JP7227431B2 - 塗料タンク搭載式の静電塗装装置 - Google Patents

Description

本開示は、塗料タンク装置に貯えた塗料を被塗物に向けて噴霧する塗料タンク搭載式の静電塗装装置に関する。

自動車のボディ等の被塗物を塗装する場合には、塗料の塗着効率を高めるために、静電塗装装置が用いられる。この静電塗装装置は、塗料に高電圧を印加して塗装を行う。また、昨今の塗装装置では、環境に配慮するために、シンナ等の溶剤の使用を控え、水性塗料を用いている。しかし、水性塗料を使用する場合には、塗装装置から塗料供給源に続く塗料供給流路内の水性塗料を通じて、印加した高電圧がリークしてしまう。これにより、水性塗料を用いる塗装装置は、塗料に直接的に高電圧を印加して塗装することができない。

そこで、静電塗装装置には、高電圧がリークする要因となる塗料供給流路を廃止したものがある。この塗装装置は、水性塗料に直接的に高電圧を印加した場合でも、高電圧のリークを抑制することができるカートリッジ式の静電塗装装置である。

カートリッジ式の静電塗装装置は、前側が塗装機取付部となり後側がカートリッジ取付部となったハウジングと、塗装機取付部に取付けられ、中空な回転軸を備えたエアモータおよび該エアモータの前側に位置して回転軸に取付けられた回転霧化頭からなる塗装機と、塗料を貯える塗料タンクおよび該塗料タンクから回転霧化頭に向けて延びたフィードチューブを有し、フィードチューブが回転軸内に挿入されると共にタンクがカートリッジ取付部に取付けられたカートリッジと、カートリッジの塗料タンク内に貯えた塗料を押し出すための液体が流通する押出液体流路と、ハウジングに設けられ、フィードチューブから吐出される塗料に高電圧を印加する高電圧発生器と、を含んで構成されている（特許文献１）。

これにより、カートリッジ式の静電塗装装置は、ハウジングに設けたカートリッジの塗料タンク（塗料）をアースから電気的に切り離して高電圧のリークを防止している。

特開平１１－２６２７２６号公報

上述したように、特許文献１のカートリッジ式の静電塗装装置では、カートリッジの塗料タンク内の塗料を液体によって押し出す構成としている。しかし、液体を用いて塗料を押し出す構造では、塗料の供給量を細かく調整できないため、塗装の仕上がり状態を安定させるのが難しいという問題がある。

そこで、例えば、電動モータ等の動力を用いて塗料室内の塗料を機械的に押し出す塗料タンク装置を備えることが考えられる。この場合、塗料タンク装置は、色替毎に、残存した塗料の排出および洗浄と外部からの塗料の充填とを行わなくてはならない。これらの作業は、塗装エリアと離れた洗浄充填エリアで、専用の色替弁装置に連結して行われるから、色替作業に時間を要してしまい、生産性が低下するという問題がある。

本発明の一実施形態の目的は、色替作業の時間を短縮して生産性を向上できるようにした塗料タンク搭載式の静電塗装装置を提供することにある。

本発明の一実施形態は、塗料の色替を行う色替弁装置に接続される塗料流入ポートを有するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、中空な回転軸を備えたエアモータおよび該エアモータの前側に位置して前記回転軸に取付けられた回転霧化頭からなる塗装機と、前記回転軸内を前記回転霧化頭に向けて延び、前記回転霧化頭に供給される塗料が流通する塗料流路と、前記ハウジングに設けられ、前記塗料流路を通じて塗料室に貯留された塗料を前記回転霧化頭に向けて供給する塗料タンク装置と、前記塗料流路から吐出される塗料に高電圧を印加する高電圧発生器と、を備えてなる塗料タンク搭載式の静電塗装装置において、前記塗料タンク装置の前記塗料室を洗浄するための洗浄流体を供給するタンク洗浄流路と、前記塗料室から流れ出た廃液を排出するための廃液排出流路と、前記塗装機による塗装終了後から前記ハウジングの前記塗料流入ポートを前記色替弁装置に接続するまでの間に前記塗料室を洗浄するための制御を行う制御装置と、を備え、前記タンク洗浄流路には、圧縮エアを供給するためのタンク側排出エア供給流路が接続され、前記廃液排出流路には、圧縮エアを供給するための廃液排出流体供給流路が接続されている。

本発明の一実施形態によれば、色替作業の時間を短縮して生産性を向上することができる。

本発明の実施形態に係る塗料タンク搭載式の静電塗装装置を塗装用ロボットに取付けた状態で示す全体構成図である。 図１中の塗料タンク搭載式の静電塗装装置を示す模式図である。 静電塗装装置を連結位置に移動して色替弁装置に連結した状態を示す全体構成図である。 塗料タンク搭載式の静電塗装装置の色替作業を示すタイムチャートである。

