以下、本発明の実施の形態に係る手押し車を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る手押し車を載置フレームの前方倒伏位置で側方から側面図、図2は図1の手押し車を前方から視た正面図をそれぞれ示している。また、図3は図1の手押し車を後方から視た背面図、図4は図1の手押し車を斜め前方から視た斜視図をそれぞれ示している。
図1~図4に示すように、手押し車1は、シルバーカーとして用いられ、上端に操舵部としてのハンドル部11を備えている。このハンドル部11は、利用者が把持し易いように左右方向へ延びている。また、手押し車1は、ハンドル部11の左右両端よりそれぞれ下方へ延びる操舵フレームとしてのハンドルフレーム12,12を備えている。
各ハンドルフレーム12は、その下端に対し上下方向へ延びる左右一対の前輪脚体フレーム13,13(脚体フレーム)の上端がそれぞれ長さ調整可能に挿通された状態で最適位置において固定されている。この各前輪脚体フレーム13は、ハンドルフレーム12の下端より上下方向へ延びる上側直線部131と、上側直線部131の下端より屈曲部132を挟んで斜め前方下向きに延びる下側直線部133とを備えている。
図5は図1の手押し車1を載置フレームの後方倒伏位置で側方から側面図、図6は図1の手押し車1を前方から視た正面図をそれぞれ示している。また、図7は図1の手押し車1を後方から視た背面図、図8は図1の手押し車1を斜め前方から視た斜視図をそれぞれ示している。
図5~図8にも示すように、下側直線部133の下端には、前輪14Fがそれぞれ転動自在に支持されている。各下側直線部133の下端部同士は、左右方向へ延びる横フレーム130によって強固に連結されている。
各前輪脚体フレーム13の上側直線部131の下端には脚体ブラケット134が固定され、この脚体ブラケット134には、斜め後方下向きに延びる左右一対の後輪脚体フレーム15,15(脚体フレーム)の上端がそれぞれ水平軸151回りに回動自在に支持されている。この各後輪脚体フレーム15の下端には、後輪14Rがそれぞれ転動自在に支持されている。各後輪脚体フレーム15の下端部同士は、左右方向へ延びる横フレーム152によって強固に連結されている。
また、各後輪脚体フレーム15の下端部には、各後輪14Rをそれぞれ制動するブレーキ16が回動自在に支持されている。ハンドル部11の前側には、左右方向へ延びるブレーキレバー10が左右両端の水平軸回りに回動自在に支持されている。そして、ブレーキレバー10をハンドル部11側に引き寄せるように回動操作すると、各ブレーキ16がブレーキ操作ワイヤー(図示せず)を介して作動し、後輪14Rを制動するようになっている。
各前輪脚体フレーム13の上側直線部131の下端同士の間には、利用者が着座可能でかつ店舗内での購入予定品を入れる買い物カゴK1(後述する)の載置可能な座面部2が設けられている。座面部2は、後方に開口する略コの字状の座部フレーム21を備えている。
座部フレーム21は、各前輪脚体フレーム13の上側直線部131の下端つまり各脚体ブラケット134にそれぞれ水平軸211を介して前後方向中央部よりも後側寄り位置がそれぞれ回動自在に支持された左右一対の側部フレーム片212,212(左右両側部片)と、各側部フレーム片212の先端同士(前端同士)を連結する前側の連結フレーム片213とを備えている。また、座部フレーム21の左右の側部フレーム片212,212の基端同士(後端同士)は、左右方向へ延びる後側の連結フレーム片214によって連結されている。この場合、左右の側部フレーム片212,212の先端と前側の連結フレーム片213の左右両端との連結部分は、R面取りされている。
また、各前輪脚体フレーム13の下側直線部133の下端部と、各後輪脚体フレーム15の下端部との間には、各前輪脚体フレーム13に対し各後輪脚体フレーム15を折り畳む左右一対の折り畳みリンク3,3が設けられている。各折り畳みリンク3は、前輪脚体フレーム13の下側直線部133の下端部に前端が回転自在に支持されて後方へ延びる前側リンク31と、後輪脚体フレーム15の下端部に後端が回転自在に支持されて前方へ延びる後側リンク32と、を備えている。
