような項目については、例えば直前の洗浄期間の値が次の洗浄期間の運用条件として用いられてもよい。また、DO濃度や補助散気量、空気倍率など、各種設備群2の運転条件によって変化する項目については、次の洗浄期間について作成された運転計画に基づいて運用条件が設定されるとよい。
続いて、類似パラメータ抽出部305が、次の洗浄期間における膜差圧予測に用いる予測モデルパラメータを取得する(ステップS104)。具体的には、類似パラメータ抽出部305は、過去に設定された運用条件から、次の洗浄期間について設定された運用条件に類似する運用条件を抽出する。類似パラメータ抽出部305は、抽出された運用条件に対応づけられた予測モデルパラメータを次の洗浄期間において用いる予測モデルパラメータとして取得する。
例えば、類似パラメータ抽出部305は、記憶部301に蓄積された過去の運用条件のデータに基づいて運用条件の各項目の平均値及び標準偏差を算出する。類似パラメータ抽出部305は、次の洗浄期間について設定された運用条件及び過去の運用条件の各項目について、標準偏差を単位量とする平均値からのズレ量(一般にZ値という。)を算出する。類似パラメータ抽出部305は、各洗浄期間について運用条件の各項目のZ値の総和をとり、次の洗浄期間についての総和に対する過去の各洗浄期間についての総和の割合を、次の洗浄期間に対する過去の各洗浄期間の類似度として算出する。そして、類似パラメータ抽出部305は、類似度が最も高い洗浄期間を、類似パラメータを取得する対象の洗浄期間(以下「類似期間」という。)として決定する。類似パラメータ抽出部305は、類似期間の運転条件に対応づけられた予測モデルパラメータを類似パラメータとして取得する。
なお、類似パラメータ抽出部305は、類似度に対して所定の重みづけを行ってもよい。例えば、直近の洗浄期間の運用条件が次の洗浄期間の運用条件に最も近いと想定される場合、類似パラメータ抽出部305は直近の洗浄期間の類似度が高くなるような重み付けを行ってもよい。これとは逆に、次の洗浄期間について設定された運用条件において、直近の運用条件から変更された項目がある場合、類似パラメータ抽出部305は、その変更の大きさに応じて類似度を低くするような重み付けを行ってもよい。
例えば、膜処理プロセスが直近の洗浄期間においてはフラックスが0.5[m/日]で運用され、さらにその1つ前の洗浄期間においてはフラックスが0.6[m/日]で運用されたのに対して、次の洗浄期間におけるフラックスが0.6[m/日]に設定されたと仮定する。この場合、類似パラメータ抽出部305は、直近の洗浄期間ではなく、さらにその1つ前の洗浄期間が類似期間として選択されるように類似度の重み付けを行う。
このような重み付けは、より類似する運用条件を抽出することができればどのような基準で行われてもよいが、洗浄期間の時間的な近さや、運用条件の類似性、変更の有無等に基づく重み付けを行うことにより、次の洗浄期間の運用条件に最も近い運用条件を持つ過去の洗浄期間を抽出する事ができる。類似パラメータ抽出部305は、このように抽出した類似パラメータを、次の洗浄期間において用いる予測モデルパラメータとして記憶部301に記憶させる。
続いて、パラメータ調整部306が、類似パラメータ抽出部305によって抽出された類似パラメータA及びkに基づいて膜差圧予測モデルを調整する(ステップS105)。ここで、膜閉塞パラメータkについては、類似パラメータ抽出部305によって抽出された値が式(1)に適用されるだけでよい。一方、速度パラメータAは要因変数Xとパラメータθの関数として表されるため、類似パラメータ抽出部305によって抽出された値に対応するようにパラメータθの値が再調整される必要がある。
例えば、速度パラメータA(X,θ)が次の式(10)に示す単純な回帰式として表せる場合、θはその回帰係数のベクトルとして式(11)のように表される。
Figure 2020199472
Figure 2020199472
上述のとおり、式(10)におけるXは膜差圧TMPの変化に影響する要因変数を表し、具体的には要因変数となりうる異なる物理量X,X,X,…,X(mは1以上の整数)のベクトルとして表される。例えば、洗浄風量の空気倍率やフラックス、MLSS濃度、DO濃度、補助散気風量、COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)やpHなどの物理量が要因変数となる。
一方、a,a,a,…,aは、各々に対応する要因変数の回帰係数を表す。すなわち、a(i=1,2,3,…,m)は対応する要因変数Xが膜差圧TMPの変化に寄与する度合いを表す。これらの回帰係数は、例えば、最小二乗法や、それを拡張した様々な回帰モデルの同定アルゴリズムを用いて求めることができる。本実施形態において、パラメータθの値は、何等かの同定方法によって予め同定されているものとし、パラメータ調整部306は、予め同定されたパラメータθの値をパラメータ同定部303が同定した速度パラメータAの値に適合するように調整するものである。
