JP7515078B1 - ピックアップシステムおよびピックアップ方法 - Google Patents

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Abstract

ピックアップシステム(100)は、ピックアップノズル(14a)と、ピックアップノズル(14a)の開口(14b)周辺に負圧を発生させる負圧発生部(153)と、開口(14b)周辺から超音波を発生させる超音波発生部(152)と、制御部(101)とを備える。制御部(101)は、ピックアップノズル(14a)の開口(14b)からチップ(6a)までの距離が、ピックアップノズル(14a)の昇降によって、予め規定された規定距離となるときに、超音波発生部(152)による超音波の発生を開始させ、開口(14b)周辺の負圧による吸引力と、開口(14b)周辺の超音波による斥力とを用いて、ピックアップノズル(14a)にチップ(6a)を非接触で保持させ、上述の規定距離は、超音波発生部(152)によって発生する超音波の周波数に応じて規定される距離である。

Description

本開示は、部品をピックアップするシステムなどに関する。
半導体パッケージの高機能化のために、バンプ、接合材料などを用いないハイブリッドボンディングが必要とされている。ハイブリッドボンディングでは、半導体チップの表面が清浄にされた状態で、水素結合などを利用してその半導体チップが基板などに接合される。そのため、ハイブリッドボンディングでは、粘着シートであるダイシングテープから半導体チップをピックアップしてから、その半導体チップを接合するまでの間、半導体チップの表面の清浄度を高く保つ必要がある。
また、従来、バキューム方式のピックアップノズルを用いたピックアップ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このピックアップ装置では、半導体チップをピックアップする場合、半導体チップの表面に、金属製のピックアップノズルが接触する。その接触によって、半導体チップの表面が汚染されたり、傷つけられる可能性がある。その結果、半導体チップを基板に正常に接合することができないという課題がある。そこで、ピックアップノズルが半導体チップを非接触でピックアップする技術が必要とされている。
特開2018-63967号公報
しかしながら、上記特許文献1のピックアップ装置においてピックアップノズルが半導体チップを非接触で保持する場合であっても、半導体チップである部品を適切にピックアップすることが難しい場合があるという課題がある。
そこで、本開示は、部品を適切にピックアップすることができるピックアップシステムを提供する。
本開示の一態様に係るピックアップシステムは、開口を有する昇降自在の保持ツールと、前記保持ツールの前記開口周辺に負圧を発生させる負圧発生部と、前記開口周辺から超音波を発生させる超音波発生部と、前記負圧発生部および前記超音波発生部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記保持ツールの前記開口から、粘着シート上に貼着されている部品までの距離が、前記保持ツールの昇降によって、予め規定された規定距離となるときに、前記超音波発生部による超音波の発生を開始させ、前記開口周辺の負圧による吸引力と、前記開口周辺の超音波による斥力とを用いて、前記保持ツールに前記部品を非接触で保持させ、前記規定距離は、前記超音波発生部によって発生する超音波の周波数に応じて規定される距離である。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
本開示のピックアップシステムは、部品を適切にピックアップすることができる。
なお、本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された構成によって提供されるが、必ずしも全ての構成が必要とはされない。
図1は、実施の形態1における部品実装装置の斜視図である。 図2は、実施の形態1における部品実装装置がチップを基板に実装する動作を説明するための図である。 図3は、実施の形態1におけるピックアップシステムの構成の一例を示す図である。 図4は、実施の形態1におけるピックアップノズルがチップをピックアップする基本的な動作の一例を説明するための図である。 図5は、粘着シートに貼着されているチップの位置がずれる場合の一例を示す図である。 図6は、実施の形態1における、超音波の発生開始のタイミングの一例を示す図である。 図7は、実施の形態1における制御部による処理動作の一例を示すフローチャートである。 図8は、実施の形態2における部品実装装置の構成例と、部品実装装置がチップを基板に実装する動作の一例とを示す図である。 図9は、実施の形態2におけるピックアップシステムの構成の一例を示す図である。 図10は、実施の形態2における、エラーチップの回収の一例を示す図である。 図11は、実施の形態2における制御部による処理動作の一例を示すフローチャートである。 図12は、実施の形態2における、エラーチップの回収の他の例を示す図である。 図13は、チップの突き上げの一例を示す図である。 図14は、チップの突き上げの他の例を示す図である。 図15は、突き上げピンの形状の一例を示す図である。 図16は、チップの突き上げの他の例を示す図である。
本開示の第1態様に係るピックアップシステムは、開口を有する昇降自在の保持ツールと、前記保持ツールの前記開口周辺に負圧を発生させる負圧発生部と、前記開口周辺から超音波を発生させる超音波発生部と、前記負圧発生部および前記超音波発生部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記保持ツールの前記開口から、粘着シート上に貼着されている部品までの距離が、前記保持ツールの昇降によって、予め規定された規定距離となるときに、前記超音波発生部による超音波の発生を開始させ、前記開口周辺の負圧による吸引力と、前記開口周辺の超音波による斥力とを用いて、前記保持ツールに前記部品を非接触で保持させ、前記規定距離は、前記超音波発生部によって発生する超音波の周波数に応じて規定される距離である。なお、保持ツールは、例えばピックアップノズルである。
これにより、保持ツールの開口から部品までの距離が規定距離となるときに、超音波の発生が開始され、その規定距離は超音波の周波数に応じて規定される距離である。ここで、その超音波が定常波となるときには、超音波の周波数によって、超音波を伝達する媒体となる空気において振動が大きい位置と、振動が小さい位置とが定まる。したがって、保持ツールの開口から部品までの距離が規定距離となるときに、超音波の発生が開始されることによって、その超音波の発生開始の時点において、部品の位置での超音波による空気の振動を小さくすることができる。その結果、空気の振動によって部品が粘着シートからずれることを抑制し、保持ツールにその部品を適切に保持させることができる。
また、本開示の第1態様に従属する第2態様では、前記規定距離は、前記保持ツールの前記開口から、前記超音波発生部によって発生する超音波における腹以外の部位までの距離であってもよい。
これにより、規定距離が、保持ツールの開口から超音波における腹以外の部位までの距離であるため、部品の位置には、超音波における腹以外の部位(例えば、節)が現れる。ここで、超音波における腹では、空気の振動が大きく、腹以外の部位では、空気の振動が小さい。したがって、超音波の発生開始の時点において、部品の位置での超音波による空気の振動を効果的に小さくすることができる。その結果、部品が粘着シートからずれることを高い確度で抑制し、保持ツールにその部品をより適切に保持させることができる。
また、本開示の第1態様または第2態様に従属する第3態様では、前記制御部は、前記負圧発生部による負圧の発生を抑制させた状態で、前記超音波発生部によって発生する超音波の振動を制御することにより、前記保持ツールに保持されている前記部品を前記保持ツールから離してもよい。
これにより、負圧の発生が抑制されるため、保持ツールが部品を吸引する吸引力を弱めることができ、さらに、超音波の振動を制御することによって、保持ツールと部品との間の斥力を強めることができる。その結果、保持ツールから部品を効果的に離すことができる。また、保持ツールから部品を離すために、保持ツールの開口からエアを吐出することが考えられるが、そのエアの吐出が行われると、保持ツール周辺のダストが舞い上がる可能性がある。そして、その舞い上がったダストが、基板に実装されるために準備されている他の部品に付着すると、そのダストが部品と基板との接合部位に入り込み、接合不良を引き起こす可能性もある。しかし、上述の第3態様では、エアの吐出が行われないため、ダストの舞い上がりを抑制することができる。
