JP7374189B2 - ネガ型硬化性組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス - Google Patents

ネガ型硬化性組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス Download PDF

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Description

本発明は、ネガ型硬化性組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイスに関する。
ポリイミド樹脂は、耐熱性及び絶縁性等に優れるため、様々な用途に適用されている。
上記用途としては特に限定されないが、実装用の半導体デバイスを例に挙げると、絶縁膜や封止材の材料、又は、保護膜としての利用が挙げられる。また、フレキシブル基板のベースフィルムやカバーレイなどとしても用いられている。
例えば上述した用途において、ポリイミド樹脂は、アルカリ可溶性ポリイミド樹脂を含むネガ型硬化性組成物の形態で用いられる。
このようなネガ型硬化性組成物を、例えば塗布等により基材に適用し、その後、必要に応じて露光、現像、加熱等を行うことにより、硬化した樹脂を基材上に形成することができる。
ネガ型硬化性組成物は、公知の塗布方法等により適用可能であるため、例えば、適用されるネガ型硬化性組成物の形状、大きさ、適用位置等の設計の自由度が高いなど、製造上の適応性に優れるといえる。ポリイミド等が有する高い性能に加え、このような製造上の適応性に優れる観点から、アルカリ可溶性ポリイミドを含むネガ型硬化性組成物の産業上の応用展開がますます期待されている。
例えば、特許文献1には、アルカリ可溶性ポリイミド(a)、不飽和結合含有化合物(b)、熱架橋性化合物(c)及び特定の構造を有する光重合開始剤(d)を含有する、ことを特徴とする感光性樹脂組成物が記載されている。
国際公開第2018/173840号
アルカリ可溶性ポリイミドを含むネガ型硬化性組成物において、得られる硬化物の破断伸びに優れたネガ型硬化性組成物の提供が望まれている。
本発明は、得られる硬化膜の破断伸びに優れるネガ型硬化性組成物、上記ネガ型硬化性組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスを提供することを目的とする。
本発明の代表的な実施態様の例を以下に示す。
<1> アルカリ可溶性ポリイミド、
光重合開始剤、及び、
共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤を含有する、
ネガ型硬化性組成物。
<2> 上記2官能架橋剤が、ポリオキシアルキレン基を含む、<1>に記載のネガ型硬化性組成物。
<3> 上記2官能架橋剤が上記光重合開始剤の感光によって重合反応を生じる化合物を含む、<1>又は<2>に記載のネガ型硬化性組成物。
<4> 上記2官能架橋剤が熱架橋剤を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<5> 上記アルカリ可溶性ポリイミドがフッ素原子を有する、<1>~<4>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<6> 上記アルカリ可溶性ポリイミドがケイ素原子を有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<7> 上記アルカリ可溶性ポリイミドがエチレン性不飽和結合を有する、<1>~<6>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<8> 上記アルカリ可溶性ポリイミドがフェノール性ヒドロキシ基を有する、<1>~<7>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<9> スルホンアミド構造を有する化合物、及び、チオウレア構造を有する化合物よリなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を更に含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<10> 上記光重合開始剤がオキシム化合物である、<1>~<9>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<11> 尿素系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<12> エチレン性不飽和結合を3~6個有する化合物を更に含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<13> 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、<1>~<12>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物。
<14> <1>~<13>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物を硬化してなる硬化膜。
<15> <14>に記載の硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む積層体。
<16> <1>~<13>のいずれか1つに記載のネガ型硬化性組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
<17> 上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含む、<16>に記載の硬化膜の製造方法。
<18> 上記膜を、50~450℃で加熱する加熱工程を含む、<16>又は<17>に記載の硬化膜の製造方法。
<19> <14>に記載の硬化膜又は<15>に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
本発明によれば、得られる硬化膜の破断伸びに優れるネガ型硬化性組成物、上記ネガ型硬化性組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスが提供される。
以下、本発明の主要な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、明示した実施形態に限られるものではない。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた露光も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000、TSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。それらの分子量は特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、GPC測定における検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光層がある場合には、基材から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101,325Pa(1気圧)である。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(ネガ型硬化性組成物)
本発明のネガ型硬化性組成物は、アルカリ可溶性ポリイミド、光重合開始剤、及び、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤(以下、「特定2官能架橋剤」ともいう。)を含有する。
本発明のネガ型硬化性組成物は、後述するスルホンアミド構造を有する化合物、及び、後述するチオウレア構造を有する化合物よリなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を更に含むことが好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物は、後述する尿素系架橋剤及び後述するメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含むことが好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物は、エチレン性不飽和結合を3~6個有する化合物を更に含むことが好ましい。
また、本発明のネガ型硬化性組成物は、露光後に現像に供された場合に非露光部が現像により除去される組成物である。
本発明のネガ型硬化性組成物は、上記組成物により得られる硬化膜の破断伸びに優れる。
上記効果が得られるメカニズムは不明であるが、下記のように推測される。
ネガ型硬化性組成物は、基材等に適用した後に、加熱等により硬化膜を得る、という用途に用いられる。また、必要に応じて、例えば加熱前に露光及び現像によりパターニングが行われてもよい。
ここで、従来使用されている、アルカリ可溶性ポリイミドを含むネガ型硬化性組成物を用いて形成される硬化膜においては、硬化膜の破断伸びに、更なる改善の余地があった。
そこで本発明者らは鋭意検討した結果、架橋剤として、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤を用いることにより、硬化膜の破断伸びが向上することを見出した。
上記効果が得られる理由は定かではないが、上記2官能架橋剤は、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れていることから、硬化後の構造が比較的柔らかい構造となるため、硬化膜の破断伸びが向上するのではないかと推測される。
ここで、特許文献1には、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤を用いることにより、硬化膜の破断伸びが向上することについては、記載も示唆もない。
以下、本発明のネガ型硬化性組成物に含まれる成分について詳細に説明する。
<アルカリ可溶性ポリイミド>
本発明のネガ型硬化性組成物は、アルカリ可溶性ポリイミドを含む。
本明細書において、アルカリ可溶性ポリイミドとは、100gの2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液に対し、23℃で0.1g以上溶解するポリイミドをいい、パターン形成性の観点からは、0.5g以上溶解するポリイミドであることが好ましく、1.0g以上溶解するポリイミドであることが更に好ましい。上記溶解量の上限は特に限定されないが、100g以下であることが好ましい。
また、アルカリ可溶性ポリイミドは、得られる硬化膜の破断伸び及び絶縁性の観点からは、複数個のイミド構造を主鎖に有するポリイミドであることが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖をいい、「側鎖」とはそれ以外の結合鎖をいう。
〔フッ素原子〕
得られる硬化膜の破断伸びの観点からは、アルカリ可溶性ポリイミドは、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ素原子は、例えば、後述する式(1-1)で表される構造におけるR115、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(1-1)で表される構造におけるR115、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131にフッ化アルキル基として含まれることがより好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドの全質量に対するフッ素原子の量は、1~50mol/gであることが好ましく、5~30mol/gであることがより好ましい。
〔ケイ素原子〕
得られる硬化膜の破断伸びの観点からは、アルカリ可溶性ポリイミドは、ケイ素原子を有することが好ましい。
ケイ素原子は、例えば、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に後述する有機変性(ポリ)シロキサン構造として含まれることがより好ましい。
また、上記ケイ素原子又は上記有機変性(ポリ)シロキサン構造はアルカリ可溶性ポリイミドの側鎖に含まれていてもよいが、アルカリ可溶性ポリイミドの主鎖に含まれることが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドの全質量に対するケイ素原子の量は、0.01~5mol/gであることが好ましく、0.05~1mol/gであることがより好ましい。
〔エチレン性不飽和結合〕
得られる硬化膜の破断伸びの観点からは、アルカリ可溶性ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を主鎖末端に有していてもよいし、側鎖に有していてもよいが、側鎖に有することが好ましい。
上記エチレン性不飽和結合は、ラジカル重合性を有することが好ましい。
エチレン性不飽和結合は、後述する式(1-1)で表される構造におけるR115、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(1-1)で表される構造におけるR115、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
これらの中でも、エチレン性不飽和結合は、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基等の芳香環に直接結合した、置換されていてもよいビニル基を有する基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロイルオキシ基、下記式(III)で表される基などが挙げられる。
式(III)中、R200は、水素原子、メチル基、エチル基又はメチロール基を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(III)中、R201は、炭素数2~12のアルキレン基、-O-CHCH(OH)CH-、-C(=O)O-、-O(C=O)NH-、炭素数2~30の(ポリ)オキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数は2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2又は3が特に好ましい;繰り返し数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい)、又はこれらを2以上組み合わせた基を表す。
なお、(ポリ)オキシアルキレン基とは、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を意味する。
これらの中でも、R201は下記式(R1)~式(R3)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(R1)で表される基であることがより好ましい。
式(R1)~(R3)中、Lは単結合、又は、炭素数2~12のアルキレン基、炭素数2~30の(ポリ)オキシアルキレン基若しくはこれらを2以上結合した基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、*は他の構造との結合部位を表し、●は式(III)中のR201が結合する酸素原子との結合部位を表す。
式(R1)~(R3)中、Lにおける炭素数2~12のアルキレン基、又は、炭素数2~30の(ポリ)オキシアルキレン基の好ましい態様は、上述のR201における、炭素数2~12のアルキレン基、又は、炭素数2~30の(ポリ)オキシアルキレン基の好ましい態様と同様である。
式(R1)中、Xは酸素原子であることが好ましい。
式(R1)~(R3)中、*は式(III)中の*と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(R1)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、イソシアナト基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2-イソシアナトエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R2)で表される構造は、例えば、カルボキシ基を有するポリイミドと、ヒドロキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R3)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、グリシジル基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、グリシジルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(III)中、*は他の構造との結合部位を表し、ポリイミドの主鎖との結合部位であることが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合の量は、0.05~10mol/gであることが好ましく、0.1~5mol/gであることがより好ましい。
〔エチレン性不飽和結合以外の架橋性基〕
アルカリ可溶性ポリイミドは、エチレン性不飽和結合以外の架橋性基を有していてもよい。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基としては、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、メトキシメチル基等のアルコキシメチル基、メチロール基等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基は、例えば、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合以外の架橋性基の量は、0.05~10mol/gであることが好ましく、0.1~5mol/gであることがより好ましい。
〔酸価〕
現像性を向上する観点からは、アルカリ可溶性ポリイミドの酸価は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、70mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
また、上記酸価は500mgKOH/g以下であることが好ましく、400mgKOH/g以下であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
上記酸価は、公知の方法により測定され、例えば、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される。
また、アルカリ可溶性ポリイミドに含まれる酸基としては、保存安定性及び現像性の両立の観点から、pKaが0~10である酸基が好ましく、3~8である酸基がより好ましい。
pKaとは、酸から水素イオンが放出される解離反応を考え、その平衡定数Kaをその負の常用対数pKaによって表したものである。本明細書において、pKaは、特に断らない限り、ACD/ChemSketch(登録商標)による計算値とする。又は、日本化学会編「改定5版 化学便覧 基礎編」に掲載の値を参照してもよい。
また、酸基が例えばリン酸等の多価の酸である場合、上記pKaは第一解離定数である。
このような酸基として、アルカリ可溶性ポリイミドは、カルボキシ基、及び、フェノール性ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を含むことがより好ましい。
〔フェノール性ヒドロキシ基〕
アルカリ現像液による現像速度を適切なものとする観点からは、アルカリ可溶性ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を主鎖末端に有してもよいし、側鎖に有してもよい。