速度パラメータAを式(10)及び(11)のように表した場合、式(10)はX,X,…,Xを入力変数とし、A(X,θ)を出力変数とする回帰式とみなせる。ここで、X,X,…,Xを類似期間の運用条件(の一部又は全部)に対応させて、類似期間における運用条件の値とパラメータAの値とを式(10)に適用すれば、式(11)のように表されるθの値を最小二乗法などで同定することができる。パラメータ調整部306は、このように調整した膜差圧予測モデルを記憶部301に記憶させる。
続いて、限界膜差圧入力部308が次の洗浄期間における膜差圧限界値TMPlimの入力を受け付ける(ステップS106)。限界膜差圧入力部308は、入力された膜差圧限界値TMPlimを限界風量入力部309及び限界到達時間推定部310に出力する。なお、次亜塩素酸ソーダを用いて薬品洗浄を行う場合には、膜差圧限界値TMPlimは、例えば10〜50kPa程度の値に設定されるとよい。
続いて、限界風量入力部309が次の洗浄期間における最大風量Qmax及び最小風量Qminの入力を受け付ける(ステップS107)。限界風量入力部309は、入力された最大風量Qmax及び最小風量Qminを限界到達時間推定部310に出力する。なお、最大風量Qmax及び最小風量Qminは洗浄曝気ブロワ223や補助散気ブロワ225の性能に基づいて操作可能な範囲の風量の値に設定されるとよい。
続いて、限界到達時間推定部310が、次の洗浄期間における最大到達時間及び最小到達時間を推定する(ステップS108)。ここで、限界到達時間推定部310は、パラメータ調整部306によって調整された膜差圧予測モデルを用いて、次の洗浄期間について設定した運用条件のうち洗浄風量(又は、その空気倍率)を最大風量Qmaxとした場合の膜差圧TMPを算出する。
具体的には、限界到達時間推定部310は、式(1)中の速度パラメータA(X,θ)に、運用条件設定部304によって設定された運用条件と、限界風量入力部309によって設定された最大風量Qmaxとを設定し、薬剤洗浄終了時点での膜差圧の計測値を膜差圧TMPの初期値TMPnowとして膜差圧予測モデルを解くことにより、次の洗浄期間における膜差圧TMPの挙動を表すTMPの時系列データを取得することができる。
このとき、限界到達時間推定部310は、初期値TMPnowから限界膜差圧入力部308によって設定された膜差圧限界値TMPlimまでの膜差圧TMPを計算することにより、次の洗浄期間の開始時点から最大風量Qmaxで洗浄を行った場合において膜差圧TMPが膜差圧限界値TMPlimに到達するまでの時間である最大到達時間Lmaxを算出することができる。
同様に、限界到達時間推定部310は、式(1)中の速度パラメータA(X,θ)に、運用条件設定部304によって設定された運用条件と、限界風量入力部309によって設定された最小風量Qminとを設定して膜差圧予測モデルを解くことにより、次の洗浄期間の開始時点から最小風量Qminで洗浄を行った場合において膜差圧TMPが膜差圧限界値TMPlimに到達するまでの時間である最小到達時間Lminを算出することができる。限界到達時間推定部310は、このように算出した最大到達時間Lmax及び最小到達時間Lminを次の洗浄期間における限界到達時間の推定結果として出力する。
このように構成された第1の実施形態の制御システム3によれば、直近の薬品洗浄の終了後に、次の洗浄期間における最大到達時間Lmax及び最小到達時間Lminを精度良く推定することができる。このような限界到達時間が膜処理プロセスの管理者に提供されることにより、管理者は薬品洗浄を行うべきタイミングを適切に判断することが可能となり、結果として、膜処理プロセスに要する電力コストを低減することができる。
以下、第1の実施形態の変形例について説明する。次の膜濾過抵抗式(12)及び膜閉塞式(13)から、膜差圧TMPはフラックスが変動する場合には膜差圧TMPも大きく変動することが分かる。なお、式(12)におけるμは被処理水の粘性係数を表し、Jはフラックスを表し、Rは膜濾過抵抗を表す。
Figure 2020199472
Figure 2020199472
また、別の視点では、式(1)で表した膜差圧予測モデルは式(12)の膜濾過抵抗式において粘性係数μとフラックスJを一定値と仮定して式(11)式に代入することによって得られる式であるとみなすことができる。フラックスJが大きく変動する場合には、膜差圧TMPの変動が大きくなるため、本来であれば、TMP/μJ=Rを直接的に予測する方が好ましい。しかしながら、粘性係数μの値を運用中にオンラインで正確に把握することは一般に困難である。そこで、粘性係数μは温度に依存するものの短期的には一定とみなせることから、μを一定とみなして、TMP/J=μRを予測することでフラックスの変動に対するTMPの変動を推定してもよい。