また、本開示の第3態様に従属する第4態様では、前記制御部は、前記負圧発生部による負圧の発生を抑制させた後、前記超音波発生部によって発生する超音波の振動数を増大させることにより、前記部品を前記保持ツールから離してもよい。
これにより、超音波の振動数が増大されるため、保持ツールと部品との間の斥力を適切に強めることができる。その結果、保持ツールから部品をさらに効果的に離すことができる。
また、本開示の第4態様に従属する第5態様では、前記制御部は、前記負圧発生部による負圧の発生を抑制させてから所定時間経過後に、前記部品が前記保持ツールから落下していなければ、前記超音波発生部によって発生する超音波の振動数を増大させてもよい。
これにより、所定時間内に部品が落下すれば、超音波の振動数が増大されないため、超音波の振動数が不必要に増大されることを抑えることができる。その結果、処理動作の負担を抑えることができる。また、超音波の振動数が増大される場合には、エアの吐出よりも僅かではあるが、ダストが舞い上がる可能性がある。しかし、その超音波の振動数の増大が抑えられるため、ダストの舞い上がりをさらに抑制することができる。
また、本開示の第1態様から第5態様の何れか1つに従属する第6態様では、前記ピックアップシステムは、さらに、前記粘着シート上に貼着されている前記部品を、前記粘着シートを介して下方から上方に向けて突き上げる突き上げ部を有し、前記制御部は、前記突き上げ部をさらに制御してもよい。
これにより、突き上げ部による突き上げによって、部品の粘着シートからの剥離を促進することができ、負圧による吸引力と超音波による斥力とを弱めることができる。その結果、部品を効率的に保持することができる。
また、本開示の第6態様に従属する第7態様では、前記制御部は、前記部品が前記突き上げ部によって突き上げられているときに、前記超音波発生部による超音波の発生を開始させてもよい。
これにより、突き上げによる剥離の促進によって、部品が粘着シートからずれ易くなっている場合であっても、保持ツールの開口から部品までの距離が規定距離となるときに、超音波の発生が開始されるため、部品のずれを抑えることができる。その結果、部品をさらに効率的に保持することができる。
また、本開示の第6態様または第7態様に従属する第8態様では、前記突き上げ部は、複数の突き上げピンを備え、前記制御部は、前記突き上げ部を制御することによって、前記複数の突き上げピンに前記部品を突き上げさせた後に、前記複数の突き上げピンのうちの1本の突き上げピンのみに前記部品をさらに突き上げさせてもよい。
これにより、部品が1本の突き上げピンのみに突き上げられるため、その突き上げピンの先端を支点にして部品の傾きを調整し易くすることができる。その結果、部品と保持ツールとの互いに対向する面を平行にすることができ、保持ツールにその部品を適切に保持させることができる。
また、本開示の第1態様から第8態様の何れか1つに従属する第9態様では、前記制御部は、電気機器を制御することによって、前記保持ツールの前記開口と、前記部品の前記保持ツール側の面との少なくとも一方を帯電させることにより、前記保持ツールの前記開口と前記部品の前記面とを同じ極性としてもよい。
これにより、保持ツールの開口と、部品の保持ツール側の面とは、同じ極性を有するため、それらの間に電気的な反発力を発生させることができる。その結果、部品の保持ツールへの接触を抑制することができる。
なお、上述の制御部の包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略同時などの表現を用いている。例えば、略同時は、完全に同時であることを意味するだけでなく、実質的に同時である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略同時は、本開示による効果を奏し得る範囲において同時という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における部品実装装置の斜視図である。
本実施の形態における部品実装装置1は、部品をピックアップして、そのピックアップされた部品を基板7に実装する。したがって、本実施の形態における部品実装装置1は、部品をピックアップするピックアップシステムを備えている。なお、部品の基板7への実装は、部品の基板7への接合とも呼ばれる。また、本実施の形態における基板7は、特定の種類の基板に限定されるものではなく、シリコン基板またはシリコンチップなどであってもよい。また、本開示において、鉛直方向をZ軸方向または上下方向と称し、鉛直方向に対して垂直な面における一方向をY軸方向、左右方向または横方向と称し、その垂直な面においてY軸方向と垂直な方向をX軸方向または奥行き方向と称す。また、本開示において、Z軸方向の正側は、上向きまたは上であり、Z軸方向の負側は、下向きまたは下である。また、本開示において、Y軸方向の正側は、右側または右であり、Y軸方向の負側は、左側または左である。また、本開示において、X軸方向の正側は、奥側または奥であり、X軸方向の負側は手前側または手前である。
部品実装装置1は、基台2、部品供給部3、基板保持部5、部品保持部15、フレーム11、Y軸駆動機構12、部品実装部13、およびピックアップカメラ21を備える。基台2は、部品実装装置1の土台であって、部品実装装置1に含まれる各構成部材を支える。
部品供給部3は、基台2上に載置され、部品保持部15に対して部品を供給する。このような部品供給部3は、保持テーブル3a、XYテーブル機構31、移動プレート32、および複数の支持部材33を備える。保持テーブル3aは、半導体ウェハユニット6を水平方向に沿わせた状態で保持する。半導体ウェハユニット6は、粘着シート6bと、複数のチップ6aとからなる。複数のチップ6aは、半導体ウェハをダイシングすることによって得られる個片または半導体チップであって、部品供給部3によって供給されて基板7に実装される部品である。粘着シート6bは、粘着性を有するシートである。この粘着シート6bの上面には、複数のチップ6aが貼着されている。複数の支持部材33のそれぞれは、移動プレート32から立脚するようにその移動プレート32上に載置された柱状の部材である。この複数の支持部材33は、保持テーブル3aに保持されている半導体ウェハユニット6を移動プレート32から上方に離した状態で、その保持テーブル3aを支持する。移動プレート32は、XYテーブル機構31に配置されるプレートである。XYテーブル機構31は、移動プレート32をX軸方向およびY軸方向に移動させる。この移動プレート32の移動に伴って、半導体ウェハユニット6がX軸方向およびY軸方向に移動する。つまり、複数のチップ6aがXY平面に沿って移動する。
ピックアップカメラ21は、部品供給部3の上方に配置され、半導体ウェハユニット6のうちのピックアップされるチップ6aを撮像する。
基板保持部5は、基板7を水平方向に沿わせた状態で保持する。このような基板保持部5は、搬送レール5aを備える。そして、基板保持部5は、その搬送レール5aによって搬送された基板7を実装位置に位置決めして保持する。実装位置は、チップ6aの実装が行われる位置である。
部品保持部15は、アーム15a、ピックアップヘッド移動機構15b、およびピックアップヘッド14を備える。アーム15aは、柱状の部材であって、X軸方向に沿う状態でピックアップヘッド移動機構15bに取り付けられている。つまり、アーム15aの長手方向の一端(すなわち基端)が、ピックアップヘッド移動機構15bに取り付けられている。また、アーム15aの他端(すなわち先端)には、ピックアップヘッド14が取り付けられている。
ピックアップヘッド移動機構15bは、フレーム11のうちのY軸フレーム11bに懸吊され、アーム15aをX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動させる。さらに、ピックアップヘッド移動機構15bは、アーム15aの長手方向に沿う中心軸を中心にアーム15aを回転させる。つまり、ピックアップヘッド移動機構15bは、アーム15aをX軸の軸廻りに回転させる。ピックアップヘッド14は、上述のようにアーム15aの先端に取り付けられる。また、ピックアップヘッド14は、チップ6aを真空吸引して保持する例えば金属製のピックアップノズル14aを備える。なお、真空吸引は、エアを吸引する動作である。したがって、ピックアップノズル14aは、ピックアップヘッド移動機構15bによる駆動によって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動し、X軸廻りに回転する。また、ピックアップヘッド移動機構15bは、ピックアップカメラ21による撮像結果に基づいてピックアップノズル14aを移動させる。これにより、ピックアップヘッド移動機構15bは、そのピックアップノズル14aを下降させてピックアップ対象のチップ6aの上面に正確に近づけることができる。なお、本実施の形態におけるピックアップノズル14aは、単にノズルとも呼ばれ、真空吸引によってチップ6aを保持するための開口を有する保持ツールの一例である。
