JP7283694B2 - 垂直共振器型面発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、垂直共振器型面発光素子、特に垂直共振器型面発光レーザに関する。
従来、活性層(発光層)の上下に一対の反射鏡(共振器)が含まれるよう構成された垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL : Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が知られている。
例えば、特許文献1には、半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)と誘電体DBRとから成る共振器を有し、誘電体DBR下に設けられ、開口部を有する絶縁性透明電極による電流狭窄構造を用いた窒化物系半導体材料のVCSELが開示されている。
また、特許文献2には、メサ構造のトンネル接合部を半導体層で埋め込み、逆バイアスを印加した際にトンネル接合部のみに電流が流れるように構成された、トンネル接合を有するVCSELが開示されている。
また、非特許文献1には、GaNホモエピタキシャル成長における基板オフ角と表面モフォロジーの関係が開示されている。
特開2018-098347号公報 特開2017-092158号公報
第65回応用物理学会春季学術講演会予稿(19a-C302-11)、2018年
しかしながら、絶縁性透明電極を利用した電流狭窄構造は、透明電極に用いる材料(ITOなど)の吸収係数が高いため、薄膜を用いる必要があり、透明電極部のシート抵抗が高い。さらに、開口部の段差付近では局所的に膜厚が薄くなりやすく、高電流注入(高出力)時に断線による不点灯など故障が起きやすいなど、信頼性にも問題があった。
また、共振器を構成する反射鏡(DBR)が平行に形成されていないと散乱損失が増大し、閾値電流の上昇やスロープ効率の低下などの問題が生じる。上記電流狭窄構造においては、絶縁膜の開口部端部の段差で誘電体DBRが屈曲し反射率が低下する問題があった。
また、埋め込みトンネル接合を用いた電流狭窄構造は、半導体積層構造上面に凸部(段差)が形成され、この段差上に高い反射性能を有する誘電体DBRを形成することは難しい。
発光領域に対して十分に広い範囲に平坦な反射鏡(DBR)が形成されていることが理想だが、従来技術においては、誘電体DBRが平坦で高反射率である領域が電流狭窄領域と同等以下となってしまい、散乱損失が生じやすいという問題があった。
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、極めて平坦な表面を有するトンネル接合半導体発光構造層と、当該半導体発光構造層上のDBRを有し、低閾値、高スロープ効率で高電流注入(高出力)動作が可能な、高い発光性能を有する垂直共振器型面発光素子を提供することを目的としている。
本発明の1実施態様による垂直共振器型面発光素子は、
表面がオフ角を有するc面であるGaN基板と、
前記GaN基板上に形成された半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)と、
前記半導体DBR上に形成された、III族窒化物半導体からなるデバイス層と、
前記デバイス層上に形成された誘電体DBRと、
を有し、
前記デバイス層は、
第1の導電型の第1の半導体層、活性層、前記第1の導電型とは反対導電型である第2の導電型の第2の半導体層、がこの順で前記半導体DBR上に形成された発光構造層と、
前記第2の半導体層上に順に形成された第2導電型の高不純物濃度半導体層及び第1導電型の高不純物濃度半導体層からなるトンネル接合層のトンネル接合領域を含むメサ形状のトンネル接合メサと、
前記トンネル接合メサを埋め込むように前記第2の半導体層上に形成された半導体埋込み層と、からなり、
前記トンネル接合メサの高さをH、前記第1導電型の前記高不純物濃度半導体層の層厚をTB、前記半導体埋込み層の層厚をTHとしたとき、
