JP2001059126A - スキッドボタン用耐熱合金 - Google Patents

スキッドボタン用耐熱合金

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JP2001059126A
JP2001059126A JP11233607A JP23360799A JP2001059126A JP 2001059126 A JP2001059126 A JP 2001059126A JP 11233607 A JP11233607 A JP 11233607A JP 23360799 A JP23360799 A JP 23360799A JP 2001059126 A JP2001059126 A JP 2001059126A
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JP11233607A
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English (en)
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Toshiro Anraku
敏朗 安楽
Yoshiatsu Sawaragi
義淳 椹木
Kazukiyo Kimura
和潔 来村
Kazuhisa Tanaka
和久 田中
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Kanto Special Steel Works Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Kanto Special Steel Works Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 1300℃以上の加熱下においても優れた高
温クリ−プ特性,耐酸化性を示す使用寿命が長い鋼片加
熱炉のスキッドボタン用耐熱合金を提供する。 【解決手段】 加熱炉スキッドボタン用耐熱合金を、
C:0.2%以下、 Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、 Cr:25〜
35%、 Mo:1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45
%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05%を含むか、又は更に
Nb,V,Ti及びTaの1種以上を合計で1%以下、あるい
はこれらに加えて更にCa,Y,Ce,Se,La,Nd及びPrの
1種以上をも合計で0.0001〜 0.2%含み、残部が実質的
にNiから成る構成とすることにより、優れた高温クリ−
プ特性,耐酸化性等を付与させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高温クリ−プ特性と
耐酸化性に優れた“加熱炉のスキッドボタン用耐熱合
金”に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその課題】近年、鉄鋼産業における技術
革新に伴い鋼片の熱間圧延分野においても設備の大型
化,高速化が進行したことや、省エネルギ−化によるコ
スト競争力の向上が強く望まれるようになったことか
ら、鋼片の加熱炉としてはこれらの点で有利とされてい
るウォ−キングビ−ム炉が普及している。
【0003】このウォ−キングビ−ム炉では、交互に配
置された固定式と移動式のスキッドレ−ルにより鋼片を
炉の入側から出側に向かって順次移動せしめる構造が採
用されており、これらスキッドレ−ルのそれぞれにはス
キッドボタンが取付けられ、このスキッドボタンを介し
て鋼片の支持がなされる。なお、ウォ−キングビ−ム炉
の使用時には、前記スキッドボタンは、その上部が高温
に加熱された鋼片と直接接触する一方で、下部はスキッ
ドパイプを通じての冷却がなされるという状況下に置か
れる。
【0004】このようなスキッドボタンの性能として最
も重要視されるのは、高温強度から決定される耐熱上限
温度である。なぜなら、スキッドボタンは下部が冷却さ
れているので、炉の雰囲気温度が一定であるとするなら
ば、“スキッドの高さ(即ち冷却端からの距離)”と
“スキッドボタンを構成する材料の熱伝導度”とによっ