このように本実施の形態における部品保持部15は、開口を有する昇降自在のピックアップノズル14aである保持ツールを用いて、粘着シート6b上に貼着されているチップ6aを上方から保持する。
フレーム11は、基台2上のX軸方向正側に配置され、2つの支持ポスト11aと、長尺状のY軸フレーム11bとを備える。2つの支持ポスト11aは、Y軸フレーム11bがY軸方向に沿い、かつ、基台2の上面から上方に離れた状態で、そのY軸フレーム11bを支持する。つまり、Y軸フレーム11bは、2つの支持ポスト11aによって懸架されている。そして、上述のように、このY軸フレーム11bには、ピックアップヘッド移動機構15bが懸吊されている。
Y軸駆動機構12は、Y軸フレーム11bのX軸方向負側の面に取り付けられ、部品実装部13をY軸方向に移動させる。部品実装部13は、実装ユニット20を備えている。部品実装部13は、ピックアップノズル14aによって保持されているチップ6aを、その実装ユニット20を用いて、ピックアップノズル14aから受け取り、実装位置に位置決めされている基板7にそのチップ6aを実装する。
図2は、部品実装装置1がチップ6aを基板7に実装する動作を説明するための図である。
部品実装装置1は、粘着シート6bに貼着されている複数のチップ6aのうち、XY平面において予め設定されているピックアップ作業位置Pに配置されたチップ6aをピックアップして、そのチップ6aを基板7に実装する。
具体的には、XYテーブル機構31は、移動プレート32をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、ピックアップ対象のチップ6aをピックアップ作業位置Pに配置する。このようなピックアップ作業位置Pに配置されたピックアップ対象のチップ6aは、突き上げ部34によって突き上げられる。
つまり、本実施の形態における部品実装装置1は、図2に示すように、ピックアップ作業位置Pに配置されている突き上げ部34を備えている。なお、突き上げ部34は、部品供給部3に備えられていてもよい。突き上げ部34は、粘着シート6b上に貼着されているチップ6aを、粘着シート6bを介して下方から上方に向けて突き上げる。具体的には、突き上げ部34は、ピックアップ作業位置Pに配置されたピックアップ対象のチップ6aを突き上げる。
ピックアップカメラ21は、部品供給部3の上方で、かつ、ピックアップ作業位置Pに配置されている。このようなピックアップカメラ21は、粘着シート6bに貼着されている複数のチップ6aのうち、そのピックアップ作業位置Pとその周辺を、部品供給部3の上方から撮像する。これにより、ピックアップ対象のチップ6aが撮像され、その撮像結果に基づいて、ピックアップ対象のチップ6aの位置が認識される。つまり、チップ6aの位置認識が行われる。
ピックアップヘッド14のピックアップノズル14aは、ピックアップヘッド移動機構15bの駆動によって下降し、ピックアップカメラ21の撮像結果に基づいて位置認識されたチップ6aに上方から近づき、そのチップ6aを保持する。そして、ピックアップノズル14aは、チップ6aを保持した状態で上昇して、さらに、例えばY軸方向負側に移動する。ここで、ピックアップノズル14aは、ピックアップヘッド移動機構15bによるアーム15aの回転によって、保持しているチップ6aの下面(すなわち底面)を上方に向ける。これにより、チップ6aは、上下反転された状態でピックアップノズル14aに保持される。
部品実装部13は、図2に示すように、上述の実装ユニット20だけでなく、移動プレート13a、昇降機構13b、および昇降プレート13cを備えている。移動プレート13aは、Y軸駆動機構12にY軸方向に移動自在に取り付けられているプレートである。つまり、移動プレート13aは、Y軸駆動機構12の駆動によってY軸方向に移動する。
昇降機構13bは、移動プレート13aの前面に取り付けられ、昇降プレート13cを昇降させる。その昇降プレート13cの下部には、実装ユニット20が取り付けられている。実装ユニット20は、部品実装ノズル20aを有する。部品実装ノズル20aは、例えば、上下反転された状態のチップ6aを保持するピックアップノズル14aから、そのチップ6aを受け取る。例えば、部品実装ノズル20aは、Y軸駆動機構12および昇降機構13bのそれぞれの駆動によって、チップ6aの上方に移動し、そのチップ6aを例えば真空吸引によって保持する。そして、部品実装ノズル20aは、そのチップ6aを保持した状態でY軸方向に沿って基板7側に移動し、その基板7にチップ6aを実装する。
図3は、本実施の形態におけるピックアップシステムの構成の一例を示す図である。
本実施の形態におけるピックアップシステム100は、部品実装装置1に備えられているシステムであって、例えば、上述の部品保持部15と、突き上げ部34と、制御部101とを備える。
部品保持部15は、保持本体部15cと、ピックアップノズル14aとを備える。保持本体部15cは、例えば、上述のアーム15aと、ピックアップヘッド移動機構15bと、ピックアップヘッド14のうちのピックアップノズル14aを除く部分とからなる。その保持本体部15cは、超音波発生部152と、負圧発生部153と、駆動部154とを備えている。
超音波発生部152は、ピックアップノズル14aを振動(すなわち超音波振動)させることによって、ピックアップノズル14aの開口14b周辺から超音波を発生させる。つまり、ピックアップノズル14aが上下方向に超音波振動することによって、ピックアップノズル14aの下面に接している空気にその振動が伝えられる。例えば、超音波発生部152は、ピックアップノズル14aを最大10~20μm程度の振幅で超音波振動させる。
負圧発生部153は、ピックアップノズル14aの開口14b周辺に負圧を発生させる。本実施の形態では、負圧発生部153は、例えば真空ポンプとして構成されている。このような、負圧発生部153は、ピックアップノズル14aに形成されている流路であって、開口14bに連通しているエアの流路14c内を負圧にすることによって、その開口14b周辺に負圧を発生させる。言い換えれば、負圧発生部153は、その流路14cを介して開口14b周辺のエアを吸引することによって、その開口14b周辺に負圧を発生させる。
駆動部154は、例えばモータなどを備え、ピックアップノズル14aをX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動させる。また、駆動部154は、アーム15aを回転させることによって、そのアーム15aの先端に取り付けられているピックアップヘッド14のピックアップノズル14aを回転させる。このような駆動部154は、ピックアップヘッド移動機構15bに組み込まれていてもよい。
突き上げ部34は、複数の突き上げピン34aを備え、その複数の突き上げピン34aを昇降させる。この複数の突き上げピン34aが上昇して粘着シート6bを押し上げることによって、その粘着シート6b上に貼着されているチップ6aが突き上げられる。
制御部101は、突き上げ部34および部品保持部15を制御する。つまり、制御部101は、突き上げ部34、駆動部154、超音波発生部152および負圧発生部153を制御する。
図4は、本実施の形態におけるピックアップノズル14aがチップ6aをピックアップする基本的な動作の一例を説明するための図である。
まず、XYテーブル機構31が移動プレート32を移動させることによって、保持テーブル3aに保持されている粘着シート6bがX軸方向およびY軸方向に移動する。この粘着シート6bの移動によって、図4の(a)に示すように、ピックアップ対象のチップ6aが、ピックアップ作業位置Pに配置される。すなわち、ピックアップ対象のチップ6aは、突き上げ部34の複数の突き上げピン34a上に配置される。
次に、図4の(b)に示すように、突き上げ部34は、複数の突き上げピン34aを上昇させることによって、粘着シート6bを介してチップ6aを突き上げる。このようにチップ6aが粘着シート6bを介して突き上げられると、そのチップ6aが粘着シート6bから剥がれ易くなる。つまり、チップ6aの粘着シート6bからの剥離が促進される。なお、チップ6aの突き上げと共に、粘着シート6bを下方から吸引することによって、チップ6aの剥離をさらに促進してもよい。
