JP7260767B2 - 溶接継手、及び、その溶接継手の製造に用いられる溶接材料 - Google Patents
溶接継手、及び、その溶接継手の製造に用いられる溶接材料 Download PDFInfo
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一対の母材と、
一対の前記母材の間に配置された溶接金属とを備え、
前記母材は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.250%、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~27.00%、
Ni:20.00~50.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~3.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~0.20%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~5.00%、
W:0~5.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
前記溶接金属は、
前記溶接金属の延在方向に垂直な断面において、一対の前記母材の開先のルート面の間の領域を含む初層領域と、
前記初層領域以外の他層領域とを備え、
前記初層領域は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.150%、
Si:0.80%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~27.00%、
Ni:20.00~80.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~3.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~0.50%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~15.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
前記初層領域において、F1=Fe/Niと定義したとき、
F1が0.16~1.60であり、
前記他層領域は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなり、
前記他層領域において、F2=Fe/Niと定義したとき、
F1>F2を満たす。
化学組成が、質量%で、
C:0.030~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなる。
一対の母材と、
一対の前記母材の間に配置された溶接金属とを備え、
前記母材は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.250%、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~27.00%、
Ni:20.00~50.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~3.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~0.20%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~5.00%、
W:0~5.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
前記溶接金属は、
前記溶接金属の延在方向に垂直な断面において、一対の前記母材の開先のルート面の間の領域を含む初層領域と、
前記初層領域以外の他層領域とを備え、
前記初層領域は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.150%、
Si:0.80%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~27.00%、
Ni:20.00~80.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~3.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~0.50%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~15.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
前記初層領域において、F1=Fe/Niと定義したとき、
F1が0.16~1.60であり、
前記他層領域は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなり、
前記他層領域において、F2=Fe/Niと定義したとき、
F1>F2を満たす。
前記母材の前記化学組成は、
Nb:0.01~3.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~0.20%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~5.00%、
W:0.01~5.00%、
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、及び、
希土類元素:0.001~0.100%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する。
前記溶接金属の前記初層領域の前記化学組成は、
Nb:0.01~3.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~0.50%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~15.00%、
W:0.01~15.00%
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%以下、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、及び、
希土類元素:0.001~0.100%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する。
前記溶接金属の前記他層領域の前記化学組成は、
Nb:0.01~2.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~1.00%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~15.00%、
W:0.01~12.00%
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、
希土類元素:0.001~0.100%、及び、
Fe:0.01~20.00%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する。
前記母材は、長手方向に垂直な断面が円形状の管であり、
前記溶接金属は、前記母材の円周方向に延在する。
前記溶接継手は、エチレンプラント用途の分解炉管の又は改質炉管である。
化学組成が、質量%で、
C:0.030~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなる。
前記化学組成は、質量%で、
Nb:0.01~2.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~1.00%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~12.00%、
W:0.01~12.00%
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、
希土類元素:0.001~0.100%、及び、
Fe:0.01~20.00%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する。
本実施形態の溶接継手は、高温浸炭環境での使用に適する。ここで、本明細書において、「高温浸炭環境」とは、炭化水素ガスを含有し、温度が800℃以上の雰囲気を意味する。高温浸炭環境の上限は特に限定されないが、たとえば、1300℃である。本実施形態の溶接継手は、化学プラント、特に、エチレンプラント用途に適する。本実施形態の溶接継手はたとえば、エチレンプラント用途の分解炉管、又は、改質炉管として好適である。なお、本実施形態の溶接継手は、高温浸炭環境以外の他の環境で使用されてもよい。たとえば、化学プラント設備と同様に高温環境となる火力発電ボイラ設備(たとえばボイラチューブ等)にも、本実施形態の溶接継手は当然に使用可能である。
図1は、本実施形態の溶接継手1の一例を示す平面図である。図1を参照して、本実施形態による溶接継手1は、一対の母材10と、溶接金属20とを備える。溶接金属20は、一対の母材10の間に配置されている。溶接金属20は、一対の母材10の間に配置され、一対の母材10とつながっている。
本実施形態の溶接継手1の母材10の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、Crと結合して母材中にCr炭化物を形成し、高温浸炭環境での母材10の高温クリープ強度を高める。C含有量が0.010%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、C含有量が0.250%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Cr炭化物が過剰に生成し、母材10の表面にAl2O3を主体とする酸化皮膜(アルミナ皮膜という)が十分に生成しない。そのため、高温浸炭環境において、耐浸炭性が十分に得られない。C含有量が0.250%を超えればさらに、鋳造後の母材10において、粗大な共晶炭化物が生成する。この場合、母材10の靱性が低下する。したがって、C含有量は0.010~0.250%である。C含有量の好ましい下限は0.015%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.045%である。C含有量の好ましい上限は0.220%であり、さらに好ましくは0.200%であり、さらに好ましくは0.150%であり、さらに好ましくは、0.100%である。
