以下の本発明の実施形態は、既存の建物内のラック・ベイのタワーの据付けを参照して、建設方法の使用を説明する。本発明はそのような用途のみに限定されることを意図しておらず、当業者は、本発明が多くの異なる用途および環境において使用できることを理解するであろう。しかし、本発明の実施形態の建設方法は、制限された環境内で使用する場合に特に有利である。
本発明の最も広い態様に関して、図1は、完成したラック・ベイRBの垂直断面図である。ラック・ベイRBは、クレーン通路CAによって分離された一連のタワーTから形成される。図1に示すように、隣接するタワーTの頂部は連結構造体CSによって連結されて、ラック・ベイRBに安定性を提供している。タワーTは、約32メートルの高さを有するが、本発明は、そのような高さのタワーTと共に使用すること、またはそのような高さのタワーTの建設に限定されない。しかし、本発明のいくつかの実施形態の方法は、物品をクレーンで移動しなければならない高さが約10メートルを超える場合に特に価値があると想定される。
各タワーTは、タワーTの長さを形成する、対になった直立部材Uの複数列(すなわち、図1でページの中に延びる列)を含む。任意のタワーTの各列は、対になった直立部材Uの組によって形成され、これがタワーTの幅を確立する。そのような対の2つの直立部材Uは互いに連結されて、トラス柱TCを形成する。この連結は典型的には、水平部材および斜め部材を介して行われる。図1のタワーTの大部分は、列毎に3つのトラス柱TCによって確立される幅を有し、一方、最も外側のタワーTは列毎に2つのトラス柱TCのみを含む。もちろん、この構成は変化してもよい。
各タワーTは、典型的にはタワーTの全幅および全長にわたって格納部を提供する複数の水平に延びる棚Sを含む。
図2は、まだ建設中のラック・ベイRBのタワーTのうちの1つの地上部分を概略的に示す。タワーTの完成部分は、柱の直立部材20の第1の列Aと第2の列Bとの間に位置し、各列A、Bは6本の直立部材20を含み、3本のトラス柱TCを形成する。図2の明瞭さを向上させるために、各トラス柱TCの水平部材および斜め部材は示していない。AおよびBの印が付いた矢印は、図2のページをほぼ横切って延びる各列の最初の直立部材20を指す。
ラック・フレーム10の完成部分は、同じ列の隣接する直立部材の間に延びる水平部材22と、隣接する列A、Bの位置が合う直立部材の間に延びる水平部材24とを含む。ここに表されているように、水平部材22、24の各々は個別に、直立部材20の高さに沿った必要な位置に引き上げられ、設置され、次いで固定される。このようにして、水平部材22、24は、直立部材20を安定させ、更に直立部材20の長さに沿って間隔を置いた位置に、潜在的な積み重ねプラットフォーム/棚などのための連結点を提供する。そのような水平部材22、24を個々にクレーンで運び設置することは、非常に多くの時間を要することが理解されよう。また、先に説明したように、制限された環境で荷物をクレーンで運ぶことに関連した極めて大きな危険性と、そのような環境で建設作業員がどのように働くべきかに関する制限とがある。
図2はまた、直立部材20の第3の列Cを示す。図2でCの印が付いた矢印は、第3の列の直立部材の最初の直立部材を指す。直立部材20の第2の列Bと第3の列Cとの間には、個々の水平部材22、24は設けられていない。むしろ、本発明の最も広い態様によれば、予め組み立てた棚枠30の形態の水平部材のモジュラー・アレイが、個々の水平部材22、24を設置する代わりに使用されることになる。棚枠30は、現場内または現場外のいずれかで地上で組み立てられ、構築され、次に持ち上げられて直立部材20間の位置に入る。
図2では、直立部材20の第2の列Bと第3の列Cとの間に棚枠30を設置する準備ができている状態を示す。第3の列Cは、最も外側のトラス柱TCのみを含むことに留意されたい。中央のトラス柱TCは建築可能性の理由で、この段階では設置されていない。
複数の棚枠30が、本発明の最も広い態様の建設方法に従って、直立部材20の第2の列Bと第3の列Cとの間に設置されることになる。棚枠30は、タワーTの個々の棚を形成するように、直立部材20の長さに沿って垂直方向に間隔を置き、直立部材20に固定されることになる。棚枠30は、介在する部材を何ら必要とせずに、隣接する直立部材20に直接固定することができる。
