JP7260772B2 - 意匠性亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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母材鋼板と、
前記母材鋼板の表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている積層樹脂層とを備え、
前記積層樹脂層は、
前記母材鋼板の表面の法線方向に積層される複数の着色樹脂層を備え、
前記複数の着色樹脂層の各々は、顔料を含有しており、
前記複数の着色樹脂層において、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量(面積%)と前記着色樹脂層の厚さ(μm)との積の総和が12.0面積%・μm以下であり、
前記複数の着色樹脂層のうち、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量(面積%)と前記着色樹脂層の厚さ(μm)との積が最大となる着色樹脂層を最濃色着色樹脂層と定義し、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量と前記着色樹脂層の厚さとの積が2番目に大きい着色樹脂層を第2濃色着色樹脂層と定義したとき、
前記最濃色着色樹脂層の前記顔料の含有量C1ST(面積%)、前記最濃色着色樹脂層の厚さD1ST(μm)、前記第2濃色着色樹脂層の前記顔料の含有量C2ND(面積%)、及び、前記第2濃色着色樹脂層の厚さD2ND(μm)は、式(1)を満たす。
1.00<(C1ST×D1ST)/(C2ND×D2ND)≦4.00 (1)
1.00<(C1ST×D1ST)/(C2ND×D2ND)≦4.00 (1)
以上の知見は、後述の実施例においても立証されている。
母材鋼板と、
前記母材鋼板の表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている積層樹脂層とを備え、
前記積層樹脂層は、
前記母材鋼板の表面の法線方向に積層される複数の着色樹脂層を備え、
前記複数の着色樹脂層の各々は、顔料を含有しており、
前記複数の着色樹脂層において、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量(面積%)と前記着色樹脂層の厚さ(μm)との積の総和が12.0面積%・μm以下であり、
前記複数の着色樹脂層のうち、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量(面積%)と前記着色樹脂層の厚さ(μm)との積が最大となる着色樹脂層を最濃色着色樹脂層と定義し、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量と前記着色樹脂層の厚さとの積が2番目に大きい着色樹脂層を第2濃色着色樹脂層と定義したとき、
前記最濃色着色樹脂層の前記顔料の含有量C1ST(面積%)、前記最濃色着色樹脂層の厚さD1ST(μm)、前記第2濃色着色樹脂層の前記顔料の含有量C2ND(面積%)、及び、前記第2濃色着色樹脂層の厚さD2ND(μm)は、式(1)を満たす。
1.00<(C1ST×D1ST)/(C2ND×D2ND)≦4.00 (1)
前記積層樹脂層の厚さは、10.0μm以下である。
前記積層樹脂層はさらに、
前記顔料を含有しない1又は複数の透明樹脂層を含み、
前記積層樹脂層は、
前記複数の着色樹脂層と、前記1又は複数の透明樹脂層とが積層して形成されている。
前記亜鉛めっき層の表面は、テクスチャを有している。
前記母材鋼板の表面のうち、前記亜鉛めっき層と接触している表面は、テクスチャを有している。
前記亜鉛めっき層の表面は、ヘアラインが形成されている。
図5は、本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1の圧延方向RDに垂直な断面図である。図5を参照して、本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1は、母材鋼板10と、亜鉛めっき層20と、積層樹脂層30とを備える。亜鉛めっき層20は、母材鋼板10の表面10Sに形成されている。積層樹脂層30は、亜鉛めっき層20の表面20Sに形成されている。亜鉛めっき層20は、母材鋼板10と、積層樹脂層30との間に配置されている。以下、母材鋼板10、亜鉛めっき層20、及び、積層樹脂層30について、説明する。