シリコン(Si)は不可避に含有される。つまり、Si含有量は0%超である。Siは、製鋼工程において、母材10を脱酸する。Siが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Si含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の熱間加工性が低下する。したがって、Si含有量は1.00%以下である。Si含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.15%である。Si含有量の好ましい上限は0.70%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%である。
マンガン(Mn)は不可避に含有される。つまり、Mn含有量は0%超である。Mnは、母材10中のSと結合してMnSを形成し、母材10の熱間加工性を高める。Mnが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mn含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の硬さが高くなりすぎる。この場合、母材10の熱間加工性及び溶接性が低下する。したがって、Mn含有量は1.00%以下である。Mn含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.10%である。Mn含有量の好ましい上限は0.80%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%である。
燐(P)は不可避に含有される。つまり、P含有量は0%超である。Pは、母材10の溶接性及び熱間加工性を低下する。P含有量が0.040%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の溶接性及び熱間加工性が十分に得られない。したがって、P含有量は0.040%以下である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は、母材10の製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
硫黄(S)は不可避に含有される。つまり、S含有量は0%超である。Sは、母材10の溶接性及び熱間加工性を低下する。S含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の溶接性及び熱間加工性が十分に得られない。したがって、S含有量は0.0100%以下である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、S含有量の過剰な低減は、母材10の製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%である。S含有量の好ましい上限は0.0050%であり、さらに好ましくは0.0040%であり、さらに好ましくは0.0030%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
クロム(Cr)は、高温浸炭環境での使用時において、アルミナ皮膜の生成を促進する。Crはさらに、母材10中のCと結合して鋼中にCr炭化物を形成し、母材10の高温クリープ強度を高める。Cr含有量が10.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が27.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高温浸炭環境において、母材10のCrが雰囲気ガス(炭化水素ガス)由来のCと結合し、母材10の表面にCr炭化物を過剰に多く生成する。これにより、母材10の表面の固溶Crが局所的に欠乏する。そのため、母材10の表面において、アルミナ皮膜の形成が十分に促進されず、母材10の表面にアルミナ皮膜が均一に形成されない。Cr含有量が27.00%を超えればさらに、上述のCr炭化物が、均一なアルミナ皮膜の形成を物理的に阻害する。したがって、Cr含有量は10.00~27.00%である。Cr含有量の好ましい下限は11.00%であり、さらに好ましくは12.00%であり、さらに好ましくは13.00%である。Cr含有量の好ましい上限は26.00%であり、さらに好ましくは25.00%であり、さらに好ましくは24.00%であり、さらに好ましくは23.00%である。
ニッケル(Ni)は、オーステナイトを安定化させ、母材10の高温クリープ強度を高める。Niはさらに、母材10の耐浸炭性を高める。Ni含有量が20.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Ni含有量が50.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Alを含有する金属間化合物(たとえば、γ’相)が過剰に多く生成して、母材10の高温クリープ強度及び熱間加工性が著しく低下する。したがって、Ni含有量は20.00~50.00%である。Ni含有量の好ましい下限は21.00%であり、さらに好ましくは21.50%であり、さらに好ましくは22.00%であり、さらに好ましくは22.50%である。Ni含有量の好ましい上限は45.00%であり、さらに好ましくは40.00%であり、さらに好ましくは35.00%であり、さらに好ましくは30.00%である。
アルミニウム(Al)は、母材10の表面にアルミナ皮膜を形成する。Alの酸化物であるAl2O3は、Cr2O3よりも熱力学的に安定である。そのため、高温浸炭環境において、母材表面にCr2O3を主体とする酸化皮膜ではなく、アルミナ皮膜を形成すれば、高温浸炭環境における溶接継手の耐浸炭性を高めることができる。Al含有量が2.50%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Al含有量が4.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、製造工程中において、Alを含有する粗大な金属間化合物(たとえば、γ’相)が過剰に多く生成して、母材10の高温クリープ強度及び熱間加工性を低下する。したがって、Al含有量は2.50~4.50%である。Al含有量の好ましい下限は2.55%であり、さらに好ましくは2.60%であり、さらに好ましくは2.65%である。Al含有量の好ましい上限は4.45%であり、さらに好ましくは4.40%であり、さらに好ましくは4.35%であり、さらに好ましくは4.30%であり、さらに好ましくは4.25%である。本実施形態の母材の化学組成において、Al含有量は、母材10中に含有する全Al量(Total Al含有量)を意味する。
窒素(N)は不可避に含有される。つまり、N含有量は0%超である。Nは、オーステナイトを安定化する。Nが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、N含有量が0.050%を超えれば、母材10中に粗大な窒化物及び/又は炭窒化物が生成し、母材10の靱性が低下する。したがって、N含有量は0.050%以下である。N含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。N含有量の好ましい上限は0.030%であり、さらに好ましくは0.025%であり、0.020%である。
本実施形態の溶接継手1の母材10の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Nb、Cu、Ti、Zr、Mo、W、B及びVからなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、いずれも母材10の高温クリープ強度を高める。
ニオブ(Nb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Nbは、高温浸炭環境において、Laves相(Fe2(Nb、W))及び/又はガンマダブルプライム相(Γ’’相(Ni3Nb))に代表される金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、母材10の高温クリープ強度を高める。しかしながら、Nb含有量が3.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、母材10の靱性が低下する。したがって、Nb含有量は0~3.00%である。Nb含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%である。Nb含有量の好ましい上限は2.50%であり、さらに好ましくは2.00%であり、さらに好ましくは1.80%であり、さらに好ましくは1.60%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuはオーステナイトを安定化する。Cuはさらに、析出強化により母材10の常温での強度、及び、高温クリープ強度を高める。Cu含有量が少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が5.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の延性及び熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は0~5.00%である。Cu含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は4.00%であり、さらに好ましくは3.50%であり、さらに好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.50%である。
