以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
<位置予測システムの概略構成例>
図1は、位置予測システムの概略構成例を示す図である。図1に示す位置予測システム10は、各ユーザが使用する1又は複数の通信端末11−1〜11−6(以下、必要に応じて「通信端末11」と総称する)と、中継装置の一例としての1又は複数の基地局12−1,12−2(以下、必要に応じて「基地局12」と総称する)と、情報処理装置の一例としての位置予測装置13とを有する。なお、図1の例では、6台の通信端末11−1〜11−6と、2台の基地局12とを有しているが、本実施形態における通信端末11や基地局12の数については、これに限定されるものではない。
通信端末11と基地局12とは、無線通信等によりデータの送受信が可能な状態で接続されている。また、基地局12と、位置予測装置13とは、インターネット等に代表される通信ネットワーク14(有線でも無線でもよい)により、各種情報の送受信が可能な状態で接続されている。また、本実施形態では、通信端末11間についても、例えばセンサネットワークにより各種情報の送受信が可能な状態で接続されていてもよい。
通信端末11は、位置を予測する対象となる無線通信が可能な装置である。通信端末11は、例えばユーザが通信端末11等を所持して移動したり、車や電車、船、飛行機等の各種移動手段により移動しながら他の通信端末11や基地局12等を介して外部装置と通信することができる。
ここで、通信端末11は、現在位置から最も近い基地局12と各種情報の送受信を行うことができる。例えば、図1の例では、通信端末11−1,11−2は、基地局12−1と各種情報の送受信を行い、通信端末11−3〜11−6は、基地局12−2と各種情報の送受信を行う。また、各通信端末11は、移動することで現在通信している基地局以外の基地局との距離が近くなれば、その近くなった基地局に切り換えて通信を行う。
また、通信端末11は、GPS機能等により、位置情報(例えば、緯度経度情報、座標情報等)を取得することができる。通信端末11は、定期的又は不定期的な所定のタイミングで、基地局12等に対して位置情報等を含む通信端末情報等を送信することができる。なお、通信端末情報には、通信端末11の識別情報やバッテリー残量等を含んでもよいが、これに限定されるものではない。なお、通信端末11は、位置予測装置13と直接通信が可能な状態である場合には、基地局12を介さずに通信を行ってもよい。
通信端末11としては、例えばスマートフォンや携帯電話、タブレット端末等の携帯情報端末、ノート型Personal Computer(PC)等があるが、これに限定されるものではない。通信端末11の他の例としては、例えばゲーム機器や音楽再生装置等であってもよい。
基地局12は、通信端末11から通信端末情報を取得したり、自局から通信を行える範囲にある通信端末11を確認し、その通信端末11の状況等を管理する。また、基地局12は、通信端末11の位置を予測するために必要な情報等を、通信ネットワーク14を介して位置予測装置13に送信する。また、基地局12は、位置予測装置13から得られる各種情報を受信したり、通信端末11に対して各種情報の送信を行ってもよい。
なお、基地局12とは、例えば通信端末11と無線通信を行う無線基地局や、無線Local Area Network(LAN)等のアクセスポイント等の中継装置等あるが、これに限定されるものではない。なお、基地局12が設置されている位置情報は、位置予測装置13で管理されている。
位置予測装置13は、通信端末11の位置を予測する位置予測処理等を行う情報処理装置である。位置予測装置13は、通信端末11の状態に応じて、その通信端末11の過去の通信履歴と予め記憶された地図情報とを用いて、通信端末11の位置等を予測することで、複雑な計算を必要とせずに、通信することができない通信端末11の位置を予測する。
例えば、位置予測装置13は、災害発生等を検知すると、予め登録された所定のユーザが現在どこにいるかを検索するため、そのユーザが所持する通信端末11の位置を検索する。また、検索の結果として現在位置が取得できない通信端末11が存在する場合には、その通信端末11に対する過去の通信履歴と、地図情報とを用いて現在の位置を予測したり、その通信端末11と通信可能となる位置や時間を予測する。
なお、位置予測装置13は、例えば災害発生を検知してから完了通知等を受信するまでの所定期間の間、所定の時間(例えば、10秒や1分、5分等)間隔で本実施形態に係る位置予測処理を繰り返し実施する。つまり、本実施形態は、通信端末11の位置予測を、位置が不明になっている間継続して実施することで、通信端末11の現在位置や状況が予測できた場合に、その通信端末11の通信を復活させたり、検索対象から外すといった処理を行うことができる。
また、本実施形態では、通信端末11の状態が、所定の条件(例えば、"正常"等)を満たさない場合(例えば、"電源OFF"等)に、通信端末11の位置を予測する対象から除外することもできる。これにより、本実施形態では、無駄な処理を事前に削除し、処理時間を短縮させることができる。
位置予測装置13としては、例えば汎用のPCやサーバ等があるがこれに限定されるものではない。
<位置予測装置13の機能構成例>
次に、上述した位置予測システム10における位置予測装置13の機能構成例について図を用いて説明する。図2は、位置予測装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示す位置予測装置13は、入力手段21と、出力手段22と、記憶手段23と、通信端末情報取得手段24と、災害検知手段25と、検索手段26と、位置予測手段27と、送受信手段28と、制御手段29とを有する。
入力手段21は、位置予測装置13を使用するユーザ等からの各種指示の開始や終了、設定の入力等の各種入力を受け付ける。具体的には、入力手段21は、例えば本実施形態における通信端末情報取得指示や災害検知指示、検索指示、位置予測指示、送受信指示等の各指示を受け付ける。
入力手段21により取得される情報の入力は、例えばキーボードやマウス等の入力インターフェース等による入力でもよく、また画面を用いたタッチパネル形式の入力等でもよい。更に、入力手段21は、例えばマイクロフォン等により音声を入力する音声入力手段を有していてもよい。
出力手段22は、入力手段21により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。なお、出力手段22は、例えば画面表示により出力する場合には、ディスプレイやモニタ等の表示手段を有し、音声により出力する場合には、例えばスピーカ等の音声出力手段を有していてもよい。また、入力手段21と出力手段22とは、例えばタッチパネル等のように入出力が一体型であってもよい。
