JP7259733B2 - スラリー - Google Patents

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Description

本開示は、スラリーに関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン二次電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウムイオン二次電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化した全固体リチウムイオン二次電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
特許文献1には、全固体電池の作製において、硫化物固体電解質と分散媒とを含むスラリーを基材上に塗工した後、分散媒を乾燥除去する方法が開示されている。また、特許文献2には、分散樹脂、硫黄化合物固体電解質、および溶媒を含有する二次電池用硫黄化合物固体電解質分散ペーストが開示されている。
特開2019-133923号公報 特開2019-050174号公報
全固体電池においては、例えば、集電体と活物質層との間、活物質層と固体電解質層との間の接着性が良好であることが求められる。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、剥離強度が良好な全固体電池を与えるスラリーを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、硫化物固体電解質および溶媒を含有し、上記溶媒は、第1溶媒と第2溶媒とを含有し、上記第1溶媒の蒸発速度をV1とし、上記第2溶媒の蒸発速度をV2とした場合に、上記V1/上記V2が10以上である、スラリーを提供する。
本開示によれば、溶媒が、蒸発速度が所定の関係である第1溶媒と第2溶媒とを含有するため、剥離強度が良好な全固体電池を与えるスラリーとすることができる。
本開示においては、剥離強度が良好な全固体電池を与えるスラリーを提供できるという効果を奏する。
実施例および比較例における、蒸発速度比に対する剥離強度の結果をまとめたグラフである。
以下、本開示におけるスラリーについて詳細に説明する。
本開示におけるスラリーは、硫化物固体電解質および溶媒を含有し、上記溶媒は、第1溶媒と第2溶媒とを含有し、上記第1溶媒の蒸発速度をV1とし、上記第2溶媒の蒸発速度をV2とした場合に、上記V1/上記V2が10以上である。
本開示によれば、溶媒が、蒸発速度が所定の関係である第1溶媒と第2溶媒とを含有するため、剥離強度が良好な全固体電池を与えるスラリーとすることができる。ここで、スラリーを用いて電極を形成する場合、通常は、スラリーを基材に塗工して塗工層を形成し、得られた塗工層を乾燥して合剤層を形成する。ところが、乾燥の際に塗工層中の固体電解質のマイグレーションが発生することで厚さ方向に不均一な合剤層となりやすく、電極の剥離強度が低下する恐れがある。一方で、本開示におけるスラリーは、溶媒が、蒸発速度が所定の関係である第1溶媒と第2溶媒とを含有することから、塗工層を乾燥させる際に、まず、蒸発速度の速い第1溶媒が揮発して、塗工層が半固体状態となる。このような層では粘度および固形分濃度(NV)が高く、硫化物固体電解質が固定化された状態であると考えられる。次いで、硫化物固体電解質が固定化された状態で蒸発速度の遅い第2溶媒が揮発することで、マイグレーションの発生が抑制され、均一な合剤層が得られると考えられる。その結果、剥離強度が良好になると考えられる。
1.溶媒
本開示におけるスラリーは、溶媒を含有する。本開示における溶媒は、広義の溶媒を意味し、いわゆる分散媒も含まれる。また、本開示における溶媒は、第1溶媒と第2溶媒とを含有する。
(1)第1溶媒
本開示における第1溶媒は、後述する第2溶媒よりも蒸発速度が速い溶媒である。なお、本開示において蒸発速度とは、酢酸ブチルの蒸発速度を基準(100)とした場合の速度を意味する。蒸発速度は一般的に酢酸ブチルを基準とするためである。
酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の第1溶媒の蒸発速度(V1)は、例えば100以上であり、200以上であってもよく、300以上であってもよく、400以上であってもよい。一方で、V1は、例えば1500以下であり、1200以下であってもよく、900以下であってもよく、600以下であってもよい。
また、V1は、後述する第2溶媒の蒸発速度(V2)に対して、V1/V2が所定の値以上となる関係を満たす。V1/V2は10以上であり、15以上であってもよく、20以上であってもよく、25以上であってもよい。一方で、V1/V2は、例えば70以下であり、65以下であってもよく、60以下であってもよく、50以下であってもよく、40以下であってもよく、30以下であってもよい。
