JP7401735B2 - めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、めっき鋼板に関し、さらに詳しくは、意匠性を高めた、めっき鋼板に関する。
電気機器、建材、及び、自動車等の物品は、意匠性が求められる場合がある。物品の意匠性を高める方法として、物品の表面に対して塗装を施す方法や、フィルムを張り付ける方法がある。
最近では、自然志向の欧米を中心に、金属の質感を活かした材料が好まれる傾向にある。金属の質感を活かす場合、素材として、無塗装のままでも耐食性に優れるステンレス鋼板やアルミ板が用いられている。また、ステンレス鋼板及びアルミ板のメタリック感をさらに現出させることを目的として、ヘアラインに代表されるテクスチャが表面に形成されたステンレス鋼板やアルミ板も提供されている。しかしながら、ステンレス鋼板やアルミ板は高価である。そのため、ステンレス鋼板やアルミ板に替わる、安価な材料が求められている。
このようなステンレス鋼板やアルミ板の代替材料の一つとして、表面に亜鉛めっき層を備えためっき鋼板が検討されている。本明細書において、亜鉛めっき層は、亜鉛合金めっき層も含む。めっき鋼板は、ステンレス鋼板やアルミ板と同様に、適度な耐食性を備え、かつ、加工性にも優れる。そのため、めっき鋼板は、電気機器や建材等の用途に適する。そこで、めっき鋼板の意匠性を高めることを目的として、種々の提案がされている。
たとえば、特開2006-124824号公報(特許文献1)では、亜鉛めっき鋼板にヘアライン仕上げを実施した後、ヘアラインが形成された亜鉛めっき層の表面に透明樹脂皮膜を形成している。これにより、耐食性を維持しつつ、めっき層の表面を視認可能として、意匠性を高めている。
また、特表2013-536901号公報(特許文献2)では、亜鉛めっき鋼板に対して圧延を実施して、亜鉛めっき層の表面にテクスチャを形成した後、表面粗さが一定範囲内となる有機フィルム(樹脂)で亜鉛めっき層の表面をコーティングしている。これにより、耐食性を維持しつつ、めっき層の表面を視認可能として意匠性を高めている。
特開2006-124824号公報 特表2013-536901号公報
最近ではさらに、金属の質感を活かしつつ、着色した外観を有する材料が求められ始めている。より具体的には、着色した外観を有しつつ、亜鉛めっき層の表面のテクスチャも視認可能なめっき鋼板が望まれている。
本発明の目的は、着色した外観でありながら、亜鉛めっき層の表面のテクスチャを視認可能な、めっき鋼板を提供することである。
本開示によるめっき鋼板は、
表面に母材テクスチャが形成されている母材鋼板と、
前記母材鋼板の前記母材テクスチャが形成されている前記表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている着色樹脂層とを備え、
前記亜鉛めっき層の表面には、めっきテクスチャが形成されており、
前記着色樹脂層は着色剤を含有しており、
前記めっきテクスチャは、
複数の凸部と、
複数の凹部とを含み、
前記母材鋼板の圧延方向を第2方向と定義し、前記めっき鋼板の表面において、前記第1方向と直交する方向を第2方向と定義したとき、めっき鋼板は、次の(A)~(C)を満たす。
(A)前記めっきテクスチャの前記第2方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル中の各前記凹部における最も低い位置を凹部底点と定義したとき、前記粗さプロファイルの複数の前記凹部底点のうち、最も低い順に10個の前記凹部底点を特定し、特定された前記凹部底点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を凹部底三次元平均粗さSasと定義したとき、凹部底三次元平均粗さSasが200nm超2000nm以下である。
(B)前記第2方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、前記着色樹脂層中の前記着色剤の含有量(面積%)をCKと定義し、F1を式(1)で定義したとき、前記F1は15.0以下である。
F1=DKmin×CK (1)
(C)前記第2方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義し、F2を式(2)で定義したとき、前記F2は1.0よりも大きい。
F2=(DKmax-DKmin)×CK (2)
本開示によるめっき鋼板は、着色した外観でありながら、亜鉛めっき層の表面のテクスチャを視認可能であり、さらに、着色樹脂層の密着性を高めることができる。
図1は、本実施形態のめっき鋼板において、第1方向に垂直な断面の模式図である。 図2は、本実施形態のめっき鋼板の断面図である。 図3は、図2に示す着色樹脂層の拡大図である。 図4は、表面にテクスチャとしてヘアラインが形成されている亜鉛めっき層の平面図である。 図5は、亜鉛めっき層の表面に形成されためっきテクスチャの粗さプロファイルを示す図である。 図6Aは、亜鉛めっき層の表面における微小凹部底領域を説明するための模式図である。 図6Bは、亜鉛めっき層の表面における微小凸部頂上領域を説明するための模式図である。 図7は亜鉛めっき層の表面近傍部分での第1方向に垂直な断面図である。 図8は、本実施形態の亜鉛めっき層の表面近傍部分での第1方向に垂直な断面図である。
本発明者らは、着色した外観でありながら、亜鉛めっき層の表面のテクスチャ(以下、めっきテクスチャという)を視認可能なめっき鋼板の検討を行った。特許文献1及び2に記載のとおり、亜鉛めっき層上に、透明樹脂層が形成された亜鉛めっき鋼板は既に提案されている。そこで、本発明者らは始めに、亜鉛めっき層上に形成される樹脂層に顔料及び/又は染料を含む着色剤を含有させて着色した亜鉛めっき鋼板の製造を試みた。
その結果、樹脂層に着色剤を含有させた場合、条件によっては、亜鉛めっき層の表面に形成されためっきテクスチャが視認できない場合があることが判明した。そこで、本発明者らは、樹脂に着色剤を含有させた場合に、めっきテクスチャの視認に影響を与える因子について、調査及び検討を行った。その結果、本発明者らは、次の知見を得た。以降の説明において、母材鋼板の圧延方向を、第1方向RDと定義する。また、めっき鋼板の表面において、第1方向と直交する方向(めっき鋼板の幅方向)を、第2方向WDと定義する。第1方向RD及び第2方向WDと直交する方向(めっき鋼板の厚さ方向)を第3方向TDと定義する。
表面にめっきテクスチャが形成された亜鉛めっき層上に、着色剤を含む着色樹脂層を形成する場合、着色樹脂層中の着色剤の含有量と、着色樹脂層の厚さとは、めっきテクスチャの視認に影響を与える。具体的には、着色樹脂層中の着色剤の含有量が多すぎれば、めっきテクスチャが視認できなくなる。さらに、着色樹脂層が厚すぎれば、めっきテクスチャが視認できなくなる。
さらに、第1方向RDに垂直な断面において、めっきテクスチャ上に形成されている樹脂の厚さは、めっきテクスチャの凹凸に応じて変動する。図1は、本実施形態のめっき鋼板において、第1方向RDに垂直な断面の模式図である。図1を参照して、めっき鋼板1は、母材鋼板100と、亜鉛めっき層10と、着色樹脂層11とを含む。母材鋼板100の表面には、テクスチャ100Sが形成されている。以下、テクスチャ100Sを母材テクスチャ100Sという。亜鉛めっき層10の表面には、めっきテクスチャ10Sが形成されている。めっきテクスチャ10Sは、複数の凸部10CO(Convex)と、複数の凹部10RE(Recess)とを含む。凸部10CO及び凹部10REは、交互に配列されている。図1では、複数の凸部10COと複数の凹部10REとが、第2方向WDに交互に並んでいる。
着色樹脂層11は、亜鉛めっき層10の表面上に形成されている。そのため、着色樹脂層11の表面11Sには、めっきテクスチャ10Sの凹凸模様(凹部10RE及び凸部10COの形状)がある程度反映されるものの、めっきテクスチャ10Sよりは平坦化している。具体的には、着色樹脂層11の表面11Sのうち、めっきテクスチャ10Sの凸部10COに対応する部分には、凸部11COが形成される。凸部11COの高さは、凸部10COの高さよりも低い。つまり、着色樹脂層11の表面11Sの方が、めっきテクスチャ10Sの表面よりも、より平坦化している。
ここで、第2方向WDの100μm長さの範囲において、着色樹脂層11の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義する。また、着色樹脂層11の最小厚さ(μm)をDKminと定義する。着色樹脂層11により着色した場合であっても、めっきテクスチャ10Sを視認可能にするためには、上述のとおり、着色樹脂層11中の着色剤含有量CK(面積%)と、着色樹脂層11の厚さとをある程度に制限する。そして、その制限した条件下においては、着色樹脂層11の最大厚さDKmaxと最小厚さDKminとの差が、めっきテクスチャを視認可能な明度差に反映される。具体的には、着色樹脂層11の最大厚さDKmaxと最小厚さDKminの差をある程度大きくすることにより、めっきテクスチャ10Sの凹部10REと凸部10COとで明度に差が生じる。その結果、着色樹脂層11を形成した場合であっても、めっきテクスチャ10Sを視認できる。
また、着色樹脂層11の亜鉛めっき層10に対する密着性は高い方が好ましい。そこで、本発明者らは、着色樹脂層11の亜鉛めっき層10に対する密着性を向上させる方法について、検討を行った。その結果、めっきテクスチャ10Sの凸部10CO及び凹部10REの、特に凹部10REでの微小領域の表面粗さをある程度粗くする(具体的には、後述する凹部底三次元平均粗さSasを200nm超2000nm以下にする)ことにより、着色樹脂層11の亜鉛めっき層10に対する密着性を向上させることができることを見出した。
以上の知見に基づいて、本発明者らは、(A)めっきテクスチャ10Sの凸部10CO及び凹部10REのうち、凹部10REでの微小領域の表面粗さをある程度粗くし、(B)着色樹脂層11の厚さと着色剤含有量とを調整し、(C)第1方向と直交する断面での着色樹脂層11の最大厚さDKmaxと最小厚さDKminとの差をある程度の大きさに調整する、ことにより、着色した外観でありながら、亜鉛めっき層の表面のめっきテクスチャを視認可能であり、さらに、着色樹脂層の密着性に優れる、めっき鋼板とすることができることを見出した。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態のめっき層鋼材は、次の構成を有する。
[1]のめっき鋼板は、
表面に母材テクスチャが形成されている母材鋼板と、
前記母材鋼板の前記母材テクスチャが形成されている前記表面に形成されている亜鉛めっき層と、
前記亜鉛めっき層上に形成されている着色樹脂層とを備え、
前記亜鉛めっき層の表面には、めっきテクスチャが形成されており、
前記着色樹脂層は着色剤を含有しており、
前記めっきテクスチャは、
複数の凸部と、
複数の凹部とを含み、
前記母材鋼板の圧延方向を第1方向と定義し、前記めっき鋼板の表面において、前記第1方向と直交する方向を第2方向と定義したとき、めっき鋼板は、次の(A)~(C)を満たす。
(A)前記めっきテクスチャの前記第2方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル中の各前記凹部における最も低い位置を凹部底点と定義したとき、前記粗さプロファイルの複数の前記凹部底点のうち、最も低い順に10個の前記凹部底点を特定し、特定された前記凹部底点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を凹部底三次元平均粗さSasと定義したとき、凹部底三次元平均粗さSasが200nm超2000nm以下である。
(B)前記第2方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、前記着色樹脂層中の前記着色剤の含有量(面積%)をCKと定義し、F1を式(1)で定義したとき、前記F1は15.0以下である。
