ところで、浴槽台を踏み台として用いる場合、使用者が台部上における辺縁に乗ることが考えられる。その場合、浴槽台が倒れる方向への荷重が生じて浴槽台が転倒してしまうことが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、使用者が台部上の辺縁に乗った際に転倒するのを抑制することができる浴槽台を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の浴槽台は、天板部が平面視において矩形形状とされている台部と、その台部の下方に設けられた複数の支持脚と、を備え、前記天板部は、その4つの隅部のうち隣り合う2つの隅部がそれぞれ外方に張り出した張出隅部とされており、それら各張出隅部により、前記天板部には、隣り合う前記張出隅部の間において前記天板部の内側へ向けて凹む凹部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、台部において平面視矩形をなす天板部の4つの隅部のうち隣り合う2つの隅部がそれぞれ外方に張り出す張出隅部とされている。そして、それら各張出隅部により、天板部には、隣り合う張出隅部の間において天板部の内側へ向けて凹む凹部が形成されている。これにより、天板部(台部)の辺縁に使用者が乗った際に、浴槽台が倒れる方向への荷重を生じにくくすることができ、その結果、浴槽台が転倒するのを抑制することができる。
第2の発明の浴槽台は、第1の発明において、前記支持脚は前記台部の4隅にそれぞれ配置されており、前記天板部は、前記4つの隅部がそれぞれ対角線方向に張り出した前記張出隅部とされており、それら4つの各張出隅部により、前記天板部には、4つの辺部ごとに、隣り合う前記張出隅部の間において前記天板部の内側へ向けて凹む前記凹部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、天板部の4つの隅部がそれぞれ対角線方向に張り出した張出隅部とされ、それにより、天板部の4つの辺部ごとに、隣り合う張出隅部の間で天板部の内側へ向けて凹む凹部が形成されている。この場合、使用者が天板部(台部)におけるいずれの辺縁に乗った際にも、浴槽台が倒れる方向への荷重を生じにくくすることができ、その結果、浴槽台が転倒するのを抑制することができる。
第3の発明の浴槽台は、第2の発明において、前記天板部は、長辺部と短辺部とを前記辺部として有する長方形状とされ、前記長辺部では、前記凹部の深さが前記短辺部よりも深くなっていることを特徴とする。
ところで、浴槽台を浴槽内で使用する場合には、天板部の各短辺部を浴槽の長辺と平行となるように浴槽台を浴槽内に配置するのが一般である。この場合、浴槽台は、天板部の各短辺部をそれぞれ浴槽の壁に近接させた状態で配置される。このように配置された浴槽台を踏み台として使用する場合、使用者は天板部上に乗って浴槽への出入りを行うことになる。また、浴槽台を腰掛けとして使用する場合、使用者は天板部の長辺側に足を配置した状態で台部上に座ることになる。
そこで、本発明では、このような浴槽台の使われ方に鑑み、天板部の長辺部では凹部の深さを深くし、短辺部では凹部の深さを浅くしている。この場合、使用者が天板部の上に座ったり天板部から立ち上がったりする際に、長辺部の凹部に足をしっかり引いた状態で立ち座りすることが可能となる。これにより、使用者が立ち座りする際、自らの足を当該使用者の重心近くに位置させることができるため、立ち座りをし易くすることができる。
その一方で、天板部の短辺部では、凹部の深さが浅くされているため、浴槽内に浴槽台を配置した際、天板部と浴槽の壁との間に隙間が発生するのを抑えることができる。これにより、使用者が天板部上に乗って浴槽へ出入りする際、その出入りをし易くすることができる。
第4の発明の浴槽台は、第2又は第3の発明において、前記天板部は、長辺部と短辺部とを前記辺部として有する長方形状とされ、前記天板部には、前記各辺部ごとに、前記凹部における底部の両端側にそれぞれ前記底部に対して滑らかに繋がる円弧状をなす円弧部が形成され、前記短辺部では、前記長辺部よりも前記円弧部の曲率が小さくされていることを特徴とする。
