JP7243162B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びコーティング剤 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びコーティング剤 Download PDF

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Description

本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物を含有してなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びコーティング剤に関し、更に詳しくは、防汚性能(耐汚染性及びその持続性)及び硬化塗膜の特性(外観、硬度、耐擦傷性)に優れた塗膜を形成することができる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びこれを含有してなるコーティング剤に関するものである。
従来、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ごく短時間の放射線や紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化が完了するため、各種基材へのコーティング剤や接着剤、またはアンカーコート剤等として幅広く用いられており、その中の硬化成分としては、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物や多官能モノマーが使用されている。近年では、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、特にコーティング剤、とりわけハードコート用コーティング剤として用いる際に、ガラスに代わる高い表面硬度と耐擦傷性を有するものが求められている。
上記のような、硬化塗膜として高い表面硬度と耐擦傷性を有するハードコート剤としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとN-置換アクリルアミドを主体とした硬化成分に、フッ素化合物を配合したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハードコート剤を積層フィルム上に膜厚11μmに塗布して硬化させて得られるフィルムは、鉛筆硬度5H程度の硬度と、スチールウールで500g荷重をかけて500回往復させても傷がつかない耐擦傷性を発現する。
特開2017-141416号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示技術は、硬化塗膜の表面硬度と500g荷重での耐擦傷性に優れるものの、より厳しい1kg荷重での耐擦傷性に関する記載はなく、更なる改善が求められている。
また、近年においては、ディスプレイやモニター、タッチパネル化された機器の画面や、携帯電話等電化製品の表面に指紋等の汚れが付着すると、画面の透明性や画面の鮮明性が低下してしまったり、美観性が損なわれたりしてしまうため、様々な汚れのふき取り方法、汚れの付着防止性や汚れ除去性を向上させるためのコーティング剤の検討や、コーティング剤で上塗りを行った場合の塗膜表面の耐擦傷性の検討等がなされており、塗膜表面の防汚性能や耐擦傷性への要求が益々高まっている。更に、防汚性や耐擦傷性を発現するためにはフッ素化合物がよく用いられているが、フッ素化合物を配合したコーティング剤は、塗工液が保存中にゲル化しやすい場合があり、保存安定性の更なる改善が求められている。
そこで、本発明では、このような背景下において、塗工液の保存安定性に優れ、また、防汚性能(耐汚染性及びその持続性)、硬化塗膜の特性(外観、硬度、耐擦傷性)に優れた塗膜を形成することができる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたコーティング剤を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、硬化成分としてペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物とポリイソシアネート系化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系組成物、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物及び重合禁止剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、上記重合禁止剤を通常よりも多く含有させることにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液での保存安定性に優れ、また、硬化塗膜とした際に、防汚性能及び耐擦傷性等の塗膜物性に優れた硬化塗膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)中の水酸基と、ポリイソシアネート系化合物(B)のイソシアネート基とが反応したウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]を含有してなり、重合禁止剤[III]の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、重量基準で1,000~10,000ppmである活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を第1の要旨とするものである。
また、上記第1の要旨の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有してなるコーティング剤を第2の要旨とするものである。
一般に、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物を製造するに際しては、ウレタン化反応中の(メタ)アクリロイル基の重合反応の抑制及び保存安定性の向上の目的で反応系内に重合禁止剤を仕込むことが行われるが、重合禁止剤の存在により活性エネルギー線硬化性を低下させることとなってしまったり、着色させてしまうため、その配合量はできる限り少量で行おうと考えるのが通常である。しかしながら、本発明においては、意外なことに、重合禁止剤をウレタン(メタ)アクリレート系組成物の製造時に用いられる量よりも多く用いることにより、活性エネルギー線硬化性の低下、及び塗工液や硬化塗膜の着色の問題もなく、塗工液の保存安定性に優れ、防汚性能(耐汚染性及びその持続性)、硬化塗膜の特性(外観、硬度、耐擦傷性)に優れた塗膜を形成することができることを見出したのである。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)中の水酸基と、ポリイソシアネート系化合物(B)のイソシアネート基とが反応したウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]を含有してなり、重合禁止剤[III]の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、重量基準で1,000~10,000ppmである。そのため、塗工液での保存安定性に優れ、更には、硬化塗膜とした際の防汚性能及び耐擦傷性にも優れる。また、これらの優れた特性から、特に、ハードコート用コーティング剤または光学フィルム用コーティング剤の用途に有用である。
また、本発明の中でも、特に、上記フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]が、シロキサン結合を有すると、防汚性能により優れるようになる。
更に、本発明の中でも、特に、上記フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の重量平均分子量が1,000~100,000であると、防汚性能により一層優れるようになる。
また、本発明の中でも、特に、上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基価が50~300mgKOH/gであると、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]との相溶性により優れ、硬化塗膜とした際の硬度や耐擦傷性により一層優れるようになる。
