JP7339519B2 - めっき鋼板 - Google Patents
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Description
母材鋼板と、
前記母材鋼板の表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている着色樹脂層とを備え、
前記亜鉛めっき層の表面には、一方向に延びているテクスチャが形成されており、
前記着色樹脂層は着色剤を含有しており、
次の(A)~(C)を満たす。
(A)前記テクスチャの延在方向に垂直な方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル上の位置のうち、高さが低い順に10点特定した位置を凹部底点と定義し、測定された前記粗さプロファイル上の位置のうち、高さが高い順に10点特定した位置を凸部頂点と定義し、各凹部底点及び各凸部頂点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された三次元平均粗さSaの算術平均値を三次元平均粗さSaaveと定義したとき、三次元平均粗さSaaveが5nm超200nm以下である。
(B)前記テクスチャの延在方向に直交する方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、前記着色樹脂層中の前記着色剤の含有量(面積%)をCKと定義したとき、式(1)を満たす。
DKmin×CK≦15.0 (1)
(C)前記テクスチャの延在方向に垂直な方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義したとき、式(2)を満たす。
(DKmax-DKmin)×CK>1.0 (2)
母材鋼板と、
前記母材鋼板の表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている着色樹脂層とを備え、
前記亜鉛めっき層の表面には、一方向に延びているテクスチャが形成されており、
前記着色樹脂層は着色剤を含有しており、
次の(A)~(C)の全てを満たす。
(A)前記テクスチャの延在方向に垂直な方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル上の位置のうち、高さが低い順に10点特定した位置を凹部底点と定義し、測定された前記粗さプロファイル上の位置のうち、高さが高い順に10点特定した位置を凸部頂点と定義し、各凹部底点及び各凸部頂点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された三次元平均粗さSaの算術平均値を三次元平均粗さSaaveと定義したとき、三次元平均粗さSaaveが5nm超200nm以下である。
(B)前記テクスチャの延在方向に直交する方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、前記着色樹脂層中の前記着色剤の含有量(面積%)をCKと定義したとき、式(1)を満たす。
DKmin×CK≦15.0 (1)
(C)前記テクスチャの延在方向に垂直な方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義したとき、式(2)を満たす。
(DKmax-DKmin)×CK>1.0 (2)
[1]に記載のめっき鋼板であって、
前記テクスチャは、ヘアラインであり、
次の(D)及び(E)を満たす。
(D)前記テクスチャの延在方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CL)と定義し、前記テクスチャの延在方向と垂直な方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CC)と定義したとき、式(3)を満たす。
Ra(CC)≧Ra(CL)×1.10 (3)
(E)前記テクスチャの延在方向と直交する方向の亜鉛めっき層の表面粗さをRa(MC)と定義したとき、Ra(MC)が0.30μm以上である。
[1]又は[2]に記載のめっき鋼板であって、
前記亜鉛めっき層の地鉄露出率が5%未満である。
図2は、本実施形態のめっき鋼板1の断面図である。図2において、紙面に垂直な方向を、テクスチャ10Sの延在方向(つまり、めっき鋼板1の圧延方向)RDと定義する。めっき鋼板1の厚さ方向を、厚さ方向TDと定義する。めっき鋼板1のうち、テクスチャの延在方向RD及び厚さ方向TDに対して垂直な方向を、幅方向WDと定義する。
母材鋼板100は、製造するめっき鋼板に求められる各機械的性質(たとえば、引張強度、加工性等)に応じて、めっき鋼板(電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等)に適用される公知の鋼板を使用すればよい。たとえば、母材鋼板100として、電気機器用途の鋼板を使用してもよいし、自動車外板用途の鋼板を使用してもよい。母材鋼板100は熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