図示した棚枠30は、直立部材の列B、Cと平行な長手方向に延びるように配設された2つの細長部材32、34と、2つの細長部材32、34に垂直に連結された6つの横断部材36とを含む。典型的には、棚枠30は、タワーTの完成した列に含まれる直立部材20毎に1つの横断部材36を含み、従って本実施形態によると6つの横断部材36を含む。図示の棚枠30はまた、2つの追加の細長部材38a、38bを含む。これらの追加の細長部材38a、38bは、この実施形態では、棚枠30上に配置されるパレットの内縁部を配置するために設けられる。
図2では、棚枠30をジグ・テーブル40に取り付けて示している。この実施形態では、ジグ・テーブル40の各脚部は車輪に取り付けられて、組み立てられた棚枠30の設置場所への移動を容易にしている。しかし、手押し車タイプの構成もジグ・テーブル40の移動を容易にすることが理解されよう。車輪を1つまたは複数の滑材と置換することもできる。
本発明の一実施形態による棚枠30は、設置場所または離れた場所のいずれかで製造できることが理解されよう。後述するように、車輪付きジグ・テーブル40はまた、設置工程の第1段階の間に、棚枠30を所望の角度位置に配置する。車輪付きジグ・テーブル40および棚枠30を、図7にも示す。
各棚枠30を第2の列Bと第3の列Cとの間に設置するために、各棚枠30をクレーンで正しい設置位置に個別に引き上げなければならない。いったん正しい設置位置になった場合、棚枠30を、第2の列Bおよび第3の列Cの直立部材20に固定しなければならない。干渉を避けるために、最上部の棚枠30を最初に設置しなければならず、残りの棚枠30をその下に最上部から最下部まで順に設置する。
各棚枠30の扱いにくい性質、その寸法、および隣接する列B、C間の制限された環境を想定すると、従来の技術を用いて棚枠30を所定位置にクレーンで運ぶことは、問題がありうる。それに応じて、組み立てられた棚枠30を必要な位置にクレーンで運ぶ際に、棚枠30の移動をガイドするための好適な移動方法がまた開発された。ここで、そのような移動方法の実施形態について説明する。
この例示的な移動方法で使用するために含まれるのは、直立部材20A上の第1の取付け点と第2の取付け点との間に取り付けられた第1のガイドケーブル110Aである。オフセット・ブラケット160が取り付けられたローラ・ガイド150の形態の第1の部材が、第1のガイドケーブル110Aに沿って移動するように配設されている。第1の部材は、オフセット・ブラケット160を介して、クレーンで所定位置に運ばれる棚枠30に連結されるように配設されている。第2のガイドケーブル110Bが、直立部材20Bの第1の取付け点と第2の取付け点との間に取り付けられている。オフセット・ブラケット160が取り付けられた別のローラ・ガイド150の形態の第2の部材が、第2のガイドケーブル110Bに沿って移動するように配設されている。第2の部材は、棚枠30に、その関連するオフセット・ブラケット160を介して連結されるように配設されている。各ローラ・ガイド150の構成の、より詳細な説明を、図5に関連して後述する。
持上げ支持部170は、クレーン(図示せず)のような移動装置に連結するために配設されている。持上げ支持部170は、クレーンによる移動中に棚枠30に対する支持を提供する。棚枠30は、第1の部材および第2の部材の各々に所定の向きで連結され、それにより、持上げ支持部170を移動装置によって移動させる場合に、第1の部材および第2の部材150の各々が、対応するガイドケーブル110A、110Bに沿って移動し、棚枠30を実質的に所定の角度のある向きに維持する。
図2を参照すると、図示されているように、第1のガイドケーブル110Aおよび第2のガイドケーブル110Bはそれぞれ、1本の金属ケーブルによって形成されている。第1の金属ケーブルは第1の直立部材20Aに取り付けられ、第2の金属ケーブルは第2の直立部材20Bに取り付けられている。直立部材20Aおよび20Bは、同じ列(例えば列C)に共通であり、中央のトラス柱TCが後に設置される隙間に隣接する直立部材である。各ガイドケーブル110A、110Bを、対応する直立部材20A、20Bに固定するための方法は普通は同一と考えられる。それに応じて、第1のガイドケーブル110Aを固定する方法のみを以降で説明する。
第1のガイドケーブル110Aは、使用時にガイドケーブル110Aが必要な張力を保持しているように、いずれの端部も直立部材20Aに固定されている。ガイドケーブル110は、好ましくは金属ケーブルであるが、チェーン、ロッド、ロープ、または他の部材であってもよい。