母材鋼板10の鋼種及びサイズ(板厚、板幅等)は、特に限定されない。母材鋼板10は、製造する亜鉛めっき鋼板に求められる各機械的性質(たとえば、引張強度、加工性等)に応じて、亜鉛めっき鋼板(電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等)に適用される公知の鋼板を使用すればよい。たとえば、母材鋼板10として、電気機器用途の鋼板を使用してもよいし、自動車外板用途の鋼板を使用してもよい。母材鋼板10は、熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
亜鉛めっき層20は、母材鋼板10の表面10Sに形成されている。本実施形態において、亜鉛めっき層20は、母材鋼板10と積層樹脂層30との間に配置されている。亜鉛めっき層20は、周知の亜鉛めっき処理法により形成されている。具体的には、亜鉛めっき層20はたとえば、電気めっき法、溶融めっき法のいずれかのめっき法により形成されている。本明細書において、亜鉛めっき層20は、亜鉛合金めっき層も含む。より具体的には、亜鉛めっき層20は、電気亜鉛めっき層、電気亜鉛合金めっき層、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層を含む概念である。
亜鉛めっき層20の付着量は特に制限されず、周知の付着量であれば足りる。亜鉛めっき層20の好ましい付着量は、5.0~120.0g/m2である。亜鉛めっき層20の付着量が5.0g/m2以上であれば、亜鉛めっき層20に後述のヘアラインを付与した場合、母材鋼板10が露出するのを抑制できる。亜鉛めっき層20の付着量のさらに好ましい下限は7.0g/m2であり、さらに好ましくは10.0g/m2である。亜鉛めっき層20の付着量の上限については特に制限はない。経済性の観点から、電気めっき法による亜鉛めっき層20であれば、好ましい付着量の上限は40.0gm2であり、さらに好ましい上限は35.0g/m2であり、さらに好ましくは30.0g/m2である。
積層樹脂層30は、亜鉛めっき層20の表面20Sに形成されている。図6は、図5中の積層樹脂層30の拡大図である。図6を参照して、積層樹脂層30は、複数の着色樹脂層L1~LNを備える。ここで、Nは2以上の自然数である。複数の着色樹脂層L1~LNは、法線方向NDに積層されている。
樹脂31は、透光性を有する樹脂である。本明細書において、「透光性を有する樹脂」とは、晴天午前の太陽光相当(照度約65000ルクス)の環境に顔料32及び樹脂31を含有する積層樹脂層30を備える意匠性亜鉛めっき鋼板1を置いたとき、母材鋼板10の表面を視認できることを意味する。樹脂31は、顔料32を固着するバインダーとして機能する。
顔料32は微細粒子(粉末)であって、水及び油に不溶な粒子である。顔料32は、上述の樹脂31中に含有されることにより、着色樹脂層LKを着色する。顔料32は周知のものであって、無機顔料であってもよいし、有機顔料であってもよい。顔料32は、有彩色の顔料である。有彩色とは、色相、明度及び彩度の属性を有する色を意味する。
図8~図10は、着色樹脂層LK中の顔料32の含有量(面積%)と、着色樹脂層LKの厚さ(μm)の測定方法を説明するための模式図である。始めに、図8に示すとおり、意匠性亜鉛めっき鋼板1を法線方向NDに切断して、切断面CSを作製する。切断面CSは法線方向NDに平行であれば、圧延方向RD又は板幅方向TDに平行でなくてもよい。
面積率=A1/A0×100
色濃度指標IK=CK×DK
本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1において、最濃色着色樹脂層L1STの顔料32の含有量(面積%)を「C1ST」と定義し、最濃色着色樹脂層L1STの厚さ(μm)を「D1ST」と定義する。第2濃色着色樹脂層L2NDの顔料32の含有量(面積%)を「C2ND」と定義し、第2濃色着色樹脂層L2NDの厚さ(μm)を「D2ND」と定義する。このとき、積層樹脂層30は、次の式(1)を満たす。
1.00<(C1ST×D1ST)/(C2ND×D2ND)≦4.00 (1)
上述の本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1において、各着色樹脂層LK中の顔料32の含有量CKと厚さDKとの積(つまり、色濃度指標IK)の総和は、12.0面積%・μm以下である。つまり、次の式が成立する。