亜鉛めっき層10は、母材鋼板100の表面上に形成されている。本実施形態において、亜鉛めっき層10は、母材鋼板100と着色樹脂層11との間に配置されている。亜鉛めっき層10は、周知の亜鉛めっき処理法により形成されている。具体的には、亜鉛めっき層10はたとえば、電気めっき法、溶融めっき法のいずれかのめっき法により形成されている。本明細書において、亜鉛めっき層10は、亜鉛合金めっき層も含む。より具体的には、亜鉛めっき層10は、電気亜鉛めっき層、電気亜鉛合金めっき層、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層を含む概念である。
亜鉛めっき層10の付着量は特に制限されず、周知の付着量であれば足りる。亜鉛めっき層10の好ましい付着量は、5.0~120.0g/m2である。亜鉛めっき層10の付着量が5.0g/m2以上であれば、亜鉛めっき層10に後述のテクスチャを付与した場合、地鉄(母材鋼板100)が露出するのを抑制できる。亜鉛めっき層10の付着量のさらに好ましい下限は7.0g/m2であり、さらに好ましくは10.0g/m2である。亜鉛めっき層10の付着量の上限については特に制限されない。経済性の観点から、電気めっき法による亜鉛めっき層10であれば、好ましい付着量の上限は40.0gm2であり、さらに好ましい上限は35.0g/m2であり、さらに好ましくは30.0g/m2である。
着色樹脂層11は、亜鉛めっき層10の表面(テクスチャ)10S上に形成されている。図3は、図2に示す着色樹脂層11の拡大図である。図3を参照して、着色樹脂層11は、樹脂31と、着色剤32とを備える。着色剤32は、樹脂31中に含有されている。以下、樹脂31及び着色剤32について説明する。
樹脂31は、透光性を有する樹脂である。本明細書において、「透光性を有する樹脂」とは、晴天午前の太陽光相当(照度約65000ルクス)の環境に着色剤32及び樹脂31を含有する着色樹脂層11を備えるめっき鋼板1を置いたとき、亜鉛めっき層10のテクスチャ10Sを視認できることを意味する。樹脂31は、着色剤32を固着するバインダーとして機能する。
着色剤32は、上述の樹脂31中に含有されることにより、着色樹脂層11を着色する。着色剤32は周知のものであって、無機顔料、有機顔料、染料等、鋼板表面に形成する樹脂層を着色する際に用いるものを広く含む。着色剤32は、有彩色の着色剤である。有彩色とは、色相、明度及び彩度の属性を有する色を意味する。着色剤32はたとえば、無機顔料、有機顔料、及び、染料からなる群から選択される1種以上からなる。なお、紫外線への耐久性の観点から、着色剤32は顔料系(無機顔料及び/又は有機顔料)がより好ましい。
めっき鋼板1の亜鉛めっき層10の表面には、テクスチャ10Sが形成されている。テクスチャ10Sは一方向に延在している。本明細書において「テクスチャ」とは、物理的又は化学的手法によって、亜鉛めっき層10の表面に形成された凹凸模様を意味する。好ましいテクスチャは、ヘアラインである。ヘアラインは、一方向に延在する線状の凹凸模様である。
図4は、表面にテクスチャ10Sとしてヘアラインが形成されている亜鉛めっき層10の平面図である。図4を参照して、ヘアライン10Sは、亜鉛めっき層10の表面に形成されている直線状の凹凸模様である。ヘアライン10Sの延在方向RDは同一方向である。ここでいう同一方向とは、亜鉛めっき層10を厚さ方向TDに見た場合(つまり、図4のような平面視において)、ヘアライン10Sの延在方向RDと垂直な方向WDに配列された、互いに隣り合うヘアライン同士のなす角度のうち90%以上が、±5°未満であることを意味する。
上述の構成を有する本実施形態のめっき鋼板1はさらに、次の(A)~(C)の全てを満たす。
要件(A):
テクスチャ10Sの延在方向RDに直交する方向WDの1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された粗さプロファイル上の位置のうち、高さが低い順に10点特定した位置を凹部底点と定義し、測定された粗さプロファイル上の位置のうち、高さが高い順に10点特定した位置を凸部頂点と定義する。各凹部底点及び各凸部頂点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定する。測定された三次元平均粗さSaの算術平均値を三次元平均粗さSaaveと定義する。このとき、三次元平均粗さSaaveが5nm超200nm以下である。
要件(B):
テクスチャ10Sの延在方向RDに直交する方向WDの100μm長さの範囲において、着色樹脂層11の最小厚さ(μm)をDKminと定義する。さらに、着色樹脂層11中の着色剤32の含有量(面積%)をCKと定義する。このとき、着色樹脂層11の最小厚さDKminと着色剤32の含有量CKとは、式(1)を満たす。
DKmin×CK≦15.0 (1)
要件(C):
テクスチャ10Sの延在方向RDに直交する方向WDの100μm長さの範囲において、着色樹脂層11の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義する。このとき、着色樹脂層11の最大厚さDKmaxと、着色樹脂層11の最小厚さDKminと、着色剤32の含有量CKとは、式(2)を満たす。
(DKmax-DKmin)×CK>1.0 (2)
以下、各要件について詳述する。
図5は、亜鉛めっき層10の表面に形成されたテクスチャ10Sの粗さプロファイルを示す図である。図5を参照して、テクスチャ10Sの延在方向RDに直交する方向WDの任意の1000μm長さ範囲を選定する。選定された1000μm長さ範囲において、テクスチャ10Sの粗さプロファイルを測定する。得られた粗さプロファイルが図5のような形状であったと仮定する。