図3に最もよく示されるように、ケーブル110Aの上端は、上部ケーブル・ブラケット120を使用して直立部材20Aの最上端に固定されている。上部ケーブル・ブラケット120は、多くの異なる形態を取り得るが、図示するように、直立部材20Aにボルト留めされるように配設された単純なT型ブラケット120を含む。シャックル122は、ケーブル110Aの上端をケーブル・ブラケット120に連結させることを可能にする。ケーブル110Aの下端部は、下部ケーブル・ブラケット130を用いて、直立部材20Aの最下端部、好ましくは地面の直ぐ上に固定されている。下部ケーブル・ブラケット130は、多くの異なる形態を取り得るが、製造および設置を容易にするために、好ましくは上部ブラケット120と類似の構成を取る。ケーブル110Aの張力が確実に適正となるように、ケーブル張力装置(図示せず)が、典型的にはケーブル110Aの下端に設けられる。様々な好適なケーブル張力装置が当業者に知られていると考えられる。
図3に最もよく示されるように、ケーブル110Aが上部ケーブル・ブラケット120と下部ケーブル・ブラケット130との間に適切に固定されると、ケーブル110Aは直立部材20Aから水平に間隔を置いている。この間隔が、直立部材20Aの全高に沿って確実に維持され、かつケーブル110の過度な横方向移動を防止するために、典型的にはケーブル・ガイド140は直立部材20Aに沿って設置される必要がある。
図4は、直立部材20Aに取り付ける前のケーブル・ガイド140のうちの1つを示す。ケーブル・ガイド140は、直立部材20Aにボルト留めされるように配設された基部142、および旋回可能なガイド部材144を含む。ガイド部材144は、長手方向軸線A1の周りのばね付勢式の枢動のために配設された内側端部144aと、V字形の外側端部144bとを有する。
図4では、ケーブル110Aの一部のみが示されている。しかし、使用時には、ケーブル110Aはガイド部材144のV字形の外側端部144bを通過するので、ケーブル110Aの横方向移動は、V字形の外側端部144bとの接触によって制限されると理解すべきである。ガイド部材144は、2つのばね146によって付勢されている。一方のばねがガイド部材144を第1の方向に旋回するように付勢し、他方のばねがガイド部材144を第2の反対方向に旋回するように付勢している。このようにして、ガイド部材144は通常は、図4に示すように中立位置に保持される。
図5は、前述のローラ・ガイド150のうちの1つを示し、オフセット・ブラケット160を取り付けた状態で示している。図2に関連して前述したように、1つのローラ・ガイド150がガイドケーブル110A、110Bの各々に取り付けられている。より詳細に後述するように、棚枠30がクレーンによって所定位置に移動される際に、各ローラ・ガイド150は棚枠30の移動をガイドし制限することを手助けする。棚枠30は、クレーンのフックを介してクレーンに取り付けられている持上げ支持部170上に配置されている。
ローラ・ガイド150に取り付けられたオフセット・ブラケット160は2つの機能を有する。第1に、オフセット・ブラケット160は、棚枠30のうちの1つを、ローラ・ガイド150に固定することができる機構を提供する。第2に、オフセット・ブラケット160は、棚枠30が所定位置にクレーンで運ばれているときに、棚枠30を直立部材20Aに対してオフセットさせ、かつ/または棚枠30を直立部材20Aに対して必要な角度で保持するように形作られている。このようにして、棚枠30は直立部材20Aに衝突することが防止され、また必要な角度のある向きで作業員(rigger)に搬送されることになる。オフセット・ブラケット160のサイズおよび形状は、所定位置にクレーンで運ばれる棚枠に応じて変化することになる。
ローラ・ガイド150はガイドケーブル110Aを取り巻いて取り付けられるように配設されており、その結果、棚枠30が所定位置にクレーンで運ばれているとき、ローラ・ガイド150がガイドケーブル110Aの長さに沿って上向きに移動する。持上げ支持部170上に配置された棚枠30にローラ・ガイド150が取り付けられた結果として、ローラ・ガイド150はガイドケーブル110Aに沿って上向きに移動する。よって、ローラ・ガイド150は事実上、クレーンによってガイドケーブル110Aの長さに沿って上向きに引っ張られる。後で説明するように、棚枠30および各ローラ・ガイド150はまた、好ましくは持上げ支持部170に連結される。