以下、本発明の実施形態に係る塗料タンク搭載式の静電塗装装置を、図１ないし図４に従って詳細に説明する。

図１において、塗装用ロボット１０１は、基台１０２と、基台１０２上に動作可能に設けられた垂直アーム１０３と、垂直アーム１０３の先端に回動可能に設けられた水平アーム１０４とを含んで構成されている。水平アーム１０４の先端側は、回転可能なブラケット１０４Ａとなっている。水平アーム１０４のブラケット１０４Ａには、塗料タンク搭載式の静電塗装装置１のハウジング２が取付けられている。なお、垂直アーム１０３と水平アーム１０４には、回転や回動が可能な他の関節を設けることもできる。

次に、図２において、本発明の実施形態に係る塗料タンク搭載式の静電塗装装置１の構成について述べる。静電塗装装置１は、高電圧発生器１０により塗料に高電圧を直接的に印加する直接帯電式の静電塗装装置である。また、静電塗装装置１は、高速回転する回転霧化頭６から塗料を噴霧する回転霧化頭型の塗装機３を備えている。さらに、静電塗装装置１は、貯えた塗料を回転霧化頭６に向けて供給する塗料タンク装置１１を備えている。

静電塗装装置１は、塗装用ロボット１０１の水平アーム１０４の先端に取付けられている。図２に示すように、静電塗装装置１は、ハウジング２、塗装機３、塗料流路８、高電圧発生器１０、塗料タンク装置１１、タンク洗浄流路１３、タンク洗浄流体弁１４、タンク側排出エア供給流路１５、第１逆止弁１７、廃液排出流路２２、廃液排出流体供給流路２３、第２逆止弁２５、制御装置３７を備えている。

ハウジング２は、前側が塗装機を取付けるための塗装機取付部２Ａとなっている。また、ハウジング２は、塗装機取付部２Ａから屈曲して延びたネック部２Ｂを有している。このネック部２Ｂは、先端が取付部２Ｂ１となっている。ハウジング２は、ネック部２Ｂの取付部２Ｂ１が塗装用ロボット１０１の水平アーム１０４を構成するブラケット１０４Ａに取付けられている。

また、塗装機取付部２Ａには、後述する塗装機３のエアモータ４が取付けられている。一方、ハウジング２の後側には、ネック部２Ｂに背負うように後述の塗料タンク装置１１が設けられている。さらに、ハウジング２には、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂに近い位置に塗料流入ポート２Ｃが設けられている。

ここで、図３に示すように、ハウジング２は、残塗料の洗浄、次色塗料の充填を行うエリアで専用の色替弁装置ＣＣＶＵ（Color change valve unit）に接続される。具体的には、塗料流入ポート２Ｃが、色替弁装置ＣＣＶＵの塗料流出ポートに接続される。

塗装機３は、ハウジング２の塗装機取付部２Ａに取付けられている。塗装機３は、エアモータ４、回転軸５、回転霧化頭６を含んで構成されている。塗装機３のエアモータ４は、塗装機取付部２Ａに取付けられている。このエアモータ４の中央には、回転軸５が回転可能に支持されている。エアモータ４は、外部からエアタービン（図示せず）に駆動用の圧縮エアが供給されることにより、回転軸５および回転霧化頭６を、例えば３０００～１５００００ｒｐｍの高速で回転させる。また、回転軸５は、中空な円筒体として形成されている。回転軸５の先端（前端）には、回転霧化頭６が取付けられている。さらに、回転軸５内には、後述のフィードチューブ７が挿通されている。

塗装機３の回転霧化頭６は、エアモータ４の前側に位置して回転軸５に取付けられている。回転霧化頭６は、後側から前側に向けて拡径するカップ状に形成されている。回転霧化頭６は、エアモータ４によって回転軸５と一緒に高速回転されることにより、塗料タンク装置１１から供給される塗料を微粒化して噴霧する。

フィードチューブ７は、回転軸５内に挿通して設けられ、その後端側は、ハウジング２に固定されている。一方、フィードチューブ７の前端側は、回転軸５から突出して回転霧化頭６内に延在している。フィードチューブ７には、後述の塗料流路８（霧化頭側流路８Ｂ）と洗浄流体流路２８とが設けられている。

塗料流路８は、回転軸５内を回転霧化頭６に向けて延びている。塗料流路８は、回転霧化頭６に供給される塗料が流通する。塗料流路８は、上流側が塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂに接続され、下流側がフィードチューブ７内を回転霧化頭６に向けて延びている。なお、塗料流路８には、塗料以外にも洗浄流体（シンナ、エア）が流通する。

また、塗料流路８の途中には、ニードル弁９が設けられている。これにより、塗料流路８は、塗料室１１Ｂとニードル弁９との間のタンク側流路８Ａと、ニードル弁９とフィードチューブ７との間の霧化頭側流路８Ｂとから構成されている。ニードル弁９は、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂから流出した廃液（残塗料、洗浄液）を廃液槽２１に排出するときに閉弁し、それ以外のときには開弁する切換弁として形成されている。

