JP7254194B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、樹脂、及び、樹脂の製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、樹脂、及び、樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、樹脂、及び、樹脂の製造方法に関する。
ポリイミド等の樹脂は、耐熱性及び絶縁性に優れるため、様々な用途に適用されている。上記用途としては特に限定されないが、実装用の半導体デバイスを例に挙げると、絶縁膜や封止材の材料、又は、保護膜としての利用が挙げられる。また、フレキシブル基板のベースフィルムやカバーレイなどとしても用いられている。
例えば上述した用途において、ポリイミド等の樹脂は、ポリイミド前駆体等を含む硬化性樹脂組成物の形態で用いられる場合がある。上記前駆体は、例えば加熱等により、環化してポリイミド等の樹脂となる。
これらの硬化性樹脂組成物は、公知の塗布方法等により基材等に適用可能であるため、例えば、適用される硬化性樹脂組成物の形状、大きさ、適用位置等の設計の自由度が高いなど、製造上の適応性に優れるといえる。
ポリイミド等の樹脂がもつ高い性能に加え、このような製造上の適応性に優れる観点から、ポリイミド前駆体等の樹脂を含む硬化性樹脂組成物について、産業上の応用展開がますます期待されている。
例えば、特許文献1には、特定の構造を有する反応性透明ポリイミド前駆体が記載されている。
また、特許文献2には、(A)特定の構成単位を有するポリアミック酸と、(B)光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含む感光性樹脂組成物が記載されている。
特表2006-521452号公報 特開2009-251451号公報
ポリイミドを含む硬化性樹脂組成物において、得られる硬化膜の耐薬品性に優れる硬化性樹脂組成物の提供が望まれている。
本発明の一実施態様は、得られる硬化膜の耐薬品性に優れる硬化性樹脂組成物、上記硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスを提供することを目的とする。
また、本発明の別の一実施態様は、新規な樹脂、及び、上記樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の代表的な実施態様の例を記載する。
<1> 式(1-1)で表される繰返し単位を含む樹脂、及び、感光剤を含み、
上記樹脂が、下記式(1-1)で表される繰返し単位を、上記樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む、
硬化性樹脂組成物;
Figure 0007254194000001
式(1-1)中、Xは芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
<2> 上記樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、エチレン性不飽和基を含む置換基である上記G又は上記Gのモル量の割合が、0~30%である、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<3> 上記樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合が、20~100%である、<1>又は<2>に記載の硬化性樹脂組成物。
<4> 上記樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合が、20~100%である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<5> 上記Xが、下記式(A-1)~式(A-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含み、かつ、上記Yが下記式(A2-1)~式(A2-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物;
Figure 0007254194000002
式(A-1)~(A-5)中、RA11~RA14、RA21~RA24、RA31~RA38、RA41~RA48及びRA51~RA58はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、LA31及びLA41はそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2価の飽和炭化水素基、2価の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子、ヘテロ環基、又は、ハロゲン化アルキレン基を表し、RA11~RA14のうち2つ、RA21~RA24のうち2つ、RA31~RA38のうち2つ、RA41~RA48のうち2つ、及び、RA51~RA58のうち2つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であってもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す;
Figure 0007254194000003
式(A2-1)~(A2-5)中、RA211~RA214、RA221~RA224、RA231~RA238、RA241~RA248及びRA251~RA258はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、LA231及びLA241はそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2価の飽和炭化水素基、2価の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子、ヘテロ環基、又は、ハロゲン化アルキレン基を表し、RA211~RA214のうち少なくとも1つ、RA221~RA224のうち少なくとも1つ、RA231~RA238のうち少なくとも1つ、RA241~RA248のうち少なくとも1つ、及び、RA251~RA258のうち少なくとも1つが上記式(1-1)中のAとの結合部位であってもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
<6> 上記Aが重合性基として、エチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基、メチロール基又はアルコキシメチル基を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<7> 上記感光剤が、光重合開始剤である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<8> 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、<1>~<7>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<9> <1>~<8>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
<10> <9>に記載の硬化膜を2層以上有し、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を有する、積層体。
<11> <1>~<8>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
<12> 上記膜を50~450℃で加熱する工程を含む、<11>に記載の硬化膜の製造方法。
<13> <9>に記載の硬化膜又は<10>に記載の積層体を有する、半導体デバイス。
<14> 下記式(1-1)で表される繰返し単位を、上記樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む、樹脂。
Figure 0007254194000004
式(1-1)中、Xは、芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける、式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
<15> 酸価が0~2.0mmol/gである、<14>に記載の樹脂。
<16> <14>又は<15>に記載の樹脂の製造方法であって、
2つのニトロ基、少なくとも1つの反応性基、及び、芳香族炭化水素基を有する化合物Aと、上記反応性基と結合を形成可能である基、及び、重合性基を有する化合物Bとを反応させ、化合物Aと化合物Bが結合した化合物Cを得た後に、上記化合物Cにおけるニトロ基を還元して、芳香族炭化水素基を有するジアミンを得る工程、並びに、
上記ジアミンと、4つのカルボキシ基がいずれも芳香族炭化水素基に結合した構造を有する4価カルボン酸化合物、又は、上記4価カルボン酸化合物の誘導体と、を反応させる工程、を含む
樹脂の製造方法。
本発明の一実施態様によれば、得られる硬化膜の耐薬品性に優れる硬化性樹脂組成物、上記硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスが提供される。
また、本発明の別の一実施態様によれば、新規な樹脂、及び、上記樹脂の製造方法が提供される。
以下、本発明の主要な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、明示した実施形態に限られるものではない。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた露光も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000、TSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。それらの分子量は特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、GPC測定における検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、硬化性樹脂組成物層がある場合には、基材から硬化性樹脂組成物層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101,325Pa(1気圧)である。
本明細書にいて、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(硬化性樹脂組成物)
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に、「本発明の組成物」ともいう。)は、下記式(1-1)で表される繰返し単位を含む樹脂、及び、感光剤を含み、上記樹脂が、下記式(1-1)で表される繰返し単位を、上記樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む。
以下、式(1-1)で表される繰返し単位を、樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む樹脂を、「特定樹脂」ともいう。
Figure 0007254194000005
式(1-1)中、Xは芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ネガ型の硬化性樹脂組成物であってもポジ型の硬化性樹脂組成物であってもよいが、ネガ型の硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
ネガ型の硬化性樹脂組成物とは、硬化性樹脂組成物から形成された層を露光した場合に、露光されていない部分(非露光部)が現像液により除去される組成物をいう。
ポジ型の硬化性樹脂組成物とは、硬化性樹脂組成物から形成された層を露光した場合に、露光された部分(露光部)が現像液により除去される組成物をいう。
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化膜の耐薬品性に優れる。
上記効果が得られるメカニズムは定かではないが、下記のように推測される。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記式(1-1)で表される繰返し単位を有する樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう。)を含む。
ここで、従来用いられてきたポリイミド樹脂とは異なり、特定樹脂は、Xにおける4つのカルボニル基との結合部位がいずれも芳香族炭化水素基であり、かつ、Yに重合性基を含む基Aを有する繰返し単位である、式(1-1)で表される繰返し単位を、樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む。そのため、例えば、従来使用される、式(1-1)におけるG又はGに相当する位置に重合性基を有するポリイミドを用いた場合と比較して、得られる硬化膜において重合性基の架橋により形成される架橋構造の密度(架橋密度)が増大する。上記架橋密度の増大により、本発明の硬化性樹脂組成物によれば、耐薬品性に優れた硬化膜が得られると推測される。
また、Xにおける4つのカルボニル基との結合部位がいずれも芳香族炭化水素基であることにより、カルボニル基の求電子性が向上する等の理由により、加熱時(特に、例えば180℃等の低温加熱時)における閉環率が向上し、破断伸び(膜強度)が向上すると考えられる。
硬化膜が耐薬品性に優れることにより、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜上に、溶剤を含む他の硬化性樹脂組成物を更に適用、硬化して積層体を作製する場合等に、硬化膜が現像液又は他の硬化性樹脂組成物に接したとしても、硬化膜の溶解が抑制されると考えられる。
本発明によれば、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)等の極性溶剤、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ水溶液、又は、上記極性溶剤と上記アルカリ水溶液との混合液に対する溶解性が抑制された、耐薬品性に優れた硬化膜が得られると考えられる。
また、ポリイミド前駆体は、例えば加熱等により、環化(イミド化)してポリイミド等の樹脂として用いられる。本発明において用いられる特定樹脂においては、式(1-1)におけるG又はGに相当する位置に導入される重合性基の量を減らすか、又は、G又はGに相当する位置に重合性基を導入しない態様とすることも可能である。そのため、特定樹脂は、従来使用されてきたポリイミド樹脂よりも環化しやすくなり、閉環率が向上すると推測される。また、低温の加熱でも環化しやすくなると推測される。
更に、例えば、上記G又はGに相当する位置に重合性基以外の基(例えば、ポリアルキレンオキシ基)を導入する設計とすることも可能となる。このような設計とすることで、上述の通り閉環率を向上させつつ、溶剤溶解性、又は、現像液への溶解性を増大させることも可能であると考えられる。
以上のように、本発明に用いられる特定樹脂においては、Yに重合性基を含む基であるAを導入することにより、G及びGにおける設計の自由度が広がるという利点も存在する。
ここで、特許文献1及び2には、式(1-1)で表される繰返し単位を、樹脂の全繰返し単位に対して50モル%以上含む樹脂については記載も示唆もない。また、特許文献1又は2における硬化性樹脂組成物においては、得られる硬化膜の耐薬品性が低いという問題点があった。
<特定樹脂>
本発明の硬化性樹脂組成物は、特定樹脂を含む。
特定樹脂は、式(1-1)で表される繰返し単位を、特定樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む。
特定樹脂は、式(1-1)で表される繰返し単位を側鎖に有してもよいが、式(1-1)で表される繰返し単位を主鎖に有することが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖をいい、「側鎖」とはそれ以外の結合鎖をいう。
〔式(1-1)で表される繰返し単位〕
-X
式(1-1)中、Xは芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基である。
式(1-1)中、Xにおける芳香族炭化水素基は、炭素数6~30の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6~20の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環から4つの水素原子を除いた基であることが更に好ましく、ベンゼン環から4つの水素原子を除いた基であることが特に好ましい。
上記芳香族炭化水素基は、本願発明の効果が得られる範囲内において、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリーロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
本発明において、単に「脂肪族炭化水素基」「飽和脂肪族炭化水素基」「アルキル基」、「アルキレン基」等と記載した場合、特段の記載がない限り、これらの基は分岐構造及び環状構造の少なくとも一方を有していてもよいものとする。例えば、「アルキル基」には特段の記載がない限り、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基及びこれらの組み合わせにより表されるアルキル基が含まれる。
下記式(1ー1’)において、式(1-1)中の4つのカルボニル基とXとの4つの結合を、それぞれ1a~4aとして示す。
Figure 0007254194000006
式(1ー1’)における、X、Y、A、G、G、及びnは、式(1-1)中のX、Y、A、G、G、及びnと同義である。
「Xにおける式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位がいずれも芳香族炭化水素基である」とは、1a~4aで示した結合が、いずれもXに含まれる芳香族炭化水素基と直接結合することを意味する。
以下、1aで示した結合を「結合1a」などともいう。
結合1a~結合4aは、それぞれ、Xに含まれる芳香族炭化水素基のうち、同一の芳香族炭化水素基と結合してもよいし、異なる芳香族炭化水素基と結合してもよい。
結合1aと結合2aとが同一の芳香族炭化水素基と結合し、かつ、結合3aと結合4aとが、同一の芳香族炭化水素基であって、結合1aと結合2aとが結合する芳香族炭化水素基とは別の芳香族炭化水素基と結合するか、又は、結合1a~結合4aの全ての結合が同一の芳香族炭化水素基に結合することが好ましい。
また、Xにおける結合1aと結合2aとの結合部位、及び、結合3aと結合4aとの結合部位は、それぞれ芳香族炭化水素基における隣接位に存在することが好ましい。
本明細書において、2つの結合部位が環構造における隣接位に存在するとは、ある結合部位が存在する上記環構造における環員と、別の結合部位が存在する上記環構造における環員とが、環構造において隣接する環員であることをいう。例えば、環構造がベンゼン環構造である場合、隣接位とはオルト位のことである。
式(1-1)中、Xは下記式(A-1)~式(A-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、下記式(A-1)~下記式(A-5)のいずれかで表される構造であることがより好ましい。
Figure 0007254194000007
式(A-1)~(A-5)中、RA11~RA14、RA21~RA24、RA31~RA38、RA41~RA48及びRA51~RA58はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、LA31及びLA41はそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2価の飽和炭化水素基、2価の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子、ヘテロ環基、又は、ハロゲン化アルキレン基を表し、RA11~RA14のうち2つ、RA21~RA24のうち2つ、RA31~RA38のうち2つ、RA41~RA48のうち2つ、及び、RA51~RA58のうち2つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であってもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式(A-1)中、RA11~RA14はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~12の環状アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1~3のハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表すことが好ましく、溶剤溶解性の観点からは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~3のハロゲン化アルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
上記RA11~RA14における上記ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、又は、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
また、式(A-1)における2つの*、及び、RA11~RA14のうち2つの計4つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることが好ましく、2つの*、RA12及びRA14が上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましい。また、式(A-1)において、上述の結合1aと結合2aとの結合部位、及び、結合3aと結合4aとの結合部位は、いずれもオルト位に位置することが好ましい。
式(A-2)中、RA21~RA24は式(A-1)におけるRA11~RA14とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
また、式(A-2)における2つの*、及び、RA21~RA24のうち2つの計4つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることが好ましく、2つの*、RA22及びRA24が上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましい。また、式(A-2)において、上述の結合1aと結合2aとの結合部位、及び、結合3aと結合4aとの結合部位は、いずれもオルト位に位置することが好ましい。
式(A-3)中、RA31~RA38はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~12の環状アルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1~3のハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表すことが好ましく、溶剤溶解性の観点からは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は、炭素数1~3のハロゲン化アルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
上記RA31~RA38における上記ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、又は、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
また、式(A-3)における2つの*、及び、RA31~RA38のうち2つの計4つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることが好ましく、2つの*、RA31~RA34のうち1つ、及び、RA35~RA38のうち1つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましく、2つの*、RA31及びRA38が上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましい。また、式(A-3)において、上述の結合1aと結合2aとの結合部位、及び、結合3aと結合4aとの結合部位は、いずれもオルト位に位置することが好ましい。
式(A-3)中、LA31は、単結合、炭素数1~6の2価の飽和炭化水素基、炭素数5~24の2価の不飽和炭化水素基、-O-、-S-、-NR-、ヘテロ環基、又は、炭素数1~6のハロゲン化アルキレン基を表すことが好ましく、単結合、炭素数1~6の飽和炭化水素基、-O-又はヘテロ環基を表すことが好ましく、単結合又は-O-を表すことが更に好ましい。
上記Rは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記2価の不飽和炭化水素基は、2価の脂肪族不飽和炭化水素基であってもよいし、2価の芳香族炭化水素基であってもよいが、2価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
上記ヘテロ環基としては、例えば、脂肪族又は芳香族ヘテロ環から2つの水素原子を除いた基が好ましく、脂肪族又は芳香族ヘテロ環から2つの水素原子を除いた基が好ましく、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピペリジン環、テトラヒドロピラン環、ピリジン環、モルホリン環等の環構造から2つの水素原子を除いた基がより好ましい。これらのヘテロ環は、更に他のヘテロ環又は炭化水素環と縮合環を形成していてもよい。
上記ヘテロ環の環員数は、5~10であることが好ましく、5又は6であることがより好ましい。
また、上記ヘテロ環基におけるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、又は、硫黄原子であることが好ましい。
上記ハロゲン化アルキレン基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
式(A-4)中、RA41~RA48、LA41は式(A-3)におけるRA31~RA38、LA31とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
また、式(A-4)における2つの*、及び、RA41~RA48のうち2つの計4つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることが好ましく、2つの*、RA41~RA44のうち1つ、及び、RA45~RA48のうち1つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましく、2つの*、RA41及びRA48が上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましい。また、式(A-4)において、上述の結合1aと結合2aとの結合部位、及び、結合3aと結合4aとの結合部位は、いずれもオルト位に位置することが好ましい。
式(A-5)中、RA51~RA58は式(A-1)におけるRA11~RA14とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
また、式(A-5)における2つの*、RA51~RA58のうち2つの計4つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることが好ましく、2つの*、RA51~RA54のうち1つ、及び、RA55~RA58のうち1つが上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることがより好ましく、2つの*、RA52及びRA56が上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であることが更に好ましい。また、式(A-5)において、上述の結合1aと結合2aとの結合部位、及び、結合3aと結合4aとの結合部位は、いずれもオルト位に位置することが好ましい。
これらの中でも、Xは下記式(X-1)又は下記式(X-2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007254194000008
式(X-1)中、RX11及びRX12はそれぞれ、式(A-1)におけるRA11及びRA13と同義であり、好ましい態様も同様である、
式(X-2)中、RX21~RX26、及び、LX21はそれぞれ、式(A-3)におけるRA32~RA37、及び、LA31と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(X-1)又は式(X-2)中、2つの*のうち、一方が上述の結合1aとの結合部位を、他方が上述の結合2aとの結合部位を、2つの#のうち、一方が上述の結合3aとの結合部位を、他方が上述の結合4aとの結合部位を、それぞれ示している。
式(1-1)におけるXが表す4価の基としては、具体的には、テトラカルボン酸二無水物から酸二無水物基を除去した後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。テトラカルボン酸二無水物は、下記式(7)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007254194000009