F1=DKmin×CK (1)
(C)前記第2方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義し、F2を式(2)で定義したとき、前記F2は1.0よりも大きい。
F2=(DKmax-DKmin)×CK (2)
[2]のめっき鋼板は、
[1]に記載のめっき鋼板であってさらに、次の(D)を満たす。
(D)前記めっきテクスチャの前記第2方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル中の各前記凸部における最も高い位置を凸部頂上点と定義したとき、前記粗さプロファイルの複数の前記凸部頂上点のうち、最も高い順に10個の前記凸部頂上点を特定し、特定された前記凸部頂上点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を凸部頂上三次元平均粗さSaと定義したとき、凸部頂上三次元平均粗さSahが5nm超200nm以下である。
めっきテクスチャの粗さは、めっきテクスチャの視認に影響を与える。亜鉛めっき層の表面にめっきテクスチャが形成されている場合、亜鉛めっき層の表面には、めっきテクスチャの凹凸だけでなく、めっきテクスチャの表面に、亜鉛めっきの結晶に起因した微小な凹凸(粗さ)も存在する。亜鉛めっきの結晶に起因した微小凹凸が小さければ、亜鉛めっきの結晶に起因した微小凹凸による光の乱反射が抑制される。この場合、めっきテクスチャの光沢が高まり、めっきテクスチャの白化が抑制される。[2]のめっき鋼板では、めっきテクスチャのうち凹部の微視的領域での粗さを200nm以上と粗く維持し、さらに、凸部の微視的領域での粗さを200nm以下に抑える。そのため、めっきテクスチャの凹部により、着色樹脂層の密着性を維持しつつ、凸部により、めっきテクスチャの視認性をより高めることができる。
[3]のめっき鋼板は、
[2]に記載のめっき鋼板であって、
複数の前記凸部と複数の前記凹部とは、前記第1方向に延びており、
複数の前記凸部と複数の前記凹部とは、前記第2方向に配列されている。
[4]のめっき鋼板は、
[3]に記載のめっき鋼板であって、
前記母材テクスチャはヘアラインであり、
前記めっきテクスチャはヘアラインであり、
前記めっき鋼板はさらに、
次の(E)及び(F)を満たす。
(E)前記第1方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CL)と定義し、前記第2方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CC)と定義し、F3を式(3)で定義したとき、前記F3は1.10以上である。
F3=Ra(CC)/Ra(CL) (3)
(F)前記第2方向の前記亜鉛めっき層の表面粗さをRa(MC)と定義したとき、Ra(MC)が0.30μm以上である。
[5]のめっき鋼板は、
[1]~[4]のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
前記めっき鋼板を前記着色樹脂層側から見た場合の明度L(SCI)が45以下である。
[6]のめっき鋼板は、
[1]~[5]のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
F1は13.5以下である。
[7]のめっき鋼板は、
[1]~[6]のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
F2は2.0よりも大きい。
[8]のめっき鋼板は、
[1]~[7]のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
前記F3は1.15以上である。
[9]のめっき鋼板は、
[1]~[8]のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
前記亜鉛めっき層の地鉄露出率が5%未満である。
[10]のめっき鋼板は、
[2]に記載のめっき鋼板であって、
複数の前記凸部は、前記亜鉛めっき層の表面を研磨して形成されており、
複数の前記凹部は、研磨されていない。
以下、本実施形態のめっき鋼板について詳述する。
[めっき鋼板1について]
図2は、本実施形態のめっき鋼板1の断面図である。図2を参照して、本実施形態のめっき鋼板1は、母材鋼板100と、亜鉛めっき層10と、着色樹脂層11とを備える。亜鉛めっき層10は、母材鋼板100の表面の母材テクスチャ100S上に形成されている。着色樹脂層11は、亜鉛めっき層10の表面(テクスチャ)10S上に形成されている。亜鉛めっき層10は、母材鋼板100と、着色樹脂層11との間に配置されている。以下、母材鋼板100、亜鉛めっき層10、及び、着色樹脂層11について、説明する。
[母材鋼板100について]
母材鋼板100は、製造するめっき鋼板に求められる各機械的性質(たとえば、引張強度、加工性等)に応じて、めっき鋼板に適用される公知の鋼板を使用すればよい。たとえば、母材鋼板100として、電気機器用途の鋼板を使用してもよいし、自動車外板用途の鋼板を使用してもよい。母材鋼板100は熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
母材鋼板100の表面には、テクスチャ100S(母材テクスチャ100S)が形成されている。後述のめっきテクスチャ10Sは、母材テクスチャ100Sに沿って形成されてもよい。この場合、めっきテクスチャ10Sの模様は、母材テクスチャ100Sの模様と相似である。たとえば、母材テクスチャ100Sがダルである場合、めっきテクスチャ10Sもダルである。母材テクスチャ100Sがヘアラインである場合、めっきテクスチャ10Sもヘアラインである。一方、母材テクスチャ100Sとめっきテクスチャ10Sとが異なる模様であってもよい。たとえば、母材テクスチャ100Sがダルであり、めっきテクスチャ10Sがヘアラインであってもよい。
[亜鉛めっき層10について]
亜鉛めっき層10は、母材鋼板100の表面上に形成されている。本実施形態において、亜鉛めっき層10は、母材鋼板100と着色樹脂層11との間に配置されている。亜鉛めっき層10は、周知の亜鉛めっき処理法により形成されている。具体的には、亜鉛めっき層10はたとえば、電気めっき法により形成されている。本明細書において、亜鉛めっき層10は、亜鉛合金めっき層も含む。
亜鉛めっき層10は周知の化学組成を有すれば足りる。亜鉛めっき層10の化学組成中のZn含有量は、質量%で65%以上である。Zn含有量が質量%で65%以上であれば、犠牲防食機能が顕著に発揮され、めっき鋼板1の耐食性が顕著に高まる。亜鉛めっき層10の化学組成中のZn含有量の好ましい下限は70%であり、さらに好ましくは80%である。
亜鉛めっき層10の化学組成は、Al、Co、Cr、Cu、Fe、Ni、P、Si、Sn、Mg、Mn、Mo、V、W、Zrからなる元素群から選択される1元素又は2元素以上と、Znとを含有するのが好ましい。また、亜鉛めっき層10が電気亜鉛めっき層である場合の化学組成は、Fe、Ni、及び、Coからなる元素群から選択される少なくとも1元素以上を、合計で5~20質量%含有することがさらに好ましい。また、亜鉛めっき層10が溶融亜鉛めっき層である場合の化学組成は、Mg、Al、Siからなる群から選択される少なくとも1元素以上を、合計で5~20質量%含有することがさらに好ましい。これらの場合、亜鉛めっき層10はさらに、優れた耐食性を示す。
亜鉛めっき層10は、不純物を含有していてもよい。ここで、不純物とは、原料中に混入している、又は、製造工程において混入するものである。不純物はたとえば、Ti、B、S、N、C、Nb、Pb、Cd、Ca、Pb、Y、La、Ce、Sr、Sb、O、F、Cl、Zr、Ag、W、H等である。亜鉛めっき層10の化学組成において、不純物の総含有量が1%以下であるのが好ましい。
亜鉛めっき層10の化学組成は、たとえば、次の方法により測定可能である。亜鉛めっき層10を侵さない溶剤やリムーバー(たとえば、三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701)などの剥離剤でめっき鋼板1の着色樹脂層11を除去する。その後、インヒビター入りの塩酸を用いて、亜鉛めっき層10を溶解する。溶解液に対して、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分光分析装置を用いたICP分析を実施して、Zn含有量を求める。求めたZn含有量が65%以上であれば、測定対象のめっき層が亜鉛めっき層10であると判断する。
[亜鉛めっき層10の付着量について]
亜鉛めっき層10の付着量は特に制限されず、周知の付着量であれば足りる。亜鉛めっき層10の好ましい付着量は、5.0~120.0g/mである。亜鉛めっき層10の付着量が5.0g/m以上であれば、亜鉛めっき層10に後述のめっきテクスチャを付与した場合、地鉄(母材鋼板100)が露出するのを抑制できる。亜鉛めっき層10の付着量のさらに好ましい下限は7.0g/mであり、さらに好ましくは10.0g/mである。亜鉛めっき層10の付着量の上限については特に制限されない。経済性の観点から、電気めっき法による亜鉛めっき層10であれば、好ましい付着量の上限は40.0gmであり、さらに好ましい上限は35.0g/mであり、さらに好ましくは30.0g/mである。
[着色樹脂層11について]
着色樹脂層11は、亜鉛めっき層10の表面(めっきテクスチャ)10S上に形成されている。図3は、図2に示す着色樹脂層11の拡大図である。図3を参照して、着色樹脂層11は、樹脂31と、着色剤32とを備える。着色剤32は、樹脂31中に含有されている。以下、樹脂31及び着色剤32について説明する。
[樹脂31について]
樹脂31は、透光性を有する樹脂である。本明細書において、「透光性を有する樹脂」とは、晴天午前の太陽光相当(照度約65000ルクス)の環境に着色剤32及び樹脂31を含有する着色樹脂層11を備えるめっき鋼板1を置いたとき、亜鉛めっき層10のめっきテクスチャ10Sを視認できることを意味する。樹脂31は、着色剤32を固着するバインダーとして機能する。
樹脂31は、上述の定義の透光性を有する樹脂であれば特に限定されず、周知の天然樹脂、又は、周知の合成樹脂を用いることができる。樹脂31はたとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、メラミンアルキッド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上である。
[着色剤32について]
着色剤32は、上述の樹脂31中に含有されることにより、着色樹脂層11を着色する。着色剤32は周知のものである。着色剤32は、有彩色を有する。有彩色とは、色相、明度及び彩度の属性を有する色を意味する。着色剤32はたとえば、無機顔料、有機顔料、及び、染料からなる群から選択される1種以上からなる。紫外線への耐久性の観点から、着色剤32は顔料系(無機顔料及び/又は有機顔料)であることがより好ましい。
着色剤32が無機顔料である場合、着色剤32はたとえば、中和沈殿顔料(硫酸塩、炭酸塩等)、及び/又は、焼成顔料(金属硫化物、金属酸化物、多価金属複合酸化物等)である。着色剤32が有機顔料である場合、着色剤32はたとえば、塩素性顔料、アゾ顔料(溶製アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料等)、酸縮合顔料、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、インジゴ型顔料、キナクリドン型顔料、アントラキノン型顔料等)、及び、金属錯体顔料(アゾキレート顔料、遷移金属錯体顔料等)からなる群から選択される1種以上である。着色剤32が染料である場合、着色剤32はたとえば、アゾ染料、インジゴ染料、アントラキノン染料、硫化染料、及び、カーボニウム染料からなる群から選択される1種以上である。
