(第1実施形態)
以下、図1から図9を参照しつつ第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態の情報通知システムSの構成を示すブロック図である。情報通知システムSは、車両1、情報通知装置2、車両の利用者7が所持するスマートフォンなどの携帯端末装置6、緊急事態情報送信サーバ装置8、及び通信ネットワーク9を備える。通信ネットワーク9は、例えば、インターネット網などである。
利用者7は、例えば、災害対策を行う消防団員などの災害対策要員である。利用者7が利用する車両1は、例えば、消防車などの災害対策用の車両であり、通信装置10、制御装置11、表示入力装置12、ペダル部13、ドア開閉検出部14、燃料計測部15、各種ランプ部16、報知部17、及び各種制御部18を備える。車両1は、複数存在することを前提として、以下の説明を行うが、1台であってもよい。車両1の各々には予め一意に識別可能な車両ID(IDentification)が付与されている。
通信装置10は、例えば、LTE(Long Term Evolution)や4G(4th Generation)などの携帯端末装置用の無線通信方式によって情報通知装置2との間で無線通信を行う装置である。通信装置10は、制御装置11と、表示入力装置12とに接続されている。また、通信装置10は、防災無線の通信方式も備えており、災害発生時に、LTEや4Gなどが輻輳して利用できない場合には、防災無線の通信方式に切り替えて情報通知装置2との間で無線通信を行う。
また、通信装置10は、一般的な携帯端末装置と同様に、時計等の計時手段を備えている。通信装置10は、位置を検出するGPS(Globa Positioning System)の受信機を内部に備えており、一定の周期で位置情報を取得する。通信装置10は、内部の記憶領域に予め車両1に付与されている車両IDを記憶する。
また、通信装置10は、位置情報を取得すると、取得した位置情報に車両IDを付与して情報通知装置2に送信する。通信装置10は、制御装置11が出力する情報を取り込むと、取り込んだ情報に内部の計時手段から取得した時刻の情報と車両IDを付与して情報通知装置2に送信する。また、通信装置10は、情報通知装置2から通知情報を受信すると、受信した通知情報を制御装置11に出力する。
制御装置11は、例えば、ECU(Engine Control Unit)であり、車両1が備えるペダル部13、ドア開閉検出部14、燃料計測部15、各種ランプ部16、報知部17、各種制御部18に接続されている。制御装置11は、例えば、利用者7が、車両1のペダル部13のアクセルペダルを踏んだ場合、アクセルペダルの踏み込み量に応じた分量の燃料をそのままエンジンに噴射させるのではなく、例えば、エンジンの回転量を考慮して噴射する燃料の分量を調節するといった制御も行う。このような制御を行うため制御装置11は、車両1に対して利用者7が行う操作の情報や車両1の制御状態を常に取得できる状態になっている。
制御装置11は、ペダル部13、ドア開閉検出部14、燃料計測部15、各種ランプ部16、報知部17、各種制御部18の制御状態を取得する。制御装置11は、取得した制御状態の情報の中から予め定められる幾つかの制御状態の情報を車両状態情報として通信装置10を通じて情報通知装置2に送信する。
また、制御装置11は、通信装置10が出力する情報通知装置2から受信した通知情報に含まれる制御情報に基づいて、各種ランプ部16、報知部17などを動作させる処理を行う。
表示入力装置12は、表示手段である画面として、例えば、液晶パネルを備えており、各種の情報を画面に表示する。また、表示入力装置12は、入力手段としてタッチパッドを備えており、利用者7の入力操作を受けて、各種の情報を取り込み、取り込んだ情報を通信装置10を通じて情報通知装置2に送信する。
ペダル部13は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダルなどを備えており、例えば、これらのペダルの踏み込み状態を示すペダル操作情報を一定の周期で検出して制御装置11に出力する。例えば、アクセルペダルが継続して利用者7によって踏み込まれている場合、ペダル部13は、一定の周期ごとに、アクセルペダルが踏まれていることを示すペダル操作情報を出力する。なお、ペダル部13が備えるペダルの何れもが利用者7によって踏み込まれていない場合、ペダル部13は出力を行わない。
ドア開閉検出部14は、車両1のドアが開くタイミング、または、閉じるタイミングにおいて、ドアの開閉状態を検出し、検出したドア開閉状態を示すドア開閉情報を制御装置11に出力する。燃料計測部15は、例えば、燃料計であり、車両1の燃料残量を計測し、計測した燃料残量を示す燃料残量情報を一定の周期で制御装置11に出力する。
各種ランプ部16は、例えば、ヘッドランプ、テールランプ、方向指示ランプなどを備えており、制御装置11による制御を受けて、点灯、または、消灯、または、点滅する。報知部17は、例えば、クラクション等の警笛、または、スピーカなどの報知手段を備えており、制御装置11による制御を受けて、クラクションを鳴らしたり、スピーカから音を鳴らしたりする。
各種制御部18は、車両1を制御する各種の制御部を備えており、例えば、エンジン制御部100、空調制御部101、窓制御部102を備える。エンジン制御部100は、車両1のエンジンの制御を行う。空調制御部101は、例えば、車内の空気の取り込みの状態を外部導入状態にするか、または、内部循環状態にするかを切り替える処理を行う。窓制御部102は、例えば、車両1の窓を開けたり、閉めたりする処理を行う。
緊急事態情報送信サーバ装置8は、例えば、気象庁が発表する地震や津波などの災害の発生を知らせる緊急事態情報を送信する。緊急事態情報には、例えば、災害の種別、災害が発生した位置、時刻、規模、被災予想地域、災害に起因する空気の異常等の情報が含まれている。
情報通知装置2は、図2に示すように、車両状態情報受信部20、車両位置情報受信部21、車両状態情報記憶部22、利用状態判定部23、記憶部24、緊急事態情報受信部25、車両選択部26、通知情報生成部27、送信部28、及び計時部29を備える。
車両状態情報受信部20は、車両1の制御装置11が通信装置10を通じて送信する車両状態情報を受信する。また、車両状態情報受信部20は、受信した車両状態情報の種類を検出し、検出した種類に応じた車両状態情報記憶部22のテーブルに受信した車両状態情報を書き込んで記憶させる。
車両位置情報受信部21は、車両1の通信装置10が一定の周期で送信する車両1の位置情報を受信する。また、車両位置情報受信部21は、受信した位置情報を記憶部24のテーブルに書き込んで記憶させる。
なお、第1実施形態では、車両1の制御装置11は、取得した制御状態のうち予め定められる2種類の車両状態情報を通信装置10に出力する。一方の車両状態情報は、エンジンの回転数を示す回転数情報を含む車両状態情報であり、制御装置11が、エンジン制御部100から一定の周期でエンジン回転数を示す回転数情報を取得する。制御装置11は、取得した回転数情報を含む車両状態情報を生成して通信装置10に出力する。
他方の車両状態情報は、ドア開閉情報を含む車両状態情報であり、車両1の制御装置11が、ドア開閉検出部14が状態の変化が生じた際に出力するドア開閉情報を取り込む。制御装置11は、取り込んだドア開閉情報を含む車両状態情報を生成して通信装置10に出力する。通信装置10は、制御装置11が出力する車両状態情報に車両IDと時刻の情報を付与して情報通知装置2に送信する。
車両状態情報記憶部22は、図3に示す回転数情報テーブル221と、図4に示すドア開閉情報テーブル222とを記憶する。なお、回転数情報テーブル221とドア開閉情報テーブル222は、車両1が複数存在する場合、車両1ごとに生成されるテーブルである。
回転数情報テーブル221は、「車両ID」、「時刻」、「回転数情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両状態情報受信部20が回転数情報テーブル221を生成する際、車両状態情報に付与されている車両IDの情報が車両状態情報受信部20によって書き込まれる。「時刻」の項目には、車両状態情報に付与されている時刻の情報が車両状態情報受信部20によって書き込まれる。
「回転数情報」の項目には、車両状態情報に含まれているエンジン回転数を示す回転数情報が車両状態情報受信部20によって書き込まれる。車両状態情報受信部20は、レコードを追加する際、一番上の行に追加するレコードを生成するため、回転数情報テーブル221には、回転数情報が上から順に時系列で記録されることになる。なお、回転数情報の単位は、例えば、rpm(revolution per minutes)である。
図4に示すドア開閉情報テーブル222は、「車両ID」、「時刻」、「ドア開閉情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両状態情報受信部20がドア開閉情報テーブル222を生成する際、車両状態情報に付与されている車両IDの情報が車両状態情報受信部20によって書き込まれる。「時刻」の項目には、車両状態情報に付与されている時刻の情報が車両状態情報受信部20によって書き込まれる。
「ドア開閉情報」の項目には、車両状態情報に含まれているドア開閉情報が車両状態情報受信部20によって書き込まれる。車両状態情報受信部20は、レコードを追加する際、一番上の行に追加するレコードを生成するため、ドア開閉情報テーブル222には、ドア開閉情報が上から順に時系列で記録されることになる。なお、ドア開閉情報は、ドアが開いていることを示す「開」、または、ドアが閉じていることを示す「閉」のいずれかの情報である。
利用状態判定部23は、車両状態情報記憶部22が記憶する車両状態情報に基づいて、車両1の利用者7の利用状態を判定する。また、利用状態判定部23は、判定した利用状態を記憶部24が記憶するテーブルに書き込んで記憶させる。
記憶部24は、図5に示す車両情報テーブル241と、図6に示す利用状態テーブル242を記憶する。車両情報テーブル241は、「車両ID」、「車両のアドレス」、「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」、「車両の位置情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、情報通知システムSに属する全ての車両1の車両IDが予め書き込まれる。「車両のアドレス」の項目には、当該項目に対応する「車両ID」の項目に書き込まれている車両IDの車両1が備える通信装置10の通信用のアドレス情報(以下、車両アドレス情報という)が予め書き込まれる。
「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目には、当該項目に対応する「車両ID」の項目に書き込まれている車両IDの車両1を利用する利用者7が所持する携帯端末装置6の通信用のアドレス情報(以下、携帯端末装置アドレス情報という)が予め書き込まれる。「車両の位置情報」の項目には、車両位置情報受信部21が受信した位置情報が車両位置情報受信部21によって書き込まれる。
すなわち、車両位置情報受信部21は、車両1の通信装置10から位置情報を受信すると、受信した位置情報に付与されている車両IDを参照する。車両位置情報受信部21は、車両情報テーブル241における、参照した車両IDに対応するレコードの「車両の位置情報」に位置情報に含まれる緯度と経度の情報を書き込む。車両位置情報受信部21は、「車両の位置情報」の項目に上書き処理を行うため、「車両の位置情報」の項目には最新の位置情報が書き込まれる。
図6に示す利用状態テーブル242は、「車両ID」、「走行状態」、「乗降状態」、「乗降状態判定時刻」、「乗降状態継続時間」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両IDが予め書き込まれる。「走行状態」の項目には、利用状態判定部23が判定した車両1の走行状態を示す情報が書き込まれる。
「走行状態」の項目に書き込まれる情報は、「走行中」、「停止中」、「エンジン停止」のいずれかである。「走行中」は、車両1が走行している状態を示す。「停止中」は、車両1のエンジンが動作中の状態で停止している状態を示す。「エンジン停止」は、車両1のエンジンが動作を停止しているが、電源はOFFになっていないスタンバイ状態を示す。
スタンバイ状態は、通信装置10、制御装置11、表示入力装置12、ペダル部13、ドア開閉検出部14、燃料計測部15、各種ランプ部16、報知部17、各種制御部18には電気が供給されており動作が可能になっている状態である。なお、車両1は災害対策車であるため、途中で動けない状態になって車両1を放棄する場合であっても、利用者7は、車両1のキーは、OFF状態にせず、スタンバイ状態に維持することを前提としている。
「乗降状態」の項目には、利用状態判定部23が判定した車両1における利用者7の乗降状態を示す情報が書き込まれる。「乗降状態」の項目に書き込まれる情報は、「乗車中」または「降車中」のいずれかである。「乗車中」は、利用者7が車両1に乗車している状態を示している。「降車中」は、利用者7が車両1から降車している状態を示している。
「乗降状態判定時刻」の項目には、利用状態判定部23が乗降状態を判定した時刻を示す情報が書き込まれる。「乗降状態継続時間」の項目には、当該項目に対応する「乗降状態」の項目に書き込まれている乗降状態を示す情報が変更されずに継続している時間を示している。なお、乗降状態継続時間の単位は、例えば、「分」である。
緊急事態情報受信部25は、緊急事態情報送信サーバ装置8が送信する緊急事態情報を受信する。また、緊急事態情報受信部25は、受信した緊急事態情報に含まれる情報に基づいて、車両1の利用者7に通知する必要がある緊急事態情報であるか否かを判定する。
車両選択部26は、緊急事態情報に含まれている緊急事態が発生した位置を示す情報と、車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目の位置情報とに基づいて、通知の対象となる車両1を選択する。
通知情報生成部27は、車両選択部26が通知の対象として選択した車両1の利用者7に対して通知する通知情報を、当該車両1に対応する利用状態テーブル242のレコードに含まれる情報に基づいて生成する。送信部28は、通知情報生成部27が生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって車両1の通信装置10、または、利用者7の携帯端末装置6に通知情報を送信する。
計時部29は、例えば、内部に時計を備えており、要求を受けた際の時計の時刻を示す情報を出力する。また、計時部29の内部の時計は、車両1の通信装置10の計時手段と時刻が同期しており、携帯端末装置6、及び緊急事態情報送信サーバ装置8が内部に備える時計等の計時手段とも時刻が同期しているものとする。例えば、緊急事態情報送信サーバ装置8の時計が現在時刻に合わされている場合、計時部29、通信装置10及び携帯端末装置6の計時手段が出力する時刻も現在時刻になる。
(利用状態判定部による処理)
図7は、利用状態判定部23による処理の流れを示すフローチャートである。第1実施形態では、車両状態情報受信部20は、車両1の制御装置11がエンジン制御部100から取得する回転数情報を含む車両状態情報を車両1の通信装置10から一定の周期で受信する。また、車両状態情報受信部20は、車両1のドア開閉検出部14が状態の変化が生じた際に出力するドア開閉情報を含む車両状態情報を車両1の通信装置10から受信する。
