JP7234743B2 - 接合体、及び、絶縁回路基板 - Google Patents
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Description
ここで、絶縁樹脂層を備えた絶縁回路基板として、例えば特許文献1には、金属ベース回路基板が提案されている。また、特許文献2には、多層配線基板が提案されている。
この金属ベース回路基板においては、回路層上に半導体素子が接合され、金属基板の絶縁樹脂層とは反対側の面にヒートシンクが配設されており、半導体素子で発生した熱をヒートシンク側に伝達して放熱する構造とされている。
ここで、特許文献1に記載された金属ベース回路基板においては、絶縁樹脂層と回路層との密着性を向上させることは考慮されておらず、使用時に絶縁樹脂層と回路層(金属板)の剥離が生じるおそれがあった。
しかしながら、金属板(配線回路層)の表面粗さ(Ra)が大きすぎると、金属板表面が入り込んだ部分に電荷が集中し、絶縁樹脂層における絶縁性(絶縁耐圧)が低下してしまい、絶縁回路基板として使用できなくなるおそれがあった。
一方、単位長さ当たりの前記凸部の頂点の個数密度が1500個/mm以下とされているので、絶縁樹脂部材の内部に必要以上に金属部材が入り込んでおらず、絶縁樹脂部材における絶縁性(絶縁耐圧)を十分に確保することができる。
一方、前記絶縁樹脂部材と前記金属部材の積層方向を高さ方向として、前記凸部の頂点の平均高さと前記凹部の底点の平均高さとの差が4μm以下とされているので、前記絶縁樹脂部材の内部に前記金属部材が必要以上に深く入り込んでおらず、前記絶縁樹脂部材における絶縁性(絶縁耐圧)を十分に確保することができる。
この場合、前記凸部の平均幅が0.3μm以上とされているので、前記凸部の頂点部分における電界集中の発生を抑制でき、絶縁性を確実に確保することができる。一方、前記凸部の平均幅が1.5μm以下とされているので、適切な間隔で金属部材が絶縁樹脂部材側へ入り込んでおり、前記絶縁樹脂部材と前記金属部材との密着性を確実に向上させることができる。
一方、単位長さ当たりの前記凸部の頂点の個数密度が1500個/mm以下とされるとともに、前記凸部の頂点の平均高さと前記凹部の底点の平均高さとの差が4μm以下とされているので、絶縁樹脂層の内部に必要以上に回路層の金属が入り込んでおらず、絶縁樹脂層における絶縁性(絶縁耐圧)を十分に確保することができる。
この場合、前記凸部の平均幅が0.3μm以上とされているので、前記凸部の頂点部分における電界集中の発生を抑制でき、絶縁性を確実に確保することができる。一方、前記凸部の平均幅が1.5μm以下とされているので、適切な間隔で回路層が絶縁樹脂層側へ入り込んでおり、前記絶縁樹脂層と前記回路層との密着性を確実に向上させることができる。
本実施形態に係る接合体は、絶縁樹脂部材である絶縁樹脂層12と、金属部材である金属板23(回路層13)及び金属基板11とが接合されることにより構成された絶縁回路基板10とされている。
図1に、本発明の第1の実施形態である絶縁回路基板10及びこの絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
ここで、絶縁回路基板10とヒートシンク31とは、はんだ層32を介して接合されている。このはんだ層32は、上述のはんだ層2と同様の構成とすることができる。
本実施形態では、絶縁樹脂層12の強度を確保するとともに、熱伝導性を確保するために、フィラーを含有する熱硬化型樹脂が用いられている。ここで、フィラーとしては、例えばアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等を用いることができる。また、熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂等を用いることができる。本実施形態では、絶縁樹脂層12は、フィラーとしてアルミナを含有するエポキシ樹脂で構成されている。また、絶縁樹脂層12の厚さは、20μm以上250μm以下の範囲内とされており、本実施形態では、60μmとされている。
この回路層13においては、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面とされている。ここで、回路層13(金属板23)の厚さは0.3mm以上3mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.5mmに設定されている。
