JP7265627B2 - 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、及び、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体 - Google Patents
硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、及び、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体 Download PDFInfo
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Description
これらの硬化性樹脂組成物は、公知の塗布方法等により基材等に適用可能であるため、例えば、適用される硬化性樹脂組成物の形状、大きさ、適用位置等の設計の自由度が高いなど、製造上の適応性に優れるといえる。
ポリイミド樹脂等がもつ高い性能に加え、このような製造上の適応性に優れる観点から、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む硬化性樹脂組成物について、産業上の応用展開がますます期待されている。
また、本発明の別の一実施態様は、新規なポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を提供することを目的とする。
<1> ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、及び、ポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂、
重合開始剤、及び、
重合性化合物を含み、
上記樹脂が、下記式(1-1)で表される構造を含む、
硬化性樹脂組成物。
<2> 上記式(1-1)で表される構造が、下記式(1-2)で表される構造である、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<3> 上記式(1-1)で表される構造を含む構造として、下記式(1-3)で表される構造を含む、<1>又は<2>に記載の硬化性樹脂組成物。
<4> 上記樹脂が、上記式(1-1)で表される構造を含む繰返し単位として、下記式(1-4)で表される繰返し単位を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<5> 上記L1、上記L2及び上記L3がそれぞれ独立に、脂肪族環構造及び芳香族環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の環構造を含む、<4>に記載の硬化性樹脂組成物。
<6> 上記L1、上記L2及び上記L3がそれぞれ独立に、下記式(A-1)~下記式(A-5)のいずれかで表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含む、<4>又は<5>に記載の硬化性樹脂組成物。
<7> 上記Z41及びZ42の少なくとも一方が、上記重合性基として、エチレン性不飽和基、環状エーテル基又はメチロール基を含む、<4>~<6>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<8> 上記式(1-4)で表される繰返し単位の含有量が、樹脂の全質量に対し、0.1~80質量%である、<4>~<7>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<9> 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、<1>~<8>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
<10> <1>~<9>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
<11> <10>に記載の硬化膜を2層以上有し、硬化膜の間に金属層を有する、積層体。
<12> <1>~<9>のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
<13> 上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含む、<12>に記載の硬化膜の製造方法。
<14> 上記膜を50~450℃で加熱する工程を含む、<12>又は<13>に記載の硬化膜の製造方法。
<15> <10>に記載の硬化膜又は<11>に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
<16> 下記式(1-2)で表される構造を含む、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体。
また、本発明の別の一実施態様によれば、新規なポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体が提供される。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた露光も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000、TSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。それらの分子量は特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、GPC測定における検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光層がある場合には、基材から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101,325Pa(1気圧)である。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に、「本発明の組成物」ともいう。)は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、及び、ポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう。)、重合開始剤、及び、重合性化合物を含み、上記樹脂が、下記式(1-1)で表される構造を含む。
上記効果が得られるメカニズムは定かではないが、特定樹脂が式(1-1)で表される構造を含有することにより、樹脂間に相互作用が働くため、破断伸びが向上すると推測される。
また、特定樹脂が式(1-1)で表される構造を含有することにより、特定樹脂の構造中にひずみが発生すると考えられる。上記ひずみにより、本発明の硬化性樹脂組成物、又は、本発明の硬化性樹脂組成物を基材に適用するなどにより形成される組成物膜は、例えば400nm付近の波長を有する紫外光の透過性に優れやすいと考えられる。そのため、例えば重合開始剤として光重合開始剤を用いた場合には、紫外光の透過性に優れ、硬化が進行しやすいため、得られる硬化膜の破断伸びに更に優れやすいと考えられる。
更に、上述の樹脂間の相互作用により、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐薬品性に優れた硬化膜が得られやすいと考えられる。
また、これらの樹脂は、上記ひずみの発生等の理由により、溶剤への溶解性も向上しやすいと考えられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特定樹脂を含む。
特定樹脂は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体であって、式(1-1)で表される構造を含む樹脂である。
特定樹脂は、式(1-1)で表される構造を、樹脂の主鎖に有していてもよいし、側鎖に有していてもよい。また、式(1-1)で表される構造を樹脂の側鎖に有する場合、式(1-1)で表される構造における2つの結合部位のうち一方が、樹脂の主鎖を構成する原子に直接結合していてもよい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖をいい、「側鎖」とはそれ以外の結合鎖をいう。
特定樹脂は、式(1-1)で表される構造を複数含むことが好ましい。特定樹脂が式(1-1)で表される構造を複数含む場合、複数の式(1-1)で表される構造は同一であってもよいし異なっていてもよい。
式(1-1)中、R1は水素原子又は置換基を表し、重合性基を含む置換基であることが好ましい。
R1に含まれる重合性基としては、エチレン性不飽和基、環状エーテル基又はメチロール基を含む基が好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、又は、メチロール基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、又は、メチロール基がより好ましい。
R1が重合性基を含む置換基である場合、R1は下記式(R1-1)で表される基であることが好ましい。
また、R1が水素原子であるか、又は重合性基を含まない置換基である場合、特定樹脂は式(1-1)で表される構造以外の構造として、重合性基を含む構造を有する。上記重合性基としては、エチレン性不飽和基、環状エーテル基又はメチロール基を含む基が好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、マレイミド基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、又は、メチロール基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、又は、メチロール基がより好ましい。
また、特定樹脂は、式(1-1)で表される構造を分子鎖中に2価の基として含んでもよいし、下記式(1-1B)で表される1価の基として含んでもよい。
式(1-1B)で表される1価の基は、例えば、側鎖末端として特定樹脂に含まれる。
式(1-1B)中、R2は水素原子又は1価の有機基であり、水素原子、炭化水素基又は複素環基が好ましく、水素原子、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基がより好ましく、水素原子、フェニル基、又は、含窒素芳香族複素環基が更に好ましく、水素原子、フェニル基、又は、ピリジル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記式(1-1)で表される構造は、下記式(1-2)で表される構造であることが好ましい。
式(1-2)中、X1は単結合又はn+1価の連結基を表し、単結合又は炭化水素基、エーテル結合(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、チオエーテル結合(-S-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、-NRN-、若しくは、これらを2以上結合した基であることが好ましく、単結合又は炭化水素基、エーテル結合、カルボニル基、若しくは、これらを2以上結合した基であることがより好ましく、単結合であることが更に好ましい。上記RNは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
また、溶剤溶解性の観点からは、X1は単結合又は総原子数2~40の基であることが好ましく、単結合又は総原子数2~30の基であることがより好ましく、単結合又は総原子数2~20の基であることが特に好ましい。
式(1-2)中、Z1は重合性基として、エチレン性不飽和基、環状エーテル基又はメチロール基を含む基であることが好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、又は、メチロール基を含む基であることが好ましく、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、グリシジル基、又はメチロール基であることがより好ましい。
また、Z1における重合性基が、後述の重合性化合物における重合性基と重合する基である態様も好ましく挙げられる。
式(1-2)中、nは1~10の整数であることが好ましく、1~4の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
また、溶剤溶解性の観点からは、特定樹脂は、式(1-3)で表される構造を、主鎖に有することが好ましい。
特定樹脂は、式(1-3)で表される構造を複数含むことが好ましい。特定樹脂が式(1-3)で表される構造を複数含む場合、複数の式(1-3)で表される構造は同一であってもよいし異なっていてもよい。
式(1-3)中、X31及びX32はそれぞれ独立に、式(1-2)中のX1と同義であり、好ましい態様も同様である。
Z31及びZ32は、少なくとも一方が重合性基を有する基であり、両方が重合性基を有する基であることが好ましい。
Z31又はZ32が重合性基を有する基である場合、Z31又はZ32は式(1-2)中のZ1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1-3)中、n31及びn32はそれぞれ独立に、式(1-2)中のnと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1-3)中、溶剤溶解性の観点からは、L1は脂肪族環構造及び芳香環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む基であることが好ましく、脂肪族炭化水素環構造又は芳香族炭化水素環構造を含む基であることがより好ましく、芳香族炭化水素環構造を含む基であることが更に好ましい。
また、L1は、下記式(A-1)~下記式(A-5)のいずれかで表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、下記式(A-1)~下記式(A-5)のいずれかで表される構造であることがより好ましい。
上記RA11~RA14における上記ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、又は、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
また、式(1-3)におけるL1において、破断伸びの観点からは、RA11~RA14のうち、少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、少なくとも3つが水素原子であることがより好ましい。
上記RA31~RA38における上記ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、又は、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
また、式(1-3)におけるL1において、破断伸びの観点からは、RA31~RA34のうち、少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、少なくとも3つが水素原子であることがより好ましく、4つともが水素原子であることが更に好ましい。
また、式(1-3)におけるL1において、破断伸びの観点からは、RA35~RA38のうち、少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、少なくとも3つが水素原子であることがより好ましく、4つともが水素原子であることが更に好ましい。
式(A-3)中、LA31は、単結合、炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基、炭素数5~24の2価の不飽和炭化水素基、-O-、-S-、-NRN-、ヘテロ環基、又は、炭素数1~6のハロゲン化アルキレン基を表すことが好ましく、単結合、炭素数1~6の2価の飽和炭化水素基、-O-又はヘテロ環基を表すことが好ましく、単結合又は-O-を表すことが更に好ましい。