ローラ・ガイド150はガイドケーブル110Aに沿って引っ張られるように配設されているので、ガイドケーブル110Aは移動経路を確立することが理解されよう。例えば、ケーブル110Aが直立部材20Aへの上部連結部と下部連結部との間で確実に引張状態に保持されることによって、ガイドケーブル110Aの位置が実質的に動かなければ、ローラ・ガイド150がガイドケーブル110Aに沿って移動するときの移動経路は再現可能であり、制御されており、かつ予測可能である。このことは、2つのローラ・ガイド150がクレーンの動作によって移動する際に、2つのローラ・ガイド150の間に連結された棚枠30の移動経路もまた、再現可能であり、制御されており、かつ予測可能であり得ることを意味し、これは有利で好ましい。
ローラ・ガイド150およびオフセット・ブラケット160は、本明細書では別個の部材として説明および図示されているが、必ずしもそうである必要はないと理解すべきである。オフセット・ブラケット160の特徴を、ローラ部材を形成するローラ・ガイド150に組み込むことができる。しかし、ローラ・ガイド150から1つのオフセット・ブラケット160を取り外し、それを別の、おそらく異なる形状の1つと置換する機能は有利であり得ると想定される。異なる形状またはサイズのオフセット・ブラケット160を、異なる所定の向きで物品を保持するように構成することができ、これは、異なる大きさおよび/または形状の物品、または、その間を物品を移動させる直立部材の列の間の異なるサイズの間隔に適応するために必要となり得る。
図6に最もよく示されるように、持上げ支持部170は、中央長手方向部材172、1対のクレードル174、クレーン・チェーン176、およびクレーン・リング178を含む。クレードル174は、棚枠30がクレードル174上に着座しているときに、棚枠30の一部を収容するように構成されている。クレーン・リング178は、持上げ支持部170を引き上げでき、これによって持上げ支持部170のクレードル174上に着座している棚枠30も引き上げできるように、クレーンのフックを受けるように構成されている。
図6には示されていないが、使用中、持上げ支持部170の中央部材172の各端部は、ローラ・ガイド150のうちの1つに連結されるように配設されている。この連結は、チェーン179(図8)、ロープまたは他のそのような連結によるものであり、単に持上げ支持部170を地上に下降させることによって、ローラ・ガイド150をガイドケーブル110Aの上部からケーブル110Bの底部まで引っ張るための手段を提供する。この連結はまた、棚枠30が直立部材20上の所定位置に連結された後に、オフセット・ブラケット160を棚枠30からいったん外した場合に、ローラ・ガイド150がガイドケーブル110A、110Bを下降することを防止する。この連結はまた、持上げ支持部170の不必要な動きを制限するための手段を提供する。より具体的には、中央部材172の一端がローラ・ガイド150およびガイドケーブル110Aを介して直立部材20Aに連結され、中央部材172の他端がローラ・ガイド150およびガイドケーブル110Bを介して直立部材20Bに連結されるので、持上げ支持部170の移動はチェーン179の範囲内に制限される。それに応じて、持上げ支持部170はクレーンによって垂直方向に自由に昇降させることができるが、中央部材172はチェーン179によって一対のローラ・ガイド150に連結しているので、水平方向または端から端までのいずれかの左右の移動、および回転移動は制限され、更に、棚枠30が持上げ支持部170に連結している場合には、棚枠30が各ローラ・ガイド150に、それぞれのオフセット・ブラケット160を介して連結されることにより制限され、これはまた有利で好ましい。
図5に最もよく示されるように、ローラ・ガイド150は、オフセット・ブラケット160用の連結点を提供するU字形の本体152を含む。本体152はまた、本体152の長さに沿って間隔を置いた3対の溝付きローラ154用の取付け点を提供する。ガイドケーブル110Aは、溝付きローラ154の各対を通って延びるように配設されている。ローラ・ガイド150上に取り付けられるローラ154の対の数は、ローラ・ガイドの構成に応じて変化し得る。ローラ・ガイド150は一対のローラ154を含むが、ローラ・ガイド150を、ガイドケーブル110Aに沿った移動をガイドする別の形態のガイド構成に置換できると想定されることも理解すべきである。例えば、ローラ154は、使用時にガイドケーブル110Aに沿って走行する1つまたは複数のトラックと置換されてもよく、または、ケーブル110Aが通って延びるチューブなどの部材と置換されてもよい。代替として、修正された構成は本体を含み、本体は、本体から延びる少なくとも1つのローラ・ホイールを含んでもよく、前述のガイドケーブル110Aを置換するトラック内またはトラック上を走行またはスライドするように配設される。トラックは、略U字形断面の部材によって形成することができる。