次に、図4の(c)に示すように、ピックアップノズル14aは、下降し、その突き上げられたチップ6aを非接触で保持する。つまり、ピックアップノズル14aは、チップ6aをピックアップノズル14aの開口14b側に引き寄せようとする吸引力と、そのチップ6aを開口14bから遠ざけようとする斥力とを用いて、そのチップ6aを非接触で保持する。吸引力は、負圧発生部153による負圧の発生によって得られる。例えば、その吸引力によってチップ6aを吸い上げ可能な距離、すなわちピックアップノズル14aからチップ6aまでの距離は、凡そ0.05~1.0mmである。斥力は、超音波発生部152による超音波の発生によって得られる。
ここで、本実施の形態では、粘着シート6b上に貼着されているチップ6aが、粘着シート6bを介して下方から上方に向けて突き上げられている。したがって、チップ6aの粘着シート6bからの剥離を促進することができ、負圧による吸引力と超音波による斥力とを弱めることができる。その結果、チップ6aを効率的に保持することができる。
そして、図4の(d)に示すように、ピックアップノズル14aは、チップ6aを非接触で保持した状態で、駆動部154による駆動によって上昇する。
ここで、超音波発生部152による超音波の発生のタイミングによっては、粘着シート6bに貼着されているチップ6aの位置がずれてしまう場合がある。このような場合には、ピックアップノズル14aは、そのチップ6aを適切な状態で保持することができない。
図5は、粘着シート6bに貼着されているチップ6aの位置がずれる場合の一例を示す図である。
超音波発生部152は、上述のように、ピックアップノズル14aの開口14b周辺から超音波を発生させる。このように発生する超音波は、疎密波であって、チップ6aに向かって進み、そのチップ6aの上面で反射する。その結果、超音波は定常波として形成される。したがって、その超音波には、節および腹があり、節および腹のそれぞれの位置は経時的に変動せずに固定される。超音波の腹では、音の媒体である空気の振動が大きい。一方、超音波の節では、その空気の振動が小さい。
また、その超音波を受けるチップ6aは、複数の突き上げピン34aによって突き上げられているため、粘着シート6bから剥がれ易い状態になっている。
したがって、ピックアップノズル14aが下降している途中で、超音波の発生が開始されたときに、例えば図5の(a)のように、そのチップ6aの上面が、超音波の腹が現れると想定される位置にある場合には、空気の大きい振動によって、チップ6aが大きく揺さぶられる。その結果、図5の(b)に示すように、チップ6aが粘着シート6bからずれてしまう。このようにチップ6aがずれると、ピックアップノズル14aは、そのチップ6aを適切な状態で保持することができない。
そこで、本実施の形態における制御部101は、チップ6aの上面が、超音波の節が現れる位置にあるときに、その超音波の発生を超音波発生部152に開始させる。
図6は、本実施の形態における超音波の発生開始のタイミングの一例を示す図である。
制御部101は、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aを下降させて、複数の突き上げピン34aによって突き上げられているチップ6aに近付ける。そして、制御部101は、図6の(a)に示すように、そのチップ6aの上面が、超音波の節が現れる位置にあるときに、その超音波の発生を超音波発生部152に開始させる。超音波の節が現れる位置は、超音波の周波数に応じて規定される。
具体的には、ピックアップノズル14aとチップ6aとの間では、超音波の1/2波長ごとに節が現れ、超音波の1/2波長ごとに腹が現れる。なお、腹は、互に隣り合う2つの節の中間点に現れ、節は、互に隣り合う2つの腹の中間点に現れる。超音波の波長は、超音波の速度を、超音波の周波数(すなわち振動数)で除算することによって得られる。例えば、20℃の空気中における超音波の速度は、343.5mである。したがって、超音波の周波数が35.2kHz(すなわち35200Hz)である場合、その超音波の波長は、343.5(m)/35200(Hz)≒10(mm)である。また、ピックアップノズル14aの開口14b周辺から超音波が発生するため、その開口14b周辺では超音波の腹が現れ、その腹からチップ6a側に1/4波長だけ離れた位置に、超音波の節が現れる。波長が10mmの場合、ピックアップノズル14aの開口14bからチップ6a側に2.5mmだけ離れた位置に、超音波の節が現れる。
したがって、制御部101は、ピックアップノズル14aの開口14bからチップ6a側に2.5mだけ離れた位置に、そのチップ6aの上面があるときに、超音波の発生を超音波発生部152に開始させる。これにより、チップ6aの上面では、超音波の腹ではなく節が現れるため、チップ6aが空気の振動によって揺さぶられることを抑制することができる。その結果、チップ6aが粘着シート6bからずれることを抑えてチップ6aを安定させることができる。
なお、図6の(a)の例では、制御部101は、チップ6aの上面が、超音波の節が現れる位置にあるときに、超音波の発生を超音波発生部152に開始させるが、その超音波の発生開始のタイミングは、これに限定されるものではない。制御部101は、チップ6aの上面が、超音波の腹が現れない位置にあるときに、超音波の発生を超音波発生部152に開始させてもよい。
つまり、本実施の形態における制御部101は、保持ツールであるピックアップノズル14aの開口14bから、粘着シート6b上に貼着されているチップ6aまでの距離が、ピックアップノズル14aの昇降によって、予め規定された規定距離となるときに、超音波発生部152による超音波の発生を開始させる。その規定距離は、超音波発生部152によって発生する超音波の周波数に応じて規定される距離である。具体的には、規定距離は、ピックアップノズル14aの開口14bから、超音波発生部152によって発生する超音波における腹以外の部位までの距離である。超音波の腹および節が現れる位置は、超音波を伝達する媒体となる空気の温度およびその超音波の周波数によって規定される。なお、腹以外の部位は、図6の(a)の例のように、節であってもよく、節の位置を中心とする腹を含まない所定範囲であってもよい。その所定範囲は、例えば1/4波長の範囲であってもよい。
次に、制御部101は、図6の(b)に示すように、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aをさらに下降させる。例えば、駆動部154は、ピックアップノズル14aを5mm/秒の速度で下降させる。また、駆動部154は、ピックアップノズル14aの下面からチップ6aの上面までの距離が100~200μmとなるように、ピックアップノズル14aをチップ6aに近づける。そして、制御部101は、負圧発生部153にエアの吸引を開始させる。これにより、ピックアップノズル14aの開口14b周辺に負圧が発生する。その結果、制御部101は、開口14b周辺の負圧による吸引力と、開口14b周辺の超音波による斥力とを用いて、ピックアップノズル14aにチップ6aを非接触で保持させる。このような非接触の保持では、ピックアップノズル14aとチップ6aとの間には、例えば幅約25μmの隙間が生じている。
その後、制御部101は、図6の(c)に示すように、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aを上昇させる。
このように、本実施の形態では、ピックアップノズル14aの開口14bからチップ6aまでの距離が規定距離となるときに、超音波の発生が開始される。その規定距離は、ピックアップノズル14aの開口14bから超音波の節までの距離である。したがって、その超音波の発生開始の時点において、チップ6aの位置には、超音波における節が現れる。ここで、超音波における腹では、空気の振動が大きく、節では、空気の振動が小さい。したがって、超音波の発生開始の時点において、チップ6aの位置での超音波による空気の振動を効果的に小さくすることができる。その結果、チップ6aが粘着シート6bからずれることを高い確度で抑制し、ピックアップノズル14aにそのチップ6aをより適切に保持させることができる。