115は、4価の有機基を表す。R115は式(1-1)におけるXと同義である。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ジフェニルヘキサフルオロプロパン-3,3,4,4-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、並びに、これらの炭素数1~6のアルキル誘導体及び炭素数1~6のアルコキシ誘導体から選ばれる少なくとも1種が例示される。
また、下記に示すテトラカルボン酸二無水物(DAA-1)~(DAA-5)も好ましい例として挙げられる。
Figure 0007254194000010
-G、G
及びGはそれぞれ独立に、置換基であることが好ましい。
及びGにおける置換基としては、重合性基を含む基、又は、ヘテロ原子を含んでもよい有機基が挙げられ、耐薬品性、現像性及び特定樹脂の溶剤溶解性の観点から、ポリアルキレンオキシ基を含む基が好ましい。
<<重合性基を含む基>>
又はGにおける重合性基を含む基に含まれる重合性基としては、エチレン性不飽和基、環状エーテル基、メチロール基又はアルコキシメチル基を含む基が好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、マレイミド基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、メチロール基又はアルコキシメチル基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、エポキシ基、メチロール基又はアルコキシメチル基が更に好ましい。
上記重合性基を含む基に含まれる重合性基の数は、1個以上であり、1~15個であることが好ましく、1~10個であることがより好ましく、1~5個であることが更に好ましく、1又は2個であることが特に好ましく、1個であることが最も好ましい。
上記重合性基を含む基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、又は、下記式(III)で表される基であることも好ましい。
Figure 0007254194000011
式(III)中、R200は、水素原子、メチル基、エチル基又はメチロール基を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(III)中、R201は、炭素数2~12のアルキレン基、-CHCH(OH)CH-又は炭素数4~30の(ポリ)アルキレンオキシ基(アルキレン基としては炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい;繰り返し数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)を表す。なお、(ポリ)アルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基を意味する。
好適なR201の例は、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基等のアルキレン基、-CHCH(OH)CH-が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、-CHCH(OH)CH-がより好ましい。
特に好ましくは、R200がメチル基で、R201がエチレン基である。
式(III)中、*は他の構造との結合部位を表す。
<<ヘテロ原子を含んでもよい有機基>>
ヘテロ原子を含んでもよい有機基は、重合性基を有しない有機基であることが好ましい。
上記ヘテロ原子を含んでもよい有機基におけるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられ、酸素原子が好ましい。
また、上記ヘテロ原子は、エーテル結合(-O-)として含まれることが好ましい。
上記ヘテロ原子を含んでもよい有機基としては、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基であることが好ましく、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数2~20の有機基であることがより好ましい。
<<<ポリアルキレンオキシ基>>>
これらの中でも、上記ヘテロ原子を含んでもよい有機基は、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基であることが好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基が2以上直接結合した基をいう。ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
上記アルキレン基の炭素数(アルキレン基が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む)は、2以上であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~6であることがより好ましく、2~5であることが更に好ましく、2~4であることが一層好ましく、2又は3であることが特に好ましく、2であることが最も好ましい。
また、上記アルキレン基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、ポリアルキレンオキシ基に含まれるアルキレンオキシ基の数(ポリアルキレンオキシ基の繰り返し数)は、2~20が好ましく、2~10がより好ましく、2~5が更に好ましく、2~4が特に好ましく、2が最も好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、溶剤溶解性及び耐薬品性の両立の観点からは、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、ポリトリメチレンオキシ基、ポリテトラメチレンオキシ基、又は、複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基が好ましく、ポリエチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基がより好ましく、ポリエチレンオキシ基が更に好ましい。上記複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるエチレンオキシ基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
ポリアルキレンオキシ基を有する有機基は、下記式(PO-1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007254194000012
式(PO-1)中、RP1はそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、RP2は1価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、LP1は単結合又は2価の連結基を表し、*は式(1-1)中のG又はGが結合する酸素原子との結合部位を表す。
式(PO-1)中、RP1はそれぞれ独立に、炭素数2~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~4のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基(-CH-CH-)又はプロピレン基(-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH-)であることがより好ましく、エチレン基であることが更に好ましい。
式(PO-1)中、RP2は1価の有機基を表し、アルキル基、芳香族炭化水素基、アラルキル基、又は、重合性基を含む基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数2~4のアルキル基がより好ましく、エチル基が更に好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
上記アラルキル基としては、炭素数7~30のアラルキル基が好ましく、炭素数7~20のアラルキル基がより好ましく、ベンジル基がより好ましい。
上記重合性基を含む基に含まれる重合性基としては、エチレン性不飽和基、環状エーテル基メチロール基又はアルコキシメチル基を含む基が好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、マレイミド基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、メチロール基又はアルコキシメチル基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、エポキシ基、メチロール基又はアルコキシメチル基が更に好ましい。
上記重合性基を含む基としては、後述の式(P-1)で表される基が好ましく、後述の式(P-2)又は後述の式(P-3)で表される基であることがより好ましい。
式(PO-1)中、nは2~20の整数が好ましく、2~10の整数がより好ましく、2~5の整数が更に好ましく、2~4の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
式(PO-1)中、LP1は単結合又は2価の連結基を表し、単結合が好ましい。
上記2価の連結基としては、炭化水素基、エーテル結合、カルボニル基、チオエーテル結合、スルホニル基、-NR-、又は、これらが2以上結合した基が好ましく、炭化水素基、エーテル結合、カルボニル基、-NR-、又は、これらが2以上結合した基がより好ましく、炭化水素基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はこれらを2以上組み合わせた基が更に好ましい。
上記Rは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記LP1における炭化水素基としては、炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は、これらの組み合わせにより表される基が好ましく、炭素数1~10の飽和脂肪族炭化水素基、ベンゼン環から2以上の水素原子を除いた基、又は、これらの結合により表される基であることがより好ましい。
<<<ハロゲン原子により置換された炭化水素基>>>
また、溶剤溶解性及び閉環率の観点から、ヘテロ原子を含んでもよい有機基は、ハロゲン原子により置換された炭化水素基であってもよい。
ハロゲン原子により置換された炭化水素基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
上記炭化水素基としては、アルキル基、又は、芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1~30のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数2~4のアルキル基が更に好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~30の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6~20の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
すなわち、ハロゲン原子により置換された炭化水素基は、フッ素原子により少なくとも1つの水素原子が置換されたアルキル基であることが好ましい。
上記G又は上記Gとしてハロゲン原子により置換された炭化水素基を含むことにより、得られる硬化膜の膜強度が向上する。
<<他の置換基>>
上記G又は上記Gは、他の置換基であってもよい。
他の置換基としては、酸基を有する炭化水素基等が挙げられる。
酸基を有する炭化水素基としては、酸基を有するアルキル基、酸基を有する芳香族炭化水素基、又は、酸基を有するアラルキル基等が挙げられる。
上記酸基を有するアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1~30のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基がより好ましく、炭素数1~10のアルキル基が更に好ましい。
上記酸基を有するアルキル基における酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、カルボキシ基が好ましい
上記酸基を有する芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素基としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
上記酸基を有するアラルキル基としては、炭素数7~30のアラルキル基が好ましく、炭素数7~20のアラルキル基がより好ましく、ベンジル基がより好ましい。
上記酸基を有する芳香族炭化水素基、又は、上記酸基を有するアラルキル基における酸基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、フェノール性ヒドロキシ基、又は、カルボキシ基が好ましく、フェノール性ヒドロキシ基がより好ましい
これらの中でも、酸基を有する芳香族炭化水素基、又は、酸基を有するアラルキル基が好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族炭化水素基、又は、フェノール性ヒドロキシ基を有するアラルキル基がより好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を有するフェニル基、又は、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンジル基が更に好ましい。
閉環率および耐薬品性の観点からは、特定樹脂に含まれる全ての式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、エチレン性不飽和基を含む置換基である上記G又は上記Gのモル量の割合が、0~30%であることが好ましい。
閉環率の観点からは、上記割合は、0~10%であることが好ましく、0~5%であることがより好ましく、0~3%であることが更に好ましい。
耐薬品性の観点からは、上記割合は、10~30%であることが好ましく、15~30%であることがより好ましい
閉環率、耐薬品性および特定樹脂の溶剤溶解性の観点からは、上記樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合が、20~100%であることが好ましい。
閉環率の観点からは、上記割合の下限は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
耐薬品性の観点からは、上記割合の上限は、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましく、80%以下であることが特に好ましく、70%以下であることが最も好ましい。
閉環率、耐薬品性および特定樹脂の溶剤溶解性の観点からは、上記樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合が、20~100%であることが好ましい。
上記割合の記載における、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基は、ポリアルキレンオキシ基を含む有機基であれば、重合性基を更に含む有機基であってもよいが、ポリアルキレンオキシ基を含み、かつ、重合性基を有しない有機基であることが好ましい。
閉環率の観点からは、上記割合の下限は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
耐薬品性の観点からは、上記割合の上限は、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましく、80%以下であることが特に好ましく、70%以下であることが最も好ましい。
-Y
式(1-1)中、Yは芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表す。
における芳香族炭化水素基は、炭素数6~30の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6~20の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、ベンゼン環から2以上の水素原子を除いた基であることが更に好ましく、ベンゼン環から3以上の水素原子を除いた基であることが特に好ましい。
式(1-1)中、Yにおける、式(1-1)に記載の2つの窒素原子との結合部位は、いずれも芳香族炭化水素基であることが好ましい。すなわち、式(1-1)に記載の2つの窒素原子は、Yに含まれる芳香族炭化水素環構造と、直接結合することが好ましい。
また、式(1-1)中、Yにおける、Aとの結合部位は、いずれも芳香族炭化水素基であることが好ましい。すなわち、Aは、Yに含まれる芳香族炭化水素環構造と、直接結合することが好ましい。
は、下記式(A2-1)~式(A2-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、上述の式(A2-1)~式(A2-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造であることがより好ましい。
Figure 0007254194000013
式(A2-1)~(A2-5)中、RA211~RA214、RA221~RA224、RA231~RA238、RA241~RA248及びRA251~RA258はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、LA231及びLA241はそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2価の飽和炭化水素基、2価の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子、ヘテロ環基、又は、ハロゲン化アルキレン基を表し、RA211~RA214のうち少なくとも1つ、RA221~RA224のうち少なくとも1つ、RA231~RA238のうち少なくとも1つ、RA241~RA248のうち少なくとも1つ、及び、RA251~RA258のうち少なくとも1つが上記式(1-1)中のAとの結合部位であってもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
これらの中でも、溶剤溶解性の観点から、Yは式(A2-1)~式(A2-4)のいずれかで表される構造を含むことが好ましく、式(A2-2)又は式(A2-4)のいずれかで表される構造を含むことがより好ましい。
式(A2-1)~(A2-5)中、RA211~RA214、RA221~RA224、RA231~RA238、RA241~RA248及びRA251~RA258は、上記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位を含まず、RA211~RA214のうち少なくとも1つ、RA221~RA224のうち少なくとも1つ、RA231~RA238のうち少なくとも1つ、RA241~RA248のうち少なくとも1つ、及び、RA251~RA258のうち少なくとも1つが上記式(1-1)中のAとの結合部位であってもよい、という点以外は、それぞれ、上述の式(A-1)~(A-5)中の、RA11~RA14、RA21~RA24、RA31~RA38、RA41~RA48及びRA51~RA58と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A2-1)中、RA211~RA214のうち少なくとも1つが、式(1-1)中のAとの結合部位であることが好ましく、RA211~RA214のうち1つが上記Aとの結合部位であることがより好ましく、RA213が上記Aとの結合部位であることが好ましい。
式(A2-2)中、RA221~RA224のうち少なくとも1つが、式(1-1)中のAとの結合部位であることが好ましく、RA221~RA224のうち1つが上記Aとの結合部位であることがより好ましく、RA223が上記Aとの結合部位であることが好ましい。
式(A2-3)中、RA231~RA238のうち少なくとも1つが、式(1-1)中のAとの結合部位であることが好ましく、RA231~RA238のうち2つが、上記Aとの結合部位であることがより好ましく、RA231~RA234のうち1つと、RA235~RA238のうち1つの計2つが上記Aとの結合部位であることが更に好ましく、RA231及びRA238の2つが、上記Aとの結合部位であることが特に好ましい。
式(A2-4)中、RA241~RA248のうち少なくとも1つが、式(1-1)中のAとの結合部位であることが好ましく、RA241~RA248のうち2つが、上記Aとの結合部位であることがより好ましく、RA241~RA244のうち1つと、RA245~RA248のうち1つの計2つが上記Aとの結合部位であることが更に好ましく、RA241及びRA248の2つが、上記Aとの結合部位であることが特に好ましい。
式(A2-5)中、RA251~RA258のうち少なくとも1つが、式(1-1)中のAとの結合部位であることが好ましく、RA251~RA258のうち2つが、上記Aとの結合部位であることがより好ましく、RA251~RA254のうち1つと、RA255~RA258のうち1つの計2つが上記Aとの結合部位であることが更に好ましく、RA253及びRA257の2つが、上記Aとの結合部位であることが特に好ましい。
式(A2-1)~式(A2-5)中、2つの*はそれぞれ、式(1-1)中のYが結合する窒素原子との結合部位であることが好ましい。すなわち、式(1-1)中のYが結合する2つの窒素原子は、式(A2-1)~式(A2-5)中の2つの*で表される位置と直接結合することが好ましい。
これらの中でも、Yは、下記式(Y-1)又は(Y-2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007254194000014
式(Y-1)中、RY11、RY12、RY13はそれぞれ、式(A2-1)におけるRA211、RA212及びRA214と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(Y-2)中、RY21~RY26はそれぞれ、式(A2-4)におけるRA242~RA247と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(Y-1)又は式(Y-2)中、*はそれぞれ、式(1-1)中のYが結合する窒素原子との結合部位を、#はそれぞれ、式(1-1)中のAとの結合部位を、それぞれ示している。
特定樹脂は、式(1-1)中の上記Xが、式(A-1)~式(A-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含み、かつ、上記Yが式(A2-1)~式(A2-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含むことが好ましい。
また、特定樹脂は、式(1-1)中の上記Xが、式(A-1)~式(A-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造であり、かつ、上記Yが式(A2-1)~式(A2-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造であることがより好ましい。
これらの各式で表される構造の好ましい態様は上述の通りである。
-A
式(1-1)中、Aは重合性基を含む基を表す。
重合性基としては、エチレン性不飽和基、環状エーテル基、メチロール基又はアルコキシメチル基を含む基が好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、マレイミド基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、メチロール基又はアルコキシメチル基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、エポキシ基、メチロール基又はアルコキシメチル基が更に好ましい。
に含まれる重合性基の数は、1個以上であり、1~15個であることが好ましく、1~10個であることがより好ましく、1~5個であることが更に好ましく、1又は2個であることが特に好ましく、1個であることが最も好ましい。
また、Aは下記式(P-1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007254194000015
式(P-1)中、Lは単結合又はm+1価の連結基を表し、Aは重合性基を表し、mは1以上の整数を表し、*はYとの結合部位を表す。
式(P-1)中、Lは単結合、又は、炭化水素基、エーテル結合、カルボニル基、チオエーテル結合、スルホニル基、-NR-、若しくは、これらが2以上結合した基が好ましく、単結合、又は、炭化水素基、エーテル結合、カルボニル基、-NR-、若しくは、これらが2以上結合した基がより好ましい。
上記Rは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記Lにおける炭化水素基としては、炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は、これらの組み合わせにより表される基が好ましく、炭素数1~10の飽和脂肪族炭化水素基、ベンゼン環から2以上の水素原子を除いた基、又は、これらの結合により表される基であることがより好ましい。
式(P-1)中、Aはビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、マレイミド基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、メチロール基又はアルコキシメチル基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、エポキシ基、メチロール基又はアルコキシメチル基がより好ましい。
式(P-1)中、mは1~15の整数であることが好ましく、1~10の整数であることがより好ましく、1~5の整数であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましく、1であることが最も好ましい。
また、Aは下記式(P-2)又は式(P-3)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007254194000016
式(P-2)中、Aは重合性基を表し、*はYとの結合部位を表す。
式(P-2)中、Aは式(P-1)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(P-3)中、Aは重合性基を表し、Lは炭化水素基、又は、炭化水素基と、エーテル結合、カルボニル基、チオエーテル結合、スルホニル基、-NR-、若しくは、これらが2以上結合した基を表し、Zはエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、又は、カーボネート結合を表し、*はYとの結合部位を表す。Rは上述の通りである。
式(P-3)中、Aは式(P-1)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(P-3)中、Lは炭化水素基、(ポリ)アルキレンオキシ基、又は、これらの組み合わせにより表される基が好ましい。上記炭化水素基としては、アルキレン基、2価の芳香族炭化水素基、又はこれらの組み合わせにより表される基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
本明細書において、(ポリ)アルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基を意味する。また、本発明において、ポリアルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基が2以上直接結合した基をいう。ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
上記アルキレン基としては、炭素数1~30のアルキレン基が好ましく、炭素数1~20のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~10のアルキレン基が更に好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~30の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6~20の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニレン基又はナフチレン基が更に好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
上記(ポリ)アルキレンオキシ基におけるアルキレン基としては、炭素数2~10のアルキレン基が好ましく、炭素数2~4のアルキレン基がより好ましく、エチレン基又はプロピレン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
また、ポリアルキレンオキシ基に含まれるアルキレンオキシ基の数(ポリアルキレンオキシ基の繰り返し数)は、2~20が好ましく、2~10がより好ましく、2~5が更に好ましく、2~4が特に好ましい。
式(P-3)中、Zはエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、又は、カーボネート結合を表し、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又は、アミド結合がより好ましい。
本発明において、単に「エステル結合」、「ウレタン結合」、「アミド結合」等と記載した場合、これらの結合の向きは限定されないものとする。例えば、上記Zがエステル結合である場合、ZにおけるLとの結合部位は、エステル結合における炭素原子であってもよいし、酸素原子であってもよい。