てスキッドボタン上部表面温度(鋼片と接触する表面の
温度)が決まる。そして、加熱炉の熱源単位の低減や鋼
片の均一加熱のためには、鋼片が直接接触するスキッド
ボタン上部表面温度はできるだけ高いほど、言い換えれ
ば炉の雰囲気温度に近いほど好ましいので、スキッドボ
タンはその高さが高いほど、また材料の熱伝導度が低い
ほど良いが、実際にはスキッドボタンの高さには設計上
の限界があることから、スキッドボタン材料の耐熱上限
温度に応じて加熱炉の最高使用温度が決定されることに
なる。このように、スキッドボタンの耐熱上限温度が加
熱炉の特性に重要な役割を果たす。
【0005】そのため、幅広い熱間圧延条件の選択を必
要とする新規技術の開発に伴い、スキッドボタンに関し
てもより優れた高温強度を有していて、耐熱上限温度の
高い材料の開発が進められてきた。
【0006】当初、スキッドボタン用材料にはNi基耐熱
合金(Ni−Cr−Fe系合金)が使用されていたが、より高
温強度に優れる材料が望まれるようになり、Ni基合金に
代わってCo基耐熱鋳造合金(Co−Cr−Fe系合金:例えば
米国規格のUMC050)が導入された。そして、Co基
耐熱鋳造合金の導入により確かにスキッドボタンの高温
強度は飛躍的に向上した。
【0007】しかし、その後、長時間にわたって加熱・
冷却の繰り返し負荷を受けるスキッドボタンの実際使用
環境ではCo基耐熱鋳造合金製のスキッドボタンはσ相等
の金属間化合物相の析出による脆化が顕著で、スキッド
ボタンが変形(へたり)により劣化する前に割れや欠け
といった損傷破壊を起こしがちであることが明らかとな
った。
【0008】そこで、スキッドボタン用材料として“Co
基耐熱合金のNi含有量を高めてσ相析出を抑制したCo−
Cr−Ni−Fe系合金”が開発され(例えば特開昭63−1578
27号公報,特開昭60−190544号公報,特開平10-36936号
公報等を参照)、ウォ−キングビ−ム炉は1250℃程
度までの加熱が可能となったが、脆化を抑制した分だけ
強度低下は避けがたく、変形(へたり)の発生が十分な
寿命延命化を妨げる原因となっている。
【0009】一方、最近、メカニカルアロイング技術の
確立を礎にして“Ni−Cr−Co−Fe系オ−ステナイトマト
リックス中に微細な高融点金属酸化物(例えばY
2 3 )を分散含有した酸化物分散強化型合金”が開発
され(特開平3-232945号公報等を参照)、1300℃を
上回る加熱を可能にするウォ−キングビ−ム炉の炉床材
料として注目されたが、この材料では“耐酸化性”や
“スケ−ルとの反応忌避性能”がスキッドボタン用とし
て十分でないのでこれが寿命延命化の妨げとなる上、加
熱脆化感受性も高く、そのためスキッドとして使用した
場合には加熱・冷却の繰り返し使用による破損の危険性
が懸念された。
【0010】なお、上記以外にも、Cr基の粉末冶金合金
(特開平2-258947号公報を参照)やCo−Cr−Ni−Fe系合
金の素地にセラミックス粒子を分散させた複合合金(前
記特開昭63−157827号を参照)等がウォ−キングビ−ム
炉の炉床材料として開発されたが、何れもスキッドボタ
ン用として十分に満足できる強度,耐酸化性を兼ね備え
たものとは言えなかった。
【0011】このようなことから、本発明が目的とした
のは、1300℃以上の加熱下においても優れた高温ク
リ−プ特性,耐酸化性を示す使用寿命が長い鋼片加熱炉
のスキッドボタン用耐熱合金を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく、特にスキッドボタン用耐熱合金の高温ク
リ−プ特性,耐酸化性,スケ−ルとの反応性につき詳細
に調査した結果、以下のような知見を得ることができ
た。
【0013】a) Co−Cr−Ni−Fe系のCo−Ni基合金で
は、その高温強度はMoとWの添加量によって大きく影響
され、特にMoの添加量が多いほど1300℃程度の強度
は高くなる。Wも高温強度の上昇に寄与する元素である
が、Wを添加した前記Co−Ni基合金製スキッドボタンで
は1250℃以上に加熱されると鋼片表面より落下した
スケ−ルとの間でFe−W系の低融点複合酸化物を形成
し、スキッドボタン自身に著しい腐食を生じさせる。
【0014】b) なお、前記Co−Ni基合金製スキッドボ
タンではFeの添加は少量であれば長時間使用時の衝撃値
の低下が抑制される傾向にあるものの、Feは高温強度を
