JP7268606B2 - 紫外線透過ガラスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線透過率が良好なガラスおよびそれを用いた成形品に関する。
紫外線を透過する材料として、合成石英やサファイアは紫外線透過率が良好なため好ましく用いられているが、それ自身が高価であったり、加工するのに手間がかかったり、所望の3次元形状とするには加工費も高額になるなど、製品の製造にあたっては高コストな材料である。
また、ガラス中に含まれる成分を調整して、紫外線透過率を向上させたガラスとしては、有機物や金属といった還元剤をガラスに加えた例も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
日本国特開平03-93644号公報 日本国特開平03-93645号公報
しかしながら、これら特許文献に記載のようなガラスは、製造にあたって溶融時間が長くなると、その溶融雰囲気中の酸素によって再酸化されて紫外線透過率が再び低下してしまう場合もあった。
本発明は、紫外線、特に、産業利用の期待が大きい波長250nm~370nm、の透過率が高く、紫外光の通過する距離が長い製品としても、その透過率を高い水準で保持可能なガラス材料の提供を目的とする。
さらに、屈折率が1.7以上というような高屈折率ガラスでは一般的に紫外線透過率が低くなることが知られているが、本発明では高屈折率でありながら紫外線の透過率も良好なガラス製品の提供も可能である。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、多成分系酸化物からなるガラスにおいて、鉄成分の含有量を低減し、かつ、その酸化状態を制御することで紫外域の光透過率を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第2態様は、
ガラス原料またはガラスカレットを溶融することでガラス溶融液とし、前記ガラス溶融液を冷却して固化させる、紫外線透過ガラスの製造方法であって、
前記紫外線透過ガラスは多成分系酸化物からなり、酸化物基準のモル%表示でY の含有量が5モル%以上であり、
波長300nm~350nmの光に対する10mm厚の内部透過率τ300-350(%)が、次の式(2)
τ300-35086・・・(2)
を満たし、
前記紫外線透過ガラスは、電子スピン共鳴法(ESR)で測定されるFe3+強度が0.0059以下であり、
前記溶融にあたって、溶融雰囲気を非酸化性雰囲気とし、前記ガラス原料または前記ガラスカレットに還元剤を含有させ、
前記還元剤がSnOおよびSnOから選ばれる少なくとも1つを含む酸化スズであって、前記還元剤が前記紫外線透過ガラス中に0質量%超、0.3質量%以下含まれる、ことを特徴とする。
本発明の成形品は、本発明の紫外線透過ガラスからなり、所望の形状を有することを特徴とする。
本発明の紫外線透過ガラスは、紫外域の光に対する透過率が良好であり、紫外線を透過する製品の材料として有用である。さらに、高屈折率である場合、サファイアに近い光学性能でありながら、加工性、成形性も十分であり、製品の製造コストを低減することができる。
本発明の紫外線透過ガラスの製造方法は、上記紫外線透過ガラスを簡易な操作で、安定的に、効率よく製造できる。
本発明の成形品は、紫外域の光に対する透過率が良好であり、紫外線を透過する製品として有用である。
図1は、例2-1における、SnO添加量と外部透過率との関係を示したグラフである。 図2は、例2-2における、SnO添加量と外部透過率との関係を示したグラフである。
本発明の紫外線透過ガラス、その製造方法および成形品について、以下、一実施形態を参照しながら詳細に説明する。
[紫外線透過ガラス]
本実施形態の紫外線透過ガラスは酸化物からなるガラス材料であって、紫外域の波長の光の透過率が良好なものである。
本実施形態の紫外線透過ガラスとしては、例えば、多成分系酸化物からなるガラスであって、波長350nm~400nmの光に対する10mm厚の内部透過率τ350-400(%)が、次の式(1)
τ350-400 ≧ 90 …(1)を満たすものが挙げられる。
また、本実施形態の紫外線透過ガラスとしては、例えば、多成分系酸化物からなるガラスであって、波長300nm~350nmの光に対する10mm厚の内部透過率τ300-350(%)が、次の式(2)
τ300-350 ≧ 75 …(2)を満たすものが挙げられる。
また、本実施形態の紫外線透過ガラスとしては、例えば、多成分系酸化物からなるガラスであって、波長260nm~300nmの光に対する10mm厚の内部透過率τ260-300(%)が、次の式(3)
τ260-300 ≧ 45 …(3)を満たすものが挙げられる。
すなわち、本実施形態の紫外線透過ガラスとしては、上記式(1)~(3)の特性を、少なくとも1つ満たしていればよく、2つ満たしていることが好ましく、3つ全てを満たしていることがより好ましい。これら式(1)~(3)においては、それぞれ上記した波長範囲の全てで上記関係式を満たす必要があり、これは、上記波長範囲における内部透過率の最小値が上記関係式を満たしているとも言い換えることもできる。