つまり、ピックアップノズル14aが下降しているときに、図5の(a)の例のように、図6の(a)の例よりも早いタイミングで超音波の発生が開始されると、チップ6aが粘着シート6bからずれてしまう。また、図5の(a)の例よりもさらに早いタイミング、すなわち、ピックアップノズル14aがチップ6aからさらに上方に離れているときから、超音波が発生している場合でも、ピックアップノズル14aの下降によって、図5の(a)の例に示す状況が発生する。そのため、チップ6aが粘着シート6bからずれてしまう。しかし、本実施の形態では、図6の(a)の例のように、規定距離に基づくタイミングで超音波の発生を開始させることによって、チップ6aが粘着シート6bからずれることを抑制することができる。その規定距離は、より具体的には、ピックアップノズル14aの開口14bから超音波の最初の節までの距離である。したがって、ピックアップノズル14aがさらに下降しても、ピックアップノズル14aがチップ6aに接触しない限り、チップ6aの上面が、超音波の腹が現れると想定される位置におかれることはない。また、超音波の発生が開始されるタイミングでは、ピックアップノズル14aがチップ6aに近い状態にあるため、負圧による吸引力によって、そのチップ6aをピックアップノズル14aに引き寄せることができる。そのため、ピックアップノズル14aがさらに下降しても、チップ6aが粘着シート6bからずれることを抑制し、チップ6aを安定させることができる。
また、本実施の形態では、超音波発生部152による超音波の発生によって、いわゆる超音波非接触チャックが実現されている。つまり、超音波の発生によるスクイーズ効果によって斥力が得られるため、容易に適切な斥力を得ることができる。その結果、チップ6aを効率的に非接触で保持することができる。
図7は、本実施の形態における制御部101による処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部101は、突き上げ部34によるチップ6aの突き上げを開始させる(ステップS1)。
次に、制御部101は、後述のステップS3で超音波発生部152によって発生する超音波の節が、チップ6aの上面に位置するように、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aを下降させる(ステップS2)。つまり、制御部101は、ピックアップノズル14aを下降させることによって、ピックアップノズル14aの開口14bから、粘着シート6b上に貼着されているチップ6aまでの距離を、上述の規定距離に設定する。
そして、制御部101は、ピックアップノズル14aの開口14bからチップ6aまでの距離が規定距離になっているときに、超音波の発生を超音波発生部152に開始させる(ステップS3)。このときには、その超音波によってチップ6aが大きく揺さぶられることが抑えられるため、そのチップ6aが粘着シート6bからずれることを抑制することができる。
次に、制御部101は、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aをさらに下降させる(ステップS4)。なお、ステップS2~S4まで、ピックアップノズル14aは、止まることなく下降してもよい。そして、制御部101は、負圧発生部153に負圧を発生させて、ピックアップノズル14aにチップ6aを非接触で保持させる(ステップS5)。つまり、制御部101は、負圧発生部153に負圧を発生させることによって、上述の吸引力を生じさせる。そして、制御部101は、チップ6aをピックアップノズル14aの開口14b側に引き寄せようとする吸引力と、チップ6aを開口14bから遠ざけようとする斥力とを用いて、ピックアップノズル14aにチップ6aを非接触で保持させる。
その後、制御部101は、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aを上昇させる(ステップS6)。
このように、本実施の形態では、チップ6aが突き上げられた後に、ピックアップノズル14aがチップ6aを非接触で保持するための負圧が発生する。したがって、チップ6aが突き上げられることによって、チップ6aの粘着シート6bからの剥離が促進された後に、負圧が発生するため、その負圧を小さくすることができる。
また、本実施の形態では、超音波発生部152による超音波の発生によって、いわゆる超音波非接触チャックが実現されている。つまり、超音波の発生によるスクイーズ効果によって斥力が得られるため、容易に適切な斥力を得ることができる。その結果、チップ6aを効率的に非接触で保持することができる。
また、本実施の形態では、制御部101は、チップ6aが突き上げ部34によって突き上げられているときに、超音波発生部152による超音波の発生を開始させる。これにより、チップ6aの突き上げによって、そのチップ6aの粘着シート6bからの剥離が促進された後に、さらに、超音波による空気の振動をそのチップ6aに与えることができ、チップ6aの剥離をより促進することができる。その結果、負圧発生部153による負圧を小さく抑えることができる。また、突き上げによる剥離の促進によって、チップ6aが粘着シート6bからずれ易くなっている場合であっても、ピックアップノズル14aの開口14bからチップ6aまでの距離が規定距離となるときに、超音波の発生が開始されるため、チップ6aのずれを抑えることができる。その結果、チップ6aをさらに効率的に保持することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態におけるピックアップシステムは、実施の形態1におけるピックアップシステム100の動作に対して、チップ6aを適切にピックアップするための付加的な動作をさらに実行する。
図8は、本実施の形態における部品実装装置の構成例と、部品実装装置がチップ6aを基板7に実装する動作の一例とを示す図である。
本実施の形態における部品実装装置1aは、図8に示すように、実施の形態1における部品実装装置1に含まれる各構成要素と、判定カメラ22と、回収ボックス9とを備える。判定カメラ22は、ピックアップノズル14aによって保持されているチップ6aを撮像する。この判定カメラ22による撮像によって得られる撮像画像には、チップ6aが映し出されている。そして、撮像画像に対する画像解析によって、撮像画像に映し出されているチップ6aが不良品であると判定されると、その不良品であるチップ6aは破棄または回収される。回収ボックス9は、その不良品のチップ6aを回収するための例えば蓋無しのボックスである。なお、不良品のチップ6aは、エラーチップとも呼ばれる。また、図8などでは、回収ボックス9に回収されるチップ6aが分かり易くなるように、回収ボックス9は、YZ平面での断面図として示されている。
具体的には、ピックアップノズル14aがチップ6aを非接触で保持して上昇すると、ピックアップノズル14aは、X軸廻りに例えば90度回転する。これにより、チップ6aの下面が判定カメラ22に向けられる。なお、チップ6aの下面は、粘着シート6bに貼着されていた面であり、ピックアップノズル14aに保持されている上面と反対側の面である。そのチップ6aの下面が判定カメラ22に向けられているときに、判定カメラ22は、そのチップ6aの下面を撮像することによって、撮像画像を出力する。この撮像画像に映し出されているチップ6aの下面に、傷、欠け、または汚れなどがある場合には、そのチップ6aは、エラーチップであると判定される。その結果、ピックアップノズル14aは、駆動部154による駆動によって、回収ボックス9の上方まで移動し、そのエラーチップであると判定されたチップ6aを離して、その回収ボックス9内に落とす。一方、チップ6aがエラーチップではないと判定されると、ピックアップノズル14aは、X軸廻りに回転することによってチップ6aを上方に持ち上げ、実装ユニット20の部品実装ノズル20aにそのチップ6aを受け渡す。
図9は、本実施の形態におけるピックアップシステムの構成の一例を示す図である。
本実施の形態におけるピックアップシステム100aは、部品実装装置1aに備えられているシステムであって、実施の形態1と同様、部品保持部15と、突き上げ部34と、制御部101とを備えるとともに、上述の判定カメラ22をさらに備える。
本実施の形態における制御部101は、その判定カメラ22を制御し、判定カメラ22による撮像によって得られる撮像画像に対する画像解析を行う。つまり、制御部101は、撮像画像に映し出されているチップ6aがエラーチップであるか否かを判定する。そして、制御部101は、その判定結果に基づいて駆動部154を制御する。具体的には、制御部101は、エラーチップの回収ボックス9への回収、または、チップ6aのピックアップノズル14aから部品実装ノズル20aへの受け渡しを、ピックアップノズル14aに実行させる。