一方、管理者の観点では、kPaなどの次元で表される膜差圧TMPの値で膜処理プロセスを管理するほうが、膜処理プロセスの状態を把握しやすいため都合がよい。そのため、膜処理プロセスの運転管理は可能な限りTMPの次元で行われることが好ましい。そこで、次の式(14)のように、見かけ上TMPの次元の値をとる量TMPを定義する。
Figure 2020199472
式(14)において、Jrateはフラックスの定格値又は代表値(一定値)を表す。ここで、Jは実際のフラックスであり変動する可能性のある量である。以下、ここで定義したTMPを便宜的に定格換算膜差圧と呼ぶ。このように定義した定格換算膜差圧TMPは、実質的には、粘性係数が一定の元での膜濾過抵抗を意味する量であり、膜濾過抵抗を膜差圧TMPの次元で表したものとみなすことができる。第1の実施形態において、膜差圧TMPは定格換算膜差圧TMPに置き換えられてもよい。このような量に置き枯れられることにより、管理者はTMPの次元で表された膜濾過抵抗で膜処理プロセスを管理することが可能になる。
また、第1の実施形態では、最大到達時間Lmax及び最小到達時間Lminが薬品洗浄の終了したタイミングで推定されたが、制御システム3は、この推定を洗浄期間において所定の周期(例えば1日)ごとに繰り返し行ってもよい。以下、この周期を推定周期という。図6は、第1の実施形態における制御システム3によって推定された膜差圧TMPの変化の具体例を示す図である。この場合、膜差圧予測モデルに与える初期値TMPnowを直前の推定周期の終了時点(時刻t’)における膜差圧の計測値TMP’に設定することにより、制御システム3は当該洗浄期間の残りの期間における最大到達時間Lmax’及び最小到達時間Lmin’を推定することができる。このような推定を行えば、当該洗浄期間において、洗浄風量が限界到達時間に与える影響が時間経過とともに徐々に小さくなっていくため、最大到達時間と最小到達時間との差が小さくなっていく様子(すなわち実際の限界到達時間に収束していく様子)を運転員に提示することが可能となる。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態における制御システム3aの機能構成の具体例を示す図である。制御システム3aは、洗浄周期設定部311、目標値設定部312、風量制御部313及び制御情報送信部314をさらに備える点、限界到達時間推定部310によって推定された限界到達時間Lmax及びLminが洗浄周期設定部311及び目標値設定部312に出力される点で第1の実施形態における制御システム3と異なり、その他の構成は制御システム3と同様である。そのため、図7において、制御システム3と同様の構成には図2と同じ符号を付すことにより説明を省略する。
洗浄周期設定部311は、薬品洗浄を行う周期(洗浄周期)の計画値の入力を受け付ける。この洗浄周期はすなわち上記の洗浄期間に相当する。洗浄周期は、限界到達時間推定部310によって推定された限界到達時間Lmin及びLmaxの値に基づいて管理者により決定される。
目標値設定部312は、限界到達時間の推定に用いられた膜差圧限界値と、洗浄周期設定部311によって設定された洗浄周期とに基づいて、膜差圧の制御目標曲線を設定する。
風量制御部313は、目標値設定部312によって設定された膜差圧の制御目標曲線と、膜差圧予測部307によって予測された膜差圧の挙動とに基づいて、膜処理プロセスの運用中における洗浄風量(又は、その空気倍率)を算出する。風量制御部313は、洗浄曝気ブロワ223に算出した値の洗浄風量を送出させる制御情報を生成する。
制御情報送信部314は、通信インタフェースを介して洗浄曝気ブロワ223と通信することにより、風量制御部313によって生成された制御情報を洗浄曝気ブロワ223に送信する。制御情報送信部314は、プロセスデータ取得部302と同じ通信インタフェースを介して通信するように構成されてもよい。
図8は、第2の実施形態における制御システム3aの動作例を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートにおいては、第1の実施形態と同様の処理には図5と同じ符号を付すことにより説明を省略する。まず、ステップS101〜S108が第1の実施形態と同様に実行される。続いて、洗浄周期設定部311が洗浄周期(すなわち洗浄期間)を設定する(ステップS201)。