記憶手段23は、本実施形態において必要となる各種情報を記憶する。具体的には、記憶手段23は、通信端末情報31と、状態情報の一例である状態リスト32と、基地局情報33と、地図情報34と、予測情報35とを有するが、これに限定されるものではない。
通信端末情報31は、通信履歴として、例えば通信端末11の識別情報や通信時間、バッテリー残量、取得できた過去の位置情報、通信対象の基地局情報、通信端末11の位置予測時に、そのレコードの情報を参照するか否かを示すフラグ等を記憶する。なお、通信端末情報31に含まれる位置情報は、例えば経度緯度情報でもよく、予め設定された座標情報(例えば、世界座標系等)でもよい。また、通信端末情報31に含まれる情報は、これに限定されるものではなく、例えば通信した内容(例えば、命令コマンドや制御コマンド)等を含む通信記録等を記憶してもよい。
状態リスト32は、例えば各通信端末11が現在どのような状態であるかを示す情報等を記憶する。なお、状態リスト32には、実際に取得できた状態だけでなく、予測した状態を記憶してもよい。状態リスト32は、通信端末11の状態の種類として、例えば"正常"、"バッテリー切れ(通信不能)"、"電源OFF"等の情報を記憶することができるが、これに限定されるものではない。
基地局情報33は、例えば各基地局12の識別情報や、識別情報に対応する位置情報等を記憶する。なお、基地局情報33に含まれる位置情報は、例えば上述したように経度緯度情報でもよく、座標情報等でもよいが、これに限定されるものではない。
地図情報34は、例えば地図上に存在する建物や道路、川、電車の経路等が、それぞれ位置情報と共に管理されている情報等を記憶する。地図情報34としては、例えば所定の川の名称(例えば、"○○川")等が、その地図上のどの座標範囲に位置しているか等の情報が記憶される。なお、地図情報34に含まれる位置情報は、例えば上述したように緯度経度等の情報でもよく、座標情報等でもよいが、これに限定されるものではない。
予測情報35は、例えば現在通信できない状態にある通信端末11の位置情報、次に通信可能な状態になると予測した日時情報、通信可能となったときの通信対象の基地局情報等の各種予測情報等を記憶するが、これに限定されるものではない。例えば、予測情報35には、予測した通信端末11のバッテリー残量等を記憶してもよい。
また、記憶手段23は、本実施形態における位置予測処理が実現可能な各処理を実行するための設定情報等を記憶したり、各種処理の実行経過や結果等を記憶する。また、記憶手段23は、記憶された各種情報を必要に応じて所定のタイミングで読み出したり、書き込んだりすることができる。また、記憶手段23は、上述したような多種の情報の集合物であり、それらの情報を、例えばキーワード等を用いて検索し、抽出することができるように体系的に構成されているデータベースとしての機能を有していてもよい。なお、記憶手段23は、例えばハードディスクやメモリ等からなる。
通信端末情報取得手段24は、例えば予め登録された通信端末11のうち、通信可能な通信端末11から送信された通信端末11に対応する情報を、通信端末11と通信している基地局12又は直接取得する。また、通信端末情報取得手段24は、取得した情報から通信端末情報31を生成し、生成した通信端末情報31を記憶手段23に記憶する。
なお、通信端末情報31には、例えば所定時間間隔毎の通信端末11毎の位置情報や、通信時間、通信対象の基地局情報等のうち、少なくとも1つを有するがこれに限定されるものではない。また、通信端末情報31には、通信端末11等のバッテリー残量等を含んでいてもよい。
通信端末情報取得手段24は、通信端末11から所定の時間間隔で継続的に情報を取得する。また、通信端末情報取得手段24により得られる通信端末情報31は、通信端末11の位置情報を予測する際に通信履歴として用いられる。更に、通信端末情報取得手段24は、得られた通信端末情報31に基づいて通信端末11の状態を設定し、設定した情報を状態リスト32として記憶手段23に記憶させてもよい。
災害検知手段25は、例えば地震や津波等に対する緊急地震速報や台風、雷雨等の気象情報、その他の火災や事故等に対する各種災害情報を検知する。なお、災害検知手段25は、例えば地震等があった場合に、気象庁等の所定の団体や機関から送信される警報や予報等を受信することで、災害を検知することができる。また、災害検知手段25は、通信ネットワーク14を介して他の外部装置から災害に関する情報を受信することで、その災害の発生又は予報等を検知することができる。また、災害検知手段25は、災害検知時にユーザの位置を確認するために、ユーザが所持する通信端末11の位置を確認し、位置が特定できない通信端末11等については、位置予測手段27による通信端末11の位置予測を実行する。
検索手段26は、位置を取得したい通信端末11を検索する。例えば、検索手段26は、ユーザ等が入力手段21により入力する通信端末11の識別情報やユーザ名等に基づいて記憶手段23にある通信端末情報31や状態リスト32等から対象の通信端末11の位置情報を抽出する。ここで、通信できない状態にある通信端末11が存在する場合には、例えば上述した通信端末情報31の履歴情報や基地局情報33、地図情報34等に基づいて、位置予測手段27による通信端末11の位置予測を実行する。
なお、検索手段26における処理は、例えば位置予測装置13以外の外部装置等から要求を受け付けることで検索を実行することもできる。また、検索手段26における処理を外部装置に設け、位置予測装置13は、検索時にその外部装置にアクセスすることで、上述した検索等を行わせて、その結果を取得してもよい。その場合には、位置予測装置13は、検索手段26の機能を有していなくてもよい。
なお、検索手段26は、例えば通信端末11を紛失したユーザ等が、紛失した通信端末11の現在の位置を取得するために用いられてもよい。
位置予測手段27は、記憶手段23から通信端末情報31や状態リスト32等を読み出して、通信端末11毎に現在の位置情報や状態を取得する。また、位置予測手段27は、現在の位置情報を正常に取得できた場合には、その結果を出力手段22等に出力する。また、位置予測手段27は、現在の位置情報を正常に取得できなかった場合には、通信端末情報31に含まれる履歴情報から移動方向や移動速度等を算出し、算出した結果や地図情報34等を用いて現在の位置を予測する。更に、位置予測手段27は、現在の位置情報に対して、基地局情報33に含まれる基地局12の位置情報等から、次に通信が可能なる時間や位置、通信対象基地局等を予測する。また、位置予測手段27は、通信端末11のバッテリー残量等を予測してもよい。位置予測手段27により得られる予測結果は、予測情報35として記憶手段23に記憶される。
