(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る部品実装システムであるチップ実装システムについて、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係るチップ実装システムは、基板上に部品を実装するシステムである。部品は、例えばダイシングされた基板から供給される半導体チップ(以下、単に「チップ」と称する。)である。従来は、チップと基板との接合時における接合界面へのパーティクル混入を防ぐことは難しかった。そのためチップの全面での基板との接合は難しく、ハンダバンプを用いて隙間を作ったり、パーティクルをハンダ内に取り込んだりすることにより、接合へのパーティクルの影響を低減していた。しかし、ハンダバンプを用いた方法では、ハンダバンプの大きさを小さくするのに限界があり、基板に形成された電極ピッチを50μm程度にする必要があった。これに対して、バンプを用いずに例えば接合面に形成された電極と絶縁体層とを同一面上で面接合する方法では、前述の電極ピッチを数μmまで削減できるので好ましい。このように、チップの接合される側にバンプが設けられておらず且つ接合面を基板の実装面に面接触させて接合する場合には、本実施の形態に係るチップ実装システムは特に有効である。ところで、少なくともチップの接合面を表面活性化して接合する方法においては、チップの接合面に触れることができず、また、固相で接合する方法であるため接合面にパーティクルが載るとボイドの発生原因になり得る。表面活性化接合方法では、例えばチップの接合面に存在するAuまたはCuへAr照射により活性化してから大気中で常温乃至低温で接合する。また、親水化接合方法では、チップの接合面にプラズマ処理を施すことにより親水化してから基板の実装面とチップの接合面とを互いに接触させることにより仮結合させてから加熱処理を行うことにより堅固な共有結合に変化させて接合する。例えばチップの接合面に絶縁物とCu電極とが存在する場合に、接合面をCMP研磨することにより平坦化してから面接合する場合にも好適である。そして、本実施の形態に係るチップ実装システムでは、チップの接合面に触れることなくチップをボンディング装置のヘッドまで搬送することができ且つチップの接合面および基板の実装面へのパーティクルの付着を防止できる。ここで、「基板の実装面」とは、チップが実装される面を示す。
図1に示すように、本実施の形態に係るチップ実装システム1は、チップ供給装置10とボンディング装置30と制御部90とを備える。なお、以下の説明において、適宜図1の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。チップ供給装置10は、シート保持枠112に保持されたシートTEに貼着された複数のチップCPの中から1つのチップCPを取得してボンディング装置30へ供給する部品供給装置である。ここで、シートTEとしては、例えば複数のチップCPを粘着性を有する一面側で保持する粘着シートを採用することができる。チップ供給装置10は、チップ供給部11と、チップ供給部11から供給されるチップCPを後述するボンディング装置30のヘッド33Hまで搬送する第1チップ搬送部51と、を有する。
チップ供給部11は、シート保持枠112を保持する枠保持部119と、複数のチップCPの中から1つのチップCPをピックアップするピックアップ機構111と、カバー114と、を有する部品供給部である。また、チップ供給部11は、シート保持枠112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動する保持枠駆動部113を有する。枠保持部119は、シートTEにおける複数のチップCPが貼着された面が鉛直上方(+Z方向)側となる姿勢でシート保持枠112を保持する。シート保持枠112と枠保持部119とから、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側に貼着されたシートTEを接合面CPfが第1方向側である鉛直上方側を向く姿勢で保持するシート保持部が構成されている。
ピックアップ機構111は、複数のチップCPのうちの1つのチップCPを、シートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から切り出す(突き出す)ことにより1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。ここで、ピックアップ機構111は、チップCPの接合面CPf側とは反対側における後述のヘッド33Hにより保持される第1部位である中央部とは異なる第3部位である周部を保持して、チップCPを切り出す。なお、第3部位は、第1部位と同じであってもよい。ピックアップ機構111は、ニードル111aを有し、図1の矢印AR15に示すように鉛直方向へ移動可能となっている。カバー114は、複数のチップCPの鉛直上方を覆うように配置され、ピックアップ機構111に対向する部分に孔114aが設けられている。ニードル111aは、例えば4つ存在する。但し、ニードル111aの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。ピックアップ機構111は、シートTEにおける鉛直下方(-Z方向)からニードル111aをシートTEに突き刺してチップCPを鉛直上方(+Z方向)へ持ち上げることによりチップCPを供給する。そして、シートTEに貼着された各チップCPは、ニードル111aによりカバー114の孔114aを通じて1個ずつカバー114の上方へ突き出され、第1チップ搬送部51に受け渡される。保持枠駆動部113は、シート保持枠112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動することにより、ニードル111aの鉛直下方に位置するチップCPの位置を変化させる。
第1チップ搬送部51は、チップ供給部11から供給されるチップCPを、ヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する第1部品搬送部である。第1チップ搬送部51は、本体部511と、第1部品保持部である第1チップ保持部512と、チップカバー513と、を有する。本体部511は、図1の矢印AR14に示すように、第1チップ保持部512を、予め設定された待機位置と移載位置Pos1との間で移動させる。第1チップ保持部512は、例えば図2に示すように、主片512bと、主片512bから同一方向へ延在する2つの脚片512aと、を有する。ここで、2つの脚片512aの間隔は、チップCPの平面視における最小幅よりも短くなるように設定されている。そして、第1チップ保持部512は、2つの脚片512aの間にチップCPが懸架された状態で、チップCPの第2部位である周部を保持する。図1に戻って、チップカバー513は、第1チップ保持部512に設けられ、第1チップ保持部512がチップCPを保持した状態でチップCPの接合面CPf側を覆う部品カバーである。
ボンディング装置30は、ステージ31と、ヘッド33Hを有するボンディング部33と、ヘッド33Hを駆動するヘッド駆動部36と、を有する。ヘッド33Hは、例えば図3(A)に示すようにチップツール411と、ヘッド本体部413と、チップ支持部432aと、支持部駆動部432bと、を有する。チップツール411は、例えばシリコン(Si)から形成されている。ヘッド本体部413は、チップCPをチップツール411に吸着保持させるための吸着部を有する保持機構440と、チップCPの中央部を押圧する押圧機構431と、を有する。保持機構440は、チップツール411を介してチップCPの周部を保持する。押圧機構431は、ヘッド本体部413の先端面の中央部において鉛直方向に移動可能であり、チップCPの中央部を鉛直上方へ向かって押圧する押圧部431aと、押圧部431aを駆動する押圧駆動部431bと、を有する。また、ヘッド本体部413は、チップツール411を真空吸着によりヘッド本体部413に固定するための吸着部(図示せず)も有する。押圧駆動部431bが、チップツール411にチップCPの周部が保持された状態で、押圧部431aを鉛直上方へ移動させると、チップCPの中央部が鉛直上方(+Z方向)へ押圧され、チップCPの中央部がその周部に比べて鉛直上方へ撓んだ状態となる。チップツール411は、ヘッド本体部413の保持機構440に対応する位置に形成された貫通孔411aと、押圧部431aが内側に挿入される貫通孔411bと、チップ支持部432aが内側に挿通される貫通孔411cと、を有する。
チップ支持部432aは、例えばピン状の形状を有し、ヘッド33Hの先端部に設けられ鉛直方向へ移動自在の部品支持部である。チップ支持部432aは、チップCPの接合面CPf側とは反対側における第1部位である中央部を支持する。チップ支持部432aは、例えば図3(B)に示すように、押圧部431aを囲繞するように4つ設けられている。
支持部駆動部432bは、チップ支持部432aを鉛直方向へ駆動する。支持部駆動部432bは、チップCPを保持した第1チップ保持部512が移載位置Pos1に位置し、チップ支持部432aによりチップCPの中央部を支持した状態で、チップ支持部432aを第1チップ保持部512よりも鉛直上方側へ移動させる。これにより、チップCPが、第1チップ搬送部51の第1チップ保持部512からヘッド33Hへ移載される。
図1に戻って、ヘッド駆動部36は、ボンディング部33をZ軸方向(図1の矢印AR11参照)へ駆動するとともに、ボンディング部33をZ軸方向に沿った回転軸回りに回転駆動させる(図1の矢印AR12参照)。ヘッド駆動部36は、第1チップ搬送部51から受け取ったチップCPを保持するヘッド33Hを鉛直上方(+Z方向)へ移動させることによりヘッド33Hをステージ31に近づけて基板WTの実装面WTfにチップCPを実装する。ここで、基板WTの実装面WTfとチップCPの接合面CPfとは、前述のように、プラズマ処理が施されることにより親水化されている。これにより、基板WTの実装面WTfにチップCPの接合面CPfを接触させることで、基板WTにチップCPがいわゆる親水化接合される。
ステージ31は、基板WTにおけるチップCPが実装される実装面WTfが鉛直下方(-Z方向)を向く姿勢で基板WTを保持する基板保持部である。ステージ31は、ステージ駆動部32によりX方向およびY方向へ駆動される(図1の矢印AR13参照)。これにより、ボンディング部33とステージ31との相対位置関係を変更することができ、基板WT上における各チップCPの実装位置を調整することができる。
制御部90は、例えばMPU(Micro Processing Unit)と主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスとを有し、ボンディング装置30のヘッド駆動部36、ステージ駆動部32、保持機構440および押圧機構431と、チップ供給装置10のチップ供給部11および第1チップ搬送部51を制御する。制御部90のMPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、ヘッド駆動部36、ステージ駆動部32、保持機構440、押圧機構431、チップ供給部11、第1チップ搬送部51それぞれへ制御信号を出力する。
次に、本実施の形態に係るチップ実装システム1の動作について図4乃至図7を参照しながら説明する。まず、チップ実装システム1では、図4(A)の矢印AR31に示すように、ピックアップ機構111が鉛直上方へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から突き出し、1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。次に、第1チップ搬送部51が、図4(A)の矢印AR32に示すように、ピックアップ機構111により鉛直方向へ突き出されたチップCPの側方からチップCPに近づいていく。そして、第1チップ保持部512の2つの脚片512a(図2参照)の間にピックアップ機構111のニードル111aが配置された状態となる。
続いて、図4(B)の矢印AR33に示すように、ピックアップ機構111が鉛直下方に向かって待機位置まで移動すると、図4(B)に示すように、第1チップ保持部512にチップCPが保持された状態となる。その後、第1チップ搬送部51が、図5(A)の矢印AR34に示すように、第1チップ保持部512を、チップCPをヘッド33Hへ移載する移載位置Pos1まで移動させる。そして、第1チップ保持部512が移載位置Pos1に移動された後、ヘッド駆動部36は、図5(A)の矢印AR35に示すように、ボンディング部33を鉛直上方へ移動させてヘッド33Hを第1チップ保持部512へ近づける。
次に、支持部駆動部432bは、図5(B)の矢印AR36に示すように、チップ支持部432aを鉛直上方へ移動させる。これにより、第1チップ保持部512に保持されたチップCPは、チップ支持部432aの上端部で支持された状態で、第1チップ保持部512よりも鉛直上方側に配置される。続いて、第1チップ搬送部51は、図6(A)の矢印AR37に示すように、第1チップ保持部512をチップCPの側方へ移動させる。その後、支持部駆動部432bは、図6(B)の矢印AR38に示すように、チップ支持部432aを鉛直下方へ移動させる。そして、保持機構440が、チップCPの周部をチップツール411に吸着させる。これにより、ヘッド33Hの先端部にチップCPが保持された状態となる。このようにチップCPがヘッド33Hの先端部に移載された後は、チップCPは、その接合面CPf側とは反対側における第1部位である中央部以外の部位においてもヘッド33Hに保持された状態となる。