車両状態情報受信部20は、受信した車両状態情報に回転数情報が含まれている場合、受信した車両状態情報を、当該車両状態情報に付与されている車両IDに対応する回転数情報テーブル221に追加して書き込む。また、車両状態情報受信部20は、車両状態情報にドア開閉情報が含まれている場合、受信した車両状態情報を、当該車両状態情報に付与されている車両IDに対応するドア開閉情報テーブル222に追加して書き込む。
上記の車両状態情報受信部20による処理が継続して行われている状態において、利用状態判定部23は、車両情報テーブル241の「車両ID」の項目に書き込まれているいずれか1つの車両IDを選択する。例えば、利用状態判定部23は、車両情報テーブル241の一番上のレコードの車両ID「1」を選択したとする(ステップSa1)。
利用状態判定部23は、記憶部24において、回転数情報テーブル221のうち「車両ID」の項目が「1」である回転数情報テーブル221を参照する。利用状態判定部23は、参照した回転数情報テーブル221から、最新のレコードから順に判定に必要な一定量のレコードを読み出す。
利用状態判定部23は、記憶部24において、ドア開閉情報テーブル222のうち「車両ID」の項目が「1」であるドア開閉情報テーブル222を参照する。利用状態判定部23は、参照したドア開閉情報テーブル222から、最新のレコードから順に判定に必要な一定量のレコードを読み出す(ステップSa2)。
利用状態判定部23は、読み出したレコードにおいて最も新しい回転数情報を参照し、参照した回転数情報が予め定められる回転数閾値を超えている場合、「走行中」であると判定する。一方、利用状態判定部23は、参照した回転数情報が「0」ではないが、予め定められる回転数閾値以下である場合、エンジンがアイドリング状態であり、「停止中」であると判定する。利用状態判定部23は、参照した回転数情報が「0」である場合、エンジンが停止している「エンジン停止中」であると判定する(ステップSa3)。
利用状態判定部23は、走行状態が「走行中」であると判定した場合、乗降状態は「乗車中」であると判定する。利用状態判定部23は、走行状態が「停止中」または「エンジン停止中」の場合、読み出したドア開閉情報に基づいて、例えば、図8に示すパターンにしたがって、乗降状態が「乗車中」であるか「降車中」であるかを判定する(ステップSa4)。
図8において、ドア開閉の軸の白丸はドア開閉情報が「開」であることを示しており、黒丸はドア開閉情報が「閉」であることを示している。例えば、図8(a)は、最新の回転数情報、すなわち時間軸において右端の回転数情報が「0」であり、回転数情報が「0」である状態を時間軸上で過去に遡った場合にドア開閉情報において「閉」と「開」が示されている。そのため、利用状態判定部23は、図8(a)のパターンの場合、利用者7がエンジンを停止して、ドアを開いて降りた後ドアを閉めた状態、すなわち利用者7が降車した状態であると判定する。
図8(b)の場合、最新の回転数情報が「0」ではないが回転数閾値以下であるアイドリング状態を示しており、アイドリング状態を時間軸上で過去に遡った場合にドア開閉情報において「閉」と「開」が示されている。そのため、利用状態判定部23は、図8(b)のパターンの場合、利用者7がエンジンを停止していないが、ドアを開いて降りた後ドアを閉めた状態、すなわち利用者7が降車した状態であると判定する。
図8(c)の場合、最新の回転数情報が「0」であり、回転数情報が「0」である状態を時間軸上で過去に遡ってもドア開閉情報は記録されていない。そのため、利用状態判定部23は、図8(c)のパターンの場合、利用者7がエンジンを停止しているが、利用者7が乗車中であると判定する。
利用状態判定部23は、利用状態テーブル242の車両ID「1」のレコードの「走行状態」の項目に書き込まれている直前の走行状態の情報と、「乗降状態」の項目に書き込まれている直前の乗降状態の情報とを読み出す。利用状態判定部23は、ステップSa3で判定した走行状態の判定結果を「走行状態」の項目に上書きし、ステップSa4で判定した乗降状態の判定結果を「乗降状態」の項目に上書きする。
利用状態判定部23は、「乗降状態判定時刻」の項目に書き込まれている時刻の情報を読み出す。利用状態判定部23は、計時部29に要求して時刻の情報を取得し、取得した時刻の情報を「乗降状態判定時刻」の項目に上書きする。
利用状態判定部23は、走行状態と乗降状態の判定結果が、直前に記録されていた走行状態と乗降状態と一致する場合、「乗降状態判定時刻」の項目に直前に記録されていた時刻と、計時部29から取得した時刻との時間差を算出する。利用状態判定部23は、「乗降状態継続時間」の項目に書き込まれている時間の情報を読み出し、読み出した時間と、算出した時間差とを加算し、加算値を「乗降状態継続時間」の項目に上書きする。
利用状態判定部23は、走行状態と乗降状態の判定結果が、直前に記録されていた走行状態と乗降状態と一致しない場合、継続時間をリセットするために「乗降状態継続時間」の項目に「0」を書き込む(ステップSa5)。
ステップSa5の処理が終了すると、利用状態判定部23は、ステップSa1において、次の車両IDを選択して、ステップSa2以降の処理を行う。全ての車両IDにおいて処理が終了すると、利用状態判定部23は、ステップSa1において、最初に選択した車両IDを再び選択して繰り返し処理を行う。
これにより、利用状態テーブル242を参照することで、車両1の最新の走行状態と、利用者7の乗降状態とを把握することができ、更に、同一状態の継続時間を把握することができる。そのため、利用者7が、車両1のエンジンを停止せずに、長い時間、車両1から離れている場合、例えば、災害対応を行っていると推定することができる。また、エンジンを停止して、長時間、車両1から離れている場合、例えば、何らかのトラブルが発生して車両1を放棄したと推定することができる。
(情報通知装置による通知処理)
図9は、情報通知装置2による通知処理の流れを示すフローチャートである。何らかの災害が発生し、緊急事態情報送信サーバ装置8が、緊急事態情報を送信する。情報通知装置2の緊急事態情報受信部25は、緊急事態情報送信サーバ装置8が送信した緊急事態情報を受信する(ステップSb1)。
緊急事態情報受信部25は、受信した緊急事態情報に含まれる情報に基づいて、通知が必要であるか否かを判定する(ステップSb2)。緊急事態情報受信部25は、通知が必要ないと判定した場合(ステップSb2、通知不要)、処理を終了する。一方、緊急事態情報受信部25は、通知が必要であると判定した場合(ステップSb2、通知要)、受信した緊急事態情報を車両選択部26に出力する。
車両選択部26は、車両情報テーブル241を参照して、「車両ID」及び「車両の位置情報」の項目から全ての車両1の車両ID及び位置情報を読み出す(ステップSb3)。車両選択部26は、読み出した全ての車両1の車両ID及び位置情報と、緊急事態情報受信部25から受けた緊急事態情報とに基づいて、通知の対象となる車両1を選択する。例えば、車両選択部26は、車両1の位置情報が、緊急事態情報に含まれる災害が発生した位置を中心とした一定の範囲に含まれている場合、当該車両1を緊急事態の影響を受ける車両1として通知することが必要な通知の対象となる車両1として選択する(ステップSb4)。
車両選択部26は、選択した車両1の車両IDを通知情報生成部27に出力する。通知情報生成部27及び送信部28は、通知情報生成部27が車両選択部26から受けた車両IDの各々について、以下のステップSb5からSb8の処理を繰り返し行う(ループLb1s~Lb1e)。
通知情報生成部27は、車両選択部26から受けた車両IDからいずれか1つの車両IDを処理対象として選択する。利用状態テーブル242において、処理対象の車両IDに対応するレコードの「乗降状態」の項目に書き込まれている乗降状態の情報を参照する。通知情報生成部27は、参照した乗降状態の情報が「乗車中」であるか、または、「降車中」であるかを判定する(ステップSb5)。
通知情報生成部27は、乗降状態の情報が「降車中」であると判定した場合(ステップSb5、降車中)、通知情報生成部27は、処理対象の車両IDに対応する車両アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27は、読み出した車両アドレス情報を宛先として、例えば、クラクションを鳴らす制御情報を含む通知情報を生成する(ステップSb6)。
通知情報生成部27は、処理対象の車両IDに対応する携帯端末装置アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27は、読み出した携帯端末装置アドレス情報を宛先として緊急事態の発生を知らせるメッセージを含む通知情報を生成する(ステップSb7)。
一方、通知情報生成部27は、乗降状態の情報が「乗車中」であると判定した場合(ステップSb5、乗車中)、通知情報生成部27は、ステップSb6の処理を行わず、ステップSb7の処理を行う。
送信部28は、通知情報生成部27が生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって通知情報を送信する(ステップSb8)。
通知情報に含まれる宛先が車両1である場合、車両1の通信装置10は、情報通知装置2から通知情報を受信し、受信した通知情報を制御装置11に出力する。制御装置11は、通知情報に含まれる制御情報にしたがって、報知部17が備えるクラクションを鳴らす。通知情報に含まれる宛先が利用者7の携帯端末装置6である場合、携帯端末装置6は、情報通知装置2から通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる緊急事態の発生を知らせるメッセージを画面に表示する。
ループ処理(Lb1s~Lb1e)の処理が終了すると、車両選択部26は、内部のタイマを起動して一定時間待機する(ステップSb9)。車両選択部26は、タイマが満了すると再びステップSb3の処理を行う。
上記の第1実施形態の構成により、例えば、利用者7が車両1を停止させて降車している場合、何らかの災害対応の作業をしていて携帯端末装置6に送信した通知情報には気が付かない場合であっても、車両1のクラクションを遠隔で鳴らすことにより、災害の発生に気付きやすくすることができる。また、利用者7は、携帯端末装置6が受信する通知情報を参照することで災害の詳細を確認することができる。
したがって、車両1から利用者7が離れている場合に限って、車両1はクラクションを鳴らすことができるので、車両1が停止している場合であっても不要な場合、例えば、車両1が渋滞で動けないような場合に、突然クラクションが鳴るような状況を避けることができる。そのため、車両1の利用状態、すなわち利用者7の乗降状態を考慮して、車両1の利用者7に対して、情報を通知することができる。
(第2実施形態)
次に、図10から図17を参照しつつ第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の情報通知システムを説明の便宜上、「Sa」の符号を付して情報通知システムSaとして説明する。第2実施形態の情報通知システムSaは、第1実施形態の情報通知システムSにおいて、情報通知装置2が、情報通知装置2aに置き換えられた構成である。第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
図10は、第2実施形態の情報通知装置2aの構成を示すブロック図である。情報通知装置2aは、車両状態情報受信部20a、車両位置情報受信部21、車両状態情報記憶部22a、利用状態判定部23、記憶部24a、緊急事態情報受信部25、車両選択部26a、通知情報生成部27a、送信部28、計時部29、安全領域到達時間算出部30、地図情報記憶部31、渋滞区間算出部32、及び被災予測処理部33を備える。
車両状態情報受信部20aは、車両1の通信装置10から車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報の種類を検出し、検出した種類に応じた車両状態情報記憶部22aのテーブルに受信した車両状態情報を書き込んで記憶させる。
第2実施形態では、車両1の制御装置11において、車両状態情報に含める制御状態を示す情報として、回転数情報及びドア開閉情報に加えて、制御装置11がペダル部13から取得するペダル操作情報が定められている。そのため、第2実施形態の車両状態情報受信部20aは、3種類の車両状態情報を受信する。
制御装置11は、取得したペダル操作情報を含む車両状態情報を生成して通信装置10に出力する。通信装置10は、制御装置11が出力する車両状態情報に車両IDと時刻の情報を付与して情報通知装置2に送信する。
車両状態情報記憶部22aは、図3に示した回転数情報テーブル221と図4に示したドア開閉情報テーブル222に加えて、図11に示すペダル操作情報テーブル223を記憶する。なお、ペダル操作情報テーブル223は、車両1が複数存在する場合、車両1ごとに生成されるテーブルである。
ペダル操作情報テーブル223は、「車両ID」、「時刻」、「ペダル操作情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両状態情報受信部20aがペダル操作情報テーブル223を生成する際、車両状態情報に付与されている車両IDの情報が車両状態情報受信部20aによって書き込まれる。「時刻」の項目には、車両状態情報に付与されている時刻の情報が車両状態情報受信部20aによって書き込まれる。
「ペダル操作情報」の項目には、車両状態情報に含まれているペダル操作を示すペダル操作情報が車両状態情報受信部20aによって書き込まれる。車両状態情報受信部20aは、レコードを追加する際、一番上の行に追加するレコードを生成するため、ペダル操作情報テーブル223には、ペダル操作情報が上から順に時系列で記録されることになる。なお、ペダル操作情報は、利用者7によってペダル部13が備えるアクセルペダルが踏み込まれた状態を示す「アクセル」、または、利用者7によってペダル部13が備えるブレーキペダルが踏み込まれた状態を示す「ブレーキ」のいずれかの情報である。
地図情報記憶部31は、例えば、図12に示すような地図情報600を予め記憶する。地図情報600は、一般的な地図情報が含む地形の情報、市役所や学校などの主要な場所の情報、及び住所など等の情報の他に、道路の経路情報と、災害における危険度を示すハザード情報とを含んでいる。なお、道路の経路情報には、道路において渋滞している区間を示す渋滞区間の情報が関連づけられている。
地図情報600において危険度を示すハザード情報とは、例えば、図12に示すレッドゾーン620、イエローゾーン621、グリーンゾーン622の領域を示す情報である。地図情報600において、符号605のハッチング領域は、海の領域を示しており、符号630の領域が道路である。海の領域605の海岸線から境界線610までの領域が、例えば、津波の災害が発生した場合に危険度の高いレッドゾーン620となる。境界線610から境界線611までの領域が、レッドゾーン620よりも危険度が低いイエローゾーン621であり、境界線611より左の領域が、津波の影響を受けない安全な領域であるグリーンゾーン622となる。以下、グリーンゾーン622を安全領域ともいう。