また、上記式(1)~(3)において、それぞれ、以下の内部透過率を満たすことが好ましい。内部透過率τ350-400は93%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。内部透過率τ300-350は79%以上が好ましく、83%以上がより好ましく、86%以上が特に好ましい。内部透過率τ260-300は50%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、65%以上が特に好ましく、70%以上がもっとも好ましい。
本明細書において、内部透過率は、測定する紫外線透過ガラスを用いて作製したサンプルに対して、入射側および出射側における表面反射損失を除いた透過率であり、当該技術分野において周知のものであり、その測定も通常行われる方法でよい。測定は、例えば、以下のように行う。
同一組成のガラスからなり、厚さの異なる一対の平板状試料(第1の試料および第2の試料)を用意する。平板状試料の両面は互いに平行かつ光学研磨された平面とする。第1の試料の光学研磨された面に垂直に入射する入射光の強度をIin(1)、反対側の面から出射する出射光の強度をIout(1)としたとき、第1の試料の表面反射損失を含む外部透過率T1は、強度比Iout(1)/Iin(1)となる。同様に、第2の試料の光学研磨された面に垂直に入射する入射光の強度をIin(2)、反対側の面から出射する出射光の強度をIout(2)としたとき、第2の試料の表面反射損失を含む外部透過率T2は、強度比Iout(2)/Iin(2)となる。
第1の試料の厚みをd1(mm)、第2の試料の厚みをd2(mm)、ただしd1<d2とすると、厚さdx(mm)での内部透過率τは次式(a)により算出することができる。
τ = exp[-dx×(lnT1-lnT2)/Δd] (a)
ただし、Δd=d2-d1であり、lnは自然対数を意味する。本実施形態の紫外線透過ガラスは厚さ10mmに換算したときの内部透過率を指標とするから、次式(b)を用いて上記波長範囲における内部透過率を波長ごとに算出する。
τ(10mm)=exp[-10×(lnT1-lnT2)/Δd](b)
このような紫外線透過ガラスの組成としては、多成分系酸化物からなるガラスであって、上記規定の内部透過率を満たすものであれば、特に限定されるものではない。ただし、複数種の酸化物化合物を含んでなる多成分系酸化物からなるものであるため、石英ガラスは含まない。
このような紫外線透過ガラスの組成系としては、具体的には、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸ガラス、リン酸ガラス、フツリン酸ガラス等を母組成とするガラスが挙げられる。
このようなガラスに対して、特に鉄成分の含有量が低減されたものであることが好ましい。ここで鉄成分は、Fe3+またはFe2+の価数となってガラス中に存在するが、ガラス中に含まれている鉄成分をFeに換算した全酸化鉄含有量をT-Fe(質量ppm)として表す。
本実施形態の紫外線透過ガラス中には、T-Feは好ましくは1.5質量ppm以下であり、より好ましくは1質量ppm以下であり、さらに好ましくは0.9質量ppm未満であり、含有量が少ないほど好ましい。上記の鉄成分は、溶解工程からの鉄分混入を除けば、主にガラス原料に含まれる不純物としてガラスに導入される。
また、鉄成分としては、ガラス中に含まれる鉄成分の価数をFe3+からFe2+に還元させることが好ましい。紫外線を大きく吸収するFe3+量を減らすことで紫外線透過率を向上させることができる。このような鉄の価数を調整する方法については、後で詳細に説明するが、ガラス溶融時にガラス原料やガラスカレットに還元剤となる成分を添加する、ガラス溶融時における雰囲気を非酸化性にする、等により可能である。この時、得られたガラス成形品はFe2+レドックスが高いガラスとなる。Fe2+レドックスとは、Fe2+量の全鉄含有量に対する比で、それぞれのFe換算量の比として求められるものである。
また、Fe3+量は電子スピン共鳴法(ESR)によっても評価でき、Fe3+量が少ないときESRで測定されるFe3+強度が低くなる。ESRで測定されるFe3+強度を好ましくは0.0215以下、より好ましくは0.0180以下、さらに好ましくは0.0150以下、特に好ましくは0.0115以下となるように還元剤の種類、量、そして溶解雰囲気を選択することで、より短波長域においても高い透過率を示すガラスを得ることができる。T-Feが多いときは、ガラスの還元性を高めることでFe3+強度を低くすることが好ましい。T-Feが少ないときは、Fe3+量も少なくなるためFe3+強度も低くなる。
一般的なガラスでは、ガラス成分として様々な遷移金属酸化物を含有させることが出来るが、本発明の紫外線透過ガラスでは、紫外線透過率を向上させるために紫外域で光の吸収を示す成分の含有量を低減させることが好ましい。
近紫外域の透過率を向上させるためには、例えば、紫外線透過ガラス中に、酸化物基準のモル%表示で、Bi、TiO、WO、Gdの含有量を3モル%以下にすることが好ましく、1モル%以下にすることがより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。また、深紫外域の透過率を向上させるためには、上記の制限に加えてさらに、紫外線透過ガラス中に、酸化物基準のモル%表示で、Nb、Taの含有量を3モル%以下にすることが好ましく、1モル%以下にすることがより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