着色剤32の色は特に限定されない。着色剤32はたとえば、カーボンブラック(C)、鉄黒(Fe)等の黒色である。ただし、着色剤32は黒色に限定されず、他の色の着色剤32(白色、紫赤色、黄色、緑青色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色等)であってもよい。
着色剤32が顔料である場合、粒子径は特に限定されない。着色剤32が顔料である場合の一次粒径の最大値はたとえば、3nm~1000nmである。
[亜鉛めっき層10の表面に形成されるめっきテクスチャ10Sについて]
めっき鋼板1の亜鉛めっき層10の表面には、めっきテクスチャ10Sが形成されている。本明細書において「テクスチャ」とは、物理的又は化学的手法によって、母材鋼板100の表面及び/又は亜鉛めっき層10の表面に形成された凹凸模様を意味する。つまり、テクスチャ(母材テクスチャ100S、めっきテクスチャ10S)は、複数の凸部と、複数の凹部とを有する。凸部及び凹部は、一方向に延びていてもよいし、延びていなくてもよい。テクスチャはたとえば、ダルであり、ヘアラインである。好ましいテクスチャは、ヘアラインである。ヘアラインは、一方向に延びる線状の凹凸模様である。
[めっきテクスチャ10Sがヘアラインの場合]
図4は、表面にめっきテクスチャ10Sとしてヘアラインが形成されている亜鉛めっき層10の平面図である。図4を参照して、ヘアライン10Sは、亜鉛めっき層10の表面に形成されている直線状の凹凸模様である。ヘアライン10Sは、第1方向に延在する複数の溝10Lを含む。ヘアライン10Sの複数の溝10Lの延在方向は実質的に同一の方向である。ここでいう実質的に同一の方向とは、亜鉛めっき層10を厚さ方向TDに見た場合(つまり、図4のような平面視において)、ヘアライン10Sの溝10Lの延在方向と直交する第2方向WDに配列された、互いに隣り合う溝10L同士のなす角度のうち90%以上が、±5°未満であることを意味する。
[要件(A)~(C)について]
上述の構成を有する本実施形態のめっき鋼板1はさらに、次の(A)~(C)を満たす。
要件(A):
めっきテクスチャ10Sの第2方向WDの1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された粗さプロファイル中の各凹部10REにおける最も低い位置を凹部底点と定義し、粗さプロファイルの複数の凹部底点のうち、最も低い順に10個の凹部底点を特定し、特定された凹部底点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を凹部底三次元平均粗さSasと定義したとき、凹部底三次元平均粗さSasが200nm超2000nm以下である。
要件(B):
第2方向WDの100μm長さの範囲において、着色樹脂層11の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、着色樹脂層11中の着色剤32の含有量(面積%)をCKと定義し、F1を式(1)で定義したとき、F1は15.0以下である。
F1=DKmin×CK (1)
要件(C):
第2方向WDの100μm長さの範囲において、着色樹脂層11の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義し、F2を式(2)で定義したとき、F2は1.0よりも大きい。
F2=(DKmax-DKmin)×CK (2)
以下、各要件について詳述する。
[テクスチャの凹凸の表面粗さについて]
図5は、亜鉛めっき層10の表面に形成されためっきテクスチャ10Sの粗さプロファイルを示す図である。図5を参照して、めっきテクスチャ10Sの第2方向WDの任意の1000μm長さ範囲を選定する。選定された1000μm長さ範囲において、めっきテクスチャ10Sの粗さプロファイルを測定する。得られた粗さプロファイルが図5のような形状であったと仮定する。
[凹部底三次元平均粗さSasについて]
測定された粗さプロファイル中の各凹部10REに注目する。各凹部10REにおいて、高さが最も低い位置を、凹部底点PREと定義する。1000μm長さ範囲での粗さプロファイル中の複数の凹部底点PREのうち、最も低い凹部底点PRE1から、低い順に10点の凹部底点PRE1、PRE2、…、PRE10を特定する。
図6Aに示すとおり、亜鉛めっき層10の表面を平面視して、定義された各凹部底点PREk(kは1~10)を中心とした1μm×1μmの微小凹部底領域200を特定する。図6Aでは微小凹部底領域200の縦方向をめっきテクスチャ10Sの延在方向RDと平行とし、微小凹部底領域200の横方向を幅方向WDと平行としている。しかしながら、微小凹部底領域200は、延在方向RD及び幅方向WDを含む面であれば、微小凹部底領域200の各辺が、延在方向RD又は幅方向WDに平行でなくてもよい。
以上の方法で特定された10個の微小凹部底領域200の各々において、三次元平均粗さSaを測定する。三次元平均粗さSaは、JIS B 0601(2013)で規定されているRa(線の算術平均粗さ)を面に拡張した、ISO 25178で規定される算術平均粗さである。測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を、凹部底三次元平均粗さSasと定義する。
[凸部頂上三次元平均粗さSahについて]
図5を参照して、めっきテクスチャ10Sの第2方向WDの任意の1000μm長さ範囲の粗さプロファイル中の各凸部10COに注目する。各凸部10COにおいて、高さが最も高い位置を、凸部頂上点PCOと定義する。1000μm長さ範囲での粗さプロファイル中の複数の凸部頂上点PCOのうち、最も高い凸部頂上点PCO1から、高い順に10点の凸部頂上点PCO1、PCO2、…、PCO10を特定する。
図6Bに示すとおり、亜鉛めっき層10の表面を平面視して、定義された各凸部頂上点PCOk(kは1~10)を中心とした1μm×1μmの微小凸部頂上領域300を特定する。図6Bでは微小凸部頂上領域300の縦方向をめっきテクスチャ10Sの延在方向RDと平行とし、微小凸部頂上領域300の横方向を幅方向WDと平行としている。しかしながら、微小凸部頂上領域300は、延在方向RD及び幅方向WDを含む面であれば、微小凸部頂上領域300の各辺が、延在方向RD又は幅方向WDに平行でなくてもよい。
以上の方法で特定された10個の微小凸部頂上領域300の各々において、三次元平均粗さSaを測定する。三次元平均粗さSaは、JIS B 0601(2013)で規定されているRa(線の算術平均粗さ)を面に拡張した、ISO 25178で規定される算術平均粗さである。測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を、凸部頂上三次元平均粗さSahと定義する。
[要件(A)について]
上述の定義により求められた凹部底三次元平均粗さSasは、200nm超2000nm以下である(要件(A))。この粗さは、亜鉛めっきの結晶に基づく。めっきテクスチャ10Sの凹凸において、少なくとも凹部底三次元平均粗さSasがある程度粗く、200nm超2000nm以下であれば、着色樹脂層11の亜鉛めっき層10に対する密着性を向上させることができる。凹部底三次元平均粗さSasの好ましい下限は250nmであり、さらに好ましくは300nmである。凹部底三次元平均粗さSasの好ましい上限は1500nmであり、さらに好ましくは1000nmであり、さらに好ましくは800nmである。
めっきテクスチャ10Sのうち、少なくとも凹部底三次元平均粗さSasが200nm超2000nm以下であれば、凸部頂上三次元平均粗さSahの値は特に限定されない。凸部頂上三次元平均粗さSahはたとえば、2000nm以下である。めっきテクスチャ10Sの凹凸の形状も特に限定されない。
図7は亜鉛めっき層10の表面近傍部分での第1方向RDに垂直な断面図である。図7を参照して、亜鉛めっき層10の表面に形成されためっきテクスチャ10Sの凹部10RE及び凸部10COでは、研磨する前では、凹部10REの表面及び凸部10COの表面には、めっき結晶に起因したナノメートルレベルの微小な凹凸(微小凹部SRE及び微小凸部SCO)が存在する。この場合、凹部底三次元平均粗さSas及び凸部頂上三次元平均粗さSahはいずれも、200nm超2000nm以下である。
[要件(B)について]
図1を参照して、めっきテクスチャ10Sの第1方向RDと直交する第2方向WDの任意の100μm長さ範囲の断面に注目する。この100μm長さ範囲の断面(図1)を、観察断面と定義する。観察断面において、着色樹脂層11の厚さのうち、最小厚さをDKmin(μ)と定義する。観察断面において、着色樹脂層11の厚さのうち、最大厚さをDKmax(μm)と定義する。
さらに、観察断面において、着色樹脂層11中の着色剤の含有量(面積%)をCKと定義する。上記のとおり、本明細書において、着色剤含有量CKは、観察断面における着色剤の面積率(面積%)で示す。
ここで、F1を式(1)で定義する。
F1=DKmin×CK (1)
このとき、F1は15.0以下である。
F1は着色樹脂層11の着色濃度の指標である。F1が15.0を超える場合、着色樹脂層11の厚さが厚すぎる、又は、着色剤含有量CKが多すぎる。この場合、着色樹脂層11の着色が濃すぎ、亜鉛めっき層10のめっきテクスチャ10Sが視認しにくい。F1が15.0以下であれば、要件(A)及び(C)を満たすことを条件として、着色樹脂層11により着色した外観でありながら、亜鉛めっき層10の表面のめっきテクスチャ10Sを十分視認できる。F1の好ましい上限は14.0であり、さらに好ましくは13.5であり、さらに好ましくは13.0であり、さらに好ましくは12.5である。なお、F1の下限は特に限定されない。F1の下限はたとえば、4.0である。
着色樹脂層11の厚さは、次の方法で測定する。めっきテクスチャ10Sの第1方向RDと直交する断面を表面に持つサンプルを採取する。サンプルのうち、第2方向WDに100μmの長さ範囲の観察断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍の反射電子像(BSE)で観察する。走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像(BSE)での観察において、母材鋼板100、亜鉛めっき層10、及び、着色樹脂層11は、コントラストにより容易に判別可能である。観察断面において、第2方向WDに0.5μmピッチで着色樹脂層11の厚さを測定する。測定された厚さのうち、最小の厚さを最小厚さDKmin(μm)と定義する。測定された厚さのうち、最大の厚さを最大厚さDKmax(μm)と定義する。着色樹脂層11か否かの判断(つまり、樹脂に着色剤が含まれているか否かの判断)が必要な場合、後述のTEM観察により着色樹脂層11か否かを判断してもよい。
着色樹脂層11中の着色剤含有量CK(面積%)は、次の方法で求める。めっきテクスチャ10Sの第1方向RDと直交する断面を表面に持つサンプルを採取する。サンプルのうち、めっきテクスチャ10Sの第1方向RDと直交する断面を観察面と定義する。サンプルから、収束イオンビーム装置(FIB:Focused Ion Beam)を用いて、観察面の着色樹脂層11と亜鉛めっき層10とを観察可能な薄膜試料を作製する。薄膜試料の厚さは50~200nmとする。作製した薄膜試料の観察面のうち、着色樹脂層11の厚さ方向と垂直な方向(つまり、第2方向WD)の長さが3μmであって、かつ、着色樹脂層の厚さ方向(つまり、第3方向TD)において、着色樹脂層全体を含む長さを有する視野を、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて観察する。TEM観察において、着色樹脂層11中の樹脂31と着色剤32とは、コントラストにより識別可能である。上記視野中の着色樹脂層11中の複数の着色剤の総面積A1(μm)を求める。さらに、上記視野中の着色樹脂層11の面積(μm)を求める。求めた総面積A1及び面積A0に基づいて、次式により着色樹脂層11中の着色剤含有量(面積%)を求める。
