JP7249180B2 - 硬化性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
本発明の硬化性樹脂組成物は、必須成分として、ビニルエステル樹脂と、ビニルモノマーとを含有する。
(1-1)ビニルエステル樹脂
ビニルエステル樹脂は、不飽和二重結合およびエステル結合を含有する。
(1-2)ビニルモノマー
ビニルモノマーは、必須成分として、ジシクロペンタジエン系モノ(メタ)アクリレート(以下、DCPD系モノ(メタ)アクリレートとする。)と、多官能(メタ)アクリレートとを含有する。
一般式(1)において、(メタ)アクリロイルオキシ基は、nが0である場合、ジシクロペンタジエン骨格の5位または6位に直接結合する。また、(メタ)アクリロイルオキシ基は、nが1である場合、エチレンオキシド基を介して、ジシクロペンタジエン骨格の5位または6位に結合する。
一般式(2)において、(メタ)アクリロイルオキシ基の結合箇所は、上記一般式(1)と同様である。
(1-3)低収縮化剤
硬化性樹脂組成物は、任意成分として、低収縮化剤を含有することができる。
(1-4)増粘剤
また、硬化性樹脂組成物は、任意成分として、増粘剤を含有することができる。
(1-5)その他の添加剤
また、硬化性樹脂組成物は、任意成分として、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤として、例えば、重合禁止剤、重合開始剤、湿潤分散剤、分離防止剤、内部離型剤、充填材などが挙げられる。その他の添加剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
(1-6)スチレン系モノマー
また、硬化性樹脂組成物は、好ましくは、スチレン系モノマーを実質的に含有しない。つまり、硬化性樹脂組成物は、好ましくは、スチレンフリーである。
2.繊維強化樹脂材料
このような硬化性樹脂組成物は、必須成分(ビニルエステル樹脂およびビニルモノマー)と、必要に応じて任意成分とを混合することにより調製される。
3.作用効果
上記した硬化性樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂と、DCPD系モノ(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーとを含有する。そして、DCPD系モノ(メタ)アクリレートの含有割合が、DCPD系モノ(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの総和に対して、上記下限以上である。
<ビニルエステル樹脂の調製>
合成例1
攪拌機、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器(フラスコ)に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)1850質量部(10.0当量)、ビスフェノールA 219質量部(1.92当量)、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド 0.4質量部を仕込み、窒素を吹き込みながら、150℃で5時間反応させて、エポキシ当量が256のエポキシ樹脂を得た。120℃まで冷却後、重合禁止剤としてハイドロキノン 2.0質量部、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド 2.0質量部、メタクリル酸 712質量部(8.28当量)を添加し、空気を吹き込みながら110℃で8時間反応させ、酸価7.5mgKOH/gのビニルエステル樹脂(ビニルエステル樹脂の無変性体)を得た。
合成例1と同様にして、ビニルエステル樹脂(ビニルエステル樹脂の無変性体)を得た後、無水マレイン酸 396質量部(4.04mol)を添加し、80℃で2時間反応させて、酸価79.7mgKOH/gのビニルエステル樹脂(酸変性体)を得た。
合成例1と同様の反応容器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量 185)1850質量部(10.0当量)、ビスフェノールA 477質量部(4.18当量)、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド 0.4質量部を仕込み、窒素を吹き込みながら、150℃で5時間反応させて、エポキシ当量が400のエポキシ樹脂を得た。120℃まで冷却後、重合禁止剤としてハイドロキノン 2.0質量部、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド 2.0質量部、メタクリル酸 513質量部(5.97当量)を添加し、空気を吹き込みながら110℃で8時間反応させてビニルエステル樹脂(ビニルエステル樹脂の無変性体)を得た。
<不飽和ポリエステル樹脂の調製>
合成例4
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および攪拌機を備えたフラスコに、イソフタル酸1.0モル、プロピレングリコール10.5モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら200℃~210℃で反応させた。その後、酸価が20mgKOH/gになった時点で、150℃まで冷却し、無水マレイン酸9.0モルを仕込み、再び210℃~220℃で反応させ、酸価25.6mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂を得た。
実施例1~実施例7、比較例8、比較例9、実施例10~実施例16
表1~3に示すように、各合成例のビニルエステル樹脂と、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートと、多官能メタクリレートと、他のモノメタクリレートと、低収縮化剤と、重合禁止剤と、重合開始剤と、湿潤分散剤と、分離防止剤と、内部剥離剤と、充填材とを、表1~3に示す処方で混合して、硬化性樹脂組成物を調製した。なお、実施例
14および16では、低収縮化剤および充填材を配合しなかった。硬化性樹脂組成物の粘度を表1~3に示す。
表4に示すように、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物および繊維強化樹脂材料(SMC)を調製した。硬化性樹脂組成物の粘度を表4に示す。
表4に示すように、多官能メタクリレートおよび他のモノメタクリレートを配合しなかった点、および、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートの配合割合を変更した点以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物および繊維強化樹脂材料(SMC)を調製した。硬化性樹脂組成物の粘度を表4に示す。