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。含有される場合、Tiは、高温浸炭環境において、Laves相(Fe2Ti)及び/又はNi3Tiに代表される金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、高温浸炭環境において、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、母材10の高温クリープ強度を高める。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ti含有量が0.20%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、母材10の靱性が低下する。したがって、Ti含有量は0~0.20%である。Ti含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ti含有量の好ましい上限は0.18%であり、さらに好ましくは0.15%であり、好ましくは0.12%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Zr含有量は0%であってもよい。含有される場合、Zrは、高温浸炭環境において、Laves相等の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、高温浸炭環境において、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、母材10の高温クリープ強度を高める。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Zr含有量が0.10%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、母材10の靱性が低下する。したがって、Zr含有量は0~0.10%である。Zr含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Zr含有量の好ましい上限は0.09%であり、さらに好ましくは0.08%であり、好ましくは0.07%である。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、Moは、母相であるオーステナイトに固溶して、固溶強化により、母材10の高温クリープ強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が5.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の熱間加工性が低下する。したがって、Mo含有量は0~5.00%である。Mo含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%である。Mo含有量の好ましい上限は4.00%であり、さらに好ましくは3.50%であり、さらに好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.50%である。
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、W含有量は0%であってもよい。含有される場合、Wは、母材10の母相であるオーステナイトに固溶して、固溶強化により、母材10のクリープ強度を高める。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、W含有量が5.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の熱間加工性が低下する。したがって、W含有量は0~5.00%である。W含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。W含有量の好ましい上限は4.00%であり、さらに好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.00%であり、さらに好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは0.18%であり、さらに好ましくは0.16%である。
ボロン(B)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、B含有量は0%であってもよい。含有される場合、Bは結晶粒界に偏析して、高温浸炭環境において、結晶粒界での金属間化合物の析出を促進する。これにより、母材10の高温クリープ強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の溶接性及び熱間加工性が低下する。したがって、B含有量は0~0.0050%である。B含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0045%であり、さらに好ましくは0.0040%であり、さらに好ましくは0.0035%である。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、V含有量は0%であってもよい。含有される場合、Vは、Tiと同様に金属間化合物を形成し、母材10の高温クリープ強度を高める。しかしながら、V含有量が0.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、母材10の熱間加工性が低下する。したがって、V含有量は0~0.50%である。V含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。V含有量の好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、Caは、Sを硫化物として固定して、母材10の熱間加工性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が0.020%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、母材10の靱性及び熱間加工性が低下する。Ca含有量が0.020%を超えればさらに、母材10の清浄性が低下する。したがって、Ca含有量は0~0.020%である。Caの好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。Ca含有量の好ましい上限は0.018%であり、さらに好ましくは0.016%であり、さらに好ましくは0.014%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mg含有量は0%であってもよい。含有される場合、Mgは、Sを硫化物として固定して、母材10の熱間加工性を高める。Mgが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mg含有量が0.020%を超えれば、母材10の靱性及び熱間加工性が低下する。Mg含有量が0.020%を超えればさらに、母材10の清浄性が低下する。したがって、Mg含有量は0~0.020%である。Mgの好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。Mg含有量の好ましい上限は0.018%であり、さらに好ましくは0.016%であり、さらに好ましくは0.014%である。
希土類元素(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、REM含有量は0%であってもよい。含有される場合、REMは、Sを硫化物として固定し、母材10の熱間加工性を高める。REMはさらに、酸化物を形成して、母材10の耐食性、高温クリープ強度、及び、高温クリープ延性を高める。REMが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、REM含有量が0.100%を超えれば、酸化物等の介在物が過剰に多くなり、母材10の熱間加工性及び溶接性が低下する。したがって、REM含有量は0~0.100%である。REM含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.003%であり、更に好ましくは0.004%である。REM含有量の好ましい上限は0.090%であり、さらに好ましくは0.080%であり、さらに好ましくは0.070%である。
図5~図7は、本実施形態の溶接継手1の一対の母材10の開先形状の一例を示す図である。図5はV形開先であり、図6はU形開先であり、図7はX形開先である。図8は、図5のV形開先を有する母材10を備える溶接継手1の、溶接金属延在方向Lに垂直な断面図である。図9は、図6のU形開先を有する母材10を備える溶接継手1の、溶接金属延在方向Lに垂直な断面図である。図10は、図7のX形開先を有する母材10を備える溶接継手1の、溶接金属延在方向Lに垂直な断面図である。
溶接金属20の初層領域21の化学組成は、次の元素を含有する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
炭素(C)は、Crと結合して合金中にCr炭化物を形成し、高温浸炭環境での溶接金属20の高温クリープ強度を高める。C含有量が0.010%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、C含有量が0.150%を超えれば、粗大な共晶炭化物が生成する。この場合、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、C含有量は0.010~0.150%である。C含有量の好ましい下限は0.015%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.030%であり、さらに好ましくは0.045%である。C含有量の好ましい上限は0.120%であり、さらに好ましくは0.100%であり、さらに好ましくは0.090%である。