次に、チップ実装システム1は、ステージ31を駆動するとともにボンディング部33を回転させることにより、チップCPと基板WTとの相対的な位置ずれを補正するアライメントを実行する。続いて、チップ実装システム1は、ヘッド33Hを上昇させることにより、チップCPを基板WTに実装する。このとき、ボンディング装置30は、図7の矢印AR41参照に示すように、保持機構440によりチップCPの周部をチップツール411に吸着させて保持した状態で、図7の矢印AR42に示すように押圧部431aを鉛直上方へ駆動することにより、チップCPの中央部を押圧する。これにより、チップCPは、図7の矢印AR43に示すように、その中央部がその周部に比べて基板WTの実装面WTf側へ突出するように撓んだ状態となる。そして、ヘッド駆動部36は、図7に示すようにチップCPを撓ませた状態でヘッド33Hを基板WTに近づけることにより、チップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させる。その後、ボンディング装置30は、押圧部431aを鉛直下方へ没入させつつ、ヘッド33Hを更に基板WTへ近づけることにより、基板WTとチップCPとの接触面積を広げる。そして、ヘッド駆動部36は、ヘッド33Hを基板WTの実装面WTfに近づけることにより、チップCPの周部を基板WTの実装面に接触させた後、ヘッド33Hを基板WT側に向けて押圧することにより、チップCPの接合面CPf全体を基板WTの実装面WTfに接合する。なお、ボンディング装置30は、ヘッド33Hを鉛直方向へ移動させて基板WTに予め設定された距離まで近づけた後、チップCPを撓ませることによりチップCPの中央部を基板WTの実装面WTfに接触させてもよい。この場合も、その後、ボンディング装置30が、押圧部431aを鉛直下方へ没入させつつ、ヘッド33Hを更に基板WTへ近づけることにより、基板WTとチップCPとの接触面積を広げつつ、チップCPの周部を基板WTの実装面に接触させた後、ヘッド33Hを基板WT側に向けて押圧することにより、チップCPの接合面CPf全体を基板WTの実装面WTfに接合するようにしてもよい。これにより、チップCPの接合面CPfの中央部から接合を進めることで、大気中での基板WTとチップCPとの間への空気の巻き込みに起因したボイドの発生を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るチップ実装システム1によれば、供給されたチップCPの接合面CPf側とは反対側における周部を保持する第1チップ保持部512によりチップCPが保持された状態で移載位置Pos1までチップCPが搬送される。これにより、チップCPの接合面CPfを触らずにチップCPを搬送することができるので、チップCPの接合面CPfへの異物の付着およびチップCPの接合面CPfの損傷が抑制される。また、第1チップ搬送部51が、チップCPの接合面CPfを鉛直下方に向けた状態でチップCPを搬送するので、チップCPの接合面CPfに異物(例えば、パーティクル)が載ってしまうことが抑制される。従って、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。
ところで、チップCPをバンプを介して基板WTに接合するいわゆるバンプ接合を行う場合、チップCPのバップが形成された面側におけるバンプ以外の部分をハンドリングすることが可能である。これに対して、チップCPの接合面CPfに親水化処理を施してからチップCPの接合面CPfを基板WTの実装面WTfに接触させることによりチップCPを基板WTに接合するいわゆる親水化接合を行う場合、チップCPの接合面CPf側をハンドリングすることができない。これに対して、本実施の形態に係るチップ実装システム1では、前述のように、チップCPの接合面CPfを触らずにチップCPを搬送することができるので、チップCPを基板WTへいわゆる親水化接合により接合する場合に有利である。
また、本実施の形態に係る第1チップ搬送部51は、第1チップ保持部512に保持されたチップCPの接合面CPf側を覆うチップカバー513を有する。これにより、第1チップ搬送部51によるチップCPの搬送中にチップCPの接合面CPfの異物の付着が抑制されるので、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。本実施の形態に係るカバー114は、複数のチップCPの鉛直上方を覆うように配置されている。従って、シートTEに保持された複数のチップCPそれぞれの接合面CPfへのパーティクルの付着が抑制される。
更に、本実施の形態に係るチップ実装システム1によれば、シート保持枠112と枠保持部119とが、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側に貼着されたシートTEを接合面CPfが鉛直上方側を向く姿勢で保持する。これにより、チップ供給部11は、チップCPの接合面CPfの向きを反転させる機構が不要となるので、その分、チップ供給部11の構成が簡素化されるという利点がある。
また、本実施の形態に係るヘッド33Hは、チップCPの中央部を押圧することにより、チップCPの接合面CPfの中央部が接合面CPfの周部に比べて基板WTの実装面WTf側に突出するようにチップCPを撓ませる押圧機構431を有する。これにより、チップCPと基板WTとの間への空気の巻き込みが抑制されるので、チップCPを基板WTに良好に接合できる。
更に、本実施の形態に係るチップ供給部11では、チップCPを保持するシートTEとして粘着シートを採用することができる。この場合、シートTEに外力が加わった場合でもチップCPがシートTEに対して相対的に移動しにくくなるので、シートTEに保持された隣接するチップCP同士の接触が抑制される。従って、シートTEに外力が加わった場合におけるチップCPの損傷並びにチップCPからのパーティクルの発生が抑制されるという利点がある。
また、本実施の形態に係るチップ実装システム1によれば、ステージ31が、基板WTにおけるチップCPが実装される実装面が鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する。これにより、基板WTの実装面へのパーティクルの付着を低減することができるので、チップCPと基板WTとの接合不良の発生を抑制できる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係るチップ実装システム2は、チップ供給部が、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側が貼着されたシートTEを接合面CPfが第2方向である鉛直下方側を向く姿勢で保持する点が実施の形態1と相違する。
図8に示すように、本実施の形態に係るチップ実装システム2は、チップ供給装置2010とボンディング装置30と制御部2090とを備える。なお、図8において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。チップ供給装置2010は、チップ供給部2011と、第1チップ搬送部51と、を有する。チップ供給部2011は、シート保持枠112を保持する枠保持部119と、複数のチップCPの中から1つのチップCPをピックアップするピックアップ機構2111と、第2チップ搬送部2114と、反転部2115と、を有する。また、チップ供給部2011は、シート保持枠112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動する保持枠駆動部113を有する。枠保持部119は、シートTEにおける複数のチップCPが貼着された面が鉛直下方(-Z方向)側となる姿勢でシート保持枠112を保持する。シート保持枠112と枠保持部119とから、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側に貼着されたシートTEを接合面CPfが第2方向側である鉛直下方側を向く姿勢で保持するシート保持部が構成されている。
ピックアップ機構2111は、ニードル2111aを有し、図8の矢印AR15に示すように鉛直方向へ移動可能となっている。ニードル2111aは、例えば4つ存在する。但し、ニードル2111aの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。ピックアップ機構2111は、シートTEにおける鉛直上方(+Z方向)からニードル2111aをシートTEに突き刺してチップCPを鉛直下方(-Z方向)へ切り出す(突き出す)ことによりチップCPを供給する。そして、シートTEに貼着された各チップCPは、ニードル2111aにより鉛直下方へ押し出され、第2チップ搬送部2114に受け渡される。
第2チップ搬送部2114は、第2チップ保持部2114aと、ガイドレール2114cと、第2チップ保持部2114aが固定されガイドレール2114c上を摺動するスライド体2114bと、を有する第2部品搬送部である。第2チップ保持部2114aは、ピックアップ機構2111により突き出された1つのチップCPを、その接合面CPfに非接触な状態で保持するベルヌーイチェックである第2部品保持部である。ベルヌーイチャックは、内部に負圧を発生させるとともに気体を外部へ流出させることによりチップCPとの間に気体の層が形成された状態でチップCPを非接触で保持するものである。また、第2チップ搬送部2114は、図8の矢印AR2016に示すように、スライド体2114bをガイドレール2114cに沿って移動させるためのスライド体駆動部(図示せず)を有する。第2チップ搬送部2114は、第2チップ保持部2114aがチップCPを保持した状態で、第2チップ保持部2114aを第1チップ搬送部51の受け取り位置Pos2まで搬送する。
反転部2115は、第2チップ保持部2114aに保持されたチップCPの接合面CPf側とは反対側を保持して、接合面CPfが鉛直上方を向く姿勢となるように反転させる。反転部2115は、吸着ヘッド2115aと、吸着ヘッド2115aが先端部に固定されたアーム2115bと、アーム2115bを旋回させたりまたは鉛直方向へ移動させたりするアーム駆動部2115cと、を有する。また、反転部2115は、例えば図9に示すように、チップ支持部2115gと、支持部駆動部2115iと、チップCPを吸着保持させるための吸着部2115eと、を有する。吸着ヘッド2115aにおける各チップ支持部2115gに対応する部分には、チップ支持部2115gが内側に挿通される貫通孔2115fが設けられている。各チップ支持部2115gは、例えばピン状の形状を有し鉛直方向へ移動自在である。チップ支持部2115gは、例えば4つ存在する。但し、チップ支持部2115gの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。支持部駆動部2115iは、チップ支持部2115gを鉛直方向へ駆動する。
第1チップ搬送部51は、チップ供給部2011から受け取り位置Pos2において供給されるチップCPを、ヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する。制御部2090は、実施の形態1で説明した制御部90と同様であり、チップ供給装置2010のチップ供給部2011および第1チップ搬送部51を制御する。
次に、本実施の形態に係るチップ実装システム2の動作について図10乃至図12を参照しながら説明する。まず、チップ実装システム2では、図10(A)の矢印AR51に示すように、ピックアップ機構2111が鉛直下方へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から突き出し、1つのチップCPをシートTEから離脱させて第2チップ搬送部2114へ受け渡す。このとき、第2チップ搬送部2114は、第2チップ保持部2114aにより受け渡されたチップCPを接合面CPfに非接触の状態で保持する。
次に、第2チップ搬送部2114が、図10(B)の矢印AR52に示すように、チップCPを保持した第2チップ保持部2114aを、鉛直方向において反転部2115に対向する位置まで搬送する。続いて、第2チップ保持部2114aが反転部2115に対向する位置まで搬送されると、反転部2115のアーム駆動部2115cが、図10(B)の矢印AR53に示すように、アーム2115bを鉛直下方へ移動させる。そして、吸着ヘッド2115aが、第2チップ保持部2114aに保持されたチップCPの接合面CPf側とは反対側を吸着保持する。
その後、吸着ヘッド2115aによりチップCPが吸着保持された状態で、アーム駆動部2115cが、アーム2115bを鉛直上方へ移動させる。次に、アーム駆動部2115cは、図11(A)の矢印AR54に示すように、アーム2115bを旋回させる。これにより、反転部2115は、チップCPをその接合面CPfが鉛直上方を向く姿勢で保持した状態となる。続いて、反転部2115は、吸着ヘッド2115aによるチップCPの吸着を停止させる。その後、図11(B)の矢印AR55に示すように、支持部駆動部2115iは、チップ支持部2115gを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPが吸着ヘッド2115aから鉛直上方へ突き出す。次に、第1チップ搬送部51が、図11(B)の矢印AR56に示すように、チップ支持部2115gにより鉛直上方へ突き出されたチップCPの側方からチップCPに近づいていく。そして、第1チップ保持部512の2つの脚片512a(図2参照)の間にチップ支持部2115gが配置された状態となる。
