JP7260314B2 - プレスフィット端子、及び、端子付き基板 - Google Patents

プレスフィット端子、及び、端子付き基板 Download PDF

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Description

本発明は、プレスフィット端子、及び、端子付き基板に関する。
従来のプレスフィット端子として、例えば、特許文献1は、本体部から延びると共に、外縁が所定の形状であって軸方向に沿って形成する脚と、端子を貫通して横断方向に打抜きされた所定形状を有し、前記脚を分離するとともに内向きの縁間に画定された細長の孔とを有するコンプライアント部を開示している。
特許第4030129号公報
近年、電子機器の小型化によって、プレスフィット端子及び端子付き基板は、小型化が望まれている。加えて、プレスフィット端子は、基板のスルーホールに対する挿入方向の所定位置に、基板との間の電気的な接点を配置することによって、基板との間を適正に電気的に接続することも望まれている。
しかしながら、基板の公差を考慮すると、特許文献1に記載のプレスフィット端子は、プレスフィット端子と基板との電気的接続を適正にする点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、基板との電気的接続を適正に行うことのできるプレスフィット端子の提供を目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係るプレスフィット端子は、基板のスルーホールに対する挿入方向と直交する直交方向における幅寸法が最も大きい幅広部、及び前記幅広部の前記直交方向における内側への変形を許容する貫通孔を有し、前記スルーホールに対して前記挿入方向に沿って圧入され、前記基板のスルーホールの内周面に接触するコンプライアント部を備え、前記幅広部は、前記直交方向における前記幅寸法が同一で前記挿入方向に沿って延在し、前記幅広部の前記挿入方向における長さ寸法は、前記スルーホールの前記挿入方向における深さ寸法の70~100%であり、前記幅広部の前記挿入方向における基端側端部は、前記コンプライアント部が前記スルーホールに圧入された状態で、前記挿入方向に対して、前記スルーホールの中央位置を含む所定範囲内に位置することを特徴とする。
また、上記プレスフィット端子において、前記基板の前記スルーホールの内周面には被膜が位置し、前記コンプライアント部は、前記スルーホールの内周面に圧入された時には、前記幅広部の先端側端部によって前記被膜を掻き取ることが好ましい。
上記の課題を解決するため、本発明に係る端子付き基板は、スルーホールを有する基板と、前記スルーホールに圧入されたプレスフィット端子とを備え、前記プレスフィット端子は、基板のスルーホールに対する挿入方向と直交する直交方向における幅寸法が最も大きい幅広部、及び前記幅広部の前記直交方向における内側への変形を許容する貫通孔を有し、前記スルーホールに対して前記挿入方向に沿って圧入され、前記基板のスルーホールの内周面に接触するコンプライアント部を備え、前記幅広部は、前記直交方向における前記幅寸法が同一で前記挿入方向に沿って延在し、前記幅広部の前記挿入方向における長さ寸法は、前記スルーホールの前記挿入方向における深さ寸法の70~100%であり、前記幅広部の前記挿入方向における基端側端部は、前記コンプライアント部が前記スルーホールに圧入された状態で、前記挿入方向に対して、前記スルーホールの中央位置を含む所定範囲内に位置することを特徴とする。
本発明に係るプレスフィット端子、及び端子付き基板は、以下の構成を有する。幅広部は、直交方向における幅寸法が同一で挿入方向に沿って延在し、幅広部の挿入方向における長さ寸法は、スルーホールの挿入方向における深さ寸法の70~100%である。このため、プレスフィット端子は、圧入の際、スルーホールに対するプレスフィット端子の挿入方向の位置がスルーホールの公差の範囲内でずれたときでも、幅広部の長さ寸法が大きいことによって、そのずれを許容し、基板との電気的接続を適正に行うことができる。
図1は、本発明の実施形態1に係るプレスフィット端子の正面図である。 図2は、プレスフィット端子のコンプライアント部を、基板のスルーホールに圧入した状態を示す正面図である。 図3は、図2の矢視III-IIIにおける断面図である。 図4は、本発明の実施形態2に係るプレスフィット端子の正面図である。
以下に、本発明に係るプレスフィット端子、及び、端子付き基板の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態1]