低下させる元素であって、所望の高温強度を達成するた
めには所要のCo,Mo添加量を確保した上でFe含有量を規
制することが必要である。
【0015】c) ところで、前記Co−Ni基合金の耐酸化
性はCr含有量の増加と共に良好となるが、Cr含有量が多
くなり過ぎると長時間加熱によるσ相等の金属間化合物
の生成が促進されて脆化感受性が増大する。 d) また、従前からSiは耐酸化性を向上させる合金成分
として知られており、加熱炉雰囲気での単純なガス酸化
に対してはSi含有量の増加と共に耐酸化性の向上が認め
られるので、耐酸化性向上を目的として一般的に積極使
用されてきた元素であるが、スキッドボタン用合金の場
合には、先に述べたWと同様、Siの含有量を抑えないと
被加熱鋼片の表面より落下したスケ−ルとの間でFe−Si
系の低融点複合酸化物(ファイヤライト)が形成され、
スキッドボタン自身を著しく腐食させるという問題を生
じる。 e) 更に、脱酸・脱硫剤として必要であるとされるMn成
分も、その含有量を規制しないと耐酸化性表面皮膜であ
るCr酸化物の形成を阻害することとなり、スキッドボタ
ンの耐酸化性劣化の原因となる。
【0016】f) 前述したように、前記Co−Ni基合金製
スキッドボタンの高温強度はMo,W及びFe等の含有量に
より大きく左右されるが、搬送される鋼片の重量増大等
に対処するために更なる高強度化を必要とする場合に
は、Nb,V,Ti,Ta等の粒界強化元素を添加するのが有
効である。
【0017】g) なお、鋼片の搬送条件によっては、鋼
片とスキッドボタンの接触により耐酸化性を確保するの
に必要なスキッドボタン上の保護性酸化皮膜が剥離し、
所謂エロ−ジョン・コロ−ジョンにより酸化が著しく進
行する場合がある。また、加熱炉内での温度変動により
スキッドボタン上の保護性酸化皮膜が剥離脱落し、耐酸
化性が劣化する場合がある。これらの現象は、何れもス
キッドボタン表面上の保護性酸化皮膜の密着力の不足が
原因であるが、この密着力の改善には微量のCaあるいは
希土類元素の添加が有効である。
【0018】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたもので、次に示す高温クリ−プ特性と耐酸化性に
優れた加熱炉スキッドボタン用耐熱合金を提供するもの
である。 (1) 重量割合にて、 C: 0.2%以下、 Si: 1.0%以下、 Mn: 1.0%以下、 Cr:25〜35%、 Mo: 1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05% を含むと共に残部が実質的にNiから成ることを特徴とす
る、高温クリ−プ特性と耐酸化性に優れた加熱炉スキッ
ドボタン用耐熱合金。 (2) 重量割合にて、 C: 0.2%以下、 Si: 1.0%以下、 Mn: 1.0%以下、 Cr:25〜35%、 Mo: 1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05%、 Nb,V,Ti及びTaの1種以上:合計で1%以下 を含むと共に残部が実質的にNiから成ることを特徴とす
る、高温クリ−プ特性と耐酸化性に優れた加熱炉スキッ
ドボタン用耐熱合金。 (3) 重量割合にて、 C: 0.2%以下、 Si: 1.0%以下、 Mn: 1.0%以下、 Cr:25〜35%、 Mo: 1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05%、 Nb,V,Ti及びTaの1種以上:合計で1%以下、 Ca,Y,Ce,Se,La,Nd及びPrの1種以上:合計で0.0001〜 0.2% を含むと共に残部が実質的にNiから成ることを特徴とす
る、高温クリ−プ特性と耐酸化性に優れた加熱炉スキッ
ドボタン用耐熱合金。
【0019】
【作用】以下、本発明において加熱炉スキッドボタン用
耐熱合金の化学組成を上述の如く限定した理由を、各成
分元素の作用と共に説明する。 A) C Cはクリ−プ強度の向上に寄与する元素であるが、凝固
時あるいは長時間使用時に粒界にCr炭化物として析出す
る傾向があり、多量に析出すると合金の靱性低下や耐酸
化性の劣化を招くことから、粒界へのCr炭化物析出を抑
制して所望の靱性及び耐酸化性を確保するため、C含有
量は 0.2%以下と定めた。
【0020】B) Si Siは、合金溶湯の脱酸作用のほか、少量の含有量である
