JP3265603B2 - ニッケル基耐熱合金 - Google Patents

ニッケル基耐熱合金

Info

Publication number
JP3265603B2
JP3265603B2 JP31451991A JP31451991A JP3265603B2 JP 3265603 B2 JP3265603 B2 JP 3265603B2 JP 31451991 A JP31451991 A JP 31451991A JP 31451991 A JP31451991 A JP 31451991A JP 3265603 B2 JP3265603 B2 JP 3265603B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
resistance
content
present
temperature strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP31451991A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0533092A (ja
Inventor
義淳 椹木
正晃 五十嵐
潤之 仙波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP31451991A priority Critical patent/JP3265603B2/ja
Publication of JPH0533092A publication Critical patent/JPH0533092A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3265603B2 publication Critical patent/JP3265603B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高温強度が高く、耐
食性に優れ、特にナフサ、プロパン、エタン、ガスオイ
ル等の原料を水蒸気とともに 800℃以上の高温で分解
し、エチレン等の石油化学基礎製品を製造する目的に使
用される管、すなわち、エチレンプラント用分解炉管の
素材として好適なNi基耐熱合金に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレンプラント用分解炉管の使用条件
は、近年の合成樹脂の需要増加に伴い、エチレン収率向
上の観点から高温化の傾向が強くなってきている。この
ような分解炉管の内面は浸炭雰囲気に曝されるため、高
温強度と耐浸炭性に優れた耐熱材料が要求される。また
一方では、操業中に分解炉管内表面で炭素が析出 (この
現象はコーキングと呼ばれる) し、その析出量の増加に
ともない△Pの上昇や加熱効率低下などの操業上の弊害
が生じる。従って、実操業においては、定期的に空気や
水蒸気で析出した炭素を除去する、いわゆるデコーキン
グ作業が行われているが、その間の操業停止や作業の工
数などが大きな問題になる。このようなコーキングとそ
れに伴う諸問題は、分解炉管のサイズが収率向上に有利
な小径管になる程、深刻になる。
【0003】コーキング防止を目的とした従来技術とし
て、例えば特開平2−8336号公報には、合金中に28%以
上のCrを含有させて合金表面に強固で安定な Cr203皮膜
を形成させ、炭素析出を促進する触媒元素であるFeおよ
びNiの表面への浮上を防止し、コーキングを抑制するこ
とが提案されている。
【0004】一方、耐浸炭性向上のためには、例えば特
開昭57−23050 号公報に開示されているように、合金中
のSi含有量を高めるのが有効であることが知られてい
る。
【0005】しかしながら、上述の従来技術には、なお
次のような問題点がある。
【0006】 コーキング防止の点から特開平2−83
36号公報のような高Cr合金を高温強度部材として適用す
る場合には、合金中のNi量を高めて金属組織をオーステ