フェノール性ヒドロキシ基は、例えば、後述する式(1-1)で表される構造におけるR115、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(2-1)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドの全質量に対するフェノール性ヒドロキシ基の量は、0.1~30mol/gであることが好ましく、1~20mol/gであることがより好ましい。
〔式(1-1)で表される構造〕
また、アルカリ可溶性ポリイミドは、下記式(1-1)で表される構造を有することが好ましく、下記式(1-1)で表される構造を主鎖に有することが好ましい。
式(1-1)中、R115は4価の有機基を表す。
-R115
上記式(1-1)中、R115は、芳香環を含む4価の有機基が好ましく、下記式(1-2)又は式(1-3)で表される基がより好ましい。
式(1-2)中、R112は、2価の連結基であり、単結合、若しくは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-NHC(=O)-、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基、-O-、-C(=O)-、-S-及びS(=O)-から選択される基であることがより好ましく、-CH-、-O-、-S-、-S(=O)-、-C(CF-、及び、-C(CH-よりなる群から選択される2価の基であることが更に好ましい。*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式(1-1)におけるR115が表す4価の有機基は、具体的には、テトラカルボン酸二無水物から酸二無水物基を除去した後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。テトラカルボン酸二無水物は、下記式(1-4)で表される化合物が好ましい。
式(1-4)中、R115は、4価の有機基を表す。R115は式(1-1)におけるR115と同義であり、好ましい態様も同様である。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ジフェニルヘキサフルオロプロパン-3,3,4,4-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、並びに、これらの炭素数1~6のアルキル誘導体及び炭素数1~6のアルコキシ誘導体から選ばれる少なくとも1種が例示される。
また、下記に示すテトラカルボン酸二無水物(DAA-1)~(DAA-5)も好ましい例として挙げられる。
〔式(2-1)で表される繰返し単位〕
また、アルカリ可溶性ポリイミドは、下記式(2-1)で表される繰返し単位を有することが好ましく、下記式(2-1)で表される繰返し単位を主鎖に有することが好ましい。
式(2-1)中、R131は、2価の有機基を表し、R132は、4価の有機基を表す。
-R131
式(2-1)中、R131が表す2価の有機基としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、芳香族基、有機変性(ポリ)シロキサン構造又はこれらを2以上組み合わせた基が例示され、炭素数2~20の直鎖の脂肪族基、炭素数3~20の分岐の脂肪族基、炭素数3~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、有機変性(ポリ)シロキサン構造又は、これらを2以上組み合わせた基が好ましく、炭素数6~20の芳香族炭化水素基がより好ましい。
上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、上記環状の脂肪族基、又は、芳香族基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、上述のエチレン性不飽和結合を有する基、上述のエチレン性不飽和結合以外の架橋性基等が挙げられる。
上記有機変性(ポリ)シロキサン構造には、シロキサン構造を1つのみ含む有機変性シロキサン構造、及び、シロキサン構造を2以上含む有機変性ポリシロキサン構造の両方が含まれる。
上記有機変性(ポリ)シロキサン構造としては、下記式(SI-1)で表される構造が好ましい。
式(SI-1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rのうち少なくとも1つは有機基を表し、nは1以上の整数を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式(SI-1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基が更に好ましく、メチル基又はフェニル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、Rのうち少なくとも1つは有機基を表し、式(SI-1)中の複数のSiのそれぞれに結合する2つのRのうち少なくとも一方が有機基であることが好ましく、式(SI-1)中のRの全てが有機基であることがより好ましい。
式(SI-1)中、nは1以上の整数を表し、1~11の整数であることが好ましく、1~3の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
また、R131が有機変性(ポリ)シロキサン構造を含む場合、R131は下記式(SI-2)で表される構造であることが好ましい。
式(SI-2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rのうち少なくとも1つは有機基を表し、Lは、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、芳香族基又はこれらを2以上組み合わせた基を表し、Lは、-Si(R-、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、芳香族基又はこれらを2以上組み合わせた基を表し、nは1以上の整数を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式(SI-2)中、R及びnは上述の式(SI-1)におけるR及びnと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(SI-2)中、Lは、炭素数2~20の直鎖の脂肪族基、炭素数3~20の分岐の脂肪族基、炭素数3~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、又は、これらを2以上組み合わせた基が好ましく、炭素数2~20の直鎖の脂肪族基がより好ましい。
式(SI-2)中、Lは、炭素数2~20の直鎖の脂肪族基、炭素数3~20の分岐の脂肪族基、炭素数3~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、又は、これらを2以上組み合わせた基が好ましく、炭素数2~20の直鎖の脂肪族基がより好ましい。
また、Lは*-Si(R-L-*で表される基も好ましい。Rは上述の通りであり、*は式(Si-2)中の酸素原子との結合部位を表し、Lは上述のLと同義であり、好ましい態様も同様であり、*は式(SI-2)中のLが結合する*と同義である。
式(2-1)におけるR131は、ジアミンから誘導されることが好ましい。アルカリ可溶性ポリイミドの製造に用いられるジアミンとしては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族、環状の脂肪族又は芳香族ジアミン、上記式(SI-2)で表される構造において、2つの*がいずれもアミノ基に結合する化合物などが挙げられる。ジアミンは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
具体的には、ジアミンは、炭素数2~20の直鎖脂肪族基、炭素数3~20の分岐鎖状又は環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、有機変性(ポリ)シロキサン構造、又は、これらを2以上組み合わせた基を含むジアミンであることが好ましく、炭素数6~20の芳香族基を含むジアミンであることがより好ましい。
上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、上記環状の脂肪族基、又は、芳香族基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、上述のエチレン性不飽和結合を有する基、上述のエチレン性不飽和結合以外の架橋性基等が挙げられる。また、エチレン性不飽和結合を有する基は、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基等の官能基を有するジアミンを用いてポリイミド又はその前駆体化合物を製造した後に、上記官能基と反応する基(例えば、イソシアナト基、ヒドロキシ基、エポキシ基等)及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を上記ポリイミド又はその前駆体化合物と反応させることにより導入してもよい。
芳香族基を含む基の例としては、下記が挙げられる。
式中、Aは、単結合、若しくは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-NHC(=O)-、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基、-O-、-C(=O)-、-S-及びS(=O)-から選択される基であることがより好ましく、-CH-、-O-
、-S-、-S(=O)-、-C(CF-、及び、-C(CH-よりなる群から選択される2価の基であることが更に好ましい。
また、上記AR-1~上記AR-10において、ベンゼン環に結合する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシ基又はチオール基で置換された構造も好ましく挙げられる。
これらの中でも、AR-1~AR-3におけるベンゼン環に結合する水素原子のうち、1つ若しくは2つがヒドロキシ基若しくはチオール基で置換された構造、又は、AR-5~AR-10における2つのベンゼン環のうち、一方のベンゼン環に結合する水素原子のうち1つと、他方のベンゼン環に結合する水素原子のうち1つとがヒドロキシ基又はチオール基で置換された構造が好ましい。
ジアミンとしては、具体的には、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン;1,2-又は1,3-ジアミノシクロペンタン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス-(3-アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルシクロヘキシルメタン又はイソホロンジアミン;メタ又はパラフェニレンジアミン、2,5-ジヒドロキシ-p-フェニレンジアミン、2,5-ジメルカプト-p-フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4,4’-又は3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-又は3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-又は3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-又は3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-又は3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジアミノパラテルフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)-10-ヒドロアントラセン、3,3’,4,4’-テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラアミノジフェニルエーテル、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、3,3-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジメチル-3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2-(3’,5’-ジアミノベンゾイルオキシ)エチルメタクリレート、2,4-又は2,5-ジアミノクメン、2,5-ジメチル-パラフェニレンジアミン、アセトグアナミン、2,3,5,6-テトラメチル-パラフェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-メタフェニレンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,7-ジアミノフルオレン、2,5-ジアミノピリジン、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノ安息香酸のエステル、1,5-ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5-ビス(4-アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7-ビス(4-アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、パラビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’-ビス(3-アミノ-5-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2’,5,5’,6,6’-ヘキサフルオロトリジン及び4,4’-ジアミノクアテルフェニルから選ばれる少なくとも1種のジアミンが挙げられる。
また、下記に示すジアミン(DA-1)~(DA-18)も好ましい。
また、少なくとも2つのアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミンも好ましい例として挙げられる。好ましくは、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか一方又は両方を一分子中にあわせて2つ以上含むジアミン、より好ましくは上記ジアミンであって、芳香環を含まないジアミンである。具体例としては、ジェファーミン(登録商標)KH-511、ジェファーミン(登録商標)ED-600、ジェファーミン(登録商標)ED-900、ジェファーミン(登録商標)ED-2003、ジェファーミン(登録商標)EDR-148、ジェファーミン(登録商標)EDR-176、D-200、D-400、D-2000、D-4000(以上商品名、HUNTSMAN社製)、1-(2-(2-(2-アミノプロポキシ)エトキシ)プロポキシ)プロパン-2-アミン、1-(1-(1-(2-アミノプロポキシ)プロパン-2-イル)オキシ)プロパン-2-アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジェファーミン(登録商標)KH-511、ジェファーミン(登録商標)ED-600、ジェファーミン(登録商標)ED-900、ジェファーミン(登録商標)ED-2003、ジェファーミン(登録商標)EDR-148、ジェファーミン(登録商標)EDR-176の構造を以下に示す。
上記において、x、y、zは算術平均値である。
式(2-1)におけるR131は、得られる硬化膜の柔軟性の観点から、-Ar-L-Ar-で表されることが好ましい。Arは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が特に好ましい)であり、フェニレン基が好ましい。Lは、単結合、若しくは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-NHCO-、又は、これらを2以上組み合わせた基を表す。Lの好ましい範囲は、上述のAと同義である。
式(2-1)におけるR131は、i線透過率の観点から下記式(51)又は式(61)で表される2価の有機基であることが好ましい。特に、i線透過率、入手のし易さの観点から式(61)で表される2価の有機基であることがより好ましい。
式(51)中、R50~R57はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は1価の有機基であり、R50~R57の少なくとも1つはフッ素原子、メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フェノール性ヒドロキシ基、又は、チオール基であり、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
50~R57の1価の有機基としては、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)の無置換のアルキル基、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~6)のフッ化アルキル基、フェノール性ヒドロキシ基、チオール基等が挙げられる。
式(61)中、R58及びR59は、それぞれ独立にフッ素原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、又は、トリフルオロメチル基である。
式(51)又は(61)の構造を与えるジアミン化合物としては、ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(フルオロ)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。これらの1種を用いるか、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他に以下のジアミンも好適に使用できる。
-R132
式(2-1)中、R132が表す4価の有機基としては、上述の式(1-1)におけるR115と同様の基が例示され、好ましい範囲も同様である。
-含有量-
アルカリ可溶性ポリイミドは、式(2-1)で表される繰返し単位を、1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
本発明におけるアルカリ可溶性ポリイミドの一実施形態として、全繰返し単位の50モル%以上、更には70モル%以上、特には90モル%以上が式(2-1)で表される繰返し単位であるアルカリ可溶性ポリイミドが例示される。上限としては100モル%以下が実際的である。
〔分子量〕
アルカリ可溶性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000~500,000であり、より好ましくは2,500~100,000であり、更に好ましくは3,000~50,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは800~250,000であり、より好ましくは、1,500~50,000であり、更に好ましくは、2,000~25,000である。
アルカリ可溶性ポリイミドの分子量の分散度は、1.5~3.5が好ましく、2~3がより好ましい。
また、現像性の観点では、アルカリ可溶性ポリイミドの分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、7.0以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましい
本明細書において、分子量の分散度とは、重量平均分子量を数平均分子量により除した値(重量平均分子量/数平均分子量)をいう。
〔具体例〕
アルカリ可溶性ポリイミドとしては、例えば、実施例で使用したアルカリ可溶性ポリイミドが挙げられるが、これに限定されるものではない。
〔合成方法〕
アルカリ可溶性ポリイミドは、例えば、実施例に記載の方法により得られる。
具体的には、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応させて前駆体化合物を得た後、加熱することによりアルカリ可溶性ポリイミドが得られる。また、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体を、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させて得られた前駆体化合物を加熱することによりアルカリ可溶性ポリイミドが得られる。