-n-
式(1-1)中、nは1以上の整数を表し、1~20の整数であることが好ましく、1~10の整数であることがより好ましく、1~4の整数であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましく、1であることが最も好ましい。
また、nが2以上の整数である場合、n個のAはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(1-1)におけるY、A及びnにより表される構造は、ジアミンに由来する構造であることが好ましい。
このようなジアミンとしては、下記式(DA-1)で表されるジアミンが好ましく、具体的には、後述する実施例で合成されたジアミン(AA-1)~ジアミン(AA-8)等が挙げられる。
Figure 0007254194000017
式(DA-1)中、Y、A、nはそれぞれ、式(1-1)中のY、A、nと同義であり、好ましい態様も同様である。
-式(1-1)で表される繰返し単位の含有量-
特定樹脂における式(1-1)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全繰返し単位に対して50モル%以上であり、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、80モル%以上であることが特に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100モル%以下であればよい。
また、特定樹脂における式(1-1)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の質量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
特定樹脂は、式(1-1)で表される繰返し単位を1種単独で含んでもよいし、構造の異なる式(1-1)で表される繰返し単位を2種以上含んでもよい。特定樹脂が、構造の異なる式(1-1)で表される繰返し単位を2種以上含む場合、特定樹脂に含まれる全ての式(1-1)で表される繰返し単位の合計含有量が、上記含有量の範囲に含まれることが好ましい。
〔他の繰返し単位〕
-式(1)で表される繰返し単位-
特定樹脂は、他の繰返し単位を更に含んでもよい。
他の繰返し単位としては、下記式(1)で表される繰返し単位が挙げられる。
上述の式(1-1)で表される繰返し単位に該当する繰返し単位は、下記式(1)で表される繰返し単位には該当しないものとする。
特定樹脂が下記式(1)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は下記式(1)で表される繰返し単位を主鎖に含むことが好ましい。
Figure 0007254194000018
式(1)中、AA1及びAA2は、それぞれ独立に酸素原子又はNHを表し、R111は、2価の有機基を表し、R115は、4価の有機基を表し、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
式(1)中、AA1及びAA2はそれぞれ独立に、酸素原子又は-NH-を表し、酸素原子であることが好ましい。
式(1)中、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R113及びR114の少なくとも一方が重合性基を含むことが好ましく、両方が重合性基を含むことがより好ましい。
113又はR114における重合性基としては、上述の式(1-1)中のAにおける重合性基と同様の基が挙げられる。
また、R113及びR114における1価の有機基としては、上述の式(1-1)中のG及びGにおいて重合性基を含む基、ヘテロ原子を含んでもよい有機基、又は、他の置換基も好ましく挙げられる。
式(1)中、R115としては、式(1-1)におけるXと同様の構造が好ましい。R115の好ましい態様は、上記Xの好ましい態様と同様である。
また、R115においては、式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位が脂肪族炭化水素環構造であってもよい。
115が脂肪族炭化水素環構造である場合、R115としては、例えば、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロオクテン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3イル)-3-メチルシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(DOCDA)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-テトラリン-1,2-ジカルボン酸無水物等に由来する構造が挙げられる。
式(1)中、R111は重合性基を含まない構造であることが好ましい。
また、R111は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は、これらの基の少なくとも1つとエーテル結合、カルボニル基、チオエーテル結合、スルホニル基、及び-NR-の少なくとも1つとが結合した基であることが好ましい。Rは上述の通りである。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数2~30の脂肪族飽和炭化水素基が好ましく、炭素数2~10の脂肪族飽和炭化水素基がより好ましい。
また、上記脂肪族炭化水素基としては、環員数が6~20の飽和脂肪族炭化水素環基が好ましい。
上記芳香族炭化素基としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6~12の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数6の芳香族炭化水素基がより好ましい。
これらの中でも、溶剤溶解性の観点からは、R111は脂肪族炭化水素環基又は芳香族炭化水素環基を含む基であることが好ましく、芳香族炭化水素環基を含む基であることがより好ましい。
また、式(1)におけるR111は、得られる硬化膜の柔軟性の観点から、-Ar-L-Ar-で表されることが好ましい。Arは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が特に好ましい)であり、フェニレン基が好ましい。Lは、上述の式(A-3)におけるLA31と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1)におけるR111は、i線透過率の観点から下記式(51)又は式(61)で表される2価の有機基であることが好ましい。特に、i線透過率、入手のし易さの観点から式(61)で表される2価の有機基であることがより好ましい。
Figure 0007254194000019
式(51)中、R50~R57はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は1価の有機基であり、R50~R57の少なくとも1つはフッ素原子、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、又は、トリフルオロメチル基であり、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
50~R57の1価の有機基としては、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)の無置換のアルキル基、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)のフッ化アルキル基等が挙げられる。
Figure 0007254194000020
式(61)中、R58及びR59は、それぞれ独立にフッ素原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、又は、トリフルオロメチル基である。*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式(1)におけるR111は、ジアミンに由来する構造であることが好ましい。
上記ジアミンとしては、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン;1,2-又は1,3-ジアミノシクロペンタン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス-(3-アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルシクロヘキシルメタン又はイソホロンジアミン;メタ又はパラフェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4,4’-又は3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-又は3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-又は3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-又は3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-又は3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、ビス(4-アミノ-3-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジアミノパラテルフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)-10-ヒドロアントラセン、3,3’,4,4’-テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテル、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、3,3-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジメチル-3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2-(3’,5’-ジアミノベンゾイルオキシ)エチルメタクリレート、2,4-又は2,5-ジアミノクメン、2,5-ジメチル-パラフェニレンジアミン、アセトグアナミン、2,3,5,6-テトラメチル-パラフェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-メタフェニレンジアミン、4,6-ジヒドロキシ-1,3-フェニレンジアミン、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,7-ジアミノフルオレン、2,5-ジアミノピリジン、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノ安息香酸、ジアミノ安息香酸のエステル、1,5-ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5-ビス(4-アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7-ビス(4-アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、パラビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’-ビス(3-アミノ-5-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2’,5,5’,6,6’-ヘキサフルオロトリジン及び4,4’-ジアミノクアテルフェニルから選ばれる少なくとも1種のジアミンが挙げられる。
また、下記に示すジアミン(DA-1)~(DA-18)も好ましい。
Figure 0007254194000021
Figure 0007254194000022
また、少なくとも2つのアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミンも好ましい例として挙げられる。好ましくは、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか一方又は両方を一分子中にあわせて2つ以上含むジアミン、より好ましくは上記ジアミンであって、芳香環を含まないジアミンである。具体例としては、ジェファーミン(登録商標)KH-511、ジェファーミン(登録商標)ED-600、ジェファーミン(登録商標)ED-900、ジェファーミン(登録商標)ED-2003、ジェファーミン(登録商標)EDR-148、ジェファーミン(登録商標)EDR-176、D-200、D-400、D-2000、D-4000(以上商品名、HUNTSMAN社製)、1-(2-(2-(2-アミノプロポキシ)エトキシ)プロポキシ)プロパン-2-アミン、1-(1-(1-(2-アミノプロポキシ)プロパン-2-イル)オキシ)プロパン-2-アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジェファーミン(登録商標)KH-511、ジェファーミン(登録商標)ED-600、ジェファーミン(登録商標)ED-900、ジェファーミン(登録商標)ED-2003、ジェファーミン(登録商標)EDR-148、ジェファーミン(登録商標)EDR-176の構造を以下に示す。
Figure 0007254194000023
上記において、x、y、zは算術平均値である。
また、上述の式(51)又は(61)の構造を与えるジアミンとしては、ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(フルオロ)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。これらの1種を用いるか、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他に以下のジアミンも好適に使用できる。
Figure 0007254194000024
また、基材との密着性を向上させる目的で、ジアミン成分として、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(パラアミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサン等のシロキサン構造を有するジアミンを用いてもよい。
<<含有量>>
特定樹脂における式(1)で表される繰返し単位の合計含有量は、特に限定されないが、特定樹脂の全質量に対して30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。上記合計含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
また、得られる硬化膜の耐薬品性の観点から、特定樹脂の一態様として、式(1)で表される繰返し単位を実質的に含有しない態様とすることも好ましい。
この場合、特定樹脂の全質量に対して、式(1)で表される繰返し単位の合計含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
特定樹脂は、式(1)で表される繰返し単位を1種単独で含んでもよいし、構造の異なる式(1)で表される繰返し単位を2種以上含んでもよい。特定樹脂が、構造の異なる式(1)で表される繰返し単位を2種以上含む場合、特定樹脂に含まれる全ての式(1)で表される繰返し単位の合計含有量が、上記含有量の範囲に含まれることが好ましい。
-末端構造-
特定樹脂の末端の構造は特に限定されないが、組成物の保存安定性を向上させるため、末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止してもよい。これらの末端封止剤のうち、モノアルコール、フェノール、チオール、チオフェノール、モノアミンを用いることが好ましい。
モノアルコールの好ましい化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデシノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、2-メトキシエタノール、2-クロロメタノール、フルフリルアルコール等の1級アルコール、イソプロパノール、2-ブタノール、シクロヘキシルアルコール、シクロペンタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等の2級アルコール、t-ブチルアルコール、アダマンタンアルコール等の3級アルコール、などが挙げられる。フェノール類の好ましい化合物としては、フェノール、メトキシフェノール、メチルフェノール、ナフタレン-1-オール、ナフタレン-2-オールなどが挙げられる。
モノアミンとしては、アニリン、2-エチニルアニリン、3-エチニルアニリン、4-エチニルアニリン、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノール、4-アミノスチレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
また、樹脂末端のアミノ基を封止する際、アミノ基と反応可能な官能基を有する化合物で封止することが可能である。アミノ基に対する好ましい封止剤は、カルボン酸無水物、カルボン酸クロリド、カルボン酸ブロミド、スルホン酸クロリド、無水スルホン酸、スルホン酸カルボン酸無水物などが好ましく、カルボン酸無水物、カルボン酸クロリドがより好ましい。カルボン酸無水物の好ましい化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸などが挙げられる。また、カルボン酸クロリドの好ましい化合物としては、塩化アセチル、アクリル酸クロリド、プロピオニルクロリド、メタクリル酸クロリド、ピバロイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、2-エチルヘキサノイルクロリド、シンナモイルクロリド、1-アダマンタンカルボニルクロリド、ヘプタフルオロブチリルクロリド、ステアリン酸クロリド、ベンゾイルクロリド、などが挙げられる。
〔含有量〕
本発明の硬化性樹脂組成物における特定樹脂の含有量は、得られる硬化膜の破断伸びを向上させる観点からは、硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。
上記含有量の上限としては、硬化性樹脂組成物の解像性を向上させる観点からは、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましく、97質量%以下であることが一層好ましく、95質量%以下であることがより一層好ましい。
〔特定樹脂の物性〕
-分子量-
特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000~500,000であることが好ましく、5,000~200,000であることがより好ましく、10,000~100,000であることが更に好ましい。
特定樹脂の数平均分子量(Mn)は、800~250,000であることが好ましく、2,000~100,000であることがより好ましく、4,000~50,000であることが更に好ましい。
特定樹脂の分子量の分散度は、1.5~3.5が好ましく、2~3がより好ましい。
本明細書において、分子量の分散度とは、重量平均分子量を数平均分子量により除した値(重量平均分子量/数平均分子量)をいう。
上記特定樹脂の分子量の分散度は、現像性の観点では、1.8以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.2以上であることが更に好ましい。ポリイミド前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、7.0以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましい。
-酸価-
特定樹脂の酸価は、0~2.0mmol/gであることが好ましく、0~1.5mmol/gであることがより好ましく、0~1.0mmol/gとすることが更に好ましい。
硬化性樹脂組成物を、後述するアルカリ現像に用いる場合、特定樹脂の酸価は、1.2~7mmol/gであることが好ましく、1.5~6mmol/gであることがより好ましく、2~5mmol/gであることが更に好ましい。
本発明において、酸価とは、特定樹脂1gに含まれる酸基の量(mmol)をいう。
酸基とは、pH12以上のアルカリ(例えば水酸化ナトリウム)により中和される基をいう。また、上記酸基は、pKaが10以下である基であることが好ましい。
上記酸価は、公知の方法により測定され、例えば、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される。
上記酸基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
-重合性基価-
1gの特定樹脂に含まれる重合性基のモル量(重合性基価、単位はmmol/g)は、0.05~10mmol/gであることが好ましく、0.1~5mmol/gであることがより好ましい。
重合性基は、例えば、式(1-1)で表される繰返し単位におけるA、G、G等に含まれる。
特定樹脂が重合性基としてエチレン性不飽和結合を含む場合、1gの特定樹脂に含まれるエチレン性不飽和結合のモル量は、0.05~10mmol/gであることが好ましく、0.1~5mmol/gであることがより好ましい。
特定樹脂が重合性基として環状エーテル基、メチロール基、アルコキシメチル基等の重合性基を含む場合、1gの特定樹脂に含まれる上記重合性基のモル量は、0.05~10mmol/gであることが好ましく、0.1~5mmol/gであることがより好ましい。
〔具体例〕
特定樹脂の具体例としては、後述の実施例において使用された特定樹脂が挙げられる。
〔製造方法〕
特定樹脂は、例えば、後述の実施例における合成例に示した合成方法により合成される。
また、特定樹脂の製造方法は、ジアミンと、4つのカルボキシ基がいずれも芳香族炭化水素基に結合した構造を有する4価カルボン酸化合物、又は、上記4価カルボン酸化合物の誘導体と、を反応させる工程(前駆体製造工程)を含むことが好ましい。
-前駆体製造工程-
上記前駆体製造工程において用いられるジアミンとしては、上述の式(DA-1)で表されるジアミンが挙げられる。
また、式(1)の説明において記載したジアミンを更に用いることにより、式(1)で表される繰返し単位を特定樹脂に導入することもできる。
上記前駆体製造工程において用いられる4価カルボン酸化合物としては、カルボン酸二無水物であってもよいし、4つのカルボキシ基のうち2つに対してエステル化、ハロゲン化等の変性が行われた構造の化合物であってもよい。好ましくは、4つのカルボキシ基のうち2つがエステル化された化合物が挙げられる。
上記エステル化により、上述の式(1-1)におけるG及びGが導入されていることが好ましい。
また、上記4つのカルボキシ基のうち2つがエステル化された化合物をハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させることが好ましい。
その他、前駆体製造工程における反応条件は、公知のエステル化の条件を参考に適宜決定することができる。
また、前駆体製造工程においては、反応に際し、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
有機溶剤としては、原料に応じて適宜定めることができるが、ピリジン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、N-メチル-2-ピロリドン及びN-エチル-2-ピロリドンが例示される。
前駆体製造工程においては、固体を析出する工程を含んでいることが好ましい。具体的には、反応液中の特定樹脂を、水中に沈殿させ、テトラヒドロフラン等のポリイミド前駆体が可溶な溶剤に溶解させることによって、固体析出することができる。
-ジアミン製造工程-
特定樹脂の製造方法は、2つのニトロ基、少なくとも1つの反応性基、及び、芳香族炭化水素基を有する化合物Aと、上記反応性基と結合を形成可能である基、及び、重合性基を有する化合物Bとを反応させ、化合物Aと化合物Bが結合した化合物Cを得た後に、上記化合物Cにおけるニトロ基を還元して、芳香族炭化水素基を有するジアミンを得る工程(ジアミン製造工程)を含んでもよい。
ジアミン製造工程において得られたジアミンが、前駆体製造工程におけるジアミンとして用いられる。
化合物Aにおける反応性基としては、特に限定されないが、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。
化合物Aは、2つのニトロ基と、少なくとも1つの反応性基とが、上記芳香族炭化水素基に直接結合した構造であることが好ましい。
化合物Bにおける反応性基と結合を形成可能である基としては、特に限定されないが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸ハライド基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
化合物Bにおける重合性基としては、上述の式(1-1)におけるAに含まれる基として例示された基が挙げられる。
化合物Cは化合物Aと化合物Bとの反応により得られる基であり、2つのニトロ基と、少なくとも1つの重合性基を含む基とを有する化合物である。
化合物Cにおけるニトロ基を還元することにより、ジアミン化合物が得られる。
還元方法としては、ベシャン還元、パラジウム、プラチナ、ニッケル等の金属触媒と水素ガス、ギ酸アンモニウム等の水素源を用いた水素添加反応、金属ヒドリドを還元剤とした還元方法など、公知の方法を用いることができる。
例えば、後述する実施例におけるジニトロ体(A-1)の合成は、化合物Aである3,5-ジニトロベンゾイルクロリドと、化合物Bであるメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとを反応させて化合物Cであるジニトロ体(A-1)を得る反応である。
また、後述する実施例におけるジアミン(AA-1)の合成は、化合物Cであるジニトロ体(A-1)における2つのニトロ基を還元してジアミン(AA-1)を得る反応である。
<感光剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、感光剤を含む。
感光剤としては、光重合開始剤が好ましい。
〔光重合開始剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、感光剤として、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
光ラジカル重合開始剤は、約300~800nm(好ましくは330~500nm)の範囲内で少なくとも約50L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶剤を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182、国際公開第2015/199219号の段落0138~0151の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ケトン化合物としては、例えば、特開2015-087611号公報の段落0087に記載の化合物が例示され、この内容は本明細書に組み込まれる。市販品では、カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製)も好適に用いられる。
本発明の一実施態様において、光ラジカル重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10-291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤を用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE 184(IRGACUREは登録商標)、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IRGACURE-2959、IRGACURE 127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の波長光源に吸収極大波長がマッチングされた特開2009-191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE-819やIRGACURE-TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
メタロセン化合物としては、IRGACURE-784(BASF社製)などが例示される。
光ラジカル重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物を用いることにより、露光ラチチュードをより効果的に向上させることが可能になる。オキシム化合物は、露光ラチチュード(露光マージン)が広く、かつ、光硬化促進剤としても働くため、特に好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物を用いることができる。
好ましいオキシム化合物としては、例えば、下記の構造の化合物や、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物においては、特に光ラジカル重合開始剤としてオキシム化合物(オキシム系の光重合開始剤)を用いることが好ましい。オキシム系の光重合開始剤は、分子内に >C=N-O-C(=O)- の連結基を有する。
Figure 0007254194000025