そして、本発明の中でも、特に、上記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の重量平均分子量が1,000~30,000であると、硬化塗膜とした際の耐擦傷性により優れるようになる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、更に着色防止剤[IV]を含有すると、塗工液での保存安定性に、より優れるようになる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、更に沸点が80℃以上の有機溶剤を含有すると、上記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]とフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]との相溶性に優れるため、塗工液での保存安定性に、より一層優れるようになる。
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]を含むものである。以下にその詳細を説明する。
<ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]>
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)中の水酸基と、ポリイソシアネート系化合物(B)のイソシアネート基とを反応させることにより、ウレタン結合が形成され得られるものである。
〔ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)〕
一般的に、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物とは、その成分中に、ペンタエリスリトールが有する4個の水酸基のうち、4個全てに(メタ)アクリル酸が付加されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、3個に(メタ)アクリル酸が付加されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートモノオール、2個に(メタ)アクリル酸が付加されたペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートジオール、1個のみに(メタ)アクリル酸が付加されたペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートトリオールを含む混合物である。
本発明で用いるペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)は、ペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸を公知一般の方法で反応させたものであればよい。
上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基価としては、50~300mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは70~200mgKOH/g、特に好ましくは100~160mgKOH/gである。
かかる水酸基価が小さすぎると、低分子量でエチレン性不飽和基数が多く、イソシアネートと反応しないペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの含有量が多くなるため、硬化時の硬化収縮が大きくなり、カールしやすくなる傾向がある。また、上記水酸基価が大きくなりすぎると、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートジオールやペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートトリオール等のポリオール成分の含有量が増えるために、得られるウレタンアクリレートの分子量が大きくなり、粘度が上昇し、取り扱いにくくなる傾向がある。
上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基価は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物の混合物全体での水酸基価を意味するものである。
また、上記水酸基価は、JIS K 1557-1に準じた方法で求めることができる。
上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基価の調整は、例えば、ペンタエリスリトールに付加させる(メタ)アクリル酸の比率を調整することにより行うことができる。
〔ポリイソシアネート系化合物(B)〕
上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基と反応するポリイソシアネート系化合物(B)としては、通常、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物の製造に使用されている、公知一般のポリイソシアネート系化合物を用いることができる。
上記のポリイソシアネート系化合物(B)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式系ポリイソシアネート、あるいはこれらポリイソシアネートの3量体化合物または多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネート系化合物(B)は1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記ポリイソシアネート系化合物(B)は、各種ポリオール、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオール、中でもポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール等のポリオールとポリイソシアネート系化合物との反応物であってもよい。
これらの中でも、耐黄変性及び汎用性に優れる点で、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式系ジイソシアネートが好ましく、特に好ましくはイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートであり、更に好ましくは、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートである。
〔ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の製造方法〕
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)中の水酸基と、ポリイソシアネート系化合物(B)のイソシアネート基とを反応させて得られるものである。
具体的には、上記のポリイソシアネート系化合物(B)のイソシアネート基とペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基との官能基モル比を調整し、必要に応じてジブチル錫ジラウレート等の触媒を用いて、ポリイソシアネート系化合物(B)とペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)とを反応させることによりウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]を得ることができる。
かかるポリイソシアネート系化合物(B)とペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)との仕込みの反応モル比〔(B):(A)〕は、1:2~1:5程度である。
かかる反応モル比において、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の割合が多すぎると、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のポリイソシアネート系化合物(B)と反応しない低分子量モノマーの含有量が多くなり、硬化収縮が大きくなるため硬化塗膜のカールが大きくなる傾向があり、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の割合が少なすぎると、未反応のポリイソシアネート系化合物(B)が残存し、硬化塗膜の安定性や安全性が低下する傾向がある。
ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)とポリイソシアネート系化合物(B)との反応は、通常、上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)、ポリイソシアネート系化合物(B)を、反応器に一括または別々に仕込み反応させればよい。
上記反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましく、かかる触媒としては、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ-n-ブチル錫、ビスアセチルアセトナート亜鉛、ジルコニウムトリス(アセチルアセトネート)エチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物、オクチル酸錫、オクテン酸錫、ヘキサン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫、酢酸カリウム等の金属塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2-エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒等が挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<重合禁止剤[III’]>
また、上記反応においては、更に重合禁止剤[III’]を用いることが好ましい。なお、上記反応で重合禁止剤[III’]を用いる場合は、後述する重合禁止剤[III]の含有量に含めるものとする。
上記重合禁止剤[III’]としては、重合禁止剤として用いられている公知一般のものを使用することができ、例えば、p-ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン等のキノン類、ハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、モノ-t-ブチルハイドロキノン、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチルクレゾール、p-t-ブチルカテコール等のフェノール類を挙げることができる。中でもフェノール類が好ましく、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチルクレゾールが特に好ましい。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
上記反応における重合禁止剤[III’]の含有量は、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)及びポリイソシアネート系化合物(B)の合計100重量部に対して、0.005~0.095重量部であり、好ましくは0.01~0.08重量部である。かかる重合禁止剤[III’]の含有量が少なすぎると、上記反応中にアクリロイル基の重合が起こる可能性がある。また、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の液安定性が低下する傾向があり、保存中にゲル化しやすくなる傾向がある。また、重合禁止剤[III’]の含有量が多すぎると、着色が起こったり、活性エネルギー線を照射しても硬化しにくくなる傾向がある。
また、上記反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
上記反応の反応温度は、通常30~90℃、好ましくは40~80℃であり、反応時間は、通常2~30時間、好ましくは3~20時間である。
かくして、本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]が得られる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]は、複数種のウレタン(メタ)アクリレートを含有し、また、ポリイソシアネート系化合物(B)と未反応のペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)であるペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートトリオール、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートジオール、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートモノオール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、更にはペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の重合体であるポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等を含有することがある。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の重量平均分子量としては1,000~30,000であることが好ましく、更に好ましくは1,000~20,000、特に好ましくは1,100~10,000、殊に好ましくは、1,200~5,000である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると硬化塗膜が脆くなる傾向があり、大きすぎると高粘度となり取り扱いにくくなる傾向がある。
なお、本発明における重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(Waters社製、「ACQUITY APCシステム」)に、カラム:ACQUITY APC XT 450×1本、ACQUITY APC XT 200×1本、ACQUITY APC XT 45×2本の4本を直列にして用いることにより測定される。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の60℃における粘度は、1,000~300,000mPa・sであることが好ましく、特には1,500~200,000mPa・s、更には2,000~100,000mPa・sであることが好ましい。かかる粘度が上記範囲外では塗工性が低下する傾向がある。
なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]におけるウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、殊に好ましくは50重量%以上である。なお、上限は通常80重量%である。
<フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]>
本発明で用いられるフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]とは、(メタ)アクリロイル基及びフッ素原子を有する化合物である。また、(メタ)アクリロイル基及びフッ素原子以外の構造は特に限定されず、更には酸素、窒素、ケイ素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよい。
上記フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基にフッ素原子が結合した化合物であることが好ましく、例えば、ダイキン工業社製「オプツールDAC」、「オプツールDAC-HP」、DIC社製「メガファックRS-75」、「メガファックRS-76」、「メガファックRS-91C」、「ディフェンサTF3028」、「ディフェンサTF3001」、「ディフェンサTF3000」、新中村化学社製「SUA1900L10」、「SUA1900L6」、日本合成化学工業社製「UT3971」、信越化学工業社製「KNS5300」、「KY-1203」、大阪有機化学工業社製「ビスコート3F」、「ビスコート4F」、「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、「ビスコート13F」、AGC社製「IRX-380」等が挙げられる。これらのフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記のフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の中でも、より防汚性能に優れる点で、構造中にシロキサン結合を有するフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、「KY-1203」が特に好ましい。