上記前駆体化合物又はポリイミドがヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基等の官能基を有する場合、上記前駆体化合物又はポリイミドに対し、上記官能基と反応する基(例えば、イソシアナト基、ヒドロキシ基、エポキシ基等)及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を上記ポリイミド又はその前駆体化合物と反応させ、前駆体化合物の場合はこれを加熱等により環化することにより、エチレン性不飽和結合を有するポリイミドが得られる。
〔イミド化率(閉環率)〕
アルカリ可溶性ポリイミドのイミド化率(「閉環率」ともいう)は、得られる硬化膜の破断伸び、絶縁性等の観点からは、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
上記イミド化率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記イミド化率は、例えば下記方法により測定される。
アルカリ可溶性ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造由来の吸収ピークである1377cm-1付近のピーク強度P1を求める。次に、そのアルカリ可溶性ポリイミドを350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm-1付近のピーク強度P2を求める。得られたピーク強度P1、P2を用い、下記式に基づいて、アルカリ可溶性ポリイミドのイミド化率を求めることができる。
イミド化率(%)=(ピーク強度P1/ピーク強度P2)×100
〔含有量〕
本発明のネガ型硬化性組成物における、アルカリ可溶性ポリイミドの含有量は、ネガ型硬化性組成物の全固形分に対し20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが一層好ましい。また、本発明のネガ型硬化性組成物における、アルカリ可溶性ポリイミドの含有量は、ネガ型硬化性組成物の全固形分に対し、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましく、97質量%以下であることが一層好ましく、95質量%以下であることがより一層好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物は、アルカリ可溶性ポリイミドを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<光ラジカル発生剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、光ラジカル発生剤を含む。
光ラジカル発生剤としては、特に制限はなく、例えば、光ラジカル重合開始剤として公知の化合物の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
光ラジカル発生剤は、約300~800nm(好ましくは330~500nm)の範囲内の波長の光に対して少なくとも約50L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶剤を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光ラジカル発生剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182、国際公開第2015/199219号の段落0138~0151の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ケトン化合物としては、例えば、特開2015-087611号公報の段落0087に記載の化合物が例示され、この内容は本明細書に組み込まれる。市販品では、カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製)も好適に用いられる。
光ラジカル発生剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10-291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE 184(IRGACUREは登録商標)、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IRGACURE-2959、IRGACURE 127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASF社製)、Omnirad 907、Omnirad 369、及び、Omnirad 379(いずれもIGM Resins社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の波長光源に吸収極大波長がマッチングされた特開2009-191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE-819やIRGACURE-TPO(商品名:いずれもBASF社製)、Omnirad 819やOmnirad TPO(いずれもIGM Resins社製)を用いることができる。
メタロセン化合物としては、IRGACURE-784(BASF社製)などが例示される。
光ラジカル発生剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物を用いることにより、露光ラチチュードをより効果的に向上させることが可能になる。
オキシム化合物は、露光ラチチュード(露光マージン)が広く、かつ、光硬化促進剤としても働くため、特に好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物を用いることができる。
好ましいオキシム化合物としては、例えば、下記の構造の化合物や、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。本発明のネガ型硬化性組成物においては、特に光ラジカル発生剤としてオキシム化合物(オキシム系の光ラジカル発生剤)を用いることが好ましい。光ラジカル発生剤であるオキシム化合物は、分子内に >C=N-O-C(=O)- で表される連結基を有する。
市販品ではIRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02、IRGACURE OXE 03、IRGACURE OXE 04(以上、BASF社製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光ラジカル重合開始剤2)も好適に用いられる。また、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI-831及びアデカアークルズNCI-930((株)ADEKA製)も用いることができる。また、DFI-091(ダイトーケミックス(株)製)を用いることができる。
下記の構造のオキシム化合物を用いることもできる。
また、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることも可能である。そのようなオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載されている化合物、特表2014-500852号公報の段落0345に記載されている化合物24、36~40、特開2013-164471号公報の段落0101に記載されている化合物(C-3)などが挙げられる。
最も好ましいオキシム化合物としては、特開2007-269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009-191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物などが挙げられる。
光ラジカル発生剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3-アリール置換クマリン化合物よりなる群から選択される化合物が好ましい。
更に好ましい光ラジカル発生剤は、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α-アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が一層好ましく、メタロセン化合物又はオキシム化合物を用いるのがより一層好ましく、オキシム化合物が更に一層好ましい。
また、光ラジカル発生剤は、ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’-テトラアルキル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等の芳香環と縮環したキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体などを用いることもできる。また、下記式(I)で表される化合物を用いることもできる。
式(I)中、RI00は、炭素数1~20のアルキル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2~20のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、フェニル基、又は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、ハロゲン原子、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素数2~12のアルケニル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2~18のアルキル基及び炭素数1~4のアルキル基の少なくとも1つで置換されたフェニル基、若しくはビフェニル基であり、RI01は、式(II)で表される基であるか、RI00と同じ基であり、RI02~RI04は各々独立に炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基又はハロゲン原子である。
式中、RI05~RI07は、上記式(I)のRI02~RI04と同じである。
また、光ラジカル発生剤は、国際公開第2015/125469号の段落0048~0055に記載の化合物を用いることもできる。
光ラジカル発生剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは0.5~15質量%であり、一層好ましくは1.0~10質量%である。光ラジカル発生剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光ラジカル発生剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔熱ラジカル発生剤〕
本発明のネガ型硬化性組成物は、熱ラジカル発生剤を更に含んでもよい。
熱ラジカル発生剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル発生剤を添加することによって、加熱時にラジカル重合反応がさらに進行するため、より架橋密度を向上できる場合がある。
熱ラジカル発生剤として、具体的には、特開2008-063554号公報の段落0074~0118に記載されている化合物が挙げられる。
熱ラジカル発生剤を含む場合、その含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは5~15質量%である。熱ラジカル発生剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。熱ラジカル発生剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<特定2官能架橋剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤(特定2官能架橋剤)を含有する。
2官能架橋剤とは、重合基を2つ有する架橋剤をいう。
特定2官能架橋剤において、重合基としては、エチレン性不飽和基、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、メトキシメチル基等のアルコキシメチル基に含まれるアルコキシ基、メチロール基等が挙げられる。
特定2官能架橋剤は、重合基として、異なる種類の2つの重合基を含んでもよいが、同一である種類の2つの重合基を含むことが好ましい。
共有結合による環状構造としては、芳香環炭化水素環構造、脂肪族炭化水素環構造、芳香族複素環構造、脂肪族複素環構造等が挙げられる。
共有結合による環状構造を重合基以外に有さない、とは、重合基として環状エーテル基等の共有結合による環状構造を有してもよいが、2つの重合基以外の箇所には共有結合による環構造を有しないことをいう。
重合基同士の距離とは、上記重合基の間に含まれる原子数をいい、上記原子数の算出において上記重合基に含まれる原子は含まれないものとする。
重合基がエチレン性不飽和基、又は、環状エーテル基である場合、重合基同士の距離とは、重合により形成される重合鎖との分岐点と別の重合鎖との分岐点とを結ぶ原子の数のうち最小の数をいい、上記原子数の算出において上記分岐点に含まれる原子は含まれないものとする。
重合基がメトキシ基等のアルコキシ基、又は、メチロール基である場合、重合基同士の距離とは、これらの重合基のうち、一方の重合基に含まれる酸素原子と、他方の酸素原子とを結ぶ原子の数のうち最小の数をいい、上記原子数の算出において上記酸素原子は含まれないものとする。
下記各式中、斜体で記載された数字が付された原子が、重合基の距離を算出する際に含まれる原子である。
例えば下記式(B-3)で表される化合物において、重合基同士の距離は15原子であり、下記式(B-5)で表される化合物において、重合基同士の距離は12原子であり、下記式(B-9)で表される化合物において、重合基同士の距離は10原子であり、下記式(D-2)で表される化合物において、重合基同士の距離は15原子であり、下記式(K-1)で表される化合物において、重合基同士の距離は12原子である。
上記重合基同士の距離は、12原子以上であればよいが、12~50原子であることが好ましく、14~30原子であることがより好ましい。
上記重合基がエチレン性不飽和基である場合、特定2官能架橋剤は、上記重合基を含む基として、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、又は、(メタ)アクリロキシ基を含むことが好ましく、(メタ)アクリロキシ基を含むことがより好ましく、メタクリロキシ基を含むことがより好ましい。
また、上記重合基がエチレン性不飽和基である場合、上記重合基はラジカル重合性を有する基であることが好ましい。
上記重合基が環状エーテル基である場合、特定2官能架橋剤は、上記重合基を含む基として、エポキシ基を含む基、又は、オキセタニル基を含む基を含むことが好ましく、グリシジル基を含むことがより好ましい。
上記重合基がアルコキシ基、又は、メチロール基である場合、重合基を含む基は、アルコキシメチル基又はメチロール基であることが好ましく、メトキシメチル基又はメチロール基であることがより好ましい。
特定2官能架橋剤は、ポリオキシアルキレン基を含むことが好ましい。
また、特定2官能架橋剤における2つの重合基がポリオキシアルキレン基を含む構造により連結されていることが好ましい。
本発明において、ポリオキシアルキレン基とは、オキシアルキレン基が2以上直接結合した基をいう。ポリオキシアルキレン基に含まれる複数のオキシアルキレン基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリオキシアルキレン基が、アルキレン基が異なる複数種のオキシアルキレン基を含む場合、ポリオキシアルキレン基におけるオキシアルキレン基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
上記アルキレン基の炭素数(アルキレン基が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む)は、2以上であることが好ましく、2~50であることがより好ましく、2~30であることがより好ましく、2~10であることが更に好ましく、2~6であることが一層好ましく、2~4であることが特に好ましく、2又は3であることが最も好ましい。
また、上記アルキレン基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレン基に含まれるオキシアルキレン基の数(ポリオキシアルキレン基の繰り返し数)は、2~100が好ましく、2~50がより好ましく、2~30が更に好ましく、2~10が特に好ましく、3~10が最も好ましい。
ポリオキシアルキレン基としては、破断伸びの向上の観点からは、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシトリメチレン基、ポリオキシテトラメチレン基、又は、複数のオキシエチレン基と複数のオキシプロピレン基とが結合した基が好ましく、ポリオキシエチレン基又はポリオキシプロピレン基がより好ましく、ポリオキシエチレン基が更に好ましい。上記複数のオキシエチレン基と複数のオキシプロピレン基とが結合した基において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるオキシエチレン基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
また、ポリオキシプロピレン基、又は、上記複数のオキシエチレン基と複数のオキシプロピレン基とが結合した基に含まれるオキシプロピレン基はそれぞれ独立に、オキシ1-メチルエチレン基(下記式(P1))とオキシ2-メチルエチレン基(下記式(P2))のいずれであってもよい。
式(P1)及び式(P2)中、*は他の構造との結合部位を表す。
特定2官能架橋剤は、上記光重合開始剤の感光によって重合反応を生じる化合物を含むことが好ましい。
具体的には、上記光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、上記2官能架橋剤がラジカル架橋剤であることが好ましく、上記光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、特定2官能架橋剤が重合基としてラジカル重合性基であるエチレン性不飽和基を2つ含む化合物であることがより好ましく、上記光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤であり、上記特定2官能架橋剤が重合基として(メタ)アクリロキシ基を2つ含む化合物であることが更に好ましい。
特定2官能架橋剤は、熱架橋剤を含むことが好ましい。
熱架橋剤である特定2官能架橋剤としては、重合基として、上述の環状エーテル基、アルコキシ基、及び、メチロール基よりなる群から選ばれた基を2つ含む化合物が好ましく、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシメチル基、又は、メチロール基を2つ含む化合物がより好ましく、グリシジル基、又は、メチロール基を2つ含む化合物が更に好ましい。
特定2官能架橋剤の分子量は、200~2,000であることが好ましく、250~1,000であることがより好ましく、250~800であることが更に好ましい。
特定2官能架橋剤の具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、アルキレンジオールジグリシジルエーテル等の化合物のうち、上述の重合基同士の距離が12原子以上である化合物が挙げられる。
