JP7267936B2 - フェライト合金 - Google Patents

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Description

本開示は、請求項1のプリアンブルによるフェライト合金に関する。本開示は、フェライト合金の使用及びそれから製造される物体又はコーティングにさらに関する。
15から25wt%のレベルのクロム(Cr)及び3から6wt%のレベルのアルミニウム(Al)を含むFeCrAl合金等のフェライト合金は、900から1300℃の温度に曝露されたときに、保護α-アルミナ(Al)、酸化アルミニウム、スケールを形成する能力で知られている。アルミナスケールを形成及び維持するためのAl含有量の下限は、曝露条件によって異なる。しかしながら、高温でAlレベルが低すぎると、Alの選択的な酸化が達成されず、安定的ではなく保護性も低い、クロム及び鉄に基づくスケールが形成される。
FeCrAl合金は、約900℃を下回る温度に曝露された場合、通常、保護α-アルミナ層を形成しないことが一般的に認められている。FeCrAl合金の組成を最適化して、約900℃を下回る温度で保護α-アルミナを形成することが、試みられてきた。しかしながら、一般に、これらの試みはあまり成功していないが、その理由は、酸素及びアルミニウムの酸化物-金属界面への拡散が低温では比較的遅く、それによりアルミナスケールの形成速度が遅くなる、つまり、深刻な腐食攻撃及びあまり安定的でない酸化物が形成されるリスクがあるからである。
低温、すなわち900℃を下回る温度で生じる別の問題は、FeCrAl合金システムでのCrの低温溶解度ギャップにより生じる長期的な脆化減少である。550℃でおよそ12wt%を超えるCrレベルで、溶解度ギャップが存在する。最近、この現象を回避するために、約10から12wt%Crのより低いCrレベルの合金が開発された。このグループの合金は、制御され且つ低圧力のOで溶融鉛中で非常にうまく機能することがわかっている。
EP0475420は、約1.5から3wt%のCr、Al、Si、及びREM(Y、Ce、La、Pr、Nd、残部はFe及び不純物)から本質的になる急冷凝固フェライト合金箔に関する。この箔は、約0.001から0.5wt%の、Ti、Nb、Zr及びVからなる群より選択される少なくとも一つの元素をさらに含有し得る。この箔は、最大約10μmの粒子サイズを有する。EP075420は、合金溶融物の流動特性を改善するためのSi添加について論じているが、その成功は延性の低下により限定されていた。
EP0091526は、熱サイクルに対して酸化性があり熱間加工可能な合金、より具体的には、希土類が添加された鉄-クロム-アルミニウム合金に関する。酸化では、合金は、触媒コンバーターの表面に望ましいウィスカ構造の酸化物を生成する。しかしながら、得られた合金は、高温耐性を提供しなかった。
そのため、高温条件下の腐食性環境で使用できるように、フェライト合金の耐食性をさらに改善する必要がある。本開示の態様は、上記の問題を解決するか、又は少なくとも低減することである。
したがって、本開示は、良好な耐酸化性と優れた延性の組み合わせを提供する、重量%(wt%)で以下の組成:
Figure 0007267936000001
フェライト合金に関する。
したがって、本開示による合金中のCr及びSi及びAlの含有量の間には関係があり、この関係が満たされると、優れた耐酸化性及び延性並びに高温腐食耐性の増加と組み合わせて低減した脆性を有する合金が提供される。
本開示はまた、本開示によるフェライト合金を含む物体及び/又はコーティングにも関する。加えて、本開示はまた、物体及び/又はコーティングを製造するための上記又は下記のフェライト合金の使用にも関する。
Fe-10%Cr-5%Al対Siレベルの相(図1a)及びFe-20%Cr-5%Al対Siレベルの相(図1b)を開示する。この図は、Database TCFE7及びThermocalcソフトウェアを使用して作製した。 大量のカリウムを含有するバイオマス(木質ペレット)の灰に、850℃で1時間曝露するサイクル50回後の、本開示による二つの合金の研磨部を、三つの参照合金との比較で開示する。
既に上に記載した通り、本開示は、重量%(wt%)で:
Figure 0007267936000002
フェライト合金を提供する。