第1溶媒の沸点は、特に限定されないが、硫化物固体電解質の結晶化温度よりも低いことが好ましい。第1溶媒の沸点は、通常、硫化物固体電解質の結晶化温度未満である。第1溶媒の沸点が、硫化物固体電解質の結晶化温度以上である場合、第1溶媒を除去するために、硫化物固体電解質に高い温度が長時間加わる。その結果、作業効率が低下するのみならず、硫化物固体電解質が劣化する可能性がある。第1溶媒の沸点は、硫化物固体電解質の結晶化温度より5℃以上低くてもよく、10℃以上低くてもよく、20℃以上低くてもよい。
第1溶媒としては、例えば、非プロトン性低極性溶媒または無極性溶媒が挙げられる。より具体的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリブチルアミン等のアミン系溶媒;トルエン、キシレン、およびメシチレン等の芳香族系溶媒;ヘプタン、へキサン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、および塩化メチレン等の置換または非置換の炭化水素系溶媒;シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、およびテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;tert-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、オクタンチオール、1-ヘキサンチオール、1-プロパンチオール、および2-プロパンチオール等のチオール系溶媒;酪酸ブチル、安息香酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、n-酪酸エチル、および酢酸イソアミル等のエステル系溶媒;および、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。なお、第1溶媒では、水分量が100ppm以下であることが好ましい。後述する硫化物固体電解質との反応を抑制できるからである。
(2)第2溶媒
第2溶媒は、上述した第1溶媒よりも蒸発速度が遅い溶媒である。
酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の第2溶媒の蒸発速度(V2)は、例えば100以下であり、80以下であってもよく、60以下であってもよい。一方で、V2は、例えば1以上であり、10以上であってもよく、20以上であってもよく、30以上であってもよく、40以上であってもよい。ただし、V2は、V1/V2が所定の数値以上となる関係を満たす値である。
第2溶媒の沸点は、特に限定されないが、硫化物固体電解質の結晶化温度よりも低いことが好ましい。第2溶媒の沸点は、通常、硫化物固体電解質の結晶化温度未満である。第2溶媒の沸点が、硫化物固体電解質の結晶化温度以上である場合、第2溶媒を除去するために、硫化物固体電解質に高い温度が長時間加わる。その結果、作業効率が低下するのみならず、硫化物固体電解質が劣化する可能性がある。第2溶媒の沸点は、硫化物固体電解質の結晶化温度より5℃以上低くてもよく、10℃以上低くてもよく、20℃以上低くてもよい。
第2溶媒としては、上述した第1溶媒と同様の溶媒が挙げられるが、第1溶媒よりも蒸発速度が遅く、V1/V2が上記関係を満たす溶媒である。なお、第2溶媒では、水分量が100ppm以下であることが好ましい。後述する硫化物固体電解質との反応を抑制できるからである。
(3)溶媒
本開示におけるスラリーは、溶媒として、第1溶媒および第2溶媒を含有する。スラリーにおける全ての溶媒に対する第1溶媒および第2溶媒の合計割合は、例えば70重量%以上であり、80重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよく、100重量%であってもよい。
また、溶媒において、第1溶媒および第2溶媒の合計の重量に対する第2溶媒の重量の比は、例えば0.21以上であり、0.3以上であってもよく、0.4以上であってもよく、0.5以上であってもよい。一方、上記重量の比は、例えば0.82以下であり、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。
本開示における溶媒は、リチウム塩を含有していてもよく、リチウム塩を含有していなくてもよい。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSbF等の無機リチウム塩、および、LiCFSO、LiCSO、Li[N(FSO]、Li[N(CFSO]、Li[C(CFSO]等の有機リチウム塩が挙げられる。溶媒におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5mоl/L以上2mоl/L以下である。