シリコン(Si)は不可避に含有される。つまり、Si含有量は0%超である。Siは、溶接金属20を脱酸する。Siはさらに、溶接金属20の酸化皮膜を強化して、耐浸炭性及び耐コーキング性を高める。Siが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Si含有量が0.80%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の高温割れ感受性が高まり、溶接時において、凝固割れや再熱割れが発生する。したがって、Si含有量は0.80%以下である。Si含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.15%である。Si含有量の好ましい上限は0.70%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%である。
マンガン(Mn)は不可避に含有される。つまり、Mn含有量は0%超である。Mnは、溶接金属20を脱酸する。Mnはさらに、溶接金属20中のSと結合してMnSを形成し、溶接金属20の凝固割れ及び再熱割れを抑制する。Mnが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mn含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の酸化皮膜の安定性が低下して、溶接金属20の耐食性が低下する。したがって、Mn含有量は1.00%以下である。Mn含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.10%である。Mn含有量の好ましい上限は0.80%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%である。
燐(P)は不可避に含有される。つまり、P含有量は0%超である。Pは、溶接金属20の溶接性を低下し、凝固割れを発生させる。P含有量が0.040%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の溶接性が低下し、凝固割れが発生しやすくなる。したがって、P含有量は0.040%以下である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は、溶接金属20の製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
硫黄(S)は不可避に含有される。つまり、S含有量は0%超である。Sは、溶接金属20の溶接性を低下し、凝固割れを発生させる。S含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の溶接性が低下し、凝固割れが発生しやすくなる。したがって、S含有量は0.0100%以下である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、S含有量の過剰な低減は、溶接金属20の製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%である。S含有量の好ましい上限は0.0050%であり、さらに好ましくは0.0040%であり、さらに好ましくは0.0030%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
クロム(Cr)は、高温浸炭環境での使用時において、酸化皮膜を形成して、溶接金属20の耐浸炭性及び耐コーキング性を高める。Cr含有量が10.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が27.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高温浸炭環境において、溶接金属20の相安定性が低下する。したがって、Cr含有量は10.00~27.00%である。Cr含有量の好ましい下限は11.00%であり、さらに好ましくは12.00%であり、さらに好ましくは13.00%である。Cr含有量の好ましい上限は26.00%であり、さらに好ましくは25.00%であり、さらに好ましくは24.00%であり、さらに好ましくは23.00%である。
ニッケル(Ni)は、オーステナイトを安定化させ、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Niはさらに、溶接金属20の耐浸炭性を高める。Ni含有量が20.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Ni含有量が80.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、γ’相が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が顕著に低下する。したがって、Ni含有量は20.00%~80.00%である。Ni含有量の好ましい下限は25.00%であり、さらに好ましくは28.00%であり、さらに好ましくは30.00%である。Ni含有量の好ましい上限は78.00%であり、さらに好ましくは70.00%であり、さらに好ましくは65.00%であり、さらに好ましくは62.00%である。
アルミニウム(Al)は、溶接金属20の表面にアルミナ皮膜を形成し、高温浸炭環境における溶接金属20の耐浸炭性を高める。Al含有量が2.50%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Al含有量が4.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、製造工程中において、γ’相等が過剰に多く生成して、溶接金属20の高温クリープ強度及び溶接性を低下する。したがって、Al含有量は2.50%~4.50%である。Al含有量の好ましい下限は2.55%であり、さらに好ましくは2.60%であり、さらに好ましくは2.65%である。Al含有量の好ましい上限は4.45%であり、さらに好ましくは4.40%であり、さらに好ましくは4.35%であり、さらに好ましくは4.30%であり、さらに好ましくは4.25%である。本実施形態の初層領域21の化学組成において、Al含有量は、全Al量(Total Al含有量)を意味する。
窒素(N)は不可避に含有される。つまり、N含有量は0%超である。Nは、固溶強化及び析出強化により溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Nが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、N含有量が0.050%を超えれば、溶接時にブローホールが発生する。したがって、N含有量は0.050%以下である。N含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。N含有量の好ましい上限は0.030%であり、さらに好ましくは0.025%であり、0.020%である。
本実施形態の溶接金属20の初層領域21の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Nb、Cu、Ti、Zr、Mo、W、B及びVからなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、いずれも溶接金属20の高温クリープ強度を高める。
ニオブ(Nb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Nbは、高温浸炭環境において、Laves相及び/又はガンマダブルプライム相(Γ’’相)に代表される金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。しかしながら、Nb含有量が3.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、Nb含有量は0~3.00%である。Nb含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%である。Nb含有量の好ましい上限は2.50%であり、さらに好ましくは2.00%であり、さらに好ましくは1.80%であり、さらに好ましくは1.60%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuは析出強化により溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Cu含有量が少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が5.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20において凝固割れが発生しやすくなる。したがって、Cu含有量は0~5.00%である。Cu含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は4.00%であり、さらに好ましくは3.50%であり、さらに好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.50%である。
