JP7273178B2 - タッチセンサー部材前駆体およびタッチセンサー部材の製造方法 - Google Patents
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Description
この際に、複数の接続配線の被切断部の接続配線幅Wdは、3μm≦Wd<250μmの関係を満たすことが好ましく、3μm≦Wd<150μmの関係を満たすことがより好ましい。
複数のリード線の最近接リード線間距離Sbは、10μm以上60μm以下であることが好ましい。
この際に、複数の接続配線の被切断部の接続配線幅Wdは、3μm≦Wd<60μmの関係を満たすことが好ましく、3μm≦Wd<10μmの関係を満たすことがより好ましい。
ここで、基板の少なくとも一方の面に、複数のパターン形成領域があり、それぞれのパターン形成領域に、複数のタッチセンサーパターン部と、複数のリード線と、複数の接続端子と、複数の接続配線とが配置されることができる。
この際に、電位差解消パターン部は、複数のパターン形成領域のうち互いに異なる複数のパターン形成領域に配置された複数の接続配線同士を電気的に短絡させることができる。
また、導電部材は、金属材料を含むことが好ましく、金属材料として銀を含むことがより好ましい。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「平行」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表す。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
なお、可視光に対して透明とは、特に断りがなければ、光透過率が、波長380~780nmの可視光波長域において、40%以上のことであり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上のことである。また、以下の説明において、透明とは、特に断りがなければ、可視光に対して透明であることを示す。
光透過率は、JIS(日本工業規格) K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
なお、電気的に導通とは、電流が流れる状態のことをいう。例えば、2つの導電部材が互いに電気的に接続されていれば、これらの2つの導電部材は、電気的に導通している。
電気的に非導通とは、電流が流れない状態のことをいう。例えば、2つの導電部材がどことも接触していない状態であれば、これらの2つの導電部材は、電気的に絶縁な状態であり、電気的に非導通である。
図1は本発明の実施形態のタッチセンサー部材前駆体12が巻き取られた巻取ロール10の一例を示す模式的斜視図であり、図2は本発明の実施形態のタッチセンサー部材前駆体12を示す模式的断面図である。
タッチセンサー部材前駆体12は、いわゆるタッチセンサーとして使用される図示しないタッチセンサー部材の前駆体であり、可撓性を有する基板14を備え、基板14の少なくとも一方の面に、複数のパターン形成領域16を有している。ここで、可撓性とは、折り曲げることができることを意味し、具体的には、曲率半径1mmで折り曲げても割れを生じないことを指す。
図1に示すように、基板14に複数のパターン形成領域16を設けることにより、複数のタッチセンサー部材前駆体12を一括して得ることができ、生産効率が良くなる。
また、図示しないが、基板14の両面に、すなわち、基板14の表側面14aと裏側面14bの双方に複数のパターン形成領域16が形成されることもできる。
図3は本発明の実施形態のタッチセンサー部材前駆体12の一例を示す模式図である。
タッチセンサー部材前駆体12は、基板14と、基板14の少なくとも一方の面に配置された複数のタッチセンサーパターン部21と、複数のタッチセンサーパターン部21から引き出された複数のリード線22と、複数のリード線22に接続された複数の接続端子23と、複数の接続端子23に接続された複数の接続配線24と、複数の接続配線24に接続された電位差解消パターン部19を有する。複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19は、基板14の同一面上に配置された導電部材からなり、パターン形成領域16に含まれている。
また、複数のタッチセンサーパターン部21は、例えば図4に示すように、導電部材により構成され且つ線幅Waを有する複数の導電線32が交差してなるメッシュパターン30を有する。導電線32の線幅Waは、特に制限されないが、上限は10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、下限は0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。線幅Waが上述の範囲内であれば、タッチセンサーパターン部21を低抵抗とすることができる。
タッチセンサー部材11は、図3に示すように、タッチセンサー部材前駆体12のうち、基板14、複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22および複数の接続端子23と、複数の接続配線24の一部を含むものであり、複数のタッチセンサーパターン部21間、複数のリード線22間、複数の接続端子23間、および、複数の接続配線24間が互いに電気的に隔離されている。タッチセンサー部材11は、タッチセンサー部材前駆体12において、複数の接続配線24の被切断部CPを切断することにより製造される。例えば、図5に示すように、X方向に沿って延びる切断線CLに沿って複数の接続配線24の被切断部CPが切断されることにより、タッチセンサー部材前駆体12から電位差解消パターン部19が切り離されて、タッチセンサー部材11が製造される。
なお、複数の接続配線24の被切断部CPの切断には、例えば、いわゆる打ち抜き加工またはレーザ加工等を用いることができる。
さらに、複数の接続配線24の破片による隣り合うリード線22同士の短絡を抑制するために、(接続配線幅Wd)<(最近接リード線間距離Sb)<(最近接端子間距離Sc)の関係が満たされていることが、より好ましい。
