JP7484578B2 - 水処理施設の運転支援装置及び運転支援方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、運転員の高齢化及び当該技術の習熟に長期間を要するため、人工知能を用いて操作量を決定し、自動化したいという要請がある。
ここで、操作量は、主に、放流水に含まれるアンモニア濃度等の水質データに基づいて決定される。
他方で、水処理施設における水質データを取得するための水質分析は、コスト及び時間を要するため、大量の水質データを揃えるためには多大なコストを要し、データ取得期間が長期に及んでしまう、という問題があった。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置100を適用可能な水処理施設200の構成を示す図である。
図1に示す水処理施設200は、最初沈殿池1と、反応槽2と、最終沈殿池3と、送風機4と、風量調整バルブ5と、散気装置6と、第1のポンプ7と、第2のポンプ8と、計測器9と、重力濃縮槽10と、機械濃縮槽11と、消化槽12と、脱水槽13と、配管21,22,23,24とを備える。
この原水は、有機物を含む排水である。
最初沈殿池1では、原水の固液分離が行われ、最初沈殿池1からの流出水は、配管21を通して反応槽2に送られる。
最初沈殿池1に沈殿した汚泥である生汚泥は、配管24を通して重力濃縮槽10に送られる。
反応槽2では、該微生物が最初沈殿池1からの流出水に含まれる有機物を資化することで増殖し、該微生物を用いた生物処理により活性汚泥が形成される。
反応槽2からの流出水は、配管22を通して最終沈殿池3に送られる。
最終沈殿池3の上澄みは、処理水として水処理施設200の外へ放出される。
最終沈殿池3で沈殿した汚泥の一部は、第1のポンプ7によって配管23を通して反応槽2に戻されて再利用される。
最終沈殿池3で沈殿した残りの汚泥は、余剰汚泥として第2のポンプ8によって機械濃縮槽11に送られる。
風量調整バルブ5は、複数の散気装置6の各々に通した配管に設けられており、開閉により送風量を調整する。
複数の散気装置6は、反応槽2の下部に設けられており、風量調整バルブ5に通された配管に接続されて、風量調整バルブ5によって送風量が調整された空気を反応槽2内に供給する。
このように反応槽2への送風量が調整されると、反応槽2内の溶存酸素量であるDO(Dissolved Oxygen)値が調整され、生物処理の進行が調整される。
第2のポンプ8は、最終沈殿池3で沈殿した残りの汚泥を余剰汚泥として機械濃縮槽11に送る余剰汚泥引抜ポンプである。
ここで、水質を示す各パラメータとしては、溶存酸素量であるDO値及び浮遊物質濃度であるMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)値を例示することができる。
水処理施設200の運転員は、計測器9によって計測された水質を示す各パラメータを参照することで制御対象の操作量を決定している。
ここで、制御対象の操作量としては、水処理施設200の最終沈殿池3からの返送汚泥量を調整する第1のポンプ7の回転数、水処理施設200の最終沈殿池3の余剰汚泥引抜量を調整する第2のポンプ8の単位時間あたりの引抜量又は余剰汚泥の引抜時間、水処理施設200の脱水槽13への高分子凝集剤の注入率を例示することができる。
機械濃縮槽11は、第2のポンプ8によって最終沈殿池3から引き抜かれた余剰汚泥を濃縮処理する槽である。
重力濃縮槽10及び機械濃縮槽11において濃縮された汚泥は、消化槽12に送られる。
ここで、消化処理は、例えば嫌気性消化処理方式によって行われるとよい。
嫌気性消化処理方式では、嫌気性微生物によって有機性の汚泥が分解される。
消化処理によって分解された汚泥は、脱水槽13に送られる。
配管22は、反応槽2と最終沈殿池3との間に配置され、反応槽2からの流出水を最終沈殿池3に送る配管である。
配管23は、第1のポンプ7と反応槽2との間に配置され、最終沈殿池3の汚泥の一部を反応槽2に送る配管である。
配管24は、最初沈殿池1と重力濃縮槽10との間に配置され、最初沈殿池1の生汚泥を重力濃縮槽10に送る配管である。
これらの操作項目の各々は、処理場によって設定が異なる。
ここで、送風量一定制御は、目標送風量値として設定された一定の送風量となるように行う制御である。
また、比率一定制御は、最初沈殿池1から反応槽2への流入量に応じた送風量となるように、すなわち流入量と送風量との比率が一定となるように行う制御である。
また、DO一定制御は、反応槽2のDO値が設定された一定の目標DO値となるように行う制御である。
本実施形態に係る運転支援装置100は、これらの操作項目を導出対象とする。
そして、運転員は、運転支援装置100によって導出された操作項目に基づいて制御対象の操作量を決定する。
このように運転支援装置100によって制御対象の操作量が決定されることで、勘、経験及びノウハウを有していない者を運転員とすることが可能となる。
図2に示す運転支援装置100は、データ蓄積部101と、学習対象データ及び推定対象データ取得部102と、データ加工部103と、学習部110と、運転支援部120と、を備える。