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。含有される場合、Tiは、高温浸炭環境において、Laves相(Fe2Ti)及び/又はNi3Tiに代表される金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、高温浸炭環境において、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ti含有量が0.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、Ti含有量は0~0.50%である。Ti含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ti含有量の好ましい上限は0.40%であり、さらに好ましくは0.30%であり、好ましくは0.20%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Zr含有量は0%であってもよい。含有される場合、Zrは、高温浸炭環境において、Laves相等の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、高温浸炭環境において、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Zr含有量が0.10%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、Zr含有量は0~0.10%である。Zr含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Zr含有量の好ましい上限は0.09%であり、さらに好ましくは0.08%であり、好ましくは0.07%である。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、Moは、母相であるオーステナイトに固溶して、固溶強化により、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が15.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の高温での変形能が低下し、凝固割れが発生しやすくなる。したがって、Mo含有量は0~15.00%である。Mo含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは1.00%である。Mo含有量の好ましい上限は12.50%であり、さらに好ましくは10.00%であり、さらに好ましくは7.00%であり、さらに好ましくは5.00%である。
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、W含有量は0%であってもよい。含有される場合、Wは、母相であるオーステナイトに固溶して、固溶強化により、溶接金属20のクリープ強度を高める。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、W含有量が15.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の高温での変形能が低下し、凝固割れが発生しやすくなる。したがって、W含有量は0~15.00%である。W含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。W含有量の好ましい上限は12.50%であり、さらに好ましくは10.00%であり、さらに好ましくは7.00%であり、さらに好ましくは5.00%である。
ボロン(B)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、B含有量は0%であってもよい。含有される場合、Bは結晶粒界に偏析して、高温浸炭環境において、結晶粒界での金属間化合物の析出を促進する。これにより、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の溶接性が低下し、凝固割れが発生しやすくなる。したがって、B含有量は0~0.0050%である。B含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0045%であり、さらに好ましくは0.0040%であり、さらに好ましくは0.0035%である。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、V含有量は0%であってもよい。含有される場合、Vは、Tiと同様に金属間化合物を形成し、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。一方、V含有量が0.50%を超えれば、溶接金属20中に上述の金属間化合物が過剰に多く生成し、溶接金属20の溶接性が低下する。したがって、V含有量は0~0.50%である。V含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。V含有量の好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、Caは、O(酸素)及びS(硫黄)を介在物として固定し、溶接金属20の高温での変形能を高める。しかしながら、Ca含有量が0.020%を超えれば、溶接金属20の清浄性が低下して、溶接金属20の高温での変形能がかえって低下する。したがって、Ca含有量は0~0.020%である。Ca含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Ca含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mg含有量は0%であってもよい。含有される場合、Mgは、O(酸素)及びS(硫黄)を介在物として固定し、溶接金属20の高温での変形能を高める。しかしながら、Mg含有量が0.020%を超えれば、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、Mg含有量は0~0.020%である。Mg含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Mg含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
希土類元素(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、REM含有量は0%であってもよい。含有される場合、REMは、O(酸素)及びS(硫黄)を介在物として固定し、溶接金属20の高温での変形能を高める。しかしながら、REM含有量が0.100%を超えれば、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、REM含有量は0~0.100%である。Mg含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Mg含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.050%であり、さらに好ましくは0.010%である。
本実施形態の溶接継手1の溶接金属20の初層領域21の化学組成において、F1を次の式で定義する。
F1=Fe/Ni
ここで、F1中の各元素含有量には、初層領域21中の対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
溶接金属20のうち、他層領域22は、初層領域21以外の領域である。他層領域22の化学組成は、次の元素を含有する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。各元素の作用効果は、原則として、初層領域21の化学組成の各元素の作用効果と同じである。
炭素(C)は、Cr炭化物を形成し、高温浸炭環境での溶接金属20の高温クリープ強度を高める。C含有量が0.010%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、C含有量が0.250%以上であれば、粗大な共晶炭化物が生成する。この場合、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、C含有量は0.010~0.250%未満である。C含有量の好ましい下限は0.015%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.045%である。C含有量の好ましい上限は0.220%であり、さらに好ましくは0.200%であり、さらに好ましくは0.190%であり、さらに好ましくは、0.150%である。
シリコン(Si)は不可避に含有される。つまり、Si含有量は0%超である。Siは、溶接金属20を脱酸する。Siはさらに、溶接金属20の酸化皮膜を強化して、耐浸炭性及び耐コーキング性を高める。Siが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Si含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の高温割れ感受性が高まり、溶接時において、凝固割れや再熱割れが発生する。したがって、Si含有量は1.00%以下である。Si含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.15%である。Si含有量の好ましい上限は0.90%であり、さらに好ましくは0.80%であり、さらに好ましくは0.70%である。
マンガン(Mn)は不可避に含有される。つまり、Mn含有量は0%超である。Mnは、溶接金属20を脱酸する。Mnはさらに、溶接金属20中のSと結合してMnSを形成し、溶接金属20の凝固割れ及び再熱割れを抑制する。Mnが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mn含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の酸化皮膜の安定性が低下して、溶接金属20の耐食性が低下する。したがって、Mn含有量は1.00%以下である。Mn含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.10%である。Mn含有量の好ましい上限は0.80%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.50%である。
燐(P)は不可避に含有される。つまり、P含有量は0%超である。P含有量が0.040%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の溶接性及び高温での変形能が十分に得られない。したがって、P含有量は0.040%以下である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は、溶接金属20の製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