すなわち、本実施形態においては、絶縁樹脂層12に回路層13(金属基板11)が入り込んだ構造とされている。
また、絶縁樹脂層12と回路層13(金属基板11)の積層方向を高さ方向として、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差が0.3μm以上4μm以下の範囲内とされている。
さらに、本実施形態においては、凸部18の頂点Aの平均高さ位置と凹部19の底点Bの平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部18の平均幅が0.3μm以上1.5μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
上述の凸部18の頂点Aの個数は、回路層13(金属基板11)が絶縁樹脂層12の内部に入り込んだ部分の個数となる。
ここで、単位長さ当たりの凸部18の頂点Aの個数密度度が500個/mm未満であると、回路層13(金属基板11)が十分に絶縁樹脂層12側に入り込んでおらず、絶縁樹脂層12と回路層13(金属基板11)との密着性を向上させることができないおそれがある。一方、単位長さ当たりの凸部18の頂点Aの個数密度が1500個/mmを超えると、回路層13(金属基板11)が絶縁樹脂層12側に必要以上に入り込んでおり、絶縁樹脂層12における絶縁性(絶縁耐圧)を確保できなくなるおそれがある。
このため、本実施形態においては、単位長さ当たりの凸部18の頂点Aの個数密度を500個/mm以上1500個/mm以下の範囲内に設定している。
なお、単位長さ当たりの凸部18の頂点Aの個数密度の個数密度の下限は、700個/mm以上とすることが好ましく、800個/mm以上とすることがさらに好ましい。一方、単位長さ当たりの凸部18の頂点Aの個数密度の個数密度の上限は、1300個/mm以下とすることが好ましく、1100個/mm以下とすることがさらに好ましい。
上述の凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差は、回路層13(金属基板11)が絶縁樹脂層12の内部に入り込んだ深さとなる。
ここで、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差が0.3μm未満であると、回路層13(金属基板11)が十分に絶縁樹脂層12側に入り込んでおらず、絶縁樹脂層12と回路層13(金属基板11)との密着性を向上させることができないおそれがある。一方、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差が4μmを超えると、回路層13(金属基板11)が絶縁樹脂層12側に必要以上に深く入り込んでおり、絶縁樹脂層12における絶縁性(絶縁耐圧)を確保できなくなるおそれがある。
このため、本実施形態においては、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差を0.3μm以上4μm以下の範囲内に設定している。
なお、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差の下限は、0.5μm以上とすることが好ましく、0.6μm以上とすることがさらに好ましい。一方、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差の上限は、2.0μm以下とすることが好ましく、1.5μm以下とすることがさらに好ましい。
本実施形態の絶縁回路基板10において、凸部18の頂点Aの平均高さ位置と凹部19の底点Bの平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部18の平均幅を0.3μm以上とすることにより、絶縁樹脂層12の内部に入り込んだ回路層13(金属基板11)からなる凸部18の頂点部分における電界集中の発生を抑制でき、絶縁樹脂層12の絶縁性を確実に確保することができる。一方、凸部18の頂点Aの平均高さ位置と凹部19の底点Bの平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部18の平均幅を1.5μm以下とすることにより、適切な間隔で回路層13(金属基板11)が絶縁樹脂層12側へ入り込むことになり、絶縁樹脂層12と回路層13(金属基板11)との密着性を確実に向上させることができる。