ここで、エラーチップの回収ボックス9への回収では、制御部101は、負圧発生部153による負圧の発生を抑制する。一例では、制御部101は、負圧の発生を停止させる。しかし、負圧の発生を停止させるだけでは、エラーチップがピックアップノズル14aから離れず、エラーチップが回収ボックス9に回収されない場合がある。このような場合、ピックアップノズル14aの流路14c内のエアが陽圧に調整され、ピックアップノズル14aの開口14bからエアが吐出されれば、そのエアの吐出によって、エラーチップをピックアップノズル14aから離すことができる。しかしながら、部品実装装置1a内でエアが吐出されれば、ダストがその部品実装装置1a内で舞い上がる可能性がある。そして、その舞い上がったダストが、基板7に実装されるために準備されている他のチップ6aに付着すると、そのダストがチップ6aと基板7との接合部位に入り込み、接合不良を引き起こす可能性もある。あるいは、そのチップ6aもさらにエラーチップと判定されて回収される可能性がある。また、エアの吐出には、ピックアップノズル14aの流路14c内のエアを陽圧に調整するための配管などの設備をさらにピックアップシステムに備える必要があるため、ピックアップシステムの構成が複雑になるという課題もある。
また、負圧の発生を停止させるときに、超音波の発生を単に継続させていても、エラーチップがピックアップノズル14aから離れない場合がある。その原因には、静電気、残圧、超音波などが考えられる。例えば、負圧の発生を停止させても、その負圧がしばらく残圧として残る可能性がある。また、超音波が、ピックアップノズル14aの開口14b周辺に微小な負圧を発生させている可能性がある。そのため、特に薄いチップ6aなどは、負圧の発生を停止させても、そのチップ6aの自重で落下し難く、ピックアップノズル14aから離れない場合がある。
そこで、本実施の形態における制御部101は、超音波発生部152を制御することによって、ピックアップノズル14aの開口14b周辺から発生する超音波の振動を大きくする。つまり、超音波発生部152は、チップ6aを非接触で保持するときに用いられる超音波よりも大きな振動の超音波を発生させる。これにより、エラーチップを開口14bから遠ざけようとする斥力が大きく働くことによって、ピックアップノズル14aからエラーチップを落として回収することができる。また、この場合には、エアが吐出されないため、ダストの舞い上がりを抑えることができる。
図10は、エラーチップの回収の一例を示す図である。
制御部101は、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aをY軸方向に移動させ、図10の(a)に示すように、エラーチップであると判定されたチップ6aを回収ボックス9の上方に配置する。そして、制御部101は、駆動部154によるピックアップノズル14aのX軸廻りの回転によって、ピックアップノズル14aをチップ回収状態に設定する。チップ回収状態では、ピックアップノズル14aの開口14bが、Z軸方向下向きから例えば45度だけ上方に向いている。なお、このときには、吸引による負圧が発生し、超音波も発生している。
そして、制御部101は、図10の(b)に示すように、負圧発生部153および超音波発生部152を制御することによって、負圧の発生を停止させ、超音波の振動を大きくさせる。制御部101によって制御される超音波発生部152は、超音波の振動数(すなわち周波数)を上げてもよく、超音波の振幅を大きくしてもよい。これにより、エラーチップであるチップ6aを開口14bから遠ざけようとする斥力が大きく働くことによって、ピックアップノズル14aからエラーチップが落下する。そして、その落下したエラーチップが回収ボックス9に回収される。
このように、本実施の形態における制御部101は、負圧発生部153による負圧の発生を抑制させた状態で、超音波発生部152によって発生する超音波の振動を制御することにより、ピックアップノズル14aに保持されているチップ6aをピックアップノズル14aから離す。これにより、負圧の発生が抑制されるため、ピックアップノズル14aがチップ6aを吸引する吸引力を弱めることができ、さらに、超音波の振動を制御することによって、ピックアップノズル14aとチップ6aとの間の斥力を強めることができる。その結果、ピックアップノズル14aからチップ6aを効果的に離すことができる。また、エアの吐出では、ダストが舞い上がる可能性があるが、本実施の形態では、エアの吐出が行われないため、ダストの舞い上がりを抑制することができる。その結果、上述のような他のチップ6aと基板7との接合不良の発生を抑えることができる。さらに、エアの吐出のための設備をさらに備える必要がないため、ピックアップシステム100aの構成の複雑化を抑えることができる。
また、具体的には、制御部101は、負圧発生部153による負圧の発生を抑制させた後、超音波発生部152によって発生する超音波の振動数を増大させることにより、チップ6aをピックアップノズル14aから離す。これにより、超音波の振動数が増大されるため、ピックアップノズル14aとチップ6aとの間の斥力を適切に強めることができる。その結果、ピックアップノズル14aからチップ6aをさらに効果的に離すことができる。なお、上述の例では、負圧の発生の抑制後に、超音波の振動数の増大が行われるが、逆に、超音波の振動数の増大が行われた後に、負圧の発生の抑制が行われてもよい。あるいは、負圧の発生の抑制と、超音波の振動数の増大とが同時に行われてもよい。
また、制御部101は、超音波の振動を大きくさせるタイミングを、負圧発生の停止のタイミングからさらに後にずらしてもよい。つまり、制御部101は、負圧発生部153に負圧の発生を停止させた後、所定時間内においてチップ6aがピックアップノズル14aから落下したか否かを判定する。制御部101は、所定時間内にチップ6aが落下したと判定すると、超音波発生部152に超音波の発生を停止させる。一方、制御部は、所定時間経過してもチップ6aが落下していないと判定すると、超音波発生部152に超音波の振動を大きくさせる。ここで、制御部101は、チップ6aが落下したか否かの判定を、判定カメラ22によるチップ6aの撮像結果に基づいて行ってもよい。また、回収ボックス9に圧力ゲージなどが備えられている場合には、制御部101は、その圧力ゲージによって計測される圧力に応じて、チップ6aが落下したか否かを判定してもよい。
このように、本実施の形態における制御部101は、負圧発生部153による負圧の発生を抑制させてから所定時間経過後に、チップ6aがピックアップノズル14aから落下していなければ、超音波発生部152によって発生する超音波の振動数を増大させてもよい。これにより、所定時間内にチップ6aが落下すれば、超音波の振動数が増大されないため、超音波の振動数が不必要に増大されることを抑えることができる。その結果、処理動作の負担を抑えることができる。また、超音波の振動数が増大される場合には、エアの吐出よりも僅かではあるが、ダストが舞い上がる可能性がある。しかし、その超音波の振動数の増大が抑えられるため、ダストの舞い上がりをさらに抑制することができる。
図11は、本実施の形態における制御部101による処理動作の一例を示すフローチャートである。
制御部101は、例えば、図7に示すステップS6の処理が行われた後、ピックアップノズル14aに保持されているチップ6aを判定カメラ22に撮像させる(ステップS21)。
次に、制御部101は、その判定カメラ22による撮像によって得られる撮像画像に基づいて、チップ6aが不良品か否か、すなわちエラーチップであるか否かを判定する(ステップS22)。ここで、制御部101は、チップ6aがエラーチップではないと判定すると(ステップS22のNo)、チップ6aのピックアップノズル14aから部品実装ノズル20aへの受け渡しを実行する(ステップS28)。つまり、制御部101は、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aを移動および回転させながら、そのピックアップノズル14aに保持されているチップ6aを、部品実装ノズル20aへの受け渡し位置に配置する。
一方、制御部101は、チップ6aがエラーチップであると判定すると(ステップS22のYes)、ピックアップノズル14aを回収ボックス9の上方に移動させて傾ける(ステップS23)。すなわち、ピックアップノズル14aがチップ回収状態に設定される。そして、制御部101は、負圧発生部153を制御することによって、負圧の発生を抑制する(ステップS24)。つまり、制御部101は、負圧発生部153に対して負圧の発生を停止させる。