前側リンク31と後側リンク32とは、左右方向へ延びる水平軸33を介して回転自在に支持され、前側リンク31の後端より略水平に突出する突起34に対し後側リンク32の前端を当接させることで、各前輪脚体フレーム13に対し各後輪脚体フレーム15を走行可能な状態に保持するようにしている。また、前側リンク31の後端ピン311と後側リンク32の前端ピン321との間には付勢スプリング35が掛け渡され、この付勢スプリング35の付勢力によって、各前輪脚体フレーム13に対し各後輪脚体フレーム15を走行可能な状態と折り畳んだ状態とに保持するようにしている。
そして、各前側リンク31の途中位置と座部フレーム21の各側部フレーム片212の前側寄りとの間には、上下方向へ延びる左右一対の縦リンク36,36がそれぞれ上下の水平軸37,38を介して回動自在に連結されている。この各縦リンク36は、座部フレーム21を水平軸211回りに回動させると、この回動に連動して前側リンク31と後側リンク32とが屈伸し、各前輪脚体フレーム13に対し各後輪脚体フレーム15を走行可能な状態と折り畳んだ状態とに変換させるようにしている。
また、座面部2は、両端が座部フレーム21の各側部フレーム片212の前側寄りにそれぞれ水平軸37(各縦リンク36上端の水平軸)を介して回転自在に支持された略コの字状の載置フレーム22を備えている。この載置フレーム22は、基端がそれぞれ水平軸37により前後方向に回転する左右一対の側部フレーム片222,222と、各側部フレーム片222の先端同士を連結する連結フレーム片223とを備えている。この場合、左右の側部フレーム片222,222の先端と連結フレーム片223の左右両端との連結部分は、R面取りされている。
そして、載置フレーム22は、水平軸37回りに上方へ略180°回転し、連結フレーム片223が座部フレーム21よりも前方に倒伏する前方倒伏位置(図2及び図4に示す位置)と、後方に倒伏する後方倒伏位置(後述する図7及び図8に示す位置)とに変換される。このとき、載置フレーム22は、前方倒伏位置に変換された際に左右の側部フレーム片222,222が座部フレーム21に上方から当接することで当該位置に位置決めされ、買い物カゴK1が載置可能となる。一方、載置フレーム22は、後方倒伏位置に変換された際に連結フレーム片223が座部フレーム21の後側の連結フレーム片214に当接することで当該位置に位置決めされ、利用者が着座可能となる。
また、各側部フレーム片222には、当該各側部フレーム片222に左右の基端がそれぞれ水平軸231を介して回転自在に支持された略U字状の座面フレーム23が設けられている。この座面フレーム23は、載置フレーム22が前方倒伏位置に変換された際に水平軸231を支点にして下方へ垂下した状態に位置決めされる。一方、座面フレーム23は、載置フレーム22が後方倒伏位置に変換された際に座部フレーム21に沿って倒伏し、先端側が座部フレーム21の前側の連結フレーム片213に当接することで倒伏した状態に位置決めされる。
図9は図1の手押し車1に収納容器及び座面クッションを取り付けた状態で側方から視た側面図、図10は図9の手押し車1を前方から視た正面図をそれぞれ示している。また、図11は図9の手押し車1を後方から視た背面図、図12は図9の手押し車1を斜め前方から視た斜視図をそれぞれ示している。
図9~図12に示すように、座部フレーム21の下側には、支払いを済ませた買い物を収納するボックス状の収納容器4が設けられている。この収納容器4は、上方に開口する開口部41を有し、その開口縁が容器座部フレーム21及び後側の連結フレーム片214に固定されている。
図13は図1の手押し車1に収納容器3及び座面クッションを取り付けた状態で側方から視た側面図、図14は図13の手押し車1を前方から視た正面図をそれぞれ示している。また、図15は図13の手押し車1を後方から視た背面図、図16は図13の手押し車1を斜め前方から視た斜視図をそれぞれ示している。