本発明によれば、天板部の各辺部ごとに、凹部における底部の両端側にそれぞれ当該底部に対して滑らかに繋がる円弧部が形成されている。この円弧部は、その曲率が長辺部よりも短辺部の方が小さくされているため、短辺部においては、底部に繋がる円弧部の長さを長くすることができる。これにより、浴槽台を浴槽内に配置した際に、天板部の短辺部と浴槽の壁との間に生じる隙間をより一層抑えることができる。
第5の発明の浴槽台は、第4の発明において、前記長辺部では、前記凹部の前記底部が直線状に形成されていることを特徴とする。
上記第4の発明では、凹部における円弧部の曲率が短辺部よりも長辺部の方が小さくされているため、長辺部においては円弧部の長さを短くすることができる。そのため、長辺部においては、凹部における底部の長さ(平面視長さ)を長く確保することができる。そして、本発明では、長辺部においては、凹部の底部が直線状とされている。これにより、長辺部の凹部を使用者が立ち座りする際に足を引き入れる足引きスペースとして利用する上で利用し易くすることが可能となっている。
第6の発明の浴槽台は、第2乃至第5のいずれかの発明において、前記各支持脚の下端部にはそれぞれ脚ゴムが取り付けられており、前記天板部の前記各辺部ではそれぞれ、前記凹部が、平面視にて、隣り合う前記脚ゴムの間に入り込むように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、天板部の各辺部ではそれぞれ、凹部が、平面視にて、隣り合う脚ゴムの間に入り込むように形成されている。この場合、使用者が天板部において(凹部に隣接する)辺縁に乗った際に、浴槽台が脚ゴムの外縁部を支点として倒れるのを抑制することができる。そのため、浴槽台の転倒を好適に抑制することができる。
第7の発明の浴槽台は、第2乃至第6のいずれかの発明において、前記各支持脚の下端部にはそれぞれ脚ゴムが取り付けられており、前記各張出隅部は、平面視にて、前記張出隅部の下方に配置された前記脚ゴムが当該張出隅部の外側にはみ出さないように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、各張出隅部は、平面視にて、張出隅部の下方に配置された脚ゴムが当該張出隅部の外側にはみ出さないように形成されている。この場合、浴槽台を浴槽内に配置する際、天板部(詳しくは張出隅部)よりも先に脚ゴムが浴槽の壁に当たり、天板部をそれ以上浴槽の壁に近づけることができなくなるのを抑制することができる。これにより、浴槽台を浴槽内に配置した際に天板部と浴槽の壁との間に隙間が生じるのをより確実に抑制することができる。
第8の発明の浴槽台は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記支持脚は前記台部の4隅にそれぞれ配置されており、前記各支持脚の下端部にはそれぞれ脚ゴムが取り付けられており、隣り合う2つの前記張出隅部とそれら各張出隅部の下方に配置された前記各脚ゴムとをそれぞれ載置面上に載置することにより、前記天板部が上下に延びる向きで前記浴槽台を縦置きすることが可能とされていることを特徴とする。
本発明によれば、隣り合う2つの張出隅部とそれら各張出隅部の下方に設けられた各脚ゴムとをそれぞれ床面等の載置面上に載置することにより浴槽台を縦置きすることができる。これにより、浴槽台を4点支持で安定した状態で縦置きすることが可能となる。
第9の発明の浴槽台は、第8の発明において、前記台部には、前記浴槽台の前記縦置き状態において上辺部となる部分に取っ手が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、浴槽台の縦置き状態において上辺部となる部分に取っ手が設けられているため、浴槽台を縦置きする際には取っ手を持って浴槽台を移動させることができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は浴槽台10を斜め上方から見た斜視図であり、図2は浴槽台10を示す平面図である。