図2に戻り、本実施形態に基づいて、棚枠30をタワーT上の必要な位置にガイドして移動させ、そこに固定する方法をここで説明する。この方法は、本発明の最も広範な態様を参照して上述したガイドされない移動と同様である。
最初に、持上げ支持部170が車輪付きジグ・テーブル40上に位置決めされる。次いで、棚枠30が持上げ支持部170のクレードル174上に配置されるように、棚枠30が車輪付きジグ・テーブル40上に位置決めされる。典型的には、棚枠30は、何らかの形態のコネクタ、例えばキーパー・ピンを用いて持上げ支持部170に固定される。棚枠30がジグ・テーブル40上に位置決めされる前に、持上げ支持部170が車輪付きジグ・テーブル40上に位置決めされるように記載されているが、必ずしもそうでない場合もある。
次いで、車輪付きジグ・テーブル40を、第2の列Bと第3の列Cとの間の位置に車輪で動かす。車輪付きジグ・テーブル40は、棚枠30が角度のある向きで保持されるように配設される。角度は、棚枠30のいかなる部分も直立部材20に衝突することなく、車輪付きジグ・テーブル40を直立部材の第2の列Bと第3の列Cとの間で容易に車輪で動かすことができるように設定される。棚枠30が着座する角度は、特定の棚枠に応じて変化し得ることが理解されよう。
車輪付きジグ・テーブル40上で依然として支持されている間に、棚枠30は、各ローラ・ガイド150のオフセット・ブラケット160が棚枠30上の必要な点に、例えばボルト締めによって固定され得るように位置決めされる。棚枠30が車輪付きジグ・テーブル40によって保持される角度もまた、好ましくは、棚枠30の位置を持ち上げることも、または実質的に調整する必要もなしに、オフセット・ブラケット160への棚枠30の連結を可能にするように設定される。棚枠30は、所定の角度のある向きに保持されるようにオフセット・ブラケット160に連結される。
棚枠30と各オフセット・ブラケット160との間の連結がいったん完了すると、棚枠30の左右の移動を防止するように、棚枠30の各端部が一対のオフセット・ブラケット160の間に強固に保持される。次いで、各ローラ・ガイドのチェーン179の自由端が持上げ支持部170に連結される。
次いで、クレーンを使用して棚枠30をジグ・テーブル40から持ち上げることができるように、クレーン・フックを持上げ支持部170のクレーン・リング178に連結することができる。いったんジグ・テーブル40から棚枠30が取り除かれると、ジグ・テーブル40は車輪で動かされタワーTから離れる。次いで、ジグ・テーブル40には別の持上げ支持部170および別の棚枠30を取り付けることができ、別の棚枠30の取り付けを待機する。
次に、クレーンを使用して、クレーンに取り付けられた棚枠30をタワーT内の必要な連結高さまで垂直に持ち上げることができる。タワーTの最上部の棚枠30を最初に設置し、続いて残りの棚枠30に高さ順に取り付けなければならないと理解されよう。
クレーンが持上げ支持部170および棚枠30を車輪付きジグ・テーブル40から離れるように垂直に持ち上げると、ローラ・ガイド150はガイドケーブル110A、110Bに沿って上向きに引っ張られることになる。前述したように、ローラ・ガイド150の移動は、溝付きローラ154の各対と、張力が与えられた関連するガイドケーブル110A、110Bとの間の係合ゆえに制限される。その意図は、ローラ・ガイド150が、ガイドケーブル110A、110Bによって確立された移動経路に沿って移動することである。この場合、移動経路は実質的に垂直に延びている。ガイドケーブル110A、110Bは張力が与えられた状態で維持され、更にその長さに沿ってケーブル・ガイド140によって拘束され、その結果、移動が防止される。このようにして、ローラ・ガイド150が沿って移動する移動経路は反復可能であり、これは、記載された実施形態との関連で、ローラ・ガイド150が同じ経路に沿って上向きおよび下向きに実質的に垂直に繰り返し移動できることを意味する。