図1は、本発明に係るプレスフィット端子の正面図である。図2は、プレスフィット端子のコンプライアント部を、基板のスルーホールに圧入した状態を示す正面図である。図3は、図2の矢視III-IIIにおける断面図である。
図1に示すように、X方向は、本実施形態における基板20のスルーホール23に対するプレスフィット端子1の挿入方向である。Y方向は、図1に示すように、挿入方向Xに対して直交するプレスフィット端子1の第1直交方向(直交方向)である。Z方向は、図3に示すように、挿入方向X及び第1直交方向Yのそれぞれに対して直交するプレスフィット端子1の第2直交方向である。本明細書において、プレスフィット端子1は、挿入方向Xに沿った先端側と、挿入方向Xの反対側に位置する基端側とを有している。
本実施形態に係るプレスフィット端子1は、例えば、プリント基板等の基板20に使用される。基板20は、図1に示すように、電気絶縁性の基板本体21を有している。基板本体21は、電気導電性の回路部22と、回路部22と電気的に接続されているスルーホール23とを有している。回路部22は、例えば、基板20の挿入方向Xにおける一方の表面(実装面)に配置してある。スルーホール23は、挿入方向Xにおいて、基板本体21を貫通するように、例えば、貫通軸Xsを有する円柱状に形成されている。スルーホール23は、挿入方向Xにおいて、直径R1が一定となるように形成してある。スルーホール23の内周面は、電気導電性の材料である導電部28によって覆われている。また、スルーホール23は、挿入方向Xにおける基端側に一方の端部25を有し、挿入方向Xにおける先端側に他方の端部26を有し、一方の端部25と他方の端部26との間に中央部27とを有している。スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3は、挿入方向Xにおいて、一方の端部25における基端から、他方の端部26における先端までの長さである。言い換えれば、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3は、直径R1が同一の部分の長さである。プレスフィット端子1と基板20とは、端子付き基板2を構成する(図2参照)。言い換えれば、端子付き基板2は、当該プレスフィット端子1と基板20とを備えて構成されるものである。
プレスフィット端子1は、例えば、図1に示すように、銅合金等の電気導線性の材料によって、挿入方向Xに沿って延在する軸芯Xtを有し、先端部3と、コンプライアント部5と、基端部6とを備えている。プレスフィット端子1は、挿入方向Xに沿って延在して形成され、挿入方向Xにおいて、一方側(先端側)の端部である先端部にコンプライアント部5等を介して基板20が接続され、他方側(基端側)の端部である基端部に接続相手(基板20と電気的に接続される対象)が接続される。このようなプレスフィット端子1の表面には、錫メッキ、銀メッキ及び金メッキ等によるメッキ層を形成してもよい。
先端部3は、プレスフィット端子1の最も先端側に位置し、先端側から基端側へ行くに従い、幅寸法が徐々に大きくなるように形成してある。先端部3の第1直交方向Yにおける幅寸法W1は、スルーホール23の直径R1よりも小さい。よって、先端部3は、スルーホール23に挿入することが可能である。
基端部6は、プレスフィット端子1の最も基端側に位置し、挿入方向Xにおいて、第1直交方向Yにおける幅寸法W2が同一となるように、挿入方向Xに延在するように形成してある。
コンプライアント部5は、挿入方向Xにおいて、先端部3の基端側に隣接し、且つ、基端部6の先端側に隣接するように配置してある。コンプライアント部5の第1直交方向Yにおける幅寸法は、先端部3の第1直交方向Yにおける幅寸法W1よりも大きく、かつ、基端部6の第1直交方向Yにおける幅寸法W2よりも大きい。コンプライアント部5は、スルーホール23に圧入する部分である。
コンプライアント部5は、第1直交方向Yの中央に位置して挿入方向Xに沿って延在する貫通孔8を有することによって二股に分岐する。このため、コンプライアント部5では、挿入方向Xの中央に貫通孔8が位置し、第1直交方向Yにおいて、貫通孔8の一方側と他方側とに、一対の圧入部50a、50bがそれぞれ配置される。一対の圧入部50a、50bのそれぞれは、挿入方向Xに沿って柱状に延在する部分であり、第1直交方向Yに対して貫通孔8とは反対側(つまり第1直交方向Yの外側)へ向けて突出する態様で湾曲するように形成してある。これらの一対の圧入部50a、50bにおいて、一方の圧入部50aと他方の圧入部50bとは、第1直交方向Yにおいて互いに対向する。
