JP7257134B2 - ポジ型感光性組成物、パターン硬化膜およびその製造方法 - Google Patents

ポジ型感光性組成物、パターン硬化膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポジ型感光性組成物に関する。また、本発明はポジ型感光性組成物を用いたパターン硬化膜およびその製造方法に関する。
表示装置、半導体素子、集積回路等の製造に、ポジ型感光性組成物が用いられている。ポジ型感光性組成物は、ベースとなる化合物(樹脂材料)と光酸発生剤を含む。ポジ型感光性組成物のベースとなる化合物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物であり、露光により光酸発生剤から発生した酸により、アルカリ溶解性が増大する。露光後にアルカリによる現像を行うと、露光部が選択的にアルカリに溶解するため、パターン膜が得られる。
永久レジストとして用いるポジ型感光性材料は、パターニング後の硬化膜がデバイスに機能膜として残るため、より高い耐久性が求められ、ポリイミドやシリコーン系ポリマーをベースとするポジ型感光性組成物が提案されている。特許文献1には、シロキサン構造を有するポリマーをベースとしたポジ型感光性組成物が開示されている。
ポジ型感光性材料では、露光からアルカリ現像までの放置時間が長くなると、露光部で発生した酸が非露光部に拡散して、非露光部がアルカリへの溶解性を示すようになり、コントラストの低下や、パターン膜の線幅が小さくなる等の問題を生じる。
ポジ型感光性組成物を用いたパターン膜の作製において、露光から現像までの時間の自由度(プロセスマージン)を高めるために、酸のクエンチャーとして、塩基性化合物を添加することが提案されている。例えば、特許文献2では、酸のクエンチャーとしてモルホリン誘導体またはピペリジン誘導体を添加したポリシロキサンベースのポジ型感光性組成物は、露光から15分後に現像を開始した際の線幅安定性(パターン形状の安定性)に優れることが記載されている。
WOWO2014/007231号 特開2017-198841号公報
ポジ型感光性組成物を用いたパターン膜の形成において、基板を搬送しながら露光と現像を連続して実施する場合は、露光から現像までの時間は数分から数十分程度である。一方、露光と現像を連続して実施しない場合は、露光から現像までの放置時間が数時間から数十時間となる場合があり、長時間放置した場合にも線幅の変化が小さいことが要求されている。特許文献2に示されている組成物は、露光から現像までの放置時間が15分程度の場合は高い線幅安定性を有するが、放置時間が長い場合の線幅安定性は十分とはいえない。
上記に鑑み、本発明は露光から現像までの時間が長い場合でも線幅安定性が高く、プロセスマージンの広いポジ型感光性組成物の提供を目的とする。
ポジ型感光性組成物は、(A)成分として酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物、および(B)成分として光酸発生剤を含む。ポジ型感光性組成物は、さらに、(C1)成分としてモルホリン環を有する塩基性化合物、ならびに(C2)成分としてオキサゾリン環を有する塩基性化合物および1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物からなる群から選択される1以上、を含む。
ポジ型感光性組成物は、さらに、(E)成分として、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は、(A)成分と反応可能な官能基を1分子中に2以上含む化合物である。
ポジ型感光性組成物は、(B)成分100重量部に対して、(C1)成分を1~25重量部含むことが好ましく、(C2)成分を1~25重量部含むことが好ましい。
(A)成分は、例えばポリシロキサン化合物である。ポリシロキサン化合物は、SiH基を有するものでもよい。(A)成分がSiH基を含むポリシロキサン化合物である場合、上記の(E)成分は、(A)成分のSiH基との反応性を有する化合物であることが好ましい。
上記のポジ型感光性組成物を基板上に塗布し、露光およびアルカリ現像によりパターニングを実施することにより、パターン膜が得られる。現像の後に加熱によりパターン膜の効果を行ってもよい。
感光性組成物が(C1)成分および(C2)成分を含有することにより、露光から現像までの時間が長く、非露光部に酸が拡散した場合でも、非露光部のアルカリへの溶解性の増大を抑制できる。露光から現像までの時間が長い場合でも線幅安定性が高く、プロセスマージンが広いため、パターン膜の生産性および歩留まりの向上が期待できる。
[感光性組成物]
本発明の感光性組成物は、(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物、(B)光酸発生剤、および(C)塩基性化合物、を含有するポジ型感光性組成物である。以下では、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物を「(A)成分」、光酸発生剤を「(B)成分」、塩基性化合物を「(C)成分」と記載する場合がある。感光性組成物は、さらに(D)成分として光増感剤を含んでいてもよく、(E)成分として架橋剤((A)成分に架橋構造を導入可能な官能基を有する化合物)を含んでいてもよい。本明細書に例示の化合物や官能基等は、特記しない限り、単独で用いてもよく、2種以上を併用(併存)してもよい。
<(A)成分>
(A)成分は、アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている化合物であり、光酸発生剤から発生する酸との反応により保護基が外れ(脱保護)、アルカリ溶解性が増大する。そのため、(A)成分と(B)光酸発生剤を含むことにより、ポジ型のパターン形成が可能となる。アルカリ溶解性付与基としては、カルボン酸やフェノール性水酸基等の酸性基が挙げられる。
フェノール性水酸基の保護基としては、tert-ブトキシカルボニル基およびトリアルキルシリル基等が挙げられる。例えば、Boc化試薬を用いた反応により、フェノール性水酸基をtert-ブトキシカルボニル基により保護できる。フェノール性水酸基の保護基としてのトリアルキルシリル基におけるアルキル基は、酸による脱保護のしやすさの観点から、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン等のシリル化剤を用いた反応により、フェノール性水酸基をトリメチルシリル基により保護できる。
カルボン酸の保護基としては、第三級アルキルエステル、アセタール等が挙げられる。カルボン酸の第三級アルキルエステルにおける第三級アルキル基としては、tert-ブチル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
(A)成分におけるアルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造の含有量は、ジブロモエタンを標準物質とした当量換算で0.1~15mmol/gが好ましく、0.2~10mmol/gがより好ましく、0.3~7mmol/gがさらに好ましい。
ポジ型感光性組成物により、永久レジストを作製する場合、(A)成分は重合性官能基を有することが好ましい。露光および現像の後に加熱(ポストベイク)を行うと、(A)成分の重合性官能基と後述の(E)成分とが反応して、架橋構造が導入されることによりパターン硬化膜が得られる。
(A)成分は、アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造、および上記の重合性官能基以外のポリマー骨格構造を含むことが好ましい。ポリマー骨格構造としては、ポリアクリル、ポリフェノール、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル等が挙げられる。
<ポリシロキサン構造を有する(A)成分>
高耐熱性および低誘電率の硬化膜を形成可能であることから、(A)成分はポリシロキサン構造を有することが好ましく、特に環状ポリシロキサン構造を有することが好ましい。ポリシロキサン構造を含む(A)成分は、「シロキサン単位を有する化合物」を主骨格として、「アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造」が導入された化合物であり、その具体例として、WO2014/007231等に開示のポリシロキサン化合物が挙げられる。
本明細書において、「ポリシロキサン構造」とは、シロキサン単位Si-O-Siを有する構造骨格を意味し、「環状ポリシロキサン構造」とは、環の構成要素にシロキサン単位(Si-O-Si)を有する環状分子構造骨格を意味する。環状ポリシロキサン構造を含有する化合物は、鎖状のポリシロキサン構造のみを含有する化合物と比較して、製膜性および得られる硬化膜の耐熱性に優れる傾向がある。
「アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造」(以下では、「構造X」と記載する場合がある)が導入されたポリシロキサン化合物は、例えば、ヒドロシリル化反応により得られる。ヒドロシリル化反応は、化学的に安定なケイ素-炭素結合(Si-C結合)を介してポリシロキサン骨格に構造Xを導入できるとの利点を有する。