また、棚枠30はオフセット・ブラケット160を介してローラ・ガイド150に所定の角度のある向きで連結されているので、棚枠30をその向きに保持したまま、移動経路に平行に実質的に垂直に移動させることもできると理解されよう。更に、棚枠30は、それぞれのローラ・ガイド150に連結された2つのオフセット・ブラケット160の間に連結されているので、棚枠30は直立部材20の列に平行な方向への端から端への移動が拘束される。これは、2つのローラ・ガイド150の間の水平方向の間隔が、ガイドケーブル110A、110Bの間の水平方向の距離によって決定されるからである。ガイドケーブル110A、110Bは張力が与えられ、横方向のいかなる大きな移動からも拘束されているので、その水平距離は実質的に固定されている。棚枠30は持上げ支持部170上に配置されているので、ローラ・ガイド150はそれぞれのケーブル110A、110Bに沿って実質的に均等に引っ張られるであろうことも理解されよう。従って、棚枠30は、所定の角度のある向きに保持されながらクレーンの動作により上向きおよび下向きに移動するように拘束される。棚枠30は、略水平な面内で端から端までの方向以外いかなる有意な量をも移動せず、更にいかなる有意な量をも回転せず、または揺れ動かない。このようにして、棚枠30の向きは所定の角度のある向きに実質的に維持され、それにより、棚枠30がクレーンによって所定位置に移動される際に、いかなる直立部材20にも衝突せず、これはまた有利で好ましい。
重要なことに、本発明に従った棚枠30の位置決めゆえに、タグラインを持上げ支持部170に取り付ける必要性はない。これは、タグラインの重量の影響を相殺する必要がなく、更に、見張り人が持上げ支持部170の真下に立っている必要が決してないことを意味する。誤って落下しても見張り人が棚枠30の下にいないので、これは大きな安全性の向上をもたらす。更に、見張り人は、怪我をする可能性がある急な角度で上の方を見ながら、かなりの時間を費やす必要はない。最後に、棚枠30の所定の角度のある向きは、クレーンによって持ち上げられている間は維持されるので、クレーンの引き上げ速度は、可能と考えられる別の場合と比較して増加すると予想される。
棚枠30がその必要な取付け位置にいったん到達し、クレーンが依然として棚枠30の荷物を保持している状態で、作業員が棚枠30を捕捉し、オフセット・ブラケット160への連結を切断する。好適な実施形態では、そのとき、オフセット・ブラケット160および連結されたケーブル・ガイド150は単に、チェーン179によって持上げ支持部170からぶら下がっている。いったんオフセット・ブラケット160から解放されると、棚枠30を第2の列Bおよび第3の列Cの直立部材20に連結させることができ、その結果、棚枠30はタワーT内に固定される。
いったん棚枠30がタワーTに強固に取り付けられると、持上げ支持部170は棚枠30から取り外される。キーパー・ピンを使用して持上げ支持部170を棚枠30に連結する場合、キーパー・ピンは吊り紐などで持上げ支持部170に連結されることになる。これは、下にいる人に怪我をさせる可能性がある、地上への不測の解放を防止する。
次いでクレーンは持上げ支持部170を地上レベルに降下させる。依然としてケーブル・ガイド150に連結しているチェーン179により、持上げ支持部170を降下させると、ケーブル・ガイド150はそれぞれのガイドケーブル110A、110Bに沿って下向きに引っ張られ、元の開始点に戻る。次いでクレーン・フックを持上げ支持部170から解放することができ、次いで持上げ支持部170を取り外すことができる。次に、この全工程を繰り返して、前に設置された棚枠30の直ぐ下に次の棚枠30を設置することができる。
持上げ支持部170とケーブル・ガイド150との間に連結されたチェーン179は、ケーブル・ガイド150を元の出発点に戻すための好適な機構を提供するものとして記載されているが、他の構成も想定される。いったんオフセット・ブラケット160が棚枠30から外されると、ケーブル・ガイド150が元の開始点まで降下することを防止するために、他の構成が置かれ得ることも想定される。
図8は、タワーT内の所定位置に固定された最上部の棚枠30を示す。この図では、持上げ支持部170は棚枠30から解放され、棚枠30の真下の位置まで降下されている。持上げ支持部170のクレーン・リング178へのクレーンの連結は依然として保持されている。この図では、オフセット・ブラケット160のチェーン179を介しての持上げ支持部170の端部への連結も示されている。
図8はまた、直立部材20の第2の列Bと第3の列Cとの間に全ての棚枠30を確実に連結する前に、安定性の理由から、第3の列Cの最も外側の直立部材を第2の列Bの最も外側の直立部材に一時的に固定する必要があることを示す。これらがそのように固定されていない場合、第3の列Cのトラス柱TCは不安定になるであろう。これらトラス柱TCの直立部材の位置決めを固定することを、最上部の棚枠30を地上から所定位置に持ち上げることを干渉しないような方法で理想的には行われるべきである。