なお、位置予測手段27は、通信端末情報31を参照して通信端末11の移動方向や移動速度等を算出する際、参照する必要のないレコード等が存在する場合には、通信端末情報31の「参照フラグ」に"×"等をセットしてもよい。また、位置予測手段27は、通信端末11の状態を予測して、その予測結果を状態リスト32に出力してもよい。
送受信手段28は、例えば通信ネットワーク14を介して基地局12又は通信端末11等の外部装置と各種情報の送受信を行うための通信手段である。送受信手段28は、外部装置等にすでに記憶されている各種情報等を受信することができ、また位置予測装置13で処理された結果を、通信ネットワーク14を介して外部装置等に送信することもできる。
制御手段29は、位置予測装置13の各構成部全体の制御を行う。具体的には、制御手段29は、例えばユーザ等による入力手段21からの指示等に基づいて、位置予測に関する各制御を行う。ここで、各制御とは、例えば上述した通信端末情報取得手段24における通信端末11の現在の位置情報の取得や、災害検知手段25における災害検知や、検索手段26における検索等がある。また、各制御とは、例えば位置予測手段27における通信端末11と通信が行える時間や位置の予測等があるが、これに限定されるものではない。なお、これらの制御は、プログラムの実行やユーザの指示等による所定の操作入力に基づいて行われてもよく、所定の時間間隔で定期的に行われてもよい。
<位置予測装置13のハードウェア構成例>
ここで、上述した位置予測装置13においては、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(位置予測プログラム)を生成し、例えば汎用のPCやサーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本実施形態における位置予測処理を実現することができる。ここで、本実施形態における位置予測処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。
図3は、位置予測処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。図3におけるコンピュータ本体には、入力装置41と、出力装置42と、ドライブ装置43と、補助記憶装置44と、主記憶装置45と、各種制御を行うCentral Processing Unit(CPU)46と、ネットワーク接続装置47とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
入力装置41は、ユーザ等が操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスや、マイクロフォン等の音声入力デバイスを有しており、ユーザ等からのプログラムの実行指示、各種操作情報、ソフトウェア等を起動するための情報等を入力する。
出力装置42は、本実施形態における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU46が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。また、出力装置42は、上述の処理結果等を紙等の印刷媒体に印刷して、ユーザ等に提示することができる。
ここで、本実施形態においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、Universal Serial Bus(USB)メモリやCD−ROM、DVD等の可搬型の記録媒体48等により提供される。プログラムを記録した記録媒体48は、ドライブ装置43にセット可能であり、CPU46からの制御信号に基づき、記録媒体48に含まれる実行プログラムが、記録媒体48からドライブ装置43を介して補助記憶装置44にインストールされる。
補助記憶装置44は、ハードディスク等のストレージ手段であり、CPU46からの制御信号に基づき、本実施形態における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を記憶し、必要に応じて入出力を行うことができる。また、補助記憶装置44は、上述した通信端末情報31と、状態リスト32と、基地局情報33と、地図情報34と、予測情報35等を記憶する。補助記憶装置44は、CPU46からの制御信号等に基づいて、記憶された各情報から必要な情報を読み出したり、書き込むことができる。
主記憶装置45は、CPU46により補助記憶装置44から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、主記憶装置45は、Read Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等からなる。なお、補助記憶装置44及び主記憶装置45は、例えば上述した記憶手段23に対応している。
CPU46は、オペレーティングシステム等の制御プログラム、及び主記憶装置45に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して各処理を実現することができる。なお、プログラムの実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置44から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
具体的には、CPU46は、例えば入力装置41から得られるプログラムの実行指示等に基づき、補助記憶装置44にインストールされた位置予測プログラムを実行させることにより、主記憶装置45上でプログラムに対応する処理を行う。例えば、CPU46は、位置予測プログラムを実行させることで、上述した通信端末情報取得手段24による通信端末11の位置情報の取得、災害検知手段25による災害検知、検索手段26による検索、位置予測手段27による通信端末11の位置予測等の処理を行う。なお、CPU46における処理内容は、これに限定されるものではない。CPU46により実行された内容は、必要に応じて補助記憶装置44に記憶させることができる。