このとき、洗浄周期設定部311は、最大到達時間Lmax及び最小到達時間Lminを用いて、計画値の入力を所定の範囲内の値に制限する。これは、洗浄周期が、最大風量や最小風量、膜差圧限界値TMPlim等に応じて適切に設定される必要があるためである。特に、インバータを備えた洗浄曝気ブロワ223では、インバータの周波数をある一定値以下に低下させることが困難であることから、最大風量だけでなく最小風量も所定の範囲内に制限されることになる。そのため、洗浄周期は、このような制限を持つ最大風量及び最小風量の範囲内で、かつ膜差圧TMPが洗浄周期内に膜差圧限界値TMPlimに到達するように設定される必要がある。洗浄周期設定部311は、管理者によって入力された洗浄周期の計画値がこのような条件を満たしているか否かを判定する。
例えば、洗浄周期設定部311は、次の式(15)のような按分式に基づいて洗浄期間Lを設定することができる。
Figure 2020199472
ここで、αは最小到達時間Lminと最大到達時間Lmaxとを按分する按分パラメータであり、0<α<1の値を持つ。例えば、洗浄期間Lを単純に最小到達時間Lminと最大到達時間Lmaxとの平均とする場合にはαを0.5に設定すればよい。
また、式(15)を用いない方法として、洗浄風量の削減目標に基づいて設定する方法もある。例えば、通常、定格風量に相当する最大風量に対して削減したい風量の割合(以下「削減率」という。)を予め設定しておく。このとき、削減率は、削減後の風量が最小風量以上となるように設定される。洗浄周期設定部311は、削減後の洗浄風量で膜処理プロセスを運用した場合における限界到達時間を算出し、算出した限界到達時間を洗浄周期Lに設定する。
続いて、目標値設定部312が膜処理プロセスの運用中における洗浄風量(又は、その空気倍率)の制御目標曲線を設定する(ステップS202)。具体的には、目標値設定部312は、次の式(16)にしたがって次の洗浄期間における膜差圧の制御目標値の時間変化dTMPref/dtを算出する。
Figure 2020199472
式(16)において、TMPrefは膜差圧、又は膜差圧の次元で表した膜濾過抵抗の目標値を表す。AはTMPrefの速度パラメータを表し、kはTMPrefの膜閉塞パラメータを表す。ここで、パラメータkは、通常、式(1)に示した膜差圧予測モデルの膜閉塞パラメータkと同じ値に設定されればよい。
一方、パラメータAは、TMPrefの初期値TMP”、膜差圧限界値TMPlim”及び洗浄周期Lを式(16)に適用することにより、次の式(17)及び(18)のように表わすことができる。
Figure 2020199472
Figure 2020199472
図9は、第2の実施形態において目標値設定部312が膜差圧の制御目標曲線を決定する処理の概念を示す図である。図9に示すように、目標値設定部312は、洗浄期間の開始時点における膜差圧の目標値の初期値TMP”、洗浄期間の開始時点から薬品洗浄が必要になる時点までの期間L(すなわち洗浄期間)、及び薬品洗浄が必要になるタイミングでの膜差圧(すなわち膜差圧限界値)TMPlim”を設定し、洗浄期間の終了時点において膜差圧が膜差圧限界値に到達するような曲線を求めることで膜差圧の制御目標曲線を算出する。
ここで、洗浄周期Lの値には洗浄周期設定部311によって設定された値が用いられ、初期値TMP”には直近の薬品洗浄が終了した時点での膜差圧の計測値が用いられる。また、膜差圧限界値TMPlim”には限界膜差圧入力部308によって入力された膜差圧限界値TMPlimが用いられる。このように、設定した洗浄周期L、初期値TMP”及び膜差圧限界値TMPlim”を式(17)及び(18)に適用することにより制御目標曲線の速度パラメータAを決定することができる。
続いて、風量制御部313が、目標値設定部312によって設定された膜差圧の制御目標曲線に基づいて、膜処理プロセスの運用中における洗浄曝気ブロワ223の洗浄風量の操作量を決定する(ステップS203)。具体的には、風量制御部313は、制御時点での要因変数Xの値を膜差圧予測部307に入力し、その出力として、所定の予測期間における膜差圧の予測値を取得する。風量制御部313は、制御目標曲線が示す制御目標値と、予測値との誤差が小さくなるように洗浄風量の操作量を決定する。
図10は、第2の実施形態において風量制御部313が運用時の洗浄風量の操作量を適応的に更新していく処理の概念を示す図である。例えば、風量制御部313は、1週間程度の予測期間を設定し、現在から1週間程度先までの膜差圧の予測値を予め取得しておく。そして、風量制御部313は、予め取得した膜差圧の予測値と、目標値設定部312によって設定された制御目標値との予測誤差を算出し、この予測誤差の積算値、及び予測期間の終了時点での予測誤差に関して、例えば次の式(19)に示すようなフィードバック制御を行う。
Figure 2020199472