それに応じて、この実施形態では、最上端に隣接する第2の列Bおよび第3の列Cの最も外側の直立部材20のそれぞれに、アウトリガ・アーム200が取り付けられる(すなわち、アウトリガ・アーム200が第1の直立部材に取り付けられ、別のアウトリガ・アーム200が第2の直立部材に取り付けられる)。各アウトリガ・アーム200は、最も近いクレーン通路CAに向かって外向きに延びており、そうすることにより、最上部の棚枠30が直立部材20の第2の列Bと第3の列Cとの間の必要な位置に移動される能力を妨げることはない。クレーン通路CAは、ラック・ベイの特定のタワーの外側にある開放領域を表すことが理解されよう。
第1の直立部材および第2の直立部材のアウトリガ・アーム200はリンク・アーム210によって結合されて、仮のブレースを確立する。このようにして、第3の列Cの最も外側のトラス柱TCは、一時的に、しかし確実に、第2の列Bの隣接するトラス柱、従ってラック・ベイRBの完成した部分に連結される。
図9はアウトリガ・アーム200をより詳細に示し、図10はリンク・アーム210をより詳細に示す。アウトリガ・アーム200は、一方の端部に、直立部材20へのボルトによる取り付けを可能にするように構成されたプレート202と、他方の端部に、リンク・アーム210への連結を可能にするねじ付きロッド204とを有する。図9では、プレート202の開口部208を通って延びる2つのボルト206が示されている。プレート202は、ボルト用の8つの開口部208を含むように示されているが、他の数の開口部およびボルトが想定される。
リンク・アーム210は各端部に、関連するアウトリガ・アーム200のねじ付きロッド204が通過し得る開口部212を有する。ロッド204が開口部212を通過した後に、ナット(図示せず)がロッド204の端部にねじ込まれ、従ってナットはリンク・アーム210をアウトリガ・アーム200に固定するために使用される。
トラス柱TCの全長(すなわち、トラス柱TCの高さ)によっては、トラス柱TCの全長に沿った複数の点に、そのような仮のブレースを設けることが必要な場合がある。より具体的には、トラス柱TCは、トラス柱TCの全高を確立するために互いに結合されたいくつかのセクションを含んでもよい。その場合は、トラス柱TCの各セクションに少なくとも1つの仮のブレースを含めることが望ましい。
いったん第2の列Bと第3の列Cとの間の棚枠30の全てが据え付けられたら、第3の列Cの欠けている中間トラス柱TCを据え付けなければならず、それによって第3の列CおよびタワーTが完成する。
タワーTを拡張するために、棚枠30を取り付けた、トラス柱TCの別の列を設けることができる。これは、第2の列Bと第3の列Cとの間の棚枠30の設置に関して前述したのと同じ方法で行われ得る。
新しい第4の列の最も外側の直立部材20は、仮のブレースを使用して安定させることがベストであることに留意されたい。これは、第2の列Bのトラス柱の第1の直立部材に連結したアウトリガ・アーム200の間の連結を解除し、連結したリンク・アーム210と共にそのアウトリガ・アーム200を、第1の位置から第2の位置へ移動させることによって行われ得る。連結したアウトリガ・アーム200を有するリンク・アーム210は、連結解除された第1のアウトリガ・アーム200がそのとき、新たな第4の列の最も外側の直立部材20(すなわち、第3の直立部材)に連結され得るように、作業員によって約180度回転され得る。このプロセスの間、第2のアウトリガ・アーム200、すなわち第3の列Cのトラス柱の直立部材(すなわち第2の直立部材)に連結したものは、そのプレート202を介して第2の直立部材に連結したままである。リンク・アーム210がそのねじ付きロッド204の周りを第1の位置から第2の位置まで回転できるようにするために、この第2のアウトリガ・アーム200の関連するナットを緩める必要があり得る。更に、この工程中、リンク・アーム210は開放領域内に留まっている。
代替の方法として、第2の列Bのトラス柱の第1の直立部材に連結したアウトリガ・アーム200を第1の直立部材に連結したままにしてもよい。しかし、そのアウトリガ・アーム200に連結したリンク・アーム210の端部は解放され、次いで第1の位置から第2の位置へ移動される。第2の位置にあるとき、リンク・アーム210の端部は、新しい第4の列の最も外側の直立部材20に以前に連結していた第3のアウトリガ・アーム200に連結させることができる。