上記又は下記の合金、すなわち合金化元素を含有し且つ本明細書で言及される範囲内である合金が、4wt%ほどの低いクロムレベルでもアルミニウムが豊富な酸化物を含有する保護表面層を予期せず形成することが驚くべきことに発見された。これは、本明細書で言及される温度範囲で長時間曝露した後に、望ましくない脆性σ相が、減少されるか、さらには回避されるため、合金の加工性と長期安定性の両方にとって非常に重要である。したがって、SiとAlとCrとの間の相互作用は、アルミニウムが豊富な酸化物を含有する安定且つ連続的な保護表面層の形成を強化し、上の等式を使用することにより、Siを添加し、異なる物体を生成及び形成することをどちらも可能にするフェライト合金を得ることが可能になる。Si及びAl及びCrの量が平衡している場合、以下の条件:
Figure 0007267936000003
が満たされる(元素の全ての数字は重量分率で表される)ことを、発明者は驚くべきことに発見し、得られた合金は、本開示のCr範囲内の優れた酸化耐性及び加工性及び成形性の組み合わせを有することになる。一実施態様によれば、
Figure 0007267936000004
、例えば
Figure 0007267936000005
である。
本開示のフェライト合金は、約900℃を下回る温度で特に有用であるが、これは、アルミニウムが豊富な酸化物を含有する保護表面層が前記合金でできた物体及び/又はコーティング上に形成されるためであり、このことは、物体及び/又はコーティングの腐食、酸化及び脆化を防ぐことになる。さらに、本フェライト合金は、アルミニウムが豊富な酸化物を含有する保護表面層が、フェライト合金から製造される物体及び/又はコーティングの表面上に形成されるため、400℃の低温で腐食、酸化及び脆化に対する保護を提供し得る。さらに、本開示による合金はまた、約1100℃までの温度で良好に作用し、400から600℃の温度範囲で長期的な脆化の傾向の減少を示すであろう。
本合金は、コーティングの形成に使用され得る。さらに、物体は、本合金も含み得る。本開示によれば、用語「コーティング」は、本開示によるフェライト合金が、腐食環境に曝露される、基材との接触層の形態で存在する実施態様を指すことを意図し、それを達成するための手段と方法とを問わず、また層と基材との間の相対的な厚さ関係を問わない。そのため、この例は、限定されないが、PVDコーティング、クラッド又はコンパウンド若しくは複合材料である。合金の目的は、腐食と酸化の両方から材料を保護することである。適切な物体の例は、限定されないが、コンパウンドチューブ、チューブ、ボイラー、ガスタービン部品及び蒸気タービン部品である。他の例には、過熱器、発電所の水冷壁、容器又は熱交換器の部品(例えば、炭化水素又はCO/COを含有するガスの改質又はその他の処理のためのもの)、鋼及びアルミニウムの工業用熱処理、粉末冶金法、ガス及び電熱素子に関連して使用される部品が含まれる。
さらに、本開示による合金は、腐食条件を有する環境において使用されるのに適している。そのような環境の例には、限定されないが、塩、液体鉛、及び他の金属への曝露、灰又は高炭素含有量堆積物への曝露、燃焼雰囲気、低pO及び/若しくは高Nを有する雰囲気並びに/又は高炭素活性環境が含まれる。
さらに、本フェライト合金は、通常存在する凝固速度(従来の冶金から急冷凝固の範囲)を使用して製造され得る。本合金はまた、ワイヤ、ストリップ、バー及びプレート等の鍛造及び押出の両方がなされた全種類の物体の製造にも適しているであろう。熱間及び冷間塑性変形の量並びに粒子構造及び粒子サイズは、当業者が知っているように、物体の形態と製造ルートとの間で変化するであろう。
上記及び下記に記載の合金の必須合金化元素の機能及び効果を以下の段落に示す。前記合金化元素のさらなる機能及び効果が存在し得るため、各合金化元素の機能及び効果のリストは完全であると見なされるべきではない。
炭素(C)
炭素は、製造工程から生じた不可避的不純物として存在し得る。炭素は、析出硬化によって強度を高めるために、上記又は下記のフェライト合金内に含まれ得る。合金の強度に顕著な影響を与えるために、炭素は、少なくとも0.01wt%の量で存在するべきである。含有量が高すぎると、炭素は、材料の形成に対する障害となり、耐食性に対するマイナスの効果にもなり得る。したがって、炭素の最大量は0.1wt%である。例えば、炭素の含有量は、0.02から0.09wt%、例えば0.02から0.08wt%、たとえば0.02から0.07wt%、例えば0.02から0.06wt%、例えば0.02から0.05wt%、例えば0.01から0.04wt%である。
窒素(N)