高電圧発生器１０は、ハウジング２に設けられている。高電圧発生器１０は、塗料流路８（霧化頭側流路８Ｂ）から吐出される塗料に高電圧を印加する。高電圧発生器１０は、例えばコッククロフト回路によって構成されている。高電圧発生器１０は、電源装置（図示せず）から供給される電圧を、例えば－６０～－１２０ｋＶに昇圧する。高電圧発生器１０の出力側は、例えばエアモータ４に電気的に接続されている。これにより、高電圧発生器１０は、エアモータ４、回転軸５、回転霧化頭６を通じて塗料に高電圧を直接的に印加することができる。

一方で、高電圧発生器１０によって塗料に印加される高電圧は、ハウジング２に塗料タンク装置１１を搭載した上で、タンク洗浄流路１３、廃液排出流路２２および霧化頭洗浄流路２９の洗浄流体等を排出して空洞化させることにより、リークが抑制されている。

塗料タンク装置１１は、ハウジング２の後側に設けられている。塗料タンク装置１１は、塗料流路８を通じて後述の塗料室１１Ｂに貯留された塗料を回転霧化頭６に向けて供給する。塗料タンク装置１１は、ネック部２Ｂに沿って延びる円筒状空間として形成された塗料タンクとしてのタンク本体１１Ａと、タンク本体１１Ａ内に軸方向に移動可能に挿嵌され、拡大、縮小可能な塗料室１１Ｂを画成したピストン１１Ｃと、ピストン１１Ｃから塗料室１１Ｂと反対側に延びたねじ軸１１Ｄと、ハウジング２に回転可能に取付けられ、内周側がねじ軸１１Ｄに螺合した従動歯車１１Ｅと、従動歯車１１Ｅに噛合した駆動歯車１１Ｆと、駆動歯車１１Ｆを回転させるサーボモータ１１Ｇとにより構成されている。塗料室１１Ｂには、塗料流路８（タンク側流路８Ａ）の上流側が接続されている。

塗料タンク装置１１は、サーボモータ１１Ｇによって駆動歯車１１Ｆを一の方向に回転（正転）することにより、従動歯車１１Ｅを回転させてねじ軸１１Ｄと一緒にピストン１１Ｃを矢示Ａ方向に移動させることができる（塗料供給）。一方、塗料タンク装置１１は、サーボモータ１１Ｇによって駆動歯車１１Ｆを他の方向に回転（逆転）することにより、ピストン１１Ｃを矢示Ｂ方向に移動させることができる（塗料充填）。

充填流路１２は、次色塗料等を塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂに供給する。充填流路１２は、上流側がハウジング２の塗料流入ポート２Ｃに開口し、下流側が塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂに接続されている。また、充填流路１２には、塗料の逆流（流出）を防ぐための逆止弁１２Ａが設けられている。この逆止弁１２Ａには、２方向２位置の切換弁を用いることもできる。

次に、本実施形態の特徴部分となるタンク洗浄流路１３、タンク洗浄流体弁１４、タンク側排出エア供給流路１５、第１逆止弁１７、廃液排出流路２２、廃液排出流体供給流路２３、第２逆止弁２５等の構成について述べる。これらは、塗料タンク装置１１に残存した塗料の洗浄、残存した洗浄液の排出を行う。

タンク洗浄流路１３は、洗浄流体供給源（図示せず）と充填流路１２とを接続している。タンク洗浄流路１３は、下流側が後述のゲート弁１９を介して充填流路１２に接続され、充填流路１２および塗料室１１Ｂに洗浄流体（洗浄液と洗浄エア）を供給する。洗浄液は、例えば、水にシンナ、アルコール等を混ぜた液体が用いられ、洗浄エアは、圧縮エアが用いられている。タンク洗浄流路１３には、洗浄エアを供給するための後述するタンク側排出エア供給流路１５が接続されている。

タンク洗浄流体弁１４は、タンク洗浄流路１３に設けられている。タンク洗浄流体弁１４は、タンク洗浄流路１３を連通または遮断し、洗浄流体の供給と停止を制御する。そして、タンク洗浄流体弁１４は、洗浄流体を供給するためのタンク側制御弁の一部を構成している。このタンク側制御弁は、タンク洗浄流体弁１４、洗浄液の供給源側の切換弁および洗浄エアの供給源側の切換弁（いずれも図示せず）を含んで構成されている。

タンク側排出エア供給流路１５は、ゲート弁１９を介してタンク洗浄流路１３に接続することができる。タンク側排出エア供給流路１５は、排出エア（圧縮エア）が流通する。この排出エアは、タンク洗浄流路１３に残存した洗浄液（洗浄流体）を排出する。タンク側排出エア供給流路１５は、上流側が第１排出エア供給弁１６を介して図示しない排出エア供給源（圧縮エア源）に接続され、下流側がゲート弁１９に接続されている。これにより、タンク側排出エア供給流路１５は、ゲート弁１９を介してタンク洗浄流路１３の下流端に接続することができる。