コンプライアント部5は、挿入方向Xにおいて、先端側に位置する導入部51と、基端側に位置する末端部52と、導入部51と末端部52との間に位置する幅広部53とを有している。
導入部51は、先端部3に隣接するように配置してあって、先端側から基端側へ向けて第1直交方向Yにおける幅寸法W3が徐々に大きくなる部分である。
末端部52は、基端部6に隣接するように配置してあって、基端側から先端側へ向けて第1直交方向Yにおける幅寸法W4が徐々に大きくなる部分である。
幅広部53は、導入部51と末端部52との間に位置し、第1直交方向Yにおける幅寸法W5が同一で挿入方向Xに沿って延在する部分である。また、幅広部53は、プレスフィット端子1において、第1直交方向Yにおける幅寸法W5が最も大きい部分である。幅広部53の幅寸法W5は、スルーホール23の直径R1よりわずかに大きい。このような幅広部53は、挿入方向Xにおいて、基端側端部53aと、先端側端部53bとを有している。
貫通孔8は、図1に示すように、正面から視たときには、挿入方向Xに沿った縦長の略長円形状であって、図3に示すように、第2直交方向Zに沿ってコンプライアント部5を貫通するように形成してある。貫通孔8は、幅広部53の第1直交方向Yにおける内側への変形を許容するものである。
貫通孔8は、図1に示すように、挿入方向Xにおいて、挿入方向Xの基端側に位置し、挿入方向Xに沿って第1直交方向Yにおける幅寸法が徐々に大きくなる半円状の上方半円部分81を有する。また、貫通孔8は、挿入方向Xにおいて、挿入方向Xの先端側に位置し、挿入方向Xと反対方向に沿って第1直交方向Yにおける幅寸法が徐々に大きくなる下方半円部分82を有する。さらに、貫通孔8は、挿入方向において、上方半円部分81と下方半円部分82との間に位置する中央部分83を有する。中央部分83は、第1直交方向Yにおける幅寸法が同一で、挿入方向Xに沿って延在し、貫通孔8の挿入方向Xにおける第1中央位置80aを含んでいる。
貫通孔8の中央部分83の挿入方向Xにおける長さ寸法L1は、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2よりも長く、貫通孔8の中央部分83は、幅広部53における基端側の端部を超え、かつ、幅広部53における先端側の端部を超えて挿入方向Xに沿って延在する。
圧入部50a、50bは、図3に示すように、貫通孔8を介して第1直交方向Yにおいて互いに対向する内壁面54a、54bを有している。つまり、圧入部50a、50bは、第1直交方向Yの内側に内壁面54a、54bを有する。また、圧入部50a、50bは、第1直交方向Yの外側に外壁面55a、55bを有している。第1直交方向Yの内側とは、第1直交方向Yにおいて貫通孔8に隣接する側であって、軸芯Xtに近接する側である。第1直交方向Yの外側とは、第1直交方向Yにおいて貫通孔8の反対側であって、軸芯Xtから離隔する側である。
貫通孔8は、挿入方向X及び第1直交方向Yを含む平面に対して第1中央位置80aを基準として略線対称に形成してある。さらに、貫通孔8は、図3に示すように、第2直交方向Zにおける第2中央位置80bを有し、第1直交方向Y及び第2直交方向Zを含む平面に対して、第2中央位置80bを基準として略線対称に形成してある。
また、プレスフィット端子1は、第1直交方向Yにおいて、外側にそれぞれ位置して厚さ寸法が内側に向けて徐々に大きくなる拡幅部11a、11bと、拡幅部11a、11bの間に位置して厚さ寸法が一定である本体部12とを有している(図1及び図3参照)。
拡幅部11a、11bは、第1直交方向Yの幅寸法が同一となる態様で挿入方向Xに沿って延在し、本体部12は、挿入方向Xに沿って延在している。
このようなプレスフィット端子1を基板20に取り付ける場合には、先ず、作業者は、図1に示すように、スルーホール23の貫通軸Xsと、プレスフィット端子1の軸芯Xtとを一致させる。次に、作業者は、先端部3をスルーホール23に挿入する。
プレスフィット端子1は、幅広部53の幅寸法W5がスルーホール23の直径R1よりわずかに大きい。このため、作業者が、挿入方向Xに沿って、プレスフィット端子1をスルーホール23へ挿入していくと、幅広部53における圧入部50a、50bの外壁面55a、55bとスルーホール23の内周面とが接触する。
