JP3447834B2 - 薬剤含有樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents

薬剤含有樹脂組成物および樹脂成形品

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JP3447834B2
JP3447834B2 JP04417395A JP4417395A JP3447834B2 JP 3447834 B2 JP3447834 B2 JP 3447834B2 JP 04417395 A JP04417395 A JP 04417395A JP 4417395 A JP4417395 A JP 4417395A JP 3447834 B2 JP3447834 B2 JP 3447834B2
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晃造 児谷
泰一 阪谷
誠 中川原
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住化プラステック株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所望の薬剤放出挙動持
続性を有する薬剤含有樹脂組成物および成形品に関す
る。また、本発明は、薬剤が防滴剤である上記薬剤含有
樹脂組成物からなる優れた防滴性が長時間持続し、透明
性に優れる防滴性フィルムに関する。更に、本発明は、
高濃度に薬剤を含有する樹脂組成物、より詳しくは、薬
剤を含んだフィルム、シート、その他の樹脂成形品を製
造する際に、成形前に樹脂で希釈して用いられる、高濃
度に薬剤を含有する樹脂組成物、およびその成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】薬剤の使用において、薬剤の効力の持続
性を制御することは重要であり、薬剤の効力を長期間持
続させるための方法として、種々の方法が考案されてい
る。薬剤の効力を長時間持続させる方法には、薬剤をそ
のまま用いる方法や、薬剤を樹脂に含有させて樹脂組成
物として用いる方法があり、前者の例としては、薬剤を
中空の管の口から散逸させる方法(特開昭56−142
202号公報、特開昭57−9705号公報、特開昭5
7−45101号公報等)、薬剤をマイクロカプセルに
封入し、その破壊により薬剤を散逸させる方法(米国特
許第2800457号、第2800458号、第357
7515号明細書等)、薬剤の薄層に樹脂の薄層を積層
してラミネートフィルムとし、薬剤を樹脂層を透過させ
て散逸させる方法などが知られている。一方、後者の例
としては、薬剤含有樹脂組成物の層に薬剤の放出を抑制
する材料の層を積層する方法などが知られている。薬剤
を含有する樹脂組成物および成形体は、さまざまな用途
に用いられている。例えば、防曇性(結露による微小水
滴によるフィルム等の曇りを防止する性質)や防霧性
(例えば、農業用のハウスやトンネン等の中での霧の発
生を防止する性質)を付与するための非イオン性界面活
性剤を含有する樹脂組成物は、農業におけるハウスやト
ンネル用の被覆フィルムに用いられ、防かび剤入り樹脂
は、洗濯機のハウジングに用いられ、防虫剤入り樹脂
は、洋服カバーに用いられ、そして、帯電防止剤を含有
する樹脂は、人工芝に用いられている。上記の農業用の
被覆フィルムには、通常、防滴性(上記の防曇性、防霧
性、またはこの両者を兼ね備えた性質)が要求され、こ
の性質を具備するフィルムは、例えば、疎水性のポリオ
レフィン系樹脂に防滴剤を練り込んでフィルム化するこ
とにより製造されている。しかし、上記の薬剤の放出挙
動持続性の制御方法、およびフィルムへの防滴性付与方
法は、いずれも、製造工程が複雑であったり、高コスト
であったり、効果が不十分であったりして、十分に満足
し得るものではない。すなわち、上記した薬剤の効力を
長時間持続させる方法のうち、中空管を用いる方法で
は、中空管への薬剤の充填および包装の工程が複雑であ
り、高コストとなる。また、マイクロカプセルによる方
法およびラミネートフィルムによる方法でも、製造工程
が複雑であり、高コストとなる。また、薬剤含有樹脂組
成物の層の外側に薬剤の放出を制御する材料の層を積層
することにより樹脂組成物中の薬剤の放出を抑制する方
法では、積層体の製造工程が複雑で、高コストであり、
その上、この方法を複雑な形状の成形体に適用すること
は困難である。一方、疎水性のポリオレフィン系樹脂に
防滴剤を練り込み、得られた樹脂組成物を製膜して得た
防滴性フィルムは、通常、フィルム表面への防滴剤の移
行(以下、「ブリードアウト」と記す。)が著しいため
にフィルム表面にベタツキを生じたり、ブリードアウト
した防滴剤がフィルム表面で結晶化してフィルムの透明
性が阻害される現象(以下、「ブリード白化」と記
す。)が生じたり、あるいは初期にブリードアウトした
後に防滴剤が継続してフィルム表面に供給されないため
に防滴性が長時間持続しない、などの問題点を有する。
また、薬剤を含有するフィルム、シート、その他の樹脂
成形体は、一般に、薬剤をロール型混練機、バンバリー
型混合機、押出機等で樹脂と混練し、次いで混練組成物
を一旦造粒した後、フィルム成形機や射出成形機などで
目的の形状に成形することにより製造される。そして近
年、高濃度で薬剤を含有する樹脂組成物、いわゆるマス
ターバッチを、混練・造粒・成形の工程において樹脂で
希釈して用いる方法が、コストの削減の観点から、特に
好んで用いられるようになってきた。しかしながら、大
部分の薬剤は、樹脂の混練温度または使用温度で液体で
あり、樹脂組成物の溶融粘度を極端に低下させたり、混
練時にすべりを生じたりするため、高濃度のマスターバ
ッチを製造するのは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、所望の薬剤放出挙動持続性を有する薬剤含有樹脂組