好ましくは、上述の意匠性亜鉛めっき鋼板1の亜鉛めっき層20の表面は、テクスチャを有してもよい。本明細書において「テクスチャ」とは、物理的又は化学的手法によって、母材鋼板10の表面、又は、亜鉛めっき層20の表面に形成された凹凸模様を意味する。要するに、テクスチャは、亜鉛めっき層20の表面、又は、母材鋼板10の表面に形成されている3次元的な凹凸模様である。テクスチャの凸部の高さ及び凹部の深さは特に限定されない。好ましくは、テクスチャの凸部の高さ及び凹部の深さは、テクスチャの算術平均粗さRaが樹脂層の総厚みの50%以下である。テクスチャはたとえば、周知のヘアライン仕上げ、エンボスパターン、バイブレーション仕上げ、梨地(ブラスト)仕上げ、槌目(ハンマー)パターン仕上げ、布目(サテン)仕上げ、等である。
好ましくは、亜鉛めっき層20の表面20Sに形成されているテクスチャは、ヘアラインである。図15は、表面20Sにヘアライン23が形成されている亜鉛めっき層20の平面図である。図15を参照して、ヘアライン23は、亜鉛めっき層20の表面20Sに形成されている直線状の溝である。各ヘアライン23の延在方向HDは同一方向である。ここでいう同一方向とは、亜鉛めっき層20を法線方向NDに見た場合(つまり、図15のような平面視において)、ヘアライン23の延在方向HDと垂直な方向ODに配列された、互いに隣り合うヘアライン同士のなす角度のうち90%以上が、±5°未満であることを意味する。ヘアライン23の深さは特に限定されない。
本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1において、好ましくは、積層樹脂層30の厚さは10.0μm以下である。積層樹脂層30の厚さが10.0μmを超えれば、積層樹脂層30のみで平滑化(レベリング)しやすくなり、積層樹脂層30の表面での反射の印象と視認できる母材鋼板10の表面(テクスチャを有する場合を含む)の印象との乖離が大きくなり、意匠性亜鉛めっき鋼板1のメタリック感が低下する。積層樹脂層30の厚さが10.0μm以下であれば、式(1)を満たすことを前提として、亜鉛めっき層20の表面20Sを視認可能な程度に積層樹脂層30を着色しても、亜鉛めっき層の表面を視認可能であり、かつ、色むらや色ばらつきといった色調変動を十分に抑制でき、かつ、メタリック感も十分に高まる。積層樹脂層30の厚さのさらに好ましい上限は9.0μmであり、さらに好ましくは8.0μmである。
上述の実施形態では、図6に示すとおり、積層樹脂層30には、複数の着色樹脂層LKのみが積層されている。しかしながら、図16及び図17に示すとおり、積層樹脂層30は、複数の着色樹脂層LKの間に、顔料32を含有しない1又は複数の透明樹脂層TLJ(Jは1以上の自然数)が積層されていてもよい。
本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1では、各着色樹脂層LKの顔料32の含有量CK(面積%)と着色樹脂層の厚さDK(μm)との積の総和が12.0面積%・μm以下であり、かつ、積層樹脂層30の最濃色着色樹脂層L1STと第2濃色着色樹脂層L2NDとが式(1)を満たせば、積層樹脂層30内の着色樹脂層LKの積層数は特に限定されない。しかしながら、着色樹脂層LKの積層数が多すぎれば、後述の製造工程において、各着色樹脂層LKに対応した着色樹脂塗布装置(コーター等)を準備する必要がある。そのため、設備コストが高まり、意匠性亜鉛めっき鋼板1の製造コストも高まる。また、積層樹脂層30が、少なくとも2つの着色樹脂層LKを備えていれば、2つの着色樹脂層LKの顔料32の含有量CK(面積%)と着色樹脂層の厚さDK(μm)との積の総和が12.0面積%・μm以下であり、かつ、2つの着色樹脂層LKが式(1)を満たすことを前提として、亜鉛めっき層20の表面20Sを視認可能な程度に積層樹脂層30を着色しても、亜鉛めっき層の表面を視認可能であり、かつ、色むらや色ばらつきといった色調変動を十分に抑制できる。したがって、好ましくは、積層樹脂層30は少なくとも2つの着色樹脂層LKを備える。積層樹脂層30内の着色樹脂層LKの総数の好ましい上限は5であり、さらに好ましくは4であり、さらに好ましくは3である。
本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1の積層樹脂層30内の着色樹脂層LKの樹脂31はさらに、上述の透光性を維持することを前提として、着色樹脂層LKに耐食性、摺動性、導電性等を付与するために、添加剤を含有してもよい。耐食性を付与するための添加剤はたとえば、周知の防錆剤やインヒビターである。摺動性を付与するための添加剤はたとえば、周知のワックスやビーズである。導電性を付与するための添加剤はたとえば、周知の導電剤である。