表4に示すように、他のモノメタクリレートを配合しなかった点、および、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートおよび多官能メタクリレートの配合割合を変更した点以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物および繊維強化樹脂材料(SMC)を調製した。硬化性樹脂組成物の粘度を表4に示す。
表4に示すように、他のモノメタクリレートを配合しなかった点、多官能メタクリレートをエチレングリコールジメタクリレートからトリメチロールプロパントリメタクリレートに変更した点、および、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートおよび多官能メタクリレートの配合割合を変更した点以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物および繊維強化樹脂材料(SMC)を調製した。硬化性樹脂組成物の粘度を表4に示す。
表4に示すように、合成例2のビニルエステル樹脂を合成例4の不飽和ポリエステル樹脂に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、硬化性樹脂組成物および繊維強化樹脂材料(SMC)を調製した。硬化性樹脂組成物の粘度を表4に示す。
<評価>
(脱型性試験)
図1に示すSMC成形用油圧プレスを準備した。SMC成形用油圧プレスは、キャビティーを有する第1金型と、コアを有する第2金型とを備える。キャビティーは、300mm×300mmのサイズを有する。シャーエッジ部分(キャビティーの側面とコアの側面との間)の隙間は、100μmであり、コアは、その分、キャビティーよりも小さい。
○:成形体が第1金型に残る、または、第2金型についても簡単に取れる。
×:成形体が第2金型につき、さらに簡単に取れず金型と成形体との間の部分に竹製や銅製のへらをいれないと取れない。
また、上記のように成形された成形体のバリのベタツキを、下記の基準により評価した。その結果を表1~4に示す。
○:第2金型に付着したバリがウェスや竹製のへらで簡単に取れる。
×:第2金型に付着したバリが粘着した状態で簡単に取れない。
また、上記のように成形された成形板の表面外観を、目視により下記の基準により評価した。その結果を表1~4に示す。
○:成形板表面にクラックがなく、成形板に蛍光灯を映してもあまり歪まずに映る。
△:成形板表面に微小なクラックが発生、または蛍光灯が歪んで映る。
×:成形板表面にクラックが発生、かつ、蛍光灯が歪んで映る。
上記のように成形した成形板を24時間25℃室に放置した後、成形板の縦横の寸法を測定した。また、25℃における第1金型のキャビティーの縦横の寸法を測定した。そして、下記式により、成形収縮率を算出した。
成形収縮率(%)=[キャビティー寸法(mm)-成形板寸法(mm)]/キャビティー寸法(mm)×100(キャビティー寸法、成型板寸法は各々縦横方向の平均値を用いる。また、各寸法は25℃での寸法である。)
そして、下記の基準により、繊維強化樹脂材料の成形収縮率を評価した。その結果を表1~5に示す。
○:収縮率が0.05%以下。
△:収縮率が0.05%を超過し、0.10%以下。
×:収縮率が0.10%を超過。
成形収縮率の測定に用いた成形板を用いて、25℃の水を用いアルキメデス法により同成形板の密度を求めた。その結果を表1~4に示す。
成形収縮率の測定に用いた成形板より機械加工により幅15mm長さ80mmの矩形試験片を採取し同試験片を用いて、JIS K7017:1999に準拠しA法(3点曲げ)材料クラスIIに準拠し標準温度状態25℃において、曲げ強さを測定した。その結果を表1~4に示す。
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート:商品名ファンクリルFA-512MT(日立化成社製)
エチレングリコールジメタクリレート:商品名ライトエステルEG(共栄社化学社製)
トリメチロールプロパントリメタクリレート:商品名ライトエステルTMP(共栄社化学社製)
イソブチルメタクリレート:商品名ライトエステルIB(共栄社化学社製)
ベンジルメタクリレート:商品名ライトエステルBZ(共栄社化学社製)
ポリメチルメタクリレート粉末:商品名ダイヤナール BR-75(三菱ケミカル社製)
スチレン-ブタジエン共重合体粉末:商品名アサプレンT-432(旭化成社製)
重合禁止剤:パラベンゾキノン
重合開始剤:t-Butyl peroxy isopropyl monocarbonate
湿潤分散剤:商品名BYK-W996 (BYK-Chemie GmbH社製)
分離防止剤:商品名BYK-W972 (BYK-Chemie GmbH社製)
内部離型剤:ステアリン酸亜鉛粉末
ガラス中空球:商品名グラスバブルズフィラー K-37(住友スリーエム社製、真密度0.37, 耐圧強度21MPa/カタログ値)
炭酸カルシウム:商品名NS#400(日東粉化工業社製、平均粒子径1.7μm/カタログ値)
MgO :商品名キョーワマグ#100(協和化学工業社製)
MDI :商品名コスモネートPH(三井化学社製)
ガラス繊維(1インチ):商品名ER59B 4800(CPICグラスファイバー社製)
炭素繊維(1インチ):商品名T700SC-12000(東レ社製)
Claims (3)
- ビニルエステル樹脂と、
ジシクロペンタジエン系モノ(メタ)アクリレート、および、多官能(メタ)アクリレートを含有するビニルモノマーとを含有し、
前記ジシクロペンタジエン系モノ(メタ)アクリレートの含有割合は、前記ジシクロペンタジエン系モノ(メタ)アクリレートと前記多官能(メタ)アクリレートとの総和に対して、2質量%以上30質量%以下であり、
前記多官能(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジメタクリレートからなり、
前記ビニルモノマーは、さらに、前記ジシクロペンタジエン系モノ(メタ)アクリレートと異なる他のモノ(メタ)アクリレートを含有し、
前記他のモノ(メタ)アクリレートの含有割合は、前記ビニルモノマーに対して、3質量%以上であることを特徴とする、硬化性樹脂組成物。 - 前記他のモノ(メタ)アクリレートは、ベンジルメタクリレートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物と、前記硬化性樹脂組成物が含浸される強化繊維とを含む繊維強化樹脂材料の硬化物を含むことを特徴とする、成形品。
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