<第1の変形例>
図5の例では、一定の接続配線幅Wdを有し、Y方向における全体が被切断部CPとなり得る複数の接続配線24が示されているが、接続配線24は、複数の異なる線幅を有していてもよい。
図6に、本発明の実施形態の第1の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Aを示す。タッチセンサー部材前駆体12Aにおいて、複数の接続配線24Aは、X方向において接続配線幅Wdを有し、Y方向において被切断部長さL3を有する被切断部CPと、X方向において線幅W1を有し、Y方向において本体部長さL4を有する本体部MPを含んでいる。図6において、被切断部CPの一端と本体部MPの一端が互いに接続されており、被切断部CPの他端は接続端子23に接続され、本体部MPの他端は電位差解消パターン部19に接続されている。
また、図1、図5、図6の例では、長方形の形状を有する電位差解消パターン部19が示されているが、電位差解消パターン部19の形状は、特にこれに限定されない。
図7に、本発明の実施形態の第2の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Bを示す。図中の「・・・」は、複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24が繰り返し配置されていることを示している。タッチセンサー部材前駆体12Bの電位差解消パターン部19Bは、長方形の枠線の形状を有している。電位差解消パターン部19Bがこのような形状を有している場合でも、電位差解消パターン部19Bにより、複数の接続配線24が短絡されるため、複数のタッチセンサーパターン部21間、複数のリード線22間、複数の接続端子23間、複数の接続配線24間における電位差の発生を抑制することができる。なお、電位差解消パターン部19Bは、長方形の枠線の形状を有しているが、任意の閉じた枠線の形状を有することもできる。
また、図8に、本発明の実施形態の第3の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Cを示す。タッチセンサー部材前駆体12Cの電位差解消パターン部19Cは、X方向に延びる長方形状の基部34と、六角形の形状を有する複数の六角形状部35を含んでいる。複数の六角形状部35のうち隣り合う六角形状部35は、2本の導電線36により互いに接続されている。また、複数の六角形状部35のうち一部の六角形状部35は、基部34に連結している。電位差解消パターン部19Cがこのような形状を有している場合でも、電位差解消パターン部19Cにより複数の接続配線24が短絡されるため、複数のタッチセンサーパターン部21間、複数のリード線22間、複数の接続端子23間、複数の接続配線24間における電位差の発生を抑制することができる。なお、複数の六角形状部35のうち隣り合う六角形状部35は、3本以上の導電線36により互いに接続されることもできる。また、電位差解消パターン部19Cが複数の六角形状部35を有していることにより、例えば、タッチセンサー部材前駆体12Cが図1に示す巻取ロール10のようにロール状に巻き取られる場合に、タッチセンサー部材前駆体12Cが滑りにくいため、擦り傷や、巻きズレの発生を抑止して、タッチセンサー部材前駆体12Cを巻き取ることができる。
また、図9に、本発明の実施形態の第4の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Dを示す。タッチセンサー部材前駆体12Dは、複数の第1タッチセンサーパターン部37Aと、複数の第1タッチセンサーパターン部37のY方向の一端に接続された複数の第1リード線38Aと、複数の第1リード線38Aに接続され且つY方向に沿って配列された複数の第1接続端子39Aと、複数の第1接続端子39Aに接続された複数の第1接続配線40Aと、複数の第1接続配線40Aに接続された第1電位差解消パターン部41Aを有している。また、タッチセンサー部材前駆体12Dは、複数の第2タッチセンサーパターン部37Bと、複数の第2タッチセンサーパターン部37BのY方向の他端に接続された複数の第2リード線38Bと、複数の第2リード線38Bに接続され且つY方向に沿って配列された複数の第2接続端子39Bと、複数の第2接続端子39Bに接続された複数の第2接続配線40Bと、複数の第2接続配線40Bに接続された第2電位差解消パターン部41Bを有している。
また、図3に示す例において、電位差解消パターン部19は、パターン形成領域16内に配置され、パターン形成領域16内に配置された複数の接続配線24に接続されているが、複数のパターン形成領域16における複数の接続配線24に接続されることもできる。
図10に、本発明の実施形態の第5の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Eを示す。タッチセンサー部材前駆体12Eの電位差解消パターン部19Eは、X方向に沿って延びる長辺とY方向に沿って延びる短辺を有する長方形の形状を有し、X方向に沿って並んだ2つのパターン形成領域16における複数の接続配線24に接続されている。そのため、電位差解消パターン部19Eは、2つのパターン形成領域16における複数の接続配線24を短絡する。これにより、2つのパターン形成領域16において、複数のタッチセンサーパターン部21間、複数のリード線22間、複数の接続端子23間および複数の接続配線24間における電位差の発生を抑制することができる。
また、図11に、本発明の実施形態の第6の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Fを示す。タッチセンサー部材前駆体12Fは、Y方向に沿って並んだ2つのパターン形成領域16A、16Bを有している。パターン形成領域16Aには、図9に示す実施形態の第4の変形例に係るタッチセンサー部材前駆体12Dにおいて第1電位差解消パターン部41Aが取り除かれたものが配置され、パターン形成領域16Bには、タッチセンサー部材前駆体12Dにおいて第2電位差解消パターン部41Bが取り除かれたものが配置されている。また、パターン形成領域16Aとパターン形成領域16Bの間に、X方向に沿って延びる長辺とY方向に沿って延びる短辺を有する長方形状の第3電位差解消パターン部42が配置されている。この第3電位差解消パターン部42に、パターン形成領域16Aにおける複数の第1接続配線40Aと、パターン形成領域16Bにおける複数の第2接続配線40Bが接続されている。