続いて、支持部駆動部2115iがチップ支持部2115gを鉛直下方に向かって待機位置まで移動させると、図12(A)に示すように、第1チップ保持部512にチップCPが保持された状態となる。その後、第1チップ搬送部51が、図12(B)の矢印AR57に示すように、第1チップ保持部512を、チップCPをヘッド33Hへ移載する移載位置Pos1まで移動させる。以降のチップ実装システム2の動作は、実施の形態1と同様である。
以上説明したように、本実施の形態に係るチップ実装システム2によれば、実施の形態1に係るチップ実装システム1と同様に、チップCPの接合面CPfを触らずにチップCPを搬送することができるので、チップCPの接合面CPfへの異物の付着およびチップCPの接合面CPfの損傷が抑制される。また、第1チップ搬送部51が、チップCPの接合面CPfを鉛直下方に向けた状態でチップCPを搬送するので、チップCPの接合面CPfに異物が載ってしまうことが抑制される。従って、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。また、本実施の形態に係るチップ実装システム2によれば、シート保持枠112と枠保持部119とが、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側に貼着されたシートTEを接合面CPfが鉛直下方側を向く姿勢で保持する。これにより、複数のチップCPがシートTEに保持された状態において、チップCPの接合面CPfへの異物の付着が抑制されるので、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。
(実施の形態3)
本実施の形態に係るチップ実装システム3は、チップ供給部が、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側が貼着されたシートTEをチップCPの接合面CPfが鉛直上方側を向く姿勢で保持する点が実施の形態1と相違する。
図13に示すように、本実施の形態に係るチップ実装システム3は、チップ供給装置3010とボンディング装置3030と制御部3090とを備える。なお、図13において、実施の形態1および実施の形態2と同様の構成については図1および図8と同一の符号を付している。チップ供給装置3010は、チップ供給部3011と、第1チップ搬送部51と、を有する。チップ供給部3011は、シート保持枠112を保持する枠保持部119と、複数のチップCPの中から1つのチップCPをピックアップするピックアップ機構3111と、第3チップ搬送部3114と、を有する。また、チップ供給部3011は、シート保持枠112をXY方向またはZ軸周りに回転する方向へ駆動する保持枠駆動部113を有する。枠保持部119は、シートTEにおける複数のチップCPが貼着された面が鉛直下方(-Z方向)側となる姿勢でシート保持枠112を保持する。シート保持枠112と枠保持部119とから、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側が貼着されたシートTEをチップCPの接合面CPfが第1方向側である鉛直上方側を向く姿勢で保持するシート保持部が構成されている。また、シートTEが粘着シートである場合、粘着シートとしては、チップCPを粘着シートから剥がした際、チップCPにおける粘着シートに貼着されていた部分に不純物が残らないような粘着シートが好ましい。
ピックアップ機構3111は、ニードル3111aを有し、図13の矢印AR3015に示すように鉛直方向へ移動可能となっている。ピックアップ機構3111は、シートTEにおける鉛直上方(+Z方向)からニードル3111aを鉛直下方(-Z方向)へ突き出してチップCPを鉛直下方(-Z方向)へ押し出すことによりチップを供給する。そして、シートTEに貼り付けられた各チップCPは、ニードル3111aにより1個ずつ下方へ突き出され、第3チップ搬送部3114に受け渡される。
第3チップ搬送部3114は、第3チップ保持部3114aと、アーム3114bと、ガイドレール3114dと、アーム3114bを旋回自在に支持しガイドレール3114d上を摺動するスライド体3114cと、を有する第3部品搬送部である。第3チップ保持部3114aは、アーム3114bの一端部に設けられ、ピックアップ機構3111により突き出された1つのチップCPを、その接合面CPf側とは反対側を吸着保持する第3部品保持部である。第3チップ保持部3114aおよびアーム3114bは、図14に示すように、チップ支持部3114gと、支持部駆動部3114iと、チップCPを吸着保持させるための吸着部3114eと、を有する。第3チップ保持部3114aには、チップ支持部3114gが内側に挿通される貫通孔3114fが設けられている。チップ支持部3114gは、例えばピン状の形状を有し鉛直方向へ移動自在である。チップ支持部3114gは、例えば4つ存在する。但し、チップ支持部3114gの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。支持部駆動部3114iは、チップ支持部3114gを鉛直方向へ駆動する。スライド体3114cは、アーム3114bにおける第3チップ保持部3114aが設けられた一端部を、アーム3114bの他端部を基点として旋回させるアーム駆動部(図示せず)を有する。また、第3チップ搬送部3114は、図13の矢印AR3016に示すように、スライド体3114cをガイドレール3114dに沿って移動させるためのスライド体駆動部(図示せず)を有する。第3チップ搬送部3114は、第3チップ保持部3114aがチップCPを保持した状態で、第3チップ保持部3114aを第1チップ搬送部51の受け取り位置Pos2まで移動させる。
第1チップ搬送部51は、チップ供給部3011から受け取り位置Pos2において供給されるチップCPを、ヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する。制御部3090は、実施の形態1で説明した制御部90と同様であり、チップ供給装置3010のチップ供給部3011および第1チップ搬送部51を制御する。
次に、本実施の形態に係るチップ実装システム3の動作について図15乃至図18を参照しながら説明する。まず、チップ実装システム3では、図15(A)の矢印AR61に示すように、ピックアップ機構3111が鉛直下方へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から切り出す(突き出す)。このとき、第3チップ搬送部3114の第3チップ保持部3114aは、突き出されたチップCPの接合面CPf側とは反対側を吸着した状態でチップCPを吸着保持する。次に、ピックアップ機構3111が待機位置へ移動した後、アーム3114bが、図15(A)の矢印AR62に示すように、第3チップ保持部3114aによりチップCPが吸着保持された状態で旋回する。
次に、第3チップ搬送部3114が、図15(B)の矢印AR63に示すように、チップCPを保持した第3チップ保持部3114aを、受け取り位置Pos2まで移動させる。続いて、第3チップ保持部3114aが受け取り位置Pos2まで搬送されると、アーム3114bが、図15(B)の矢印AR64に示すように旋回する。
その後、第3チップ搬送部3114は、第3チップ保持部3114aによるチップCPの吸着を停止させる。次に、図16(A)の矢印AR65に示すように、支持部駆動部3114iは、チップ支持部3114gを鉛直上方へ移動させることにより、チップCPを第3チップ保持部3114aの鉛直上方へ突き出す。続いて、第1チップ搬送部51が、図16(A)の矢印AR66に示すように、チップ支持部3114gにより鉛直上方へ突き出されたチップCPの側方からチップCPに近づいていく。そして、第1チップ保持部512の2つの脚片512a(図2参照)の間にチップ支持部2115gが配置された状態となる。
その後、支持部駆動部3114iがチップ支持部2115gを鉛直下方に向かって待機位置まで移動させると、図16(B)に示すように、第1チップ保持部512にチップCPが保持された状態となる。その後、第1チップ搬送部51が、図17の矢印AR67に示すように、第1チップ保持部512を、チップCPをヘッド33Hへ移載する移載位置Pos1まで移動させる。以降のチップ実装システム3の動作は、実施の形態1と同様である。
以上説明したように、本実施の形態に係るチップ実装システム3によれば、実施の形態1に係るチップ実装システム1と同様に、チップCPの接合面CPfを触らずにチップCPを搬送することができるので、チップCPの接合面CPfへの異物の付着およびチップCPの接合面CPfの損傷が抑制される。また、第1チップ搬送部51が、チップCPの接合面CPfを鉛直下方に向けた状態でチップCPを搬送するので、チップCPの接合面CPfに異物が載ってしまうことが抑制される。従って、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。また、本実施の形態に係るチップ実装システム2によれば、シート保持枠112と枠保持部119とが、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側が貼着されたシートを接合面CPfが鉛直上方側を向く姿勢で保持する。これにより、複数のチップCPがシートTEに保持された状態において、チップCPの接合面CPfへの異物の付着が抑制されるので、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図18に示すチップ実装システム4のように、チップ供給装置4010の第1チップ搬送部4051が、チップ供給部3011から供給されるチップCPの接合面CPf側を非接触で保持するベルヌーイチャックである第1チップ保持部4512を有するものであってもよい。第1チップ搬送部4051は、本体部4511と、第1チップ保持部4512と、を有する。第1チップ保持部4512は、その鉛直下方側においてチップCPを保持する。また、本体部4511は、図18の矢印AR74に示すように、第1チップ保持部4512を、予め設定された待機位置と移載位置Pos1との間で移動させる。
本変形例に係るボンディング装置4030は、ステージ31と、ヘッド4033Hを有するボンディング部4033と、ヘッド4033Hを駆動するヘッド駆動部36と、を有する。ヘッド4033Hは、例えば図19に示すようにチップツール4411と、ヘッド本体部4413と、を有する。なお、図19において実施の形態1と同様の構成については図3(A)と同一の符号を付している。図18に戻って、制御部4090は、実施の形態1で説明した制御部90と同様であり、ボンディング装置4030のヘッド駆動部36、ステージ駆動部32、保持機構440および押圧機構431と、チップ供給装置4010のチップ供給部11および第1チップ搬送部4051を制御する。
本変形例に係るチップ実装システム4では、第1チップ搬送部4051が、チップCPを保持した第1チップ保持部4512を、チップCPをヘッド33Hへ移載する移載位置Pos1まで移動させる。そして、ヘッド駆動部36が、ボンディング部4033を鉛直上方へ移動させてヘッド4033Hを第1チップ保持部4512に保持されたチップCPへ近づける。次に、ヘッド駆動部36がヘッド4033Hの先端部がチップCPの接合面CPf側とは反対側に接触する位置までヘッド4033Hを鉛直上方へ移動させる。そして、保持機構440が、チップCPの周部をチップツール411に吸着させる。これにより、ヘッド33Hの先端部にチップCPが保持された状態となる。以降のチップ実装システム4の動作は、実施の形態1と同様である。なお、本変形例に係るチップ実装システム4では、ベルヌーイチャックである第1チップ保持部4512に保持されたチップCPの姿勢が定まっていない。このため、本変形例に係るチップ実装システム4において、チップCPをヘッド4033Hへ受け渡す前にチップCPの姿勢をアライメントするアライメント機構(図示せず)を備えるものが好ましい。
本構成によれば、供給されたチップCPの接合面CPf側を非接触で保持するベルヌーイチャックである第1チップ保持部4512によりチップCPを保持した状態でヘッド4033HにチップCPを移載する移載位置Pos1までチップCPが搬送される。これにより、チップCPの接合面CPfを触らずにチップCPを搬送することができるので、チップCPの接合面CPfへの異物の付着およびチップCPの接合面CPfの損傷が抑制される。また、第1チップ搬送部51が、チップCPの接合面CPfを鉛直下方に向けた状態でチップCPを搬送するので、チップCPの接合面CPfに異物が載ってしまうことが抑制される。従って、チップCPと基板WTとの接合不良の発生が抑制される。また、ヘッド4033Hとして、実施の形態1に係るヘッド33Hが有するチップ支持部432aおよび支持部駆動部432bを有しない構成を採用することができるので、ヘッド4033Hの構成が簡素化されるという利点がある。
各実施の形態において、チップ供給部が、例えば図20(A)に示すような、トレイ6116と、吸引部6117と、を有するものであってもよい。ここで、トレイ6116は、チップCPが内側に配置される複数の凹部6116bが設けられたトレイ本体6116aと、凹部6116bの底部に突設された例えばピン状の形状を有する支持部6116cと、凹部6116bにおける底部から離間した位置に張架された粘着シートATE1と、を有する。支持部6116cは、例えば凹部6116b毎に4つずつ存在する。但し、支持部6116cの数は、凹部6116b毎に3つずつであってもよいし、凹部6116b毎に5つ以上ずつであってもよい。粘着シートATE1は、トレイ本体6116aの凹部6116bの底部側とは反対側の粘着性を有する面でチップCPを保持する。ここで、チップCPは、接合面CPfとは反対側が粘着シートATE1に貼着されていてもよいし、接合面CPf側が粘着シートATE1に貼着されていてもよい。また、トレイ本体6116aの凹部6116bの底部には、凹部6116bの底部と粘着シートATE1との間の領域S1に連通する連通孔6116dが穿設されている。吸引部6117は、真空ポンプ(図示せず)を有し、粘着シートATE1にチップCPが保持された状態で、チップCPを供給する際、トレイ6116の連通孔6116dを通じて前述の領域S1に存在する空気を吸引する。