ヒドロシリル化反応は、1分子中に少なくとも2個のSiH基(ヒドロシリル基)を有するポリシロキサン化合物と、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を有する化合物との反応である。これらの化合物(出発物質)の少なくとも一方が、上記の官能基に加えて構造Xを有することにより、構造Xを有するポリシロキサン化合物が得られる。
例えば、炭素-炭素二重結合を有する化合物が構造Xを有する場合は、下記の化合物(α)および(β)を出発物質とするヒドロシリル化反応により、構造Xを有するポリシロキサン化合物が得られる
化合物(α):1分子中に、SiH基(ヒドロシリル基)との反応性を有する炭素-炭素二重結合と構造Xとを有する化合物;
化合物(β):1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物。
(化合物(α):構造Xおよびエチレン性不飽和基を含む化合物)
化合物(α)は、構造X、およびSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を含む化合物である。SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を含む基(以下、単に「エチレン性不飽和基」と称することがある)としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2-ヒドロキシ-3-(アリルオキシ)プロピル基、2-アリルフェニル基、3-アリルフェニル基、4-アリルフェニル基、2-(アリルオキシ)フェニル基、3-(アリルオキシ)フェニル基、4-(アリルオキシ)フェニル基、2-(アリルオキシ)エチル基、2,2-ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3-アリルオキシ-2,2-ビス(アリルオキシメチル)プロピル基およびビニルエーテル基等が挙げられる。
化合物(α)は1分子中に複数のエチレン性不飽和基を有することが好ましい。1分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する場合は、ヒドロシリル化反応により複数のポリシロキサン化合物(化合物(β))が架橋されるため、(A)成分の分子量が高められ、製膜性および硬化膜の耐熱性が向上する傾向がある。
構造Xとしては、上述のように、カルボン酸やフェノール性水酸基等の酸性基に保護基が結合した構造が挙げられる。(A)成分がポリシロキサン化合物である場合、構造Xはフェノール性水酸基に保護基が結合したものが好ましい。また、硬化膜の耐薬品性、および絶縁性等の観点から、構造Xはビスフェノール構造を含むことが好ましい。
ビスフェノール構造としては、ビスフェノールA構造、ビスフェノールAP構造、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールB構造、ビスフェノールBP構造、ビスフェノールE構造、ビスフェノールM構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールPH構造、ビスフェノールC構造、ビスフェノールG構造、ビスフェノールTMC構造およびビスフェノールZ構造等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ現像液への溶解性に優れ、コントラストに優れるパターンが得られやすいことから、ビスフェノールA構造、ビスフェノールB構造、ビスフェノールC構造、ビスフェノールE構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAP構造またはビスフェノールPH構造が好ましく、中でも、酸による脱保護のしやすさの観点から、ビスフェノールS構造またはビスフェノールF構造が好ましい。
フェノール性水酸基の保護基は、炭素数1~50の有機基または有機ケイ素基であることが好ましく、中でもトリアルキルシリル基が好ましい。ビスフェノールのフェノール性水酸基がトリアルキルシリル基に保護されており、かつエチレン性不飽和基を有する化合物(α)としては、下記の一般式(I)で表される化合物を例示できる。
Figure 0007257134000001
一般式(I)において、Rは2価の有機基であり、ビスフェノール構造として取り得る構造であればよい。例えば、化合物(α)がビスフェノールS構造を有する場合、RはSOであり、化合物(α)がビスフェノールF構造を有する場合のRはCHである。複数のRは、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、好ましくは、全てのRがメチル基である。一般式(I)で表される化合物は、例えばジアリルビスフェノールとシリル化剤との反応により得られる。
(化合物(β):ポリシロキサン化合物)
化合物(β)は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物であり、例えば、WO96/15194号に記載の化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。化合物(β)の具体例としては、直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサン、およびヒドロシリル基を含有する環状ポリシロキサンが挙げられる。環状ポリシロキサンは多環構造でもよく、多環は多面体構造を有していてもよい。多面体骨格耐熱性および機械強度の高い硬化膜を形成するためには、化合物(β)として、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリシロキサン化合物を用いることが好ましい。化合物(β)は、好ましくは1分子中に3個以上のSiH基を含む。耐熱性および耐光性の観点から、Si原子上に存在する基は、水素原子およびメチル基のいずれかであることが好ましい。
直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ならびにジメチルハイドロジェンシリル基によって末端が封鎖されたポリシロキサン等が例示される。
分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサンとしては、ジメチルハイドロジェンシリル基によって末端が封鎖されたポリシロキサン、ならびにジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CHSiO1/2単位)と、SiO単位、SiO3/2単位およびSiO単位からなる群より選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位とからなるポリシロキサン等が例示される。
環状ポリシロキサンは、例えば下記一般式(II)で表される。
Figure 0007257134000002
式中のR、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1~20の有機基を表す。mは2~10の整数、nは0~10の整数を表す。mは3以上が好ましい。m+nは3~12が好ましい。
、RおよびRとしては、C、HおよびOからなる群から選択される元素により構成される有機基が好ましい。R、RおよびRの例として、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキルキル基、オキシアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状アルキル基、またはフェニル基が好ましい。化合物(β)の入手性の観点から、R、RおよびRは、メチル基、プロピル基、ヘキシル基またはフェニル基であることが好ましい。RおよびRは、炭素数1~6の鎖状アルキル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(II)で表される環状ポリシロキサン化合物としては、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジハイドロジェン-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリハイドロジェン-1,3,5-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタハイドロジェン-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11-ヘキサハイドロジェン-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が例示される。中でも、入手容易性およびSiH基の反応性の観点から、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(一般式(II)において、m=4、n=0であり、Rがメチル基である化合物)が好ましい。
化合物(β)は、多環の環状ポリシロキサンでもよい。多環は多面体構造でもよい。多面体骨格を有するポリシロキサンは、多面体骨格を構成するSi原子の数が6~24であるものが好ましく、6~10であるものがより好ましい。多面体骨格を有するポリシロキサンの具体例としては、下記一般式(III)で示されるシルセスキオキサン(Si原子数=8)が挙げられる。
Figure 0007257134000003