第１逆止弁１７は、タンク側排出エア供給流路１５に設けられている。第１逆止弁１７は、塗料タンク装置１１（ゲート弁１９）に向けて排出エアが流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。これにより、第１逆止弁１７は、タンク側排出エア供給流路１５に残存した洗浄液が、タンク側排出エア供給流路１５を通って第１排出エア供給弁１６側に流れるのを阻止している。

タンク側洗浄流体排出流路１８は、上流側がタンク洗浄流体弁１４とゲート弁１９との間に位置する接続点Ｃでタンク洗浄流路１３に接続されている。この接続点Ｃは、洗浄流体の流れ方向でタンク洗浄流体弁１４の下流側の直後に位置している。また、タンク側洗浄流体排出流路１８の下流側は、後述の廃液槽２１に接続されている。

ゲート弁１９は、充填流路１２とタンク洗浄流路１３とタンク側排出エア供給流路１５との間に設けられている。ゲート弁１９は、３方向２位置の切換弁からなり、図２に示す初期位置（基本位置）では、タンク洗浄流路１３とタンク側排出エア供給流路１５とを連通している。一方、制御信号によって初期位置から切換えられた切換位置では、充填流路１２とタンク洗浄流路１３とを連通させることができる。

具体的には、ゲート弁１９の初期位置では、タンク側排出エア供給流路１５からタンク洗浄流路１３に排出エアを供給することができる。タンク側排出エア供給流路１５からの排出エアは、タンク洗浄流路１３に残存した洗浄液を排出することができる。一方、ゲート弁１９の切換位置では、タンク洗浄流路１３から充填流路１２を通じて塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂに洗浄流体（洗浄液と洗浄エア）を供給することができる。

第１洗浄流体排出弁２０は、タンク側洗浄流体排出流路１８に設けられている。第１洗浄流体排出弁２０は、タンク側洗浄流体排出流路１８を連通または遮断する。第１洗浄流体排出弁２０は、タンク洗浄流体弁１４が開弁しているときに閉弁し、洗浄流体がタンク側洗浄流体排出流路１８側に流れるのを阻止する。一方、第１洗浄流体排出弁２０は、開弁することにより、排出エアによってタンク洗浄流路１３から押し出された洗浄液を、タンク側洗浄流体排出流路１８を通じて廃液槽２１に排出させる。さらに、第１洗浄流体排出弁２０は、タンク洗浄流路１３から洗浄液を押し出された後に閉弁することにより、廃液槽２１からの廃液の逆流を防止して電気的な遮断状態を維持する。

廃液排出流路２２は、塗料流路８のタンク側流路８Ａと廃液槽２１とを接続している。廃液排出流路２２は、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂから流れ出た廃液（残塗料、洗浄液）を排出するための流路である。廃液排出流路２２には、圧縮エアを供給するための後述する廃液排出流体供給流路２３が接続されている。

廃液排出流体供給流路２３は、第１排出弁２６を介して廃液排出流路２２に接続することができる。廃液排出流体供給流路２３は、廃液排出流路２２に残存した塗料を洗浄するための洗浄液と、廃液排出流路２２から塗料を含む洗浄液を排出するための排出エア（圧縮エア）とが流通する。廃液排出流体供給流路２３は、上流側が排出流体供給弁２４を介して排出エアを含む流体の供給源（図示せず）に接続され、下流側が第１排出弁２６に接続されている。これにより、廃液排出流体供給流路２３は、第１排出弁２６を介して廃液排出流路２２の上流端に接続することができる。

なお、排出流体供給源は、洗浄液（シンナ）の供給源と、洗浄エア、排出エアとして用いられる圧縮エアの供給源と、洗浄液と圧縮エアとの供給量（例えば供給時間）を制御する制御弁（いずれも図示せず）とを含んで構成されている。

第２逆止弁２５は、廃液排出流体供給流路２３に設けられている。第２逆止弁２５は、第１排出弁２６（廃液排出流路２２）に向けて洗浄流体（洗浄液を含む）、排出エアが流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。これにより、第２逆止弁２５は、廃液排出流路２２に残存した洗浄液や塗料が、廃液排出流体供給流路２３を排出流体供給弁２４側に流れるのを阻止している。

そして、第２逆止弁２５は、洗浄流体を供給するための廃液排出側制御弁の一部を構成している。この廃液排出側制御弁は、第２逆止弁２５、洗浄液の供給源側の切換弁および洗浄エアの供給源側の切換弁を含んで構成されている。