窒素は、製造工程から生じた不可避的不純物として存在し得る。窒素は、析出硬化によって強度を高めるために、特に粉末冶金工程ルートが適用される場合、上記又は下記のフェライト合金内に含まれ得る。含有量が高すぎると、窒素は、合金の形成に対する障害となり、耐食性に対するネガティブな効果も有し得る。したがって、窒素の最大量は0.1wt%である。窒素の適切な範囲は、例えば、0.001から0.08wt%、例えば0.001から0.05wt%、例えば0.001から0.04wt%、例えば0.001から0.03wt%、例えば0.001から0.02wt%である。
酸素(O)
酸素は、製造プロセスにより生じる不純物として、上記又は下記の合金中に存在し得る。その場合、酸素の量は、最大0.02wt%、例えば最大0.005wt%であり得る。粉末冶金プロセス経路を通じて合金が製造されるときのように、酸素が意図的に添加されて、分散強化により強度が提供される場合、上記又は下記の合金は、最大0.2wt%の酸素を含む。
クロム(Cr)
クロムは、主にマトリックス固溶体元素として、合金に存在する。クロムは、いわゆる「third element effect」により、すなわち、一時的な酸化段階において酸化クロムを形成することによって、合金上に酸化アルミニウム層を形成することを促進する。この目的を満たすために、クロムは、少なくとも4wt%の量で、上記又は下記の合金に存在するのが望ましい。本発明の合金では、Crはまた、感受性を強化して、脆性σ相及びCrSiを形成する。この効果は、およそ12wt%で現れ、15wt%を超えるレベルで強化され、したがって、Crの限界は15wt%である。酸化の観点からも、15wt%より高いレベルでは、保護酸化物スケールへのCrの望ましくない寄与が生じる。一実施態様によれば、Crの含有量は、5から13wt%、例えば5から12wt%、例えば6から12wt%、例えば7から11wt%、例えば8から10wt%である。
アルミニウム(Al)
アルミニウムは、上記又は下記の合金で重要な元素である。アルミニウムは、高温で酸素に曝露された場合、選択的酸化を通して高密度で薄い酸化物、Alを形成し、このことにより、さらなる酸化から潜在的な合金表面が保護されることになる。アルミニウムの量は、アルミニウムが豊富な酸化物を含有する保護表面層が形成されることを確実にするように、且つ、保護表面層が損傷した場合の修復のために、アルミニウムが十分存在することを確実にするように、少なくとも2wt%であるべきである。しかしながら、アルミニウムは、成形性にマイナスの効果を有し、多量のアルミニウムは、合金の機械加工中にその亀裂形成をもたらし得る。そのため、アルミニウムの量は6wt%を超えてはならない。例えば、アルミニウムは、3から5wt%、例えば2.5から4.5wt%、例えば3から4wt%であり得る。
ケイ素(Si)
市販のFeCrAl合金では、ケイ素は、最大0.4wt%のレベルで存在することが多い。上記又は下記のフェライト合金では、Siは重要な役割を果たすが、これは、Siが酸化及び腐食耐性の改善に大きな影響を有するためである。Siの上限は、高温及び低温条件での加工性の損失、及び長期的な曝露中の脆性CrSi及びσ相の形成に対する感受性の増加により設定される。したがって、Siの添加は、Al及びCrの含有量に関連して実施されなければならない。したがって、Siの量は、0.5から3wt%、例えば1から3wt%、例えば1から2.5wt%、例えば1.5から2.5wt%である。
マンガン(Mn)
マンガンは、最大0.4wt%、例えば0から0.3wt%で上記又は下記の合金内で不純物として存在し得る。
イットリウム(Y)
溶融冶金では、保護表面層の接着性を改善するために、イットリウムは最大0.3wt%の量で添加され得る。さらに、粉末冶金では、イットリウムが添加されて酸素及び/又は窒素と一緒に分散体が作成される場合、酸化物及び/又は窒化物による所望の分散硬化効果を達成するために、イットリウム含有量は少なくとも0.04wt%の量で存在する。酸素含有Y化合物の形態の分散硬化合金中のイットリウムの最大量は、最大1.0wt%であり得る。
スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、及びランタン(La)、イッテルビウム(Yb)
スカンジウム、セリウム、ランタン、及びイッテルビウムは、交換可能な元素であり、酸化特性、酸化アルミニウム(Al)層の自己修復、又は合金とAl層との間の接着を改善するために、最大0.2wt%の総量で個別に又は組み合わせて添加され得る。
モリブデン(Mo)及びタングステン(W)
モリブデンとタングステンはどちらも、上記又は下記の合金の熱間強度にプラスの効果を有する。Moはまた、湿食特性にプラスの効果も有し得る。それらは、最大4.0wt%、例えば0から2.0wt%の量で個別に又は組み合わせて添加され得る。