上記RNは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記2価の不飽和炭化水素基は、2価の脂肪族不飽和炭化水素基であってもよいし、2価の芳香族炭化水素基であってもよいが、2価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
上記ヘテロ環基としては、例えば、脂肪族又は芳香族ヘテロ環から2つの水素原子を除いた基が好ましく、脂肪族又は芳香族ヘテロ環から2つの水素原子を除いた基が好ましく、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピペリジン環、テトラヒドロピラン環、ピリジン環、モルホリン環等の環構造から2つの水素原子を除いた基がより好ましい。これらのヘテロ環は、更に他のヘテロ環又は炭化水素環と縮合環を有していてもよい。
上記ヘテロ環の環員数は、5~10であることが好ましく、5又は6であることがより好ましい。
また、上記ヘテロ環基におけるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、又は、硫黄原子であることが好ましい。
上記ハロゲン化アルキレン基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
式(A-4)中、LA41は式(A-3)におけるLA31と同義であり、好ましい態様も同様である。
特定樹脂は、上記式(1-1)で表される構造を含む繰返し単位として、下記式(1-4)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
また、特定樹脂は、式(1-4)で表される繰返し単位を、主鎖に有することが好ましい。
式(1-4)中、X41、X42、Z41、Z42、n41及びn42はそれぞれ、式(1-3)中のX31、X32、Z31、Z32、n31及びn32と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、Z41及びZ42の少なくとも一方が、上記重合性基として、エチレン性不飽和基、環状エーテル基又はメチロール基を含むことが好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、又は、メチロール基を含むことが好ましく、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、グリシジル基、又はメチロール基を含むことがより好ましい。
式(1-4)中、L1は式(1-3)中のL1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1-4)中、溶剤溶解性の観点からは、L2及びL3はそれぞれ独立に、脂肪族環構造及び芳香環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含む基であることが好ましく、脂肪族炭化水素環構造又は芳香族炭化水素環構造を含む基であることがより好ましく、芳香族炭化水素環構造を含む基であることが更に好ましい。
また、式(1-4)中、L2及びL3はそれぞれ独立に、上記式(A-1)~上記式(A-5)のいずれかで表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、上記式(A-1)~上記式(A-5)のいずれかで表される構造であることがより好ましい。
すなわち、式(1-4)中、L1、L2及びL3がそれぞれ独立に、脂肪族環構造及び芳香族環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の環構造を含むことが好ましく、L1、L2及びL3がそれぞれ独立に、上記式(A-1)~上記式(A-5)のいずれかで表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含むことがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-2)中のRA21~RA24のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-3)中のRA31~RA34のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-3)中のRA35~RA38のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-4)中のRA41~RA44のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-4)中のRA45~RA48のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-5)中のRA51~RA54のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
式(1-4)におけるL2及びL3において、溶剤溶解性の観点からは、式(A-5)中のRA55~RA58のうち、少なくとも2つがアルキル基であることが好ましく、少なくとも3つがアルキル基であることがより好ましい。
<<式(L4-1)>>
式(L4-1)中、R115は、芳香環を含む4価の有機基が好ましく、下記式(5)又は式(6)で表される基がより好ましい。
式(L4-2)中、R122は式(L4-1)におけるR115と同義であり、好ましい態様も同様である。式(L4-2)中、R122は2,2'-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、又は、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニルに由来することが好ましい。
式(L4-3)中、A1及びA2はそれぞれ独立に、酸素原子又は-NH-を表し、酸素原子であることが好ましい。
式(L4-3)中、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R113及びR114の少なくとも一方が重合性基を含むことが好ましく、両方が重合性基を含むことがより好ましい。
R113又はR114における重合性基としては、上述の式(1-1)中のR1における重合性基と同様の基が挙げられる。
好適なR201の例は、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2-ブタンジイル基、1,3-ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、-CH2CH(OH)CH2-が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、-CH2CH(OH)CH2-がより好ましい。
特に好ましくは、R200がメチル基で、R201がエチレン基である。
式(III)中、*は他の構造との結合部位を表す。
好ましい実施形態として、式(L4-3)におけるR113又はR114の1価の有機基として、1、2又は3つの、好ましくは1つの酸基を有する、脂肪族基、芳香族基及びアリールアルキル基などが挙げられる。具体的には、酸基を有する炭素数6~20の芳香族基、酸基を有する炭素数7~25のアリールアルキル基が挙げられる。より具体的には、酸基を有するフェニル基及び酸基を有するベンジル基が挙げられる。酸基は、ヒドロキシ基が好ましい。すなわち、R113又はR114はヒドロキシ基を有する基であることが好ましい。
R113又はR114が表す1価の有機基としては、現像液の溶解度を向上させる置換基が好ましく用いられる。
式(L4-4)中、R122は、上述の式(L4-2)におけるR122と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(L4-4)中、R123及びR124は、上述の式(L4-3)におけるR113及びR114とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1-4)中、L4を除いた構造は、スルホンアミド基を有するジアミン化合物に由来する構造であることが好ましく、スルホンアミド基を有するジアミン化合物から2つのアミノ基を除いた構造であることがより好ましい。
スルホンアミド基を有するジアミン化合物としては、下記式(1-4-N)で表される化合物が好ましい。
また、スルホンアミド基を有するジアミン化合物においては、X41及びX42が単結合であり、かつ、Z41及びZ42が水素原子である態様も好ましい態様である。
このような化合物を用いて形成された樹脂に対し、メタクリル酸ハライド等の重合性基を有するカルボン酸ハライド化合物を反応させることにより、上述の式(1-4-N)におけるZ41又はZ42の位置に重合性基を導入することが可能である。例えば、上述のテトラカルボン酸二無水物と、下記構造の化合物との反応後に上記の方法により重合性基を導入することにより、特定樹脂を得ることができる。
式(1-4)中、L4が式(L4-1)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリイミドであることが好ましい。
式(1-4)中、L4が式(L4-2)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリベンゾオキサゾールであることが好ましい。
式(1-4)中、L4が式(L4-3)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリイミド前駆体であることが好ましい。
式(1-4)中、L4が式(L4-4)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。
特定樹脂が式(1-4)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-4)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、0.1~80質量%であることが好ましく、1~70質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることが更に好ましい。
特定樹脂は、式(1-4)で表される繰返し単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
また、特定樹脂が式(1-1B)で表される構造を含む場合、特定樹脂は、式(1-1B)で表される構造を含む構造として、式(1-2B)で表される構造を含むことが好ましい。
式(1-2B)中、LB1は芳香族炭化水素環又は脂肪族炭化水素環を含む3価の連結基であることが好ましく、芳香族炭化水素環を含む3価の連結基であることがより好ましく、芳香族炭化水素環から水素原子を3つ除いた基であることが更に好ましく、ベンゼン環から水素原子を3つ除いた基であることが特に好ましい。
上記LB1における芳香族炭化水素環又は脂肪族炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アリール基、又は、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、又は、ハロゲン原子がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。
式(1-2B)中、R1及びR2は上述の式(1-1B)中のR1及びR2と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1-2B)中、*はいずれも特定樹脂の主鎖と結合することが好ましい。
また、特定樹脂が式(1-1B)で表される構造を含む場合、特定樹脂は、式(1-1B)で表される構造を含む繰返し単位として、下記式(1-3B)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
式(1-3B)中、L4は上述の式(1-4)におけるL4と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1-3B)中、L4を除いた構造は、スルホンアミド基を有するジアミン化合物に由来する構造であることが好ましく、スルホンアミド基を有するジアミン化合物から2つのアミノ基を除いた構造であることがより好ましい。
スルホンアミド基を有するジアミン化合物としては、下記式(1-3B-N)で表される化合物が好ましい。
また、スルホンアミド基を有するジアミン化合物においては、R1が水素原子である態様も好ましい態様である。
このような化合物を用いて形成された樹脂に対し、メタクリル酸ハライド等の重合性基を有するカルボン酸ハライド化合物を反応させることにより、上述の式(1-3B-N)におけるR1の位置に重合性基を導入することが可能である。例えば、上述のテトラカルボン酸二無水物と、下記構造の化合物との反応後に上記の方法により重合性基を導入することにより、特定樹脂を得ることができる。
式(1-3B)中、L4が式(L4-1)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリイミドであることが好ましい。
式(1-3B)中、L4が式(L4-2)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリベンゾオキサゾールであることが好ましい。
式(1-3B)中、L4が式(L4-3)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリイミド前駆体であることが好ましい。
式(1-3B)中、L4が式(L4-4)で表される基で表される構造である場合、特定樹脂はポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。
特定樹脂が式(1-3B)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-3B)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、0.1~80質量%であることが好ましく、1~70質量%であることがより好ましく、5~50質量%であることが更に好ましい。
特定樹脂は、式(1-3B)で表される繰返し単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
-式(4)で表される繰返し単位-
特定樹脂は、下記式(4)で表される繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂が下記式(4)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂はポリイミドであることが好ましい。
特定樹脂が下記式(4)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は下記式(4)で表される繰返し単位を主鎖に含むことが好ましい。
特定樹脂が下記式(4)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-4)で表される繰返し単位であって、式(1-4)中のL4が式(L4-1)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PI-1」ともいう)、及び、式(1-3B)で表される繰返し単位であって、式(1-3B)中のL4が式(L4-1)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PI-2」ともいう。)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、下記式(4)で表される繰返し単位とを含むことが好ましい。
また、特定樹脂がポリイミドである場合、特定樹脂は、式(4)で表される繰返し単位を実質的に含有しない態様とすることもでき、このような態様においては、式(4)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