成物および成形品を提供することにある。本発明の第二
の目的は、防滴剤を樹脂フィルムの表面に透明性を損な
わない程度にブリードアウトさせ、かつ、防滴性および
その持続性に優れた、農業用の被覆フィルムや食品の包
装用フィルムとして好適な樹脂フィルムを提供すること
にある。本発明の第三の目的は、製造時の取扱いが容易
であり、かつ、薬剤を高濃度で含有する樹脂組成物およ
びそれよりなる樹脂成形品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の諸
問題点を解決すべく鋭意検討し、薬剤が2種の樹脂に対
してそれぞれ異なる溶解度を持ち、かつ、その2種の樹
脂が組成物中で相分離構造を構成するとき、このような
2種の樹脂と薬剤とからなる樹脂組成物では、2種の樹
脂の体積分率を変動させることにより、薬剤の放出挙動
を制御することができることを見出した。また、薬剤が
防滴剤であり、かつ、2種の樹脂を特定の体積分率で含
有する上記の樹脂組成物からなる樹脂フィルムが、優れ
た透明性を有し、かつ、優れた防滴性を長時間持続する
ことを見出した。更には、これらの知見を応用して、製
造時の取扱いが容易であり、かつ、薬剤を高濃度に含有
する樹脂組成物および成形品が得られることを見出し
た。本発明者らは、これらの知見に基づき更に検討を重
ねた結果、本発明に至った。
【0005】即ち、本発明は、 2種の樹脂a、樹脂bおよび薬剤dを含む樹脂組成物
において、樹脂a、樹脂bが樹脂組成物中で相分離構造
をとり、薬剤dの樹脂a、樹脂bに対する溶解度が、そ
れぞれA、Bであるとき、(B−A)/B>0.9(た
だし、B>A>0)の関係にあることを特徴とする薬剤
含有樹脂組成物または樹脂成形品、 樹脂a、樹脂bおよび薬剤dの体積分率が、それぞれ
Va、Vb、Vdであるときに、(Va+Vb)>Vd
>(Va+Vb)/25なる関係を満たすことを特徴と
する上記記載の薬剤含有樹脂組成物または樹脂成形
品、 樹脂a、樹脂bが、それぞれポリオレフィン系樹脂で
あり、薬剤dが防滴剤であり、樹脂a、樹脂bの体積分
率がそれぞれVa、Vb、であるときに、Va>Vbな
る関係を満たすことを特徴とする記載の薬剤含有樹脂
組成物を製膜してなる防滴性フィルムを提供するもので
ある。
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の所望の薬剤放出挙動持続性を有する薬剤含有樹脂
組成物(以下、薬剤含有樹脂組成物と称する。)、およ
び薬剤を高濃度で含有する樹脂組成物(以下、マスター
バッチと称する。)に用いられる薬剤の種類は、特に限
定されないが、常温で固体または液体のものが好まし
く、中でも、分子量が100〜20000のものが好ま
しく、特に分子量が200〜5000のものがより好ま
しい。本発明に用いられる薬剤は、樹脂組成物からの放
出挙動の制御が必要な薬剤であり、その使用目的などの
観点から例えば、樹脂組成物の耐熱性、耐候性付与の目
的で用いられる樹脂安定剤、防滴性や帯電防止性などの
付与の目的で用いられる界面活性剤、その他の樹脂添加
剤、防かび剤、防虫剤、除草剤などの農薬、経皮吸収型
鎮痛剤などの医薬などが挙げられる。
【0007】かかる樹脂安定剤としては、例えば、2,
5−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェ
ノール系酸化防止剤、トリス−(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤、ジ
ラウリル−3,3’−チオジプロピオネートなどのイオ
ウ系酸化防止剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
などのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒ
ドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケ
ートなどのヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ
る。これらの樹脂安定剤については、「ポリマー添加剤
の分離・分析技術,田中ら,1987年,日本科学情報
(株)」、「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便
覧,後藤ら,1970年,(株)化学工業社」などを参照す
ることができる。
【0008】界面活性剤としては、疎水基部分と親水基
部分からなるものであれば特に限定されない。ここで疎
水基部分とは、例えば、パーフルオロアルキル基やω−
ヒドロフルオロアルキル基やポリアルキルシロキサン基
や炭化水素基などをひとつ以上有するものであり、親水
基部分としては、カルボキシレート基、スルホネート
基、ホスホネート基などのアニオン性基を分子中に少な
くともひとつ有するもの、アンモニウム基、ピリジニウ
ム基、ホスホニウム基などのカチオン性基を分子中に少
なくともひとつ有するもの、ポリエチレンオキサイド
基、ポリプロピレンオキサイド基、ポリグリセリン基、
ソルビトール基、ソルビタン基などの親水性非イオン性
基を分子中に少なくともひとつ有するものなどが挙げら
れる。このような界面活性剤としては、例えば、塩化セ
チルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性
剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリ
ン酸カルシウムなどの陰イオン性界面活性剤、レシチン
などの両性界面活性剤、親水基部分とパーフルオロアル
キル基などのフッ素を含有する疎水基部分を含有するフ
ッ素系界面活性剤、親水基部分とポリアルキルシロキサ