上記式中、R10~R17は、それぞれ独立に、水素原子、鎖状アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基等)、アリール基(フェニル基およびトリル基等)、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子またはシアノ基等で置換した基(クロロメチル基、トリフルオロプロピル基およびシアノエチル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基およびヘキセニル基等)、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、およびメルカプト基またはアミノ基を含有する有機基等から選択され1価の基である。上記炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。多面体骨格を有する環状ポリシロキサンは、ヒドロシリル化反応の反応性基であるヒドロシリル基を2個以上有する。したがって、R10~R17のうち少なくとも2つは水素原子である。
環状ポリシロキサンは、多面体骨格を有するシリル化ケイ酸でもよい。多面体骨格を有するシリル化ケイ酸の具体例としては、下記一般式(IV)で示される化合物(Si原子数=8)が挙げられる。
Figure 0007257134000004
上記式中、R18~R41は、前述の一般式(III)におけるR10~R17の具体例と同様であり、R18~R41のうち少なくとも2つは水素原子である。
ポリシロキサンは、公知の合成方法により得られる。例えば、一般式(II)で表される環状ポリシロキサンは、WO96/15194号等に記載の方法により合成できる。シルセスキオキサン等の多面体骨格を有するポリシロキサンおよび多面体骨格を有するシリル化ケイ酸は、例えば、特開2004-359933号公報、特開2004-143449号公報、特開2006-269402号公報等に記載の方法により合成できる。化合物(β)として、市販のポリシロキサン化合物を用いてもよい。
(他の出発物質)
ヒドロシリル化反応による(A)成分の合成において、上記の化合物(α)および化合物(β)に加えて、他の出発物質を用いてもよい。例えば、出発物質として、上記の化合物(α)以外のエチレン性不飽和基含有化合物を用いてもよい。
例えば、化合物(α)および化合物(β)に加えて、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「化合物(γ)」)を出発物質として用いることが好ましい。化合物(γ)を用いれば、ヒドロシリル化反応により複数のポリシロキサン化合物(化合物(β))が架橋されるため、成分(A)の分子量が高められ、製膜性および硬化膜の耐熱性が向上する傾向がある。
化合物(γ)は、有機重合体系化合物および有機単量体系化合物のいずれでもよい。有機重合体系化合物としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール-ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)またはポリイミド系の化合物が挙げられる。有機単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼンまたはナフタレン等の芳香族炭化水素系;直鎖系および脂環系等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物が挙げられる。
化合物(γ)の具体例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2-テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3-ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5-ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2-ポリブタジエン(1,2比率10~100%のもの、好ましくは1,2比率50~100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。また、上記例示の化合物におけるアリル基を(メタ)アクリロイル基に置き換えた化合物(例えば、多官能(メタ)アクリレート)も、化合物(γ)として好適に用いられる。
化合物(γ)は、2個以上のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物でもよい。2個以上のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物の具体例としては、上記の化合物(β)のSiに結合した水素原子の一部または全部をエチレン性不飽和基に置き換えたものが挙げられる。中でも、硬化膜の耐熱性を向上する観点から、2個以上のエチレン性不飽和基を有する環状ポリシロキサン化合物が好ましい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有する環状ポリシロキサン化合物の具体例として、Si原子にエチレン性不飽和基としてビニル基が結合した環状ポリシロキサンが挙げられる。Si原子に結合したビニル基を2個以上有する環状ポリシロキサン化合物としては、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジビニル-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11-ヘキサビニル-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。
ヒドロシリル化反応の出発物質として、1分子中に、ヒドロシリル化反応に関与する官能基を1個のみ有する化合物(以下「化合物(δ)」)を用いてもよい。ヒドロシリル化反応に関与する官能基とは、SiH基、またはエチレン性不飽和基である。ヒドロシリル化反応に関与する官能基を1つのみ含む化合物を用いることにより、ポリマーの末端に特定の官能基を導入できる。
例えば、化合物(δ)として1つのSiH基を有するシロキサン化合物を用いることにより、ポリマーの末端にシロキサン構造部位を導入できる。1つのSiH基を有するシロキサン化合物の具体例としては、前述の一般式(II)においてm=1である環状ポリシロキサン化合物、前述の一般式(III)においてR10~R17のうち1つが水素原子である多面体ポリシロキサン化合物、前述の一般式(IV)においてR18~R41のうち1つが水素原子であるシリル化ケイ酸化合物等が挙げられる。1つのSiH基を有するシロキサン化合物は、鎖状シロキサン化合物でもよい。
化合物(δ)として、1つのエチレン性不飽和基を含む化合物を用いることにより、ポリマーの末端に所望の官能基を導入できる。上記の他に、2個以上のSiH基を有する鎖状ポリシロキサン等のヒドロシリル化反応に関与する化合物を、出発物質に含めてもよい。
(ヒドロシリル化反応)
ヒドロシリル化反応の順序および方法は特に限定されない。合成工程を簡便とする観点からは、全ての出発物質を1ポットに仕込んでヒドロシリル化反応を行い、最後に未反応の化合物を除去する方法が好ましい。一方、低分子量体の生成を抑制する観点からは、複数のエチレン性不飽和基を含む化合物(例えば化合物(α)および化合物(γ))と複数のSiH基を含む化合物(例えば化合物(β))とを、一方を過剰量としてヒドロシリル化反応を行い、未反応の化合物を除去後に、1分子中にヒドロシリル化反応に関与する官能基を1個のみ有する化合物(例えば化合物(δ))添加してヒドロシリル化反応を行う方法が好ましい。
ヒドロシリル化反応における各化合物の割合は特に限定されないが、出発物質のエチレン性不飽和基の総量AとSiH基の総量Bとが、1≦B/A≦30を満たすことが好ましく、1≦B/A≦10を満たすことがより好ましい。B/Aが1以上であれば、未反応のエチレン性不飽和基が残存し難く、B/Aが30以下であれば、未反応の化合物(β)が残存しにくいため、硬化膜の特性を向上できる。
ヒドロシリル化反応には、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体等のヒドロシリル化触媒を用いてもよい。ヒドロシリル化触媒と助触媒とを併用してもよい。ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、出発物質に含まれるエチレン性不飽和基の総量(モル数)に対して、好ましくは10-8~10-1倍、より好ましくは10-6~10-2倍である。
ヒドロシリル化の反応温度は適宜に設定すればよく、好ましくは30~200℃、より好ましくは50~150℃である。ヒドロシリル化反応には適宜の溶媒を使用してもよい。ヒドロシリル化反応においては、必要に応じて、ゲル化抑制剤を用いてもよい。
上記では、構造Xを有するポリシロキサン化合物を得る方法として、1分子中に構造Xおよびエチレン性不飽和基を有する化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合(β)とのヒドロシリル化反応を例として説明したが、成分(A)の合成方法はこれに限定されない。上記以外の出発物質を用いたヒドロシリル化反応により成分(A)を得ることもできる。