このため、本実施形態の絶縁回路基板10においては、凸部18の頂点Aの平均高さ位置と凹部19の底点Bの平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部18の平均幅を0.3μm以上1.5μm以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、凸部18の頂点Aの平均高さ位置と凹部19の底点Bの平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部18の平均幅の下限は、0.5μm以上とすることが好ましく、0.7μm以上とすることがさらに好ましい。一方、凸部18の頂点Aの平均高さ位置と凹部19の底点Bの平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部18の平均幅の上限は、1.3μm以下とすることが好ましく、1.0μm以下とすることがさらに好ましい。
まず、回路層13となる金属板23の絶縁樹脂層12との接合面に粗化めっき層23aを形成するとともに、金属基板11の絶縁樹脂層12との接合面に粗化めっき層11aを形成する。これにより、回路層13となる金属板23の絶縁樹脂層12との接合面及び金属基板11の絶縁樹脂層12との接合面に、それぞれ凹凸部を形成する。なお、粗化めっき層23a、11aは、以下のようにして形成される。
次に、金属基板11の一方の面(図4において上面)に、フィラーとしてのアルミナと熱硬化型樹脂としてのエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する樹脂組成物22を配設する。なお、本実施形態では、樹脂組成物22は、シート状に形成されている。
また、この樹脂組成物22の一方の面(図4において上面)に、回路層13となる金属板23を配設する。
次に、積層した金属基板11、樹脂組成物22、金属板23を、積層方向に加圧するとともに加圧して、樹脂組成物22を硬化させて絶縁樹脂層12を形成するとともに、金属基板11と絶縁樹脂層12、絶縁樹脂層12と金属板23を接合する。
この熱圧着工程S03の条件は、加熱温度が150℃以上200℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間を30分以上90分以下の範囲内、積層方向の加圧圧力を50MPa以上200MPa以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、絶縁樹脂層12に接合された金属板23に対してエッチング処理を行い、回路パターンを形成し、回路層13を構成する。
次に、この絶縁回路基板10の金属基板11の他方の面にヒートシンク31を接合する。本実施形態では、金属基板11とヒートシンク31とを、はんだ材を介して接合している。
そして、絶縁回路基板10の回路層13に半導体素子3を接合する。本実施形態では、回路層13と半導体素子3とを、はんだ材を介して接合している。
以上の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製造される。
また、単位長さ当たりの凸部18の頂点Aの個数密度が1500個/mm以下とされているので、絶縁樹脂層12の内部に必要以上に回路層13(金属基板11)が入り込んでおらず、絶縁樹脂層12における絶縁性(絶縁耐圧)を十分に確保することができる。
一方、凸部18の頂点Aの平均高さと凹部19の底点Bの平均高さとの差が4μm以下とされているので、絶縁樹脂層12の内部に回路層13(金属基板11)が必要以上に深く入り込んでおらず、絶縁樹脂層12における絶縁性(絶縁耐圧)を十分に確保することができる。
本実施形態においては、図3及び図4に示す絶縁回路基板の製造方法によって絶縁回路基板を製造するものとして説明したが、これに限定されることはない。
また、この樹脂組成物のシート材の一方の面に、回路層となる金属板を、粗化めっき層が形成された面が樹脂組成物のシート材側を向くように、積層した。
以上のようにして、得られた絶縁回路基板について、以下の項目についてそれぞれ評価した。
回路層と絶縁樹脂層の接合界面の断面を観察し、絶縁樹脂層と回路層との接合界面を特定し、回路層が絶縁樹脂層側へ突出した凸部の頂点と回路層が絶縁樹脂層側から後退した凹部の底点とを特定した。
具体的には、接合界面の観察写真を、画像処理ソフトを用いて二値化処理した。そして、二値化処理した画像をピクセル処理し、接合界面を特定するとともに、凸部の頂点及び凹部の底点とを特定した。