図1及び図2に示すように、浴槽台10は、台部11と、その台部11を支持する複数の支持脚12とを備える。台部11は、座部13と、その座部13を下方から支えるフレーム体14とを備える。座部13は、合成樹脂材料により形成され、天板部15と、その天板部15の周縁部から下方に延びる側板部16とを有している。天板部15は、平面視の形状が矩形形状とされ、詳しくは長方形状とされている。この場合、天板部15における4つの辺部18には、2つの長辺部18aと2つの短辺部18bとが含まれている。また、側板部16は、天板部15の周縁部に沿って環状に形成されている。
天板部15の上面には座面シート17が敷設されている。座面シート17はクッション材により形成され、その上面が座面となっている。なお、座面シート17は必ずしもクッション材により形成される必要はなく、ゴム材により形成されてもよい。
フレーム体14は、金属材料により形成された平面視矩形の枠体からなる(図4も参照)。フレーム体14は、座部13の天板部15の下面側に設けられ、その周囲が側板部16により囲まれた状態で配置されている。このフレーム体14に対して座部13が着脱可能に取り付けられている。
フレーム体14は、その周縁部の一部が座部13の側板部16よりも下方に延出しており、その延出した延出部分により取っ手35が形成されている。取っ手35は、台部11の各長辺部にそれぞれ設けられている。これにより、浴槽台10を移動させる際には、取っ手35を持って移動させることが可能となっている。
支持脚12は、上下に延びる筒状をなしており、金属製とされている。各支持脚12は、フレーム体14の4隅にそれぞれ取り付けられている。また、各支持脚12の下端部には脚ゴム27が取り付けられている。脚ゴム27には、その底面部に吸盤28が設けられている(図4参照)。脚ゴム27と吸盤28とはゴム材による一体成形により形成されている。
ここで、本浴槽台10では、座部13の天板部15の平面視形状に特徴を有している。以下においては、その特徴的な構成について説明する。
図2に示すように、座部13の天板部15は、その4つの隅部がそれぞれ天板部15の対角線方向に張り出した張出隅部21とされている。具体的には、天板部15における4つの隅部には、互いに対角に位置する2つの隅部が二組含まれている。そして、対角に位置する2つの隅部が、それら両隅部を結ぶ対角線の方向にそれぞれ張り出して張出隅部21とされている。また、天板部15には、各張出隅部21が形成されていることで、4つの辺部18ごとに凹部22が形成されている。これらの凹部22はそれぞれ、隣り合う張出隅部21の間において天板部15の内側に向けて凹んでいる。
続いて、張出隅部21及び凹部22の構成について図2に加え図3及び図4を用いながら説明する。図3は、張出隅部21と凹部22とを拡大して示す平面図である。図4は、脚ゴム27周辺を拡大して示す底面図である。
まず、張出隅部21について説明する。図2及び図3に示すように、各張出隅部21はそれぞれ、平面視における張出側の外縁が円弧状をなす張出縁部21aとなっている。張出縁部21aは、上記張出側(換言すると天板部15の対角線方向)に凸となる円弧状をなしている。また、各張出隅部21の張出縁部21aはいずれも同じ曲率とされている。
各張出隅部21の下方(詳しくは真下)にはそれぞれ支持脚12が配置されており、さらには支持脚12の下端部に取り付けられた脚ゴム27が配置されている。各脚ゴム27は、図4に示すように、略円盤状に形成されている。各脚ゴム27は、その平面視における外縁のうち外側の外縁が円弧状をなす脚ゴム縁部27aとなっている。詳しくは、4つの脚ゴム27のうち、対角に位置する2つの脚ゴム27について見た場合、それら2つの脚ゴム27の脚ゴム縁部27aは、それら各脚ゴム27が並ぶ方向における外側の外縁となっている。
