浴槽台を浴槽内に置いたり浴槽内から取り出したりする等、浴槽台を移動させる際には、例えば台部の縁や支持脚を持って移動させることが考えられる。しかしながら、そのように浴槽台を取り扱うのは比較的大変であると考えられ、その改善が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、取り扱いが容易な浴槽台を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の浴槽台は、平面視にて矩形形状とされた台部と、その台部を下方から支持する複数の支持脚と、を備え、前記台部には、その平面視における所定の辺部に、下方に向けて突出しかつ前記所定の辺部に沿って延びている取っ手が設けられ、前記取っ手は、前記所定の辺部の側から側面視した場合に、隣り合う前記支持脚の間において、それら各支持脚との間にそれぞれ所定のスペースを形成するよう配置されている。
本発明によれば、平面視矩形の台部における所定の辺部に下方に向けて突出するように取っ手が設けられているため、浴槽台を移動させる際、その取っ手を持って移動させることができる。これにより、浴槽台の取り扱いを容易にすることができる。
ところで、浴槽台を浴槽内で使用する際には、台部における隣り合う各辺部のうち一方の辺部(例えば短辺部)が浴槽の長辺と平行となるように浴槽台を浴槽内に配置することになる。この場合、台部における一方の辺部が浴槽の壁に近接した状態で浴槽台が配置されるため、台部に取っ手を設けるにあたっては取っ手を台部における他方の辺部(例えば長辺部)に設けるのが望ましいと考えられる。
また、浴槽内で使用者が台部上に座る際には、使用者の足が他方の辺部側に向けられることになる。このため、取っ手を台部における他方の辺部に設けた場合、取っ手が使用者の足と同じ側に配置されることになり、使用者が取っ手を持って浴槽台を浴槽から引き出す際等において使い勝手がよくなると考えられる。そのため、この点からも、取っ手を台部における他方の辺部に設けるのが望ましいと考えられる。
しかしながら、取っ手を台部における他方の辺部に設ける場合、台部上に座る使用者の足と取っ手との干渉が問題となる。なぜなら、使用者が台部上に座ったり台部上から立ち上がったりする際には、その立ち座りをし易くするため、台部下に足を引いた状態で立ち座ることが考えられる。そのため、他方の辺部に下方に突出するよう取っ手を設けるとなると、他方の辺部にて使用者が台部下に足を引くためのスペース(以下、足引きスペースともいう)を確保するのが難しくなるおそれがあるからである。
そこで本発明では、このような点に鑑み、取っ手を、隣り合う支持脚の間でそれら各支持脚との間にそれぞれ所定のスペースを形成するように配置している。すなわち、隣り合う支持脚の間において足引きスペースは両端側にあればよいため、隣り合う支持脚の間の中間部に取っ手を配置し、その両側に足引きスペースを確保するようにしている。この場合、台部上に座る使用者の足と同じ側に取っ手を設けることで取っ手の使い勝手をよくしながらも、足引きスペースを利用して立ち座りをし易くすることができる。
第2の発明の浴槽台は、第1の発明において、前記取っ手は、前記所定の辺部の延びる方向の長さが下方に向かうにつれて小さくなるように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、取っ手の長さ(所定の辺部の延びる方向の長さ)が下方に向かうにつれて小さくなっているため、取っ手と支持脚との間のスペースを下側ほど幅広にすることができる。この場合、使用者が上記スペースを足引きスペースとして利用する上で、足を引き入れ易くすることができる。また、取っ手の長さは上側(基端側)ほど長くなっているため、取っ手の強度確保を図りながら上記の効果を得ることができる。
第3の発明の浴槽台は、第1又は第2の発明において、前記取っ手は、下方に突出する板状をなす板部を備え、前記板部の下縁部に沿って前記板部の裏側へ突出する突出部によって、指掛け部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、取っ手が下方に突出する板部を備えて構成され、その取っ手には、板部の下縁部に沿って板部の裏側に突出する突出部により指掛け部が形成されている。この場合、指掛け部に指を掛けて取っ手を持つことができるため、取っ手を持ち易くすることができる。