また、特定樹脂がポリイミドである場合、特定樹脂に含まれる、式(1-4)で表される繰返し単位と、式(1-3B)で表される繰返し単位と、式(4)で表される繰返し単位との合計含有量は、特定樹脂の全質量に対し、50~100質量%であることが好ましく、60~99質量%であることがより好ましく、70~95質量%であることが更に好ましい。
特定樹脂は、式(X)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
特定樹脂が式(X)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂はポリベンゾオキサゾールであることが好ましい。
特定樹脂が下記式(X)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は下記式(X)で表される繰返し単位を主鎖に含むことが好ましい。
特定樹脂が式(X)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は、式(1-4)で表される繰返し単位であって、式(1-4)中のL4が式(L4-2)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PB-1」ともいう。)、及び、式(1-3B)で表される繰返し単位であって、式(1-3B)中のL4が式(L4-2)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PB-2」ともいう。)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、下記式(X)で表される繰返し単位とを含むことが好ましい。
また、特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合、特定樹脂は、式(X)で表される繰返し単位を実質的に含有しない態様とすることもでき、このような態様においては、式(X)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
また、特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合、特定樹脂に含まれる、式(1-4)で表される繰返し単位と、式(1-3B)で表される繰返し単位と、式(4)で表される繰返し単位との合計含有量は、特定樹脂の全質量に対し、50~100質量%であることが好ましく、60~99質量%であることがより好ましく、70~95質量%であることが更に好ましい。
また、特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合、特定樹脂は、後述する式(SL)で表される繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂は、下記式(1)で表される繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂が下記式(1)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂はポリイミド前駆体であることが好ましい。
特定樹脂が下記式(1)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は下記式(1)で表される繰返し単位を主鎖に含むことが好ましい。
特定樹脂が下記式(1)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-4)で表される繰返し単位であって、式(1-4)中のL4が式(L4-3)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PIP-1」ともいう。)、及び、式(1-3B)で表される繰返し単位であって、式(1-3B)中のL4が式(L4-3)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PIP-2」ともいう。)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、下記式(1)で表される繰返し単位とを含むことが好ましい。
式(1)中、R111は2価の有機基を表す。2価の有機基としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、環状の脂肪族基、及び芳香族基、複素芳香族基、又はこれらを2以上組み合わせた基が例示され、炭素数2~20の直鎖の脂肪族基、炭素数3~20の分岐の脂肪族基、炭素数3~20の環状の脂肪族基、炭素数6~20の芳香族基、又は、これらを2以上組み合わせた基が好ましく、炭素数6~20の芳香族基がより好ましい。
また、特定樹脂がポリイミド前駆体である場合、特定樹脂は、式(1)で表される繰返し単位を実質的に含有しない態様とすることもでき、このような態様においては、式(1)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
また、特定樹脂がポリイミド前駆体である場合、特定樹脂に含まれる、式(1-4)で表される繰返し単位と、式(1-3B)で表される繰返し単位と、式(1)で表される繰返し単位との合計含有量は、特定樹脂の全質量に対し、50~100質量%であることが好ましく、60~99質量%であることがより好ましく、70~95質量%であることが更に好ましい。
特定樹脂は、下記式(2)で表される繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂が下記式(2)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂はポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。
特定樹脂が下記式(2)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は下記式(2)で表される繰返し単位を主鎖に含むことが好ましい。
特定樹脂が下記式(2)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-4)で表される繰返し単位であって、式(1-4)中のL4が式(L4-4)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PBP-1」ともいう。)、及び、式(1-3B)で表される繰返し単位であって、式(1-3B)中のL4が式(L4-4)である繰返し単位(以下、「繰返し単位PBP-2」ともいう。)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位とを含むことが好ましい。
式(2)中、R121は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、脂肪族基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい)及び芳香族基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~12が特に好ましい)の少なくとも一方を含む基が好ましい。R121を構成する芳香族基としては、上記式(1)のR111の例が挙げられる。上記脂肪族基としては、直鎖の脂肪族基が好ましい。R121は、4,4’-オキシジベンゾイルクロリドに由来することが好ましい。
式(2)中、R122は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、上記式(1)におけるR115と同義であり、好ましい範囲も同様である。R122は、2,2'-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンに由来することが好ましい。
R123及びR124は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、上記式(1)におけるR113及びR114と同義であり、好ましい範囲も同様である。
特定樹脂は、式(P-1)で表される繰返し単位を更に含んでもよい。
特に、特定樹脂において、式(1-1)におけるR1が水素原子であるか、又は、重合性基を含まない置換基である場合、重合性基を有する繰返し単位として、特定樹脂は式(P-1)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
特定樹脂が式(P-1)で表される繰返し単位を含む場合、特定樹脂は、式(P-1)で表される繰返し単位を主鎖に有することが好ましい。
式(P-1)中、LP1はa+2価の連結基を表し、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は、これらの基の少なくとも1つとエーテル結合、カルボニル基、チオエーテル結合、スルホニル基、及び-NRN-の少なくとも1つとが結合した基であることが好ましい。上記RNは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数2~30の脂肪族飽和炭化水素基が好ましく、炭素数2~10の脂肪族飽和炭化水素基がより好ましい。
また、上記脂肪族炭化水素基としては、環員数が6~20の飽和脂肪族炭化水素環基が好ましい。
上記芳香族炭化素基としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6~12の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数6の芳香族炭化水素基がより好ましい。
これらの中でも、溶剤溶解性の観点からは、L1は脂肪族炭化水素環基又は芳香族炭化水素環基を含む基であることが好ましく、芳香族炭化水素環基を含む基であることがより好ましい。
また、LP1は、上述の式(A-1)~式(A-5)のいずれかで表される構造を含むことが好ましく、式(A-1)~式(A-5)のいずれかで表される構造であることがより好ましい。
式L21が式(A-1)~(A-5)で表される構造のいずれか1つを含む場合、式(A-1)~(A-5)の説明において、RA11~RA14、RA21~RA24、RA31~RA38、RA41~RA48及びRA51~RA58のうち、それぞれa個は式(P-1)中のXP2との結合部位である。
XP2はエステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合又はエーテル結合を表し、エステル結合又はエーテル結合であることが好ましい。
また、X2は合成方法等を考慮した上で決定すればよい。
XP2がエステル結合である場合、エステル結合の炭素原子がL1と結合してもよいし、酸素原子がL1と結合してもよい。
XP2がウレタン結合である場合、ウレタン結合の酸素原子がL1と結合することが好ましい。
XP2がアミド結合である場合、アミド結合の炭素原子がL1と結合することが好ましい。
XP1は重合性基を含む基を表す。
XP1は、上記重合性基として、エチレン性不飽和基、環状エーテル基、及び、メチロール基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を含むことが好ましく、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロキシ基、マレイミド基、ビニルフェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、又は、メチロール基を含むことがより好ましく、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、又は、メチロール基を含むことがより好ましい。
式(X-1)中、Lは単結合、又は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、エーテル結合(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、チオエーテル結合(-O-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、-NRN-、-CH2CH(OH)CH2-、若しくは、これらが2以上結合した基が好ましく、単結合、脂肪族炭化水素基、又は、芳香族炭化水素基がより好ましい。上記RNは水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基がより好ましく、水素原子又はアルキル基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~20の炭化水素基が好ましく、炭素数1~10の炭化水素基がより好ましい。また、上記脂肪族炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数6~12の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数6の芳香族炭化水素基がより好ましい。
ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。(ポリ)アルキレンオキシ基におけるアルキレン基の炭素数(アルキレン基が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む)は、2以上であることが好ましく、2~50であることがより好ましく、2~30であることがより好ましく、2~10であることが更に好ましく、2~6であることが一層好ましく、2~4であることが特に好ましく、2又は3であることが最も好ましい。
また、上記アルキレン基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、ポリアルキレンオキシ基に含まれるアルキレンオキシ基の数(ポリアルキレンオキシ基の繰り返し数)は、2~100が好ましく、2~50がより好ましく、2~30が更に好ましく、2~10が特に好ましく、3~10が最も好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、溶剤溶解性及び耐薬品性の両立の観点からは、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、ポリトリメチレンオキシ基、ポリテトラメチレンオキシ基、又は、複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基が好ましく、ポリエチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基がより好ましい。上記複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるエチレンオキシ基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
式(X-1)において、nxが1であり、かつ、Lが単結合、又は、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、チオエーテル結合(-O-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、-NRN-、-CH2CH(OH)CH2-若しくは、これらが2以上結合した基でああることが好ましく、nzが1であり、かつ、Lが単結合、又は、炭素数1~10のアルキレン基、フェニレン基、エーテル結合(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、チオエーテル結合(-O-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、-NRN-、-CH2CH(OH)CH2-若しくは、これらが2以上結合した基でああることがより好ましい。