その後、作業者が、スルーホール23に対して挿入方向Xに沿ってコンプライアント部5をさらに挿入すると、コンプライアント部5の圧入部50a、50bが変形し、当該コンプライアント部5がスルーホール23に圧入される。より具体的に説明すると、一対の圧入部50a、50bは、第1直交方向Yにおいて互いに近づくように変形し、貫通孔8の第1直交方向Yの幅寸法は小さくなる。作業者は、図2に示すように、幅広部53の挿入方向Xの基端側端部53aと、スルーホール23の挿入方向Xの中央位置24とが一致する位置までコンプライアント部5をスルーホール23に圧入することで、基板20に対するプレスフィット端子1の取り付けを終える。
幅広部53の基端側端部53aは、スルーホール23にコンプライアント部5を圧入した状態において、スルーホール23の挿入方向Xにおける一方の端部25と他方の端部26との間で、かつ、スルーホール23の端部25、26から外れた部分に位置する。つまり、挿入方向Xにおいて、幅広部53の基端側端部53aは、この状態で挿入方向Xにおけるスルーホール23の中央部27に配置してある。
ここで、近年、電子機器の小型化が望まれ、プレスフィット端子1及び基板20は、小型化が望まれている。プレスフィット端子1の挿入方向Xの長さ寸法、及び、基板20の挿入方向Xの厚さ寸法を小さくすると、プレスフィット端子1は、その挿入方向Xの位置が、スルーホール23の公差の範囲内でずれた時、幅広部53の挿入方向Xの位置と、スルーホール23の挿入方向Xの中央位置24とがずれるおそれがある。
これに対して、本実施形態のプレスフィット端子1において、図1に示す幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2は、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3の70~100%である。幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2は、挿入方向Xにおいて、先端側端部53bから基端側端部53aまでの長さである。言い換えれば、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2は、第1直交方向Yの幅寸法W5が一定の部分の長さである。
例えば、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2が、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3の70%より小さい時には、プレスフィット端子1は、その挿入方向Xの位置が、スルーホール23の公差の範囲内でずれると、幅広部53の基端側端部53aが、挿入方向Xにおけるスルーホール23の中央部27から外れた位置に配置されるおそれがある。
一方、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2が、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3の100%より大きい時には、プレスフィット端子1及び端子付き基板2が大型化するおそれがある。
これに対して、本実施形態に係るプレスフィット端子1、及び端子付き基板2は、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2が、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3の70%以上であるので、圧入の際、スルーホール23に対するプレスフィット端子1の挿入方向Xの位置がスルーホール23の公差の範囲内でずれたときでも、そのずれを許容し、幅広部53の挿入方向Xの長さ寸法L2間に、基板20との間で電気的接続を行う接点を確実に形成することができる。一方、プレスフィット端子1、及び端子付き基板2は、上記のように幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2が、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3の100%以下であるので、大型化を抑制することができる。この結果、このプレスフィット端子1は、基板20との電気的接続を適正に行うことができるとともに、大型化することを抑制することができる。