式(19)はフィードバック制御の一例としてPI制御(Proportional-Integral Controller)を示す式である。式(19)において、e(t)は膜差圧の予測値と制御目標値との誤差を表す。Tは予測期間を表し、例えば1週間程度の値をとる。また、K、Kは洗浄風量の修正量(すなわち制御量)を決めるPI制御のパラメータであり、それぞれ、積分ゲイン、比例ゲインと呼ばれる。風量制御部313は、このように決定した洗浄風量の操作量を示す制御情報を生成し、生成した制御情報を洗浄曝気ブロワ223に送信する(ステップS204)。
このように構成された第2の実施形態の制御システム3aは、直近の洗浄期間の終了後に推定した最大到達時間Lmax及び最小到達時間Lminに基づき、次の洗浄期間において洗浄風量の実際の操作量を適応的に更新していくことにより、膜差圧が予め計画された制御目標値に追従するように洗浄風量を制御することができる。このような制御が実現されることにより、膜差圧が予め想定されたタイミングで膜差圧限界値に到達するように膜処理プロセスが性制御されるため、膜処理プロセスに必要な濾過膜の薬品洗浄をより計画的に実施することが可能となる。
以下、第2の実施形態の変形例について説明する。上記の実施形態では、洗浄周期LがLmin<L<Lmaxを満たすように設定されたが、実際には洗浄周期Lは、管理者が膜処理プロセスの運用方針に基づいて設定するものである。そのため、洗浄周期LをLmin<L<Lmaxの範囲内に機械的に制限することは膜処理プロセスの障害を引き起こす可能性がある。このような問題に対して、洗浄周期Lの値に応じて限界到達時間を調整することで、洗浄周期Lを任意の値に設定することを許容することができる。
式(1)、(10)及び(11)に示した膜差圧予測モデルは、その要因変数Xの中にフラックスJを含むため、フラックスJの値に応じてLminやLmaxの値も変化する。ここで、フラックスJを低下させると膜差圧の上昇速度が低下することは物理学的に明らかであるため、Lmin>Lである場合にはフラックスJを増加させ、L>Lmaxである場合にはフラックスJを減少させる。このようなフラックスJの調整により、調整後の洗浄期間LがLmin<L<Lmaxを満たすようにすることができる。
一方、フラックスは単位膜面積あたりの処理量であるから、フラックスJを変化させることは処理量を変化させることに等しい。そのため、フラックスJの制御による限界到達時間の調整には処理量の調整機能が必要になる。例えば、処理量を調整する方法の1つとして調整池などのバッファを用いる方法がある。また、複数の処理系列で水処理を行っている場合には、他の水処理系列との間で処理量のバランスを変更することで処理量が調整されてもよい。
また、洗浄周期Lを任意の値に設定することを許容する他の方法として、膜差圧の現在値TMPnowを調整する方法もある。式(1)の膜差圧予測モデルを用いて限界到達時間を算出する際、膜差圧の現在値TMPnowに依存してLmax及びLminの算出結果が変化する。通常、膜処理プロセスの運用において洗浄周期Lはできるだけ長くしたいものであるから、Lmin<L<Lmaxを満たさない状況はL>Lmaxであることが多い。このような場合、Lmaxを長くすることができればLmin<L<Lmaxを満たす洗浄周期を設定することができる。
そのためには、L>Lmaxである場合に、TMPnowの値を下げることができればL<Lmaxにすることができる。TMPnowの値を取得するタイミングは、上記の実施形態でも説明したとおり、通常は薬品洗浄の終了後である。そのため、TMPnowの値が高ければ、例えばより濃度の高い次亜塩素酸ソーダで再度洗浄を行うか、又はシュウ酸などの強酸で再度洗浄を行うことによってTMPnowの値を下げることができる。このようにしてTMPnowを下げる調整を行うことで、調整後の洗浄周期LがL<Lmaxを満たすようにすることができる。この際、洗浄周期設定部311は、TMPnowを下げるために再洗浄を管理者に促す通知を行ってもよいし、この通知とともに、どの程度TMPnowの値を下げればよいかの情報を提供してもよい。
また、実際の膜処理プロセスの運用では、膜処理プロセスの状態の変化や、膜処理プロセスが持つ本質的な不確かさなどにより、必ずしも制御目標値に追従した制御を行えるとは限らない。このような場合を想定して、制御システム3aは洗浄期間内に洗浄周期Lを適宜修正するように構成されてもよい。例えば、洗浄周期設定部311が式(15)による洗浄周期Lの更新を所定の周期で繰り替えし実行してもよい。このようにすることで、制御システム3aは実際の運用において生じうる膜処理プロセスの想定外の変化に適応して制御目標曲線を修正していくことができる。なお、この場合、洗浄周期設定部311は、洗浄周期Lの更新の状況を管理者に通知するように構成されてもよい。