市販品ではIRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02、IRGACURE OXE 03、IRGACURE OXE 04(以上、BASF社製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光ラジカル重合開始剤2)も好適に用いられる。また、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831及びアデカアークルズNCI-930((株)ADEKA製)も用いることができる。また、DFI-091(ダイトーケミックス(株)製)を用いることができる。
また、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることも可能である。そのようなオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載されている化合物、特表2014-500852号公報の段落0345に記載されている化合物24、36~40、特開2013-164471号公報の段落0101に記載されている化合物(C-3)などが挙げられる。
最も好ましいオキシム化合物としては、特開2007-269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009-191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3-アリール置換クマリン化合物よりなる群から選択される化合物が好ましい。
更に好ましい光ラジカル重合開始剤は、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が一層好ましく、メタロセン化合物又はオキシム化合物を用いるのがより一層好ましく、オキシム化合物が更に一層好ましい。
また、光ラジカル重合開始剤は、ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’-テトラアルキル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等の芳香環と縮環したキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体などを用いることもできる。また、下記式(I)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 0007254194000026
式(I)中、RI00は、炭素数1~20のアルキル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2~20のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、フェニル基、又は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、ハロゲン原子、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素数2~12のアルケニル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2~18のアルキル基及び炭素数1~4のアルキル基の少なくとも1つで置換されたフェニル基若しくはビフェニル基であり、RI01は、式(II)で表される基であるか、RI00と同じ基であり、RI02~RI04は各々独立に炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基又はハロゲン原子である。
Figure 0007254194000027
式中、RI05~RI07は、上記式(I)のRI02~RI04と同じである。
また、光ラジカル重合開始剤は、国際公開第2015/125469号の段落0048~0055に記載の化合物を用いることもできる。
光重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは0.5~15質量%であり、一層好ましくは1.0~10質量%である。光重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
〔光酸発生剤〕
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、感光剤として、光酸発生剤を含むことも好ましい。
光酸発生剤を含有することで、例えば、硬化性樹脂組成物層の露光部に酸が発生して、上記露光部の現像液(例えば、アルカリ水溶液)に対する溶解性が増大し、露光部が現像液により除去されるポジ型のレリーフパターンを得ることができる。
また、硬化性樹脂組成物が、光酸発生剤と、後述するラジカル重合性化合物以外の重合性化合物とを含有することにより、例えば、露光部に発生した酸により上記重合性化合物の架橋反応が促進され、露光部が非露光部よりも現像液により除去されにくくなる態様とすることもできる。このような態様によれば、ネガ型のレリーフパターンを得ることができる。
光酸発生剤としては、露光により酸を発生するものであれば特に限定されるものではないが、キノンジアジド化合物、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o-ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合及びスルホンアミド結合の少なくとも一方により結合したものなどが挙げられる。本発明においては、例えば、これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。
本発明において、キノンジアジドは5-ナフトキノンジアジドスルホニル基、4-ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光する波長によって4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4-ナフトキノンジアジドスルホニル基、5-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよいし、4-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5-ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよい。
上記ナフトキノンジアジド化合物は、フェノール性ヒドロキシ基を有する化合物と、キノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって合成可能であり、公知の方法により合成することができる。これらのナフトキノンジアジド化合物を使用することで解像度、感度、残膜率がより向上する。
上記ナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸又は1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸、これらの化合物の塩又はエステル化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物、又は、スルホネート化合物としては、特開2008-013646号公報の段落0064~0122に記載の化合物等が挙げられる。
その他、光酸発生剤としては市販品を使用してもよい。市販品としては、WPAG-145、WPAG-149、WPAG-170、WPAG-199、WPAG-336、WPAG-367、WPAG-370、WPAG-469、WPAG-638、WPAG-699(いずれも富士フイルム和光純薬(株)製)等が挙げられる。
光酸発生剤を含む場合、その含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~20質量%であることがより好ましく、2~15質量%であることが更に好ましい。光酸発生剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光酸発生剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<重合性化合物>
〔ラジカル重合性化合物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物を用いることができる。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。ラジカル重合性基は、(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性の観点からは、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基の数は、1個でもよく、2個以上でもよいが、ラジカル重合性化合物はラジカル重合性基を2個以上有することが好ましく、3個以上有することがより好ましい。上限は、15個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、8個以下が更に好ましい。
ラジカル重合性化合物の分子量は、2,000以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、900以下が更に好ましい。ラジカル重合性化合物の分子量の下限は、100以上が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、現像性の観点から、ラジカル重合性基を2個以上含む2官能以上のラジカル重合性化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、3官能以上のラジカル重合性化合物を少なくとも1種含むことがより好ましい。また、2官能のラジカル重合性化合物と3官能以上のラジカル重合性化合物との混合物であってもよい。例えば2官能以上の重合性モノマーの官能基数とは、1分子中におけるラジカル重合性基の数が2個以上であることを意味する。
一方、現像性の観点からは、硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性基を2個有する化合物であることが特に好ましい。
ラジカル重合性化合物の具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシ基やアミノ基、スルファニル基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲノ基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0113~0122の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、ラジカル重合性化合物は、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後、(メタ)アクリレート化した化合物、特公昭48-041708号公報、特公昭50-006034号公報、特開昭51-037193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48-064183号、特公昭49-043191号、特公昭52-030490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。また、特開2008-292970号公報の段落0254~0257に記載の化合物も好適である。また、多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、上述以外の好ましいラジカル重合性化合物として、特開2010-160418号公報、特開2010-129825号公報、特許第4364216号公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物や、カルド樹脂も使用することが可能である。
更に、その他の例としては、特公昭46-043946号公報、特公平01-040337号公報、特公平01-040336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平02-025493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、特開昭61-022048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含む化合物を用いることもできる。更に日本接着協会誌 vol.20、No.7、300~308ページ(1984年)に光重合性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
上記のほか、特開2015-034964号公報の段落0048~0051に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0087~0131に記載の化合物も好ましく用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開平10-062986号公報において式(1)及び式(2)としてその具体例と共に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、ラジカル重合性化合物として用いることができる。
更に、特開2015-187211号公報の段落0104~0131に記載の化合物も他のラジカル重合性化合物として用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ラジカル重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D-320;日本化薬(株)製、A-TMMT:新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A-DPH;新中村化学工業社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール残基又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
ラジカル重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR-494、エチレンオキシ鎖を4個有する2官能メタクリレートであるサートマー社製のSR-209、231、239、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA-60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA-330、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(日本製紙社製)、NKエステルM-40G、NKエステル4G、NKエステルM-9300、NKエステルA-9300、UA-7200(新中村化学工業社製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社化学社製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)などが挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、ラジカル重合性化合物として、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する化合物を用いることもできる。
ラジカル重合性化合物は、カルボキシ基、リン酸基等の酸基を有するラジカル重合性化合物であってもよい。酸基を有するラジカル重合性化合物は、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル重合性化合物がより好ましい。特に好ましくは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル重合性化合物において、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである化合物である。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M-510、M-520などが挙げられる。
酸基を有するラジカル重合性化合物の好ましい酸価は、0.1~40mgKOH/gであり、特に好ましくは5~30mgKOH/gである。ラジカル重合性化合物の酸価が上記範囲であれば、製造上の取扱性に優れ、更には、現像性に優れる。一方、アルカリ現像する場合の現像速度の観点では、酸基を有するラジカル架橋剤の好ましい酸価は、0.1~300mgKOH/gであり、特に好ましくは1~100mgKOH/gである。また、重合性が良好である。上記酸価は、JIS K 0070:1992の記載に準拠して測定される。
本発明の硬化性樹脂組成物は、パターンの解像性と膜の伸縮性の観点から、2官能のメタアクリレート又はアクリレートを用いることが好ましい。
具体的な化合物としては、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、PEG200ジアクリレート(ポリエチレングリコールジアクリレートであって、ポリエチレングリコール鎖の式量が200程度のもの)、PEG200ジメタクリレート、PEG600ジアクリレート、PEG600ジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタリレート、2-ヒドロキシー3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸変性ジメタクリレート、その他ウレタン結合を有する2官能アクリレート、ウレタン結合を有する2官能メタクリレートを使用することができる。これらは必要に応じ、2種以上を混合し使用することができる。
硬化膜の弾性率制御に伴う反り抑制の観点から、ラジカル重合性化合物として、単官能ラジカル重合性化合物を好ましく用いることができる。単官能ラジカル重合性化合物としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等のN-ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル等が好ましく用いられる。単官能ラジカル重合性化合物としては、露光前の揮発を抑制するため、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。
また、2官能以上の重合性化合物として、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物類を用いてもよい。
〔上述したラジカル重合性化合物以外の重合性化合物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したラジカル重合性化合物以外の重合性化合物を更に含むことができる。上述したラジカル重合性化合物以外の重合性化合物としては、ヒドロキシメチル基(メチロール基)、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物;オキセタン化合物;ベンゾオキサジン化合物が挙げられる。
-ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物-
ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物としては、下記式(AM1)、(AM4)又は(AM5)で示される化合物が好ましい。
Figure 0007254194000028
(式中、tは、1~20の整数を示し、R104は炭素数1~200のt価の有機基を示し、R105は、-OR106又は、-OCO-R107で示される基を示し、R106は、水素原子又は炭素数1~10の有機基を示し、R107は、炭素数1~10の有機基を示す。)
Figure 0007254194000029
(式中、R404は炭素数1~200の2価の有機基を示し、R405は、-OR406又は、-OCO-R407で示される基を示し、R406は、水素原子又は炭素数1~10の有機基を示し、R407は、炭素数1~10の有機基を示す。)
Figure 0007254194000030
(式中uは3~8の整数を示し、R504は炭素数1~200のu価の有機基を示し、R505は、-OR506又は、-OCO-R507で示される基を示し、R506は、水素原子又は炭素数1~10の有機基を示し、R507は、炭素数1~10の有機基を示す。)
式(AM4)で示される化合物の具体例としては、46DMOC、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML-MBPC、DML-MBOC、DML-OCHP、DML-PCHP、DML-PC、DML-PTBP、DML-34X、DML-EP、DML-POP、dimethylolBisOC-P、DML-PFP、DML-PSBP、DML-MTrisPC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC MX-290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6-dimethoxymethyl-4-t-butylphenol、2,6-dimethoxymethyl-p-cresol、2,6-diacetoxymethyl-p-cresolなどが挙げられる。
また、式(AM5)で示される化合物の具体例としては、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPA、TMOM-BP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、TM-BIP-A(商品名、旭有機材工業(株)製)、NIKALAC MX-280、NIKALAC MX-270、NIKALAC MW-100LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
-エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)-
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、硬化性樹脂組成物の低温硬化及び反りの抑制に効果的である。
エポキシ化合物は、ポリエチレンオキサイド基を含有することが好ましい。これにより、より弾性率が低下し、また反りを抑制することができる。ポリエチレンオキサイド基は、エチレンオキサイドの繰返し単位数が2以上のものを意味し、繰返し単位数が2~15であることが好ましい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリメチル(グリシジロキシプロピル)シロキサン等のエポキシ基含有シリコーンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、エピクロン(登録商標)850-S、エピクロン(登録商標)HP-4032、エピクロン(登録商標)HP-7200、エピクロン(登録商標)HP-820、エピクロン(登録商標)HP-4700、エピクロン(登録商標)EXA-4710、エピクロン(登録商標)HP-4770、エピクロン(登録商標)EXA-859CRP、エピクロン(登録商標)EXA-1514、エピクロン(登録商標)EXA-4880、エピクロン(登録商標)EXA-4850-150、エピクロンEXA-4850-1000、エピクロン(登録商標)EXA-4816、エピクロン(登録商標)EXA-4822(以上商品名、DIC(株)製)、エピクロン(登録商標)EXA-830LVP、エピクロン(登録商標)EXA-8183、エピクロン(登録商標)EXA-8169、エピクロン(登録商標)N-660、エピクロン(登録商標)N-665-EXP-S、エピクロン(登録商標)N-740、リカレジン(登録商標)BEO-20E、リカレジン(登録商標)BEO-60E、リカレジン(登録商標)HBE-100、リカレジン(登録商標)DME-100、リカレジン(登録商標)L-200(商品名、新日本理化(株))、EP-4003S、EP-4000S、EP-4088S、EP-3950S(以上商品名、(株)ADEKA製)、セロキサイド(登録商標)2021P、セロキサイド(登録商標)2081、セロキサイド(登録商標)2000、EHPE3150、エポリード(登録商標)GT401、エポリード(登録商標)PB4700、エポリード(登録商標)PB3600(以上商品名、(株)ダイセル製)、NC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3000-FH-75M、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000-L、XD-1000、NC-7000L、NC-7300L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN-201、BREN-S、BREN-10S(以上商品名、日本化薬(株)製)などが挙げられる。この中でも、ポリエチレンオキサイド基を含有するエポキシ樹脂が、反りの抑制及び耐熱性に優れる点で好ましい。例えば、エピクロン(登録商標)EXA-4880、エピクロン(登録商標)EXA-4822、リカレジン(登録商標)BEO-60Eは、ポリエチレンオキサイド基を含有するので好ましい。
-オキセタン化合物(オキセタニル基を有する化合物)-
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4-ベンゼンジカルボン酸-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成株式会社製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT-121、OXT-221、OXT-191、OXT-223)が好適に使用することができ、これらは単独で、又は2種以上混合してもよい。
-ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサゾリル基を有する化合物)-
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応のため、硬化時に脱ガスが発生せず、更に熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
ベンゾオキサジン化合物の好ましい例としては、B-a型ベンゾオキサジン、B-m型ベンゾオキサジン、P-d型ベンゾオキサジン、F-a型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業社製)、ポリヒドロキシスチレン樹脂のベンゾオキサジン付加物、フェノールノボラック型ジヒドロベンゾオキサジン化合物が挙げられる。これらは単独で用いるか、又は2種以上混合してもよい。
重合性化合物の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0質量%超60質量%以下であることが好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
重合性化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を併用する場合には合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<溶剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、公知の溶剤を任意に使用できる。溶剤は有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、環状炭化水素類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類などの化合物が挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸へキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等が好適なものとして挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が好適なものとして挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、3-メチルシクロヘキサノン、レボグルコセノン、ジヒドロレボグルコセノン等が好適なものとして挙げられる。
環状炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族炭化水素類、リモネン等の環式テルペン類が好適なものとして挙げられる。
スルホキシド類として、例えば、ジメチルスルホキシドが好適なものとして挙げられる。
アミド類として、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等が好適なものとして挙げられる。
アルコール類として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n-アミルアルコール、メチルアミルアルコール、および、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
溶剤は、塗布面性状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。
本発明では、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される1種の溶剤、又は、2種以上で構成される混合溶剤が好ましい。ジメチルスルホキシドとγ-ブチロラクトンとの併用が特に好ましい。