安全領域到達時間算出部30は、車両1の位置情報と、地図情報600の道路の経路情報及び渋滞区間の情報とに基づいて、車両1がグリーンゾーン622に最短の時間で到達する経路を検出する。また、安全領域到達時間算出部30は、検出した経路における到達時間を算出する。
記憶部24aは、図5に示した車両情報テーブル241と図6に示した利用状態テーブル242に加えて、図13に示す安全領域到達時間テーブル243を記憶する。安全領域到達時間テーブル243は、「車両ID」、「安全領域到達時間」、「最短経路情報」の項目を有する。
「車両ID」の項目には、車両IDが予め書き込まれる。「安全領域到達時間」の項目には、安全領域到達時間算出部30が算出した最短の到達時間の情報が安全領域到達時間算出部30によって書き込まれる。なお、安全領域到達時間の単位は、例えば、「分」である。「最短経路情報」の項目には、安全領域到達時間算出部30が最短の到達時間を算出した際の経路を示す経路情報が安全領域到達時間算出部30によって書き込まれる。
渋滞区間算出部32は、車両状態情報記憶部22aのペダル操作情報テーブル223が記憶するペダル操作情報に基づいて渋滞が発生している位置の検出を行う。また、渋滞区間算出部32は、記憶部24aの利用状態テーブル242に基づいて渋滞が発生している位置の検出を行う。また、渋滞区間算出部32は、検出した渋滞が発生している位置を示す位置情報に基づいて、地図情報記憶部31の地図情報600の道路の経路情報に関連付けられている渋滞区間の情報の更新を行う。
被災予測処理部33は、緊急事態情報受信部25が受信する緊急事態情報に含まれる情報と、計時部29から取得する時刻の情報とに基づいて、例えば、地図情報600のイエローゾーン621の全域が被災すると予想される時刻(以下、イエローゾーン621の被災予想時刻という)の算出を行う。
車両選択部26aは、緊急事態情報に含まれている緊急事態が発生した位置を示す情報と、車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目の位置情報とに基づいて、緊急事態の影響を受ける車両1を選択する。また、車両選択部26aは、被災予測処理部33が算出した被災予想時刻と、計時部29から取得した時刻と、安全領域到達時間算出部30が算出した最短の到達時間とに基づいて、グリーンゾーン622に到達するまでに被災すると推定することができる車両1を検出し、検出した車両1を通知の対象として選択する。
通知情報生成部27aは、車両選択部26aが通知の対象として選択した車両1の利用者7に対して通知する通知情報を、利用状態テーブル242及び安全領域到達時間テーブル243が記憶する情報に基づいて生成する。
(渋滞区間の算出処理(その1))
次に、図14から図16を参照しつつ渋滞区間算出部32による処理について説明する。図14は、渋滞区間算出部32が、ペダル操作情報テーブル223が記憶するペダル操作情報に基づいて渋滞区間の算出を行う処理の流れを示すフローチャートである。
第2実施形態では、車両状態情報受信部20aは、車両1の制御装置11がペダル部13から取得するペダル操作情報を含む車両状態情報を車両1の通信装置10から受信する。車両状態情報受信部20aは、車両1の通信装置10からペダル操作情報を含む車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報を、当該車両状態情報付与されている車両IDに対応するペダル操作情報テーブル223に書き込む。
上記の車両状態情報受信部20aによる処理が継続して行われている状態において、渋滞区間算出部32は、車両情報テーブル241の「車両ID」の項目に書き込まれているいずれか1つの車両IDを選択する。例えば、渋滞区間算出部32は、車両情報テーブル241の一番上のレコードの車両ID「1」を選択したとする(ステップSc1)。
渋滞区間算出部32は、ペダル操作情報テーブル223のうち「車両ID」の項目が「1」であるペダル操作情報テーブル223を参照する。渋滞区間算出部32は、参照したペダル操作情報テーブル223から、最新のレコードから順に判定に必要な一定量のレコードを読み出す(ステップSc2)。
渋滞区間算出部32は、読み出したペダル操作情報を時系列に並べて、予め定められる渋滞状態を示す幾つかのパターンに一致するか否かを判定する(ステップSc3)。ここで、予め定められる渋滞状態を示すパターンとは、例えば、図15(a)に示すようなパターンのことである。
図15は、ペダル操作情報を時系列に並べたパターンを示しており、ペダル操作情報の「ブレーキ」を白丸で示し、ペダル操作情報の「アクセル」を星印で示している。渋滞している道路では、例えば、利用者7は、短時間アクセルペダルを踏んだ後、長時間ブレーキペダルを踏み込む操作を繰り返し行う。この状態を、ペダル操作情報によって示すと、図15(a)のようなパターンになる。これに対して、図15(b)に示すように、アクセルペダルが継続して踏み込まれている場合、渋滞していない状態であると推定することができる。
渋滞区間算出部32は、図15(a)のような渋滞している状態を示すパターンを予め幾つか記憶しておく。渋滞区間算出部32は、ステップSc3の処理において、読み出したペダル操作情報のパターンが、いずれかの渋滞状態を示すパターンに一致したと判定した場合(ステップSc3、Yes)、車両ID「1」の最新の位置情報を車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目から読み出す(ステップSc4)。
渋滞区間算出部32は、地図情報記憶部31に対して、読み出した車両ID「1」の位置情報に基づいて、地図情報600の道路の経路情報に関連付けられている渋滞区間を追加して渋滞区間の更新を行う(ステップSc5)。
例えば、既に渋滞区間が存在している状態において、位置情報の位置を加える場合、位置情報が渋滞区間から予め定められる所定の距離内に存在すれば、渋滞区間を当該位置情報の位置まで延長する。一方、位置情報が所定の距離内に存在していない場合、当該位置情報が示す位置が、新たな渋滞区間の起点となる。
渋滞区間算出部32は、ステップSc3の処理において、読み出したペダル操作情報のパターンが、全ての渋滞状態を示すパターンに一致しないと判定した場合(ステップSc3、No)、車両ID「1」の最新の位置情報を車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目から読み出す(ステップSc6)。
渋滞区間算出部32は、地図情報記憶部31の地図情報600の道路の経路情報に、読み出した車両ID「1」の位置情報が含まれている場合、当該渋滞区間の一部、または、全部を削除して渋滞区間の更新を行う(ステップSc7)。例えば、渋滞区間が予め定められる所定の距離より短い区間であれば、渋滞区間の全部を削除し、渋滞区間が予め定められる所定の距離より長い区間であれば、当該位置情報を中心とした一定長の渋滞区間を削除する。
ステップSc6またはステップSc7の処理が終了すると、渋滞区間算出部32は、ステップSc1において、次の車両IDを選択して、ステップSc2以降の処理を行う。全ての車両IDにおいて処理が終了すると、渋滞区間算出部32は、ステップSc1において、最初に選択した車両IDを再び選択して繰り返し処理を行う。
(渋滞区間の算出処理(その2))
図16は、渋滞区間算出部32が、利用状態テーブル242が記憶する走行状態などの情報に基づいて渋滞区間の算出を行う処理の流れを示すフローチャートである。渋滞区間算出部32は、利用状態テーブル242を参照して「走行状態」が停止中で「乗降状態」が乗車中の車両1の車両ID、または、「走行状態」がエンジン停止中で「乗降状態」が降車中の車両1の車両IDを検出する(ステップSd1)。
「走行状態」が停止中で「乗降状態」が乗車中の車両1は、利用者7が車両1を運転している際に停車している状態であり、この状態が一定時間継続している場合、車両1がほとんど動いておらず、車両1の付近で渋滞が発生していると推定することができる。また、「走行状態」がエンジン停止で「乗降状態」が降車中の車両1は、エンジンを停止して利用者7が車両1から離れている状態であり、この状態が一定時間継続している場合、何らかのトラブルが発生して車両1を放棄したと推定することができる。また、車両1を放棄していることから、その位置付近で渋滞が発生していると推定することができる。
渋滞区間算出部32は、検出した車両IDの各々について、ステップSd2からステップSd4の処理を繰り返し行う(ループLd1s~Ld1e)。
渋滞区間算出部32は、検出した車両IDのいずれか1つ車両IDを処理対象として選択する。渋滞区間算出部32は、利用状態テーブル242において、処理対象の車両IDに対応する「乗降状態継続時間」の項目に書き込まれている継続時間の情報を読み出す。渋滞区間算出部32は、読み出した継続時間が、予め定められる継続時間閾値を超えているか否かを判定する(ステップSd2)。
渋滞区間算出部32は、読み出した継続時間が、予め定められる継続時間閾値を超えていると判定した場合(ステップSd2、Yes)、処理対象の車両IDの最新の位置情報を車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目から読み出す(ステップSd3)。渋滞区間算出部32は、上述したステップSc5と同様に、読み出した位置情報を地図情報600の道路の経路情報に関連付けて渋滞区間を追加する更新を行う(ステップSd4)。
一方、渋滞区間算出部32は、読み出した継続時間が、予め定められる継続時間閾値を超えていないと判定した場合(ステップSd2、No)、渋滞区間算出部32は、次の車両IDを選択してステップSd2の処理を行う。
全ての車両IDについてループ内の処理が終了すると、渋滞区間算出部32は、再びステップSd1の処理を行う。図14の処理と図16に示す処理を、複数の車両1に対して繰り返し行うことにより、地図情報600の道路の経路情報に関連付けられている渋滞区間の情報が常に更新されることになる。
(情報通知装置による通知処理)
図17は、情報通知装置2aによる通知処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、災害として、例えば、時間の経過にしたがって被災領域が拡大する津波が発生したとする。緊急事態情報送信サーバ装置8は、津波が発生したことを示す緊急事態情報を送信する。
ステップSe1,Se2は、図9に示した第1実施形態のステップSb1,Sb2と同様の処理が、緊急事態情報受信部25によって行われる。なお、ステップSe2において、緊急事態情報受信部25は、通知が必要であると判定した場合、受信した緊急事態情報を車両選択部26aと被災予測処理部33に出力する。
車両選択部26aは、車両情報テーブル241を参照して、「車両ID」及び「車両の位置情報」の項目から全ての車両1の車両ID及び位置情報を読み出す(ステップSe3)。車両選択部26aは、読み出した全ての車両1の車両ID及び位置情報と、緊急事態情報受信部25から受けた緊急事態情報とに基づいて、緊急事態の影響を受ける車両1を選択する。例えば、車両選択部26aは、車両1の位置情報が、緊急事態情報に含まれる津波が発生した位置を中心とした一定の範囲に含まれている場合、当該車両1を緊急事態の影響を受ける車両1として選択する(ステップSe4)。
車両選択部26aは、ステップSe4の処理において選択した車両IDの情報を安全領域到達時間算出部30に出力する。安全領域到達時間算出部30、被災予測処理部33、通知情報生成部27a、及び送信部28は、安全領域到達時間算出部30が車両選択部26aから受けた車両IDの各々について、以下のステップSe5からステップSe11の処理を繰り返し行う(ループLe1s~Le1e)。
安全領域到達時間算出部30は、車両選択部26aから受けた車両IDからいずれか1つの車両IDを処理対象として選択する。安全領域到達時間算出部30は、処理対象の車両IDに対応する車両情報テーブル241のレコードを参照し「車両の位置情報」の項目から処理対象の車両1の位置情報を読み出す。安全領域到達時間算出部30は、読み出した処理対象の車両1の位置情報と、地図情報600の道路の経路情報及び渋滞区間の情報とに基づいて処理対象の車両1がグリーンゾーン622に最短の時間で到達する経路を検出する。また、安全領域到達時間算出部30は、検出した経路における到達時間を算出する。
安全領域到達時間算出部30は、安全領域到達時間テーブル243に、処理対象の車両IDのレコードを生成し、生成したレコードの「車両ID」に処理対象の車両IDを書き込む。安全領域到達時間算出部30は、生成したレコードの「安全領域到達時間」の項目に算出した最短の到達時間を書き込み、「最短経路情報」の項目に、検出した経路情報を書き込む(ステップSe5)。
被災予測処理部33は、計時部29から時刻の情報を取得し、緊急事態情報受信部25から受けた緊急事態情報に含まれる津波に関する情報に基づいて、地図情報600のイエローゾーン621の被災予想時刻を算出する(ステップSe6)。
車両選択部26aは、安全領域到達時間テーブル243を参照し、処理対象の車両IDに対応するレコードの「安全領域到達時間」の項目に書き込まれている最短の到達時間を読み出す。車両選択部26aは、計時部29から時刻を取得し、取得した時刻に読み出した最短の到達時間を加えてグリーンゾーン622への到達予定時刻を算出する。
車両選択部26aは、到達予定時刻が、被災予測処理部33が算出した被災予想時刻を超えているか否か、すなわち到達予定時刻が、被災予想時刻よりも後の時刻になっているか否かを判定する(ステップSe7)。
車両選択部26aは、到達予定時刻が被災予想時刻を超えていないと判定した場合(ステップSe7、No)、処理対象の車両IDの車両1は、被災せずにグリーンゾーン622に到達することができるものとして通知の対象として選択しない。この場合、安全領域到達時間算出部30は、次の車両IDを処理対象としてステップSe5の処理を開始する。
一方、車両選択部26aは、到達予定時刻が被災予想時刻を超えていると判定した場合(ステップSe7、Yes)、処理対象の車両IDの車両1を通知の対象として通知情報生成部27aに出力する。
ステップSe8,Se9は、第1実施形態のステップSb5,Sb6と同様の処理が、通知情報生成部27aによって行われる。
通知情報生成部27aは、処理対象の車両IDに対応する携帯端末装置アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27aは、処理対象の車両IDに対応する最短の経路情報を安全領域到達時間テーブル243の「最短経路情報」の項目から読み出す。通知情報生成部27aは、読み出した携帯端末装置アドレス情報を宛先として、緊急事態が発生したことを知らせるメッセージ、及び最短の経路を示す経路情報を含む通知情報を生成する(ステップSe10)。
送信部28は、通知情報生成部27aが生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって通知情報を送信する(ステップSe11)。
通知情報に含まれる宛先が車両1である場合、車両1の通信装置10は、情報通知装置2aから通知情報を受信し、受信した通知情報を制御装置11に出力する。制御装置11は、通知情報に含まれる制御情報にしたがって、報知部17が備えるクラクションを鳴らす。通知情報に含まれる宛先が利用者7の携帯端末装置6である場合、携帯端末装置6は、情報通知装置2aから通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる緊急事態が発生したことを知らせるメッセージ及び最短の経路を示す経路情報を画面に表示する。