CK=A1/A0×100
[要件(C)について]
めっきテクスチャ10Sの第1方向RDに垂直な断面であって、めっきテクスチャ10Sの第2方向WDの100μm長さ範囲の観察断面において、F2を式(2)で定義する。
F2=(DKmax-DKmin)×CK (2)
このとき、F2は1.0よりも大きい。
F2は、着色樹脂層11での明度のコントラストの指標である。F2が1.0以下であれば、着色樹脂層11での明度のコントラストが低い。この場合、着色樹脂層11の明度のコントラストを、めっきテクスチャ10Sの視認に十分に活用できない。そのため、着色樹脂層11下のめっきテクスチャ10Sが視認しにくい。
F2が1.0よりも高ければ、着色樹脂層11での明度のコントラストが十分に高い。この場合、着色樹脂層11の明度のコントラストを、めっきテクスチャ10Sの視認に十分に活用できる。その結果、要件(A)及び要件(B)を満たすことを前提として、着色樹脂層11下のめっきテクスチャ10Sを十分に視認することができる。
F2の好ましい下限は2.0であり、さらに好ましくは2.2であり、さらに好ましくは2.4である。なお、F2の上限は特に限定されない。F2の上限はたとえば、15.0である。
[着色樹脂層11の厚さについて]
本実施形態のめっき鋼板1において、好ましくは、着色樹脂層11の平均厚さは10.0μm以下である。着色樹脂層11の厚さが10.0μmを超えれば、着色樹脂層11のみで平滑化(レベリング)しやすくなり、着色樹脂層11の表面での反射の印象と視認できるめっきテクスチャ10Sの印象との乖離が大きくなる。この場合、めっき鋼板1のメタリック感が低下する。着色樹脂層11の平均厚さが10.0μm以下であれば、上述の要件(A)~(C)の全てを満たすことを前提として、亜鉛めっき層10のめっきテクスチャ10Sを視認可能であり、かつ、メタリック感も十分に高まる。着色樹脂層11の平均厚さのさらに好ましい上限は9.0μmであり、さらに好ましくは8.0μmである。
また、着色樹脂層11の平均厚さの好ましい下限は0.5μmである。着色樹脂層11の平均厚さが0.5μm以上であれば、耐食性がさらに高まる。着色樹脂層11の平均厚さのさらに好ましい下限は0.7μmであり、さらに好ましくは1.0μmであり、さらに好ましくは2.0μmであり、さらに好ましくは3.0μmである。
着色樹脂層11の平均厚さは、次の方法で測定する。上述の観察断面において第2方向WDに0.5μmピッチで測定した厚さの算術平均値を、着色樹脂層11の平均厚さ(μm)と定義する。
[要件(D)について]
本実施形態のめっき鋼板1において、好ましくは、凸部頂上三次元平均粗さSahは5nm超200nm以下である(要件(D))。
図7を参照して、亜鉛めっき層10の表面に形成されためっきテクスチャ10Sの凹部10RE及び凸部10COでは、研磨する前では、凹部10REの表面及び凸部10COの表面には、めっき結晶に起因したナノメートルレベルの微小な凹凸(微小凹部SRE及び微小凸部SCO)が存在する。つまり、凸部10COにおける微小凹凸(微小凹部SRE及び微小凸部SCO)の粗さが、凹部10REにおける微小凹凸(微小凹部SRE及び微小凸部SCO)の粗さと同等に粗い。そのため、凸部10COでは、凹部10REと同様に、微小凹凸により光が乱反射する。
そこで、要件(D)では、凸部頂上三次元平均粗さSahを凹部底三次元平均粗さSasよりも小さくする。具体的には、上述のとおり、凹部底三次元平均粗さSasは200nm以上であるのに対して、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下とする。この場合、凹部10REでは光が乱反射しやすいのに対して、凸部10COでは凹部10REよりも粗さが低く、光が乱反射しにくい。したがって、亜鉛めっき層10のめっきテクスチャ10Sにおいて、凸部10COを視認しやすい状態となる。たとえば、図8に示すとおり、凸部10COの山頂を研磨して、凸部10COを台形状とする。これにより、凸部10COでの微小凹凸(微小凹部SRE及び微小凸部SCO)の粗さを、凹部10REでの微小凹凸(微小凹部SRE及び微小凸部SCO)の粗さよりも小さくできる。
凸部頂上三次元平均粗さSahが200nm以下であれば、凸部頂点近傍における光の乱反射を抑制できる。この場合、着色樹脂層11を有する本実施形態のめっき鋼板1において、めっきテクスチャ10Sがさらに視認しやすくなる。なお、凸部頂上三次元平均粗さSahは小さいほど好ましい。しかしながら、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm以下にすることは極めて困難である。したがって、本実施形態において、凸部頂上三次元平均粗さSahは5nm超200nm以下である。凸部頂上三次元平均粗さSahの好ましい上限は190nmであり、さらに好ましくは180nmであり、さらに好ましくは170nmである。
[着色樹脂層11の他の形態について]
本実施形態のめっき鋼板1の着色樹脂層11はさらに、着色樹脂層11に耐食性、摺動性、導電性等を付与するために、添加剤を含有してもよい。耐食性を付与するための添加剤はたとえば、周知の防錆剤やインヒビターである。摺動性を付与するための添加剤はたとえば、周知のワックスやビーズである。導電性を付与するための添加剤はたとえば、周知の導電剤である。
[めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合の着色樹脂層11の表面形状について(要件(E)について)]
着色樹脂層11は、下層である亜鉛めっき層10の表面に形成されためっきテクスチャ10Sの種類に起因して、以下で詳述するような表面形状を有する。
ここで、めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合を想定する。めっきテクスチャ10Sの第1方向RDにおける、着色樹脂層11の表面粗さRaをRa(CL)と定義する。めっきテクスチャ10Sの第2方向WDにおける、着色樹脂層11の表面粗さRaをRa(CC)と定義する。そして、F3を式(3)で定義する。
F3=Ra(CC)/Ra(CL)
この場合、F3は1.10以上である。
F3は、めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合におけるめっき鋼板のメタリック感に関する指標である。F3が1.10未満である場合、着色樹脂層11がない状態でのめっきテクスチャ10S(ヘアライン)から受ける印象と、着色樹脂層11の表面での光の反射の印象との乖離が大きくなりすぎる。この場合、メタリック感が喪われる。めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合、F3が1.10以上であれば、着色樹脂層11がない状態でのめっきテクスチャ10S(ヘアライン)から受ける印象と、着色樹脂層11の表面での光の反射の印象との乖離を抑えることができる。そのため、十分なメタリック感が得られる。F3の好ましい下限は1.15であり、さらに好ましくは1.20であり、さらに好ましくは1.25である。
表面粗さRa(CL)は、JIS B 0601(2013)に規定された算術平均粗さの測定方法により測定する。具体的には、着色樹脂層11の表面11Sにおいて、任意の10箇所を測定箇所とする。各測定箇所においてめっきテクスチャ10Sの第1方向RDに延びる評価長で、算術平均粗さRaを測定する。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とする。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.5mm/secとする。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、表面粗さRa(CL)と定義する。
同様に、表面粗さRa(CC)は、JIS B 0601(2013)に規定された算術平均粗さの測定方法により測定する。具体的には、着色樹脂層11の表面11Sにおいて、任意の10箇所を測定箇所とする。各測定箇所において、めっきテクスチャ10Sの第2方向WDに延びる評価長で、算術平均粗さRaを測定する。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とする。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.5mm/secとする。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、表面粗さRa(CC)と定義する。
[めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合の亜鉛めっき層10の表面形状について(要件(F)について)]
要件(F)も要件(E)と同様に、めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合の要件である。めっきテクスチャ10Sが形成された亜鉛めっき層10の表面の、第2方向WDでの表面粗さRaをRa(MC)と定義する。めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合、表面粗さRa(MC)は0.30μm以上である。表面粗さRa(MC)が0.30μm以上であれば、着色樹脂層11上からめっきテクスチャ10Sを見たとき、十分なメタリック感が得られる。表面粗さRa(MC)の好ましい下限は0.35μmであり、さらに好ましくは0.40μmである。表面粗さRa(MC)の上限は特に限定されない。しかしながら、表面粗さRa(MC)を過剰に高めることは、工業生産上困難である場合がある。そのため、表面粗さRa(MC)の上限はたとえば、2.00μmである。表面粗さRa(MC)の上限はたとえば、1.00μmであってもよい。
表面粗さRa(MC)は、JIS B 0601(2013)に規定された算術平均粗さの測定方法により測定する。具体的には、亜鉛めっき層10を侵さない溶剤やリムーバー(たとえば、三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701)などの剥離剤で、めっき鋼板1の着色樹脂層11を除去する。着色樹脂層11を除去した後の亜鉛めっき層10のめっきテクスチャ10Sにおいて、任意の10箇所を測定箇所とする。各測定箇所において、第2方向WDに延びる評価長で、算術平均粗さRaを測定する。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とする。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.5mm/secとする。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、表面粗さRa(MC)と定義する。
[地鉄露出率について]
好ましくは、めっき鋼板1の亜鉛めっき層10の地鉄露出率は、5%未満である。本実施形態において、耐食性は、亜鉛めっき層10(亜鉛めっき又は亜鉛合金めっき)により十分に確保される。しかしながら、めっきテクスチャ10Sの付与時に亜鉛めっき層10の表面を研削した結果、地鉄が露出した場合、ガルバニック腐食の影響により、長期間での耐食性(長期耐食性)が低下する場合がある。このような長期耐食性の低下は、地鉄露出率が5%以上で顕著となることが多い。そのため、本実施形態では、好ましい地鉄露出率は、5%未満である。
亜鉛めっき層10の地鉄露出率が5%未満であれば、一般に鋼材に求められる適度な耐食性に加えて、長期耐食性にも優れるような、極めて良好な耐食性が得られる。亜鉛めっき層10の地鉄露出率の好ましい上限は3%以下であり、さらに好ましくは2%であり、さらに好ましくは1%であり、さらに好ましくは0%である。