本変形例に係るチップ供給部は、例えば図20(B)に示すように、粘着シートATE1にチップCPが保持された状態で、吸引部6117によりトレイ6116の連通孔6116dを通じて前述の領域S1に存在する空気を吸引する。これにより、粘着シートATE1とチップCPとの間の接触部分P61の面積である接触面積が減少していく。そして、本変形例に係るチップ供給部が吸引部6117により前述の領域S1に存在する空気を更に吸引すると、図20(C)に示すように、粘着シートATEとチップCPとの間の接触部分P62の面積が更に減少し、粘着シートATE1からチップが離脱する。
本構成によれば、チップCPがシートTEに貼着されていない場合であってもボンディング装置30、4030へチップCPを供給することが可能となるという利点がある。また、トレイ6116は、凹部6116bの内側においてチップCPの周部が凹部6116bの内壁に接触しない位置において粘着シートATE1に貼着されている。これにより、トレイ6116に振動が加わった場合でもチップCPが凹部6116bの内壁に接触しないので、チップCPの凹部6116bの内壁への接触に起因したチップCPからのパーティクルの発生が抑制される。
各実施の形態において、チップ供給部が、例えば図21(A)に示すような、チップ供給ヘッド7116と吸引部7117とを有するものであってもよい。チップ供給ヘッド7116は、凹部7116bが設けられたヘッド本体7116aと、凹部7116bの底部に突設された例えばピン状の形状を有する支持部7116cと、を有する。支持部7116cは、例えば4つ存在する。 但し、支持部7116cの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。また、ヘッド本体7116aの凹部7116bの底部には、凹部7116bの内側に存在する気体を吸引するための吸引孔7116dが設けられている。吸引部7117は、真空ポンプ(図示せず)を有し、吸引孔7116dを通じて凹部7116bの内側に存在する気体を吸引する。
本変形例に係るチップ供給部は、チップCPを供給する際、例えば図21(A)の矢印AR91に示すように、チップ供給ヘッド7116を、粘着シートATE2に貼着された複数のチップCPのうちの1つのチップCPに対応する部分に近づけて粘着シートATE2に接触させる。ここで、粘着シートATE2は、粘着性を有する面で複数のチップCPを保持する。また、チップCPは、接合面CPfとは反対側が粘着シートATE2に貼着されていてもよいし、接合面CPf側が粘着シートATE2に貼着されていてもよい。そして、チップ供給部は、粘着シートATE2における複数のチップCPを保持する面とは反対側の面へチップ供給ヘッド7116を近づける。
次に、チップ供給部は、図21(B)に示すように、チップ供給ヘッド7116を粘着シートATE2に接触させた状態で、吸引孔7116dを通じて凹部7116bの内側の領域S2に存在する空気を吸引する。これにより、粘着シートATE2とチップCPとの間の接触部分P72の面積が減少して、粘着シートATE2からチップCPが離脱する。
本構成によれば、粘着シートATE2を傷付けずにチップCPを供給することができるので、粘着シートATE2から発生した異物のチップCPへの付着が抑制されるという利点がある。
各実施の形態において、複数のチップCPが、例えば紫外線が照射されることにより粘着力が低下する粘着シートに保持されているものであってもよい。この場合、チップ供給部は、紫外線照射部(図示せず)を有するチップ供給ヘッドを有し、チップCPを供給する際、紫外線照射部により、粘着シートにおける供給対象のチップCPが貼着された部分に紫外線を照射するものとしてもよい。なお、前述の図20および図21を用いて説明した粘着シートATE1、ATE2として、紫外線が照射されることにより粘着力が低下する粘着シートを採用してもよい。この場合、チップ供給部は、チップCPを供給する際、吸引部6117、7117により粘着シートATE1、ATE2を吸引するとともに紫外線を照射する構成とすればよい。
各実施の形態では、ボンディング装置30において、ステージ31が、基板WTの実装面WTfが鉛直下方を向く姿勢で基板WTを保持する例について説明したが、保持された基板WTの姿勢はこれに限定されない。例えば、ステージが、基板WTの実装面WTfが鉛直上方を向く姿勢で基板WTを保持するものであってもよい。
各実施の形態において、ボンディング装置30が、吸着ポストを有するヘッドを備えたものであってもよい。例えば図22(A)に示すように、ヘッド8033Hが、チップツール8411と、ヘッド本体部8413と、吸着ポスト8432aと、吸着ポスト駆動部8432bと、を有するものであってもよい。なお、図22(A)において、各実施の形態と同様の構成については、図3(A)と同一の符号を付している。ここで、ヘッド本体部8413は、各実施の形態に係るヘッド本体413と同様に、チップCPの中央部を押圧する押圧機構431を有する。押圧機構431は、押圧部431aと、押圧部431aを駆動する押圧駆動部431bと、を有する。チップツール8411は、ヘッド本体部8413の吸着ポスト8432aに対応する位置に形成された貫通孔8411cと、押圧部431aが内側に挿入される貫通孔8411bと、を有する。
吸着ポスト8432aは、例えば内側に吸着孔8440が設けられた長尺筒状の形状を有し、ヘッド4033Hの先端部に設けられ鉛直方向へ移動自在となっている部品支持部である。吸着ポスト8432aは、例えば4つ存在する。 但し、吸着ポスト8432aの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。吸着ポスト8432aは、チップCPの接合面CPf側とは反対側を吸着した状態でチップCPを支持する。吸着ポスト駆動部8432bは、図22(B)の矢印AR8036に示すように、吸着ポスト8432aを鉛直方向へ駆動する。また、吸着ポスト駆動部8432bは、真空ポンプ(図示せず)を有し、チップCPが吸着ポスト8432aの先端部に載置された状態で吸着孔8440内を減圧することによりチップCPを吸着する。吸着ポスト駆動部8432bは、チップCPを保持した第1チップ保持部512が移載位置(例えば図1のPos1)に位置し、吸着ポスト8432aの先端部でチップCPの中央部を支持した状態で、吸着ポスト8432aを第1チップ保持部512よりも鉛直上方側へ移動させる。これにより、チップCPが、第1チップ搬送部51の第1チップ保持部512からヘッド8033Hへ移載される。なお。吸着ポストは、ピン状に限定されるものではなく、押圧機構431を囲繞するように配置された円筒状の形状を有するものであってもよい。
各実施の形態では、チップCPを保持した第1チップ保持部512が移載位置Pos1に位置した状態で、チップCPの中央部を支持するチップ支持部432aを、第1チップ保持部512よりも鉛直上方へ移動させることによりチップCPを第1チップ保持部512からヘッド33Hへ移載する例について説明した。但し、これに限らず、例えば、チップCPを保持した第1チップ保持部512が移載位置Pos1に位置し且つチップ支持部432aによりチップCPの中央部を支持した状態で、第1チップ保持部512を鉛直下方へ移動させることによりチップCPを第1チップ保持部512からヘッド33Hへ移載してもよい。
各実施の形態では、ボンディング装置30、4030が、ヘッド33Hをステージ31に向かう方向へ移動させることにより、チップCPを基板WTに実装する例について説明した。但し、これに限らず、ボンディング装置30、4030が、例えばステージ31をヘッド33Hに近づける方向へ移動させることにより、チップCPを基板WTに実装するものであってもよい。
実施の形態1において、シート保持枠112が、例えば図23(A)に示すように、粘着性を有する面で複数のチップCPを保持する粘着シートであり、複数のチップCPが貼着される領域それぞれに孔HA10が形成されたシートTE10を保持するものであってもよい。そして、図23(B)に示すように、ピックアップ機構8111が、吸着ポスト8111aと、吸着ポスト駆動部8111bと、を有するものであってもよい。吸着ポスト8111aは、例えば内側に吸着孔(図示せず)が設けられた長尺筒状の形状を有するチップ支持ピン(部品支持ピン)である。吸着ポスト8111aは、例えば4つ存在する。 但し、吸着ポスト8111aの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。吸着ポスト8111aは、チップCPの接合面CPf側とは反対側を吸着した状態でチップCPを支持するチップ支持ピンである。吸着ポスト駆動部8111bは、真空ポンプ(図示せず)を有し、チップCPが吸着ポスト8111aの先端部に載置された状態で吸着孔内を減圧することによりチップCPを吸着する。ピックアップ機構8111は、図23(B)の矢印AR10に示すように、1つのチップCPを、シートTE10における鉛直下方(-Z方向)から吸着ポスト8111aを孔HA10に挿通させることにより、チップCPをシートTE10から離脱した状態にするものであってもよい。ここで、ピックアップ機構111は、鉛直上方(+Z方向)へ移動する際、吸着ポスト8111aが孔HA10に挿通される。なお、ピックアップ機構8111が有するチップ支持ピンは、吸着ポスト8111aに限定されるものではなく、実施の形態1で説明したニードル111aであってもよい。また、本変形例に係るチップ実装システムにおいて、シート保持枠112に孔が穿孔されていない状態で保持されたシート(図示せず)に孔HA10を穿孔することにより孔HA10が形成されたシートTE10を作製する穿孔部(図示せず)を備えるものであってもよい。
本構成によれば、例えばニードル111aによりシートTEを突き破る構成に比べて、シートTE10から異物が発生する可能性が低いという利点がある。また、吸着ポスト8111aを有するピックアップ機構8111を備える構成の場合、チップCPが吸着ポスト8111aの先端部に吸着保持されるので、チップCPの位置ずれが抑制されるという利点がある。
各実施の形態において、チップ供給部が、例えば図24(A)に示すような、トレイ8516を有するものであってもよい。ここで、トレイ8516は、チップCPが内側に配置される凹部8516bが設けられたトレイ本体8516aと、凹部8516bの底部に設けられた粘着部材8517と、を有する。粘着部材8517は、例えばゲル状の粘着シートである。トレイ本体8516aの凹部8516bの底部には、トレイ本体8516bを厚さ方向に貫通する貫通孔8516cが形成されている。この貫通孔8516cは、例えば前述のピックアップ機構8111の吸着ポスト8111aが挿入可能な断面積を有する。ここで、トレイ8516は、例えばトレイ本体8516aの凹部8516b側が鉛直上方を向く姿勢で配置される。そして、ピックアップ機構8111は、図24(B)に示すように、吸着ポスト8111aをトレイ8516の鉛直下方からその貫通孔8516cに挿通してチップCPを鉛直上方へ持ち上げることにより、チップCPをトレイ8516から離脱させる(図24(B)の矢印AR85参照)。
或いは、チップ供給部が、例えば図25(A)に示すような、トレイ8616と、真空ポンプ(図示せず)を有する吸引部(図示せず)と、を有するものであってもよい。ここで、トレイ8616は、チップCPが内側に配置される凹部8616bが設けられたトレイ本体8616aと、凹部8616bの底部に突設された隔壁8618と、隔壁8618の先端部に張架された粘着シート8617と、を有する。トレイ本体8616aの凹部8616bの底部には、トレイ本体8616bを厚さ方向に貫通する貫通孔8616cが形成されている。この貫通孔8616cも、前述と同様に、例えば前述のピックアップ機構8111の吸着ポスト8111aが挿入可能な断面積を有する。隔壁8618は、凹部8616bの底部における貫通孔8616cを囲繞するように設けられている。粘着シート8617は、トレイ本体8616aの凹部8616bの底部側とは反対側の粘着性を有する面でチップCPを保持する。ここで、チップCPは、接合面CPfとは反対側が粘着シート8617に貼着されていてもよいし、接合面CPf側が粘着シート8617に貼着されていてもよい。また、トレイ本体8616aの凹部8616bの底部には、凹部8616bの底部と粘着シート8617との間の領域S86に連通する連通孔8616dが穿設されている。
ここで、トレイ8616は、例えばトレイ本体8616aの凹部8616b側が鉛直上方を向く姿勢で配置される。そして、ピックアップ機構8111は、図25(B)に示すように、吸着ポスト8111aをトレイ8616の鉛直下方からその貫通孔8616cに挿通してチップCPを鉛直上方へ持ち上げることにより、チップCPをトレイ8616から離脱させる(図25(B)の矢印AR861参照)。このとき、吸引部は、粘着シート8617にチップCPが保持された状態で、チップCPを供給する際、トレイ8616の連通孔8616dを通じて前述の領域S86に存在する空気を吸引する(図25(B)の矢印AR862)。これにより、粘着シート8617とチップCPとの間の接触部分の面積が減少するので、ピックアップ機構8111によりチップCPが鉛直上方へ持ち上げられる際、チップCPを粘着シート8617から円滑に離脱させることができる。
