JP7274802B1 - チャイルドシート - Google Patents

Abstract

簡易な構成により、小型にまとめた状態を安定的に維持し得るようにする。チャイルドシート１は、積重状態において、背部１２の背支持面１２Ｓと座部１１の座面２１Ｓとを互いに対向させるように積み重ねる。また、トップテザー５は、座部１１の座本体下面２１Ｌ側を通るように引き回され、テザー金具７４が背部１２の係合軸４９に係合され、調節部７２によりテザーベルト７１が張架される。このため、チャイルドシート１は、背部１２に座部１１が積み重ねられた積重状態をトップテザー５により維持でき、この積重状態を崩すことなく、様々な姿勢に傾けて収納することや、種々の姿勢に傾けさせて容易に運搬させることができる。

Description

本発明はチャイルドシートに関し、例えば自動車に取り付けて使用される場合に適用して好適なものである。

従来、チャイルドシートは、例えば自動車等の車両に乳幼児を乗せる場合に、当該車両のシートに取り付けて使用されるものが広く普及している。またチャイルドシートとしては、乳幼児が着座する座部と当該乳幼児の頭部や背中部分等を支持する背部とが一体化された一体型の他、当該頭部及び当該背部が分離及び接続し得るように構成された分離型も普及している。

このうち分離型のチャイルドシートとしては、例えば座部に対する背部の取付位置を複数通りに切替可能とすることにより、幼児の体格に対する適応範囲を広げたものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。

特開２００５－２２４４８号公報（図２等）

ところで、一体型のチャイルドシートは、座部に対する背部の位置や角度が固定されているため、収納時に広い範囲の空間を必要としてしまう。これに対し、分離型のチャイルドシートは、例えば座部と背部とを互いに分離し、座部の面と背部の面とを対向させるように重ねることにより、比較的小型にまとめることができ、必要とする空間の範囲を抑えることが可能となる。

しかしながらチャイルドシートは、幼児の体型に合わせて座部及び背部が複雑な立体形状となっている。このためチャイルドシートは、分離した座部及び背部を互いに重ねた状態が不安定となってしまい、収納時や運搬時における取り扱いが容易ではない、という問題があった。

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成により、小型にまとめた状態を安定的に維持し得るチャイルドシートを提案しようとするものである。

かかる課題を解決するため本発明のチャイルドシートにおいては、乳幼児が着座する座部と、座部と結合又は分離が可能であり、当該結合した場合に座部に着座した乳幼児の背中部分を支える背部と、背部に一端が取り付けられたトップテザーと、背部に設けられ、トップテザーの一部が係合する係合部とを設けるようにした。

本発明は、チャイルドシートの不使用時に、座部と背部とを分離させ、背部に座部を重ねた状態で、座部の一部を周回するようにトップテザーを引き回し、該トップテザーの一部を係合部に係合させることができる。これにより本発明は、チャイルドシートの不使用時に不要となるトップテザーを有効に利用しながら、背部に座部を重ねた状態を維持することができる。

本発明によれば、簡易な構成により、小型にまとめた状態を安定的に維持し得るチャイルドシートを実現できる。

図１は、チャイルドシートの構成を示す略線的斜視図である。 図２は、チャイルドシート本体の構成を示す略線的斜視図である。 図３は、座部の構成を示す略線的斜視図である。 図４は、座部の下面の構成を示す略線的斜視図である。 図５は、背部の構成を示す略線的斜視図である。 図６は、背部の下部の構成を示す略線的斜視図である。 図７は、トップテザーの構成を示す略線的斜視図である。 図８は、チャイルドシートの積重状態を示す略線的側面図である。 図９は、チャイルドシートの積重状態を示す略線的斜視図である。 図１０は、チャイルドシートの積重状態を示す略線的斜視図である。

以下、発明を実施するための形態（以下実施の形態とする）について、図面を用いて説明する。

［１．チャイルドシートの全体構成］
図１は、本実施の形態によるチャイルドシート１の全体を示す略線的な斜視図である。チャイルドシート１は、ジュニアシートとも呼ばれており、大きく分けて、チャイルドシート本体２、カバー３、シートベルト群４及びトップテザー５とにより構成されている。