本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1の製造方法の一例を説明する。以降に説明する製造方法は、本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1を製造するための一例である。したがって、上述の構成を有する意匠性亜鉛めっき鋼板1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態の意匠性亜鉛めっき鋼板1の製造方法の好ましい一例である。
準備工程(S1)では、母材鋼板10と亜鉛めっき層20とを備える亜鉛めっき鋼板を準備する。準備される亜鉛めっき鋼板は、テクスチャの形成の有無に応じて、次の4つのケースに分類される。
ケース1:亜鉛めっき層20の表面20Sがテクスチャを有さない亜鉛めっき鋼板
ケース2:亜鉛めっき層20の表面20Sにテクスチャ加工を実施することにより、亜鉛めっき層20の表面20Sがテクスチャを有する亜鉛めっき鋼板
ケース3:母材鋼板10の表面10Sにテクスチャ加工を実施することにより、亜鉛めっき層20の表面20Sがテクスチャを有する亜鉛めっき鋼板
ケース4:母材鋼板10の表面10Sにテクスチャ加工を実施し、かつ、亜鉛めっき層20の表面20Sにテクスチャ加工を実施することにより、亜鉛めっき層20の表面20Sがテクスチャを有する亜鉛めっき鋼板
ケース1の場合、テクスチャ加工を実施していない亜鉛めっき鋼板を準備する。準備される亜鉛めっき鋼板は、周知の亜鉛めっき鋼板を第三者から供給されたものであってもよいし、製造してもよい。
母材鋼板準備工程(S11)では、母材鋼板10を準備する。上述のとおり、母材鋼板10は、熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
亜鉛めっき処理工程(S12)では、準備された母材鋼板10に対して、亜鉛めっき処理を実施して、母材鋼板10の表面10Sに亜鉛めっき層20を形成する。
ケース2の場合、母材鋼板準備工程(S11)及び亜鉛めっき処理工程(S12)を実施した後、さらに、テクスチャ加工工程(S13)を実施して、亜鉛めっき層20の表面20Sにテクスチャを形成する。以下、テクスチャ加工工程(S13)について説明する。
ケース2のテクスチャ加工工程(S13)では、亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層20の表面20Sに対して周知のテクスチャ加工を実施することにより、亜鉛めっき層20の表面20Sに対してテクスチャを形成する。
ケース3の場合、母材鋼板準備工程(S11)の後、テクスチャ加工工程(S13)を実施して、母材鋼板10の表面10S上にテクスチャを形成する。そして、テクスチャが形成されている母材鋼板10に対して、亜鉛めっき処理工程(S12)を実施する。この場合においても、亜鉛めっき層20の表面20Sに母材鋼板10の表面10Sのテクスチャが反映されるため、亜鉛めっき層20の表面20Sにテクスチャが形成される。
ケース4の場合、ケース3と同様に、母材鋼板準備工程(S11)、テクスチャ加工工程(S13)、及び亜鉛めっき処理工程(S12)を実施する。その後さらに、亜鉛めっき層20の表面20Sに対して、テクスチャ加工工程(S13)を実施する。以上の工程により、亜鉛めっき層20の表面20Sにテクスチャが形成される。
積層樹脂層形成工程(S2)では、準備工程(S1)により準備された、テクスチャを有さない亜鉛めっき鋼板(ケース1)、又は、テクスチャを有する亜鉛めっき鋼板(ケース2~ケース4)の亜鉛めっき層20上に、積層樹脂層30を形成する。以下、積層樹脂層形成工程(S2)について詳述する。
積層樹脂層形成工程(S2)において使用される製造ラインについて説明する。積層樹脂層形成工程(S2)の製造ラインは、搬送ラインと、搬送ラインの上流から下流に向かって順に配列される複数の着色樹脂塗布装置CT1~CTN(Nは2以上の自然数)と、搬送ラインの上流から下流に向かって順に配列される複数の焼付炉OV1~OVN(Nは2以上の自然数)とを備える。
[各着色樹脂層LK中の顔料の含有量CK及び厚さDKの測定]
各試験番号の積層樹脂層の各着色樹脂層の顔料の含有量CK及び厚さDKを、次の方法により測定した。図8を参照して、意匠性亜鉛めっき鋼板を法線方向NDに切断して、法線方向ND及び板幅方向TDを含む切断面CSを作製した。図9を参照して、切断面CSにおいて、法線方向NDに垂直な方向(本実施例では板幅方向TD)を切断面幅方向CDと定義した。切断面CSを、切断面幅方向CDに3等分に区画した。3等分された区画X1~X3の各々において、切断面幅方向CDの中央位置であって、積層樹脂層30を含むサンプルSAを採取した。3つのサンプルSAの各々は、少なくとも積層樹脂層30と、亜鉛めっき層20とを含んだ。切断面幅方向CDの長さは10mmとし、法線方向ND及び切断面幅方向CDに垂直な方向の長さを10mmとした。切出したサンプルSAについて収束イオンビーム装置(FIB)を用いて、積層樹脂層30と亜鉛めっき層20を透過型電子顕微鏡で観察できるサンプルを作製した。