なお、本明細書において、「実質的に含有しない」とは、ガラス原料中の不純物に起因して不可避的に導入される場合を除き、意図的には含有させない事をいい、具体的には0.01モル%以下であることを意味する。
この紫外線透過ガラスについて、より具体的なガラス組成については、例えば、次のガラス組成1およびガラス組成2が好ましいものとして挙げられる。ここで、ガラス組成1は、屈折率ndが1.7以上となるような高い組成の例示であり、ガラス組成2は、屈折率ndが1.7未満となるような低い組成の例示である。
(ガラス組成1)
本ガラス組成1は、酸化物基準のモル%表示で、B:10~80%、SiO:0~25%、La:2~32%、Y:0~20%を含有する組成である。
本ガラス組成1において、Bは、ガラス骨格を形成し、ガラスの安定性を高めるとともに、紫外線透過率を高められる、本ガラス組成1において必須成分である。ガラス中に、B含有量を10モル%以上(以下、モル%を単に%と略す)にすることで安定したガラスが得られる。このB含有量は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。一方、B含有量を80%以下にすることでガラスの分相の発生を防ぐことができる。このB含有量は、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
本ガラス組成1において、SiOは、Bと同様にガラス骨格を形成し、ガラスの安定性を高め耐失透性を上げるとともに、ガラスの分相を防ぐことができる任意成分である。SiO含有量を25%以下にすることで溶解中の溶け残りを防ぐことができる。このSiO含有量は、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下である。なお、液相温度を下げて失透し難くすることや、化学的耐久性を向上させるためにはSiOを含有させることが好ましく、その含有量は、より好ましくは1%以上、特に好ましくは3%以上、もっとも好ましくは5%以上である。
本ガラス組成1において、Laは、屈折率を高めながらも紫外線透過率を高く保つことができ、本ガラス組成1において必須成分である。La含有量を2%以上にすることで、所望の高い屈折率を得ることができる。このLa含有量は、好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上である。一方、La含有量を32%以下にすることで液相温度の上昇を抑え、失透し難くできる。このLa含有量は、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下、特に好ましくは22%以下である。
本ガラス組成1において、Yは、屈折率を高めながらも紫外線透過率を高く保つことができ、Laと共存させることで液相温度を下げて耐失透性を改善できる成分である。Y含有量を20%以下にすることで溶解温度、成形温度の上昇を抑えるとともに、液相温度の上昇を抑え失透し難くすることができる。このY含有量は、好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下、特に好ましくは10%以下である。屈折率を高めるには、Yを含有させることが好ましく、より好ましくは2%以上、特に好ましくは4%以上、もっとも好ましくは5%以上である。
本ガラス組成1においては、さらに、以下の成分を含有させることができる。
本ガラス組成1において、LiOは、ガラスの溶融性を改善するとともに、ガラス転移温度や軟化温度を下げることができる成分であり、任意成分である。LiO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下を抑えるとともに、液相温度の上昇を抑えることができる。このLiO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。ガラスを後加工で熱間成形する場合にはガラス転移温度を下げることが必要で、この場合はLiOを含有させることが好ましく、より好ましくは1%以上、特に好ましくは2%以上にする。
本ガラス組成1において、NaOは、ガラスの溶融性を改善するとともに、ガラス転移温度や軟化温度を下げることができる成分であり、任意成分である。NaO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下を抑えるとともに、液相温度の上昇を抑えることができる。このNaO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本ガラス組成1において、KOは、ガラスの溶融性を改善するとともに、ガラス転移温度や軟化温度を下げることができる成分であり、任意成分である。KO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下を抑えるとともに、液相温度の上昇を抑えることができる。このKO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本ガラス組成1において、ZnOはガラスの溶融性を改善するとともに、ガラス転移温度や軟化温度を下げることができる成分であり、耐失透性を保ったまま多く含有させることができる任意成分である。ZnO含有量を35%以下にすることで屈折率の低下を抑えることができる。好ましくは33%以下、より好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。