カバー３は、チャイルドシート本体２やシートベルト群４において乳幼児と接する部分の表面を覆うように構成されている。このカバー３は、布やスポンジ材等の組み合わせにより、部分ごとに分割された構成となっており、それぞれ十分な柔軟性を有している。また、カバー３は、各部分がチャイルドシート本体２やシートベルト群４に対して着脱可能に構成されている。

シートベルト群４は、複数のベルトや部品の組み合わせにより構成されており、その一部がチャイルドシート本体２に取り付けられ、又は組み込まれている（詳しくは後述する）。このシートベルト群４は、乳幼児を着座状態に拘束することができる。

トップテザー５は、細長い紐状のベルトや金具等の組み合わせにより構成されている。このトップテザー５は、チャイルドシート１の後上側部分と、車両内の所定箇所に設けられた車両側金具との間で張架されることにより、該チャイルドシート１の後上側部分が前方へ倒れることを防止するようになっている（詳しくは後述する）。

本明細書中では、各構成部材の説明において、チャイルドシート１に着座する乳幼児から見た場合の前方向、後方向、上方向及び下方向を、それぞれ「前」、「後」、「上」及び「下」と称する。また、チャイルドシート１に着座する乳幼児を正面から見た場合の左方向及び右方向を、それぞれ「左」及び「右」と称する。なお、以降の各図においては、構造を明確に示すために、カバー３及びシートベルト群４を適宜省略している。

［２．チャイルドシート本体の構成］
図２は、本実施の形態によるチャイルドシート本体２の全体を示す略線的な斜視図である。チャイルドシート本体２は、大きく分けて、主に乳幼児が着座する座部１１と、主に乳幼児の背中部分等を支える背部１２とにより構成されている。また、チャイルドシート本体２は、座部１１と背部１２との分離及び結合が容易に行い得るように構成されている。

すなわち、チャイルドシート本体２は、使用時に、座部１１及び背部１２が係合された状態で、車両のシート（図示せず）に載せられる。一方、チャイルドシート本体２は、不使用時に、座部１１と背部１２とが分離された上で適宜嵌め合わされることにより、省スペース化を図った状態となり、例えば車両のトランク等に容易に収納することができる。

［２－１．座部の構成］
図３及び図４は、座部１１を互いに異なる方向から見た様子を示す略線的な斜視図である。座部１１は、座本体部２１を中心に構成されており、左右それぞれにアームレスト２２、座側係合部２３及び車両係合部２４が設けられている。ただし、図３では、作図の都合上、右側の車両係合部２４を省略している。

座本体部２１（図３）は、乳幼児が着座した際に当該乳幼児の下半身を支える部分である。座本体部２１の上面である座面２１Ｓは、乳幼児の体型に合わせた緩やかな曲面状に形成されている。この座面２１Ｓは、前側の約１／３の範囲が、前側へ進むに連れて下降する傾斜面であり、後側の約２／３の範囲が、後側へ進むに連れて少しずつ下降する緩やかな傾斜面となっている。

アームレスト２２は、座本体部２１における左右それぞれの辺における後寄りにおいて、上方向に向けて立設されている。このアームレスト２２における前上側部分は、後上方から前下方に向けて傾斜する緩やかな腕曲面を形成しており、チャイルドシート１に着座した乳幼児の腕部を載せることができる。

座側係合部２３は、座本体部２１の後端部分における中央から左右方向へそれぞれやや離れた箇所に位置しており、主に係合空間３１及び係合軸３２により構成されている。係合空間３１は、座本体部２１の後辺から前方へ向けて切り欠かれたような形状であり、該座本体部２１を上下方向に貫通している。係合軸３２は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に構成されている。この係合軸３２は、金属材料でなる係合補強軸（図示せず）の周囲を、樹脂材料により被覆した構成となっている。

座本体部２１の後端部分における座側係合部２３同士の間には、後方へ突出したような形状の後中央突出部２５が設けられている。後中央突出部２５は、全体として直方体状に構成されているものの、後側面から下側面に渡る範囲が、座側係合部２３の係合軸３２を中心とした円弧状の曲面となっている。

また、後中央突出部２５の後面には、座側ベルト挿通孔２６が形成されている。座側ベルト挿通孔２６は、左右方向に比較的長く、上下方向に比較的短い、スリット状の孔となっており、座部１１の内部と外部とを貫通している。