面積率=A1/A0×100
色濃度指標IK=CK×DK
積層樹脂層30の厚さは、次の方法で測定した。図9を参照して、切断面CSにおいて、法線方向NDに垂直な方向を切断面幅方向CD(本実施例では板幅方向TDに相当)と定義した。切断面CSを、切断面幅方向CDに3等分に区画した。3等分された区画X1~X3の各々において、切断面幅方向CDの中央位置であって、積層樹脂層30を含むサンプルSAを採取した。3つのサンプルSAの各々は、少なくとも積層樹脂層30と、亜鉛めっき層20とを含んだ。切断面幅方向CDの長さは10mmとした。サンプルSAのうち、法線方向ND及び切断面幅方向CDに垂直な方向の長さは10mmとした。切出したサンプルSAの切断面CSに金蒸着を施した。その後サンプルSAを当て板で挟んで樹脂に埋め込み、研磨して切断面CSを観察面とする観察用サンプルを作製した。観察用サンプルの観察面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍の反射電子像(BSE)で観察した。走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像(BSE)での観察において母材鋼板10、亜鉛めっき層20、及び、積層樹脂層30は、コントラストにより容易に判別可能であった。各サンプルSAにおいて、切断面幅方向CDに100μmピッチで積層樹脂層30の厚さを10点測定した。3つのサンプルSAで測定された厚さ(合計30点)の平均値を、積層樹脂層30の厚さ(μm)と定義した。表1中の「積層樹脂層」欄の「総膜厚」に、測定された積層樹脂層の厚さ(μm)を示す。
各着色樹脂層のうち、色濃度指標IKが最大の着色樹脂層を「最濃色着色樹脂層L1ST」と定義し、最濃色着色樹脂層L1STの次に色濃度指標IKが高い着色樹脂層、つまり、色濃度指標IKが2番目に高い着色樹脂層を、「第2濃色着色樹脂層L2ND」と定義した。なお、最濃色着色樹脂層L1STの顔料含有量(面積%)を「C1ST」と定義し、最濃色着色樹脂層L1STの厚さ(μm)を「D1ST」と定義した。第2濃色着色樹脂層L2NDの顔料含有量(面積%)を「C2ND」と定義し、第2濃色着色樹脂層L2NDの厚さ(μm)を「D2ND」と定義した。最濃色着色樹脂層L1STの顔料含有量C1ST、厚さD1ST、第2濃色着色樹脂層L2NDの顔料含有量C2ND、厚さD2NDを表1に示す。なお、表1中の「最濃色着色樹脂層L1ST」欄の「積層位置」は、最濃色着色樹脂層L1STが第何層であったかを示す。たとえば、試験番号1では、最濃色着色樹脂層L1STが第1層(図6におけるL1に相当)であったことを示す。同様に、表1中の「第2濃色着色樹脂層L2ND」欄の「積層位置」は、第2濃色着色樹脂層L2NDが第何層であったかを示す。たとえば、試験番号3では、第2濃色着色樹脂層L2NDが第2層(図6でいうL2に相当)であったことを示す。
色濃度比RF=(C1ST×D1ST)/(C2ND×D2ND)
求めた色濃度比RFを表1中の「積層樹脂層」欄の「色濃度比RF」欄に示す。
晴天午前の太陽光相当(照度約65000ルクス)の環境に各試料を置き、母材鋼板10の表面を視認できたかどうかで判定した。
次の方法により、各試験番号の意匠性亜鉛めっき鋼板の色むらを評価した。図18を参照して、各試験番号の意匠性亜鉛めっき鋼板1のヘアライン23の延在方向HDと直行する1200mmの任意の測定線分OD1において、15mmピッチで81点の測定点(P1~P81)を特定した。各測定点P1~P81において、L*a*b*表色系におけるL*値、a*値、及びb*値を求めた。そして、隣り合う2つの測定点PiとPi+1(iは1~80の自然数)におけるΔL*値、Δa*値、Δb*値を次式により求めた。
ΔL*=L*i-L*i+1
Δa*=a*i-a*i+1
Δb*=b*i-b*i+1
ΔE*=((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)
評点A:隣接する2点の測定点での色差ΔE*が全て1.5以下
評点B:隣接する2点の測定点での色差ΔE*が全て2.0以下
評点C:隣接する2点間の色差ΔE*の90%以上が2.0以下