TB < H < TH/20 を満たし、
前記半導体DBR及び前記誘電体DBRによって形成される共振器の共振波長をλc、共振器内の実効屈折率をneffとしたとき、
1.75λc/neff ≦ TH ≦ 18.75λc/neff
を満たす。
本発明の1実施態様による垂直共振器型面発光素子10の構造を模式的に示す断面図である。 メサ直上領域の表面を示すAFM像である。 垂直共振器型面発光素子10の製造方法における埋込工程を模式的に示す断面図である。 垂直共振器型面発光素子10の製造方法における埋込工程を模式的に示す断面図である。 垂直共振器型面発光素子10の製造方法における埋込工程を模式的に示す断面図である。 垂直共振器型面発光素子10の製造方法における埋込工程を模式的に示す断面図である。 埋込層19の表面状態のメサ高さ依存性を示す図である。 埋込層19の表面における傾斜面の有無を示す実測結果を示している。 トンネル接合メサMSの高さHと、p-GaInN層18A、n-GaN層18Bの層厚の関係の他の例を示す断面図である。 トンネル接合メサMSの高さHと、p-GaInN層18A、n-GaN層18Bの層厚の関係の他の例を示す断面図である。 垂直共振器型面発光素子10の室温CW動作におけるELスペクトルを示す図である。 垂直共振器型面発光素子10の室温CW動作における光出力-電流特性を示す図である。
以下においては、本発明の好適な実施例について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[半導体発光装置の構造]
図1は、本発明の1実施態様による垂直共振器型面発光素子10の構造を模式的に示す断面図である。図1を参照して、垂直共振器型面発光素子10の構造の一例について説明する。
詳細には、垂直共振器型面発光素子10は、オフ角を有するc面を表面とするGaN基板11と、当該オフ角を有するc面GaN基板11上に形成されたバッファ層(図示せず)と半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)12と、を有している。半導体DBR12はアンドープであるか、もしくは第1の導電型を有していてもよい。
半導体DBR12上には、n-GaN層13(第1の半導体層)及びn-GaN層13上に活性層(発光層)15が形成され、活性層15上には、p-AlGaN電子ブロック層17A及びp-GaN層17Bからなる半導体層17(第2の半導体層)が形成されている。第1の半導体層はAlGaNまたはGaInN、AlInN、またはそれらの超格子構造を含んでいてもよい。また、活性層15とp-AlGaN電子ブロック層17Aの間にGaN、GaInN、AlGaN、およびそれらの超格子構造を含んでいてもよい。なお、ここでは、第1の半導体層13、活性層15及び第2の半導体層17からなる層を発光構造層21と称する。なお、第1の半導体層13及び第2の半導体層17は、それぞれアンドープ層又は真性半導体層(i層)を含んでいても良い。
p-GaN層17B上には円柱形状のメサ構造のトンネル接合層18(以下、トンネル接合メサMSとも称する)が形成されている。トンネル接合層18は、p-GaN層17B上に形成されたp-GaInN層(第2導電型の高不純物濃度半導体層:層厚TA、第1の高不純物濃度半導体層)18Aと、p-GaInN層18A上に形成されたn-GaN層18B(第1導電型の高不純物濃度半導体層:層厚TB、第2の高不純物濃度半導体層)とを含む。第1導電型の高不純物濃度半導体層についてはn-GaInNまたはn- AlGaNでもよく、In組成およびAl組成の傾斜(組成傾斜)を有していてもよい。また、第2導電型の高不純物濃度半導体層についてはp-GaNまたはp-AlGaNであってもよく、In組成およびAl組成の傾斜(組成傾斜)を有していてもよい。
p-GaN層17B上には、メサ構造のトンネル接合層18を埋め込むようにn-GaN埋込み層19が形成されている。n-GaN埋込み層19は横方向光閉じ込めの観点からn-AlInNおよびn- AlGaN、またはそれらの超格子構造であってもよい。なお、ここでは、発光構造層21、メサ構造のトンネル接合層18及び埋込み層19からなるデバイス構造層をデバイス層22と称する。