ナイト化する必要があるが、高温強度は従来合金に比べ
て低い。高強度化のためにMoやW等の高価な元素を添加
しても、高温強度には寄与しない金属間化合物が析出し
て脆化現象が生じるだけでなくクリープ破断強度を向上
させる効果も小さい。従って、このような高Cr合金は単
独では高温強度部材として使用することは難しい。そこ
で特開平2−8336号公報の発明では、他の高強度材料と
組み合わせて二重管とし使用することとしているが、二
重管は製造コストが高くなり、経済性や信頼性の点で問
題が多い。
【0007】 優れた耐コーキング性と優れた耐浸炭
性を兼ね備えるためには合金中のCr量を高めるとともに
Si量も高める必要があるが、SiはCrと同様に強力なフェ
ライト形成元素であり、また靱性低下をもたらす金属間
化合物の析出を促進する元素でもある。すなわち、この
ような組成の合金が得られたとしてもやはり高温強度部
材として使用することは難しく、他の材料と組合せて二
重管として適用せざるを得ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温強度と
耐食性に優れ、特にエチレンプラント用分解炉管のよう
に浸炭、酸化が繰り返される熱分解環境下においても優
れた耐浸炭性と耐コーキング性を有し、かつ、高温強度
部材として使用するに充分なクリープ破断強度を有する
オーステナイト耐熱合金を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
Ni基耐熱合金にある。なお、合金成分含有量に関する%
は全て重量%を意味する。
【0010】(1) C: 0.10%以下、Si:1.0%を超えて
5.0%まで、Mn:0.2%以下、Cr: 5%を超えて18%ま
で、Al:4.5〜12%を含有し、さらに、B:0.001〜0.03
%、Zr: 0.01〜0.3 %、Hf: 0.05〜1.0 %、Ti: 0.05〜
1.0 %およびMg:0.001〜0.02%の1種以上を含み、残部
はNiまたはNiと5%以下のFeおよび不可避的不純物から
成る高温強度と耐食性に優れたNi基耐熱合金。
【0011】(2) 上記(1) の成分に加えて更に、Mo:0.5
〜5%とW:1.0〜10%の1種または2種を含有する高温
強度と耐食性に優れたNi基耐熱合金。
【0012】(3) 上記(1) の成分に加えて更に、V:0.3
〜3%、Nb:0.5〜5%およびTa:1.0〜10%のうちの1種
以上を含有する高温強度と耐食性に優れたNi基耐熱合
金。
【0013】(4) 上記(1) の成分に加えて更に、Mo: 0.
5 〜5%とW: 1.0 〜10%の1種または2種、ならびに
V:0.3〜3%、Nb:0.5〜5%およびTa:1.0〜10%のうち
の1種以上を含有する高温強度と耐食性に優れたNi基耐
熱合金。
【0014】(5) 更に、Y:0.01〜0.25%、La:0.01〜
0.25%およびCe:0.01〜0.25%のうち1種以上を含有
し、しかもこれらの成分の合計が0.25%を超えない高温
強度と耐食性に優れた上記(1)〜(4) のいずれかのNi基
耐熱合金。
【0015】なお、特に高い強度を必要とする場合に
は、上記 (1)〜(4) の合金のC含有量を0.02%を超え、
0.10%以下の範囲に選ぶことが推奨される。
【0016】
【作用】上述したように、合金の耐浸炭性向上には、高
Si化によりメタル/スケール界面にSiO2皮膜を形成させ
ることが有効であることが知られている。一方、耐コー
キング性向上には高Cr化によって最外層酸化スケール表
面に Cr2O3の皮膜を形成させるのが有効であることも知
られている。
【0017】本発明者らも耐浸炭性および耐コーキング
性を改善するためには、強固で緻密な表面酸化皮膜の形
成が効果的であると考えて研究を進めた。その結果、合
金中のAl含有量を高めることにより、メタル表面に強固
で緻密なAl2O3皮膜を均一に生成させれば、従来の合金