その後、制御部101は、エラーチップと判定されたチップ6aがピックアップノズル14aから落下したか否かを判定する(ステップS25)。ここで、チップ6aが落下したと判定すると(ステップS25のYes)、制御部101は、エラーチップに対する処理を終了する。一方、制御部101は、チップ6aが落下していないと判定すると(ステップS25のNo)、ステップS24の処理、すなわち負圧発生の停止から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS26)。制御部101は、所定時間が経過していないと判定すると(ステップS26のNo)、ステップS25の処理を繰り返し実行する。一方、制御部101は、所定時間が経過したと判定すると(ステップS26のYes)、超音波発生部152に超音波の振動数を増大させる(ステップS27)。これにより、エラーチップと判定されたチップ6aは、ピックアップノズル14aから落下して回収ボックス9に回収される。
このように、本実施の形態では、エラーチップを効率的または効果的に回収することができる。
なお、本実施の形態では、ピックアップノズル14aは、チップ6aを非接触で保持するが、チップ6aに接触して保持する場合であっても、チップ6aの落下に、超音波を用いてもよい。
図12は、エラーチップの回収の他の例を示す図である。図12の例では、ピックアップノズル14aは、エラーチップであると判定されたチップ6aに接触してそのチップ6aを保持している。
制御部101は、駆動部154を制御することによって、ピックアップノズル14aをY軸方向に移動させ、図12の(a)に示すように、エラーチップであると判定されたチップ6aを回収ボックス9の上方に配置する。そして、制御部101は、駆動部154によるピックアップノズル14aのX軸廻りの回転によって、ピックアップノズル14aの状態を上述のチップ回収状態に設定する。なお、図12の(a)の例では、ピックアップノズル14aの開口14b周辺からは超音波は発生しておらず、ピックアップノズル14aは、吸引による負圧によって、チップ6aを真空吸着している。
そして、制御部101は、図12の(b)に示すように、負圧発生部153および超音波発生部152を制御することによって、負圧の発生を停止させ、超音波を発生させる。これにより、エラーチップであるチップ6aを開口14bから遠ざけようとする斥力が働くことによって、ピックアップノズル14aからエラーチップが落下する。そして、その落下したエラーチップは回収ボックス9に回収される。
このような場合であっても、エラーチップの回収のためにエアの吐出が行われないため、ダストの舞い上がりを抑制することができる。その結果、接合不良の発生を抑えることができる。
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係るピックアップシステムについて、各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記各実施の形態に施したものや、各実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態1および2では、突き上げられているチップ6aを非接触で保持するが、突き上げられていないチップ6aを非接触で保持してもよい。また、ピックアップ対象のチップ6aは、粘着シート6bに貼着されていても、トレイなどに載置されていてもよい。これらの場合であっても、制御部101は、ピックアップノズル14aの開口14bからチップ6aまでの距離が規定距離となるときに、超音波発生部152による超音波の発生を開始させてもよい。
また、上記実施の形態1および2では、負圧発生部153は、超音波の発生が開始されてピックアップノズル14aが下降した後に、負圧を発生する。しかし、負圧の発生のタイミングは、これに限定されるものではない。例えば、負圧発生部153は、エラーチップの回収時以外では、負圧を常時発生させておいてもよい。あるいは、負圧発生部153は、超音波の発生と同時に、負圧を発生させてもよく、超音波の発生開始よりも前に、負圧を発生させてもよい。
また、上記実施の形態1および2では、部品実装ノズル20aがチップ6aを保持するときに、チップ6aの下面が部品実装ノズル20aに接触するが、その後に、チップ6aの下面が洗浄されてもよい。
また、上記実施の形態1および2では、ピックアップノズル14aが非接触でチップ6aを保持するが、部品実装ノズル20aも、ピックアップノズル14aと同様に非接触でチップ6aを保持してもよい。
また、上記実施の形態2では、判定カメラ22は、チップ6aの下面を撮像するが、下面だけでなく、あるいは、下面の代わりに、チップ6aの側面を撮像してもよい。チップ6aの側面には、ダイシングのときの切削屑(例えばSiなど)が付着している場合がある。したがって、そのような切削屑が付着しているチップ6aをエラーチップとして回収することができる。また、判定カメラ22は、チップ6aの下面を上方から撮像してもよい。例えば、判定カメラ22は、図8に示すピックアップ作業位置Pにあるピックアップヘッド14およびピックアップノズル14aよりも上方に配置されている。そして、判定カメラ22は、X軸廻りに例えば180度回転されたピックアップノズル14aに保持されているチップ6aの下面を、上方から撮像する。
また、上記実施の形態2では、エラーチップの回収のために、負圧発生部153は、負圧の発生を停止させるが、停止することなく、発生している負圧を小さくしてもよい。
また、上記実施の形態1および2では、突き上げられているチップ6aの突き上げの最終ステップをピン(すなわち突き上げピン34a)1本で突き上げてもよい。
図13は、チップ6aの突き上げの一例を示す図である。
図13の(a)および(b)に示すとおり、突き上げ部34は、複数の突き上げピン34aでチップ6aを突き上げた後、最終ステップでチップ6aの中央を、複数の突き上げピン34aのうちの1本の突き上げピン34bで突き上げる。これにより、上方からの超音波振動によりチップ6aが動ける状態になる。その結果、図13の(c)に示すように、チップ6aとピックアップノズル14aとの平行度を矯正してからチップ6aをピックアップすることができる。
図14は、チップ6aの突き上げの他の例を示す図である。
チップ6aの外形が大きい場合は、1本の突き上げピン34bでそのチップ6aを突き上げると、チップ6aが割れることがある。そこで、このような場合には、図14の(a)に示すように、突き上げピン34bの径を、他の突き上げピン34aよりも大きくしてもよい。
このような突き上げピン34bによる突き上げは、制御部101による突き上げ部34への制御によって行われる。つまり、制御部101は、突き上げ部34を制御することによって、複数の突き上げピン34aにチップ6aを突き上げさせた後に、複数の突き上げピン34aのうちの1本の突き上げピン34bのみにチップ6aをさらに突き上げさせる。
これにより、チップ6aが1本の突き上げピン34bのみに突き上げられるため、その突き上げピン34bの先端を支点にしてチップ6aの傾きを調整し易くすることができる。その結果、チップ6aとピックアップノズル14aとの互いに対向する面を平行にすることができ、ピックアップノズル14aにそのチップ6aを適切に保持させることができる。
なお、図14の(b)に示すように、突き上げピン34bを、それぞれ小径の複数のピン34cから構成してもよい。この複数のピン34cが、1本の突き上げピン34bとして機能する。なお、複数のピン34cの水平方向の断面積の合計は、突き上げピン34bと同じであってもよく、突き上げピン34b以外の他の突き上げピン34aと同じあってもよい。つまり、複数のピン34bは、チップ6aの下面のうち、そのチップ6aの外形に対して十分小さい面積の部分を突き上げる。
図15は、突き上げピン34aの形状の一例を示す図である。なお、図15に示す寸法の単位は例えばmmである。
図15に示すように、突き上げピン34aの先端はR加工されていても良い。これにより先端が平らなピンに比べて、チップの平行度の矯正がより適切に行われる。また先端が尖ったピンに比べると、薄いチップ6aを突き上げる場合でもチップ6aが割れにくいという特徴がある。突き上げピン34aの形状、サイズなどは、チップ6aの外形、厚みなどに応じて適切に調整されてもよい。なお、図15に示す突き上げピン34aは、突き上げピン34bであってもピン34cであってもよい。
図16は、チップ6aの突き上げの他の例を示す図である。なお、図16の(A)における(a)、(b1)、(b2)および(b3)は、チップ6aが不適切に保持される例を示し、図16の(B)における(a)および(b)は、チップ6aが適切に保持される例を示す。