本構成によれば、チップCPがシートTEに貼着されていない場合であってもボンディング装置30、4030へチップCPを供給することを可能となるという利点がある。
実施の形態1において、チップCPを搬送する第1チップ搬送部が、例えば図26に示すような第1チップ搬送部(ターレットとも称する)5039であってもよい。なお、図26において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。第1チップ搬送部5039は、チップ供給部11から供給されるチップCPを、ボンディング部33のヘッド33HにチップCPを受け渡す受け渡し位置Pos1まで搬送する。第1チップ搬送部5039は、例えば2枚のプレート5391と、アーム5394と、アーム5394の先端部に設けられた第1チップ保持部5393と、プレート5391を一斉に回転駆動するプレート駆動部5392と、を有する。プレート5391は、長尺の矩形箱状であり、チップ供給部5011とヘッド33Hとの間に位置する他端部(軸AX)を基点として一端部が旋回する。なお、プレート5391の数は、2枚に限定されるものではなく、3枚以上であってもよい。アーム5394は、長尺であり、プレート5391の長手方向に沿って突出または没入する。第1チップ保持部5393は、アーム5394の先端部に設けられ、チップCPを保持する2つの脚片5393aを有する。ここで、プレート5391は、図27に示すように、アーム5394の先端部の第1チップ保持部5393を内側に収容することが可能となっている。第1チップ搬送部5039は、プレート5391を旋回させる際、図27の矢印AR508に示すように、アーム5394をプレート5391内へ没入させることにより、第1チップ保持部5393をプレート5391の内側に収納する。これにより、搬送時におけるチップCPへのパーティクルの付着が抑制される。なお、2つの脚片5393aには、吸着溝(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、チップCPが脚片5392aに吸着保持されるので、チップCPを位置ずれなく搬送することができる。また、プレート5391が旋回する際に生じる遠心力によるチップCPの飛び出しを防止するために、脚片5393aの先端部に突起(図示せず)を設けてもよい。
ここで、ピックアップ機構8111とボンディング部33のヘッド33Hとは、Z軸方向においシートレート391が回転したときにアーム5394の先端部が描く軌跡OB1と重なる位置に配置されている。チップ搬送部5039は、チップ供給装置5010内のチップ供給部5011からチップCPを受け取ると、図1の矢印AR501に示すように、中心軸AX周りの回転動作によってチップCPをボンディング装置5030内のヘッド33Hと重なる受け渡し位置Pos1まで搬送する。
チップ供給部5011は、図28に示すように、シート保持枠112を保持する枠保持部119と、ピックアップ機構111と、カバー114と、を有する。なお、図28において、実施の形態1と同一の構成については図1と同一の符号を付している。ボンディング装置5030は、ステージ31と、ヘッド33Hを有するボンディング部33と、ヘッド33Hを駆動するヘッド駆動部36と、を有する。ヘッド33Hは、チップ支持部432aと支持部駆動部432bとを有する。
また、本変形例に係るチップ実装システム5は、図26に示すように、チップ供給部11とボンディング部33との他に、チップCPを洗浄する洗浄部5037と、チップ回収部5038と、を有する。洗浄部5037は、チップCPを支持するチップステージ5036と、チップステージ5036を鉛直方向に直交し且つ互いに直交する2方向(XY方向)へ駆動するXY方向駆動部(図示せず)と、超音波またはメガソニック振動を与えた水または電極表面を還元する洗浄液を吐出する洗浄ヘッド5037aと、を有する。また、洗浄部5037は、チップステージ5036を鉛直方向に直交する面内で回転させる回転駆動部(図示せず)を有する。ここで、洗浄部5037は、まず、洗浄ヘッド5037aにより超音波を印加した水をチップCPに吹き付けながら、チップCPを支持するチップステージ5036をXY方向へスキャンさせてチップCPの接合面CPf全面を洗浄する。そして、洗浄部5037は、洗浄ヘッド5037aによる水の吐出を停止させてから、チップステージ5036を回転させることによりチップCPをスピン乾燥する。
ところで、チップCPは、矩形板状の形状を有するため、水を吹き付けながらチップCPを回転させるとチップCPのエッジ部分が損傷する虞がある。これに対して、本変形例に係る洗浄部5037は、水吐出部により超音波を印加した水をチップCPに吹き付けながら、チップCPを支持するチップステージをXY方向へ往復移動させる。これにより、チップCPのエッジ部分の損傷が抑制される。なお、洗浄部5037は、例えば水の代わりN2のような不活性ガスをチップCPに吹き付けることにより、チップCPに付着したパーティクルを除去するものであってもよい。
チップステージ5036は、洗浄部5037によるチップCPの洗浄後においてチップ保持部5393に保持されているチップCPの姿勢を調整する。これにより、チップ供給部11でのチップCPの切り出し時においてチップCPの位置ずれが生じたとしてもチップステージ5036でアライメントすることができる。従って、チップCPを位置ずれなくボンディング部33のヘッド33Hへ移載することができる。特に、ニードル111aでシートTEを押し破ってチップCPを切り出す場合は、位置ずれが生じ易いので有効である。なお、チップ供給部11の代わりにチップCPをベルヌーイチャックで搬送するチップ供給部を備える場合においても、チップCPが非接触でベルヌーイチャックに保持されているので、チップCPの位置ずれが生じやすい。従って、このチップステージ5036のように、ヘッド33Hに受け渡す直前にチップCPの姿勢を調整する機構を備えることが有効である。
チップ回収部5038は、プレート5391の軸AX(基点)から見シートレート5391の旋回方向におけるヘッド33Hの隣の位置に配置されている部品回収部である。
制御部5090は、例えばMPU(Micro Processing Unit)と主記憶部と補助記憶部とインタフェースと各部を接続するバスとを有し、ボンディング装置30のヘッド駆動部36、ステージ駆動部32、保持機構440および押圧機構431と、チップ供給装置10のチップ供給部11およびチップ搬送部5039を制御する。制御部90のMPUは、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、インタフェースを介して、ヘッド駆動部36、ステージ駆動部32、保持機構440、押圧機構431、チップ供給部11、チップ搬送部5039それぞれへ制御信号を出力する。
次に、本変形例に係るチップ実装システム5の動作について図29乃至図32を参照しながら説明する。まず、チップ実装システム5では、1つのプレート5391をチップ供給部11の方向へ向けた状態になる。次に、ピックアップ機構111が鉛直上方へ移動することにより、1つのチップCPをシートTEにおける複数のチップCP側とは反対側から突き出し、1つのチップCPをシートTEから離脱した状態にする。この状態で、チップ搬送部5039は、プレート5391からアーム5394を突出させる。このとき、第1チップ保持部5393の2つの脚片5393aの間にピックアップ機構111のニードル111aが配置された状態となる。このようにして、図29(A)および(B)に示すように、第1チップ保持部5393にチップCPが受け渡せる状態となる。この状態からピックアップ機構111を鉛直下方へ移動させると、チップCPが第1チップ保持部5393へ受け渡される。
続いて、チップ実装システム5が、プレート5391を図29(A)の矢印AR501の方向へ90度だけ旋回させると、プレート5391が、図30(A)に示す洗浄部受け渡し位置Pos10に配置される。即ち、第1チップ搬送部5039は、チップ供給部11から供給されるチップCPを保持する第1チップ保持部5393を洗浄部5037にチップCPを受け渡す洗浄部受け渡し位置Pos10まで搬送する。この状態で、第1チップ搬送部5039は、チップCPを、第1チップ保持部5393から洗浄部5037のチップステージ5036へ移載する。そして、洗浄部5037は、チップCPを支持したチップステージ5036を、図30(B)の矢印AR502に示すように、洗浄部5037の洗浄ヘッド5037aの下方へ移動させる。そして、洗浄部5037は、洗浄ヘッド5037から吐出される水によりチップCPを洗浄する。その後、洗浄部5037は、チップCPを支持したチップステージ5036を、再び洗浄部受け渡し位置Pos10まで移動させる。次に、チップステージ5036は、チップCPの姿勢を調整する。続いて、チップステージ5036から再び第1チップ保持部5393へ受け渡される。
その後、チップ実装システム5が、プレート5391を図30(A)の矢印AR501の方向へ90度だけ旋回させると、プレート5391が図31(A)に示す位置に配置される。このとき、第1チップ搬送部5039のアーム5394の先端部の第1チップ保持部5393がボンディング部33のヘッド33Hの鉛直上方の移載位置Pos1に配置される。即ち、第1チップ搬送部5039は、洗浄部受け渡し位置Pos10において受け取ったチップCPを保持する第1チップ保持部5393をヘッド33HにチップCPを移載する移載位置Pos1まで搬送する。そして、ヘッド駆動部36は、ボンディング部33を鉛直上方へ移動させてヘッド33Hを第1チップ保持部5393へ近づける。次に、支持部駆動部432bは、チップ支持部432aを鉛直上方へ移動させる。これにより、第1チップ保持部5393に保持されたチップCPは、図31(B)に示すように、チップ支持部432aの上端部で支持された状態で、第1チップ保持部5393よりも鉛直上方側に配置される。続いて、第1チップ搬送部5039は、アーム5394をプレート5391内へ没入させる。その後、支持部駆動部432bは、チップ支持部432aを鉛直下方へ移動させる。これにより、ヘッド33Hの先端部にチップCPが保持された状態となる。
次に、チップ実装システム5は、ステージ31を駆動するとともにボンディング部33を回転させることにより、チップCPと基板WTとの相対的な位置ずれを補正するアライメントを実行する。続いて、チップ実装システム5は、ヘッド33Hを上昇させることにより、チップCPを基板WTに実装する。
ここで、チップ実装システム5は、チップCPの基板WTへの接合を試みたが基板WTに接合できなかった場合、再び第1チップ搬送部5039のアーム5394の先端部の第1チップ保持部5393にそのチップCPを保持させる。その後、チップ実装システム5が、プレート5391を図31(A)の矢印AR501の方向へ90度だけ旋回させると、プレート5391が図32に示す位置に配置される。このとき、第1チップ搬送部5039のアーム5394の先端部の第1チップ保持部5393がチップ回収部5038の鉛直上方に配置される。そして、第1チップ保持部5393に保持されたチップCPが、チップ回収部5038に受け渡される。ここで、チップCPが基板WTへ接合できなかったか否かは、基板WT側の赤外透過カメラ(図示せず)によりチップCPの位置ずれを測定する際にチップCPが存在するか否かにより判定することができる。また、チップCPがヘッド33H側に残っているか否かは、ボンディング部33側の赤外透過カメラ(図示せず)でチップCPを認識できるか否かにより判定することができる。そして、ヘッド33HにチップCPが残っている場合、ボンディング装置30に設けられた回収箱(図示せず)にチップCPを排出する構成としてもよい。
なお、本変形例では、第1チップ保持部5393が、先端部にチップCPを保持する2つの脚片5393aを有するものである例について説明したが、これに限らず、たとえば先端部にベルヌーイチャックが設けられたものであってもよい。
本構成によれば、チップCPをチップ供給部11からボンディング部33へ搬送する途中で洗浄部5037においてチップCPの洗浄を行うことができるので、チップCPの接合面CPfを清浄な状態で維持し易くなる。従って、チップCPの基板WTへの接合不良が抑制される。
ところで、従来は、チップCPに切り出す前の基板の状態で洗浄するのが一般的であり、この場合、チップCPを基板から切り出す際にシートTEから生じるパーティクルのチップCPへの付着が抑制できなかった。また、チップCPをトレイで搬送する場合、トレイに収納されたチップCPが搬送中にトレイの内壁と接触することにより発生するパーティクルがチップCPに付着することもある。このため、チップCPの接合面CPf全体を基板WTに接合させることが難しく、ハンダバンプを利用してチップCPと基板WTとの間に隙間を作ったり、パーティクルをハンダ内に取り込んだりすることによりチップCPに付着したパーティクルの接合への影響を低減していた。しかしながら、ハンダバンプの大きさを小さくするには限界があるため、チップCPを接合する基板WTの電極ピッチを50μm程度まで広げる必要があった。従って、電極ピッチの挟小化を図るために、チップCPをバンプレスで基板WTに接合することが要請されている。この場合、チップ供給部11からチップCPが供給されてからチップCPを基板WTに接合までの間にパーティクル除去のためにチップCPを洗浄する必要がある。
これに対して、本構成によれば、1つのチップ実装システム5内において、チップCPの供給、チップCPの洗浄およびチップCPの基板WTへの接合までの一連の処理を行う。これにより、チップCPへのパーティクルの付着が抑制されるので、チップCPを基板WTに良好に接合することができる。