デバイス層22は、埋込み層19の表面からn-GaN層13内に達し、GaN基板11に垂直に起立する(突出する)メサ形状のデバイス構造半導体層として形成されている。デバイス層22は、GaN基板11に垂直な軸を中心軸CXとする円柱形状のメサ(以下、デバイスメサDMと称する)である。
メサ形状のデバイス層22の側面及び上面は、SiO等の絶縁体25で被覆されている。絶縁体25は、デバイス層22の上面において円形の開口部25Aを有し、開口部25Aの中央領域であって、n-GaN埋込み層19上に円柱形状の誘電体DBR27が形成されている。
絶縁体25の開口部25Aと誘電体DBR27との間隙部(開口部25Aの外周領域)には、n-GaN埋込み層19に円環状に接触されたp側電極(第2の電極)26が形成されている。垂直共振器型面発光素子10の上面から見たp側電極26とトンネル接合メサMSとの距離はn-GaN埋込み層19内の横方向抵抗の観点から短いほどよく、5μm以下であることが好ましい。
n-GaN層13の平坦部には、n-GaN層13に円環状に接触されたn側電極(第1の電極)14が形成されている。なお、第1導電型の半導体DBR12を用いた場合は、GaN基板11の裏面側(半導体DBRが形成されているのとは反対側)に円環状に接触されたn側電極を形成してもよい。
トンネル接合層18及び誘電体DBR27は、GaN基板11に垂直な軸を中心軸として同軸であるように形成されている。好ましくは、トンネル接合層18及び誘電体DBR27は、デバイス層22の中心軸CXと同軸であるように形成されている。
また、n側電極14(第1の電極)及びp側電極(第2の電極)26は、デバイス層22(デバイスメサDM)の中心軸CXと同軸であるように形成されていることが好ましい。
なお、ここで、円柱形状又は円環形状等は、楕円柱形状又は楕円環形状等である場合も含む。
[垂直共振器型面発光素子の製法]
図1及び図2を参照して、本発明の1実施態様による垂直共振器型面発光素子10の製造方法の一例について説明する。
なお、実施態様の垂直共振器型面発光素子10が、発振波長(λc)が410nm、共振器長が5.5λの埋込みトンネル接合(Burried Tunnel Junction)構造のVCSEL(BTJ-VCSEL)素子である場合について説明するが、発振波長、共振器長、層厚や直径等の各種サイズ、導電型、不純物や不純物濃度等の素子パラメータは例示に過ぎず、適宜改変して適用可能であることは言うまでもない。
また、各半導体層の成長に有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いた場合について説明する。基板及び成長層の結晶面、結晶方位等は、等価面、等価方位等を含む。
(第1工程)
(-1100)方向、すなわちm軸方向に0.4°のオフ角を有するc面GaN基板11上にアンドープのGaNバッファ層、その上部に40ペアのAlInN/GaNからなる半導体DBR12を成長する。
次に、半導体DBR12上に、順次、n-GaN層13(層厚425nm)、量子井戸(QW)構造の活性層15、p-Al0.2Ga0.8N電子ブロック層(EBL:Electron Blocking Layer)17A(層厚20nm)及びp-GaN層17B(層厚70nm)を成長する。活性層15は、例えば5層のGaInN量子井戸層及び量子井戸層と交互に形成されたGaN障壁層を含む。
p-GaN層17Bには、p-Ga0.65In0.35N層18A(層厚TA:2nm、Mgドーピング濃度:2×1020cm-3)及びn-GaN層18B(層厚TB:5nm、Siドーピング濃度:6×1020cm-3)を含むトンネル接合層18を成長する。
(第2工程)
上記の層を成長した基板(成長層付き基板)に、電流狭窄を行うためのトンネル接合メサMSを形成する。すなわち、まず、成長層付き基板上にフォトリソグラフィおよびイオンビーム蒸着法(EB)を用いて、直径が6~10μmの円形SiOマスクをパターニングにより形成する。