ところで、座本体部２１の下面である座本体下面２１Ｌ（図４）は、概ね平坦に形成されている。ただし、この座本体下面２１Ｌには、前端近傍における左右方向の中央付近に、前窪み２７が形成されると共に、後端近傍における左右方向の中央付近に、後窪み２８が形成されている。

前窪み２７は、座本体下面２１Ｌの前端近傍において、その周辺部分と比較してやや窪んでおり、前方向へ進むに連れて上方向へ上昇していくような傾斜面を有している。後窪み２８は、座本体下面２１Ｌの後端近傍における左右方向の中央付近、すなわち後中央突出部２５の後側面乃至下側面において、その周辺部分と比較してやや窪んでおり、後方向へ進むに連れて上方向へ上昇していくような、円弧状に湾曲した傾斜面を有している。

車両係合部２４（図３）は、座本体部２１の内部における左右両辺近傍の後下側であって、アームレスト２２の直下となる位置にそれぞれ組み込まれている。車両係合部２４は、ＩＳＯＦＩＸ（ＩＳＯ １３２１６－１：１９９９）と呼ばれる規格に準拠したものであり、車両のシートに設けられた車両側金具（アンカーやロウアンカレッジとも呼ばれる）と係合するための部分である。

この車両係合部２４は、その後端部分に、車両側金具と係合するための機構が組み込まれている。また、車両係合部２４は、保護者等の操作により、座本体部２１に対して前後方向に変位すると共に、その位置を保持し得るように構成されている。このため、車両係合部２４は、後方向への突出量を調節し得ると共に、不使用時に最も前方へ変位されることにより、収納することもできる。

［２－２．背部の構成］
図５は、背部１２を示す略線的な斜視図である。背部１２は、座部１１に取り付けられる背基体部４１と、該背基体部４１の前側において上下方向のスライド（変位）が可能な背変位部４２とにより構成されている。

背基体部４１は、全体として上下方向に長く、左右方向にやや短く、前後方向にさらに短い直方体状に構成されている。この背基体部４１は、その大部分が樹脂材料で構成されており、主に前側や内側の面を形成する部品と、主に後側や外側を形成する部品との組み合わせにより、その内部に空間が形成されている。

背基体部４１の左右における上側部分には、前方に突出する肩保護部４３が形成されており、乳幼児の肩部や頭部等を保護し得るようになっている。肩保護部４３は、下側部分が、後側へ進むに連れて下側へ進むような傾斜面となっている。また、背基体部４１の各部には、種々の部品を挿通させるための孔や通気性を確保するための通気孔が適宜設けられている。さらに、背基体部４１の上端近傍には、トップテザー５（図１及び図２）を取り付けるためのテザー取付部４４が設けられている。

背基体部４１の下端部分には、左右方向の中央から左方向及び右方向へそれぞれ離れた２箇所に、座部１１と係合する背側係合部４５が形成されている。背側係合部４５は、全体として上下方向に長く左右方向に短い直方体状に構成されており、左右方向から見た場合における下側部分の形状が半円状となっている。

また、各背側係合部４５には、上下方向の中央付近に、後側面から前後方向の中央付近に渡る範囲がえぐられることにより、係合溝４５Ｄがそれぞれ形成されている。係合溝４５Ｄは、背側係合部４５の左側面から右側面に至る範囲に渡って貫通しており、その前端付近が左右方向から見て半円状に形成されている。

背側係合部４５同士の間には、背基体部４１における下面の一部である中央下面４６が形成されている。この中央下面４６には、シートベルト群４の一部（詳しくは後述する）を挿通させるための背側ベルト挿通孔４７が穿設されている。背側ベルト挿通孔４７は、左右方向に関して中央下面４６の全範囲に渡って形成されている。

図６は、背部１２の背基体部４１における下側部分、すなわち背側係合部４５及び中央下面４６を中心とした部分を示す略線図である。中央下面４６の左右方向に関する中央付近には、前側面から下側面にかけて、溝状にえぐられた中央溝部４８が形成されている。中央溝部４８の左右両側面は、前下側の頂点近傍を斜めに切り落としたような傾斜面となっている。さらに、中央溝部４８の下端近傍における、後端からやや前方へ離れた箇所には、係合軸４９が設けられている。係合部としての係合軸４９は、左右方向に沿った円柱状に形成されている。