反応性元素(RE)
定義によると、反応性元素は、炭素、窒素、及び酸素との反応性が高い。チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びトリウム(Th)は、炭素に対して高い親和性を有するという意味で反応性元素であり、それゆえに強力な炭化物形成元素である。これらの元素は、合金の酸化特性を改善するために添加される。元素の総量は、最大3.0wt%、例えば1.0wt%超、例えば1.5から2.5wt%である。
それぞれの反応性元素の最大量は、有害な金属間化合物相を形成する元素の傾向に主に左右される。
ジルコニウム(Zr)
ジルコニウムは、反応性元素と称されることがよくあるが、これは、酸素、窒素及び炭素に対して非常に反応性であるためである。本合金において、Zrは、アルミニウムが豊富な酸化物を含有する保護表面層に存在し、それにより耐酸化性を改善し、且つ炭化物及び窒化物も形成するため、二重の役割を有することが発見された。よって、アルミニウムが豊富な酸化物を含有する保護表面層の最善の特性を達成するために、合金にZrを含むことが有利である。
しかしながら、0.40wt%を上回るZrレベルは、Zrが豊富な金属間介在物の形成による酸化に影響を与え、0.05wt%を下回るレベルは、C及びNの含有量に関係なく、2つの目的を満たすには小さすぎる。よって、Zrが存在する場合、その範囲は、0.05から0.40wt%、例えば0.10から0.35である。
さらに、ZrとNとCの間の関係は、保護表面層、すなわちアルミナスケールのより良好な耐酸化性を達成するために、重要であり得ることも発見されている。よって、発明者は、Zrが合金に添加され、合金がN及びCも含む場合、且つ以下の条件:
Figure 0007267936000006
、例えば
Figure 0007267936000007
、例えば
Figure 0007267936000008
が満たされる場合、得られる合金は、良好な耐酸化性を達成することを、驚くべきことに発見した。
上記又は下記のフェライト合金の残部は、Fe及び不可避的不純物である。不可避的不純物の例としては、意図的に添加されたわけではないが、例えば、フェライト合金の製造に使用される材料において通常不純物として生じてしまうために完全に防止することができない元素及び化合物がある。
図1a及び図1bは、Si含有フェライト合金中の多量のCrが、SiCr介在物を形成しやすく、Crが20%の場合、フォーカス温度領域で長時間曝露された後、望ましくない脆性σ相を促進することを示している。これらの図は、10%及び20%の二つのCrレベルのみを示しているが、Crが高いほど脆化相が増加する傾向が明確に実証されている。Crが10%の場合、σ相は存在せず、両方のCrレベルでSi含有量が多いとCrSiの相の量は増加することに留意されたい。したがって、これらの図は、およそ20%のCrレベルを使用する場合には問題があることを示す。
用語「≦」又は「以下」が、以下の文脈「元素≦数」で使用されるとき、当業者であれば、別の数字が特に述べられていない限り、範囲の下限が0wt%であることを知っている。さらに、不定冠詞「a」は、複数を除外しない。
本開示は、以下の非限定的な実施例によってさらに示される。
試験溶融物を真空溶解炉で生成した。試験溶融物の組成を表1に示す。
得られた試料を熱間圧延し、断面が2×10mmのフラットロッドに機械加工した。次に、長さ20mmのクーポンに切断し、SiC紙で800メッシュに粉砕して、空気及び燃焼条件に曝露した。いくつかのロッドを、Zwick/Roell Z100引張試験装置で室温で引張試験するために、長さ200mm×3×12mmのロッドに切断した。
曝露及び引張試験の結果を表1に示す。
標準的な引張試験機で、降伏応力及び破断応力、並びに破断伸びについて試料を試験し、>3%の破断伸びを得た結果を表の「加工性」の欄において「x」で表す。したがって、「x」は、容易に熱間圧延されるとともに、室温で延性挙動を示す合金を表す。「酸化」の欄では、「x」は、合金が、保護的なアルミナが豊富な酸化物スケールを空気中950℃で、またバイオマス灰堆積物により850℃で、形成することを表す。
表1-溶融物の組成及び加工性と酸化の試験結果
(x)は、3から6%の伸びの値を表す。
Figure 0007267936000009
よって、上の表からわかるように、本開示の合金は、良好な加工性及び良好な酸化性能を示す。