ループ処理(Le1s~Le1e)の処理が終了すると、車両選択部26aは、内部のタイマを起動して一定時間待機する(ステップSe12)。車両選択部26aは、タイマが満了すると再びステップSe3の処理を行う。
上記の第2実施形態の構成により、例えば、利用者7が車両1を停止させて降車している場合、何らかの災害対応の作業をしていて携帯端末装置6に送信した通知情報には気が付かない場合であっても、車両1のクラクションを遠隔で鳴らすことにより、グリーンゾーン622に避難することを開始しなければならないことを知らせることができる。また、利用者7は、携帯端末装置6が受信する通知情報を参照することで災害の詳細やグリーンゾーン622までの最短の避難経路を確認することができる。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られるので、車両1の利用状態、すなわち利用者7の乗降状態を考慮して、車両1の利用者7に対して、情報を通知することができる。
なお、上記の第2実施形態の構成では、渋滞区間算出部32が、車両1から得られるペダル操作情報と、利用状態判定部23が判定した走行状態、乗降状態、及び乗降状態の継続時間の情報を用いて渋滞区間を検出するようにしている。また、渋滞区間算出部32は、利用状態判定部23が求めた情報からも、渋滞区間を検出するようにしている。利用状態判定部23は、第1実施形態において説明したように、車両1から得られる回転数情報及びドア開閉情報を用いて、走行状態、乗降状態、及び乗降状態の継続時間を求めている。
したがって、渋滞区間算出部32は、車両1から得られる情報のみに基づいて渋滞区間の情報を得ることができている。そのため、災害が発生した際に、何らかのトラブルで、一般的なカーナビゲーションシステムが利用できない場合であっても、渋滞区間を検出することができるので、グリーンゾーン622に到達できるまでの時間を正確に算出することができる。
また、上記の第2実施形態では、被災予測処理部33は、イエローゾーン621の被災予想時刻の算出をしているが、より安全を考慮して、レッドゾーン620の被災予想時刻を算出するようにしてもよい。
また、車両選択部26aは、ステップSe7において、グリーンゾーン622への到達予定時刻がイエローゾーン621の被災予想時刻を超えている場合、更に、その時間差が、予め定められる閾値を超えているか否かを判定するようにしてもよい。時間差が当該閾値を超えている場合、車両1を用いて避難しても間に合わない可能性があることを示すような閾値を設定することにより、利用者7に車両1を放棄して避難することを知らせることができる。例えば、当該閾値を超えている場合、通知情報生成部27aは、ステップSe9の処理において、クラクションを鳴らす制御情報に加えて、左右の方向指示ランプを点滅させるハザードランプの制御情報を通知情報に含めるようにしてもよい。ハザードランプの点滅の意味として、車両1を放棄して避難することとして事前に決めておくことにより、利用者7に車両1を放棄して避難することを知らせることができる。この場合、通知情報生成部27aは、ステップSe10の処理において、最短の経路情報を示す代わりに、車両1を放棄して避難する指示を含んだ通知情報を生成するようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、図18から図22を参照しつつ第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の情報通知システムを説明の便宜上、「Sb」の符号を付して情報通知システムSbとして説明する。第3実施形態の情報通知システムSbは、第1実施形態の情報通知システムSにおいて、情報通知装置2が、図10に示す情報通知装置2bに置き換えられた構成である。第1及び第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
図18は、第3実施形態の情報通知装置2bの構成を示すブロック図である。情報通知装置2bは、車両状態情報受信部20b、車両位置情報受信部21、車両状態情報記憶部22b、利用状態判定部23b、記憶部24b、緊急事態情報受信部25、車両選択部26b、通知情報生成部27b、送信部28、計時部29、及び目的地情報受信部34を備える。
第3実施形態では、利用者7は車両1の利用を開始する際、車両1の目的地を予め決めて、決めた目的地を情報通知装置2aに登録してから車両1の利用を開始する。目的地の登録処理は、例えば、車両1の表示入力装置12を用いて行われる。例えば、車両1の表示入力装置12は、利用者7の操作入力を受けて目的地を示す目的地情報を取り込む。表示入力装置12は、目的地情報を通信装置10に出力する。通信装置10は、目的地情報に車両1の車両IDを付与して情報通知装置2aに送信する。
情報通知装置2aの目的地情報受信部34は、車両1の通信装置10が送信する目的地情報を受信し、受信した目的地情報に付与されている車両IDに基づいて、記憶部24bが記憶するテーブルに受信した目的地情報を書き込む。
また、第3実施形態では、車両1の制御装置11において、車両状態情報に含める制御状態を示す情報として、制御装置11が燃料計測部15から取得する燃料残量情報が定められている。そのため、第3実施形態の車両状態情報受信部20bは、1種類の車両状態情報を受信することになる。
制御装置11は、取得した燃料残量情報を含む車両状態情報を生成して通信装置10に出力する。通信装置10は、制御装置11が出力する車両状態情報に車両IDと時刻の情報を付与して情報通知装置2に送信する。
車両状態情報受信部20bは、車両1の通信装置10から燃料残量情報を含む車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報を車両状態情報記憶部22bが記憶するテーブルに書き込んで記憶させる。
車両状態情報記憶部22bは、図19に示す燃料残量情報テーブル224を記憶する。なお、燃料残量情報テーブル224は、車両1が複数存在する場合、車両1ごとに生成されるテーブルである。
燃料残量情報テーブル224は、「車両ID」、「時刻」、「燃料残量情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両状態情報受信部20bが燃料残量情報テーブル224を生成する際、車両状態情報に付与されている車両IDの情報が車両状態情報受信部20bによって書き込まれる。「時刻」の項目には、車両状態情報に付与されている時刻の情報が車両状態情報受信部20bによって書き込まれる。「燃料残量情報」の項目には、車両状態情報に含まれている燃料残量情報が車両状態情報受信部20bによって書き込まれる。車両状態情報受信部20bは、レコードを追加する際、一番上の行に追加するレコードを生成するため、燃料残量情報テーブル224には、燃料残量情報が上から順に時系列で記録されることになる。なお、燃料残量情報の単位は、例えば、リットルである。
利用状態判定部23bは、燃料残量情報テーブル224が記憶する燃料残量情報に基づいて、燃料残量に応じた車両1のグループ分けを行う。また、利用状態判定部23は、車両1が属するグループを示す情報を記憶部24bが記憶するテーブルに書き込んで記憶させる。
記憶部24bは、図5に示す車両情報テーブル241と、図20に示す利用状態テーブル242bを記憶する。利用状態テーブル242bは、「車両ID」、「目的地」、「燃料残量グループ」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両IDが予め書き込まれる。
「目的地」の項目には、目的地情報受信部34が通信装置10から受信した目的地情報が目的地情報受信部34によって書き込まれる。「燃料残量グループ」の項目には、燃料残量グループを示す情報が利用状態判定部23bによって書き込まれる。ここで、燃料残量グループを示す情報とは、十分に燃料が残っていることを示す「多」、残っている燃料が少ないことを示す「少」、燃料の残量が「多」と「少」の間の状態である「普通」のいずれかである。
車両選択部26bは、緊急事態情報に含まれている緊急事態が発生した位置を示す情報と、車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目の位置情報とに基づいて、緊急事態の影響を受ける車両1を選択する。また、車両選択部26bは、緊急事態の影響を受ける車両1の中から燃料残量グループが「少」の車両1を通知の対象として選択する。
通知情報生成部27bは、車両選択部26bが通知の対象として選択した車両1の目的地が、燃料残量グループが「多」の車両1の目的地のいずれかに一致するか否かを判定する。通知情報生成部27bは、通知の対象となる車両1の目的地が、燃料残量グループが「多」の車両1の目的地のいずれかに一致していない場合、当該通知の対象となる車両1の利用者7に対して通知する通知情報を、利用状態テーブル242bの情報に基づいて生成する。
(利用状態判定部による処理)
図21は、利用状態判定部23bによる処理の流れを示すフローチャートである。第3実施形態では、車両状態情報受信部20bは、車両1の制御装置11が燃料計測部15から取得する燃料残量情報を含む車両状態情報を車両1の通信装置10から一定の周期で受信する。車両状態情報受信部20bは、車両1の通信装置10から燃料残量情報を含む車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報を、当該車両状態情報付与されている車両IDに対応する燃料残量情報テーブル224に書き込む。
上記の車両状態情報受信部20bによる処理が継続して行われている状態において、利用状態判定部23bは、車両情報テーブル241の「車両ID」の項目に書き込まれているいずれか1つの車両IDを選択する。例えば、利用状態判定部23bは、車両情報テーブル241の一番上のレコードの車両ID「1」を選択したとする(ステップSf1)。
利用状態判定部23bは、記憶部24bにおいて、燃料残量情報テーブル224のうち「車両ID」の項目が「1」である燃料残量情報テーブル224を参照する。利用状態判定部23bは、参照した燃料残量情報テーブル224から、最新のレコードの「燃料残量情報」の項目に書き込まれている燃料残量情報を読み出す(ステップSf2)。
利用状態判定部23bは、燃料残量情報と、予め定められている第1閾値と第2閾値に基づいて、車両ID「1」の車両1のグループを判定する(ステップSf3)。ここで、第1閾値は、第2閾値よりも大きい値であるとする。利用状態判定部23bは、燃料残量情報が、第1閾値を超えていると判定した場合(ステップSf3、多)、利用状態テーブル242bの車両ID「1」に対応するレコードの「燃料残量グループ」に「多」を書き込む(ステップSf4)。
利用状態判定部23bは、燃料残量情報が、第1閾値以下であって、第2閾値を超えている判定した場合(ステップSf3、普通)、利用状態テーブル242bの車両ID「1」に対応するレコードの「燃料残量グループ」に「普通」を書き込む(ステップSf5)。
利用状態判定部23bは、燃料残量情報が、第2閾値以下であると判定した場合(ステップSf3、少)、利用状態テーブル242bの車両ID「1」に対応するレコードの「燃料残量グループ」に「少」を書き込む(ステップSf6)。
ステップSf4、または、ステップSf5、または、ステップSf6の処理が終了すると、利用状態判定部23bは、ステップSf1において、次の車両IDを選択して、ステップSf2以降の処理を行う。全ての車両IDにおいて処理が終了すると、利用状態判定部23bは、ステップSf1において、最初に選択した車両IDを再び選択して繰り返し処理を行う。
これにより、全ての車両1は、最新の燃料残量に応じていずれかの燃料残量グループに分類されることになる。図21に示す利用状態判定部23bによる処理は繰り返し行われるため、走行中の車両1の場合、当初は「多」の燃料残量グループに属していたとしても、走行時間の経過とともに燃料を消費するため、「普通」の燃料残量グループになり、最終的に「少」の燃料残量グループになる。
(情報通知装置による通知処理)
図22は、情報通知装置2bによる通知処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、利用者7は、車両1の利用を開始する前に表示入力装置12を操作して目的地の登録を行う。目的地情報受信部34は、車両1の通信装置10が送信する目的地情報を受信する。目的地情報受信部34は、受信した目的地情報に付与されている車両IDに対応する利用状態テーブル242bのレコードの「目的地」の項目に受信した目的地情報を書き込む。これにより、利用状態テーブル242bは、例えば、図20に示すような情報を記憶しているものとする。
図22において、ステップSg1,Sg2の処理は、図9に示した第1実施形態のステップSb1,Sb2と同様の処理が、緊急事態情報受信部25によって行われる。また、ステップSg3,Sg4の処理は、図17に示した第2実施形態のステップSe3,Se4と同様の処理が、車両選択部26bによって行われる。
車両選択部26bは、燃料残量グループが「少」になっている車両IDの車両1を通知の対象として選択する(ステップSg5)。ここでは、図20に示すように、燃料残量グループが「少」に対応する車両IDは「2」,「4」であるため、車両選択部26bは、車両ID「2」,「4」を選択する。車両選択部26bは、車両ID「2」,「4」を通知情報生成部27bに出力する。
通知情報生成部27b、及び送信部28は、燃料残量グループが「少」の車両IDについて、ステップSg6からステップSg9の処理を繰り返し行う(ループLg1s~Lg1e)。
通知情報生成部27bは、燃料残量グループが「多」になっている車両IDに対応する目的地情報を抽出する(ステップSg6)。図20において、「多」に対応する車両IDは「1」,「5」であるため、通知情報生成部27bは、車両IDは「1」,「5」に対応する目的地情報である「市役所」と「第3小学校」を抽出する。
通知情報生成部27bは、処理対象の燃料残量グループが「少」の車両1の目的地が、燃料残量グループが「多」の車両1の目的地のいずれかに一致するか否かを判定する(ステップSg7)。通知情報生成部27bが、最初の処理対象として、車両ID「2」を選択したとする。通知情報生成部27bは、車両ID「2」の目的地情報である「第4中学校」が、燃料残量グループが「多」の車両ID「1」,「5」の目的地情報のいずれかに一致するか否かを判定する。
車両ID「2」の目的地は、「第4中学校」であり、燃料残量グループが「多」の車両ID「1」,「5」の目的地情報は、それぞれ「市役所」、「第3中学校」である。そのため、通知情報生成部27bは、車両ID「2」については目的地が一致しないと判定する(ステップSg7、一致しない)。
通知情報生成部27bは、処理対象の車両ID「2」に対応する携帯端末装置アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27bは、読み出した携帯端末装置アドレスを宛先として、目的地を「市役所」または「第3中学校」のいずれかに変更することを促すメッセージを含む通知情報を生成する(ステップSg8)。