また、本構成によれば、第1チップ搬送部5039が、2つの第1チップ保持部5393を有する。これにより、チップCPの洗浄とチップCPの基板WTへの接合とを並行して実行することができるので、タクトの損失が低減されるという利点がある。
なお、前述の第1チップ搬送部5039において、第1チップ保持部5393が、ベルヌーイチャックを有するものであってもよい。
或いは、前述のチップ実装システム5において、ベルヌーイチャックである第2チップ保持部を有し、チップ供給部11から供給されるチップCPを第1チップ搬送部5039へ受け渡す第2チップ搬送部を備えるものであってもよい。この場合、第1チップ搬送部5039は、第2チップ搬送部から受け取ったチップCPをヘッド33Hを受け渡す前に、チップCPを、チップCPのアライメントを実行するアライメント部(図示せず)へ受け渡す。そして、第1チップ搬送部5039は、アライメント部でアライメントされたチップCPを受け取り、そのチップCPをヘッド33Hへ搬送する。これにより、第1チップ搬送部5039は、チップCPをアライメントされた状態でヘッド33Hへ受け渡すことができる。
また、前述のチップ実装システム5において、ヘッド33Hが、第1チップ搬送部5039からチップCPを受け取る前に、その位置をアライメントしてからチップCPを受け取るものであってもよい。特に、第1チップ搬送部5039において、第1チップ保持部5393が、ベルヌーイチャックの場合、この構成が好ましい。
各実施の形態において、チップCPを洗浄する洗浄部を備えるものであってもよい。この場合、第1チップ搬送部51、4051が、チップ供給部11、2011、3011から供給されるチップCPを保持する第1チップ保持部512、4512を洗浄部にチップCPを受け渡す洗浄部受け渡し位置まで搬送するものであってもよい。そして、第1チップ搬送部51、4051は、前述の洗浄部受け渡し位置において受け取ったチップCPを保持する第1チップ保持部512、4512をヘッド33HにチップCPを移載する移載位置まで搬送するものであってもよい。また、チップ洗浄部は、ボンディング装置30,4030内に設けられ、ヘッド33HにチップCPが載置された状態でチップCPを洗浄するものであってもよい。
各実施の形態において、チップCPがヘッド33Hに移載される前に、チップCPの接合面CPfに対しシートラズマ処理または粒子ビームを照射することによりチップCPの接合面CPfを活性化する活性化処理部(図示せず)を備えるものであってもよい。なお、チップCPの接合面CPfに金属電極と絶縁体層とが形成されている場合、プラズマ処理を行うとプラズマ中に含まれる全てのイオンが接合面CPfに衝突するので、金属電極に絶縁体のパーティクルが付着してしまう虞がある。従って、FAB(原子ビーム)またはIG(イオンガン)を用いて接合面CPfに粒子ビームを照射することにより接合面CPfを活性化するほうが、パーティクルの再付着が抑制されるので好ましい。
本構成によれば、チップCPの接合面CPfに対しシートラズマ処理または粒子ビームの照射により接合面CPfが活性化され、水分子が付着してOH基が生成され易くなるので、チップCPと基板WTとの接合強度を向上させることができる。
実施の形態1において、チップ供給部が、図33に示すように、ピックアップ機構111の鉛直方向の移動に同期して移動し、ニードル111aにより突き上げられるチップCPの鉛直上方に配置されたベルヌーイチャック8711を備えるものであってもよい。または、前述の変形例において、ピックアップ機構8111の鉛直方向の移動に同期して移動し、吸着ポスト8111aにより突き上げられるチップCPの鉛直上方に配置されたベルヌーイチャック8711を備えるものであってもよい。本構成によれば、ピックアップ機構111によるチップCPの突き上げ時におけるチップCPの飛散や位置ズレを防止することができる。また、シートTEに穴が空いていない場合、ニードル111aでシートTEを押し破ってチップCPを上方へ押し上げる必要があり、特にチップの飛散を防ぐには効果的である。
実施の形態1において、チップ供給部が、シートTEに貼着されたチップCPをベルヌーイチャックの吸着力を利用してシートTEから離脱させて、第1チップ搬送部51へ受け渡すピックアップ機構を有するものであってもよい。
実施の形態1において、チップ供給部が、チップCPの鉛直上方に配置されたベルヌーイチャックを有するものである場合、ピックアップ機構が、先端部をチップCPに当接させた状態でチップCPの接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢で支持する複数の長尺板状のチップ支持板(部品支持板)を有するものであってもよい。例えば図34(A)に示すように、ピックアップ機構9111が、2つの長尺のチップ支持板9111a1、9111a2を有するものであってもよい。ここで、ピックアップ機構9111は、2つのチップ支持板9111a1、9111a2をそれらの延伸方向に直交する方向へ移動させることにより2つのチップ支持板9111a1、9111a2を互いに近づける支持板駆動部9111gを備える。また、ピックアップ機構9111は、シートがチップ支持板9111a1、9111a2の先端部に張架された状態でチップ支持板9111a1、9111a2の間の部分を吸引する吸引部(図示せず)を有する。
また、本変形例に係るチップ供給部は、例えば図35(A)に示すように、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分を吸着する吸着部9115aを有する吸着ユニット9115を有する。ここで、ベルヌーイチャック9711は、例えばチップCPをヘッド33HにチップCPを移載する移載位置まで搬送する第1チップ搬送部が有するものである。なお、ベルヌーイチャック9711は、チップCPを第1チップ搬送部の受け取り位置まで搬送する第2チップ搬送部が有するものであってもよい。ベルヌーイチャック9711では、チップCPの水平方向の位置が規定されない。そこで、ベルヌーイチャック9711には、チップCPの位置ずれを防止するためのガイド部9711aが設けられている。ガイド部9711aは、例えばベルヌーイチャック9711にチップCPが保持された状態でベルヌーイチャック9711におけるチップCPを囲繞する部位に設けられた矩形枠状のものである。また、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPは、ピックアップ機構9111により切り出されるチップCPに相当する。更に、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPは、ピックアップ機構9111により切り出されるチップCP以外のチップCPに相当する。吸着ユニット9115は、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分を、シートTE1におけるチップCPが貼着された側とは反対側から吸着することでガイド部9711aがベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPに接触することなく、ベルヌーイチャック9711の吸引力が働く位置までチップCPを持ち上げることができる。
ここで、本変形例に係るチップ供給部の動作について図35および図36を参照しながら説明する。まず、チップ供給部は、ピックアップ機構9111によりベルヌーイチャック9711へチップCPを受け渡す際、図35(A)の矢印AR901に示すように、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分を吸着ユニット9115により吸着する。そして、ピックアップ機構9111は、チップ支持板9111a1、9111a2の先端部を、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分に押し付ける。次に、支持部駆動部9111gが、図35(B)の矢印AR903に示すように、チップ支持板9111a1、9111a2を互いに近づける方向へ移動させることにより、それらの先端部で、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を擦る。このとき、シートTE1は少し持ち上げられており、シートTE1とチップCPのシートTE1との接触面との間に角度がつくため、チップ支持板9111a1、9111a2の先端部をチップCPの外側から内側へ移動させることによりそれに追従してシートTE1がチップCPから剥がれる。続いて、ピックアップ機構9111が、図36(A)の矢印AR904に示すように、チップ支持板9111a1、9111a2の位置を元の位置に戻す。その後、吸引部が、図36(A)の矢印AR905に示すように、シートTE1におけるチップ支持板9111a1、9111a2の間の部分を吸引する。ここで、吸引部が、シートTE1におけるチップ支持板9111a1、9111a2の間の部分を吸引しつつ、ピックアップ機構9111が、チップ支持板9111a1、9111a2の位置を元の位置に戻してもよい。これにより、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPがシートTE1から剥がれ易い状態になる。次に、ピックアップ機構9111が、図36(B)の矢印AR906に示すように、チップ支持板9111a1、9111a2を鉛直上方へ移動させることにより、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を鉛直上方へ突き上げる。このとき、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分は、吸着ユニット9115により吸着されているため、突き上げられたチップCPと隣り合うチップCPがベルヌーイチャック9711に接触することが防止される。また、ベルヌーイチャック9711は、チップCPが水平な姿勢である程度ベルヌーイチャック9711の近傍まで近づいた状態でなければ、チップCPを吸引する吸引力を発生させることができない。一方、ベルヌーイチャック9711は、チップCPの水平方向の位置を規定するためにガイド9711aが必要である。これに対して、本変形例では、ベルヌーイチャック9711に吸引させるチップCPのみを水平な姿勢でガイド9711aの内側からベルヌーイチャック9711へ近づけることができる。従って、ガイド部9711aが設けられていてもチップCPをベルヌーイチャック9711に吸引させることができる。そして、突き上げられたチップCPは、ベルヌーイチャック9711へ受け渡される。即ち、ピックアップ機構9111は、チップCPの鉛直上方からのチップCPの支持を行うことなく、チップ支持板9111a1、9111a2のみにより、シートTE1におけるチップCPが貼着された部分を、チップCPの接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢となるようにして突き上げる。これにより、シートTE1におけるチップCPが貼着された部分を突き上げる際、ベルヌーイチャック9711のガイド部9711aへのチップCPの接触が抑制される。なお、吸引部によりシートTE1を吸引するタイミングは、チップ支持板9111a1、9111a2により、シートTE1におけるチップCPが貼着された部分を突き上げた後であってもよいし、チップ支持板9111a1、9111a2を互いに近づける方向へ移動させる前または移動中であってもよい。
また、ピックアップ機構は、チップCPを、その接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢で支持するための3つ以上のチップ支持ピンと、チップCPをシートから剥離させるための剥離部材である剥離用ピンと、を有するものであってもよい。例えば図34(B)に示すように、ピックアップ機構10111は、4つのチップ支持ピン10111aと、4つの剥離用ピン10111bと、を有する。ここで、ピックアップ機構10111は、4つのチップ支持ピン10111aと、4つの剥離用ピン10111bと、をそれらの延伸方向へ独立して移動させることによりピン駆動部10111gを備える。また、ピックアップ機構9111は、シートがチップ支持ピン10111aの先端部に張架された状態でチップ支持ピン10111aにより囲まれた部分を吸引する吸引部(図示せず)を有する。