背変位部４２（図５）は、上側に乳幼児の頭部を保護する部分が形成されると共に、下側に該乳幼児の肩や背中等を支持する部分が形成されている。また、背変位部４２には、シートベルト群４を挿通させるための孔や、該シートベルト群４の一部を収納するための孔、及び通気性を確保するための孔等が適宜形成されている。

説明の都合上、以下では、背部１２の前面、すなわち乳幼児の背中部分、肩部分及び頭部分等を支える面を背支持面１２Ｓと呼ぶ。背支持面１２Ｓは、背基体部４１における前側面の一部分と、背変位部４２における前側面の一部分との組み合わせにより構成されている。そうすると、背部１２では、テザー取付部４４と係合軸４９とが、背支持面１２Ｓを挟んで互いにほぼ反対側となる箇所に、それぞれ配置されていることになる。また、背部１２では、背支持面１２Ｓの後側に係合軸４９が位置することになる。

［３．シートベルト群の構成］
シートベルト群４（図１）は、股ベルト５１、肩ベルト５２及び引締ベルト５３といった複数のベルトや、バックル５４及びタング５５等の部品との組み合わせにより構成されている。このうち、股ベルト５１、肩ベルト５２及び引締ベルト５３の各ベルトは、扁平なベルトを中心に構成されている。このベルトは、所定の繊維を所定の方式で織ることにより、比較的長い幅及び比較的短い厚さを有すると共に十分な長さを有する紐状に構成されており、柔軟性を有すると共に十分な引張強度を有している。

股ベルト５１は、その下端が座部１１の座面２１Ｓに設けられたベルト取付部（図示せず）に取り付けられると共に、その上端にバックル５４が取り付けられている。肩ベルト５２は、乳幼児の左右それぞれにおいて、肩の上側近傍と腰の外側とを結ぶように設けられている。各肩ベルト５２には、バックル５４と係合するためのタング５５がそれぞれ挿通されている。

肩ベルト５２は、乳幼児の肩近傍に位置する背変位部４２の背側ベルト挿通孔４７（図４）からそれぞれ背基体部４１の内部に引き込まれる。さらに、肩ベルト５２は、背基体部４１の内部において、１本の引締ベルト５３と接続される。

引締ベルト５３は、背基体部４１の内部を下方へ進行し、該背基体部４１の中央下面４６に設けられた背側ベルト挿通孔４７（図４）から外部へ引き出される。また、引締ベルト５３は、座部１１の後中央突出部２５に設けられた座側ベルト挿通孔２６（図３）から該座部１１の内部に入り、前方へ進んで該座部１１の前端近傍から前方へ引き出される。

さらに、肩ベルト５２及び引締ベルト５３は、背基体部４１及び座部１１の内部において、長手方向に沿って摺動し得るように挿通されている。また、座部１１の前端近傍には、引締ベルト５３を固定し、又は固定を解除するベルトストッパ５８（図２）が設けられている。

このシートベルト群４は、乳幼児が着座した状態において、各肩ベルト５２を当該乳幼児の肩部分の上側ないし前側を通るように配置され、左右のタング５５が組み合わされた上でバックル５４に挿入され、さらに引締ベルト５３が前方へ引き出される。これにより、シートベルト群４は、乳幼児の肩部分から腰部分に至る範囲をチャイルドシート本体２の背部１２に拘束でき、当該乳幼児を着座した状態に維持することができる。

［４．トップテザーの構成］
図７は、トップテザー５を示す略線的な斜視図である。トップテザー５は、大きく分けて、テザーベルト７１、調節部７２、接続ベルト７３及びテザー金具７４により構成されている。

テザーベルト７１は、シートベルト群４の肩ベルト５２（図１）等と同様、比較的長い幅及び比較的短い厚さを有すると共に十分な長さを有する紐状に構成されており、柔軟性を有すると共に十分な引張強度を有している。このテザーベルト７１は、一端が背部１２のテザー取付部４４（図４）に固定されている。以下、テザーベルト７１の長手方向に関し、テザー取付部４４に固定された側を固定側と呼び、その反対側を先端側と呼ぶ。