ネットワーク接続装置47は、CPU46からの制御信号に基づき、通信ネットワーク14等と接続することにより、実行プログラムやソフトウェア、設定情報等を、通信ネットワーク14に接続されている外部装置等から取得する。また、ネットワーク接続装置47は、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本実施形態における実行プログラム自体を外部装置等に提供することができる。
上述したようなハードウェア構成により、本実施形態における位置予測処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のPCやサーバ等で本実施形態における位置予測処理を容易に実現することができる。
<データ例>
ここで、上述した記憶手段23に記憶される各種データ例について、図を用いて具体的に説明する。図4は、本実施形態における各種データ例を示す図である。ここで、図4(A)は通信端末情報31の一例を示し、図4(B)は状態リスト32の一例を示し、図4(C)は基地局情報33の一例を示し、図4(D)は地図情報34の一例を示し、図4(E)は予測情報35の一例を示している。
図4(A)の例に示す通信端末情報31は、項目として、例えば「項番」、「通信端末識別情報」、「通信時間」、「バッテリー残量」、「座標」、「通信対象基地局」、「参照フラグ」等を含むが、項目の種類や数、内容等についてはこれに限定されるものではない。
「項番」とは、例えば通信端末情報31として記憶される情報をレコード毎に識別するための情報である。また、「通信端末識別情報」とは、例えば通信端末11を識別するための情報であり、例えば通信端末11毎に割り振られた固有番号であってもよく、その通信端末11を利用するユーザ名の識別情報(例えば、ユーザID)等であってもよい。
また、「通信時間」とは、例えば通信端末11と基地局12とが通信したときの通信終了時間である。例えば、通信端末11の移動により、通信する基地局12を変更した場合には、変更された基地局12毎に通信端末情報31のレコードが生成され、そのときの通信時間が記憶される。なお、「通信時間」に記憶される情報は、通信終了時間のみでなくてもよく、例えば通信開始時間であってもよく、通信開始時間及び通信終了時間の両方であってもよい。なお、通信時間は、日時情報を含む(図4(A)の例では、"2012/5/21 21:00:00")が、これに限定されるものではない。
また、「バッテリー残量」は、各通信端末11に対応するバッテリー残量である。本実施形態では、例えば通信端末11と基地局12等とが通信を開始する際に、その時点でのバッテリー残量が通信端末11から基地局12に送信され、基地局12から位置予測装置13に送信されて、通信端末情報31に記憶される。なお、バッテリー残量の取得は、上述したように通信端末11と基地局12等とが通信を開始する際に取得するだけでなく、所定の時間間隔で取得してもよい。また、バッテリー残量は、例えば通信が終了する際に取得してもよい。
また、「座標」とは、例えば基地局12と通信を行った通信端末11がGPS機能等を用いて取得した位置情報(座標)である。なお、通信端末11がGPS機能等を有していない場合には、その通信端末11と通信を行った基地局12の位置情報(座標)を記憶してもよい。図4(A)の例では、"X=710,Y=605"等のように所定の2次元座標(X,Y)で示しているが、位置情報の種類については、これに限定されるものではない。
また、「通信対象基地局」は、例えばその通信端末11と通信を行った対象の基地局12を識別するための識別情報である。また、「参照フラグ」は、例えば通信端末11の位置の予測等を行う場合に、このレコードの情報を参照するか否かを示すフラグである。なお、このフラグは、位置予測手段27によりセットされ、例えば位置予測時に参照する場合には、その旨を示すフラグとして"○"を記憶し、参照しない場合には、その旨を示すフラグとして"×"を記憶するが、これに限定されるものではない。例えば、「参照フラグ」には、参照するレコードに対してその旨を示すマーク"○"のみがセットされていればよい。
なお、上述した通信端末情報31のうち、「通信端末識別情報」、「通信時間」、「バッテリー残量」、「座標」、「通信対象基地局」については、通信端末11から得られる通信端末情報に含まれていてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、「通信時間」や「通信対象基地局」については、基地局12から取得してもよい。「項番」については、例えば通信端末情報取得手段24が通信端末情報31を記憶手段23に記憶する場合にセットされる。
例えば、図4(A)の例では、項番"20010"の識別番号"000027"の通信端末11が、通信時間"2012/5/2 21:00:00"で通信を行い、そのときのバッテリー残量が"90%"であり、通信時の位置情報は、"X=710,Y=605"であり、通信した基地局12の識別情報は、"Z"であり、参照フラグは、"×"であることを示している。
なお、通信端末情報31において、不明な情報がある場合には、「−」や「???」等を記憶してもよいが、これに限定されるものではない。また、上述した不明な情報に対する記載は、後述する他のデータ例についても同様とする。
通信端末情報31は、例えば所定時間(例えば、5秒や10秒、1分)毎に各通信端末11から情報が収集され、レコードが更新される。また、通信端末情報31に記憶された各レコードは、所定の間隔(例えば、1日、1週間、1ヶ月)単位又は所定のデータ量を基準に古い情報から削除される。
図4(B)の例に示す状態リスト32は、項目として、例えば「項番」、「通信端末識別情報」、「状態」等を含むが、項目の種類や数、内容等についてはこれに限定されるものではない。
「項番」とは、例えば状態リスト32として記憶される情報をレコード毎に識別するための情報である。また、「通信端末識別情報」とは、上述したように通信端末11を識別するため情報である。
また、「状態」とは、例えば通信端末情報取得手段24により得られる取得結果を示すものである。状態の種類としては、例えば現在の位置情報が正常に取得できたことを示す"正常"や、今までの通信履歴に含まれるバッテリー残量からバッテリー切れの状態であると予測した"バッテリー切れ"、長時間にわたって通信履歴がない状態"電源OFF"等があるが、これに限定されるものではない。なお、上述した"正常"や"電源OFF"等の状態は、例えば上述した通信端末情報取得手段24により、情報取得時又は通信履歴等を用いてセットすることができる。また、上述した"バッテリー切れ"等の状態は、例えば上述した位置予測手段27等により、予測結果に基づいてセットすることができるが、これに限定されるものではない。