また、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の重量平均分子量は、1,000~100,000であることが好ましく、より好ましくは5,000~70,000、特に好ましくは10,000~50,000、更に好ましくは15,000~40,000である。フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の重量平均分子量が小さすぎると耐擦傷性や防汚性能が低下する傾向があり、重量平均分子量が大きすぎるとウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]や溶剤との相溶性が低下する傾向がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における上記フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]100重量部に対して、通常0.01~5重量部であり、好ましくは0.05~3重量部であり、特に好ましくは0.1~1重量部である。フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の含有量が少なすぎると、耐擦傷性と防汚性能が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]との相溶性が低下する傾向がある。
<重合禁止剤[III]>
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、一般的な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物よりも多く重合禁止剤[III]を含有するものである。通常、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物においては、重合禁止剤[III]を多く含有させることにより活性エネルギー線硬化性を低下させてしまったり、着色してしまったりする等の理由から、必要以上に重合禁止剤[III]を含有させないものであり、重合禁止剤[III]の含有量は、前述のウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の製造時に通常用いられる程度の量である。しかし、本発明は、特定のウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]とフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、通常、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に用いられる量よりも多く重合禁止剤[III]を含有させることで、活性エネルギー線硬化性の低下及び着色の問題もなく、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液安定性が向上し、保存中のゲル化を抑制する効果を奏するものである。
本発明に用いる重合禁止剤[III]としては、公知一般のものを使用することができ、具体的には、前述の重合禁止剤[III’]で列挙した化合物と同じものを用いることができる。また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に配合する重合禁止剤[III]は、前記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]と同じ化合物を用いることが好ましいが、互いに異なる化合物を用いてもよい。
また、上記重合禁止剤[III]の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、重量基準で、1,000~10,000ppmであることが重要であり、好ましくは1,000~8,000ppm、より好ましくは1,500~7,000ppm、更に好ましくは2,000~6,000ppm、特に好ましくは3,100~5,000ppmである。かかる重合禁止剤[III]の含有量が少なすぎると、硬化前の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液安定性が低下し、保存中にゲル化しやすくなる。また、重合禁止剤[III]の含有量が多すぎると、活性エネルギー線を照射しても硬化しにくくなる。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の製造で重合禁止剤[III’]を用いた場合は、この重合禁止剤[III’]の含有量も、本発明の重合禁止剤[III]の含有量に含む。
<着色防止剤[IV]>
本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の着色を防止し、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液の保存安定をより優れたものとするために、更に着色防止剤[IV]を含有することが好ましい。
上記着色防止剤[IV]としては、例えば、トリフェニルホスフィン等のアリールホスフィン化合物、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物、フェニルヒドラジン、ベンゾフェニルヒドロラジン、ジアセチルヒドラジン等のヒドラジン化合物等が挙げられる。これら着色防止剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の着色をより防止できる点で、アリールホスフィン化合物が好ましく、トリフェニルホスフィンが特に好ましい。
また、上記着色防止剤[IV]の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、重量基準で、通常10~10,000ppmであり、好ましくは100~5,000ppm、更に好ましくは250~2,000ppmである。
〔その他の任意成分〕
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和モノマー、アクリル系樹脂、表面調整剤、レベリング剤等を配合することができ、更にはフィラー、染顔料、油、可塑剤、ワックス類、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、ゲル化剤、安定剤、消泡剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、補強剤、艶消し剤、架橋剤、シリカ、水分散または溶剤分散されたシリカ、ジルコニウム化合物、防腐剤等を配合することも可能である。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
上記光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類が挙げられる。
なお、これら光重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
これらの中でも、好ましくはアセトフェノン類であり、より好ましくはベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインイソプロピルエーテル、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンであり、特に好ましくは1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
光重合開始剤を含有する場合、その含有量としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化成分100重量部に対して、0.1~20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5~10重量部、更に好ましくは1~10重量部である。