これらの中でも、得られる硬化膜の破断伸びを向上する観点からは、特定2官能架橋剤としては、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、又は、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルが好ましく、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又はポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルにおけるアルキレングリコール単位の繰返し数は、3~16が好ましく、3~6がより好ましい。
上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又はポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルにおけるアルキレングリコール単位は、エチレングリコール単位又はプロピレングリコール単位であることが好ましく、エチレングリコール単位であることがより好ましい。
特定2官能架橋剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、1~60質量%であることが好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物は、特定2官能架橋剤を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。特定2官能架橋剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<他のラジカル架橋剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、特定2官能架橋剤以外の他のラジカル架橋剤を更に含むことが好ましい。
本発明において、特定2官能架橋剤に該当する化合物は、他のラジカル架橋剤には該当しないものとする。
すなわち、他のラジカル架橋剤とは、2官能以外のラジカル架橋剤であるか、上述の重合基同士の距離が12原子未満であるラジカル架橋剤である。
他のラジカル架橋剤は、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を含む基が好ましい。上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。
これらの中でも、上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性の観点からは、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
他のラジカル架橋剤は、エチレン性不飽和結合を1個以上有する化合物であればよいが、2以上有する化合物であることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を2個有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を2個有する化合物であることが好ましい。
また、得られる硬化膜の破断伸びの観点からは、本発明のネガ型硬化性組成物は、他のラジカル架橋剤として、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物を含むことが好ましい。上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を3~15個有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を3~10個有する化合物がより好ましく、3~6個有する化合物が更に好ましい。
また、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を3個以上有する化合物であることが好ましく、3~15個有する化合物であることがより好ましく、3~10個有する化合物であることが更に好ましく、3~6個有する化合物であることが特に好ましい。
また、得られる硬化膜の破断伸びの観点からは、本発明のネガ型硬化性組成物は、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物と、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物とを含むことも好ましい。
他のラジカル架橋剤の分子量は、2,000以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、900以下が更に好ましい。ラジカル架橋剤の分子量の下限は、100以上が好ましい。
他のラジカル架橋剤の具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシ基やアミノ基、スルファニル基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲノ基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0113~0122の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、他のラジカル架橋剤は、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。
その例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後、(メタ)アクリレート化した化合物、特公昭48-041708号公報、特公昭50-006034号公報、特開昭51-037193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48-064183号、特公昭49-043191号、特公昭52-030490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。また、特開2008-292970号公報の段落0254~0257に記載の化合物も好適である。また、多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、上述以外の好ましい他のラジカル架橋剤として、特開2010-160418号公報、特開2010-129825号公報、特許第4364216号公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物や、カルド樹脂も使用することが可能である。
更に、その他の例としては、特公昭46-043946号公報、特公平01-040337号公報、特公平01-040336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平02-025493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、特開昭61-022048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含む化合物を用いることもできる。更に日本接着協会誌 vol.20、No.7、300~308ページ(1984年)に光重合性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
上記のほか、特開2015-034964号公報の段落0048~0051に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0087~0131に記載の化合物も好ましく用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開平10-062986号公報において式(1)及び式(2)としてその具体例と共に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、他のラジカル架橋剤として用いることができる。
更に、特開2015-187211号公報の段落0104~0131に記載の化合物も他のラジカル架橋剤として用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
他のラジカル架橋剤としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D-320;日本化薬(株)製、A-TMMT:新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A-DPH;新中村化学工業社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール残基又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
他のラジカル架橋剤の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR-494、サートマー社製の231、239、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA-60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA-330、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(日本製紙社製)、NKエステルM-40G、NKエステル4G、NKエステルM-9300、NKエステルA-9300、UA-7200(新中村化学工業社製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社化学社製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)なども挙げられる。
他のラジカル架橋剤としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、他のラジカル架橋剤として、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する化合物を用いることもできる。
他のラジカル架橋剤は、カルボキシ基、リン酸基等の酸基を有するラジカル架橋剤であってもよい。酸基を有するラジカル架橋剤は、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル架橋剤がより好ましい。
特に好ましくは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル架橋剤において、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである化合物である。市販品としては、例えば、東亞合成(株)製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M-510、M-520などが挙げられる。
酸基を有するラジカル架橋剤の好ましい酸価は、0.1~40mgKOH/gであり、特に好ましくは5~30mgKOH/gである。ラジカル架橋剤の酸価が上記範囲であれば、製造上の取扱性に優れ、更には、現像性に優れる。一方、アルカリ現像する場合の現像速度の観点では、酸基を有するラジカル架橋剤の好ましい酸価は、0.1~300mgKOH/gであり、特に好ましくは1~100mgKOH/gである。また、重合性が良好である。上記酸価は、JIS K 0070:1992の記載に準拠して測定される。
本発明のネガ型硬化性組成物においては、硬化膜の弾性率制御に伴う反り抑制の観点から、他のラジカル架橋剤として、単官能ラジカル架橋剤を好ましく用いることができる。
単官能ラジカル架橋剤としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等のN-ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物類等が好ましく用いられる。単官能ラジカル架橋剤としては、露光前の揮発を抑制するため、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。
他のラジカル架橋剤としては、パターンの解像性と膜の伸縮性の観点から、2官能のメタアクリレート又はアクリレートを用いることが好ましい。
特定2官能架橋剤又は他のラジカル架橋剤の具体的な化合物としては、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、PEG200ジアクリレート(ポリエチレングリコールジアクリレートであって、ポリエチレングリコール鎖の式量が200程度のもの)、PEG200ジメタクリレート、PEG600ジアクリレート、PEG600ジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタリレート、2-ヒドロキシー3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸変性ジメタクリレート、その他ウレタン結合を有する2官能アクリレート、ウレタン結合を有する2官能メタクリレートを使用することができる。これらは必要に応じ、2種以上を混合し使用することができる。
その他、2官能以上のラジカル架橋剤としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
他のラジカル架橋剤を含有する場合、その含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、0質量%超60質量%以下であることが好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
ラジカル架橋剤は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を併用する場合にはその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<他の熱架橋剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、他の熱架橋剤を含んでもよい。
本発明において、特定2官能架橋剤に該当する化合物は、他の熱架橋剤には該当しないものとする。
すなわち、他の熱架橋剤とは、2官能以外の熱架橋剤であるか、上述の重合基同士の距離が12原子未満である熱架橋剤である。
他の熱架橋剤としては、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が酸の作用によって促進される基を分子内に複数個有する化合物であれば特に限定されないが、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物が好ましく、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が窒素原子に直接結合した構造を有する化合物がより好ましい。
他の熱架橋剤としては、例えば、メラミン、グリコールウリル、尿素、アルキレン尿素、ベンゾグアナミンなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドとアルコールを反応させ、上記アミノ基の水素原子をメチロール基又はアルコキシメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。これらの化合物の製造方法は特に限定されず、上記方法により製造された化合物と同様の構造を有する化合物であればよい。また、これらの化合物のメチロール基同士が自己縮合してなるオリゴマーであってもよい。
上記のアミノ基含有化合物として、メラミンを用いた熱架橋剤をメラミン系架橋剤、グリコールウリル、尿素又はアルキレン尿素を用いた熱架橋剤を尿素系架橋剤、アルキレン尿素を用いた熱架橋剤をアルキレン尿素系架橋剤、ベンゾグアナミンを用いたものをベンゾグアナミン系架橋剤という。
これらの中でも、本発明のネガ型硬化性組成物は、尿素系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、後述するグリコールウリル系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
メラミン系架橋剤の具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミンなどが挙げられる。
尿素系架橋剤の具体例としては、例えばモノヒドロキシメチル化グリコールウリル、ジヒドロキシメチル化グリコールウリル、トリヒドロキシメチル化グリコールウリル、テトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノメトキシメチル化グリコールウリル,ジメトキシメチル化グリコールウリル、トリメトキシメチル化グリコールウリル、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノメトキシメチル化グリコールウリル、ジメトキシメチル化グリコールウリル、トリメトキシメチル化グリコールウリル、テトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノプロポキシメチル化グリコールウリル、ジプロポキシメチル化グリコールウリル、トリプロポキシメチル化グリコールウリル、テトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノブトキシメチル化グリコールウリル、ジブトキシメチル化グリコールウリル、トリブトキシメチル化グリコールウリル、又は、テトラブトキシメチル化グリコールウリルなどのグリコールウリル系架橋剤;
ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等の尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化エチレン尿素又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノメトキシメチル化エチレン尿素、ジメトキシメチル化エチレン尿素、モノエトキシメチル化エチレン尿素、ジエトキシメチル化エチレン尿素、モノプロポキシメチル化エチレン尿素、ジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノブトキシメチル化エチレン尿素、又は、ジブトキシメチル化エチレン尿素などのエチレン尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化プロピレン尿素、ジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノメトキシメチル化プロピレン尿素、ジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノジエトキシメチル化プロピレン尿素、ジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノプロポキシメチル化プロピレン尿素、ジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノブトキシメチル化プロピレン尿素、又は、ジブトキシメチル化プロピレン尿素などのプロピレン尿素系架橋剤、
1,3-ジ(メトキシメチル)4,5-ジヒドロキシ-2-イミダゾリジノン、1,3-ジ(メトキシメチル)-4,5-ジメトキシ-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
ベンゾグアナミン系架橋剤の具体例としては、例えばモノヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン。トリヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、モノメトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジメトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、モノメトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジメトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラエトキシメチル化ベンゾグアナミン、モノプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、ジプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、トリプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、モノブトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジブトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリブトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミンなどが挙げられる。