地鉄露出率は、次の方法により測定する。具体的には、亜鉛めっき層10を侵さない溶剤やリムーバー(たとえば、三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701)などの剥離剤で、めっき鋼板1の着色樹脂層11を除去する。亜鉛めっき層10の表面において、1mm×1mmの任意の矩形領域を5箇所選択する。選択された矩形領域に対してEPMA分析を実施する。画像解析により、各矩形領域中のZnが検出されない領域(Zn未検出領域)を特定する。本実施形態では、Znの検出強度が標準試料(純Zn)を測定した場合の1/16以下となる領域を、Zn未検出領域と認定する。5つの矩形領域の総面積に対する、5つの矩形領域中のZn未検出領域の総面積の割合(面積%)を、地鉄露出率(面積%)と定義する。
[その他の被膜について]
なお、本実施形態のめっき鋼板1は、着色樹脂層11と亜鉛めっき層10との間に、耐食性又は密着性を高める目的で、無機被膜又は有機無機複合被膜を形成してもよい。無機被膜は透光性を有する。無機被膜はたとえば、非晶質のシリカ被膜、ジルコニア被膜、又はりん酸塩被膜である。有機無機複合被膜は透光性を有する。有機無機複合被膜はたとえば、シランカップリング剤及び有機樹脂を含有する。有機無機複合被膜は透光性を有する。
[テクスチャの形態について]
図4では、テクスチャの一例としてヘアラインを示した。しかしながら、上述のとおり、テクスチャの形態はヘアラインに限定されない。テクスチャは、複数の凸部と、複数の凹部とを有すればよい。したがって、凸部及び凹部は、一方向に延びていてもよいし、のびていなくてもよい。テクスチャはヘアラインでもよいし、ダルでもよいし、他の形態でもよい。テクスチャは、凹凸模様が形成されていればよい。
[製造方法]
本実施形態のめっき鋼板1の製造方法の一例を説明する。以降に説明する製造方法は、本実施形態のめっき鋼板1を製造するための一例である。したがって、上述の構成を有するめっき鋼板1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態のめっき鋼板1の製造方法の好ましい一例である。
本実施形態の製造方法は、母材鋼板100を準備する準備工程(S1)と、母材鋼板100の表面に母材テクスチャ100Sを形成する母材表面テクスチャ形成工程(S2)と、母材鋼板100に対して亜鉛めっき層10を形成する亜鉛めっき処理工程(S3)と、任意の工程であり、亜鉛めっき層10の表面にさらにテクスチャ加工をする場合に実施する亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)と、任意の工程であり、必要に応じて亜鉛めっき層10の凸部10COの山頂を研磨する研磨工程(S5)と、亜鉛めっき層10上に着色樹脂層11を形成する着色樹脂層形成工程(S6)とを含む。以下、各工程について説明する。
[準備工程(S1)]
準備工程(S1)では、母材鋼板100を準備する。母材鋼板100は、鋼板であってもよいし、その他の形状であってもよい。母材鋼板100が鋼板である場合、母材鋼板100は熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
[母材表面テクスチャ形成工程(S2)]
母材表面テクスチャ形成工程(S2)は、母材表面に母材テクスチャ100Sを形成する。このとき、めっき鋼板は図1に示す構成となる。母材表面テクスチャ形成工程(S2)では、母材鋼板100の表面に対して周知のテクスチャ加工を実施することにより、母材鋼板100の表面に対して母材テクスチャ100Sを形成する。母材テクスチャ100Sがヘアラインである場合、周知のヘアライン加工を実施する。ヘアライン加工方法はたとえば、周知の研磨ベルトで表面を研磨してヘアラインを形成する方法、周知の砥粒ブラシで表面を研磨してヘアラインを形成する方法、ヘアライン形状を付与したロールで圧延転写してヘアラインを形成する方法等がある。ヘアラインの長さや深さ、頻度は、周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度やロールの表面形状を調整することにより、調整可能である。
[亜鉛めっき処理工程(S3)]
亜鉛めっき処理工程(S3)では、準備された母材鋼板100に対して、亜鉛めっき処理を実施して、母材鋼板100の表面に亜鉛めっき層10を形成する。
亜鉛めっき処理は、周知の方法を実施すればよい。たとえば、周知の電気めっき法を用いて亜鉛めっき層10を形成する。この場合、電気亜鉛めっき浴、及び、電気亜鉛合金めっき浴は、周知の浴を用いれば足りる。電気めっき浴はたとえば、硫酸浴、塩化物浴、ジンケート浴、シアン化物浴、ピロリン酸浴、ホウ酸浴、クエン酸浴、その他錯体浴及びこれらの組合せ等である。電気亜鉛合金めっき浴はたとえば、Znイオンの他に、Co、Cr、Cu、Fe、Ni、P、Sn、Mn、Mo、V、W、Zrから選ばれる1つ以上の単イオン又は錯イオンを含有する。
電気亜鉛めっき処理における、電気亜鉛めっき浴及び電気亜鉛合金めっき浴の化学組成、温度、流速、及び、めっき処理時の条件(電流密度、通電パターン等)は、適宜調整が可能である。電気亜鉛めっき処理における亜鉛めっき層10の厚さは、電気亜鉛めっき処理時における電流密度の範囲内で電流値と時間とを調整することにより、調整可能である。
母材鋼板100には、母材テクスチャ100Sが形成されている。そのため、母材鋼板100に対して亜鉛めっき処理を実施して、亜鉛めっき層10を形成すれば、亜鉛めっき層10の表面には、母材テクスチャ100Sに沿っためっきテクスチャ10Sが形成される。以上の製造工程により、母材テクスチャ100Sが形成されている母材鋼板100と、めっきテクスチャ10Sが形成された亜鉛めっき層10とを備えるめっき鋼板が製造される。
[亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)及び研磨工程(S5)について]
亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)及び研磨工程(S5)はいずれも任意の工程である。つまり、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)及び研磨工程(S5)を実施しなくてもよい。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)を実施して、研磨工程(S5)を実施しなくてもよい。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)を実施せず、研磨工程(S5)を実施してもよい。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)及び研磨工程(S5)を実施してもよい。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)及び研磨工程(S5)を実施する場合、いずれを先に実施してもよい。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)及び研磨工程(S5)はいずれも、亜鉛めっき層10のめっきテクスチャ10Sの凸部10COの山頂を削る工程である。以下、各工程を説明する。
[亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)]
亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)は、任意の工程である。つまり、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)は実施してもよいし、実施しなくてもよい。実施する場合、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)では、図7に示す亜鉛めっき層10の表面のめっきテクスチャ10Sのうち、凸部10COの山頂を削って、図8に示すような台形状とし、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下にする。具体的には、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)では、めっき鋼板の亜鉛めっき層10の表面(めっきテクスチャ10S)に対して周知のテクスチャ加工を実施することにより、めっきテクスチャ10Sの凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下にする。このとき、めっきテクスチャ10Sの凹部はほとんど削られない。そのため、凹部底三次元平均粗さSasは200nm超2000nm以下で維持される。
めっきテクスチャ10Sがヘアラインである場合、周知のヘアライン加工を実施する。ヘアライン加工方法はたとえば、周知の研磨ベルトで表面を研磨してヘアラインを形成する方法、周知の砥粒ブラシで表面を研磨してヘアラインを形成する方法、ヘアライン形状を付与したロールで圧延転写してヘアラインを形成する方法等がある。亜鉛めっき層10の表面のめっきテクスチャ10Sの凸部10COの山頂の研削度合いは、周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度やロールの表面形状を調整することにより、調整可能である。つまり、周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度やロールの表面形状を調整することにより、凹部底三次元平均粗さSasを200nm超2000nm以下に維持しつつ、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下に調整可能である。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)においてヘアライン加工を実施する場合はさらに、凹部底三次元平均粗さSasを200nm超2000nm以下に維持しつつ、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下に調整するだけでなく、めっきテクスチャ10Sに、新たなヘアラインも付与できる。なお、地鉄露出率も、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)における周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度やロールの表面形状を調整することにより、調整可能である。
[研磨工程(S5)]
研磨工程(S5)は任意の工程である。つまり、研磨工程(S5)は実施しなくてもよい。実施する場合、研磨工程(S5)では、図7に示す亜鉛めっき層10の表面のめっきテクスチャ10Sのうち、凸部10COの山頂を研磨して、図8に示すような台形状とし、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下にする。この研磨処理により、凹部底三次元平均粗さSasを200nm超2000nm以下に維持しつつ、凸部頂上三次元平均粗さSahを5nm超200nm以下とする。研磨処理はたとえば、周知の研磨ベルトで表面を研磨する方法、周知の砥粒ブラシで表面を研磨する方法等がある。凸部10COの形状及び凸部10COの表面の粗さは、周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度を調整することにより、調整可能である。つまり、凸部頂上三次元平均粗さSahは、周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度を調整することにより、調整可能である。研磨工程(S5)は、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)よりも研削量(研磨量)が少ない。なお、地鉄露出率も、研磨工程(S5)における周知の研磨ベルトの粒度や、周知の砥粒ブラシの粒度を調整することにより、調整可能である。