図13~図16に示すように、座部フレーム21には、収納容器4の開口部41を塞ぐように座面クッション5が被せられている。この座面クッション5は、四隅が塞がれた袋状に形成され、中央部付近の前後2個所に左右方向へ直線状に延びる切欠(図示せず)がそれぞれ設けられている。そして、座面クッション5は、座面フレーム23に対し前側の切欠を介して前側部分51を挿通させて取り付けるとともに、載置フレーム22の連結フレーム片223に対し後側の切欠を介して後側部分52を挿通させて取り付けている。
図17は図9の手押し車1に周縁リブが高い買い物カゴK1を載せた状態で側方から視た側面図を示している。また、図18は図17の手押し車1を前方から視た正面図、図19は図17の手押し車1を後方から視た背面図、図20は図17の手押し車1を斜め前方から視た斜視図をそれぞれ示している。更に、図21は図17のA-A線で切断した断面図、図22は図21の一方の係止具の拡大断面図をそれぞれ示している。
図17~図22に示すように、各側部フレーム片222,222の先端部同士の間には、上方へ衝立状に突出した状態で左右方向に連結する連結フレーム224が設けられている。この連結フレーム224は、載置フレーム22に買い物カゴK1を載置した際に当該買い物カゴK1の下部に対し前方から当接するようになっている。この場合、買い物カゴK1の縦面(前後左右の4面)には、上下方向へ長い複数のスリットK3,K3,…がそれぞれ境目K4,K4,…を介して周方向等間隔置きに上下3列で設けられている。
買い物カゴK1としては、この買い物カゴK1の底面よりその周縁に沿って略矩形枠状に下方へ突出する周縁リブK11の突出量が10mm~12mm程度となる比較的突出量の大きいものが用いられている。この買い物カゴK1は、長尺方向を左右方向に向けた横置きの状態で載置され、周縁リブK11の内側にも底面を左右方向(長尺方向)に延びる複数の小リブK12,K12,…及び前後方向(短尺方向)に延びる複数の小リブK13,K13,…がそれぞれ等間隔置きに突設されている。これらの各小リブK12,K13の底面からの突出量は、周縁リブK11の突出量の略三分の一程度(3mm~4mm程度)に設定されている。
載置フレーム22の各側部フレーム片222の前端部には、買い物カゴK1を載置フレーム22に載置した際に当該買い物カゴK1をその底部の前端部左右両位置においてのみ係止する左右一対の係止具6,6がそれぞれ設けられている。各係止具6は、側面視で略U字状に上方向きに突出する突起としての前側及び後側突起61,62を有し、載置フレーム22の各側部フレーム片222の前端部の内側に沿って固設されている。この前側及び後側突起61,62は、それぞれ上方へ10mm~12mm程度突出している。
そして、周縁リブK11の前側部分は、買い物カゴK1を載置フレーム22に載置した際に、載置フレーム22の連結フレーム224と左右の係止具6,6(前側及び後側突起61,62)との間に位置している。このとき、買い物カゴK1の前方への移動は、連結フレーム224に対する下部の当接により制限される一方、買い物カゴK1の後方への移動は、左右の係止具6,6に対する周縁リブK11の前側部分の当接により制限される。一方、買い物カゴK1の左右方向への移動は、左右の係止具6,6に対する周縁リブK11の左右両側部分の当接により制限される。
また、前側及び後側突起61,62の先端は、前後方向に延びる左右方向最外側寄りの左右の小リブK13,K13の左右方向外側に隣接し、当該両小リブK13,K13によって左右方向内側から左右方向へ移動不能に挟まれているとともに、左右方向に延びる最前側寄りの小リブK12によって後方から当接している。
したがって、本実施の形態では、座面部2の座部フレーム21上で載置フレーム22を前方倒伏位置に変換した際に買い物カゴK1を横置きで載置可能とされる一方、後方倒伏位置に変換した際に利用者が着座可能とされ、各側部フレーム片222の前端部に買い物カゴK1をその底部前側左右両位置においてのみ係止する左右一対の係止具6が設けられている。このとき、買い物カゴK1を載置フレーム22に載置した際に買い物カゴK1の周縁リブK11の前側部分が載置フレーム22の連結フレーム224と左右の係止具6,6との間に位置していると、買い物カゴK1の前後方向への移動が連結フレーム224と左右の係止具6,6とにより制限される上、最前側寄りの小リブK12によって後方からも制限されている。一方、買い物カゴK1の左右方向への移動は、左右の係止具6,6に対する周縁リブK11の左右両側部分の当接により制限される上、左右方向最外側寄りの左右の小リブK13,K13によって左右方向内側からも制限される。