に比較して耐浸炭性および耐コーキング性が著しく向上
することを見出した。また、このようにAl含有量を高め
たうえで、Siの適正量を含有させれば、 Al2O3皮膜と共
に緻密なSiO2皮膜が形成され、耐浸炭性と耐コーキング
性が飛躍的に向上することがわかった。更に、Crは、過
大な量にならない範囲で含有させれば、単層でコランダ
ム型の (Al、Cr)2O3皮膜を形成し、皮膜の効果を一層向
上させる作用を有することが確認された。このような高
Al合金ではNi量を高めることにより高温での使用中に
γ′相がマトリックス中に微細析出し、クリープ破断強
度も大幅に向上する。従って、Niをベースとし、Al含有
量を高め、且つSiとCrを適正な範囲で含有する合金は、
耐食性と高温強度を兼ね備えた耐熱合金となり、高温強
度部材として、前述のような用途に好適である。
【0018】以下、本発明の合金を構成する成分の作用
効果と、その適正含有量について説明する。
【0019】C:炭化物を形成して耐熱鋼として必要な
引張強さやクリープ破断強度を向上させるためには有効
な元素であるが、0.10%を超える含有量になると合金の
延性および靱性の低下が大きくなる。特に、延性と靱性
を重視する場合は、Cは0.02%以下に抑えるのが望まし
い。一方、クリープ破断強度を重視する場合には0.02%
を超え、0.10%以下のCを含有させて、比較的多量の炭
化物を微細に分散させるのがよい。
【0020】Si:脱酸元素として必要な元素であり、耐
酸化性や耐浸炭性改善にも寄与する元素である。特に本
発明合金のようにAl含有量の高く、Crを含有する合金で
は、Siの適量含有によって (Al、Cr)2O3の皮膜が強化さ
れ、耐酸化性および耐浸炭性が一層向上する。このよう
なSiの効果は、含有量が 1.0%を超えると顕著になる。
しかし、Siは過剰に存在すると金属間化合物が不均一に
析出し、靱性等の機械的性質を低下させるから、Siの含
有量は 5.0%までに抑えるのがよい。
【0021】Mn:Mnは脱酸元素として有効な元素である
が、耐コーキング性の劣化要因となるスピネル型酸化皮
膜の形成を促進する元素であるため、その含有量は 0.2
%以下に抑える必要がある。
【0022】Cr:Crは耐酸化性や耐コーキング性の改善
に有効な元素である。本発明合金のようにAl含有量の高
い合金でも、後述する Al2O3皮膜の効果を更に補強し
て、耐酸化性および耐コーキング性を更に高める効果が
あり、より高温での使用も可能になる。このような効果
は、Cr含有量が5%を超えるところから顕著になる。た
だし、前記のように、Crが過剰になると金属間化合物が
不均一に析出し、靱性等の機械的性質を低下させる。こ
のような弊害をさけるには、Crを18%以下にとどめる必
要がある。
【0023】Al:Alは耐浸炭性および耐コーキング性の
向上に極めて有効な元素であるが、その効果を発揮させ
るためには、コランダム型の Al2O3酸化皮膜を均一に生
成させる必要がある。本発明合金においては、Crとの複
合添加により (Al、Cr)2O3皮膜を形成し、耐酸化性およ
び耐コーキング性を著しく向上させる。そのためには、
少なくとも 4.5%のAlが必要である。但し、Alが12%を
超えると、室温および高温での延性、靱性が著しく劣化
して高温強度部材として使用できなくなる。従って、Al
の適正含有量は 4.5〜12.0%である。なお、この範囲で
Alを含有させることにより、γ′相が使用中に微細析出
しクリープ破断強度も大幅に改善される。
【0024】B、Zr、Hf、TiおよびMg:これらの元素は
主として合金の粒界強化に有効な元素であり、その効果
を発揮させるためには、Bは 0.001%以上、Zrは0.01%
以上、Hfは0.05%以上、Tiは0.05%以上、Mgは 0.001%
以上、それぞれ必要である。しかし、過剰に含有させる
とクリープ破断強度が再び低下するので、上限は、Bで
0.03%、Zrで 0.3%、Hfで 1.0%、Tiで 1.0%、Mgで0.