本ガラス組成1において、MgOはガラスの分相を防ぎ、溶融性を改善できる成分であり、任意成分である。MgO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下や、液相温度の上昇を抑えることができる。このMgO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本ガラス組成1において、CaOはガラスの分相を防ぎ、溶融性を改善できる成分であり、任意成分である。CaO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下や、液相温度の上昇を抑えることができる。このCaO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本ガラス組成1において、SrOはガラスの分相を防ぎ、溶融性を改善できる成分であり、任意成分である。SrO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下や、液相温度の上昇を抑えることができる。このSrO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本ガラス組成1において、BaOはガラスの分相を防ぎ、溶融性を改善できる成分であり、任意成分である。BaO含有量を15%以下にすることで屈折率の低下や、液相温度の上昇を抑えることができる。このBaO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本ガラス組成1において、ZrOは紫外線透過率を高く保ったまま屈折率を高めることができるとともに、耐失透性を改善できる成分であり、任意成分である。ZrO含有量を15%以下にすることで過剰に含有することによる耐失透性の低下を防ぐことができる。このZrO含有量は、好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下である。
本ガラス組成1において、Alは化学的耐久性を上げるとともに、ガラスの分相を抑制できる成分であり、任意成分である。Al含有量を10%以下にすることで屈折率の低下を抑えるとともに、液相温度の上昇を抑えることができる。このAl含有量は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
本ガラス組成1において、Sbはガラスを酸化させるため、深紫外線透過率を上げるためには含有量を低減させることが好ましく、0.1%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは実質的に含有させない。
本ガラス組成1では、環境面での負荷を減少させるため、PbO、Asは不可避な混入を除き、いずれも実質的に含有しないことが好ましい。Fは揮発性を示すため、脈理や光学特性の変動を抑えたい場合はFも含有させないことが好ましい。
本ガラス組成1の光学特性としては、屈折率ndが1.7以上である。成形品の用途によって適した屈折率が異なるが、高屈折率であるほどレンズの焦点距離を短くできるため光学素子の小型化、薄型化に適する。屈折率ndは、好ましくは1.71以上、より好ましくは1.72以上、特に好ましくは1.73以上である。
(ガラス組成2)
本ガラス組成2は、酸化物基準のモル%表示で、B+SiO+P:40~90%、LiO+NaO+KO:0~30%、MgO+CaO+SrO+BaO:0~20%を含有する組成である。
本ガラス組成2において、B、SiO、Pはガラス骨格を形成する成分である。B+SiO+Pが多すぎると溶解性が低下するため90%以下、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下にする。耐失透性を改善するためには40%以上、好ましくは45%以上にする。化学的耐久性を上げるためにはSiOを含有させることが好ましく、より好ましくは5%以上である。溶解性を上げるにはSiO含有量は70%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下が特に好ましい。溶解温度を下げるにはBを含有させることが好ましく、より好ましくは5%以上、特に好ましくは10%にする。分相を防ぐため、B含有量は80%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。
本ガラス組成2において、LiO、NaO、KOは溶解温度を下げるために含有できる。含有量が多すぎると失透しやすくなるため、LiO+NaO+KOが30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下にする。
本ガラス組成2においてMgO、CaO、SrO、BaOは溶解温度を下げるために含有できる。含有量が多すぎると失透しやすくなるため、MgO+CaO+SrO+BaOが20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下にする。
本ガラス組成2においては、さらに、以下の成分を含有させることができる。
本ガラス組成2において、ZnOはガラスの溶融性を改善するとともに、ガラス転移温度や軟化温度を下げることができる成分である。ZnO含有量は10%以下、好ましくは5%以下である。