前述したように、ガイドケーブル110A、110Bの横方向移動を防止することが有用である。これは、各ガイドケーブル110A、110Bの長さに沿って複数のケーブル・ガイド140を設けることによって容易にできる。各ケーブル・ガイド140は、ガイドケーブルが必要な位置にあるときに、ガイドに関連するケーブル110A、110Bがガイド部材144のV字形の外側端部144bを通って延びるように位置決めされる。V字形の外側端部144bは、ガイドケーブル110A、110Bの横方向移動を制限する。しかし、図4Aからよりよく理解されるように、各ケーブル・ガイド140のV字形の外側端部144bは、ローラ・ガイド150がケーブル110Aに沿って移動するにつれて、ローラ・ガイド150の経路を塞がないように移動できなければならない。これが、好ましくは各ガイド部材144が軸線A1の周りに枢動するようにばね付勢されている理由である。そのような動きにより、V字形の外側端部144bが下方からローラ・ガイド150のU字形の本体152によって接触された場合に、ガイド部材144が中立位置から上方位置に動くことが可能になる。いったんローラ・ガイド150がケーブル・ガイド140を通り越すと、ガイド部材144はばね付勢により中立位置に戻る。もちろん、ローラ・ガイド150がガイドケーブル110Aに沿って下方に引っ張られて地上レベルに戻される場合、ガイド部材144は下方位置への移動が引き起こされ、ローラ・ガイド150が通過することが可能になると理解されよう。そのとき、ガイド部材は中立位置に跳ね返る。
ケーブル110A、110Bをその全長に沿って確実に所望の向きにするために、複数のケーブル・ガイド140を各直立部材20A、20Bの長さに沿って設置する必要があり得ると想定される。更に、1つのケーブル・ガイド140のV字形の外側端部144bが中立位置から離れる方向に移動しているゆえに、ケーブル110A、110Bの横方向移動を制限していない場合は、別のケーブル・ガイド140が依然としてこの横方向移動を制御するように機能するように、ケーブル・ガイド140は間隔を空けていることが好ましい。この目的のために、1つのケーブル・ガイド140がガイドケーブル110A、110bの横方向移動を制限していない場合に、直ぐ上方または下方のケーブル・ガイド140が制限することになるように、ケーブル・ガイド140は各直立部材20A、20Bの長さに沿って対にされ、配置されることが想定される。直立部材20Aに沿ったケーブル・ガイド140のこの対の性質を図4Aに示す。
オフセット・ブラケット160の構成は、それに連結される棚枠30のサイズおよび必要な所定の角度のある向きを考慮するように、容易に変更できることも理解すべきである。明らかなように、所定の角度のある向きは、棚枠のサイズおよび形状、棚枠が移動されるラック・ベイRBの隣接する列の間の間隔、および棚枠が所定位置に持ち上げられている際に棚枠の移動に対して障害となる他の物などの要因に依存することになる。必要に応じて、オフセット・ブラケット160をローラ・ガイド150から素早く取り外して別のものに置換することができる。
ガイドケーブル110A、110bとローラ・ガイド150との間の摩擦を最小限に抑えることによって、ローラ・ガイド150、従って棚枠30の移動を更に良好に制御することが可能になることも理解されよう。これにより、棚枠30とトラス柱TCとの間の所望の間隙を維持することが可能になり、トラス柱TCまたはあらゆる周囲構造への、いかなる偶発的な衝撃の危険性も最小限に抑えられる。
また、当業者によって理解されるように、前述の持上げ支持部170は、他の形態の持上げ支持部に置換することができる。例えば、移動中の棚枠30は、一対のソフト・スリングまたは複数のワイヤ・ロープを介してクレーンに連結されている持上げビーム上で支持することができる。
ガイド付きの移動方法を利用する本発明の好適な実施形態は、所定位置に持ち上げられている棚枠の制御された移動をもたらすので有利である。これにより、制限された環境内でクレーンによって移動される棚枠を、別の方法で可能なよりも、より安全な方法で、好ましくはより速い引き上げ速度で移動させる助けとなる。その結果、これにより、本方法を使用して建設部材を所定位置に持ち上げる際の建設時間を迅速化することができる。
実施形態は例としてのみ記載されており、本発明の趣旨および範囲内での修正が想定される。