トレンドデータとしては、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量及び気温を例示することができる。
水質データとしては、NH4濃度及びNO3濃度を例示することができる。
なお、データ蓄積部101は、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記録媒体により実現することができる。
なお、学習対象データ及び推定対象データ取得部102は、MPU(Micro-Processing Unit)又はCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記録媒体とを組み合わせて実現することができる。
なお、データ加工部103は、MPU又はCPU等のプロセッサと、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記録媒体とを組み合わせて実現することができる。
図3では、データ値xは、取得した連続値について算出された平均値及び標準偏差σを用いて、平均値からのずれと標準偏差σとの大小関係に基づいて、x<-σであればξ=1とし、-σ≦x≦0であればξ=2とし、0<x≦σであればξ=3とし、σ<xであればξ=4として、4段階に離散化されている。
なお、図3では、データ値を正規分布としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、所定のしきい値を設定して、データ値と所定のしきい値との大小関係で2段階に離散化、すなわち2値化することも可能である。
又は、単純に正規化処理を適用して、平均値0、標準偏差1の連続値に加工してもよい。
データの加工方法は、データの分布により決定すればよい。
学習対象データ取得部111は、データ加工部103により加工された、加工済み学習対象データを取得する。
学習パラメータ更新部112は、同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場学習パラメータにより生成された既存モデルをベースにし、学習対象データ取得部111からの加工済み学習対象データを用いて学習パラメータを全更新する。
学習パラメータ記憶部113は、学習パラメータ更新部112からの更新済み学習パラメータを記憶する。
他系列又は他機場学習パラメータ記憶部114は、同機場の他系列又は他機場からの他系列又は他機場学習パラメータを記憶する。
なお、学習対象データ取得部111及び学習パラメータ更新部112は、MPU又はCPU等のプロセッサと、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記録媒体とを組み合わせて実現することができる。
また、学習パラメータ記憶部113及び他系列又は他機場学習パラメータ記憶部114は、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記録媒体により実現することができる。
推定対象データ取得部121は、データ加工部103により加工された、加工済み推定対象データを取得する。
操作量導出部122は、推定対象データ取得部121からの加工済み推定対象データと、学習パラメータ記憶部113に記憶された学習パラメータにより構築したモデルと、を用いて制御対象の操作量を導出する。
なお、推定対象データ取得部121及び操作量導出部122は、MPU又はCPU等のプロセッサと、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記録媒体とを組み合わせて実現することができる。
操作量出力部123は、操作量導出部122が導出した制御対象の操作量を出力することで、運転員に制御対象の操作量を提示する。
なお、操作量出力部123が運転装置に対して制御対象の操作量を出力し、該運転装置がこの操作量に基づいて自動運転する構成としてもよい。
学習部110の学習対象データ取得部111は、データ加工部103により加工された、加工済み学習対象データを取得する(S1)。
図5においては、同機場の他系列又は他機場において取得した、他系列又は他機場学習パラメータにより生成された、他系列又は他機場で学習済みの推論モデルに対象系列データが入力されて、ニューラルネットワークによる学習が行われる。
入力される対象系列データは、上述したように、データ加工部103において他系列又は他機場学習パラメータと同様の形式に加工されて共通化されているため、通常の機械学習処理により学習パラメータの全部が更新される。
なお、図5には、推論モデルとしてニューラルネットを例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、推論モデルは、学習パラメータを保存及び更新可能な機械学習手法を用いるものであればよい。
運転支援部120の推定対象データ取得部121は、データ加工部103により加工された、加工済み推定対象データを取得する(S11)。
ここで取得する加工済み推定対象データは、推定対象時刻に対応するトレンドデータ及び水質データ等の観測可能な説明変数のデータである。