ン基などの疎水性基部分を含有したシリコーン界面活性
剤の他、グリセリン基、ソルビトール基、ソルビタン
基、ポリグリセリン基、ポリエチレンオキサイド基、ポ
リプロピレンオキサイド基などの親水性非イオン性基を
分子中に少なくともひとつ有するもの、例えば、ソルビ
タンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソ
ルビタンモノステアレート・エチレンオキサイド3モル
付加物、テトラグリセリントリパルミテート、ジグリセ
リンジステアレート、モノグリセリンモノステアレー
ト、ジグリセリンセスキオレート、テトラグリセリンモ
ノラウレート、テトラグリセリントリステアレート、ポ
リエチレングリコールモノパルミテート、ポリプロピレ
ングリコールモノラウレートなどの非イオン性界面活性
剤が挙げられる。これらの界面活性剤については、「界
面活性剤ハンドブック,高橋ら,1968年,工学図書
(株)発行」を参照することができる。一般に樹脂への
溶解性、耐熱性等に優れる点で、上記のような非イオン
性界面活性剤が好ましく用いられる。
【0009】その他の樹脂添加剤としては、例えば、セ
チルアルコール、ステアリン酸アミドなどの滑剤、フタ
ル酸ジオクチル、トリクレジルホスフェートなどの可塑
剤などが挙げられる。これらの樹脂添加剤については、
「ポリマー添加剤の分離・分析技術,田中ら,1987年,
日本科学情報(株)」、「プラスチックおよびゴム用添
加剤実用便覧,後藤ら,1970年,(株)化学工業社」な
どを参照することができる。
【0010】農薬としては、例えば、菊酸などのピレス
ロイド系殺虫剤、デヒドロ酢酸などの防かび剤などが挙
げられる。これらの農薬については、「農薬ハンドブッ
ク1985年版,農薬ハンドブック1985年版編集委員会編,
1985年,社団法人 日本植物防疫協会発行」を参照する
ことができる。
【0011】医薬としては、例えば、インドメタシンな
どの経皮吸収型鎮痛剤などが挙げられる。これらの医薬
については、「The Merck Index, Martha Windholz編,
Merck & Co.,INC.発行,1983年」を参照することができ
る。
【0012】本発明の防滴性フィルムに用いられる防滴
剤とは、フィルムに防曇性や防霧性を付与し得るもので
あり、上記のような各種の界面活性剤が主要なものであ
るが、中でも、上述のような非イオン性界面活性剤が好
ましく用いられる。
【0013】本発明の薬剤含有樹脂組成物の薬剤含有量
には、特に制限はないが、薬剤放出挙動の制御を十分に
行うためには、樹脂成分全体に対する薬剤の溶解度を越
えないことが好ましく、通常、樹脂成分全体の0.05
〜50重量%であり、好ましくは0.05〜20重量
%、より好ましくは、0.05〜5重量%である。
【0014】本発明において、樹脂に対する薬剤の溶解
度は、下記〜のいずれかで定義されるものである。 80℃において、樹脂が液状でなく、薬剤が融解す
るときは、温度80℃で樹脂シート(厚み1mm)を融解
した薬剤に浸し、もはや樹脂シートの重量が増加しなく
なったときの重量増加分の、シートの初期重量に対する
百分率で表す。 80℃において、樹脂が液状でなく、薬剤が融解し
ないときは、薬剤を大過剰に練り込んだ2枚の樹脂シー
ト(厚み2mm)で、薬剤を含有しない同種の樹脂シート
(厚み1mm)を挟み、80℃で厚み方向に20kg/cm2
荷重を掛け、もはや樹脂シート(厚み1mm)の重量が増
加しなくなったときの重量増加分の、樹脂シート(厚み
1mm)の初期重量に対する百分率で表す。 80℃において、樹脂が液状のときは、80℃で、
樹脂に溶解した薬剤の重量の、樹脂重量に対する百分率
で表す。
【0015】本発明の薬剤含有樹脂組成物において、薬
剤として防滴剤を用いて本発明の防滴性フィルムの製造
に供する樹脂組成物とする場合には、樹脂組成物の防滴
剤含有量は、通常、樹脂組成物の0.5〜3重量%であ
るが、好ましくは、0.8〜2.5重量%である。含有
量が0.5重量%未満では防滴効果が十分でなく、一
方、3重量%よりも多く用いても、性能の向上が少ない
ために経済的でないうえ、防滴剤のブリードによりフィ
ルム外観を損ねるという問題も生じ、いずれも好ましく
ない。
【0016】また、マスターバッチを作製する場合に
は、薬剤含有量(マスターバッチ中の体積分率Vdで表
す。)は、樹脂a、樹脂bの体積分率をそれぞれVa、
Vbとしたときに、下式に示す条件を満たすことが好ま
しい。 (Va+Vb)>Vd>(Va+Vb)/25 Vdが、VaとVbとの和以上になると、混練時の操作
性が損なわれるために好ましくない。一方、VaとVb
との和の1/25以下では、樹脂組成物中の薬剤濃度が
低いために実用的でない。Vdは、特に下式に示す範囲
にあることがより好ましい。 (Va+Vb)/2>Vd>(Va+Vb)/25 なお、各成分の体積分率は樹脂a、樹脂b、薬剤の配合
前の比重と配合した重量とから算出したものである。
【0017】本発明の薬剤含有樹脂組成物、防滴性フィ
ルムおよびマスターバッチにおいては、いずれの場合に
も、薬剤の樹脂a、樹脂bに対する溶解度がそれぞれ
A、Bであるときに、下記の条件: (B−A)/B>0.9(ただし、B>A>0) を満たすことが必要であり、この条件を外れる場合、す
なわちBがAの10倍以下の場合には、薬剤含有樹脂組
成物においては、薬剤放出挙動を十分に制御することが
できず、防滴性フィルムの場合には、ブリート白化した
り、防滴性が良好に発現しなかったりする。また、マス
ターバッチの場合には、薬剤を高濃度に含有させること
ができなくなるか、または加工性が低下する。特に、下
記の条件: 0.995>(B−A)/B>0.930(ただし、B
>A>0) を満たすことが好ましい。
【0018】本発明で用いられる樹脂a、樹脂bの種類