第１排出弁２６は、塗料流路８のタンク側流路８Ａと廃液排出流路２２と廃液排出流体供給流路２３との間に設けられている。第１排出弁２６は、３方向２位置の切換弁からなり、図２に示す初期位置（基本位置）では、廃液排出流路２２と廃液排出流体供給流路２３とを連通している。一方、制御信号によって切換位置に切換えられたときには、塗料流路８のタンク側流路８Ａと廃液排出流路２２とを連通させることができる。

具体的には、第１排出弁２６の初期位置では、廃液排出流路２２と廃液排出流体供給流路２３とを接続することにより、洗浄排出用の流体を廃液排出流体供給流路２３から廃液排出流路２２に供給することができる。即ち、廃液排出流体供給流路２３からの流体のうち、洗浄液、洗浄エアは、廃液排出流路２２に付着した廃液を洗浄することができる。また、廃液排出流体供給流路２３からの流体のうち、排出エアは、廃液排出流路２２に残存した廃液（塗料、洗浄液）を廃液槽２１に排出することができる。

一方、第１排出弁２６の切換位置では、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂから塗料流路８のタンク側流路８Ａに流出した残塗料、洗浄液等の廃液を、廃液排出流路２２を通じて廃液槽２１に排出することができる。このときに、廃液排出流体供給流路２３は、第２逆止弁２５によって廃液の逆流を防止している。

第２排出弁２７は、第１排出弁２６と廃液槽２１との間に位置して廃液排出流路２２に設けられている。第２排出弁２７は、廃液を廃液槽２１に排出するときに、開弁する。また、第２排出弁２７は、廃液排出流路２２から洗浄液を押し出した後に閉弁することにより、廃液槽２１からの廃液の逆流を防止して電気的な遮断状態を維持する。

洗浄流体流路２８は、回転霧化頭６およびフィードチューブ７の先端側を洗浄するための洗浄流体が流通する。洗浄流体流路２８の上流側は、排出エア切換弁３５に接続されている。これにより、洗浄流体流路２８は、排出エア切換弁３５を介して後述の霧化頭洗浄流路２９と霧化頭側排出エア供給流路３１とに接続することができる。洗浄流体流路２８は、塗料流路８の霧化頭側流路８Ｂに沿うようにフィードチューブ７に設けられている。そして、洗浄流体流路２８の下流端は、回転霧化頭６内でフィードチューブ７の先端側に開口している。

霧化頭洗浄流路２９は、洗浄流体供給源（図示せず）と洗浄流体流路２８とを接続している。霧化頭洗浄流路２９は、下流側が排出エア切換弁３５を介して洗浄流体流路２８に接続され、フィードチューブ７の先端および回転霧化頭６に洗浄流体を供給する。また、霧化頭洗浄流路２９には、霧化頭洗浄流体弁３０が設けられている。霧化頭洗浄流体弁３０は、霧化頭洗浄流路２９を連通または遮断し、洗浄流体の供給と停止を制御する。

霧化頭側排出エア供給流路３１は、排出エア切換弁３５を介して洗浄流体流路２８と霧化頭洗浄流路２９に接続することができる。霧化頭側排出エア供給流路３１は、排出エア（圧縮エア）が流通する。この排出エアは、洗浄流体流路２８と霧化頭洗浄流路２９に残存した洗浄液を排出する。霧化頭側排出エア供給流路３１は、上流側が第２排出エア供給弁３２に接続され、下流側が排出エア切換弁３５に接続されている。霧化頭側排出エア供給流路３１は、排出エア供給源（図示せず）に接続されている。

第３逆止弁３３は、霧化頭側排出エア供給流路３１に設けられている。第３逆止弁３３は、排出エア切換弁３５（洗浄流体流路２８、霧化頭洗浄流路２９）に向けて排出エアが流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。これにより、第３逆止弁３３は、霧化頭洗浄流路２９から洗浄流体流路２８に向かう洗浄液の一部が、霧化頭側排出エア供給流路３１を第２排出エア供給弁３２側に流れるのを阻止している。

霧化頭側洗浄流体排出流路３４は、上流側が霧化頭洗浄流体弁３０と排出エア切換弁３５との間に位置する接続点Ｄで霧化頭洗浄流路２９に接続されている。この接続点Ｄは、洗浄流体の流れ方向で霧化頭洗浄流体弁３０の下流側の直後に位置している。また、霧化頭側洗浄流体排出流路３４の下流側は、廃液槽２１に接続されている。

排出エア切換弁３５は、洗浄流体流路２８と霧化頭洗浄流路２９と霧化頭側排出エア供給流路３１との間に設けられている。排出エア切換弁３５は、３方向２位置の切換弁からなり、図２に示す初期位置（基本位置）では、霧化頭洗浄流路２９と霧化頭側排出エア供給流路３１とを連通している。一方、制御信号によって切換えられた切換位置では、霧化頭洗浄流路２９と霧化頭側排出エア供給流路３１とを、洗浄流体流路２８に連通させることができる。