評点D:隣接する2点間の色差ΔE*の11%以上が2.0超
次の方法により、各試験番号の意匠性亜鉛めっき鋼板の色ばらつきを評価した。図19を参照して、各試験番号の意匠性亜鉛めっき鋼板1において、圧延方向RDに50000mmピッチ(50mピッチ)で20点の各測定位置S1~S20を特定した。そして、各測定位置S1~S20において、ヘアライン23の延在方向HDと直行する方向(直行方向OD)に1000mm間隔の測定点Q1及びQ2の色差ΔE*を求めた。
評点A:20点の全てがΔE*≦2.0
評点B:20点の全てがΔE*≦2.5
評点C:20点の全てがΔE*≦3.0
評点D:20点のうちΔE*>3.0が1点以上存在
次の方法により、各試験番号の意匠性亜鉛めっき鋼板のメタリック感を測定した。各試験番号の意匠性亜鉛めっき鋼板1の任意の点において、ヘアラインと平行方向の光沢度G60(Gl)と、ヘアラインと直行方向の光沢度G60(Gc)とを光沢度計で測定した。光沢度計は、スガ試験機株式会社製のグロスメーター(商品名:UGV-6P)を用いた。得られた光沢度Glと、光沢度Gcとに基づいて、Gc/Glを求めた。Gc/Glが0.3超~0.7未満の場合、意匠性亜鉛めっき鋼板のメタリック感が高いと判断した。
表1を参照して、試験番号10~60では、積層樹脂層が複数の着色樹脂層を含み、各着色樹脂層の色濃度指標の総和が12.0面積%・μm以下であった。さらに、最濃色着色樹脂層L1STの顔料含有量C1ST、厚さD1ST、第2濃色着色樹脂層L2NDの顔料含有量C2ND、厚さ(μm)D2NDにより得られた色濃度比RFが4.00以下であった。そのため、亜鉛めっき層の表面を視認可能であった。さらに、色むら評価はいずれも評点A~Cであり、色むらが十分に抑制された。さらに、色ばらつき評価はいずれも評点A~Cであり、色ばらつきも十分に抑制された。
10 母材鋼板
20 亜鉛めっき層
30 積層樹脂層
31 樹脂
32 顔料
LK 着色樹脂層
TLJ 透明樹脂層
Claims (6)
- 意匠性亜鉛めっき鋼板であって、
母材鋼板と、
前記母材鋼板の表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている積層樹脂層とを備え、
前記積層樹脂層は、
前記母材鋼板の表面の法線方向に積層される複数の着色樹脂層を備え、
前記複数の着色樹脂層の各々は、顔料を含有しており、
前記複数の着色樹脂層において、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量(面積%)と前記着色樹脂層の厚さ(μm)との積の総和が12.0面積%・μm以下であり、
前記複数の着色樹脂層のうち、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量(面積%)と前記着色樹脂層の厚さ(μm)との積が最大となる着色樹脂層を最濃色着色樹脂層と定義し、前記着色樹脂層中の前記顔料の含有量と前記着色樹脂層の厚さとの積が2番目に大きい着色樹脂層を第2濃色着色樹脂層と定義したとき、
前記最濃色着色樹脂層の前記顔料の含有量C1ST(面積%)、前記最濃色着色樹脂層の厚さD1ST(μm)、前記第2濃色着色樹脂層の前記顔料の含有量C2ND(面積%)、及び、前記第2濃色着色樹脂層の厚さD2ND(μm)は、式(1)を満たす、
意匠性亜鉛めっき鋼板。
1.00<(C1ST×D1ST)/(C2ND×D2ND)≦4.00 (1) - 請求項1に記載の意匠性亜鉛めっき鋼板であって、
前記積層樹脂層の厚さは、10.0μm以下である、
意匠性亜鉛めっき鋼板。 - 請求項1又は請求項2に記載の意匠性亜鉛めっき鋼板であって、
前記積層樹脂層はさらに、
前記顔料を含有しない1又は複数の透明樹脂層を含み、
前記積層樹脂層は、
前記複数の着色樹脂層と、前記1又は複数の透明樹脂層とが積層して形成されている、
意匠性亜鉛めっき鋼板。 - 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の意匠性亜鉛めっき鋼板であって、
前記亜鉛めっき層の表面は、テクスチャを有している、
意匠性亜鉛めっき鋼板。 - 請求項4に記載の意匠性亜鉛めっき鋼板であって、
前記母材鋼板の表面のうち、前記亜鉛めっき層と接触している表面は、テクスチャを有している、
意匠性亜鉛めっき鋼板。 - 請求項4又は請求項5に記載の意匠性亜鉛めっき鋼板であって、
前記亜鉛めっき層の表面は、ヘアラインが形成されている、
意匠性亜鉛めっき鋼板。
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