スラリーにおいて、溶媒および硫化物固体電解質は、通常、反応しない。「溶媒および硫化物固体電解質が反応しない」とは、硫化物固体電解質を溶媒に浸漬させる前の状態と、硫化物固体電解質を溶媒に1時間浸漬させ、その後乾燥させた後の状態とを比較した場合に、硫化物固体電解質のイオン伝導度の低下率が、10%以下であることをいう。硫化物固体電解質のイオン伝導度の低下率は、5%以下であってもよく、3%以下であってもよく、1%以下であってもよい。
2.硫化物固体電解質
本開示における硫化物固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、イオン伝導性を有する材料である。硫化物固体電解質の結晶化温度は、例えば160℃以上であり、170℃以上であってもよく、180℃以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質の結晶化温度は、例えば240℃以下であり、230℃以下であってもよく、220℃以下であってもよく、210℃以下であってもよい。結晶化温度は、示差熱分析(DTA)により求めることができる。
硫化物固体電解質は、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも1種である)、およびSを含有することが好ましい。中でも、硫化物固体電解質は、オルト組成のアニオン構造(PS 3-構造、SiS 4-構造、GeS 4-構造、AlS 3-構造、BS 3-構造)をアニオンの主成分として有することが好ましい。オルト組成のアニオン構造の割合は、硫化物固体電解質における全アニオン構造に対して、70mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。オルト組成のアニオン構造の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等により決定できる。さらに、硫化物固体電解質は、X(Xは、I、BrおよびClの少なくとも1つである)をさらに含有していてもよい。また、硫化物固体電解質は、Sの一部がOに置換されていてもよい。
硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、その硫化物ガラスを熱処理して得られる硫化物ガラスセラミックスであってもよい。硫化物ガラスは、例えば、LiS、P等の原料を含有する原料組成物に対して、非晶質化法を行うことにより得ることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法および溶融急冷法が挙げられ、中でも、メカニカルミリング法が好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ボールミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミルが挙げられる。
一方、硫化物ガラスセラミックスは、例えば、硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理することにより得ることができる。すなわち、原料組成物に対して、非晶質化法を行い、さらに熱処理を行うことにより、硫化物ガラスセラミックスを得ることができる。なお、硫化物固体電解質が硫化物ガラスセラミックスである場合、硫化物固体電解質の結晶化温度とは、硫化物ガラスが結晶化する際の温度をいう。
3.スラリー
本開示におけるスラリーは、硫化物固体電解質および溶媒を含有する。硫化物固体電解質および溶媒については、「1.スラリー」および「2.硫化物固体電解質」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
また、本開示におけるスラリーは、全固体電池における、正極活物質層、固体電解質層または負極活物質層を製造するために用いられることが好ましい。そのため、本開示におけるスラリーは、目的とする層に応じて、活物質、導電材およびバインダー等の材料をさらに含有することが好ましい。これらの材料は、全固体電池に用いられる従来公知の材料とすることができる。
スラリーの固形分濃度は、特に限定されないが、例えば30重量%以上であり、40重量%以上であってもよく、50重量%以上であってもよい。スラリーの固形分濃度が低すぎると、相対的に溶媒量が多くなり、生産性が低下しやすい。一方、スラリーの固形分濃度は、例えば90重量%以下である。スラリーの固形分濃度が高すぎると、相対的に粘度が高くなり、塗工性が低下しやすい。
本開示におけるスラリーの製造方法としては、例えば、第1溶媒、第2溶媒および硫化物固体電解質を混練する方法が挙げられる。混練方法としては、例えば、ディゾルバー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、サンドミル、アトライター、ボールミル、バイブレーターミル、高速インペラーミル、超音波ホモジナイザー、振とう機等の一般的な混練装置を用いた方法が挙げられる。