このため、左右の係止具6,6に対しその前後方向及び左右方向から当接する買い物カゴK1の周縁リブK11及び小リブK12,K13並びに買い物カゴK1の下部に対し前方から当接する連結フレーム224によって、買い物カゴK1の前端部が左右方向及び前後方向から拘束されることになり、座面部2上において後端部左右両位置の大型のヒンジ構造や目立つ支え部材などが廃止される。これにより、前方倒伏位置に変換した載置フレーム22上に上方から買い物カゴK1を載置するだけで、買い物カゴK1をその底部の前端部左右両位置の左右の係止具6,6及びその前方の連結フレーム224のみによって左右方向及び前後方向への移動を制限した状態で簡単かつ確実に保持することができる。
しかも、座面部2上において後端部左右両位置の大型のヒンジ構造や目立つ支え部材などが廃止されることから、座面部2に座る利用者が躊躇せずに安心して深く腰を掛けることができる。更に、載置フレーム22に買い物カゴK1を載置した際に当該買い物カゴK1の下部に対し連結フレーム224が前方から当接するので、買い物カゴK1を搭載する際の位置決めとなり易く、搭載をスムーズに行うことができる。
また、載置フレーム22の各側部フレーム片222,222に左右の基端をそれぞれ回転自在に支持した座面フレーム23が、載置フレーム22が後方倒伏位置に変換された際に座部フレーム21に沿って倒伏するので、載置フレーム22に連結フレーム224が設けられていても当該連結フレーム224は載置フレーム22を後方倒伏位置に変換した際に下方向きに変換され、座部フレーム21に沿って座面フレーム23を倒伏させれば、利用者が着座し易い平坦な座面部2を提供することができる。
更に、座面クッション5の前側部分51が座面フレーム23に対し前側の切欠を介して挿通により取り付けられている一方、後側部分52が載置フレーム22の連結フレーム片223に対し後側の切欠を介して挿通により取り付けられている。このとき、座面クッション5の前側部分51と後側部分52とによって載置フレーム22の動きが座面フレーム23に伝達される。
このため、載置フレーム22を前方倒伏位置に変換すると、座面フレーム23が下方へ垂下した状態に位置決めされる一方、載置フレーム22を後方倒伏位置に変換すると、座面フレーム23が座部フレーム21に沿って倒伏した状態に位置決めされ、載置フレーム22と座面フレーム23とが座面クッション5によって連動することになる。これにより、載置フレーム22を後方倒伏位置に変換した際に座面クッション5の前側部分51が後側部分52に引き寄せられると、座面フレーム23が連動して座部フレーム21に沿って倒伏し、座面クッション5を座部フレーム21上において簡単に敷設することができる。
なお、前記第1の実施の形態では、買い物カゴK1として、周縁リブK11の突出量が比較的大きいものを用いた場合について述べたが、図23~図28に示すように、底面よりその周縁に沿って略矩形枠状に下方へ突出する周縁リブK21の突出量が4mm~6mm程度となる比較的突出量の小さい買い物カゴK2が適用されていてもよい。この買い物カゴK2の底面にも、縦面の各スリットK3と同様に左右方向(買い物カゴK2の長手方向)へ長い複数のスリットK3,K3,…がそれぞれ境目K4,K4,…を介して前後方向(買い物カゴK2の短手方向)等間隔置きに左右方向複数列で設けられている。
この買い物カゴK2も、長尺方向を左右方向に向けた横置きの状態で載置され、周縁リブK21の内側にも底面を左右方向(長尺方向)に延びる複数の小リブK22,K22,…及び前後方向(短尺方向)に延びる複数の小リブK23,K23,…がそれぞれ等間隔置きに突設されている。これらの各小リブK22,K23の底面からの突出量は、周縁リブK21の突出量とほぼ同じに設定されている。