脚ゴム27の脚ゴム縁部27aは、平面視にて、その脚ゴム27の上方にある張出隅部21の張出縁部21aと同じ円弧中心を有する円弧状をなしている。また、これら脚ゴム縁部27a及び張出縁部21aはいずれもその曲率が同じとされている。このため、これら脚ゴム縁部27a及び張出縁部21aは平面視において互いに重なった状態とされている。したがって、脚ゴム27は、平面視にて、その上方の張出隅部21から外側にはみ出さないように設けられている。
続いて、凹部22について説明する。図2~図4に示すように、凹部22は、その底部31が平面視において直線状に延びている。詳しくは、凹部22の底部31は、当該凹部22が形成されている辺部18の延びる方向に直線状に延びている。また、各凹部22の底部31はそれぞれ、平面視において、隣り合う脚ゴム27の間に位置している。これにより、各凹部22はそれぞれ、平面視にて、隣り合う脚ゴム27の間に入り込むように形成されている。
天板部15には、各凹部22ごとに、凹部22の底部31の両端側にそれぞれ(平面視にて)円弧状をなす円弧部32が形成されている。これら各円弧部32はいずれも曲率が同じとされており、底部31に対して滑らかに繋がっている。
天板部15において凹部22の底部31と各円弧部32とはいずれも天板部15の外縁(換言すると凹部22の外縁)を構成している。各円弧部32はそれぞれ、底部31側とは反対側で張出隅部21の張出縁部21aと滑らかに繋がっている。したがって、各円弧部32は、凹部22の底部31と張出隅部21の張出縁部21aとを滑らかに繋ぐ繋ぎ部となっている。
天板部15に形成された各凹部22のうち、長辺部18aに形成された凹部22(以下、長辺側凹部22aともいう)と、短辺部18bに形成された凹部22(以下、短辺側凹部22bともいう)とは、互いの形状が相違している。そこで、以下においては、それら長辺側凹部22a及び短辺側凹部22bの相違点について説明する。なお、以下の説明では、長辺側凹部22aの底部31及び円弧部32についてはその符号にaを付し、短辺側凹部22bの底部31及び円弧部32についてはその符号にbを付す。
長辺側凹部22aでは、その深さH1が短辺側凹部22bの深さH2よりも深くなっている(H1>H2)。例えば、長辺側凹部22aの深さH1は短辺側凹部22bの深さH2の約2倍となっている。また、長辺側凹部22aでは、各円弧部32aの曲率が短辺側凹部22bの各円弧部32bの曲率よりも大きくなっている。この場合、長辺側凹部22aでは、それに起因して、各円弧部32aの長さが短辺側凹部22bの各円弧部32bの長さよりも短くなっている。例えば、長辺側凹部22aの各円弧部32aの長さは短辺側凹部22bの各円弧部32bの長さの半分以下となっている。さらに、長辺側凹部22aでは、各円弧部32aの長さが短くされていること等に起因して、底部31aの長さ(平面視長さ)が短辺側凹部22bの底部31bの長さ(平面視長さ)よりも長くなっている。例えば、長辺側凹部22aの底部31aの長さは短辺側凹部22bの底部31bの長さの1.5倍~2倍となっている。
以上が、天板部15の平面視形状に関する説明である。なお、天板部15は、全体として見ると、長辺部18aの延びる方向(以下、長辺方向ともいう)の中心線に対して線対称となるように形成されているとともに、短辺部18bの延びる方向(以下、短辺方向ともいう)の中心線に対して線対称となるように形成されている。
続いて、浴槽台10の使用方法について図5に基づいて説明する。図5は、浴槽台10を浴槽内に配置した状態を示す平面図である。
図5に示すように、浴槽台10を浴槽45内で使用する場合には、座部13の天板部15の各短辺部18bが浴槽45の長辺と平行となるように浴槽台10を浴槽45内に配置する。この場合、浴槽台10は、天板部15の各短辺部18bが浴槽45の壁45a(周壁)に近接した状態で配置される。