02%とする。これらの元素は1種だけ含有させてもよい
し、また2種以上複合添加してもよい。
【0025】本発明合金の一つは、上記の成分の外、残
部がNiからなるものである。Niは安定なオーステナイト
組織を得るため、および耐浸炭性確保の点から欠かすこ
とのできない元素であり、特にγ′相による析出強化の
効果を高めるためには多いほど望ましい。従って、本発
明ではNi基の合金を選んだのであるが、経済性を考慮し
て5%以下の範囲でNiの一部をFeで置換しても本発明合
金の性能は十分保たれる。
【0026】本発明合金は、前述の成分の外に、更に以
下に述べる成分を含有することができる。
【0027】MoおよびWの一方または双方:Mo、Wは主
として固溶強化元素として有効であり、基地のオーステ
ナイト相を強化することにより、クリープ破断強度を上
昇させる。この効果を発揮させるためには、Moで 0.5%
以上、Wで 1.0%以上が必要であるが、過剰に含有させ
ると靱性低下の要因となる金属間化合物が析出するだけ
でなく耐浸炭性や耐コーキング性も劣化するから、Moは
5%まで、Wは10%までに抑えるべきである。これらを
2種併用する場合にも、合計含有量をMo+ 1/2Wで5%
以下に抑えるべきである。
【0028】Nb、TaおよびVのうちの1種以上:これら
の元素は、オーステナイト相中に固溶するとともにγ′
相やCr炭化物中にも固溶してクリープ破断強度の向上に
寄与する。その効果を発揮させるためには、Nbは 0.5%
以上、Taは 1.0%以上、Vは 0.3%以上が必要である
が、過剰に含有させると靱性低下を招くので、上限はNb
で5%、Taで10%、Vで3%とする。なお2種以上を複
合添加する場合は、合計含有量を 5/3V+Nb+1/2Ta で
5%以下とする。
【0029】Y、LaおよびCe:これらの元素は、主とし
て熱サイクル条件下でのSiO2や (Al、Cr)2O3皮膜の密着
性を向上し、温度変動下での使用においても優れた耐浸
炭性及び耐コーキング性が維持される。その効果を発揮
させるためにはY、LaおよびCeとも、それぞれ0.01%以
上必要である。しかし、過剰に含有させると加工性が悪
化し、また、SiO2や (Al、Cr)2O3皮膜の密着性改善効果
も飽和するので、上限はY、LaおよびCeともそれぞれ0.
25%とする。これらの元素は1種だけ含有させてもよい
し、また2種以上複合添加してもよいが、この複合添加
を行う場合は、特に加工性を維持するために、これらの
元素の合計が0.25%を超えない範囲に抑えるべきであ
る。
【0030】上記のMoおよびWからなる群、Nb、Taおよ
びVからなる群ならびにY、LaおよびCeからなる群の三
つの群から1種以上の元素を選んで含有させてもよい。
【0031】本発明合金は、通常の溶解および精錬工程
で溶製したのち、鋳造し、鋳造のまま、あるいは更に鍛
造工程、圧延、押し出し等の加工工程を経て管などの製
品として製造される。なお、粉末冶金法で製品にしても
よい。熱処理は、組織の均一化を促進し本発明合金の性
能向上に寄与する。この場合、通常、1200〜1300℃の均
一化処理が施されるが、鋳造あるいは加工ままでの使用
も可能である。
【0032】
【実施例1】靱性を重視する低C(C≦0.02%) の合金
の試験を行った。表1−1および表1−2に供試材の化
学組成を示す。No.1〜No.35 の合金が本発明合金であ
り、A〜Fの合金は比較合金である。本発明合金および
比較合金A、B、およびFはいずれも17kg真空高周波溶
解したインゴットを1250℃で固溶化熱処理した。比較合
金C、Dは50kg真空高周波溶解後、鍛造および冷間圧延
により10mm厚の板材とした後1250℃で固溶化熱処理を施
した。比較合金Eは外径120mm、肉厚10mmの鋳造のまま
の遠心鋳造管である。
【0033】これらの供試材を用いて、耐浸炭性、耐コ
ーキング性およびクリープ破断試験による高温強度特性
の評価を行った。耐浸炭性の評価は固体浸炭試験法によ
りピレット状の BaCO3+木炭 (配合比 3:7)の浸炭剤を
用いて1150℃×100hの加熱処理を行い、試験前後の平均
C増加量で評価した。また、一部の供試材については、
熱サイクル環境下における耐浸炭性を評価するために、
1150℃×20h ×5回の加熱処理も行い、100h連続加熱処
理材との比較を実施した。
【0034】耐コーキング性の評価はガス浸炭試験法に
より、80%CH4+20%H2O 雰囲気中にて1050℃×30h の
試験を行い、試験片表面に付着したC量で評価した。ま
た、一部の供試材については、耐浸炭性の評価と同様
に、1050℃×6h×5回の試験を行い、30h連続試験と
の比較を実施した。高温強度特性評価は、1100℃、1.0k