図3および図5に示す例において、電位差解消パターン部19は、複数の接続配線24を短絡させているが、複数のタッチセンサーパターン部21間、複数のリード線22間、複数の接続端子23間および複数の接続配線24間における放電現象の発生を抑制することができれば、複数の接続配線24を短絡させなくてもよい。
図4に示す例において、タッチセンサーパターン部21は、複数の導電線32が交差してなる菱形のメッシュパターン30を有しているが、例えば、複数の導電線32の一部に断線部を形成することもできる。
図13に本発明の実施形態の第8の変形例におけるタッチセンサーパターン部21Hを示す。タッチセンサーパターン部21Hは、複数の導電線32が交差してなる菱形のメッシュパターン30Hを有しているが、複数の導電線32の一部に、例えば15μm等の長さを有する断線部46が形成されている。このように、断線部46が形成されることにより、菱形の形状を有する開口部33よりも面積の広い開口部33Hが形成される。ここで、開口部33の開口幅Paが狭くなるほど、タッチセンサーパターン部21Hにおける寄生容量が大きくなり、タッチ感度が低下するが、面積の比較的広い開口部33Hが形成されることにより、タッチセンサーパターン部21Hにおける寄生容量が緩和されて、タッチ感度を向上させることが可能である。
<基板>
基板14は、複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19を支持するものであり、可撓性を有することができる。
また、基板14の種類は、複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19を支持できれば、特に限定されるものではないが、用途によっては、基板14は、透明であることが好ましく、この場合に、プラスチックシートにより構成されることが特に好ましい。
基板14の厚みは特に制限されないが、タッチパネルへの応用の点からは、通常、25μm以上500μm以下の範囲で任意に選択することができる。なお、基板の機能の他にタッチ面の機能をも兼ねる場合は、500μmを超えた厚みで設計することも可能である。
下塗り層の厚みは特に制限されないが、複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19の密着性がより優れる点で、0.02μm以上0.30μm以下が好ましく、0.03μm以上0.20μm以下がより好ましい。
複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19を構成する導電部材の厚みは、特に制限されないが、0.01μm以上200.00μm以下が好ましく、30.00μm以下であることがより好ましく、20.00μm以下であることがさらに好ましく、0.01μm以上9.00μm以下であることが特に好ましく、0.05μm以上5.00μm以下であることが最も好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗、かつ耐久性に優れる。
また、導電部材は、金属以外に、例えば、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon nanotube)、カーボンナノバッド(CNB:Carbon nanobud)等の導電性繊維で構成されたものでもよく、これらの組み合わせた構成でもよい。
また、ポリマーには、後述する架橋剤と反応する反応性基が含まれることが好ましい。
中でも、第1高分子としては、よりガラス転移温度を低く制御しやすい観点から、式A、B、C、および、Dからなる群より選択される1種の単位からなる重合体が好ましく、
B、C、および、Dからなる群より選択される少なくとも1種の単位からなる重合体がより好ましく、式Dで表される単位からなる重合体が更に好ましい。
R2は、メチル基またはエチル基を表し、メチル基が好ましい。
一般式(2):-(CO-X1)r-X2-
式中X1は、酸素原子または-NR30-を表す。ここでR30は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアシル基を表し、それぞれ置換基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基等)を有してもよい。R30は、好ましくは水素原子、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-オクチル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)である。X1として特に好ましいのは、酸素原子またはNH-である。
rは0または1を表す。
qは0または1を表し、0が好ましい。
R5は、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、または、-CH2COOR6を表し、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、または、-CH2COOR6が好ましく、水素原子、メチル基、または、-CH2COOR6が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
R6は、水素原子または炭素数1~80のアルキル基を表し、R4と同じでも異なってもよく、R6の炭素数は1~70が好ましく、1~60がより好ましい。
一般式(1): -(A)x-(B)y-(C)z-(D)w-
なお、一般式(1)中、A、B、C、およびDはそれぞれ、すでに説明した上述の繰り返し単位を表す。
xとしては、3モル%~60モル%、好ましくは3モル%~50モル%、より好ましくは3モル%~40モル%である。
yとしては、30モル%~96モル%、好ましくは35モル%~95モル%、より好ましくは40モル%~90モル%である。