使用者Uは浴槽45内に配置された浴槽台10を踏み台として使用したり、腰掛けとして使用したりすることができる。使用者Uが浴槽台10を踏み台として使用する場合、使用者Uは浴槽台10の天板部15上に乗って浴槽45への出入りを行うことになる。ここで、使用者Uが浴槽45への出入りを行うに際しては、天板部15と浴槽45の壁45aとの間にできるだけ隙間が生じていないことが望ましい。
その点、本浴槽台10では、天板部15の短辺部18bにおいては、凹部22b(短辺側凹部22b)の深さを浅くしているため、浴槽台10を浴槽45内に配置した際に天板部15と浴槽45の壁45aとの間に隙間が発生するのを抑制することができる。このため、使用者Uが天板部15上に乗って浴槽45への出入りを行う際、その出入りをし易くすることができる。
また、使用者Uが浴槽台10を腰掛けとして使用する場合には、使用者Uは天板部15の長辺部18a側に足を配置した状態で座部13(天板部15)の上に座ることになる。この点、本浴槽台10では、天板部15の長辺部18aにおいては、凹部22a(長辺側凹部22a)の深さを深くしているため、使用者Uが天板部15の上に座ったり天板部15から立ち上がったりする際に、長辺側凹部22aに足をしっかり引いた状態で立ち座りすることが可能となる。これにより、使用者Uが立ち座りする際、自らの足を当該使用者Uの重心近くに位置させることができるため、立ち座りをし易くすることができる。
なお、長辺側凹部22aは、使用者Uの立ち座りに際し使用者Uの足を引き入れるために用いられることから足引きスペースということもできる。
続いて、使用者が浴槽台10を踏み台として使用する際の作用について、従来の浴槽台40と対比しながら説明する。図6は、(a)が従来の浴槽台40の作用を説明するための図であり、(b)が本実施形態の浴槽台10の作用を説明するための図である。
図6(a)に示すように、従来の浴槽台40は、本実施形態の浴槽台10と同様、台部41と、その台部41を支持する複数の支持脚42とを備える。台部41は、座部43を有しており、その座部43の天板部44が平面視にて長方形状をなしている。但し、天板部44は、上記実施形態の浴槽台10と異なり、張出隅部や凹部を有していない。また、各支持脚42の下端部には脚ゴム47が取り付けられている。
従来の浴槽台40を踏み台として使用する場合、使用者Uが天板部44上における辺縁に乗る場合が考えられる。このような場合、浴槽台40に、その浴槽台40が倒れる方向への荷重が生じて浴槽台40が転倒してしまうことが懸念される。すなわち、図6(a)にて一点鎖線で示すように、浴槽台40が脚ゴム47の外縁部を支点として転倒してしまうことが考えられる。
これに対して、本実施形態の浴槽台10では、図6(b)に示すように、天板部15の各辺部18ごとに凹部22が設けられているため、天板部15の辺縁に使用者Uが乗った場合に、使用者Uの足が、従来の浴槽台40と比べ、脚ゴム27の外縁部に対して内側に位置することになる。このため、使用者Uが天板部15の辺縁に乗った際に、浴槽台10に、その浴槽台10が脚ゴム27の外縁部を支点として倒れる方向への荷重が生じにくくなっており、その結果、浴槽台10が転倒してしまうのを抑制することが可能となっている。また、天板部15には、4つの各辺部18ごとに凹部22が設けられているため、使用者Uが天板部15上におけるいずれの辺縁に乗った際にも、浴槽台10が転倒するのを抑制することが可能となっている。
ところで、本浴槽台10では、上述したように、天板部15の4隅が張出隅部21とされているため、それら張出隅部21を利用して、浴槽台10を縦置きすることが可能となっている。以下、この点について図7を用いながら説明する。図7は、(a)が浴槽台10が縦置きされた状態を示す側面図であり、(b)が平面図である。