調節部７２は、断面を三角形とする柱状体（すなわち三角柱）を横転させたような形状の本体部８１を中心に構成されている。本体部８１には、テザーベルト７１を挿通させるためのテザーベルト挿通孔８２や接続ベルト７３を挿通させるための接続ベルト挿通孔８３等が設けられている。テザーベルト挿通孔８２及び接続ベルト７３は、何れも本体部８１の三角柱における中心軸（図示せず）に沿った細長いスリット状に形成されている。

また、調節部７２には、テザーベルト７１に押し付けられる押付部品（図示せず）、該押付部品をテザーベルト７１に付勢する付勢部品（図示せず）等が本体部８１内に設けられており、さらに、保護者等の操作を受け付ける操作部８４が設けられている。

調節部７２は、テザーベルト挿通孔８２にテザーベルト７１が挿通された状態で、付勢部品により押付部品を該テザーベルト７１に押し付ける。これにより調節部７２は、該テザーベルト７１に対する位置が固定される。

また、調節部７２は、保護者等により操作部８４が操作される（具体的には押し込まれる）と、一時的に押付部品をテザーベルト７１から引き離し、該テザーベルト７１に対する位置を固定側又は先端側へ変更することが可能となる。その後、調節部７２は、操作部８４に対する操作が解除されると、付勢部品の作用により押付部品をテザーベルト７１に押し付け、該テザーベルト７１に対する現在の位置を保持する。

接続ベルト７３は、テザーベルト７１と同様のベルト状の部材によって構成されており、柔軟性を有すると共に十分な引張強度を有している。この接続ベルト７３は、一端が調節部７２の接続ベルト挿通孔８３に挿通されると共に、他端がテザー金具７４に挿通されている。

テザー金具７４は、本体部９１にバネ部９２が取り付けられた構成となっている。本体部９１は、十分な厚さを有する鋼板を切削及び屈曲させることにより、全体として細長い形状に構成されている。この本体部９１は、長手方向の一方である根元側が比較的幅広に形成されており、且つ、この根元側に接続ベルト７３を挿通させるための挿通孔９１Ｈが穿設されている。

本体部９１における根元側と反対の先端側は、比較的細く形成されると共に、その先端部分が根元側へ向けて円弧状に折り返されるように屈曲されている。換言すれば、本体部９１の先端側は、側方から見た場合に、英大文字の「Ｊ」又はこれを反転させたような形状となっている。以下、本体部８１における先端部分を先端部９３と呼ぶ。

バネ部９２は、本体部９１よりも十分に薄く細長い金属板であり、緩やかに湾曲されると共に、弾性を有している。バネ部９２の一端は、本体部９１の根元側に固定されており、他端が先端部９３の内側に当接している。

このテザー金具７４は、バネ部９２を一時的に本体部９１に近接させるよう変形させながら、先端部９３を所定の固定金具等に引っ掛けると、バネ部９２が復元作用によって元の形状に戻り、該固定金具に係合した状態を維持できる。

チャイルドシート１（図１）は、着座する乳幼児の体格が比較的小さく、車両のシートベルトを使用できない場合、シートベルト群４により当該乳幼児を拘束することになる。このとき、チャイルドシート１は、車両に対し十分な強度で取り付けられる必要があるため、車両係合部２４（図３等）及びトップテザー５が使用される。

車両係合部２４は、図３等に示したように、後方へ引き出された状態とされ、車両側のシートに組み込まれた車両側金具（図示せず）と係合される。トップテザー５は、車両におけるシートの後方に設けられた車両側金具（図示せず）にテザー金具７４の先端部９３が係合された上で、テザーベルト７１に対する調節部７２の位置が調節され、該テザーベルト７１に十分な張力が作用した状態となる。これにより、チャイルドシート１は、車両に対して適切に固定された状態となる。

［５．チャイルドシートの積重状態］
ところで、チャイルドシート１（図１）は、使用されない不使用時に、チャイルドシート本体２（図２）の座部１１と背部１２とを分離し、両者を積み重ねることにより、比較的小型にまとめることができる。以下、この状態を積重状態と呼ぶ。説明の都合上、ここでは、背部１２を基準として上下方向、左右方向及び前後方向を定義する。

図８は、積重状態のチャイルドシート１を右側から見た略線的な側面図である。図９は、積重状態のチャイルドシート１を右斜め上側から見た略線的な斜視図である。図１０は、積重状態のチャイルドシート１を下側から見た略線的な斜視図である。