研磨工程(S5)は前述の亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程(S4)と同時に行ってもよい。同時に行う事によって生産効率を高めることができる。
[着色樹脂層形成工程(S6)]
積層樹脂層形成工程(S6)では、めっきテクスチャ10Sが形成されためっき鋼板の亜鉛めっき層10上に、着色樹脂層11を形成する。以下、着色樹脂層形成工程(S6)について詳述する。
着色樹脂層11の形成に使用する塗料は、めっき鋼板に塗布した瞬間には鋼材の表面形状に追従し、いったん鋼材の表面形状を反映した後のレベリングは遅いものであることが好ましい。つまり、せん断速度が速い場合には粘度が低く、せん断速度が遅い場合には粘度が高い塗料であることが好ましい。具体的には、せん断速度が0.1[1/sec]の場合には10[Pa・s]以上の粘度を有し、せん断速度が1000[1/sec]の場合には0.01[Pa・s]以下のせん断粘度を有することが好ましい。
塗料のせん断粘度を調整は、次の方法で行うことができる。塗料が水系のエマルジョン塗料である場合、水素結合性の周知の粘度調整剤を加えて調整することができる。このような水素結合性の粘度調整剤は、低せん断速度時には水素結合によって互いに拘束しあう。そのため、塗料の粘度を高めることができる。一方、高せん断速度時には水素結合が切断される。そのため、塗料の粘度が低下する。
着色樹脂層11の形成に用いる塗料のせん断粘度を調整することにより、上述の着色樹脂層11の表面形状を調整することができる。
亜鉛めっき層10上に着色樹脂層11を形成する方法は、周知の方法でよい。たとえば、粘度を調整された塗料を、吹き付け法、ロールコーター法、カーテンコーター法、又は、浸漬引き上げ法により、亜鉛めっき層10上に塗布する。その後、亜鉛めっき層10上の塗料に対して、自然乾燥、又は、焼付け乾燥を実施して、着色樹脂層11を形成する。乾燥温度、乾燥時間、焼付き温度、焼付時間は、適宜調整可能である。着色樹脂層11の形成に用いる塗料のせん断粘度及び亜鉛めっき層10上での塗布量等を調整することにより、三次元平均粗さSaave、着色樹脂層11の最小厚さDKmin、最大厚さDKmaxを調整できる。また、塗料中の着色剤の含有量を調整することにより、着色樹脂層11中の着色剤含有量CKを調整できる。
以上の製造工程により、本実施形態のめっき鋼板1を製造できる。なお、本実施形態のめっき鋼板1は、上記製造方法に限定されず、上述の構成を有するめっき鋼板1が製造できれば、上記製造方法以外の他の製造方法で本実施形態のめっき鋼板1を製造してもよい。ただし、上記製造方法は、本実施形態のめっき鋼板1の製造に好適である。
以下、実施例により本発明の一態様の効果をさらに具体的に説明する。以下の実施例での条件は、本実施形態のめっき鋼板1の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。したがって、本発明はこの一条件例に限定されない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限り、種々の条件を採用し得る。
表1に記載の試験番号の亜鉛めっき鋼板を準備した。各亜鉛めっき鋼板の母材鋼板はJIS G 3141(2017)に規定されているSPCCとし、厚さは0.6mmとした。
Figure 0007401735000001
各母材鋼板に対して、母材表面テクスチャ形成工程を実施して、母材表面に種々の態様の母材テクスチャ(ヘアライン又はダル)を形成した。なお、試験番号1、18、23、28では、母材表面にテクスチャを形成しなかった。
各母材鋼板に対して、めっき前処理を実施した。具体的には、各鋼材に対して、濃度30g/LのNaSiO処理液を用いて、処理液温度を60℃、電流密度を20A/dm、処理時間を10秒として電解脱脂し、水洗した。電解脱脂後の鋼材を、60℃の濃度50g/LであるHSO水溶液に10秒間浸漬し、水洗した。
めっき前処理後の各試験番号の鋼板に対して、次のめっき処理を実施して、電気亜鉛めっき層を形成した。具体的には、試験番号1~17では、電気めっきにより電気亜鉛めっき層を形成した。具体的には、硫酸Zn七水和物を1.0mol/Lと、無水硫酸ナトリウム50g/Lとを含み、pHを2.0に調整しためっき浴を準備した。電気めっきでは、浴温を50℃とし、電流密度を50A/dmとした。付着量が30.0g/m程度となるように、めっき時間を調整した。以上の工程により、電気亜鉛めっき層を形成した(表1中の「めっき種」欄で「EG」と表記)。
試験番号18~22では、亜鉛めっき層として、Niを含有する電気亜鉛めっき層を形成した。具体的には、硫酸Zn七水和物と硫酸Ni六水和物とを合計で1.2mol/L含有し、さらに、無水硫酸ナトリウムを50g/L含有し、pHが2.0に調整されためっき浴を準備した。電気めっきでは、浴温を50℃とし、電流密度50A/dmとした。付着量が30.0g/m程度となるように、めっき時間を調整した。以上の工程により、質量%で12%のNiを含有し、残部がZn及び不純物からなる電気亜鉛めっき層を形成した(表1中の「めっき種」欄で「Zn-12%Ni」と表記)。
試験番号23~27では、亜鉛めっき層として、Feを含有する電気亜鉛めっき層を形成した。具体的には、硫酸Zn七水和物と硫酸Fe(II)七水和物とを合計で1.2mol/L含有し、さらに、無水硫酸ナトリウムを50g/L含有し、pHが2.0に調整されためっき浴を準備した。電気めっきでは、浴温を50℃とし、電流密度50A/dmとした。付着量が30.0g/m程度となるように、めっき時間を調整した。以上の工程により、質量%で14%のFeを含有し、残部がZn及び不純物からなる電気亜鉛めっき層を形成した(表1中の「めっき種」欄で「Zn-14%Fe」と表記)。
試験番号28~32では、亜鉛めっき層として、Coを含有する電気亜鉛めっき層を形成した。具体的には、硫酸Zn七水和物と硫酸Co六水和物とを合計で1.2mol/L含有し、さらに、無水硫酸ナトリウムを50g/L含有し、pHが2.0に調整されためっき浴を準備した。電気めっきでは、浴温を50℃とし、電流密度50A/dmとした。付着量が30.0g/m程度となるように、めっき時間を調整した。以上の工程により、質量%で2%のCoを含有し、残部がZn及び不純物からなる電気亜鉛めっき層を形成した(表1中の「めっき種」欄で「Zn-2%Co」と表記)。
各試験番号の電気めっき処理では、相対流速が1m/secとなるように、めっき液を流動させた。また、得られた電気亜鉛めっき層の組成は次の方法で測定した。電気めっき層が形成された鋼板をインヒビター(朝日化学製 NO.700AS)入りの10質量%塩酸に浸漬して、電気亜鉛めっき層を溶解剥離した。その後、電気亜鉛めっき層が溶解した溶液に対してICP分析を実施して、電気亜鉛めっき層の組成を確認した。
亜鉛めっき層を形成した後、試験番号2~4、6~17、19~22、24~27、29~32では、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程を実施し、さらに、研磨工程を実施して、亜鉛めっき層の凸部の山頂を研削及び研磨した。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程及び研磨工程では、種々の粒度の研磨ベルトを亜鉛めっき層の凸部山頂に押しあて、圧下力、研磨回数を変えて、研削及び研磨を実施した。亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程では、研磨工程よりも粒度の粗い研磨ベルトを用いた。なお、試験番号1、5、18、23及び28では、亜鉛めっき表面テクスチャ形成工程及び研磨工程を実施しなかった。
ヘアラインが形成された亜鉛めっき鋼板(試験番号2~17、19~22、24~17、29~32)、及び、ヘアラインが形成されなかった亜鉛めっき鋼板(試験番号1、18、23、28)に対して、着色樹脂層を形成した。着色樹脂層のうち、有機樹脂として、ウレタン系樹脂(株式会社ADEKA製、HUX-232)を水に分散させた、種々の濃度と粘度の塗料を準備した。塗料に種々の濃度の顔料(カーボンブラック)を添加した。カーボンブラックは三菱ケミカル株式会社製の商品名#850を用いた。
塗料をロールですくい上げ、各試験番号の亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面に塗布した。塗布後の塗料に対して、焼付き乾燥を実施した。具体的には、塗料が塗布された亜鉛めっき鋼板を250℃に保持した炉に装入した。亜鉛めっき鋼板の到達温度が210℃に到達するまで、亜鉛めっき鋼板を炉内で1分~5分間保持した。保持後、亜鉛めっき鋼板を炉から取り出して冷却した。
上記塗料の粘度は、粘度調整剤(ビックケミー製、商品名:BYK-425)を用いて調整した。具体的には、せん断速度0.1(1/sec)では塗料粘度が10(Pa・s)以上となり、せん断速度1000(1/sec)では塗料粘度が0.01(Pa・s)以下となるように、塗料の粘度を調整した。以上の工程により、各試験番号の亜鉛めっき層上に、着色樹脂層を形成した。
以上の製造方法により、各試験番号の亜鉛めっき鋼板を製造した。なお、試験番号18では、着色樹脂層と亜鉛めっき層との間に、顔料を含まない、ウレタン系樹脂(株式会社ADEKA製、HUX-232)を0.5μm塗布した。その後、着色樹脂層を形成した。
[評価試験]
[凹部底三次元平均粗さSas及び凸部頂上三次元平均粗さSah測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面のテクスチャ(ヘアライン)の最大三次元平均粗さSamaxを次の方法で測定した。初めに、亜鉛めっき層を侵さない溶剤(三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701)を用いて、亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層を除去した。亜鉛めっき層の表面のうち、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向(第1方向)に直交する第2方向の任意の1000μm長さ範囲を1箇所選定した。選定された1000μm長さ範囲において、テクスチャの粗さプロファイルを測定した。粗さプロファイルは、三次元表面粗さ測定機(東京精密製 サーフコム1500DX3)で測定した。
測定された粗さプロファイル中の各凹部10REに注目した。各凹部10REにおいて、高さが最も低い位置を、凹部底点PREと定義した。1000μm長さ範囲での粗さプロファイル中の複数の凹部底点PREのうち、最も低い凹部底点PRE1から、低い順に10点の凹部底点PRE1、PRE2、…、PRE10を特定した。
図6Aに示すとおり、亜鉛めっき層の表面を平面視して、定義された各凹部底点PREk(kは1~10)を中心とした1μm×1μmの微小凹部底領域を特定した。特定された10個の微小凹部底領域の各々において、三次元平均粗さSaを測定した。三次元平均粗さSaは、JIS B 0601(2013)で規定されているRa(線の算術平均粗さ)を面に拡張した、ISO 25178で規定される算術平均粗さである。測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を、凹部底三次元平均粗さSas(μm)と定義した。
同様に、測定された粗さプロファイル中の各凸部10COに注目した。各凸部10COにおいて、高さが最も高い位置を、凸部頂上点PCOと定義した。1000μm長さ範囲での粗さプロファイル中の複数の凸部頂上点PCOのうち、最も高い凸部頂上点PCO1から、高い順に10点の凸部頂上点PCO1、PCO2、…、PCO10を特定した。