また、例えば、取っ手を板状ではなく棒状とすることも考えられるが、その場合、強度面の問題から取っ手を金属材料により形成しなければならない等、補強時の制約が生じるおそれがある。また、棒状の取っ手の場合、取っ手を持って浴槽台を傾けた際に指が他の部分に干渉するおそれがある。その点、取っ手を板状とし、その裏側に突出する突出部により指掛け部を形成した上記の構成では、取っ手の強度確保を図り易いとともに、取っ手を持った際に指が他の部分に干渉しにくくすることができる。
第4の発明の浴槽台は、第3の発明において、前記突出部は、前記下縁部と前記板部の前記各スペースに隣接する縁部とに連続して形成された突条部であり、前記板部の表側の面が前記突条部にかけて曲面状をなしていることを特徴とする。
本発明によれば、突出部が板部の下縁部と板部における各スペースに隣接する縁部とに連続して形成された突条部となっている。この場合、使用者が取っ手を持った際に手が左右にずれるのを抑制することができるため、手が滑り易い浴室内において取っ手を安定した状態で持つことが可能となる。
また、取っ手の板部の表側面は突条部にかけて曲面状をなしているため、使用者が取っ手と支持脚との間のスペースに足を引き入れた際、その足が取っ手の縁に当たっても使用者は不快感を感じにくくなっている。
第5の発明の浴槽台は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記台部は、平面視にて長方形状とされており、前記台部には、前記所定の辺部としての一対の長辺部にそれぞれ前記取っ手が設けられていることを特徴とする。
一般に、浴槽台は、その台部が平面視において長方形状をなしている。かかる浴槽台を浴槽内で使用する場合、台部の各短辺部が浴槽の長辺と平行となるように浴槽台を浴槽内に配置することになる。この場合、台部の各短辺部が浴槽の壁と近接した状態で浴槽台が配置されるため、使用者は台部の長辺側に足を配置した状態で台部上に座ることになる。
そこで本発明では、この点に鑑み、台部における長辺部に取っ手を設けている。この場合、取っ手が、使用者が台部上に座る際に足が配置される側となる長辺部に設けられているため、使用者が取っ手を持って浴槽台を浴槽から取り出したりする際等において使い勝手がよいものとすることができる。また、取っ手が台部における各長辺部にそれぞれ設けられているため、取っ手を持って浴槽台を移動させる際等に、浴槽台の向き(例えば取っ手がいずれの側にあるか等)をいちいち気にする必要がなく、その点においても使い勝手がよいものとなっている。
第6の発明の浴槽台は、平面視にて矩形形状とされた台部と、その台部を下方から支持する複数の支持脚と、を備える浴槽台において、前記台部よりも下方に、隣り合う前記支持脚を連結する長尺状の連結材が設けられ、前記連結材には、前記隣り合う支持脚に連結される両端部の間の中間部分により取っ手が形成されており、前記連結材は、平面視において、前記取っ手が前記隣り合う支持脚よりも前記浴槽台の内側に位置するよう形成されており、それにより、前記隣り合う支持脚の間には前記取っ手よりも前記浴槽台の外側となる所定のスペースが形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、隣り合う支持脚を連結する連結材により取っ手が形成されているため、浴槽台を移動させる際、その取っ手を持って移動させることができる。これにより、浴槽台の取り扱いを容易にすることができる。
また、連結材は、平面視にて取っ手が隣り合う支持脚よりも浴槽台の内側に位置するよう形成され、それにより、隣り合う支持脚の間には取っ手よりも浴槽台の外側となる所定のスペースが形成されている。この場合、そのスペースを使用者が台部上に座る際の足引きスペースとして利用することができる。これにより、使用者の足と同じ側に取っ手を設けることで取っ手の使い勝手をよくしながらも、足引きスペースを利用して立ち座りをし易くすることができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は浴槽台10を斜め上方から見た斜視図であり、図2は浴槽台10を斜め下方から見た斜視図である。
図1及び図2に示すように、浴槽台10は、台部11と、その台部11を支持する複数の支持脚12とを備える。台部11は、平面視において矩形形状とされ、詳しくは長方形状とされている。これにより、台部11は、平面視における4つの辺部のうち、2つの辺部が長辺部11aとなっており、残りの2つの辺部が短辺部11bとなっている。また、台部11の四隅にはそれぞれ支持脚12が取り付けられている。
台部11は、合成樹脂製の座部13と、その座部13を下方から支える金属製のフレーム体14とを備える。座部13は、天板部15と、その天板部15の周縁部から下方に延びる側板部16とを有している。天板部15は、平面視の形状が長方形状とされており、詳しくは、その四隅に天板部15の対角線方向に張り出した張出部15aが形成されている。また、側板部16は、天板部15の周縁部に沿って環状に形成されている。