硫黄(S)は不可避に含有される。つまり、S含有量は0%超である。S含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の溶接性及び高温での変形能が十分に得られない。したがって、S含有量は0.0100%以下である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、S含有量の過剰な低減は、溶接金属20の製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、S含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%である。S含有量の好ましい上限は0.0050%であり、さらに好ましくは0.0040%であり、さらに好ましくは0.0030%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
クロム(Cr)は、高温浸炭環境での使用時において、酸化皮膜を形成して、溶接金属20の耐浸炭性及び耐コーキング性を高める。Cr含有量が10.00%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が30.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高温浸炭環境において、溶接金属20の相安定性が低下する。したがって、Cr含有量は10.00~30.00%である。Cr含有量の好ましい下限は11.50%であり、さらに好ましくは12.00%であり、さらに好ましくは12.50%である。Cr含有量の好ましい上限は29.50%であり、さらに好ましくは28.00%であり、さらに好ましくは27.50%であり、さらに好ましくは26.00%である。
アルミニウム(Al)は、溶接金属20の表面にアルミナ皮膜を形成し、高温浸炭環境における溶接金属20の耐浸炭性を高める。Al含有量が2.50%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Al含有量が4.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接中にγ’相(Ni3Al)等が過剰に多く生成して、溶接金属20の高温クリープ強度及び溶接性を低下する。したがって、Al含有量は2.50%~4.50%である。Al含有量の好ましい下限は2.55%であり、さらに好ましくは2.60%であり、さらに好ましくは2.65%である。Al含有量の好ましい上限は4.45%であり、さらに好ましくは4.40%であり、さらに好ましくは4.35%であり、さらに好ましくは4.30%であり、さらに好ましくは4.25%である。本実施形態の他層領域22の化学組成において、Al含有量は、全Al量(Total Al含有量)を意味する。
窒素(N)は不可避に含有される。つまり、N含有量は0%超である。Nは、固溶強化及び析出強化により溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Nが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、N含有量が0.050%を超えれば、溶接時にブローホールが発生する。したがって、N含有量は0.050%以下である。N含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。N含有量の好ましい上限は0.030%であり、さらに好ましくは0.025%であり、0.020%である。
本実施形態の溶接金属20の他層領域22の化学組成はさらに、Niの一部に代えて、Nb、Cu、Ti、Zr、Mo、W、B及びVからなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも任意元素であり、いずれも溶接金属20の高温クリープ強度を高める。
ニオブ(Nb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Nbは、高温浸炭環境において、Laves相及び/又はΓ’’相に代表される金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。しかしながら、Nb含有量が2.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、Nb含有量は0~2.00%である。Nb含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%である。Nb含有量の好ましい上限は1.50%であり、さらに好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは0.80%であり、さらに好ましくは0.60%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuは析出強化により溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Cu含有量が少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が5.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の延性及び高温での変形能が低下する。したがって、Cu含有量は0~5.00%である。Cu含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は4.00%であり、さらに好ましくは3.50%であり、さらに好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.50%である。
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。含有される場合、Tiは、高温浸炭環境において、Laves相(Fe2Ti)及び/又はNi3Tiに代表される金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、高温浸炭環境において、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ti含有量が1.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、Ti含有量は0~1.00%である。Ti含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ti含有量の好ましい上限は0.90%であり、さらに好ましくは0.80%であり、好ましくは0.70%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Zr含有量は0%であってもよい。含有される場合、Zrは、高温浸炭環境において、Laves相等の金属間化合物を形成する。これらの金属間化合物は、高温浸炭環境において、結晶粒界及び結晶粒を析出強化して、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Zr含有量が0.10%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上述の金属間化合物が過剰に多く生成して、溶接金属20の靱性が低下する。したがって、Zr含有量は0~0.10%である。Zr含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Zr含有量の好ましい上限は0.09%であり、さらに好ましくは0.08%であり、好ましくは0.07%である。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、Moは、母相であるオーステナイトに固溶して、固溶強化により、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が15.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、Mo含有量は0~15.00%である。Mo含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは1.00%である。Mo含有量の好ましい上限は14.50%であり、さらに好ましくは14.00%であり、さらに好ましくは13.00%であり、さらに好ましくは12.50%であり、さらに好ましくは12.00%である。
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、W含有量は0%であってもよい。含有される場合、Wは、母相であるオーステナイトに固溶して、固溶強化により、溶接金属20のクリープ強度を高める。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、W含有量が12.00%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、W含有量は0~12.00%である。W含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。W含有量の好ましい上限は11.00%であり、さらに好ましくは10.00%であり、さらに好ましくは9.00%であり、さらに好ましくは8.00%である。