プレスフィット端子1及び基板20は、コンプライアント部5と基板20との電気的接続を適正に行うためには、幅広部53の基端側端部53aと、スルーホール23の挿入方向Xの中央位置24とが一致することが最も好ましい。端子付き基板2を車両に搭載し、車両の走行等による振動が端子付き基板2に加えられても、プレスフィット端子1は、幅広部53の基端側端部53aと、スルーホール23の挿入方向Xの中央位置24とが一致していれば、基板20に対してプレスフィット端子1が挿入方向Xに沿ってずれても、基板20とプレスフィット端子1との間の電気的な接点を維持することができるからである。ただし、施工上の誤差等を考慮すると、幅広部53の基端側端部53aは、コンプライアント部5がスルーホール23に圧入された状態において、挿入方向Xに対して、スルーホール23の挿入方向Xの中央位置24を含む所定範囲内に配置してあることが好ましい。例えば、プレスフィット端子1は、挿入方向Xにおいて、スルーホール23の寸法Aに対する、スルーホール23の一方の端部25の寸法の割合B、スルーホール23の他方の端部26の寸法の割合C、及び一方の端部25と他方の端部26との間に位置する中央部27の寸法の割合Dとする。中央位置24を含む中央部27は、スルーホール23の挿入方向Xの寸法Aに対して、中央部27の寸法の割合Dが、30%~50%であることが次に好ましく、30%~60%であることがその次に好ましい。このように、幅広部53の基端側端部53aを、スルーホール23の挿入方向Xの中央位置24を含む所定範囲内に配置することで、プレスフィット端子1及び端子付き基板2に振動が加えられても、基板20に対してプレスフィット端子1が挿入方向Xに沿ってずれることを許容できる。また、スルーホール23の挿入方向Xにおける寸法Aに対する、スルーホール23の一方の端部25の寸法の割合B、及びスルーホール23の他方の端部26の寸法の割合Cは、同一であることが好ましい。割合Bと割合Cとを同一にしたプレスフィット端子1は、スルーホール23の一方の端部25側と、スルーホール23の他方の端部26側とにそれぞれ加えられる、幅広部53の変形(ひずみ)によって発生する力が、挿入方向Xにおいて均等となるためである。
また、幅広部53の基端側端部53aは、スルーホール23にコンプライアント部5を圧入した状態において、スルーホール23の挿入方向Xにおける一方の端部25と他方の端部26との間で、かつ、スルーホール23の端部25、26から外れた部分に位置する。つまり、幅広部53の基端側端部53aは、この状態で、挿入方向Xにおけるスルーホール23の中央部27に配置してある。これによって、端子付き基板2を車両に搭載し、車両の走行等による振動が端子付き基板2に加えられても、幅広部53の基端側端部53aが、スルーホール23の中央部27に配置してあるから、基板20に対してプレスフィット端子1が挿入方向Xに沿ってずれることを許容できる。
[実施形態2]
次に、プレスフィット端子1aの実施形態2を図4を用いて説明する。なお、実施形態2のプレスフィット端子1aにおいて、実施形態1のプレスフィット端子1と同一の構成要素、部分等には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成要素、部分についてのみ説明する。
実施形態2の基板20は、回路部22の表面、及びスルーホール23の内周面の表面のみが、実施形態1の基板20と異なる。より具体的に説明すると、基板20は、回路部22の表面、及びスルーホール23の内周面の表面を覆う被膜29を有している。被膜29は、回路部22、及びスルーホール23の内周面を形成している銅等の電気導電性の部分の表面に形成されたものである。被膜29は、例えば、水溶性プレフラックス(いわゆるOSP)等の絶縁性を有する材料によって形成されている。被膜29によって、回路部22、及びスルーホール23の内周面の酸化が防止されるとともに、他の電子部品を回路部22等に取り付ける時、半田付け性を向上することができる。また、被膜29の摩擦係数は、スルーホール23の内周面を覆う導電部28の摩擦係数より小さい。
プレスフィット端子1aのコンプライアント部5の先端側端部53bは、スルーホール23の内周面に圧入された時には、先ず、スルーホール23の内部に入る。その後、先端側端部53bによって、スルーホール23の内部の被膜29を掻き取る。先端側端部53bがスルーホール23の内部から出る前に、基端側端部53aは、スルーホール23の内部に入る。最後に、先端側端部53bは、スルーホール23の内部から外部に出る。このため、先端側端部53bは、スルーホール23の周方向において、接触した箇所の挿入方向Xに沿った部分の被膜29の全てを掻き取ることができる。
このプレスフィット端子1aは、幅広部53の先端側端部53bによって、絶縁性の被膜29を掻き取って、導電性の導電部28をスルーホール23の内周面に露出させることができる。このため、プレスフィット端子1aは、導電性の導電部28と、幅広部53との接触面積を相対的に広く確保することができ、この結果、電気抵抗を抑制し、基板20との電気導電性を向上することができる。また、本実施形態のプレスフィット端子1aは、幅広部53の先端側端部53bによって、摩擦係数の小さい被膜29を掻き取って、摩擦係数の大きい導電部28をスルーホール23の内周面に露出させることができる。この結果、プレスフィット端子1は、スルーホール23に圧入された状態で、摩擦係数の大きい導電部28と、幅広部53とを接触させることができるので、基板20との間の保持力を向上することができる。