その他、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物としては、芳香環(好ましくはベンゼン環)にメチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が直接結合した化合物も好適に用いられる。
このような化合物の具体例としては、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’,4’’-エチリデントリス[2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール]、5,5’-[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ビス[2‐ヒドロキシ‐1,3‐ベンゼンジメタノール]、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジオール等が挙げられる。
他の熱架橋剤としては市販品を用いてもよく、好適な市販品としては、46DMOC、46DMOEP(以上、旭有機材工業社製)、DML-PC、DML-PEP、DML-OC、DML-OEP、DML-34X、DML-PTBP、DML-PCHP、DML-OCHP、DML-PFP、DML-PSBP、DML-POP、DML-MBOC、DML-MBPC、DML-MTrisPC、DML-BisOC-Z、DML-BisOCHP-Z、DML-BPC、DMLBisOC-P、DMOM-PC、DMOM-PTBP、DMOM-MBPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、本州化学工業社製)、ニカラック(登録商標、以下同様)MX-290、ニカラックMX-280、ニカラックMX-270、ニカラックMX-279、ニカラックMW-100LM、ニカラックMX-750LM(以上、三和ケミカル社製)などが挙げられる。
また、本発明のネガ型硬化性組成物は、他の熱架橋剤として、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及び、ベンゾオキサジン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことも好ましい。
〔エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)〕
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、ネガ型硬化性組成物の低温硬化及び反りの抑制に効果的である。
エポキシ化合物は、ポリエチレンオキサイド基を含有することが好ましい。これにより、より弾性率が低下し、また反りを抑制することができる。ポリエチレンオキサイド基は、エチレンオキサイドの繰返し単位数が2以上のものを意味し、繰返し単位数が2~15であることが好ましい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のアルキレングリコール型エポキシ樹脂又は多価アルコール炭化水素型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリメチル(グリシジロキシプロピル)シロキサン等のエポキシ基含有シリコーンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、エピクロン(登録商標)850-S、エピクロン(登録商標)HP-4032、エピクロン(登録商標)HP-7200、エピクロン(登録商標)HP-820、エピクロン(登録商標)HP-4700、エピクロン(登録商標)EXA-4710、エピクロン(登録商標)HP-4770、エピクロン(登録商標)EXA-859CRP、エピクロン(登録商標)EXA-1514、エピクロン(登録商標)EXA-4880、エピクロン(登録商標)EXA-4850-150、エピクロンEXA-4850-1000、エピクロン(登録商標)EXA-4816、エピクロン(登録商標)EXA-4822、エピクロン(登録商標)EXA-830LVP、エピクロン(登録商標)EXA-8183、エピクロン(登録商標)EXA-8169、エピクロン(登録商標)N-660、エピクロン(登録商標)N-665-EXP-S、エピクロン(登録商標)N-740、リカレジン(登録商標)BEO-20E(以上商品名、DIC(株)製)、リカレジン(登録商標)BEO-60E、リカレジン(登録商標)HBE-100、リカレジン(登録商標)DME-100、リカレジン(登録商標)L-200(商品名、新日本理化(株))、EP-4003S、EP-4000S、EP-4088S、EP-3950S(以上商品名、(株)ADEKA製)、セロキサイド(登録商標)2021P、セロキサイド(登録商標)2081、セロキサイド(登録商標)2000、EHPE3150、エポリード(登録商標)GT401、エポリード(登録商標)PB4700、エポリード(登録商標)PB3600(以上商品名、(株)ダイセル製)、NC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3000-FH-75M、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000-L、XD-1000、NC-7000L、NC-7300L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN-201、BREN-S、BREN-10S(以上商品名、日本化薬(株)製)などが挙げられる。この中でも、ポリエチレンオキサイド基を含有するエポキシ樹脂が、反りの抑制及び耐熱性に優れる点で好ましい。例えば、エピクロン(登録商標)EXA-4880、エピクロン(登録商標)EXA-4822、リカレジン(登録商標)BEO-60Eは、ポリエチレンオキサイド基を含有するので好ましい。
〔オキセタン化合物(オキセタニル基を有する化合物)〕
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4-ベンゼンジカルボン酸-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成(株)製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT-121、OXT-221、OXT-191、OXT-223)が好適に使用することができ、これらは単独で、又は2種以上混合してもよい。
〔ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサゾリル基を有する化合物)〕
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応のため、硬化時に脱ガスが発生せず、更に熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
ベンゾオキサジン化合物の好ましい例としては、B-a型ベンゾオキサジン、B-m型ベンゾオキサジン、P-d型ベンゾオキサジン、F-a型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業社製)、ポリヒドロキシスチレン樹脂のベンゾオキサジン付加物、フェノールノボラック型ジヒドロベンゾオキサジン化合物が挙げられる。これらは単独で用いるか、又は2種以上混合してもよい。
他の熱架橋剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対し0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~20質量%であることがより好ましく、0.5~15質量%であることが更に好ましく、1.0~10質量%であることが特に好ましい。
熱架橋剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。熱架橋剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<溶剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、溶剤を含むことが好ましい。溶剤は、公知の溶剤を任意に使用できる。溶剤は有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、環式炭化水素類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類などの化合物が挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸へキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等が好適なものとして挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が好適なものとして挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、3-メチルシクロヘキサノン、レボグルコセノン、ジヒドロレボグルコセノン等が好適なものとして挙げられる。
環状炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族炭化水素類、リモネン等のテルペン類が好適なものとして挙げられる。
スルホキシド類として、例えば、ジメチルスルホキシドが好適なものとして挙げられる。
アミド類として、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等が好適なものとして挙げられる。
アルコール類として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n-アミルアルコール、メチルアミルアルコール、および、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
溶剤は、塗布面性状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。
本発明では、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される1種の溶剤、又は、2種以上で構成される混合溶剤が好ましい。ジメチルスルホキシドとγ-ブチロラクトンとの併用が特に好ましい。
溶剤の含有量は、塗布性の観点から、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分濃度が5~80質量%になる量とすることが好ましく、5~75質量%となる量にすることがより好ましく、10~70質量%となる量にすることが更に好ましく、40~70質量%となるようにすることが一層好ましい。溶剤含有量は、塗膜の所望の厚さと塗布方法に応じて調節すればよい。
溶剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。溶剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<スルホンアミド構造を有する化合物、チオウレア構造を有する化合物>
得られる硬化膜の基材への密着性を向上する観点からは、本発明のネガ型硬化性組成物は、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を更に含むことが好ましい。
〔スルホンアミド構造を有する化合物〕
スルホンアミド構造とは、下記式(S-1)で表される構造である。
式(S-1)中、Rは水素原子又は有機基を表し、Rは他の構造と結合して環構造を形成してもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
上記Rは、下記式(S-2)におけるRと同様の基であることが好ましい。
スルホンアミド構造を有する化合物は、スルホンアミド構造を2以上有する化合物であってもよいが、スルホンアミド構造を1つ有する化合物であることが好ましい。
スルホンアミド構造を有する化合物は、下記式(S-2)で表される化合物であることが好ましい。
式(S-2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
、R及びRはそれぞれ独立に、1価の有機基であることが好ましい。
、R及びRの例としては、水素原子、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アリール基、アリールエーテル基、カルボキシ基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、複素環基、若しくはこれらを2以上組み合わせた基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、2-エチルへキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、炭素数5~10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数6~10のシクロアルキル基がより好ましい。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~5のアルコキシ基がより好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシシリル基としては、炭素数1~10のアルコキシシリル基が好ましく、炭素数1~4のアルコキシシリル基がより好ましい。上記アルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基及びブトキシシリル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6~20のアリール基が好ましく、炭素数6~12のアリール基がより好ましい。上記アリール基は、アルキル基等の置換基を有していてもよい。上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
上記複素環基としては、トリアゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペリジン、ピペラジン環、モルホリン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン基、トリアジン環等の複素環構造から水素原子を1つ除いた基などが挙げられる。
これらの中でも、Rがアリール基であり、かつ、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である化合物が好ましい。
スルホンアミド構造を有する化合物の例としては、ベンゼンスルホンアミド、ジメチルベンゼンスルホンアミド、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、スルファニルアミド、o-トルエンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド、ヒドロキシナフタレンスルホンアミド、ナフタレン-1-スルホンアミド、ナフタレン-2-スルホンアミド、m-ニトロベンゼンスルホンアミド、p-クロロベンゼンスルホンアミド、メタンスルホンアミド、N,N-ジメチルメタンスルホンアミド、N,N-ジメチルエタンスルホンアミド、N,N-ジエチルメタンスルホンアミド、N-メトキシメタンスルホンアミド、N-ドデシルメタンスルホンアミド、N-シクロヘキシル-1-ブタンスルホンアミド、2-アミノエタンスルホンアミドなどが挙げられる。
〔チオウレア構造を有する化合物〕
チオウレア構造とは、下記式(T-1)で表される構造である。
式(T-1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R及びRは結合して環構造を形成してもよく、Rは*が結合する他の構造と結合して環構造を形成してもよく、Rは*が結合する他の構造と結合して環構造を形成してもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子であることが好ましい。
及びRの例としては、水素原子、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アリール基、アリールエーテル基、カルボキシ基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、複素環基、若しくは、これらを2以上組み合わせた基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、2-エチルへキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、炭素数5~10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数6~10のシクロアルキル基がより好ましい。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~5のアルコキシ基がより好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシシリル基としては、炭素数1~10のアルコキシシリル基が好ましく、炭素数1~4のアルコキシシリル基がより好ましい。上記アルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基及びブトキシシリル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6~20のアリール基が好ましく、炭素数6~12のアリール基がより好ましい。上記アリール基は、アルキル基等の置換基を有していてもよい。上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
上記複素環基としては、トリアゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペリジン、ピペラジン環、モルホリン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン基、トリアジン環等の複素環構造から水素原子を1つ除いた基などが挙げられる。
チオウレア構造を有する化合物は、チオウレア構造を2以上有する化合物であってもよいが、チオウレア構造を1つ有する化合物であることが好ましい。
チオウレア構造を有する化合物は、下記式(T-2)で表される化合物であることが好ましい。
式(T-2)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R~Rのうち少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
式(T-2)中、R及びRは式(T-1)中のR及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(T-2)中、R及びRはそれぞれ独立に、1価の有機基であることが好ましい。
式(T-2)中、R及びRにおける1価の有機基の好ましい態様は、式(T-1)中のR及びRにおける1価の有機基の好ましい態様と同様である。