例えば、化合物(α)に代えて、1分子中にSiH基と構造Xを有する化合物を出発物質として、構造Xを有するポリシロキサン化合物を合成してもよい。この場合、SiH基と構造Xを含む化合物と、エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応により、構造Xを有するポリシロキサン化合物が得られる。エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物は、複数のエチレン性不飽和基を含んでいてもよい。
エチレン性不飽和基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジビニル-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11-ヘキサビニル-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。エチレン性不飽和基を有する環状ポリシロキサン化合物は、耐熱性および耐光性の観点から、Si原子上に存在する有機基が、ビニル基またはメチル基であることが好ましい。
<(B)光酸発生剤>
感光性組成物は、(B)成分として光酸発生剤を含有する。露光により光酸発生剤に活性エネルギー線が照射されると酸が発生する。活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、およびγ線等が挙げられる。光酸発生剤から発生した酸が、上記(A)成分を分解し、酸性基または水酸基を発現させることにより、アルカリ溶解性が増大する。
感光性組成物に含まれる光酸発生剤は、露光によりルイス酸を発生するものであれば特に限定されない。光酸発生剤の具体例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、オニウム塩等のイオン性光酸発生剤;イミドスルホネート類、オキシムスルホネート類、スルホニルジアゾメタン類等の非イオン性光酸発生剤が挙げられる。イオン性光酸発生剤に含まれるアニオンとしては、B(C 、PF 、SbF 、CFSO およびCSO 等が挙げられる。光感度が高いことから、光酸発生剤としては、イミドスルホネート類およびオキシムスルホネート類が好ましい。
感光性組成物における光酸発生剤の含有量は、(A)成分100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、0.3~7重量部がより好ましく、0.5~5重量部がさらに好ましい。光酸発生剤の量が上記範囲であれば、露光部の(A)成分のアルカリ溶解性を十分に高めてパターニング性を向上できるとともに、過剰の酸に起因するコントラストの低下を抑制できる。
<(C)塩基性化合物>
感光性組成物は、(C)成分として塩基性化合物を含む。塩基性化合物は、露光により光酸発生剤から生じたルイス酸が非露光部に拡散して、非露光部のアルカリ溶解性が増大することを抑制する作用を有する。本発明の感光性組成物は、塩基性化合物として、(C1)成分および(C2)成分を含む。複数の塩基性化合物を併用することにより、露光から現像までの放置時間が長い場合でも、非露光部のアルカリ溶解性の増大を抑制し、パターン膜のスペース幅の拡大(線幅の縮小)を防止できる。
(C1)成分は、モルホリン環を有する塩基性化合物である。(C2)成分は、(C2a)オキサゾリン環を有する塩基性化合物、および(C2b)1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物から選択される1種以上である。
((C1)モルホリン系塩基性化合物)
(C1)成分は、モルホリン環を有する塩基性化合物である。モルホリン環を有する塩基性化合物としては、モルホリン、4-メチルモルホリン、4-モルホリンアセトニトリル、4-アセチルモルホリン、4-アセトアセチルモルホリン、4-アクリロイルモルホリン、4-アリルモルホリン、4-(2-アセトキシエチル)モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、4-(2-ピバロイルオキシキシエチル)モルホリン、4-[2-(2-メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、4-[2-(エトキシカルボニルオキシ)プロピル]モルホリン、4-[2-(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、4-[2-(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1-(4-モルホリニル)エタノール、3-(N-モルホリノ)-1,2-プロパンジオール、モルホリノ酢酸2-メトキシエチル、モルホリノ酢酸メチル、酢酸2-モルホリノエチル、3-モルホリノプロピオン酸2-アセトキシエチル、3-モルホリノプロピオン酸2-メトキシエチル、3-モルホリノプロピオン酸メチル、3-モルホリノプロピオン酸エチル、3-モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、4-モルホリンプロピオノニトリル、4-モルホリンプロピオン酸(2-シアノエチル)、4-モルホリンプロピオン酸シアノメチル、β-モルホリノ-δ-バレロラクトン、アセトキシ酢酸2-モルホリノエチル、N-シクロヘキシル-N’-[2-(4-モルホリニル)エチル]チオ尿素等が挙げられる。モルホリン系塩基性化合物は、ビス(2-モルホリノエチル)エーテル等の1分子中に2以上のモルホリン環を有する化合物でもよい。モルホリン系塩基性化合物は、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等のケトン(フェノン)類でもよい。
上記例示の化合物の中でも、モルホリン環を有する塩基性化合物は、ビス(2-モルホリノエチル)エーテル2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、および2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノンからなる群から選択される1以上が好ましい。
((C2a)オキサゾリン系塩基性化合物)
(C2a)成分は、オキサゾリン環を有する塩基性化合物である。オキサゾリン環を有する塩基性化合物としては、オキサゾリン;2,2’-ビス(2-オキサゾリン)等の複数のオキサゾリン環が直接結合した化合物;メチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(2-オキサゾリン)等のアルキレン基を介して複数のオキサゾリン環が結合した化合物;1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン、1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン等の芳香族基を介して複数のオキサゾリン環が結合した化合物が挙げられる。オキサゾリン化合物は、オキサゾリン環上に置換基を有していてもよい。置換基を有するオキサゾリン化合物としては、2-メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾリン、2-イソプロピル-2-オキサゾリン、2-シクロヘキシル-2-オキサゾリン、2-シクロペンチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-フェニル-2-オキサゾリン、2,4,4-トリメチル-2-オキサゾリン、2-フェニル-4,4-ジメチル-2-オキサゾリン等が挙げられる。複数のオキサゾリン環を有するオキサゾリン化合物は、それぞれのオキサゾリン環上に置換基を有していてもよい。
上記例示の化合物の中でも、オキサゾリン環を有する塩基性化合物は、1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン、および1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンからなる群から選択される1以上が好ましい。
((C2b)ピペリジン系塩基性化合物)
(C2b)成分は、1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物であり、好ましくは下記一般式(V)で表される官能基を1分子に2個以上含む。
Figure 0007257134000005
一般式XにおいてR51~R55は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アルキル置換アミノ基、アリール基、ジアリールアミノ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基である。R51は水素原子またはメチル基であることが好ましく、R52~R55はメチル基であることが好ましい。一般式XにおいてR52~R55がメチル基である構造(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格)を有する化合物は、一般に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)として用いられている化合物である。