例えば、図4(B)の例では、通信端末識別情報が"000027"の通信端末11の状態が"正常"であることを示している。
図4(C)の例に示す基地局情報33は、項目として、例えば「項番」、「基地局コード」、「座標」等を含むが、項目の種類や数、内容等についてはこれに限定されるものではない。例えば、基地局情報33は、設置位置からどの程度の範囲まで通信可能であるかを示す通信可能範囲(例えば、半径1km等)に関する情報を記憶してもよい。
「項番」とは、例えば基地局情報33として記憶される情報をレコード毎に識別するための情報である。また、「基地局コード」は、例えば所定の位置に設置された基地局12を識別するための情報である。また、「座標」は、例えば各基地局12が設置されている位置情報(座標)である。例えば、図4(C)の例では、基地局コードが"A"の基地局12の位置情報が"X=280,Y=110"であることを示している。
図4(D)の例に示す地図情報34は、項目として、例えば「項番」、「名称」、「対象座標(X,Y)」、「経路種別」等を含むが、項目の種類や数、内容等についてはこれに限定されるものではない。
「項番」とは、例えば地図情報34として記憶される情報をレコード毎に識別するための情報である。また、「名称」は、地図に含まれる所定の地域の場所や位置、建物、道路、路線、川、湖、海、山等の位置、商業施設、ランドマーク等が記憶される。
また、「対象座標(X,Y)」とは、例えば各名称に対応する座標の位置範囲である。例えば、座標が複数の範囲を含む場合には、所定の座標の記載形式を用いて記載する。なお、対象座標については、これに限定されるものではなく、例えば建物には住所等が割り当てられているため、その住所情報を記憶しておいてもよい。この場合、住所と座標情報とを対応付けるテーブル等を有することで、住所情報から容易に座標を抽出することができる。
また、「経路種別」とは、例えば「名称」に記憶された情報が何を意味しているかの分類を示す情報である。経路種別としては、例えば"河川"、"道路"、"路線"等があるが、これに限定されるものではない。
例えば、図4(D)の例では、名称が"○○川"の対象座標は(X,Y)=(267,116〜117)と、(268,116〜118)と、(269,117〜119)と、(270,118〜120)とを含む範囲であり、経路種別は"河川"であることを示している。なお、地図情報34は、位置予測装置13内に設けられていなくてもよく、例えば、通信ネットワーク14を介して接続される外部装置(例えば、データベース)等から取得してもよい。
なお、上述した基地局情報33や地図情報34は、予め外部装置等から取得して記憶しておいてもよく、事前に管理者等が設定して記憶しておいてもよく、位置予測処理実行時に通信ネットワーク14を介して外部装置等から取得してもよい。
図4(E)の例に示す予測情報35は、項目として、例えば「項番」、「通信端末識別情報」、「予測時間」、「バッテリー残量予測」、「座標予測」、「通信可能日時予測」、「通信対象基地局予測」等を含むが、項目の種類や数、内容等についてはこれに限定されるものではない。
「項番」とは、例えば予測情報35として記憶される情報をレコード毎に識別するための情報である。また、「通信端末識別情報」とは、例えば位置を予測する通信端末11を識別するための情報である。また、「予測時間」とは、通信端末11毎に位置予測処理を実行した日時情報である。なお、「予測時間」は、例えば予測情報35にレコードを記憶したときの時間であってもよい。
また、「バッテリー残量予測」とは、例えば上述した通信端末情報31等を用いて通信端末11のバッテリー残量を予測した結果を示す情報である。また、「座標予測」とは、例えば今までの通信履歴等から、次に基地局12等と通信が可能となる通信端末11の位置情報(座標)を予測した結果を示す情報である。また、「通信可能日時予測」は、例えば通信端末11が次に通信可能となる日時を予測した結果を示す情報である。また、「通信対象基地局予測」とは、例えば対象の通信端末11と次に通信すると予測される通信対象の基地局12の識別情報である。
例えば、図4(E)の例では、通信端末識別情報が"000027"の通信端末11の位置情報を予測した時間が"2012/5/10 10:10:10"であり、現在の通信端末11のバッテリー残量予測が"34%"であることを示している。また、図4(E)の例では、通信可能となる位置情報(座標)の予測が"X=267,Y=117"であり、通信端末11を検出する日時の予測が"2012/5/10 10:18"であり、通信端末11からの信号を受信する基地局12の予測が"B"であることを示している。
<位置予測装置13における位置予測処理例>
次に、位置予測装置13における位置予測処理例について、フローチャートを用いて説明する。図5は、位置予測処理の一例を示すフローチャートである。なお、図5に示す位置予測処理の例は、例えば災害検知手段25により災害が発生した場合や、検索手段26により対象の通信端末11の位置情報が検索された場合等に実行される。
図5の例に示す位置予測処理は、例えば災害の発生等を検知すると、通信端末情報31を参照し、一定時間(例えば、前回の通信から30秒以上)通信が途切れた通信端末11を抽出する(S01)。次に、位置予測処理は、状態リスト32を参照し、S01の処理で抽出した通信端末11に対応する「状態」を抽出し(S02)、抽出した「状態」に基づいて、通信端末11が位置予測の処理対象であるか否かを判断する(S03)。なお、位置予測の処理対象であるか否かの判断は、例えば状態リスト32における通信端末11の「状態」が"電源OFF"等の場合には、処理対象外とする。また、通信端末11の「状態」が"正常"又は"バッテリー切れ"等の場合には、処理対象とすることができるが、これに限定されるものではない。
位置予測処理は、通信端末11の「状態」が位置予測の処理対象でない場合(S03において、NO)、S01の処理に戻る。また、位置予測処理は、通信端末11の「状態」が処理対象である場合(S03において、YES)、その通信端末11と最後に通信できた座標を基準に地図情報34を検索し(S04)、その検索結果から位置予測の処理対象であるか否かを判断する(S05)。つまり、S05の処理では、通信端末11との通信履歴のうち、最後に通信できた座標(通信時間が最新の座標)が予め記憶手段23に記憶されている地図情報34に含まれていない場合には、移動経路を予測することができないため、位置予測の処理対象外とする。また、通信端末11と最後に通信できた座標が通信地図情報34に含まれる何らかの移動経路に含まれている場合には、位置予測の処理対象とすることができるが、これに限定されるものではない。