4.全固体電池
本開示におけるスラリーは、通常、全固体電池における、正極活物質層、固体電解質層または負極活物質層を製造するために用いられることが好ましい。全固体電池は、全固体リチウムイオン電池であることが好ましい。また、本開示における全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。
また、本開示においては、上述したスラリーを用いる固体電解質含有層の製造方法を提供することができる。固体電解質含有層は、正極活物質層であってもよく、固体電解質層であってもよく、負極活物質層であってもよい。
固体電解質含有層の製造方法は、上述したスラリーを基材に塗工し、塗工層を形成する塗工工程と、上記塗工層を乾燥して、固体電解質含有層を形成する乾燥工程と、を有することが好ましい。
塗工工程に用いられる基材としては、例えば、集電体および転写シートが挙げられる。転写シートとしては、例えば、フッ素系樹脂シート等の樹脂シートおよび金属シートが挙げられる。スラリーを塗工する方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコート法、グラビアコート法、スプレー塗工法、静電塗工法、バー塗工法等の一般的な方法が挙げられる。
乾燥工程における乾燥温度は、塗工層に含まれる硫化物固体電解質の結晶化温度未満の温度であることが好ましい。硫化物固体電解質の劣化を防止できるからである。加熱温度は、硫化物固体電解質の結晶化温度より5℃以上低い温度であってもよく、10℃以上低い温度であってもよい。また、乾燥温度は、第1溶媒の沸点よりも高いことが好ましく、第1溶媒および第2溶媒の両方の沸点よりも高いことがより好ましい。乾燥時間を短縮できるからである。乾燥温度は、例えば60℃以上であり、80℃以上であってもよく、100℃以上であってもよい。一方、乾燥温度は、例えば220℃以下であり、200℃以下であってもよく、170℃以下であってもよく、160℃以下であってもよい。
塗工層を乾燥する方法としては、例えば、温風・熱風乾燥、赤外線乾燥、減圧乾燥、誘電加熱乾燥等の一般的な方法が挙げられる。乾燥雰囲気としては、例えば、Arガス雰囲気および窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気が挙げられる。また、乾燥は、大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。
乾燥工程では、乾燥後の固体電解質含有層において、第1溶媒および第2溶媒が共に残留するように乾燥することが好ましい。ここで、残留溶媒はイオン伝導に寄与しないため、通常、スラリー中の溶媒を完全に除去するために十分な乾燥が行われる。一方で、第1溶媒および第2溶媒が共に残留した場合、例えば乾燥工程後に固体電解質含有層をプレスする際に、固体電解質含有層に含まれる粒子同士の界面抵抗(摩擦抵抗)を低減させることができ、緻密な層を形成することができる。これにより、本開示におけるスラリーを用いれば、溶媒が残留していても、全固体電池においてイオン抵抗率が低下することを抑制できる。そのため、溶媒を完全に除去する必要がなく、乾燥工程を効率化することができる。
乾燥後の固体電解質含有層における第1溶媒および第2溶媒の各残留量は、例えば、1ppm以上10109ppm以下である。残留量は、乾燥温度および乾燥時間等の条件を変更することで調整することができる。また、本開示においては、第1溶媒および第2溶媒を含有する固体電解質含有層を備える全固体電池であって、上記第1溶媒および上記第2溶媒の残留量が、それぞれ、1ppm以上10109ppm以下である全固体電池を提供することもできる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
<実施例1>
(正極構造体の作製)
活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)および硫化物固体電解質(LiI-LiO-LiS-P、自社合成品)の重量比率が、活物質:硫化物固体電解質=70:30となるように混合した。この混合物を、正極合剤層100重量部に対して97重量部となるように秤量した。次に、秤量した混合物に、正極合剤層100重量部に対してバインダー(PVDF)が1重量部、導電助剤(気相成長炭素繊維、昭和電工株式会社製)が2重量部となる量を添加して組成物を得た。この組成物に対して、固形分率が80wt%となるように、第2溶媒(酪酸ブチル)を添加し、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH-50)を用いて1分間に亘って混練した。その後、固形分率が65wt%となるように第1溶媒(トルエン)を添加し、超音波ホモジナイザーで1分間に亘って混練することにより正極用スラリーを作製した。なお、正極用スラリーにおいて、第1溶媒の重量(W1)と第2溶媒の重量(W2)の合計に対する第2溶媒の重量の比(W2/(W1+W2))は、0.46とした。