1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物は、分子量が400以上であるものが好ましい。1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格が、エステル結合を介して結合した構造を有するものが好ましい。このような化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(市販品としてBASF製「TINUVIN770」、ADEKA製「アデカスタブLA-77Y」等)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(市販品としてBASF製「TINUVIN765」、およびADEKA製「アデカスタブLA-72」等)、ビス(N-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1-アクロイル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)デカンジオエート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)デカンジオエート、ビス(1-ウンデカノキシ―2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート(市販品としてADEKA製「アデカスタブLA-81」等)、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(市販品としてADEKA製「アデカスタブLA-57」等)、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(市販品としてADEKA製「アデカスタブLA-52」等)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル](市販品としてBASF製「TINUVIN144」等)等が挙げられる。
1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物は、分子量が1000以上の高分子量化合物でもよい。高分子量のピペリジン系化合物の具体例としては、コハク酸と4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとのエステル(市販品としてBASF製「TINUVIN622」等)、{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジメチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(市販品としてADEKA製「アデカスタブLA-68」等)、{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジメチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(市販品としてADEKA製「アデカスタブLA-63P」等)、1,2,3,4-ブタンテトラボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールおよび3、9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールおよび3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル、ジメチルスクシネートと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとのエステル等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物;ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)]、N,N’,4,7-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10ジアミン、N,N’,4-トリス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N’,4,7-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N’,4-トリス[4,6-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5-トリアジン-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5-トリアジンとN,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、1,6-ヘキサンジアミン-N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)とモルフォリン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの重縮合物(市販品としてCytec製「CyasorbUV-3529」等)、ポリ[(6-モルフォリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル)〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕-ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕]等のピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した化合物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの重縮合物、側鎖に2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を有する高分子量ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物の分子量(ポリマーの場合は数平均分子量)は5000以下が好ましい。
上記例示の化合物の中でも、1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物は、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ―2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、2-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-2-ブチルプロパン二酸ビス[1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル]、および{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジメチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートからなる群から選択される1以上が好ましい。
(感光性組成物中の(C)成分の含有量)
感光性組成物は、(B)光酸発生剤100重量部に対して、(C1)成分を1~25重量部含み、かつ(C2)成分を1~25重量部含む。(C2)成分として、(C2a)オキサゾリン環を有する塩基性化合物、および(C2b)1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物の両方が含まれる場合は、(C2a)成分と(C2b)成分の合計量が、光酸発生剤100重量部に対して1~25重量部であることが好ましい。
(C1)成分および(C2)成分のそれぞれを、光酸発生剤100重量部に対して1重量部以上含むことにより、露光から現像までの放置時間が長い場合でも、非露光部のアルカリ溶解性が増大し難く、パターン膜の線幅およびスペース幅を一定に保つことができる。すなわち、(C1)成分および(C2)成分は、非露光部に拡散した酸と(A)成分との反応を抑制するクエンチャーとしての作用を有する。
(C1)成分および(C2)成分は、それぞれ単独でも酸のクエンチャーとしての作用を有するが、単独では長時間の持続性が十分ではなく、例えば、露光から現像までの放置時間が12時間以上の場合に、パターン膜のスペース幅が拡大し、線幅が小さくなる傾向がある。(C1)成分または(C2)成分のいずれか一方を単独で使用した場合は、その添加量を大きくしても、長時間の効果持続性を十分に高めることは困難である。
(C1)と(C2)とを併用することにより、露光から現像までの放置時間(保管時間)が長い場合でも、パターン膜の線幅およびスペース幅を一定に保つことができるため、プロセスマージンが広く、パターン膜の生産効率および歩留まりを向上できる。露光後、現像までの間に、より長時間の保管を許容可能とするためには、(B)光酸発生剤100重量部に対する(C1)成分の含有量は、1.5重量部以上がより好ましく、2重量部以上がさらに好ましく、2.5重量部以上が特に好ましい。(B)光酸発生剤100重量部に対する(C1)成分の含有量は、3重量部以上、3.3重量部以上、または3.5重量部以上であってもよい。同様の観点から、(B)光酸発生剤100重量部に対する(C2)成分の含有量は、1.5重量部以上がより好ましく、2重量部以上がさらに好ましく、2.5重量部以上が特に好ましい。(B)光酸発生剤100重量部に対する(C2)成分の含有量は、3重量部以上、3.5重量部以上または4重量以上であってもよい。