積重状態のチャイルドシート１は、背部１２の上側に座部１１が積み重ねられており、該背部１２が背支持面１２Ｓを上方向に向けると共に、該座部１１が座面２１Ｓを下方向に向けている。すなわち積重状態のチャイルドシート１は、座面２１Ｓと背支持面１２Ｓとを互いに対向させている。

また、積重状態のチャイルドシート１は、背部１２における肩保護部４３の下方に、座部１１のアームレスト２２が位置している。すなわち、積重状態のチャイルドシート１は、肩保護部４３の下側部分に形成された傾斜面と、アームレスト２２の傾斜面とを互いに当接又は近接させている。

これに加えて、積重状態のチャイルドシート１は、トップテザー５が使用されている。このトップテザー５は、背部１２のテザー取付部４４から前側へ進行し、座部１１の前側（座本体下面２１Ｌ側）を半周ほど周回するように引き回され、テザー金具７４の先端部９３が該背部１２の係合軸４９に係合されている。

また、トップテザー５は、調節部７２の位置が調節されることにより、テザーベルト７１が張架された状態となっている。当該テザーベルト７１は、座部１１の座本体下面２１Ｌに設けられた前窪み２７及び後窪み２８の内部をそれぞれ通過している。

［６．効果等］
以上の構成において、本実施の形態によるチャイルドシート１は、積重状態において、背部１２の背支持面１２Ｓと座部１１の座面２１Ｓとを互いに対向させるように積み重ねる。また、トップテザー５は、座部１１の座本体下面２１Ｌ側を通るように引き回され、テザー金具７４の先端部９３が背部１２の係合軸４９に係合されると共に、調節部７２の位置が調節されテザーベルト７１が張架された状態となる。

このため、チャイルドシート１は、背部１２に座部１１が積み重ねられた積重状態をトップテザー５により維持でき、この積重状態を崩すことなく、様々な姿勢に傾けて収納することや、種々の姿勢に傾けさせて容易に運搬させることができる。

トップテザー５は、本来的には、着座する乳幼児の体格が比較的小さく、シートベルト群４により当該乳幼児を拘束する場合に、車両係合部２４（図３）と共に、チャイルドシート１を車両に固定するために使用する目的で設けられている。このためトップテザー５は、車両側金具と係合するためのテザー金具７４や、テザーベルト７１における該テザー金具７４の位置を調節するための調節部７２等を有している。また、チャイルドシート１では、不使用状態において、トップテザー５を車両と係合させる必要が無い。

そこで、チャイルドシート１では、トップテザー５が取り付けられている背部１２に係合軸４９を設け、該トップテザー５のテザー金具７４を該係合軸４９に係合させ、調節部７２の位置を調節させるようにした。これにより、チャイルドシート１では、他の部品等を追加することなく、トップテザー５を利用して、背部１２に対し座部１１を密着させ、且つその状態を維持することができる。

これを換言すれば、トップテザー５は、テザー金具７４が「先端を他の部品に引っ掛ける」機能を有すると共に、調節部７２が「テザーベルト７１の長さを調節する」機能を有している。チャイルドシート１は、使用状態において、テザー金具７４が車両側金具（図示せず）に係合されると共に調節部７２の位置が調節されると、テザーベルト７１に張力を作用させ、当該車両に対する位置が良好に固定される。また、チャイルドシート１は、積重状態において、テザー金具７４が係合軸４９に引っ掛けられ、調節部７２の位置が調節されると、座部１１の座本体下面２１Ｌに当接しているテザーベルト７１に張力を作用させ、背部１２に対する該座部１１の位置を保持できる。すなわち、チャイルドシート１は、該チャイルドシート１を車両に固定する場合に加えて、背部１２に座部１１を固定する場合にも、トップテザー５の各機能を有効に活用することができる。

また、背部１２では、長手方向である上下方向に関して、テザー取付部４４のほぼ反対側となる中央下面４６に中央溝部４８及び係合軸４９を設けた（図５及び図６）。このため、チャイルドシート１では、背部１２の周囲における約半分となる前側のみを周回するようにトップテザー５を引き回せば良い。