天板部15の上面には座面シート17が敷設されている。座面シート17はクッション材により形成され、その上面が座面となっている。なお、座面シート17は必ずしもクッション材により形成される必要はなく、ゴム材により形成されてもよい。
フレーム体14は、アルミダイカストにより成形された平面視矩形の枠体からなる。フレーム体14は、座部13の天板部15の下面側に設けられ、その周囲が側板部16により囲まれた状態で配置されている。フレーム体14は、矩形枠状をなす外周枠部21を有している。外周枠部21は、側板部16の内面に沿って延びる4つ(4辺)の枠辺部22,23と、外周枠部21の4隅に設けられた4つの筒状部24とを有している。
各枠辺部22,23のうち、座部13の長辺側に配置された一対の枠辺部22は長辺側枠辺部22となっており、座部13の短辺側に配置された一対の枠辺部23は短辺側枠辺部23となっている。また、各筒状部24は上下に延びる筒状をなしており、その筒状部24により隣り合う枠辺部22,23同士が互いに連結されている。
なお、フレーム体14は、外周枠部21に加え、その外周枠部21において対角に位置する筒状部24同士を繋ぐとともに互いに交差した状態で接続される一対の繋ぎ部25をさらに有している。これにより、フレーム体14の強度向上が図られている。
フレーム体14には、座部13が着脱可能に取り付けられている。座部13は、その天板部15の下面側にフレーム体14に係合可能な複数の係合部26を有している。これらの係合部26は、天板部15の四隅付近にそれぞれ配置されている。座部13は、その天板部15がフレーム体14の上に載置された状態で、各係合部26がフレーム体14の外周枠部21に下方から係合されている。これにより、その係合によって、座部13がフレーム体14に着脱可能に取り付けられている。この場合、座部13やフレーム体14を清掃する際に、座部13をフレーム体14から取り外して清掃することが可能となっている。
支持脚12は、上下方向に延びる筒状をなしており、金属製とされている。各支持脚12は、その上端部がフレーム体14の筒状部24に挿入され、その挿入状態でフレーム体14に取り付けられている。また、各支持脚12は、その脚長さがそれぞれ調整可能とされている。
各支持脚12の下端部には脚ゴム27が取り付けられている。脚ゴム27には、その底面部に吸盤28が設けられている。脚ゴム27と吸盤28とはゴム材による一体成形により形成されている。
ここで、本浴槽台10には、使用者が浴槽台10を移動させる際に把持するための取っ手31が設けられている。取っ手31は、台部11における各長辺部11aにそれぞれ設けられている。本浴槽台10では、この取っ手31に関する構成に特徴を有しており、以下においてはその特徴的な構成について図3及び図4を用いながら説明する。図3は、浴槽台10を台部11の長辺部11a側から見た側面図である。図4は、取っ手31の周辺を斜め下方から見た斜視図である。
図3及び図4に示すように、フレーム体14の外周枠部21の各長辺側枠辺部22は、上側に座部13の天板部15が載置される載置板部22aと、その載置板部22aから下方に延び座部13の側板部16と対向する対向板部22bとを有している。各長辺側枠辺部22の対向板部22bは座部13の側板部16よりも下方に延出した延出部分32を有しており、それら各延出部分32によりそれぞれ取っ手31が形成されている。
各取っ手31は、長辺側枠辺部22の長手方向に延びる横長形状とされ、換言すると台部11の長辺部11aに沿って延びる横長形状とされている。各取っ手31は、長辺部11aにおける中間部に配置され、詳しくは中央部に配置されている。
各取っ手31は、座部13の側板部16よりも下方に突出する板状をなす取っ手板部33を備える。取っ手板部33は、長辺部11aに沿って延びる横長形状とされ、全体として逆台形形状とされている。これにより、取っ手板部33は、長辺部11aに沿う方向(以下、長辺方向という)の長さが下方に向かうにつれて小さくなっている。なお、取っ手板部33が「板部」に相当する。
詳しくは、取っ手板部33は、長辺方向に延びる下縁部33aと、その下縁部33aの両端部からそれぞれ上方に延びる一対の側縁部33bとを有しており、各側縁部33bが上側に向かうにつれ互いに離間するように傾斜して延びている。より詳しくは、下縁部33aの両端部にはそれぞれ円弧状をなす円弧部33cが形成され、その円弧部33cを介して下縁部33aが側縁部33bと滑らかに接続されている。