(C1)成分および(C2)成分の含有量が大きいほど、露光後の安定性が増大する傾向がある。一方で、(C1)成分および(C2)成分の含有量が過度に大きくなると、露光部においても露光により光酸発生剤から発生した酸が過剰にクエンチされて、(A)成分のアルカリ溶解性適切に増大せず、コントラストの低下や、適切なパターンが形成できない等の不具合を生じる場合がある。また、酸のクエンチャーとして作用する化合物の含有量が過度に大きいと、感度が低下し、パターニングに要する露光量が増大する場合がある。
そのため、光酸発生剤100重量部に対する(C1)成分および(C2)成分の含有量は、それぞれ25重量部以下であることが好ましい。(B)光酸発生剤100重量部に対する(C1)成分の含有量は、20重量部以下がより好ましく、17重量部以下がさらに好ましい。(B)光酸発生剤100重量部に対する(C1)成分の含有量は、15重量部以下、12重量部以下または10重量部以下であってもよい。(B)光酸発生剤100重量部に対する(C2)成分の含有量は、20重量部以下がより好ましく、17重量部以下がさらに好ましい。(B)光酸発生剤100重量部に対する(C2)成分の含有量は、15重量部以下、12重量部以下または10重量部以下であってもよい。
感光性組成物における(C1)成分と(C2)成分の含有量の合計は、(B)光酸発生剤100重量部に対して、3~40重量部が好ましく、5~35重量部がより好ましく、7~30重量部がさらに好ましく、9~25重量部が特に好ましい。
感光性組成物における(C1)成分の含有量は、(A)成分100重量部に対して、0.03~0.9重量部が好ましく、0.05~0.7重量部がより好ましく、0.08~0.5重量部がさらに好ましく、0.1~0.4重量部が特に好ましい。感光性組成物における(C2)成分の含有量は、(A)成分100重量部に対して、0.03~0.9重量部が好ましく、0.05~0.7重量部がより好ましく、0.08~0.5重量部がさらに好ましく、0.1~0.4重量部が特に好ましい。感光性組成物における(C1)成分と(C2)成分の含有量の合計は、(A)成分100重量部に対して、0.1~1重量部が好ましく、0.15~0.8重量部がより好ましく、0.2~0.7重量部がさらに好ましい。
(C1)成分と(C2)成分の含有量の合計に対する(C1)成分の含有量は、5~95%が好ましく、10~90%がより好ましく、20~80%がさらに好ましく、30~70%が特に好ましい。
<(D)増感剤>
感光性組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤を用いることにより、パターニング時の露光感度が向上する。ポジ型感光性組成物の増感剤としては、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられ、中でも光増感効果に優れることから、アントラセン系増感剤が好ましい。アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン(DBA)、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-tert-ブチルアントラセン、2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン等が挙げられる。中でも、感光性組成物との相溶性の観点から、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
感光性組成物における増感剤の含有量は、特に限定されず、増感効果を発揮し得る範囲で適宜に調整すればよい。増感効果と硬化膜の特性のバランスから、増感剤の含有量は、(A)成分100重量部に対して0.01~50重量部が好ましく、0.1~40重量部がより好ましく、0.5~35重量部がさらに好ましく、1~30重量部が特に好ましい。また、増感効果を得るために、上記(B)光酸発生剤に対する(D)増感剤のモル比(D/B)は、0.01~300が好ましく、0.1~100がより好ましい。
<(E)架橋剤>
感光性組成物は、上記の(A)成分に架橋構造を導入可能な架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、上記(A)成分と反応可能な官能基を1分子中に2以上含む化合物が好ましい。
例えば、(A)成分がポリシロキサン化合物であり、ヒドロシリル化反応に使用されなかったSiH基を含んでいる場合は、架橋剤として1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を感光性組成物に含めておけば、(A)成分と架橋剤とのヒドロシリル化反応により、架橋構造が導入される。1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、上記(A)成分の合成に関して例示した化合物(γ)と同様の化合物等を用いることができる。
感光性組成物が架橋剤を含有する場合、架橋剤の含有量は、(A)成分100重量部に対し、0.5~40重量部が好ましく、1~35重量部がより好ましく、2~30重量部がさらに好ましい。感光性組成物が架橋剤を含む場合、露光および現像によるパターニング後に、加熱(ポストベイク)により(A)成分と架橋剤とを反応させて、架橋構造を導入することが好ましい。架橋構造の導入によりパターン膜が硬化さるため、パターン膜の絶縁性、耐熱性、および耐溶剤性等を向上できる。
<溶媒>
上記の(A)成分、(B)成分および(C)成分、ならびに必要に応じて(D)成分および(E)成分を、溶媒中に溶解または分散させることにより、感光性組成物が得られる。感光性組成物は、各成分を製膜直前に混合調製してもよく、全成分を予め混合調製した一液の状態で貯蔵しておいてもよい。
溶媒は(A)成分を溶解可能であればよく、具体的には、ベンゼン、トルエン、ヘキサンおよびヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよびジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、酪酸イソブチル等のエステル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレンおよび1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。製膜安定性の観点から、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテートおよびジエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。溶媒の使用量は適宜設定すればよい。感光性組成物の固形分1gに対する溶媒の好ましい使用量は0.1~10mLである。
<その他の成分>
感光性組成物は、上記(A)~(E)以外の樹脂成分や添加剤等を含有していてもよい。例えば、感光性組成物は、特性改質等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂シクロオレフィン系樹脂、オレフィン-マレイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、天然ゴムおよびEPDM等のゴム状樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基およびアルコキシシリル基等の架橋性基を有していてもよい。
感光性組成物は、アルカリ現像液への溶解性が向上等の観点から、上記(A)成分以外のアルカリ可溶性成分を含有していてもよい。アルカリ可溶性成分としては、アルカリ可溶性官能基を有する樹脂が挙げられる。樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アミド系樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、下記のZ1またはZ2で表されるイソシアヌル酸誘導体構造等が挙げられる。
Figure 0007257134000006
アルカリ溶解性の向上と、硬化膜の絶縁性、耐熱性および耐溶剤性等とを両立する観点から、アルカリ可溶性成分としては、上記の構造Z1および/または構造Z2を有する樹脂が好ましく、中でも上記の構造Z1および/または構造Z2を有するポリシロキサン樹脂が好ましい。
構造Z1および/またはZ2を有するポリシロキサン樹脂は、例えば、上記の構造Z1とエチレン性不飽和基を含む化合物(ジアリルイソシアヌレート等)および/または上記の構造Z2とエチレン性不要和基を含む化合物(モノアリルイソシアヌレート等)と、SiH基を有するポリシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応により得られる。SiH基を有するポリシロキサン化合物としては、化合物(β)として先に例示した、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物が好適に用いられる。
感光性組成物は、上記の他に、接着性改良剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、劣化防止剤、ヒドロシリル化反応抑制剤、重合禁止剤、重合触媒(架橋促進剤)、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤および物性調整剤等を、本発明の目的および効果を損なわない範囲において含有していてもよい。