次に、例えば塩素(Cl)ガスを用いてSiOマスク外の部分をエッチングして、円柱形状のメサ(トンネル接合メサMS)を形成する。エッチングの深さは、n-GaN層18Bを除去しきることができるn-GaN層18Bの層厚(TB:5nm)を超える深さである。例えば、n-GaN層18Bの表面から7nmの深さまでエッチングして、高さHが7nmのトンネル接合メサMSを形成する。
このエッチングにより、トンネル接合メサMS外部においてp-GaN層17Bが露出する。最後に、SiOマスクをフッ酸(HF)溶液で剥離して直径が6~10μmの円柱形状のトンネル接合メサMSが形成される。
(第3工程)
トンネル接合メサMSが形成された基板に対して埋め込み成長を行う。n-GaN埋込み層19の形成は2段階からなる。
より詳細には、トンネル接合メサMSが形成された基板をMOCVD反応炉内にセットし、NH及び窒素(N)雰囲気中で725℃に昇温し、その温度でn-GaNを10nm成長させる(低温成長n-GaN)。この際のSiドーピング濃度は2×1018cm-3である。
この低Si濃度の低温成長n-GaN(LT-nGaN)を成長することでトンネル接合部をプロテクトしつつ表面が荒れることなく、次の高温の埋め込み成長を行うことができる。
次に、NH及び水素(H)雰囲気中で1080℃まで昇温し、その温度でn-GaNを270nm成長させる(高温成長n-GaN、HT-nGaN)。この際のSiドーピング濃度は1×1019cm-3である。この時点で、メサ直上領域はその領域外(外周部)に対して5nm以下の段差しか有しない表面になっており、図2のAFM(原子間力顕微鏡)像に示すようにステップが明瞭に見える原子的に平坦な表面となっている。
(第4工程)
成長が終了した基板に対して、面発光レーザとして動作する素子構造を形成する。先ず、トンネル接合メサMSよりも直径が30μm大きいメサ(デバイスメサDM)をフォトリソグラフィ、Clガスを用いたドライエッチングにより形成する。ドライエッチングはn-GaN層13が露出するまで行う。
次に、デバイスメサDMを形成した基板をN雰囲気中にて725℃、30分間のアニール処理を行う。これにより、メサの側壁からHを脱離させることによって、p-AlGaN層17A、p-GaN層17B、p-GaInN層18AのMgを活性化させる。
次に、スパッタリング法により層厚250nmのSiO絶縁膜を成膜し、リフトオフによりデバイスメサDM端から5μm内側までの円形の開口部25Aを形成する。
次に、リング形状をなしたp側電極26及びn側電極14をイオンビーム蒸着法により形成する。当該p側電極26及びn側電極14は、例えばCr/Ni/Auをこの順で蒸着して形成する。
最後に、トンネル接合メサMS直上部の開口部25Aにスパッタリング法により8ペアのSiO/Nbからなる誘電体DBR27を形成する。
[表面が平坦な埋込層の形成]
本発明は、前述のように、特に埋め込みトンネル接合VCSELの発振を阻害する要因であった埋め込み成長後の表面凸部による散乱損失の低減を図るために考案されたものである。
本発明の実施態様によれば、オフ角を有するc面GaN基板上に形成された高さHのトンネル接合を含むトンネル接合メサMSを用いて、ステップフロー成長が優先的に起こるように埋め込み成長を行い、当該埋込成長表面が原子的に平坦で、かつトンネル接合メサMSに起因する凸部が残存しない平坦な表面を得ることができる。そして、これにより、その埋込成長表面上に成膜される誘電体DBRに湾曲が起こらず、散乱損失を低減することができる。以下に、その詳細について説明する。
(1)メサ高さHと埋め込み膜厚THとの関係
図3A-3Dは、垂直共振器型面発光素子10の製造方法における埋込工程を模式的に示す断面図である。
図3Aに示すように、トンネル接合メサMSは直径D及び高さHを有する。トンネル接合メサMSの表面はオフ角θを有する([STEP1])。