取っ手板部33には、その下縁部33aに沿って延び取っ手板部33の裏側に突出する突出部35が設けられている。本取っ手31においてはこの突出部35により指掛け部36が形成されている。これにより、その指掛け部36に指を掛けて取っ手31を持つことが可能となっている。
また、突出部35は、下縁部33aと各側縁部33bと(円弧部33cと)に連続して形成されており、詳しくは下縁部33aの全域と各側縁部33bの全域とに亘って連続して形成された突条部とされている。また、取っ手板部33の表側の面は突出部35にかけて曲面状をなしており、詳しくは突出部35にかけて円弧状をなす円弧面とされている。この円弧面は突出部35の全域に亘って形成されている。
取っ手31は、長辺部11aの側から側面視した場合、隣り合う支持脚12の間に配置されており、詳しくは隣り合う支持脚12の間における中央部に配置されている。この場合、取っ手31は、上記側面視において、各支持脚12からそれぞれ離間されており、これにより、取っ手31と各支持脚12との間にはそれぞれ所定のスペース41が形成されている。なお、長辺部11aが「所定の辺部」に相当する。
各スペース41は、使用者が浴槽台10(台部11)の上に座る際に、使用者の足を台部11の下方に引き入れることを可能とする足引き用のスペースとなっている。後述するように、使用者が台部11上に座る際には、その足を長辺部11aの側に配置した状態で座ることになる。そして、この際に、使用者の足を台部11下に引くことができるよう、これらのスペース41が設けられている。
また、上述したように、取っ手31は、長辺方向の長さが下方に向かうにつれて小さくなっている。このため、取っ手31を挟んだ両側の各スペース41はその長辺方向の長さ(幅)が下側ほど大きくされており、そのため、これら各スペース41は下側ほど幅広に形成されたスペースとなっている。また、これら各スペース41は、取っ手31を挟んで互いに対称となるように形成されている。
なお、取っ手31の下端部の高さ位置、すなわち取っ手板部33の下縁部33aの高さ位置は浴槽台10の下端(詳しくは、浴槽台10を洗い場床や浴槽の底面に載置する際に載置面となる脚ゴム27の底面部)から60mm以上上方の位置に設定されている。より詳しくは、支持脚12の脚長さが最も短い長さに設定されている場合にも、取っ手31の下端部が浴槽台10の下端から60mm以上上方に位置するように高さ位置が設定されている。これにより、万が一、使用者が取っ手31の下方に足を入れたとしても、足が取っ手31に引っ掛かって抜けなくなる事態が生じにくくなっている。
続いて、浴槽台10の使用方法について図5及び図6を用いながら説明する。図5は、浴槽台10を浴槽内に配置した状態を示す平面図である。図6は、(a)が使用者が浴槽台10に座った状態を示す正面図であり、(b)が側面図である。
図5に示すように、浴槽台10を浴槽45内で使用する場合には、台部11の各短辺部11bが浴槽45の長辺と平行となるように浴槽台10を浴槽45内に配置する。この場合、浴槽台10は、台部11の各短辺部11bが浴槽45の壁45a(周壁)に近接した状態で配置される。浴槽台10を浴槽45内に配置する際には、取っ手31を持って浴槽台10を浴槽45内に移動させ配置する。この場合、取っ手31は台部11の長辺部11aに設けられているため、取っ手31が持ち易くなっている。
浴槽台10を浴槽45内に配置した後、浴槽台10を浴槽45の底面45bに上方から押し付けることで、浴槽台10の下端に設けられた吸盤28を底面45bに対して吸着させる。これにより、浴槽台10が底面45bに対して固定された状態となる。
使用者Uは浴槽45内に配置された浴槽台10を踏み台として利用したり、腰掛けとして利用したりすることができる。例えば使用者Uが浴槽台10を腰掛けとして使用する場合、使用者Uは台部11の長辺部11aの側に足を配置した状態で台部11上に座ることになる。この場合、使用者Uの足が配置される長辺部11a側には上述したように取っ手31が設けられている。このため、使用者Uが取っ手31を持って浴槽台10を浴槽45から取り出す際等に好都合となっている。
ところで、取っ手31が、使用者Uの足が配置される長辺部11a側に設けられている場合、使用者Uの足と取っ手31との干渉が生じるおそれがある。この点、本浴槽台10では、取っ手31が、長辺部11aおいて、当該取っ手31の両側にそれぞれ所定のスペース41を形成するように配置されている。このため、使用者Uが台部11上に座る際には、図6(a)及び(b)に示すように、両足をそれぞれ各スペース41を通じて台部11下に引いた状態で座ることが可能となっている。また、使用者Uが台部11上に座ったり台部11上から立ち上がったりする際にも、使用者Uは台部11下に足を引いた状態で立ち座りすることが可能となっている。このため、本浴槽台10によれば、取っ手31を長辺部11a側に設けることにより浴槽台10の取り扱いをし易くしながらも、使用者Uの台部11上への立ち座りがし易くなっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