図6Bに示すとおり、亜鉛めっき層の表面を平面視して、定義された各凸部頂上点PCOk(kは1~10)を中心とした1μm×1μmの微小凸部頂上領域を特定した。特定された10個の微小凸部頂上領域の各々において、三次元平均粗さSaを測定した。三次元平均粗さSaは、JIS B 0601(2013)で規定されているRa(線の算術平均粗さ)を面に拡張した、ISO 25178で規定される算術平均粗さである。測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を、凸部頂上三次元平均粗さSah(μm)と定義した。
[DKmin、DKmax測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層の厚さ(DKmin、DKmax)を次の方法で測定した。各試験番号の亜鉛めっき鋼板において、テクスチャ(ヘアライン)の第1方向と直交する断面を表面に持つサンプルを採取した。サンプルのうち、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向に100μmの長さ範囲の観察断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍の反射電子像(BSE)で観察した。観察断面において、方向WDに0.5μmピッチで着色樹脂層の厚さを測定した。測定された厚さのうち、最小の厚さを最小厚さDKmin(μm)と定義した。測定された厚さのうち、最大の厚さを最大厚さDKmax(μm)と定義した。
[着色剤含有量CK測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層中の着色剤含有量(面積%)を次の方法で求めた。テクスチャ(ヘアライン)の第1方向と直交する断面を表面に持つサンプルを採取した。サンプルにおいて、テクスチャ(ヘアライン)の第1方向と直交する断面を観察面とした。サンプルから、FIBを用いて、観察面の着色樹脂層と亜鉛めっき層とを観察可能な薄膜試料を作製した。薄膜試料の膜厚は150nmとした。作製した薄膜試料の観察面のうち、着色樹脂層の厚さ方向と垂直な方向(つまり、第2方向WD)の長さが3μmであって、かつ、着色樹脂層の厚さ方向(つまり、第3方向TD)において、着色樹脂層全体を含む長さを有する視野を、TEMを用いて観察した。TEM観察において、着色樹脂層中の樹脂と顔料とは、コントラストにより識別可能であった。観察断面中の着色樹脂層中の複数の顔料の総面積A1(μm)を求めた。さらに、観察断面中の着色樹脂層の面積(μm)を求めた。求めた総面積A1及び面積A0に基づいて、次式により着色樹脂層11中の着色剤含有量(面積%)を求めた。
CK=A1/A0×100
[着色樹脂層の粗さRa(CC)及びRa(CL)測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層中の粗さRa(CC)及びRa(CL)を次の方法で求めた。
表面粗さRa(CL)は、JIS B 0601(2013)に規定された算術平均粗さの測定方法により測定した。着色樹脂層の表面において、任意の10箇所を測定箇所とした。各測定箇所において、テクスチャ(ヘアライン)の第1方向に延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定した。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とした。算術平均粗さRaの測定は、三次元表面粗さ測定機(東京精密製 サーフコム1500DX3)を用いて行い、測定速度は、0.5mm/secとした。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、表面粗さRa(CL)と定義した。
同様に、表面粗さRa(CC)は、JIS B 0601(2013)に規定された算術平均粗さの測定方法により測定した。着色樹脂層の表面において、任意の10箇所を測定箇所とした。各測定箇所において、テクスチャ(ヘアライン)の第2方向に延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定した。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とした。算術平均粗さRaの測定は、上述の三次元表面粗さ測定機を用いて行い、測定速度は、0.5mm/secとした。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、表面粗さRa(CC)と定義した。
[亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)を次の方法で求めた。
表面粗さRa(MC)は、JIS B 0601(2013)に規定された算術平均粗さの測定方法により測定した。亜鉛めっき層を侵さない溶剤(三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701)を用いて、亜鉛めっき鋼板の着色樹脂層を除去した。着色樹脂層を除去した後の亜鉛めっき層のテクスチャ(ヘアライン)において、任意の10箇所を測定箇所とした。各測定箇所において、第2方向に延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定した。評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とした。算術平均粗さRaの測定は、上述の三次元表面粗さ測定機を用いて行い、測定速度は、0.5mm/secとした。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、表面粗さRa(MC)(μm)と定義した。
[地鉄露出率測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板の地鉄露出率を、次の方法により測定した。着色樹脂層が除去された亜鉛めっき鋼板を準備した。亜鉛めっき層の表面において、1mm×1mmの任意の矩形領域を5箇所選択した。選択された矩形領域に対してEPMA分析を実施した。画像解析により、各矩形領域中のZnが検出されない領域(Zn未検出領域)を特定した。Znの検出強度が標準試料(純Zn)を測定した場合の1/16以下となる領域を、Zn未検出領域と認定した。5つの矩形領域の総面積に対する、5つの矩形領域中のZn未検出領域の総面積の割合(面積%)を、地鉄露出率(面積%)と定義した。
[テクスチャ視認試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板を、晴天午前の太陽光相当(照度約65000ルクス)の環境に置いた。そして、光源と鋼板と目線との角度をさまざまに変えて観察し、テクスチャが視認できるか否かを確認した。鋼板表面の鉛直方向に対して5°~80°まですべての角度でテクスチャが視認できれば、非常に良好であり合格と評価した(表1中で評価「A」)。また、鋼板表面の鉛直方向に対して5°~80°までの角度のうち一部でテクスチャが視認できれば合格と評価した(表1中で評価「B」)。一方、テクスチャを全く視認できなければ、不合格と評価した(表1中で評価「C」)。
[明度測定試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板に対して、次の方法により、明度L値を参考値として測定した。測定には、コニカミノルタ株式会社製の測色計(商品名:CM-2600d)を用いた。測定においては、光源としてCIE標準光源D65を用い、視野角度10°として、SCE方式によりCIELAB表示色でL値を求めた。
ここで、CIE標準光源D65は、JIS Z 8720(2000)「測色用イルミナイト(標準の光)及び標準光源」に規定されており、ISO 10526(2007)にも同じ規定がある。CIEは、Commission Internationale de l’Eclairageの略称であり、国際照明委員会を意味する。CIE標準光源D65は、昼光で照明される物体色を表示する場合に使用される。視野角度10°については、JIS Z 8723(2009)「表面色の視覚比較方法」に規定されており、ISO/DIS 3668にも同じ規定がある。
SCE方式は正反射光除去方式といい、正反射光を除去して色を測定する方法を意味する。SCE方式の定義は、JIS Z 8722(2009)に規定されている。SCE方式では、正反射光を除去して測定するため、実際の人の目で見た色に近い色となる。
CIELAB表示色は、知覚と装置の違いによる色差を測定するために、1976年に勧告され、JIS Z 8781(2013)に規定されている均等色空間である。CIELABの3つの座標は、L値、a値、b値で示される。L値は明度を示し、0~100で示される。L値が0の場合は黒色を意味し、L値が100の場合は白の拡散色を意味する。
[耐食性評価試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板に対して、次の方法により、耐食性(長期耐食性)を評価した。各試験番号の亜鉛めっき鋼板から、75mm×100mmの試験片を採取した。試験片の端面及び裏面をテープシールで保護した。その後、35℃に保持された5%NaClの塩水噴霧試験を、JIS Z 2371(2015)に準拠して実施した。試験を240時間実施し、試験後の錆発生率を求めた。錆発生率が5%以下であれば、合格と評価した(表1中で評価「A」)。一方、錆発生率が5%を超える場合、不合格を評価した(表1中で評価「C」)。
[密着性試験]
各試験番号の亜鉛めっき鋼板に対して、次の方法により、着色樹脂層の密着性を評価した。各試験番号の亜鉛めっき鋼板から、幅50mm×長さ50mmの試験片を作製した。得られた試験片に対して180°の折り曲げ加工を実施した。折り曲げ加工後、折り曲げ部の外側に対してテープ剥離試験を実施した。テープ剥離部の外観を拡大率10倍のルーペで観察した。そして、以下の評価基準で評価した。折り曲げ加工は、20℃の雰囲気中において、0.6mmのスペーサーを間に挟んで実施した。得られた結果を、以下の表1に示す。
(評価基準)
A:塗膜に剥離が認められない
B:極一部の塗膜に剥離が認められる(剥離面積≦2%)
C:一部の塗膜に剥離が認められる(2%<剥離面積≦20%)
D:塗膜に剥離が認められる(剥離面積>20%)
評価がA~Cである場合、密着性に優れると判断した。評価がDである場合、密着性が低いと判断した。
[メタリック感評価試験]
次の方法により、各試験番号の亜鉛めっき鋼板のメタリック感を測定した。各試験番号のめっき鋼板1の任意の点において、テクスチャ(ヘアライン)と平行方向の光沢度G60(Gl)と、テクスチャ(ヘアライン)と直行方向の光沢度G60(Gc)とを光沢度計で測定した。光沢度計は、スガ試験機株式会社製のグロスメーター(商品名:UGV-6P)を用いた。得られた光沢度Glと、光沢度Gcとに基づいて、Gc/Glを求めた。テクスチャを視認でき、かつ、Gc/Gl≦0.70であれば、優れたメタリック感が得られていると判断し、合格と評価した(表1中で評価「A」)。テクスチャを視認でき、かつ、0.70<Gc/Gl≦0.90であれば、良好なメタリック感が得られていると判断し、合格と評価した(表1中で評価「B」)。テクスチャを視認できない、又はテクスチャを視認できても0.90<Gc/Glであれば、メタリック感が得られていないと判断し、不合格と評価した(表1中で評価「C」)。
[評価結果]