位置予測処理は、通信端末11が位置予測の処理対象でない場合(S05において、NO)、S01の処理に戻る。また、位置予測処理は、S05の処理において、通信端末11が位置予測の処理対象である場合(S05において、YES)、通信端末11の状態リスト32の「状態」が、例えば"バッテリー切れ"であるか否かを判断する(S06)。
位置予測処理は、"バッテリー切れ"でない場合(S06において、NO)、その通信端末11の座標(位置情報)に最も近い基地局12を基地局情報33から検索する(S07)。なお、S07の処理では、例えば基地局情報33に含まれる各基地局12との座標と、通信端末11と最後に通信できた座標との距離を算出し、距離が最も短い基地局12を最も近い基地局12として抽出することができるが、これに限定されるものではない。また、S07の処理では、地図情報34から得られた移動経路や通信端末11の移動方向に対応させて、通信端末11との距離が最も近くなる基地局12を取得する。なお、通信端末11との距離が最も短い基地局12は、通信端末11と通信していた通信対象基地局であるということができる。
次に、位置予測処理は、通信端末11と基地局12との間の距離を算出する(S08)。なお、S08の処理では、例えば通信端末情報31に記憶された通信可能であったときの通信端末11の座標(履歴)と、基地局情報33に含まれる各基地局12の座標とを用いて距離を算出することができるが、これに限定されるものではない。また、上述したS07の処理で、基地局12との距離がすでに算出されている場合には、S08の処理を省略してもよい。
次に、位置予測処理は、S08の処理で得られた距離が、基地局12からの通信可能範囲(例えば、基地局12を中心として半径1km)以下であるか否かを判断する(S09)。位置予測処理は、通信可能範囲である場合(S09において、YES)、又は、上述したS06の処理において、"バッテリー切れ"である場合(S06において、YES)、その通信端末11は、バッテリー切れやその他の理由(例えば、故障等)により通信不能であると判断する。したがって、位置予測処理は、通信端末情報31の情報から、移動方向と移動速度とを算出する(S10)。なお、S10の処理では、通信端末情報31の「参照フラグ」が"×"以外の情報のみを参考にして算出する。移動方向及び移動速度の具体的な算出例については、後述する。また、位置予測処理は、S10により算出した結果と地図情報34とを用いて、通信端末11の現在の位置を予測する(S11)。
また、位置予測処理は、上述したS09の処理において、通信可能範囲でない場合(S09において、NO)、通信端末11は圏外にあると判断し、通信端末11の通信端末情報31から、移動方向と移動速度とを算出する(S12)。なお、S12の処理では、通信端末情報31の「参照フラグ」が"×"以外の情報のみを参考にして算出する。
次に、位置予測処理は、通信端末11のバッテリー残量予測を通信端末情報31に含まれる「バッテリー残量」の履歴情報等から算出する(S13)。S13の処理では、履歴情報から単位時間あたりのバッテリー使用量を算出し、算出したバッテリー使用量に基づいて現時点でのバッテリー残量を算出する。なお、S13の処理において、通信端末11のバッテリーが残っていない場合(バッテリー切れの場合)には、上述したS10,S11の処理を行う。
次に、位置予測処理は、予測対象の通信端末11の移動方向に基づいて、最も近い次の基地局12を基地局情報33等から検索する(S14)。また、位置予測処理は、通信端末11と次の基地局12との間の距離を算出する(S15)。なお、S14,S15の処理では、移動方向及び移動速度に基づいて予測される所定時間後の通信端末11の位置情報(座標)と、基地局情報33に含まれる各基地局12の位置情報(座標)とに基づいて各基地局12との距離を算出する。また、S14,S15の処理では、通信端末の移動方向に対応させて距離が最も短くなる「次の基地局」を抽出する。
また、位置予測処理は、通信端末11の速度情報に基づいて、あとどのくらいで通信可能になるかを算出する(S16)。なお、S16の処理では、通信端末11の現在位置(座標)、速度情報、及び移動方向と、次の基地局12の位置情報(座標)とに基づいて、例えば、次の基地局12と通信端末11との距離が最短になるまでの時間、又は、次の基地局12に対応する通信可能範囲内に通信端末11が入る時間を算出する。
また、位置予測処理は、S11の処理後、又はS16の処理後、通信端末11に対する予測結果を予測情報35として記憶し(S17)、処理を終了する。
なお、上述した位置予測処理は、例えば災害発生を検知した後、所定の対策が完了するまで所定時間間隔で上述した位置予測処理を繰り返し実行してもよい。また、上述した位置予測処理は、位置を検索する対象である予め設定された1又は複数の通信端末11毎に実行される。
<具体例>
ここで、本実施形態における位置予測の具体例について説明する。
<第1の具体例>
図6は、位置予測の第1の具体例を示す図である。図6に示す例では、通信端末11が、例えば地図情報34に含まれる高速道路や鉄道、川等のような移動経路51により移動している例を示している。例えば、移動経路51が高速道路の場合には、ユーザは車により移動していることが想定される。また、移動経路51が川の場合には、通信端末11を川に落としたか、船や海上バス等に乗っていることが想定される。なお、本実施形態では、通信端末11を川に落とした場合でも防水機能等により、通信可能な状態になり得る。
図6の例において、通信端末11は、時間の経過と共に座標1〜座標4に順次移動していることを示している。また、領域52−1は、例えばある基地局(例えば、第1の基地局)による通信可能範囲(位置が判断できる範囲)を示し、領域52−2は、次の基地局(例えば、第2の基地局)による通信可能範囲を示している。
図6の例において、通信端末11が座標1、2の時点では、第1の基地局の通信可能範囲(領域52−1)に含まれるため、通信端末11と第1の基地局との通信が正常に行えている。したがって、本実施形態では、座標1、2の時点における通信端末11の各位置情報を取得し、取得した少なくとも1つの位置情報に基づいて地図情報34を参照し、通信端末11の位置情報を含む移動経路51を抽出する。移動経路51が抽出された場合には、通信端末11を所持するユーザが、移動経路51に沿って移動している可能性があることがわかる。