zとしては0.5モル%~25モル%、好ましくは0.5モル%~20モル%、より好ましくは1モル%~20モル%である。
wとしては、0.5モル%~40モル%、好ましくは0.5モル%~30モル%である。
一般式(1)において、xは3モル%~40モル%、yは40モル%~90モル%、zは0.5モル%~20モル%、wは0.5モル%~10モル%の場合が特に好ましい。
a1の好ましい範囲は上述のxの好ましい範囲と同じであり、b1の好ましい範囲は上述のyの好ましい範囲と同じであり、c1の好ましい範囲は上述のzの好ましい範囲と同じであり、d1の好ましい範囲は上述のwの好ましい範囲と同じである。
e1は1モル%~10モル%であり、好ましくは2モル%~9モル%であり、より好ましくは2モル%~8モル%である。
一般式(1)で表されるポリマーは、例えば、特許第3305459号および特許第3754745号公報等を参照して合成することができる。
また、第2高分子のガラス転移温度としては特に限定されるものではないが、40℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、25℃未満が更に好ましく、0℃以下が特に好ましく、0℃未満が最も好ましい。下限としては特に限定されるものではないが、一般に-50℃以上が好ましい。
第1高分子のガラス転移温度と、第2高分子のガラス転移温度の差(絶対値)としては特に限定されるものではないが、一般に20℃以上100℃以下が好ましい。
なお、図14は、本発明の実施形態のタッチセンサー部材前駆体12の複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19を構成する導電部材60の断面の一例を拡大して示す模式図である。図14に示す例において、導電部材60は、第1高分子、および第2高分子を含有するバインダー62と、バインダー62中に分散した複数の金属部64とを含んでおり、金属部64は粒子状の形状を有している。このように、金属部64が粒子状になって導電部材に分散した形態が示されているが、金属部64の形態としては、粒子状に限定されるものではなく、金属部64が層状となって導電部材のバインダー62中に分散した形態であってもよい。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ケイ素粒子、および、酸化チタン粒子等が挙げられる。
非金属の微粒子の球相当径は、透過型電子顕微鏡を用いて、任意の50個分の球相当径を算出し、それらを算術平均したものである。
特開2009-188360号公報、段落0077~0092記載の金属イオントラップ剤類。
特開2012-146548号公報、段落0044~0047記載のメルカプト基を有する含窒素複素環化合物類。
特開2013-224397号公報、段落0018~0049記載の銀イオン拡散抑制層形成用組成物類。
特開2014-075115号公報、段落0030~0066銀イオン拡散抑制層形成用の化合物類。
特開2018-024784号公報、段落0050~0057記載の防錆剤類。
特開2019-016488号公報、段落0050~0057記載のメルカプトベンゾチアゾール類。
2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、5-メルカプ-1-フェニル-1Hテトラゾール、1-(4-カルボキシフェニル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-(m-スルホフェニル)-5-メルカプト-1H-テトラゾールナトリウム、2-メルカプトベンゾオキサゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-(3-アセトアミドフェニル)-5-メルカプトテトラゾール、5-アミノ-2-メルカプトベンゾイミダゾール、6-アミノ-2-メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2-メルカプトチアゾリン、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム、(2-ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-メチルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-エチルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-チオ酢酸-5メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノピリミジン、5,6-ジメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトピリミジン。
金属安定化剤の使用量に制限はないが、タッチセンサー部材前駆体12の基板14上に配置される導電部材に対して、1mg/m2以上10g/m2以下の範囲で含有させることが好ましく、10mg/m2以上1g/m2以下の範囲で含有させることがさらに好ましい。
<絶縁層>
複数のタッチセンサーパターン部21および複数のリード線22を保護する目的で、複数のタッチセンサーパターン部21および複数のリード線22上に透明で且つ電気絶縁性を有する絶縁層を設けることもできる。絶縁層の構成は、特に限定されるものではないが、絶縁層としては、例えば、光学的に透明な粘着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)およびUV(Ultra Violet)硬化樹脂等の光学的に透明な樹脂(OCR:Optical Clear Resin)を用いることができる。また、絶縁層は部分的に中空でもよい。
また、絶縁層は、上述のように光学的に透明な粘着剤および光学的に透明な樹脂を用いることができるが、これに限定されるものではなく、光を透過させる性質を有する透明絶縁層を用いることができる。
なお、1回の塗布工程によって絶縁層を形成できる点から、タッチセンサーパターン部21およびリード線22上に、同一の材料からなる絶縁層が配置されることが好ましい。