実施形態1においては、学習パラメータ更新部が、同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場学習パラメータにより生成された既存モデルをベースにし、学習パラメータを全更新する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態では、学習パラメータ更新部が、同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場学習パラメータにより生成された既存モデルをベースにし、一部の学習パラメータについてのみ更新を行い、他の一部の学習パラメータについては更新せずそのまま使用する形態について説明する。
図7に示すように、本実施形態においても、実施形態1と同様に、同機場の他系列又は他機場において取得した、他系列又は他機場学習パラメータにより生成された、他系列又は他機場で学習済みの推論モデルに対象系列データが入力されて、ニューラルネットワークによる学習が行われる。
ここで、更新せずにそのまま使用する一部の学習パラメータについては中間出力の計算のみに用い、中間出力を受け取った推論モデルの後半部分のみ学習パラメータが更新される。
すなわち、普遍的な特徴を抽出する入力層に近い部分については既存の学習済みモデルが使用され、対象の性質を強く反映する出力層に近い部分については推定対象データを用いて更新処理が行われる。
実施形態1,2においては、学習パラメータ更新部が、同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場学習パラメータにより生成された既存モデルをベースにし、学習パラメータを更新する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態では、データ加工部において対象系列計測値データと他系列又は他機場計測値データとを結合し、結合したデータを用いて推論モデルを構築する形態について説明する。
図8に示す運転支援装置100aは、データ蓄積部101aと、学習対象データ及び推定対象データ取得部102aと、データ加工及び結合部103aと、学習部110aと、運転支援部120と、を備える。
データ蓄積部101aは、計測器9により計測された対象系列計測値データと、図示しない同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場計測値データと、の双方を取得し、トレンドデータ及び水質データとして蓄積する。
なお、データ蓄積部101aは、データ蓄積部101と同様に、記録媒体により実現することができる。
なお、学習対象データ及び推定対象データ取得部102aは、学習対象データ及び推定対象データ取得部102と同様に、プロセッサと、記録媒体とを組み合わせて実現することができる。
なお、データ加工及び結合部103aは、データ加工部103と同様に、プロセッサと、記録媒体とを組み合わせて実現することができる。
ここで、データの加工方法は、実施形態1と同様であり、図3を参照した説明を援用する。
データ加工及び結合部103aは、図9に示すように、推定対象系列部分に含まれる対象系列のデータxAと、他系列又は他機場部分に含まれる同機場の他系列又は他機場のデータxBと、を結合することで、共通部分と、推定対象系列部分と、他系列又は他機場部分と、の3つのブロックから構成されるデータを形成する。
このように結合する際に、該当するデータが存在しない領域は、推定時に寄与又は使用しないようにするため、用いる機械学習手法に応じて0又はNULL値で埋める。
このように、3ブロックに分けて結合することで、共通部分、推定対象系列部分、及び他系列又は他機場部分のいずれが推定に寄与する場合にも対応することが可能となり、推定に寄与しない部分については学習処理が適用されて回帰係数が小さくなる等により、自然に使用しない形が形成される。
2 反応槽
3 最終沈殿池
4 送風機
5 風量調整バルブ
6 散気装置
7 第1のポンプ
8 第2のポンプ
9 計測器
10 重力濃縮槽
11 機械濃縮槽
12 消化槽
13 脱水槽
21,22,23,24 配管
100,100a 運転支援装置
101,101a データ蓄積部
102,102a 学習対象データ及び推定対象データ取得部
103 データ加工部
103a データ加工及び結合部
110,110a 学習部
111,111a 学習対象データ取得部
112,112a 学習パラメータ更新部
113,113a 学習パラメータ記憶部
114 他系列又は他機場学習パラメータ記憶部
120 運転支援部
121 推定対象データ取得部
122 操作量導出部
123 操作量出力部
200 水処理施設
Claims (6)
- 対象とする水処理施設において計測されるデータであって、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量、及び気温を含むトレンドデータと、水質データとを含むデータを蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された前記データから学習対象データ及び推定対象データの双方を選択して取得する学習対象データ及び推定対象データ取得部と、