aは1以上の整数を表し、1~10の整数であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
LP4は上述の式(1-4)におけるL4と同義であり、好ましい態様も同様である。
特定樹脂が式(P-1)で表される繰返し単位を含む場合、式(P-1)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、0.1~80質量%であることが好ましく、1~70質量%であることがより好ましく、1~50質量%であることが更に好ましい。
特定樹脂は、式(P-4)で表される繰返し単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物における特定樹脂の含有量は、得られる硬化膜の破断伸びを向上する観点からは、硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。
上記含有量の上限としては、硬化性樹脂組成物の解像性を向上する観点からは、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましく、97質量%以下であることが一層好ましく、95質量%以下であることがより一層好ましい。
-分子量-
特定樹脂がポリイミド又はポリイミド前駆体である場合、特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000~500,000であることが好ましく、5,000~100,000であることがより好ましく、10,000~50,000であることが更に好ましい。
特定樹脂がポリイミド又はポリイミド前駆体である場合、特定樹脂の数平均分子量(Mn)は、800~250,000であることが好ましく、2,000~50,000であることがより好ましく、4,000~25,000であることが更に好ましい。
特定樹脂がポリイミド又はポリイミド前駆体である場合、特定樹脂の分子量の分散度は、1.5~3.5が好ましく、2~3がより好ましい。
本明細書において、分子量の分散度とは、重量平均分子量を数平均分子量により除した値(重量平均分子量/数平均分子量)をいう。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾール又はポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、特定樹脂の数平均分子量(Mn)は、800~250,000であることが好ましく、2,000~50,000であることがより好ましく、4,000~25,000であることが更に好ましい。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾール又はポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、特定樹脂の分子量の分散度は、1.5~3.5が好ましく、2~3がより好ましい。
硬化性樹脂組成物を、後述する溶剤現像に用いる場合、特定樹脂の酸価は、1mmol/g以下であることが好ましく、0.5mmol/g以下であることがより好ましく、0.3mmol/gであることが更に好ましい。上記酸価の下限は特に限定されず、0mmol/g以上であればよい。
硬化性樹脂組成物を、後述するアルカリ現像に用いる場合、特定樹脂の酸価は、1.2~7mmol/gであることが好ましく、1.5~6mmol/gであることがより好ましく、2~5mmol/gであることが更に好ましい。
本発明において、酸価とは、特定樹脂1gに含まれる酸基の量(mmol)をいう。
上記酸基とは、pH12以上のアルカリ(例えば水酸化ナトリウム)により、中和される基をいう。また、上記酸基は、pKaが10以下である基であることが好ましい。
上記酸価は、公知の方法により測定され、例えば、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される。
特定樹脂は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、及び、ポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂である。
特定樹脂がポリイミドである場合、特定樹脂は、繰返し単位PI-1及び繰返し単位PI-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含むことが好ましく、繰返し単位PI-1及び繰返し単位PI-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、式(4)で表される繰返し単位とを含むことがより好ましい。また、特定樹脂はその他の繰返し単位を更に含んでもよい。
また、特定樹脂は、上述の繰返し単位PIP-1及び繰返し単位PIP-2並びに式(1)で表される繰返し単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂がポリイミドである場合、特定樹脂の閉環率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
特定樹脂がポリイミドである場合の特定樹脂の閉環率は、下記式CR(PI)により表される値である。
式CR(PI):
特定樹脂の閉環率(%)=(特定樹脂におけるイミド環のモル量)/(特定樹脂におけるイミド環のモル量+特定樹脂における閉環してイミド環を形成可能な構造のモル量)×100
例えば、特定樹脂が、繰返し単位PI-1と、繰返し単位PIP-1と、式(4)で表される繰返し単位と、式(1)で表される繰返し単位からなる樹脂である場合、閉環率は、下記式CR(PI)1により表される値である。
式CR(PI)1:
特定樹脂の閉環率(%)=(繰返し単位PI-1のモル量+式(4)で表される繰返し単位のモル量)/(繰返し単位PI-1のモル量+繰返し単位PIP-1のモル量+式(4)で表される繰返し単位のモル量+式(1)で表される繰返し単位のモル量)
特定樹脂がポリイミド前駆体である場合、特定樹脂は、繰返し単位PIP-1及び繰返し単位PIP-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含むことが好ましく、繰返し単位PIP-1及び繰返し単位PIP-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、式(1)で表される繰返し単位とを含むことがより好ましい。また、特定樹脂はその他の繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合、特定樹脂は、繰返し単位PB-1及び繰返し単位PB-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含むことが好ましく、繰返し単位PB-1及び繰返し単位PB-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、式(X)で表される繰返し単位とを含むことがより好ましい。また、特定樹脂はその他の繰返し単位を更に含んでもよい。
また、特定樹脂は、上述の繰返し単位PBP-1及び繰返し単位PBP-2並びに式(2)で表される繰返し単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合、特定樹脂の閉環率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合の特定樹脂の閉環率は、下記式CR(PB)により表される値である。
式CR(PB):
特定樹脂の閉環率(%)=(特定樹脂におけるベンゾオキサゾール環のモル量)/(特定樹脂におけるベンゾオキサゾール環のモル量+特定樹脂における閉環してベンゾオキサゾール環を形成可能な構造のモル量)×100
例えば、特定樹脂が、繰返し単位PB-1と、繰返し単位PBP-1と、式(X)で表される繰返し単位と、式(2)で表される繰返し単位からなる樹脂である場合、閉環率は、下記式CR(PB)1により表される値である。
式CR(PB)1:
特定樹脂の閉環率(%)=(繰返し単位PB-1のモル量+式(X)で表される繰返し単位のモル量)/(繰返し単位PB-1のモル量+繰返し単位PBP-1のモル量+式(X)で表される繰返し単位のモル量+式(2)で表される繰返し単位のモル量)
特定樹脂がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、特定樹脂は、繰返し単位PBP-1及び繰返し単位PBP-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含むことが好ましく、繰返し単位PBP-1及び繰返し単位PBP-2よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繰返し単位と、式(2)で表される繰返し単位とを含むことがより好ましい。また、特定樹脂はその他の繰返し単位を更に含んでもよい。
特定樹脂の具体例としては、後述の実施例において使用された特定樹脂が挙げられる。
特定樹脂は、例えば、後述の実施例における合成例に示した合成方法により合成される。
特定樹脂がポリイミドである場合の合成方法としては、例えば、スルホンアミド基含有ジアミンとジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とを反応させ、反応後に熱イミド化、化学イミド化(例えば、触媒を作用させることによる環化反応の促進)等の方法によりイミド環を形成し、ポリイミドを得る方法が挙げられる。
また、特定樹脂がポリイミドである場合、上記ポリイミドは、特定樹脂であるポリイミド前駆体を加熱等により環化することにより合成してもよい。
特定樹脂がポリイミド前駆体である場合の合成方法としては、例えば、スルホンアミド基含有ジアミンとジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とを反応させる方法が挙げられる。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合の合成方法としては、例えば、スルホンアミド基を有するジアミン化合物と、ベンゾオキサゾール構造を有するジカルボン酸ハライド化合物とを反応する方法が挙げられる。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合の合成方法としては、ヒドロキシ基を2以上有し、かつ、上記ヒドロキシ基の隣接位にアミノ基を有するベンゼン環を含む化合物と、スルホンアミド含有ジアミンと、ジカルボン酸ハライド化合物とを反応する方法が挙げられる。
また、上記方法により得られたポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール又はポリベンゾオキサゾール前駆体に対し、メタクリル酸ハライド等の重合性基を有するカルボン酸ハライド化合物等を反応させ、スルホンアミド基に含まれる水素原子に対して重合性基を付加してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した特定樹脂とは異なる、他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ともいう。)を含んでもよい。
他の樹脂としては、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体等が挙げられる。
特定樹脂がポリイミドである場合、他の樹脂はポリイミドであることが好ましい。
特定樹脂がポリイミド前駆体である場合、他の樹脂はポリイミド前駆体であることが好ましい。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾールである場合、他の樹脂はポリベンゾオキサゾールであることが好ましい。
特定樹脂がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、他の樹脂はポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。
得られる硬化膜の膜強度の観点からは、他の樹脂であるポリイミドは、上述した式(4)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
ポリイミドにおいて、式(4)で表される繰返し単位は1種であってもよいが、2種以上であってもよい。また、ポリイミドは、上記の式(4)の繰返し単位のほかに、他の種類の繰返し単位も含んでもよい。
得られる硬化膜の膜強度の観点からは、ポリイミド前駆体は、上述した式(1)で表される繰返し単位を有することが好ましい。
ポリベンゾオキサゾールは、上述の式(X)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、上述の式(2)で表される繰返し単位を含むことが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤を含む。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤として熱重合開始剤を含んでもよく、とくに熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、特定樹脂がポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体である場合には前駆体の環化と共に、特定樹脂及び重合性化合物の重合反応を進行させることもできるので、より高度な耐熱化が達成できることとなる。
〔ラジカル重合性化合物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は重合性化合物を含む。
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物を用いることができる。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。ラジカル重合性基は、(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性の観点からは、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したラジカル重合性化合物以外の重合性化合物を更に含むことができる。上述したラジカル重合性化合物以外の重合性化合物としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物;オキセタン化合物;ベンゾオキサジン化合物が挙げられる。
ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物としては、下記式(AM1)、(AM4)又は(AM5)で示される化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、硬化性樹脂組成物の低温硬化及び反りの抑制に効果的である。
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4-ベンゼンジカルボン酸-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成株式会社製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT-121、OXT-221、OXT-191、OXT-223)が好適に使用することができ、これらは単独で、又は2種以上混合してもよい。
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応のため、硬化時に脱ガスが発生せず、更に熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含むことが好ましい。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、又は、特定樹脂に含まれるメチロール基の架橋反応を促進させる効果がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物が熱酸発生剤を含む場合、特定樹脂は重合性基としてメチロール基を含むことが好ましい。