これにより、チャイルドシート１では、例えば背部１２の背支持面１２Ｓを上方に向けて床面等に載置し、座部１１の座面２１Ｓを下方に向けて該背部１２の上側に重ねた状態で、該座部１１の上側を半周ほど周回するようにトップテザー５を引き回せば良い。このとき、チャイルドシート１では、背部１２の下側にトップテザー５をくぐらせるといった煩わしい作業をさせずに済む。

さらに、背部１２では、背支持面１２Ｓよりも後方に、具体的には周囲よりも窪んだ中央溝部４８内に、係合軸４９を設けた（図６）。このため、チャイルドシート１では、使用時に着座する乳幼児に対し、係合軸４９の存在に起因した不快感を与えることなく、快適に着座させることができる。

また、座部１１には、座本体下面２１Ｌにおける前端近傍及び後端近傍に、前窪み２７及び後窪み２８をそれぞれ設けた（図４）。このため、積重状態のチャイルドシート１では、前窪み２７及び後窪み２８の内部にテザーベルト７１をそれぞれ通過させることにより、該テザーベルト７１の左右方向への変位を防止でき、背部１２に対する座部１１の位置がずれて崩れることを阻止できる。

さらに、座部１１では、中央下面４６に設けた背側ベルト挿通孔４７における左右方向の長さを、引締ベルト５３のベルト幅よりも十分に長くした（図６）。このためチャイルドシート１は、積重状態とする場合に、引締ベルト５３が中央溝部４８を塞ぐように位置する可能性があるものの、該引締ベルト５３を左右方向へ容易に撓ませ得るため、テザー金具７４を係合軸４９に容易に係合させることができる（図１０）。

そのうえ、チャイルドシート１では、座部１１における後寄りにアームレスト２２を設けると共に、背部１２における上寄りに肩保護部４３を設ける場合について述べた（図２等）。このため、チャイルドシート１では、積重状態において、肩保護部４３の下側にアームレスト２２を位置させるようにして、背部１２の背支持面１２Ｓと座部１１の座面２１Ｓとを対向させた状態を、安定的に維持できる（図８）。

以上の構成によれば、本実施の形態によるチャイルドシート１は、積重状態において、背部１２の背支持面１２Ｓと座部１１の座面２１Ｓとを互いに対向させるように積み重ねる。また、トップテザー５は、座部１１の座本体下面２１Ｌ側を通るように引き回され、テザー金具７４が背部１２の係合軸４９に係合され、調節部７２によりテザーベルト７１が張架される。このため、チャイルドシート１は、背部１２に座部１１が積み重ねられた積重状態をトップテザー５により維持でき、この積重状態を崩すことなく、様々な姿勢に傾けて収納することや、種々の姿勢に傾けさせて容易に運搬させることができる。

［７．他の実施の形態］
なお、上述した実施の形態においては、背部１２の中央下面４６の近傍における前側面から下側面に渡って中央溝部４８を設け、この中央溝部４８内に係合軸４９を設ける場合について述べた（図６）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば背部１２の中央下面４６の近傍における後側面から下側面に渡って中央溝部４８を設け、この中央溝部４８内に係合軸４９を設けても良い。あるいは、例えば、中央溝部４８を省略し、中央下面４６から下方へ突出するように所定形状の支持柱を２本立設し、その間に係合軸４９を設けても良い。さらに、係合軸４９については、他の種々の箇所に設けても良い。

また、上述した実施の形態においては、積重状態において、トップテザー５のテザー金具７４を背部１２の係合軸４９に係合させる場合について述べた（図１０等）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば調節部７２に所定形状の爪を設け、この爪を係合軸４９に係合させるようにしても良い。

さらに、上述した実施の形態においては、テザーベルト７１に対し調節部７２及び接続ベルト７３を介してテザー金具７４を接続する場合について述べた（図５）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば調節部７２にテザー金具７４を直接取り付けても良い。

さらに、上述した実施の形態においては、背部１２の上端に設けたテザー取付部４４にテザーベルト７１を固定的に取り付け、該テザーベルト７１に対する調節部７２の位置を調整可能とする場合について述べた（図５）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば調節部７２に相当する機能を背部１２の上端近傍に組み込んでテザーベルト７１の長さを調節可能とし、該テザーベルト７１の先端にテザー金具７４を取り付けるようにしても良い。