gf/mm2 でのクリープ破断試験により行った。一部の供
試材については、1100℃での高温引張試験および1050℃
×3000h時効処理後の靱性試験を行った。これらの試験
結果を表2および表3にまとめて示す。
【0035】図1および図2は、耐浸炭性および耐コー
キング性に及ぼす合金のAl含有量の影響を、表2の結果
からグラフにしたものである。また、図3および図4は
連続加熱および熱サイクル加熱条件下での耐浸炭性に及
ぼす合金のY、LaおよびCe含有量の影響を表2および表
3の結果からグラフにしたものである。図中の記号は、
表2および表3の合金No. を示す。これらの図および表
2から、Alが 4.5〜12%の本発明合金では、Alが 4.5%
より少ない比較合金A、高Crの合金C、DおよびEより
耐浸炭性および耐コーキング性が大幅に改善されている
ことがわかる。
【0036】これは合金中のAlを 4.5%以上に高め、Si
とともにCrの適正量を含有させたことにより、メタル表
面に強固で緻密な単層のコランダム型の(Al、Cr)2O3
化皮膜が形成され、さらにこの(Al、Cr)2O3皮膜と共に
緻密なSiO2の皮膜が生成することに起因するものであ
る。
【0037】またAlが 4.5%以上でのこのように緻密で
強固な皮膜の形成は、合金中のMnを0.2%以下に抑制す
ることにより初めて達成されるものである。さらにY、
LaおよびCeの効果については、図3、図4および表3の
本発明合金 No. 32 、33で明らかなように、本発明の範
囲で単独あるいは2種以上添加することにより、特に熱
サイクル加熱条件下における耐浸炭性および耐コーキン
グ性が大幅に改善されることがわかる。これはY、Laお
よびCeがメタル/皮膜界面に偏析するSを硫化物として
メタル中に固定し、(Al、Cr)2O3およびSiO2皮膜の密着
性を良好にし耐剥離性を向上させたことによる。
【0038】一方、本発明合金の No.4と比較合金のF
とを対比すれば明らかなように、Alを 4.5%以上に高め
るとともにNiを増加させることにより、クリープ破断寿
命も大幅に改善されることがわかる。これは、高温での
使用中にγ′相がマトリックス中に微細析出することに
よる。
【0039】図5および図6は、Al含有量と1100℃での
引張強さおよびクリープ破断時間 (1.0 kgf/mm2)を同じ
く表2の結果からグラフにしたものである。これらの図
に示すように、本発明で定める範囲においては、Alの増
加にともない高温引張強さおよびクリープ破断寿命がさ
らに改善される。しかし、Alの含有量が12%を超えて過
剰になると比較合金Bのように高温強度改善効果が飽和
し、表2に見られるように時効後の靱性が著しく低下す
る。このような合金は高温強度部材として使用するには
問題がある。
【0040】ところで、本発明合金のような高Al−Ni基
合金の高温強度向上を図るためには表1−1および表2
のNo.1〜No.16 に示すように、適量のB、Zr、Hf、Tiお
よびMgの少なくとも1種の含有が必須であるが、No. 17
〜24のように、さらにMo、Wの1種以上あるいはNb、T
a、Vの1種以上を含有させること、およびこれらを複
合添加することにより、高温強度は一層向上する。な
お、これら強化元素含有による耐浸炭性や耐コーキング
性の劣化傾向は本発明の範囲では特に認められない。
【0041】ここでは、本発明合金の例としてインゴッ
ト材に関する試験結果を示した。しかし、鍛造、熱間圧
延、冷間圧延等の加工を施しても、耐浸炭性や耐コーキ
ング性には変わりはなく、むしろ組織の均一化により靱
性等の機械的性質は向上する。また、本発明合金は、粉
末として製造し、これを粉末冶金法で管材等に加工して
も優れた高温強度部材となる。
【0042】
【表1−1】
【0043】
【表1−2】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【実施例2】特に高温強度を重視し、C含有量を比較的
高めにした合金について試験を行った。表4に供試材の
化学組成を示す。No.1〜No.10 の合金が本発明合金であ
り、A、Bの合金は比較合金である。本発明合金および
比較合金の製造方法も実施例1と同じにした。但し、本
発明合金の固溶化熱処理温度は1270℃とした。
【0047】耐浸炭性および耐コーキング性の試験条件
も実施例1と同じである。高温引張試験およびクリープ
試験は実施例1と同じ1100℃、及びそれよりも50℃高い
1150℃で行った。これらの試験結果を表5に示す。
【0048】表5から明らかなように、耐浸炭性および
耐コーキング性に及ぼすAlの影響などは実施例1の低C
合金の場合と変わりがない。一方、機械的性質を比べて