本ガラス組成2において、Alは化学的耐久性を上げるとともに、ガラスの分相を抑制できる成分である。Al含有量を20%以下にすることで液相温度の上昇を抑えることができる。好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下にする。
本ガラス組成2において、Sbはガラスを酸化させるため、深紫外線透過率を上げるためには含有量を低減させることが好ましく、0.1%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは実質的に含有させない。
本ガラス組成2では、環境面での負荷を減少させるため、PbO、Asは不可避な混入を除き、いずれも実質的に含有しないことが好ましい。Fは揮発性を示すため、脈理や光学特性の変動を抑えたい場合はFも含有させないことが好ましい。
さらに、本実施形態の紫外線透過ガラスは、以下のような特性を有することが好ましい。
本紫外線透過ガラスをリヒートプレス成形等の熱間成形を施す用途では、ガラス転移温度を低くすることでプレス時の成形温度を低くでき、これにより金型表面に形成されている保護膜等の耐久性を向上できる。この場合、ガラス転移温度Tgは、好ましくは650℃以下であり、より好ましくは620℃以下、特に好ましくは600℃以下である。
本紫外線透過ガラスは、光学系に使われるために紫外線透過率が高いほど好ましい。外部透過率について着色度λ70、λを指標として表すと、ガラス厚み10mmで外部透過率70%を示す波長λ70は305nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、295nm以下が特に好ましく、285nm以下がもっとも好ましい。また、ガラス厚み10mmで外部透過率5%を示す波長λは240nm以下が好ましく、235nm以下がより好ましく、230nm以下が特に好ましく、220nm以下がもっとも好ましい。
本紫外線透過ガラスは、液相温度を低くすることでガラス溶融液から成形品を成形する際に失透し難くし、生産性やガラス品質を向上させることができる。液相温度は好ましくは1200℃以下、より好ましくは1150℃以下、さらに好ましくは1100℃以下である。なお、本明細書において液相温度とは、ある温度に一定時間保持した場合に、ガラス溶融液から結晶固化物が生成しない最低温度とする。
[紫外線透過ガラスの製造方法]
本実施形態の紫外線透過ガラスの製造方法は、上記実施形態の紫外線透過ガラスを製造する方法である。この紫外線透過ガラスの製造方法は、基本的な操作は、従来公知のガラスの製造方法に基づくものであり、ガラス原料またはガラスカレットを溶融し、これにより得られたガラス溶融液を冷却して固化させるものである。その際、本実施形態においては、ガラス中の鉄含有量を低減するとともに、得られるガラス中に含まれる成分の酸化還元状態を制御して、良好な紫外線透過特性を得られるようにすることが好ましい。
用意するガラス原料またはガラスカレットについては、上記本実施形態の紫外線透過ガラスを得られるものであればよく、特に限定されるものではない。原料としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸などを用いる。上記ガラス組成1またはガラス組成2が得られるガラス原料が好ましい。
ガラス原料またはガラスカレットが溶融する温度以上の温度に加熱して、ガラス溶融液とするが、このときの溶融条件としては、ガラス溶融液の接触する雰囲気を大気雰囲気(酸化性雰囲気)とする場合と非酸化性雰囲気とする場合が考えられる。非酸化性雰囲気とするには、炉の内部に、窒素やアルゴン等の非酸化性ガスを導入する方法や、都市ガスのように酸素を含まない可燃性ガスを用いたバーナーの炎を炉内に導入する方法などが使える。
ガラス原料またはガラスカレットに還元剤を含有させるとき、還元剤としては、得られるガラス中に残るものについては、ガラス原料として考慮し、ガラス中に残らないものは、ガラス原料に対して、外添するものとして考慮する。ここで用いる還元剤としては、ガラス中に残るものとしては、SnO、SnO、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、フッ化物(フッ化アルミニウムやフッ化ランタン等)、揮発してガラス中に残らないものとしては、炭素(C)等が挙げられる。炭素(C)は、炭素粉やショ糖などの炭水化物として加えることができる。
ここで還元剤として、SnOおよびSnOから選ばれる酸化スズを少なくとも1つ含んだものを用いる場合、SnOとSnOの合量である酸化スズの含有量について、大気雰囲気で溶融を行う場合には、ガラス中で0.3質量%超、3質量%以下となる量を添加することが好ましい。含有量が0.3質量%以下では紫外線透過率を向上させる効果が不十分であり、好ましくは0.35質量%以上になるように添加する。3質量%超では逆に透過率が下がってしまい、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下になるように添加する。
一方で、SnOとSnOの合量である酸化スズの含有量について、非酸化性雰囲気で溶融を行う場合には、0質量%超、0.3質量%以下となる量を添加することが好ましい。0質量%超を添加することで紫外線透過率をより向上でき、好ましくは0.01質量%以上を添加する。0.3質量%以上に添加すると透過率が下がってしまう。好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下になる量を添加する。ガラス中で酸化スズはSn2+とSn4+の価数で存在しているが、上記の通り、溶解雰囲気に合わせて酸化スズの添加量を決めることにより、ガラスが還元状態で安定して保たれるため、ガラス成形品でSn2+量が一般の溶解方法よりも多く検出される。