光重合開始剤の含有量が少なすぎると、硬化不良となり膜形成がなされにくい傾向があり、多すぎると硬化塗膜の黄変の原因となり、着色の問題が起こりやすい傾向がある。
また、上記光重合開始剤の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上の多官能モノマー等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和モノマーは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かかる単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリルレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル)-メチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテルアクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマー、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、酢酸ビニル等が挙げられる。
かかる2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等が挙げられる。
かかる3官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化15グリセリントリアクリレート等が挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物あるいは2-アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも併用可能である。かかる(メタ)アクリル酸のミカエル付加物としては、(メタ)アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸トリマー、(メタ)アクリル酸テトラマー等が挙げられる。上記2-アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、特定の置換基をもつカルボン酸であり、例えば2-アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、その他オリゴエステルアクリレート等を挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和モノマーの含有量としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に含まれる全硬化成分中、70重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
前記表面調整剤としては特に限定されず、例えば、セルロース樹脂やアルキッド樹脂等を挙げることができる。かかるセルロース樹脂は、塗膜の表面平滑性を向上させる作用があり、アルキッド樹脂は、塗布時の造膜性を高める作用を有する。
前記レベリング剤としては、塗液の基材への濡れ性付与作用、表面張力の低下作用を有するものであれば、公知一般のレベリング剤を用いることができ、例えば、シリコーン変性樹脂、フッ素変性樹脂、アルキル変性樹脂等を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]、その他の任意成分を混合することにより得ることができる。なお、混合方法については、特に限定されるものではなく、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括または順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
かくして得られる本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、塗工液での保存安定性に優れ、更には、硬化塗膜とした際の耐擦傷性及び擦傷後の防汚性にも優れるものである。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、そのまま塗工してもよいし、有機溶剤で希釈して塗工してもよい。希釈する場合には、有機溶剤を用いて、固形分濃度を、通常3~90重量%(好ましくは5~60重量%)とすればよい。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類、1-メトキシ-2-プロパノール(別名:プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら上記の有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]とフッ素含有(メタ)アクリレート[II]との相溶性に優れ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液の安定性に優れるものとなることから沸点が80℃以上、特には100℃以上、更には120~170℃の高沸点溶剤が好ましく、より好ましくは、グリコールエーテル類であり、特に好ましくは1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
また、上記有機溶剤を2種以上併用する場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類とメチルエチルケトン等のケトン類やメタノール等のアルコール類との組み合わせや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類と酢酸ブチル等のエステル類の組み合わせ、メチルエチルケトン等のケトン類とメタノール等のアルコール類の組み合わせ等を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の20℃での粘度は、5~50,000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは10~10,000mPa・s、更に好ましくは15~5,000mPa・sである。かかる粘度が上記範囲外では塗工性が低下する傾向がある。
なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種基材へのトップコート剤やアンカーコート剤等、塗膜形成用の硬化性組成物として有効に用いられるものであり、かかる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を基材に塗工した後(有機溶剤で希釈した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工した場合には、更に乾燥させた後)、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工する対象である基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等やそれらの成型品(フィルム、シート、カップ等)等のプラスチック基材、また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンフィルム等の光学フィルム、それらの複合基材、またはガラス繊維や無機物を混合した上記材料の複合基材等、金属(アルミニウム、銅、鉄、SUS、亜鉛、マグネシウム、これらの合金等)やガラス、または、これらの基材上にプライマー層を設けた基材等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、例えば、スプレー、シャワー、グラビア、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられ、通常は常温(特に加熱しない温度範囲)の条件下で、基材に塗工すればよい。
また、上記有機溶剤による希釈を行った活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工した場合の乾燥条件としては、温度が、通常40~120℃(好ましくは50~100℃)で、乾燥時間が、通常1~20分間(好ましくは2~10分間)であればよい。