図1を参照して、テクスチャ10Sの延在方向RDと直交する方向WDの任意の100μm長さ範囲の断面に注目する。この100μm長さ範囲の断面(図1)を、観察断面と定義する。観察断面において、着色樹脂層11の厚さのうち、最小厚さをDKmin(μ)と定義する。観察断面において、着色樹脂層11の厚さのうち、最大厚さをDKmax(μm)と定義する。
DKmin×CK≦15.0 (1)
CK=A1/A0×100
テクスチャ10Sの延在方向RDに垂直な断面であって、テクスチャ10Sの延在方向RDに直交する方向WDの100μm長さ範囲の観察断面において、着色樹脂層11の最大厚さDKmaxと、着色樹脂層11の最小厚さDKminと、着色剤32の含有量CKとは、式(2)を満たす。
(DKmax-DKmin)×CK>1.0 (2)
本実施形態のめっき鋼板1において、好ましくは、着色樹脂層11の平均厚さは10.0μm以下である。着色樹脂層11の厚さが10.0μmを超えれば、着色樹脂層11のみで平滑化(レベリング)しやすくなり、着色樹脂層11の表面での反射の印象と視認できるテクスチャ10Sの印象との乖離が大きくなる。この場合、めっき鋼板1のメタリック感が低下する。着色樹脂層11の平均厚さが10.0μm以下であれば、上述の要件(A)~(C)の全てを満たすことを前提として、亜鉛めっき層10のテクスチャ10Sを視認可能であり、かつ、メタリック感も十分に高まる。着色樹脂層11の平均厚さのさらに好ましい上限は9.0μmであり、さらに好ましくは8.0μmである。
本実施形態のめっき鋼板1の着色樹脂層11はさらに、着色樹脂層11に耐食性、摺動性、導電性等を付与するために、添加剤を含有してもよい。耐食性を付与するための添加剤はたとえば、周知の防錆剤やインヒビターである。摺動性を付与するための添加剤はたとえば、周知のワックスやビーズである。導電性を付与するための添加剤はたとえば、周知の導電剤である。
好ましくは、着色樹脂層11は、下層である亜鉛めっき層10の表面に形成されたテクスチャ10Sの種類に起因して、以下で詳述するような表面形状を有する。
Ra(CC)≧Ra(CL)×1.10 (3)
テクスチャ10Sが形成された亜鉛めっき層10の表面の、テクスチャ10Sの延在方向に直交する方向WDでの表面粗さRaをRa(MC)と定義する。テクスチャ10Sがヘアラインである場合、好ましくは、表面粗さRa(MC)は0.30μm以上である。表面粗さRa(MC)が0.30μm未満であれば、着色樹脂層11上からテクスチャ10Sを視認しにくい。表面粗さRa(MC)が0.30μm以上であれば、着色樹脂層11上からテクスチャ10Sを十分に視認できる。表面粗さRa(MC)のさらに好ましい下限は0.35μmであり、さらに好ましくは0.40μmである。表面粗さRa(MC)の上限は特に限定されない。しかしながら、表面粗さRa(MC)を過剰に高めることは、工業生産上困難である場合がある。そのため、表面粗さRa(MC)の上限はたとえば、2.00μmである。表面粗さRa(MC)の上限はたとえば、1.00μmであってもよい。
好ましくは、めっき鋼板1の亜鉛めっき層10の地鉄露出率は、5%未満である。本実施形態において、耐食性は、亜鉛めっき層10(亜鉛めっき又は亜鉛合金めっき)により十分に確保される。しかしながら、テクスチャ10Sの付与時に亜鉛めっき層10の表面を研削した結果、地鉄が露出した場合、ガルバニック腐食の影響により、長期間での耐食性(長期耐食性)が低下する場合がある。このような長期耐食性の低下は、地鉄露出率5%以上で顕著となることが多い。そのため、本実施形態では、好ましい地鉄露出率は、5%未満である。
本実施形態のめっき鋼板1の製造方法の一例を説明する。以降に説明する製造方法は、本実施形態のめっき鋼板1を製造するための一例である。したがって、上述の構成を有するめっき鋼板1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態のめっき鋼板1の製造方法の好ましい一例である。
準備工程(S1)では、母材鋼板100を準備する。母材鋼板100は、鋼板であってもよいし、その他の形状であってもよい。母材鋼板100が鋼板である場合、母材鋼板100は熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
亜鉛めっき処理工程(S2)では、準備された母材鋼板100に対して、亜鉛めっき処理を実施して、母材鋼板100の表面に亜鉛めっき層10を形成する。
テクスチャ加工工程(S3)では、めっき鋼板の亜鉛めっき層10の表面に対して周知のテクスチャ加工を実施することにより、亜鉛めっき層10の表面に対してテクスチャ10Sを形成する。
積層樹脂層形成工程(S4)では、テクスチャ10Sが形成されためっき鋼板の亜鉛めっき層10上に、着色樹脂層11を形成する。以下、着色樹脂層形成工程(S4)について詳述する。