とスキッドボタン上に形成されるクロム酸化物皮膜の性
能を向上させて耐酸化性を向上させる作用を発揮する
が、その含有量が 1.0%を超えて多くなると被加熱鋼片
のスケ−ルとの間で低融点化合物であるFe−Si系の複合
酸化物を形成して腐食の進行が著しくなることから、Si
含有量は 1.0%以下と定めた。
【0021】C) Mn Mnは脱酸・脱硫剤として効果的な元素であるが、Mn含有
量が 1.0%を超えて多くなると合金上に形成される耐酸
化性皮膜たるクロム酸化物の安定性を阻害し、合金の耐
酸化性を低下させることから、Mn含有量は 1.0%以下と
定めた。
【0022】D) Cr Crは、高温における合金の耐酸化性を確保する上で不可
欠な元素である。そして、1300℃以上でスキッドボ
タン用としての耐酸化性を確保するためにはCr含有量を
25%以上とする必要がある。しかし、Cr含有量が35%を
超えると、合金の延性や靱性に悪影響を及ぼす金属間化
合物(σ相等)の析出や窒化物の析出を促進させるよう
になる。従って、Cr含有量は25〜35%と定めた。
【0023】E) Mo Moも本発明合金に不可欠な元素であり、特に1250℃
以上での高温クリ−プ強度を支配する重要な元素であ
る。そして、このMo含有量が 1.5%を下回った場合に
は、1250℃以上の温度域でのスキッドボタンとして
必要なクリ−プ強度を確保することができない。一方、
10%を超えるMo含有量では靱性の低下が発生する。従っ
て、Mo含有量は 1.5〜10%と定めた。
【0024】f) W Wは、Moと同様、合金の高温クリ−プ強度を上昇させる
のに有効な元素であるが、合金が1250℃以上で使用
される場合には、W含有量が例え微量であっても被加熱
鋼片表面のスケ−ルとの間で低融点のFe−W複合酸化物
を形成して異常酸化現象(腐食現象)を生じさせる原因
となる。従って、Wについては、異常酸化現象が殆ど目
立たない0.05%以下の範囲で必要に応じて含有させるの
が良く、そのためW含有量を0〜0.05%と定めた。
【0025】g) Co Coは、合金のオ−ステナイトマトリックスを安定化し、
かつ融点を上昇させる作用を有する元素であり、合金に
高温強度を確保する上で不可欠な成分である。そして、
合金に所望の高温強度を実現するためには、所要量のMo
添加と高温強度に悪影響を及ぼすFeの制限に加えて、30
%を超えるCo含有量を確保することが必要であるが、Co
含有量が45%を超えると脆化相を形成するようになる。
従って、Co含有量は30〜45%と定めた。
【0026】h) Fe Feは、その含有量が極く少量であると合金の延性や靱性
を向上させ長時間使用時の衝撃値の低下を抑制する作用
を示すものの、Fe含有量が5%を超えると合金の高温強
度を低下させるだけでなく、逆に衝撃値の低下を招くよ
うになる。従って、合金に所望の高温強度を確保すると
共に衝撃特性への悪影響を排除するためには、所要量の
Co,Mo添加の下でFe含有量を高温強度,衝撃値の低下を
もたらすことのない5%以下に規制することが必要であ
る。なお、Fe含有量はOでも良いが、Feの混入を完全に
防止することは工業的に大幅なコスト上昇を引き起こす
ので、コストとの兼ね合いでFe規制を行うのが良い。
【0027】i) B Bは、粒界強化作用を通じてクリ−プ強度を向上させる
効果を発揮する元素であり、そのため必要に応じて添加
するのが好ましい元素であるが、多量に含有させると低
融点化合物を形成して合金の高温強度や靱性を低下させ
る。従って、Bを添加する場合には、その含有量を0.05
%以下に制限する必要があるので、B含有量は0〜0.05
%と定めた。
【0028】j) Nb,V,Ti及びTa Nb,V,Ti及びTaは何れも粒界を強化して高温強度を向
上させる作用を有した元素であるため、高温強度の更な
る向上が望まれる場合に必要に応じてこれらの1種以上
が添加されるが、多量に含有されると金属間化合物の形
成によって合金が脆化することから、これら元素の含有
量は合計で1%以下と定めた。
【0029】k) Ca,Se,Y,Ce,La,Nd及びPr Ca,Se,Y,Ce,La,Nd及びPrは何れも合金表面に形成
される保護性酸化皮膜の密着性を向上させるのに有効な
元素であるため、該保護性酸化皮膜の剥離を防止して耐
酸化性の更なる改善を要する場合に必要に応じてこれら
の1種以上が添加されるが、それらの含有量が合計で0.