ここで、本変形例に係るチップ供給部の動作について図37および図38を参照しながら説明する。なお、図37および図38において、前述の変形例と同様の構成については、図35および図36と同一の符号を付している。まず、チップ供給部は、ピックアップ機構10111によりベルヌーイチャック9711へチップCPを受け渡す際、図37(A)の矢印AR1001に示すように、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分を吸着ユニット9115により吸着する。そして、ピックアップ機構9111は、チップ支持ピン10111aの先端部を、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分に押し付ける。次に、支持部駆動部10111gが、図37(B)の矢印AR1002に示すように、剥離用ピン10111bの先端部を、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分に押し付ける。一方、支持部駆動部10111gは、図37(B)の矢印AR1003に示すように、チップ支持ピン10111aの先端部を、シートTE1から離脱させる。このとき、シートTE1におけるチップCPに貼着された部分のうち、4つの剥離用ピン10111bの先端部が当接する部分よりも外側の部分がチップCPから剥離される。続いて、ピックアップ機構10111が、図38(A)の矢印AR1004に示すように、再び、チップ支持ピン10111aの先端部を、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分に押し付ける。一方、支持部駆動部10111gは、図38(A)の矢印AR1005に示すように、剥離用ピン10111bの先端部を、シートTE1から離脱させる。その後、吸引部が、図38(A)の矢印AR1006に示すように、シートTE1におけるチップ支持板9111a1、9111a2の間の部分を吸引する。次に、ピックアップ機構10111が、図38(B)の矢印AR1007に示すように、チップ支持ピン10111aを鉛直上方へ移動させることにより、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を鉛直上方へ突き上げる。そして、突き上げられたチップCPは、ベルヌーイチャック9711へ受け渡される。即ち、ピックアップ機構10111は、チップCPの鉛直上方からのチップCPの支持を行うことなく、チップ支持ピン10111aのみにより、シートTE1におけるチップCPが貼着された部分を、チップCPの接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢となるようにして突き上げる。これにより、シートTE1におけるチップCPが貼着された部分を突き上げる際、ベルヌーイチャック9711のガイド部9711aへのチップCPの接触が抑制される。なお、吸引部によりシートTE1を吸引するタイミングは、チップ支持ピン10111aにより、シートTE1におけるチップCPが貼着された部分を突き上げた後であってもよい。
実施の形態1において、例えば図39(A)に示すように、ピックアップ機構12111が、先端部に鉤状のヘッド12111c、12111dを有する2つのチップ支持板12111a1、12111a2を有するものであってもよい。ここで、チップ支持板12111a1、12111a2は、それぞれ、長尺板状の本体部12111bと、ヘッド部12111c、12111dとを有する。また、ピックアップ機構12111は、2つのチップ支持板12111a1、12111a2をそれらの延伸方向に直交する方向へ移動させることにより2つのチップ支持板12111a1、12111a2を互いに近づける支持板駆動部12111gを備える。
ヘッド部12111c、12111dは、それぞれ、図39(B)に示すように、長尺の互いに対向する側へ突出する突出部12111e、12111fを有する。ここで、図39(C)の矢印AR1201に示すように、支持板駆動部12111gが、チップ支持板12111a1、12111a2を互いに近づく方向へ移動させると、突出部12111e、12111fのうちの一方が他方の間に嵌入した状態となる。なお、ヘッド部12111c、12111dの形状は、図39(A)乃至(C)に示す形状に限定されるものではなく、ヘッド部12111c、12111dの一方の一部が他方の一部に嵌合する形状であれば他の形状であってもよい。
本変形例に係るピックアップ機構12111は、図40(A)に示すように、チップ支持板12111a1、12111a2の先端部のヘッド部12111c、12111dを、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分に押し付ける。そして、支持部駆動部12111gが、図40(A)の矢印AR1201に示すように、チップ支持板12111a1、12111a2を互いに近づける方向へ移動させることにより、ヘッド部12111c、12111dで、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を擦る。ここで、支持部駆動部12111gは、図40(B)に示すように、Y軸方向から見てヘッド部12111c、12111d同士が互いに重なった状態になるまで、チップ支持板12111a1、12111a2を移動させる。これにより、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPがシートTE1から剥がれ易い状態になる。そして、ピックアップ機構12111は、チップ支持板12111a1、12111a2の位置を元の位置に戻した後、チップ支持板12111a1、12111a2を鉛直上方へ移動させる。これにより、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分が鉛直上方へ突き上げられ、突き上げられたチップCPが、ベルヌーイチャック9711へ受け渡される。
また、チップ供給部は、例えば図41(A)に示すように、チップ支持ピン13111hとともに、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を擦ってチップCPをシートTE1から剥離させるための剥離部材13111a1、13111a2と、剥離部材駆動部13111gと、を有するピックアップ機構13111を備えるものであってもよい。チップ支持ピン13111hは、例えば4つ設けられている。なお、チップ支持ピン13111hの数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。チップ支持ピン13111hは、チップCPをその接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢で支持する。剥離部材13111a1、13111a2は、前述のチップ支持板12111a1、12111a2と同様の構成であり、長尺板状の本体部13111bと先端部のヘッド部13111c、13111dとを有する。なお、ヘッド部13111c、13111dの形状は、図41(A)に示す形状に限定されるものではなく、ヘッド部13111c、13111dの一方の一部が他方の一部に嵌合する形状であれば他の形状であってもよい。
ここで、本変形例に係るチップ供給部の動作について図41および図42を参照しながら説明する。まず、ピックアップ機構13111が、図41(A)の矢印AR1302に示すように、剥離部材13111a1、13111a2のヘッド部13111c、13111dを、待機位置からシートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分へ近づける。次に、ピックアップ機構13111が、ヘッド部13111c、13111dをシートTE1に押し付けた状態で、図41(B)の矢印AR1303に示すように、剥離部材13111a1、13111a2を互いに近づける方向へ移動させることにより、ヘッド部13111c、13111dで、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を擦る。なお、図41(B)の状態において、チップ支持ピン13111hの先端部がシートTE1の近傍に配置されていてもよい。これにより、チップCPの姿勢を安定させることができる。続いて、ピックアップ機構13111は、図42(A)に示すように、剥離部材13111a1、13111a2の位置を待機位置に戻す。その後、チップ供給部は、図42(A)の矢印AR1304に示すように、チップ支持ピン13111hを鉛直上方へ移動させることにより、チップ支持ピン13111hの先端部をシートTE1に接触させる。その後、チップ供給部は、図42(B)の矢印AR1305に示すように、チップ支持ピン13111hにより、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を鉛直上方へ突き上げる。そして、突き上げられたチップCPは、ベルヌーイチャック9711へ移載される。このとき、チップ供給部は、図42(B)の矢印AR1306に示すように、剥離部材13111a1、13111a2を鉛直下方へ移動させることにより待機位置に戻す。
本構成によれば、ピックアップ機構9111、12111が、チップ支持板9111a1、9111a2、12111a1、12111a2により、チップCPをその接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢で支持する。また、ピックアップ機構10111、13111が、チップ支持ピン10111a、13111hにより、チップCPをその接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢で支持する。これにより、ピックアップ機構9111、10111、12111、13111は、チップCPを、その接合面CPfが鉛直方向に直交する面に水平な姿勢を維持した状態でベルヌーイチャック9711へ移載することができる。従って、ピックアップ機構9111、10111、12111、13111がチップCPをベルヌーイチャック9711へ移載する際に、チップCPの姿勢の傾きに起因してベルヌーイチャック9711のハンドリングミスが発生することが抑制される。
また、本構成によれば、ピックアップ機構9111が、ベルヌーイチャック9711へチップCPを移載する際、チップ支持板9111a1、9111a2、12111a1、12111a2の先端部でシートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を擦る。また、ピックアップ機構10111は、ベルヌーイチャック9711へチップCPを移載する際、剥離用ピン10111bの先端部を、シートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分に押し付ける。更に、ピックアップ機構13111は、ベルヌーイチャック9711へチップCPを移載する際、剥離部材13111a1、13111a2のヘッド部13111c、13111dでシートTE1におけるベルヌーイチャック9711に対向するチップCPが貼着された部分を擦る。これにより、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPがシートTE1から剥がれ易い状態になるので、シートTE1からベルヌーイチャック9711へチップCPが円滑に移載されるという利点がある。
また、前述の変形例において、ベルヌーイチャック9711に矩形枠状のガイド9711aが設けられている例について説明したが、ガイド部の形状はこれに限定されるものではない。例えば図43(A)に示すように、ガイド部12711aが、ベルヌーイチャック9711にチップCPが保持された状態でベルヌーイチャック9711におけるチップCPの2つの角部を囲む部分に設けられた平面視L字状のものであってもよい。或いは、図43(B)に示すように、ガイド部13711aが、ベルヌーイチャック9711にチップCPが保持された状態でベルヌーイチャック9711におけるチップCPを囲繞する部位の複数箇所に設けられたピン状のものであってもよい。
また、前述の図26乃至図32を用いて説明した変形例に係るチップ実装システム5において、第1チップ搬送部5039とともに、チップ供給部5011から供給されるチップCPを第1チップ供給部5039の第1チップ保持部5393へ移載する位置までチップCPを搬送する第2チップ搬送部(図示せず)を備えるものであってもよい。この場合、第1チップ搬送部5039のプレート5391、アーム5394の長さを短縮できるので、第1チップ搬送部5039を小型化することができる。
実施の形態1において、チップ供給部が、前述のピックアップ機構9111,10111,12111,13111を備えるものであってもよい。この場合、ピックアップ機構9111,10111,12111,13111は、チップCPを第1チップ保持部512へ移載する際、チップ支持ピン10111a、13111hの先端部またはチップ支持板9111a1、9111a2、12111a1、12111a2の先端部が第1チップ保持部512よりも鉛直上方に配置されるまで、チップ支持ピン10111a、13111hまたはチップ支持板9111a1、9111a2、12111a1、12111a2を移動させるものであってもよい。例えばチップCPにおける、チップ支持ピン10111a、13111hの外側のシートTE1が剥離された部分を、第1チップ保持部512で保持すればよい。
各実施の形態のチップ供給部において、チップCPを上方へ切り出す構成であってもよいしチップCPを下方へ切り出す構成であってもよい。
実施の形態2において、チップ供給部が、複数のチップCPそれぞれの接合面CPf側とは反対側が貼着されたシートTEを接合面CPfが鉛直上方側を向く姿勢で保持するものであってもよい。この場合、第2チップ搬送部は、ベルヌーイチャックである第2チップ保持部により、ピックアップ機構により切り出された1つのチップCPを、その接合面CPfに非接触な状態で保持して反転せずにそのまま第1チップ搬送部へ受け渡すものであってもよい。ここで、第1チップ搬送部は、例えば図26および図27を用いて説明した変形例に係るターレットである第1チップ搬送部5039であってもよい。