また、図6の例において、通信端末11が圏外等にあるため通信できない状態である場合には、上述した位置予測処理による位置の予測を行う。具体的には、本実施形態では、座標1から座標2までの距離と、座標1から座標2に移動するまでの時間とに基づいて通信端末11の移動速度を算出する。更に、本実施形態では、地図情報34上の移動経路51の対象位置情報(対象座標)に基づいて移動方向を予測することで、通信端末11の座標3の位置を予測する。なお、座標3の位置では、どの基地局12の通信可能範囲にも含まれないため、基地局12と通信できない状態となっているが、本実施形態により位置情報を予測することができる。
更に、第1の具体例では、通信端末11の移動方向と、地図情報34上の移動経路51の対象位置情報(対象座標)とに基づいて、次に通信端末11と通信する第2の基地局を取得する。また、第1の具体例では、通信端末11の移動速度と、第2の基地局の位置情報、通信可能範囲(領域52−2)とに基づいて、通信端末11が次に通信可能になる位置(座標4)と日時等とを予測する。つまり、本実施形態では、通信端末11が座標4の位置に移動してくる日時を予測する。
<第2の具体例>
図7は、位置予測の第2の具体例を示す図である。図7に示す例は、通信不能となった通信端末11に対して位置予測を行う場合の具体例を説明するものである。なお、図7の例において、上述した図6に示す第1の具体例と重複する説明部分については省略する。
図7の例において、通信端末11が座標1から座標2へ移動している場合には、座標1,2が共に第1の基地局の通信可能範囲(領域52−1)に含まれている。ここで、通信端末11のバッテリー残量が残り少なく、例えば座標2の位置情報を取得した後にバッテリーが切れた状態となった場合には、通信端末11が第1の基地局の通信可能範囲(領域52−1)内に存在していても通信することができない。そのような場合に、本実施形態では、上述した位置予測処理を行う。
例えば、図7の例では、通信端末11が時間の経過と共に座標1〜座標3に順次移動する場合、座標1,2の各時点で、通信端末11の位置情報を取得すると共に、取得した少なくとも1つの位置情報に基づいて地図情報34を参照して移動経路を予測する。また、通信端末11に対応する通信履歴から移動方向と、移動速度を予測し、所定時間後の位置情報(座標)等を予測する。
また、第2の具体例では、通信端末11が第1の基地局の通信可能範囲(領域52−1)の外に出てからの位置予測も行うことができる。
なお、第2の具体例では、例えば座標1,2の各時点で取得される通信端末情報に含まれるバッテリー残量から、単位時間におけるバッテリー使用量を算出し、座標2の時点におけるバッテリー残量との関係から、通信不能になる時点を予測することもできる。
<地図情報34を用いた位置予測手法の具体例>
ここで、本実施形態における地図情報34を用いた位置予測手法の具体例について説明する。図8は、地図情報を用いた位置予測手法の具体例を示す図である。
本実施形態では、地図情報34を用いて移動経路51を座標に置き換えることができる。図8の例では、X=267〜270,Y=116〜120の座標範囲に対して、移動経路51が斜線部分で示されている。
本実施形態では、通信端末11から取得した通信端末情報に含まれる位置情報と地図情報34とから、通信端末11がどの移動経路で移動しているかを予測する。また、本実施形態では、位置情報の過去の通信履歴から通信端末11の移動方向や移動速度を算出する。なお、移動方向や移動速度を算出する場合には、過去の通信履歴のうち、新しい方から少なくとも2つの位置情報や通信時の時間情報等を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態では、算出した移動方向や移動速度の結果から、図8に示す座標上を通信端末11がどのように移動するかを予測し、所定時間後の位置や基地局12と通信可能となる位置や時間等を予測する。つまり、本実施形態では、地図情報34を用いて移動経路51を座標として管理することで、位置予測を適切に行うことができる。
<位置予測手段27における移動方向や移動速度の算出例>
ここで、位置予測手段27における位置予測例について、具体的に説明する。位置予測手段27では、位置予測を行う際、通信端末情報31に記憶された通信端末11の過去の通信履歴から通信端末11の移動方向や移動速度等を取得する。
具体的には、位置予測手段27は、予測対象となる通信端末11を特定後(ここでは、通信端末11の識別情報を"000027"とする)、その通信端末11の情報を通信端末情報31で検索する。また、位置予測手段27は、通信端末11から取得できた最も新しい情報(例えば、図4(A)に示す項番"30004")を基準に、「通信時間」が直前の情報(例えば、図4(A)に示す項番"30003")の「座標」、「通信時間」を取得する。
次に、位置予測手段27は、取得した2つの座標値の変化量(差)から移動方向を算出する。また、位置予測手段27は、取得した2つの座標の差と、通信時間の差とから移動速度を算出する。この場合、それぞれの値は、例えば「Xの変化量=268−269=−1」、「Yの変化量=118−119=−1」、「X方向速度=−1/3(秒/座標)」、「Y方向速度=−1/3(秒/座標)」となる。
なお、本実施形態では、基準となる情報(例えば、図4(A)に示す項番"30004")に近い他の情報(例えば、項番"30003"と項番"30002")を参照して同様に値を求めてもよい。この場合、それぞれの値は、「Xの変化量=269−270=−1」、「Yの変化量=119−120=−1」、「X方向速度=−1/3(秒/座標)」、「Y方向速度=−1/3(秒/座標)となる。
ここで、位置予測手段27は、例えば上述した2つの算出結果における座標X、Yの値が所定の閾値a以内であり、速度の値が所定の閾値b以内である場合には、項番"30002"の情報も参照情報として用いてもよい。この場合、位置予測手段27は、上述した2つの値の平均等を算出することで、移動方向や移動速度を予測することができる。
なお、本実施形態では、項番"30002"より前の情報で座標を取得できた情報が項番"20010"とした場合には、上述と同様に算出して、「Xの変化量=270−710=−440」、「Yの変化量=120−605=−485」となる。ここで、座標X、Yの値が閾値aの範囲を超える場合には、項番"20010"は参照対象とはしない。したがって、位置予測手段27は、項番"20010"のレコードの「参照フラグ」に「×」を設定して、次回からの繰り返し算出実行時に参照対象から除外するようにすることができる。これにより、本実施形態では、算出時間を短縮することができると共に、不適切な情報を削除して、通信端末の位置をより適切に予測することができる。