還元剤として、炭素(C)を用いる場合、ガラス溶融の雰囲気、溶融時間に合わせて添加量を決めればよいが、例えば、非酸化性雰囲気ではガラス100質量%に対して0.2質量%以上、1質量%以下を外添することが好ましい。なお、この場合、ガラスの製造操作時に二酸化炭素となって揮散していくため、得られる紫外線透過ガラスにおいて、還元剤由来の炭素成分は残っていない。
このようにして得られた溶融ガラスを、公知の方法により冷却して固化させて、紫外線透過ガラスが得られる。この紫外線透過ガラスとしては、ガラスブロックとして得た場合、その後、研削、研磨等の加工を行うことで所望の形状を有する成形品とできる。また、溶融ガラスを成形型等に流し込んで冷却して固化させる場合、そのまま所望の形状が付与されるため、脱型することで成形品とできる。得られたガラス成形品を、後加工で再び加熱して軟化させ、圧力をかけて型を押し当てて成形することもできる。
[成形品]
本実施形態の成形品は、上記本実施形態の紫外線透過ガラス製であり、所望の形状に成形されてなる成形体である。ここで本実施形態の成形品は、その用途に応じて任意の形状に形成可能であり、成形品の製造は公知の方法により行えばよく、例えば、上記紫外線透過ガラスの製造方法において説明したような方法を用いればよい。また、リヒートプレスやリドロー加工といった熱間加工を後加工として施す場合もある。
この成形品は、紫外光を透過させる部材として特に限定されずに用いることができる。この用途としては、例えば、水殺菌装置、紫外線硬化型樹脂の硬化装置、紫外線センサー等のカバーガラス、紫外線LED(紫外線発光ダイオード)の封止材料、紫外線を使用する照明器具、紫外線の透過機能が求められるレンズや光学フィルター等の光学素子、フォトレジスト露光用材料、ビームシェイパーや切削非球面レンズ等の石英製の光学部品の代替、紫外線透過の光ファイバーに用いられるコア材(コアとクラッドの屈折率差を大きくできるため、開口角が広くでき、出力を向上できる)、レーザーダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)等のレンズ付きカバーガラス、レンズアレイ、等が挙げられる。
本実施形態の成形品は、上記のような適用する用途に応じて、その形状を所望の形状とすればよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例1-5は参考例であり、例1-3及び例1-4実施例であり、例1-1、例1-2、例1-6及び例1-7は比較例である。また、ガラス組成は酸化物基準の質量%表示(又はモル%表示)で示す。
(例1-1)
表1に示す組成のガラスが得られるように各々相当する硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸などの原料を秤量し、十分混合した後、白金製坩堝に投入し、大気中1300℃で3時間加熱、溶解した。ガラス原料は、鉄やチタンといった不純物含有量が低いものを選んで使用した。
この溶融ガラスを予熱した型に流し出して冷やし、板状に成形後、ガラス転移温度近傍の温度で4時間保持した後、-60℃/hの冷却速度で室温まで徐冷して、鉄含有量が1.5質量ppm以下、Fe3+強度が0.0215以下のガラス1を得た。
(例1-2)
還元剤としてSnOを添加して、表1に示す組成となるようにガラス原料を秤量した。例1-1と同様な溶解方法および成形方法により、鉄含有量が1.5質量ppm以下、Fe3+強度が0.0215以下のガラス2を得た。
(例1-3)
還元剤としてSnOを添加して、表1に示す組成となるようにガラス原料を秤量した。白金製坩堝に原料を投入し、窒素ガスで炉内を満たした溶解炉で1300℃にて3時間加熱、溶解した。その後、例1-1と同様の成形方法でガラス成形品を作成し、鉄含有量が1.5質量ppm以下、Fe3+強度が0.0215以下のガラス3を得た。
(例1-4)
還元剤としてSnOを添加して、表1に示す組成となるようにガラス原料を秤量した。白金製坩堝に原料を投入し、窒素ガスで炉内を満たした溶解炉で1300℃にて3時間加熱、溶解した。その後、例1-1と同様の成形方法でガラス成形品を作成し、鉄含有量が1.5質量ppm以下、Fe3+強度が0.0215以下のガラス4を得た。
(例1-5)
表1に示す組成となるようにガラス原料を秤量した。白金製坩堝に原料を投入し、還元剤として炭素粉を原料に外割0.4質量%分を添加し、窒素ガスで炉内を満たした溶解炉で1300℃にて3時間加熱、溶解した。その後、例1-1と同様の成形方法でガラス成形品を作成し、鉄含有量が1.5質量ppm以下、Fe3+強度が0.0215以下のガラス5を得た。なお、添加した炭素はガラス溶融時においてCOとなって揮散するため、ガラス成形品には残留していなかった。
(例1-6)
還元剤としてSnOを添加して、表1に示す組成となるようにガラス原料を秤量した。白金製坩堝に原料を投入し、窒素ガスで炉内を満たした溶解炉で1300℃にて3時間加熱、溶解した。その後、例1-1と同様の成形方法でガラス成形品を作成し、鉄含有量が1.5質量ppm以下、Fe3+強度が0.0215以下のガラス6を得た。