溶剤の含有量は、塗布性の観点から、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分濃度が5~80質量%になる量とすることが好ましく、5~75質量%となる量にすることがより好ましく、10~70質量%となる量にすることが更に好ましく、20~70質量%となる量にすることが一層好ましく、40~70質量%となるようにすることが更に一層好ましい。溶剤含有量は、塗膜の所望の厚さと塗布方法に応じて調節すればよい。
溶剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。溶剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱重合開始剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱重合開始剤を含んでもよく、特に熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、後述する加熱工程において、特定樹脂及び重合性化合物の重合反応を進行させることもできるので、より耐薬品性を向上できる。
熱ラジカル重合開始剤として、具体的には、特開2008-063554号公報の段落0074~0118に記載されている化合物が挙げられる。
熱重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは5~15質量%である。熱重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。熱重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱酸発生剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含んでもよい。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、又は、特定樹脂に含まれるメチロール基等の架橋反応を促進させる効果がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物が熱酸発生剤を含む場合、特定樹脂は重合性基としてメチロール基又はアルコキシメチル基を含むことが好ましい。
熱酸発生剤の熱分解開始温度は、50℃~270℃が好ましく、50℃~250℃がより好ましい。また、硬化性樹脂組成物を基板に塗布した後の乾燥(プリベーク:約70~140℃)時には酸を発生せず、その後の露光、現像でパターニングした後の最終加熱(キュア:約100~400℃)時に酸を発生するものを熱酸発生剤として選択すると、現像時の感度低下を抑制できるため好ましい。
熱分解開始温度は、熱酸発生剤を耐圧カプセル中5℃/分で500℃まで加熱した場合に、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度として求められる。
熱分解開始温度を測定する際に用いられる機器としては、Q2000(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
熱酸発生剤から発生する酸は強酸が好ましく、例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、あるいはトリフルオロメタンスルホン酸などのハロアルキルスルホン酸などが好ましい。このような熱酸発生剤の例としては、特開2013-072935号公報の段落0055に記載のものが挙げられる。
中でも、硬化膜中の残留が少なく硬化膜物性を低下させにくいという観点から、炭素数1~4のアルキルスルホン酸や炭素数1~4のハロアルキルスルホン酸を発生するものがより好ましく、メタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、メタンスルホン酸(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)ジメチルスルホニウム、メタンスルホン酸ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、メタンスルホン酸ベンジル(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)メチルスルホニウム、メタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)メチル((2-メチルフェニル)メチル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)ジメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジル(4-((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)メチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4-ヒドロキシフェニル)メチル((2-メチルフェニル)メチル)スルホニウム、3-(5-(((プロピルスルホニル)オキシ)イミノ)チオフェン-2(5H)-イリデン)-2-(o-トリル)プロパンニトリル、2,2-ビス(3-(メタンスルホニルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが、熱酸発生剤として好ましい。
また、特開2013-167742号公報の段落0059に記載の化合物も熱酸発生剤として好ましい。
熱酸発生剤の含有量は、特定樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。0.01質量部以上含有することで、架橋反応が促進されるため、硬化膜の機械特性及び耐薬品性をより向上させることができる。また、硬化膜の電気絶縁性の観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
<他の樹脂>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した特定樹脂とは異なる、他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ともいう。)を含んでもよい。
他の樹脂としては、特定樹脂とは別種のポリイミド前駆体等が挙げられる。
〔ポリイミド前駆体(他の樹脂)〕
得られる硬化膜の膜強度の観点からは、ポリイミド前駆体は、上述した式(1)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
ポリイミド前駆体において、式(1)で表される繰返し単位は1種であってもよいが、2種以上であってもよい。また、式(1)で表される繰返し単位の構造異性体を含んでいてもよい。また、ポリイミド前駆体は、上記の式(1)の繰返し単位のほかに、他の種類の繰返し単位も含んでもよい。
本発明におけるポリイミド前駆体の一実施形態として、全繰返し単位の50モル%以上、更には70モル%以上、特には90モル%以上が式(1)で表される繰返し単位であるポリイミド前駆体が例示される。上限としては100モル%以下が実際的である。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000~500,000であり、より好ましくは5,000~100,000であり、更に好ましくは10,000~50,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは800~250,000であり、より好ましくは、2,000~50,000であり、更に好ましくは、4,000~25,000である。
ポリイミド前駆体の分子量の分散度は、1.5~3.5が好ましく、2~3がより好ましい。
ポリイミド前駆体は、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応させて得られる。好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体を、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させて得られる。
ポリイミド前駆体の製造方法では、反応に際し、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
有機溶剤としては、原料に応じて適宜定めることができるが、ピリジン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、N-メチルピロリドン及びN-エチルピロリドンが例示される。
ポリイミド前駆体の製造に際し、固体を析出する工程を含んでいることが好ましい。具体的には、反応液中のポリイミド前駆体を、水中に沈殿させ、テトラヒドロフラン等のポリイミド前駆体が可溶な溶剤に溶解させることによって、固体析出することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが一層好ましく、5質量%以上であることがより一層好ましく、10質量%以上であることが更に一層好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物における、他の樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることがより一層好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の好ましい一態様として、他の樹脂の含有量が低含有量である態様とすることもできる。上記態様において、他の樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、他の樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<オニウム塩>
本発明の硬化性樹脂組成物は、オニウム塩を含むことが好ましい。
特に、他の樹脂としてポリイミド前駆体を含む場合、硬化性樹脂組成物はオニウム塩を含むことが好ましい。
オニウム塩の種類等は特に定めるものではないが、アンモニウム塩、イミニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましく挙げられる。
これらの中でも、熱安定性が高い観点からはアンモニウム塩又はイミニウム塩が好ましく、ポリマーとの相溶性の観点からはスルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましい。
また、オニウム塩はオニウム構造を有するカチオンとアニオンとの塩であり、上記カチオンとアニオンとは、共有結合を介して結合していてもよいし、共有結合を介して結合していなくてもよい。
すなわち、オニウム塩は、同一の分子構造内に、カチオン部と、アニオン部と、を有する分子内塩であってもよいし、それぞれ別分子であるカチオン分子と、アニオン分子と、がイオン結合した分子間塩であってもよいが、分子間塩であることが好ましい。また、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記カチオン部又はカチオン分子と、上記アニオン部又はアニオン分子と、はイオン結合により結合されていてもよいし、解離していてもよい。
オニウム塩におけるカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルアンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオンがより好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩は、熱塩基発生剤であってもよい。
熱塩基発生剤とは、加熱により塩基を発生する化合物をいい、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生する酸性化合物等が挙げられる。
〔アンモニウム塩〕
本発明において、アンモニウム塩とは、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。
-アンモニウムカチオン-
アンモニウムカチオンとしては、第四級アンモニウムカチオンが好ましい。
また、アンモニウムカチオンとしては、下記式(101)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 0007254194000031
式(101)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、R~Rの少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成してもよい。
式(101)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましい。R~Rは置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
~Rの少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成する場合、上記環はヘテロ原子を含んでもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素原子が挙げられる。
アンモニウムカチオンは、下記式(Y1-1)及び(Y1-2)のいずれかで表されることが好ましい。
Figure 0007254194000032
式(Y1-1)及び(Y1-2)において、R101は、n価の有機基を表し、Rは式(101)におけるRと同義であり、Ar101及びAr102はそれぞれ独立に、アリール基を表し、nは、1以上の整数を表す。
式(Y1-1)において、R101は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又は、これらが結合した構造からn個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン又はナフタレンからn個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
式(Y1-1)において、nは1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Y1-2)において、Ar101及びAr102はそれぞれ独立に、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基がより好ましい。
-アニオン-
アンモニウム塩におけるアニオンとしては、カルボン酸アニオン、フェノールアニオン、リン酸アニオン及び硫酸アニオンから選ばれる1種が好ましく、塩の安定性と熱分解性を両立させられるという理由からカルボン酸アニオンがより好ましい。すなわち、アンモニウム塩は、アンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンとの塩がより好ましい。
カルボン酸アニオンは、2個以上のカルボキシ基を持つ2価以上のカルボン酸のアニオンが好ましく、2価のカルボン酸のアニオンがより好ましい。この態様によれば、硬化性樹脂組成物の安定性、硬化性及び現像性をより向上できる。特に、2価のカルボン酸のアニオンを用いることで、硬化性樹脂組成物の安定性、硬化性及び現像性を更に向上できる。
カルボン酸アニオンは、下記式(X1)で表されることが好ましい。
Figure 0007254194000033
式(X1)において、EWGは、電子求引性基を表す。
本実施形態において電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σmが正の値を示すものを意味する。ここでσmは、都野雄甫総説、有機合成化学協会誌第23巻第8号(1965)p.631-642に詳しく説明されている。なお、本実施形態における電子求引性基は、上記文献に記載された置換基に限定されるものではない。
σmが正の値を示す置換基の例としては、CF基(σm=0.43)、CFC(=O)基(σm=0.63)、HC≡C基(σm=0.21)、CH=CH基(σm=0.06)、Ac基(σm=0.38)、MeOC(=O)基(σm=0.37)、MeC(=O)CH=CH基(σm=0.21)、PhC(=O)基(σm=0.34)、HNC(=O)CH基(σm=0.06)などが挙げられる。なお、Meはメチル基を表し、Acはアセチル基を表し、Phはフェニル基を表す(以下、同じ)。
EWGは、下記式(EWG-1)~(EWG-6)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007254194000034
式(EWG-1)~(EWG-6)中、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、Arは芳香族基を表す。
本発明において、カルボン酸アニオンは、下記式(XA)で表されることが好ましい。
Figure 0007254194000035
式(XA)において、L10は、単結合、又は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、-NR-及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる2価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
カルボン酸アニオンの具体例としては、マレイン酸アニオン、フタル酸アニオン、N-フェニルイミノ二酢酸アニオン及びシュウ酸アニオンが挙げられる。
特定樹脂の環化が低温で行われやすく、また、硬化性樹脂組成物の保存安定性が向上しやすい観点から、本発明におけるオニウム塩は、カチオンとしてアンモニウムカチオンを含み、上記オニウム塩がアニオンとして、共役酸のpKa(pKaH)が2.5以下であるアニオンを含むことが好ましく、1.8以下であるアニオンを含むことがより好ましい。
上記pKaの下限は特に限定されないが、発生する塩基が中和されにくく、特定樹脂などの環化効率を良好にするという観点からは、-3以上であることが好ましく、-2以上であることがより好ましい。
上記pKaとしては、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値を用いることとする。
アンモニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007254194000036
〔イミニウム塩〕
本発明において、イミニウム塩とは、イミニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-イミニウムカチオン-
イミニウムカチオンとしては、ピリジニウムカチオンが好ましい。
また、イミニウムカチオンとしては、下記式(102)で表されるカチオンも好ましい。
Figure 0007254194000037
式(102)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、Rは炭化水素基を表し、R~Rの少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成してもよい。
式(102)中、R及びRは上述の式(101)におけるR~Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(102)中、RはR及びRの少なくとも1つと結合して環を形成することが好ましい。上記環はヘテロ原子を含んでもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素原子が挙げられる。また、上記環としてはピリジン環が好ましい。
イミニウムカチオンは、下記式(Y1-3)~(Y1-5)のいずれかで表されるものであることが好ましい。
Figure 0007254194000038
式(Y1-3)~(Y1-5)において、R101は、n価の有機基を表し、Rは式(102)におけるRと同義であり、Rは式(102)におけるRと同義であり、nは1以上の整数を表し、mは0以上の整数を表す。
式(Y1-3)において、R101は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又は、これらが結合した構造からn個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン又はナフタレンからn個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
式(Y1-3)において、nは1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Y1-5)において、mは0~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
イミニウム塩の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007254194000039
〔スルホニウム塩〕
本発明において、スルホニウム塩とは、スルホニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-スルホニウムカチオン-
スルホニウムカチオンとしては、第三級スルホニウムカチオンが好ましく、トリアリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
また、スルホニウムカチオンとしては、下記式(103)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 0007254194000040
式(103)中、R~R10はそれぞれ独立に炭化水素基を表す。
~R10はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
~R10は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又は、アルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
~R10は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
〔ヨードニウム塩〕
本発明において、ヨードニウム塩とは、ヨードニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-ヨードニウムカチオン-
ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオンが好ましい。
また、ヨードニウムカチオンとしては、下記式(104)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 0007254194000041
式(104)中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭化水素基を表す。
11及びR12はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
11及びR12は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又はアルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
11及びR12は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
〔ホスホニウム塩〕
本発明において、ホスホニウム塩とは、ホスホニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
-ホスホニウムカチオン-
ホスホニウムカチオンとしては、第四級ホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルホスホニウムカチオン、トリアリールモノアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
また、ホスホニウムカチオンとしては、下記式(105)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 0007254194000042
式(105)中、R13~R16はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。
13~R16はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
13~R16は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又はアルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
13~R16は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物がオニウム塩を含む場合、オニウム塩の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1~50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、0.85質量%以上が更に好ましく、1質量%以上が一層好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が一層好ましく、5質量%以下であってもよく、4質量%以下であってもよい。
オニウム塩は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱塩基発生剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱塩基発生剤を含んでもよい。
特に、硬化性樹脂組成物が他の樹脂としてポリイミド前駆体を含む場合、硬化性樹脂組成物は熱塩基発生剤を含むことが好ましい。
熱塩基発生剤は、上述のオニウム塩に該当する化合物であってもよいし、上述のオニウム塩以外の他の熱塩基発生剤であってもよい。
他の熱塩基発生剤としては、ノニオン系熱塩基発生剤が挙げられる。
ノニオン系熱塩基発生剤としては、式(B1)又は式(B2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007254194000043
式(B1)及び式(B2)中、Rb、Rb及びRbはそれぞれ独立に、第三級アミン構造を有しない有機基、ハロゲン原子又は水素原子である。ただし、Rb及びRbが同時に水素原子となることはない。また、Rb、Rb及びRbはいずれもカルボキシ基を有することはない。なお、本明細書で第三級アミン構造とは、3価の窒素原子の3つの結合手がいずれも炭化水素系の炭素原子と共有結合している構造を指す。したがって、結合した炭素原子がカルボニル基をなす炭素原子の場合、つまり窒素原子とともにアミド基を形成する場合はこの限りではない。
式(B1)、(B2)中、Rb、Rb及びRbは、これらのうち少なくとも1つが環状構造を含むことが好ましく、少なくとも2つが環状構造を含むことがより好ましい。環状構造としては、単環及び縮合環のいずれであってもよく、単環又は単環が2つ縮合した縮合環が好ましい。単環は、5員環又は6員環が好ましく、6員環が好ましい。単環は、シクロヘキサン環及びベンゼン環が好ましく、シクロヘキサン環がより好ましい。
より具体的にRb及びRbは、水素原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、又はアリールアルキル基(炭素数7~25が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であることが好ましい。これらの基は、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。RbとRbとは互いに結合して環を形成していてもよい。形成される環としては、4~7員の含窒素複素環が好ましい。Rb及びRbは特に、置換基を有してもよい直鎖、分岐、又は環状のアルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)であることが好ましく、置換基を有してもよいシクロアルキル基(炭素数3~24が好ましく、3~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)であることがより好ましく、置換基を有してもよいシクロヘキシル基が更に好ましい。
Rbとしては、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)、アリールアルケニル基(炭素数8~24が好ましく、8~20がより好ましく、8~16が更に好ましい)、アルコキシル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、又はアリールアルキルオキシ基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)が挙げられる。中でも、シクロアルキル基(炭素数3~24が好ましく、3~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリールアルケニル基、アリールアルキルオキシ基が好ましい。Rbは更に本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。
式(B1)で表される化合物は、下記式(B1-1)又は下記式(B1-2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007254194000044
式中、Rb11及びRb12、並びに、Rb31及びRb32は、それぞれ、式(B1)におけるRb及びRbと同じである。
Rb13はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。中でも、Rb13はアリールアルキル基が好ましい。
