JP7282369B2 - 害虫忌避性間仕切り用シート - Google Patents

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Description

本発明は、間仕切り用シートの技術に関し、より詳細には防虫成分を放出可能な徐放性防虫樹脂成形体である間仕切り用シートに関する。
従来、工場・倉庫・配送センター等の出入りの頻繁な出入口や、工場・作業所等の屋内の間仕切りとして合成樹脂製の間仕切り用シートが用いられており、中でも、塩化ビニル系樹脂製のものが多く用いられている。塩化ビニル系樹脂製の間仕切り用シートとすることで、透明性に優れ、かつ柔軟性に富むため、例えば、出入口に設置することで、出入り時に神経を使うことがなく、抵抗感なく出入りができるという利点を有している。
ところで、この種の合成樹脂製のシート材として、例えば、特許文献1又は特許文献2に開示されるように、ゴキブリ、蟻、クモ、ムカデ等の昆虫等やネズミ等の小動物等(以下、このような昆虫や小動物等を総称して「害虫」という。)が施設や各種機器の内部に侵入することを防止するために所定の防虫成分を放出可能としたシート材(徐放性防虫樹脂成形体)が公知である。かかる徐放性防虫樹脂成形体を間仕切り用シートとして用いることで、防虫効果により出入口や間仕切りを介した害虫の侵入を防ぐことが期待される。
しかしながら、上述した従来の徐放性防虫樹脂成形体は、特許文献2にも、樹脂組成物中の防虫成分の含有量として10~40重量%の範囲とするのが一般的であると開示されているとおり、防虫成分の徐放性を考慮して、一般的には樹脂組成物中の基材樹脂に対して飽和溶解量以上に防虫成分を含有させておく必要があったため、防虫成分の含有量を多くすることで、防虫成分が外表面にブリードアウトしてべたつき(タック性)が発生し易いという問題があった。そのため、かかる徐放性防虫樹脂成形体を間仕切り用シートに用いると、出入り時に間仕切り用シートが粘着して円滑な通行を妨げるだけでなく、間仕切り用シートに塵埃が付着し易くなって防虫効果が低下してしまうという問題があった。
実開昭59-193283号公報 特開2011-132375号公報
そこで、本発明では、間仕切り用シートに関し、前記従来の課題を解決するもので、防虫成分の含有量を抑えつつ防虫効果を安定して発揮できる間仕切り用シートを提供することを目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、防虫成分と防虫性付与成分とを含む樹脂組成物の成形体とすることで、間仕切り用シートとして防虫性分の含有量を抑えつつ防虫効果を安定して発揮できる従来にない間仕切り用シートが得られることを見出し、本発明の完成に至ったのである。
すなわち、請求項1においては、防虫成分を放出可能な徐放性防虫樹脂成形体である間仕切り用シートにおいて、主成分として平均重合度が700~1700の塩化ビニル系樹脂と、フタル酸エステル系可塑剤及び可塑剤全量に対して20~50重量%のリン酸エステル系可塑剤を含む二種以上の可塑剤と、防虫成分として組成物全量に対して0.6~5.0重量%のピレスロイド系防虫剤と、防虫性付与成分として紫外線吸収剤及びオレンジ色に着色するための染料又は顔料と、を含む樹脂組成物をシート状に成形してなるものである。
請求項2においては、前記ピレスロイド系防虫剤がエトフェンプロックスであるものである。
請求項3においては、複数のシート状樹脂成形体を積層してなるものである。
本発明の効果として、防虫成分の含有量を抑えつつ防虫効果を安定して発揮できる。
本発明の一実施例に係る間仕切り用シートの全体的な構成を示した断面図である。 別実施例の間仕切り用シートの断面図である。 別実施例の間仕切り用シートの断面図である。
次に、発明を実施するための形態を説明する。
図1に示すように、間仕切り用シート1は、防虫成分を放出可能な徐放性防虫樹脂成形体として塩化ビニル系樹脂からなる母材2に防虫剤3が分散された状態で保持されている。具体的には、間仕切り用シート1は、主成分としての塩化ビニル系樹脂に、防虫成分としてピレスロイド系防虫剤と、防虫性付与成分として紫外線吸収剤及びオレンジ色に着色するための染料又は顔料と、を含む樹脂組成物が成形されたシート状樹脂成形体として形成されている。
1.主成分
樹脂組成物の主成分としては、シート材とした場合に透明性に優れ、かつ柔軟性に富む塩化ビニル系樹脂が用いられる。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの重合体又は塩化ビニルと共重合可能な他単量体との共重合体を用いることができる。塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。これらの塩化ビニル系樹脂は、一種類又は二種類以上を組み合わせて用いることができ、また他の合成樹脂がブレンドされてもよい。
塩化ビニル系樹脂は、通常用いられる平均重合度が400~3000のものを用いることができるが、好ましくは平均重合度が700~1700のものが用いられ、より好ましくは平均重合度が900~1500のものが用いられる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度を変化させることで、間仕切り用シート1において防虫成分(防虫剤3)のリリースコントロールが可能になり、塩化ビニル系樹脂の平均重合度が高いほど防虫成分が滞留する時間が長くなり防虫成分の徐放性に優れる一方、平均重合度が高すぎると加工性に劣るからである。