ボロン(B)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、B含有量は0%であってもよい。含有される場合、Bは結晶粒界に偏析して、高温浸炭環境において、結晶粒界での金属間化合物の析出を促進する。これにより、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶接金属20の溶接性及び高温での変形能が低下する。したがって、B含有量は0~0.0050%である。B含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0045%であり、さらに好ましくは0.0040%であり、さらに好ましくは0.0035%である。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、V含有量は0%であってもよい。含有される場合、Vは、Tiと同様に金属間化合物を形成し、溶接金属20の高温クリープ強度を高める。Vが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。一方、V含有量が0.50%を超えれば、溶接金属20中の金属間化合物が過剰に多くなり、溶接金属20の溶接性が低下する。したがって、V含有量は0~0.50%である。V含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.05%である。V含有量の好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、Caは、O(酸素)及びS(硫黄)を介在物として固定し、溶接金属20の高温での変形能を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が0.020%を超えれば、溶接金属20の清浄性が低下して、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、Ca含有量は0~0.020%である。Ca含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Ca含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mg含有量は0%であってもよい。含有される場合、Mgは、O(酸素)及びS(硫黄)を介在物として固定し、溶接金属20の高温での変形能を高める。Mgが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mg含有量が高すぎれば、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、Mg含有量は0~0.020%である。Mg含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Mg含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
希土類元素(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、REM含有量は0%であってもよい。含有される場合、REMは、O(酸素)及びS(硫黄)を介在物として固定し、溶接金属20の高温での変形能を高める。REMが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、REM含有量が0.100%を超えれば、溶接金属20の高温での変形能が低下する。したがって、REM含有量は0~0.100%である。REM含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。REM含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.050%であり、さらに好ましくは0.010%である。
鉄(Fe)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Fe含有量は0%であってもよい。含有される場合、Feは溶接金属20の高温での変形能を高める。Feが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Fe含有量が20.00%を超えれば、溶接金属20において凝固割れが発生しやすくなる。したがって、Fe含有量は0~20.00%である。Fe含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは1.50%であり、さらに好ましくは1.70%である。Fe含有量の好ましい上限は18.00%であり、さらに好ましくは16.00%であり、さらに好ましくは14.00%であり、さらに好ましくは12.00%である。
本実施形態の溶接継手1の溶接金属20の他層領域22の化学組成において、指標F2を次の式で定義する。
F2=Fe/Ni
ここで、F2中の各元素含有量には、他層領域22中の対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
F1>F2
溶接金属20の初層領域21及び他層領域22の化学組成は、次の方法で分析できる。始めに、溶接継手1を溶接金属20の延在方向(溶接金属延在方向L)に垂直に切断し、図8~図10に示す断面(以下、観察面という)を得る。観察面を機械研磨した後、溶接金属20に対して王水によるエッチングを実施して、溶接金属20の各層の境界BOを現出させる。これにより、初層領域21と他層領域22とを容易に区分することができる。
上述の溶接金属20(初層領域21及び他層領域22)を製造するための溶接材料の化学組成は、他層領域22の化学組成と同じである。具体的には、本実施形態の溶接材料の化学組成は、
C:0.030~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなる。
以下、本実施形態の溶接継手1の製造方法を説明する。以降に説明する溶接継手1の製造方法は、本実施形態の溶接継手1の製造方法の一例である。したがって、上述の構成を有する溶接継手1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態の溶接継手1の製造方法の好ましい一例である。
始めに、一対の母材10を準備する。母材10の端部は、周知の開先形状が形成されている。開先形状はたとえば、図5に示すV形状であってもよいし、図6に示すU形状であってもよいし、図7に示すX形状であってもよいし、図5~図7以外の他の形状であってもよい。
準備工程では、上述の化学組成を有する素材を準備する。素材は第三者から供給されてもよいし、製造してもよい。素材はインゴットであってもよいし、スラブ、ブルーム、ビレットであってもよい。素材を製造する場合、次の方法により、素材を製造する。上述の化学組成を有する溶湯合金を製造する。製造された溶湯合金を用いて、造塊法によりインゴットを製造する。製造された溶湯合金を用いて、鋳造法によりスラブ、ブルーム、ビレット、素管を製造してもよい。製造されたインゴット、スラブ、ブルームに対して熱間加工を実施して、ビレット又は素管を製造してもよい。たとえば、インゴットに対して熱間鍛造を実施して、円柱状のビレットを製造し、このビレットを素材(円柱素材)としてもよい。この場合、熱間鍛造開始直前の素材の温度は特に限定されないが、たとえば、900~1300℃である。また、周知の遠心鋳造法により素材(合金管)を製造してもよい。
熱間加工工程は必要に応じて実施する。つまり、熱間加工工程は実施しなくてもよい。実施する場合、素材に対して熱間加工を実施して、所定の形状の中間材を製造する。母材10が板材である場合、熱間圧延により板状の中間材を製造する。母材10が合金管である場合、機械加工により、円柱素材の中心軸に沿った貫通孔を形成する。貫通孔が形成された円柱素材に対して、熱間押出を実施して、中間材(管材)を製造する。熱間加工工程での素材の加熱温度は特に限定されないが、たとえば900~1300℃である。
冷間加工工程は必要に応じて実施する。つまり、冷間加工工程は実施しなくてもよい。実施する場合、中間材に対して、酸洗処理を実施した後、冷間加工を実施する。母材10が板材である場合、冷間圧延を実施する。母材10が合金管である場合、冷間抽伸を実施する。冷間加工工程における減面率は特に限定されないが、たとえば、10~90%である。
溶体化熱処理工程は必要に応じて実施する。つまり、溶体化熱処理工程は実施しなくてもよい。実施する場合、準備工程で準備された素材、熱間加工工程後の中間材、又は、冷間加工工程後の中間材に対して、溶体化熱処理を実施する。溶体化熱処理により、素材又は中間材の析出物を固溶する。
スケール除去工程は必要に応じて実施する。つまり、スケール除去工程は実施しなくてもよい。実施する場合、準備工程で準備された素材、熱間加工工程後の中間材、冷間加工工程後の中間材、又は、溶体化熱処理後の素材又は中間材の表面のスケールを除去する。スケールを除去する方法は、ブラスト加工や研削等によりスケールを除去する方法であってもよいし、酸洗処理によりスケールを除去する方法であってもよい。
溶接金属形成工程では、準備された母材10に対して溶接を実施し、溶接金属20を形成して、溶接継手1を製造する。具体的には、開先が形成された2つの母材10を準備する。準備された母材10の開先同士を突き合わせる。そして、突き合わされた一対の開先部に対して、上述の溶接材料を用いて溶接を実施して、上述の化学組成を有する溶接金属20を形成する。
[母材の製造]
表1の化学組成を有する母材用の溶鋼を製造した。
表1の各マークの鋼板の耐浸炭性について、次の試験により評価した。各マークの鋼板から、厚さ8mm、幅20mm、長さ30mmの試験片を切り出した。試験片の表面を、#600番のエメリー紙で湿式研磨した。湿式研磨後の試験片をアルミナ治具を用いて直立させ、管状炉内に挿入した。試験片を挿入後の炉内に雰囲気ガスを通気しながら、1100℃で96時間保持した。雰囲気ガスは、15体積%のCH4と、3体積%のCO2と、82%のH2とを含有した。雰囲気ガスの流量は、合計で500mL/分とした。96時間経過後の試験片の表面から1mm深さ位置で切粉を作製した。切粉を用いて、JIS
G1211-3(2013)に準拠した高周波燃焼赤外吸収法を実施して、C含有量(質量%)を求めた。試験後のC含有量から、試験前の母材のC含有量(質量%)を差分した値を、各マークの母材での侵入C量とした。得られた侵入C量が1.5質量%以下である場合、耐浸炭性及び耐コーキング性に優れると判断した。表2に、耐浸炭性及び耐コーキング性の評価結果を示す。
表3に示す化学組成を有する鋼種の化学組成を有する溶鋼を製造した。なお、表3中の空白部分は、対応する元素が含有されていなかった(検出限界未満であった)ことを意味する。