(例1-7)
表1に示す組成となるようにガラス原料を秤量した。ガラス原料には、鉄含有量が多いものを用いた。例1-1と同様な溶解方法および成形方法により、ガラス7を得た。鉄含有量が多いガラス原料を用いることでガラスの鉄含有量が1.5質量ppm超となり、還元剤を添加しなかったためにFe3+強度が0.0215超となった。
[特性]
得られたガラスについて、波長587.56nm(d線)における屈折率nd、外部透過率、着色度、内部透過率、T-Fe、Fe3+強度を測定した。これらの測定方法を以下に述べる。
(屈折率)
屈折率は、一辺5mm以上、厚み5mm以上の直方体形状に加工したサンプルを、精密屈折率計(島津製作所製、型式:KPR-200、KPR-2000)を用いて測定した。屈折率は、降温速度-60℃/hで徐冷して得られたサンプルについて測定した。
(外部透過率および着色度)
外部透過率は、厚さ1mmと10mmそれぞれのサンプルを、両面を研磨し、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、型式:U-4100)を用いて測定した。10mm厚での外部透過率から着色度を読み取り、外部透過率が70%になる波長λ70、外部透過率が5%になる波長λとして表1に示す。また、波長260nmでの1mm厚の外部透過率をT260として表1に示す。
(内部透過率)
内部透過率は、厚さ1mmと10mmのサンプルについて外部透過率を測定し、既述した式(a)、式(b)によって厚さ10mmでの内部透過率τを求めた。波長350~400nmの光に対する内部透過率τ350-400、波長300~350nmの光に対する内部透過率τ300-350、波長260~300nmの光に対する内部透過率τ260-300、をそれぞれ求め、表1には各波長範囲における最小値を示した。
(T-Fe
全酸化鉄含有量(T-Fe)はICP質量分析法によって以下の手順で測定した。粉砕したガラスにフッ化水素酸と硫酸の混酸を添加し加熱して分解した。分解後、塩酸を添加して一定量にし、ICP質量分析法でFeの濃度を測定した。濃度は標準液を用いて作製された検量線により計算される。この測定濃度とガラスの分解量より、ガラス中のT-Feを算出した。ICP質量分析計は、アジレント・テクノロジー社製Agilent8800を用いた。
(Fe3+強度)
Fe3+強度は、電子スピン共鳴法(ESR)によって以下の手順で測定した。粉砕したガラス0.3g秤量し、内標準としてICP用硝酸銅標準溶液を、Cu2+が30μg加わるように添加した。試料を約50℃で2時間ほど乾燥後、ESR用測定管に試料を充てんし、電子スピン共鳴スペクトルを測定した。装置は日本電子株式会社製ESR SPECTROMETERを使用した。ESRの測定条件を表2に示す。
表2に示す条件で測定したESRにおいて、下記式のように、Fe3+信号強度及びCu2+信号強度を定義し、測定時のアンプ倍率や測定強度のばらつきを除いたものをFe3+強度とした。
Fe3+信号強度=(磁場157mT前後に出現するFe3+ピークの信号強度の極大値)-(磁場157mT前後に出現するFe3+ピークの信号強度の極小値)
Cu2+信号強度=(磁場310mT前後に出現するCu2+ピークの信号強度の極大値)-(磁場310mT前後に出現するCu2+ピークの信号強度の極小値)
Fe3+強度=(Fe3+信号強度/Fe3+信号強度測定時のアンプ倍率)/(Cu2+信号強度/Cu2+信号強度測定時のアンプ倍率)
Figure 0007268606000001
Figure 0007268606000002
表1に示すように、例1-1により、鉄含有量を低減させることにより紫外域の光透過率が向上できることがわかる。また、例1-2~例1-6により、ガラス製造時において、還元剤を添加すること、および/又は溶融時の雰囲気を非酸化性雰囲気とすることで、微量ながら含まれる鉄成分の価数を制御し、さらに紫外域の光透過率を向上できることがわかった。また、高屈折率ガラスは紫外線透過率が低いことが一般的だが、例1-1~1-5の通り、屈折率ndが1.7以上の高屈折率でありながら、高い紫外線透過率を示すガラスを実現できた。一方で、例1-7の通り、鉄含有量を低減せずに、さらにガラス中の鉄成分の価数の制御も行わない場合は透過率が大きく低下することが分かる。特に、短波長になるほど透過率が著しく低下し、紫外線の光透過率が高いガラスを得ることができないことがわかる。
(例2-1)
SiOが2.66モル%、Bが35.27モル%、Laが47.81モル%、Yが14.25モル%の組成のガラスカレットを白金製坩堝に投入し、大気中1300℃で3時間加熱、溶解した。
この溶融ガラスを予熱した型に流し出して冷やし、板状に成形後、ガラス転移温度近傍の温度で4時間保持した後、-60℃/hの冷却速度で室温まで徐冷してガラスを得た。このとき、ガラスカレットへのSnOの添加量を0~0.5質量%の間で調製したものを用意し、得られたガラスについて、SnOの添加量と得られたガラスの波長270nmでの10mm厚の外部透過率との関係を調べ、得られたグラフを図1に示す。
(例2-2)
SiOが2.66モル%、Bが35.27モル%、Laが47.81モル%、Yが14.25モル%の組成のガラスカレットを白金製坩堝に投入し、窒素ガスで満たした溶解炉で1300℃にて3時間加熱、溶解した。