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態における制御システム3bの機能構成の具体例を示す図である。制御システム3bは、目標値設定部312に代えて目標値設定部312bを備える点、運用モード設定部315をさらに備える点で第2の実施形態における第2の実施形態における制御システム3aと異なり、その他の構成は制御システム3aと同様である。そのため、図11において、制御システム3aと同様の構成には図7と同じ符号を付すことにより説明を省略する。
運用モード設定部315は、目標値設定部312bに対して運用モードを設定する機能を有する。運用モードは、目標値設定部312が制御目標曲線の設定に用いる膜閉塞パラメータkの値を予め定められた複数の値の中から選択するための情報である。例えば、運用モード設定部315は、膜処理プロセスの制御に使用する運用モードを、膜処理プロセスの制御方針や目的等に応じて予め定められた複数の運用モードから選択可能に構成される。例えば、運用モード設定部315は、ユーザによる運用モードの選択操作を受け付け、選択された運用モードを目標値設定部312bに設定する。
目標値設定部312bは、運用モード設定部315によって設定された運用モードに基づいて、制御目標曲線の設定の際に用いる膜閉塞パラメータkの値を選択する。目標値設定部312bは、選択した膜閉塞パラメータkを用いて制御目標曲線を設定する。なお、制御目標曲線を計算する方法は第2の実施形態と同様である。
図12は、第3の実施形態における運用モードの具体例を示す図である。第2の実施形態で説明したとおり、膜閉塞パラメータkは、通常、式(1)で示した膜差圧予測モデルの膜閉塞パラメータkと同じ値に設定すればよい。これは、膜閉塞パラメータは膜の閉塞現象に応じて固有の値をとるものであり、制御目標はその固有の閉塞現象について決定されるべきものであると考えられるためである。
膜閉塞理論によれば、膜閉塞パラメータkの値0,1,1.5,2.0は、図12(A)のケーキ濾過、図12(B)の中間閉塞、図12(C)の標準閉塞、図12(D)の完全閉塞というそれぞれ固有の閉塞現象に対応しており、実際の閉塞現象はこれらの各現象の一部又は全部が混合した現象であると考えられる。
したがって、膜閉塞パラメータkが決まれば、制御目標もそれに応じて変化させるのが自然な考え方である。ただし、洗浄風量をある目的をもって意図的に変化させたい場合には、kとkとを異なる値に設定して制御することも可能である。
図13は、第3の実施形態における制御目標値TMPrefと膜閉塞パラメータkとの関係性を示す図である。図13は、膜閉塞パラメータkの値を0〜2の範囲で変化させた場合における制御目標曲線の変化を示す。図13によって示されるように、kの値が0に近づくほど制御目標値は線形的に変化し、kの値が2に近づくほど制御目標値が洗浄周期の後半で急激に変化することが分かる。なお、図13は制御目標値TMPrefと膜閉塞パラメータkとの関係性を示したものであるが、この関係性は式(1)によって表される膜差圧予測モデルの性質によるものであり、限界到達時間を予測する際の膜差圧TMP及び膜閉塞パラメータkも同様の関係性を持つ。
この性質を利用して、制御目標値を決定する際の膜閉塞パラメータkと、膜差圧の変化を予測する際の膜閉塞パラメータkとを異なる値に設定することにより、洗浄風量の変化を意図的にコントロールすることができる。
図14は、第3の実施形態において膜閉塞パラメータkとkとを異なる値に設定した場合における洗浄風量の制御例を示す図である。図14(A)に示すように、k>kとした場合、洗浄期間の前半では予測値の増加率が目標値の増加率より高く、後半では目標値の増加率が予測値の増加率よりも高くなる。そのため、洗浄期間の前半では予測値の方が目標値よりも高い値となりやすくなる。このような制御によれば、洗浄期間の前半では最大風量(≒定格風量)を維持し、洗浄期間の後半になって洗浄風量の供給が過剰であることが判明した場合に洗浄風量を低減させるような制御を行うことができる。このような膜閉塞パラメータの設定は、洗浄風量が過剰であることが判明した時点で洗浄風量を低減させるため、消費電力削減の観点では保守的な設定といえる。
一方、図14(A)に示すように、k>kとした場合、洗浄期間の前半では目標値の増加率が予測値の増加率より高く、後半では予測値の増加率が目標値の増加率よりも高くなる。そのため、洗浄期間の前半では目標値の方が予測値よりも高い値となりやすくなる。このような制御によれば、洗浄期間の前半では最大風量よりも低い風量を維持し、洗浄期間の後半になって洗浄風量の供給が不足していることが判明した場合に洗浄風量を増加させるような制御を行うことができる。このような膜閉塞パラメータの設定は、洗浄風量が不足していることが判明した時点で洗浄風量を増加させるため、消費電力削減の観点では積極的な設定といえる。