2.防虫成分
樹脂組成物の防虫成分としては、通常防虫剤として用いられる各種生理活性物質のうち、非蒸散性で、優れた忌避性と速効性を有し、しかも急性毒性を示しにくいピレスロイド系防虫剤が用いられる。ピレスロイド系化合物としては、例えば、ピレトリン、ペルメトリン、アレスリン、フタルスリン、プラレトリン、シフェノトリン、フェノトリン、レスメトリン、フラメトリン、イミプロトリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、シハロトリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、エスビオスリン及びテラレトリン等が挙げられ、これらの中でも、特にエトフェンプロックスが好ましく用いられる。エトフェンプロックスは、ピレスロイド系防虫剤の中でも、低濃度で防虫効果を発揮しやすいとともに、人や動物に対する安全性を確保しやすいため好適である。これらの防虫成分は、一種類又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
防虫成分の含有量は、防虫成分の種類、塩化ビニル系樹脂の種類、その他の成分(可塑剤等)の種類やその量、さらには間仕切り用シート1の厚さや有効期間等の諸条件によって適宜調整されるが、樹脂組成物中において0.2重量%~5.0重量%で、好ましくは0.6重量%以上、より好ましくは0.9重量%以上である。防虫成分の含有量が0.2重量%より少ないと防虫効果が低くなり、防虫効果の持続時間が短縮するからであり、5.0重量%を超えると間仕切り用シート1の強度が低下するとともに、タック性が生じて現場使用に支障をきたすからである。
3.防虫性付与成分
防虫性付与成分とは、間仕切り用シート1に害虫が忌避する機能(防虫性)を付与する成分のことで、具体的には、樹脂組成物の防虫性付与成分としては、350~360nmの光の透過を阻止するための紫外線吸収剤と、400~550nmの光の透過を阻止するべく間仕切り用シート1をオレンジ色に着色するための染料又は顔料が用いられる。害虫は、主に紫外線領域の350~360nmの光に感応して活動し、400~550nm、特に470~480nmの光に感応して活動するものがあるため、かかる波長の光の透過を阻止することで、間仕切り用シート1として上述した防虫成分で不足する性能を補いつつ、長期に渡り安定して防虫性能を発揮できるようになる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’ジイソプロピルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-2イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系;フェニルサリチレート、パラオクチルフェニルサリチレート等のサリチレート系等が挙げられる。
染料又は顔料としては、例えば、クロム酸バリウム、黄鉛、黄色酸化鉄、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄土、チタン黄、鉛シアナミド、鉛酸カルシウム、イソインドリンイエロー、ローダミンレーキ、アンスラキノンイエロー、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ハンザイエローA、ハンザイエロー5G、ハンザイエロー3G、ハンザイエローGR、ハンザイエローRN、ナフトールイエローS、ダイヤジンイエローC、ベンジジンイエロー、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、パーマネントイエローNCG、バルカンファストイエロー5G、バルカンファストイエローR、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラゲンイエロー6GL、パーマネントイエローFGL、パーマネントイエローH10G、パーマネントイエローHR、アンスラピリミジンイエロー、縮合アゾレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等が挙げられる。これらの染料又は顔料は、一種又は二種以上を用いて間仕切り用シート1がオレンジ色になるように適宜配合することができる。
4.その他の成分
樹脂組成物には、その他、任意の機能を付与するための各種成分を機能性材料として含んでもよい。機能性材料としては、例えば、可塑剤、安定剤、艶消剤、抗酸化剤、分散剤等の添加材料の他、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、耐候剤等が挙げられる。この種の機能性材料は、樹脂組成物に含有されて間仕切り用シート1において防虫剤3とともに母材2の中に分散されてもよく、母材2とは異なる樹脂層に含有された状態で母材2の表面に存在するようにしてもよい(図3等参照)。