図3Bに示すように、再成長により埋込成長を行うと、基板にオフ角があるため、メサMS内外でRの成長レートでステップフロー成長(横方向成長モード)が起こり、成長膜厚方向(基板垂直方向)にはRverの成長速度で成長する([STEP2])。
図3Cに示すように、メサMSの表面の内部にはメサMS外からステップが伸びてくることはない「閉鎖された領域」となり、メサ表面内のステップがなくなるまで成長が進む、いわゆる「ステップフリー面」SFが形成される。
ステップフリー面が一度形成されるとc軸方向、つまりステップフリー面SFに垂直な方向にのみ成長が起こる状態となる。すなわち、成長膜厚方向の成長速度Rsf verはRverに比べ非常に小さい。この状況下でメサMSの外部では引き続きステップフロー成長が進み、次第にステップフリー面を覆っていく([STEP3])。
そして、図3Dに示すように、最終的にはステップフリー面が完全にメサ外部層により覆われ平坦化する([STEP4])。
メサMSの内外の成長レート差が大きい場合(Rver>>Rsf ver)、メサ外部の成長層がメサ上の成長層に追いついてくるが、Rverが大きい場合、すなわち二次元核形成頻度が高くなり、理想的なステップフロー成長が困難となる。その結果、ラフな表面となってしまい、高反射率の誘電体DBRを形成するのには適さない表面となる。
verを変えずとも所望の共振器長内でメサ外部の成長層がメサ上の成長層に早期に追いつくようにするには、メサ高さHを低減すればよい。メサ高さHを小さくすることで、メサ高さH分だけ成長した時点でステップフリー面を覆う成長が開始され早期にステップフリー面を埋め込むことが可能となる。
実際に、オフ角θ=0.4°、D=10μm、TH=280nm(発振波長410nmの1.75λに相当)とした際の埋込層19の表面状態のメサ高さ依存性を図4に示す。
図4において、上段には埋込層19の表面の断面プロファイル、下段には埋込層19の表面のレーザ顕微鏡像を示している。また、下段の右側には、メサMS及びメサMSの断面の端部位置を破線で模式的に描いた挿絵が示されている。
より詳細には、メサ高さHが、(a)6.7nm、(b)10.1nm、(c)25.9nm、(d)81.2nmの場合を示し、上段の断面プロファイル中に示したように、それぞれの場合で、メサMSの端部の直上部に対応する表面位置での段差が(a)測定限界以下、(b)5nm、(c)13nm、(d)15nmであった。
図4から、メサ高さHの低減により、ステップフリー面由来の傾斜面が残存しない埋め込み表面が得られやすくなることがわかる。より具体的には、下記条件を満たすメサ高さにする必要がある。
また、図5は、埋込層19の表面における傾斜面の有無を、メサ径D、メサ高さH、埋込層厚TH,THとHとの比(TH/H)に関して調べた実測結果である。このように、鋭意検討の結果、ステップフリー面由来の傾斜面が残存しない埋め込み表面が得られるためには、メサ高さH(nm)は、下記条件を満たす必要がある。なお、n-GaN層18Bの層厚をTBとする。
TB < H < TH/20 ・・・(式1)
(2)メサ高さH
図1に示した場合においては、トンネル接合メサMSの外側において、p-GaInN層18A(第2導電型の高不純物濃度半導体層:層厚TA)及びn-GaN層18B(第1導電型の高不純物濃度半導体層:層厚TB)がp-GaN層17Bの最表面まで除去されている。すなわち、トンネル接合メサMSの高さHが、H=TA+TBである場合について図示している。
しかし、上記(式1)を満たす範囲で、トンネル接合メサMSの高さHを設定すれば良い。例えば、図6の断面図に示すように、トンネル接合メサMSの外側において、p-GaN層17Bの内部に至るまでp+-GaInN層18A、n+-GaN層18B及びp-GaN層17Bを除去した高さとなるようにトンネル接合メサMSを形成してもよい。この場合、トンネル接合メサMSは第2の半導体層17(p-GaN層17B)の一部を含んで、第2の半導体層17から突出している。また、トンネル接合メサMSの高さHは、H>TA+TBである。