送信部28は、通知情報生成部27bが生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって車両ID「2」の車両1を利用する利用者7の携帯端末装置6に通知情報を送信する(ステップSg9)。
携帯端末装置6は、情報通知装置2bから通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる目的地を「市役所」または「第3中学校」のいずれかに変更することを促すメッセージを画面に表示する。
通知情報生成部27bは、次に車両ID「4」を選択する。通知情報生成部27bは、再び燃料残量グループが「多」の車両1の目的地情報を抽出する(ステップSg6)。ここでは、利用状態テーブル242bが記憶する燃料残量グループの情報は変化していないものとする。したがって、通知情報生成部27bは、燃料残量グループが「多」の車両1、すなわち車両ID「1」、「5」の目的地情報である「市役所」と「第3小学校」を抽出する。
通知情報生成部27bは、車両ID「4」の目的地である「市役所」が、燃料残量グループが「多」の車両ID「1」,「5」の目的地情報のいずれかに一致するか否かを判定する(ステップSg7)。
車両ID「4」の目的地は、「市役所」であり、車両ID「1」,「5」の目的地は、それぞれ「市役所」、「第3中学校」である。そのため、通知情報生成部27bは、車両ID「4」については一致すると判定する(ステップSg7、一致する)。通知情報生成部27bは、次の処理対象の車両IDが存在しないためループ処理(ループLg1s~Lg1e)を抜けて処理を終了する。
ループ処理(Lg1s~Lg1e)の処理が終了すると、車両選択部26bは、内部のタイマを起動して一定時間待機する(ステップSg10)。車両選択部26bは、タイマが満了すると再びステップSg3の処理を行う。
例えば、災害が発生した場合、ガソリンスタンドが使えなくなると、燃料の補給ができなくなるため車両1を利用することができない事態が発生する可能性がある。そのような場合であっても、上記の第3実施形態の構成の情報通知システムSbによれば、燃料残量が少ない車両1の利用者に目的地の変更を促して、燃料残量が多い車両1の目的地に向かわせることができる。すなわち、車両1の燃料の利用状態である燃料残量に基づいて、車両1の利用者7に対して、適切な情報の通知を行うことができる。そして、当該目地点において、合流した際に、燃料残量の多い車両1の燃料を燃料残量の少ない車両1に分け与えることで利用できる車両1の台数を減らさないようにすることができる。
なお、上記の第3実施形態の構成では、ステップSg8において、通知情報生成部27bは、処理対象の車両ID「2」の利用者7に対して、目的地を「市役所」または「第3中学校」のいずれかに変更することを促すメッセージを含む通知情報を生成している。この場合、車両ID「2」の利用者7が、目的地として「市役所」を選択すると、車両ID「4」と車両ID「2」の燃料残量が少ない2台の車両1が「市役所」に到達することになる。「市役所」には、燃料残量の多い車両1は車両ID「1」の一台しかないため分け与えることができる燃料が少なくなってしまう。したがって、車両ID「2」の利用者7が、目的地として「第3中学校」を選択するのが望ましいといえる。
このように、より適切な目的地を促すようにするため、例えば、通知情報生成部27bは、ステップSg7において一致しないと判定した場合、燃料残量グループが「多」の車両1の車両数と、燃料グループが「少」の車両1の車両数とが、目的地ごとに同数になるようにマッチング処理を行うようにしてもよい。このようなマッチング処理をすることで、例えば、上記の例では、通知情報生成部27bは、処理対象の車両ID「2」の利用者7に対して、2つの目的地を選択的に示すのではなく、「第3中学校」のみを示すメッセージに絞って通知情報を生成することができる。
また、上記の第3実施形態の構成では、ステップSg7において、通知情報生成部27bは、目的地が一致するか否かを判定している。これに対して、通知情報生成部27bが、内部に予め記憶する地図情報、または外部から取得する地図情報を用いて、燃料残量グループが「少」である車両1の目的地の周辺に、燃料残量グループが「多」の車両1の目的地が存在しているか否かを判定するようにしてもよい。ここで、周辺とは、例えば、容器に入った燃料を人が運ぶことができるような徒歩圏内などの範囲である。
また、上記の第3実施形態の構成では、目的地を登録する際、車両1の表示入力装置12を用いているが、利用者7が所持する携帯端末装置6を用いて目的地の登録をするようにしてもよい。
(第4実施形態)
次に、図23から図28を参照しつつ第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態の情報通知システムを説明の便宜上、「Sc」の符号を付して情報通知システムScとして説明する。第4実施形態の情報通知システムScは、第1実施形態の情報通知システムSにおいて、情報通知装置2が、図23に示す情報通知装置2cに置き換えられた構成である。第1、第2及び第3実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
図23は、第4実施形態の情報通知装置2cの構成を示すブロック図である。情報通知装置2cは、車両状態情報受信部20c、車両位置情報受信部21、車両状態情報記憶部22c、利用状態判定部23c、記憶部24c、緊急事態情報受信部25c、車両選択部26、通知情報生成部27c、送信部28、及び計時部29を備える。
第4実施形態では、車両1の制御装置11は、取得した制御状態のうち2種類の車両状態情報を通信装置10に出力する。一方の車両状態情報は、車内の空気の取り込みの状態が、外部導入状態であるか、内部循環状態であるかを示す車内空気情報である。制御装置11は、空調制御部101が、車内の空気の取り込み状態を切り替える際に出力する車内空気情報を取り込み、取り込んだ車内空気情報を含む車両状態情報を生成する。
他方の車両状態情報は、窓開閉情報を含む車両状態情報であり、車両1の制御装置11が、窓制御部102が、窓を開閉する際に出力する窓開閉情報を取り込み、取り込んだ窓開閉情報を含む車両状態情報を生成する。通信装置10は、制御装置11が出力する車両状態情報を取り込み、取り込んだ車両状態情報に車両IDと時刻の情報を付与して情報通知装置2cに送信する。
車両状態情報受信部20cは、車両1の通信装置10から車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報の種類を検出し、検出した種類に応じた車両状態情報記憶部22cのテーブルに受信した車両状態情報を書き込んで記憶させる。上記の通り、第4実施形態の車両状態情報受信部20cは、2種類の車両状態情報を受信する。
車両状態情報記憶部22cは、図24に示す車内空気情報テーブル225と、図25に示す窓開閉情報テーブル226とを記憶する。なお、車内空気情報テーブル225と窓開閉情報テーブル226は、車両1が複数存在する場合、車両1ごとに生成されるテーブルである。
車内空気情報テーブル225は、「車両ID」、「時刻」、「車内空気情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両状態情報受信部20cが車内空気情報テーブル225を生成する際、車両状態情報に付与されている車両IDの情報が車両状態情報受信部20cによって書き込まれる。「時刻」の項目には、車両状態情報に付与されている時刻の情報が車両状態情報受信部20cによって書き込まれる。
「車内空気情報」の項目には、車両状態情報に含まれている車内空気情報が車両状態情報受信部20cによって書き込まれる。車両状態情報受信部20cは、レコードを追加する際、一番上の行に追加するレコードを生成するため、車内空気情報テーブル225には、車内空気情報が上から順に時系列で記録されることになる。なお、車内空気情報は、外部導入状態であることを示す「外気導入」、または、内部循環状態であることを示す「内部循環」のいずれかの情報である。
図25に示す窓開閉情報テーブル226は、「車両ID」、「時刻」、「窓開閉情報」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両状態情報受信部20cが窓開閉情報テーブル226を生成する際、車両状態情報に付与されている車両IDの情報が車両状態情報受信部20cによって書き込まれる。「時刻」の項目には、車両状態情報に付与されている時刻の情報が車両状態情報受信部20cによって書き込まれる。
「窓開閉情報」の項目には、車両状態情報に含まれている窓開閉情報が車両状態情報受信部20cによって書き込まれる。車両状態情報受信部20cは、レコードを追加する際、一番上の行に追加するレコードを生成するため、窓開閉情報テーブル226には、窓開閉情報が上から順に時系列で記録されることになる。なお、窓開閉情報は、窓が開いていることを示す「開」、または、窓が閉じていることを示す「閉」のいずれかの情報である。
利用状態判定部23cは、車内空気情報テーブル225が記憶する車内空気情報、または、窓開閉情報テーブル226が記憶する窓開閉情報に基づいて、車両1の利用状態として、車両が車外の空気を取り込む状態であるか否かを判定する。また、利用状態判定部23cは、判定した結果を記憶部24cのテーブルに書き込んで記憶させる。
記憶部24cは、図5に示す車両情報テーブル241と、図26に示す利用状態テーブル242cを記憶する。利用状態テーブル242bは、「車両ID」、「外気取り込み状態」の項目を有する。「車両ID」の項目には、車両IDが予め書き込まれる。「外気取り込み状態」の項目には、外気を取り込む状態を示す「○」、または、外気を取り込まない状態を示す「×」の情報が利用状態判定部23cによって書き込まれる。
緊急事態情報受信部25cは、緊急事態情報送信サーバ装置8が送信する緊急事態情報を受信する。また、緊急事態情報受信部25cは、受信した緊急事態情報に含まれる情報に基づいて、車両1の利用者7に通知する必要がある緊急事態情報であるか否かを判定する。また、緊急事態情報受信部25cは、車両1の利用者7に通知する必要がある緊急事態情報であると判定した場合、緊急事態情報に空気の異常を示す情報が含まれているか否かを判定する。ここで、空気の異常を示す情報とは、例えば、放射能汚染等の情報である。
通知情報生成部27cは、車両選択部26が選択した車両1の中から、利用状態判定部23cが車外の空気を取り込む状態であると判定した車両1を抽出する。通知情報生成部27cは、抽出した車両1の制御装置11に内気循環状態に切り替えさせ、かつ、窓を閉じさせる制御を行わせる制御情報を含む通知情報を生成する。
(利用状態判定部による処理)
図27は、利用状態判定部23cによる処理の流れを示すフローチャートである。第4実施形態では、車両状態情報受信部20cは、車両1の制御装置11が空調制御部101から取得する車内空気情報を含む車両状態情報を車両1の通信装置10から受信する。また、車両状態情報受信部20cは、車両1の制御装置11が窓制御部102から取得する窓開閉情報を含む車両状態情報を車両1の通信装置10から受信する。
車両状態情報受信部20cは、受信した車両状態情報に車内空気情報が含まれている場合、受信した車両状態情報を、当該車両状態情報に付与されている車両IDに対応する車内空気情報テーブル225に追加して書き込む。また、車両状態情報受信部20cは、車両状態情報に窓開閉情報が含まれている場合、受信した車両状態情報を、当該車両状態情報に付与されている車両IDに対応する窓開閉情報テーブル226に追加して書き込む。
上記の車両状態情報受信部20cによる処理が継続して行われている状態において、利用状態判定部23cは、車両情報テーブル241の「車両ID」の項目に書き込まれているいずれか1つの車両IDを選択する。例えば、利用状態判定部23cは、車両情報テーブル241の一番上のレコードの車両ID「1」を選択したとする(ステップSh1)。
利用状態判定部23cは、記憶部24cにおいて、車内空気情報テーブル225のうち「車両ID」の項目が「1」である車内空気情報テーブル225を参照する。利用状態判定部23cは、参照した車内空気情報テーブル225から、最新のレコードの「車内空気情報」の項目に書き込まれている車内空気情報を読み出す。
利用状態判定部23cは、記憶部24cにおいて、窓開閉情報テーブル226のうち「車両ID」の項目が「1」である窓開閉情報テーブル226を参照する。利用状態判定部23cは、参照した窓開閉情報テーブル226から、最新のレコードの「窓開閉情報」の項目に書き込まれている窓開閉情報を読み出す(ステップSh2)。
利用状態判定部23cは、読み出した車内空気情報が「外気導入」であるか、または、読み出した窓開閉情報が「開」であるかを判定する(ステップSh3)。
利用状態判定部23cは、読み出した車内空気情報が「外気導入」であるか、または、読み出した窓開閉情報が「開」であると判定した場合(ステップSh3、Yes)、利用状態判定部23cは、利用状態テーブル242cの車両ID「1」のレコードの「外気取り込み状態」の項目に「○」を書き込む(ステップSh4)。
一方、利用状態判定部23cは、読み出した車内空気情報が「外気導入」でなく、かつ、読み出した窓開閉情報が「開」でないと判定した場合(ステップSh3、No)、利用状態判定部23cは、利用状態テーブル242cの車両ID「1」のレコードの「外気取り込み状態」の項目に「×」を書き込む(ステップSh5)。
ステップSh4、または、ステップSh5の処理が終了すると、利用状態判定部23cは、ステップSh1において、次の車両IDを選択して、ステップSh2以降の処理を行う。全ての車両IDにおいて処理が終了すると、利用状態判定部23cは、ステップSh1において、最初に選択した車両IDを再び選択して繰り返し処理を行う。
これにより、利用状態テーブル242を参照することで、車両1の最新の車内の空気の取り込み状態を把握することができる。
(情報通知装置による通知処理)
図28は、情報通知装置2bによる通知処理の流れを示すフローチャートである。図28において、ステップSk1,Sk2の処理は、図9に示した第1実施形態のステップSb1,Sb2と同様の処理が、緊急事態情報受信部25cによって行われる。
緊急事態情報受信部25cは、ステップSk2において、「通知要」の判定をした場合、緊急事態情報が、空気の異常を示す情報を含んでいるか否かを判定する(ステップSk3)。緊急事態情報受信部25cは、緊急事態情報が、空気の異常を示す情報を含んでいないと判定した場合(ステップSk3、No)、処理を終了する。
一方、緊急事態情報受信部25cは、緊急事態情報が、空気の異常を示す情報を含んでいると判定した場合(ステップSk3、Yes)、車両選択部26は、ステップSk4の処理を開始する。ステップSk4,Sk5の処理は、図9に示した第1実施形態の通知処理において、車両選択部26が行うステップSb3,Sb4と同様の処理が、車両選択部26によって行われる。なお、第4実施形態では、車両選択部26は、ステップSk5において、車両1を通知の対象として選択するのではなく、緊急事態の影響を受ける車両1として選択する。
通知情報生成部27cは、利用状態テーブル242cを参照し、ステップSk5において選択した車両1の車両IDに対応する「外気取り込み状態」の項目に「○」が書き込まれている車両IDを抽出する(ステップSk6)。