複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19を構成する導電部材において、保存環境条件を含めた導電部材の折り曲げ形態に伴う応力により、ひび割れ等の破損を生じる可能性が推測される。このため、導電部材の表面に、その応力を緩和すること、および、導電部材の強度を補強する機能を有した絶縁層を敷設することにより、応力に起因する導電部材の破損を防止できる。具体的には、強度を補強する機能を絶縁層に付与するために、絶縁層に架橋構造が導入され、絶縁層の優位な剛性が維持される。また、折り曲げに伴い絶縁層にクラックが生じて導電部材が破断されることに繋がらないように、絶縁層の押し込み硬度が所定の範囲内に調整されている。
絶縁層の押し込み硬度は、例えば、微小硬度試験機(ピコデンター)により測定することができる。
なお、絶縁層が上述の押し込み硬度を示すために、絶縁層を構成する樹脂の主鎖構造が柔らかい構造であること、または、架橋点間の距離が長い構造であることが好ましい。
なお、絶縁層の上述の弾性率は、所定の測定環境、例えば、温度85℃および相対湿度85%にて、微小硬度試験機(ピコデンター)により測定することができる。
式1:(絶縁層の線膨張率-基板14の線膨張率)×温度差=測定試料の歪み
式2:測定試料の歪み={基板14の弾性率×(基板14の厚み)2}/{3×(1-基板14のポアソン比)×絶縁層の弾性率×カールの曲率半径}
また、導電部材の破断をより抑制できる点で、絶縁層の線膨張率は、基板14の線膨張率との差分が小さいことが好ましく、上限は、差分が300ppm/℃以下であることが好ましく、150ppm/℃以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、0ppm/℃が挙げられる。
なお、絶縁層を含むタッチセンサー部材前駆体12の全光線透過率は、可視光領域(波長400nm~700nm)に対し、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、上述の全光線透過率は、分光測色計CM-3600A(コニカミノルタ株式会社製)によって測定される。
また、絶縁層自体の全光線透過率は、タッチセンサー部材前駆体12が上述の全光線透過率を示すように調整されることが好ましく、少なくとも85%以上であることが好ましい。
また、絶縁層は、タッチセンサーパターン部21およびリード線22だけでなく、基板14とも接することがあるため、基板14との密着性に優れていることが好ましい。
上述のように絶縁層と基板14、タッチセンサーパターン部21およびリード線22との密着性が高い場合、導電部材のひび割れおよび破断をより抑制することができる。
また、タッチセンサーパターン部21およびリード線22を構成する導電部材にバインダー成分が含まれている場合には、絶縁層の屈折率と、上述のバインダー成分の屈折率との屈折率差が小さいほど好ましく、絶縁層を形成する樹脂成分と、上述のバインダー成分とが同じ材料であることがより好ましい。
なお、絶縁層を形成する樹脂成分と、上述のバインダー成分とが同じ材料であるとは、バインダー成分および絶縁層を形成する樹脂成分のいずれもが(メタ)アクリル系樹脂である場合が一例として挙げられる。
絶縁層を構成する材料は、上述した特性を示す層を得ることができれば特に制限されない。なかでも、絶縁層の特性の制御が容易である点から、重合性基を有する重合性化合物を含む絶縁層形成用組成物を用いて形成される層であることが好ましい。
また、導電部材で構成される複数のタッチセンサーパターン部21において、経時による抵抗変化が発生する可能性がある。しかしながら、絶縁層が金属安定化剤を含むことにより、導電部材の抵抗変化を抑制することができる。このため、タッチセンサー部材11におけるタッチ感度の経時変化を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るタッチセンサー部材前駆体12を用いて製造されるタッチセンサー部材11は、ユーザの指またはスタイラスペン等の物体の接触または接近を検出する接触検出、電磁波等の信号を検出する信号検出、外部から飛来する特定周波数の電磁波を遮断するノイズカット等の機能を有することができる。このような機能を有するタッチセンサー部材11は、例えば、図示しないが、画像表示モジュールの表示面上に配置され、その上からさらに透明な絶縁性のカバーパネルにより覆われた状態で使用される。例えば、ユーザの指またはスタイラスペン等がタッチセンサー部材11の複数のタッチセンサーパターン部21上のカバーパネルに接触または接近すると、ユーザの指またはスタイラスペン等が接触または接近したタッチセンサーパターン部21上の位置が電気信号として検出される。
図15に示すように、基板14の表側面14a上において、基板14のY方向に2つ、X方向に2つの計4つのパターン形成領域16を、X方向において800mm毎に一定の間隔を開けて配置し、これらの4つのパターン形成領域16において導電性パターンを作製するための露光用マスクを用意した。ここで、導電性パターンとは、複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19からなるパターンである。
(タッチセンサー部材前駆体の作製方法)
<ハロゲン化銀乳剤の調製>
温度38℃、pH(potential of hydrogen)4.5に保たれた下記の1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記の4液および5液を8分間にわたって加え、さらに、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し粒子形成を終了した。
水 750ml
高分子量ゼラチン(分子量;30万) 9g
低分子量ゼラチン(分子量;1万5000) 4.5g
塩化ナトリウム 3g
1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 8ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 10ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