Rb33及びRb34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~8がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であり、水素原子が好ましい。
Rb35は、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~10がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、アリール基が好ましい。
式(B1-1)で表される化合物は、式(B1-1a)で表される化合物もまた好ましい。
Figure 0007254194000045
Rb11及びRb12は式(B1-1)におけるRb11及びRb12と同義である。
Rb15及びRb16は水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
Rb17はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~10がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、中でもアリール基が好ましい。
ノニオン系熱塩基発生剤の分子量は、800以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましい。下限としては、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、300以上であることが更に好ましい。
上述のオニウム塩のうち、熱塩基発生剤である化合物の具体例、又は、他の熱塩基発生剤の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0007254194000046
Figure 0007254194000047
Figure 0007254194000048
熱塩基発生剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1~50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。熱塩基発生剤は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<マイグレーション抑制剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にマイグレーション抑制剤を含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが硬化性樹脂組成物層内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
マイグレーション抑制剤としては、特に制限はないが、複素環(ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、2H-ピラン環及び6H-ピラン環、トリアジン環)を有する化合物、チオ尿素類及びスルファニル基を有する化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体系化合物、ヒドラジド誘導体系化合物が挙げられる。特に、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、1H-テトラゾール、5-フェニルテトラゾール等のテトラゾール系化合物が好ましく使用できる。
又はハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉するイオントラップ剤を使用することもできる。
その他のマイグレーション抑制剤としては、特開2013-015701号公報の段落0094に記載の防錆剤、特開2009-283711号公報の段落0073~0076に記載の化合物、特開2011-059656号公報の段落0052に記載の化合物、特開2012-194520号公報の段落0114、0116及び0118に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0166に記載の化合物などを使用することができる。
マイグレーション抑制剤の具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
Figure 0007254194000049
硬化性樹脂組成物がマイグレーション抑制剤を有する場合、マイグレーション抑制剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01~5.0質量%であることが好ましく、0.05~2.0質量%であることがより好ましく、0.1~1.0質量%であることが更に好ましい。
マイグレーション抑制剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。マイグレーション抑制剤が2種以上の場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<重合禁止剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、o-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、p-tert-ブチルカテコール、1,4-ベンゾキノン、ジフェニル-p-ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N-ニトロソジフェニルアミン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-(1-ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-tert-ブチル)フェニルメタン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、4‐ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル、フェノチアジン、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、ジブチルジチオカーバネート銅(II)、ニトロベンゼン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩などが好適に用いられる。また、特開2015-127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、及び、国際公開第2015/125469号の段落0031~0046に記載の化合物を用いることもできる。
また、下記化合物を用いることができる(Meはメチル基である)。
Figure 0007254194000050
本発明の硬化性樹脂組成物が重合禁止剤を有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、例えば0.01~20.0質量%である態様が挙げられ、0.01~5質量%であることが好ましく、0.02~3質量%であることがより好ましく、0.05~2.5質量%であることが更に好ましい。また、感光性樹脂組成物溶液の保存安定性が要求される場合には0.02~15.0質量%である態様も好ましく上げられ、その場合により好ましくは0.05~10.0質量%である。
重合禁止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。重合禁止剤が2種以上の場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<金属接着性改良剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含むことが好ましい。金属接着性改良剤としては、シランカップリング剤、アルミニウム系接着助剤、チタン系接着助剤、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物、リン酸誘導体化合物、β-ケトエステル化合物、アミノ化合物等などが挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、国際公開第2015/199219号の段落0167に記載の化合物、特開2014-191002号公報の段落0062~0073に記載の化合物、国際公開第2011/080992号の段落0063~0071に記載の化合物、特開2014-191252号公報の段落0060~0061に記載の化合物、特開2014-041264号公報の段落0045~0052に記載の化合物、国際公開第2014/097594号の段落0055に記載の化合物が挙げられる。また、特開2011-128358号公報の段落0050~0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。また、シランカップリング剤は、下記化合物を用いることも好ましい。以下の式中、Etはエチル基を表す。
Figure 0007254194000051
他のシランカップリング剤としては、例えが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、金属接着性改良剤としては、特開2014-186186号公報の段落0046~0049に記載の化合物、特開2013-072935号公報の段落0032~0043に記載のスルフィド系化合物を用いることもできる。
〔アルミニウム系接着助剤〕
アルミニウム系接着助剤としては、例えば、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。
金属接着性改良剤の含有量は特定樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~15質量部の範囲であり、更に好ましくは0.5~5質量部の範囲である。上記下限値以上とすることで硬化工程後の硬化膜と金属層との接着性が良好となり、上記上限値以下とすることで硬化工程後の硬化膜の耐熱性、機械特性が良好となる。金属接着性改良剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加物、例えば、N-フェニルジエタノールアミンなどの増感剤、連鎖移動剤、界面活性剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、合計配合量は硬化性樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
〔増感剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
増感剤としては、N-フェニルジエタノールアミン等の増感剤が挙げられる。他には、ベンゾフェノン系、ミヒラーズケトン系、クマリン系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アントラセン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の化合物を使用することができる。
例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン(7-(ジエチルアミノ)クマリン-3-カルボン酸エチル)、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N-メチルアセトアニリド、3‘,4’-ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。 また、増感剤としては、増感色素を用いてもよい。
増感色素の詳細については、特開2016-027357号公報の段落0161~0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の硬化性樹脂組成物が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01~20質量%であることが好ましく、0.1~15質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることが更に好ましい。増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔連鎖移動剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683-684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内に-S-S-、-SO-S-、-N-O-、SH、PH、SiH、及びGeHを有する化合物群、RAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer)重合に用いられるチオカルボニルチオ基を有するジチオベンゾアート、トリチオカルボナート、ジチオカルバマート、キサンタート化合物等が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物を好ましく用いることができる。
また、連鎖移動剤は、国際公開第2015/199219号の段落0152~0153に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が連鎖移動剤を有する場合、連鎖移動剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。連鎖移動剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。連鎖移動剤が2種以上の場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の硬化性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。下記式中、主鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の含有量(モル%)を、側鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の繰り返し数をそれぞれ表す。
Figure 0007254194000052
また、界面活性剤は、国際公開第2015/199219号の段落0159~0165に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が界面活性剤を有する場合、界面活性剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。界面活性剤が2種以上の場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
〔高級脂肪酸誘導体〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で硬化性樹脂組成物の表面に偏在させてもよい。
また、高級脂肪酸誘導体は、国際公開第2015/199219号の段落0155に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が高級脂肪酸誘導体を有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1~10質量%であることが好ましい。高級脂肪酸誘導体は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体が2種以上の場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<その他の含有物質についての制限>
本発明の硬化性樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.6質量%未満が更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の金属含有量は、絶縁性の観点から、5質量ppm(parts per million)未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、クロム、ニッケルなどが挙げられる。金属を複数含む場合は、これらの金属の合計が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物に意図せずに含まれる金属不純物を低減する方法としては、本発明の硬化性樹脂組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、本発明の硬化性樹脂組成物を構成する原料に対してフィルターろ過を行う、装置内をポリテトラフルオロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体材料としての用途を考慮すると、ハロゲン原子の含有量が、配線腐食性の観点から、500質量ppm未満が好ましく、300質量ppm未満がより好ましく、200質量ppm未満が更に好ましい。中でも、ハロゲンイオンの状態で存在するものは、5質量ppm未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。塩素原子及び臭素原子、又は塩素イオン及び臭素イオンの合計がそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の収容容器としては従来公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器としては、原材料や硬化性樹脂組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成された多層ボトルや、6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<硬化性樹脂組成物の調製>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
また、硬化性樹脂組成物中のゴミや微粒子等の異物を除去する目的で、フィルターを用いたろ過を行うことが好ましい。フィルター孔径は、例えば5μm以下である態様が挙げられ、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。フィルターの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルターろ過工程では、複数種のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルターを使用する場合は、孔径又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回ろ過してもよい。複数回ろ過する場合は、循環ろ過であってもよい。また、加圧してろ過を行ってもよい。加圧してろ過を行う場合、加圧する圧力は例えば0.01MPa以上1.0MPa以下である態様が挙げられ、0.03MPa以上0.9MPa以下が好ましく、0.05MPa以上0.7MPa以下がより好ましく、0.05MPa以上0.3MPa以下が更に好ましい。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行ってもよい。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせてもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
<硬化性樹脂組成物の用途>
本発明の硬化性樹脂組成物は、再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられることが好ましい。
また、その他、半導体デバイスの絶縁膜の形成、又は、ストレスバッファ膜の形成等にも用いることができる。
(硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法)
次に、硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法について説明する。
本発明の硬化膜は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる。本発明の硬化膜の膜厚は、例えば、0.5μm以上とすることができ、1μm以上とすることもできる。また、上限値としては、100μm以下とすることができ、30μm以下とすることもできる。
本発明の硬化膜を2層以上、更には、3~7層積層して積層体としてもよい。本発明の積層体は、硬化膜を2層以上有し、硬化膜の間に金属層を有する積層体であることが好ましい。また、本発明の積層体は、硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む態様が好ましい。例えば、第一の硬化膜、金属層、第二の硬化膜の3つの層がこの順に積層された層構造を少なくとも含む積層体が好ましく挙げられる。上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜は、いずれも本発明の硬化膜であり、例えば、上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜のいずれもが、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化してなる膜である態様が好ましく挙げられる。上記第一の硬化膜の形成に用いられる本発明の硬化性樹脂組成物と、上記第二の硬化膜の形成に用いられる本発明の硬化性樹脂組成物とは、組成が同一の組成物であってもよいし、組成が異なる組成物であってもよいが、製造適性上の観点からは、組成が同一の組成物であることが好ましい。このような金属層は、再配線層などの金属配線として好ましく用いられる。
本発明の硬化膜の適用可能な分野としては、半導体デバイスの絶縁膜、再配線層用層間絶縁膜、ストレスバッファ膜などが挙げられる。そのほか、封止フィルム、基板材料(フレキシブルプリント基板のベースフィルムやカバーレイ、層間絶縁膜)、又は上記のような実装用途の絶縁膜をエッチングでパターン形成することなどが挙げられる。これらの用途については、例えば、サイエンス&テクノロジー株式会社「ポリイミドの高機能化と応用技術」2008年4月、柿本雅明/監修、CMCテクニカルライブラリー「ポリイミド材料の基礎と開発」2011年11月発行、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会/編「最新ポリイミド 基礎と応用」エヌ・ティー・エス,2010年8月等を参照することができる。
また、本発明における硬化膜は、オフセット版面又はスクリーン版面などの版面の製造、成形部品のエッチングへの使用、エレクトロニクス、特に、マイクロエレクトロニクスにおける保護ラッカー及び誘電層の製造などにも用いることもできる。
本発明の硬化膜の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、本発明の硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜を形成する膜形成工程を含むことが好ましい。
更に、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程を含み、かつ、上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する(上記膜に対して現像処理を行う)現像工程を更に含むことがより好ましい。
更に、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程(及び、必要に応じて上記現像工程)を含み、かつ、上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程を更に含むことがより好ましい。
具体的には、以下の(a)~(d)の工程を含むことも好ましい。
(a)硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜(硬化性樹脂組成物層)を形成する膜形成工程
(b)膜形成工程の後、膜を露光する露光工程
(c)露光された上記膜に対して現像処理を行う現像工程
(d)現像された上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程
上記加熱工程において加熱することにより、現像後の硬化性樹脂組成物層を更に硬化させることができる。この加熱工程で、例えば上述の熱塩基発生剤が分解し、十分な硬化性が得られる。
本発明の好ましい実施形態に係る積層体の製造方法は、本発明の硬化膜の製造方法を含む。本実施形態の積層体の製造方法は、上記の硬化膜の製造方法に従って、硬化膜を形成後、更に、再度、(a)の工程、又は(a)~(c)の工程、又は(a)~(d)の工程を行う。特に、上記各工程を順に、複数回、例えば、2~5回(すなわち、合計で3~6回)行うことが好ましい。このように硬化膜を積層することにより、積層体とすることができる。本発明では特に硬化膜を設けた部分の上又は硬化膜の間、又はその両者に金属層を設けることが好ましい。なお、積層体の製造においては、(a)~(d)の工程をすべて繰り返す必要はなく、上記のとおり、少なくとも(a)、好ましくは(a)~(c)又は(a)~(d)の工程を複数回行うことで硬化膜の積層体を得ることができる。
<膜形成工程(層形成工程)>
本発明の好ましい実施形態に係る製造方法は、硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜(層状)にする、膜形成工程(層形成工程)を含む。
基材の種類は、用途に応じて適宜定めることができるが、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基材、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基材、紙、SOG(Spin On Glass)、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基材、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極板など特に制約されない。本発明では、特に、半導体作製基材が好ましく、シリコン基材、モールド樹脂基材がより好ましい。
また、基材としては、例えば板状の基材(基板)が用いられる。
また、硬化性樹脂組成物層等の樹脂層の表面や金属層の表面に硬化性樹脂組成物層を形成する場合は、樹脂層や金属層が基材となる。
硬化性樹脂組成物を基材に適用する手段としては、塗布が好ましい。
具体的には、適用する手段としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法、及びインクジェット法などが例示される。硬化性樹脂組成物層の厚さの均一性の観点から、より好ましくはスピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、インクジェット法である。方法に応じて適切な固形分濃度や塗布条件を調整することで、所望の厚さの樹脂層を得ることができる。また、基材の形状によっても塗布方法を適宜選択でき、ウェハ等の円形基材であればスピンコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましく、矩形基材であればスリットコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましい。スピンコート法の場合は、例えば、300~3,500rpmの回転数で、10~180秒適用することが挙げられ、500~2,000rpm(revolutions per minute)の回転数で、10秒~1分程度適用することができる。また膜厚の均一性を得るために、複数の回転数を組み合わせて塗布することもできる。
また、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基材上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051や、特開2006-047592号公報の段落0096~0108に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、上記膜(硬化性樹脂組成物層)を形成後、膜形成工程(層形成工程)の後に、溶剤を除去するために乾燥する工程を含んでいてもよい。好ましい乾燥温度は50~150℃で、70℃~130℃がより好ましく、90℃~110℃が更に好ましい。乾燥時間としては、30秒~20分が例示され、1分~10分が好ましく、3分~7分がより好ましい。組成物の溶剤量が多い場合、真空乾燥と加熱乾燥を組み合わせることもできる。加熱乾燥はホットプレート、熱風式オーブン等が用いられ、特に制限されない。
<露光工程>
本発明の製造方法は、上記膜(硬化性樹脂組成物層)を露光する露光工程を含んでもよい。露光量は、硬化性樹脂組成物を硬化できる限り特に定めるものではないが、例えば、波長365nmでの露光エネルギー換算で100~10,000mJ/cm照射することが好ましく、200~8,000mJ/cm照射することがより好ましい。
露光波長は、190~1,000nmの範囲で適宜定めることができ、240~550nmが好ましい。
露光波長は、光源との関係でいうと、(1)半導体レーザー(波長 830nm、532nm、488nm、405nm etc.)、(2)メタルハライドランプ、(3)高圧水銀灯、g線(波長 436nm)、h線(波長 405nm)、i線(波長 365nm)、ブロード(g,h,i線の3波長)、(4)エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長 193nm)、F2エキシマレーザー(波長 157nm)、(5)極端紫外線;EUV(波長 13.6nm)、(6)電子線等、(7)YAGレーザーの第二高調波532nmで、第三高調波355nm、が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物については、特に高圧水銀灯による露光が好ましく、中でも、i線による露光が好ましい。これにより、特に高い露光感度が得られうる。また取り扱いと生産性の観点では、高圧水銀灯のブロード(g,h,i線の3波長)光源や半導体レーザー405nmも好適である。