熱分解開始温度は、熱酸発生剤を耐圧カプセル中5℃/分で500℃まで加熱した場合に、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度として求められる。
熱分解開始温度を測定する際に用いられる機器としては、Q2000(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、オニウム塩を含むことが好ましい。
特に、特定樹脂がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、硬化性樹脂組成物はオニウム塩を含むことが好ましい。
オニウム塩の種類等は特に定めるものではないが、アンモニウム塩、イミニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましく挙げられる。
これらの中でも、熱安定性が高い観点からはアンモニウム塩又はイミニウム塩が好ましく、ポリマーとの相溶性の観点からはスルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましい。
すなわち、オニウム塩は、同一の分子構造内に、カチオン部と、アニオン部と、を有する分子内塩であってもよいし、それぞれ別分子であるカチオン分子と、アニオン分子と、がイオン結合した分子間塩であってもよいが、分子間塩であることが好ましい。また、本発明の硬化性樹脂組成物において、上記カチオン部又はカチオン分子と、上記アニオン部又はアニオン分子と、はイオン結合により結合されていてもよいし、解離していてもよい。
オニウム塩におけるカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルアンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオンがより好ましい。
熱塩基発生剤とは、加熱により塩基を発生する化合物をいい、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生する酸性化合物等が挙げられる。
本発明において、アンモニウム塩とは、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。
アンモニウムカチオンとしては、第四級アンモニウムカチオンが好ましい。
また、アンモニウムカチオンとしては、下記式(101)で表されるカチオンが好ましい。
R1~R4の少なくとも2つはそれぞれ結合して環を形成する場合、上記環はヘテロ原子を含んでもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素原子が挙げられる。
式(Y1-1)において、R101は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又は、これらが結合した構造からn個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン又はナフタレンからn個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
式(Y1-1)において、nは1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Y1-2)において、Ar101及びAr102はそれぞれ独立に、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基がより好ましい。
アンモニウム塩におけるアニオンとしては、カルボン酸アニオン、フェノールアニオン、リン酸アニオン及び硫酸アニオンから選ばれる1種が好ましく、塩の安定性と熱分解性を両立させられるという理由からカルボン酸アニオンがより好ましい。すなわち、アンモニウム塩は、アンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンとの塩がより好ましい。
カルボン酸アニオンは、2個以上のカルボキシ基を持つ2価以上のカルボン酸のアニオンが好ましく、2価のカルボン酸のアニオンがより好ましい。この態様によれば、硬化性樹脂組成物の安定性、硬化性及び現像性をより向上できる。特に、2価のカルボン酸のアニオンを用いることで、硬化性樹脂組成物の安定性、硬化性及び現像性を更に向上できる。
σmが正の値を示す置換基の例としては、CF3基(σm=0.43)、CF3C(=O)基(σm=0.63)、HC≡C基(σm=0.21)、CH2=CH基(σm=0.06)、Ac基(σm=0.38)、MeOC(=O)基(σm=0.37)、MeC(=O)CH=CH基(σm=0.21)、PhC(=O)基(σm=0.34)、H2NC(=O)CH2基(σm=0.06)などが挙げられる。なお、Meはメチル基を表し、Acはアセチル基を表し、Phはフェニル基を表す(以下、同じ)。
上記pKaの下限は特に限定されないが、発生する塩基が中和されにくく、特定樹脂などの環化効率を良好にするという観点からは、-3以上であることが好ましく、-2以上であることがより好ましい。
上記pKaとしては、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値を用いることとする。
本発明において、イミニウム塩とは、イミニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
式(102)中、R5及びR6は上述の式(101)におけるR1~R4と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(102)中、R7はR5及びR6の少なくとも1つと結合して環を形成することが好ましい。上記環はヘテロ原子を含んでもよい。上記ヘテロ原子としては、窒素原子が挙げられる。また、上記環としてはピリジン環が好ましい。
式(Y1-3)において、R101は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又は、これらが結合した構造からn個の水素原子を除いた基であることが好ましく、炭素数2~30の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン又はナフタレンからn個の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
式(Y1-3)において、nは1~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Y1-5)において、mは0~4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
本発明において、スルホニウム塩とは、スルホニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
スルホニウムカチオンとしては、第三級スルホニウムカチオンが好ましく、トリアリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
また、スルホニウムカチオンとしては、下記式(103)で表されるカチオンが好ましい。
R8~R10はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
R8~R10は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又は、アルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
R8~R10は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
本発明において、ヨードニウム塩とは、ヨードニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
R11及びR12はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
R11及びR12は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又はアルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
R11及びR12は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
本発明において、ホスホニウム塩とは、ホスホニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンとしては、上述のアンモニウム塩におけるアニオンと同様のものが例示され、好ましい態様も同様である。
ホスホニウムカチオンとしては、第四級ホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルホスホニウムカチオン、トリアリールモノアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
また、ホスホニウムカチオンとしては、下記式(105)で表されるカチオンが好ましい。
R13~R16はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6~12のアリール基であることが更に好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。
R13~R16は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、置換基として、アルキル基、又はアルコキシ基を有することが好ましく、分岐アルキル基又はアルコキシ基を有することがより好ましく、炭素数3~10の分岐アルキル基、又は、炭素数1~10のアルコキシ基を有することが更に好ましい。
R13~R16は同一の基であっても、異なる基であってもよいが、合成適性上の観点からは、同一の基であることが好ましい。
オニウム塩は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱塩基発生剤を含んでもよい。
特に、特定樹脂がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、硬化性樹脂組成物は熱塩基発生剤を含むことが好ましい。
熱塩基発生剤は、上述のオニウム塩に該当する化合物であってもよいし、上述のオニウム塩以外の他の熱塩基発生剤であってもよい。
他の熱塩基発生剤としては、ノニオン系熱塩基発生剤が挙げられる。
ノニオン系熱塩基発生剤としては、式(B1)又は式(B2)で表される化合物が挙げられる。
Rb13はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~18がより好ましく、3~12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。中でも、Rb13はアリールアルキル基が好ましい。
Rb15及びRb16は水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
Rb17はアルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~12がより好ましく、3~8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~12が更に好ましい)であり、中でもアリール基が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、公知の溶剤を任意に使用できる。溶剤は有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、スルホキシド類、アミド類などの化合物が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にマイグレーション抑制剤を含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが硬化性樹脂組成物層内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含むことが好ましい。金属接着性改良剤としては、シランカップリング剤などが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加物、例えば、N-フェニルジエタノールアミンなどの増感剤、連鎖移動剤、界面活性剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は硬化性樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
増感剤としては、N-フェニルジエタノールアミン等の増感剤が挙げられる。
また、増感剤としては、増感色素を用いてもよい。
増感色素の詳細については、特開2016-027357号公報の段落0161~0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683-684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、及びGeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物を好ましく用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。下記式中、主鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の含有量(モル%)を、側鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の繰り返し数をそれぞれ表す。
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で硬化性樹脂組成物の表面に偏在させてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.6質量%未満が更に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行ってもよい。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせてもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられることが好ましい。
また、その他、半導体デバイスの絶縁膜の形成、又は、ストレスバッファ膜の形成等にも用いることができる。
次に、硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法について説明する。
更に、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程を含み、かつ、上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する(上記膜に対して現像処理を行う)現像工程を更に含むことがより好ましい。
更に、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程(及び、必要に応じて上記現像工程)を含み、かつ、上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程を更に含むことがより好ましい。
具体的には、以下の(a)~(d)の工程を含むことも好ましい。
(a)硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜(硬化性樹脂組成物層)を形成する膜形成工程
(b)膜形成工程の後、膜を露光する露光工程
(c)露光された上記膜に対して現像処理を行う現像工程