図2aからeは、大量のカリウムを含有するバイオマス(木質ペレット)の灰に、850℃で1時間曝露するサイクル50回後の、本開示の試料の研磨部(図2a4783及び図2b4779)を、三つの比較合金との比較で開示する。顕微鏡写真を1000倍の倍率でJEOL FEG SEMで撮影したが、この写真は、本開示の合金と参照材料との間の挙動において明らかな利点を示す。このように、本開示の合金では、3~4μmの薄さで保護的なアルミナスケール(酸化アルミニウム層)が形成され、それに対し、より薄くあまり保護的でないクロミア(酸化クロム)が豊富なスケールがステンレス鋼(2c-11Ni、21Cr、N、Ce、Fe bal.)及びNi系合金(2e-Inconel 625: 58Ni、21Cr、0.4Al、0.5Si、Mo、Nb、Fe)で形成され、比較的多孔性でそれほど保護的ではないアルミナスケールが比較例のFeCrAl合金(合金4776)(図2d-20Cr、5Al、0.04 Si、Fe bal)で形成される。
図2a~2eからわかるように、本開示による範囲に従ったSi、Al及びCrの添加は、約2wt%の低さのAlレベル及び約5wt%の低さのクロムレベルでアルミナスケールの形成を促進する。

Claims (15)

  1. 質量%[mass%]で以下の元素
    C:0.01から0.1;
    N:0.001から0.1;
    O:≦0.2;
    Cr:4から15;
    Al:2から6;
    Si:0.5から3;
    Mn:≦0.4;
    Mo+W:個別に又は組み合わせて、4.0まで;
    Y:≦1.0;
    Sc、Ce、La及び/又はYb:個別に又は組み合わせて、0.2まで;
    Zr:0.05から0.4
    残部のFe及び通常発生する不純物
    からなり、
    以下の等式も満たす(元素は質量分率で表す):
    Figure 0007267936000010
    フェライト合金。
  2. Figure 0007267936000011
    (元素は質量分率で表す)である、請求項1に記載のフェライト合金。
  3. Crが5から13質量%である、請求項1又は2に記載のフェライト合金。
  4. Alが2.5から4.5質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のフェライト合金。
  5. Alが3から5質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のフェライト合金。
  6. Siが1.0から3質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載のフェライト合金。
  7. Siが1.5から2.5質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載のフェライト合金。
  8. Zrが0.10から0.35質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載のフェライト合金。
  9. C、N及びZrの量が以下の等式:
    Figure 0007267936000012
    を満たす、請求項1から8のいずれか一項に記載のフェライト合金。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のフェライト合金を含むコーティング。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載のフェライト合金を含む物体。
  12. コーティング及び/又はクラッド及び/又は物体を製造するための請求項1から9のいずれか一項に記載のフェライト合金の使用。
  13. 腐食環境で使用される物体又はコーティングを製造するための請求項1から9のいずれか一項に記載のフェライト合金の使用。
  14. 炉内で又は加熱素子として使用される物体又はコーティングを製造するための請求項1から9のいずれか一項に記載のフェライト合金の使用。
  15. フェライト合金が、塩、液体鉛、及び他の金属に曝露されるとともに、灰又は高炭素含有量堆積物、並びに/又は燃焼雰囲気に曝露される環境における、請求項1から9のいずれか一項に記載のフェライト合金の使用。
JP2019564792A 2017-05-24 2017-05-24 フェライト合金 Active JP7267936B2 (ja)

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