チオウレア構造を有する化合物の例としては、N-アセチルチオウレア、N-アリルチオウレア、N-アリル-N’-(2-ヒドロキシエチル)チオウレア、1-アダマンチルチオウレア、N-ベンゾイルチオウレア、N,N’-ジフェニルチオウレア、1-ベンジル-フェニルチオウレア、1,3-ジブチルチオウレア、1,3-ジイソプロピルチオウレア、1,3-ジシクロヘキシルチオウレア、1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-3-メチルチオウレア、トリメチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、N,N-ジフェニルチオウレア、エチレンチオウレア(2-イミダゾリンチオン)、カルビマゾール、1,3-ジメチル-2-チオヒダントインなどが挙げられる。
〔含有量〕
本発明のネガ型硬化性組成物の全質量に対する、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物の合計含有量は、0.05~10質量%であることが好ましく、0.1~5質量%であることがより好ましく、0.2~3質量%であることが更に好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物は、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物よりなる群から選ばれる化合物を、1種のみ含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。1種のみ含む場合にはその化合物の含有量が、2種以上を含む場合にはその合計量が、上記の範囲となることが好ましい。
<マイグレーション抑制剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、マイグレーション抑制剤を更に含むことが好ましい。
マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンがネガ型硬化性組成物層内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
マイグレーション抑制剤としては、特に制限はないが、複素環(ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、2H-ピラン環及び6H-ピラン環、トリアジン環)を有する化合物、チオ尿素類及びスルファニル基を有する化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体系化合物、ヒドラジド誘導体系化合物が挙げられる。特に、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、1H-テトラゾール、5-フェニルテトラゾール等のテトラゾール系化合物が好ましく使用できる。
又はハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉するイオントラップ剤を使用することもできる。
その他のマイグレーション抑制剤としては、特開2013-015701号公報の段落0094に記載の防錆剤、特開2009-283711号公報の段落0073~0076に記載の化合物、特開2011-059656号公報の段落0052に記載の化合物、特開2012-194520号公報の段落0114、0116及び0118に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0166に記載の化合物などを使用することができる。
マイグレーション抑制剤の具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
ネガ型硬化性組成物がマイグレーション抑制剤を有する場合、マイグレーション抑制剤の含有量は、ネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、0.01~5.0質量%であることが好ましく、0.05~2.0質量%であることがより好ましく、0.1~1.0質量%であることが更に好ましい。
マイグレーション抑制剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。マイグレーション抑制剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<重合禁止剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、o-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、p-tert-ブチルカテコール、1,4-ベンゾキノン、ジフェニル-p-ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N-ニトロソジフェニルアミン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-(1-ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-tert-ブチル)フェニルメタン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、4‐ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル、フェノチアジン、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、ジブチルジチオカーバネート銅(II)、ニトロベンゼン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩などが好適に用いられる。また、特開2015-127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、及び、国際公開第2015/125469号の段落0031~0046に記載の化合物を用いることもできる。
また、下記化合物を用いることができる(Meはメチル基である)。
本発明のネガ型硬化性組成物が重合禁止剤を有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、例えば0.01~20.0質量%である態様が挙げられ、0.01~5質量%であることが好ましく、0.02~3質量%であることがより好ましく、0.05~2.5質量%であることが更に好ましい。また、ネガ型硬化性組成物溶液の保存安定性が要求される場合には0.02~15.0質量%である態様も好ましく上げられ、その場合により好ましくは0.05~10.0質量%である。
重合禁止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。重合禁止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<金属接着性改良剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含んでいることが好ましい。金属接着性改良剤としては、シランカップリング剤、アルミニウム系接着助剤、チタン系接着助剤、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物、リン酸誘導体化合物、β-ケトエステル化合物、アミノ化合物等などが挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、国際公開第2015/199219号の段落0167に記載の化合物、特開2014-191002号公報の段落0062~0073に記載の化合物、国際公開第2011/080992号の段落0063~0071に記載の化合物、特開2014-191252号公報の段落0060~0061に記載の化合物、特開2014-041264号公報の段落0045~0052に記載の化合物、国際公開第2014/097594号の段落0055に記載の化合物が挙げられる。また、特開2011-128358号公報の段落0050~0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。また、シランカップリング剤は、下記化合物を用いることも好ましい。以下の式中、Etはエチル基を表す。
他のシランカップリング剤としては、例えが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、金属接着性改良剤としては、特開2014-186186号公報の段落0046~0049に記載の化合物、特開2013-072935号公報の段落0032~0043に記載のスルフィド系化合物を用いることもできる。
〔アルミニウム系接着助剤〕
アルミニウム系接着助剤としては、例えば、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。
金属接着性改良剤の含有量は特定樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~15質量部の範囲であり、更に好ましくは0.5~5質量部の範囲である。上記下限値以上とすることで硬化工程後の硬化膜と金属層との接着性が良好となり、上記上限値以下とすることで硬化工程後の硬化膜の耐熱性、機械特性が良好となる。金属接着性改良剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。2種以上用いる場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明のネガ型硬化性組成物は、本発明の効果が得られる範囲で、必要に応じて、各種の添加物、例えば、N-フェニルジエタノールアミンなどの増感剤、溶解促進剤、連鎖移動剤、界面活性剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量はネガ型硬化性組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
〔増感剤〕
本発明のネガ型硬化性組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
増感剤としては、N-フェニルジエタノールアミン等の増感剤が挙げられる。他には、ベンゾフェノン系、ミヒラーズケトン系、クマリン系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アントラセン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の化合物を使用することができる。
例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン(7-(ジエチルアミノ)クマリン-3-カルボン酸エチル)、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N-メチルアセトアニリド、3‘,4’-ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。
また、増感剤としては、増感色素を用いてもよい。
増感色素の詳細については、特開2016-027357号公報の段落0161~0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明のネガ型硬化性組成物が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対し、0.01~20質量%であることが好ましく、0.1~15質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることが更に好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔溶解促進剤〕
溶解促進剤としては、ポリヒドロキシ化合物等が挙げられる。ネガ型硬化性組成物に溶解促進剤を含有させることにより、例えば、現像性の向上を図ることができる。
ポリヒドロキシ化合物としては、Bis-Z、BisP-EZ、TekP-4HBPA、4,4’,4’’-Ethylidynetrisphenol(TrisP-HAP)、TrisP-PA、TrisP-SA、TrisOCR-PA、BisOCHP-Z、BisP-MZ、BisP-PZ、BisP-IPZ、BisOCP-IPZ、BisP-CP、BisRS-2P、BisRS-3P、BisP-OCHP、メチレントリス-FR-CR、BisRS-26X、DML-MBPC、DML-MBOC、DML-OCHP、DML-PCHP、DML-PC、DML-PTBP、DML-34X、DML-EP,DML-POP、ジメチロール-BisOC-P、DML-PFP、DML-PSBP、DML-MTrisPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-BP、TML-HQ、TML-pp-BPF、TML-BPA、TMOM-BP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR-OC、BIP-PC、BIR-PC、BIR-PTBP、BIR-PCHP、BIP-BIOC-F、4PC、BIR-BIPC-F、TEP-BIP-A、46DMOC、46DMOEP、TM-BIP-A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6-ジメトキシメチル-4-t-ブチルフェノール、2,6-ジメトキシメチル-p-クレゾール、2,6-ジアセトキシメチル-p-クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP-AP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のネガ型硬化性組成物が溶解促進剤を含む場合、溶解促進剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対し、0.01~40質量%であることが好ましく、0.1~30質量%であることがより好ましく、0.5~20質量%であることが更に好ましい。
溶解促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔連鎖移動剤〕
本発明のネガ型硬化性組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683-684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内に-S-S-、-SO-S- -N-O-、SH、PH、SiH、及びGeHを有する化合物群、RAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer)重合に用いられるチオカルボニルチオ基を有するジチオベンゾアート、トリチオカルボナート、ジチオカルバマート、キサンタート化合物等が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物を好ましく用いることができる。
また、連鎖移動剤は、国際公開第2015/199219号の段落0152~0153に記載の化合物を用いることもできる。
本発明のネガ型硬化性組成物が連鎖移動剤を有する場合、連鎖移動剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。連鎖移動剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。連鎖移動剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明のネガ型硬化性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。下記式中、主鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の含有量(モル%)を、側鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の繰り返し数をそれぞれ表す。
また、界面活性剤は、国際公開第2015/199219号の段落0159~0165に記載の化合物を用いることもできる。
本発明のネガ型硬化性組成物が界面活性剤を有する場合、界面活性剤の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。界面活性剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔高級脂肪酸誘導体〕
本発明のネガ型硬化性組成物は、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程でネガ型硬化性組成物の表面に偏在させてもよい。
また、高級脂肪酸誘導体は、国際公開第2015/199219号の段落0155に記載の化合物を用いることもできる。
本発明のネガ型硬化性組成物が高級脂肪酸誘導体を有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、本発明のネガ型硬化性組成物の全固形分に対して、0.1~10質量%であることが好ましい。高級脂肪酸誘導体は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<その他の含有物質についての制限>
本発明のネガ型硬化性組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.6質量%未満が更に好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物の金属含有量は、絶縁性の観点から、5質量ppm(parts per million)未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、クロム、ニッケルなどが挙げられる。金属を複数含む場合は、これらの金属の合計が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明のネガ型硬化性組成物に意図せずに含まれる金属不純物を低減する方法としては、本発明のネガ型硬化性組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、本発明のネガ型硬化性組成物を構成する原料に対してフィルターろ過を行う、装置内をポリテトラフルオロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。
本発明のネガ型硬化性組成物は、半導体材料としての用途を考慮すると、ハロゲン原子の含有量が、配線腐食性の観点から、500質量ppm未満が好ましく、300質量ppm未満がより好ましく、200質量ppm未満が更に好ましい。中でも、ハロゲンイオンの状態で存在するものは、5質量ppm未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。塩素原子及び臭素原子、又は塩素イオン及び臭素イオンの合計がそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
本発明のネガ型硬化性組成物の収容容器としては従来公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器としては、原材料やネガ型硬化性組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成された多層ボトルや、6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<ネガ型硬化性組成物の用途>
本発明のネガ型硬化性組成物は、再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられることが好ましい。
また、その他、半導体デバイスの絶縁膜の形成、又は、ストレスバッファ膜の形成等にも用いることができる。
<ネガ型硬化性組成物の調製>
本発明のネガ型硬化性組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