(d)現像された上記膜を50~450℃で加熱する加熱工程
上記加熱工程において加熱することにより、露光で硬化した樹脂層を更に硬化させることができる。この加熱工程で、例えば上述の熱塩基発生剤が分解し、十分な硬化性が得られる。
<膜形成工程(層形成工程)>
本発明の好ましい実施形態に係る製造方法は、硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜(層状)にする、膜形成工程(層形成工程)を含む。
また、基材としては、例えば板状の基材(基板)が用いられる。
また、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基材上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051や、特開2006-047592号公報の段落0096~0108に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
本発明の製造方法は、上記膜(硬化性樹脂組成物層)を形成後、膜形成工程(層形成工程)の後に、溶剤を除去するために乾燥する工程を含んでいてもよい。好ましい乾燥温度は50~150℃で、70℃~130℃がより好ましく、90℃~110℃が更に好ましい。乾燥時間としては、30秒~20分が例示され、1分~10分が好ましく、3分~7分がより好ましい。
本発明の製造方法は、上記膜(硬化性樹脂組成物層)を露光する露光工程を含んでもよい。露光量は、硬化性樹脂組成物を硬化できる限り特に定めるものではないが、例えば、波長365nmでの露光エネルギー換算で100~10,000mJ/cm2照射することが好ましく、200~8,000mJ/cm2照射することがより好ましい。
本発明の製造方法は、露光された膜(硬化性樹脂組成物層)に対して、現像処理を行う現像工程を含んでもよい。現像を行うことにより、露光されていない部分(非露光部)が除去される。現像方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、例えば、パドル、スプレー、浸漬、超音波等の現像方法が採用可能である。
本発明において、現像液としてアルカリ現像液を用いる場合をアルカリ現像、現像液として有機溶剤を50質量%以上含む現像液を用いる場合を溶剤現像という。
アルカリ現像における現像液は、pHが10~14である水溶液がより好ましい。
アルカリ現像における現像液に含まれるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、アンモニア又はアミンなどが挙げられる。アミンとしては、例えば、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、四級アンモニウム水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化テトラエチルアンモニウムなどが挙げられる。なかでも金属を含まないアルカリ化合物が好ましく、アミンがより好ましい。
アルカリ化合物は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ化合物が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
本発明の製造方法は、現像された上記膜を50~450℃で加熱する工程(加熱工程)を含むことが好ましい。
加熱工程は、膜形成工程(層形成工程)、乾燥工程、及び現像工程の後に含まれることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は特定樹脂以外の重合性化合物を含むが、特定樹脂以外の未反応の重合性化合物の硬化反応、特定樹脂における未反応の重合性基の硬化反応などをこの工程で進行させることができる。
また、特定樹脂がポリイミド前駆体であり、かつ、硬化性樹脂組成物が熱塩基発生剤を含む場合、加熱工程では、例えば熱塩基発生剤が分解することにより塩基が発生し、ポリイミド前駆体の環化反応が進行する。
加熱工程における層の加熱温度(最高加熱温度)としては、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが更に好ましく、150℃以上であることが特に好ましく、160℃以上であることが一層好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。上限としては、450℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが更に好ましく、220℃以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法は、現像処理後の膜(硬化性樹脂組成物層)の表面に金属層を形成する金属層形成工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法は、更に、積層工程を含むことが好ましい。
本発明のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、下記式(1-2)で表される構造を含むことが好ましい。
本発明のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、上記式(1-2)で表される構造を必須とする以外は、上述の特定樹脂におけるポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体と同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂として用いられることが好ましい。
また、例えば層間絶縁膜用の組成物など、従来のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体が用いられる組成物において、特に制限なく、従来のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体の一部又は全部を本発明のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体に置き換えて用いることができる。
本発明のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体は得られる硬化膜の破断伸びに優れるため、本発明のポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体は、例えば、絶縁膜などの、硬化膜の強度が要求される部材の材料として、好適に用いられると考えられる。
また、実施例におけるSA-1~SA-9は、上述のスルホンアミド含有ジアミンの具体例におけるSA-1~SA-9と同一である。
<合成例1:スルホンアミド含有ジアミン(SA-1)の合成>
コンデンサー及び撹拌機を取り付けた3つ口フラスコに、クロロスルホン酸350.0gを秤取し、次いで、氷冷中、トルエン(富士フイルム和光純薬(株)製)46.1gを添加し、氷冷にて1時間撹拌した。反応液を60℃まで昇温し、3時間撹拌した。本反応液を撹拌しながら、室温まで冷却し、1Lの氷水と1Lのクロロホルム混合液に滴下し、30分撹拌した後、これを分液ロートに移し、有機層(クロロホルム層)を取り出した。本クロロホルム溶液を再度分液ロートに移し、飽和重層水にて洗浄した後、純水にて2回分液洗浄し、次いで、飽和食塩水にて分液洗浄した。有機層(クロロホルム層)を三角フラスコに移し、硫酸マグネシウム30gを添加し、撹拌し、固形物をろ過で取り除いた後、エバポレーターを用いてクロロホルムを留去し、室温で24時間真空乾燥し、目的物の前駆体S-1(4-メチルベンゼン-1,3-ジスルホン酸クロリド体)を70.0g得た。前駆体(S-1)であることはNMRスペクトルから確認した。前駆体S-1について1H-NMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
1H-NMRデータ(重クロロホルム、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン)
δ(ppm)=2.95(s、3H)、7.73-7.75(d、1H)、8.24-8.27(d、1H)、8.70(s、1H)
目的物(SA-1)について1H-NMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
1H-NMRデータ(重DMSO、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン)
δ(ppm)=2.55(s、3H)、5.00(s、4H)、6.35-6.38(t、4H)、6.55-6.57(d、2H)、6.60-6.62(d、2H)、7.46-7.48(d、1H)、7.58-7.61(d、1H)、8.10(s-1H)、9.61(s-1H)、9.75(s-1H)
同様にして、SA-2~SA-4を合成することができる。
ジアミノメシチレンスルホン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)(60g)、アセトニトリル(富士フイルム和光純薬(株)製)(380g)、ピリジン(富士フイルム和光純薬(株)製)(23g)をフラスコに入れた。次いで、氷冷下、トリフルオロ酢酸無水物(富士フイルム和光純薬(株)製)(115g)を慎重に滴下した後、70℃で2時間反応させた。得られた溶液を室温(25℃)まで冷却後、メタノール(富士フイルム和光純薬(株)製)(30g)を加え、1時間撹拌した。得られた溶液を減圧濃縮後、塩酸を用いて精製し、中間体A(110g)を得た。
アセトニトリル(富士フイルム和光純薬(株)製)(440mL)、中間体A(68g)をフラスコに入れた。次いで、塩化チオニル(富士フイルム和光純薬(株)製)(115g)、ジメチルホルムアミド(富士フイルム和光純薬(株)製)(0.9g)を慎重に加えた後、発熱、発泡に注意しながら内温を70℃まで上昇させ2時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧留去後、反応混合物を氷にあけ、精製し中間体B(65g)を得た。
アンモニア水(富士フイルム和光純薬(株)製)(90g)をフラスコに入れた。次いで、氷冷下、中間体B(43g)をテトラヒドロフラン(富士フイルム和光純薬(株)製)(130g)に懸濁させた液を慎重に加えた。得られた溶液を40℃で2時間撹拌した後、減圧濃縮し、精製して中間体C(30g)を得た。
中間体C(30g)、メタノール(富士フイルム和光純薬(株)製)(100g)をフラスコに入れた。次いで、メタンスルホン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)(30g)を慎重に加え、発熱に注意しながら昇温し、120℃で30分撹拌した。得られた反応溶液を冷却した後、反応溶液を炭酸カリウム溶液にあけた後、精製してSA-5(11g)を得た。
同様にして、SA-6~SA-9を合成することができる。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-1 10.81g(25ミリモル)、及び、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリメチルベンゼン 3.75g(25ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)100.0gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物15.51g(50ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。続いて、トルエンを30mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、ピリジン5.93g(75ミリモル)、p-メトキシフェノール0.01gを加え、溶解した。この溶液に、メタクリル酸クロリド5.53g(55ミリモル)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、1.5リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1リットルの水でかけ洗いした後、濾物を1.5リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-1を得た。PI-1の重量平均分子量(Mw)は28,900であり、数平均分子量(Mn)は12,300であった
PI-1の構造は下記式(PI-1)により表される構造であると推測される。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-2 25.13g(50ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)160.0gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物15.51g(50ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。続いて、トルエンを40mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、ピリジン9.50g(120ミリモル)、p-メトキシフェノール0.01gを加え、溶解した。この溶液に、メタクリル酸クロリド10.98g(105ミリモル)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1.5リットルの水でかけ洗いした後、濾物を2リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-2を得た。PI-2の重量平均分子量(Mw)は30,900であり、数平均分子量(Mn)は13,800であった。
PI-2の構造は下記式(PI-2)により表される構造であると推測される。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-3 28.93g(50ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)160.0gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物15.51g(50ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。続いて、トルエンを40mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、ピリジン9.50g(120ミリモル)、p-メトキシフェノール0.01gを加え、溶解した。この溶液に、アクリル酸クロリド9.50g(105ミリモル)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1.5リットルの水でかけ洗いした後、濾物を2リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-3を得た。PI-3の重量平均分子量(Mw)は29,500であり、数平均分子量(Mn)は12,900であった。