このような性質を踏まえ、例えば、通常モード、積極的削減モード、保守的削減モードの3つの運用モードを設ける。この場合、運用モード設定部315は、通常モードが選択された場合にはk=kと設定し、積極的削減モードが選択された場合にはk=k−α(α>0)と設定し、保守的削減モードが選択された場合にはk=k+α(α>0)と設定する。ここで、αの値は管理者によって予め決定されるものであるが、例えば0.5程度に設定することができる。また、上記の3つの運用モードよりも多くの運用モードを設けてαの値をより細かく調整することでよりきめ細かい制御を行うことも可能である。
このように構成された第3の実施形態の制御システム3bは、膜処理プロセスの制御方針に応じた運用モードで洗浄風量を制御することができる。このような制御システム3bによれば、管理者は、制御方針に準じた膜処理プロセスの運用管理を行いつつ、その制御方針の下でより多くの電力コストを削減することが可能になる。
なお、上記の各実施形態では、MBRプロセスが制御対象プロセスである場合の例を説明したが、空気の供給による濾過膜の洗浄と、膜差圧を大幅に低下させることができる方法(例えば薬品洗浄)での濾過膜の洗浄とを行う膜処理プロセスを含むものであれば、どのようなプロセスが制御対象プロセスとされてもよい。
また、上記の各実施形態の制御システムは、1つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。例えば、制御システム3aは、1つの風量制御装置として構成されてもよいし、符号301〜310によって示される機能部を備える制御支援装置と、符号311〜314によって示される風量制御装置と、を備えるシステムとして構成されてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、洗浄風量の計測値と、濾過膜の処理量の計測値とに基づいて、膜差圧予測モデルに前記膜処理プロセスの特性に応じたパラメータを設定するパラメータ設定部と、洗浄風量を最大風量とした場合に膜差圧がその限界値に到達するのに要する最大到達時間、及び洗浄風量を最小風量とした場合に膜差圧がその限界値に到達するのに要する最小到達時間を推定する限界到達時間推定部と、を持つことにより、膜処理プロセスに要する電力コストを低減することができる。
なお、上記の各実施形態におけるパラメータ同定部、パラメータ調整部、類似パラメータ抽出部及び運用条件設定部の一部又は全部はパラメータ設定部の一例である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…下水処理プラント、2…設備群、3,3a,3b…制御システム、21…無酸素槽、211…撹拌機、22…好気槽、221…余剰汚泥引き抜きポンプ、222…返送汚泥ポンプ、223…洗浄曝気ブロワ、224…散気板、225…補助散気ブロワ、226…補助散気板、23…膜ユニット、24…膜濾過ポンプ、241…薬液注入弁、242…薬液タンク、25…センサ群、251…流入流量計、252…水温計、253…MLSS計、254…DO計、255…濾過流量計、301…記憶部、302…プロセスデータ取得部、303…パラメータ同定部、304…運用条件設定部、305…類似パラメータ抽出部、306…パラメータ調整部、307…膜差圧予測部、308…限界膜差圧入力部、309…限界風量入力部、310…限界到達時間推定部、311…洗浄周期設定部、312,312b…目標値設定部、313…風量制御部、314…制御情報送信部、315…運用モード設定部

Claims (15)

  1. 膜処理プロセスにおいて被処理水の曝気及び濾過膜の洗浄のために供給される空気の量である洗浄風量の計測値と、前記濾過膜の処理量の計測値とに基づいて、膜差圧予測モデルに前記膜処理プロセスの特性に応じたパラメータを設定するパラメータ設定部と、
    前記洗浄風量を最大風量とした場合における膜差圧の変化を前記膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最大到達時間を推定するとともに、前記洗浄風量を最小風量とした場合における膜差圧の変化を前記膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最小到達時間を推定する限界到達時間推定部と、
    を備える膜処理制御システム。
  2. 前記限界到達時間推定部は、薬品洗浄終了後の膜差圧を初期値として、前記膜差圧が前記初期値から前記限界値に達するまでの変化を予測する、
    請求項1に記載の膜処理制御システム。