また、図7の断面図に示すように、p-GaInN層18Aの途中まで除去され、すなわちメサMSの外側にもp-GaInN層18Aが残るようにトンネル接合メサMSを形成してもよい。すなわち、少なくともトンネル接合層18のトンネル接合領域(p-GaInN層18A及びn-GaN層18Bの界面領域又は空乏層)がトンネル接合メサMSに含まれていれば良い。この場合、トンネル接合メサMSの高さHは、TB<H<TA+TBである。
(3)埋め込み膜厚TH
埋込み層厚は所望する共振器長で決まる。共振器長が長くなると回折損失は増加するが、熱抵抗の低減が望める。熱抵抗の低減効果は共振器長が15λ程度で飽和することが分かった。また、埋込み層厚(共振器長)が大きすぎるとモードホッピング(縦モード)が生じやすくなる。モード間隔から、全体の共振器長は20λまでと見積もられた(モード間隔が10nm(DBR帯域幅の1/2を切っていること)。半導体DBR12~p-GaInN層18Aの中心までの共振器長は最低1.25λ(共振器全体の最小の共振器長は3λ)であるため、埋め込み膜厚TH(nm)は以下の条件を満たす必要がある。
共振波長(または発振波長)をλc、共振器内の実効屈折率をneffとしたとき、
1.75λc/neff≦TH ≦ 18.75λc/neff ・・・(式2)
を満たすことが好ましい。
(4)オフ角θ
窒化物VCSELでは、エピ層表面に高反射率を必要とする誘電体DBR形成するため、エピ層表面は原子的に平坦であることが重要である。c面GaN基板上で良好なモフォロジーが得られるオフ角の範囲は上記した非特許文献1において報告されている。平坦なエピ層表面は、オフ角を有する基板上への成長において、ステップフロー成長を促すことで達成できる。本発明では、オフ角θは以下の範囲である。
0.3°≦θ≦0.7° ・・・(式3)
また、オフ角θは、m軸方向又はa軸方向に対する角度であることが好ましい。
(5)メサ径D
応用時に光学部品等との結合効率を考慮すると、横モードシングルモード発振が望ましい。一般に横方向光閉じ込めや電流注入径を大きくすると多モード発振が促進される。導波構造(0≦d(neff)≦0.01、ここでdは屈折率差)を有する窒化物系VCSELに関してシングルモードで発振させるためには、トンネル接合メサMSの直径Dが10μm以下、好ましくは、6μm以下である。
また、メサMSの直径Dが小さ過ぎると回折損失が大きくなることを考慮すると、下限は3μm程度である。従って、3μm≦D≦10μmを満たすことが好ましく、さらに好ましくは、3μm≦D≦6μmである。
なお、トンネル接合メサMSが楕円柱形状を有する場合には、その長径をDとすればよい。
[埋込層19の表面の平坦性]
再び、図2を参照すると、メサMSの直上領域の埋込層19の表面はステップが明瞭に見える原子的に平坦な表面となっている。換言すれば、メサMSの直上領域の表面がステップ・アンド・テラス状の周期性を有したモフォロジーを呈する平坦性を有していた。なお、図2に示すように、縞状ステップの進行方向はm軸方向であることが確認された。
GaNのステップの1原子高さ(0.25nm)からステップ・アンド・テラスのRa(算術平均粗さ)の理想値を算出したところ、Ra=0.06nmであった。従って、Raの下限値は0.06nmである。
また、Raが1.2nm以上になると誘電体DBRの散乱損失が25cm-1以上となり、発振不能となる。誘電体DBRの散乱損失を共振器内の損失の5%以下となる2cm-1以下とした場合、Raは0.3nm以下であることが好ましい。
すなわち、少なくともメサMSの直上領域における埋込層19の表面のRaの値は、0.06≦Ra≦0.3nmであることが好ましい。
図2に示すように、上記した製造方法で作製した埋込層19の表面のRaは、0.07nmであり、極めて平坦な成長表面が得られていることが確認された。
[デバイス特性]
上記した構成及び製造方法で作製した垂直共振器型面発光素子10の室温CW動作におけるELスペクトルを図8に、光出力-電流特性を図9に示す。