通知情報生成部27c及び送信部28は、通知情報生成部27cが抽出した車両IDの各々について、以下のステップSk7、ステップSk8の処理を繰り返し行う(ループLk1s~Lk1e)。
通知情報生成部27cは、抽出した車両IDからいずれか1つを処理対象として選択する。通知情報生成部27cは、処理対象の車両IDに対応する車両アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27cは、読み出した車両アドレス情報を宛先として、処理対象の車両IDの制御装置11に対する制御情報を含む通知情報を生成する。ここで、通知情報に含める制御情報とは、制御装置11が当該制御情報を取り込むことで、空調制御部101に内気循環に切り替えさせる処理を行わせ、窓制御部102に対して窓を閉じさせる処理を行わせる制御情報である(ステップSk7)。
送信部28は、通知情報生成部27cが生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって通知情報を送信し(ステップSe11)、処理を終了する。
車両1の通信装置10は、情報通知装置2cから通知情報を受信し、受信した通知情報を制御装置11に出力する。制御装置11は、通知情報に含まれる制御情報にしたがって空調制御部101に内気循環に切り替えさせる処理を行わせ、窓制御部102に対して窓を閉じさせる処理を行わせる。
上記の第4実施形態の構成により、例えば、放射能汚染等の空気に異常が生じる災害が発生した場合であっても、車外の空気を取り込む状態の車両1を抽出し、抽出した車両1の制御装置11に対して車外の空気を取り込まない状態に切り替えさせる制御を行うことが可能になる。そのため、車両1の利用者7が、災害の発生には気が付いているが、自らが運転する車両1が車外の空気を取り込む状態に気が付いていない場合であっても、自動的に車外の空気を取り込まない状態にすることができるので、放射能汚染のリスクを軽減することが可能になる。
また、上記の第4実施形態では、利用者7の携帯端末装置6に通知情報を送信していないが、通知情報生成部27cが、ステップSk7の処理の後、宛先を携帯端末装置アドレス情報として、空気に異常がある災害が発生したため、内気循環に切り替え、かつ窓を閉める処理を行ったことを示す通知情報を生成するようにしてもよい。
また、内気循環に切り替え、かつ窓を閉める処理を行うかどうかに関わらず、通知情報生成部27cが、以下のような通知情報を生成してもよい。例えば、通知情報生成部27cが、緊急事態情報に基づいて、車両1の位置情報が空気の異常がある領域に含まれているか否かを判定し、含まれていると判定した場合、空気の異常がある領域から退避させることを促す通知情報を生成するようにしてもよい。
(第5実施形態)
次に、図29から図37を参照しつつ第5実施形態について説明する。なお、第5実施形態の情報通知システムを説明の便宜上、「Sd」の符号を付して情報通知システムSdとして説明する。第5実施形態の情報通知システムSdは、第1実施形態の情報通知システムSにおいて、情報通知装置2が、図29に示す情報通知装置2dに置き換えられた構成である。第1、第2、第3及び第4実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
図29は、第5実施形態の情報通知装置2dの構成を示すブロック図である。情報通知装置2dは、車両状態情報受信部20d、車両位置情報受信部21、車両状態情報記憶部22d、利用状態判定部23d、記憶部24d、緊急事態情報受信部25、車両選択部26d、通知情報生成部27d、送信部28、計時部29、地図情報記憶部31d、渋滞区間算出部32、被災予測処理部33、移動開始残時間算出部35、表示処理部36、及びシミュレーション処理部37を備える。
第5実施形態では、車両1の制御装置11において、車両状態情報に含める制御状態を示す情報として、回転数情報、ドア開閉情報、ペダル操作情報、及び燃料残量情報が定められている。そのため、第5実施形態の車両状態情報受信部20dは、4種類の車両状態情報を受信する。
車両状態情報受信部20dは、車両1の通信装置10から車両状態情報を受信し、受信した車両状態情報の種類を検出し、検出した種類に応じた車両状態情報記憶部22dのテーブルに受信した車両状態情報を書き込んで記憶させる。
車両状態情報記憶部22dは、図3に示した回転数情報テーブル221、図4に示したドア開閉情報テーブル222、図11に示したペダル操作情報テーブル223、及び図19に示した燃料残量情報テーブル224を記憶する。
利用状態判定部23dは、第1実施形態の利用状態判定部23の構成と、第3実施形態の利用状態判定部23bの構成とを備えている。
地図情報記憶部31dは、例えば、図30に示すような地図情報600dを予め記憶する。地図情報600dは、第2実施形態の地図情報600に対してグリーンゾーン622に存在する複数の避難目標地点の位置情報が追加された地図情報である。図30に示す例では、「α」,「β」,「γ」,「δ」の4つの避難目標地点が定められている。なお、符号701,702,703で示す三角のマーク、符号800で示す破線の丸印のマークは、地図情報600dに含まれる情報ではなく、後述する説明で用いるマークである。
移動開始残時間算出部35は、車両1の位置情報と、地図情報600dの道路の経路情報及び渋滞区間の情報とに基づいて、車両1が避難目標地点の各々に最短の時間で到達する経路を検出する。移動開始残時間算出部35は、検出した各々の経路における到達時間を算出する。
また、移動開始残時間算出部35は、算出した各々の経路における到達時間と、計時部29から取得する時刻の情報と、被災予測処理部33が算出するイエローゾーン621の被災予想時刻の情報とに基づいて、車両1の位置から避難目標地点の各々に到達可能な移動開始までの残時間を避難目標地点ごとに算出する。
記憶部24dは、図5に示した車両情報テーブル241、図6に示した第1実施形態の利用状態テーブル242、図20に示した第3実施形態の利用状態テーブル242b、及び図31に示す移動開始残時間テーブル244を記憶する。
移動開始残時間テーブル244は、「車両ID」、「避難目標地点」の項目を有している。「車両ID」の項目には、車両IDの情報が予め書き込まれる。「避難目標地点」の項目は、避難目標地点ごとのサブ項目を有する。図31では、一例として、地図情報600dに定められている4つの避難目標地点「α」,「β」,「γ」,「δ」の各々に対応する項目を示している。「避難目標地点」のサブ項目の各々には、移動開始残時間算出部35が算出した移動開始までの残時間が移動開始残時間算出部35によって書き込まれる。なお、残時間の単位は、例えば、「分」である。
表示処理部36は、例えば、液晶ディスプレイ等の画面を備えており、移動開始残時間テーブル244から情報を読み出し、読み出した情報に基づいて画像を生成して画面に表示する。
車両選択部26dは、緊急事態情報に含まれている緊急事態が発生した位置を示す情報と、車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目の位置情報とに基づいて、緊急事態の影響を受ける車両1を選択する。また、車両選択部26dは、車両1ごとに、移動開始残時間算出部35が算出した移動開始までの残時間の中で最短の残時間を検出し、検出した残時間と、予め定められる残時間閾値とに基づいて通知の対象となる車両1を選択する。
通知情報生成部27dは、車両選択部26dが通知の対象として選択した車両1の利用者7に対して通知する通知情報を、利用状態テーブル242及び移動開始残時間テーブル244が記憶する情報に基づいて生成する。
シミュレーション処理部37は、情報通知システムSdの管理者の操作を受ける入力手段を備えている。例えば、ある1台の車両1の利用者7が、当該入力手段を用いていずれか1つの避難目標地点を選択したとする。シミュレーション処理部37は、利用状態テーブル242bの燃料残量グループの項目に書き込まれている情報を参照して、当該避難目標地点の選択が、他の車両1の避難目標地点の到達可能性に影響が出るか否かを示すシミュレーションの処理を行う。
(情報通知装置による通知処理)
図32は、情報通知装置2dによる通知処理の流れを示すフローチャートである。利用状態判定部23dは、図7及び図21に示す処理を行い、図6に示す利用状態テーブル242と、図20に示す利用状態テーブル242bを順次更新しているものとする。また、渋滞区間算出部32は、図14及び図16に示す処理を行い、渋滞区間の情報を順次更新しているものとする。
ここでは、第2実施形態と同様に、災害として、例えば、時間の経過にしたがって被災領域が拡大する津波が発生したとする。緊急事態情報送信サーバ装置8は、津波が発生したことを示す緊急事態情報を送信する。
ステップSm1,Sm2は、第2実施形態のステップSe1,Se2と同様の処理が、緊急事態情報受信部25によって行われる。なお、第2実施形態と同様に、ステップSm2において、緊急事態情報受信部25は、通知が必要であると判定した場合、受信した緊急事態情報を車両選択部26dと被災予測処理部33に出力する。
ステップSm3,Sm4は、第2実施形態のステップSe3,Se4と同様の処理が、車両選択部26dによって行われる。
車両選択部26dは、ステップSm4の処理において選択した車両IDの情報を移動開始残時間算出部35に出力する。移動開始残時間算出部35、被災予測処理部33、通知情報生成部27d、及び送信部28は、移動開始残時間算出部35が車両選択部26dから受けた車両IDの各々について、以下のステップSm5からステップSm13の処理を繰り返し行う(ループLm1s~Lm1e)。
移動開始残時間算出部35は、車両選択部26dから受けた車両IDのいずれか1つの車両IDを処理対象として選択する。移動開始残時間算出部35は、処理対象の車両IDに対応する車両情報テーブル241のレコードを参照し「車両の位置情報」の項目から処理対象の車両1の位置情報を読み出す。移動開始残時間算出部35は、複数の避難目標地点の各々の位置情報を地図情報600dから検出する。
移動開始残時間算出部35は、読み出した処理対象の車両1の位置情報と、複数の避難目標地点の各々の位置情報と、地図情報600dの道路の経路情報及び渋滞区間の情報とに基づいて処理対象の車両1が、複数の避難目標地点に最短の時間で到達する経路を検出する。また、安全領域到達時間算出部30は、検出した経路の各々における到達時間を算出する(ステップSm5)。
被災予測処理部33は、計時部29から時刻の情報を取得し、緊急事態情報受信部25から受けた緊急事態情報に含まれる津波に関する情報に基づいて、地図情報600dのイエローゾーン621の被災予想時刻を算出する(ステップSm6)。
移動開始残時間算出部35は、計時部29から時刻の情報を取得し、取得した時刻に対して避難目標地点ごとの到達時間を加算して、避難目標地点ごとの到達予定時刻を算出する。移動開始残時間算出部35は、被災予測時刻から、算出した避難目標地点ごとの到達予定時刻の各々を減算して、避難目標地点ごとの移動開始までの残時間を算出する。
移動開始残時間算出部35は、移動開始残時間テーブル244において、処理対象の車両IDに対応するレコードの避難目標地点の項目の各サブ項目に、算出した避難目標地点ごとの移動開始までの残時間を書き込む(ステップSm7)。
移動開始残時間算出部35が、移動開始残時間テーブル244への書き込みを完了すると、処理対象の車両IDを車両選択部26dに出力する。車両選択部26dは、移動開始残時間算出部35から受けた処理対象の車両IDに対応する移動開始残時間テーブル244のレコードを参照し、最短の残時間と、当該最短の残時間に対応する避難目標地点の情報を検出する。車両選択部26dは、最短の残時間が、予め定められる残時間閾値を超えているか否かを判定する(ステップSm8)。
車両選択部26dは、最短の残時間が、予め定められる残時間閾値を超えていると判定した場合(ステップSm8、Yes)、通知情報生成部27dに対して避難目標地点ごとの残時間を含む通知情報を処理対象の車両IDについて生成させる指示情報を出力する。
一方、車両選択部26dは、最短の残時間が、予め定められる残時間閾値を超えていないと判定した場合(ステップSm8、No)、移動の開始を知らせる必要があるため、処理対象の車両IDの車両1を通知の対象とする。車両選択部26dは、通知の対象である処理対象の車両IDと、最短の残時間と、最短の残時間に対応する避難目標地点の情報とを通知情報生成部27dに出力する。
ステップSm9,Sm10は、第1実施形態のステップSb5,Sb6と同様の処理が、通知情報生成部27dによって行われる。
通知情報生成部27dは、処理対象の車両IDに対応する携帯端末装置アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27dは、読み出した携帯端末装置アドレス情報を宛先として、例えば、残時間が少なくなった避難目標地点の情報と、その残時間を含むメッセージであって、直ちに移動を開始することを通知するメッセージを含んだ通知情報を生成する(ステップSm11)。
通知情報生成部27dは、移動開始残時間テーブル244を参照し、処理対象の車両IDに対応する避難目標地点ごとの残時間の情報を読み出す。通知情報生成部27dは、読み出した残時間の情報の各々と、当該残時間に対応する避難目標地点の情報とに基づいて、例えば、図33に示す画像を生成する。
図33に示す画像は、縦軸が残時間であり、菱形のマークの位置によって、各避難目標地点における残時間を示している。菱形のマークの中には、各避難目標地点を示す記号である「α」,「β」,「γ」,「δ」が示されている。図33に示す例では、例えば、避難目標地点「δ」については、10分以下の間に移動を開始しなければ到達できないことを示している。また、避難目標地点「α」については、移動を開始しなければならない時刻まで、40分以上あることを示している。
通知情報生成部27dは、ステップSm11の処理を行っていない場合、処理対象の車両IDに対応する携帯端末装置アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27dは、本ステップ、または、ステップSm11において読み出した携帯端末装置アドレス情報を宛先として、生成した画像を含む通知情報を生成する(ステップSm12)。
送信部28は、通知情報生成部27dが生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって通知情報を送信する(ステップSm13)。
通知情報に含まれる宛先が車両1である場合、車両1の通信装置10は、情報通知装置2dから通知情報を受信し、受信した通知情報を制御装置11に出力する。制御装置11は、通知情報に含まれる制御情報にしたがって、報知部17が備えるクラクションを鳴らす。
通知情報に含まれる宛先が利用者7の携帯端末装置6である場合、携帯端末装置6は、情報通知装置2dから通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる残時間が少なくなった避難目標地点の情報と、その残時間を含むメッセージであって、直ちに移動を開始することを通知するメッセージを画面に表示する。
また、通知情報に含まれる宛先が利用者7の携帯端末装置6である場合、携帯端末装置6は、受信した通知情報に含まれる図33に示す画像を画面に表示する。