は、両樹脂が相分離構造を構成し、また、含有させる薬
剤の溶解度が互いに異なるものであれば、特に限定され
ないが、成形加工の容易さ、薬剤含有のしやすさから、
通常、次のような熱可塑性樹脂から選択して用いられ
る。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹
脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などのビニルモノマ
ー重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂などの縮合ポリマーなどが挙げられる。
【0019】本発明で用いることができるポリオレフィ
ン系樹脂は、α−オレフィンの単独重合体、およびα−
オレフィンを主成分とする異種単量体の共重合体であ
り、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4
−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキ
セン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチ
レン・1−デセン共重合体などのエチレン・α−オレフ
ィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタクリレ
ート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリ
レート共重合体などのエチレンと極性ビニルモノマーと
の共重合体、アイオノマー樹脂、アルキレンオキサイド
基を有する樹脂などを挙げることができる。
【0020】上記のエチレンと極性ビニルモノマーとの
共重合体は、極性ビニルモノマーに由来する部分が共重
合体全体の10〜80重量%のものであり、10重量%
より小さいものは好ましい相分離構造をとりにくく、8
0重量%を越えるものでは加工性に問題を生じる。中で
も15〜80重量%のものが好ましく、20〜80重量
%のものがより好ましい。なお、本発明において樹脂と
して、上記エチレンと極性ビニルモノマーとの共重合体
を用いる場合には、他方の樹脂に比べて薬剤の溶解度が
大きい樹脂bとして用いるのが好ましい。
【0021】上記のアルキレンオキサイド基を有する樹
脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体け
ん化物へのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられ
る。
【0022】本発明における2種類の樹脂の組合せ(樹
脂a、樹脂b)としては、例えば、薬剤として非イオン
性界面活性剤を用いる場合には、(ポリエチレン、エチ
レン・酢酸ビニル共重合体 [酢酸ビニル含有量:25重
量%] )、(エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン
・アクリル酸共重合体 [アクリル酸含有量:40重量
%] )、(ポリプロピレン、アイオノマー樹脂)、(エ
チレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・メチルメタ
クリレート樹脂 [メチルメタクリレート含有量:15
%] )などが好ましい例として挙げられる。
【0023】本発明における2種の樹脂a、樹脂bが、
本発明の薬剤含有樹脂組成物、マスターバッチおよび成
形品の中で構成する相分離構造は、海島構造、シリンダ
ー構造、ラメラ構造のいずれでもよい。その大きさは、
例えば、相分離構造が球状の島部と海部から構成されて
いる場合には、その島部の直径が薬剤分子の分子長以上
であることが好ましく、薬剤分子の分子長以上で100
μm以下であることがより好ましい。特に10μm以下
であることが好ましい。海島構造の相分離構造におい
て、島部の直径が薬剤分子長以下では、島部に薬剤が効
率的に分配できず、放出挙動の制御を十分に行うことが
できない。一方、島部の直径が100μmを越えると、
機械的な物性の低下が生じることがある。また、農業用
や包装用のフィルムにおいては、10μmを越えると可
視光線の散乱が強くなる傾向にある。
【0024】本発明における相分離構造は、例えば、次
のような方法で形成させることができる。 樹脂aおよび樹脂bを熱混練し、次いで冷却する方
法。この方法において、熱混練時の樹脂温度に制限はな
いが、樹脂a、樹脂bの融点以上であることが好まし
い。熱混練には、ロール型混練機、バンバリー型混練
機、1軸または2軸押出機などが好ましく用いられる。 樹脂aおよび樹脂bを溶媒に溶解して混合し、次い
で、溶媒を加熱下、減圧下などの条件で除去する方法。
【0025】本発明において、2種の樹脂a、樹脂bで
構成される相分離構造は、樹脂組成物を60℃の四酸化
オスニウムの4%水溶液に3時間浸漬した後、水洗し、
得られた試料を液体窒素中でミクロトームを用いてサン
プリングした後、透過型電子顕微鏡で観察する方法など
で分析することができる。
【0026】本発明の薬剤含有樹脂組成物、防滴性フィ
ルムおよびマスターバッチにおいて、樹脂a、樹脂bの
それぞれの体積分率(Va、Vb)は、特に限定はされ
ないが、Vaが大きいほど薬剤の放出挙動の持続性が高
まり、Vbが大きいほど初期の放出速度が大きくなる傾
向がある。特に、Va>Vbの場合には、良好な薬剤の
放出挙動持続性が得られ、本発明の防滴性フィルムにお
いては、この条件が不可欠である。逆に、Va<Vbと
すると、大きな初期薬剤放出速度を達成することができ
る。薬剤の放出挙動の持続性、および含有させる薬剤の
量の観点からは、Va>Vb>0.01Vaなる条件を
満たすことが好ましい。Vbが0.01Va以下だと薬
剤の高濃度配合が困難となる。VbがVa以上では、良
好な薬剤放出挙動持続性が得られず、また、樹脂組成物