例えば、図16の(A)の(a)に示すように、チップ6aの表面は、粘着シート6bからの剥離によってプラスに帯電し易い。ここで、ピックアップノズル14aの開口14bがある面がマイナスに帯電している場合には、図16の(A)における(b1)、(b2)または(b3)に示すチップ6aの不適切な保持が行われる。つまり、(b1)に示すように、チップ6aが保持される前に、そのチップ6aの片上がりが生じてしまう。つまり、チップ6aの一方の端のみがピックアップノズル14a側に引き寄せられてしまう。または、(b2)に示すように、チップ6aが保持されているときには、そのチップ6aがピックアップノズル14aに接触して吸着されてしまう。または、(b3)に示すように、チップ6aが保持されているときには、そのチップ6aが安定せずに暴れてしまう。
そこで、ピックアップノズル14aの開口14bの面とチップ6aの上面の帯電を同じ極性とし、ピックアップしてもよい。すなわち、図16の(B)の(a)に示すとおり、イオナイザー等の電気機器35を用いてチップ6aの表面をマイナスに帯電させる。これにより、図16の(B)の(b)に示すように、電気的な反発によりピックアップノズル14aとチップ6aとの接触を抑制することができる。このようなイオナイザー等の電気機器35は、例えば制御部101によって制御される。つまり、制御部101は、電気機器を制御することによって、ピックアップノズル14aの開口14bと、チップ6aのピックアップノズル14a側の面との少なくとも一方を帯電させることにより、ピックアップノズル14aの開口14bとチップ6aの上述の面とを同じ極性とする。
これにより、ピックアップノズル14aの開口14bと、チップ6aのピックアップノズル14a側の面とは、同じ極性を有するため、それらの間に電気的な反発力を発生させることができる。その結果、チップ6aのピックアップノズル14aへの接触を抑制することができる。
なお、上記各実施の形態において、制御部101などは、専用のハードウェアで構成されるか、制御部101に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の制御部101などを実現するソフトウェアは、例えば図7または図11に示すフローチャートの各ステップをコンピュータに実行させる。
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
(1)制御部101は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。そのRAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、制御部101は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)制御部101は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)制御部101は、脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
本開示は、例えば、部品をピックアップしてその部品を用いた作業を行うシステムなどに利用可能である。
1、1a 部品実装装置
2 基台
3 部品供給部
3a 保持テーブル
5 基板保持部
5a 搬送レール
6 半導体ウェハユニット
6a チップ(部品)
6b 粘着シート
7 基板
9 回収ボックス
11 フレーム
11a 支持ポスト
11b Y軸フレーム
12 Y軸駆動機構
13 部品実装部
13a 移動プレート
13b 昇降機構
13c 昇降プレート
14 ピックアップヘッド
14a ピックアップノズル(保持ツール)
14b 開口
14c 流路
15 部品保持部
15a アーム
15b ピックアップヘッド移動機構
15c 保持本体部
20 実装ユニット
20a 部品実装ノズル
21 ピックアップカメラ
22 判定カメラ
31 XYテーブル機構
32 移動プレート
33 支持部材
34 突き上げ部
100、100a ピックアップシステム
101 制御部
152 超音波発生部
153 負圧発生部
154 駆動部

Claims (11)

  1. 開口を有する昇降自在の保持ツールと、
    前記保持ツールの前記開口周辺に負圧を発生させる負圧発生部と、
    前記開口周辺から超音波を発生させる超音波発生部と、
    前記負圧発生部および前記超音波発生部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記保持ツールの前記開口から、粘着シート上に貼着されている部品までの距離が、前記保持ツールの昇降によって、予め規定された規定距離となるときに、前記超音波発生部による超音波の発生を開始させ、
    前記開口周辺の負圧による吸引力と、前記開口周辺の超音波による斥力とを用いて、前記保持ツールに前記部品を非接触で保持させ、
    前記規定距離は、前記保持ツールの前記開口から、前記超音波発生部によって発生する超音波における腹以外の部位までの距離である
    ピックアップシステム。
  2. 前記腹以外の部位は、
    前記超音波発生部によって発生する超音波における節の位置を中心とする所定範囲であって、前記所定範囲は、前記超音波の1/4波長の範囲である、
    請求項1に記載のピックアップシステム。
  3. 前記規定距離は、
    前記保持ツールの前記開口から、前記超音波発生部によって発生する超音波におけるまでの距離である、
    請求項1に記載のピックアップシステム。
  4. 前記制御部は、
    前記負圧発生部による負圧の発生を抑制させた状態で、前記超音波発生部によって発生する超音波の振動を制御することにより、前記保持ツールに保持されている前記部品を前記保持ツールから離す、
    請求項1に記載のピックアップシステム。
  5. 前記制御部は、
    前記負圧発生部による負圧の発生を抑制させた後、前記超音波発生部によって発生する超音波の振動数を増大させることにより、前記部品を前記保持ツールから離す、
    請求項に記載のピックアップシステム。
  6. 前記制御部は、
    前記負圧発生部による負圧の発生を抑制させてから所定時間経過後に、前記部品が前記保持ツールから落下していなければ、前記超音波発生部によって発生する超音波の振動数を増大させる、
    請求項に記載のピックアップシステム。
  7. 前記ピックアップシステムは、さらに、
    前記粘着シート上に貼着されている前記部品を、前記粘着シートを介して下方から上方に向けて突き上げる突き上げ部を有し、
    前記制御部は、
    前記突き上げ部をさらに制御する、
    請求項1~のいずれか1項に記載のピックアップシステム。
  8. 前記制御部は、前記部品が前記突き上げ部によって突き上げられているときに、前記超音波発生部による超音波の発生を開始させる、
    請求項に記載のピックアップシステム。
  9. 前記突き上げ部は、複数の突き上げピンを備え、
    前記制御部は、前記突き上げ部を制御することによって、
    前記複数の突き上げピンに前記部品を突き上げさせた後に、前記複数の突き上げピンのうちの1本の突き上げピンのみに前記部品をさらに突き上げさせる、
    請求項に記載のピックアップシステム。
  10. 前記制御部は、イオナイザーを制御することによって、
    前記保持ツールの前記開口と、前記部品の前記保持ツール側の面との少なくとも一方を帯電させることにより、前記保持ツールの前記開口と前記部品の前記面とを同じ極性とする、
    請求項1に記載のピックアップシステム。
  11. 負圧発生部に対して、昇降自在の保持ツールの開口周辺に負圧を発生させ、
    超音波発生部に対して、前記開口周辺から超音波を発生させ、
    前記開口周辺の負圧による吸引力と、前記開口周辺の超音波による斥力とを用いて、前記保持ツールに部品を非接触で保持させ、
    前記超音波の発生では、
    前記保持ツールの前記開口から、粘着シート上に貼着されている部品までの距離が、前記保持ツールの昇降によって、予め規定された規定距離となるときに、前記超音波の発生を前記超音波発生部に開始させ、
    前記規定距離は、前記保持ツールの前記開口から、前記超音波発生部によって発生する超音波における腹以外の部位までの距離である
    ピックアップ方法。
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