各実施の形態並びに図26乃至図43を用いて説明した各変形例において、チップCPの周部に鉛直下方側から掛止された状態とチップCPから離脱した状態とをとりうる複数のフックを有する第1チップ搬送部を備えるものであってもよい。本変形例に係る第1チップ搬送部は、例えば図44に示すように、搬送部本体16511と、搬送部本体16511に固定されたベルヌーイチャック16711と、矢印AR1604に示すように搬送部本体16511を鉛直方向へ駆動する本体駆動部(図示せず)と、を有する。なお、図44において、実施の形態1と同様の構成については図1と同一の符号を付している。ベルヌーイチャック16711には、チップCPの位置ずれを防止するためのガイド部16711aが設けられている。また、第1チップ搬送部は、先端部にフック16514aが設けられた2つのアーム16514と、搬送部本体16511に固定され2つのアーム16514をそれぞれ回転自在に支持する支持部16515と、を有する。更に、第1チップ搬送部は、先端部にフック16514aが設けられた2つのアーム16514と、搬送部本体16511に固定され2つのアーム16514をそれぞれ回転自在に支持する支持部16515と、を有する。また、第1チップ搬送部は、2つのアーム16514それぞれの基端部に穿設された長孔16514bに挿通されたピン16516が先端部に設けられた移動部材16517と、移動部材16517を鉛直方向へ駆動するフック駆動部16518と、を有する。
また、本変形例に係るチップ供給部は、シートTE1におけるベルヌーイチャック16711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分を吸着する吸着部16115aを有する吸着ユニット16115を有する。また、ベルヌーイチャック9711に対向するチップCPは、ピックアップ機構111により切り出されるチップCPに相当する。更に、ベルヌーイチャック16711に対向するチップCPと隣り合うチップCPは、ピックアップ機構111により切り出されるチップCP以外のチップCPに相当する。吸着ユニット16115は、矢印1605に示すように、シートTE1におけるベルヌーイチャック16711に対向するチップCPと隣り合うチップCPが貼着された部分を、シートTE1におけるチップCPが貼着された側とは反対側から吸着する。
フック駆動部16158は、矢印AR1602に示すように、移動部材16517を鉛直方向へ移動させて、矢印AR1603に示すように、アーム16514を、ピン16516を基点として回転させることによりフック16514aを移動させる。フック駆動部16158は、ピックアップ機構111が矢印AR1601に示すように複数のチップCPの中から1つのチップCPを切り出す際、アーム16514を回転させてフック16514aをチップCPの鉛直下方側の周部に鉛直下方側から掛止させる。このとき、アーム16514のフック16514aは、チップCPのシートTE1側の面とシートTE1との間に差し込まれる。これにより、チップCPが鉛直上方に持ち上げられた状態で、シートTE1がチップCPの周部に貼り付いている場合でも、フック16514aにより、シートTE1がチップCPの周部から剥離される。そして、フック駆動部16158は、チップCPがベルヌーイチャック16711に保持されるとアーム16514を回転させてフック16514aをチップCPから離脱させる。
本構成によれば、例えばシートTE1の粘着力が比較的強くても、シートTE1をチップCPの周部から剥離することができるので、ベルヌーイチャック16711によるチップCPのチャックミスの発生が抑制される。また、本構成によれば、チップCPの鉛直上方にベルヌーイチャック16711が配置された状態で、フック16514aをチップCPの鉛直下方側の周部に鉛直下方側から掛止させる。これにより、例えばチップCPを切り出す際、チップCPが鉛直上方へ飛び跳ねた場合であっても、ベルヌーイチャック16711で受け止めることができるので、チップCPの飛散が抑制されるという利点もある。
本変形例では、第1チップ搬送部である例について説明したが、これに限定されるものではなく、前述と同様の構成を有しチップCPを第1チップ搬送部まで搬送する第2チップ搬送部であってもよい。また、本変形例において、ベルヌーイチャック16711が無い構成であってもよい。この場合、第1チップ搬送部は、複数のフック16514aによりチップCPを保持した状態でチップCPを搬送するようにすればよい。
ところで、本変形例のようにベルヌーイチャック16711にガイド部16711aが設けられている場合、ピックアップ機構111は、ベルヌーイチャック16711をチップCPが貼着されたシートTE1に近づけたときに、切り出す対象のチップCPと隣り合うチップCPにガイド部16711aが接触しない程度の高さまでチップCPを持ち上げる必要がある。このとき、シートTE1をベルヌーイチャック16711に近づく方向へ突出させて伸ばすことになるので、隣り合うチップCP同士の間隔は、シートTE1を突出させたときに切り出す対象のチップCPと隣り合うチップCPがベルヌーイチャック16711に接近しない程度の長さに設定されていることが好ましい。また、チップCPの鉛直下方側の周部にフック16514aを挿入する場合も、隣り合うチップCP同士の間隔が広いほうが有利である。
また、シートTE1としては、伸長させたときに隣り合うチップCP同士の間隔が広がり易いものを使用するのが好ましい。また、シートTE1上において、隣り合うチップCP同士の間隔が広がるようにチップCPを再配置するようにしてもよい。或いは、チップ供給部が、ピックアップ機構111によりチップCPを鉛直上方へ持ち上げて切り出す際、シートTE1の鉛直下方からシートTE1を加熱してシートTE1を伸びやすくする加熱部を備えるものであってもよい。ここで、加熱部は、例えばヒータ、熱風を吐出する機構を有するものとすればよい。更に、チップ供給部は、赤外光または紫外光をシートTE1に照射することによりシートTE1を伸び易くする光源を有するものであってもよい。
実施の形態2において、第2チップ搬送部2114の第2チップ保持部2114aが、例えば図45に示すような、非接触チェック17711であってもよい。非接触チャック17711は、チャック本体17712と、負圧発生部17713と、超音波発生部17714と、超音波発生部17714を支持する支持部材17715と、を備える。チャック本体17712は、その内部に保持するチップCP側(-Z方向側)に連通する流路17712aが形成されている。負圧発生部17713は、チャック本体17712の流路17712a内に8kPa乃至40kPaの負圧を発生させることにより、チップCPを吸引する。超音波発生部17714は、チャック本体17112を数MHzの高周波数で振動させることにより、チャック本体17712とチップCPとの間に超音波を発生させてそこに存在する気体を圧縮拡散させる。これにより、チャック本体17112の-Z方向側に薄い気体の膜、即ち、スクイーズド膜が形成される。そして、チップCPは、チャック本体17712の-Z方向側において、このスクイーズド膜上に浮かんだ状態が維持される。つまり、非接触チャック17711は、負圧発生器17713によるチップCPの吸引力と超音波発生部17714により発生される超音波による反発力とを組み合わせて使用することにより、チップCPを非接触で保持する。
なお、本変形例では、第2チップ搬送部の第2チップ保持部が、図45に示す非接触チャックである例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図18を用いて説明した第1チップ搬送部4051の第1チップ保持部4512が、図45に示す非接触チャックであってもよい。
ところで、前述のベルヌーイチャックの場合、ベルヌーイチャックからの排気流量が比較的大きい。このため、例えば基板WTまたはチップCPに付着したパーティクルを除去するためにボンディング装置30、4030内またはチップ供給装置2010、4010内に気流を発生させている場合、その気流の流れに影響が生じてしまう虞がある。また、チップCPに載っているパーティクルを飛散させてしまう。
これに対して、本構成によれば、非接触チャック17711からの排気が無いので、ボンディング装置30、4030内またはチップ供給装置2010、4010内に発生させる気流の流れへの影響を無くすことができる。また、本構成によれば、負圧発生部17713によりチャック本体17712にチップCPを吸引させていることにより、チップCPの位置ずれの発生が抑制される。従って、チップCPをボンディング装置30、4030のヘッド33H、4033Hへ移載する前にチップCPの姿勢を調整する必要が無くなるという利点がある。また、チップCPに付着しているパーティクルが吸引され、チップCPに付着しているパーティクルが除去される。また、本構成に係る非接触チャック17111は、ベルヌーイチャックに比べて吸着力が高いという利点もある。
各実施の形態において、シートからのチップCPの切り出し方法は、ニードルで付き上げる方法、凹凸面を吸着して接触面積を減らす方法、チップCPの接合面CPfとは反対側の面を板状の部材で擦ることで剥がす方法、紫外光を照射してシートの粘着力を低下させる方法、シートを加熱してシートの粘着力を低下させる方法、またはその他いかなる方法であってもよい。また、シートからチップCPを切り出す方法に限らず、トレイ上に載置されたチップを切り出す方法でも、前述の各方法は有効である。また、シートとしては、シートにおけるチップCPが貼着される側の粘着性を有する面に、紫外線が照射されると発泡して粘着力が低下する粘着材料が塗布されたものを使用してもよい。更に、シートに紫外線を照射してシートの粘着力を低下させる場合、ピックアップ機構が、シートに貼着された複数の部品から、少なくとも1つの部品を切り出す際、シートに紫外線を照射する紫外線照射部を有するものであってもよい。また、ピックアップ機構は、紫外線に対して透明なガラスツール(図示せず)を有し、ガラスツールによりシートにおけるチップCPが貼着された部分を押し上げた状態で、紫外線照射部が紫外線をガラスツール内に入射するものであってもよい。この場合、ガラスツール内を伝播してガラスツールのシート側から放射される紫外線がシートに照射され、シートの粘着力が低下する。なお、ピックアップ機構が、シートTEにおけるチップCPが貼着された部分に紫外線を照射した後に、当該部分をニードルで突き上げたり、或いは、剥離部材により当該部分を擦ったりすることにより、チップCPを切り出すようにしてもよい。また、ピックアップ機構が、シートTEにおけるチップCPが貼着された部分に紫外線を照射した後に、第1チップ搬送部または第2チップ搬送部が、当該部分に貼着されたチップCPを第1チップ保持部または第2チップ保持部で保持してピックアップするようにしてもよい。
つまり、シートTEにおけるチップCPが貼着された部分に紫外線を照射することにより、チップCPをシートTEから剥がし易くしてから、ピックアップ機構のニードルで突き上げたり剥離部材によりシートTEを擦ったりすることによりチップCPを切り出すようにしてもよい。また、シートTEにおけるチップCPが貼着された部分に紫外線を照射してチップCPがシートTEから剥がれ易い状態にしてから、そのまま第1チップ搬送部または第2チップ搬送部によりピックアップしてもよい。更に、シートTEにおけるチップCPが貼着された部分を、紫外線に対して透明なガラスツールで押し上げながら、当該部分にガラスツールを通して紫外線を照射してチップCPを剥がすようにしてもよい。また、シートTEのチップCPが貼着される側に紫外線が照射されると発砲する材料が塗布されたものを使用し、シートTEに紫外線を照射してチップCPがシートTEから剥がれ易くするようにしてから、そのまま第1チップ搬送部または第2チップ搬送部によりピックアップしてもよい。
また、前述の変形例において、シートTE1に孔を開けるタイミングは、シートTE1をチップ実装システムに投入する前でなくてもよい。例えば、前述の剥離用ピン10111bをシートTE1に接触させたタイミングまたは剥離部材13111a1、13111a2を内側へ寄せたタイミングで、シートTE1における剥離用ピン10111bまたは剥離部材13111a1、13111a2の外側のチップ支持ピン10111a、13111hが接触する位置に孔を開けてもよい。また、ピックアップ機構とは別の位置またはチップ供給装置10とは別の装置で同様にしてシートTE1におけるチップCPの外周部を剥がしつつシートTE1に孔を開ける構成であってもよい。
ところで、実施の形態1のように、シートTE1に孔が形成されていない場合において、ニードル111aがシートTE1を貫通する場合、ニードルの先端部にシートTE1に含まれる粘着材料が付着し、それがチップCPに付着する場合がある。この場合、チップCPの搬送時においてその粘着材料が、ヘッド33H、第1チップ保持部等に付着したりチップ実装システム内で落下してゴミになったりするため問題である。そのため、実施の形態1において、ヘッド33H、第1チップ保持部等において、ニードル111aの接触位置に対応する部分に凹部を設けることにより、チップCPにおけるニードル111aの先端部が接触した部分にヘッド33H、第1チップ保持部、各ステージ等が接触しないようにすることが好ましい。
前述の変形例において、洗浄部5037が、チップステージ5036におけるチップCPが載置される部分に水や窒素、大気などのガスを吐出する吐出孔(図示せず)が設けられている構成であってもよい。この場合、洗浄部が、洗浄部に搬送されてきたチップCPの裏面を吐出孔から吐出される水や窒素、大気などのガスにより洗浄するようにしてもよい。
各実施の形態において、ヘッド33Hが、その中央部から吸着ポストを突出させてチップCPをヘッド33Hへ移載する構成であって、吸着ポストの内側にチップCPを基板WTに接合時する際にチップCPの中央部を押圧する押圧機構を内蔵するものであってもよい。そうすることでポストピンとセンタープッシュ機構の両方が成立して好ましい。
なお、前述の実施の形態および変形例において、「切り出し」とは、ニードルにより突き出すことによりチップCPを供給すること、粘着シートを吸引することによりチップCPを供給すること、紫外線を照射することによりチップCPを供給することを含む。