ループ処理(Lm1s~Lm1e)の処理が終了すると、表示処理部36は、移動開始残時間テーブル244から全ての車両1の避難目標地点ごとの残時間を読み出す。表示処理部36は、読み出した全ての車両1の避難目標地点ごとの残時間に基づいて、例えば、図34に示す画像を生成し、生成した画像を画面に表示する(ステップSm14)。
車両選択部26aは、内部のタイマを起動して一定時間待機する(ステップSm15)。車両選択部26aは、タイマが満了すると再びステップSm3の処理を行う。
図34に示す画像は、縦軸が残時間であり、横軸が車両IDである。図34に示す画像は、図33の画像を、車両IDごとに並べた画像である。図34に示す画像の例は、例えば、図30の地図情報600dにおいて、符号701の位置に車両ID「1」の車両1が位置しており、符号702の位置に車両ID「2」の車両1が位置しており、符号703の位置に車両ID「3」の車両1が位置している場合の例である。
図30に示すように、車両ID「1」の車両1が存在する符号701の位置から最短距離で到達できる避難目標地点は、渋滞している区間がなければ、「α」であり、最も遠い避難目標地点が「δ」である。したがって、「δ」についての残時間が最も短くなり、「α」についての残時間が最も長くなる。
車両ID「3」の車両1が存在する符号703の位置においても、最短距離で到達できる避難目標地点は、「α」であり、最も遠い避難目標地点が「γ」である。車両ID「1」の場合と異なり、車両ID「3」については避難目標地点「δ」のマークが示されていない。これは、避難目標地点「δ」については、図31に示すように残時間がマイナスの値になるため、符号703の位置から避難目標地点「δ」に向かって移動を開始しても被災してしまう。そのため、通知情報生成部27dが、避難目標地点「δ」のマークを示さないよう画像を生成する。
符号702に位置する車両ID「2」の車両についても同様に、避難目標地点「γ」については、図31に示すように残時間がマイナスの値になる。そのため、通知情報生成部27dは、避難目標地点「γ」のマークを示さないように画像を生成する。
例えば、図30において、符号800の破線の丸印のマークの付近において渋滞が発生すると、避難目標地点「γ」への到達時間が長くなるため、移動開始残時間算出部35が渋滞発生後に算出する残時間がマイナスになることがある。例えば、通知情報生成部27dが渋滞発生前に生成した車両ID「1」に対応する画像が、図35(a)のような画像であったとする。時間が経過して上記の渋滞が発生した後に通知情報生成部27dが生成する車両ID「1」に対応する画像は、図35(b)のように避難目標地点「γ」が候補から消えることになる。
上記の第5実施形態の構成により、例えば、利用者7が車両1を停止させて降車している場合、何らかの災害対応の作業をしていて携帯端末装置6に送信した通知情報には気が付かない場合であっても、車両1のクラクションを遠隔で鳴らすことにより、避難目標地点に到達可能な時刻までの残時間が少なくなっていることを知らせることができる。また、利用者7は、携帯端末装置6が受信する通知情報を参照することで、残時間が少なくなっている避難目標地点と、その残時間を確認することができる。したがって、第5実施形態においても第1実施形態と同様の効果が得られるので、車両1の利用状態、すなわち利用者7の乗降状態を考慮して、車両1の利用者7に対して、情報を通知することができる。
また、上記の第5実施形態の構成では、第2実施形態と同様に、渋滞区間算出部32は、車両1から得られる情報のみに基づいて渋滞区間の情報を得ることができている。したがって、第2実施形態の構成と同様に、災害が発生した際に、何らかのトラブルで、一般的なカーナビゲーションシステムが利用できない場合であっても、渋滞区間を検出することができるので、避難目標地点に到達できるまでの時間を正確に算出することができる。
なお、上記の第5実施形態の構成では、ステップSm8の処理において、最短の残時間と、残時間閾値とを比較しているが、算出した残時間の全てにおいて、ステップSm8の判定を行うようにしてもよい。判定の結果、残時間閾値以下の残時間の避難目標地点が複数地点ある場合、その複数地点の数に応じた回数、ステップSm9からステップSm13の処理が行われることになる。
(燃料残量を考慮したシミュレーション処理について)
図36は、シミュレーション処理部37による処理の流れを示すフローチャートである。上記のステップSm14の処理において、表示処理部36が、画面に、例えば、図37(a)に示す画像を表示することにより、情報通知システムSdの管理者は、当該画像を参照することができる。管理者は、例えば、車両ID「1」の車両1の利用者7から、しなければならない作業があるため避難目標地点を残時間が最も多い「α」にするという連絡を電話や電子メールなどで受けたとする。
管理者は、シミュレーション処理部37の入力手段を操作して、車両ID「1」において、避難目標地点「α」を選択する。シミュレーション処理部37は、車両ID「1」の情報と、避難目標地点「α」の情報を取り込む(ステップSn1)。
シミュレーション処理部37は、利用状態テーブル242bを参照し、処理対象の車両IDの車両1の燃料残量グループを読み出し、読み出した燃料残量グループが「多」であるか否かを判定する(ステップSn2)。
シミュレーション処理部37は、読み出した燃料残量グループが「多」でないと判定した場合(ステップSn2、No)、表示処理部36に「影響なし」とするシミュレーション結果を表示させる指示情報を出力する。表示処理部36は、当該指示情報を受けて「影響なし」とするシミュレーション結果を画面に表示する(ステップSn3)。
一方、シミュレーション処理部37は、読み出した燃料残量グループが「多」であると判定した場合(ステップSn2、Yes)、利用状態テーブル242bを参照し燃料残量グループが「少」の車両1の車両IDを抽出する(ステップSn4)。
ここで、車両ID「1」の車両1の燃料残量グループは「多」であり、車両ID「2」の車両1の燃料残量グループは「少」であり、車両ID「3」の車両1の燃料残量グループは「普通」であるとする。
この場合、ステップSn2において、シミュレーション処理部37は、車両ID「1」については燃料残量グループが「多」であると判定する。また、ステップSn4において、シミュレーション処理部37は、燃料残量グループ「少」の車両1の車両IDとして車両ID「2」を抽出する。
シミュレーション処理部37は、燃料残量グループが「少」の車両1の車両ID「2」において、避難目標地点「α」以外の避難目標地点を除外して画像を生成する指示を含む指示情報を表示処理部36に出力する。
表示処理部36は、シミュレーション処理部37からの指示情報を受けて、移動開始残時間テーブル244から全ての車両1の避難目標地点ごとの残時間を読み出す。表示処理部36は、読み出した全ての車両1の避難目標地点ごとの残時間に基づいて、例えば、図37(b)に示すような、指示情報に含まれる車両ID「2」について、避難目標地点「α」以外の避難目標地点「β」,「δ」を除外した画像を生成して画面に表示する(ステップSn5)。
なお、図37(b)では、分かりやすさのために、除外した避難目標地点「β」,「δ」を破線の菱形で示しているが、これらを画面に表示しないようにしてもよい。また、図37(b)に示すように、管理者が選択した車両ID「1」についても、避難目標地点「α」以外の避難目標地点「β」,「γ」,「δ」を除外して表示してもよい。また、図37(b)に示すように、車両IDごとの燃料残量グループを示す情報を車両IDとともに横軸に表示するようにしてもよい。
図37(b)のような画面を示すことにより、管理者は、車両ID「2」の車両1の避難目標地点が「α」だけになり、残時間も20分以下になっていると判断することができる。そのため、例えば、車両ID「1」の車両1の利用者7に連絡して、避難目標地点を、「α」にするのではなく、車両ID「1」及び「2」の車両1の利用者7にとって余裕がある「β」など変更するように促す。これにより、例えば、第3実施形態の構成を用いることで、車両ID「1」及び「2」の車両1を、避難目標地点「β」に向かせることができるので、車両ID「1」の車両1から車両ID「2」の車両1に燃料を分けるようにすることができる。
(第6実施形態)
次に、図38から図40を参照しつつ第6実施形態について説明する。なお、第6実施形態の情報通知システムを説明の便宜上、「Se」の符号を付して情報通知システムSeとして説明する。第6実施形態の情報通知システムSeは、第1実施形態の情報通知システムSにおいて、情報通知装置2が、図38に示す情報通知装置2eに置き換えられた構成である。第1、第2、第3、第4、及び第5実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
図38は、第6実施形態の情報通知装置2eの構成を示すブロック図である。情報通知装置2eは、車両状態情報受信部20d、車両位置情報受信部21、車両状態情報記憶部22d、利用状態判定部23、記憶部24e、車両選択部26e、通知情報生成部27e、送信部28、計時部29、地図情報記憶部31e、渋滞区間算出部32、表示処理部36、及び見回り情報受信部38を備える。
第6実施形態では、第5実施形態と同様に、車両1の制御装置11において、車両状態情報に含める制御状態を示す情報として、回転数情報、ドア開閉情報、ペダル操作情報、及び燃料残量情報が定められている。そのため、第5実施形態において示した車両状態情報受信部20dは、4種類の車両状態情報を受信する。
第6実施形態では、例えば、災害が発生した場合、利用者7は予め定められる幾つかの見回り区域において車両1を降りて見回りを行う。なお、見回りを行う際のルールとして、最初の見回り区域に向かって出発してから最後の見回り区域の見回りが完了するまで、見回りのために車両1を降りて離れる場合であっても、車両1のエンジンを停止させないことを前提としている。また、上述したように、災害の影響を受けて途中で動けない状態になり、車両1を放棄するためにエンジンを停止させたとしても、車両1のキーは、スタンバイ状態にされていることが前提である。
利用者7は、自ら次の見回り区域を決めるのではなく、情報通知装置2eが割り当てて通知情報により通知する見回り区域を次の見回り区域として見回りを行う。
利用者7は、車両1を降りて、見回りを行い、見回りが完了すると、当該見回り区域における見回りが完了したことを示す「見回り完了」という見回り状態を示す見回り状態情報を情報通知装置2eに登録する。
見回りが完了したことを示す見回り状態情報の登録処理は、例えば、車両1の表示入力装置12を用いて行われる。すなわち、車両1の表示入力装置12は、利用者7の操作入力を受けて「見回り完了」の見回り状態情報を取り込む。表示入力装置12は、取り込んだ「見回り完了」の見回り状態情報を通信装置10に出力する。通信装置10は、「見回り完了」の見回り状態情報に車両1の車両IDを付与して情報通知装置2eに送信する。
情報通知装置2eの見回り情報受信部38は、車両1の通信装置10が送信する車両IDが付与された「見回り完了」を示す見回り状態情報を受信する。見回り情報受信部38は、付与されている車両IDに基づいて、記憶部24eが記憶するテーブルに受信した「見回り完了」を示す見回り状態情報を書き込む。
記憶部24eは、図5に示した車両情報テーブル241と、図6に示した利用状態テーブル242と、図39に示す見回り情報テーブル245を記憶する。見回り情報テーブル245は、「見回り区域情報」、「車両ID」、「見回り状態情報」の項目を有する。
「見回り区域情報」の項目には、予め定められる複数の見回り区域を示す見回り区域情報の各々が予め書き込まれる。「車両ID」の項目には、車両IDが通知情報生成部27eによって書き込まれる。「見回り状態情報」の項目には、見回り状態情報が書き込まれる。見回り状態情報は、「見回り中」か、「見回り完了」のいずれかの情報であり、「見回り中」の見回り状態情報は、通知情報生成部27eによって書き込まれる。「見回り完了」の見回り状態情報は、見回り情報受信部38によって書き込まれる。
なお、図39に示すように、いずれの車両1にも割り当てられていない見回り区域については、「車両ID」と「見回り状態情報」の項目に、空欄を示す「-」が初期値として書き込まれる。
地図情報記憶部31eは、一般的な地図情報が含む地形の情報、市役所や学校などの主要な場所の情報、及び住所など等の情報の他に、道路の経路情報と、渋滞している区間を示す渋滞区間の情報とを含んでいる。
車両選択部26eは、記憶部24が記憶する図6に示した利用状態テーブル242の各項目に記憶されている情報を参照して、通知の対象とする車両1を選択する。
通知情報生成部27eは、車両選択部26eが通知の対象として選択した車両1について、車両1の位置情報と、車両1の燃料残量情報と、地図情報記憶部31eが記憶する地図情報と、見回り情報テーブル245が記憶する情報とに基づいて、次の見回り区域を割り当てる。通知情報生成部27eは、割り当てた見回り区域を示す見回り区域情報を含む通知情報を生成する。
また、通知情報生成部27eは、割り当てた見回り区域に対応する見回り情報テーブル245のレコードの「車両ID」と「見回り状態情報」の項目に、処理対象の車両1の車両IDと、「見回り中」を示す見回り状態情報を書き込む。
(情報通知装置による通知処理)
図40は、情報通知装置2dによる通知処理の流れを示すフローチャートである。全ての車両1は、見回りを開始するために、利用者7が乗車して待機しているか、または、既に走行を開始しているものとする。
利用状態判定部23は、図7に示した処理を行い、図6に示す利用状態テーブル242に走行状態等の情報を順次更新しているものとする。また、渋滞区間算出部32は、図14及び図16に示す処理を行い、渋滞区間を順次更新しているものとする。
車両選択部26eは、車両情報テーブル241の「車両ID」の項目に書き込まれている全ての車両IDの車両1について、ステップSp1~Sp12の処理を繰り返し行う(ループLp1s~Lp1e)。
車両選択部26eは、車両情報テーブル241から選択したいずれか1つの処理対象の車両IDについて、利用状態テーブル242を参照し、「走行状態」の項目に書き込まれている走行状態が走行中、停止中、エンジン停止中のいずれであるかを判定する(ステップSp1)。
車両選択部26eは、走行状態が走行中であると判定した場合(ステップSp1、走行中)、見回り情報テーブル245を参照し、処理対象の車両IDに見回り区域が割り当てられているか否かを判定する(ステップSp2)。
すなわち、車両選択部26eは、見回り情報テーブル245において、処理対象の車両IDが「車両ID」の項目に書き込まれているか否かを判定する。処理対象の車両IDが「車両ID」の項目に書き込まれていない場合、車両選択部26eは、処理対象の車両IDに見回り区域が割り当てられていないと判定する。
処理対象の車両IDが「車両ID」の項目に書き込まれている場合、車両選択部26eは、更に、処理対象の車両IDに対応する「見回り状態情報」の項目に書き込まれている情報の中に「見回り中」が存在するか否かを判定する。「見回り中」の見回り状態情報が存在する場合、見回り区域が割り当て済であると判定する。「見回り中」の見回り状態情報が存在しない場合、すなわち、全てが「見回り完了」の見回り状態である場合、車両選択部26eは、処理対象の車両IDに見回り区域が割り当てられていないと判定する。