<複数の移動経路が存在する場合の移動経路の判断例>
ここで、上述した例では、通信端末11の位置情報(座標)に対応する移動経路が1つの場合について説明したが、地図情報34中には1つの座標値に対して複数の異なる移動経路が存在する場合がある。以下に、位置予測手段27における移動経路が複数存在する場合の判断例について、図を用いて説明する。
図9は、移動経路が複数存在する場合の判断例を示す図である。図9の例では、地図情報34のある座標範囲(X=1〜5,Y=1〜6)に2つの移動経路(例えば、移動経路51−1,51−2)が存在し、それぞれが異なる模様で示されている。また、図9の例では、基地局12毎の通信可能範囲(例えば、領域52−1〜52−3)が示されている。
ここで、図9の例では、予測対象の通信端末11が、移動経路51−1の経路で移動し、座標(2,2)の位置から座標(2,3)の方向へ移動しているとする。このとき、通信端末11は、別の移動経路51−2(例えば、河川等)と移動経路51−1(例えば、高速道路)とが座標上重なる地点に存在している。
このような場合、位置予測手段27は、通信端末11が座標(2,5),座標(2,4)の各時点で取得した「座標」及び「通信時間」に基づいて移動速度を算出する。次に、位置予測手段27は、算出された移動速度と、地図情報34に記憶された移動経路毎の「経路種別」(例えば、河川、道路、路線等)とに基づいて、最も確からしい移動経路を判断する。
なお、本実施形態では、例えば速度と経路種別との関係を予め設定し、地図情報34等の記憶手段23に記憶しておくのが好ましい。例えば、経路種別が「河川」の場合には、速度を1(km/h)〜30(km/h)とし、移動種別が「道路」の場合には、速度を30(km/h)〜60(km/h)とし、経路種別が「路線」の場合には、速度を60(km/h)〜100(km/h)等とする。なお、速度の値は、上述した値に限定されるものではなく任意に設定することができる。
位置予測手段27は、算出した速度に対応する経路種別の情報から該当する移動経路を選択し、選択された移動経路に対応させて、例えば図9に示す基地局12との通信が可能になる地点Pや地点Qの位置や日時を予測する。また、位置予測手段27は、予測結果を予測情報35に記憶される。
なお、位置予測手段27は、移動速度に対応する移動経路が選択できない場合は、重複する複数の移動経路の全てに対する予測結果を予測情報35に記憶させてもよい。
上述したように本実施形態によれば、通信端末の位置を適切に予測することができる。具体的には、本実施形態では、通信端末が通信できない状態であっても、過去の通信履歴と地図情報とに基づいて、どの移動経路を移動しているかを予測し、所定時間後の通信端末の位置やと、通信端末が通信可能となる時間等を予測することができる。
これにより、本実施形態は、例えば災害発生時の人物の位置を確認するために、その人物が所持する通信端末を用いて位置を特定する際に、通信端末と通信できない場合であっても位置を適切に予測することができる。また、本実施形態は、通信端末の紛失時に通信端末の位置を検索する際に、通信端末と通信できない場合であっても位置を適切に予測することができる。
なお、上述した実施形態では、災害発生時の人物の位置の確認や紛失した通信端末の位置を検索するために通信端末の位置を予測する例を示したが、例えばある人物の行き先や移動経路、行動パターン等を予測するために用いてもよい。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形及び変更が可能である。
なお、以上の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
通信端末との通信履歴に含まれる過去の位置情報に基づいて、予め記憶された地図情報を参照し、前記過去の位置情報に対応する移動経路を検索するステップと、
前記移動経路を検索するステップにより得られた移動経路と、前記通信履歴から得られる移動方向及び移動速度とを用いて前記通信端末の位置を予測するステップとを有することを特徴とする位置予測方法。
(付記2)
予め記憶された前記通信端末と通信を行う中継装置の位置情報に基づいて、前記通信端末と前記中継装置との距離を算出し、算出した結果を用いて前記通信端末が通信可能となる位置又は時間を予測するステップとを有することを特徴とする付記1に記載の位置予測方法。
(付記3)
前記位置又は時間を予測するステップは、
前記移動経路と前記通信端末の移動方向とに対応させて、前記通信端末との距離が最も近くなる中継装置を取得し、取得した中継装置の通信可能範囲に基づいて、前記通信端末が通信可能となる位置又は時間を予測することを特徴とする付記2に記載の位置予測方法。
(付記4)
前記通信端末の状態が、所定の条件を満たさない場合に、前記通信端末の位置を予測する対象から除外することを特徴とする付記1乃至3の何れか1項に記載の位置予測方法。
(付記5)
前記移動経路を検索するステップにより得られた移動経路が複数ある場合に、前記通信端末の移動速度に基づいて移動経路を選択することを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の位置予測方法。
(付記6)
災害情報を検知した場合に、前記通信端末の位置を予測することを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載の位置予測方法。
(付記7)
所定の通信端末の現在位置を検索する要求があった場合に、前記通信端末の位置を予測することを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載の位置予測方法。
(付記8)
通信端末との通信履歴に含まれる過去の位置情報に基づいて、予め記憶された地図情報を参照し、前記過去の位置情報に対応する移動経路を検索し、検索により得られた移動経路と、前記通信履歴から得られる移動方向及び移動速度とを用いて前記通信端末の位置を予測する、処理をコンピュータに実行させるための位置予測プログラム。
(付記9)
前記通信端末から位置情報を含む通信端末情報を取得する通信端末情報取得手段と、
通信端末との通信履歴に含まれる過去の位置情報に基づいて、予め記憶された地図情報を参照し、前記過去の位置情報に対応する移動経路を検索し、検索により得られた移動経路と、前記通信履歴から得られる移動方向及び移動速度とを用いて前記通信端末の位置を予測する位置予測手段とを有することを特徴とする情報処理装置。