表1のマークA~H、J~Oの母材から、図12に示す板材を2枚、機械加工により作製した。図12において、「mm」が付属した数値は、母材である鋼板の寸法(単位はmm)を示す。鋼板は、長手方向に延びる側面に開先面を有した。開先面は、開先角度の1/2が20°のV形開先と、開先角度の1/2が20°のU形開先とを準備した。
[初層領域21及び他層領域22の化学組成分析試験]
溶接金属20の初層領域21及び他層領域22の化学組成を、次の方法で分析した。始めに、溶接継手を溶接金属20の延在方向(溶接金属延在方向L)に垂直に切断し、図8又は図9に示す断面(以下、観察面という)を得た。観察面を機械研磨した後、溶接金属20に対して王水によるエッチングを実施して、溶接金属20の各層の境界BOを現出させた。これにより、初層領域21と他層領域22とを容易に区分することができた。
[凝固割れ判定試験]
図13を参照して、範囲D1のうち、溶接金属延在方向Lに等間隔ピッチで3箇所から、初層領域21及び一対の母材10を含むサンプルを採取した。つまり、範囲D1から3つのサンプルを採取した。そして、各サンプルの初層領域21に割れが発生しているか否かを目視にて判断した。3つのサンプルの断面(合計6面)において、初層領域21に1つでも割れが発生している場合、「凝固割れ」が発生したと判断した(表5中の「耐凝固割れ性」欄において「×」)。一方、3つのサンプルの断面(合計6面)のいずれにおいても初層領域21に割れが発生しない場合、凝固割れが発生しなかったと判断した(表5中の「耐凝固割れ性」欄において「○」)。
図13を参照して、範囲D2のうち、溶接金属延在方向Lに等間隔ピッチで3箇所から、溶接金属20及び一対の母材10を含むサンプルを採取した。つまり、範囲D2から3つのサンプルを採取した。そして、各サンプルの溶接金属20に割れが発生しているか否かを目視にて判断した。3つのサンプルの断面(合計6面)において、溶接金属20に1つでも割れが発生している場合、「再熱割れ」が発生したと判断した(表6中の「耐再熱割れ性」欄において「×」)。一方、3つのサンプルの断面(合計6面)のいずれにおいても溶接金属20に割れが発生しない場合、再熱割れが発生しなかったと判断した(表6中の「耐再熱割れ性」欄において「○」)。
試験結果を表6に示す。表6を参照して、試験番号1~6、11~18、21~31では、母材10の化学組成、初層領域21の化学組成、及び、他層領域22の化学組成がいずれも適切であった。そして、初層領域21において、F1が0.16~1.60であり、初層領域21の化学組成のF1と、他層領域22の化学組成のF2とが、F1>F2であった。そのため、多層盛り溶接時において、凝固割れ及び再熱割れが発生しなかった。
Claims (8)
- 溶接継手であって、
一対の母材と、
一対の前記母材の間に配置された溶接金属とを備え、
前記母材は、
化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.250%、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~27.00%、
Ni:20.00~50.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~3.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~0.20%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~5.00%、
W:0~5.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
前記溶接金属は、
前記溶接金属の延在方向に垂直な断面において、一対の前記母材の開先のルート面の間の領域を含む初層領域と、
前記初層領域以外の他層領域とを備え、
前記溶接金属の延在方向に垂直に切断した断面における前記溶接金属の幅中央位置であって、かつ、前記初層領域の厚さ中央位置での化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.150%、
Si:0.80%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~27.00%、
Ni:20.00~80.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~3.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~0.50%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~15.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、及び、
残部がFe及び不純物からなり、
前記初層領域において、F1=Fe/Niと定義したとき、
F1が0.16~1.60であり、
前記溶接金属の延在方向に垂直に切断した断面における前記溶接金属の幅中央位置であって、かつ、前記他層領域の厚さ中央位置での化学組成が、質量%で、
C:0.010~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%、
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなり、
前記他層領域において、F2=Fe/Niと定義したとき、
F1>F2を満たす、
溶接継手。 - 請求項1に記載の溶接継手であって、
前記母材の前記化学組成は、
Nb:0.01~3.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~0.20%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~5.00%、
W:0.01~5.00%、
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、及び、
希土類元素:0.001~0.100%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
溶接継手。 - 請求項1又は請求項2に記載の溶接継手であって、
前記溶接金属の前記初層領域の前記化学組成は、
Nb:0.01~3.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~0.50%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~15.00%、
W:0.01~15.00%
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%以下、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、及び、
希土類元素:0.001~0.100%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
溶接継手。 - 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の溶接継手であって、
前記溶接金属の前記他層領域の前記化学組成は、
Nb:0.01~2.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~1.00%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~15.00%、
W:0.01~12.00%
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、
希土類元素:0.001~0.100%、及び、
Fe:0.01~20.00%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
溶接継手。 - 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の溶接継手であって、
前記母材は、長手方向に垂直な断面が円形状の管であり、
前記溶接金属は、前記母材の円周方向に延在する、
溶接継手。 - 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の溶接継手であって、
前記溶接継手は、エチレンプラント用途の分解炉管又は改質炉管である、
溶接継手。 - 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の溶接継手の製造に用いられる溶接材料であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.030~0.250%未満、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.0100%以下、
Cr:10.00~30.00%、
Al:2.50~4.50%、
N:0.050%以下、
Nb:0~2.00%、
Cu:0~5.00%、
Ti:0~1.00%、
Zr:0~0.10%、
Mo:0~15.00%、
W:0~12.00%
B:0~0.0050%、
V:0~0.50%、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
希土類元素:0~0.100%、
Fe:0~20.00%、及び、
残部がNi及び不純物からなる、
溶接材料。 - 請求項7に記載の溶接材料であって、
前記化学組成は、質量%で、
Nb:0.01~2.00%、
Cu:0.01~5.00%、
Ti:0.01~1.00%、
Zr:0.01~0.10%、
Mo:0.01~12.00%、
W:0.01~12.00%
B:0.0001~0.0050%、
V:0.01~0.50%、
Ca:0.001~0.020%、
Mg:0.001~0.020%、
希土類元素:0.001~0.100%、及び、
Fe:0.01~20.00%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
溶接材料。
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