その上、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2は、スルーホール23の挿入方向Xにおける深さ寸法L3の70~100%である。コンプライアント部5がスルーホール23の内周面に圧入され、先端側端部53bによって被膜29を掻き取ると、先端側端部53bは、第1直交方向Yの内側に位置する貫通孔8側に変形して被膜29の掻き取り力が低減する。その後、プレスフィット端子1aは、先端側端部53bの基端側に隣接する部分によって被膜29を掻き取り、幅広部53の貫通孔8側への変形と、幅広部53による被膜29との掻き取りとを継続する。そして、プレスフィット端子1aは、スルーホール23の先端側の開口を通じ、基板20から先端側端部53bが突出する。本実施形態のプレスフィット端子1aは、幅広部53の挿入方向Xにおける長さ寸法L2を大きくし、基端側端部53aが位置することとなるスルーホール23の挿入方向Xにおける中央位置24を超えて被膜29を掻き取ることができるため、プレスフィット端子1aと基板20との間に電気的な接点を確実に形成することができる。このため、プレスフィット端子1aは、基板20との電気的接続を適正に行うことができる。
なお、実施形態1~2で説明したプレスフィット端子1~1aは、正面視が長円形状の貫通孔8を有するもので説明した。しかしこの発明は、それに限られず、貫通孔8は、例えば、六角形状等の他の形状でもよい。
1 プレスフィット端子
1a プレスフィット端子
2 端子付き基板
20 基板
23 スルーホール
24 スルーホールの挿入方向の中央位置
25 スルーホールの挿入方向における一方の端部
26 スルーホールの挿入方向における他方の端部
29 被膜
5 コンプライアント部
53 幅広部
53a 基端側端部
53b 先端側端部
8 貫通孔
L2 幅広部の挿入方向における長さ寸法
L3 スルーホールの挿入方向における深さ寸法
W5 幅広部の第1直交方向における幅寸法
X 挿入方向
Y 第1直交方向(直交方向)

Claims (3)

  1. 基板のスルーホールに対する挿入方向と直交する直交方向における幅寸法が最も大きい幅広部、及び前記幅広部の前記直交方向における内側への変形を許容する貫通孔を有し、前記スルーホールに対して前記挿入方向に沿って圧入され、前記基板のスルーホールの内周面に接触するコンプライアント部を備え、
    前記幅広部は、前記直交方向における前記幅寸法が同一で前記挿入方向に沿って延在し、
    前記幅広部の前記挿入方向における長さ寸法は、前記スルーホールの前記挿入方向における深さ寸法の70~100%であり、
    前記幅広部の前記挿入方向における基端側端部は、前記コンプライアント部が前記スルーホールに圧入された状態で、前記挿入方向に対して、前記スルーホールの中央位置を含む所定範囲内に位置することを特徴とするプレスフィット端子。
  2. 前記基板の前記スルーホールの内周面には被膜が位置し、
    前記コンプライアント部は、前記スルーホールの内周面に圧入された時には、前記幅広部の先端側端部によって前記被膜を掻き取る請求項に記載のプレスフィット端子。
  3. スルーホールを有する基板と、前記スルーホールに圧入されたプレスフィット端子とを備え、
    前記プレスフィット端子は、基板のスルーホールに対する挿入方向と直交する直交方向における幅寸法が最も大きい幅広部、及び前記幅広部の前記直交方向における内側への変形を許容する貫通孔を有し、前記スルーホールに対して前記挿入方向に沿って圧入され、前記基板のスルーホールの内周面に接触するコンプライアント部を備え、
    前記幅広部は、前記直交方向における前記幅寸法が同一で前記挿入方向に沿って延在し、
    前記幅広部の前記挿入方向における長さ寸法は、前記スルーホールの前記挿入方向における深さ寸法の70~100%であり、
    前記幅広部の前記挿入方向における基端側端部は、前記コンプライアント部が前記スルーホールに圧入された状態で、前記挿入方向に対して、前記スルーホールの中央位置を含む所定範囲内に位置することを特徴とする端子付き基板。
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