上記の乳剤に1,3,3a,7-テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
上記の塗布液に、含有するゼラチンに対して、(P-1)で表されるポリマーとジアルキルフェニルPEO硫酸エステルからなる分散剤を含有するポリマーラテックス(分散剤/ポリマーの質量比が2.00/100=0.02、固形分濃度:22質量%)を、ポリマー/ゼラチン(質量比)=0.2/1になるように添加した。ここで、ハロゲン化銀含有塗布液において、ハロゲン化銀の質量に対するポリマーの質量の比R1(ポリマー/ハロゲン化銀)は0.024であった。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
なお、上記の(P-1)で表されるポリマーは、特許第3305459号および特許第3754745号を参照して合成した。
基板14の表側面14aに、後述する下塗り層形成用組成物を、乾燥後の膜厚が60nmになるように塗布し、90℃で1分間乾燥させて、下塗り層付き基板を作製した。なお、下塗り層の膜厚はアンリツ株式会社製の電子マイクロ膜厚計で測定した。
(下塗り層形成用組成物(硬化性組成物))
下記の成分を混合し、下塗り層形成用組成物を調製した。
・アクリル系ポリマー 66.4質量部
(AS-563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分:27.5質量%)
・カルボジイミド系架橋剤 16.6質量部
(カルボジライトV-02-L2、日清紡(株)製、固形分:10質量%)
・コロイダルシリカ 4.4質量部
(スノーテックスXL、日産化学(株)製、固形分:10質量%水希釈)
・滑り剤:カルナバワックス 27.7質量部
(セロゾール524、中京油脂(株)製、固形分:3質量%水希釈)
・界面活性剤:アニオン性界面活性剤 23.3質量部
(ラピゾールA-90、日油(株)製、固形分:1質量%水溶液)
・界面活性剤:ノニオン性界面活性剤 14.6質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%水溶液)
・蒸留水 847.0質量部
なお、第1の組成調整塗布液は、上記ポリマーラテックスとゼラチンとが混合質量比(ポリマーの質量/ゼラチンの質量)3/1で混合され、さらに、光学濃度が約1.0で現像液のアルカリにより脱色する染料を含有する混合物からなる組成物である。また、第1の組成調整塗布液は、この第1の組成調整塗布液より形成される層中のポリマー量(塗設量)が0.65g/m2となるように濃度調整された。なお、第1の組成調整塗布液より形成される層には、染料が含まれるためアンチハレーションの機能を有する。
また、ハロゲン化銀含有塗布液より形成される層中においては、銀量7.4g/m2、ポリマー量0.26g/m2、ゼラチン量1.02g/m2であった。
導電性パターンを形成するための露光用マスクとして、図3および図5に示す本発明の実施形態における複数のタッチセンサーパターン部21、複数のリード線22、複数の接続端子23、複数の接続配線24および電位差解消パターン部19と同一形状のパターンを有する露光用マスクを用意した。上記のフィルムAの片面、すなわち、ハロゲン化銀含有感光性層が形成されている面に、露光用マスクを配置し、高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光を、予め定められたパターン間隔で繰り返し行った。
露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X-R、富士フイルム株式会社製)を用いて現像処理を行った。さらに、純水でリンスし、乾燥することで、片面に銀細線からなる導電性パターンと、ゼラチン層とが形成された基板14を得た。ゼラチン層は銀細線間に形成されていた。得られたフィルムをフィルムBとする。
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N-メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
フィルムBに対して、タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス株式会社製ビオプラーゼAL-15FG)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%、液温:40℃)への浸漬を120秒間行った。フィルムBを水溶液から取り出し、温水(液温:50℃)に120秒間浸漬し、洗浄した。ゼラチン分解処理後のフィルムをフィルムCとする。
上記のフィルムCに対して、金属製ローラからなるカレンダ装置を用いて、30kNの圧力でカレンダ処理を行った。このとき、線粗さRa=0.2μm、Sm=1.9μm(株式会社キーエンス製形状解析レーザ顕微鏡VK-X110にて測定(JIS-B-0601-1994))の粗面形状を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを、これらの粗面が上記のフィルムCの表側面と向き合うように共に搬送して、上記のフィルムCの表側面に粗面形状を転写形成した。
上記のカレンダ処理後、温度150℃の過熱蒸気槽を120秒間かけて通過させて、加熱処理を行った。加熱処理後のフィルムをフィルムDとする。このフィルムDは、図15に示すタッチセンサー部材前駆体であり、製造装置の巻芯に巻き取られることによりロール形態のタッチセンサー部材前駆体となる。
(実施例1)
実施例1のタッチセンサー部材前駆体は、図3および図5に示すタッチセンサー部材前駆体12と同一の形状を有している。
複数のタッチセンサーパターン部21について、X方向におけるセンサーパターン幅L1を4mm、Y方向におけるセンサーパターン長さL2を170mmとした。また、タッチセンサーパターン部21は、図4に示すような菱形のメッシュパターン30を有し、メッシュパターン30を形成する導電線32の線幅Waを3μm、菱形の辺長すなわち開口幅Paを170mm、菱形の鋭角を60度とした。