この溶融ガラスを予熱した型に流し出して冷やし、板状に成形後、ガラス転移温度近傍の温度で4時間保持した後、-60℃/hの冷却速度で室温まで徐冷してガラスを得た。このとき、ガラスカレットへのSnOの添加量を0~0.4質量%の間で調製したものを用意し、得られたガラスについて、SnOの添加量と得られたガラスの波長270nmでの10mm厚の外部透過率との関係を調べ、得られたグラフを図2に示す。
(外部透過率)
厚さ10mm、両面を研磨したサンプルを、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、型式:U-4100)を用いて測定した。測定は、波長270nmの光に対する外部透過率を求め、図1、図2にプロットした結果を示す。
図1及び図2に示すように、例2-1、2-2において、ガラスの溶融雰囲気および還元剤の添加の量によって、紫外域の透過率が有意に変化することがわかる。図1によれば、大気雰囲気での溶融においては、還元剤の添加が有用であり、その添加量を増加するほど透過率が向上するが、SnOの添加量が0.35質量%程度を超えると飽和する傾向となることがわかる。また、図2によれば、非酸化性雰囲気での溶融においては、SnOを微量加えることで透過率が大きく向上するが、最も透過率が向上するSnO量の最適量を超えるとSnOの添加量が増えるほどに透過率が下がっていくことが分かる。本例2-1、2-2ではSnOを添加したが、SnOおよびSnOとSnOの混合とした場合も同様の結果が得られる。
すなわち、溶融雰囲気と還元剤の添加量には、それぞれ適した条件があり、特に、非酸化性雰囲気において、還元剤をわずかに添加することが好ましいことがわかる。また、酸化性雰囲気であっても、還元剤を適した量まで添加することで紫外域の透過率を大きく向上できることがわかる。
以上より、本実施例の紫外線透過ガラスは紫外線透過率が良好であり、本実施例の紫外線透過ガラスの製造方法は、このような紫外線透過ガラスを安定して製造できるものであることがわかった。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2018年1月22日付けで出願された日本特許出願(特願2018-8389)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。

Claims (8)

  1. ガラス原料またはガラスカレットを溶融することでガラス溶融液とし、前記ガラス溶融液を冷却して固化させる、紫外線透過ガラスの製造方法であって、
    前記紫外線透過ガラスは多成分系酸化物からなり、酸化物基準のモル%表示でY の含有量が5モル%以上であり、
    波長300nm~350nmの光に対する10mm厚の内部透過率τ300-350(%)が、次の式(2)
    τ300-35086・・・(2)
    を満たし、
    前記紫外線透過ガラスは、電子スピン共鳴法(ESR)で測定されるFe3+強度が0.0059以下であり、
    前記溶融にあたって、溶融雰囲気を非酸化性雰囲気とし、前記ガラス原料または前記ガラスカレットに還元剤を含有させ、
    前記還元剤がSnOおよびSnOから選ばれる少なくとも1つを含む酸化スズであって、前記還元剤が前記紫外線透過ガラス中に0質量%超、0.3質量%以下含まれる、ことを特徴とする紫外線透過ガラスの製造方法。
  2. 長260nm~300nmの光に対する10mm厚の内部透過率τ260-300(%)が、次の式(3)
    τ260-30065・・・(3)
    を満たす、請求項1に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  3. 前記紫外線透過ガラスは、Feに換算したガラス中の酸化鉄含有量T-Feが1.5質量ppm以下である請求項1又は2に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  4. 前記紫外線透過ガラスの屈折率ndが、1.7以上である請求項1~のいずれか1項に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  5. 前記紫外線透過ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Bi、TiO、WOおよびGdの含有量が3モル%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  6. 前記紫外線透過ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Nbの含有量が3モル%以下である、請求項に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  7. 前記紫外線透過ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Taの含有量が3モル%以下である、請求項またはに記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
  8. 前記還元剤がSnOおよびSnOから選ばれる少なくとも1つを含む酸化スズであって、前記還元剤が前記紫外線透過ガラス中に0質量%超、0.2質量%以下含まれる、請求項1~のいずれか1項に記載の紫外線透過ガラスの製造方法。
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