の造粒などが困難となる。更に、0.5Va>Vb>
0.01Vaなる条件を満たすことが好ましい。特に、
薬剤の放出挙動を十分に持続させるためには、0.25
Va>Vb>0.1Vaなる条件を満たすことが好まし
い。
【0027】本発明の薬剤含有樹脂組成物、特に本発明
の防滴性フィルムの製造に供する樹脂組成物には、赤外
線吸収をもつ無機化合物を含有させることができる。こ
のような無機化合物を含有する樹脂組成物からなる防滴
性フィルムを、農業用被覆フィルムとして用いた場合に
は、夜間の保温性に優れ農業用被覆フィルムとして好ま
しい。かかる無機化合物としては、例えば、リチウム、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜
鉛、アルミニウム、珪素、チタンなどの金属の酸化物、
水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩、珪酸塩、アルミン
酸塩、アルミノ珪酸塩などが挙げられる。上記の酸化物
としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ア
ルミニウム、酸化珪素、酸化チタンなど、水酸化物とし
ては、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化アルミニウムなど、炭酸塩としては、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど、硫酸塩として
は、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムなど、燐酸塩として
は、燐酸リチウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐
酸カルシウムなど、珪酸塩としては、珪酸マグネシウ
ム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸チタンな
ど、アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、ア
ルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウムなど、アルミ
ノ珪酸塩としては、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ
珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウムなどがそれぞれ
挙げられる。更には、これらの複合塩として、下記一般
式(1) M1-x Al3+ x (OH- 2 (An-x/n ・mH2 O (1) (式中、Mは、Mg2+、Ca2+およびZn2+よりなる群から選
ばれた2価金属イオンを示し、An-は、n価のアニオン
を示し、xは条件:0<x<0.5を、mは、条件:0
<m<2 を満足する。)に示されるハイドロタルサイ
ト類に代表される塩基性複合塩なども好ましく用いられ
る。また、下記一般式(2) [Li+ Al3+ 2(OH- )6] ・ (An-) 1/n ・mH2 O (2) (式中、An-は、n価のアニオンを示し、mは条件:0
≦m≦3を満足する。)で示されるリチウムアルミニウ
ム複合水酸化物なども好ましい。かかるリチウムアルミ
ニウム複合水酸化物(2)は、例えば、特開平5−17
9052号公報に記載された方法によって容易に合成す
ることができる。アニオンAn-としては、例えば、C
l- 、Br- 、I - 、NO3 - 、ClO4 - 、SO4 2- 、CO3 2- 、S
iO3 2-、HPO4 2-、HBO4 3-、PO4 3- 、Fe(CN)4 3- 、Fe(CN)4
4- 、CH3COO- 、シュウ酸イオン、テレフタル酸イオ
ン、パラヒドロキシ安息香酸イオン、ナフタレンスルホ
ン酸イオンなどのアニオンが挙げられる。
【0028】これらの無機化合物は、比表面積が5〜5
00m2 /gのものであればより好ましい。また、フィ
ルムの透明性などの観点からは、平均粒径は4μm以下
で実質的に20μm以上の粒子が存在しないものが好ま
しい。これらの無機化合物の中の酸化珪素は、水中磨砕
法によって製造されたものが好ましい。酸化珪素は天然
品および合成品のいずれでもよいが、ボールミルのよう
な装置に水と酸化珪素のみを投入して行う「共擦り
法」、あるいは更にボールを介在させて磨砕する方法な
どによって製造したものが好ましい。また、これらの無
機化合物は、樹脂組成物を構成する樹脂の屈折率と近い
屈折率を有することが好ましく、条件:1.05>x/
y>0.95を満たすものが好ましく、特に、条件:
1.03>x/y>0.97を満たすものが好ましい。
ここで、xは無機化合物の屈折率を、yは樹脂組成物を
構成する樹脂の屈折率を表す。
【0029】上記の無機化合物を配合する場合、その配
合量は、一般的には、0.5〜20重量%であるが、望
ましくは1〜15重量%である。0.5重量%未満では
保温性の改良効果が少なく、20重量%を超えると、フ
ィルムの強度や透明性を損なうため好ましくない。ま
た、本発明の防滴性フィルムには、本発明の効果を損な
わない範囲で、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、滑
剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、顔料、無機充填
剤、発泡剤、などを添加することができる。
【0030】本発明の薬剤含有樹脂組成物またはマスタ
ーバッチを製造するにあたり、薬剤と樹脂の混合方法
は、特には限定されるものではないが、例えば、薬剤の
蒸気圧が低く、熱に安定な場合には、薬剤と樹脂との溶
融混練を、ロール型混練機、バンバリー型混練機などの