このとき、各係止具6の前側及び後側突起61,62は、買い物カゴK2を載置フレーム22に上方から載置した際に、買い物カゴK2の底面の各スリットK3のうちの互いに前後に隣接する左右両側の2つのスリットK3,K3への挿通により境目K4を挟んで係止され、前後方向への移動が確実に禁止されている。この場合、各係止具6の前側及び後側突起61,62は、各スリットK3の長手方向の範囲内でのみ買い物カゴK2の左右方向への短い移動を若干許容している。このとき、各係止具6の前側及び後側突起61,62がスリットK3,K3への挿通により境目K4を挟んで係止されているので、買い物カゴK2の左右方向への移動はほぼ規制されることになる。
また、各係止具6の前側及び後側突起61,62は、買い物カゴK2を載置フレーム22に載置した際に、両突起61,62が挿通される2つのスリットK3,K3の前後に位置する小リブK22,K22同士の間に位置する一方、両突起61,62が挿通される各スリットK3の左右に位置する小リブK23と周縁リブK11の左右両側部分との間に位置している。
このため、左右の両係止具6,6によって買い物カゴK1の前端部が左右方向及び前後方向から拘束されることになり、座面部2上において後端部左右両位置の大型のヒンジ構造や目立つ支え部材などが廃止される。これにより、前方倒伏位置に変換した載置フレーム22上に上方から買い物カゴK1を載置するだけで、買い物カゴK1をその底部の前端部左右両位置の左右の両係止具6,6のみによって左右方向及び前後方向から係止した状態で簡単かつ確実に保持することが可能となる。
また、前記第1の実施の形態では、周縁リブK11の前側部分を左右の両係止具6,6と載置フレーム22の連結フレーム224との間に位置させて、買い物カゴK1の左右方向及び前後方向への動きを規制したが、周縁リブの前側部分が左右の両係止具の前側及び後側突起の間に挿通された状態で係止されていてもよい。この場合には、左右の両係止具の前側及び後側突起の間への周縁リブの前側部分の挿通によって、前後方向への移動が確実に禁止される上、左右の両係止具に対する周縁リブの前側部分の左右両端までの範囲内でのみ左右方向への短い移動を若干許容している。このとき、左右の両係止具と周縁リブの前側部分の左右両端との距離が僅かなものであるので、左右方向への移動はほぼ規制されることになる。
このため、左右の両係止具6,6によって買い物カゴK1の前端部が左右方向及び前後方向から拘束されることになり、座面部2上において後端部左右両位置の大型のヒンジ構造や目立つ支え部材などが同様に廃止される。これにより、前方倒伏位置に変換した載置フレーム22上に上方から買い物カゴK1を載置するだけで、買い物カゴK1をその底部の前端部左右両位置の左右の両係止具6,6のみによって左右方向及び前後方向から係止した状態で簡単かつ確実に保持することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、座部フレームの下側に手提げ可能なバスケットを設けるようにしている。なお、座部フレーム及びバスケットを除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
図29は本発明の第2の実施の形態に係る手押し車の座部フレームにバスケットを上方から挿通する直前の状態を示す斜視図、図30は図29の手押し車を側方から視た側面図をそれぞれ示している。また、図31は図29の手押し車の座部フレームにバスケットを挿通して支持した状態を示す斜視図、図32は図31の手押し車を側方から視た側面図をそれぞれ示している。更に、図33は図31の手押し車の座部フレームにバスケットの上から買い物カゴK1を搭載した状態を示す斜視図、図34は図33の手押し車を側方から視た側面図、図35は図33の手押し車を前方から視た正面図をそれぞれ示している。
すなわち、図29~図32に示すように、手押し車7の各前輪脚体フレーム71(脚体フレーム)は、ハンドルフレーム12の下端より上下方向へ延びる上側直線部711と、上側直線部711の下端より屈曲部712を挟んで斜め前方下向きに延びる下側直線部713とを備えている。この場合、上側直線部711は非常に短い長さに設定され、ハンドルフレーム12の直下方より屈曲部712を挟んで下側直線部713が斜め前方下向きに延びている。