また、ネガ型硬化性組成物中のゴミや微粒子等の異物を除去する目的で、フィルターを用いたろ過を行うことが好ましい。フィルター孔径は、例えば5μm以下である態様が挙げられ、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。フィルターの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルターろ過工程では、複数種のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルターを使用する場合は、孔径又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回ろ過してもよい。複数回ろ過する場合は、循環ろ過であってもよい。また、加圧してろ過を行ってもよい。加圧してろ過を行う場合、加圧する圧力は例えば0.01MPa以上1.0MPa以下である態様が挙げられ、0.03MPa以上0.9MPa以下が好ましく、0.05MPa以上0.7MPa以下がより好ましく、0.05MPa以上0.3MPa以下が更に好ましい。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行ってもよい。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせてもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
(硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法)
次に、硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法について説明する。
本発明の硬化膜は、本発明のネガ型硬化性組成物を硬化してなる。本発明の硬化膜の膜厚は、例えば、0.5μm以上とすることができ、1μm以上とすることができる。また、上限値としては、100μm以下とすることができ、30μm以下とすることもできる。
本発明の硬化膜を2層以上、更には、3~7層積層して積層体としてもよい。本発明の積層体は、硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む態様が好ましい。例えば、第一の硬化膜、金属層、第二の硬化膜の3つの層がこの順に積層された層構造を少なくとも含む積層体が好ましいものとして挙げられる。上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜は、いずれも本発明の硬化膜であり、例えば、上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜のいずれもが、本発明のネガ型硬化性組成物を硬化してなる膜である態様が好ましいものとして挙げられる。上記第一の硬化膜の形成に用いられる本発明のネガ型硬化性組成物と、上記第二の硬化膜の形成に用いられる本発明のネガ型硬化性組成物とは、組成が同一の組成物であってもよいし、組成が異なる組成物であってもよい。本発明の積層体における金属層は、再配線層などの金属配線として好ましく用いられる。
本発明の硬化膜の適用可能な分野としては、半導体デバイスの絶縁膜、再配線層用層間絶縁膜、ストレスバッファ膜などが挙げられる。そのほか、封止フィルム、基板材料(フレキシブルプリント基板のベースフィルムやカバーレイ、層間絶縁膜)、又は上記のような実装用途の絶縁膜をエッチングでパターン形成することなどが挙げられる。これらの用途については、例えば、サイエンス&テクノロジー(株)「ポリイミドの高機能化と応用技術」2008年4月、柿本雅明/監修、CMCテクニカルライブラリー「ポリイミド材料の基礎と開発」2011年11月発行、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会/編「最新ポリイミド 基礎と応用」エヌ・ティー・エス,2010年8月等を参照することができる。
また、本発明における硬化膜は、オフセット版面又はスクリーン版面などの版面の製造、成形部品のエッチングへの使用、エレクトロニクス、特に、マイクロエレクトロニクスにおける保護ラッカー及び誘電層の製造などにも用いることもできる。
本発明の硬化膜の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、本発明のネガ型硬化性組成物を基材に適用して膜を形成する膜形成工程を含むことが好ましい。
本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程、並びに、上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含むことが好ましい。
また、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜を加熱する加熱工程を含むことがより好ましい。
具体的には、以下の(a)~(d)の工程を含むことも好ましい。
(a)ネガ型硬化性組成物を基材に適用して膜(ネガ型硬化性組成物層)を形成する膜形成工程
(b)膜形成工程の後、膜を露光する露光工程
(c)露光された上記膜を現像する現像工程
(d)現像された上記膜を加熱する加熱工程
上記加熱工程において加熱することにより、露光で硬化した樹脂層を更に硬化させることができる。この加熱工程で、例えば上述の熱酸発生剤が分解し、発生した酸により熱架橋剤の架橋が促進されることにより、十分な硬化性が得られる。
本発明の好ましい実施形態に係る積層体の製造方法は、本発明の硬化膜の製造方法を含む。本実施形態の積層体の製造方法は、上記の硬化膜の製造方法に従って、硬化膜を形成後、更に、再度、(a)の工程、又は(a)~(c)の工程、又は(a)~(d)の工程を行う。特に、上記各工程を順に、複数回、例えば、2~5回(すなわち、合計で3~6回)行うことが好ましい。このように硬化膜を積層することにより、積層体とすることができる。本発明では特に硬化膜を設けた部分の上又は硬化膜の間、又はその両者に金属層を設けることが好ましい。なお、積層体の製造においては、(a)~(d)の工程をすべて繰り返す必要はなく、上記のとおり、少なくとも(a)、好ましくは(a)~(c)又は(a)~(d)の工程を複数回行うことで硬化膜の積層体を得ることができる。
<膜形成工程(層形成工程)>
本発明の好ましい実施形態に係る製造方法は、ネガ型硬化性組成物を基材に適用して膜(層状)にする、膜形成工程(層形成工程)を含む。
基材の種類は、用途に応じて適宜定めることができるが、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基材、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基材、紙、SOG(Spin On Glass)、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基材、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極板など特に制約されない。
本発明では、特に、半導体作製基材が好ましく、シリコン基材、モールド樹脂基材がより好ましい。
また、基材としては、例えば板状の基材(基板)が用いられる。
また、樹脂層の表面や金属層の表面にネガ型硬化性組成物層を形成する場合は、樹脂層や金属層が基材となる。
ネガ型硬化性組成物を基材に適用する手段としては、塗布が好ましい。
具体的には、適用する手段としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法、及びインクジェット法などが例示される。ネガ型硬化性組成物層の厚さの均一性の観点から、より好ましくはスピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、インクジェット法である。方法に応じて適切な固形分濃度や塗布条件を調整することで、所望の厚さの樹脂層を得ることができる。また、基材の形状によっても塗布方法を適宜選択でき、ウェハ等の円形基材であればスピンコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましく、矩形基材であればスリットコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましい。スピンコート法の場合は、例えば、300~3,500rpmの回転数で、10~180秒適用することが挙げられ、500~2,000rpmの回転数で、10秒~1分程度適用することができる。また膜厚の均一性を得るために、複数の回転数を組み合わせて塗布することもできる。
また、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基材上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051や、特開2006-047592号公報の段落0096~0108に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、上記膜(ネガ型硬化性組成物層)を形成後、膜形成工程(層形成工程)の後に、溶剤を除去するために乾燥する工程を含んでいてもよい。
好ましい乾燥温度は50~150℃で、70℃~130℃がより好ましく、90℃~110℃が更に好ましい。乾燥時間としては、30秒~20分が例示され、1分~10分が好ましく、3分~7分がより好ましい。ネガ型硬化性組成物溶液の溶剤量が多い場合、真空乾燥と加熱乾燥を組み合わせることもできる。加熱乾燥はホットプレート、熱風式オーブン等が用いられ、特に制限されない。
<露光工程>
本発明の製造方法は、上記膜(ネガ型硬化性組成物層)を露光する露光工程を含んでもよい。露光量は、ネガ型硬化性組成物を硬化できる限り特に定めるものではないが、例えば、波長365nmでの露光エネルギー換算で100~10,000mJ/cm照射することが好ましく、200~8,000mJ/cm照射することがより好ましい。
露光波長は、190~1,000nmの範囲で適宜定めることができ、240~550nmが好ましい。
露光波長は、光源との関係でいうと、(1)半導体レーザー(波長 830nm、532nm、488nm、405nm etc.)、(2)メタルハライドランプ、(3)高圧水銀灯、g線(波長 436nm)、h線(波長 405nm)、i線(波長 365nm)、ブロード(g,h,i線の3波長)、(4)エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長 193nm)、F2エキシマレーザー(波長 157nm)、(5)極端紫外線;EUV(波長 13.6nm)、(6)電子線等、(7)YAGレーザーの第二高調波532nmで、第三高調波355nm、が挙げられる。本発明のネガ型硬化性組成物については、特に高圧水銀灯による露光が好ましく、中でも、i線による露光が好ましい。これにより、特に高い露光感度が得られうる。また取り扱いと生産性の観点では、高圧水銀灯のブロード(g,h,i線の3波長)光源や半導体レーザー405nmも好適である。
<現像工程>
本発明の製造方法は、露光された膜(ネガ型硬化性組成物層)に対して、現像を行う(上記膜を現像する)現像工程を含んでもよい。現像を行うことにより、露光されていない部分(非露光部)が除去される。現像方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、例えば、パドル、スプレー、浸漬、超音波等の現像方法が採用可能である。
現像は現像液を用いて行う。現像液は、露光されていない部分(非露光部)が除去されるのであれば、特に制限なく使用できる。
現像液としては、有機溶剤の含有量が現像液の全質量に対して10質量%以下である現像液が好ましく、5質量%以下である現像液がより好ましく、1質量%以下である現像液が更に好ましく、有機溶剤を含まない現像液が特に好ましい。
アルカリ現像における現像液は、pHが10~15である水溶液がより好ましい。
アルカリ現像における現像液に含まれるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、アンモニア又はアミンなどが挙げられる。アミンとしては、例えば、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、四級アンモニウム水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。なかでも金属を含まないアルカリ化合物が好ましく、アンモニウム化合物がより好ましい。
アルカリ化合物は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ化合物が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
また現像液中には界面活性剤を含んでいてもよい。
現像時間としては、10秒~5分が好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、通常、20~40℃で行うことができる。
現像液を用いた処理の後、更に、リンスを行ってもよい。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、水を用いてリンスすることができる。リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
<加熱工程>
本発明の製造方法は、現像された上記膜を加熱する工程(加熱工程)を含むことが好ましい。
加熱工程は、膜形成工程(層形成工程)、乾燥工程、及び現像工程の後に含まれることが好ましい。加熱工程では、例えば、未反応のラジカル架橋剤の架橋、未反応の熱架橋剤の架橋等を進行させることができる。加熱工程における層の加熱温度(最高加熱温度)としては、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが更に好ましく、150℃以上であることが一層好ましく、160℃以上であることがより一層好ましく、170℃以上であることが更に一層好ましい。上限としては、500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることが更に好ましく、250℃以下であることが一層好ましく、220℃以下であることがより一層好ましい。
加熱は、加熱開始時の温度から最高加熱温度まで1~12℃/分の昇温速度で行うことが好ましく、2~10℃/分がより好ましく、3~10℃/分が更に好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることにより、生産性を確保しつつ、酸又は溶剤の過剰な揮発を防止することができ、昇温速度を12℃/分以下とすることにより、硬化膜の残存応力を緩和することができる。
加熱開始時の温度は、20℃~150℃が好ましく、20℃~130℃がより好ましく、25℃~120℃が更に好ましい。加熱開始時の温度は、最高加熱温度まで加熱する工程を開始する際の温度のことをいう。例えば、ネガ型硬化性組成物を基材の上に適用した後、乾燥させる場合、この乾燥後の膜(層)の温度であり、例えば、ネガ型硬化性組成物に含まれる溶剤の沸点よりも、30~200℃低い温度から徐々に昇温させることが好ましい。
加熱時間(最高加熱温度での加熱時間)は、10~360分であることが好ましく、20~300分であることがより好ましく、30~240分であることが更に好ましい。
特に多層の積層体を形成する場合、硬化膜の層間の密着性の観点から、加熱温度は180℃~320℃で加熱することが好ましく、180℃~260℃で加熱することがより好ましい。その理由は定かではないが、この温度とすることで、層間の特定樹脂のエチニル基同士が架橋反応を進行しているためと考えられる。
加熱は段階的に行ってもよい。例として、25℃から180℃まで3℃/分で昇温し、180℃にて60分保持し、180℃から200℃まで2℃/分で昇温し、200℃にて120分保持する、といった前処理工程を行ってもよい。前処理工程としての加熱温度は100~200℃が好ましく、110~190℃であることがより好ましく、120~185℃であることが更に好ましい。この前処理工程においては、米国特許第9159547号明細書に記載のように紫外線を照射しながら処理することも好ましい。このような前処理工程により膜の特性を向上させることが可能である。前処理工程は10秒間~2時間程度の短い時間で行うとよく、15秒~30分間がより好ましい。前処理は2段階以上のステップとしてもよく、例えば100~150℃の範囲で前処理工程1を行い、その後に150~200℃の範囲で前処理工程2を行ってもよい。
更に、加熱後冷却してもよく、この場合の冷却速度としては、1~5℃/分であることが好ましい。
加熱工程は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを流す、真空下で行う等により、低酸素濃度の雰囲気で行うことが特定樹脂の分解を防ぐ点で好ましい。酸素濃度は、50ppm(体積比)以下が好ましく、20ppm(体積比)以下がより好ましい。
<金属層形成工程>
本発明の製造方法は、現像後の膜(ネガ型硬化性組成物層)の表面に金属層を形成する金属層形成工程を含むことが好ましい。
金属層としては、特に限定なく、既存の金属種を使用することができ、銅、アルミニウム、ニッケル、バナジウム、チタン、クロム、コバルト、金及びタングステンが例示され、銅及びアルミニウムがより好ましく、銅が更に好ましい。
金属層の形成方法は、特に限定なく、既存の方法を適用することができる。例えば、特開2007-157879号公報、特表2001-521288号公報、特開2004-214501号公報、特開2004-101850号公報に記載された方法を使用することができる。例えば、フォトリソグラフィ、リフトオフ、電解メッキ、無電解メッキ、エッチング、印刷、及びこれらを組み合わせた方法などが考えられる。より具体的には、スパッタリング、フォトリソグラフィ及びエッチングを組み合わせたパターニング方法、フォトリソグラフィと電解メッキを組み合わせたパターニング方法が挙げられる。
金属層の厚さとしては、最も厚肉の部分で、0.1~50μmが好ましく、1~10μmがより好ましい。
<積層工程>
本発明の製造方法は、更に、積層工程を含むことが好ましい。
積層工程とは、硬化膜(樹脂層)又は金属層の表面に、再度、(a)膜形成工程(層形成工程)、(b)露光工程、(c)現像工程、(d)加熱工程を、この順に行うことを含む一連の工程である。ただし、(a)の膜形成工程のみを繰り返す態様であってもよい。
また、(d)加熱工程は積層の最後又は中間に一括して行う態様としてもよい。すなわち、(a)~(c)の工程を所定の回数繰り返し行い、その後に(d)の加熱をすることで、積層されたネガ型硬化性組成物層を一括で硬化する態様としてもよい。また、(c)現像工程の後には(e)金属層形成工程を含んでもよく、このときにも都度(d)の加熱を行っても、所定回数積層させた後に一括して(d)の加熱を行ってもよい。積層工程には、更に、上記乾燥工程や加熱工程等を適宜含んでいてもよいことは言うまでもない。
積層工程後、更に積層工程を行う場合には、上記加熱工程後、上記露光工程後、又は、上記金属層形成工程後に、更に、表面活性化処理工程を行ってもよい。表面活性化処理としては、プラズマ処理が例示される。
上記積層工程は、2~5回行うことが好ましく、3~5回行うことがより好ましい。
例えば、樹脂層/金属層/樹脂層/金属層/樹脂層/金属層のような、樹脂層が3層以上7層以下の構成が好ましく、3層以上5層以下が更に好ましい。
本発明では特に、金属層を設けた後、更に、上記金属層を覆うように、上記ネガ型硬化性組成物の硬化膜(樹脂層)を形成する態様が好ましい。具体的には、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程、(d)加熱工程の順序で繰り返す態様、又は、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程の順序で繰り返し、最後又は中間に一括して(d)加熱工程を設ける態様が挙げられる。ネガ型硬化性組成物層(樹脂層)を積層する積層工程と、金属層形成工程を交互に行うことにより、ネガ型硬化性組成物層(樹脂層)と金属層を交互に積層することができる。
本発明は、本発明の硬化膜又は積層体を含む半導体デバイスも開示する。本発明のネガ型硬化性組成物を再配線層用層間絶縁膜の形成に用いた半導体デバイスの具体例としては、特開2016-027357号公報の段落0213~0218の記載及び図1の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。「部」、「%」は特に述べない限り、質量基準である。