具体的には、排出エア切換弁３５の初期位置では、霧化頭側排出エア供給流路３１から霧化頭洗浄流路２９に排出エアを供給することができる。霧化頭側排出エア供給流路３１からの排出エアは、霧化頭洗浄流路２９に残存した洗浄液（洗浄流体）を排出することができる。一方、排出エア切換弁３５の切換位置では、霧化頭洗浄流路２９から洗浄流体流路２８に洗浄液を供給することができ、霧化頭側排出エア供給流路３１から洗浄流体流路２８に排出エアを供給することができる。

第２洗浄流体排出弁３６は、霧化頭側洗浄流体排出流路３４に設けられている。第２洗浄流体排出弁３６は、霧化頭側洗浄流体排出流路３４を連通または遮断する。第２洗浄流体排出弁３６は、霧化頭洗浄流体弁３０が開弁しているときに閉弁し、洗浄液が霧化頭側洗浄流体排出流路３４側に流れるのを阻止する。一方、第２洗浄流体排出弁３６は、開弁することにより、排出エアによって霧化頭洗浄流路２９から押し出された洗浄流体を、霧化頭側洗浄流体排出流路３４を通じて廃液槽２１に排出させる。さらに、第２洗浄流体排出弁３６は、霧化頭洗浄流路２９から洗浄液を押し出された後に閉弁することにより、廃液槽２１からの廃液の逆流を防止して電気的な遮断状態を維持する。

図１に示すように、制御装置３７は、静電塗装装置１に搭載された電気部品に制御信号を出力することにより、静電塗装装置１の各種制御を行う。その制御の一例としては、塗装機３による塗装終了後からハウジング２の塗料流入ポート２Ｃを色替弁装置ＣＣＶＵに接続するまでの間に、塗料室１１Ｂを洗浄するための制御を行う。

本実施形態による塗料タンク搭載式の静電塗装装置１は、上述の如き構成を有している。次に、制御装置３７による制御の一例として、被塗物に対する塗装作業が終了してから次色塗料に色替するときの作業について図４のタイムチャートを参照して説明する。

この色替作業では、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂに残存した前色塗料（残塗料）の排出、塗料室１１Ｂの予備洗浄、タンク洗浄流路１３の洗浄液の排出、回転霧化頭６とフィードチューブ７先端の洗浄、塗料室１１Ｂへの次色塗料の充填、廃液排出流路２２の洗浄および洗浄液の排出、霧化頭洗浄流路２９の洗浄液の排出を含む各種作業が行われる。これらの作業は、１つの被塗物を塗装する毎に行われる作業であり、生産性を向上させるときの障害となっている。

しかし、本実施形態による塗料タンク搭載式の静電塗装装置１では、塗料室１１Ｂに残存した前色塗料（残塗料）の排出と塗料室１１Ｂの予備洗浄の作業を、静電塗装装置１の塗装機３による塗装終了後からハウジング２の塗料流入ポート２Ｃを色替弁装置ＣＣＶＵに接続するまでの間に行うことにより、色替作業の時間を短縮して生産性を向上することができる。

具体的な色替作業について説明する。被塗物に対する塗装作業が終了したら、静電塗装装置１を塗装エリアから色替エリアに設置された色替弁装置ＣＣＶＵとの連結位置に向けて移動させる。この静電塗装装置１を色替弁装置ＣＣＶＵとの連結位置に向けて移動する間には、塗料室１１Ｂに残存した前色塗料（残塗料）の排出と塗料室１１Ｂの予備洗浄の作業とが行われる。

塗料室１１Ｂに残存した前色塗料（残塗料）の排出作業は、第１排出弁２６を切換位置に切換え、塗料流路８のタンク側流路８Ａと廃液排出流路２２とを連通させる。また、第２排出弁２７を開弁側に切換えて廃液排出流路２２を連通状態にする。この状態で、塗料タンク装置１１のサーボモータ１１Ｇを回転し、ピストン１１Ｃを矢示Ａ方向に移動させる。これにより、塗料室１１Ｂの残塗料は、塗料流路８のタンク側流路８Ａに押し出され、廃液排出流路２２を通じて廃液槽２１に排出される。

塗料タンク装置１１のサーボモータ１１Ｇによる機械的な残塗料の排出が終了したら、洗浄流体を用いた残塗料の排出と洗浄からなる塗料室１１Ｂの予備洗浄に移る。

この塗料室１１Ｂの予備洗浄では、第１排出弁２６と第２排出弁２７を切換えたままの状態で、ゲート弁１９を切換位置に切換えてタンク洗浄流路１３を充填流路１２（塗料室１１Ｂ）に連通させる。また、タンク洗浄流体弁１４を開弁側に切換えてタンク洗浄流路１３を洗浄液の供給源と洗浄エアの供給源に接続する。この状態で、洗浄液と洗浄エアを交互に供給することで、洗浄液と洗浄エアが混ざった洗浄流体をタンク洗浄流路１３、充填流路１２を通じて塗料室１１Ｂに供給する。