みると1050℃で時効した後の衝撃値はやや低めである
が、高温強度に関しては、1150℃においても十分高い値
を示しており、より高温での使用も可能となる。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】本発明の合金は、耐浸炭性と耐コーキン
グ性に優れるだけでなく、高温強度も極めて高い。この
合金は、特にエチレンプラント用分解炉管として好適で
あり、二重管にしなくても単管として使用することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNi基合金および比較合金のAl含有量と
耐浸炭性との関係を示す図である。
【図2】本発明のNi基合金および比較合金のAl含有量と
耐コーキング性との関係を示す図である。
【図3】本発明のNi基合金および比較合金のY、La、Ce
含有量と連続加熱および熱サイクル加熱条件下での耐浸
炭性との関係を示す図である。
【図4】本発明のNi基合金および比較合金のY、La、Ce
含有量と連続加熱および熱サイクル加熱条件下での耐コ
ーキング性との関係を示す図である。
【図5】本発明のNi基合金および比較合金のAl含有量と
1100℃での引張強さとの関係を示す図である。
【図6】本発明のNi基合金および比較合金のAl含有量と
1100℃、1.0 kgf/mm2 のクリープ破断時間との関係を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−259037(JP,A) 特開 昭64−31931(JP,A) 特開 平1−152245(JP,A) 特開 平2−267240(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 19/05

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.10%以下、Si:1.0%を超
    えて 5.0%まで、Mn:0.2%以下、Cr: 5%を超えて18%
    まで、Al: 4.5 〜12%を含有し、さらに、B:0.001〜0.
    03%、Zr: 0.01〜0.3 %、Hf: 0.05〜1.0 %、Ti: 0.05
    〜1.0 %およびMg:0.001〜0.02%の1種以上を含み、残
    部はNiまたはNiと5%以下のFeおよび不可避的不純物か
    ら成る高温強度と耐食性に優れたNi基耐熱合金。
  2. 【請求項2】請求項1の成分に加えて更に、Mo: 0.5 〜
    5%とW: 1.0 〜10%の1種または2種を含有する高温
    強度と耐食性に優れたNi基耐熱合金。
  3. 【請求項3】請求項1の成分に加えて更に、V:0.3〜3
    %、Nb:0.5〜5%およびTa:1.0〜10%のうちの1種以上
    を含有する高温強度と耐食性に優れたNi基耐熱合金。
  4. 【請求項4】請求項1の成分に加えて更に、Mo: 0.5 〜
    5%とW: 1.0 〜10%の1種または2種、ならびにV:
    0.3〜3%、Nb:0.5〜5%およびTa:1.0〜10%のうちの
    1種以上を含有する高温強度と耐食性に優れたNi基耐熱
    合金。
  5. 【請求項5】更に、Y:0.01〜0.25%、La:0.01〜0.25
    %およびCe:0.01〜0.25%のうち1種以上を含有し、し
    かもこれらの成分の合計が0.25%を超えない請求項1か
    ら4までのいずれかの高温強度と耐食性に優れたNi基耐
    熱合金。
  6. 【請求項6】C含有量が0.02%を超え、0.10%以下であ
    る請求項1から5までのいずれかの高温強度と耐食性に
    優れたNi基耐熱合金。
JP31451991A 1991-03-27 1991-11-28 ニッケル基耐熱合金 Expired - Lifetime JP3265603B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31451991A JP3265603B2 (ja) 1991-03-27 1991-11-28 ニッケル基耐熱合金

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-63442 1991-03-27
JP6344291 1991-03-27
JP31451991A JP3265603B2 (ja) 1991-03-27 1991-11-28 ニッケル基耐熱合金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0533092A JPH0533092A (ja) 1993-02-09