<現像工程>
本発明の製造方法は、露光された膜(硬化性樹脂組成物層)に対して、現像処理を行う現像工程を含んでもよい。現像を行うことにより、例えばネガ型の感光性樹脂組成物の場合、露光されていない部分(非露光部)が除去される。現像方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、例えば、パドル、スプレー、浸漬、超音波等の現像方法が採用可能である。
現像は現像液を用いて行う。現像液は、硬化性樹脂組成物がネガ型の硬化性樹脂組成物であれば硬化性樹脂組成物層の露光されていない部分(非露光部)が除去されるものを、本発明の硬化性樹脂組成物がポジ型の硬化性樹脂組成物であれば露光された部分(露光部)が除去されるものを、特に制限なく使用できる。
本発明において、現像液としてアルカリ現像液を用いる場合をアルカリ現像、現像液として有機溶剤を50質量%以上含む現像液を用いる場合を溶剤現像という。
アルカリ現像において、現像液は、有機溶剤の含有量が現像液の全質量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、有機溶剤を含まないことが特に好ましい。
アルカリ現像における現像液は、pHが9~14である水溶液がより好ましい。
アルカリ現像における現像液に含まれるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、アンモニア又はアミンなどが挙げられる。アミンとしては、例えば、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、四級アンモニウム水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。なかでも金属を含まないアルカリ化合物が好ましく、アンモニウム化合物がより好ましい。
アルカリ化合物は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ化合物が2種以上の場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
溶剤現像において、現像液は、有機溶剤を90質量%以上含むことがより好ましい。本発明では、現像液は、ClogP値が-1~5の有機溶剤を含むことが好ましく、ClogP値が0~3の有機溶剤を含むことがより好ましい。ClogP値は、ChemBioDrawにて構造式を入力して計算値として求めることができる。
有機溶剤は、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例:アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドン等、並びに、環状炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族炭化水素類、リモネン等の環式テルペン類、スルホキシド類としてジメチルスルホキシドが好適に挙げられる。
本発明では、特にシクロペンタノン、γ-ブチロラクトンが好ましく、シクロペンタノンがより好ましい。
現像液は、50質量%以上が有機溶剤であることが好ましく、70質量%以上が有機溶剤であることがより好ましく、90質量%以上が有機溶剤であることが更に好ましい。また、現像液は、100質量%が有機溶剤であってもよい。
現像時間としては、10秒~5分が好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、通常、20~40℃で行うことができる。
現像液を用いた処理の後、更に、リンスを行ってもよい。
溶剤現像の場合、リンスは、現像液とは異なる有機溶剤を用いて行うことが好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。リンス時間は5秒~5分が好ましい。また現像とリンスの間に、現像液とリンス液の両方を適用する工程を含んでいても良い。上記工程の時間は1秒~5分が好ましい。
アルカリ現像の場合、リンスは、純水を用いて行うことが好ましい。
リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
<加熱工程>
本発明の製造方法は、現像された上記膜を50~450℃で加熱する工程(加熱工程)を含むことが好ましい。
加熱工程は、膜形成工程(層形成工程)、乾燥工程、及び現像工程の後に含まれることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は特定樹脂以外の重合性化合物を含むが、特定樹脂以外の未反応の重合性化合物の硬化反応、特定樹脂における未反応の重合性基の硬化反応などをこの工程で進行させることができる。
また、特定樹脂がポリイミド前駆体であり、かつ、硬化性樹脂組成物が熱塩基発生剤を含む場合、加熱工程では、例えば熱塩基発生剤が分解することにより塩基が発生し、ポリイミド前駆体の環化反応が進行する。
加熱工程における層の加熱温度(最高加熱温度)としては、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが更に好ましく、150℃以上であることが特に好ましく、160℃以上であることが一層好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。上限としては、450℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが更に好ましく、220℃以下であることが特に好ましい。
加熱は、加熱開始時の温度から最高加熱温度まで1~12℃/分の昇温速度で行うことが好ましく、2~10℃/分がより好ましく、3~10℃/分が更に好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることにより、生産性を確保しつつ、アミンの過剰な揮発を防止することができ、昇温速度を12℃/分以下とすることにより、硬化膜の残存応力を緩和することができる。
加熱開始時の温度は、20℃~150℃が好ましく、20℃~130℃がより好ましく、25℃~120℃が更に好ましい。加熱開始時の温度は、最高加熱温度まで加熱する工程を開始する際の温度のことをいう。例えば、硬化性樹脂組成物を基材の上に適用した後、乾燥させる場合、この乾燥後の膜(層)の温度であり、例えば、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤の沸点よりも、30~200℃低い温度から徐々に昇温させることが好ましい。
加熱時間(最高加熱温度での加熱時間)は、10~360分であることが好ましく、20~300分であることがより好ましく、30~240分であることが更に好ましい。
特に多層の積層体を形成する場合、硬化膜の層間の密着性の観点から、加熱温度は180℃~320℃で加熱することが好ましく、180℃~260℃で加熱することがより好ましい。その理由は定かではないが、この温度とすることで、層間の特定樹脂における重合性基同士が架橋反応を進行するためと考えられる。
加熱は段階的に行ってもよい。例として、25℃から180℃まで3℃/分で昇温し、180℃にて60分保持し、180℃から200℃まで2℃/分で昇温し、200℃にて120分保持する、といった前処理工程を行ってもよい。前処理工程としての加熱温度は100~200℃が好ましく、110~190℃であることがより好ましく、120~185℃であることが更に好ましい。この前処理工程においては、米国特許9159547号明細書に記載のように紫外線を照射しながら処理することも好ましい。このような前処理工程により膜の特性を向上させることが可能である。前処理工程は10秒間~2時間程度の短い時間で行うとよく、15秒~30分間がより好ましい。前処理は2段階以上のステップとしてもよく、例えば100~150℃の範囲で前処理工程1を行い、その後に150~200℃の範囲で前処理工程2を行ってもよい。
更に、加熱後冷却してもよく、この場合の冷却速度としては、1~5℃/分であることが好ましい。
加熱工程は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを流す、真空下で行う等により、低酸素濃度の雰囲気で行うことが特定樹脂の分解を防ぐ点で好ましい。酸素濃度は、50ppm(体積比)以下が好ましく、20ppm(体積比)以下がより好ましい。
<金属層形成工程>
本発明の製造方法は、現像処理後の膜(硬化性樹脂組成物層)の表面に金属層を形成する金属層形成工程を含むことが好ましい。
金属層としては、特に限定なく、既存の金属種を使用することができ、銅、アルミニウム、ニッケル、バナジウム、チタン、クロム、コバルト、金及びタングステンが例示され、銅及びアルミニウムがより好ましく、銅が更に好ましい。
金属層の形成方法は、特に限定なく、既存の方法を適用することができる。例えば、特開2007-157879号公報、特表2001-521288号公報、特開2004-214501号公報、特開2004-101850号公報に記載された方法を使用することができる。例えば、フォトリソグラフィ、リフトオフ、電解メッキ、無電解メッキ、エッチング、印刷、及びこれらを組み合わせた方法などが考えられる。より具体的には、スパッタリング、フォトリソグラフィ及びエッチングを組み合わせたパターニング方法、フォトリソグラフィと電解メッキを組み合わせたパターニング方法が挙げられる。
金属層の厚さとしては、最も厚肉の部分で、0.1~50μmが好ましく、1~10μmがより好ましい。
<積層工程>
本発明の製造方法は、更に、積層工程を含むことが好ましい。
積層工程とは、硬化膜(樹脂層)又は金属層の表面に、再度、(a)膜形成工程(層形成工程)、(b)露光工程、(c)現像工程、(d)加熱工程を、この順に行うことを含む一連の工程である。ただし、(a)の膜形成工程のみを繰り返す態様であってもよい。また、(d)加熱工程は積層の最後又は中間に一括して行う態様としてもよい。すなわち、(a)~(c)の工程を所定の回数繰り返し行い、その後に(d)の加熱をすることで、積層された硬化性樹脂組成物層を一括で硬化する態様としてもよい。また、(c)現像工程の後には(e)金属層形成工程を含んでもよく、このときにも都度(d)の加熱を行ってもよいし、所定回数積層させた後に一括して(d)の加熱を行ってもよい。積層工程には、更に、上記乾燥工程や加熱工程等を適宜含んでいてもよいことは言うまでもない。
積層工程後、更に積層工程を行う場合には、上記加熱工程後、上記露光工程後、又は、上記金属層形成工程後に、更に、表面活性化処理工程を行ってもよい。表面活性化処理としては、プラズマ処理が例示される。
上記積層工程は、2~5回行うことが好ましく、3~5回行うことがより好ましい。
例えば、樹脂層/金属層/樹脂層/金属層/樹脂層/金属層のような、樹脂層が3層以上7層以下の構成が好ましく、3層以上5層以下が更に好ましい。
本発明では特に、金属層を設けた後、更に、上記金属層を覆うように、上記硬化性樹脂組成物の硬化膜(樹脂層)を形成する態様が好ましい。具体的には、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程、(d)加熱工程の順序で繰り返す態様、又は、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程の順序で繰り返し、最後又は中間に一括して(d)加熱工程を設ける態様が挙げられる。硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を積層する積層工程と、金属層形成工程を交互に行うことにより、硬化性樹脂組成物層(樹脂層)と金属層を交互に積層することができる。
本発明は、本発明の硬化膜又は積層体を含む半導体デバイスも開示する。本発明の硬化性樹脂組成物を再配線層用層間絶縁膜の形成に用いた半導体デバイスの具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0213~0218の記載及び図1の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(樹脂)
本発明の樹脂は、下記式(1-1)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
Figure 0007254194000053
式(1-1)中、Xは芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
上記式(1-1)は、特定樹脂における式(1-1)と同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明の樹脂は、上述の特定樹脂と同義であり、好ましい態様も同様である。
<用途>
本発明の樹脂は、硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂として用いられることが好ましい。
また、例えば層間絶縁膜用の組成物など、従来のポリイミドが用いられる組成物において、特に制限なく、従来のポリイミドの一部又は全部を本発明の樹脂に置き換えて用いることができる。
本発明の樹脂は耐薬品性に優れるため、本発明の樹脂は、例えば、絶縁膜を形成するための組成物、積層体を形成するための組成物などの、耐薬品性が必要とされる用途に用いられる組成物において、好適に用いられると考えられる。
(樹脂の製造方法)
本発明の樹脂の製造方法は、2つのニトロ基、少なくとも1つの反応性基、及び、芳香族炭化水素基を有する化合物Aと、上記反応性基と結合を形成可能である基、及び、重合性基を有する化合物Bとを反応させ、化合物Aと化合物Bが結合した化合物Cを得た後に、上記化合物Cにおけるニトロ基を還元して、芳香族炭化水素基を有するジアミンを得る工程(ジアミン製造工程)、並びに、上記ジアミンと、4つのカルボキシ基がいずれも芳香族炭化水素基に結合した構造を有する4価カルボン酸化合物、又は、上記4価カルボン酸化合物の誘導体と、を反応させる工程(前駆体製造工程)、を含むことが好ましい。
上記各工程の詳細は、特定樹脂の製造方法に記載した通りであり、好ましい態様も同様である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。以下、「部」、「%」は特に述べない限り、質量基準である。
(特定樹脂の合成)
<ジアミンの合成>
〔ジニトロ体(A-1)の合成〕
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(富士フイルム和光純薬(株)製)26.0g(0.2モル)、脱水ピリジン(富士フイルム和光純薬(株)製)17.4g(0.22モル)を78gの酢酸エチルに溶解し、5℃以下に冷却した。次いで、3,5-ジニトロベンゾイルクロリド(東京化成工業(株)製)48.4g(0.21モル)を145gの酢酸エチルに溶解し、この溶液を滴下ロートを使い、1時間かけてフラスコ中に滴下した。滴下終了後、10℃以下で30分撹拌し、25℃に昇温し、3時間撹拌した。次いで、反応液を酢酸エチル(CHCOOEt)600mLで希釈し、分液ロートに移し、水300mL、飽和重曹水300mL、希塩酸300mL、飽和食塩水で順に洗浄した。分液洗浄後、硫酸マグネシウム30gで乾燥後、エバポレーターを用いて濃縮、真空乾燥し、ジニトロ体(A-1)を61.0g得た。ジニトロ体(A-1)であることはNMRスペクトルから確認した。ジニトロ体(A-1)についてH-NMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
H-NMRデータ(重クロロホルム、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン)
δ(ppm)=1.97(s、3H)、4.55-4.57(m、2H)、4.70-4.73(m、2H)、5.63(s、1H)、6.16(s、1H)、9.16-9.17(d、2H)、9.24-9.25(d、1H)
同様にして、後述する構造のジニトロ体(A-2)~(A-8)を合成した。
<ジアミン(AA-1)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコに、還元鉄(富士フイルム和光純薬(株)製)27.9g(500ミリモル)、塩化アンモニウム(富士フイルム和光純薬(株)製)5.9g(110ミリモル)、酢酸(富士フイルム和光純薬(株)製)3.0g(50ミリモル)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.03gを秤り取り、イソプロピルアルコール(IPA)200mL、純水30mLを添加し、撹拌した。
次いで、ジニトロ体(A-1)16.2gを少量ずつ1時間かけて添加し、30分撹拌した。次に、外温を85℃に昇温し、2時間撹拌し、25℃以下に冷却した後、セライト(登録商標)を使用してろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、酢酸エチル800mLに溶解した。これを分液ロートに移し、飽和重曹水300mLで2回洗浄し、水300mL、飽和食塩水300mLで順に洗浄した。分液洗浄後、硫酸マグネシウム30gで乾燥後、エバポレーターを用いて濃縮、真空乾燥し、ジアミン(AA-1)を11.0g得た。ジアミン(AA-1)であることはNMRスペクトルから確認した。
H-NMRデータ(重クロロホルム、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン)
δ(ppm)=1.95(s、3H)、3.68(s、4H)、4.45-4.47(m、2H)、4.50-4.53(m、2H)、5.58(s、1H)、6.14(s、1H)、6.19-6.20(t、1H)、6.77-6.78(d、2H)
同様にして、ジニトロ体(A-1)に代えてジニトロ体(A-2)~(A-8)を用いることにより、下記構造のジアミン(AA-2)~(AA-8)を合成した。
Figure 0007254194000054
Figure 0007254194000055
Figure 0007254194000056
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-1)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 13.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 11.9g(45ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-1の分子量は、Mw=22,100、Mn=10,500であった。
PI-1の構造は下記式(PI-1)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000057
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-2)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 13.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-2) 8.9g(46ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-2の分子量は、Mw=20,200、Mn=9,500であった。
PI-2の構造は下記式(PI-2)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000058
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-3)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、4,4’-ビフタル酸無水物 14.1g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.1g(75ミリモル)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 3.25g(25ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-4) 12.5g(45ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、エタノール 8.67g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-3の分子量は、Mw=22,800、Mn=11,000であった。
PI-3の構造は下記式(PI-3)により表される構造であると推測される。式(PI-3)中、*はR1が結合する酸素原子との結合部位を表す。
Figure 0007254194000059
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-4)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。トリフルオロー1-プロパノール 11.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-4) 12.5g(45ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-4の分子量は、Mw=21,300、Mn=10,200であった。
PI-4の構造は下記式(PI-4)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000060
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-5)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.1g(75ミリモル)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 3.25g(25ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 6.54g(24.75ミリモル)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化(株)製)4.05g(20.25ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-5の分子量は、Mw=24,300、Mn=11,200であった。
PI-5の構造は下記式(PI-5)により表される構造であると推測される。式(PI-5)中、m、nは各繰返し単位の含有比(モル比)を表し、m=5、n=4であり、*はR1が結合する酸素原子との結合部位を表す。
Figure 0007254194000061
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-6)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸無水物 14.1g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 13.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-5) 10.8g(45ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、エタノール 8.67g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-6の分子量は、Mw=28,100、Mn=13,600であった。
PI-6の構造は下記式(PI-6)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000062
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-7)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 13.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 8.32g(31.5ミリモル)、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(東京化成工業(株)製)4.70g(13.5ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-7の分子量は、Mw=28,500、Mn=12,900であった。
PI-7の構造は下記式(PI-7)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000063
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-8)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10.1g(75ミリモル)、グリシドール(東京化成工業(株)製)1.85g(25ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 11.9g(45ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-8の分子量は、Mw=20,800、Mn=9,500であった。
PI-8の構造は下記式(PI-8)により表される構造であると推測される。式(PI-8)中、*はR1が結合する酸素原子との結合部位を表す。
Figure 0007254194000064
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-9)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。トリフルオロー1-プロパノール 11.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-7) 14.5g(45ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-9の分子量は、Mw=25,400、Mn=11,500であった。
PI-9の構造は下記式(PI-9)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000065
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-10)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテル 13.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 7.14g(27ミリモル)、ジアミン(AA-6) 3.75g(18ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-10の分子量は、Mw=24,500、Mn=10,600であった。
PI-10の構造は下記式(PI-10)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000066
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-11)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 80g中に懸濁させた。トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル 19.2g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-3) 8.15g(46ミリモル)をNMP 50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製) 0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-11の分子量は、Mw=22,100、Mn=9,800であった。
PI-11の構造は下記式(PI-11)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000067
<ポリイミド前駆体樹脂(PI-12)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 14.8g(47.8ミリモル)をジグリム 90g中に懸濁させた。トリフルオロー1-プロパノール 11.4g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)20mLを添加し、ジアミン(AA-8) 23.48g(44ミリモル)をNMP100mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥した。このポリイミド前駆体PI-12の分子量は、Mw=26,600、Mn=12,400であった。
PI-12の構造は下記式(PI-12)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000068
ポリイミド前駆体樹脂PI-1~PI-12における、エチレン性不飽和基を含む置換基である上記G又は上記Gのモル量の割合、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合、及び、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合を、それぞれ下記表に記載した。
下記表中、項目1の欄の記載は、樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、エチレン性不飽和基を含む置換基である上記G又は上記Gのモル量の割合を示している。