各前輪脚体フレーム71の下側直線部713の上部同士の間には利用者が着座可能でかつ買い物カゴK2の載置可能な座面部72が設けられ、この座面部72は、円菅パイプ材を平面視で略矩形枠状に形成した座部フレーム73を備えている。座部フレーム73は、各前輪脚体フレーム71の下側直線部713の上部にそれぞれ水平軸211を介して前後方向中央部よりも後側寄り位置がそれぞれ回動自在に支持された左右一対の側部フレーム片731,731(左右両側部片)と、各側部フレーム片731の前端同士を連結する前側の連結フレーム片732と、各側部フレーム片731の後端同士を連結する後側の連結フレーム片733とを備えている。この場合、左右の側部フレーム片731,731の前後両側の連結フレーム片732,733の左右両端との連結部分は、後述するバスケット8の開口縁80の四隅の形状に合わせて僅かにR面取りされている。
また、座部フレーム73は、上方に開口する略矩形状の開口縁80を有するバスケット8が上方から挿通されるようにバスケット8の開口縁80と略一致する大きさに設定されている。このバスケット8の開口縁80の内側には、手提げ可能な一対の持手81,81が設けられている。各持手81は、不使用時に互いに離反する方向へ倒すと、開口縁80の内側に沿ってそれぞれ倒伏し、格納される。そして、バスケット8は、その開口縁80がそれぞれ外方へ略水平に突出し、開口縁80のみが座部フレーム73の左右の側部フレーム片731,731及び前後両側の連結フレーム片732,733に対し上方から載置された状態で脱着自在に支持されている。
各前輪脚体フレーム71の下側直線部713の下端には、前輪14Fがそれぞれ転動自在に支持されている。各下側直線部713の下端部同士は、左右方向へ延びる横フレーム710によって強固に連結されている。また、座部フレーム73の左右の側部フレーム片731,731の後端部(水平軸211よりも後側)には、斜め後方下向きに延びる左右一対の後輪脚体フレーム74,74(脚体フレーム)の上端がそれぞれ水平軸741回りに回動自在に支持されている。この各後輪脚体フレーム74の下端には、後輪14Rがそれぞれ転動自在に支持されている。各後輪脚体フレーム74の下端部同士は、左右方向へ延びる横フレーム742によって強固に連結されている。
各前輪脚体フレーム71の下側直線部713の下端部と、各後輪脚体フレーム74の下端部との間には、各前輪脚体フレーム71に対し各後輪脚体フレーム74を折り畳む左右一対の折り畳みリンク3,3が設けられている。そして、各後側リンク32の前端部と座部フレーム73の各側部フレーム片731の前側寄りとの間には縦リンク36がそれぞれ水平軸37,38を介して回動自在に連結されている。なお、図29~図35では、前側リンク31の後端ピン311と後側リンク32の前端ピン321との間に掛け渡される付勢スプリングを図示省略している。
座面部72は、両端が座部フレーム73の各側部フレーム片731の前側寄りにそれぞれ水平軸751を介して回転自在に支持された略コの字状の載置フレーム75を備えている。この載置フレーム75は、基端がそれぞれ水平軸751により前後方向に回転する左右一対の側部フレーム片752,752と、各側部フレーム片752の先端同士を連結する連結フレーム片753とを備えている。この場合、左右の側部フレーム片752,752の先端と連結フレーム片753の左右両端との連結部分は、R面取りされている。
図36は図31の手押し車7の座部フレーム73にバスケット及び座面クッション5を取り付けた状態を示す斜視図、図37は図36の手押し車7を側方から視た側面図、図38は図36の手押し車7を前方から視た正面図をそれぞれ示している。この図36~図38においても、前側リンク31の後端ピン311と後側リンク32の前端ピン321との間に掛け渡される付勢スプリングを図示省略している。