さらに、上述した実施の形態においては、トップテザー５のテザーベルト７１を、比較的長い幅及び比較的短い厚さを有する扁平なベルト状とする場合について述べた。しかし、本発明はこれに限らず、テザーベルト７１を、例えば断面形状が円形や楕円形、或いは正方形や六角形等、扁平でない種々の形状でなる紐状の部材としても良い。

さらに、上述した実施の形態においては、座部１１において、中央下面４６に設けた背側ベルト挿通孔４７における左右方向の長さを、引締ベルト５３のベルト幅よりも十分に長くする場合について述べた（図６）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、背側ベルト挿通孔４７における左右方向の長さを、引締ベルト５３のベルト幅よりも僅かに長い程度としても良い。この場合、引締ベルト５３を背側ベルト挿通孔４７又は座側ベルト挿通孔２６から十分に引き出して撓ませることにより、該引締ベルト５３を容易に変形させ、係合軸４９にテザー金具７４を容易に係合させることができる。

さらに、上述した実施の形態においては、座部１１の座本体下面２１Ｌに、前窪み２７及び後窪み２８をそれぞれ設ける場合について述べた（図４）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、前窪み２７及び後窪み２８のうち少なくとも一方を省略しても良い。

さらに、上述した実施の形態においては、座部１１における後寄りにアームレスト２２を設けると共に、背部１２における上寄りに肩保護部４３を設ける場合について述べた（図２等）。しかし、本発明はこれに限らず、例えば座部１１における他の種々の位置にアームレスト２２を設けると共に、背部１２における他の種々の位置に肩保護部４３を設けても良い。あるいは、アームレスト２２及び肩保護部４３の少なくとも一方を省略しても良い。要は、チャイルドシート１においてトップテザー５を利用して積重状態としたときに、背部１２の背支持面１２Ｓと座部１１の座面２１Ｓとを対向させた状態を維持できれば良い。

さらに、本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。

さらに、上述した実施の形態においては、座部としての座部１１と、背部としての背部１２と、トップテザーとしてのトップテザー５と、係合部としての係合軸４９とによってチャイルドシートとしてのチャイルドシート１を構成する場合について述べた。しかし、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる座部と、背部と、トップテザーと、係合部とによってチャイルドシートを構成しても良い。

本発明は、例えば背部及び座部の分離又は結合が可能であり、且つトップテザーを有するチャイルドシートで利用できる。

１……チャイルドシート、２……チャイルドシート本体、５……トップテザー、１１……座部、１２……背部、１２Ｓ……背支持面、２１……座本体部、２１Ｌ……座本体下面、２１Ｓ……座面、２２……アームレスト、２５……後中央突出部、２６……座側ベルト挿通孔、２７……前窪み、２８……後窪み、４３……肩保護部、４４……テザー取付部、４６……中央下面、４７……背側ベルト挿通孔、４８……中央溝部、４９……係合軸、７１……テザーベルト、７２……調節部、７３……接続ベルト、７４……テザー金具。

Claims (5)

1. 乳幼児が着座する座部と、
   前記座部と結合又は分離が可能であり、当該結合した場合に前記座部に着座した前記乳幼児の背中部分を支える背部と、
   前記背部に一端が取り付けられたトップテザーと、
   前記背部に設けられ、前記トップテザーの一部が係合する係合部と
   を具えることを特徴とするチャイルドシート。
2. 前記トップテザーは、
   前記背部に一端が取り付けられたテザーベルトと、
   前記テザーベルト上における位置が調節可能な調節部と
   前記調節部と接続され、車両側に設けられた所定の車両側金具と係合するテザー金具と
   を具え、
   前記係合部は、前記テザー金具と係合する
   ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
3. 前記係合部は、前記背部において前記乳幼児の前記背中部分を支える背支持面よりも後方に配置されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
4. 前記背部は、
   前記トップテザーが取り付けられるテザー取付部と、前記係合部とが、前記背部において前記乳幼児の前記背中部分を支える背支持面を挟んで、互いにほぼ反対側となる箇所に配置されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
5. 前記座部の下面における、前端近傍及び後端近傍の少なくとも一方には、前記トップテザーが内部を通過可能な窪みが形成されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のチャイルドシート。
   
   

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