前記学習対象データ及び推定対象データ取得部からの前記学習対象データ及び前記推定対象データを学習可能に加工するデータ加工部と、
前記学習対象データにより学習を行うことで学習パラメータを記憶する学習部と、
前記推定対象データ及び前記学習パラメータの学習により導出した制御対象の操作量を出力する運転支援部と、を備え、
前記学習部は、前記対象とする水処理施設の同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場学習パラメータにより生成された既存モデルをベースにし、前記データ加工部で加工済みの学習対象データを用いて学習パラメータを更新し、
前記データ加工部は、対象とする水処理施設のデータを前記他系列又は他機場学習パラメータと共通する形式に加工する水処理施設の運転支援装置。 - 前記学習部が、前記学習パラメータの全部を更新することを特徴とする請求項1に記載の水処理施設の運転支援装置。
- 前記学習部が、前記学習パラメータを部分的に更新することを特徴とする請求項1に記載の水処理施設の運転支援装置。
- 対象とする水処理施設において計測される第1データであって、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量、及び気温を含む第1トレンドデータと、第1水質データとを含む第1データ、並びに、
前記対象とする水処理施設の同機場の他系列又は他機場において計測される第2データであって、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量、及び気温を含む第2トレンドデータと、第2水質データとを含む第2データ
の双方を蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された前記第1データ及び前記第2データの双方から学習対象データ及び推定対象データの双方を選択して取得する学習対象データ及び推定対象データ取得部と、
前記学習対象データ及び推定対象データ取得部からの前記学習対象データ及び前記推定対象データを学習可能に加工すべく、前記対象とする水処理施設のデータと前記他系列又は他機場のデータとを結合するデータ加工及び結合部と、
前記学習対象データにより学習を行うことで学習パラメータを記憶する学習部と、
前記推定対象データ及び前記学習パラメータの学習により導出した制御対象の操作量を出力する運転支援部と、を備え、
前記学習部は、前記データ加工及び結合部で加工済みの学習対象データを用いてモデルを構築するとともに学習パラメータを更新し、
前記データ加工及び結合部は、前記対象とする水処理施設のデータと前記他系列又は他機場のデータとを共通する形式に加工する水処理施設の運転支援装置。 - 対象とする水処理施設において計測されるデータであって、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量、及び気温を含むトレンドデータと、水質データとを含むデータを蓄積すること、
前記データから学習対象データ及び推定対象データの双方を選択して取得すること、
前記学習対象データ及び前記推定対象データを学習可能に加工すること、
前記学習対象データにより学習を行うことで学習パラメータを記憶すること、
前記推定対象データ及び前記学習パラメータの学習により導出した制御対象の操作量を出力すること、を含み、
前記学習は、前記対象とする水処理施設の同機場の他系列又は他機場において取得した他系列又は他機場学習パラメータにより生成された既存モデルをベースにし、前記加工済みの学習対象データを用いて学習パラメータを更新し、
前記加工は、対象とする水処理施設のデータを前記他系列又は他機場学習パラメータと共通する形式に加工する水処理施設の運転支援方法。 - 対象とする水処理施設において計測される第1データであって、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量、及び気温を含む第1トレンドデータと、第1水質データとを含む第1データ、並びに、
前記対象とする水処理施設の同機場の他系列又は他機場において計測される第2データであって、流入水量、汚泥濃度、汚泥流量、送風量、及び気温を含む第2トレンドデータと、第2水質データとを含む第2データ
の双方を蓄積すること、
前記第1データ及び前記第2データの双方から学習対象データ及び推定対象データの双方を選択して取得すること、
前記学習対象データ及び前記推定対象データを学習可能に加工すべく、前記対象とする水処理施設のデータと前記他系列又は他機場のデータとを結合すること、
前記学習対象データにより学習を行うことで学習パラメータを記憶すること、
前記推定対象データ及び前記学習パラメータの学習により導出した制御対象の操作量を出力すること、を含み、
前記学習は、前記加工済みの学習対象データを用いてモデルを構築するとともに学習パラメータを更新し、
前記加工は、前記対象とする水処理施設のデータと前記他系列又は他機場のデータとを共通する形式に加工する水処理施設の運転支援方法。
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