図7(a)及び(b)に示すように、浴槽台10は、隣り合う2つの張出隅部21と、それら各張出隅部21の下方(真下)に配置された2つの脚ゴム27とをそれぞれ床面等の載置面G上に載置することにより縦置きすることが可能となっている。すなわち、浴槽台10を、天板部15が上下方向に延びる向きで縦置きすることが可能となっている。詳しくは、本浴槽台10では、張出隅部21の張出縁部21aと、その張出隅部21の下方に配置されている脚ゴム27の脚ゴム縁部27aとが平面視にて互いに重なる円弧状をなしているため、浴槽台10を縦置きした際、天板部15が鉛直方向に延びるように配置される。
本浴槽台10では、このように縦置きすることが可能となっていることで、浴槽台10を使用した後、浴槽台10を縦置き状態にして乾かしたりすることが可能となっている。また、2つの張出隅部21と2つの脚ゴム27とによる4点支持で縦置きすることができるため、浴槽台10を安定した状態で縦置きすることができる。例えば、載置面上に凹凸等が生じている際にも、安定した状態で縦置きすることが可能となる。また、縦置きに際し、天板部15については張出隅部21だけが載置面G上に載置されるため、天板部15を乾かし易くすることができる利点もある。
また、図7の例では、浴槽台10が、天板部15の各短辺部18b(換言すると台部11の各短辺部)が上下方向に延びる向きで縦置きされている。この場合、浴槽台10は、天板部15の各長辺部18a(換言すると台部11の各長辺部)がそれぞれ天板部15(台部11)の上辺部及び下辺部となるように配置される。かかる浴槽台10の配置状態では、台部11の各長辺部に設けられた取っ手35が台部11の上辺部及び下辺部にそれぞれ配置される。そのため、浴槽台10を縦置きする際には、台部11の上辺部に配置されている取っ手35を持って浴槽台10を移動させることが可能となる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
上述したように、本実施形態の浴槽台10によれば、使用者が浴槽台10を踏み台として使用する際、使用者が天板部15上のいずれの辺縁に乗っても浴槽台10が転倒するのを抑制することができる。具体的には、天板部15の各辺部18において、凹部22を、平面視にて、隣り合う脚ゴム27の間に入り込むように形成したため、使用者が天板部15上のいずれの辺縁に乗っても、浴槽台10が脚ゴム27の外縁を支点として倒れるのを好適に抑制することができる。
天板部15の各辺部18ごとに、凹部22における底部31の両端側にそれぞれ当該底部31に対して滑らかに繋がる円弧部32を形成した。この円弧部32は、その曲率が長辺部18aよりも短辺部18bの方が小さくされているため、短辺部18bにおいては、底部31に繋がる円弧部32bの長さを長くすることができる。これにより、浴槽台10を浴槽45内に配置した際に、天板部15の短辺部18bと浴槽45の壁45aとの間に生じる隙間をより一層抑えることができる。
また、凹部22における円弧部32の曲率は短辺部18bよりも長辺部18aの方が小さくされているため、長辺部18aにおいては円弧部32aの長さを短くすることができる。そのため、長辺部18aにおいては、凹部22aにおける底部31aの長さ(平面視長さ)を長く確保することができる。また、長辺部18aにおいては、さらに凹部22aの底部31aを直線状に延びるよう形成した。これにより、長辺側凹部22aを使用者が立ち座りする際の足引きスペースとして利用する上で利用し易くすることが可能となる。
また、長辺側凹部22aの底部31aを直線状に形成したことで、使用者が天板部15の上に足を乗せる際、天板部15上における広い範囲に亘り安定した状態で足を乗せることができる。
各張出隅部21をそれぞれ、平面視にて、張出隅部21の下方に配置された脚ゴム27が当該張出隅部21の外側にはみ出さないように形成した。この場合、浴槽台10を浴槽45内に配置する際、天板部15(詳しくは張出隅部21)よりも先に脚ゴム27が浴槽45の壁45aに当たり、天板部15をそれ以上浴槽45の壁45aに近づけることができなくなるのを抑制することができる。これにより、浴槽台10を浴槽45内に配置した際に天板部15と浴槽45の壁45aとの間に隙間が生じるのをより確実に抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、凹部22の底部31を直線状に形成したが、凹部22の底部31は必ずしも直線状である必要はない。例えば、短辺側凹部22bの底部31bを天板部15の内側に向けて緩やかに凸となる円弧状に形成することが考えられる。