0001%未満であるとその効果が認められず、一方、合計
含有量が 0.2%を超えると合金の凝固中に酸化物を形成
して靱性を低下させるようになる。従って、これら元素
の含有量は合計で0.0001〜 0.2%と定めた。
【0030】なお、上述の化学組成を有した本発明に係
る加熱炉スキッドボタン用耐熱合金は、この種の耐熱合
金の製造法として知られている何れの手段によって製造
されても差し支えはない。
【0031】続いて、本発明を実施例によって更に具体
的に説明するが、本発明がこれら実施例により制限を受
けるものでないことは言うまでもない。
【実施例】まず、20kg真空誘導溶解炉を用いて表1に
示す化学組成の各合金を溶製し、これを鋳型に鋳込んで
直径80mmφのインゴットを作成した。
【0032】
【表1】
【0033】次いで、得られた各インゴットに「130
0℃に24時間加熱保持してから空冷する」という均一
化処理を施した後、これら各インゴットから各種試験片
を採取し、下記の条件で“圧縮クリ−プ試験",“シャル
ピ−衝撃試験",“酸化試験”及び“スケ−ルとの反応性
試験”を実施した。 1) 圧縮クリ−プ試験 試験片寸法:直径10mmφ×長さ15mm、 試験温度 :1300℃、 試験荷重 :2.0kgf/mm2、 測定項目 :100分後のクリ−プ変形量(クリ−プ歪量)。 2) シャルピ−衝撃試験 試験片寸法:高さ10mm×幅10mm×長さ55mmのVノッチ付き、 試験片の時効処理状況: a)均一化処理のまま、 b)800℃×300時間時効材、 c)900℃×300時間時効材、 試験温度 :室温、 試験項目 :衝撃値。 3) 酸化試験 試験片寸法:幅12.3mm×長さ15mm×厚さ3mm、 試験温度 :1250℃,1300℃及び1350℃、 試験雰囲気:6%CO2 −20%H2 O−N2(Bal) (加熱炉燃焼模擬雰囲気)、 試験時間 :25時間、 測定項目 :重量減少量(酸化減量) =(初期重量−試験後の脱スケ−ル後重量) /(初期試 験片の表面積)。 4) スケ−ルとの反応性試験 試験片寸法:幅12.3mm×長さ15mm×厚さ3mm、 試験方法 :試験片を加熱炉より採取した被加熱鋼片のスケ−ル中に埋 設して保持、 試験温度 :1250℃,1300℃及び1350℃、 試験雰囲気:6%CO2 −20%H2 O−N2(Bal) (加熱炉燃焼模擬雰囲気)、 試験時間 :25時間、 測定項目 :重量減少量(反応減量) =(初期重量−試験後の脱スケ−ル後重量) /(初期試 験片の表面積)。 これら上記各試験の結果を、次の表2にまとめて示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示される結果からは次の事項が明ら
かである。即ち、比較例合金1は、Si含有量が高いため
スケ−ルとの反応性が高く、またCr含有量が低いために
炉内雰囲気ガスに対する酸化抵抗も低い。更に、C及び
Feの含有量が高いため時効後(高温使用後)における衝
撃値の低下が著しいだけでなく、クリ−プ強度も低い
(クリ−プ変形歪量が大きい)。
【0036】比較例合金2は、Mn含有量が高いために炉
内雰囲気ガスに対する酸化抵抗が低く、またMo含有量も
低いためにクリ−プ強度が低い。更に、Co含有量が高い
ために脆化相が生じ、時効後(高温使用後)における衝
撃値も低くなっている。比較例合金3は、W含有量が高
いためにスケ−ルとの反応性が高く、またMo,Bの含有
量が高いために時効後(高温使用後)における衝撃値の
低下が著しい。比較例合金4は、Cr含有量が高いために
時効後(高温使用後)における衝撃値か低くなってい
る。また、Co含有量が低いためクリ−プ強度も低い。