  3. 前記パラメータ設定部は、膜差圧予測モデルのパラメータであって、前記膜差圧の予測に用いられる速度パラメータA又は膜閉塞パラメータkを過去の膜差圧の時系列データを用いて同定する、
    請求項1又は2に記載の膜処理制御システム。
  4. 所定の洗浄周期ごとに同定された速度パラメータA又は膜閉塞パラメータkを、各洗浄周期における要因変数の計測値に対応づけて記憶する記憶部をさらに備え、
    前記パラメータ設定部は、前記記憶部に蓄積された要因変数の計測値と、次の洗浄周期についての要因変数の計画値とに基づいて、過去の洗浄周期のうち次の洗浄周期に最も類似する洗浄周期の期間である類似期間を特定し、前記類似期間に対応づけられたパラメータA又はkを膜差圧予測モデルに設定し、
    前記限界到達時間推定部は、前記類似期間に対応づけられた速度パラメータA又は膜閉塞パラメータkが設定された膜差圧予測モデルに基づいて最大到達時間及び最小到達時間を推定する、
    請求項3に記載の膜処理制御システム。
  5. 前記パラメータ設定部は、膜差圧予測モデルにおいて前記要因変数と前記速度パラメータAとの関係性を示すパラメータθを、前記類似期間に対応づけられたパラメータに基づいて調整する、
    請求項4に記載の膜処理制御システム。
  6. 前記限界到達時間推定部は、前記洗浄周期よりも短い推定周期ごとに、その時点における膜差圧の計測値を初期値とし、その時点からの最大到達時間及び最小到達時間を推定する、
    請求項4又は5に記載の膜処理制御システム。
  7. 膜差圧の制御目標値を設定するために用いられる速度パラメータA及び膜閉塞パラメータkが設定された膜差圧予測モデルに基づいて、次の洗浄周期における膜差圧の制御目標値を決定する目標値設定部をさらに備える、
    請求項3から6のいずれか一項に記載の膜処理制御システム。
  8. 前記洗浄周期の計画値の入力を受け付け、前記計画値が前記限界到達時間推定部によって推定された最小到達時間から最大到達時間までの範囲に含まれる場合に、前記計画値を前記洗浄周期に設定する洗浄周期設定部をさらに備える、
    請求項4から7のいずれか一項に記載の膜処理制御システム。
  9. 前記洗浄周期設定部は、前記計画値が前記範囲に含まれない場合、前記計画値が調整後の最小到達時間から最大到達時間までの範囲に含まれるように、前記膜処理プロセスの処理量を調整する、
    請求項8に記載の膜処理制御システム。
  10. 前記洗浄周期設定部は、前記計画値が前記範囲に含まれない場合、前記計画値が調整後の最小到達時間から最大到達時間までの範囲に含まれるように、薬品洗浄終了後の膜差圧の調整を促す、
    請求項8に記載の膜処理制御システム。
  11. 前記限界到達時間推定部によって推定された最小到達時間及び最大到達時間を所定の割合で按分した時間を前記洗浄周期に設定する洗浄周期設定部をさらに備え、
    前記限界到達時間推定部は、前記洗浄周期よりも十分に短い周期で最小到達時間及び最大到達時間を推定し、推定した前記最小到達時間及び前記最大到達時間で前記洗浄周期を更新する、
    請求項4から7のいずれか一項に記載の膜処理制御システム。
  12. 前記目標値設定部は、前記膜閉塞パラメータkを予め定められた複数の値から選択可能に構成される、
    請求項7から11のいずれか一項に記載の膜処理制御システム。
  13. 前記目標値設定部は、前記膜閉塞パラメータkと同じ値、前記膜閉塞パラメータkよりも大きい値、及び前記膜閉塞パラメータkよりも小さい値から前記膜閉塞パラメータkを選択する、
    請求項12に記載の膜処理制御システム。
  14. 前記膜差圧は、膜濾過抵抗、又は膜濾過抵抗が膜差圧の次元で表されるように換算された値によって表される、
    請求項1から13のいずれか一項に記載の膜処理制御システム。
  15. 膜処理プロセスにおいて被処理水の曝気及び濾過膜の洗浄のために供給される空気の量である洗浄風量の計測値と、前記濾過膜の処理量の計測値とに基づいて、膜差圧予測モデルに前記膜処理プロセスの特性に応じたパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
    前記洗浄風量を最大風量とした場合における膜差圧の変化を前記膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最大到達時間を推定するとともに、前記洗浄風量を最小風量とした場合における膜差圧の変化を前記膜差圧予測モデルに基づいて予測することにより膜差圧がその限界値に到達するのに要する最小到達時間を推定する限界到達時間推定ステップと、
    を有する膜処理制御方法。
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