混練機や1軸または2軸押出機を用いて混合することが
できる。また、樹脂を液状薬剤または薬剤溶液に浸し、
樹脂中に薬剤を含浸させて組成物とすることもできる。
【0031】本発明の薬剤含有樹脂組成物は、種々の加
工方法で目的とする形状の成形品、例えばフィルム、シ
ート、その他の所望の形状の成形品に加工することがで
きる。例えば、フィルムやシートに成形する場合には、
本発明の薬剤含有樹脂組成物のみからなる単層体の他、
本発明の2種類の薬剤含有樹脂組成物、または本発明の
薬剤含有樹脂組成物と他の樹脂組成物とからなる多層体
としてもよい。単層フィルムに成形する場合には、例え
ば、インフレーション成形法、Tダイ成形法、カレンダ
ー成形法、キャスト成形法などの方法が用いられる。ま
た、多層フィルムは、多層インフレーション成形法、多
層Tダイ成形法などによって製造することができる。
【0032】本発明の防滴性フィルムの場合には、フィ
ルムの厚さは、通常、0.02〜0.3mmの範囲に成
形される。特に、農業用被覆フィルムとする場合には、
フィルム厚さは0.03〜0.2mmとするのが、より
好ましい。フィルムの厚みが0.02mmよりも薄いと
強度が不十分であり、0.3mmよりも厚いとフィルム
の中継ぎ加工や被覆作業が行い難くなるため、好ましく
ない。本発明の防滴性フィルムは、上記の一般的な場合
と同様に、単層構造でも、多層構造でもよい。特に、農
業用被覆フィルムとして用いる防滴性フィルムは、要求
される機械的性質や光学的性質を考慮して、2層以上か
らなる多層フィルムであるものが好ましい。本発明の防
滴性フィルムの好ましい形態としては、フィルムの少な
くとも一方の表面層として、防滴剤を含有する本発明の
薬剤含有樹脂組成物の層を有する多層フィルムが挙げら
れる。
【0033】本発明の薬剤含有樹脂組成物をフィルム、
シート以外の形状に成形する場合には、例えば、射出成
形法、押出成形法、圧縮成形法などが用いられる。ま
た、高濃度で薬剤を含有するマスターバッチも、通常、
ペレットやシートなど、所望の形状に成形して取り扱う
ことができる。所望の形状に成形したマスターバッチ
は、樹脂とともに混練して希釈し、次いで上述の種々の
加工方法で目的とする製品形状に加工することができ
る。
【0034】本発明の樹脂組成物では、薬剤の溶解度が
異なる2種の樹脂が相分離構造を形成し、それぞれの相
に薬剤が溶解度に応じて分配されていると考えられ、こ
れにより薬剤の放出挙動の制御がなされていると考えら
れる。このため、薬剤を高濃度に含有させる場合、薬剤
の溶解度が大きい樹脂相は溶融粘度が大きく低下するも
のの、薬剤の溶解度が小さい樹脂相の溶融粘度が低下し
ないため、薬剤の高濃度の混練が可能になると考えられ
る。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、所望の薬剤放出挙動持
続性を有する薬剤含有樹脂組成物が得られ、これを用い
て、酸化防止剤のブリードが防止された樹脂成形体、長
時間効果のある防虫性フィルムおよびシート、防曇性フ
ィルム、帯電防止性フィルムおよびシート、経皮吸収型
沈痛剤含有樹脂成形体など、あらゆる形状の薬剤含有樹
脂成形体を製造することができる。本発明の防滴性フィ
ルムは、防滴剤のブリード白化によって透明性が損なわ
れることなく、光線透過性が良好で、かつ、防滴性およ
びその持続性に優れた特性を有し、農業用被覆フィルム
や食品包装フィルムとして極めて有用である。また、本
発明のマスターバッチは、製造時の取扱いが容易であ
り、かつ、薬剤を高濃度で含有することができる。この
マスターバッチは、耐熱性、耐候性を有する農業用フィ
ルムや自動車用プラスチック成形体、防曇性、防霧性の
ある農業用被覆フィルム、防曇性のある食品包装用フィ
ルム、防かび性に優れた家電製品のプラスチックハウジ
ング、防虫剤入り洋服カバー、除草剤入り農業用マルチ
ングフィルムの製造など、広範な用途に適用することが
できる。
【0036】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。 以下の実施例および比較例において、樹脂に対す
る薬剤の溶解度は、次のいずれかで定義されるものであ
る。 80℃で、樹脂シート(厚み1mm)を融解した薬剤に
浸し、もはや樹脂シートの重量が増加しなくなったとき
の重量増加分の、シートの初期重量に対する百分率で表
す。 薬剤を大過剰に練り込んだ2枚の樹脂シート(厚み2
mm)で、薬剤を含有しない同種の樹脂のシート(厚み1
mm)を挟み、80℃で厚み方向に20kg/cm2の荷重を掛
け、もはや樹脂シート(厚み1mm)の重量が増加しなく
なったときの重量増加分の、樹脂シート(厚み1mm)の
初期重量に対する百分率で表す。 80℃で、樹脂に溶解した薬剤の重量の、樹脂重量に
対する百分率で表す。
【0037】(実施例1a〜3aおよび比較例1a)これらの
実施例および比較例は、防曇性フィルムに関するもので
ある。農業用、窓貼用、野菜・果実等の包装用として用
いられる防曇性フィルムは、基材中に防曇性を付与する
防曇剤を含有している。この防曇性フィルムにおいて
は、防曇性の発現に必要な量の防曇剤が長期間にわたっ
てフィルム表面から放出されることが、必要とされてい
る。第1表に示す組成の樹脂組成物をインフレーション
法(成形温度:180℃,フィルム厚み:0.05m
m)で成形し、4種のフィルムを得た。本実施例および
比較例で用いたポリオレフィン系樹脂および非イオン性
界面活性剤を第2表に示す。
【表1】 (配合量の単位は重量%)
【表2】 ポリオレフィン系樹脂a、bに対する非イオン性界面活
性剤の溶解度A、Bおよび(B−A)/Bの値を第3表
に示す。溶解度は、いずれも定義によるものである。
【表3】 LDPEに対する溶解度は1重量%未満のため、1重量
%として計算した。
【0038】上記の4種のフィルムについて、下記の薬