車両選択部26eは、処理対象の車両IDに見回り区域が割り当てられていると判定した場合(ステップSp2、Yes)、車両情報テーブル241を参照して、次の処理対象の車両IDを選択してステップSp1の処理を行う。
一方、車両選択部26eは、処理対象の車両IDに見回り区域が割り当てられていないと判定した場合(ステップSp2、No)、未割当の見回り区域が存在するか否かを判定する(ステップSp3)。
すなわち、車両選択部26eは、見回り情報テーブル245を参照し、「車両ID」と「見回り状態情報」の項目が空欄になっている未割当の見回り区域が存在するか否かを判定する。車両選択部26eは、未割当の見回り区域が存在しないと判定した場合(ステップSp3、No)、処理を終了する。
一方、見回り情報テーブル245において、「車両ID」と「見回り状態情報」の項目が空欄になっている見回り区域が存在する場合、車両選択部26eは、未割当の見回り区域が存在すると判定する(ステップSp3、Yes)。車両選択部26eは、見回り情報テーブル245から未割当の見回り区域情報を抽出し、抽出した未割当の見回り区域情報と、処理対象の車両IDとを通知情報生成部27eに出力する(ステップSp4)。
通知情報生成部27eは、車両選択部26eから受けた処理対象の車両IDの車両1の位置情報を車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目から読み出す。また、通知情報生成部27eは、処理対象の車両IDに対応する燃料残量情報テーブル224から最新の燃料残量情報を読み出す。
通知情報生成部27eは、処理対象の車両IDの車両1の位置情報及び燃料残量情報と、地図情報と、地図情報の道路の経路情報に関連付けられている渋滞区間の情報とに基づいて、車両選択部26eから受けた未割当の見回り区域情報の中から当該車両1が、残りの燃料で到達できる見回り区域であって、最も短時間で到達可能な見回り区域を次の見回り区域として選択する(ステップSp5)。
通知情報生成部27eは、処理対象の車両IDに対応する車両アドレス情報を車両情報テーブル241の「車両のアドレス」の項目から読み出す。通知情報生成部27は、読み出した車両アドレス情報を宛先として、選択した見回り区域を次の見回り区域として移動開始を指示するメッセージを含む通知情報を生成して送信部28に出力する。
通知情報生成部27eは、選択した見回り区域に対応する見回り情報テーブル245のレコードの「車両ID」の項目に処理対象の車両IDを書き込み、「見回り状態情報」の項目に「見回り中」を書き込む(ステップSp6)。
送信部28は、通知情報生成部27eが生成した通知情報に含まれる宛先にしたがって利用者7の携帯端末装置6に通知情報を送信する(ステップSp7)。
携帯端末装置6は、情報通知装置2eから通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる次の見回り区域に移動を開始する指示を含んだメッセージを画面に表示する。当該メッセージを参照した利用者7は、次の見回り区域への移動を開始する。
ステップSp1において、車両選択部26eは、走行状態が停止中であると判定した場合(ステップSp1、停止中)、利用状態テーブル242の「乗降状態」の項目に書き込まれている情報が、乗車中、降車中のいずれであるかを判定する(ステップSp8)。
車両選択部26eは、乗降状態が降車中であると判定した場合(ステップSp8、降車中)、利用状態テーブル242の「乗降状態継続時間」の項目に書き込まれている降車状態の継続時間を読み出し、読み出した継続時間が、予め定められる作業時間閾値を超えているか否かを判定する(ステップSp9)。
車両選択部26eは、読み出した継続時間が示す時間が、作業時間閾値を超えていると判定した場合(ステップSp8、Yes)、ステップSp3の処理に進む。この場合、降車している時間が作業時間閾値を超えているので、見回り作業を十分にしていると推定できる。そのため、見回り作業を切り上げさせて次の見回り先に移動させる必要があるからである。
この場合、利用者7が、見回り作業中に、携帯端末装置6に次の見回り区域に移動を開始する指示を含んだメッセージを受信することになる。メッセージを参照した利用者7は、見回り作業を切り上げて、次の見回り区域に移動を開始する前に、車両1の表示入力装置12を操作して「見回り完了」の見回り状態情報の入力を行う。
表示入力装置12は、上述したように「見回り完了」の見回り状態情報を取り込んで通信装置10に出力し、通信装置10は、見回り完了の見回り状態情報に車両1の車両IDを付与して情報通知装置2eに送信する。見回り情報受信部38は、車両1の通信装置10が送信する車両IDが付与された「見回り完了」を示す見回り状態情報を受信する。見回り情報受信部38は、付与されている車両IDに対応する見回り情報テーブル245のレコードの「見回り状態情報」の項目に「見回り完了」を書き込む。
車両選択部26eは、読み出した継続時間が示す時間が、作業時間閾値を超えていないと判定した場合(ステップSp8、No)、車両情報テーブル241を参照して、次の処理対象の車両IDを選択してステップSp1の処理を行う。
ステップSp8において、車両選択部26eは、乗降状態が乗車中であると判定した場合(ステップSp8、乗車中)、利用状態テーブル242の「乗降状態継続時間」の項目に書き込まれている乗車状態の継続時間を読み出し、読み出した継続時間が、予め定められる停止時間閾値を超えているか否かを判定する(ステップSp10)。
車両選択部26eは、読み出した継続時間が示す時間が、停止時間閾値を超えていないと判定した場合(ステップSp8、No)、車両1が走行中に信号などで一時的に停車している状態であると推定することができるため、次に、ステップSp2の処理に進む。
車両選択部26eは、読み出した継続時間が示す時間が、停止時間閾値を超えていると判定した場合(ステップSp8、Yes)、処理対象の車両IDの車両1の位置情報を車両情報テーブル241の「車両の位置情報」の項目から読み出す。車両選択部26eは、読み出した位置情報が、事前に取り決めている駐車禁止の区間に含まれているか否かを判定する(ステップSp11)。
車両選択部26eは、読み出した位置情報が、事前に取り決めている駐車禁止の区間に含まれていない場合(ステップSp11、No)、例えば、渋滞で停止しているなどの状態であると推定することができるため、次に、ステップSp2の処理に進む。
車両選択部26eは、読み出した位置情報が、事前に取り決めている駐車禁止の区間に含まれている場合(ステップSp11、Yes)、重要な経路において何らかのトラブルが発生したと推定することができるため、表示処理部36に対して処理対象の車両IDと、位置情報とを含む異常が発生したことを示す異常発生通知を表示させる指示情報を出力する。当該指示情報を受けた表示処理部36は、車両IDと、位置情報とを画面に表示するとともに異常が発生したことを示すメッセージを画面に表示する。
車両選択部26eは、処理対象の車両IDを割り当てから除外する車両IDとして内部の記憶領域に書き込んで記憶させる(ステップSp12)。車両選択部26eは、内部の記憶領域が記憶する車両IDを除きつつ、車両情報テーブル241から次の処理対象の車両IDを選択してステップSp1の処理を行う。
ステップSp1において、車両選択部26eは、走行状態がエンジン停止中であると判定した場合(ステップSp1、エンジン停止中)、エンジン停止は、車両1を放棄して避難している状態であると推定することができるため、次にステップSp12の処理を行う。
上記の第6実施形態の構成により、例えば、災害が発生した際、災害対応として逃げ遅れている人がいないか等の見回りを行う場合、単に、最も近い距離に位置している車両1を向かわせるのではなく、残りの燃料で到達できる見回り区域であって、かつ最も短時間で到達可能な見回り区域を次の見回り区域として割り当てることができる。
また、ある利用者7の見回り作業が長引いており、予め定めている作業時間閾値を超えて見回っている場合、見回り作業を切り上げさせて次の見回り区域に向かうように指示をすることができる。そのため、効率のよい見回りを行うことが可能になる。
また、事前に取り決めた駐車禁止の場所で予め定めた停止時間閾値を超えて停止している場合や、エンジンを停止させている場合には、異常が発生したと推定して情報通知装置2eの管理者に通知する。そのため、見回りに用いている車両1及び当該車両1の利用者7が見回りを行っている間に何らかのトラブルにあっている、例えば、被災している可能性があることを早急に管理者が把握することが可能になる。
なお、上記の第6実施形態の構成において、情報通知装置2eが、緊急事態情報受信部25及び被災予測処理部33を備えて、例えば、見回り区域ごとの被災予想時刻を算出するようにしてもよい。そして、通知情報生成部27eが、ステップSp5の処理において、被災予測処理部33が算出した見回り区域ごとの被災予想時刻を加えて、残りの燃料で到達できる見回り区域であって、かつ計時部29から取得する時刻に到達時間と見回りに要する時間とを加えた時刻が被災予想時刻以前となる見回り区域の中から、最も短時間で到達可能な見回り区域を次の見回り区域として割り当てるようにしてもよい。このようにすることで、見回りを行う車両1の利用者7が見回り中に災害の影響を受けないようにすることができる。
また、上記の第6実施形態において、図40のステップSp3において、未割り当ての見回り区域が存在しない場合、処理を終了しているが、終了前に、通知情報生成部27eが戻る指示を含んだ通知情報を生成し、送信部28が携帯端末装置6に送信するようにしてもよい。
現場にいる要員から管理者に電話やメールで逐一作業状態などを伝える方がより確実に現状把握を行うことができる。しかしながら、災害が発生すると、例えば、災害対策を行う管理部門においてかなりの混乱が生じる状態となり、その状態で、各要員から作業状態の情報を収集して、それを要員間で共有したり、各要員に通知したりすることは、更なる混乱を招くことになる。これに対して、上記の第1から第6実施形態の構成では、車両1から得られる情報に基づいて、要員である利用者7の状態を示す情報や、利用者7が利用している車両1の状態を示す情報を収集し、情報通知装置2,2a,2b,2c,2d,2eが、収集した状態を示す情報に基づいて適切な通知を行うことが可能になっている。そのため、要員や管理者が介在する処理を少なくしているため、要員や管理者の作業負担を軽減して、更なる混乱を起こさせないようにしている。
なお、上記の第1から第6実施形態の構成において、車両1を複数の利用者7が利用してもよく、その場合、車両情報テーブル241の「車両の利用者の携帯端末装置のアドレス」の項目の情報を、利用者7が変わるごとに、新たな利用者7が所持する携帯端末装置6の携帯端末装置アドレス情報に書き換えることになる。
また、上記の図9のステップSb7、図17のSe10、図22のSg8、図32のSm11,Sm12、図40のSp6の処理において、利用者7の携帯端末装置6を宛先とするのではなく、車両1の車両アドレスを宛先として通知情報を生成し、車両1の表示入力装置12の画面に通知情報を表示させるようにしてもよい。
また、上記の図9のステップSb6、図17のSe9、図32のステップSm10の処理では、通知情報生成部27,27a,27dは、クラクションを鳴らす制御情報を生成して、車両1の報知部17のクラクションを鳴らすようにしている。これに対して、例えば、各種ランプ部16が備えるヘッドランプなどを点灯させたり、点滅させたりしてもよい。また、報知部17のスピーカから災害を知らせるメッセージを報知するようにしてもよい。
また、上記の図9のステップSb4、図17のSe4、図22のSg4、図28のSk5、図32のSm4の処理において、車両選択部26,26a,26b,26dは、車両1の位置情報が、緊急事態情報に含まれる災害が発生した位置を中心とした一定の範囲に含まれている場合、当該車両1を通知の対象となる車両1として選択している。これに対して、車両選択部26,26a,26b,26dが、内部に予め記憶する地図情報、または外部から取得する地図情報を用いて、災害が発生した位置を中心とした一定の範囲であって、かつ地図情報に示される特定の領域に存在する車両1を通知の対象として選択するようにしてもよい。ここで、特定の領域とは、例えば、発生した災害が津波である場合、津波の影響を受ける低地の領域などである。
また、第2、第5、及び第6実施形態の情報通知装置2a,2d,2eは、地図情報記憶部31,31d,31eを備えて地図情報600,600dを予め記憶するようにしているが、例えば、通信ネットワーク9に地図情報サーバ装置が接続されている場合、当該地図情報サーバ装置から地図情報600,600dを取得するようにしてもよい。
また、上記の第2,5実施形態では、発生する災害として津波を想定したため、地図情報600,600dにおいて、海の領域605から最も離れた領域が安全領域であるグリーンゾーン622になっている。これに対して、発生する災害が山で発生した土砂崩れである場合、災害が発生した山から最も離れた領域が安全領域になる。したがって、安全領域は、発生する緊急事態が発生した位置や規模に応じて適宜定められてもよいし、緊急事態の種類に応じて予め定められていてもよい。
また、上記の第3及び第6実施形態において、利用者7は、車両1の表示入力装置12を用いて登録する目的地情報、または、「見回り完了」を示す見回り状態情報を情報通知装置2b,2eに送信している。これに対して、表示入力装置12に替えて、自らが所持する携帯端末装置6によって目的地情報、または、「見回り完了」を示す見回り状態情報を情報通知装置2b,2eに送信するようにしてもよい。携帯端末装置6から送信する場合、携帯端末装置6は、車両IDを付与して目的地情報、または、「見回り完了」を示す見回り状態情報を情報通知装置2b,2e送信するようにする必要がある。
また、上記の第2、第5実施形態では、ある時点における車両1の位置から、安全領域や避難目標地点までの車両1を用いた場合の到達時間を算出しているが、車両1による移動に加えて徒歩による移動を考慮して到達時間を算出するようにしてもよい。例えば、渋滞区間が存在している場合には、利用者7が車両1から降りて徒歩により安全領域や避難目標地点に到達する方が、車両1のみで移動するよりも、早く到達できる可能性があり、また、徒歩による移動は確実性が高いからである。
また、上記の第1から第6実施形態の全てを組み合わせた構成にしてもよいし、任意に選択した実施形態を組み合わせた構成にしてもよい。
また、上記の実施形態の構成では、図7のステップSa3、図16のステップSd2、図17のステップSe7、図21のステップSf3、図32のステップSm8、図40のステップSp9,Sp10に示す処理などにおいて、不等号を用いた判定処理を行っている。しかしながら、本発明は、当該実施の形態に限られるものではなく、「超過するか否か」、「未満であるか否か」、「以上であるか否か」、「以下であるか否か」という判定処理は一例に過ぎず、閾値の定め方に応じて、ぞれぞれ「以上であるか否か」、「以下であるか否か」、「超過するか否か」、「未満であるか否か」という判定処理に置き換えられてもよい。また、判定処理に用いた閾値についても、一例を示したものであり、それぞれにおいて異なる閾値が適用されてもよい。
上述した実施形態における情報通知装置2,2a,2b,2c,2d,2eをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。