台部11の長辺部11aに、下方に向けて突出し長辺部11aに沿って延びる取っ手31を設けたため、浴槽台10を移動させる際、その取っ手31を持って移動させることができる。これにより、浴槽台10の取り扱いを容易にすることができる。また、かかる取っ手31を、その長手方向の両側に所定のスペース41を形成するよう配置したことで、上述したような効果を得ることができる。
取っ手31の長さ(詳しくは長辺部11aの延びる方向の長さ)を下側に向かうほど小さくしたため、取っ手31と支持脚12との間のスペース41を下側ほど幅広にすることができる。この場合、使用者が上記スペース41を足引きスペースとして利用する上で、足を引き入れ易くすることができる。また、取っ手31の長さは上側(取っ手基端側)ほど長くなっているため、取っ手31の強度確保を図りながら上記の効果を得ることができる。
取っ手板部33の下縁部33aに沿って取っ手板部33の裏側に突出する突出部35を設け、その突出部35により指掛け部36を形成した。この場合、指掛け部36に指を掛けて取っ手31を持つことができるため、取っ手31を持ち易くすることができる。
ここで、例えば、取っ手31を板状ではなく棒状とすることも考えられるが、その場合、強度面の問題から取っ手31を金属材料により形成しなければならない等、補強時の制約が生じるおそれがある。また、棒状の取っ手の場合、取っ手を持って浴槽台を傾けた際に指が他の部分に干渉するおそれがある。その点、取っ手31を板状とし、その裏側に突出する突出部35により指掛け部36を形成した上記の構成では、取っ手31の強度確保を図り易いとともに、取っ手31を持った際に指が他の部分に干渉しにくくすることができる。
突出部35を、取っ手板部33の下縁部33aと各側縁部33bとに連続して形成して突条部とした。この場合、使用者が取っ手31を持った際に手が左右にずれるのを抑制することができるため、手が滑り易い浴室内において取っ手31を安定した状態で持つことが可能となる。
また、取っ手板部33において各側縁部33bはそれぞれ取っ手31と支持脚12との間のスペース41に隣接している。この点、取っ手板部33の表側の面を突条部(突出部35)にかけて曲面状としたため、使用者が上記スペース41に足を引き入れた際、その足が取っ手31の縁に当たっても使用者は不快感を感じにくくなっている。
取っ手31を各長辺部11aにそれぞれ設けたため、取っ手31を持って浴槽台10を移動させる際等に、浴槽台10の向き(例えば取っ手31がいずれの側にあるか等)をいちいち気にする必要がなく使い勝手がよい。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、取っ手31をフレーム体14の一部を用いて形成したが、これを変更して、取っ手をフレーム体14とは別体で形成し、その取っ手をフレーム体14にねじ等の固定部材を用いて固定するようにしてもよい。
・また、取っ手をフレーム体14とは別体で形成する場合、その取っ手を板状に形成してもよいし、棒状に形成してもよい。例えば、取っ手を棒状に形成する場合、棒材を下方に凸となるように折り曲げることで取っ手を形成することが考えられる。この場合、棒材の上端側をフレーム体14の外周枠部21に固定し、棒材において凸部を含む下側部分を座部13の側板部16よりも下方に延出させ取っ手とする。この場合、取っ手における上記凸部を持って浴槽台10を移動させることが可能となる。
但し、上記のように棒状の取っ手とした場合、取っ手を持って浴槽台10を傾けた際に、使用者の指が座部13の側板部16等に干渉してしまうおそれがあるし、また取っ手の強度確保のために取っ手を金属製としなければならない等の制約が生じるおそれもある。このため、かかる点を鑑みると、上記実施形態のように、取っ手を板状に形成するのが望ましいといえる。
・上記実施形態では、取っ手31をフレーム体14に設けたが、取っ手31を座部13に設けるようにしてもよい。この場合、座部13の側板部16の一部を下方に突出させ、その突出した部分を取っ手とすることが考えられる。また、座部13とは別体で取っ手を形成し、その取っ手を座部13の側板部16よりも下方に突出させた状態で当該座部13に取り付けるようにしてもよい。これらの場合にも、取っ手を各支持脚12との間に所定のスペースを形成するよう配置することで、使用者が座部13に立ち座りする際の足引きスペースを確保しながら、取っ手を設けることができる。