正極用スラリーを、アプリケーターを用いてアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗工し、170℃で60分間に亘って温風乾燥させ正極合剤層を形成した。これにより、正極集電体および正極合剤層を有する正極構造体を作製した。
(負極構造体の作製)
活物質(シリコン、粒子径5μm)および硫化物固体電解質(LiI-LiO-LiS-P、自社合成品)の重量比率が、活物質:硫化物固体電解質=60:40となるように秤量して混合した。この混合物を、負極合剤層100重量部に対して94重量部となるように秤量した。次に、秤量した混合物に、負極合剤層100重量部に対してバインダー(PVDF)が2重量部、導電助剤(気相成長炭素繊維、昭和電工株式会社製)が4重量部となる量を添加して組成物を得た。この組成物に対して、固形分率が65wt%となるように第2溶媒(酪酸ブチル)を添加し、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH-50)を用いて1分間に亘って混練した。その後、固形分率が45wt%となるように第1溶媒(トルエン)を添加し、超音波ホモジナイザーで1分間に亘って混練することにより負極用スラリーを作製した。なお、負極用スラリーにおいて、第1溶媒の重量(W1)と第2溶媒の重量(W2)の合計に対する第2溶媒の重量の比(W2/(W1+W2))は、0.55とした。
負極用スラリーを、アプリケーターを用いてSUS箔(負極集電体)の表面に塗工し、170℃で60分間に亘って温風乾燥させ負極合剤層を形成した。これにより、負極集電体および負極合剤層を有する負極構造体を作製した。
(固体電解質層の作製)
硫化物固体電解質(LiI-LiO-LiS-P)97重量部に対して、PVDFバインダー溶液を固形分で3重量部添加した。さらに、溶媒としてキシレンを、固形分が50wt%となるように添加し、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、UH-50)を用いて混練することにより、固体電解質層用スラリーを得た。アルミニウム箔にアプリケーターを用いて固体電解質層用スラリーを塗工し、140℃で30分間に亘って温風乾燥させ固体電解質層を得た。
(評価用電池(全固体電池)の作製)
不活性ガス中で、アルミニウム箔をはがした固体電解質層を挟んで正極合剤層および負極合剤層が対向するように重ねた後、4.3tonでプレスすることにより、評価用電池を作製した。
<実施例2、3>
第1溶媒(トルエン)および第2溶媒(酪酸ブチル)の添加量を、溶媒重量比が表1のようになるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
具体的には、実施例2においては、正極構造体の作製時に組成物へ第2溶媒(酪酸ブチル)を固形分率が90wt%となるように添加し、混練後、第1溶媒(トルエン)を固形分率が65wt%となるように添加した。また、負極構造体の作製時に組成物へ第2溶媒(酪酸ブチル)を固形分率が75wt%となるように添加し、混練後、第1溶媒(トルエン)を固形分率が45wt%となるように添加した。実施例3においては、正極構造体の作製時に組成物へ第2溶媒(酪酸ブチル)を固形分率が70wt%となるように添加し、混練後、第1溶媒(トルエン)を固形分率が65wt%となるように添加した。また、負極構造体の作製時に組成物へ第2溶媒(酪酸ブチル)を固形分率が55wt%となるように添加し、混練後、第1溶媒(トルエン)を固形分率が45wt%となるように添加した。
<実施例4>
第2溶媒をトリプロピルアミンへ変更し、第1溶媒をヘプタンへ変更し、乾燥温度を160℃へ変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例5>
第2溶媒をメシチレンへ変更し、第1溶媒をヘプタンへ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例6>
第2溶媒をノナンへ変更し、第1溶媒を酢酸イソプロピルへ変更し、乾燥温度を160℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例7>
第2溶媒をジブチルエーテルへ変更し、第1溶媒をテトラヒドロフランへ変更し、乾燥温度を150℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例8>
第2溶媒をジブチルエーテルへ変更し、第1溶媒をトリエチルアミンへ変更し、乾燥温度を150℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例9>
第2溶媒をキシレンへ変更し、第1溶媒をヘキサンへ変更し、乾燥温度を140℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例10>