塗料室１１Ｂに供給された洗浄流体は、塗料室１１Ｂに残存（付着）した残塗料を洗浄し、塗料が混ざった廃液として塗料流路８のタンク側流路８Ａに流れ出る。この廃液は、大部分が洗浄流体であるから、タンク側流路８Ａ、廃液排出流路２２を通じて廃液槽２１に排出される間に、タンク側流路８Ａ、廃液排出流路２２を洗浄することができる。

ここまでの作業を、静電塗装装置１を色替弁装置ＣＣＶＵに連結する前に済ませることにより、色替弁装置ＣＣＶＵに連結してからの作業時間を短縮することができる。

続いて、図３に示すように、静電塗装装置１を色替弁装置ＣＣＶＵに連結する。静電塗装装置１を色替弁装置ＣＣＶＵに連結した状態では、塗料室１１Ｂの本格的な洗浄（本洗浄）が行われるが、ここでは省略している。静電塗装装置１を色替弁装置ＣＣＶＵに連結したら、タンク洗浄流路１３に残存した洗浄液の排出作業に移る。まず、第１洗浄流体排出弁２０と第１排出エア供給弁１６を開弁側に切換え、タンク側排出エア供給流路１５に排出エアを供給する。このときに、ゲート弁１９は、初期位置に戻されているから、排出エアは、タンク洗浄流路１３、タンク側洗浄流体排出流路１８を流れ、残存した洗浄液を廃液として廃液槽２１に排出する。これにより、タンク洗浄流路１３は、洗浄されて空洞状態になるから、高電圧のリークが防止される。

次に、回転霧化頭６とフィードチューブ７先端の洗浄作業を行う。この場合、霧化頭洗浄流体弁３０を開弁側に切換えると共に、排出エア切換弁３５を切換位置に切換えて霧化頭洗浄流路２９と霧化頭側排出エア供給流路３１を洗浄流体流路２８に連通させる。そして、霧化頭洗浄流路２９に洗浄液を供給することにより、洗浄流体流路２８から洗浄液を噴出して回転霧化頭６とフィードチューブ７先端を洗浄することができる。

また、タンク洗浄流路１３の洗浄液の排出作業と回転霧化頭６とフィードチューブ７先端の洗浄作業とに並行して、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂへの次色塗料の充填作業を行う。この充填作業では、ハウジング２の塗料流入ポート２Ｃから充填流路１２を通じて塗料室１１Ｂに次色塗料を供給する。このときには、塗料の充填流量に応じて塗料タンク装置１１のサーボモータ１１Ｇを回転し、ピストン１１Ｃを矢示Ｂ方向に移動させる。

続いて、廃液排出流路２２の洗浄作業および廃液の排出作業を行う。まず、第２排出弁２７と排出流体供給弁２４を開弁側に切換える。この状態で、廃液排出流体供給流路２３に洗浄液と洗浄エアを供給することで、廃液排出流路２２に付着した廃液を洗浄し、洗浄液と一緒に廃液を廃液槽２１に排出する。これにより、廃液排出流路２２は、洗浄されて空洞状態になるから、高電圧のリークが防止される。

廃液排出流路２２の洗浄、排出作業と並行して霧化頭洗浄流路２９の洗浄液の排出作業を行う。この作業では、第２排出エア供給弁３２を開弁側に切換え、霧化頭側排出エア供給流路３１に排出エアを供給する。この排出エアの供給開始時には、排出エア切換弁３５が切換えられた状態にあるから、排出エアは、洗浄流体流路２８に供給されて洗浄流体流路２８に残存した洗浄流体を排出する。これにより、洗浄流体流路２８から洗浄流体が垂れるのを防止している。

続いて、第２排出エア供給弁３２を開弁側に切換えたままの状態で、排出エア切換弁３５を初期位置に切換えると共に、第２洗浄流体排出弁３６を開弁側に切換える。このときに、排出エアは、霧化頭洗浄流路２９、霧化頭側洗浄流体排出流路３４に供給されて霧化頭洗浄流路２９に残存した洗浄液を排出する。これにより、霧化頭洗浄流路２９は、洗浄されて空洞状態になるから、高電圧のリークが防止される。

かくして、本実施形態によれば、塗料タンク搭載式の静電塗装装置１は、塗料タンク装置１１の塗料室１１Ｂを洗浄するための洗浄流体を供給するタンク洗浄流路１３と、塗料室１１Ｂから流れ出た廃液を排出するための廃液排出流路２２と、塗装機３による塗装終了後からハウジング２の塗料流入ポート２Ｃを色替弁装置ＣＣＶＵに接続するまでの間に塗料室１１Ｂを洗浄するための制御を行う制御装置３７と、を備えている。