・上記実施形態では、長辺側凹部22aの円弧部32aの曲率を短辺側凹部22bの円弧部32bの曲率よりも小さくしたが、各円弧部32a,32bの曲率の大小関係は必ずしもこれに限定されない。例えば、長辺側凹部22aの円弧部32aの曲率を短辺側凹部22bの円弧部32bの曲率と同じとしてもよい。
・上記実施形態では、凹部22の底部31と張出隅部21の張出縁部21aとを繋ぐ繋ぎ部を円弧部32としたが。例えば、かかる繋ぎ部を底部31と張出縁部21aとを直線状に繋ぐ直線部とする等、円弧部以外の形状としてもよい。
・上記実施形態では、長辺側凹部22aの深さH1を短辺側凹部22bの深さH2よりも深くしたが(H1>H2)、長辺側凹部22aの深さH1を短辺側凹部22bの深さH2と同じとしたり(H1=H2)、短辺側凹部22bの深さH2より浅くしたりしてもよい(H1<H2)。ただ、長辺側凹部22aを足引きスペースとして利用する上では、上記実施形態のようにH1>H2とするのがよい。
・上記実施形態では、天板部15の4つの隅部をそれぞれ張出隅部21とすることで天板部15の4つの辺部18ごとに凹部22を形成したが、かかる凹部22は必ずしも4つの辺部18にそれぞれ設ける必要はない。例えば、天板部15の4つの辺部18のうち各長辺部18aにのみ凹部22を設けることが考えられる。この場合、天板部15の各張出隅部21をそれぞれ対角線方向に張り出すよう形成することに代えて、短辺部18bの延びる方向(短辺方向)に張り出すように(詳しくは長辺部18aの延びる方向には張り出さず短辺部18bの延びる方向にのみ張り出すように)形成することで、各長辺部18aにのみ凹部22を設けることが考えられる。
また、天板部15の4つの辺部18のうちいずれか一の辺部18にのみ、例えば一方の長辺部18aにのみ凹部22を設けるようにしてもよい。この場合、天板部15の4つの隅部のうち、上記一方の長辺部18aにおいて隣り合う2つの隅部のみ張出隅部21とする。具体的には、これら各張出隅部21をそれぞれ短辺方向に張り出すように形成する。
・上記実施形態では、凹部22を、平面視にて、隣り合う脚ゴム27の間に入り込むように形成したが、これを変更して、凹部22を、平面視にて、隣り合う脚ゴム27の間に入り込まないように形成してもよい。この場合にも、天板部44が凹部や張出隅部を有しない従来の浴槽台40と比べると、使用者が天板部15上の辺縁に乗った際に使用者の足が脚ゴム27の外縁部に対して内側に位置することになるため、浴槽台10が転倒する方向への荷重を生じさせにくくすることができ、その結果、浴槽台10の転倒を抑制することが可能となる。
・上記実施形態では、張出隅部21の張出縁部21aを、その張出隅部21の下方に配置された脚ゴム27の脚ゴム縁部27aと、平面視にて、同じ曲率であってかつ同じ円弧中心を有する円弧状に形成したが、これを変更してもよい。例えば、張出縁部21aを、平面視にて、脚ゴム縁部27aよりも小さい曲率(換言すると、脚ゴム縁部27aよりも大きい曲率半径)であってかつ、脚ゴム縁部27aと同じ円弧中心を有する円弧状に形成してもよい。この場合、張出縁部21aは、平面視において、脚ゴム縁部27aよりも大きい円弧半径で脚ゴム縁部27aに対して同心円弧状に形成される。このような構成であっても、張出隅部21は、平面視にて、その下方の脚ゴム27が当該張出隅部21からはみ出さないように形成されるため、浴槽台10を浴槽45内に配置する際、天板部15よりも先に脚ゴム27が浴槽45の壁45aに当たってしまうのを抑制することができる。
・上記実施形態では、天板部15を平面視において長方形状としたが、これを変更して、正方形状としてもよい。