実施例2のタッチセンサー部材前駆体は、実施例1のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続端子23の接続端子幅Wcを150μmとし、最近接端子間距離Scを150μmとし、複数の接続配線24の接続配線幅Wdを140μmとしたものである。
(実施例3)
実施例3のタッチセンサー部材前駆体は、実施例1のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24の接続配線幅Wdを70μmとしたものである。
実施例4のタッチセンサー部材前駆体は、実施例1のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24の接続配線幅Wdを50μmとしたものである。
(実施例5)
実施例5のタッチセンサー部材前駆体は、実施例4のタッチセンサー部材前駆体において、複数のリード線22のリード線幅Wbを10μm、最近接リード線間距離Sbを10μm、複数の接続端子23の接続端子幅Wcを150μm、最近接端子間距離Scを150μmとしたものである。
実施例6のタッチセンサー部材前駆体は、実施例5のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24の代わりに図6に示す複数の接続配線24Aを有している。複数の接続配線24Aについて、被切断部CPの接続配線幅Wdを8μm、被切断部長さL3を10mmとし、本体部MPの線幅W1を50μm、本体部長さL4を20mmとした。
(実施例7)
実施例7のタッチセンサー部材前駆体は、実施例6のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24Aの被切断部CPの接続配線幅Wdを3μmとしたものである。
実施例8のタッチセンサー部材前駆体は、実施例4のタッチセンサー部材前駆体において、電位差解消パターン部19の代わりに図12に示す電位差解消パターン部19Gを有している。電位差解消パターン部19Gの複数の犠牲パターン部43について、犠牲パターン部幅Wfを450μmとし、幹部44のX方向の両側から延びる複数の枝部45の数を、それぞれ7本とした。また、複数の犠牲パターン部43における複数の幹部44と複数の枝部45の線幅Wgを、それぞれ7.5μm、隣り合う犠牲パターン部43の重なり合い領域Hの重なり幅Whを150μmとした。また、最近接犠牲パターン部間距離Sgは、7.5μmであった。また、最近接端子間距離Scを150μmとした。
実施例9のタッチセンサー部材前駆体は、実施例4のタッチセンサー部材前駆体において、電位差解消パターン部19の代わりに、図10に示すような、X方向に隣り合う50個のパターン形成領域16における複数の接続配線24を短絡する電位差解消パターン部19Eを有している。この電位差解消パターン部19Eの電位差解消パターン長さLeを20mとした。
(実施例10)
実施例10のタッチセンサー部材前駆体は、実施例6のタッチセンサー部材前駆体において、電位差解消パターン部19の代わりに、図10に示すような、X方向に隣り合う50個のパターン形成領域16における複数の接続配線24を短絡する電位差解消パターン部19Eを有している。この電位差解消パターン部19Eの電位差解消パターン長さLeを20mとした。
比較例1のタッチセンサー部材前駆体は、実施例1のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24の接続配線幅Wdを250μmとしたものである。
(比較例2)
比較例2のタッチセンサー部材前駆体は、実施例1のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24の接続配線幅Wdを300μmとしたものである。
(比較例3)
比較例3のタッチセンサー部材前駆体は、実施例2のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24の接続配線幅Wdを240μmとしたものである。
比較例4のタッチセンサー部材前駆体は、実施例1のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24と電位差解消パターン部19を有さないものである。
(比較例5)
比較例5のタッチセンサー部材前駆体は、実施例5および実施例6のタッチセンサー部材前駆体において、複数の接続配線24と電位差解消パターン部19を有さないものである。
黒色樹脂板を用意し、実施例1~10、比較例1~5のタッチセンサー部材前駆体を、導電性パターンが形成されていない裏側面が黒色樹脂板上に接触するように、黒色樹脂板上に配置する。さらに、複数のタッチセンサーパターン部21にLED(Light emitting diode:発光ダイオード)の光を当てて、周囲の部分よりも暗く見える箇所を記録し、記録した箇所の近傍をマイクロスコープ(Keyence VHX 5000、倍率200~1000、反射光・透過光同時ON)で観察した。この際に、タッチセンサーパターン部21の導電線32の破片が確認された箇所を放電による破損箇所と認定する。このような検査を、100個のパターン形成領域16において実施し、認定された破損箇所の数の1つのパターン形成領域16あたりの平均値を「電極部スパーク数」と定義する。
実施例1~10、比較例1~5のタッチセンサー部材前駆体を、図15に示すような切断線CLに沿ってシート状に切り出すことにより、タッチセンサー部材を製造し、製造されたタッチセンサー部材の複数のリード線22をマイクロスコープ(Keyence VHX 5000、倍率200~1000、反射光・透過光同時ON)で観察した。この際に、リード線22に破損部があり、且つ、破損部の近傍の基板14上に放射状の影があるものを放電による破損箇所と認定する。このような観察方法により、1枚のタッチセンサー部材に対し、70本のリード線22の全体を観察する。5枚のタッチセンサー部材に対して同様の観察を行い、認定された破損箇所の数の1枚のタッチセンサー部材あたりの平均値を、「リード線間スパーク数」と定義する。