そして、単位長さ当たりの凸部の頂点の個数密度、絶縁樹脂層と回路層の積層方向を高さ方向とした場合の凸部の頂点の平均高さと凹部の底点の平均高さとの差、凸部の頂点の平均高さ位置と凹部の底点の平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部の平均幅、を評価した。評価結果を表1に示す。
なお、接合界面の観察は、5視野で実施し、これらの視野で観察して算出された単位長さ当たりの凸部の頂点の個数密度、絶縁樹脂層と回路層の積層方向を高さ方向とした場合の凸部の頂点の平均高さと凹部の底点の平均高さとの差、凸部の頂点の平均高さ位置と凹部の底点の平均高さ位置の間の高さ中心位置における凸部の平均幅の平均値を表1に示した。
上述の絶縁回路基板を、恒温恒湿槽(温度85℃、湿度85%)に入れ、3日間保持した。その後、加熱炉内に装入し、290℃で10分間のリフロー処理を実施した。
リフロー処理後の絶縁回路基板において、回路層と絶縁樹脂層の接合率、絶縁破壊電圧について以下のようにして評価した。
回路層と絶縁樹脂層及の接合率は、超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)-(剥離面積)}/(初期接合面積)×100
図5に示すように、金属基板11をベース板61の上に載置し、回路層13の上にプローブ62を接触させ、部分放電を評価した。測定装置として、三菱電線株式会社製の部分放電試験機を用いた。なお、試験雰囲気として、3M社製フロリナート(tm)FC-770中で実施した。
そして、電圧を0.5kVごとのステッププロファイル(保持時間30秒)で昇圧し、絶縁破壊が生じた電圧(漏れ電流が10mA以上となった電圧)を絶縁破壊電圧とした。
評価結果を表1に示す。
回路層が絶縁樹脂層側へ突出した凸部の頂点の単位長さ当たりの個数密度が450個と本発明の範囲よりも少ない比較例2においては、接合率が79%と低くなり、回路層と絶縁樹脂層との密着性が不十分であった。
凸部の頂点の平均高さと凹部の底点の平均高さの差が0.2μmと本発明の範囲よりも小さい比較例4においては、接合率が78%と低くなり、回路層と絶縁樹脂層との密着性が不十分であった。
11 金属基板(金属部材)
12 絶縁樹脂層(絶縁樹脂部材)
13 回路層(金属部材)
18 凸部
19 凹部
Claims (4)
- エポキシ樹脂からなる絶縁樹脂部材と金属からなる金属部材とが接合された構造の接合体であって、
前記絶縁樹脂部材と前記金属部材との接合界面は、前記金属部材が前記絶縁樹脂部材側へ突出した凸部と前記金属部材が前記絶縁樹脂部材側から後退した凹部とを有する凹凸形状をなしており、前記絶縁樹脂部材の内部に前記金属部材が入り込んだ構造とされており、
単位長さ当たりの前記凸部の頂点の個数密度が500個/mm以上1500個/mm以下の範囲内とされ、
前記絶縁樹脂部材と前記金属部材の積層方向を高さ方向として、前記凸部の頂点の平均高さと前記凹部の底点の平均高さとの差が0.3μm以上4μm以下の範囲内とされており、
絶縁破壊電圧が7kV以上、かつ、接合率が85%以上であることを特徴とする接合体。 - 前記頂点の平均高さ位置と前記底点の平均高さ位置の間の高さ中心位置における前記凸部の平均幅が0.3μm以上1.5μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
- エポキシ樹脂からなる絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層の一方の面に金属板が接合されてなる回路層と、を備えた絶縁回路基板であって、
前記絶縁樹脂層と前記回路層との接合界面は、前記回路層が前記絶縁樹脂層側へ突出した凸部と前記回路層が前記絶縁樹脂層側から後退した凹部とを有する凹凸形状をなしており、前記絶縁樹脂層の内部に前記回路層が入り込んだ構造とされており、
単位長さ当たりの前記凸部の頂点の個数密度が500個/mm以上1500個/mm以下の範囲内とされ、
前記絶縁樹脂層と前記回路層の積層方向を高さ方向として、前記凸部の頂点の平均高さと前記凹部の底点の平均高さとの差が0.3μm以上4μm以下の範囲内とされており、
絶縁破壊電圧が7kV以上、かつ、接合率が85%以上であるいることを特徴とする絶縁回路基板。 - 前記頂点の平均高さ位置と前記底点の平均高さ位置の間の高さ中心位置における前記凸部の平均幅が0.3μm以上1.5μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項3に記載の絶縁回路基板。
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