第2溶媒をキシレンへ変更し、第1溶媒を塩化メチレンへ変更し、乾燥温度を140℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例11>
第2溶媒を酢酸ブチルへ変更し、第1溶媒を2-プロパンチオールへ変更し、乾燥温度を130℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<実施例12>
第2溶媒を安息香酸エチルへ変更し、第1溶媒をトルエンへ変更し、乾燥温度を200℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<比較例1>
溶媒をキシレン単溶媒へ変更し、乾燥温度を140℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<比較例2>
溶媒をヘキサン単溶媒へ変更、乾燥温度を100℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<比較例3>
第2溶媒を酢酸ブチルへ変更、第1溶媒をヘキサンへ変更、乾燥温度を130℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
<比較例4>
溶媒をキシレン単溶媒へ変更し、分散材を負極合剤層100重量部対し5重量部添加し、乾燥温度を140℃へ変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を作製した。
Figure 0007259733000001
<評価>
(剥離強度)
各実施例および比較例で得られた負極構造体に粘着テープを張り付け、90°剥離試験により剥離強度を測定した。比較例1の値を100としたときの比で相対的に評価した。結果を表2に示す。また、蒸発速度比に対する剥離強度の結果を図1にまとめて示す。なお、単一の溶媒を用いた比較例1、2、4の蒸発速度比は、便宜上1.0とした。
(残留溶媒量)
各実施例および比較例で得られた正極合剤層および負極合剤層について、残留溶媒量をガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。比較例1の値を100としたときの比で相対的に評価した。結果を表2に示す。測定手法として、ヘッドスペースGCを用いて残留溶媒量の測定を行った。装置構成としてはサンプラ部分に、Agilent Technologiesの7697A型ヘッドスペースサンプラを、GC分析部分に、Agilent Technologiesの7890B GCを使用した。以下に測定条件を示す。
<<分析条件>>
カラム:DB-Select 624UI
注入口温度:150℃
キャリアガス:ヘリウム
FID:250℃
MSモード:Scan(m/z:29-250)
(セル抵抗)
各実施例および比較例で得られた評価用電池を、25℃環境下で0.1Cの電流値で4.2Vまで20時間定電流定電圧充電を行い、0.2Cの電流値で3.0Vまで10時間定電圧放電を行った。この充放電サイクルを3回繰り返したのち、0.2Cで4.0Vまで充電した。充電した評価用電池を3Cで10秒間放電し、電圧変化を電流値で割ることで、セル抵抗を求めた。比較例1の結果を100としたときの比で相対的に評価した。結果を表2に示す。
Figure 0007259733000002
表2および図1に示されるように、実施例1~12および比較例1~4の結果から、V1/V2が10以上を閾値に剥離強度が増加した。また、比較例1、2、4のような単溶媒では剥離強度は増加しなかった。また、実施例1~12および比較例3から、第1溶媒および第2溶媒の両方が残留していれば、比較例1と比べて合計の残留溶媒量が多くても、比較例1と同等または比較例1以上にセル抵抗が良好であった。一方、分散材を用いた比較例4では、セル抵抗が大幅に増加していた。これは、分散材が固体電解質含有層中のその他の材料を覆ってしまい、イオンまたは電子の移動を阻害してしまったためと考えられる。なお、実施例において、残留溶媒量が多少ばらついていた。これは、試験環境、乾燥時間、試験後測定までの放置時間等によるばらつきと考えられる。

Claims (1)

  1. 硫化物固体電解質および溶媒を含有し、
    前記溶媒は、第1溶媒と第2溶媒とを含有し、
    前記第1溶媒が、トリエチルアミン、ヘキサン、ヘプタン、塩化メチレン、テトラヒドロフランまたは2-プロパンチオールであり、
    前記第2溶媒が、トリプロピルアミン、メシチレン、キシレン、ジブチルエーテルまたは酢酸ブチルであり、
    前記第1溶媒の蒸発速度をV1とし、前記第2溶媒の蒸発速度をV2とした場合に、前記V1/前記V2が10.6以上17.8以下である、スラリー。
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