感光性組成物は、充填材や着色剤を含んでいてもよい。充填材としては、シリカ系充填材(石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカおよび超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび無機バルーン等が挙げられる。着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および(E)成分の合計量は、感光性組成物の固形分全量の50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。
[製膜およびパターン硬化膜の形成]
上記のポジ型感光性組成物を各種基材にコーティングして塗膜を形成し、所定形状のマスクを介して露光を行い、アルカリ現像により露光部を溶解および除去することにより、パターン膜を形成できる。現像後にポストベイクを行うことにより、パターン硬化膜が得られる。
<塗膜の形成>
感光性組成物を基材上に塗布する方法は、均一に塗布が可能である方法であれば特に限定されず、スピンコーティング、スリットコーティング、スクリーンコーティング等の一般的なコーティング法を使用できる。塗膜の厚みは特に限定されない。パターン膜が永久レジストである場合は、信頼性の観点から、厚みは0.05~100μmが好ましく、0.1~80μmがより好ましく、0.2~50μmがさらに好ましい。
<プリベイク>
露光前に、溶媒を乾燥するために加熱(プリベイク)を行ってもよい。加熱温度は適宜設定され得るが、好ましくは50~200℃、より好ましくは60~150℃である。さらに、露光前に真空脱揮を行ってもよい。真空脱揮は加熱と同時に行われてもよい。熱硬化性の成分(例えば、上記の(E)成分)を含む感光性組成物は、加熱により硬化が進むと現像性が低下する場合がある。そのため、プリベイクにおける加熱温度は120℃以下が好ましい。
<露光>
露光の光源は、感光性組成物に含まれる光酸発生剤および増感剤の感度波長に応じて選択すればよい。通常は、200~450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)が用いられる。
露光量は特に制限されないが、1~5000mJ/cmが好ましく、5~1000mJ/cmがより好ましく、10~500mJ/cmがさらに好ましい。露光量が過度に少ないと硬化が不十分となりパターンのコントラストが低下する場合があり、露光量が過度に多いとタクトタイムの増大による製造コスト増加を招く場合がある。
<ポストエクスポージャーベイク>
露光後、現像前に、酸と成分(A)との反応促進等を目的として、ポストエクスポージャーベイク(PEB)を行ってもよい。ポストエクスポージャーベイクにおける加熱温度は、40~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましく、60~100℃がさらに好ましい。
<現像>
露光後の塗膜に、浸漬法またはスプレー法等によりアルカリ現像液を接触させ、露光部の塗膜を溶解および除去することによりパターン膜が得られる。露光部では、光酸発生剤への活性エネルギー線の照射により発生した酸の作用により、(A)成分のアルカリ溶解性が増大するため、アルカリ現像により塗膜が溶解する。露光部で発生した酸は、経時的に非露光部にも拡散するが、感光性組成物に含まれる(C1)成分および(C2)成分が非露光部に拡散した酸をクエンチするため、非露光部の塗膜のアルカリへの溶解を防止できる。本発明においては、(C)塩基性化合物として(C1)成分と(C2)成分とを併用することにより、露光から現像までの時間が長い場合でも、非露光部がアルカリに溶解し難く、パターン膜の線幅(アルカリ現像液に溶解せずに膜が残存している領域の幅)およびスペース幅(アルカリ現像液に溶解した領域の幅)が一定に保たれる。
アルカリ現像液は、一般に使用されるものを特に限定なく使用できる。アルカリ現像液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。現像液のアルカリ濃度は0.01~25重量%が好ましく、0.1~10重量%がより好ましく、0.3~5重量%がさらに好ましい。溶解速度の調整等を目的として、現像液には界面活性剤等が含まれていてもよい。
<ポストベイク>
現像により露光部を溶解および除去した後、ポストベイクを行い、残存した非露光部の膜の組成物の硬化を行ってもよい。例えば(A)成分がSiH基を含む化合物であり、感光性組成物が(E)成分として複数のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む場合、ポストベイクを行うと、(A)成分のSiH基と(E)成分のエチレン性不飽和基とのヒドロシリル化反応により硬化が進行する。ポストベイク条件は適宜に設定され得る。ポストベイク温度は、好ましくは100~400℃、より好ましくは120~350℃である。
[用途]
本発明の感光性組成物は、アルカリ現像性透明レジストとして使用可能であり、特にFPD用材料として好適な材料である。より具体的には、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料等が挙げられる。また、感光性組成物は、カラーフィルターやブラックマトリクス等の着色膜の材料として使用することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[ポリシロキサン化合物の合成]
反応容器内に、ジアリルビスフェノールS:100重量部、およびテトラヒドロフラン(THF)400重量部を入れ、室温で攪拌した。均一な溶液を得た。反応容器にヘキサメチルジシラザン:50重量部を添加し、室温で2時間反応させ、H-NMRにより、トリメチルシリル基由来のピークの存在および水酸基由来のピークの消失を確認した後、THFおよび反応残渣を減圧留去して、水酸基がトリメチルシリル基で保護されたジアリルビスフェノールS(化合物1)を得た。
反応容器に、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン:60重量部、およびトルエン:400重量部を入れ、気相部を窒素置換した後、内温を100℃に加熱し、攪拌下で、上記の化合物1を100重量部、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを15重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有)0.14重量部、およびトルエン100重量部の混合液を滴下した。滴下後、H-NMRにより、アリル基由来のピーク消失を確認した後、トルエンを減圧留去し、無色透明の液体(反応物A)を得た。H-NMRにより、反応物Aは、トリメチルシリル基で保護されたビスフェノールS構造を有し、ジブロモエタン当量換算で3.0mmol/gのSiH基を有するポリシロキサン系化合物であることを確認した。
[ポジ型感光性組成物の調製]
上記の反応物Aを96.15重量部、架橋剤としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業製「NKエステル A-TMMT」)を3.85重量部、光酸発生剤としてイミドスルホネート化合物(ADEKA製「SP-606」)を2重量部および(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロブタン-1-スルホナート(東洋合成化学工業製「TTBPS-PFBS」)を1重量部、増感剤として9,10-ジブトキシアントラセンを4重量部、触媒として[Pt-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の3重量%イソプロパノール溶液(エヌイーケムキャット製)を0.05重量部、遅延剤として2-メチル-3-ブチン-2-オールを2重量部、シリコーン系表面調整剤(SiVance製「MQV6レジン」)を0.5重量部、酸化防止剤として「アデカスタブAO-80」(ADEKA製)を1重量部、ならびに溶媒としてプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート143.91重量部を混合して、ポジ型感光性組成物を調製した。この組成を「標準組成」(比較例1)とする。
実施例および比較例では、上記の標準組成に、塩基性化合物(モルホリン系化合物、オキサゾリン系化合物、およびピペリジン系化合物)を、硬化性樹脂成分(反応物AとA-TMMTの合計)100重量部に対して、表1~3に示す割合で添加して、ポジ型感光性組成物を調製した。
表1~3に示す塩基性化合物の詳細は下記の通りである。
<モルホリン系化合物>
A:4-メチルモルホリン
B:4-アリルモルホリン
C:2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン
D:ビス(2-モルホリノエチル)エーテル
E:N-シクロヘキシル-N’-[2-(4-モルホリニル)エチル]チオ尿素
F:、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン
G:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン
<オキサゾリン系化合物>
A:2-エチル-2-オキサゾリン
B:2,4,4-トリメチル-2-オキサゾリン
C:1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン
D:1,4-Bis(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン
E:2,2’-ビス(2-オキサゾリン)
<ピペリジン系化合物>
A:{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジメチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA製「アデカスタブLA-63P」)
B:テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA製「アデカスタブLA-52」)
C:テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA製「アデカスタブLA-57」)
D:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA製「アデカスタブLA-72」)
E:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA製「アデカスタブLA-77Y」)
F:1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート
(ADEKA製「アデカスタブLA-82」)
G:2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA製「アデカスタブLA-87」)
[パターン硬化膜の形成およびスペース幅の評価]
50mm×50mmの無アルカリガラス基板上に、実施例および比較例のポジ型感光性組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレートを使用して110℃で2分間加熱(プリベイク)を行い、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。マスクアライナー(大日本科研製「MA-1300」)を用い、フォトマスク(ライン/ペース=5μm/5μmの)越しに、積算照射量20mJ/cmで露光を行った。露光から2分後に、23℃のアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、多摩化学工業製)に60秒間浸漬して、現像処理を行った。さらにさらにオーブンにて230℃で30分ポストベイクを行ってパターン硬化膜を形成した。
各実施例および比較例の組成物に関して、露光後現像までの時間を12時間および24時間に変更し、上記と同様にしてパターン硬化膜を形成した。それぞれの硬化膜をレーザー顕微鏡(オリンパス製「OLS4000」)にて観察した。得られた断面プロファイルにおいて、ボトム(塗膜が溶解してガラス基板が露出している部分)から高さ0.5μmの位置を、ライン/スペースの境界とし、隣接する2本のライン間の距離をスペース幅とした。
各実施例および比較例において、露光から2分後に現像を行った試料のスペース幅を基準として、露光から12時間後に現像を行った試料および露光から24時間後に現像を行った試料のスペース幅の比率を算出した。各実施例および比較例のポジ型感光性組成物の塩基性化合物の種類および添加量、ならびに、露光から12時間後および24時間後に現像を行ったパターン硬化膜のスペース幅(露光直後に現像を行ったパターン硬化膜のスペース幅に対する比率)を、表1~3に示す。
Figure 0007257134000007
Figure 0007257134000008
Figure 0007257134000009
塩基性化合物を含まない比較例1では、露光から現像までの時間が12時間の場合の線幅が130%、露光から現像までの時間が24時間の場合のスペース幅が148%であり、経時的にスペース幅が大きく(ライン幅が小さく)なっていた。塩基性化合物としてモルホリン系化合物を添加した比較例1~9および比較例11~14では、比較例1に比べてスペース幅の増大(ライン幅の減少)が抑制されていた。同一のモルホリン系化合物を用いた場合は、添加量が多いほど、スペース幅の増大が抑制される傾向がみられ、比較例9および比較例12では、露光から現像までの時間が12時間の場合のスペース幅が103%、露光から現像までの時間が24時間の場合のスペース幅が105%となっていた。ただし、固形分100重量部に対して1重量部(光酸発生剤100重量部に対して33重量部)のモルホリン系化合物を添加した比較例10では、露光部の樹脂が十分に溶解せず、パターンを形成できなかった。
オキサゾリン系化合物を添加した比較例15~24およびピペリジン系化合物を添加した比較例25~28においても同様の傾向がみられた。
モルホリン系化合物とオキサゾリン化合物とを併用した実施例1~19は、露光から現像までの時間が12時間の場合のスペース幅が101%以下、露光から現像までの時間が24時間の場合のスペース幅が103%以下であり、比較例1~28に比べてライン幅およびスペース幅の保持性(線幅安定性)が向上していた。ただし、モルホリン系化合物およびオキサゾリン化合物を、固形分100重量部に対して、それぞれ1重量部添加した比較例29では、比較例10と同様、パターンを形成できなかった。
比較例8と実施例1~5、実施例7および実施例8を対比すると、これらの例は、塩基性化合物の添加量(合計)が同一であるが、モルホリン系化合物とオキサゾリン系化合物を併用した実施例1~5、実施例7および実施例8は、比較例8に比べて、露光から現像までの時間が長い場合のスペース幅が小さく、線幅安定性に優れていることが分かる。また、実施例4は、比較例9および比較例21に比べて塩基性化合物の添加量が少ないが、線幅安定性に優れている。これらの結果から、モルホリン系化合物またはオキサゾリン系化合物を単独で使用して添加量を増大させるよりも、モルホリン系化合物とオキサゾリン系化合物とを併用する方が、経時での線幅安定性に優れていることが分かる。
モルホリン系化合物と1分子中に2以上のピペリジン環を有するピペリジン系化合物とを併用した実施例20~38においても、モルホリン系化合物とオキサゾリン系化合物とを併用した場合と同様、経時での線幅安定性に優れていた。ただし、オキサゾリン系化合物として、1分子中にオキサゾリン環を1つのみ含む化合物を用いた比較例31および比較例32では、十分な線幅安定性向上効果が得られなかった。これらの結果から、モルホリ系化合物と1分子中に2以上のピペリジン環を有する化合物とを併用することにより、経時での線幅安定性が向上することが分かる。
ピペリジン系化合物を単独で使用した比較例26~28と、モルホリン系化合物およびピペリジン系化合物を併用した実施例33~36との対比からも、併用系により経時での線幅安定性が向上し、露光から現像までの放置時間に関わるプロセスマージンを拡大できることが分かる。

Claims (6)

  1. (A)成分:酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物;
    (B)成分:光酸発生剤;
    (C1)成分:モルホリン環を有する塩基性化合物;ならびに
    (C2)成分:オキサゾリン環を有する塩基性化合物、および1分子中に2個以上のピペリジン環を有する化合物からなる群から選択される1以上、
    を含み、
    前記(A)成分は、フェノール性水酸基が保護基により保護された構造を有するポリシロキサン化合物であり、
    前記(A)成分100重量部に対する前記(B)成分の含有量が0.1~10重量部であり、
    前記(A)成分100重量部に対する、前記(C1)成分の含有量が0.03~0.9重量部、前記(C2)成分の含有量が0.03~0.9重量部、かつ前記(C1)成分と前記(C2)成分の含有量の合計が0.1~1重量部であり、
    前記(B)成分100重量部に対する前記(C1)成分の含有量が1~25重量部であり、
    前記(B)成分100重量部に対する前記(C2)成分の含有量が1~25重量部である、
    ポジ型感光性組成物。
  2. 前記ポリシロキサン化合物がSiH基を有する、請求項に記載のポジ型感光性組成物。
  3. さらに、(E)成分として、前記(A)成分と反応可能な官能基を1分子中に2以上含む化合物を含む、請求項1または2に記載のポジ型感光性組成物。
  4. 前記ポリシロキサン化合物がSiH基を有し、前記(E)成分が1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である、請求項3に記載のポジ型感光性組成物。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のポジ型感光性組成物の硬化物からなるパターン硬化膜。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載のポジ型感光性組成物を基板上に塗布し、露光およびアルカリ現像によりパターニングを実施する、パターン硬化膜の製造方法。
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JP2005306812A (ja) 2004-04-23 2005-11-04 Shin Etsu Chem Co Ltd 含窒素有機化合物、化学増幅型レジスト材料及びパターン形成方法
JP2007154047A (ja) 2005-12-05 2007-06-21 Jsr Corp ポリシロキサン及び感放射線性樹脂組成物

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