PI-3の構造は下記式(PI-3)により表される構造であると推測される。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-5 3.44g(15ミリモル)、及び、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 7.01g(35ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)90.0gに溶解させた。続いて、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物22.1g(50ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。続いて、トルエンを40mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、ピリジン1.58g(20ミリモル)、p-メトキシフェノール0.005gを加え、溶解した。この溶液に、メタクリル酸クロリド 1.82g(18ミリモル)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1.5リットルの水でかけ洗いした後、濾物を2リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-4を得た。PI-4の重量平均分子量(Mw)は32,400であり、数平均分子量(Mn)は13,500であった。
PI-4の構造は下記式(PI-4)により表される構造であると推測される。
上記PI-4の合成において、メタクリル酸クロリドの代わりに、下記式(Cl-A)で表される化合物を使用した以外は、PI-4の合成と同様の方法により、PI-5を合成した。PI-5の重量平均分子量(Mw)は33,500であり、数平均分子量(Mn)は14,800であった。
PI-5の構造は下記式(PI-5)により表される構造であると推測される。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-9 5.62g(30ミリモル)、及び、3,5-ジアミノ安息香酸10.65g(70ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)100.0gに溶解させた。続いて、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物44.2g(100ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。次いで、トルエンを50mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、グリジジルメタクリレート14.2g(100ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド1.61g(5ミリモル)、p-メトキシフェノール 0.10g、及び、N-メチルピロリドン 100.0gを添加し、溶解し、90℃に昇温し18時間撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、2.5リットルの水の中でポリイミドを沈殿させ、水-ポリイミド混合物を2,000rpmの速度で30分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、濾物を1.5リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-6を得た。PI-6の重量平均分子量(Mw)は33,500であり、数平均分子量(Mn)は14,800であった。
PI-6の構造は下記式(PI-6)により表される構造であると推測される。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-5 9.17g(40ミリモル)及び3,5-ジアミノ安息香酸9.15g(60ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)120.0gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物 31.0g(100ミリモル)を添加し、40℃の温度で1時間撹拌した。次いで、トルエンを50mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 3.90g(30ミリモル)、ブレンマーAP-400(日油(株)製) 12.8g(30ミリモル)、N,N’-ジメチルアミノピリジン 0.61g(5ミリモル)、p-メトキシフェノール 0.06g及びN-メチルピロリドン 100.0gを添加し、溶解させ、0℃に冷却した。次いで、ジイソプロピルカルボジイミド12.6g(100ミリモル)を添加し、10℃以下で5時間撹拌し、室温まで昇温した。次いで、2リットルの水の中でポリイミドを沈殿させ、水-ポリイミド混合物を2,000rpmの速度で30分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、濾物を1.5リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-7を得た。PI-7の重量平均分子量(Mw)は24,300であり、数平均分子量(Mn)は10,800であった。
PI-7の構造は下記式(PI-7)により表される構造であると推測される。式(PI-7)中、*はR1が結合する酸素原子との結合部位を表す。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-5 0.45g(2ミリモル)及び3,5-ジアミノ安息香酸14.91g(98ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP)120.0gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物 18.6g(60ミリモル)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 17.7g(40ミリモル)を添加し、40℃の温度で1時間撹拌した。次いで、トルエンを50mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、ブレンマーPE-200(日油(株)製) 28.4g(100ミリモル)N,N’-ジメチルアミノピリジン 0.61g(5ミリモル)、p-メトキシフェノール 0.06g及びN-メチルピロリドン 100.0gを添加し、溶解させ、0℃に冷却した。次いで、ジイソプロピルカルボジイミド12.6g(100ミリモル)を添加し、10℃以下で5時間撹拌し、室温まで昇温した。次いで、2リットルの水の中でポリイミドを沈殿させ、水-ポリイミド混合物を2,000rpmの速度で30分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、濾物を1.5リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-8を得た。PI-8の重量平均分子量(Mw)は32,300であり、数平均分子量(Mn)は12,800であった。
PI-8の構造は下記式(PI-8)により表される構造であると推測される。式(PI-8)中、*はRが結合する酸素原子との結合部位を表す。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-1 10.81g(25ミリモル)、及び、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン 9.41g(25ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP) 100.0gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物 15.51g(50ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。続いて、トルエンを30mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、4時間撹拌した。上記反応液を25℃まで冷却した後、ピリジン 5.93g(75ミリモル)、p-メトキシフェノール 0.01gを加え、溶解した。この溶液に、メタクリル酸クロリド 5.53g(55ミリモル)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、1.5リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1リットルの水でかけ洗いした後、濾物を1.5リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PI-9を得た。PI-9の重量平均分子量(Mw)は27,600であり、数平均分子量(Mn)は10,300であった
PI-9の構造は下記式(PI-9)により表される構造であると推測される。
PI-9の構造は下記式(PI-9)により表される構造であると推測される。式(PI-9)中、*はR1が結合する酸素原子との結合部位を表す。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、オキシジフタル酸二無水物 20.0g(64.5ミリモル)をジグリム 140mL中に懸濁させた。2-ヒドロキシエチルメタクリレート 16.8g(129ミリモル)、ヒドロキノン 0.05g及びピリジン 10.7g(135ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で18時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却した後、塩化チオニル 16.1g(135.5ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、ピリジン 9.7g(123ミリモル)及びN-メチルピロリドン(NMP) 25mLを添加し、透明溶液を得た。次いで、得られた透明溶液に、SA-6 3.27g(17.6ミリモル)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル8.23g(41.1ミリモル)をNMP 100mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。上記ジアミンを添加している間、粘度が増加した。次いで、メタノール 5.6g(17.5ミリモル)と3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン 0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、4リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水-ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下で、45℃で1日間乾燥した。このポリイミド前駆体PA-1の分子量は、Mw=30,100、Mn=13,100であった。
PA-1の構造は下記式(PA-1)により表される構造であると推測される。
PA-1の合成において、2-ヒドロキシエチルメタクリレート16.8g(129ミリモル)に代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート 13.01g(100ミリモル)及びグリシドール 2.24g(30ミリモル)を用いた以外は、PA-1の合成と同様の方法によりPA-2を合成した
PA-2の重量平均分子量(Mw)は22,000であり、数平均分子量(Mn)は10,500であった。
PA-2の構造は下記式(PA-2)により表される構造であると推測される。式(PA-2)中、*はRが結合する酸素原子との結合部位を表す。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-7 5.03g(25ミリモル)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン 8.36g(25ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP) 75.8g中に溶解させた。次に、ABO-001(イハラニッケイ工業(株)製、下記構造の化合物) 15.4g(48ミリモル)をNMP 87.3gに溶解したものを、1時間かけて滴下し、25℃で2時間撹拌した。次いで、ピリジン7.91g(100ミリモル)、p-メトキシフェノール 0.01g、メタクリル酸クロリド 2.82g(27ミリモル)を順に添加し、60℃で、3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1.5リットルの水でかけ洗いした。得られた樹脂を減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PB-1を得た。PB-1の重量平均分子量(Mw)は23,500であり、数平均分子量(Mn)は10,900であった
PB-1の構造は下記式(PB-1)により表される構造であると推測される。式(PB-1)中、*はR1が結合する窒素原子との結合部位を表す。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、SA-1 8.65g(20ミリモル)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル(和歌山精化(株)製) 6.49g(30ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP) 85.8g中に溶解させた。次に、イソフタル酸クロリド 9.74g(48ミリモル)をNMP 55.0gに溶解したものを、1時間かけて滴下し、25℃で2時間撹拌した。次いで、ピリジン 7.91g(100ミリモル)、p-メトキシフェノール 0.01g、メタクリル酸クロリド 2.09g(20ミリモル)を順に添加し、60℃で、3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して除き、1.5リットルの水でかけ洗いした。得られた樹脂を減圧下で、40℃で1日間乾燥し、PBA-1を得た。PBA-1の重量平均分子量(Mw)は24,600であり、数平均分子量(Mn)は11,000であった。
PBA-1の構造は下記式(PBA-1)により表される構造であると推測される。式(PBA-1)中、*はR1が結合する酸素原子又は窒素原子との結合部位を表す。
PBA-1の合成において、SA-1をSA-6に、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニルを2,2'-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンに、イソフタル酸クロリドをテレフタル酸クロリドに、それぞれ変更した以外はPBA-1と同様の方法により、PBA-2を合成した。
PBA-2の重量平均分子量(Mw)は28,000であり、数平均分子量(Mn)は12,500であった。
PBA-1の構造は下記式(PBA-2)により表される構造であると推測される。式(PBA-2)中、*はR1が結合する酸素原子又は窒素原子との結合部位を表す。
また、角括弧の添え字は各繰返し単位の含有比(モル比)を表す。
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、1,3-フェニレンジアミン 20.0g(100ミリモル)をN-メチルピロリドン(NMP) 200.0gに溶解させた。続いて、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 44.4g(100ミリモル)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。次いで、トルエンを50mL添加した後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、6時間撹拌し、室温まで冷却した。次いで、N-メチルピロリドン 130.0gを添加し、希釈した後、2リットルの水の中でポリイミドを沈殿させ、水-ポリイミド混合物を2,000rpmの速度で30分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して除き、濾物を1.5リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、A-1を得た。A-1重量平均分子量(Mw)は32,100であり、数平均分子量(Mn)は15,500であった。