可塑剤としては、塩化ビニル系樹脂に通常用いられるものとして、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘキシルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジオクチルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリキシリルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3-ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、含ハロゲンポリホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ポリエステル系高分子可塑剤、エポキシ化大豆油(ESBO)、エポキシ化アマニ油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;塩素化パラフィン;五塩化ステアリン酸アルキルエステル等の塩素化脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの可塑剤は、一種類又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン又は塩素化脂肪酸エステル等の、いわゆる難燃性可塑剤の少なくとも一種が添加されることが好ましい。
樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して30~150重量部、好ましくは40~100重量部であり、その内、難燃性可塑剤の配合割合は、樹脂組成物中の可塑剤全量の20重量%以上、好ましくは20~50重量%である。難燃性可塑剤は、難燃性可塑剤の含有量が20重量%よりも少ないと揮発する可塑剤の発火を防ぐことが困難であるからである。なお、難燃性可塑剤のみであれば可塑化効率が悪いので、可塑化効率の良い可塑剤、例えばDOP等を併用するのが望ましい。
安定剤としては、例えば、鉛(Pb)系、バリウム-亜鉛(Ba-Zn)系、カルシウム-亜鉛(Ca-Zn)系、錫(Sn)系等が挙げられる。これらの安定材は、一種類又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、樹脂組成物中の安定剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.5~10質量部、好ましくは1.0~5.0質量部である。
間仕切り用シート1としては、防虫剤3が外表面にブリードアウトして、間仕切り用シート1の外部に蒸発しないように母材2に残留されることが求められる。防虫剤3が外表面にブリードアウトしてべたつき(タック性)が発生すると、間仕切り用シート1として現場使用に支障をきたすだけでなく、塵埃が付着し易くなって防虫効果が低下したりするからである。そのため、樹脂組成物又は防虫成分を含むマスターバッチにおいて、防虫成分を保持し、かつ徐放性を付与する作用を有するための化合物を含めることが好ましい。そのような化合物としては、例えば、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体等の化合物が挙げられる。このような化合物を樹脂組成物に含有させることにより、間仕切り用シート1から防虫成分を長期間にわたり放出することが可能となる。
5.間仕切り用シート
図1に示したように、間仕切り用シート1は一つのシート状樹脂成形体よりなる単層で形成されているが、例えば、図2に示すように複数(図2では3層)のシート状樹脂成形体の積層体として形成してもよく、図3に示すように母材2とは異なり防虫性能を発揮しないが他の機能有する樹脂層4を有する一種又は二種以上のシート状樹脂成形体の積層体として形成してもよい。後者の樹脂層4としては、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、耐候剤等の機能性材料を配合して所与の機能を発現するようにしてもよい。
間仕切り用シート1の厚さは、0.02~5.0mmであり、好ましくは0.05~2.0mmであり、より好ましくは0.2~1.0mmである。一つのシート状樹脂成形体よりなる単層で所定の厚さとなるように形成する他、上述したように、複数のシート状樹脂成形体を積層させて所定の厚さとなるように形成してもよい。
間仕切り用シート1の平面形状や大きさは適宜設計することができ、その形状としては、例えば、カーテン状、短冊状、のれん状、網目状等が挙げられる。
間仕切り用シート1の製造方法としては、公知の製造方法を選択することができ、例えば、二軸混練機、連続式若しくはバッチ式のニーダー、ロール混練機又はバンバリーミキサー等を用いて樹脂組成物が均一分散するように混練し、得られた混練物をカレンダー法、若しくはTダイ法又はインフレーション法(溶融押出成形法)等によりシート状に成形される。例えば、カレンダー法による場合には、ロール温度は150~200℃に設定され、好ましくは160~190℃に設定される。樹脂組成物を混練する際には、防虫成分を含む合成樹脂のマスターバッチペレットを用いて、かかるマスターバッチペレットを塩化ビニル系樹脂のペレットと共に一定の割合で混合するようにしてもよい。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例により制限されるものではない。