実施例1~10、比較例1~5のタッチセンサー部材前駆体から製造されたタッチセンサー部材において、複数の接続端子23のうち隣り合う接続端子23に、いわゆるテスター(circuit tester:回路計)等の導通検査端子を当てて、順次、隣り合う接続端子23間の絶縁抵抗を測定する。測定された絶縁抵抗が20Mオーム未満となる接続端子23間をマイクロスコープ(Keyence VHX 5000、倍率200~1000、反射光・透過光同時ON)で観察し、隣り合う接続端子23の双方に接触する接続配線24の破片が1つでも観察された場合に、検査対象のタッチセンサー部材に短絡故障を生じていると認定する。このような検査を100個のタッチセンサー部材において実施し、(短絡故障が生じているタッチセンサー部材の数)/100(%)により、短絡故障率を算出する。
このように、実施例1~10は、複数のリード線22間および複数のタッチセンサーパターン部21における放電現象の抑制と、短絡故障の抑制を両立できることがわかる。
また、比較例4および5では、複数の接続配線24が存在しないため、短絡故障率は0%であるが、電位差解消パターン部19が存在しないため、複数のリード線22間に電位差が生じやすくなり、リード線間スパーク数は16および98となった。
Claims (16)
- 基板と、
前記基板の少なくとも一方の面に配置された複数のタッチセンサーパターン部と、
前記複数のタッチセンサーパターン部から引き出された複数のリード線と、
前記複数のリード線に接続された複数の接続端子と、
前記複数の接続端子に接続された複数の接続配線と、
前記複数の接続配線に接続された電位差解消パターン部とを有し、
前記複数のタッチセンサーパターン部と、前記複数のリード線と、前記複数の接続端子と、前記複数の接続配線と、前記電位差解消パターン部は、前記基板の同一面上に配置された導電部材からなり、
前記複数の接続配線は、接続配線幅Wdを有する被切断部と、前記接続配線幅Wdよりも広い線幅W1を有し且つ前記被切断部と前記電位差解消パターンを電気的に接続する本体部を含み、
前記複数の接続端子のうち隣り合う前記接続端子同士は、互いに最も近接する箇所において最近接端子間距離Scだけ離間しており、
Wd<Scの関係を満たすタッチセンサー部材前駆体。 - 前記複数の接続端子の前記最近接端子間距離Scは、150μm以上250μm以下である請求項1に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記複数の接続配線の前記被切断部の接続配線幅Wdは、3μm≦Wd<250μmの関係を満たす請求項2に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記複数の接続配線の前記被切断部の接続配線幅Wdは、3μm≦Wd<150μmの関係を満たす請求項3に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記複数のリード線のうち隣り合う前記リード線同士は、互いに最も近接する箇所において最近接リード線間距離Sbだけ離間しており、
Wd<Sb<Scの関係を満たす請求項1~4のいずれか一項に記載のタッチセンサー部材前駆体。 - 前記複数のリード線の前記最近接リード線間距離Sbは、10μm以上60μm以下である請求項5に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記複数の接続配線の前記被切断部の接続配線幅Wdは、3μm≦Wd<60μmの関係を満たす請求項6に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記複数の接続配線の前記被切断部の接続配線幅Wdは、3μm≦Wd<10μmの関係を満たす請求項7に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記電位差解消パターン部は、前記複数の接続配線同士を電気的に短絡させる請求項1~8のいずれか一項に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記基板の少なくとも一方の面に、複数のパターン形成領域があり、
それぞれの前記パターン形成領域に、前記複数のタッチセンサーパターン部と、前記複数のリード線と、前記複数の接続端子と、前記複数の接続配線とが配置されている請求項9に記載のタッチセンサー部材前駆体。 - 前記電位差解消パターン部は、前記複数のパターン形成領域のうち互いに異なる複数の前記パターン形成領域に配置された前記複数の接続配線同士を電気的に短絡させる請求項10に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記電位差解消パターン部は、前記複数の接続配線に接続され且つ互いに電気的に隔離されるように配置された複数の犠牲パターン部であって、互いに最も近接する箇所における最近接犠牲パターン部間距離Sgが、前記最近接リード線間距離Sbに対して0<Sg<Sbの関係を満たす前記複数の犠牲パターン部からなる請求項5~8のいずれか一項に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記複数のタッチセンサーパターン部と、前記複数のリード線と、前記複数の接続端子と、前記複数の接続配線と、前記電位差解消パターン部は、前記基板の両面に配置されている請求項1~12のいずれか一項に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記導電部材は、金属材料を含む請求項1~13のいずれか一項に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 前記導電部材は、前記金属材料として銀を含む請求項14に記載のタッチセンサー部材前駆体。
- 請求項1~15のいずれか一項に記載のタッチセンサー部材前駆体の前記複数の接続配線の前記被切断部を切断するタッチセンサー部材の製造方法。
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