<合成例1>
〔A-1:オキシジフタル酸二無水物、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン及び2-イソシアナトエチルメタクリレートからのアルカリ可溶性ポリイミドA-1の合成〕
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 65.56g(179mmol)、及び、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 2.48g(10mmol)をN-メチルピロリドン(NMP) 300gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物 62.04g(200mmol)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。次いで、トルエン 50mL及び3-アミノフェノール 2.18g(10mmol)を添加し、40℃で2時間撹拌した。撹拌後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、6時間撹拌した。
上記反応液を25℃まで冷却した後、p-メトキシフェノール0.005gを加え、溶解した。この溶液に、2-イソシアナトエチルメタクリレート 24.82g(160mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、酢酸10gを加えて25℃で1時間撹拌した。撹拌後、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して取得し、1.5リットルの水でかけ洗いした後、濾物を2リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、A-1を得た。
<合成例2>
〔A-2:オキシジフタル酸二無水物、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン及び2-イソシアナトエチルメタクリレートからのアルカリ可溶性ポリイミドA-2の合成〕
A-1の合成において、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに同モル量の2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを用いた以外は、A-1の合成と同様の方法により、アルカリ可溶性ポリイミドA-2を合成した。
<合成例3>
〔A-3:オキシジフタル酸二無水物、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン及び2-イソシアナトエチルメタクリレートからのアルカリ可溶性ポリイミドA-3の合成〕
A-1の合成において、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを用いず、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの使用量を69.22g(189mmol)とした以外は、A-1の合成と同様の方法により、アルカリ可溶性ポリイミドA-3を合成した。
<合成例4>
〔A-4:オキシジフタル酸二無水物、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンからのアルカリ可溶性ポリイミドA-4の合成〕
A-1の合成において、2-イソシアナトエチルメタクリレートの添加を行わなかった以外は、A-1の合成と同様の方法により、アルカリ可溶性ポリイミドA-4を合成した。
<合成例5>
〔A-5:オキシジフタル酸二無水物、2,5-ジメルカプト-p-フェニレンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン及び2-イソシアナトエチルメタクリレートからのアルカリ可溶性ポリイミドA-5の合成〕
A-1の合成において、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに同モル量の2,5-ジメルカプト-p-フェニレンジアミンを用いた以外は、A-1の合成と同様の方法により、アルカリ可溶性ポリイミドA-5を合成した。
<実施例及び比較例>
各実施例において、それぞれ、下記表1~表3に記載の成分を混合し、各ネガ型硬化性組成物を得た。また、各比較例において、それぞれ、下記表3に記載の成分を混合し、各比較用組成物を得た。
具体的には、表1~表3に記載の成分の含有量は、表1~表3の「質量部」に記載の量とした。また、各組成物において、溶剤の含有量は、組成物の固形分濃度が表1~表3に記載の値となるようにした。
表1~表3中「メタル濃度」の欄の記載は、組成物の全質量に対する金属含有量(質量ppm)を表す。
得られたネガ型硬化性組成物及び比較用組成物を、細孔の幅が0.8μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通して加圧ろ過した。
また、表1~表3中、「-」の記載は該当する成分を組成物が含有していないことを示している。
表1~表3に記載した各成分の詳細は下記の通りである。
〔アルカリ可溶性ポリイミド〕
・A-1~A-5:上記で合成したA-1~A-5
〔ラジカル架橋剤〕
・B-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・B-2:ペンタエリスリトールテトラメタクリレート
・B-3:テトラエチレングリコールジメタクリレート
・B-4:ライトエステルBP-6EM(共栄化学(株)製)
・B-5:1,8-オクタンジオールジメタクリレート
・B-6:1,10-デカンジオールジメタクリレート
・B-7:1,12-ドデカンジオールジメタクリレート
・B-8:ヘキサエチレングリコールジメタクリレート
・B-9:1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート
・B-10:ジエチレングリコールジメタクリレート
上記B-1及び上記B-2は、重合基を6つ又は4つ有しており、特定2官能架橋剤には該当しない。
上記B-3は、共有結合による環状構造を有さず、重合基同士の距離が15原子であるため、特定2官能架橋剤に該当する。
上記B-4は、共有結合による環状構造(ベンゼン環構造)を重合基以外に有するため、特定2官能架橋剤に該当しない。
上記B-5、上記B-6、上記B-7、上記B-8は、共有結合による環状構造を有さず、重合基同士の距離が、それぞれ12原子、14原子、16原子、21原子であるため、特定2官能架橋剤に該当する。
上記B-9及び上記B-10は、重合基同士の距離が、それぞれ10原子、9原子であるため、特定2官能架橋剤に該当しない
〔光ラジカル発生剤〕
・C-1:ADEKA NCI-930((株)ADEKA製)
・C-2:Omnirad 819(IGM Resins社製)
〔熱架橋剤〕
・D-1:二カラックMX-270((株)三和ケミカル製)
・D-2:デナコールEX-821(ナガセケムテックス(株)製)
・D-3:HMOM-TPHAP(本州化学工業(株)製)
上記D-1は、共有結合による環状構造(グリコールウリル構造)を重合基以外に有し、また、重合基を含む基であるメトキシメチル基を4つ有するため、特定2官能架橋剤に該当しない。
上記D-2は、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が15原子であるため、特定2官能架橋剤に該当する。
上記D-3は、共有結合による環状構造(ベンゼン環構造)を重合基以外に有し、また、重合基を含む基であるメトキシメチル基を6つ有するため、特定2官能架橋剤に該当しない。
〔熱酸発生剤〕
・E-1:p-トルエンスルホン酸イソプロピル
〔シランカップリング剤〕
・F-1:IM-1000(JX金属(株)製)
・F-2:KBM-5103(信越シリコーン(株)製)
〔重合禁止剤〕
・G-1:4-メトキシ-1-ナフトール
〔添加剤〕
・H-1:1,3-ジブチルチオウレア
・H-2:N-ブチルベンゼンスルホンアミド
・H-3:4,4’,4’’-Ethylidynetrisphenol(本州化学工業社製)
〔溶剤〕
・I-1:γ-ブチロラクトン
・I-2:ε-カプロラクトン
・I-3:N-メチル-2-ピロリドン
・I-4:ジメチルスルホキシド
・I-5:乳酸エチル
表1~表3中、「溶剤中比率」の欄の記載は、溶剤の全質量に対する各溶剤の含有量(質量%)を示している。
<評価>
〔破断伸び〕
実施例19以外の各実施例及び比較例において、それぞれ、各ネガ型硬化性組成物又は比較用組成物を、シリコンウェハ上にスピンコート法により層状に適用(塗布)して、硬化性樹脂組成物層を形成した。実施例19においては、ネガ型硬化性組成物を、シリコンウェハ上にスリットコート法により層状に適用(塗布)して、組成物層を形成した。
各実施例及び比較例において、得られた組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、80℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に表1~表3に記載の厚さの硬化性樹脂組成物層を形成した。シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーで全面露光した。露光後、100℃で5分間加熱した。上記加熱後の硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1~表3の「キュア温度(℃)」の温度に達した後、この温度を表1~表3の「キュア時間(min)」に記載の時間で維持した。硬化後の樹脂層を4.9%フッ化水素酸水溶液に浸漬し、シリコンウェハから樹脂層を剥離し、樹脂膜1を得た。
樹脂膜1の破断伸び率を引張り試験機(テンシロン)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、試料幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、について、25℃、65%相対湿度(RH)の環境下にてJIS-K6251:2017に準拠して破断伸び率を測定した。破断伸び率は、E(%)=(L-L)/L×100(E:切断時伸び、L:試験前の試験片の長さ、L:試験片が切断した時の試験片の長さ)で算出した。長手方向の破断伸び率を5回測定し、その算術平均値を指標値として用いた。評価は下記評価基準に従い行った。評価結果は表1~表3の「破断伸び」の欄に記載した。上記指標値が大きい+ほど、得られる硬化膜は破断伸びに優れるといえる。
-評価基準-
A:上記指標値が60%を超えた。
B:上記指標値が40%を超えて60%以下であった。
C:上記指標値が40%以下であった。
〔溶剤耐性〕
実施例19以外の各実施例及び比較例において、それぞれ、各ネガ型硬化性組成物又は比較用組成物を、シリコンウェハ上に1,000rpmでスピンコートし、層状に適用(塗布)して、硬化性樹脂組成物層を形成した。実施例19においては、ネガ型硬化性組成物を、シリコンウェハ上にスリットコート法により層状に適用(塗布)して、組成物層を形成した。
各実施例及び比較例において、得られた組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、80℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に表1~表3に記載の厚さの硬化性樹脂組成物層を形成した。シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーで全面露光した。露光後、100℃で5分間加熱した。上記露光後の硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1~表3の「キュア温度(℃)」の温度に達した後、この温度を表1~表3の「キュア時間(min)」に記載の時間の間維持し、硬化膜を得た。
上記硬化膜が形成されたシリコンウェハを、N-メチル-2-ピロリドンに3時間浸漬し、イソプロピルアルコールで洗浄した後、風乾させた。上記風乾後の硬化膜におけるクラックの有無を目視にて観察し、溶剤耐性について下記評価基準に従い評価した。
評価結果は表1~表3の「溶剤耐性」の欄に記載した。クラックが発生しにくいほど、得られる硬化膜は溶剤耐性に優れるといえる。
-評価基準-
A:ウェハ全面においてクラックが認められなかった
B:ウェハの少なくとも一部にクラックが認められた。
〔密着性〕
実施例19以外の各実施例及び比較例において、それぞれ、各ネガ型硬化性組成物又は比較用組成物を、銅基板上にスピンコート法により層状に適用(塗布)して、硬化性樹脂組成物層を形成した。実施例19においては、ネガ型硬化性組成物を、銅基板上にスリットコート法により層状に適用(塗布)して、組成物層を形成した。
各実施例及び比較例において、得られた組成物層を適用した銅基板をホットプレート上で、80℃で5分間乾燥し、銅基板上に表1~表3に記載の厚さの硬化性樹脂組成物層を形成した。
銅基板上の硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーで100μm四方の正方形状の非マスク部を有するフォトマスクを使用して露光し、露光後、100℃で5分間加熱した。上記加熱後2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で5分間現像し、純水で20秒間リンスして、100μm四方形の樹脂層を得た。さらに、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1~表3の「キュア温度(℃)」の温度に達した後、表1~表3の「キュア時間(min)」に記載の時間の間維持した。
銅基板上の100μm四方形の樹脂層に対して、25℃、65%相対湿度(RH)の環境下にて、ボンドテスター(XYZTEC社製、CondorSigma)を用いて、せん断力を測定した。せん断力が大きいほど密着力が大きく好ましい結果となる。評価は下記評価基準に従い行った。評価結果は表1~表3の「密着性」の欄に記載した。
-評価基準-
A:せん断力が40gfを超えた。
B:せん断力が25gfを超えて40gf以下であった。
C:せん断力が25gf以下であった。
ただし、1gfは9.80665×10-3N(ニュートン)とする。
以上の結果から、本発明に係る、アルカリ可溶性ポリイミド、光重合開始剤、及び、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤を含有するネガ型硬化性組成物によれば、破断伸びに優れた硬化膜が得られることがわかる。
比較例1~比較例3に係るネガ型硬化性組成物は、共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤を含有しない。
この比較例1~比較例3に係るネガ型硬化性組成物は、得られる硬化膜における破断伸びに劣ることが分かる。
<実施例101>
実施例1において使用したネガ型硬化性組成物を、表面に銅薄層が形成された樹脂基材の銅薄層の表面にスピンコート法により層状に適用して、80℃で5分間乾燥し、膜厚20μmのネガ型硬化性組成物層を形成した後、ステッパー((株)ニコン製、NSR1505 i6)を用いて露光した。露光はマスク(パターンが1:1ラインアンドスペースであり、線幅が10μmであるバイナリマスク)を介して、波長365nmで行った。露光後、100℃で5分間加熱した。上記加熱後、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で5分間現像し、純水で20秒間リンスし、層のパターンを得た。
次いで、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、200℃に達した後、200℃で120分間維持して、再配線層用層間絶縁膜を形成した。この再配線層用層間絶縁膜は、絶縁性に優れていた。
また、これらの再配線層用層間絶縁膜を使用して半導体デバイスを製造したところ、問題なく動作することを確認した。

Claims (18)

  1. アルカリ可溶性ポリイミド、
    光重合開始剤、及び、
    共有結合による環状構造を重合基以外に有さず、重合基同士の距離が12原子以上離れている2官能架橋剤を含有し、
    前記2官能架橋剤が、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートであり、
    前記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのアルキレングリコール単位の単位の繰り返し数が3~6であり、
    前記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートおけるアルキレングリコール単位がエチレングリコール単位である、
    ネガ型硬化性組成物。
  2. 前記2官能架橋剤が前記光重合開始剤の感光によって重合反応を生じる化合物を含む、請求項に記載のネガ型硬化性組成物。
  3. 前記2官能架橋剤が熱架橋剤を含む、請求項1又は2に記載のネガ型硬化性組成物。
  4. 前記アルカリ可溶性ポリイミドがフッ素原子を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  5. 前記アルカリ可溶性ポリイミドがケイ素原子を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  6. 前記アルカリ可溶性ポリイミドがエチレン性不飽和結合を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  7. 前記アルカリ可溶性ポリイミドがフェノール性ヒドロキシ基を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  8. スルホンアミド構造を有する化合物、及び、チオウレア構造を有する化合物よリなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を更に含む、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  9. 前記光重合開始剤がオキシム化合物である、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  10. 尿素系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含む、請求項1~のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  11. エチレン性不飽和結合を3~6個有する化合物を更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  12. 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、請求項1~11のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物を硬化してなる硬化膜。
  14. 請求項13に記載の硬化膜を2層以上含み、前記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む積層体。
  15. 請求項1~12のいずれか1項に記載のネガ型硬化性組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
  16. 前記膜を露光する露光工程及び前記膜を現像する現像工程を含む、請求項15に記載の硬化膜の製造方法。
  17. 前記膜を、50~450℃で加熱する加熱工程を含む、請求項15又は16に記載の硬化膜の製造方法。
  18. 請求項13に記載の硬化膜又は請求項14に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
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