剤放出速度測定法で薬剤の放出速度を測定し、薬剤放
出挙動持続性を評価した。 (薬剤放出速度測定法)フィルム加工後、30℃、8
0%R.H.の条件下に所定の時間放置した時のフィル
ム表面への薬剤のブリードアウト量を測定した。測定方
法はフィルム表面にブリードアウトした薬剤をアセトン
/メタノール混合液(混合比:1/2)を用いて洗い流
し、これを蒸発乾固し残留物の重量を測定した。単位放
置時間当たりのブリートアウト量を薬剤放出速度とし
た。評価結果を第4表に示す。第4表において、薬剤放
出速度の比b/aが1に近いほど、薬剤の放出挙動持続
性が優れることを示す。この結果から、実施例のフィル
ムでは、比較例のフィルムに比較して非イオン性界面活
性剤の放出挙動持続性が優れることがわかる。
【表4】
【0039】次に、酸化防止剤含有樹脂組成物に関する
実施例を以下に示す。酸化防止剤含有樹脂組成物は、組
成物の製造工程中の熱酸化防止、および成形後の光・熱
酸化防止のために酸化防止剤を組成物中に含有してい
る。この組成物中の酸化防止剤は製造工程中あるいは成
形後に速い速度で組成物中から放出されることは望まれ
ていない。
【0040】(実施例4a〜6aおよび比較例2a〜3a)第5
表に示す成分をブラベンダープラストグラフを用いて1
60℃で混練した。その混練組成物を180℃に加熱し
たプレス成形機によりフィルム化し、厚さ0.2mmの
フィルム6種を作製した。また、本実施例および比較例
で用いた樹脂および酸化防止剤を第6表に示す。
【表5】
【表6】 樹脂a、bに対する酸化防止剤の溶解度A、Bおよび
(B−A)/Bの値を第7表に示す。LDPEに対する
溶解度は、定義によるものであり、PEGに対する溶
解度は、定義によるものである。
【表7】
【0041】上記の6種のフィルムについて、薬剤放出
速度測定法で薬剤の放出速度の評価を行った。 (薬剤放出速度測定法)フィルム加工後、40℃の条
件下に所定の時間放置した時のフィルム中の薬剤残存率
(%)を紫外分光光度計を用いて測定した。評価結果を
第8表に示す。この結果から、実施例のフィルムでは比
較例のフィルムと比べて、薬剤のブリードアウトによる
フィルム中の薬剤濃度の低下が小さいことがわかる。
【表8】
【0042】なお、本発明の薬剤含有樹脂組成物の製造
における樹脂と薬剤との混練の容易さ(以下、混練性と
呼ぶ。)および混練後の組成物のペレット化の容易さ
(以下、造粒性と呼ぶ。)の評価法は以下のとおりであ
る。 (混練性試験)バンバリー型の混練機(日本ロール製
インテンシブミキサー)を用いて150℃の条件下で混
練を行い、スリップ等を起こさずに混練が開始されるま
での時間を測定した。混練が開始されるまでの時間が長
いほど、樹脂と薬剤との混練が困難であり、混練性が劣
る。 (造粒性試験)上記の混練性試験で得られた組成物を一
軸のフルフライト押出機(田辺プラスチック機械製)を
用いて150℃の条件下で造粒を行い、造粒性を評価し
た。
【0043】(実施例1b〜4b)第9表に示す樹脂と薬剤
を配合し、混練性と造粒性の評価を行った。結果は第9
表に示すとおり、混練性、造粒性ともに優れるものであ
った。
【0044】(比較例1b〜6b)第9表に示す樹脂と薬剤
を配合し、混練性と造粒性の評価を行った。結果は第9
表に示すとおり、好ましいものではなかった。
【表9】 注1:( )内は重量分率(%)である。 注2:溶解度は、定義によるものである。 注3:略号の内容は第10表に示す。
【表10】
【表11】
【表12】続き
【0045】(実施例5b、6bおよび比較例7b)ベースポ
リマーとして低密度ポリエチレン(密度:0.92g/
cm3 、MFR:1.5g/10分、住友化学工業
(株)製 スミカセンF208−0)を用いて、これに
第1表に示す実施例1〜2の非イオン性界面活性剤含有
樹脂組成物および非イオン性界面活性剤をベースポリマ
ーに界面活性剤濃度が2重量%になるように配合し、イ
ンフレーション法(成形温度:180℃、フィルム厚:
0.05mm)によって3種のフィルムを作製した。
【0046】(防滴性試験)上記のようにして得られた
フィルムを23℃、50%R.H.の条件下に14日間
放置し、その後、恒温水槽(20℃および40℃に調
節)を被試験フィルムで覆い、それぞれ3℃および20
℃の恒温室内に放置し、30日経過後の状態を観察し、
水温20℃/外温3℃での防滴性を低温防滴性、水温4
0℃/外温20℃での防滴性を高温防滴性として評価し
た。その評価結果は以下の基準で表した。 ○:小水滴が全くない。 △:一部に小水滴群が認められる。 ×:全面にわたって小水滴が付着する。 評価結果を第11表に示す。この結果から、実施例のフ
ィルムでは、比較例のフィルムに比較して、防滴性の低
下が少ないことがわかる。
【表13】
【0047】(実施例1c〜2cおよび比較例1c〜2c)3層
フィルムの中間層にエチレン・酢酸ビニル共重合体(酢
酸ビニル含有量:15重量%、密度:0.94g/c
m3 、MFR:1.1g/10 min)を用い、これに両
外層を第12表に示す樹脂組成物を用いてインフレーシ
ョン法(成形温度:180℃,フィルム厚0.075mm
[最外層0.015mm、中間層0.045mm] )によっ
て4種のフィルムを作製した。本実施例および比較例で
用いたポリオレフィン系樹脂および防滴剤を第13表に
示す。また、ポリオレフィン系樹脂a、bに対する防滴
剤の溶解度A、Bおよび(B−A)/Bの値を第14表
に示す。溶解度は、定義によるものである。
【表14】 (配合量の単位は重量%)
【表15】
【表16】 LDPEに対する溶解度は1重量%未満のため、1重量
%として計算した。この4種のフィルムについて、透明
性および防滴性の評価を行った。 (防滴性試験)実施例5bと同様にして試験し、評価し
た。 (透明性試験)フィルム加工後、30℃、80%R.