下記表中、項目2の欄の記載は、樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合を示している。
下記表中、項目3の欄の記載は、樹脂に含まれる全ての上記式(1-1)で表される繰返し単位中の上記G及び上記Gの全モル量に対する、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である上記G又は上記Gのモル量の割合を示している。
また、下記表中、項目1~項目3に記載の数値は、%で表された数値の小数第一位を四捨五入した値である。
Figure 0007254194000069
<比較例用ポリイミド前駆体(A-1)の合成>
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gをセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)134.0g及びγ-ブチロラクトン400mlを加えた。室温下で撹拌しながら、ピリジン79.1gを加えることにより、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後、室温まで放冷し、更に16時間静置した。
次に、氷冷下において、反応混合物に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を、撹拌しながら40分かけて加えた。続いて、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル93.0gをγ-ブチロラクトン350mlに懸濁した懸濁液を、撹拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間撹拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間撹拌した。その後、γ-ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物を、ろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾取した後に真空乾燥することにより、粉末状のポリマー(比較例用ポリイミド前駆体(A-1))を得た。このポリマーA-1の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、20,000であった。
比較例用ポリイミド前駆体(A-1)は、式(1-1)で表される繰返し単位を有しない樹脂である。
<比較例用ポリイミド前駆体(A-2)の合成>
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、ジフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物19.0g(64.5ミリモル)をジグリム140mL中に懸濁させた。2-ヒドロキシエチルメタクリレート16.8g(129ミリモル)、ヒドロキノン0.05g及びピリジン10.7g(135ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で18時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル16.1g(135.5ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、ピリジン9.7g(123ミリモル)及びN-メチルピロリドン(NMP)25mLを添加し、透明溶液を得た。次いで、得られた透明溶液に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル11.8g(58.7ミリモル)をNMP100mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール6.0g(188ミリモル)と3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、4リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で3日間乾燥し、比較例用ポリイミド前駆体(A-2)を得た。この比較例用ポリイミド前駆体(A-2)の分子量は、Mw=22,500、Mn=9,800であった。
比較例用ポリイミド前駆体(A-2)は、式(1-1)で表される繰返し単位を有しない樹脂である。
<比較例用ポリイミド前駆体(A-3)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、ピロメリット酸無水物 10.4g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(東京化成工業(株)製) 13.0g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 1.19g(4.5ミリモル)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業(株)製) 8.11g(40.5ミリモル)をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥し、比較例用ポリイミド前駆体(A-3)を得た。この比較例用ポリイミド前駆体(A-3)の分子量は、Mw=22,200、Mn=10,300であった。
比較例用ポリイミド前駆体(A-3)の構造は下記式(A-3)により表される構造であると推測される。式(A-3)中、括弧の添字は各繰返し単位の含有比(モル比)を表す。
比較例用ポリイミド前駆体(A-3)は、式(1-1)で表される繰返し単位の含有量が10モル%である樹脂である。
Figure 0007254194000070
<比較例用ポリイミド前駆体(A-4)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けたフラスコ中で、水分を除去しながら、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 9.37g(47.8ミリモル)をジグリム 74g中に懸濁させた。メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(東京化成工業(株)製) 13.0g(100ミリモル)、ピリジン 16.8g(132ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で5時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 11.9g(100ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、N-メチルピロリドン(NMP)30mLを添加し、ジアミン(AA-1) 11.9g(45ミリモル)、をNMP50mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 6.0g(188ミリモル)と2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル(東京化成工業(株)製)0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、3リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、3リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日乾燥し、比較例用ポリイミド前駆体(A-4)を得た。この比較例用ポリイミド前駆体(A-4)の分子量は、Mw=20,600、Mn=9,700であった。
比較例用ポリイミド前駆体(A-4)は、式(1-1)で表される繰返し単位を含有しない樹脂である。
比較例用ポリイミド前駆体(A-4)の構造は下記式(A-4)により表される構造であると推測される。
Figure 0007254194000071
<実施例及び比較例>
各実施例において、それぞれ、下記表2に記載の成分を混合し、各硬化性樹脂組成物を得た。また、各比較例において、それぞれ、下記表2に記載の成分を混合し、各比較用組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物及び比較用組成物を、細孔の幅が0.8μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通して加圧ろ過した。
表2中、「質量部」の欄の数値は各成分の含有量(質量部)を示している。
表2中、例えば、「種類」の欄の「PI-1/PI-2」、「質量部」の欄の「16/16」等の記載は、PI-1を16質量部、PI-2を16量部それぞれ使用したことを示している。
また、表2中、「-」の記載は該当する成分を含有していないことを示している。
Figure 0007254194000072
表2に記載した各成分の詳細は下記の通りである。
〔特定樹脂又は比較用樹脂〕
・PI-1~PI-10:上記で合成したポリイミド前駆体樹脂(PI-1)~(PI-10)
・A-1~A-3:上記で合成した比較用ポリイミド前駆体(A-1)~(A-3)
〔溶剤〕
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・GBL:γ-ブチロラクトン
・乳酸エチル
・NMP:N-メチルピロリドン
表2中、DMSO/GBLの記載は、DMSOとGBLをDMSO:GBL=20:80(質量比)の割合で混合して用いたことを示している。
表2中、NMP/乳酸エチルの記載は、NMPと乳酸エチルをNMP:乳酸エチル=80:20(質量比)の割合で混合して用いたことを示している。
〔光重合開始剤(感光剤)〕
・OXE-01:IRGACURE OXE 01(BASF社製)
・OXE-02:IRGACURE OXE 02(BASF社製)
〔重合性化合物〕
・SR-209:SR-209(サートマー社製)
・SR-231:SR-231(サートマー社製)
・SR-239:SR-239(サートマー社製)
・ADPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製)
〔重合禁止剤〕
・F-1:1,4-ベンゾキノン
・F-2:4-メトキシフェノール
・F-3:1,4-ジヒドロキシベンゼン
・F-4:2-ニトロソ-1-ナフト-ル(東京化成工業(株)製)
〔金属接着性改良剤〕
・G-1~G-4:下記構造の化合物。以下の構造式中、Etはエチル基を表す。
Figure 0007254194000073
〔マイグレーション抑制剤〕
・H-1:1H-テトラゾール
・H-2:1,2,4-トリアゾール
・H-3:5-フェニルテトラゾール
〔オニウム塩又は熱塩基発生剤〕
・I-1:下記構造の化合物
Figure 0007254194000074
〔添加剤〕
・J-1:N-フェニルジエタノールアミン(東京化成工業(株)製)
<評価>
〔膜強度(破断伸び)の評価〕
各実施例及び各比較例において調製した硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、スピンコート法でシリコンウェハ上に適用して樹脂層を形成した。
得られた樹脂層が形成されたシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に約15μmの均一な厚さの硬化性樹脂組成物層を得た。得られた硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーで全面露光した。上記露光後に窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表2中の「硬化条件」の欄に記載の温度に達した後、3時間加熱した。硬化後の硬化性樹脂組成物層(硬化膜)を4.9質量%フッ化水素酸水溶液に浸漬し、シリコンウェハから硬化膜を剥離した。剥離した硬化膜を、打ち抜き機を用いて打ち抜いて、試料幅3mm、試料長30mmの試験片を作製した。得られた試験片の長手方向の伸び率を、引張り試験機(テンシロン)を用いて、クロスヘッドスピード300mm/分、25℃、65%RH(相対湿度)の環境下にて、JIS-K6251に準拠して測定した。測定は各5回ずつ実施し、5回の測定における試験片が破断した時の伸び率(破断伸び率)の算術平均値を指標値として用いた。
評価は下記評価基準に従って行い、評価結果は表2に記載した。指標値が大きいほど、硬化膜は膜強度に優れるといえる。
-評価基準-
A:上記指標値が60%以上であった。
B:上記指標値が55%以上60%未満であった。
C:上記指標値が50%以上55%未満であった。
D:上記指標値が50%未満であった。
〔耐薬品性の評価〕
各実施例及び比較例において調製した各硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、シリコンウェハ上にスピンコート法により適用し、硬化性樹脂組成物層を形成した。得られた硬化性樹脂組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に15μmの均一な厚さの硬化性樹脂組成物層を形成した。シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーで全面露光し、露光した硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表2の「硬化条件」の欄に記載の温度で180分間加熱して、硬化性樹脂組成物層の硬化層(樹脂層)を得た。
得られた樹脂層について下記の薬液に下記の条件で浸漬し、溶解速度を算定した。
薬液:ジメチルスルホキシド(DMSO)と25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の90:10(質量比)の混合物
評価条件:薬液中に樹脂層を75℃で15分間浸漬して浸漬前後の膜厚を比較し、溶解速度(nm/分)を算出した。
評価は下記評価基準に従って行い、評価結果は表2に記載した。溶解速度が小さいほど、耐薬品性に優れるといえる。
-評価基準-
A 溶解速度が200nm/分未満であった。
B 溶解速度が200nm/分以上300nm/分未満であった。
C 溶解速度が300nm/分以上400nm/分未満であった。
D 溶解速度が400nm/分以上であった。
〔閉環率〕
各実施例及び比較例において調製した各硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、シリコンウェハ上にスピンコート法により適用した。上記適用後のシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に10μmの均一な膜厚の硬化性樹脂組成物層を形成した。シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて全面露光した。露光はi線で行い、波長365nmにおいて、400mJ/cmの露光エネルギーで露光した。露光後、シクロペンタノンで60秒間ネガ型現像を行い樹脂層を得た。この樹脂層を窒素雰囲気下、表2の「硬化条件」の欄に記載の温度で3時間加熱し、硬化膜Aとした後に、上記硬化膜Aをシリコンウェハから掻きとり、赤外分光測定(IR測定)を行った。
また、各実施例及び比較例において調製した各硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を用い、上記「表2の「硬化条件」の欄に記載の温度で3時間加熱」を「350℃で3時間加熱」に変更した以外は、硬化膜Aと同様の方法により硬化膜Bを作製した。上記硬化膜Bについても、シリコンウェハから掻きとり、IR測定を行った。
硬化膜AのIR測定における1778cm-1に相当するピークの面積(ピーク面積A)及び硬化膜BのIR測定における1778cm-1に相当するピークの面積(ピーク面積B)の値から、下記式により閉環率を算出し、下記評価基準に従い評価した。
閉環率(%)=ピーク面積A/ピーク面積B×100
-評価基準-
A:閉環率が90%以上であった。
B:閉環率が75%以上90%未満であった。
C:閉環率が50%以上75%未満であった。
D:閉環率が50%未満であった。
以上の結果から、本発明に係る、特定樹脂を含む硬化性樹脂組成物は、耐薬品性に優れることがわかる。
比較例1~4に係る比較用組成物は、特定樹脂を含有しない。この比較例1~4に係る比較用組成物は、耐薬品性に劣ることが分かる。
<実施例101>
実施例1に記載の硬化性樹脂組成物を、表面に銅薄層が形成された樹脂基材における銅薄層の表面に膜厚が20μmとなるようにスピニングして塗布した。樹脂基材に塗布した硬化性樹脂組成物を、100℃で2分間乾燥した後、ステッパー(ニコン製、NSR1505 i6)を用いて露光した。露光は正方形パターン(縦横各100μmの正方形パターン、繰り返し数10)のマスクを介して、波長365nmで400mJ/cmの露光量で行い正方形残しパターンを作製した。露光の後、シクロペンタノンで30秒間現像し、PGMEAで20秒間リンスし、パターンを得た。
次いで、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表2の実施例1の「硬化条件」の欄に記載の温度に達した後、この温度で3時間加熱し、再配線層用層間絶縁膜を形成した。この再配線層用層間絶縁膜は、絶縁性に優れていた。また、これらの再配線層用層間絶縁膜を使用して半導体デバイスを製造したところ、問題なく動作することを確認した。

Claims (20)

  1. 式(1-1)で表される繰返し単位を含む樹脂、及び、感光剤を含み、
    前記樹脂が、下記式(1-1)で表される繰返し単位を、前記樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む、
    硬化性樹脂組成物;
    Figure 0007254194000075

    式(1-1)中、Xは芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい有機基を表し、前記ヘテロ原子を含んでもよい有機基が、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基又はハロゲン原子により置換された炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。
  2. 式(1-1)で表される繰返し単位を含む樹脂、及び、感光剤を含み、
    前記樹脂が、下記式(1-1)で表される繰返し単位を、前記樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含み、
    前記樹脂に含まれる全ての下記式(1-1)で表される繰返し単位中の下記G 及び下記G の全モル量に対する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である前記G 又は前記G のモル量の割合が、20~100%であり、
    前記ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基が、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基又はハロゲン原子により置換された炭化水素基である、
    硬化性樹脂組成物;
    Figure 0007254194000076
    式(1-1)中、X は芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、X における式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Y は、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、A は重合性基を含む基を表し、G 及びG はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
  3. 式(1-1)で表される繰返し単位を含む樹脂、及び、感光剤を含み、
    前記樹脂が、下記式(1-1)で表される繰返し単位を、前記樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含み、
    前記樹脂に含まれる全ての下記式(1-1)で表される繰返し単位中の下記G 及び下記G の全モル量に対する、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である前記G 又は前記G のモル量の割合が、20~100%である、
    硬化性樹脂組成物;
    Figure 0007254194000077
    式(1-1)中、X は芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、X における式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Y は、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、A は重合性基を含む基を表し、G 及びG はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
  4. 前記樹脂に含まれる全ての前記式(1-1)で表される繰返し単位中の前記G及び前記Gの全モル量に対する、エチレン性不飽和基を含む置換基である前記G又は前記Gのモル量の割合が、0~30%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂に含まれる全ての前記式(1-1)で表される繰返し単位中の前記G及び前記Gの全モル量に対する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である前記G又は前記Gのモル量の割合が、20~100%である、請求項1又はに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記樹脂に含まれる全ての前記式(1-1)で表される繰返し単位中の前記G及び前記Gの全モル量に対する、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である前記G又は前記Gのモル量の割合が、20~100%である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記Xが、下記式(A-1)~式(A-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含み、かつ、前記Yが下記式(A2-1)~式(A2-5)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物;
    Figure 0007254194000078
    式(A-1)~(A-5)中、RA11~RA14、RA21~RA24、RA31~RA38、RA41~RA48及びRA51~RA58はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、LA31及びLA41はそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2価の飽和炭化水素基、2価の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子、ヘテロ環基、又は、ハロゲン化アルキレン基を表し、RA11~RA14のうち2つ、RA21~RA24のうち2つ、RA31~RA38のうち2つ、RA41~RA48のうち2つ、及び、RA51~RA58のうち2つが前記式(1-1)中のカルボニル基との結合部位であってもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す;
    Figure 0007254194000079
    式(A2-1)~(A2-5)中、RA211~RA214、RA221~RA224、RA231~RA238、RA241~RA248及びRA251~RA258はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、LA231及びLA241はそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2価の飽和炭化水素基、2価の不飽和炭化水素基、ヘテロ原子、ヘテロ環基、又は、ハロゲン化アルキレン基を表し、RA211~RA214のうち少なくとも1つ、RA221~RA224のうち少なくとも1つ、RA231~RA238のうち少なくとも1つ、RA241~RA248のうち少なくとも1つ、及び、RA251~RA258のうち少なくとも1つが前記式(1-1)中のAとの結合部位であってもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
  8. 前記Aが重合性基として、エチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基、メチロール基又はアルコキシメチル基を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記感光剤が、光重合開始剤である、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
  12. 請求項11に記載の硬化膜を2層以上有し、前記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を有する、積層体。
  13. 請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
  14. 上記膜を50~450℃で加熱する工程を含む、請求項13に記載の硬化膜の製造方法。
  15. 請求項11に記載の硬化膜又は請求項12に記載の積層体を有する、半導体デバイス。
  16. 下記式(1-1)で表される繰返し単位を、樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含む、樹脂。
    Figure 0007254194000080

    式(1-1)中、Xは、芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける、式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい有機基を表し、前記ヘテロ原子を含んでもよい有機基が、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基又はハロゲン原子により置換された炭化水素基であり、nは1以上の整数を表す。
  17. 下記式(1-1)で表される繰返し単位を、樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含み、
    前記樹脂に含まれる全ての下記式(1-1)で表される繰返し単位中の下記G 及び下記G の全モル量に対する、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基である前記G 又は前記G のモル量の割合が、20~100%であり、
    前記ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の有機基が、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基又はハロゲン原子により置換された炭化水素基である、樹脂。
    Figure 0007254194000081

    式(1-1)中、Xは、芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、Xにおける、式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Yは、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、Aは重合性基を含む基を表し、G及びGはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
  18. 下記式(1-1)で表される繰返し単位を、樹脂の全繰り返し単位に対して50モル%以上含み、
    前記樹脂に含まれる全ての下記式(1-1)で表される繰返し単位中の下記G 及び下記G の全モル量に対する、ポリアルキレンオキシ基を有する有機基である前記G 又は前記G のモル量の割合が、20~100%である、樹脂。
    Figure 0007254194000082

    式(1-1)中、X は、芳香族炭化水素基を含む4価の基を表し、X における、式(1-1)中の4つのカルボニル基との結合部位はいずれも芳香族炭化水素基であり、Y は、芳香族炭化水素基を含むn+2価の基を表し、A は重合性基を含む基を表し、G 及びG はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上の整数を表す。
  19. 酸価が0~2.0mmol/gである、請求項16~18のいずれか1項に記載の樹脂。
  20. 請求項16~19のいずれか1項に記載の樹脂の製造方法であって、
    2つのニトロ基、少なくとも1つの反応性基、及び、芳香族炭化水素基を有する化合物Aと、前記反応性基と結合を形成可能である基、及び、重合性基を有する化合物Bとを反応させ、化合物Aと化合物Bが結合した化合物Cを得た後に、前記化合物Cにおけるニトロ基を還元して、芳香族炭化水素基を有するジアミンを得る工程、並びに、
    前記ジアミンと、4つのカルボキシ基がいずれも芳香族炭化水素基に結合した構造を有する4価カルボン酸化合物、又は、前記4価カルボン酸化合物の誘導体と、を反応させる工程、を含む
    樹脂の製造方法。
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