基材上に塗工された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線または電子線、とりわけ紫外線が好ましい。
なお、電子線の照射により硬化を行う場合は、光重合開始剤を用いなくても硬化し得る。
紫外線の照射により硬化させる際には、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LEDランプ等を用いて、通常30~3,000mJ/cm2(好ましくは100~1,500mJ/cm2)の紫外線を照射すればよい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
塗工膜厚(硬化後の膜厚)としては、通常、活性エネルギー線硬化型の塗膜として光重合開始剤が均一に反応するように光線を透過させるという点から、1~1,000μmであればよく、好ましくは2~500μmであり、特に好ましくは3~200μmである。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、とりわけ、コーティング剤として用いることが好ましく、特にはハードコート用コーティング剤や光学フィルム用コーティング剤として用いることが好ましい。
このように、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、液の保存安定性に優れ、更には、硬化塗膜とした際の耐擦傷性及び擦傷後の防汚性にも優れるものであり、特にコーティング剤(更にはハードコート用コーティング剤や光学フィルム用コーティング剤)として有用であり、また、塗料、インク等としても有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
まず、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]として、以下のものを調製した。
<製造例1>
〔ウレタンアクリレート系組成物[I-1]の製造〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(B-1)184.6部とペンタエリスリトールのアクリル酸付加物(A-1)〔水酸基価:120mgKOH/g〕815.4部、重合禁止剤[III’-1]として2,6-ジ-t-ブチルクレゾール0.8部、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート系組成物[I-1]を得た(樹脂分濃度100%)。
得られたウレタンアクリレート系組成物[I-1]の重量平均分子量は1,400であり、60℃での粘度は3,000mPa・sであった。
<製造例2>
〔ウレタンアクリレート系組成物[I-2]の製造〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(B-2)219.1部とペンタエリスリトールのアクリル酸付加物(A-1)〔水酸基価:120mgKOH/g〕780.9部、重合禁止剤[III’-1]として2,6-ジ-t-ブチルクレゾール0.4部、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部を仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート系組成物[I-2]を得た(樹脂分濃度100%)。
得られたウレタンアクリレート系組成物[I-2]の重量平均分子量は2,200であり、60℃での粘度は5,000mPa・sであった。
つぎに、上記ウレタンアクリレート系組成物[I-1]及び[I-2]を用いて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造した。
〔活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造〕
<実施例1>
上記で得られたウレタンアクリレート系組成物[I-1]100部を1-メトキシ-2-プロパノール(沸点120℃)100部に溶解させた溶液を撹拌しながら、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]として「KY-1203」(有効成分20%、信越化学工業社製、重量平均分子量(実測値)27,000)を有効成分で0.2部(溶剤成分込みで1部)、重合禁止剤[III-1]として2,6-ジ-t-ブチルクレゾールを0.3部(ウレタンアクリレート系組成物[I-1]、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]及び重合禁止剤[III-1]の合計に対して2,990ppm)、着色防止剤[IV-1]としてCSP(精工化学社製)を0.05部を配合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
更に光重合開始剤として、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(IGM社製、「オムニラッド184」)を4部配合し、光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,780ppmであった。
<実施例2>
実施例1において、ウレタンアクリレート系組成物[I-1]に代えてウレタンアクリレート系組成物[I-2]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,380ppmであった。
<実施例3>
実施例1において、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]の配合量を有効成分で0.05部(溶剤成分込みで0.25部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,790ppmであった。
<実施例4>
実施例1において、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]の配合量を有効成分で1部(溶剤成分込みで5部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,750ppmであった。
<実施例5>
実施例1において、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]に代えてフッ素含有アクリレート系化合物[II-2]として「オプツールDAC-HP」(有効成分20%、ダイキン工業社製、重量平均分子量(実測値)2,300)を有効成分で0.2部(溶剤成分込みで1部)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,780ppmであった。
<実施例6>
実施例1において、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]に代えてフッ素含有アクリレート系化合物[II-3]として「IRX-380」(有効成分10%、AGC社製、重量平均分子量(実測値)1,300)を有効成分で0.2部(溶剤成分込みで2部)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,780ppmであった。
<実施例7>
実施例1において、重合禁止剤[III-1]の配合量を0.9部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、9,690ppmであった。
<実施例8>
実施例1において、重合禁止剤[III-1]に代えて重合禁止剤[III-2]として4-メトキシフェノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,780ppmであった。
<比較例1>
実施例1において、フッ素含有アクリレート系化合物[II-1]を用いないこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,790ppmであった。
<比較例2>
実施例1において、ウレタンアクリレート系組成物[I-1]に代えてトリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM-309」、重合禁止剤100ppm含有)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(トリメチロールプロパントリアクリレートに含まれる重合禁止剤を含む)は、トリメチロールプロパントリアクリレート、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、3,090ppmであった。