【0037】比較例合金5及び比較例合金6は、NbとV
の合計含有量あるいはTiとTaの合計含有量が高いため、
何れも時効後(高温使用後)における衝撃値が低くなっ
ている。比較例合金7は、Fe含有量が高いためにクリ−
プ強度が低く、時効後(高温使用後)における衝撃値も
低くなっている。また、Ca,Se及びYが添加されている
ものの、その合計含有量が少ないため、本発明例合金21
と比較して炉内雰囲気ガスに対する酸化抵抗が幾分低い
ことも分かる。比較例合金8は、Ce,La,Nd及びPrの合
計含有量が高いために時効後(高温使用後)における衝
撃値が低くなっている。
【0038】これら比較例合金に対して、本発明例合金
9〜26は何れもクリ−プ強度,衝撃値,耐酸化性,スケ
−ルとの反応性の何れにおいても優れた性能を示してお
り、ウォ−キングビ−ム炉のスキッドボタン用耐熱合金
として十分に満足できるものであると判断することがで
きる。
【0039】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、1300℃以上の高温域においても優れた高温強
度,耐酸化性,スケ−ルに対する耐反応性を示し、かつ
高温加熱後の衝撃特性低下が少ない耐熱合金を実現する
ことができ、耐熱上限温度が一段と高いスキッドボタン
用材料の提供が可能になるなど、産業上有用な効果がも
たらされる。
フロントページの続き (72)発明者 椹木 義淳 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 来村 和潔 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 田中 和久 神奈川県藤沢市辻堂神台1丁目3番1号 関東特殊製鋼株式会社内 Fターム(参考) 4K034 EB27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量割合にて、 C: 0.2%以下、 Si: 1.0%以下、 Mn: 1.0%以下、 Cr:25〜35%、 Mo: 1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05% を含むと共に残部が実質的にNiから成ることを特徴とす
    る、高温クリ−プ特性と耐酸化性に優れた加熱炉スキッ
    ドボタン用耐熱合金。
  2. 【請求項2】 重量割合にて、 C: 0.2%以下、 Si: 1.0%以下、 Mn: 1.0%以下、 Cr:25〜35%、 Mo: 1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05%、 Nb,V,Ti及びTaの1種以上:合計で1%以下 を含むと共に残部が実質的にNiから成ることを特徴とす
    る、高温クリ−プ特性と耐酸化性に優れた加熱炉スキッ
    ドボタン用耐熱合金。
  3. 【請求項3】 重量割合にて、 C: 0.2%以下、 Si: 1.0%以下、 Mn: 1.0%以下、 Cr:25〜35%、 Mo: 1.5〜10%、 W:0〜0.05%、 Co:30超〜45%、 Fe:5%以下、 B:0〜0.05%、 Nb,V,Ti及びTaの1種以上:合計で1%以下、 Ca,Y,Ce,Se,La,Nd及びPrの1種以上:合計で0.0001〜 0.2% を含むと共に残部が実質的にNiから成ることを特徴とす
    る、高温クリ−プ特性と耐酸化性に優れた加熱炉スキッ
    ドボタン用耐熱合金。
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