比較例用ポリイミド(A-1)は式(1-1)で表される構造を含まず、特定樹脂には該当しない。
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gをセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)134.0g及びγ-ブチロラクトン400mlを加えた。室温下で撹拌しながら、ピリジン79.1gを加えることにより、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後、室温まで放冷し、更に16時間静置した。
合成例18において、4,4’-オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、合成例18に記載の方法と同様にして反応を行うことにより、ポリマーA-3を得た。このポリマーA-3の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、22,000であった。
各実施例において、それぞれ、下記表1に記載の成分を混合し、各硬化性樹脂組成物を得た。また、各比較例において、それぞれ、下記表1に記載の成分を混合し、各比較用組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物及び比較用組成物を、細孔の幅が0.8μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通して加圧ろ過した。
表1中、「質量部」の欄の数値は各成分の含有量(質量部)を示している。
表1中、例えば、「種類」の欄の「PI-1/PI-2」、「質量部」の欄の「16/16」等の記載は、PI-1を16質量部、PI-2を16質量部それぞれ使用したことを示している。
また、表1中、「-」の記載は該当する成分を含有していないことを示している。
・PI-1~PI-7:上記で合成したPI-1~PI-7
・PA-1~PA-2:上記で合成したPA-1~PA-2
・PB-1:上記で合成したPB-1
・PBA-1~PBA-2:上記で合成したPBA-1~PBA-2
・A-1~A-2:上記で合成したA-1~A-2
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・GBL:γ-ブチロラクトン
・乳酸エチル
・NMP:N-メチルピロリドン
表1中、DMSO/GBLの記載は、DMSOとGBLをDMSO:GBL=20:80(質量比)の割合で混合したことを示している。
表1中、NMP/乳酸エチルの記載は、NMPと乳酸エチルをNMP:乳酸エチル=80:20(質量比)の割合で混合したことを示している。
・OXE-01:IRGACURE OXE 01(BASF社製)
・OXE-02:IRGACURE OXE 02(BASF社製)
・SR-209:SR-209(サートマー社製)
・SR-231:SR-231(サートマー社製)
・SR-239:SR-239(サートマー社製)
・SR-268:SR-268(サートマー社製)
・A-DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製)
・F-1:1,4-ベンゾキノン
・F-2:4-メトキシフェノール
・F-3:1,4-ジヒドロキシベンゼン
・F-4:2-ニトロソ-1-ナフト-ル(東京化成工業(株)製)
・H-1:1H-テトラゾール
・H-2:1,2,4-トリアゾール
・H-3:5-フェニルテトラゾール
・J-1:N-フェニルジエタノールアミン(東京化成工業(株)製)
各実施例及び比較例において、それぞれ、調製した硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を用いて、膜強度(破断伸び)、及び、耐薬品性の評価を行った。
各評価における評価方法の詳細を以下に記載する。
各実施例及び比較例において調製した各硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれスピンコート法でシリコンウェハ上に適用して硬化性樹脂組成物層を形成した。
得られた硬化性樹脂組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に約15μmの厚さの均一な硬化性樹脂組成物層を得た。
シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層の全面を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cm2の露光エネルギーで露光した。露光後、得られた硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1の「硬化条件」の欄に記載の温度に達した後、この温度で3時間加熱した。
硬化後の樹脂層(硬化膜)を4.9質量%フッ化水素酸水溶液に浸漬し、シリコンウェハから硬化膜を剥離した。剥離した硬化膜を、打ち抜き機を用いて打ち抜いて幅3mm、試料長30mmの試験片を作製した。得られた試験片に対し、引張り試験機(テンシロン)を用いて、クロスヘッドスピード300mm/分、25℃、65%RH(相対湿度)の環境下にて、JIS-K6251に準拠してフィルムの長手方向におけるフィルムが破断した時の伸び率(破断伸び率)を測定した。評価は各実施例又は比較例において、5回ずつ実施し、5回の測定における破断伸び率の測定値の算術平均値を指標値とした。
上記指標値について、下記評価基準に従って評価を行い、評価結果を表1に記載した。
-評価基準-
A:上記指標値が60%以上であった。
B:上記指標値が55%以上60%未満であった。
C:上記指標値が50%以上55%未満であった。
D:上記指標値が50%未満であった。
各実施例及び比較例において調製した各硬化性樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、シリコンウェハ上にスピンコート法により適用し、硬化性樹脂組成物層を形成した。得られた硬化性樹脂組成物層を適用したシリコンウェハをホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、シリコンウェハ上に15μmの均一な厚さの硬化性樹脂組成物層を形成した。シリコンウェハ上の硬化性樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cm2の露光エネルギーで露光し、露光した硬化性樹脂組成物層(樹脂層)を、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1の「硬化条件」の欄に記載の温度で180分間加熱して、硬化性樹脂組成物層の硬化層(樹脂層)を得た。
得られた樹脂層について下記の薬液に下記の条件で浸漬し、溶解速度を算定した。
薬液:ジメチルスルホキシド(DMSO)と25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の90:10(質量比)の混合物
評価条件:薬液中で樹脂層を75℃で15分間浸漬して前後の膜厚を比較し、溶解速度(nm/分)を算出した。
評価は下記評価基準に従って行い、評価結果は表1に記載した。
A 溶解速度が200nm/分未満であった。
B 溶解速度が200nm/分以上300nm/分未満であった。
C 溶解速度が300nm/分以上400nm/分未満であった。
D 溶解速度が400nm/分以上であった。
比較例1~2に係る比較用組成物は、特定樹脂を含有しない。この比較例1~2に係る比較用組成物は、膜強度(破断伸び)に劣ることが分かる。
<実施例101~121>
実施例1~21のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物を、それぞれ、表面に銅薄層が形成された樹脂基材の銅薄層側の表面に膜厚が20μmとなるようにスピニングして塗布した。樹脂基材に塗布した硬化性樹脂組成物を、100℃で2分間乾燥した後、ステッパー(ニコン製、NSR1505 i6)を用いて露光した。露光は正方形パターン(縦横各100μmの正方形パターン、繰り返し数10)のマスクを介して、波長365nmで400mJ/cm2の露光量で行い正方形残しパターンを作成した。露光の後、表1の「現像方法」の欄に「溶剤」と記載されている例については、シクロペンタノンで30秒間現像し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で20秒間リンスし、パターンを得た。表1の「現像方法」の欄に「アルカリ」と記載されている例については、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間現像し、水で20秒間リンスし、パターンを得た。
次いで、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1の「硬化条件」の欄に記載の温度に達した後、この温度で3時間加熱加熱し、再配線層用層間絶縁膜を形成した。この再配線層用層間絶縁膜は、いずれも絶縁性に優れていた。また、これらの再配線層用層間絶縁膜を使用して半導体デバイスを製造したところ、いずれも問題なく動作することを確認した。
Claims (16)
- ポリイミドである樹脂、
重合開始剤、及び、
重合性化合物を含み、
前記重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤であり、
前記重合性化合物が、エチレン性不飽和結合を有する化合物であり、
前記樹脂が、下記式(1-4)で表される繰返し単位、又は、下記式(1-3B)で表される繰返し単位を含み、
下記式(4)で表される繰返し単位を含有しないか、又は、下記式(4)で表される繰返し単位を含有し、
樹脂に含まれる、前記式(1-4)で表される繰返し単位と、前記式(1-3B)で表される繰返し単位と、下記式(4)で表される繰返し単位との合計含有量が、樹脂の全質量に対し、50~100質量%である
硬化性樹脂組成物。
式(1-4)中、L 1 、L 2 及びL 3 はそれぞれ独立に、2価の連結基を表し、X 41 は単結合又はn41+1価の連結基を表し、X 42 は単結合又はn42+1価の連結基を表し、Z 41 及びZ 42 はそれぞれ独立に、水素原子を表すか、又は、重合性基としてエチレン性不飽和基を含む基を表し、Z 41 及びZ 42 の少なくとも一方は重合性基としてエチレン性不飽和基を含む基であり、n41及びn42はそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、L 4 は下記式(L4-1)で表される構造を表す。
- 前記L1、前記L2及び前記L3がそれぞれ独立に、脂肪族環構造及び芳香族環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の環構造を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記L1、前記L2及び前記L3がそれぞれ独立に、下記式(A-1)~下記式(A-5)のいずれかで表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を含む、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記式(1-4)で表される繰返し単位の含有量が、樹脂の全質量に対し、0.1~80質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 樹脂が式(1-4)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-4)で表される繰返し単位の含有量は、樹脂の全質量に対し、20~70質量%であり、樹脂が式(1-3B)で表される繰返し単位を含む場合、式(1-3B)で表される繰返し単位の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、5~50質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
- 請求項7に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる再配線層用層間絶縁膜。
- 請求項7に記載の硬化膜又は請求項8に記載の再配線層用層間絶縁膜を2層以上有し、硬化膜の間に金属層を有する、積層体。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
- 請求項6に記載の硬化性樹脂組成物を基材に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、再配線層用層間絶縁膜の製造方法。
- 前記膜を露光する露光工程及び前記膜を現像する現像工程を含む、請求項10に記載の硬化膜の製造方法。
- 上記膜を50~450℃で加熱する工程を含む、請求項10又は12に記載の硬化膜の製造方法。
- 請求項7に記載の硬化膜又は請求項9に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
- 下記式(1-4)で表される繰返し単位、又は、下記式(1-3B)で表される繰返し単位を含み、
下記式(4)で表される繰返し単位を含有しないか、又は、下記式(4)で表される繰返し単位を含有し、
ポリイミドに含まれる、前記式(1-4)で表される繰返し単位と、前記式(1-3B)で表される繰返し単位と、下記式(4)で表される繰返し単位との合計含有量が、ポリイミドの全質量に対し、50~100質量%である
ポリイミド。
式(1-4)中、L 1 、L 2 及びL 3 はそれぞれ独立に、2価の連結基を表し、X 41 は単結合又はn41+1価の連結基を表し、X 42 は単結合又はn42+1価の連結基を表し、Z 41 は、水素原子を表すか、又は、X 41 が単結合である場合にはZ 41 は(メタ)アクリロイル基であり、X 41 がn+1価の連結基である場合にはZ 41 は(メタ)アクリロキシ基を含む基であり、Z 42 は、水素原子を表すか、又は、X 42 が単結合である場合にはZ 42 は(メタ)アクリロイル基であり、X 42 がn+1価の連結基である場合にはZ 42 は(メタ)アクリロキシ基を含む基であり、Z 41 及びZ 42 の少なくとも一方は前記(メタ)アクリロイル基又は前記(メタ)アクリロキシ基であり、n41及びn42はそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、L 4 は下記式(L4-1)で表される構造を表す。
R 112 は、単結合、若しくは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O) 2 -、-NHC(=O)-、又は、これらを2以上組み合わせた基であり、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式(1-3B)中、L B1 は3価の連結基を表し、R 1 は式(R1-1)で表される基であり、R 2 は水素原子又は1価の有機基を表し、L 4 は前記式(1-4)中の式(L4-1)で表される構造である。
式(R1-1)中、X 1 は単結合又はn+1価の連結基を表し、X 1 が単結合である場合にはZ 1 は(メタ)アクリロイル基であり、X 1 がn+1価の連結基である場合にはZ 1 は(メタ)アクリロキシ基を含む基であり、*は式(1-3B)中の窒素原子との結合部位を表す。
- 前記X 41 及びX 42 は単結合又は炭化水素基、エーテル結合、カルボニル基、若しくは、これらを2以上結合した基である、請求項15に記載のポリイミド。
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