<比較例3>
実施例1において、重合禁止剤[III-1]を用いないこと以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記において、重合禁止剤[III]の含有量(ウレタンアクリレート系組成物[I]の製造で用いた重合禁止剤[III’]を含む)は、ウレタンアクリレート系組成物[I]、フッ素含有アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、800ppmであった。
上記で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液保存安定性を、下記の方法で評価した。
[液保存安定性]
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について、ハーゼン色数(APHA)を、分光色差計「SE6000:日本電色工業社製)」を用いて測定した。さらに、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を密閉式のガラス試験容器に入れ、耐熱条件(60℃環境下で4週間保管)で耐熱試験を行い、耐熱試験後のAPHAの値を測定した。結果を後記表1に示す。
また、上記で得られた光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から、評価用サンプルを製造し、鉛筆硬度、耐擦傷性、防汚性、水及びオレイン酸接触角の評価を行った。結果を後記表1に示す。
〔評価用サンプルの製造方法〕
上記で得られた光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、易接着PETフィルム(東洋紡社製、「コスモシャインA4300」、厚み125μm)基材上にバーコーターを用いて、乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗工し、90℃で3分間乾燥した後、80Wの高圧水銀灯、1灯を用いて、18cmの高さから5.1m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量450mJ/cm2)を行い、硬化塗膜を形成した。
[鉛筆硬度]
易接着PETフィルム上に塗工した上記硬化塗膜について、JIS K 5600に準じて試験を行い、鉛筆硬度を測定した。
[耐擦傷性]
易接着PETフィルム上に塗工した上記硬化塗膜について、スチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター#0000)を用い、1kgの荷重をかけながら硬化塗膜表面を往復させた後、目視で表面に傷が発生するまでの往復回数を測定し、下記の基準で評価した。
(評価)
○・・・1,000回往復しても傷が無かった
△・・・600回以上1,000回未満で傷が発生した
×・・・600回未満で傷が発生した
[防汚性(マジックインキ(登録商標)拭き取り性)]
硬化塗膜面に、黒マジックインキで1往復で線を引いて、24時間放置した後、ウエスにより、拭き取った後の塗膜を観察し、以下のように評価した。また、上記の耐擦傷性試験後(1,000回往復後)の塗膜についても同様に、マジックインキ拭き取り性を評価した。
(評価)
○・・・きれいに拭き取れる
△・・・ある程度拭き取れるが跡が残る
×・・・全く拭き取れない
[水及びオレイン酸接触角]
硬化塗膜面に対する水及びオレイン酸の接触角を接触角測定装置(協和界面化学社製;DropMaster600)で測定した。また、上記の耐擦傷性試験後の塗膜についても同様に、水及びオレイン酸接触角を測定した。
Figure 0007243162000001
上記結果から分かるように、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]とフッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]を含有する組成物において、更に、重合禁止剤[III]を所定量含有する実施例においては、塗工液での保存安定性に優れるものであった。更に、実施例は、通常よりも多く重合禁止剤[III]を含有するにもかかわらず、硬化塗膜とした際の防汚性能及び耐擦傷性にも優れたものであった。
一方、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]を含有しない比較例1では、防汚性能や耐擦傷性に劣るものであり、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]を用いなかった比較例2では硬化性が不充分なものとなった。また、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の製造時以外に、更なる重合禁止剤[III]の配合を行わなかった比較例3では、液の保存安定性に劣るものであり、比較例1~3のいずれも本発明の目的を満足しないものであった。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、塗工液の保存安定性に優れ、また、防汚性能(耐汚染性及びその持続性)、硬化塗膜の特性(外観、硬度、耐擦傷性)に優れた塗膜を形成することができるものであり、コーティング剤、とりわけハードコート用コーティング剤や光学フィルム用コーティング剤として有用である。また、塗料、インク等としても有用である。

Claims (10)

  1. ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)中の水酸基と、ポリイソシアネート系化合物(B)のイソシアネート基とが反応したウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]を含有してなり、上記ポリイソシアネート系化合物(B)と上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)との仕込みの反応モル比〔(B):(A)〕が1:2~1:5であり、重合禁止剤[III]の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]、フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]及び重合禁止剤[III]の合計に対して、重量基準で1,000~10,000ppmであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  2. 上記フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]が、シロキサン結合を有することを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 上記フッ素含有(メタ)アクリレート系化合物[II]の重量平均分子量が1,000~100,000であることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 上記ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸付加物(A)の水酸基価が50~300mgKOH/gであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 上記ウレタン(メタ)アクリレート系組成物[I]の重量平均分子量が1,000~30,000であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. 更に着色防止剤[IV]を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  7. 更に沸点が80℃以上の有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有してなることを特徴とするコーティング剤。
  9. ハードコート用コーティング剤として用いることを特徴とする請求項8記載のコーティング剤。
  10. 光学フィルム用コーティング剤として用いることを特徴とする請求項8記載のコーティング剤。
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