[三次元平均粗さSaave測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面のテクスチャ(ヘアライン)の最大三次元平均粗さSamaxを次の方法で測定した。初めに、亜鉛めっき層を侵さない溶剤(三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701)を用いて、亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層を除去した。亜鉛めっき層の表面のうち、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向に直交する方向の任意の1000μm長さ範囲を1箇所選定した。選定された1000μm長さ範囲において、テクスチャの粗さプロファイルを測定した。粗さプロファイルは、三次元表面粗さ測定機(東京精密製 サーフコム1500DX3)で測定した。測定された粗さプロファイル上の位置のうち、高さが低い位置を、高さが低い順に10点特定し、高さが低い順に、凹部底点PRE1、PRE2、…、PRE10と定義した。測定された粗さプロファイル上の位置のうち、高さが高い位置を、高さが高い順に10点特定し、高さが高い順に、凸部頂点PCO1、PCO2、…、PCO10と定義した。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層の厚さ(DKmin、DKmax)を次の方法で測定した。各試験番号の亜鉛めっき鋼板において、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する断面を表面に持つサンプルを採取した。サンプルのうち、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向に100μmの長さ範囲の観察断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍の反射電子像(BSE)で観察した。観察断面において、方向WDに0.5μmピッチで着色樹脂層の厚さを測定した。測定された厚さのうち、最小の厚さを最小厚さDKmin(μm)と定義した。測定された厚さのうち、最大の厚さを最大厚さDKmax(μm)と定義した。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層中の着色剤含有量(面積%)を次の方法で求めた。テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する断面を表面に持つサンプルを採取した。サンプルにおいて、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する断面を観察面とした。サンプルから、FIBを用いて、観察面の着色樹脂層と亜鉛めっき層とを観察可能な薄膜試料を作製した。薄膜試料の膜厚は150nmとした。作製した薄膜試料の観察面のうち、着色樹脂層の厚さ方向と垂直な方向(つまり、方向WD)の長さが3μmであって、かつ、着色樹脂層の厚さ方向(つまり、方向TD)において、着色樹脂層全体を含む長さを有する視野を、TEMを用いて観察した。TEM観察において、着色樹脂層中の樹脂と着色剤とは、コントラストにより識別可能であった。観察断面中の着色樹脂層中の複数の着色剤の総面積A1(μm2)を求めた。さらに、観察断面中の着色樹脂層の面積A0(μm2)を求めた。求めた総面積A1及び面積A0に基づいて、次式により着色樹脂層11中の着色剤含有量(面積%)を求めた。
CK=A1/A0×100
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層中の粗さRa(CC)及びRa(CL)を次の方法で求めた。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)を次の方法で求めた。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の地鉄露出率を、次の方法により測定した。着色樹脂層が除去された亜鉛めっき鋼板を準備した。亜鉛めっき層の表面において、1mm×1mmの任意の矩形領域を5箇所選択した。選択された矩形領域に対してEPMA分析を実施した。画像解析により、各矩形領域中のZnが検出されない領域(Zn未検出領域)を特定した。Znの検出強度が標準試料(純Zn)を測定した場合の1/16以下となる領域を、Zn未検出領域と認定した。5つの矩形領域の総面積に対する、5つの矩形領域中のZn未検出領域の総面積の割合(面積%)を、地鉄露出率(面積%)と定義した。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板を、晴天午前の太陽光相当(照度約65000ルクス)の環境に置いた。そして、光源と鋼板と目線との角度をさまざまに変えて観察し、テクスチャが視認できるか否かを確認した。鋼板表面の鉛直方向に対して5°~80°まですべての角度でテクスチャが視認できれば、非常に良好であり合格と評価した(表1中で評価「A」)。また、鋼板表面の鉛直方向に対して5°~80°までの角度のうち一部でテクスチャが視認できれば合格と評価した(表1中で評価「B」)。一方、テクスチャを全く視認できなければ、不合格と評価した(表1中で評価「C」)。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板に対して、次の方法により、明度L*値を参考値として測定した。測定には、コニカミノルタ株式会社製の測色計(商品名:CM-2600d)を用いた。測定においては、光源としてCIE標準光源D65を用い、視野角度10°として、SCE方式によりCIELAB表示色でL*値を求めた。