表1を参照して、試験番号4、5、10~17、20~22、35~27、30~32では、凹部底三次元平均粗さSasは200nm超2000nm以下であった。さらに、F1が15.0以下であり、F2が1.0よりも大きく、F3が1.10以上であった。さらに、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向(第2方向)の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)が0.30μm以上であった。そのため、明度が50以下であっても、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認可能であった(評価A又はB)。さらに、密着性にも優れた。さらに、Gc/GIが0.90以下であり、十分なメタリック感が得られた。
なお、試験番号4、5、10~17、20~22、35~27、30~32のうち、試験番号5を除く試験番号では、凸部頂上三次元平均粗さSahが5nm超200nm以下であった。そのため、試験番号4、10~17、20~22、35~27、30~32では、試験番号5と比較して、明度が低くても、テクスチャを視認可能であった。
なお、試験番号4、5、10~17、20~22、35~27、30~32のうち、試験番号10以外の試験番号では、地鉄露出率が5%未満であった。そのため、試験番号4、5、11~17、20~22、35~27、30~32では、耐食性評価試験において、錆発生率が5%未満であり、十分な耐食性が得られた(評価A)。
一方、試験番号1では、めっきテクスチャが形成されなかった。そのため、着色樹脂層の最大厚さDKmaxと、最小厚さDKminと、着色剤含有量CKとが式(2)を満たさなかった。さらに、表面粗さRa(CL)及び表面粗さRa(CC)が式(3)を満たさなかった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。さらに、Gc/GIが0.90を超え、十分なメタリック感が得られなかった(評価C)。
試験番号2では、凹部底三次元平均粗さSasが200nm以下であった。そのため、密着性が低かった。また、地鉄露出率が5%を超えた。そのため、耐食性評価試験において、錆発生率が5%を超え、十分な耐食性が得られなかった(評価C)。
試験番号6では、着色樹脂層の最小厚さDKmin及び着色樹脂層中の着色剤含有量CKが式(1)を満たさなかった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。
試験番号7では、着色樹脂層の最大厚さDKmaxと、最小厚さDKminと、着色剤含有量CKとが式(2)を満たさなかった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。その結果、十分なメタリック感も得られなかった(評価C)。
試験番号8では、表面粗さRa(CL)及び表面粗さRa(CC)が式(3)を満たさなかった。そのため、Gc/GIが0.90を超え、十分なメタリック感が得られなかった(評価C)。
試験番号9では、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)が0.30μm未満であった。また、表面粗さRa(MC)が0.30μm未満であるがゆえに、表面粗さRa(CL)及び表面粗さRa(CC)が式(3)を満たさなかった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。さらに、Gc/GIが0.90を超え、十分なメタリック感が得られなかった(評価C)。
試験番号18では、めっきテクスチャが形成されなかった。そのため、着色樹脂層の最大厚さDKmaxと、最小厚さDKminと、着色剤含有量CKとが式(2)を満たさなかった。さらに、表面粗さRa(CL)及び表面粗さRa(CC)が式(3)を満たさなかった。さらに、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)が0.30μm未満であった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。さらに、Gc/GIが0.90を超え、十分なメタリック感が得られなかった(評価C)。
試験番号19では、着色樹脂層の最小厚さDKmin及び着色樹脂層中の着色剤含有量CKが式(1)を満たさなかった。また、地鉄露出率が5%を超えた。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。その結果、十分なメタリック感も得られなかった(評価C)。さらに、耐食性評価試験において、錆発生率が5%を超え、十分な耐食性が得られなかった(評価C)。
試験番号23では、めっきテクスチャが形成されなかった。そのため、着色樹脂層の最大厚さDKmaxと、最小厚さDKminと、着色剤含有量CKとが式(2)を満たさなかった。さらに、表面粗さRa(CL)及び表面粗さRa(CC)が式(3)を満たさなかった。さらに、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)が0.30μm未満であった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。さらに、Gc/GIが0.90を超え、十分なメタリック感が得られなかった(評価C)。
試験番号24では、着色樹脂層の最小厚さDKmin及び着色樹脂層中の着色剤含有量CKが式(1)を満たさなかった。また、地鉄露出率が5%を超えた。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。その結果、十分なメタリック感も得られなかった(評価C)。さらに、耐食性評価試験において、錆発生率が5%を超え、十分な耐食性が得られなかった(評価C)。
試験番号28では、めっきテクスチャが形成されなかった。そのため、着色樹脂層の最大厚さDKmaxと、最小厚さDKminと、着色剤含有量CKとが式(2)を満たさなかった。さらに、表面粗さRa(CL)及び表面粗さRa(CC)が式(3)を満たさなかった。さらに、テクスチャ(ヘアライン)の延在方向と直交する方向の亜鉛めっき層の表面粗さRa(MC)が0.30μm未満であった。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。さらに、Gc/GIが0.90を超え、十分なメタリック感が得られなかった(評価C)。
試験番号29では、着色樹脂層の最小厚さDKmin及び着色樹脂層中の着色剤含有量CKが式(1)を満たさなかった。また、地鉄露出率が5%を超えた。そのため、テクスチャ視認試験において、テクスチャを視認できなかった(評価C)。その結果、十分なメタリック感も得られなかった(評価C)。さらに、耐食性評価試験において、錆発生率が5%を超え、十分な耐食性が得られなかった(評価C)。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 めっき鋼板
10 亜鉛めっき層
10S テクスチャ
11 着色樹脂層
31 樹脂
32 顔料

Claims (10)

  1. めっき鋼板であって、
    表面に母材テクスチャが形成されている母材鋼板と、
    前記母材鋼板の前記母材テクスチャが形成されている前記表面に形成されている亜鉛めっき層と、
    前記亜鉛めっき層上に形成されている着色樹脂層とを備え、
    前記亜鉛めっき層の表面には、めっきテクスチャが形成されており、
    前記着色樹脂層は着色剤を含有しており、
    前記めっきテクスチャは、
    複数の凸部と、
    複数の凹部とを含み、
    前記母材鋼板の圧延方向を第1方向と定義し、前記めっき鋼板の表面において、前記第1方向と直交する方向を第2方向と定義したとき、めっき鋼板は、次の(A)~(C)及び(F)を満たす、
    めっき鋼板。
    (A)前記めっきテクスチャの前記第2方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル中の各前記凹部における最も低い位置を凹部底点と定義したとき、前記粗さプロファイルの複数の前記凹部底点のうち、最も低い順に10個の前記凹部底点を特定し、特定された前記凹部底点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を凹部底三次元平均粗さSasと定義したとき、凹部底三次元平均粗さSasが200nm超2000nm以下である。
    (B)前記第2方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最小厚さ(μm)をDKminと定義し、前記着色樹脂層中の前記着色剤の含有量(面積%)をCKと定義し、F1を式(1)で定義したとき、前記F1は15.0以下である。
    F1=DKmin×CK (1)
    (C)前記第2方向の100μm長さの範囲において、前記着色樹脂層の最大厚さ(μm)をDKmaxと定義し、F2を式(2)で定義したとき、前記F2は1.0よりも大きい。
    F2=(DKmax-DKmin)×CK (2)
    (F)前記第2方向の前記亜鉛めっき層の表面粗さをRa(MC)と定義したとき、Ra(MC)が0.30μm以上である。
  2. 請求項1に記載のめっき鋼板であってさらに、次の(D)を満たす、
    めっき鋼板。
    (D)前記めっきテクスチャの前記第2方向の1000μmの長さの範囲の粗さプロファイルを測定し、測定された前記粗さプロファイル中の各前記凸部における最も高い位置を凸部頂上点と定義したとき、前記粗さプロファイルの複数の前記凸部頂上点のうち、最も高い順に10個の前記凸部頂上点を特定し、特定された前記凸部頂上点を中心とした1μm×1μmの微小領域の三次元平均粗さSaを測定し、測定された10個の三次元平均粗さSaの算術平均値を凸部頂上三次元平均粗さSahと定義したとき、凸部頂上三次元平均粗さSahが5nm超200nm以下である。
  3. 請求項2に記載のめっき鋼板であって、
    複数の前記凸部と複数の前記凹部とは、前記第1方向に延びており、
    複数の前記凸部と複数の前記凹部とは、前記第2方向に配列されている、
    めっき鋼板。
  4. 請求項3に記載のめっき鋼板であって、
    前記母材テクスチャはヘアラインであり、
    前記めっきテクスチャはヘアラインであり、
    前記めっき鋼板はさらに、
    次の(E)を満たす、
    めっき鋼板。
    (E)前記第1方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CL)と定義し、前記第2方向の前記着色樹脂層の表面粗さRaをRa(CC)と定義し、F3を式(3)で定義したとき、前記F3は1.10以上である。
    F3=Ra(CC)/Ra(CL) (3)
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
    前記めっき鋼板を前記着色樹脂層側から見た場合の明度L(SCI)が45以下である、
    めっき鋼板。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
    F1は13.5以下である、
    めっき鋼板。
  7. 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
    F2は2.0よりも大きい、
    めっき鋼板。
  8. 請求項に記載のめっき鋼板であって、
    前記F3は1.15以上である、
    めっき鋼板。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のめっき鋼板であって、
    前記亜鉛めっき層の地鉄露出率が5%未満である、
    めっき鋼板。
  10. 請求項2に記載のめっき鋼板であって、
    複数の前記凸部は、前記亜鉛めっき層の表面を研磨して形成されており、
    複数の前記凹部は、研磨されていない、
    めっき鋼板。
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