図8のELスペクトルから線幅の狭いスペクトルが得られていることがわかる。なお、主ピークの短波長側に小さなピークが見られるが、これは作製したサンプルの電極に基づく電流注入の偏りによるものであり、完全なシングルモードに改善可能である。
また、図9の光出力-電流特性から、メサ径が6μm~10μmの場合において明瞭な光出力の立ち上がり及び高い光出力が得られていることがわかる。
以上、説明した通り、本発明によれば、極めて平坦な表面を有するトンネル接合半導体発光構造層と、当該半導体発光構造層の平坦な表面上に形成されたDBRを有した垂直共振器型面発光素子が提供される。従って、低閾値、高スロープ効率で高電流注入、高出力動作が可能な、高い発光性能を有する垂直共振器型面発光素子が提供される。
10 垂直共振器型面発光素子
11 基板
12 半導体DBR
13 n-GaN層(第1の半導体層)
15 活性層
17 第2の半導体層
17A 電子ブロック層
17B p-GaN層
18 トンネル接合層
18A p-GaInN層
18B n-GaN層
19 n-GaN埋込み層
22 デバイス層
25 絶縁体
27 誘電体DBR
MS トンネル接合メサ

Claims (6)

  1. 表面がオフ角を有するc面であるGaN基板と、
    前記GaN基板上に形成された半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)と、
    前記半導体DBR上に形成された、III族窒化物半導体からなるデバイス層と、
    前記デバイス層上に形成された誘電体DBRと、
    を有し、
    前記デバイス層は、
    第1の導電型の第1の半導体層、活性層、前記第1の導電型とは反対導電型である第2の導電型の第2の半導体層、がこの順で前記半導体DBR上に形成された発光構造層と、
    前記第2の半導体層上に順に形成された第2導電型の高不純物濃度半導体層及び第1導電型の高不純物濃度半導体層からなるトンネル接合層のトンネル接合領域を含むメサ形状のトンネル接合メサと、
    前記トンネル接合メサを埋め込むように前記第2の半導体層上に形成された半導体埋込み層と、からなり、
    前記トンネル接合メサの高さをH、前記第1導電型の前記高不純物濃度半導体層の層厚をTB、前記半導体埋込み層の層厚をTHとしたとき、
    TB < H < TH/20 を満たし、
    前記半導体DBR及び前記誘電体DBRによって形成される共振器の共振波長をλc、共振器内の実効屈折率をneffとしたとき、
    1.75λc/neff≦TH ≦ 18.75λc/neff
    を満たし、
    前記半導体埋込み層の少なくとも前記トンネル接合メサの直上領域の表面はステップ・アンド・テラス状の周期性を有したモフォロジーを呈する垂直共振器型面発光素子。
  2. 前記半導体埋込み層の少なくとも前記トンネル接合メサの直上領域の表面粗さRaは、0.06≦Ra≦0.3nmである、請求項1に記載の垂直共振器型面発光素子。
  3. 前記トンネル接合メサは円柱形状又は楕円柱形状を有し、その直径又は長径Dは3μm≦D≦10μmを満たす、請求項1又は2に記載の垂直共振器型面発光素子。
  4. 前記GaN基板の前記オフ角(θ)は、0.3°≦θ≦0.7°である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光素子。
  5. 前記GaN基板の前記オフ角(θ)は、m軸方向又はa軸方向に関する角度である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光素子。
  6. 前記半導体埋込み層の表面であって前記トンネル接合メサの直上部に対応する領域とその外周部との段差が5nm以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光素子。
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