従って、塗料室１１Ｂに残存した前色塗料（残塗料）の排出と塗料室１１Ｂの予備洗浄の作業を、静電塗装装置１を色替弁装置ＣＣＶＵとの連結位置に向けて移動する間に行うことができる。この結果、色替作業の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。

タンク洗浄流路１３には、圧縮エアを供給するためのタンク側排出エア供給流路１５が接続されている。また、廃液排出流路２２には、圧縮エアを供給するための廃液排出流体供給流路２３が接続されている。これにより、塗料に印加した高電圧が、タンク洗浄流路１３、廃液排出流路２２を通じてリークするのを防止することができる。

タンク洗浄流路１３には、洗浄液を供給するためのタンク側制御弁の一部をなすタンク洗浄流体弁１４が設けられている。これにより、塗料室１１Ｂに向けて適量の洗浄液を供給することができる。また、廃液排出流体供給流路２３には、洗浄流体を供給するための廃液排出側制御弁の一部をなす第２逆止弁２５が設けられている。これにより、廃液排出流路２２に向けて適量の洗浄液、洗浄エア、排出エアを供給することができる。

タンク側排出エア供給流路１５には、圧縮エアがタンク洗浄流路１３に向けて流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する第１逆止弁１７が設けられている。これにより、第１逆止弁１７は、タンク側排出エア供給流路１５に残存した洗浄液が、タンク側排出エア供給流路１５を第１排出エア供給弁１６側に流れるのを阻止することができる。

さらに、廃液排出流体供給流路２３には、洗浄流体、排出エアが廃液排出流路２２に向けて流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する第２逆止弁２５が設けられている。これにより、第２逆止弁２５は、廃液が廃液排出流体供給流路２３を排出流体供給弁２４側に流れるのを阻止することができる。

なお、実施形態では、高電圧発生器１０をハウジング２に設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、高電圧発生器をハウジング以外、例えば、塗装用ロボットのアームに設ける構成としてもよい。

１ 塗料タンク搭載式の静電塗装装置
２ ハウジング
２Ｃ 塗料流入ポート
３ 塗装機
４ エアモータ
５ 回転軸
６ 回転霧化頭
８ 塗料流路
１０ 高電圧発生器
１１ 塗料タンク装置
１１Ａ タンク本体（塗料タンク）
１１Ｂ 塗料室
１１Ｇ サーボモータ
１３ タンク洗浄流路
１４ タンク洗浄流体弁（タンク側制御弁）
１５ タンク側排出エア供給流路
１７ 第１逆止弁
２２ 廃液排出流路
２３ 廃液排出流体供給流路
２５ 第２逆止弁（廃液排出側制御弁）
３７ 制御装置
ＣＣＶＵ 色替弁装置

Claims (3)

1. 塗料の色替を行う色替弁装置に接続される塗料流入ポートを有するハウジングと、
   前記ハウジングに設けられ、中空な回転軸を備えたエアモータおよび該エアモータの前側に位置して前記回転軸に取付けられた回転霧化頭からなる塗装機と、
   前記回転軸内を前記回転霧化頭に向けて延び、前記回転霧化頭に供給される塗料が流通する塗料流路と、
   前記ハウジングに設けられ、前記塗料流路を通じて塗料室に貯留された塗料を前記回転霧化頭に向けて供給する塗料タンク装置と、
   前記塗料流路から吐出される塗料に高電圧を印加する高電圧発生器と、
   を備えてなる塗料タンク搭載式の静電塗装装置において、
   前記塗料タンク装置の前記塗料室を洗浄するための洗浄流体を供給するタンク洗浄流路と、
   前記塗料室から流れ出た廃液を排出するための廃液排出流路と、
   前記塗装機による塗装終了後から前記ハウジングの前記塗料流入ポートを前記色替弁装置に接続するまでの間に前記塗料室を洗浄するための制御を行う制御装置と、
   を備え、
   前記タンク洗浄流路には、圧縮エアを供給するためのタンク側排出エア供給流路が接続され、
   前記廃液排出流路には、圧縮エアを供給するための廃液排出流体供給流路が接続されていることを特徴とする塗料タンク搭載式の静電塗装装置。
2. 請求項１に記載の塗料タンク搭載式の静電塗装装置において、
   前記タンク洗浄流路には、洗浄流体を供給するためのタンク側制御弁が設けられ、
   前記廃液排出流体供給流路には、洗浄流体を供給するための廃液排出側制御弁が設けられていることを特徴とする塗料タンク搭載式の静電塗装装置。
3. 請求項１に記載の塗料タンク搭載式の静電塗装装置において、
   前記タンク側排出エア供給流路には、前記圧縮エアが前記タンク洗浄流路に向けて流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する第１逆止弁が設けられ、
   前記廃液排出流体供給流路には、前記圧縮エアが前記廃液排出流路に向けて流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する第２逆止弁が設けられていることを特徴とする塗料タンク搭載式の静電塗装装置。

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