H.の条件下に所定時間放置した時のヘイズ値(曇り
度)の増加をヘイズメーターを用いて測定した。ヘイズ
値の増加(ΔHAZE)が大きいほど、ブリート白化に
よる透明性の低下が著しいことを示す。評価結果を第1
5表に示す。ブリート白化が著しい場合に防滴性がよい
ことは明らかであるが、フィルムが不透明となり好まし
くない。ブリート白化が抑制され、しかも防滴性に優れ
るフィルムが望ましいフィルムである。 実施例1cおよ
び2cのフィルムは、ブリート白化が小さく、しかも防滴
性にも優れた望ましいフィルムである。これに対して、
比較例1cおよび2cのフィルムは、防滴性は優れるもの
の、ブリード白化が大きいために透明性に劣る。
【表17】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 71/02 C08L 71/02 (56)参考文献 特開 平5−214114(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 C08L 1/00 - 101/16

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種の樹脂a、樹脂bおよび薬剤dを含む
    樹脂組成物において、樹脂a、樹脂bが樹脂組成物中で
    相分離構造をとり、薬剤dの樹脂a、樹脂bに対する溶
    解度が、それぞれA、Bであるとき、(B−A)/B>
    0.9(ただし、B>A>0)の関係にあることを特徴
    とする薬剤含有樹脂組成物。
  2. 【請求項2】薬剤dが、0.05〜50重量%含有され
    ている請求項1記載の薬剤含有樹脂組成物。
  3. 【請求項3】樹脂a、樹脂bが、それぞれポリオレフィ
    ン系樹脂である請求項1記載の薬剤含有樹脂組成物。
  4. 【請求項4】樹脂a、樹脂bのポリオレフィン系樹脂の
    少なくとも一方が、エチレンと極性ビニルモノマーとの
    共重合体であり、該極性ビニルモノマーに由来する部分
    が共重合体の10〜80wt%である請求項3記載の薬
    剤含有樹脂組成物。
  5. 【請求項5】樹脂a、樹脂bの少なくとも一方が、アル
    キレンオキサイド基を有する樹脂である請求項1記載の
    薬剤含有樹脂組成物。
  6. 【請求項6】樹脂a、樹脂bおよび薬剤dの体積分率
    が、それぞれVa、Vb、Vdであるときに、(Va+
    Vb)>Vd>(Va+Vb)/25なる関係を満たす
    ことを特徴とする請求項1記載の薬剤含有樹脂組成物。
  7. 【請求項7】樹脂a、樹脂bが、ポリオレフィン系樹脂
    である請求項6記載の薬剤含有樹脂組成物。
  8. 【請求項8】樹脂a、樹脂bのポリオレフィン系樹脂の
    少なくとも一方が、エチレンと極性ビニルモノマーの共
    重合体であり、該極性ビニルモノマーに由来する部分が
    共重合体の10〜80重量%である請求項7記載の薬剤
    含有樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8いずれかに記載の薬剤含有樹
    脂組成物からなる樹脂成形品。
  10. 【請求項10】樹脂a、樹脂bが、それぞれポリオレフ
    ィン系樹脂であり、薬剤dが防滴剤であり、樹脂a、樹
    脂bの体積分率がそれぞれVa、Vb、であるときに、
    Va>Vbなる関係を満たすことを特徴とする請求項1
    または2記載の薬剤含有樹脂組成物を製膜してなる防滴
    性フィルム。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の防滴性フィルムを、
    表面層の少なくとも一方として設けることを特徴とする
    多層フィルム。
  12. 【請求項12】樹脂a、樹脂bの少なくとも一方が、エ
    チレンと極性ビニルモノマーの共重合体であり、該極性
    ビニルモノマーに由来する部分が共重合体の10重量%
    〜80重量%である請求項10記載の防滴性フィルム。
  13. 【請求項13】薬剤含有樹脂組成物が、赤外線吸収作用
    をもつ無機化合物を0.5〜20重量%含むことを特徴
    とする請求項10記載の防滴性フィルム。
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