各試験番号の亜鉛めっき鋼板に対して、次の方法により、耐食性(長期耐食性)を評価した。各試験番号の亜鉛めっき鋼板から、75mm×100mmの試験片を採取した。試験片の端面及び裏面をテープシールで保護した。その後、35℃に保持された5%NaClの塩水噴霧試験を、JIS Z 2371(2015)に準拠して実施した。試験を240時間実施し、試験後の錆発生率を求めた。錆発生率が5%以下であれば、合格と評価した(表1中で評価「A」)。一方、錆発生率が5%を超える場合、不合格を評価した(表1中で評価「C」)。
次の方法により、各試験番号の亜鉛めっき鋼板のメタリック感を測定した。各試験番号のめっき鋼板1の任意の点において、テクスチャ(ヘアライン)と平行方向の光沢度G60(Gl)と、テクスチャ(ヘアライン)と直行方向の光沢度G60(Gc)とを光沢度計で測定した。光沢度計は、スガ試験機株式会社製のグロスメーター(商品名:UGV-6P)を用いた。得られた光沢度Glと、光沢度Gcとに基づいて、Gc/Glを求めた。テクスチャを視認でき、かつ、Gc/Gl≦0.70であれば、優れたメタリック感が得られていると判断し、合格と評価した(表1中で評価「A」)。テクスチャを視認でき、かつ、0.70<Gc/Gl≦0.90であれば、良好なメタリック感が得られていると判断し、合格と評価した(表1中で評価「B」)。テクスチャを視認できない、またはテクスチャを視認できても0.90<Gc/Glであれば、メタリック感が得られていないと判断し、不合格と評価した(表1中で評価「C」)。
表1を参照して、試験番号3、9~18、21、22、25、26、29及び30では、三次元平均粗さが5nm超200nm以下であり、着色樹脂層の最小厚さDKmin及び着色樹脂層中の着色剤の含有量CKが式(1)を満たした。さらに、着色樹脂層の最大厚さDKmaxと、最小厚さDKminと、着色剤含有量CKとが式(2)を満たした。さらに、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向の着色樹脂層の表面粗さRa(CL)と、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向の着色樹脂層の表面粗さRa(CC)とが、式(3)を満たした。さらに、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)が0.30μm以上であった。そのため、明度が40以下であっても、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認可能であった(評価A又はB)。さらに、Gc/GIが0.90以下であり、十分なメタリック感が得られた。
10 亜鉛めっき層
10S テクスチャ
11 着色樹脂層
31 樹脂
32 着色剤
Claims (3)
- めっき鋼板であって、
母材鋼板と、
前記母材鋼板の表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている着色樹脂層とを備え、
前記亜鉛めっき層の表面には、一方向に延びているテクスチャが形成されており、
前記着色樹脂層は着色剤を含有しており、
次の(A)~(C)及び(E)を満たす、
めっき鋼板。
(A)前記テクスチャの延在方向に垂直な方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル上の位置のうち、高さが低い順に10点特定した位置を凹部底点と定義し、測定された前記粗さプロファイル上の位置のうち、高さが高い順に10点特定した位置を凸部頂点と定義し、各凹部底点及び各凸部頂点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された三次元平均粗さSaの算術平均値を三次元平均粗さSaaveと定義したとき、三次元平均粗さSaaveが5nm超200nm以下である。
(B)前記テクスチャの延在方向に直交する方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、前記着色樹脂層中の前記着色剤の含有量(面積%)をCKと定義したとき、式(1)を満たす。
DKmin×CK≦15.0 (1)
(C)前記テクスチャの延在方向に垂直な方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義したとき、式(2)を満たす。
(DKmax-DKmin)×CK>1.0 (2)
(E)前記テクスチャの延在方向と直交する方向の前記亜鉛めっき層の表面粗さをRa(MC)と定義したとき、Ra(MC)が0.30μm以上である。 - 請求項1に記載のめっき鋼板であって、
前記テクスチャは、ヘアラインであり、
次の(D)を満たす、
めっき鋼板。
(D)前記テクスチャの延在方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CL)と定義し、前記テクスチャの延在方向と垂直な方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CC)と定義したとき、式(3)を満たす。
Ra(CC)≧Ra(CL)×1.10 (3) - 請求項1又は請求項2に記載のめっき鋼板であって、
前記亜鉛めっき層の地鉄露出率が5%未満である、
めっき鋼板。
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