なお、取っ手31を座部13に設ける場合には、取っ手31を持って浴槽台10を移動させる際に、フレーム体14に係合状態で取り付けられた座部13がフレーム体14から外れてしまうことが懸念される。このため、取っ手31を座部13に設ける場合には、仮に座部13がフレーム体14から外れてもフレーム体14が座部13から脱落しないようにする脱落防止のための構成を設けるのが望ましい。
・上記実施形態では、取っ手31の長辺方向(長辺部11aに沿う方向)の長さを下方に向かうにつれて小さくなるようにしたが、これを変更して、取っ手31の長辺方向の長さを取っ手31の上下方向全域に亘って同じ長さにしてもよい。
・上記実施形態では、取っ手31を座部13に設けたが、取っ手を支持脚12に設けるようにしてもよい。その場合の例について図7及び図8を用いながら説明する。図7は、(a)が取っ手周辺の構成を斜め上方から見た斜視図であり、(b)が斜め下方から見た斜視図である。図8は、取っ手の構成を示す概略平面図である。なお、図8では便宜上、台部11を仮想線で示している。
図7及び図8に示すように、浴槽台50には、台部11よりも下方に隣り合う支持脚12を連結する連結材51が設けられている。連結材51は、平面視において台部11の各長辺部11a側にそれぞれ設けられている。連結材51は、台部11から下方に離間させて配置されている。
連結材51は、金属製の棒材が曲げ加工されることにより形成されている。連結材51は、隣り合う支持脚12にそれぞれ連結される一対の連結端部51aと、各連結端部51aからそれぞれ短辺部11bの延びる方向(以下、短辺方向という)において浴槽台50の内側に向けて延びる一対の第1部分51bと、それら各第1部分51bの端部同士(詳しくは反連結端部51a側の端部同士)を繋ぐ第2部分51cとを有する。連結材51では、各第1部分51bと第2部分51cとにより中間部分が構成されている。この中間部分は、平面視において略コ字状をなしており、その溝部を浴槽台50の外側に開放させた状態で配置されている。なお、連結材51は、棒材により形成されることに代えて、帯板状の鋼板等により形成されてもよい。
連結材51の各第1部分51bは、浴槽台50の内側に向かうほど互いに近づくよう短辺方向に対して傾斜させて形成されている。第2部分51cは、長辺方向に沿って直線状に延びており、短辺方向において隣り合う支持脚12よりも浴槽台50の内側に位置している。連結材51では、この第2部分51cにより取っ手53が形成されている。このため、浴槽台50を移動させる際には、その取っ手53を持って移動させることができる。
隣り合う支持脚12の間には、この取っ手53よりも浴槽台50の外側となる所定のスペース55が形成されている。このスペース55は、使用者が台部11上に座る際に足を台部11下に引き入れることを可能とする足引きスペースとなっている。したがって、本浴槽台50においても、取っ手53と同じ側に足引きスペースが確保されている。このため、台部11上に座る使用者の足と同じ側に取っ手53を設けた構成にあって、その足引きスペースを利用して台部11上への立ち座りをし易くすることができる。
・上記実施形態では、取っ手板部33の裏側に突出する突出部35を取っ手板部33の下縁部33aと各側縁部33bとに連続させて形成したが、これを変更して、突出部35を取っ手板部33の下縁部33aにのみ形成してもよい。その場合にも、突出部35により指掛け部36が形成されるため、その指掛け部36に指を掛けながら取っ手31を持つことができる。
なお、取っ手板部33の裏側に突出部35(指掛け部36)を設けないようにしてもよい。
・上記実施形態では、フレーム体14をアルミダイカスト(鋳造)により形成したが、フレーム体を、鋼板により形成したり、パイプ材を組み合わせて形成したりしてもよい。これらの場合にも、フレーム体に取っ手を設けることで、浴槽台10の取り扱いをし易くすることができる。
・上記実施形態では、取っ手31を台部11の各長辺部11aにそれぞれ設けたが、取っ手31を各長辺部11aのうちいずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、台部11を平面視において長方形状としたが、これを変更して、正方形状としてもよい。その場合、台部11の各辺部のうちいずれかの辺部に取っ手31を設け、その取っ手31の両側に所定のスペース41を形成すればよい。