<試料の調製>
主成分としての塩化ビニル系樹脂、防虫成分としてのピレスロイド系防虫剤、防虫性付与成分としての紫外線吸収剤及び顔料、可塑剤、安定剤等を、表1に示す割合でそれぞれ配合した樹脂組成物を混練し、混練物をカレンダー成形機にて180℃で成形を行って、厚さが0.5mmの各試料(シート状樹脂成形体)を得た。各試料は、防虫剤としてマスターバッチペレット(エトフェンプロックス濃度が15重量%及び20重量%のもの)の配合量を変えることで、樹脂組成物中のエトフェンプロックスの成分濃度が異なるように調製した(実施例1~4、比較例1~2)。なお、同様に、防虫成分の含有しない試料を調製し、これをブランク試料とした。
なお、本実施例では、以下の配合剤を用いた。
塩化ビニル系樹脂:PVC(カネビニールS1003N、カネカ社製)
可塑剤:DOP(DOP、ジェイ・プラス社製)
可塑剤:TPP(レオフォス65、味の素ファインテクノ社製)
可塑剤:ESBO(ケミサイザーSE-100、三和合成化学社製)
安定剤(AC-293、AP-551、AC-292、ADEKA社製)
ピレスロイド系防虫剤:エトフェンプロックス(NIXAM416-X、ニックス社製)
紫外線吸収剤(キマソーブ81、BASFジャパン社製)
顔料(イソインドリノンイエロー、縮合アゾレッド、大日精化工業社製)
Figure 0007282369000001
<害虫忌避率試験>
間切り用シートとしての忌避性能を評価するために害虫忌避率試験を行った。具体的には、上部が開放された有底の試験容器内に、餌及び水とともに、害虫(チャバネゴキブリ)が隠れることのできる2つの営巣用シェルターA、Bを設置した。シェルターAは内部に実施例1~4及び比較例1~2に係る試料(一辺の長さが50mmの正方形)を設置したものとし、シェルターBは防虫成分の含有しないブランク試料を設置したものとした。そして、試験容器内にチャバネゴキブリ10匹を投入して上方より光を照射した状態で10時間放置した後、試験容器からシェルターA、Bを取り出して、それぞれのシェルター内にいるチャバネゴキブリの数を数え、忌避率[%]={(シェルターBの害虫の数-シェルターAの害虫の数)/シェルターBの害虫の数}×100の式により、忌避率(%)を算出した。同様の試験をそれぞれ3回行い、その平均値から忌避性能を評価した。
Figure 0007282369000002
表2に示すように、実施例1~4に係る試料はいずれも高い害虫忌避率であり、他方、比較例1~2に係る試料は、結果にバラつきがあったため有意な忌避率の値を採用することができず、忌避性能を評価することができなかった。この結果から、実施例1~4に係る間切り用シートは高い害虫忌避率を発揮することから、防虫効果を有することが示された。特に、中でも実施例4に係る試料の害虫忌避率は100%であった。実施例4に係る試料は、防虫成分の濃度が0.9重量%以上であり、防虫成分の濃度が0.9重量%未満である実施例1~3に係る試料と比較して忌避率が13%以上も向上している。この結果から、防虫成分の濃度が0.9重量%以上である間切り用シートは、優れた防虫効果を有することが示された。
<防虫剤表面量測定及び防虫剤除放量測定>
間切り用シートとしての使用性能を確認するために、防虫剤表面量測定及び防虫剤除放量測定を行った。具体的には、防虫剤表面量測定は、実施例4に係る試料を粉砕したものの表面をメタノールで洗浄し、高速液体クロマトグラフィ(島津製作所製:LC-2010HT)にて洗浄溶液に含まれる防虫成分量を測定し、試料1cm当たりの表面量(μg/cm)を算出した。また、薬剤除放量測定は、同様の試料を24時間放置後に再び防虫成分量を測定し、試料1cm当たりの表面量を算出したものを薬剤除放量(μg/cm・24h)とした。
Figure 0007282369000003
表3に示すように、実施例4に係る試料については、防虫剤表面量測定及び防虫剤除放量測定のいずれにおいても忌避性能が発揮される下限量である5.0(μg/cm)を超えており、また外表面においても外観観測の結果からはタック性の発現は認められなかった。これらの結果から、間切り用シートとして現場使用した場合に、安定して防虫効果を発揮することが示された。
1 間仕切り用シート
2 母材
3 防虫剤

Claims (3)

  1. 防虫成分を放出可能な徐放性防虫樹脂成形体である間仕切り用シートにおいて、
    主成分として平均重合度が700~1700の塩化ビニル系樹脂と、
    フタル酸エステル系可塑剤及び可塑剤全量に対して20~50重量%のリン酸エステル系可塑剤を含む二種以上の可塑剤と、
    防虫成分として組成物全量に対して0.6~5.0重量%のピレスロイド系防虫剤と、
    防虫性付与成分として紫外線吸収剤及びオレンジ色に着色するための染料又は顔料と、
    を含む樹脂組成物をシート状に成形してなる、
    ことを特徴とする害虫忌避性間仕切り用シート。
  2. 前記ピレスロイド系防虫剤がエトフェンプロックスである請求項1に記載の害虫忌避性間仕切り用シート。
  3. 複数のシート状樹脂成形体を積層してなる請求項1又は請求項2に記載の害虫忌避性間仕切り用シート。
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