JP3265603B2 true JP3265603B2 (ja) 2002-03-11

Family

ID=26404566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31451991A Expired - Lifetime JP3265603B2 (ja) 1991-03-27 1991-11-28 ニッケル基耐熱合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3265603B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100372482B1 (ko) 1999-06-30 2003-02-17 스미토모 긴조쿠 고교 가부시키가이샤 니켈 베이스 내열합금
WO2002040728A1 (fr) 2000-11-16 2002-05-23 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Alliage refractaire a base de nickel (ni) et joint soude integrant celui-ci
US10640849B1 (en) 2018-11-09 2020-05-05 General Electric Company Nickel-based superalloy and articles
DE102019213990A1 (de) * 2019-09-13 2021-03-18 Siemens Aktiengesellschaft Nickelbasislegierung für additive Fertigung, Verfahren und Produkt
JP7090784B1 (ja) * 2021-11-18 2022-06-24 日本碍子株式会社 熱処理システム、それが備える匣鉢及び熱処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0533092A (ja) 1993-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH02200756A (ja) 加工性に優れた高強度耐熱鋼
JP3265599B2 (ja) ニッケル基耐熱合金
EP0812926A1 (en) Nickel-base alloys used for ethylene pyrolysis applications
JP3596430B2 (ja) Ni基耐熱合金
CN113088830B (zh) 铁素体合金
JP6160787B2 (ja) 薄板及びその製造方法
JP3965869B2 (ja) Ni基耐熱合金
JP3265601B2 (ja) ニッケル基耐熱合金
JP3265603B2 (ja) ニッケル基耐熱合金
JP3271344B2 (ja) 加工性に優れるニッケル基耐熱合金
JP3265602B2 (ja) ニッケル基耐熱合金
JP3265610B2 (ja) 加工性に優れるニッケル基耐熱合金
JPH07216482A (ja) 排気バルブ用合金
JP2793462B2 (ja) 超耐食Ni基合金
JP3230269B2 (ja) 加工性に優れるニッケル基耐熱合金
JP3271345B2 (ja) 加工性に優れるニッケル基耐熱合金
JP2819906B2 (ja) 室温および高温強度に優れた工具用Ni基合金
JP3921943B2 (ja) Ni基耐熱合金
JP3644532B2 (ja) 熱間加工性、溶接性および耐浸炭性に優れたNi基耐熱合金
JP4439881B2 (ja) 連続鋳造ロール肉盛用溶接材料およびロール
JPH051344A (ja) 耐コーキング性に優れたエチレン分解炉管用耐熱鋼
JP6745050B2 (ja) Ni基合金およびそれを用いた耐熱板材
JPH0577727B2 (ja)
JP2018188686A (ja) 耐熱部材用合金原板、耐熱部材用合金板、およびエンジンの排気系部材用のガスケット
JPH07258780A (ja) 耐浸炭性に優れた耐熱合金

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080111

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090111

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100111

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term