載置フレーム75は、水平軸751回りに上方へ略180°回転し、連結フレーム片753が座部フレーム73よりも前方に倒伏する前方倒伏位置(図29~図35に示す位置)と、後方に倒伏する後方倒伏位置(後述する図36~図38に示す位置)とに変換される。また、載置フレーム75の各側部フレーム片752には、水平軸751より座部フレーム73の各側部フレーム片731の外側を当該各側部フレーム片731に沿って前方へ延び、その前端より内方に折曲された状態から前方へ屈曲する屈曲部分754,754が設けられている。各屈曲部分754は、載置フレーム75を前方倒伏位置に変換した際に各側部フレーム片731と前側の連結フレーム片732との連結部分(座部フレーム73の前側の二隅)に上方から当接している。
そして、載置フレーム75は、前方倒伏位置に変換された際に各側部フレーム片731と前側の連結フレーム片732との連結部分に各屈曲部分754が上方から当接することで当該位置に位置決めされ、買い物カゴK2が載置可能となる。一方、各屈曲部分754は、載置フレーム75を後方倒伏位置に変換した際に各側部フレーム片731に上方から当接することで当該位置に位置決めされ、利用者が着座可能となる。また、載置フレーム75の各側部フレーム片752の前端部(屈曲部分754よりも前側)には、左右一対の係止具6,6がそれぞれ設けられている。
また、載置フレーム75が前方倒伏位置に変換された際に当該載置フレーム75とバスケットとの互いの干渉を回避する干渉回避手段82,82,…が設けられている。この各干渉回避手段82は、バスケット8の開口縁80の四隅に設けられ、載置フレーム75が前方倒伏位置に変換された際に座部フレーム73の各側部フレーム片731と前側の連結フレーム片732との連結部分に当接する各屈曲部分754との干渉を回避するように略円弧状に切り欠いた切欠部により構成されている。この場合、バスケット8が前後反転していても、開口縁80の四隅に設けた干渉回避手段82,82,…(切欠部)によって、座部フレーム73の前側の二隅に当接する各屈曲部分754との干渉が回避される上、バスケット8の開口縁80が座部フレーム73に支持された状態であっても載置フレーム75の前方倒伏位置に対する変換動作が支障なく行える。
したがって、本実施の形態では、略矩形枠状の座部フレーム73に上方から挿通したバスケット8の開口縁80のみを脱着自在に支持し、このバスケット8の開口縁80の四隅に、載置フレーム75が前方倒伏位置に変換された際に座部フレーム73の各屈曲部分754との干渉を回避する各干渉回避手段82としての切欠部がそれぞれ設けられている。このため、バスケット8の開口縁80が座部フレーム73に支持された状態であっても、載置フレーム75の前方倒伏位置及び後方倒伏位置の変換動作を支障なく行える。これにより、手押し車7の座部フレーム73に開口縁80のみを支持した状態でバスケット8を搭載することができる上、この状態で、載置フレーム75の前方倒伏位置での買い物カゴK2の載置も、載置フレーム75の後方倒伏位置での利用者の着座も可能となり、実施する上で非常に多用途な手押し車7を提供することができる。
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、本実施の形態では、ストアに設置された買い物カゴK1,K2を載置した場合について述べたが、ストアに設置された子供用や少量収納可能な小さいサイズの買い物カゴであっても載置フレーム上に載置可能である。
また、前記第2の実施の形態では、干渉回避手段82を、バスケット8の開口縁80の四隅を略円弧状に切り欠いた切欠部により構成したが、バスケットの前後が特定される場合には開口縁の前側の二隅のみに切欠部を設けて干渉回避手段が構成されていてもよい。また、座部フレームの径を拡張してバスケットの開口縁を座部フレームの各側部フレーム片と前側の連結フレーム片との連結部分の内径部分にのみ当接させるようにし、この連結部分の外径部分にのみ載置フレームの各屈曲部分をそれぞれ干渉回避した状態で当接させるようにした干渉回避手段が構成されていてもよい。更に、座部フレームの前側の二隅に載置フレームが前方倒伏位置に変換された際に当該位置で載置フレームを当該載置フレームとの当接により位置決めする当接片などの部材を設け、この部材を干渉回避手段として構成していてもよい。
更に、前記各実施の形態では、手押し車1,7をシルバーカーとして用いた場合について述べたが、歩行車などの手押し車に適用してもよいのはいうまでもない。